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特許7406833高性能光受信機を含む光学システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】高性能光受信機を含む光学システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20231221BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20231221BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/34
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021544969
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2019058789
(87)【国際公開番号】W WO2020079593
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】62/745,732
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521158451
【氏名又は名称】ビフレスト コミュニケーションズ アぺーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン,イェスパー
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン,ボ
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0071109(US,A1)
【文献】国際公開第2004/061476(WO,A1)
【文献】特開平10-068774(JP,A)
【文献】特表2020-516136(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230474(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0278337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気基準信号を提供する電気基準信号発生器と、
前記電気基準信号を搬送する出力光信号を送信するための少なくとも1つの光送信機と、
前記出力光信号の反射を受信するための少なくとも1つの光受信機と、を含み、
前記光受信機が、
局部発振器周波数で局部発振器光を提供する少なくとも1つの局部発振器であって、前記局部発振器周波数が、前記出力光信号に対して制御されておらず前記出力光信号との周波数差によってオフセットされている局部発振器と、
前記出力光信号の前記反射を前記局部発振器光に結合して結合光信号にする合成器と、
前記結合光信号を第1の電気信号に変換する光電変換器と、
前記第1の電気信号を整流して、第1の整流された電気信号を提供する整流器と、を含み、前記光電変換器と前記整流器が、前記結合光信号を受信し、光源と制御されていない前記局部発振器光とを直接変調することによって生じる前記出力光信号の少なくとも1つの周波数チャープから生じる変動を考慮する帯域を有していることを特徴としており、
前記第1の整流された電気信号と前記電気基準信号とを合成し、前記第1の整流された電気信号と前記電気基準信号との間の差に基づいて検出信号を生成する電気合成器と、
前記第1の整流された電気信号及び前記電気基準信号に基づいて、前記出力光信号の前記反射の移動距離を計算する信号処理器と、
を含む、
システム。
【請求項2】
前記出力光信号が、前記電気基準信号と共にレーザを直接変調することによって生成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力光信号が、前記電気基準信号と共にDFBレーザを直接変調することによって生成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記信号処理器が、
前記整流された電気信号を第1の整流された信号及び第2の整流された信号に分割するための電気スプリッタ、及び
前記第1の整流された信号及び前記第2の整流された信号を前記電気基準信号と合成し、第1の整流された基準信号及び第2の整流された基準信号を提供するための第1の電気合成器及び第2の電気合成器と、
前記第1の整流された基準信号と前記第2の整流された基準信号との間の位相差を検出するための位相検出器とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号処理器が、
前記整流された基準信号をデジタル信号に変換するためのアナログデジタル変換器と、
前記デジタル信号を処理するためのデジタル信号処理器とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電気基準信号発生器が、RF源からの変調RF信号及びデジタル信号処理器のうちの少なくとも一方である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記出力光信号の前記反射が物体からのものであり、
前記計算は、前記出力光信号の前記反射に基づいて前記システムからの前記物体の距離を計算することを含む、
請求項1に記載のシステム
【請求項8】
電気基準信号発生器によって、電気基準信号を提供するステップと、
光送信機によって、前記電気基準信号を搬送する出力光信号を送信するステップと、
光受信機によって、入力光信号として前記出力光信号の反射を受信するステップと、
局部発振器によって局部発振器周波数で局部発振器光を提供するステップであって、
前記出力光信号に対して制御されておらず前記出力光信号との周波数差によってオフセットされている前記局部発振器周波数を提供するステップと、
合成器によって、前記局部発振器光を受信した前記出力光信号の前記反射と合成して、結合光信号を提供するステップと、
光電変換器によって、前記結合光信号を第1の電気信号に変換するステップと、
整流器によって、前記第1の電気信号を整流して、第1の整流された電気信号を提供するステップであって、前記光電変換器と前記整流器が、前記結合光信号を受信し、光源と制御されていない前記局部発振器光とを直接変調することによって生じる前記出力光信号の少なくとも1つの周波数チャープから生じる変動を考慮する帯域を有していることを特徴としており、
電気合成器を経由して、前記第1の整流された電気信号と前記電気基準信号とを合成し、前記第1の整流された電気信号と前記電気基準信号との間の差に基づいて検出信号を生成するステップと、
信号処理器によって、前記検出信号を処理して、前記出力光信号の前記反射によって移動距離を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
ハイパスフィルタによって、前記第1の電気信号をフィルタリングするステップをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
処理が、前記第1の整流された電気信号をデジタル信号に変換するステップと、前記デジタル信号をデジタル処理するステップとを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
線形増幅器によって、前記第1の電気信号を増幅するステップをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記出力光信号の前記反射が物体からのものであり、
前記計算が、前記出力光信号の前記反射に基づいて前記物体の距離及び速度のうちの少なくとも一方である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記電気基準信号発生器が、RF源及びデジタル信号処理器のうちの一方である、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記電気基準信号がタイムスタンプを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記速度が、連続する距離計算に基づいて計算される、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記前記光電変換器が、40GHz以上の帯域幅を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記前記光電変換器が、40GHz以上の帯域幅を有している、請求項12に記載の方法
【請求項18】
前記光源が、1未満の変調指数で、直接変調される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記電気基準信号発生器が、電気的に生成された周波数変調連続波(EFMCWWave)発生器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記光源が、光周波数変調連続波(OFMCW)出力光信号を生成するように制御されたバイアス電流を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月15日に出願された米国仮特許出願第62/745,732号の利益及び優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に援用される。
発明の背景
【0002】
本発明は、一般に、性能が向上した光学システムに関する。より具体的には、本発明は、受信機及びシステムの性能が向上した光学検出システム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
LiDARシステムは、従来の電波検出方法では適切に対処することができなかった距離検出(range detection、範囲検出)の問題に対する解決策として、過去数十年にわたって開発されてきた。光検出システムは、反射光を送信及び受信し、光の飛行時間(ToF:Time of Flight)によって導入される送信光と受信光との間の差に基づいて距離計算を行うための様々な技術と、速度を算定するためのドップラーシフトの測定などの様々な技術とを使用する。
【0004】
自律型車両、無人航空機システムなどの高性能アプリケーションの出現により、距離検出システム、すなわちセンサに対する需要が高まっている。これらの新規及び従来のアプリケーションの能力は、アプリケーションにデータを提供する様々なセンサシステムの性能に少なくとも部分的に基づく。したがって、高性能アプリケーションにおける継続的な向上を支える高性能の距離検出システムおよび他のセンサシステムに対する需要が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高性能の距離検出、光時間領域反射測定(「OTDR:Optical Time-Domain Reflectometry」)、及び他の用途を可能にする光学システム、装置、及び方法を提供することによって、上記のニーズに対応する。システムは、ホモダイン及びヘテロダイン検出受信機を、直接及び外部で変調された(externally modulated)光源及び双方向/共有構成要素と組み合わせて含むことができ、従来技術の解決策の課題を克服して、より小型で低コストのシステムを様々な用途に展開することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
システムに対する物体の量、動き、距離、及び速度などの様々な特性を検出、算定、又は測定するための光学システム、装置、及び方法が提供される。システム及び方法は、電気基準信号を搬送する出力光信号を送信するための1つ又は複数の光送信機と、出力光信号の反射を受信するための1つ又は複数の光受信機とを含む。受信機は、局部発振器周波数(local oscillator frequency)で局部発振器光を提供する少なくとも1つの局部発振器と、出力光信号の反射を局部発振器光に合成(combine)して結合光信号(coupled optical signal)にする少なくとも1つの合成器(combiner)とを含む。局部発振器は、光送信機で使用される光源を含んでも含まなくてもよい。1つ又は複数の光電変換器は、結合光信号を電気信号に変換し、これは包絡線検出器/整流器(envelope detector/rectifier)を介して整流されて、第1の整流された電気信号を提供することができ、第1の整流された電気信号は、基準信号と共に1つ又は複数の信号処理器によって処理されて、出力光信号を反射した物体の量、動き、距離、速度などの出力光信号の反射の様々な特性を計算する。さらに、光学システムは、物体の多次元特性を提供するために、1つ又は複数の波長で動作する複数の光送信機及び光受信機を含むことができる。
【0007】
様々な実施形態において、基準信号は、光領域において、又は反射光信号が受信されて電気信号に変換された後に、反射光信号と合成され得る。電気基準信号は、所望の応答時間及び精度レベルに適し得るように、基準識別子の有無にかかわらずアナログ及び/又はデジタル基準信号を含むことができる。光電変換器は、周波数チャープ(frequency chirp)、バーストモードでのスペクトルの逸脱(burst-mode spectral excursion)、温度、経年変化などの変動を含む、基準信号及び変調光の帯域幅を考慮する帯域幅で実装されてもよい。局部発振器は、受信機の帯域幅に対して反射光信号の効率的な受信を可能にするように制御されてもよく、又は単に選択されてもよい。
【0008】
したがって、本開示は、コストと性能が改善された距離検出及び物体特性評価システム及び受信機に対する継続的なニーズに対応する。
【0009】
添付の図面は、本発明の様々な態様の例示的な例示を目的として含まれており、本発明を限定する目的で含まれていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な光学システムの実施形態及び例示的な測定値を示す図である。
図2】例示的な光学システムの実施形態及び例示的な測定値を示す図である。
図3】例示的な光学システムの実施形態及び例示的な測定値を示す図である。
図4】例示的な光学システムの実施形態及び例示的な測定値を示す図である。
図5】例示的な光学システムの実施形態及び例示的な測定値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面及び詳細な説明において、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の要素を識別することができる。特定の図における実施形態に関して説明された実装形態、特徴などは、明示的に述べられていない限り、又は他の方法で不可能でない限り、他の図における他の実施形態に関して実装されてもよいことが理解されよう。
【0012】
本発明の光学システム10は、対象物を検出し、光学システム10に対する対象物の様々な特性を算定するために、様々な構成で使用することができる。システム10は、スタンドアロンの固定又は移動ユニットであってもよく、あるいは、例えばポールなどの静止物体、又は例えば水、陸地、若しくは航空機などの移動物体であってもよいホスト物体に関連付けられてもよい。検出、測定などされる対象物は、システム10の特定の用途に応じて、例えば車両などの非常に大きなものであっても、例えば粒子などの非常に小さなものであってもよい。
【0013】
図1は、媒体12を通して基準信号を搬送する出力光信号を送信するための1つ又は複数の光送信機(OTx)20と、対象物14から反射されて媒体12を通して光受信機30に戻った出力光信号の少なくとも一部を含むことができる入力光信号を受信するための1つ又は複数の光受信機(ORx)30とを含むことができる本発明の光学システム10を示す。当業者であれば、システム10の多くの測定及び検出用途における媒体12は、自由空間、すなわち非導波路であるが、用途及びシステム10で使用される光の周波数に応じた様々な組合せで、例えば空気(気体)、水(液体)、ガラス(固体)、真空などの広範囲の材料を含むことができることを理解するであろう。
【0014】
光送信機20及び光受信機30は、一般に、同じ場所に配置されてもよく、いくつかの実施形態では、同じユニットの一部であってもよいため、送信機20及び受信機30は、本明細書で説明され、図面に示されるように、レンズ、合成器、スプリッタ、信号発生器などの構成要素を共有してもよい。後述するように、説明を容易にするために別個の構成要素が図面に示されているが、様々な構成要素は、ファイバ、非ファイバ導波路、自由空間、及びフォトニック集積回路(「PIC:Photonic Integrated Circuit」)構成要素及び伝送媒体を使用して様々な組合せで実装及び統合されてもよいことが理解されよう。
【0015】
図2に示すように、システム10は、電気基準信号発生器22を含むことができ、これは、RF源からの変調無線周波数(RF)搬送波などのアナログの信号発生器、又はデジタル信号処理器(signal processor)などのデジタルの信号発生器であってもよく、基準信号、又は外部電気信号発生器から当該基準信号を受信するように構成された1つ若しくは複数の電気入力を提供する。基準信号は、システムの内部又は外部で、例えば電気スプリッタ(splitter)を介して送信部分及び受信部分に分割又は複製され得る。送信部分は、光送信機20内の光源24を直接変調するために、及び/又は光源24から送信周波数/波長で出力された光を外部変調して変調光を生成するために使用され得る。変調光は、光送信機20の1つ又は複数の光出力ポート、又はシステム10の送信部から、出力光信号として出力される。
【0016】
光源24は、当業者が所望する特定の性能及びコスト特性に応じて、DFB、VCSEL、DBR、ECL又は他のタイプのレーザなどの様々なタイプのレーザを含むことができる。本発明は、一般に、多くの用途のための市販の既製のレーザの使用を可能にし、それによって低コストで堅牢なプラットフォームを可能にする。他の用途では、外部変調器を使用して出力光信号に基準信号を与えること、及び/又は1つ又は複数のカスタム光源を使用することが望ましい場合がある。例えば、光送信機20の光源24及び光受信機30の局部発振器(「LO:Local Oscillator」)32として、1つ又は複数のレーザを使用することができる。
【0017】
様々な実施形態において、光送信機24からの出力光信号を1つ又は複数のレンズ28を介して媒体12に結合する(couple)ために、1つ又は複数の結合器26(coupler 26)を設けることができる。レンズ28は、離散レンズ及び/又はレンズファイバ又は他の導波路であってもよい。結合器26はまた、以下でさらに説明するように、出力光信号を複数の信号に分割するために使用されてもよい。さらに説明するように、結合器26は、光受信機30の一部として双方向に使用することができる。
【0018】
光受信機30(optical receiver、光学受信機)は、1つ又は複数のレンズ28を含むことができる1つ又は複数の光入力ポートを通して媒体12から光を受信し、レンズ28は、出力光信号のために光送信機20と共有されてもされなくてもよい。受信光は、対象物14からの出力光信号(「反射光信号」)の反射を含むことができ、媒体12内に存在する他の光、及び場合によっては入力光信号のノイズを表し得る対象物14以外の物体からの反射も含む可能性が高い。
【0019】
光受信機30、すなわちシステム10の受信部は、以下のものを含む:
-各々が局部発振器周波数/波長で光を供給する、1つ又は複数の局部発振器32、
-受信光を局部発振器32からの局部発振器光と結合して合成光信号にする少なくとも1つの結合器34、
-合成された受信光及び局部発振器光を受信電気信号に変換するための、所定の周波数帯域幅を有する、少なくとも1つの光電(「OE:Optical-Electrical」)変換器(例えば、フォトダイオード)36、
-光電変換器36から受信された電気信号を増幅するために、様々な実施形態において1つ又は複数の線形増幅器38(linear amplifier)が含まれてもよく、
-受信した電気信号を整流し、対応する整流された電気信号を提供する少なくとも1つの整流器(例えば、包絡線検出器)40、
-対応する整流された電気信号の各々を基準信号の受信部分と合成して、基準信号の送信部分と受信部分との間の差に基づいて検出信号を生成する、少なくとも1つの電気合成器(electrical combiner(電気的結合器)、例えば、ミキサ)42、
-検出信号に基づいて、光受信機に対する量、動き、距離、速度などの対象物の様々な特性を計算する、少なくとも1つの信号処理器44。
【0020】
基準信号は、当業者によって所望される応答時間及び精度レベルに適し得るように、基準識別子の有無にかかわらずアナログ及び/又はデジタル基準信号を含むことができる。様々な実施形態では、反射された出力光信号の飛行時間及びシステム10からの対象物14の距離を算定する(determine、決定する)ために、受信された出力信号の反射からの基準信号の送信部分が、受信機に直接提供された基準信号の受信部分と比較される。送信光信号及び受信光信号のある時点における及び/又は経時的な相対強度は、様々な計算を実行するために使用され得る。
【0021】
経時的な多重比較を使用して、システム10を含む物体及び対象物14の相対的な量、動き、速さ/速度を計算することができ、これはまた、システム10を含むホスト物体の他の速さ又は速度の測定値と組み合わせて使用することもできる。様々な実施形態では、出力光信号に与えられる基準信号は、反射された出力光信号の飛行時間及びシステム10からの対象物14の距離を計算するために光受信機30で使用することができるタイムスタンプ又は他のマーカを含むことができる。上記又は他の比較の1つ又は複数は、飛行時間及び/又は反射の強度に基づいて検出、距離、及び他の計算を実行するために当業者によって使用され得る。加えて、基準信号は、入力光信号におけるノイズの影響を低減するために使用されてもよい。
【0022】
光電変換器36は、基準信号及び変調光に使用される広範囲の帯域幅を変換するのに十分な帯域幅で実装されてもよく、また、周波数チャープ、バーストモードでのスペクトルの逸脱、温度、経年変化などから生じる変動を考慮するように選択されてもよく、例えば、市販の既製のフォトダイオード及び整流器(rectifier)は、最大40GHz以上の帯域幅を有してもよい。局部発振器32は、変換器36の帯域幅に対して反射光信号の効率的な受信を可能にするように制御されてもよく、又は単に選択されても(すなわち、制御されなくても)よい。
【0023】
図2の実施形態は、電気的に生成された周波数変調連続波(EFMCW:Electrically generated Frequency-Modulated Continuous Wave)発生器を使用して、掃引周波数(すなわち、正弦波変調の振幅は一定/連続的に保たれ、周波数は掃引/変調される)を有する正弦波信号(sine-wave)として基準信号を生成することができる。基準信号の周波数は、検出システムの帯域幅内の範囲で直線的に上下に掃引(sweep)されてもよい。レーザチャープ(laser chirp)が受信機帯域幅内に留まることを可能にするために、1未満の変調指数が使用されてもよい。しかしながら、他のコヒーレントな方法と比較して、より多くのチャープが許容され得る。信号処理は、電気的なホモダイン検出又はヘテロダイン検出を利用することができる。次いで、反射及び復元された信号は、送信信号を生成するために使用される基準信号と比較される。
【0024】
図3の実施形態は、図2の実施形態と同様であり、光送信機20は、光源24に基準信号を印加するための光源駆動器25を含む。受信機30では、信号処理器44は、検出信号をアナログ検出信号からデジタル検出信号に変換するアナログデジタル(「A/D」)変換器46と、デジタル検出信号を処理するデジタル信号処理器48とを含むことができる。
【0025】
これらの実施形態では、直接変調レーザのバイアス電流(bias current)を制御することによって、光周波数変調連続波(OFMCW:Optical Frequency-Modulated Continuous Wave)光信号を生成することができる。レーザは、チャープ対バイアスの制御を通して上下に線形周波数掃引を得るように較正されてもよい。代替案は、掃引を生成する外部変調器を使用すること、又は所望の周波数変調を導入するためにレーザの温度を変調する温度コントローラを使用することである。
【0026】
図4の実施形態は、整流された検出信号を2つの整流された電気信号に分割するための電気スプリッタ45の使用を示しており、2つの整流された電気信号は、2つの電気ミキサ42を介して基準信号と混合され、位相検出器47に提供され得る。
【0027】
図5の実施形態は、出力光信号の一部と反射入力光信号及び局部発振器光との結合を示しており、ハイパスフィルタ49を使用して検出信号を提供している。これらの実施形態では、局部発振器32からの光、反射光、及び送信(fractional、部分の)光はすべて、光電変換器36内の1つ又は複数の合成器34を介して合成される。平均送信周波数から電気周波数帯域(チャネル)のほぼ中央までの局部発振器32の周波数のオフセットを使用して、光電変換器36、線形増幅器及びハイパスフィルタによって、Elo (E+E)に比例する電流Iを生成することができ、ここで、Elo、E、及びEは、それぞれ局部発振器、送信光、及び反射光の電界を示す。この項は、包絡線検出器/整流器40において二乗されて整流され、項Elo *E*Eを生成し、そこから周波数変化を含む信号がローパスフィルタリング後に見出され得、基準信号に対する反射光信号の移動距離及び/又は速度を計算するために使用され得る。ハイパスフィルタ49は、光電変換器36の出力から、小さくてもよいE*Eの混合信号をフィルタリングするために使用されてもよい。
【0028】
局部発振器32は、一般に、様々な線幅のレーザなどの1つまたは複数の固定又は調整可能な光源を含むことができ、光信号の周波数からオフセットされ得る1つまたは複数の局部発振器周波数、すなわち局部発振器周波数オフセットで局部発振器光を提供することができる。光局部発振器レーザ32は、信号中心周波数(Fc)から周波数オフセット、すなわち周波数差(dF)だけオフセットされた光周波数(Flo)で光を放射する。上述したように、局部発振器32は、VCSEL、DFB、DBR、ECL、又は他のタイプのレーザなどの1つ又は複数のレーザを含むことができる。局部発振器32は、信号の周波数又は波長に同調されてもよい。これは、帯域内構成又は帯域外構成のいずれかであり得る。帯域内構成では、局部発振器32は、信号のスペクトル内の周波数又は波長に同調される。帯域外構成では、局部発振器32は、信号のスペクトル外の周波数又は波長に同調される。このようにして、局部発振器32を使用して波長選択性を達成することができる。局部発振器32を波長選択器として使用することにより、システムは光学フィルタの有無にかかわらず動作することができる。
【0029】
図2図5に関連して説明した光受信機の実施形態は、反射された出力光信号を含む入力光信号の受信を1つの光電変換器36で使用することを示しているが、光受信機30は、複数の光電変換器36を含む様々な実施形態を含むことができることが理解されよう。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15927792号明細書は、本発明で使用することができる偏波ダイバーシティ受信機を含む様々な光受信機の実施形態を説明している。受信機感度のさらなる向上のために複数の光電変換器を利用する他の構成は、平衡受信機を含むことができる。
【0030】
前述の開示は、本発明の例、例示及び説明を提供するが、網羅的であること、又は開示された正確な形態に実装形態を限定することを意図するものではない。上記の開示に照らして変更及び変形が可能であり、又は実装形態の実施から取得され得る。本発明のこれら及び他の変形及び変更は可能であり企図され、前述の明細書及び以下の特許請求の範囲はそのような変更及び変形を包含することが意図される。
【0031】
本明細書で使用される場合、構成要素という用語は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアの組合せとして広く解釈されることを意図している。本明細書に記載のシステム及び/又は方法は、ハードウェア、ファームウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組合せの様々な形態で実装されてもよいことは明らかであろう。これらのシステム及び/又は方法を実装するために使用される実際の専用の制御ハードウェア又はソフトウェアコードは、実装形態を限定するものではない。したがって、システム及び/又は方法の動作及び挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく本明細書に記載されたものであり、ソフトウェア及びハードウェアは、本明細書の記載に基づいてシステム及び/又は方法を実装するように設計され得ることが理解される。
【0032】
システムの様々な要素は、様々なレベルのフォトニック、電気的、及び機械的統合を使用することができる。複数の機能が、システム10内の1つ又は複数のモジュール又はユニットに統合されてもよい。
【0033】
ハードウェア・プロセッサ・モジュールは、例えば、汎用プロセッサ及びCPUからフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field Programmable Gate Arrays)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)にまで及ぶことができる。(ハードウェアで実行される)ソフトウェアモジュールは、C、C++、Java(登録商標)、Javascript、Rust、Go、Scala、Ruby、VisualBasic(登録商標)、FORTRAN、Haskell、Erlangを含む様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)、及び/又は他のオブジェクト指向プログラミング言語、手続き型プログラミング言語などのプログラミング言語及び開発ツールで表現することができる。コンピュータコードは、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、及びインタプリタを使用してコンピュータによって実行され、制御信号、暗号化されたコード、及び圧縮されたコードを使用する上位レベルの命令を含むファイルを含むことができる。
【0034】
ソフトウェアは、データ入力及びデータ出力を提供するために、1つ又は複数のアプリケーション・プログラミング・インターフェース及びユーザインターフェースを含むことができる様々な入力インターフェース及び出力インターフェースを使用することができる。ユーザインターフェースは、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、非グラフィカル・ユーザ・インターフェース、テキストベースのユーザインターフェースなどを含むことができる。ユーザインターフェースは、表示のための情報を提供することができる。いくつかの実装形態では、ユーザは、表示用のユーザインターフェースを提供する装置の入力構成要素を介して入力を提供することなどによって、情報と対話することができる。いくつかの実装形態では、ユーザインターフェースは、装置及び/又はユーザによって構成可能であり得る(例えば、ユーザは、ユーザインターフェースのサイズ、ユーザインターフェースを介して提供される情報、ユーザインターフェースを介して提供される情報の位置などを変更することができる)。追加として又は代替として、ユーザインターフェースは、標準構成、ユーザインターフェースが表示される装置のタイプに基づく特定の構成、及び/又はユーザインターフェースが表示されるデバイスに関連する機能及び/又は仕様に基づく構成のセットに事前構成されてもよい。
【0035】
いくつかの実装形態は、閾値に関連して本明細書で説明される。本明細書で使用される場合、閾値を満たすことは、閾値より大きい、閾値より多い、閾値より高い、閾値以上、閾値より小さい、閾値より少ない、閾値より低い、閾値以下、閾値に等しいなどの値を指すことができる。
【0036】
本明細書で使用される要素、動作、又は命令は、そのように明示的に記載されていない限り、重要又は必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つ又は複数の項目を含むことが意図され、「1つ又は複数」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つ又は複数の項目を含むことが意図され、「1つ又は複数」と交換可能に使用され得る。1つの項目のみが意図される場合、「1」という用語又は同様の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」などの用語は、非限定的な用語であることが意図される。さらに、「に基づいて」という句は、別段に明示的に述べられていない限り、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味することが意図される。
【0037】
特徴の特定の組合せが特許請求の範囲に記載され、及び/又は本明細書に開示されているが、これらの組合せは、可能な実装形態の開示を限定することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていない、及び/又は明細書に開示されていない方法で組み合わされてもよい。以下に列挙される各従属請求項は、1つの請求項のみに直接依存し得るが、可能な実装形態の開示は、各従属請求項を、請求項セット内の他のすべての請求項と共に含む。
【0038】
本出願における概要、要約、又は特許請求の範囲の有無は、決して本明細書に開示される任意の発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5