(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】インプラント抜去器アセンブリおよびインプラント抜去の方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/92 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B17/92
(21)【出願番号】P 2022517306
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020050878
(87)【国際公開番号】W WO2021067029
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519070932
【氏名又は名称】シュクラ・メディカル
【氏名又は名称原語表記】SHUKLA MEDICAL
【住所又は居所原語表記】8300 SHEEN DRIVE, ST. PETERSBURG, FL 33709, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】スワイツァー,ザッカリー,ロバート
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-526363(JP,A)
【文献】特開2019-013772(JP,A)
【文献】特開2013-208430(JP,A)
【文献】特表2018-501905(JP,A)
【文献】特開2008-012006(JP,A)
【文献】特表2011-527613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/92
A61B 17/72
A61B 17/74
A61B 17/56
A61F 2/36
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科のインプラント再置換手術において使用されるインプラント抜去器アセンブリ用の取付部であって、
遠位端周辺にL字状コネクタを含む主本体
であって、
前記主本体の長手方向軸に対して垂直な長手方向軸を有する貫通孔を含むL字状コネクタと、
前記主本体の近位端周辺
に位置し、ハンドルと接続するためのクイックコネクトと、
前記取付部から延在可能
で、既設のインプラントを取り除く際に、打撃工具で叩くことによって近位の力を増大させるためのストライクプレートと、
を備える、インプラント抜去器アセンブリ用の取付部。
【請求項2】
前記クイックコネクトに隣接する取付ヘッドをさらに備える、請求項1に記載の取付部
。
【請求項3】
前記クイックコネクトと前記L字状コネクタとの間に取付ヘッドをさらに備える、請求
項1に記載の取付部。
【請求項4】
前記取付ヘッドは多角形形状である、請求項3に記載の取付部。
【請求項5】
前記貫通孔の前記長手方向軸は、前記主本体の前記長手方向軸から約20°~50°の
角度にある、請求項1に記載の取付部。
【請求項6】
前記ハンドルと、
前記ハンドルに接続可能な請求項1乃至請求項5に記載の取付部と、
を備える、インプラント抜去器アセンブリ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記主本体の前記長手方向軸に沿って配置される、請求項6に記載のイ
ンプラント抜去器アセンブリ。
【請求項8】
前記貫通孔を通って延在するための留め具をさらに備える、請求項6に記載のインプラ
ント抜去器アセンブリ。
【請求項9】
前記貫通孔の前記長手方向軸は、前記主本体の前記長手方向軸から約20°~50°の
角度にある、請求項6に記載のインプラント抜去器アセンブリ。
【請求項10】
前記ストライクプレートは、前記主本体に組み付けられた場合に、該主本体の前記長手
方向軸に実質的に垂直に延在する、請求項1に記載の取付部。
【請求項11】
前記主本体は、前記クイックコネクトに隣接する、前記ストライクプレートに係合する
ための一組の対向する平坦部を含む、請求項1に記載の取付部。
【請求項12】
前記主本体は、前記ストライクプレートに係合するための平坦面であるプラトーを含む
、請求項1に記載の取付部。
【請求項13】
前記主本体は、前記ストライクプレートを受け入れるための取付ヘッドを含む、請求項
1に記載の取付部。
【請求項14】
前記取付ヘッドは多角形形状である、請求項13に記載の取付部。
【請求項15】
前記ハンドルの長手方向軸は、前記主本体に接続される場合、該主本体の長手方向軸に
平行である、請求項6に記載のインプラント抜去器アセンブリ。
【請求項16】
前記ハンドルの長手方向軸は、前記主本体に接続される場合、該主本体の長手方向軸に
同軸である、請求項6に記載のインプラント抜去器アセンブリ。
【請求項17】
前記ハンドルは、前記主本体の前記クイックコネクトに操作可能に係合するための協働
クイックコネクトを含む、請求項6に記載のインプラント抜去器アセンブリ。
【請求項18】
前記留め具は、スタッドおよびナットを備える、請求項8に記載のインプラント抜去器
アセンブリ。
【請求項19】
前記ナットは、該ナットが前記貫通孔を通って延在するのを防ぐ遠位肩部を画定する、
請求項18に記載のインプラント抜去器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、一般に、医療装置のインプラント抜去器具の分野に関する。具体的には、該本開示は、骨に埋め込まれた整形外科インプラントを抜去するためのインプラント抜去器具に関する。
【発明の概要】
【0002】
例示的な実施形態によれば、該本開示は、主本体と、該主本体の近位端周辺のクイックコネクトと、該主本体の遠位端周辺のL字状コネクタとを備えているインプラント抜去器アセンブリ用取付部を提供する。該L字状コネクタは、該主本体の長手方向軸に直角な長手方向軸を有する貫通孔を含む。
【0003】
一つの態様によれば、該取付部は、該クイックコネクトに隣接する取付ヘッドをさらに備えている。別の態様によれば、該取付ヘッドは、該クイックコネクトと該L字状コネクタとの間にある。別の態様によれば、該取付ヘッドは、多角形形状になっている。別の態様によれば、該貫通孔の長手方向軸は、該主本体の該長手方向軸から約20°~50°の角度になっている。
【0004】
別の例示的な実施形態によれば、該本開示は、ハンドルと、該ハンドルに接続可能な上述した取付部とを備えるインプラント抜去器アセンブリを提供する。一つの態様によれば、該貫通孔は、該主本体の該長手方向軸に沿って配置されている。別の態様によれば、該貫通孔の該長手方向軸は、該主本体の該長手方向軸から約20°~50°の角度になっている。
【0005】
一つの態様によれば、該インプラント抜去器アセンブリは、該取付部から延長可能なストライクプレートをさらに備えている。別の態様によれば、該ストライクプレートは、該主本体に組み付けられる場合、該主本体の該長手方向軸に対して実質的に垂直に延在する。
【0006】
一つの態様によれば、該主本体は、該クイックコネクトに隣接する、該ストライクプレートに係合するための一組の対向する平坦部を含む。別の態様によれば、該主本体は、該ストライクプレートに係合するためのプラトーを含む。別の態様によれば、該主本体は、該ストライクプレートを受け入れるための取付ヘッドを含む。別の態様によれば、該取付ヘッドは、多角形形状になっている。
【0007】
一つの態様によれば、該ハンドルの長手方向軸は、該主本体に接続される場合、該主本体の長手方向軸に平行になっている。別の態様によれば、該ハンドルの長手方向軸は、該主本体に接続される場合、該主本体の長手方向軸に同軸になっている。
【0008】
一つの態様によれば、該ハンドルは、該主本体の該クイックコネクトに操作可能に係合するための協働クイックコネクトを含む。別の態様によれば、該インプラント抜去器アセンブリは、該貫通孔を通って延在するためのファスナー(留め具)をさらに備えている。別の態様によれば、該ファスナーは、スタッドおよびナットを備えている。別の態様によれば、該ナットは、該ナットが該貫通孔を通って延在するのを防ぐ遠位肩部を画定する。
【0009】
別の例示的な実施形態によれば、該本開示は、患者からインプラントを除去するための方法を提供する。該方法は、患者内に埋め込まれた軸を有するインプラントの上に該上述した取付部を配置することを含む。該方法は、該取付部の該長手方向軸を、該インプラントの長手方向軸と実質的に同一直線上にあるように位置合わせすることをさらに含む。該方法は、ファスナーを該取付部の該貫通孔を通して該インプラント内に挿入することをさらに含む。また、該方法は、近位に向けられた力を該取付部に印加することも含む。
【0010】
該本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面とともに読めば、より良好に理解されるであろう。該本開示の例示目的のために、例示的な実施形態が図示されている。しかし、本出願は、図示されている詳細な構成および手段に限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】該本開示の例示的な実施形態によるインプラント抜去器アセンブリの分解斜視図である。
【
図1A】
図1の該インプラント抜去器アセンブリの組立図である。
【
図1B】ストライクプレートおよびハンドル無しで示す、
図1の該インプラント抜去器アセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の該インプラント抜去器アセンブリの取付部の斜視図である。
【
図3】
図2の該取付部の近位端の部分拡大斜視図である。
【
図7】いくつかの形状構成が仮想線で図示されている、
図1の該インプラント抜去器アセンブリのハンドルの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図9】別の例示的な実施形態による該インプラント抜去器アセンブリのハンドルの斜視図である。
【
図11】さらに別の例示的な実施形態による該インプラント抜去器アセンブリのハンドルの斜視図である。
【
図12】
図1の該インプラント抜去器アセンブリのストライクプレートの例示的な実施形態の平面図である。
【
図14】
図1の該インプラント抜去器アセンブリのファスナーの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図15】ファスナーの別の実施形態が中に受け入れられた状態の、
図1の該インプラント抜去器アセンブリの取付部の斜視図である。
【
図16】
図15の該ファスナーが中に受け入れられた状態の、
図1の該インプラント抜去器アセンブリの取付部の側面図である。
【
図18】
図15の該ファスナーのスタッドの拡大斜視図である。
【
図20】
図1の該インプラント抜去器アセンブリの該取付部に受け入れられた、
図15の該ファスナーの断面図である。
【
図21】典型的な整形外科インプラントの斜視図である。
【
図22】典型的なインプラントに隣接する、
図1の該インプラント抜去器アセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、該添付図面に図示されている該本開示の該例示的な実施形態に関して詳細に説明する。可能な限り、同じかまたは類似の参照数字を、同じかまたは類似の形状構成を指すために、図面全体を通して用いることとする。該図面は、単純化した形態になっており、また、正確な縮尺通りに描かれていないことに留意すべきである。本開示に関しては、便宜上および単に分かりやすくするために、上方、下方、上部、底部、上、下および斜めの等の方向性を示す用語は、該添付図面に関連して用いられている。該図面に関する以下の説明に関連して用いられているこのような方向性を示す用語は、明確に記載されていないどのような方法であっても、該本開示の範囲を限定するように解釈すべきではない。さらに、本明細書で用いられている「一つの」という用語は、「少なくとも一つ」を意味する。専門用語は、上記で具体的に述べた言葉、それらの派生語、および同様の意味の言葉を含む。
【0013】
本願明細書において、量、時間の長さ等の測定可能な値を指すときに用いられる「約」は、このようなばらつきが適切である場合、指定された値から±20%、±10%、±5%、±1%または±0.1%のばらつきを包含することが意図されている。
【0014】
本願明細書で用いられている「実質的に」は、指定されている大きさが完全にではないが概して相当であるか、または、当該技術分野において許容可能である場合にそこから適当なばらつきであることを意味するものとする。本願明細書で用いられている「例示的な」は、実施例として有用であることを意味するものとする。
【0015】
該本出願の全体を通して、さまざまな態様は、さまざまな形式で提示することができる。さまざまな形式での説明は、単に便宜上および簡潔のためであり、および該本開示の範囲に関する柔軟性のない限定として解釈すべきではないことを理解すべきである。したがって、さまざまな該説明は、具体的に開示されたすべての可能性のある部分的な範囲ならびに当該範囲内の個々の数値を有するように考慮すべきである。例えば、1~6等の範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の具体的に開示された部分的な範囲ならびに当該範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6を有するように考慮すべきである。このことは、該範囲の広さに関係なく当てはまる。
【0016】
さらに、該本開示の該例示的な実施形態の記載した形状構成、利点および特徴は、一つ以上の実施形態において、任意の適当な方法で組合せてもよい。当業者は、本願明細書における該説明を考慮して、特定の例示的な実施形態の一つ以上の該具体的な形状構成または利点を要することなく該本開示を実施できることを正しく認識するであろう。他の例では、追加的な形状構成および利点を、該本開示のすべての例示的な実施形態に提示されていない可能性のあるいくつかの実施形態において正しく認識することができる。
【0017】
次に、該図面を参照すると、
図1、
図1Aおよび
図1Bは、本開示の例示的な実施形態によるインプラント抜去器アセンブリ100を示す。該インプラント抜去器アセンブリ100は、ハンドル105と、該ハンドルに接続可能な取付部110とを含む。いくつかの実施形態において、該インプラント抜去器アセンブリは、該取付部110から延在可能なストライクプレート115および/または該取付部110のL字状コネクタ106の貫通孔104を通って延在することができるファスナー120をさらに含む。以下で説明するように、該インプラント抜去器アセンブリは、整形外科インプラントを係合するように適合されている。
【0018】
該取付部110は、
図2~
図6に示すように構成され、および以下に詳細に記載されている。該取付部は、該取付部の主本体103の近位端101周辺のクイックコネクト111を含む。この例示的な実施形態において、該クイックコネクト111は、該クイックコネクトの上部112の周辺に、比較的小さな円形断面を含む。フレア部113は、該上部112から該クイックコネクトの第一のポスト114まで遠位に延在している。該第一のポスト114は、該第一のポスト114と同軸である第二のポスト116とサイズおよび断面形状が同じである、楕円形またはレーストラック状の断面形状を有している。環状凹部117が、該第一のポスト114と該第二のポスト116との間に設けられ、および該第一および第二のポストよりもかなり小さな直径を有している。この特定の実施形態において、該環状凹部117は、楕円形またはレーストラック状の断面形状を有しているが、他の構成を設けることもできる。
【0019】
該近位端から遠位方向に移ると、該クイックコネクト111の該第二のポスト116は、該ストライクプレート115を受け入れるかまたは取付けるための取付ヘッド118(ブロックともいう)として作用する多角形形状ブロックに取付けられ、または該ブロックから延在している。ここで開示されている主題に従って、正六角形または正八角形として設けられている該取付ヘッド118等の他の構成を設けることができるが、この特定の実施形態における該多角形形状ブロックは、該ブロックの対向端部周辺に八つの辺と二つの平坦部127、121を有する不規則な多角形形状を有している。該平坦部127、121の長さを仮定すると、この実施形態におけるブロック118の不規則な多角形形状は、四つの斜めの縁部107が矩形の四つの角部をカットしている(
図4)矩形形状を概して有していると記述することができる。平坦部127は、該主本体の面125のための平面を画定し、および平坦部121は、面125に対向する、該主本体の第二の面126のための平面を画定している。
【0020】
プラトー123は、該主本体103の中間部124から延在している。この特定の実施形態において、該中間部124は、該取付部110の最大幅Wを画定し、および矩形状の断面形状を有している。該多角形形状ブロック118は、該プラトー123の形状を画定している該中間部の上面から延在している。該多角形形状ブロック118は、該中間部124によって画定される最大幅Wよりも小さい最大幅を有している。該中間部124の該幅Wと比較して低減された該ブロック118の最大幅は、該ストライクプレート115がその上に納まるかまたは係合する該プラトー123を形成する。
【0021】
該ブロック118および該プラトー123の該形状および構成は、例示および非限定の目的のために与えられている。ストライクプレートを含むいくつかの実施形態において、該ストライクプレート115は、該主本体103のブロック118およびプラトー123に基づく正確な取付け(例えば、開口)を実現できるように適合されている。該ブロックおよびプラトーの該形状および構成は、ストライクプレートを含んでいるか、または含んでいない他の実施形態において変えることができる。
【0022】
該中間部124の厚さtおよび該取付部110の該厚さは、一般に、平坦部127、121間の距離によって形成される。上述したように、該取付部110は、該中間部124に最大幅Wを有し、そして、以下で詳細に説明するように、該L字状コネクタ106に向かって進むにつれて減少する遠位幅を形成するように、テーパ部108においてテーパ状になっている。
【0023】
この特定の例示的な実施形態において、該取付部110の該主本体103は、
図6に最も良く図示されているように、該テーパ部が、該中間部124によって画定されている該幅Wの中心にまたは該中心周辺に達するまで、該取付部の側部130に沿ってテーパ部108から内側に一定の厚さで継続的にテーパ状になっている。この箇所で、該主本体103は、該取付部の該長手方向軸134に対して角度が付けられている該L字状コネクタ106の実質的に上方にまたは近位に向いている面109を形成するように、該取付部110の該側部130に沿って外側に広がっている。該実施形態の例示的な態様によれば、該面109の該角度は、約30度、35度、40度、45度、50度、55度または60度とすることができる。該L字状コネクタに対するエンゴージング(engorging)面129は、該面109から直角にまたは実質的に直角に向けられている。換言すると、該エンゴージング面129は、該取付部の該長手方向軸134に対して約角度β、例えば、約100度、105度、110度、115度、120度、125度、130度、135度、140度、145度、150度、155度、160度、165度または170度下方に向いている。側部130に対向する該取付部の側部131は、当初はテーパ状になってはいないが、その後、テーパ部132において、該面109に対して概して平行に続くように延びており、そして、該L字状コネクタの頂点135において、該エンゴージング面129に平行に延びて、それによって、貫通孔104を有するL字状コネクタ133を設けるように、垂直にまたは実質的に垂直に角度が付けられている。
【0024】
図6に最も良く図示されているように、該主本体103の該長手方向軸134は、上部112の該中心から、該クイックコネクト110の該中心を通って、そして該中間部124の該中心を通って延在している。該貫通孔104の中心軸163は、該貫通孔104の該中心を通って延在し、および該主本体103の該長手方向軸134を横切っている。いくつかの例示的な実施形態において、該貫通孔の該中心軸163は、該主本体の該長手方向軸134から約20°~50°の角度γにある。いくつかの実施形態において、角度γは、約10°~60°、約30°~約40°の範囲とすることができ、または、約20°、25°、30°、35°、40°、45°または50°±5°または±2.5°または±1°とすることができる。
【0025】
図7および
図8は、該ハンドルの遠位端の周辺に配設された協働クイックコネクト136を介して、該主本体103の該近位端101の周辺で該クイックコネクト111に接続するハンドル105を示す。
図7において明確にするために透けているが、ハウジング137が、該ハンドル105の該協働クイックコネクト136を取り囲んでいる。該協働クイックコネクト136は、ばね139または他の付勢機構によって付勢されているアクチュエータ138を含む。該アクチュエータは、レーストラックまたは楕円形のアクチュエータ開口143を含む。円形面140が該ハンドルの該遠位端の周辺に設けられ、楕円形またはレーストラック状の断面形状を有するチャネル142と連通する楕円形またはレーストラック状の開口141が該円形面を通って設けられている。該開口141と、チャネル142と、アクチュエータ開口143は、それぞれ同様の断面形状を有し、およびそれぞれ、該主本体103のクイックコネクト110を受け入れるようなサイズおよび形状になっている。
【0026】
図8に最も良く図示されているように、通常の付勢位置において、該アクチュエータ開口143は、該協働クイックコネクト136の該チャネル142が、該ばねで付勢されたアクチュエータ138によって部分的に塞がれるように、該チャネル142と位置合わせされていない。該主本体103の該クイックコネクト110が、該ハンドル105の該協働クイックコネクト136内に挿入されるにつれて、該フレア部113は、ばね139の該付勢に抗して該アクチュエータ開口を進ませて、該クイックコネクト111の遠位で増加する直径に適合するように、該チャネル142と相互に位置合わせして該アクチュエータ開口を押し込む。一旦、該アクチュエータがクイックコネクト111の該環状凹部117に達すると、該アクチュエータは、その通常の付勢位置に戻るようになっており、該位置において、該チャネル142は再び部分的に塞がれる。該部分的に塞がれたチャネル142は、該クイックコネクト111の該第一のポスト114および該第二のポスト116の該比較的大きな直径のため、および該ハンドル105が定位置に固定されるため、該取付部110の動きを可能にしない。該ハンドルを取り外すために、該アクチュエータ138は、該アクチュエータ開口143と該チャネル142を互いに位置合わせするために、および該第一のポスト114を該アクチュエータ138から外すことができるように押下される。
【0027】
T字状ハンドル144が該ハウジング137に接続されて、該ハンドル105の該近位端を画定している。この特定の実施形態において、該T字状ハンドルは、ユーザの手によって把持されるために人間工学的に構成されたグリッパ145の回転の中心にある軸146を含む。
【0028】
図9は、該取付部110との接続用の、代替的な例示的実施形態によるハンドル905を示す。該ハンドルは、少なくとも片手で人間工学的に把持されるようなサイズおよび形状になっているグリッパ945を備えている。該ハンドル905は、
図7および
図8において上述した該協働クイックコネクト136とデザインが類似しているかまたは同一である協働クイックコネクト936を含む。
【0029】
図10に示すように、特定の実施形態において、該ハンドル905は、該協働クイックコネクト936と反対側の端部の周辺の第二の協働クイックコネクト946をさらに含むことができ、該第二の協働クイックコネクトは、第二のアクチュエータと、協働クイックコネクト936と似ているデザインとを有している。第二の協働クイックコネクト946は、円形断面形状(図示せず)を有するチャネルに対する開口を形成する円形状の開口947を近位面周辺に有するという点で、協働クイックコネクト936と区別される。
【0030】
図11は、例えば、該ハンドル905とともに用いることのできる、別の例示的な実施形態によるハンドルコンポーネント1105を示す。該ハンドルコンポーネント1105は、軸146を有する、T字状ハンドル144と似ているT字状ハンドル1144を含む。該ハンドルコンポーネント1105は、該主本体103のクイックコネクト111と同様のハンドルクイックコネクト1150をさらに含む。しかし、ハンドルクイックコネクト1150は、各々が円形断面形状を有している、第一のポスト1114と、第二のポスト1116と、環状凹部1117とを含む。ハンドルクイックコネクト1150は、ハンドル905をハンドルコンポーネント1105に接合するために、該第二の協働クイックコネクト946に係合することができる。比較的大きな直径を有するハブ1151は、中心周辺に、および該軸1146と該ハンドルクイックコネクト1150との間に設けられている。該本開示に従って、他の代替的な構成を設けることができる。
【0031】
例示的な実施形態によれば、該ストライクプレート115は、
図12および
図13に示すように構成され、該ストライクプレートは、いくつかの実施形態において、該インプラント抜去器アセンブリ100に含めることができる。該ストライクプレートは、四つの斜めの縁部が該矩形の四つの角部をカットしている、この実施形態においては概して矩形形状である、該取付ヘッド118周辺に固定接続することができるようなサイズになっている正八角形形状を有する開口152を含む。該多角形形状ブロック118および該開口の該形状は、該ストライクプレート115が該取付ヘッド118の周辺に固定さえすれば、変更することができる。該ストライクプレート115は、該ストライクプレートが、例えば、手術用ハンマー(図示せず)で叩かれるための面を設けるための、
図12に示すような該開口152に対向する端部周辺の漸増する幅を有する一組の対向する平坦面153、154を有している。
【0032】
図14は、例示的な実施形態による該ファスナー120を示す。該ファスナー120は、該L字状のコネクタの該貫通孔104の該直径よりも大きい直径を有するソケットヘッド155を含む。該ソケットヘッド155に対する近位端156は、標準的なサイズのソケット取付部を含むことができる。軸157は、該ソケットヘッドから始まり、および該貫通孔104に嵌合するか、または該貫通孔内を滑動するようなサイズになっている直径を有する。該軸157は、その遠位端159周辺にねじ切り部158を備えることができ、および抜き去られる該整形外科インプラントにより変わる可能性のある長手方向の全長を有することができる。該軸の該直径、または、円形状の軸を含まない実施形態においては、該軸の該サイズは、一般に、抜き去られる該整形外科インプラントの既存のアンカーホール(例えば、
図21のホール1558)の該直径またはサイズに基づいている。例えば、該既存のアンカーホールがねじ切り部を含まない場合、または、該既存のアンカーホールが特定の輪郭を有している場合、該軸にねじ切り部を設けることはできず、あるいは、取り外される該整形外科インプラントにより、相補的な輪郭を設けることができる。いずれの場合でも、該軸157は、該インプラントの該既存のアンカーホール1558内に確実に取付けるようなサイズになっており、またこの例示的な実施形態において、該ねじ切り部158は、該アンカーホールに設けられたねじ切り部に対して相補的になっている。
【0033】
図15~
図20は、該インプラント抜去器アセンブリ100に用いるのに適しているファスナー220の別の例示的な実施形態を示す。
図20に示すように、該ファスナー220は、該取付部110の該L字状コネクタ106の該貫通孔104内に収容されている。上述した単一のファスナー120と違って、
図15~
図20は、該ファスナー220が、好ましくは、二部材構成から成っていることを示している。より具体的には、該ファスナー220は、スタッド222およびナット224で構成され、この場合、該スタッドは、以下で説明するように、該ナットに、および抜き去られるインプラントにねじ接続可能である。
【0034】
該スタッド222は、
図18および
図20に最も良く図示されている。それらの図に示されているように、該スタッドは、近位ねじ切り部226と、滑らかな壁の中央部230によって分けられている遠位ねじ切り部228とを備えている。該スタッド222は、代替的に、その全長にわたってねじ切りされていてもよいことを理解されたい。
図20に図示されているように、該スタッド222は、該貫通孔104を貫通して延在し、それにより該遠位ねじ切り部228は、
図21および
図22に関連して以下で説明するように、インプラント1500の該アンカーホール1558に螺合されるように構成されている。該近位ねじ切り部226は、以下で説明するように、該ナット224の遠位端234に設けられたねじ穴232に螺合されるように構成されている。該スタッド222の近位端236には、多辺形ソケット238、例えば、Torxヘッドを設けることができる。
【0035】
該ナット224は、
図19Aおよび
図19Bに最も良く図示されている。これらの図に示すように、該ナットは、その近位端242に、工具を係合可能なヘッド240を含む。一つの態様によれば、該工具に係合可能なヘッドは、多角形状に構成された複数の外側面244を備えている。さらなる態様によれば、
図19Aは、該工具を係合可能なヘッドが、多角形状に構成された複数の内側面248を有するソケット246、例えば、Torxヘッドを備えていることを示している。
【0036】
図20は、該ナット224が、該ナットが該貫通孔104を貫通して延在するのを防ぐ遠位肩部250を画定していることを示している。
図16は、該工具を係合可能なヘッド240が、該肩部250から距離「O」だけオフセットされていることを示しており、それにより、レンチ、ナットドライバー、または、多角形キー、例えば、六角レンチまたはTorx工具等の適当な工具によって、該工具を係合可能なヘッドを容易に係合させることができる。
【0037】
該スタッドおよびナットファスナー220の目的は、該インプラントに堅固に接続すること、およびインプラントの抜き去り中に衝撃負荷が印加された場合に、何らかの意図しない湿気を有しないことである。この目的を達成するために、該抜去器具は、該インプラントに確実に結合されることを要する。シンプルなファスナー120(
図14)の場合、該ファスナーは、該インプラントとの適切なねじ係合を確保するための特定の長さを有することを要する。しかし、インプラントは潜在的にメーカーおよび型式が変わる可能性がある。そのため、可能性のあるすべての変化を考慮するために、異なる長さのファスナー120になっているか、または、有効に機能するように該ファスナーに手動で組み付けられた複数のスペーサシムである必要があるであろう。対照的に、該スタッドおよびナットファスナー220は、例えば、約0~3インチのインプラントソケットの深さの範囲を自動的に捉えるという点で有利である。
【0038】
該ファスナー220を、インプラント1500(
図21)等のインプラントに取付ける場合、該スタッド222が該貫通孔104を通過し、および該遠位のねじ切り部228が、該インプラントの該アンカーホール1558に螺合される。次いで、該スタッドは、該スタッドの該近位端236において該ソケット238に受け入れられた適当な工具により、該アンカーホールに堅固に締め付けられる。一旦、該スタッド222が該インプラント内に十分に締め付けられると、該ナットが、該スタッドに十分に螺合されるまで、または、該ナットの該肩部250が該L字状コネクタ106に接触するまで、該ナット224の遠位端234に設けられた該ねじ穴232が、該スタッドの該近位のねじ切り部226に螺合される。次に、該ナットは、該工具が係合可能なヘッド240に係合する適当な工具により、該スタッドに対して締め付けられる。該スタッドが該インプラントに対して締め付けられ、および該ナットが該スタッドに対して締め付けられた状態で、該インプラント抜去器アセンブリ100の該取付部110は、該インプラントに対して確実に締め付けられる。該取付部が該インプラントに対して締め付けられた状態では、インプラントの抜去中に、該ストライクプレート115の下面に突き当たる打撃工具の衝撃の影響を弱める可能性のある、該ファスナー220と該インプラントとの間の遊びがない。
【0039】
図21および
図22は、再置換手術等において、該本開示のインプラントの抜去器アセンブリを適用することのできる整形外科インプラント1500を示す。該インプラント1500は、上腕骨ステム1559および上腕骨頭1560を含むことができる。該上腕骨頭1560には、例えば、関節窩球との接触用の上腕骨凹面インサートを受け入れるためのアンカーホール1558を含む、一つ以上の開口を設けることができる。該アンカーホール1558の中心は、該インプラントの長手方向軸1564を画定している。
図21および
図22に示すように、該上腕骨ステム1559が予め上腕骨1561内に挿入されており、および該肩領域1562は、該上腕骨凹面インサートが既に取り除かれた状態で、再置換手術のために分離されている。
【0040】
手術中、該取付部110は、該上腕骨頭1560の上に配置される。該貫通孔の該中心軸163は、該インプラントの中心軸1564と位置合わせされる。そのようにして位置合わせされた該取付部の該長手方向軸134は、該インプラントの該長手方向軸1565と実質的に平行になるように位置合わせされる。次に、該ファスナー120(またはファスナー220)が、該取付部110の該貫通孔104を通って、該インプラント内(例えば、アンカーホール1558)に挿入される。この位置において、該取付部の該長手方向軸134はオフセットされているが、該インプラントの長手方向軸1565に実質的に平行になっている。次いで、該インプラント1500を取り除くために、近位の力が、場合により、該ストライクプレート115の該下面を打撃工具で叩くことによって増大されて該ハンドル105に印加される。該長手方向軸134が、例えば、該インプラントの該長手方向軸と平行に位置合わせされるにつれて、近位に向けられた力が、骨からの該インプラントの除去を容易にする単一方向に力線を有利に生成する。
【0041】
本発明の広範な創造的概念から逸脱することなく、上述した該例示的な実施形態に対して変更を実行できることは、当業者によって正しく認識されるであろう。したがって、この開示は、開示されている特定の実施形態に限定されないが、本願明細書で定義されているクレームの趣旨および範囲内での変更をカバーすることが意図されていることを理解すべきである。