(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】木材のトレーサビリティ方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20231221BHJP
B27M 1/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q50/02
B27M1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020037494
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2021-11-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月10日~12月11日の間、株式会社太田材木店が東京ビッグサイトで開催された「WOOD Collection 令和元年」にて発明を公開
(73)【特許権者】
【識別番号】515335161
【氏名又は名称】株式会社太田材木店
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 正昭
(72)【発明者】
【氏名】小出 榮一
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-212833(JP,A)
【文献】特開平11-221807(JP,A)
【文献】特開2007-026415(JP,A)
【文献】特開2011-161664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B27M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材の木口に埋め込み可能な形状を有するICタグと、
前記ICタグへ木材に関するデータを記憶可能であって、且つ前記ICタグに記憶されているデータを読み出し・書き込み可能なリーダライタと、
該リーダライタと一体又は別体に設けられ、インターネットに接続して外部機器とデータの送受信が可能な通信装置と、
前記通信装置を介して前記リーダライタとデータ通信可能に接続され、前記ICタグへ記憶させるデータを木材ごとに記憶するデータベースと、
前記データベースと通信可能に接続され、前記データベースに記憶されているデータのうち所定のデータを、製品として完成した木材の表面に印字する第1のプリンターと、を具備し、
前記データベースには、木材ごとに、原木の伐採年月日、伐採者、樹種、産地、径、位置情報(GPS情報)、固有IDを少なくとも含む第1のデータと、製材業者名、製材年月日、製材された木材のサイズを少なくとも含む第2のデータと、乾燥方法、乾燥場所、乾燥期間を少なくとも含む第3のデータと、乾燥後の含水率、強度と色の検査結果を少なくとも含む第4のデータとが記憶されたトレーサビリティシステムを用いた木材のトレーサビリティ方法であって、
伐採業者が、前記リーダライタを用いて、前記第1のデータを、原木に埋め込む前記ICタグに記憶する工程と、
伐採業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第1のデータを、インターネットを介して通信可能に接続された前記データベースへ記憶する工程と、
製材業者が、前記リーダライタを用いて、前記原木を製材所において製材する前後において、前記第2のデータを前記ICタグに記憶する工程と、
製材業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第2のデータを、前記データベースへ記憶する工程と、
製材業者が、前記リーダライタを用いて、製材された木材を乾燥する前後において、前記第3のデータを前記ICタグに記憶する工程と、
製材業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第3のデータを、前記データベースへ記憶する工程と、
製材業者が、前記リーダライタを用いて、乾燥が完了した木材を検査した後に、前記第4のデータを前記ICタグに記憶する工程と、
製材業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第4のデータを、前記データベースへ記憶する工程
と、
製材業者又は加工業者が、前記第1のプリンターを用いて、前記データベースに記憶されている当該木材に関するデータのうち所定のデータのみを、
前記乾燥が完了した木材のうち製材業者による検査で合格の結果が出た木材に仕上げ加工し且つ前記ICタグが埋め込まれた箇所がICタグごと切断された木材の表面に印字する工程と、を含み
、
製材業者が、
前記乾燥が完了した木材のうち製材業者による検査で不合格の結果が出た木材について再乾燥する工程を実施する前後において
、前記リーダライタを用いて、再乾燥方法、再乾燥場所、再乾燥期間を少なくとも含む第5のデータを前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第5のデータを前記データベースへ記憶する工程とを実施し、
製材業者が、前記再乾燥が完了した木材を検査した後に、製材業者が、前記リーダライタを用いて、前記再乾燥後の木材の合不合格の再判定結果を前記第5のデータに対して上書きして前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した再判定結果を少なくとも含む第5のデータを前記データベースへ記憶する工程とを実施し、
製材業者が、前記再乾燥が完了した木材を検査した後に、製材業者が、前記リーダライタを用いて、含水率、強度と色の検査結果を少なくとも含む第4のデータを、前記ICタグに前記第4のデータに対して上書きして記憶する工程と、製材業者が、
前記通信装置を用いて、前記ICタグに上書きして記憶した前記第4のデータを、前記データベースへ記憶する工程とを
実施し、
製材業者又は加工業者が、前記第1のプリンターを用いて、前記データベースに記憶されている当該木材に関するデータのうち所定のデータのみを、前再記乾燥が完了した木材のうち製材業者による検査で合格の結果が出た木材に仕上げ加工し且つ前記ICタグが埋め込まれた箇所がICタグごと切断された木材の表面に印字する工程とを実施し、
製造業者が、前記乾燥が完了した木材のうち製材業者による最初の検査又は再検査で不合格の結果が出て、前記木材からICタグを取り外し、木材を合板材や土木資材、建築材等に再加工する工程と、前記木材からICタグを取り外し、木材を焼却材に転用する工程とを実施することになった前記木材における前記第4のデータ又は前記第5のデータは、前記データベースから削除しないようにして在庫管理のためにデータを保持する工程とを実施することを特徴とする木材のトレーサビリティ方法。
【請求項2】
前記トレーサビリティシステムは、所定のデータをコード化する機能がインストールされた情報機器と、該情報機器と接続され、前記データベースへアクセスするためのURLと固有IDをコード化した1次元コード又は2次元コードを、製品として完成した木材の表面に印字する第2のプリンターとを具備し、
製材業者又は加工業者は、前記情報機器と前記第2のプリンターを用いて、前記データベースへアクセスするためのURLと固有IDをコード化した1次元コード又は2次元コードを木材の表面に印字する工程を含むことを特徴とする
請求項1記載の木材のトレーサビリティ方法。
【請求項3】
前記製材所において1本の原木を複数本の木材に製材する場合には、
前記第1のデータをコピーして記憶した複数本のICタグに対して、製材する前後において、製材業者名、製材年月日、製材された木材のサイズを少なくとも含む第2のデータを前記ICタグに記憶する工程を実行し、
共通の第1のデータに対して個別の第2のデータが記憶された前記ICタグを各前記木材に埋め込む工程を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2項記載の木材のトレーサビリティ方法。
【請求項4】
前記ICタグは原木の末口に埋め込まれることを特徴とする請求項1~請求項3のうちのいずれか1項記載の木材のトレーサビリティ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の履歴を追跡できるトレーサビリティ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
森林において伐採された木材は、製材業者へ運搬され、製材業者において製材処理や乾燥処理を行った後、製品として仕上げが施されて出荷される。
木材の品質等の追跡を行うために、特許文献1のような原木管理装置や特許文献2のようなトレーサビリティシステムが提案されている。
【0003】
特許文献1の原木管理装置によれば、原木材木データベースを設けて、この原木材木データベースに原木の種類、原産地、原木の山林の管理者、伐採年月日、伐採業者の情報、運搬業者の情報、製材業者の情報等を記憶させておき、またこれらの情報を電子タグに記憶させて原木に取り付ける。
また、製材業者が製材する際には、所定の作業を行う際に取扱事業者の名称を電子タグに入力し、この情報が原木材木データベースに記憶される。
【0004】
また、特許文献2の木材のトレーサビリティシステムによれば、伐採から丸太乾燥、玉切り、製材、乾燥、加工、施工までの処理日と処理業者とを、木材の端面に現れる紋様データと関連付けして記憶させることが記載されている。
この特許文献2によれば、バーコードやICタグを木材に取り付けるのではなく、端面の紋様によってデータの追跡調査を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-26415号公報
【文献】特開2010-149349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1におけるトレーサビリティシステムによると、原木・木材の産地証明情報、加工情報などがデータベース化されているが、加工情報としてデータベース化されているのは外形寸法、用途、表面加工の種類、である。
また、特許文献2におけるトレーサビリティシステムによると、伐採から施工までの処理日、処理内容、処理業者がデータベース化されている。処理内容としては、伐採、葉枯らし乾燥、玉切り、丸太乾燥、製材、乾燥、加工、施工、である。
【0007】
従来の各特許文献によるトレーサビリティシステムでは、製材業者が乾燥工程を実行したことやその日時は追跡できるが、乾燥工程終了後に検査した結果までは把握できない。現実的に同一種類の木材であっても含水率と強度に大きなばらつきがあることもあり、また同一種類の木材であっても色が異なることもある。
したがって、従来のトレーサビリティシステムでは、施工業者が履歴を確認しても、どのような乾燥場所でどのくらいの乾燥期間か、そして乾燥終了後の検査結果を把握することができないため、現物を確認してから発注する必要があり手間がかかってしまうという課題がある。
【0008】
また、従来のトレーサビリティシステムでは、施工業者までしか履歴の確認ができない。
施工業者まで木材の履歴の確認ができたとしても、最終的なユーザである施主も、どのような履歴の木材であるのかを知りたいと思うことが多い。施主は木材の専門家ではないからこそ、そのような情報を知ることによって、使われた木材の価値や良さを知ることとなり、木材の需要喚起に役立つこととなる。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、乾燥工程後の木材の状態を確実に把握することができ、また施主であっても木材の履歴を把握できるトレーサビリティ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる木材のトレーサビリティ方法によれば、木材の木口に埋め込み可能な形状を有するICタグと、前記ICタグへ木材に関するデータを記憶可能であって、且つ前記ICタグに記憶されているデータを読み出し・書き込み可能なリーダライタと、該リーダライタと一体又は別体に設けられ、インターネットに接続して外部機器とデータの送受信が可能な通信装置と、前記通信装置を介して前記リーダライタとデータ通信可能に接続され、前記ICタグへ記憶させるデータを木材ごとに記憶するデータベースと、前記データベースと通信可能に接続され、前記データベースに記憶されているデータのうち所定のデータを、製品として完成した木材の表面に印字する第1のプリンターと、を具備し、前記データベースには、木材ごとに、原木の伐採年月日、伐採者、樹種、産地、径、位置情報(GPS情報)、固有IDを少なくとも含む第1のデータと、製材業者名、製材年月日、製材された木材のサイズを少なくとも含む第2のデータと、乾燥方法、乾燥場所、乾燥期間を少なくとも含む第3のデータと、乾燥後の含水率、強度と色の検査結果を少なくとも含む第4のデータとが記憶されたトレーサビリティシステムを用いた木材のトレーサビリティ方法であって、伐採業者が、前記リーダライタを用いて、前記第1のデータを、原木に埋め込む前記ICタグに記憶する工程と、伐採業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第1のデータを、インターネットを介して通信可能に接続された前記データベースへ記憶する工程と、製材業者が、前記リーダライタを用いて、前記原木を製材所において製材する前後において、前記第2のデータを前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第2のデータを、前記データベースへ記憶する工程と、製材業者が、前記リーダライタを用いて、製材された木材を乾燥する前後において、前記第3のデータを前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第3のデータを、前記データベースへ記憶する工程と、製材業者が、前記リーダライタを用いて、乾燥が完了した木材を検査した後に、前記第4のデータを前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第4のデータを、前記データベースへ記憶する工程と、製材業者又は加工業者が、前記第1のプリンターを用いて、前記データベースに記憶されている当該木材に関するデータのうち所定のデータのみを、前記乾燥が完了した木材のうち製材業者による検査で合格の結果が出た木材に仕上げ加工し且つ前記ICタグが埋め込まれた箇所がICタグごと切断された木材の表面に印字する工程と、を含み、製材業者が、前記乾燥が完了した木材のうち製材業者による検査で不合格の結果が出た木材について再乾燥する工程を実施する前後において、前記リーダライタを用いて、再乾燥方法、再乾燥場所、再乾燥期間を少なくとも含む第5のデータを前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した前記第5のデータを前記データベースへ記憶する工程とを実施し、製材業者が、前記再乾燥が完了した木材を検査した後に、製材業者が、前記リーダライタを用いて、前記再乾燥後の木材の合不合格の再判定結果を前記第5のデータに対して上書きして前記ICタグに記憶する工程と、製材業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに記憶した再判定結果を少なくとも含む第5のデータを前記データベースへ記憶する工程とを実施し、製材業者が、前記再乾燥が完了した木材を検査した後に、製材業者が、前記リーダライタを用いて、含水率、強度と色の検査結果を少なくとも含む第4のデータを、前記ICタグに前記第4のデータに対して上書きして記憶する工程と、製材業者が、前記通信装置を用いて、前記ICタグに上書きして記憶した前記第4のデータを、前記データベースへ記憶する工程とを実施し、製材業者又は加工業者が、前記第1のプリンターを用いて、前記データベースに記憶されている当該木材に関するデータのうち所定のデータのみを、前再記乾燥が完了した木材のうち製材業者による検査で合格の結果が出た木材に仕上げ加工し且つ前記ICタグが埋め込まれた箇所がICタグごと切断された木材の表面に印字する工程とを実施し、製造業者が、前記乾燥が完了した木材のうち製材業者による最初の検査又は再検査で不合格の結果が出て、前記木材からICタグを取り外し、木材を合板材や土木資材、建築材等に再加工する工程と、前記木材からICタグを取り外し、木材を焼却材に転用する工程とを実施することになった前記木材における前記第4のデータ又は前記第5のデータは、前記データベースから削除しないようにして在庫管理のためにデータを保持する工程とを実施することを特徴としている。
この方法を採用することによって、施工業者等は、乾燥場所や乾燥期間を含む第3のデータと、含水率、強度と色の検査結果を少なくとも含む第4のデータを確認することができるので現物を確認しなくても木材の状態を正確に把握することができる。また、完成した木材に対して施主が履歴を確認しようと思えば、木材の表面に印字された所定データを見ることで確認できる。
また、一度不合格になった木材が再乾燥の後で合格となる可能性があり、木材の無駄が少なくなる。
また、施工業者等は、再乾燥方法、再乾燥場所、再乾燥期間、再判定、搬出日、搬出先を含む第5のデータを確認することができるので、乾燥後に仕上げ加工された木材と再乾燥後に仕上げ加工された木材とを区別することができる。さらに、完成した木材に対して施主が履歴を確認しようと思えば、木材の表面に印字された所定データを見ることで確認できる。
また、データベースへ記憶したデータを活用して、木材の検査の合格率を上げるための乾燥方法や乾燥場所、乾燥期間等についての知見を得ることができる。
【0013】
また、前記トレーサビリティシステムは、所定のデータをコード化する機能がインストールされた情報機器と、該情報機器と接続され、前記データベースへアクセスするためのURLと固有IDをコード化した1次元コード又は2次元コードを、製品として完成した木材の表面に印字する第2のプリンターとを具備し、製造業者又は加工業者は、前記情報機器と前記第2のプリンターを用いて、前記データベースへアクセスするためのURLと固有IDをコード化した1次元コード又は2次元コードを木材の表面に印字する工程を含むことを特徴としてもよい。
この方法によれば、完成した木材に対して施主が履歴を確認する際に、1次元コードもしくは2次元コードからデータベースへアクセスすることによって、詳細な木材の履歴を知ることができる。このため、施主は、使われた木材の価値や良さを知ることができる。
【0015】
また、前記製材所において1本の原木を複数本の木材に製材する場合には、前記第1のデータをコピーして記憶した複数本のICタグに対して、製材する前後において、製材業者名、製材年月日、製材された木材のサイズを少なくとも含む第2のデータを前記ICタグに記憶する工程を実行し、共通の第1のデータに対して個別の第2のデータが記憶された前記ICタグを各前記木材に埋め込む工程を実行することを特徴としてもよい。
この方法によれば、1本の原木から複数の木材が製造される場合であっても、原木からの第1のデータは各木材のICタグに記憶され、木材の履歴を確実に追跡することができる。
【0016】
また、前記ICタグは原木の末口に埋め込まれることを特徴としてもよい。
この方法によれば、末口の方が元口よりも年輪が詰まっているためICタグがなるべく抜けないようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の木材のトレーサビリティ方法によれば、乾燥工程後の木材の状態を確実に把握することができ、また施主であっても木材の履歴を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】トレーサビリティシステム及びトレーサビリティ方法の概略説明図である。
【
図3】データベースにおける各木材の記録内容を示す説明図である。
【
図4】複数の木材にカットする工程を含む加工工程の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係る木材のトレーサビリティシステムと方法について説明する。
まず、本実施形態のトレーサビリティシステムと方法の概要を説明すると、木材に埋め込まれるICタグ20に、伐採業者、製材業者などが各種工程において各データを記憶させるとともに、これら各データはインターネット上のデータベース30へも記憶される。すなわちデータベース30にアクセスすることで木材の履歴を追跡できる。
そして、仕上げされて製品となった木材の表面には、各データのうちの一部が印字部40として印字され、さらにデータベース30へアクセスするためのコード42(具体的にはQRコード(登録商標))も仕上げされた木材の表面に印刷される。製品となった木材の履歴を知りたいと思った者は、QRコード42を携帯機器から撮影することで容易にデータベース30へのアクセスが可能となる。
【0020】
図1に原木の伐採から施主の元へ届くまでの本実施形態の概略を示し、
図2に本実施形態における木材の加工工程の概略を示す。また、
図3に、データベースに記録される木材ごとのデータの概要を示す。
以下、各図面に基づいて、本実施形態のトレーサビリティ方法及びシステムを具体的に説明する。
伐採業者は、森林所有者(森林管理者)から立木を購入し又は委託等を受け、所定の木を伐採する。森林所有者または伐採業者は、所定の原木に対してIDを付与し、伐採日、伐採者、IDのシステムへの登録日、シリアルNO.、伐採地の位置情報(GPS情報)、樹種(コード)、材の末口径、材の長さ等(これらを第1のデータとする)をICタグ20に書き込む。
【0021】
伐採業者がこれらのデータを入力するのはICタグ20のリーダライタ22に入力するか、またはリーダライタ22へデータを送信可能なノートパソコンなどの携帯可能な情報機器24を用いて行う。
ただし、伐採は山間地において実行されるため、多数の機器を持っていくことが大変であるし、また手袋をしたままノートパソコンなどの情報機器24を操作することは困難であることも予想される。
【0022】
伐採業者は、リーダライタ22で第1のデータを入力し、ICタグ20にリーダライタ22から第1のデータを書き込む。
リーダライタ22は、ICタグとの間の通信以外に、インターネット接続可能な通信装置を備えている。伐採業者は、リーダライタ22を操作し、リーダライタ22からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ22へ入力した第1のデータを、データベース30に記憶させる。
【0023】
なお、伐採業者がノートパソコンなどの情報機器24に第1のデータを入力する場合について説明する。
伐採業者は、情報機器24に第1のデータを入力し、入力した第1のデータをリーダライタ22へ送信するように情報機器24を操作する。
そして、伐採業者は、リーダライタ22を操作してリーダライタ22から第1のデータをICタグ20に書き込む。このとき、リーダライタ22と情報機器24は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、LANケーブルなど有線での接続、又はインターネット経由での接続などが実行できるように設けられており、これらの通信によりデータの送受信を実行する。
【0024】
なお、第1のデータはすべて伐採業者が入力せずに、第1のデータの一部を森林所有者が入力してもよい。つまり、森林所有者は、ノートパソコン等の情報機器25を用い、情報機器25に第1のデータの一部を入力する。
ただし、森林所有者が入力できる第1のデータとしては、所定の原木に対して付与したID、IDのシステムへの登録日などである。
【0025】
ICタグ20は、先端が先鋭となった柱状の部材の内部にICチップが内蔵された構成を採用している。ICタグ20は原木10の木口11に打ち込まれる。また、ICタグ20は、木口11の末口に打ち込まれることが好ましい。
なお、ICタグ20の形状としては、先端が先鋭となった柱状のような形状に限定するものではない。
【0026】
伐採された原木10は、原木市場又は製材業者へ運搬される。
原木市場に運搬される場合の例について説明する。
原木市場では、原木市場業者がノートパソコン等の情報機器26を用い、情報機器26に搬入日、搬出日、搬出先を原木市場データとして入力する。情報機器26は、インターネットに接続してデータベース30にアクセス可能であり、原木市場業者は、入力した原木市場データをデータベース30に記憶する。
【0027】
次に、原木市場で製材業者が入札して製材業者へ原木10が運搬されるか、または伐採業者から直接製材業者へ原木10が運搬される場合の製材業者について説明する。
製材業者は、原木10を製材する前又は製材後に、製材業者名、製材年月日、製材された木材12のサイズを少なくとも含む第2のデータを、リーダライタ27に入力する。製材業者は、リーダライタ27を操作してICタグ20に第2のデータを書き込む。
【0028】
さらに、製材業者のリーダライタ27は、ICタグ20との間の通信以外に、インターネット接続可能な通信装置を備えている。製材業者は、リーダライタ27を操作し、リーダライタ27からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ27へ入力した第2のデータを、データベース30に記憶させる。
【0029】
なお、製材業者は、ノートパソコン等の情報機器28を用い、情報機器28に第2のデータを入力してもよい。この場合、情報機器28とリーダライタ27は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、LANケーブルなど有線での接続、又はインターネット経由での接続などが実行できるように設けられている。
製材業者は、情報機器28に入力した第2のデータをリーダライタ27に送信し、リーダライタ27からICタグ20へ第2のデータを書き込む。
そして、情報機器28は、インターネットに接続してデータベース30にアクセス可能であり、製材業者は入力した第2のデータをデータベース30に記憶する。
【0030】
なお、製材業者においては製材の後に、製材した木材12を乾燥する。
木材12の乾燥方法としては、天然乾燥、人工乾燥の大きく2つの方法がある。天然乾燥による乾燥期間は1年以上かかる。人工乾燥の場合、高温式、低温除湿式など様々な乾燥機を用いて木材12を乾燥させる。人工乾燥の場合、1週間程度で乾燥工程を終了させることが可能である。
製材業者は、製材された木材12を乾燥する前又は乾燥後において、乾燥方法、乾燥場所、乾燥期間を含む第3のデータをリーダライタ27に入力する。製材業者は、リーダライタ27を操作してICタグ20に第3のデータを書き込む。
【0031】
さらに、製材業者は、リーダライタ27を操作し、リーダライタ27からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ27へ入力した第3のデータを、データベース30に記憶させる。
【0032】
なお、製材業者は、ノートパソコン等の情報機器28を用い、情報機器28に第3のデータを入力してもよい。この場合、製材業者は、情報機器28に入力した第3のデータをリーダライタ27に送信し、リーダライタ27からICタグ20へ第3のデータを書き込む。
そして、情報機器28は、インターネットに接続してデータベース30にアクセス可能であり、製材業者は入力した第3のデータをデータベース30に記憶する。
【0033】
乾燥工程が終了後、製材業者では木材12の検査を実行する。
検査項目としては、含水率、色、強度などがある。また、割れなども検査で見つける。
製材業者は、製材された木材12を検査後において、含水率、色、強度などの検査結果を含む第4のデータをリーダライタ27に入力する。製材業者は、リーダライタ27を操作してICタグ20に第4のデータを書き込む。
【0034】
さらに、製材業者は、リーダライタ27を操作し、リーダライタ27からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ27へ入力した第4のデータを、データベース30に記憶させる。
【0035】
なお、製材業者は、ノートパソコン等の情報機器28を用い、情報機器28に第4のデータを入力してもよい。この場合、製材業者は、情報機器28に入力した第4のデータをリーダライタ27に送信し、リーダライタ27からICタグ20へ第4のデータを書き込む。
そして、情報機器28は、インターネットに接続してデータベース30にアクセス可能であり、製材業者は入力した第4のデータをデータベース30に記憶する。
【0036】
検査の結果、所定の品質を満たしていないとして不合格と判断される木材12もある。
不合格と判断された木材12を再乾燥の工程に移行しないと判断する場合には、木材12の履歴を追跡する必要が無くなるため、ICタグを取り外し、仕上げ加工をせずに合板材や土木資材、建築材等へ再加工する工程または焼却材へ転用する工程に移行する。
【0037】
不合格と判断された木材12を再乾燥の工程に移行すると判断する場合には、最初の乾燥の乾燥方法と同様に、天然乾燥、人工乾燥のいずれかにより乾燥する。製材業者は、一度乾燥された木材12を再度乾燥する前又は乾燥後において、再乾燥方法、再乾燥場所、再乾燥期間を含む第5のデータをリーダライタ27に入力する。製材業者は、リーダライタ27を操作してICタグ20に第5のデータを書き込む。
【0038】
さらに、製材業者は、リーダライタ27を操作し、リーダライタ27からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ27へ入力した第5のデータを、データベース30に記憶させる。
【0039】
なお、製材業者は、ノートパソコン等の情報機器28を用い、情報機器28に第5のデータを入力してもよい。この場合、製材業者は情報機器28に入力した第5のデータをリーダライタ27に送信し、リーダライタ27からICタグ20へ第5のデータを書き込む。
そして、情報機器28は、インターネットに接続してデータベース30にアクセス 可能であり、製材業者は入力した第5のデータをデータベースに記憶する。
【0040】
製材業者では木材12を再乾燥の工程に移行して再乾燥の完了後、木材12の2回目の検査を実施する。再乾燥後の検査において、製材業者は、木材の合不合格の再判定結果を少なくとも含む第5のデータを、リーダライタ27を操作してICタグ20に第5のデータを書き込む。
さらに、製材業者は、リーダライタ27を操作し、リーダライタ27からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ27へ入力した第5のデータを、データベース30に記憶させる。
【0041】
検査項目としては最初の検査と同様に、含水率、色、強度などがある。また、割れなども検査で見つける。
製造業者は、木材12の2回目の検査後において、最初の検査の時と同様に、含水率、色、強度などの検査結果を含む第4のデータをリーダライタ27に入力する。製材業者は、リーダライタ27を操作してICタグ20に、最初の検査の後に記憶した第4のデータに対して上書きして新しく第4のデータを書き込む。
【0042】
さらに、製材業者は、リーダライタ27を操作し、リーダライタ27からインターネットを介してデータベース30に接続し、リーダライタ27へ入力した第4のデータをデータベース30に記憶させる。
【0043】
なお、製材業者は、ノートパソコン等の情報機器28を用い、情報機器28に2回目の検査結果を含む第4のデータを入力してもよい。この場合、製材業者は、情報機器28に入力した第4のデータを、リーダライタ27に送信し、リーダライタ27からICタグ20へ、最初の検査の後に記憶した第4のデータに対して上書きして新しく第4のデータを書き込む。
そして、情報機器28は、インターネットに接続してデータベース30にアクセス可能であり、製材業者は入力した第4のデータをデータベース30に記憶する。
【0044】
2回目の検査の結果でも、所定の品質を満たしていないとして不合格と判断される木材12もある。ここで不合格と判断された木材12についても、履歴を追跡する必要が無くなるため、ICタグを取り外し、仕上げ加工をせずに合板材や土木資材、建築材等へ再加工する工程または焼却材へ転用する工程に移行する。
【0045】
なお、最初の検査及び2回目の検査で再加工又は焼却材として使用することになった木材における第4のデータ又は第5のデータは、データベース30から削除するのではなく、データとしてそのまま保存しておく。
再加工又は焼却材として使用される場合であっても、製材業者にとって在庫管理として必要なためである。
【0046】
最初の検査及び2回目の検査が完了して合格となった木材12は、そのまま製材業者によって仕上げ加工が施されるか、または加工業者に運搬されて加工業者によって仕上げ加工が施される。
製材業者または加工業者は、最初の検査か2回目の検査が完了して合格となった木材12に仕上げ加工を施して製品である木材13を製造する。製材業者または加工業者によって施される仕上げ加工には、ICタグ20が埋め込まれた部分をICタグ20ごと切断し、ICタグ20を木材から取り外す工程も含まれる。
したがって、仕上げ加工が施されて製品となった木材13にはICタグが取り付けられていない。
【0047】
製造業者または加工業者は、製品として完成した木材13の表面に、データベース30に記憶されているデータのうち所定のデータを印字する。所定のデータとは、製材業者名、樹種、産地などである。製材業者名、樹種、産地などが印字された箇所が印字部40である。
このように印字部40を設けることにより、この木材13を使用して建築を行う施工業者や施主が印字部40を見ることによって、木材13の概要を知ることができる。またデータベース30から印字するデータを選択することができるため、製造業者または加工業者においては、最も重要であると考えるデータのみを印字できる。
【0048】
印字部40の印字は第1のプリンター32によって実行される。第1のプリンター32はインクジェットプリンターであって、ノズルからインクを木材の表面に吹きつけることにより印字が行われる。
第1のプリンター32は、パソコン等の情報機器33またはスマートフォンなどの携帯情報機器34と接続されている。情報機器33または携帯情報機器34はインターネットを経由してデータベース30に接続されている。
製造業者または加工業者は、印字部40を製品となった木材13の表面に印字する際には、情報機器33または携帯情報機器34を操作し、データベース30から印字するデータを選択する。そして、製造業者または加工業者は、情報機器33または携帯情報機器34を操作して、印字するデータを第1のプリンター32に出力して第1のプリンター32の印字動作を実行させる。
【0049】
なお、第1のプリンター32がインターネットに接続する機能を有している場合、製造業者または加工業者は、第1のプリンター32を操作し、第1のプリンター32をデータベース30に直接接続させて、第1のプリンター32がデータベース30から印字するデータを受信する。
【0050】
また、製造業者または加工業者は、製品として完成した木材13の表面に、データベース30にアクセスするためのコード42を印刷する。コードとしてはバーコード等の1次元コードやQRコード(登録商標)等の2次元コードが考えられる。
このようにコード42を製品としての木材13に印刷することにより、この木材13を使用して建築を行う施工業者や施主が、スマートフォン等の携帯情報機器でコード42を撮影してデータベース30の当該木材のデータが記載されたページのURLにアクセスすることができ、施工業者や施主も容易に木材13の履歴を確認することができる。
【0051】
コード42の印刷は第2のプリンター36によって実行される。第2のプリンター36はインクジェットプリンターであって、ノズルからインクを木材の表面に吹きつけることにより印刷が行われる。
第2のプリンター36は、パソコン等の情報機器37またはスマートフォンなどの携帯情報機器38と接続されている。情報機器37または携帯情報機器38はコード作成ソフトウェア44を備えている。
【0052】
コード作成ソフトウェア44は、所定のデータをコード化するためのソフトウェアであり公知のものを採用することができる。
本実施形態では、製造業者または加工業者は、コード作成ソフトウェア44がインストールされた情報機器37または携帯情報機器38を操作し、該当する木材13の各種データが記録されているデータベース30のURLと固有IDをコード作成ソフトウェア44によってコード化する。
印刷すべきコードは、情報機器37または携帯情報機器38から第2のプリンター36へ出力され、情報機器37または携帯情報機器38が第2のプリンター36を制御してコード42を印刷する。
【0053】
このように、製品としての木材13に対して、施主がコード42からデータベース30へアクセスすることによって、木材13の詳細な履歴を知ることができる。このため、施主は、使われた木材の価値や良さを知ることができる。
また、コード42から、該当する木材13のみのデータが記録されているページへアクセスすることができるため、施主は他の木材13のデータを見ることなく確実に該当するデータを見ることができる。
【0054】
また、上述してきたように、データベース30には製材業者または加工業者における製材から加工まで、製品となった木材13の履歴がすべて記録される。このため、製材業者又は加工業者における在庫管理を確実なものとすることができる。
【0055】
次に、
図4に基づいて他の実施形態について説明する。
なお、上述してきた実施形態と同一の構成については同一の符合を付し、説明を省略する場合もある。
伐採業者が原木10を伐採して原木市場を介して製材業者へ運搬されるか、または伐採業者から原木市場を介さずに製材業者に運搬されるまでは上述の実施形態と同じ工程である。
【0056】
本実施形態では、製材業者は、運搬されてきた原木10を複数の木材14にカットして、これら複数の木材14を製品化するものである。
製材業者は、1本の原木10から複数の木材14を製材する前に、原木10に埋め込まれていたICタグ20を取り出す。このICタグ20には、伐採等に関する第1のデータと、原木市場を介している場合には原木市場データとが記録されている。
【0057】
そして、製材業者は、取り出したICタグを、カットした複数の木材14のうちのいずれか1つの木材14の木口11に埋め込む。
また、製材業者は、複数にカットした木材のうちの他の木材14には、取り出したICタグ20と同じ第1のデータと原木市場データ(原木市場を介して搬入される場合)とが記録されたICタグ21を埋め込む必要がある。
【0058】
そこで、製材業者は、情報機器28を操作してデータベース30から、該当する原木10のデータを読み出し、情報機器28からリーダライタ27にそのデータを送信する。製材業者は、リーダライタ27から複数のICタグ21にデータを書き込む。このことにより、取り出したICタグ20と同じ第1のデータと原木市場データ(原木市場を介して搬入される場合)とが記録された複数のICタグ21が出来上がる。ただし、原木10の登録時につけた固有のIDについてはそれぞれの木材14に対して別々のIDを改めて付与する必要がある。
取り出したICタグ20と同じ第1のデータと原木市場データ(原木市場を介して搬入される場合)とが記録された複数のICタグ21は、複数にカットした木材14のうちの他の木材14に埋め込まれる。
【0059】
複数にカットした木材14は、カット後はそれぞれ別個の木材14として管理される。
すなわち、製材業者は、それぞれ別個の木材14として製材業者名、製材年月日、製材された木材のサイズを少なくとも含む第2のデータを各ICタグ20及びICタグ21に書き込み、乾燥工程における乾燥方法、乾燥場所、乾燥期間を含む第3のデータを各ICタグ20及びICタグ21に書き込み、検査工程後には含水率、色、強度などの検査結果を含む第4のデータを各ICタグ20及びICタグ21に書き込む。
【0060】
検査か完了して合格となった各木材14は、そのまま製材業者によって仕上げ加工が施されるか、または加工業者に運搬されて加工業者によって仕上げ加工が施される。製材業者または加工業者によって施される仕上げ加工には、ICタグ20及びICタグ21が埋め込まれた部分をICタグ20及びICタグ21ごと切断し、ICタグ20及びICタグ21を木材から取り外す工程も含まれる。
【0061】
また、複数にカットされた各木材14についても第1のプリンター32によって所定のデータが印字され、第2のプリンター36によって各木材のデータが記憶されたデータベース30のそれぞれのページにアクセスするためのコード42が印刷される。
【0062】
なお、1本の原木10を複数の木材14にカットする際に、原木10に埋め込まれていたICタグ20が太すぎて(または大きすぎて)カットした木材14に埋め込むことができない場合には、原木から取り出したICタグを使用せず、原木10に埋め込んだICタグよりも小さいICタグを用意し、カットした木材14すべてにこの小さいICタグを埋め込む。
【0063】
小さいICタグにも、取り出したICタグ20と同じ第1のデータと原木市場データ(原木市場を介して搬入される場合)とを書き込む必要がある。
そこで、製材業者は、情報機器28を操作してデータベース30から、該当する原木10のデータを読み出し、情報機器28からリーダライタ27にそのデータを送信する。製材業者は、リーダライタ27から複数の小さいICタグにデータを書き込む。このことにより、取り出したICタグ20と同じ第1のデータと原木市場データ(原木市場を介して搬入される場合)とが記録された複数の小さいICタグが出来上がる。ただし、原木10の登録時につけた固有のIDについてはそれぞれの木材14に対して別々のIDを改めて付与する。
【0064】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0065】
10 原木
11 木口
12 木材
13 製品となった木材
14 複数にカットされた各木材
20 ICタグ
21 ICタグ
22 リーダライタ
24 情報機器
25 情報機器
26 情報機器
27 リーダライタ
28 情報機器
30 データベース
32 第1のプリンター
33 情報機器
34 携帯情報機器
36 第2のプリンター
37 情報機器
38 携帯情報機器
40 印字部
42 コード
42 QRコード
44 コード作成ソフトウェア