(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】過熱水蒸気生成装置
(51)【国際特許分類】
F22G 1/16 20060101AFI20231221BHJP
F22G 5/12 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F22G1/16
F22G5/12 Z
(21)【出願番号】P 2020081926
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰広
(72)【発明者】
【氏名】外村 徹
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-066089(JP,A)
【文献】特開2017-083153(JP,A)
【文献】特開2020-042977(JP,A)
【文献】特開2007-024336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0204512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 1/16
F22G 5/12
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入ポートから導入された水蒸気を加熱して導出ポートから過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気生成装置であって、
水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部と、
前記導入ポートから導入された水蒸気を分配して前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に導入する分配管と、
前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部により生成された過熱水蒸気を合流して前記導出ポートから導出させる合流管とを備え
、
前記過熱水蒸気生成部は、螺旋状に巻回された円筒状の導体管を軸方向に短絡させて、当該導体管の内側及び外側又はその一方に設けられた磁束発生機構により誘導加熱して、前記導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成するものである、過熱水蒸気生成装置。
【請求項2】
導入ポートから導入された水蒸気を加熱して導出ポートから過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気生成装置であって、
水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部と、
前記導入ポートから導入された水蒸気を分配して前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に導入する分配管と、
前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部により生成された過熱水蒸気を合流して前記導出ポートから導出させる合流管と、
前記分配管を加熱する分配管加熱部
とを備える、過熱水蒸気生成装置。
【請求項3】
導入ポートから導入された水蒸気を加熱して導出ポートから過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気生成装置であって、
水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部と、
前記導入ポートから導入された水蒸気を分配して前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に導入する分配管と、
前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部により生成された過熱水蒸気を合流して前記導出ポートから導出させる合流管と、
前記合流管を加熱する合流管加熱部
とを備える、過熱水蒸気生成装置。
【請求項4】
導入ポートから導入された水蒸気を加熱して導出ポートから過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気生成装置であって、
水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部と、
前記導入ポートから導入された水蒸気を分配して前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に導入する分配管と、
前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部により生成された過熱水蒸気を合流して前記導出ポートから導出させる合流管とを備え、
前記複数組の過熱水蒸気生成部は、偶数組であり、
前記複数組の過熱水蒸気生成部は、それぞれの過熱水蒸気導出口が互いに向き合うように左右2列に配置されている、過熱水蒸気生成装置。
【請求項5】
前記複数組の過熱水蒸気生成部は、左右対称となるように2列に配置されており、
前記合流管は、前記左右2列の過熱水蒸気生成部の間を通って、前記複数組の過熱水蒸気生成部に接続されている、請求項4に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項6】
前記導出ポートから前記水蒸気が液化した水が導出されることを防止する出水防止機構をさらに備え、
前記出水防止機構は、前記過熱水蒸気生成部の温度を検出する温度センサと、前記過熱水蒸気生成部を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記導入ポートに前記水蒸気が導入される前に、前記温度センサの検出温度が100℃以上となるように前記過熱水蒸気生成部を制御する、請求項
1乃至5の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項7】
前記導出ポートから前記水蒸気が液化した水が導出されることを防止する出水防止機構をさらに備え、
前記出水防止機構は、前記過熱水蒸気生成部の温度を検出する温度センサと、前記過熱水蒸気生成部を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記導入ポートに前記水蒸気が導入される前に、前記温度センサの検出温度が100℃以上となるように前記過熱水蒸気生成部を制御するものであり、
前記過熱水蒸気生成部は、前記合流管に接続される接続ポートを有しており、
前記温度センサは、前記導体管において前記接続ポート側に設けられている、請求項
1に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項8】
前記導入ポート側に開閉電磁弁が設けられており、
前記制御装置は、前記温度センサの検出温度が100℃以上となった場合に、前記開閉電磁弁を開放する、請求項6又は7に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項9】
前記開閉電磁弁は、電動比例弁であり、
前記制御装置は、前記電動比例弁の弁開度が徐々に大きくするように開放する、請求項8に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項10】
前記導出ポート側に設けられ、前記水蒸気が液化した水をトラップする導出側トラップ機構をさらに備える、請求項1乃至9の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項11】
前記導入ポート側に設けられ、前記水蒸気が液化した水をトラップする導入側トラップ機構をさらに備える、請求項1乃至10の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項12】
前記過熱水蒸気生成部は、螺旋状に巻回された円筒状の導体管を有し、当該導体管を誘導加熱又は通電加熱するものである、請求項
2乃至4の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項13】
前記磁束発生機構は、誘導コイルと当該誘導コイルの内側に設けられた鉄心とを備え、
前記複数個の過熱水蒸気生成部における2つ以上の前記鉄心が継鉄心により接続されて閉磁路を形成している、請求項
1に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項14】
前記過熱水蒸気生成部、前記分配管及び前記合流管の互いの熱膨張の差を吸収する熱膨張吸収構造を有する、請求項1乃至13の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項15】
前記分配管は、前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に対応した枝管を有しており、
前記枝管に開閉弁が設けられており、水蒸気を分配する過熱水蒸気生成部の数又は水蒸気分配量比を変更可能に構成した、請求項1乃至
14の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項16】
前記分配管は、前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に対応した枝管を有しており、
前記枝管の管径及び長さが調整されて、前記過熱水蒸気生成部それぞれに導入される水蒸気流量を同一とされている、請求項1乃至
15の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項17】
前記過熱水蒸気生成部それぞれの導出側に個別に温度センサが設けられており、
前記温度センサの検出温度に基づいて、前記過熱水蒸気生成部それぞれから出力される過熱水蒸気の温度が同じとなるように制御される、請求項1乃至
16の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、過熱水蒸気を用いて、被処理物の洗浄、乾燥又は殺菌を行う過熱水蒸気処理装置が考えられている(例えば特許文献1)。
【0003】
この過熱水蒸気生成装置は、水を加熱して飽和水蒸気を生成する飽和水蒸気生成部と、この飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成部とを備えている。また、過熱水蒸気生成装置としては、飽和水蒸気生成部を有さず、外部で生成された飽和水蒸気が供給されて過熱水蒸気を生成するものもある。
【0004】
これらの過熱水蒸気生成装置において生成する過熱水蒸気を大容量化するためには、過熱水蒸気生成部を大型化することが考えられる。例えば、過熱水蒸気生成部が導体管を誘導加熱又は通電加熱するものの場合には、導体管を大径化すること等が考えられる。
【0005】
しかしながら、導体管を大径化すると導体管の曲げ加工が難しくなり、設計の自由度が失われてしまう。その他、1つの過熱水蒸気生成部を大型化すると、当該過熱水蒸気生成部の製品検査に用いる試験設備も大型化してしまい、その製造も困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、1つの過熱水蒸気生成部を大型化することなく、過熱水蒸気の生成を大容量化することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る過熱水蒸気生成装置は、導入ポートから導入された水蒸気を加熱して導出ポートから過熱水蒸気を導出する過熱水蒸気生成装置であって、水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部と、前記導入ポートから導入された水蒸気を分配して前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に導入する分配管と、前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部により生成された過熱水蒸気を合流して前記導出ポートから導出させる合流管とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような過熱水蒸気生成装置であれば、複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に水蒸気を分配し、複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部で生成された過熱水蒸気を合流して導出しているので、1つの過熱水蒸気生成部を大型化することなく、過熱水蒸気の生成を大容量化することができる。
【0010】
分配管には水蒸気が流れることになるが、当該分配管で水蒸気が液化してしまうと、最終的には導出ポートから液化した水が導出されてしまう恐れがある。
水蒸気の液化を防止するためには、過熱水蒸気生成装置は、前記分配管を加熱する分配管加熱部をさらに備えることが望ましい。なお、分配管加熱部は、分配管を100℃以上に加熱することが望ましい。
【0011】
合流管には過熱水蒸気が流れることになるが、当該合流管で水蒸気が液化してしまうと、最終的には導出ポートから液化した水が導出されてしまう恐れがある。また、所望の温度の過熱水蒸気を導出ポートから導出することができなくなってしまう。
水蒸気の液化を防止するとともに所望の温度の過熱水蒸気を導出するためには、過熱水蒸気生成装置は、前記合流管を加熱する合流管加熱部をさらに備えることが望ましい。なお、合流管加熱部は、合流管を過熱水蒸気の設定温度に加熱することが望ましい。
【0012】
具体的な実施の態様としては、前記複数組の過熱水蒸気生成部は、偶数組であり、前記複数組の過熱水蒸気生成部は、それぞれの過熱水蒸気導出口が互いに向き合うように左右2列に配置されていることが考えられる。
この構成であれば、左右2列の過熱水蒸気生成部の過熱水蒸気導出口が互いに向き合うように配置されているので、それぞれの過熱水蒸気導出口と合流管との接続構成を簡単にできる。
【0013】
装置全体の配管の取り回しを簡単にするためには、前記複数組の過熱水蒸気生成部は、左右対称となるように2列に配置されており、前記合流管は、前記左右2列の過熱水蒸気生成部の間を通って、前記複数組の過熱水蒸気生成部に接続されていることが望ましい。
【0014】
過熱水蒸気生成装置から液化した水が導出されることを防止するためには、過熱水蒸気生成装置は、前記導出ポートから前記水蒸気が液化した水が導出されることを防止する出水防止機構をさらに備え、前記出水防止機構は、前記過熱水蒸気生成部の温度を検出する温度センサと、前記過熱水蒸気生成部を制御する制御装置とを有し、前記制御装置は、前記導入ポートに前記水蒸気が導入される前に、前記温度センサの検出温度が100℃以上となるように、前記過熱水蒸気生成部を制御することが望ましい。
この構成であれば、出水防止機構により導出ポート側の温度を100℃以上に加熱した後に、導入ポートに水蒸気が導入されるように構成しているので、導出ポートから水蒸気が液化した水が導出されることを防ぐことができる。その結果、過熱水蒸気を用いて熱処理される被処理物に対して、液化した水が与える悪影響を抑制することができる。
【0015】
具体的に前記過熱水蒸気生成部は、前記合流管に接続される接続ポートを有している。
そして、導出ポートから液化した水が導出されないようにするためには過熱水蒸気生成部から液化した水が導出されないことが必要となり、過熱水蒸気生成部において少なくとも導出ポートの温度が100℃以上である必要がある。そのため、前記温度センサは、前記導体管において前記導出ポート側に設けられていることが望ましい。
【0016】
本発明の過熱水蒸気生成装置は、前記導入ポート側に開閉電磁弁が設けられている構成とすることが考えられる。
この構成において自動的に出水防止機能が働くようにするためには、前記制御装置は、前記温度センサの検出温度が100℃以上となった場合に、前記開閉電磁弁を開放して、前記導入ポートに水蒸気を導入することが望ましい。また、飽和水蒸気生成装置と別々の装置構成の場合においても、過熱水蒸気生成装置が100℃以上になる前に水蒸気が導入されないように、過熱水蒸気生成装置の導入ポート側でコントロールすることができる。
【0017】
過熱水蒸気生成装置のヒートショックを緩和するためには、前記開閉電磁弁は、電動比例弁であり、前記制御装置は、前記電動比例弁の弁開度が徐々に大きくするように開放することが望ましい。
【0018】
また本発明の過熱水蒸気生成装置は、前記導出ポート側に設けられ、前記水蒸気が液化した水をトラップする導出側トラップ機構をさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、過熱水蒸気生成装置から液化した水が導出されることをより一層防止することができる。
【0019】
さらに本発明に過熱水蒸気生成装置は、前記導入ポート側に設けられ、前記水蒸気が液化した水をトラップする導入側トラップ機構をさらに備えることが望ましい。
この構成であれば、過熱水蒸気生成装置に水蒸気が液化した水が導入されることを防止して、過熱水蒸気生成装置から液化した水が導出されることをより一層防止することができる。
【0020】
過熱水蒸気生成部の具体的な実施の態様としては、前記過熱水蒸気生成部は、螺旋状に巻回された円筒状の導体管を有し、当該導体管を誘導加熱又は通電加熱するものであることが望ましい。
この構成の過熱水蒸気生成部を大容量化する場合には、導体管を大径化することが考えられるが、導体管を大径化すると、導体管を曲げることが難しくなり現実的ではない。導体管を無理なく変形させるためには、巻径を管径の10倍程度にすることが一般的である。例えば直径が100mmの管を螺旋状に巻回するには、巻回径を1000mm程度にすることが必要となり、製造が大変困難である。
一方で、本発明では、過熱水蒸気生成部を複数個又は複数組有するので、各過熱水蒸気生成部の導体管を大径化する必要がなく、大容量化が容易になる。
【0021】
本発明の過熱水蒸気生成部は、いわゆるトランス型の構成とすることが考えられる。具体的には、前記過熱水蒸気生成部は、螺旋状に巻回された円筒状の導体管を軸方向に短絡させて、当該導体管の内側及び外側又はその一方に設けられた磁束発生機構により誘導加熱して、前記導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成するものであることが考えられる。
【0022】
複数個の過熱水蒸気生成部それぞれの加熱効率を向上するとともに、複数個の過熱水蒸気生成部の構成を簡略化するためには、前記磁束発生機構は、誘導コイルと当該誘導コイルの内側に設けられた鉄心とを備え、前記複数個の過熱水蒸気生成部における2つ以上の前記鉄心が継鉄心により接続されて閉磁路を形成していることが望ましい。
【0023】
過熱水蒸気生成部、分岐管及び合流管はそれぞれ異なる温度になるため、互いの熱膨張の程度が異なる。そのため、過熱水蒸気生成装置は、前記過熱水蒸気生成部、前記分配管及び前記合流管の互いの熱膨張の差を吸収する熱膨張吸収構造を有することが望ましい。
【0024】
生成する過熱水蒸気の容量を変更可能にするためには、前記分配管は、前記複数の過熱水蒸気生成部に対応した枝管を有しており、前記枝管に開閉弁が設けられており、水蒸気を分配する過熱水蒸気生成部の数又は水蒸気分配流量比を変更可能に構成することも考えられる。また、この構成であれば、メンテナンスが必要な過熱水蒸気生成部に水蒸気を分配しないようにできる。
【0025】
前記分配管は、前記複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部に対応した枝管を有しており、前記枝管の管径及び長さが調整されて、前記過熱水蒸気生成部それぞれに導入される水蒸気流量を同一とされていることが望ましい。
このように過熱水蒸気生成部それぞれに導入される水蒸気流量を同一にすることによって、各過熱水蒸気生成部の制御を共通にしつつ、同一温度の過熱水蒸気を得ることが容易となる。
【0026】
また、本発明の過熱水蒸気生成装置は、前記過熱水蒸気生成部それぞれの導出側に個別に温度センサが設けられており、前記温度センサの検出温度に基づいて、前記過熱水蒸気生成部それぞれから出力される過熱水蒸気の温度が同じとなるように制御されることが望ましい。
この構成では、過熱水蒸気生成装置から導出される過熱水蒸気温度は、導出ポート側の温度センサの検出温度に基づいて電力制御するとともに、過熱水蒸気生成部それぞれに設けられた個別の温度センサの検出温度に基づいて、過熱水蒸気生成部それぞれから出力される過熱水蒸気温度が同じとなるようにバランスを制御する。
【発明の効果】
【0027】
このように構成した本発明によれば、1つの過熱水蒸気生成部を大型化することなく、過熱水蒸気の生成を大容量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態における過熱水蒸気生成部の具体的な構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】同実施形態における過熱水蒸気生成部の具体的な構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】同実施形態における導体管の具体的な構成を模式的に示す斜視図である。
【
図5】同実施形態における磁束発生機構の鉄心構成を示す断面図である。
【
図6】同実施形態における分配管の構成を示す模式図である。
【
図7】同実施形態における合流管の構成を示す模式図である。
【
図8】同実施形態の停止状態から導入ポートに水蒸気を導入するまでの動作を示す図である。
【
図9】変形実施形態の過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す図である。
【
図10】変形実施形態の過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明に係る過熱水蒸気生成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
<1.装置構成>
本実施形態に係る過熱水蒸気生成装置100は、外部で生成された水蒸気を加熱して、100℃超(200℃~2000℃)の過熱水蒸気を生成するものである。なお、外部で水蒸気を生成する装置(水蒸気生成装置)としては、水から水蒸気を生成できるものであればよく、各種ボイラーを用いることができる。
【0031】
本実施形態の過熱水蒸気生成装置100は、
図1に示すように、導入ポートP1から導入された水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成し、当該過熱水蒸気を導出ポートP2から導出するものである。
【0032】
具体的にこの過熱水蒸気生成装置100は、水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する複数個の過熱水蒸気生成部2と、導入ポートP1から導入された水蒸気を分配して複数個の過熱水蒸気生成部2に導入する分配管3と、複数個の過熱水蒸気生成部2により生成された過熱水蒸気を合流して導出ポートP2から導出させる合流管4とを備えている。本実施形態では6つの過熱水蒸気生成部2を有する構成であるが、過熱水蒸気生成部の数はこれに限られない。また、複数の過熱水蒸気生成部2、分配管3及び合流管4は、筐体の内部に収容されており、当該筐体の側面から導入ポートP1及び導出ポートP2が延び出る構成としてある。
【0033】
まず、過熱水蒸気生成部2について説明する。
過熱水蒸気生成部2は、
図1に示すように、偶数個設けられており、3個の過熱水蒸気生成部が1組として継鉄心(
図1では不図示)で接続されている。そして、この2組の過熱水蒸気生成部2は、左右対称となるように左右2列に設けられている。このように配置された複数組の過熱水蒸気生成部2を多段に設けても良い。
【0034】
各過熱水蒸気生成部2は、
図2及び
図3に示すように、螺旋状に巻回された円筒状の導体管21を軸方向に短絡させて、当該導体管21の内側及び外側又はその一方に設けられた磁束発生機構22により誘導加熱して、導体管21を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する。
【0035】
導体管21は、導入側接続ポートP3及び導出側接続ポートP4を有する水蒸気収容部である。この導体管21は、導電性を有する管を螺旋状に巻回することによって円筒状とされるとともに軸方向に短絡されている。この導体管21は、分配管3が接続され、水蒸気が導入される導入側接続ポートP3と、合流管4が接続され、過熱水蒸気を導出する導出側接続ポートP4とを有している。導出側接続ポートP4は、過熱水蒸気導出口を形成するものである。また、導体管21の1巻に相当する巻回部分は互いに接触又は近接している。導体管21の材質としては、例えばオーステナイト系ステンレス鋼やインコネル合金を用いることができる。なお、導体管21の詳細な構成は後述する。
【0036】
磁束発生機構22は、導体管21の内側及び外側に設けられて導体管21を誘導加熱するものであり、導体管21の内面及び外面に沿って設けられた誘導コイル221を有している。誘導コイル221には、商用周波数(50Hz又は60Hz)の交流電源により交流電圧が印加される。
【0037】
このように構成された過熱水蒸気生成装置100では、誘導コイル221に50Hz又は60Hzの交流電圧を印加することによって、導体管21に誘導電流が流れて導体管21がジュール発熱する。そして、導体管21を流れる水蒸気が、導体管21の内面から熱を受けて加熱されて過熱水蒸気が生成される。
【0038】
そして、本実施形態の過熱水蒸気生成装置100では、
図2及び
図4に示すように、導体管21の導入側接続ポートP3が導体管21の軸方向両端部に設けられるとともに、導体管21の導出側接続ポートP4が導体管21の軸方向中央部に設けられている。本実施形態の導出側接続ポートP4は、導体管21を軸方向に2等分した位置に設けられているがこれに限られない。
【0039】
具体的に導体管21は、
図4に示すように、軸方向中央部において2つの導体管要素211、212に分割されている。そして、各導体管要素211、212の軸方向外側端部211a、212aに導入側接続ポートP3が設けられており、各導体管要素211、212の軸方向内側端部211b、212bに導出側接続ポートP4が設けられている。これら2つの導体管要素211、212を軸方向に連続して配置することによって、導体管21の導入側接続ポートP3が導体管21の軸方向両端部に設けられるとともに、導体管21の導出側接続ポートP4が導体管21の軸方向中央部に設けられることになる。
【0040】
各導体管要素211、212の互いに隣接する巻回部分が例えば溶接により電気的に接続されるとともに、2つの導体管要素211、212の互いに隣接する対向部分が電気的に接続されて、導体管全体として短絡回路が構成されている。これにより、導体管21は1ターンの二次コイルとなる。なお、本実施形態の各導体管要素211、212は互いに同じ巻回数であるが、これに限られない。
【0041】
ここで2つの導体管要素211、212の対向部分において、導出側接続ポートP4を除く部分が、周方向全体に亘って導電性を有する第1の接合要素(不図示)によって接合されている。この第1の接合要素は、溶接により形成されたものであっても良い。
【0042】
本実施形態では、各導体管要素211、212の導出側接続ポートP4は、
図4に示すように、各導体管要素211、212の軸方向内側端部211b、212bを管直径の2倍の曲率半径で曲げて形成されている。ここでは、導出側接続ポートP4は、各導体管要素211、212の巻回部分を径方向外側に折り曲げられることによって形成されている。
【0043】
一方の導体管要素211の軸方向内側端部211bと他方の導体管要素212の軸方向内側端部212bとは、周方向において互いに相寄る構成であり、2つの導体管要素211、212の導出側接続ポートP4は、互いに接触又は近接して設けられている。これら2つの導出側接続ポートP4は、導電性を有する第2の接合要素213によって互いに電気的に接合されている。本実施形態では、2つの導出側接続ポートP4の間に形成される空間を埋めるように第2の接合要素213により接合されている。第2の接合要素213は、導体管21と同材質又は概略同等物性である。
【0044】
このように構成された導体管21に対して磁束発生機構22の誘導コイル221は、
図1及び
図2に示すように、導体管21の内側及び外側に設けられている。導体管21の外側(導出側接続ポートP4の引き出し側)に設けられた誘導コイル221xは、軸方向に分割されて導出側接続ポートP4の上側と下側とにそれぞれ設けられている。また、導体管21の内側(導出側接続ポートP4の引き出し側とは反対側)に設けられた誘導コイル221yは、軸方向に分割されずに一体構造とされている。
【0045】
さらに磁束発生機構22は、
図5に示すように、内側の誘導コイル221yの内側に設けられた鉄心222を有している。そして、この鉄心222は、他の2つの鉄心222とともに継鉄心223、224により接続されて閉磁路を形成している。つまり、3つの鉄心222により3脚鉄心を構成している。この3脚鉄心を用いて接続された3つの過熱水蒸気生成部2が1組となる。本実施形態では、3つの過熱水蒸気生成部2が同一直線状に配置されていることから、3つの鉄心222が一列に並んだ3脚鉄心となる。なお、継鉄心223、224により接続する鉄心222の本数は3つに限られず、2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。
【0046】
次に、上記複数個の過熱水蒸気生成部2に水蒸気を分配する分配管3について、
図6を参照して説明する。なお、
図6には、説明の便宜上、一部の構成を省略している。
【0047】
分配管3は、一端部に導入ポートP1を有しており、当該導入ポートP1から導入された水蒸気を複数個の過熱水蒸気生成部2に分配するものである。
【0048】
この分配管3は、導入ポートP1を有する主管31と、当該主管31から分岐した枝管32とを有している。枝管32は、複数の過熱水蒸気生成部2の数に応じて設けられており、過熱水蒸気生成部2の導入側接続ポートP3が接続される接続ポートP5を有している。
【0049】
本実施形態では、分配管3の主管31が、左右2列に対称に配置された過熱水蒸気生成部2の間を通るように配置され、枝管32が、主管31から各過熱水蒸気生成部2の導入側接続ポートP3に向かって延びている。ここでは、各過熱水蒸気生成部2の導入側接続ポートP3が左右外側を向いており、枝管32は主管31から左右両側に分岐して、過熱水蒸気生成部2に対して左右外側から導入側接続ポートP3に接続される。ここで、分配管3の枝管32は、その管径及び長さが調整されて、過熱水蒸気生成部それぞれに導入される水蒸気流量を同一とされていることが望ましい。
【0050】
また、分配管3は、分配管加熱部30により100℃以上に加熱されている。分配管加熱部30は、外部の熱源(例えばヒータ)を用いた構成であっても良いし、分配管3を導体管にして、当該分配管3を誘導加熱又は通電加熱する構成であっても良い。この分配管加熱部30により、複数個の過熱水蒸気生成部2に供給される前に水蒸気が液化してしまうことを防止することができる。
【0051】
次に、上記複数個の過熱水蒸気生成部2からの過熱水蒸気を合流する合流管4について、
図7を参照して説明する。なお、
図7には、説明の便宜上、一部の構成を省略している。
【0052】
合流管4は、一端部に導出ポートP2を有しており、複数個の過熱水蒸気生成部2からの過熱水蒸気を合流して導出ポートP2から導出させるものである。
【0053】
この合流管4は、導出ポートP2を有する主管41と、当該主管41に接続された枝管42とを有している。枝管42は、複数個の過熱水蒸気生成部2の数に応じて設けられており、過熱水蒸気生成部2の導出側接続ポートP4が接続される接続ポートP6を有している。
【0054】
本実施形態では、合流管4の主管41が、左右2列に対称に配置された過熱水蒸気生成部2の間を通るように配置され、枝管42が、主管41から各過熱水蒸気生成部2の導出側接続ポートP4に向かって延びている。ここでは、左右2列の過熱水蒸気生成部2の導出側接続ポートP4(過熱水蒸気導出口)は互いに対向するように左右内側に配置されており、合流管4の主管41は、それら導出側接続ポートP4の間に配置されている。そして、各枝管42は、主管41から直線状に延びて各導出側接続ポートP4に接続される。
【0055】
また、合流管4は、合流管加熱部40により過熱水蒸気の設定温度に加熱されている。合流管加熱部40は、外部の熱源(例えばヒータ)を用いた構成であっても良いし、合流管4を導体管にして、当該合流管4を誘導加熱又は通電加熱する構成であっても良い。この合流管加熱部40により、過熱水蒸気が液化してしまうことを防止するとともに、導出ポートP2から所望の温度の過熱水蒸気を導出することができる。
【0056】
<2.出水防止機構>
しかして、本実施形態の過熱水蒸気生成装置100は、
図1に示すように、導出ポートP2から水蒸気が液化した水が導出されることを防止する出水防止機構5を備えている。
【0057】
この出水防止機構5は、導体管21に設けられ、当該導体管21の温度を検出する温度センサ51と、当該温度センサ51の検出温度が100℃以上の設定温度となるように誘導加熱を制御する制御装置52とを有している。
【0058】
温度センサ51は、導体管21において導出側接続ポートP4側に設けられている。ここでは、温度センサ51は、複数の過熱水蒸気生成部2のうち代表の1つの過熱水蒸気生成部2の導体管21に設けられている。なお、温度センサ51を導出側接続ポートP4側に設ける場合には、導出側接続ポートP4が設けられた導体管21の延出部分(螺旋部分から延び出た部分)に設ける他、導出側接続ポートP4に隣接する導体管21の螺旋部分(巻かれた部分)に設けても良いし、導出側接続ポートP4に接続される合流管4の枝管42に設けても良い。
【0059】
制御装置52は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を備えたものであり、温度センサ51の検出温度に基づいて、導入ポートP1に水蒸気が導入される前に、温度センサ51の検出温度が100℃以上の設定温度となるように複数の過熱水蒸気生成部2の誘導加熱を制御する。なお、100℃以上の設定温度は、導体管21の全体が確実に100℃以上となるように設定されており、例えば150℃である。
【0060】
ここで、出水防止機構5は、分配管3の導入ポートP1側に設けられた開閉電磁弁53をさらに有している。ここでは、開閉電磁弁は、分配管3の主管31に設けられている。なお、開閉電磁弁53を導入ポートP1側に設ける場合には、導入ポートP1が設けられた分配管3の主管31に設ける他、導入ポートP1に接続される接続管(不図示)に設けても良い。
【0061】
そして、制御装置52は、
図8に示すように、例えば停止状態から運転開始後において、温度センサ51の検出温度が100℃以上の設定温度となった場合に、開閉電磁弁53を自動的に開放して、導入ポートP1に水蒸気を導入する。本実施形態の開閉電磁弁53は、電動比例弁であり、制御装置52は電動比例弁53の弁開度が徐々に大きくするように開放する。
【0062】
電動比例弁53の開閉時間(閉じた状態から開いた状態にするまでの時間)は、導入される水蒸気の温度と温度センサ51の検出温度との差などに基づいて、調整することができる。例えば、水蒸気の温度と検出温度との差が小さければヒートショックの影響は小さいので、開閉時間を短くすることが考えられ、それらの差が大きければヒートショックの影響も大きいので、開閉時間を長くすることが考えられる。
【0063】
その他、本実施形態では、
図1に示すように、導出ポートP2側に、水蒸気が液化した水をトラップする導出側トラップ機構6が設けられている。導出側トラップ機構6は、液化した水を貯留する貯留部61と、当該貯留部61に溜まった水を排出する排出部62とを有している。なお、導出側トラップ機構6を導出ポートP2側に設ける場合には、導出ポートP2が設けられた合流管4に設ける他、導出ポートP2に接続される接続管に設けても良い。ここで、導出側トラップ6は、過熱水蒸気生成装置100の過熱水蒸気導出口にできるだけ近い位置に設けることが望ましい。
【0064】
また、導入ポートP1側に、水蒸気が液化した水をトラップする導入側トラップ機構7が設けられている。導入側トラップ機構7は、液化した水を貯留する貯留部71と、当該貯留部71に溜まった水を排出する排出部72とを有している。なお、導入側トラップ機構7を導入ポートP1側に設ける場合には、導入ポートP1が設けられた分配管3に設ける他、導入ポートP1に接続される接続管に設けても良い。ここで、導入側トラップ機構7は、過熱水蒸気生成部2の導入側接続ポートP3にできるだけ近い位置に設けることが望ましい。
【0065】
<3.本実施形態の効果>
このように構成された本実施形態に係る過熱水蒸気生成装置100によれば、複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部2に水蒸気を分配し、複数個又は複数組の過熱水蒸気生成部2で生成された過熱水蒸気を合流して導出しているので、1つの過熱水蒸気生成部2を大型化することなく、過熱水蒸気の生成を大容量化することができる。
【0066】
また、出水防止機構5により導出ポートP2側の温度を100℃以上に加熱した後に、導入ポートP1に水蒸気が導入されるように構成しているので、導出ポートP2から水蒸気が液化した水が導出されることを防ぐことができる。その結果、過熱水蒸気を用いて熱処理される被処理物に対して、液化した水が与える悪影響を抑制することができる。
【0067】
制御装置52は、温度センサ51の検出温度が100℃以上の設定温度となった場合に、開閉電磁弁53を開放して、導出ポートP1に水蒸気を導入するので、自動的に出水防止機能が働くようにできる。また、飽和水蒸気生成装置と別々の装置構成の場合において、過熱水蒸気生成装置が100℃以上になる前に水蒸気が導入されないように、過熱水蒸気生成装置の導入ポート側でコントロールすることができる。
【0068】
導出ポートP2側に導出側トラップ機構6を設けているので、過熱水蒸気生成装置100から液化した水が導出されることをより一層防止することができる。また、導入ポートP1側に導入側トラップ機構7を設けているので、過熱水蒸気生成装置100に水蒸気が液化した水が導入されることを防止して、過熱水蒸気生成装置100から液化した水が導出されることをより一層防止することができる。
【0069】
<4.その他の本実施形態の効果>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0070】
例えば、前記実施形態では、誘導加熱方式により導体管をジュール発熱させる構成であったが、直接通電加熱方式により導体管をジュール発熱させる構成であっても良い。また、導体管をジュール発熱させることなく、外部の熱源(例えばヒータ)により管を加熱することによって、当該管を流れる水蒸気を加熱する構成であっても良い。
【0071】
また、前記実施形態の温度センサ51は、導出ポートP2側に設けられているが、導体管2の温度が検出できる位置であれば、何れの位置であっても良い。
【0072】
さらに、温度センサ51は、代表の1つの過熱水蒸気生成部2の導体管21に設ける構成の他に、複数の過熱水蒸気生成部2の導体管21のそれぞれに設けても良い。この場合、制御装置52は、複数の温度センサ51の検出温度の全てが100℃以上の設定温度となった場合に、電磁開閉弁53を開放することが考えられる。
【0073】
また、過熱水蒸気生成部2それぞれの導出側に個別に温度センサを設け、それぞれの個別の温度センサの検出温度に基づいて、過熱水蒸気生成部2それぞれから出力される過熱水蒸気の温度が同じとなるように制御しても良い。
過熱水蒸気生成装置100から導出される過熱水蒸気温度は、導出ポートP2側の温度センサの検出温度に基づいて電力制御するとともに、過熱水蒸気生成部2それぞれに設けられた個別の温度センサの検出温度に基づいて、過熱水蒸気生成部2それぞれから出力される過熱水蒸気温度が同じとなるようにバランスを制御する。
【0074】
その上、
図9に示すように、分配管3の枝管32のそれぞれに開閉弁32Vを設けて、水蒸気が分配される過熱水蒸気生成部2を変更できるように構成しても良い。例えば、メンテナンス等が必要な過熱水蒸気生成部2には、当該過熱水蒸気生成部2に対応する開閉弁32Vを閉じて、水蒸気が分配されないようにすることが考えられる。また、要求される過熱水蒸気の容量に応じて開放する開閉弁32Vを手動又は自動で選択し、稼働する過熱水蒸気生成部2の数を変更することも考えられる。さらに、開閉弁32Vの開度を手動又は自動で調整することにより、過熱水蒸気生成部2それぞれへの水蒸気分配量比を変更することも考えられる。
【0075】
加えて、
図10に示すように、過熱水蒸気生成部2、分配管3及び合流管4の互いの熱膨張の差を吸収する熱膨張吸収構造8を有するものとしても良い。この熱膨張吸収構造8としては、例えば、分配管3と過熱水蒸気生成部2との間、及び、過熱水蒸気生成部2及び合流管4との間に、例えば蛇腹管などの可撓性を有する管を設けて構成することが考えられる。その他、分配管3に熱膨張吸収構造8を設けても良いし、過熱水蒸気生成部2に熱膨張吸収構造8を設けても良いし、合流管4に熱膨張吸収構造8を設けても良い。
【0076】
さらに、前記実施形態の電磁開閉弁は、過熱水蒸気生成装置に設けられているが、過熱水蒸気生成装置に水蒸気を供給する水蒸気生成装置の導出側に設けられたものであっても良い。
【0077】
その上、導体管の構成は、前記実施形態に限られず、1本の導体管を螺旋状に巻回して構成したものであっても良い。
【0078】
また、過熱水蒸気生成装置が前記実施形態の構成に加えて、水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部を有していても良い。
【0079】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
100・・・過熱水蒸気生成装置
P1 ・・・導入ポート
P2 ・・・導出ポート
21 ・・・導体管
5 ・・・出水防止機構
51 ・・・温度センサ
52 ・・・制御装置
53 ・・・開閉電磁弁(電動比例弁)
6 ・・・導出側トラップ機構
7 ・・・導入側トラップ機構