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  • 特許-供試体型枠、及び、供試体製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】供試体型枠、及び、供試体製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/10 20060101AFI20231221BHJP
   B28B 7/34 20060101ALI20231221BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B28B7/10 Z
B28B7/34 F
G01N1/28 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086392
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181159
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520172144
【氏名又は名称】辰野 智規
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】辰野 智規
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-205612(JP,A)
【文献】特開2015-072211(JP,A)
【文献】特開2013-031997(JP,A)
【文献】特開2009-190225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00-7/46,
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体と、
前記筒状体の一方の開口端を塞ぐ底板と、
前記底板に設けられた突起部と
を有し、
前記筒状体、前記底板及び前記突起部は、透明又は半透明な樹脂によって一体的に形成されており、
前記筒状体及び前記底板の外側面には、前記突起部に対する作用によって開裂する程度の深さの溝が連続的に形成されている
供試体型枠。
【請求項2】
前記溝は、
前記筒状体の外側面において、一方の開口端から他方の開口端まで連続する側面溝と、
前記底板の外側面において、前記側面溝から連続し、前記突起部が設けられている位置を囲むように形成された底面溝と
を含む
請求項に記載の供試体型枠。
【請求項3】
前記底板の外側面において、前記側面溝に囲まれた領域の端部から、この領域から離れる方向に連続する一条溝
をさらに有する請求項に記載の供試体型枠。
【請求項4】
前記底板の外縁に沿って設けられた高台と、
前記側面溝が前記底面溝と連続する領域において、前記高台に形成された切欠き部と
をさらに有する請求項に記載の供試体型枠。
【請求項5】
筒状体と、前記筒状体の一方の開口端を塞ぐ底板と、前記底板に設けられた突起部とを有し、前記筒状体、前記底板及び前記突起部は、透明又は半透明な樹脂によって一体的に形成されており、前記筒状体及び前記底板の外側面には、前記突起部に対する作用によって開裂する程度の深さの溝が連続的に形成されている供試体型枠に対して、供試体の原材料を充填する工程と、
充填された原材料が硬化した後で、前記突起部に力を加えて、前記底板から前記供試体型枠を開裂させる工程と、
開裂した前記供試体型枠から、供試体を取り出す工程と
を含む供試体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供試体型枠、及び、供試体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、引き裂き用の摘み15が設けられた、合成樹脂製のコンクリート供試体用型枠が開示されている
また、特許文献2には、上部筒口縁に舌片13aが設けられた、プラスチック製のコンクリート強度試験用供試体成形型枠が開示されている。
また、特許文献3には、縦方向に2分割されている円筒部が含まれたコンクリート供試体成形用型枠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-190225号公報
【文献】特許第3198038号公報
【文献】特開2004-144486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、良好な供試体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る供試体型枠は、筒状体と、前記筒状体の一方の開口端を塞ぐ底板と、前記底板に設けられた突起部とを有する。
【0006】
好適には、前記筒状体、前記底板及び前記突起部は、透明又は半透明な樹脂によって一体的に形成されている。
【0007】
好適には、前記筒状体及び前記底板の外側面には、前記突起部に対する作用によって開裂する程度の深さの溝が連続的に形成されている。
【0008】
好適には、前記溝は、前記筒状体の外側面において、一方の開口端から他方の開口端まで連続する側面溝と、前記底板の外側面において、前記側面溝から連続し、前記突起部が設けられている位置を囲むように形成された底面溝とを含む。
【0009】
好適には、前記底板の外側面において、前記側面溝に囲まれた領域の端部から、この領域から離れる方向に連続する一条溝をさらに有する。
【0010】
好適には、前記底板の外縁に沿って設けられた高台と、前記側面溝が前記底面溝と連続する領域において、前記高台に形成された切欠き部とをさらに有する。
【0011】
また、本発明に係る供試体製造方法は、筒状体と、前記筒状体の一方の開口端を塞ぐ底板と、前記底板に設けられた突起部とを有する供試体型枠に対して、供試体の原材料を充填する工程と、充填された原材料が硬化した後で、前記突起部に力を加えて、前記底板から前記供試体型枠を開裂させる工程と、開裂した前記供試体型枠から、供試体を取り出す工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、良好な供試体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】供試体型枠10を底板側から見た斜視図である。
図2】供試体型枠10を開口側から見た斜視図である。
図3】供試体型枠10の正面図、背面図、右側面図及び左側面図である。
図4】供試体型枠10の平面図、底面図、及び断面図である。
図5】分解した状態の供試体型枠10を例示する図である。
図6】供試体の製造方法を説明する図である。
図7】供試体型枠10の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
図1は、供試体型枠10を底板側から見た斜視図である。
図2は、供試体型枠10を開口側から見た斜視図である。
図3は、供試体型枠10の正面図、背面図、右側面図及び左側面図である。
図4は、供試体型枠10の平面図、底面図、及び断面図である。
図1図4に例示するように、供試体型枠10は、筒状体11と、筒状体11の一方の開口端を塞ぐ底板12と、底板12に設けられた突起部13と、筒状体11の外側面に形成された側面溝14と、底板12の外側面に形成された底面溝15と、底板12の外側面に形成された一条溝18と、筒状体11の開口端に形成された補助突起16及びフランジ17と、底板12の外縁に沿って設けられた高台19とを有する。
例えば、供試体型枠10は、透明又は半透明な合成樹脂によって射出成形され、上記各構成が一体的に形成されている。
【0015】
筒状体11は、筒状の形状を有する。本例の筒状体11は、直径5cm、高さ12cmの円筒形状である。
底板12は、筒状体11の一方の開口端を塞いでいる。本例の底板12は薄い円盤形状である。
突起部13は、底板12の外側面から突出した突起である。例えば、突起部13は、高さ1.0mm~3.0mmの円柱であるが、これに限定されるものではなく、ペンチ等でつまむことができる大きさ及び形状であればよい。本例の突起部13は、円形の底板12の中心から外側に突出した円柱である。
高台19は、突起部13よりも高く突出し、切欠き部を有する。
【0016】
側面溝14は、筒状体11の外側面に形成され、一方の開口端から他方の開口端まで連続している。側面溝14の深さは、例えば、補助突起16を人力で引っ張った場合に開裂する程度のものである。本例の側面溝14は、筒状体11の両端を直線で結ぶように、上下方向に二条形成されており、これら側面溝14に挟まれた領域が、補助突起16に連続しており、補助突起16を引っ張ることにより、供試体型枠10から外れる。
【0017】
底面溝15は、図1等に例示するように、底板12の外側面において、側面溝14から連続し、突起部13が設けられている位置を囲むように形成されている。底面溝15の深さは、側面溝14と同様である。本例の底面溝15は、底板12の外縁で、二条の側面溝14に連続しており、ここから、底板12の中心方向に同じ間隔で二条延び、突起部13の両脇から、突起部13を中心とした円弧を描いている。突起部13を引っ張ることにより、底面溝15が開裂して、底面溝15に囲まれた領域が供試体型枠10から外れる。
【0018】
一条溝18は、底板12の外側面において、底面溝15に囲まれた領域の端部から、この領域から離れる方向に連続して形成されている。本例の一条溝18は、側面溝14の円弧を描いている領域の先端から、側面溝14が延びる方向とは反対方向に、底板12の外縁まで延びている。一条溝18に連続して、筒状体11の外側面に、廃棄時の切断位置となる切断溝20が形成されてもよい。
高台19は、側面溝14が底面溝15と連続する領域に、切欠き部を有する。
【0019】
図5は、分解した状態の供試体型枠10を例示する図である。
図5に例示するように、本例の供試体型枠10は、突起部13又は補助突起16を引っ張ることにより、側面溝14(図1)及び底面溝15(図1)に囲まれた領域が、供試体型枠10から外れ、その後、一条溝18を開裂させて、供試体型枠10を大きく開くことができる。さらには、図5に例示するように、供試体型枠10を半円筒形状に割ることもできる。
【0020】
図6は、供試体の製造方法を説明する図である。
図6(A)に例示するように、まず、供試体型枠10の円筒内に、供試体の原材料(例えば、コンクリートやモルタルなど)を充填する。供試体型枠10は半透明な樹脂で形成されているため、供試体型枠10内の原材料の状態を視認することができる。なお、本例では、便宜上、原材料を満充填しているが、これに限定されるものではない。
次に、充填された供試体の原材料が硬化した後で、突起部13を引っ張って、図6(B)に例示するように、底面溝15、側面溝14の順に開裂させ、側面側から溝に囲まれた領域を外していく。
図6(C)に例示するように、溝(側面溝14及び底面溝15)に囲まれた領域を、供試体型枠10から外した後で、一条溝18を開裂させて、図6(D)に例示するように、残った供試体型枠10を2つに分断し、供試体Cを離型する。
【0021】
以上説明したように、供試体型枠10を底面側から開裂させることにより、損傷の少ない供試体を得ることができる。特に、比較的硬度の低い供試体を製造する場合に好適である。
また、本例の供試体型枠10は、外側面のみに溝が形成されており、内側面は平滑であるため、表面のきれいな供試体を製造できる。さらに、本例の供試体型枠10は透明又は半透明な樹脂で一体成形されているため、原材料の状態を視認しながら、供試体型枠10に原材料を充填できる。
また、本例の供試体型枠10は、樹脂で一体成形されているため、廃棄の際の分別が不要である。さらに、廃棄する供試体型枠10を複数まとめて、廃棄物の容積を抑えることができる。
【0022】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図7は、供試体型枠10の変形例を説明する図である。
比較的大きな供試体型枠10である場合には、図7に例示するように、筒状体11の外側面にリブ21を設けてもよい。例えば、リブ21は、他の構成と同様に樹脂で一体成形されている。本例のリブ21は、供試体型枠10の上端から下端まで(フリンジ17の位置から高台19の先端まで)延びた細長い四角柱形状である。なお、リブ21の形状は、三角柱や円柱でもよく、半円柱等であってもよい。
このようなリブ21は、供試体型枠10の変形を抑制することができるため、例えば、筒状体11が直径10cm、高さ22cmである場合などに好適である。
【符号の説明】
【0023】
10 供試体型枠
11 筒状体
12 底板
13 突起部
14 側面溝
15 底面溝
16 補助突起
17 フランジ
18 一条溝
19 高台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7