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特許7406849炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法
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  • 特許-炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法 図1
  • 特許-炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法 図2
  • 特許-炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法 図3
  • 特許-炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法
(51)【国際特許分類】
   D06C 27/00 20060101AFI20231221BHJP
   D06C 15/10 20060101ALI20231221BHJP
   D06M 10/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
D06C27/00 Z
D06C15/10
D06M10/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022170691
(22)【出願日】2022-10-25
(65)【公開番号】P2023171196
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】111118730
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520160901
【氏名又は名称】國立高雄科技大學
【氏名又は名称原語表記】National Kaohsiung University of Science and Technology
【住所又は居所原語表記】No.415 Chien-Kung Road,SanMing District,Kaohsiung,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】謝宗翰
(72)【発明者】
【氏名】王怡心
(72)【発明者】
【氏名】張庭侑
(72)【発明者】
【氏名】郭柏偉
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-028151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C 27/00
D04H 1/00 - 18/04
D06C 15/10
D06M 10/02
D21H 11/00 - 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのタブレットが設置されている装置本体と、
前記装置本体の前記タブレット箇所に設置した超音波ユニットと、を備え、
前記超音波ユニットは少なくとも1つの超音波プローブを備えていることを特徴とする、
炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項2】
前記装置本体には上下に対応する2つのタブレットが設置され、且つ前記2つのタブレットの間には作業エリアが形成され、前記2つのタブレットは前記作業エリアに対する他側箇所に前記超音波ユニットが各々設置されていることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項3】
前記装置本体には昇降ユニットが設置され、且つ前記昇降ユニットはタブレットの上方に位置している箇所の前記超音波ユニットに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項4】
前記タブレットは複数のスクエアに区画され、前記超音波ユニットには前記複数のスクエアの位置にそれぞれ対応する複数の前記超音波プローブが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項5】
前記タブレットは3×3でマトリクス配列される9個のスクエアに区画され、前記超音波ユニットには前記9個のスクエアの位置にそれぞれ対応する3×3でマトリクス配列される9個の超音波プローブが設置されていることを特徴とする請求項4に記載の炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項6】
前記超音波プローブの超音波の周波数は25~45kHzの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項7】
前記超音波プローブの超音波の強度は300~500Wの間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維再生材のレベリング装置。
【請求項8】
タブレットに複数の炭素繊維再生材を載置する工程と、
前記タブレット箇所に、前記タブレットに重置される炭素繊維再生材に対し振動エネルギーを発射する少なくとも1つの超音波プローブを備えている超音波ユニットを設置する工程と、
前記タブレットに重置されている炭素繊維再生材を平坦な状態になるように振動する工程と、を含むことを特徴とする、
炭素繊維再生材のレベリング方法。
【請求項9】
他のタブレットが更に設置され、前記2つのタブレットは上下に対応するように設置され、且つ前記2つのタブレット箇所には前記超音波ユニットが各々設置され、炭素繊維再生材が重置されている前記タブレットは下方に位置し、且つ下方にある前記タブレットに重置されている炭素繊維再生材に対し前記2つの超音波ユニットの超音波プローブが共同で振動エネルギーを発射することを特徴とする請求項8に記載の炭素繊維再生材のレベリング方法。
【請求項10】
昇降ユニットが更に設置され、前記昇降ユニットはタブレットの上方に位置している箇所の前記超音波ユニットに連結され、連結されている前記超音波ユニットにより上方に位置している前記タブレットを降下するように連動し、前記炭素繊維再生材を下に押すことを特徴とする請求項8に記載の炭素繊維再生材のレベリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法に関し、詳しくは、重置された炭素繊維再生材を便利にレベリングする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は良好な強度を有し、軽量化、耐熱性、耐腐食性等の優れた特性を兼ね備えており、運動器具や交通手段等の分野で広く応用されている。
【0003】
炭素繊維が各分野で広く応用されるに連れ、その製品の廃棄量も日増しに増えている。前記炭素繊維製品の廃棄物の多くは埋め立てまたは焼却処理されているが、埋め立てであれ焼却であれ環境汚染を引き起こし、高価値な炭素繊維を浪費してしまっている。
炭素繊維の廃棄問題を解決するため、従来の方法では、炭素繊維製品を回収し、粉砕処理を施し、建築用充填材や道路の舗装材料等の経済効果が低い分野で使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉砕後に長さが短くなった前記炭素繊維再生材を樹脂と混合すると高圧作用により、流動性が高く複雑な構造を成形可能である等の利点を有する。しかし、粉砕後の炭素繊維再生材は不揃いであり、製品の製造に直接使用する場合、その製品の成形後に平坦性に欠けてしまい、研磨、艶出し等の表面処理を施さなければ、表面が平坦で滑らかな、視覚的にも特殊な模様の外観を呈する製品を獲得できなかった。よって、製造コストが高く、製品の歩留まりが低い等の欠点が存在する。
【0005】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の炭素繊維再生材のレベリング装置は、主に装置本体に上下に対応する2つのタブレットが設置され、且つ前記2つのタブレット箇所に超音波ユニットが各々設置されている。これにより、実施時に、炭素繊維再生材を下方にある前記タブレットに載置し、前記超音波ユニットの超音波プローブを駆動し、前記タブレットに重置されている炭素繊維再生材を平坦で薄い状態になるまで振動する。これにより、前記レベリングの炭素繊維再生材を加圧して必要な製品を製造した後、前記製品の表面が平坦で滑らかになり、且つ視覚的に特殊な模様を呈する。これにより、研磨、艶出し等のプロセスを省略し、需要に応じて薄型化しすると共に厚さを制御し、製品の製造コストを効果的に節約し、製品の歩留まりを高める等の効果を達成している。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る炭素繊維再生材のレベリング装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る炭素繊維再生材のレベリング装置を上面から見た部分断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る炭素繊維再生材のレベリング装置の使用状態を示す図である。
図4】本発明の炭素繊維再生材のレベリング状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
図1図2を参照しながら、本発明に係る炭素繊維再生材のレベリング装置をさらに詳しく説明する。
本発明に係る炭素繊維再生材のレベリング装置は、主に上下に対応する2つのタブレット(2)が設置されている装置本体(1)が設置され、且つ前記2つのタブレット(2)の間には作業エリア(5)が形成されている。前記2つのタブレット(2)は前記作業エリア(3)に対する他側に超音波ユニット(3)が各組設置され、前記タブレット(2)は10cmのアルミ板であり、前記タブレット(2)には3×3でマトリクス配列される9個のスクエア(21)が仮想的に区画されている。前記超音波ユニット(3)は少なくとも1つの超音波プローブ(31)を備えている。
本発明では、装設されているタブレット(2)に仮想的に区画されている9個のスクエア(21)の位置にそれぞれ対応する3×3でマトリクス配列される9個の超音波プローブ(31)が設置され、前記超音波プローブ(31)は超音波の周波数が25~45kHzの間の範囲であり、25~30kHzの間の範囲が最も好ましい。また、超音波の強度は300~500Wの間の範囲であり、500Wが最も好ましい。前記装置本体(1)には昇降ユニット(4)が設置され、且つ前記昇降ユニット(4)は上方に位置している前記超音波ユニット(3)に連結されている。
【0013】
実施例について、図3も併せて参照する。長さが短い複数の炭素繊維再生材(6)を下方にある前記タブレット(2)に載置する。前記昇降ユニット(4)により連結されている超音波ユニット(3)を適切な位置まで降下するように連動し、上下2つの超音波ユニット(3)に設置されている9個の超音波プローブ(31)を作動させ、下方にある前記タブレット(2)に重置されている炭素繊維再生材(6)まで伝導するように高速振動エネルギーを発射させ、下方にある前記タブレット(2)に重置されている炭素繊維再生材(6)を厚さが約0.4~1.2mmの間の範囲になるように均等に振動し、平坦で薄い状態にする(図4参照)。
続いて、前記レベリングの炭素繊維再生材(6)に樹脂を添加し、前記昇降ユニット(4)により連結されている超音波ユニット(3)を降下するように連動し、上方にあるタブレット(2)により樹脂が添加された前記炭素繊維再生材(6)を下に押し、下方にあるタブレット(2)と共同で前記樹脂が添加された炭素繊維再生材(6)を加圧して必要な製品形状に製造する。
【0014】
これにより、炭素繊維再生材(6)を樹脂と混合した後、高圧作用により、良好な流動性という特徴を有し、前記炭素繊維再生材(6)が各種の複雑な製品の構造及び形状に容易に成形可能になる。このように、炭素繊維再生材(6)の経済効果を効果的に高めることができる。
また、前記炭素繊維再生材(6)は本発明の装置によりレベリングしてから加圧して製品形状に製造するため、製品の成形後に表面が極めて平坦で滑らかになり、且つ視覚的にも複数の炭素繊維再生材(6)が混ざりあって特殊な模様を呈し、炭素繊維再生材の製品の外観と関連する応用を向上している。また、需要に応じて薄型化し、厚さを制御することもでき、研磨、艶出し等の表面処理プロセスが不要であり、製品の製造コストを節約しつつ製品の歩留まりを高めている。また、前記炭素繊維再生材(6)は長い炭素繊維の余剰物または再生材であり、製品の材料コストを大幅に低下させ、従来の炭素繊維製品は直接廃棄することで環境汚染を引き起こし、材料の資源を浪費する等の問題者を解決する。
【0015】
前述の実施例や図面は本発明の炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法の実施態様を限定するものではなく、本発明は前記装置本体(1)のタブレット(2)箇所に超音波ユニット(3)のみを設置し、前記タブレット(2)に複数の炭素繊維再生材(6)を載置し、前記超音波ユニット(3)に設置されている超音波プローブ(31)が前記タブレット(2)に重置されている炭素繊維再生材(6)に対し振動エネルギーを発射し、前記タブレット(2)に重置されている炭素繊維再生材(6)を平坦な状態になるように振動させてもよい。
【0016】
上述の構造及び実施方式から分かるように、本発明には以下の利点が存在する。
1.本発明の炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法は超音波プローブを利用して重置されている炭素繊維再生材を振動してレベリングし、加圧して必要な製品形状に製造する。これにより、製品の成形後の表面が平坦で滑らかになり、視覚的にも特殊な模様が形成され、研磨、艶出し等のプロセスを省略し、製品の製造コストを効果的に節約し、製品の歩留まりを高める等の効果を達成している。
2.本発明の炭素繊維再生材のレベリング装置及びレベリング方法は炭素繊維再生材を便利にレベリングした後、製品を製造するように加工する。炭素繊維再生材の製品の外観と関連する応用を向上し、且つ需要に応じて薄型化し、厚さを制御する。これにより、製品の製造材料のコストを抑制するのみならず、炭素繊維製品の廃棄物による環境問題も有効に解決する。
【0017】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0018】
1 装置本体
2 タブレット
21 スクエア
3 超音波ユニット
31 超音波プローブ
4 昇降ユニット
5 作業エリア
6 炭素繊維再生材
図1
図2
図3
図4