(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】デスクシステム及びこれに用いられる移動可能なデスク
(51)【国際特許分類】
A47B 83/02 20060101AFI20231221BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A47B83/02
A47B17/00 Z
(21)【出願番号】P 2023054525
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301041508
【氏名又は名称】株式会社オージーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100213540
【氏名又は名称】鈴木 恵庭
(72)【発明者】
【氏名】大賀 隆之
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-047532(JP,A)
【文献】中国実用新案第205233881(CN,U)
【文献】中国実用新案第217408097(CN,U)
【文献】特開2022-072189(JP,A)
【文献】特開平10-033285(JP,A)
【文献】特開平10-215980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 83/02
A47B 17/00
A47C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰掛け部又は起立姿勢用背もたれの少なくとも一方が立設される底板と、移動可能なデ
スクとを備えるデスクシステムであって、
前記移動可能なデスクには、
側面視Z字状のデスクフレームであって、天板部を支持する上フレーム、キャスター付
きの下フレーム、前記上フレームと前記下フレームとを連結する傾斜フレームを有するデ
スクフレームと、
前記移動可能なデスクを任意の位置で床面に固定するためのストッパと、
任意のタイミングで前記固定を解除するための解除レバーと、
が備えられ、
前記底板と前記床面との間には、
前記移動可能なデスクの前記下フレームを差し込むための間隙を設けるためのスペーサ
が配置され、
前記ストッパは、
前記下フレームの所定位置に突設された支柱と、
前記支柱に対して回動可能に取り付けられ、その先端側が前記床面に対して略垂直に当接するように屈曲又は湾曲した押圧アームと、
前記所定位置と前記押圧アームとの間に架け渡され、前記押圧アームの先端側が前記床面に押圧される方向に付勢された弾性体とを備え、
前記解除レバーは、前記押圧アームの元端側に固定される
ことを特徴とするデスクシステム。
【請求項4】
腰掛け部又は起立姿勢用背もたれの少なくとも一方が立設される底板と、移動可能なデ
スクとを備えるデスクシステムであって、
前記移動可能なデスクには、
側面視Z字状のデスクフレームであって、天板部を支持する上フレーム、キャスター付
きの下フレーム、前記上フレームと前記下フレームとを連結する傾斜フレームを有するデ
スクフレームと、
前記移動可能なデスクを任意の位置で床面に固定するためのストッパと、
任意のタイミングで前記固定を解除するための解除レバーと、
が備えられ、
前記底板と前記床面との間には、
前記移動可能なデスクの前記下フレームを差し込むための間隙を設けるためのスペーサ
が配置され、
前記上フレーム及び前記傾斜フレームは、
前記上フレームの一端が挿通される挿通孔及び前記傾斜フレームの一端が挿通される挿通孔が設けられたジョイント材を介して互いに連結される
ことを特徴とするデスクシステム。
【請求項5】
腰掛け部又は起立姿勢用背もたれの少なくとも一方が立設される底板と、移動可能なデ
スクとを備えるデスクシステムであって、
前記移動可能なデスクには、
側面視Z字状のデスクフレームであって、天板部を支持する上フレーム、キャスター付
きの下フレーム、前記上フレームと前記下フレームとを連結する傾斜フレームを有するデ
スクフレームと、
前記移動可能なデスクを任意の位置で床面に固定するためのストッパと、
任意のタイミングで前記固定を解除するための解除レバーと、
が備えられ、
前記底板と前記床面との間には、
前記移動可能なデスクの前記下フレームを差し込むための間隙を設けるためのスペーサ
が配置され、
前記底板には、座面の傾斜角度及び高さ位置が調節可能な前記腰掛け部が立設される
ことを特徴とするデスクシステム。
【請求項9】
請求項1~
8の何れか1項に記載のデスクシステムに用いられる移動可能なデスクであって、
側面視Z字状のデスクフレームであって、天板部を支持する上フレーム、キャスター付きの下フレーム、前記上フレームと前記下フレームとを連結する傾斜フレームを有するデスクフレームと、
前記移動可能なデスクを任意の位置で前記床面に固定するためのストッパと、
任意のタイミングで前記固定を解除するための解除レバーと、
を備えることを特徴とする移動可能なデスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスクシステム及びこれに用いられる移動可能なデスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、年齢を問わず、椅子への座り過ぎが身体に悪影響を与えることが提言され、論文等でも発表されている。椅子へ座る場合には、膝と腰をほぼ直角に曲げた姿勢となるため、体重の大半が腰や脊柱に掛かるという座り方しか出来ず、椅子への座り過ぎによる身体への悪影響は、座ったままの姿勢が維持されることによるものである。一方、家庭、学校、オフィスなどで使用されている椅子は種々のものが提供されており、例えば、高さ調整などの機能が搭載された椅子(特許文献1等を参照)や、起立支援機能が搭載された椅子(特許文献2等を参照)なども提案されている。例えば、特許文献1に開示された椅子は、ロッキング機構や背座の高さ調節機構等の作動機構を備えたものであり、特許文献2に開示された起立着座支援椅子は、使用者が起立するときには、マイクに向かって起立するときの音声を発すると、音声データを解析して電動アクチュエータによって座面部の後部が上昇し、同時に背もたれ部も上方向に上昇する、というものである。
【0003】
一方、本出願人は、デスクワーク中に起立や着座の動作を頻繁に行って着座姿勢の長時間化を避けることができるように、着座する座板の側面視が山形状となる状態と座板の側面視が平面状となる状態との間の適宜の位置で自在に変えることができるリンク機構付きの椅子を提案した(特許文献1~3等を参照)。特に、特許文献4には、リンク機構付きの椅子と天板の高さが可変な昇降式机とを共通の底板に立設し、その椅子から机までの間隔を調整可能とした椅子システムが開示されている(特許文献4の
図1等を参照)。例えば、特許文献4の椅子システムを実際のデスクワークで使用してみたところ、使用者が椅子に浅く腰掛けた姿勢をとることができ、膝と腰をほぼ直角に曲げた姿勢での座り過ぎを防止する効果があることを確認することができた。これを踏まえ、浅く腰掛けた姿勢や座面から腰を離した起立した姿勢での作業を容易に持続させることができれば、使用者の身体や健康への貢献がさらに高まるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-105293号公報
【文献】特開2014-140435号公報
【文献】特許第6815681号公報
【文献】特許第6797454号公報
【文献】特許第6797453号公報
【文献】特許第5817224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、起立した姿勢で作業するときと着座姿勢で作業するときとでは適切なデスクの高さが異なるので、天板の高さ調節可能なデスク(例えば、特許文献6)が提案されている。但し、この種のデスクは、高さを調節するためにビスやボルトの位置を付け替える必要があり、そうでない場合には電動昇降装置などの機構を配置するのが一般的であった。
【0006】
また、例えば、デスク上で書類整理作業を行っている途中で、PC作業などの別の作業の必要が生じた場合には、整理中の書類を一旦綴じてデスク上を片付ける必要がある。この場合、PC作業が終了した後に先の書類整理作業を再開する際には、書類整理の中断直前の状態にデスク上を戻すことが必要となるが、その整理がどこまで片付いていたのかを即座に思い出せず、無駄な時間が発生することがある。その点、作業別のデスクを用意しておき、作業ごとにデスクを使い分けることができれば、デスク上の書類レイアウトから作業の進捗を即座に把握できるので、作業の再開がよりスムーズとなる。また、例えば、クリエイティブな作業の合間に全く異なる種類の作業を挟むと、同じ作業を継続して行った場合よりも個々の作業が捗る可能性が高いので、複数のデスクを作業別に用意することの有用性は高いと考えられる。
【0007】
また、各所に配置されたデスクで種々の作業を行う場合には、作業者は例えばキャスター付きの椅子を利用して別のデスクまで移動する必要があった。しかしながら、特許文献4の
図1に開示されているように椅子1が底板70に固定されている場合には移動が容易ではないため、デスクの方を移動可能とすれば、作業者の負担を軽減できると考えられる。
【0008】
そこで、本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、デスクとしての使い勝手が良く、デスクの移動及び位置調整が容易なデスクシステム及びこれに用いられる移動可能なデスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムは、腰掛け部又は起立姿勢用背もたれの少なくとも一方が立設される底板と、移動可能なデスクとを備えるデスクシステムであって、前記移動可能なデスクには、側面視Z字状のデスクフレームであって、天板部を支持する上フレーム、キャスター付きの下フレーム、前記上フレームと前記下フレームとを連結する傾斜フレームを有するデスクフレームと、前記移動可能なデスクを任意の位置で前記床面に固定するためのストッパと、任意のタイミングで前記固定を解除するための解除レバーと、が備えられ、前記底板と前記床面との間には、前記移動可能なデスクの前記下フレームを差し込むための間隙を設けるためのスペーサが配置されることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記ストッパは、前記下フレームの所定位置に突設された支柱と、前記支柱に対して回動可能に取り付けられ、その先端側が前記床面に対して略垂直に当接するように屈曲又は湾曲した押圧アームと、前記所定位置と前記押圧アームとの間に架け渡され、前記押圧アームの先端側が前記床面に押圧される方向に付勢された弾性体とを備え、前記解除レバーは、前記押圧アームの元端側に固定されてもよい。
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記解除レバーが前記床面に対してなす角度は60~70°であってもよい。
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記下フレームの所定位置には、前記傾斜フレームの下端を支持するためのマウントが固定され、前記マウントのうち当該傾斜フレームが取付けられる面には、当該傾斜フレームを垂直な姿勢で支持するために予め適当な勾配が設けられてもよい。
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記上フレーム及び前記傾斜フレームは、前記上フレームの一端が挿通される挿通孔及び前記傾斜フレームの一端が挿通される挿通孔が設けられたジョイント材を介して互いに連結されてもよい。
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記底板には、座面の傾斜角度及び高さ位置が調節可能な前記腰掛け部が立設されてもよい。
【0015】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記底板には、使用者が起立した姿勢となった場合に当該使用者の背中を支持するための支持部を備えた前記起立姿勢用背もたれが立設されてもよい。
【0016】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記腰掛け部の位置と前記起立姿勢用背もたれの位置とを前記底板上で反転させるための回動機構を更に備えてもよい。
【0017】
上記課題を解決するために本発明に係る一のデスクシステムにおいて、前記腰掛け部の座面の形状は側面視山型状であり、前記腰掛け部は、当該座面の頂部の高さ位置が高いほど当該座面の傾斜が急角度になるよう前記頂部の高さ位置と前記頂部の角度とを連動させるリンク機構を備えてもよい。
【0018】
上記課題を解決するために本発明に係る一の移動可能なデスクは、本発明に係る一のデスクシステムに用いられる移動可能なデスクであって、側面視Z字状のデスクフレームであって、天板部を支持する上フレーム、キャスター付きの下フレーム、前記上フレームと前記下フレームとを連結する傾斜フレームを有するデスクフレームと、前記移動可能なデスクを任意の位置で前記床面に固定するためのストッパと、任意のタイミングで前記固定を解除するための解除レバーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るデスクシステム及びこれに用いられる移動可能なデスクは、側面視Z字状のデスクフレームで天板部を支持するので、デスクとしての安定性が高い。しかも、側面視Z字状のデスクフレームは底板の下側へ下フレームを差し込むことが可能なので、使用者が自分の足元の空間を確保しつつ身体近くにまで天板部を引き寄せることも可能である。更には、当該デスクフレームは移動可能かつ任意の位置で固定可能であるので、(1)使用者が自分の身体とデスクとの位置関係を調節すること、(2)使用しないときに離れた位置へとデスクを移動させること、(3)移動の途中でデスクを適宜に固定すること、がそれぞれ容易である。したがって、本発明に係るデスクシステム及びこれに用いられるデスクには、デスクとしての使い勝手が良く、デスクの移動及び位置調整が容易という効果がある。
また、本発明に係る移動可能なデスクを複数用意すれば、デスクを適宜に交換して使用することも容易である。また、これら移動可能なデスクの高さに予め差異を設けておけば、デスクを交換するだけで天板の高さを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1はデスクシステムの一実施形態を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は本実施形態のデスクシステムの概略平面図である。
【
図3】
図3はデスクシステムの使用方法を説明する説明図である。
【
図4】
図4(A)は腰掛け部の概略拡大側面図、
図4(B)は腰掛け部の概略拡大正面図である。
【
図5】
図5はデスクシステムに使用される移動可能なデスクの側面図である。
【
図6】
図6はデスクシステムに使用される移動可能なデスクの正面図である。
【
図7】
図7はデスクシステムに使用される底板及び下フレームの底面図である。
【
図8】
図8はストッパ及びその周辺の拡大側面図である。
【
図9】
図9はデスクシステムの変形例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.実施形態
以下、本発明に係るデスクシステムの好ましい一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
1-1.システムの概略構成
以下、
図1~
図3を参照して本実施形態のデスクシステムの概略構成を説明する。
図1はデスクシステムの一実施形態を示す概略側面図、
図2は本実施形態のデスクシステムの概略平面図、
図3はデスクシステムの使用方法を説明する説明図である。
【0023】
先ず、
図1,
図2に示すとおり、本実施形態のデスクシステム1は、底板70と、腰掛け部10と、起立姿勢用背もたれ20と、回転ステージ24Sと、移動可能なデスク100とを備える。
【0024】
底板70は、
図2に示すとおり平面視長方形状の板状の部材であって、その上で使用者がデスクワークを行うのに十分な幅W及び奥行Dを有している。
【0025】
腰掛け部10は、
図1に示すとおり、底板70上に立設された、座面11の傾斜角度及び高さ位置が調節可能な腰掛け部(椅子)である。この腰掛け部10は、
図3(B),(C)に示すとおり側面視山型状の座面11と、座面11の頂部の高さ位置が高いほど当該座面11の傾斜が急角度になるよう頂部の高さ位置と頂部の角度とを連動させるリンク機構12とを備える。このリンク機構12によると、
図3(A)に示すとおり、座面11の高さが最も低くなったときに座面11の側面視形状がフラットになる。なお、腰掛け部10には、リンク機構12の関節角度を固定するためのストッパ12H(
図4(A))が設けられているので、使用者は座面11の高さ及び傾斜角度の組み合わせを任意の状態で固定することができる。例えば、
図3(A)に示すとおり座面11をフラットにすると、使用者が腰掛け部10に深く腰掛けて作業することが可能であり、
図3(B)に示すとおり座面1の側面視形状を山形にすると、使用者が腰掛け部10に浅く腰掛けて作業することが可能である。
【0026】
起立姿勢用背もたれ20は、底板70上に立設され、使用者が起立姿勢となった場合(
図3(C))に当該使用者の背中を支持するための背もたれである。この起立姿勢用背もたれ20の高さは、起立姿勢用背もたれ20の支柱に設けられた伸縮ジョイント22によって調節可能であり、起立姿勢用背もたれ20の頂部には、使用者の背中を支持するための支持部材として表裏対称(
図1の左右対称)な形状のクッション21が取り付けられている。よって、本実施形態の起立姿勢用背もたれ20は、使用者が起立姿勢にあるとき(
図3(C))だけでなく、使用者が着座姿勢にあるとき(
図3(A))にも使用することが可能である。
【0027】
回転ステージ24Sは、底板70上に回転可能に軸支され、起立姿勢用背もたれ20の支柱及び腰掛け部10の支柱を下側から支持する平面視ラケット状の回動機構である。回転ステージ24Sの下面側には、
図2示すとおり、複数(
図2では6個)のフリーボールベアリング24B,24B,…が適当な間隔で取り付けられており、底板70上を回転ステージ24Sがスムーズに回転できるようになっている。この回転ステージ24Sが回転すると、
図3(B),(C)に示すとおり、起立姿勢用背もたれ20及び腰掛け部10の位置を底板70上で反転させることができる。なお、回転ステージ24Sと底板70との間には、回転ステージ24Sの回転位置を固定するための不図示のストッパが設けられていてもよい。
【0028】
また、回転ステージ24Sに対する起立姿勢用背もたれ20の取付け部の形状は、
図1では直立タイプとして描かれているのに対して、
図3ではラウンドタイプとして描かれているが、本実施形態では直立タイプとラウンドタイプの何れを採用することも可能である。ここでいう「ラウンドタイプ」とは、例えば、背もたれ20の支柱の全体が板状部材で構成されており、当該板状部材の下端が腰掛け部10の支柱の下端側へ回り込むように湾曲した状態で取り付けられており、その結果として当該板状部材の側面視形状が略面取りL字状となったタイプである。
【0029】
1-2.リンク機構の一例
以下、
図4を参照してリンク機構を説明する。
図4(A)は腰掛け部の概略拡大側面図、
図4(B)は腰掛け部の概略拡大正面図である。
図4(A),(B)に示すとおり、腰掛け部10のリンク機構は、左右の支柱13,13に個別に取り付けられた左右のリンク機構12,12と、左右のリンク機構12,12の間に架け渡される共通の梁部材63と、梁部材63の中央に取り付けられ、座面11の頂部の裏側に取り付けられた伸縮自在なシャフト131と、シャフト131の内部の下端寄りに配置され、且つシャフト131が伸張する方向に付勢されたコイルバネなどの弾性部材(不図示)と、リンク機構12,12の関節J1~J5の角度を固定するためのストッパ12Hとを備える。
【0030】
ここで、左右のリンク機構12,12は左右対称な構成であるので、ここでは左のリンク機構12に着目して説明する。また、本実施形態では一対のリンク機構12,12を用いているが(ダブルタイプ)、何れか一方のリンク機構12を省略すると共に、残りのリンク機構12を座面11の頂部の下方へ配置してもよい(シングルタイプ)。
【0031】
リンク機構12は、側面視略ハ字状の上部リンク部ULと、側面視W字状の中部リンク部MLと、側面視V字状の下部リンク部LLとを備える。
【0032】
上部リンク部ULは、奥側(
図4の右側)に配置された側面視略I字状の第一上部リンク部材1Uと、手前側(
図4の左側)に配置された側面視I字状の第二上部リンク部材2Uとを備える。
【0033】
中部リンク部MLは、奥側に配置された側面視略L字状の第一中部リンク部材1Mと、手前側に配置された側面視略L字状の第二中部リンク部材2Mとを備える。
【0034】
下部リンク部LLは、奥側に配置された略I字状の第一下部リンク部材1Lと、手前側に配置された側面視略I字状の第二下部リンク部材2Lとを備える。
【0035】
ここで、以上のリンク機構12の奥側の構造と手前側の構造は対称な関係になるので、ここでは奥側の構成に着目して説明する。
【0036】
第一上部リンク部材1Uの一端は、シャフト131の上端側に関節(ジョイント)J1を介して連結されており、第一上部リンク部材1Uの他端は、関節(ジョイント)J2を介して第一中部リンク部材1Mの一端に連結されている。
【0037】
第一中部リンク部材1Mの他端は、関節(ジョイント)J5を介して梁部材63に連結されており、第一中部リンク部材1Mの途中(L字の屈曲部)は、関節(ジョイント)J3を介して第一下部リンク部材1Lの上端に連結されている。
【0038】
第一下部リンク部材1Lの下端は、関節(ジョイント)J4を介して、支柱13の周囲に設けられた上下動プレート64に連結されている。
【0039】
したがって、座面11の頂部に何も荷重(使用者の体重)をかけない状態では、不図示のコイルバネなどの弾性部材によってシャフト131が上方に付勢されているので関節J1~J5の位置関係が
図3(C)に示すように座面11の傾斜角度が最も急角度となり、座面11の高さが最も大きくなる。
【0040】
一方、座面11の頂部へ荷重(使用者の体重など)をかけると、不図示の弾性部材の付勢力に抗して関節J1~J5の位置関係が徐々に
図3(C),(B),(A)に示す位置関係へと変化し、座面11の傾斜角度が徐々に緩やかになり、また座面11の高さが徐々に小さくなる。
【0041】
リンク機構12のストッパ12Hは、リンク機構12の少なくとも1つの関節を固定するブレーキ機構に連結されている。このブレーキ機構は、例えば、ストッパ12Hの下端に設けられた偏心カムであって、ストッパ12Hの引き下げに応じて回動し、梁部材63とシャフト131の隙間へ押し込まれることにより、シャフト131の伸縮を阻害する偏心カムなどを備えている。
【0042】
これにより、使用者がストッパ12Hを押し込む(引き下げる)と、前述したブレーキ機構がシャフト131の伸縮を阻害するので、リンク機構12の全ての関節J1~J5が固定され、その結果として座面11の高さ及び傾斜角度が固定される。
【0043】
一方、使用者がストッパ12Hを解除する(引き上げる)と、前述したブレーキ機構が解除されてシャフト131の伸縮を許容するので、リンク機構12の全ての関節J1~J5が可動になり、その結果として座面11の高さ及び傾斜角度が可変となる。
【0044】
なお、本実施形態では、リンク機構12の奥側の構造と手前側の構造とを対称としたが、奥側の構造を省略して手前側の構造のみとしてもよい。
【0045】
1-3.移動可能なデスクの概略構成
以下、
図5,
図6を参照して移動可能なデスクの概略構成を説明する。
図5はデスクシステムに使用される移動可能なデスクの側面図、
図6はデスクシステムに使用される移動可能なデスクの正面図である。
【0046】
移動可能なデスク100は、天板部102と、デスクフレーム101と、ストッパ200と、解除レバー300とを備える。
【0047】
天板部102は、例えば、平面視四角形の板状の天板であり、天板部102の幅は、例えば
図2に示すとおり、底板60の幅Wと同じに設定されている。
【0048】
デスクフレーム1
01は、側面視Z字状のフレームであって、天板部102を支持する左右のパイプ状の上フレーム101U,101Uと、板状の下フレーム101Bと、上フレーム101U,101Uと下フレーム101Bとを連結する左右のパイプ状の傾斜フレーム101M,101Mと、下フレーム101Bの下面に取付けられたストレートキャスター104,104,104,104とを備える。下フレーム101Bの平面視形状は、例えば天板部102よりも一回り小さな平面視四角形であって、その幅W’は
図2に示すとおり底板70の幅Wよりも狭く設定されている。
【0049】
1-4.底板と下フレームとの関係
以下、
図7を参照して底板と下フレームとの構成について説明する。
図7はデスクシステムに使用される底板及び下フレームの底面図である。
【0050】
先ず、
図7の左方に示すとおり、底板70の下面の周縁寄りには、例えば6個のスペーサ70S,70S,70S,70S,70S,70Sが略等間隔で取付けられており、これによって、デスクフレーム1
01の下フレーム101Bを差し込むための間隙が底板70と床面71との間に設けられる(
図1参照)。尚、これらのスペーサ70S,70S,70S,70S,70S,70Sの各々の先端側には、高さ調整のためのアジャスタが設けられていることが望ましい。底板70のがたつきを抑えることができるからである。
【0051】
一方、
図7の右方に示すとおり、下フレーム101Bの下面の四隅には、デスクフレーム1
01を床面71に沿って移動させるためのストレートキャスター104,104,104,104が取付けられている。これらのストレートキャスター104,104,104,104の転がり方向は、使用者の手前奥方向(
図7の左右方向)である。したがって、移動可能なデスク100は床面71上をスムーズに移動することができる。
【0052】
更に、底板70の下面の先端寄り(
図7の右寄り)のエリアには、幅方向にかけて並ぶ一対のレール状の案内部材400,400が設けられている。案内部材400,400の内側の面の間隔は、下フレーム101Bの幅方向に並ぶキャスター104,104の外側の面の間隔よりも僅かに広く設定されている。このような一対の案内部材400,400は、下フレーム101Bのキャスター104,104,104,104を案内し、底板70に対する下フレーム101Bの差込み角度を、
図7中の白抜き矢印の方向に制限する。したがって、使用者が自分の身体と移動可能なデスク100の間隔を調整する際にも必ず天板部102(
図1)を自分の正面に位置させることができる。
【0053】
更に、一対の案内部材400,400の間隔は、底板70の先端(
図7の右端)に近づくにつれて徐々に広げられている(一対の案内部材400,400の先端側はハの字状に広げられている)。これによって、案内部材400,400が下フレーム101Bを受け入れ易くなっている。
【0054】
以上の結果、使用者は、例えば腰掛け部10に腰掛けたまま、移動可能なデスク100を奥から手前に引き寄せたり、移動可能なデスク100を手前から奥へと押しのけたりすることが容易であり、しかも、その際には、デスク100の角度を適正に維持して自分の身体に正対させることが可能である。
【0055】
1-5.ストッパ及びその周辺の構成
以下、
図8を参照してストッパ及びその周辺の構成を説明する。
図8はストッパ及びその周辺の拡大側面図である。ストッパ200は、移動可能なデスクフレーム1
01を任意の位置で床面71に固定するための固定機構であり、解除レバー300は、使用者が任意のタイミングでストッパ200による固定を解除するための操作部材である。
【0056】
ストッパ200は、マウント204と、支柱202と、押圧アーム201と、回動軸210と、弾性体の一種であるコイルバネ203と、取付金具206、206と、アジャスタ205とを備える。
【0057】
マウント204は、下フレーム101Bのうち傾斜フレーム101M,101Mの取付け先となる所定位置P1にボルト等で固定されている。
【0058】
支柱202は、マウント204上に上方に向かって突設された柱状部材であって、その先端側には使用者から見て左右方向に延びる回動軸210が取付けられている。
【0059】
押圧アーム201は、当該回動軸210を中心として回動可能に支柱202に取付けられたアームであって、この押圧アーム201は、押圧アーム201の先端部が床面71に対して略垂直に当接するよう約120°の角度を以て屈曲又は湾曲している。
【0060】
コイルばね203は、マウント204と押圧アーム201との間に取付け金具206,206を介して架け渡され、押圧アーム201の先端側が床面71に押圧される方向に付勢されている。これにより、解除レバー300を操作しない状態では移動可能なデスク100(
図5,
図6)が床面71に常に固定される。
【0061】
そして、押圧アーム201の元端側には、前述した解除レバー300の先端側が固定されている。
図8に示す例では解除レバー300の先端側に設けられた筒状部が、押圧アーム201の元端側に設けられた筒状部と同軸で固定されており、両者の筒状部に共通の回動軸201が挿通されている。この解除レバー300が床面71に対してなす角度は60~70°、好ましくは65°であって、解除レバー300の姿勢は、傾斜フレーム101M(
図5参照)に沿うような姿勢である。なお、ここでは解除レバー300と押圧アーム201とが別部材で構成される例を挙げたが、両者は同一部材で構成されてもよい。
【0062】
この状態から、使用者が解除レバー300の元端側を把持して手前下方へ引き下げると、解除レバー300の先端に固定された押圧アーム201が回動軸201を中心として
図8の方向DAへ向けて回動するので、押圧アーム201の先端側が床面71から浮き上がり(方向DB)、移動可能なデスク100(
図5)の固定が解除される。よって、使用者は、解除レバー300の元端側を手前下方へ引き下げつつ、移動可能なデスク100を床面71に沿って押したり引いたりするだけで、移動可能なデスク100をスムーズに移動させることができる。なお、本実施形態において、解除レバー300を引き下げた状態(ストッパ200が解除された状態)を維持するための図示しない別途のストッパを解除レバー300又はストッパ200に設けてもよい。
【0063】
なお、押圧アーム201の先端側には、押圧アーム201の先端部を確実に床面71にフィットさせるためのアジャスタ205が取付けられてもよい。押圧アーム201による床面71のグリップ力が高まるからである。
また、解除レバー300の元端側にはボール状のグリップ(把持部)300G(
図5参照)が取付けられてもよい。解除レバー300の操作性が高まることが期待できるからである。
【0064】
1-6.ジョイント材について
以下、
図5,
図6を参照してデスクフレームのジョイント材について説明する。上述した本実施形態のデスクフレーム1
01の天板部102、左右の上フレーム101U,101U、左右の傾斜フレーム101M,101M、及び下フレーム101Bは、
図5,
図6に示すとおり左右のジョイント材103T,103T,左右のジョイント材103B,103B,及びマウント204によって連結されている。尚、本実施形態ではマウント204がストッパ200とデスクフレーム1
01とに兼用されるが、ストッパ用のマウントとデスクフレーム用のマウントとが別部材で構成されてもよい。
【0065】
左右のジョイント材103T,103Tは、左右の上フレーム101U,101Uと天板部102とを天板部102の前方寄りの位置で連結するための部材である。
左右のジョイント材103T,103Tは、天板部102の裏面の所定位置にボルト等で固定されている。
左のジョイント材103Tには、左の上フレーム101Uの先端側が挿通される挿通孔が予め形成されている。
右のジョイント材103Tには、右の上フレーム101Uの先端側が挿通される挿通孔が予め形成されている。
そして、左右のジョイント材103T,103Tにそれぞれ設けられた挿通孔に左右の上フレーム101U,101Uの後方側がそれぞれ挿通され、それら挿通孔の内壁と、これに挿通された左右の上フレーム101U,101Uの先端側の外壁とは、溶接材によって強固に固定される。
【0066】
一方、左右のジョイント材103B,103Bは、左右の上フレーム101U,101Uと、左右の傾斜フレーム101M,101Mと、天板部102とを連結するための部材である。
左右のジョイント材103B,103Bは、天板部102の裏面の所定位置にボルト等で固定されている。
左のジョイント材103Bには、左の上フレーム101Uの元端側が挿通される挿通孔(水平な挿通孔)と、左の傾斜フレーム101Mの上端側が挿通される挿通孔(傾斜した挿通孔)とが予め形成されている。
右のジョイント材103Bには、右の上フレーム101Uの元端側が挿通される挿通孔(水平な挿通孔)と、右の傾斜フレーム101Mの上端側が挿通される挿通孔(傾斜した挿通孔)とが予め形成されている。
そして、左右のジョイント材103B,103Bの水平な挿通孔に左右の上フレーム101U,101Uの元端側が挿通され、左右のジョイント材103B,103Bの傾斜した挿通孔に左右の傾斜フレーム101M,101Mの上端側が挿通され、それら挿通孔の内壁と、これに挿通されたフレーム101U,101U,101M,101Mの上端側の外壁とは、溶接材によって強固に固定される。
【0067】
マウント204は、左右の傾斜フレーム101M,101Mと、下フレーム101Bとを連結するための部材である。
マウント204は、下フレーム101Bの前述した所定位置P1(
図8)にボルト等で固定されている。
マウント204には、左右の傾斜フレーム101M,101Mの下端側が挿通される左右の挿通孔(傾斜した連通孔)が予め形成されている。
そして、これら左右の挿通孔に左右の傾斜フレーム101M,101Mの下端側が個別に挿通され、左右の挿通孔の内壁と左右の傾斜フレーム101M,101Mの下端側の外壁とは溶接材によって強固に固定される。
ここで、本実施形態において、マウント204のうち左右の傾斜フレーム101M,101Mの下端側が取付けられる面204S,204Sには、左右の傾斜フレーム101M,101Mの下端側を垂直な姿勢で支持するために予め適当な勾配が設けられている。このようにして傾斜フレーム101M,101Mの中心線とマウント204の取付けられる面204Sとを垂直にすれば、傾斜した連通孔の内壁と傾斜フレーム101M,101Mの下端側の外壁とが接する面積を稼ぎ、その結果として連結強度が高まるからである。
【0068】
以上の説明したとおり、本実施形態では、ジョイント材103T,103T,103B,103B,及びマウント204を介して上フレーム101U,101U,傾斜フレーム101M、101M、及び下フレーム101Bを連結するので、1本のパイプを折り曲げて上フレーム101U、傾斜フレーム101M、及び下フレーム101Bなどを連結した場合よりもデスクフレーム101の強度・安定性が高まる。
【0069】
1-7.実施形態の効果
以上説明したとおり、本実施形態に係るデスクシステム1及びこれに用いられる移動可能なデスク100は、側面視Z字状のデスクフレーム101で天板部102を支持するので、デスクとしての安定性が高い。しかも、側面視Z字状のデスクフレーム101は下フレーム101Bを底板70の下側へ差し込むことが可能なので、使用者が自分の足元の空間を確保しつつ身体近くにまで天板部102を引き寄せることも可能である。更には、当該デスクフレーム101は移動可能かつ任意の位置で固定可能であるので、(1)使用者が自分の身体とデスク100との位置関係を調節すること、(2)使用しないときに離れた位置へとデスク100を移動させること、(3)移動の途中でデスク100を適宜に固定すること、がそれぞれ容易である。したがって、本実施形態に係るデスクシステム1及びこれに用いられるデスク100には、デスクとしての使い勝手が良く、デスクの移動及び位置調整が容易という効果がある。
また、本実施形態に係る移動可能なデスク100を複数用意すれば、移動可能なデスク100を適宜に交換して使用することも容易である。また、これら移動可能なデスク100の高さに予め差異を設けておけば、デスク100を交換するだけで天板の高さを変更することができる。
【0070】
2.変形例
以下、上述した実施形態のデスクシステム1のいくつかの変形例について説明する。
2-1.腰掛け部を固定した変形例
例えば、上述したデスクシステム1では、腰掛け部10と起立姿勢用背もたれ20とを一緒に回転させたが、側面視山形状の座面11は前後どちらからでも腰掛けることが可能であるので、腰掛け部10を底板70上に固定しておき、当該腰掛け部10の周囲を起立姿勢用背もたれ20が回動又は回転可能となるように構成してもよい。この変形例においては、腰掛け部10と起立姿勢用背もたれ20の双方を支持する回動ステージ24Sの代わりに、腰掛け部10を支持せず起立姿勢用背もたれ20を支持する例えばドーナツ状のステージを用いてもよい。
【0071】
2-2.背もたれの変形例
また、他の変形例としては、底板70に立設された起立姿勢用背もたれ20の代わりに、座面11の頂部に立設された起立促進用背もたれを設けてもよい。この変形例によると、使用者が座面11の頂部へ深く腰掛けること(
図3(A))を阻害することができるので、使用者に対して浅く腰掛けた姿勢(
図3(B))を習慣づけるのに適している。この変形例では、腰掛け部10の位置と起立促進用背もたれ20の位置を反転させる必要がないので、上述した回動ステージ24Sを省略することも可能である。但し、使用者が所望の方向から腰掛け部10に腰掛けたり、所望の方向へ腰を上げたりするために回動ステージ24Sを使用してもよい。
【0072】
2-3.デスクシステムの変形例
また、上述したデスクシステム1において、腰掛け部10を省略することにより、起立姿勢促進用のデスクシステムを構成することもできる。このデスクシステムによると、使用者が起立姿勢用背もたれ20へ背中を預けることにより、起立した姿勢での作業を容易に継続することができると共に、底板70が使用者の体重を受けて安定するので、底板70に立設された起立姿勢用背もたれ20に使用者が安心して背中を預けられるというメリットがある。したがって、この起立姿勢促進用のデスクシステムによれば、起立した姿勢の継続を促すことができると共に、起立した姿勢を途中で断念して無意識に腰掛けるという事態が生じにくいという効果がある。なお、このデスクシステムには腰掛け部10が備えられないので、上述した回動ステージ24Sを省略することも可能である。
【0073】
2-4.リンク機構の変形例
上述した何れかの実施形態又は何れかの変形例におけるリンク機構としては、上述したものに限定されることはなく、例えば、特許第6815681号公報、特許第6797454号公報、特許第6797453号公報の何れかに開示されているようなリンク機構を用いることもできる。
【0074】
2-5.デスクシステムの補足
上述した何れかのデスクシステムにおいては、上述したとおり、複数のデスクを用意しておき、適宜に交換して使用することも可能である。その場合、例えば、天板部の高さの異なる複数のデスクを用意しておき、これらのデスク適宜に交換して使用すると大変便利である。これらのデスクをそれぞれ上述した構造にしておけば、天板部の高さが低く設定された着座姿勢用のデスクと、天板部の高さが高く設定された起立姿勢用のデスクとを交換する際に、個々のデスクの移動や位置調整を容易に行うことができるからである。
また、例えば、
図9に示すとおり、使用者の前後だけでなく左右にかけても底板70の長さを確保しておき(約1500mm程度)、この底板70の互いに異なる辺(縁部)へ上述した構成の作業別デスク100-1,100-2,100-3,100-4をそれぞれ差込んでおけば、使用者が腰掛けた姿勢のまま腰掛け部10を回転させるだけで、異なるデスクでの作業を開始することが可能である。このような
図9のデスクシステム1’によれば、異なる作業の間の切り替えをスムーズに行うことができるという効果がある。尚、デスクシステム’において、複数のデスク100-1,100-2,100-3,100-4の間で天板部102の形状・サイズの少なくとも一方に差異が設けられてもよいし、天板部102の高さに差異が設けられてもよい。
【0075】
2-6.その他
その他、上述した何れかの実施形態又は何れかの変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々に変形することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 デスクシステム
1’ デスクシステム
10 腰掛け部
11 座面(座板又はクッション)
12 リンク機構
12H ストッパ
13 支持部材
131 シャフト
1L 第一下部リンク部材
1M 第一中部リンク部材
1U 第一上部リンク部材
20 起立姿勢用背もたれ
21 クッション
22 伸縮ジョイント
24S 回動ステージ
24B ベアリング
2L 第二下部リンク部材
2M 第二中部リンク部材
2U 第二上部リンク部材
30 ハンドル
63 梁部材
64 上下動プレート
70 底板
70S スペーサ
71 床面
100 デスク
100-1 デスク
100-2 デスク
100-3 デスク
100-4 デスク
101 デスクフレーム
101B 下フレーム
101M 傾斜フレーム
101U 上フレーム
104 キャスター
102 天板部
103T ジョイント材
103B ジョイント材
200 ストッパ
201 押圧アーム
202 支柱
203 コイルバネ
204 マウント
204S 面
205 アジャスタ
206 取付け金具
210 回動軸
300 解除レバー
300G グリップ
400 案内部材
J1 関節
J2 関節
J3 関節
J4 関節
J5 関節
【要約】
【課題】デスクとしての使い勝手が良く、デスクの移動及び位置調整が容易なデスクシステム及びこれに用いられるデスクを提供する。
【解決手段】デスクシステム1は、腰掛け部又は起立姿勢用背もたれの少なくとも一方が立設される底板70と、天板部12を支持する上フレーム101Uと、上フレームに固定された傾斜フレーム101Mと、傾斜フレームの下端に固定された下フレーム101Bとを有した側面視Z字状のデスクフレーム101と、下フレームの下側に取付けられ、デスクフレームを床面71に沿って移動させるためのキャスター104と、下フレームを差し込むための間隙を底板と床面との間に設けるスペーサ70Sと、デスクフレームを任意の位置で床面に固定するためのストッパ200と、任意のタイミングで固定を解除するための解除レバー300とを備える。
【選択図】
図1