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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】記録装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231221BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J29/46 Z
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2019072547
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020168828
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】新澤津 祐太
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-229139(JP,A)
【文献】特開2001-150697(JP,A)
【文献】特開2007-155831(JP,A)
【文献】特開平10-123789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0181573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色の記録剤と第2の色の記録剤を少なくとも用いる第1印刷処理を実行可能な第1印刷モードと、前記第1の色の記録剤を用い前記第2の色の記録剤を用いない第2印刷処理を実行可能な第2印刷モードと、で動作可能であり、
前記第2の色の記録剤を格納するための格納部を有する第1装着部品又は、前記格納部を有しない第2装着部品を装着可能な装着部を有する記録装置であって、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記第1装着部品の温度に基づく情報を取得するための、前記記録装置が有する所定の構成を介して、所定の情報を取得する取得手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているかを判定するための判定処理を、前記取得された前記所定の情報に基づいて実行する判定手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されていると判定された場合、前記第1印刷モードで前記記録装置を動作させ、前記装着部に前記第2装着部品が装着されていると判定された場合、前記第2印刷モードで前記記録装置を動作させる制御手段と、
を有し、
前記記録装置は、前記第1の色の記録剤を格納するための格納部を有する第3装着部品を装着可能であり、前記装着部と異なる他の装着部をさらに有し、
前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されており、且つ前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記第1印刷モードで前記記録装置が動作させられ、
前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されており、且つ前記装着部に前記第2装着部品が装着されている場合、前記第2印刷モードで前記記録装置が動作させられることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
第1の色の記録剤と第2の色の記録剤を少なくとも用いる第1印刷処理を実行可能な第1印刷モードと、前記第1の色の記録剤を用い前記第2の色の記録剤を用いない第2印刷処理を実行可能な第2印刷モードと、で動作可能であり、
前記第2の色の記録剤を格納するための格納部を有する第1装着部品又は、前記格納部を有しない第2装着部品を装着可能な装着部を有する記録装置であって、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記第1装着部品の温度に基づく情報を取得するための、前記記録装置が有する所定の構成を介して、所定の情報を取得する取得手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているかを判定するための判定処理を、前記取得された前記所定の情報に基づいて実行する判定手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されていると判定された場合、前記第1印刷モードで前記記録装置を動作させ、前記装着部に前記第2装着部品が装着されていると判定された場合、前記第2印刷モードで前記記録装置を動作させる制御手段と、
を有し、
前記第2装着部品は、前記装着部の接続端子を保護するためのプロテクト部品であることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
第1の色の記録剤と第2の色の記録剤を少なくとも用いる第1印刷処理を実行可能な第1印刷モードと、前記第1の色の記録剤を用い前記第2の色の記録剤を用いない第2印刷処理を実行可能な第2印刷モードと、で動作可能であり、
前記第2の色の記録剤を格納するための格納部を有する第1装着部品又は、前記格納部を有しない第2装着部品を装着可能な装着部を有する記録装置であって、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記第1装着部品の温度に基づく情報を取得するための、前記記録装置が有する所定の構成を介して、所定の情報を取得する取得手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているかを判定するための判定処理を、前記取得された前記所定の情報に基づいて実行する判定手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されていると判定された場合、前記第1印刷モードで前記記録装置を動作させ、前記装着部に前記第2装着部品が装着されていると判定された場合、前記第2印刷モードで前記記録装置を動作させる制御手段と、
を有し、
前記第1装着部品は、前記第1装着部品の温度に基づく電圧値を出力する所定のセンサを有し、
前記所定の構成は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記所定のセンサから出力される電圧値を得るための第1回路であり、
前記所定の情報は、前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく所定の出力であり、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記所定の出力は、前記所定のセンサから出力される電圧値に基づく出力であり、
前記記録装置は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に、信号を前記第1装着部品に出力するための第2回路を有し、
前記第2装着部品は、前記第1回路と前記第2回路を短絡するための短絡回路を有し、
前記装着部に前記第2装着部品が装着されている場合、前記所定の出力は、前記短絡回路によって前記第1回路と前記第2回路とが短絡している状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく出力であることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
前記装着部に、前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない場合、ユーザに通知を行うための通知処理を実行する通知手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記通知処理は、前記ユーザに通知を行うための通知画面を表示部に表示する処理であることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記通知処理は、前記ユーザに通知を行うための通知情報を前記記録装置に接続している情報処理装置に送信する処理であることを特徴とする請求項4又は5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記通知処理は、前記装着部に、前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていないことを通知するための処理であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記通知処理は、前記第1装着部品又は前記第2装着部品を前記装着部に装着するようにユーザを促すための処理のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記装着部に、前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない場合、前記第1印刷処理と前記第2印刷処理のいずれも実行しない第3印刷モードで前記記録装置が動作させられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記判定処理では、前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていないかが判定され、
前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていないと判定された場合に、前記第3印刷モードで前記記録装置が動作させられることを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記第1装着部品は、前記第1装着部品の温度に基づく電圧値を出力する所定のセンサを有し、
前記所定の構成は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記所定のセンサから出力される電圧値を得るための第1回路であり、
前記所定の情報は、前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく所定の出力であり、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記所定の出力は、前記所定のセンサから出力される電圧値に基づく出力であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録装置は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に、信号を前記第1装着部品に出力するための第2回路を有し、
前記第2装着部品は、前記第1回路と前記第2回路を短絡するための短絡回路を有し、
前記装着部に前記第2装着部品が装着されている場合、前記所定の出力は、前記短絡回路によって前記第1回路と前記第2回路とが短絡している状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく出力であることを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記判定処理には、前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか否かを判定するための第1判定処理と、前記第1判定処理により前記装着部に前記第1装着部品が装着されていないと判定された場合に実行される、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているか否かを判定するための第2判定処理とが含まれ、
前記第2回路は、前記装着部に装着されている部品に対して前記信号を出力可能な出力状態と、前記装着部に装着されている部品に対して前記信号を出力しない入力状態とのうちいずれかの状態であり、
前記第2回路が前記入力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力に基づいて、前記第1判定処理が実行され、
前記第2回路が前記出力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力に基づいて、前記第2判定処理が実行されることを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記第2回路は、前記装着部に装着されている部品に対して前記信号を出力可能な出力状態と、前記装着部に装着されている部品に対して前記信号を出力しない入力状態とのうちいずれかの状態であり、
前記第2回路が前記出力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力に基づいて、前記第2判定処理が実行される請求項13に記載の記録装置
【請求項15】
前記装着部に前記第2装着部品が装着されており且つ前記第2回路が前記入力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力と、前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない且つ前記第2回路が前記入力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力とが同じになることを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【請求項16】
前記装着部に前記第2装着部品が装着されており且つ前記第2回路が前記出力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力と、前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない且つ前記第2回路が前記出力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力とが異なることを特徴とする請求項14又は15に記載の記録装置。
【請求項17】
前記装着部に前記第2装着部品が装着されており且つ前記第2回路が前記入力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力は、前記第1回路を介して電流を供給する電源が前記電流の供給に利用する電圧値に基づく前記所定の出力であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項18】
前記第2回路は、前記装着部に装着されている部品に対して前記信号を出力可能な出力状態と、前記装着部に装着されている部品に対して前記信号を出力しない入力状態とのうちいずれかの状態であり、
前記第2回路が前記出力状態である状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく前記所定の出力に基づいて、前記判定処理が実行される請求項14に記載の記録装置。
【請求項19】
前記第2回路が前記出力状態である状態において、前記第2回路はグラウンドと接続することを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項20】
前記判定処理は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているか、前記装着部に、前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていないかを判定するための処理であり、
前記装着部に、前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない場合、前記第1回路はハイインピーダンス状態となり、
前記装着部に、前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない場合、前記所定の出力は、前記ハイインピーダンス状態である前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく出力であることを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項21】
前記所定のセンサは、前記記録装置によって印刷が実行されている状態における前記第1装着部品の温度に基づく電圧値を出力し、
前記記録装置によって印刷が実行されている状態における前記第1装着部品の温度に基づく電圧値に基づいて、前記記録装置による印刷が制御されることを特徴とする請求項11乃至20のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項22】
前記所定の出力は、前記第1回路を介して得られる電圧値がアナログ/デジタル変換された値であることを特徴とする請求項11乃至21のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項23】
前記所定の出力は、前記第1回路を介して得られる電圧値に基づいて特定される温度の値であることを特徴とする請求項11乃至22のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項24】
前記第1回路には、電圧値を増幅するアンプが備わっており、
前記第1回路を介して得られる電圧値は、前記アンプにより増幅された電圧値であることを特徴とする請求項11乃至23のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項25】
前記記録装置は、前記第1の色の記録剤を格納するための格納部を有する第3装着部品を装着可能であり、前記装着部と異なる他の装着部をさらに有し、
前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されており、且つ前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記第1印刷モードで前記記録装置が動作させられ、
前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されており、且つ前記装着部に前記第2装着部品が装着されている場合、前記第2印刷モードで前記記録装置が動作させられることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項26】
前記他の装着部に、前記第3装着部品が装着されていない場合、ユーザに通知を行うための通知処理を実行する通知手段と、をさらに有することを特徴とする請求項25に記載の記録装置。
【請求項27】
前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない場合と、前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されていない場合に、前記通知処理が実行され、
前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されておらず、且つ前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されている場合に実行される前記通知処理の内容と、前記装着部に前記第1装着部品か前記第2装着部品が装着されており、且つ前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されていない場合に実行される前記通知処理の内容は、同一であることを特徴とする請求項26項に記載の記録装置。
【請求項28】
前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されていない場合と、前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されていない場合に、前記通知処理が実行され、
前記装着部に前記第1装着部品と前記第2装着部品のどちらもが装着されておらず、且つ前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されている場合に実行される前記通知処理の内容と、前記装着部に前記第1装着部品か前記第2装着部品が装着されており、且つ前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されていない場合に実行される前記通知処理の内容は、それぞれ異なることを特徴とする請求項26に記載の記録装置。
【請求項29】
前記第2印刷モードで前記記録装置が動作する場合、前記第2印刷モードで前記記録装置が動作することに基づく第1の情報を前記記録装置に接続している情報処理装置に送信する第1送信手段をさらに有し、
前記第1の情報が送信された場合、前記記録装置に前記第1印刷処理を実行させるための印刷ジョブを送信しない状態で、前記情報処理装置が動作することを特徴とする請求項1乃至28のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項30】
前記第1印刷モードで前記記録装置が動作する場合、前記第1印刷モードで前記記録装置が動作することに基づく第2の情報を前記記録装置に接続している情報処理装置に送信する第2送信手段をさらに有し、
前記所定の情報が送信された場合、前記記録装置に前記第1印刷処理を実行させるための印刷ジョブを送信可能な状態で、前記情報処理装置が動作することを特徴とする請求項1乃至29のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項31】
前記第1装着部品は、前記第2の色の記録剤を吐出する記録ヘッド、又は前記第2の色の記録剤を格納するカートリッジであることを特徴とする請求項1乃至30のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項32】
前記第1の色の記録剤は、ブラックの記録剤であり、前記第2の色の記録剤は、前記ブラック以外の色の記録剤であることを特徴とする請求項1乃至31のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項33】
前記第1印刷モードは、さらに前記第2印刷処理を実行可能であるモードであることを特徴とする請求項1乃至32のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項34】
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記第1装着部品の温度に関するエラーが発生しているか否かを、前記所定の情報に基づいて判定するエラー判定手段と、
前記第1装着部品の温度に関するエラーが発生していると判定された場合、前記第1装着部品の温度に関するエラーが発生していることを通知するための処理を実行する通知手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至33のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の記録剤を格納可能な装着部品を、着脱可能に装着する装着部を備える記録装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、インクジェットヘッドを着脱可能なインクジェットプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-185722
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、装着部にいずれの装着部品も装着されない状態においては、装着部における装着部品との接続のための接続端子が剥き出しとなってしまい、当該接続端子に不純物が付着してしまうという課題が生じうる。そのため装着部には、記録剤を格納可能な装着部品が装着されない場合には、接続端子を保護するための装着部品が装着されうる。すなわち、装着部の状態には、記録剤を格納可能な装着部品が装着されている状態と、接続端子を保護するための装着部品が装着されている状態、いずれの装着部品も装着されない状態がある。
【0006】
特許文献1には、接続端子を保護するための装着部品が装着部に装着されている状態が記載されておらず、接続端子を保護するための装着部品が装着部に装着されている状態における制御について考慮されていない。
【0007】
そこで本発明は、接続端子を保護するための装着部品が装着部に装着されている状態に応じた適切な処理を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の色の記録剤と第2の色の記録剤を少なくとも用いる第1印刷処理を実行可能な第1印刷モードと、前記第1の色の記録剤を用い前記第2の色の記録剤を用いない第2印刷処理を実行可能な第2印刷モードと、で動作可能であり、
前記第2の色の記録剤を格納するための格納部を有する第1装着部品又は、前記格納部を有しない第2装着部品を装着可能な装着部を有する記録装置であって、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記第1装着部品の温度に基づく情報を取得するための、前記記録装置が有する所定の構成を介して、所定の情報を取得する取得手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているかを判定するための判定処理を、前記取得された前記所定の情報に基づいて実行する判定手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されていると判定された場合、前記第1印刷モードで前記記録装置を動作させ、前記装着部に前記第2装着部品が装着されていると判定された場合、前記第2印刷モードで前記記録装置を動作させる制御手段と、
を有し、
前記記録装置は、前記第1の色の記録剤を格納するための格納部を有する第3装着部品を装着可能であり、前記装着部と異なる他の装着部をさらに有し、
前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されており、且つ前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記第1印刷モードで前記記録装置が動作させられ、
前記他の装着部に前記第3装着部品が装着されており、且つ前記装着部に前記第2装着部品が装着されている場合、前記第2印刷モードで前記記録装置が動作させられることを特徴とする。
また、第1の色の記録剤と第2の色の記録剤を少なくとも用いる第1印刷処理を実行可能な第1印刷モードと、前記第1の色の記録剤を用い前記第2の色の記録剤を用いない第2印刷処理を実行可能な第2印刷モードと、で動作可能であり、
前記第2の色の記録剤を格納するための格納部を有する第1装着部品又は、前記格納部を有しない第2装着部品を装着可能な装着部を有する記録装置であって、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記第1装着部品の温度に基づく情報を取得するための、前記記録装置が有する所定の構成を介して、所定の情報を取得する取得手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているかを判定するための判定処理を、前記取得された前記所定の情報に基づいて実行する判定手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されていると判定された場合、前記第1印刷モードで前記記録装置を動作させ、前記装着部に前記第2装着部品が装着されていると判定された場合、前記第2印刷モードで前記記録装置を動作させる制御手段と、
を有し、
前記第2装着部品は、前記装着部の接続端子を保護するためのプロテクト部品であることを特徴とする。
また、第1の色の記録剤と第2の色の記録剤を少なくとも用いる第1印刷処理を実行可能な第1印刷モードと、前記第1の色の記録剤を用い前記第2の色の記録剤を用いない第2印刷処理を実行可能な第2印刷モードと、で動作可能であり、
前記第2の色の記録剤を格納するための格納部を有する第1装着部品又は、前記格納部を有しない第2装着部品を装着可能な装着部を有する記録装置であって、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記第1装着部品の温度に基づく情報を取得するための、前記記録装置が有する所定の構成を介して、所定の情報を取得する取得手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されているか、前記装着部に前記第2装着部品が装着されているかを判定するための判定処理を、前記取得された前記所定の情報に基づいて実行する判定手段と、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されていると判定された場合、前記第1印刷モードで前記記録装置を動作させ、前記装着部に前記第2装着部品が装着されていると判定された場合、前記第2印刷モードで前記記録装置を動作させる制御手段と、
を有し、
前記第1装着部品は、前記第1装着部品の温度に基づく電圧値を出力する所定のセンサを有し、
前記所定の構成は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に前記所定のセンサから出力される電圧値を得るための第1回路であり、
前記所定の情報は、前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく所定の出力であり、
前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合、前記所定の出力は、前記所定のセンサから出力される電圧値に基づく出力であり、
前記記録装置は、前記装着部に前記第1装着部品が装着されている場合に、信号を前記第1装着部品に出力するための第2回路を有し、
前記第2装着部品は、前記第1回路と前記第2回路を短絡するための短絡回路を有し、
前記装着部に前記第2装着部品が装着されている場合、前記所定の出力は、前記短絡回路によって前記第1回路と前記第2回路とが短絡している状態で前記第1回路を介して得られる電圧値に基づく出力であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
接続端子を保護するための装着部品が装着部に装着されている状態に応じた適切な処理を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】記録装置の内部構成を示す斜視図である。
図2】インク供給ユニットの斜視図である。
図3】記録ヘッドの概略図である。
図4】キャリッジ基板ユニットを示す図である。
図5】コンタクトプロテクタの概略図である。
図6】装着部が第1装着状態である場合における回路構成を示す図である。
図7】装着部が第2装着状態である場合における回路構成を示す図である。
図8】装着部が第3装着状態である場合における回路構成を示す図である。
図9】装着部がいずれの装着状態かを判定するための閾値を示すグラフである。
図10】状態判定処理及び、状態判定処理の結果に基づく処理を示すフローチャートである。
図11】状態判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図12】情報処理装置と記録装置の構成を示すブロック図である。
図13】第1装着部が第1装着状態である場合における回路構成を示す図である。
図14】状態判定処理及び、状態判定処理の結果に基づく処理を示すフローチャートである。
図15】状態判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るインクジェット記録装置の実施形態について説明する。ただし、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。本明細書においては、間欠的に搬送される記録媒体に対しインクを吐出する記録ヘッドを、記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復移動させて記録を行う、シリアル型のインクジェット記録装置を例に説明する。しかしながら、本発明はシリアル型のインクジェット記録装置に限らず、長尺プリントヘッドを用いて連続的にプリントを行うライン型のインクジェット記録装置にも適用することができる。また、インクジェット方式の記録を行う記録装置だけでなく、電子写真方式等の他の方式の記録を行う記録装置にも適用することができる。そのため、本明細書において「記録剤」とは、インクやトナーを含む。また本明細書において「インク」とは、記録液などの液体の総称として用いる。さらに本明細書において「記録」とは、平面的なものに対する記録に限らず、立体物に対する記録も含む。本明細書において「記録媒体」とは、液体を吐出されるものであって、紙、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等の記録媒体の総称として用いる。さらに、記録媒体はカット紙に限らずロール状の連続紙も含む。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、記録装置)1の内部構成を示す斜視図である。記録装置1において、給紙トレイ2に積載された被記録媒体であるシート材(不図示)は、給紙ローラ3によって搬送手段4へ搬送される。搬送手段4に搬送されたシート材は、プラテン5に支持された状態で印刷位置まで搬送される。印刷位置までシート材が搬送されると、キャリッジ6は、キャリッジ6を支持するレールに沿って移動しつつ、キャリッジ6に備えられた記録ヘッド7(図1では不図示)からインクを吐出することによって、シート材上に画像を記録(印刷)する。画像が記録されたシート材は、排紙手段(不図示)を通じて排紙トレイ(不図示)に排出される。また、記録ヘッド7へのインク供給手段の一つとして、記録装置1は、インクタンク9及びチューブ10を備えている。また、記録装置1は、記録ヘッド7として、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド7aと、ブラック以外(シアン、マゼンタ、イエロー等)のインクを吐出する記録ヘッド7bとを備えている。チューブ10は、インクタンク9と記録ヘッド7aを接続し、インクタンク9が格納しているインクを記録ヘッド7aへ供給する。なお記録ヘッド7aは、インクタンク9から印刷処理時に供給されるインクを格納する格納部であるインク室(不図示)を有する。また、記録ヘッド7bも、記録ヘッド7bが備えるインクカートリッジ(不図示)から印刷処理時に供給されるインクを格納する格納部であるインク室(不図示)を有する。記録装置1は、各格納部に格納されたインクを吐出することで、印刷処理を実行する。すなわち本実施形態では、インクタンク9は、ブラックのインクを格納するものとする。さらに記録装置1は、記録ヘッド7の吐出性能を維持するためのメンテナンスに利用するメンテナンス部材として、記録ヘッド7のインク吐出口面を払拭するワイパー11a及びインク吐出口面を覆うキャップ11bからなる回復手段11を備えている。
【0013】
記録装置1が備えるインク供給ユニットの斜視図を図2に示す。インク供給ユニットには、インクタンク9や、記録ヘッド7、チューブ10等が含まれる。また上述したように、本実施形態では記録装置1は、記録ヘッド7として、記録ヘッド7aと、記録ヘッド7bとを備える。また、各記録ヘッドは、記録装置1において着脱可能であるものとする。
【0014】
上述したようにチューブ10は、記録ヘッド7aとインクタンク9を接続しており、インクタンク9が格納するブラックのインクを、記録ヘッド7aが備えるインク室に供給する。そして、記録ヘッド7aは、インク室に供給されたインクを吐出する。またインクタンク9に格納されているインクが無くなった場合は、ユーザは、インクタンク9にインクを供給することで、インク切れを解消する。また記録ヘッド7aは、吐出性能が低下した場合等に、ユーザによって交換される。記録ヘッド7aが記録装置1から外される際は、記録ヘッド7aからチューブ10も外される。そして、再び記録ヘッド7aが記録装置1に装着される際に、記録ヘッド7aとチューブ10とが再び接続される。
【0015】
記録ヘッド7bは、ブラック以外のインク(カラーインク)を格納するインクカートリッジを備えている。本実施形態では、カラーインクは、インクカートリッジの外部のインクタンクから供給されることなく、予め記録ヘッド7bのインクカートリッジに格納されているものとする。そのため記録ヘッド7bのインクカートリッジに格納されているカラーインクが無くなった場合に、記録装置1によって、インクなしエラーが通知され、記録ヘッド7bの交換がユーザによって行われる。
【0016】
図3(A)は、記録ヘッド7aの概略図であり、図3(B)は、記録ヘッド7bの概略図である。各記録ヘッドは、インクを格納するインク室、インク室内のインクを吐出する吐出口、熱によりインクの吐出を制御する駆動回路等(全て不図示)を含む。記録ヘッド7aには、キャリッジが備えるヘッドコネクタと接続する金属製のパッド31が、FPC(Flexible Printed Circuits)基板32上に形成されている。ヘッドコネクタとパッド31との接続を介して、記録ヘッド7aに電力や印刷データが供給される。また、記録ヘッド7bには、キャリッジが備えるヘッドコネクタと接続する金属製のパッド33が、FPC基板34上に形成されている。ヘッドコネクタとパッド33との接続を介して、記録ヘッド7bに電力や印刷データが供給される。記録ヘッド7bは、複数の色のインクを吐出するため、記録装置1本体から記録ヘッド7bに対して送信される印刷データの容量が、単色のインクを供給する場合に比べて大きくなる。そのため、記録ヘッド7bが備えるパッド33の数は、記録ヘッド7aが備えるパッド31の数より多い。
【0017】
図4は、記録装置1が備えるキャリッジに組み込まれているキャリッジ基板ユニットを示している。キャリッジ基板40上のヘッドコネクタ41が、記録ヘッド7aが備えるパッド31と接続するための金属製の接続端子であり、ヘッドコネクタ42が、記録ヘッド7bが備えるパッド33と接続するための金属製の接続端子である。
【0018】
ここで、本実施形態の情報処理装置101と、本実施形態の情報処理装置と通信可能な記録装置1の構成について図12のブロック図を参照して説明する。また、本実施形態では以下の構成を例に記載するが、特にこの図のとおりに機能を限定するものではない。
【0019】
情報処理装置101は、記録装置1に印刷を実行させるための印刷ジョブを生成及び送信する装置である。情報処理装置101として、本実施形態ではパーソナルコンピュータ(以下、PC)を例示しているが、これに限定されない。情報処理装置101として、携帯端末、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ等、種々のものを適用可能である。
【0020】
情報処理装置101は、入力インタフェース102、CPU103、ROM104、RAM105、外部記憶装置106、出力インタフェース107、表示部108、通信部111等を有する。CPU103、ROM104、RAM105等によって、情報処理装置101のコンピュータが形成される。
【0021】
入力インタフェース102は、マウス110やキーボード109が操作されることにより、ユーザからのデータ入力や動作指示を受け付けるためのインタフェースである。
【0022】
CPU103は、システム制御部であり、情報処理装置101の全体を制御する。
【0023】
ROM104は、CPU103が実行する制御プログラムやデータテーブル、組み込みオペレーティングシステム(以下、OSという。)プログラム等の固定データを格納する。本実施形態では、ROM104に格納されている各制御プログラムは、ROM104に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ、割り込み処理等のソフトウエア実行制御を行う。
【0024】
RAM105は、バックアップ電源を必要とするSRAM(Static Random Access Memory)等で構成される。なお、RAM105は、図示しないデータバックアップ用の1次電池によってデータが保持されているため、プログラム制御変数等の重要なデータを揮発させずに格納することができる。また、情報処理装置101の設定情報や情報処理装置101の管理データ等を格納するメモリエリアもRAM105に設けられている。また、RAM105は、CPU103の主メモリとワークメモリとしても用いられる。
【0025】
外部記憶装置106は、記録装置1が解釈可能な印刷情報を生成する印刷情報生成プログラム等を保存している。また、外部記憶装置106は、通信部111を介して接続している記録装置1との間で送受信する情報送受信制御プログラム等の各種プログラムや、これらのプログラムが使用する各種情報を保存している。
【0026】
出力インタフェース107は、表示部108がデータの表示や情報処理装置101の状態の通知を行うための制御を行うインタフェースである。
【0027】
表示部108は、LED(発光ダイオード)やLCD(液晶ディスプレイ)などから構成され、データの表示や情報処理装置101の状態の通知を行う。なお、表示部108上に、数値入力キー、モード設定キー、決定キー、取り消しキー、電源キー等の操作部を設置することで、表示部108を介してユーザからの入力を受け付けても良い。
【0028】
通信部111は、記録装置1と接続して、データ通信を実行するための構成である。例えば、通信部111は、記録装置1内のアクセスポイント(不図示)に接続可能である。通信部111と記録装置1内のアクセスポイントが接続することで、情報処理装置101と記録装置1は相互に通信可能となる。なお、通信部111は無線通信で記録装置1とダイレクトに通信しても良いし、情報処理装置101や記録装置1の外部に存在する外部装置を介して通信しても良い。なお、外部装置とは、情報処理装置101の外部及び記録装置1の外部に存在する外部アクセスポイントや、アクセスポイント以外で通信を中継可能な装置を含む。無線通信方式としては、例えば、Wi-Fi(WirelessFidelity)(登録商標)等が挙げられる。また、アクセスポイントとしては、例えば、無線LANルーター等の機器などが挙げられる。
【0029】
なお情報処理装置101は、記録装置1等の装置と近距離で無線接続して、データ通信を実行するための構成であり、通信部111とは異なる通信方式によって通信を行う近距離無線通信部を有していても良い。近距離無線通信部の通信方式として例えば、Near Field Communication(NFC)、Bluetooth(登録商標) Classic、Bluetooth Low Energy(BLE)、Wi-Fi Awareが挙げられる。また、情報処理装置101は、Universal Serial Bus(以下、USB)や有線LAN等により、記録装置1と有線通信を行うための有線通信部を備えていても良い。
【0030】
記録装置1は、ROM152、RAM153、CPU154、プリントエンジン155、通信部156等を有する。ROM152、RAM153、CPU154等によって、記録装置1のコンピュータが形成される。
【0031】
通信部156は、記録装置1内部のアクセスポイントとして、情報処理装置101等の装置と接続するためのアクセスポイントを有している。なお、該アクセスポイントは、情報処理装置101の通信部111に接続可能である。通信部156が、該アクセスポイントを有効化することで、記録装置1がアクセスポイントとして動作することになる。なお、通信部156は無線通信で情報処理装置101とダイレクトに通信しても良いし、外部アクセスポイントを介して通信しても良い。通信方式としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)等が挙げられる。また、通信部156は、アクセスポイントとして機能するハードウェアを備えていてもよいし、アクセスポイントとして機能させるためのソフトウエアにより、アクセスポイントとして動作してもよい。
【0032】
なお記録装置1は、情報処理装置101等の装置と近距離で無線接続して、データ通信を実行するための構成であり、通信部156とは異なる通信方式によって通信を行う近距離無線通信部を有していても良い。近距離無線通信部の通信方式としては、例えば、NFC、Bluetooth(登録商標) Classic、BLE、Wi-Fi Aware等が挙げられる。また、記録装置1は、USBや有線LAN等により、情報処理装置101と有線通信を行うための有線通信部を備えていても良い。
【0033】
RAM153は、バックアップ電源を必要とするSRAM等で構成される。なお、RAM153は、図示しないデータバックアップ用の1次電池によってデータが保持されているため、プログラム制御変数等の重要なデータを揮発させずに格納することができる。また、記録装置1の設定情報や記録装置1の管理データ等を格納するメモリエリアもRAM153に設けられている。また、RAM153は、CPU154の主メモリとワークメモリとしても用いられ、情報処理装置101等から受信した印刷情報を一旦保存するための受信バッファや各種の情報を保存する。
【0034】
ROM152は、CPU154が実行する制御プログラムやデータテーブル、OSプログラム等の固定データを格納する。本実施形態では、ROM152に格納されている各制御プログラムは、ROM152に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ、割り込み処理等のソフトウエア実行制御を行う。
【0035】
CPU154は、システム制御部であり、記録装置1の全体を制御する。
【0036】
プリントエンジン155は、RAM153に保存された情報や情報処理装置101等から受信した印刷ジョブに基づき、インク等の記録剤を紙等の記録媒体上に付加することで記録媒体上に画像を形成し、印刷結果を出力する。具体的にはプリントエンジン155は、受信した印刷ジョブに基づいて生成した印刷データを記録ヘッドに送信し、印刷データに基づくインクの吐出を記録ヘッドに実行させることで、印刷を行う。
【0037】
なお、記録装置1には、外付けHDDやSDカード等のメモリがオプション機器として装着されてもよく、記録装置1に保存される情報は、当該メモリに保存されても良い。
【0038】
本実施形態において記録装置1は、複数の色のインクを用いた印刷(カラー印刷)とブラックのインクのみを用いた印刷(モノクロ印刷)の両方を行うことが可能なカラー印刷モードと、モノクロ印刷のみ行うことが可能なモノクロ印刷モードとで動作可能である。ユーザは、カラー印刷モードで記録装置1を動作させる場合、記録ヘッド7aと記録ヘッド7bの両方を記録装置1に装着させる。一方ユーザは、モノクロ印刷モードで記録装置1を動作させる場合、記録ヘッド7aを記録装置1に装着させるが、記録ヘッド7bを記録装置1に装着させる必要はない。
【0039】
ところで、本実施形態の記録装置1は、基本的には、モノクロ印刷のみを実行可能なモノクロ印刷用のプリンタとして扱われる。記録装置1がカラー印刷用のプリンタとして扱われるのは、ユーザが、記録ヘッド7bを別途購入し、記録装置1に装着させた場合である。そのため記録装置1の着荷時には、記録装置1には、記録ヘッド7aは装着されているが、記録ヘッド7bは装着されていない。しかしながら、キャリッジ基板40やヘッドコネクタ42等の、キャシッジにおける記録ヘッド7bが装着される部分(以下、装着部)に、いずれの部品も装着されない場合、ヘッドコネクタ42が露出することになる。そして、ヘッドコネクタ42が露出している状態では、不純物(インクの吐出によって発生するインクのミスト等)がヘッドコネクタ42に付着し、ヘッドコネクタ42の劣化が引き起こされてしまう可能性があるという課題が生じる。
【0040】
この課題を解決するために本実施形態では、記録装置1は、ヘッドコネクタ42を保護するためのコンタクトプロテクタ50を装着部に装着可能である。そのため記録装置1の着荷時には、記録装置1には、記録ヘッド7a及びコンタクトプロテクタ50が装着されている。
【0041】
図5は、コンタクトプロテクタ50の概略図である。コンタクトプロテクタ50は、ヘッドコネクタ42を保護するためのものであり、印刷処理に用いられるものではない。そのためコンタクトプロテクタ50は、記録ヘッド7と異なり、インク室や吐出口、熱によりインクの吐出を制御する駆動回路等を含まない。コンタクトプロテクタ50には、キャリッジが備えるヘッドコネクタ42と接続する金属製のパッド51が、FPC基板52上に形成されている。なおコンタクトプロテクタ50におけるパッド51は、記録ヘッド7bにおけるパッド33と同様の配置で、FPC基板52上に形成されている。装着部にコンタクトプロテクタ50が装着されることで、ヘッドコネクタ42に不純物が付着することを抑制することができる。ひいては、ヘッドコネクタ42の劣化を抑制することができる。また、コンタクトプロテクタ50には、複数のパッド33のうち所定の2つのパッドを短絡するための回路53が備わっている。回路53の役割については後述する。
【0042】
すなわち本実施形態では、装着部の状態(以下、装着状態)として、記録ヘッド7bが装着されている第1装着状態、にコンタクトプロテクタ50が装着されている第2装着状態、いずれの部品も装着されていない第3装着状態があるものとする。
【0043】
装着部の装着状態に応じて、記録装置1が実行すべき動作はそれぞれ異なる。例えば上述したように本実施形態では、ヘッドコネクタ42の劣化を抑制しつつ、記録装置1によって印刷を行うためには、装着部が第1装着状態及び第2装着状態のうちいずれかである必要がある。そのため本実施形態では、装着部が第3装着状態である場合には、エラーをユーザに通知する。また、本実施形態では、装着部が第1装着状態である状態においては、カラー印刷モードで記録装置1を動作させ、装着部が第2装着状態である状態においては、モノクロ印刷モードで記録装置1を動作させる。これにより、記録装置1は、装着部の装着状態に応じた適切な処理を実行可能となる。
そして、装着部の装着状態に応じた適切な処理を実行するために、本実施形態では記録装置1は、3つの装着状態のうちいずれの装着状態であるかを判定する状態判定処理を実行し、状態判定処理の判定結果に応じた処理を実行する。これにより記録装置1は、自身の印刷モードを自動で適切に決定することができる。
【0044】
本実施形態における状態判定処理について詳細に説明する。
【0045】
図6は、装着部が第1装着状態である場合における回路構成を示す図である。記録装置1の本体側(記録ヘッドの外側)に位置する回路61には、ダイオード温度センサ73からの出力を得るための回路70と、印刷データを記録ヘッド7bに入力するための回路71が含まれる。回路70は、ヘッドコネクタ42aとパッド33aとを介して、記録ヘッド7bと接続し、回路71は、ヘッドコネクタ42cとパッド33cとを介して、記録ヘッド7bと接続する。
【0046】
構成64~69、71は、印刷データを記録ヘッド7bに送信するための回路構成である。印刷データは、抵抗68とコンデンサ69によって形成されるフィルタを介して、記録ヘッド7b内のロジックブロック74に送信される。記録ヘッド7bは、こうして受信した印刷データに基づいてインクの吐出を行う。GPIO(General Purpose Input/Output)端子66は、ASIC72と回路71を接続する端子であり、入力状態又は出力状態で動作する。入力状態とは、入力部65とGPIO端子66が接続している状態であり、記録ヘッド7bに対して印刷データ等の信号を供給しない状態である。出力状態とは、出力部64とGPIO端子66が接続している状態であり、記録ヘッド7bに対して印刷データ等の信号を供給可能な状態である。記録装置1は、不要な信号が記録ヘッド7bに出力されてしまうことを抑制するため、印刷処理の実行中以外は基本的に、GPIO端子66を入力状態で動作させる。なお出力部64は、グラウンドと接続している。ASIC72には、プルダウン抵抗67が備わっており、プルダウン抵抗67は、GPIO端子66が入力状態である場合において、GPIO端子66と接続している。すなわち図6は、GPIO端子66が入力状態である場合の回路構成を示している。
【0047】
装着部が第1装着状態である状態においては、回路61にある定電流源62が、記録ヘッド7b内の回路にあるダイオード温度センサ73に電流を供給する。これにより、ダイオード温度センサ73が記録ヘッド7bの温度に基づく電圧Vfを出力する。
【0048】
電圧Vfは微小な値であるため、ダイオード温度センサ73は、電圧Vfを増幅すべく、アンプ63に電圧Vfを出力する。これにより、アンプ63は、電圧Vfを増幅した値である電圧Vfaを出力する。なお本実施形態において、アンプ63は、GAIN=α、オフセット=βの特性を持っているため、電圧Vfaの具体的な値は、αVf+βとなる。そしてアンプ63は、ASIC72が備えるコンバータに電圧Vfaを出力する。ASIC72はコンバータによって、電圧VfaをA/D変換(アナログ/デジタル変換)し、電圧Vfに基づくデジタル値を出力する。なお本実施形態において、10bitのコンバータによってリファレンス電圧Vref=3.3VとしたA/D変換が行われるため、デジタル値の具体的な値は、1024(αVf+β)/3.3となる。そしてASIC72は、こうして得られたデジタル値を、CPU154に出力する。すなわちCPU154は、装着部が第1装着状態である状態においては、ダイオード温度センサ73から回路70を介して取得される電圧Vfに基づくデジタル値を取得する。そしてCPU154は、特定の範囲内の値のデジタル値が取得されることに基づいて、装着部が第1装着状態であることを特定する。なおこのとき、記録ヘッド7bの温度は室温に近い状態であるため、室温に近い温度に対応する値のデジタル値が取得されることに基づいて、第1装着状態であることを特定する。このように、GPIO端子66が入力状態である場合に回路70を介して得られる電圧値に基づくデジタル値によって実行される状態判定処理を、以下、第1判定処理という。
【0049】
図7(A)は、GPIO端子66が入力状態であり、且つ装着部が第2装着状態である場合における回路構成を示す図である。コンタクトプロテクタ50に備わっている回路53により、ダイオード温度センサ73からの出力を得るための回路70と、印刷データを記録ヘッド7bに入力するための回路71とが短絡されることとなる。
【0050】
装着部が第2装着状態である状態において、定電流源62が電流の供給を開始すると、回路70と回路71が短絡されているため、回路71に電力が流れ込む。なおこのとき、GPIO端子66が入力状態である場合において入力部65は絶縁されているため、入力部65には電力が流れず、プルダウン抵抗67に電力が流れ込むことになる。プルダウン抵抗67は十分大きい抵抗値を有しているため、アンプ63には、定電流源62が定電流の供給に利用する電圧(電源電圧)である3.3Vが、回路70を介して出力される。また、本実施形態ではアンプ63から出力される電圧は3.3Vが上限であるため、結果としてアンプ63に入力された電圧は増幅されずに、ASIC72には、3.3Vの値が入力され、コンバータによって、3.3Vに対応するデジタル値が出力される。すなわちCPU154は、装着部が第2装着状態である状態においては、アンプ63に対して出力可能な電圧値の限界値である3.3Vに基づくデジタル値を、回路70を介して取得する。3.3Vに基づくデジタル値は、装着部が第1装着状態である状態において取得されるデジタル値と大きく乖離するため、3.3Vに基づくデジタル値が取得された場合は、装着部が第1装着状態でないことが特定される。
【0051】
なお後述するが、装着部が第3装着状態である状態においても、CPU154によって、3.3Vに基づくデジタル値(又は、それに近い値のデジタル値)が得られることになる。すなわち、第1判定処理では、3.3Vに対応するデジタル値が取得された場合に、CPU154は、装着部が第2装着状態なのか第3装着状態なのかを判定することができない。そのため本実施形態では、CPU154は、GPIO端子66が入力状態である状態で3.3Vに対応するデジタル値が取得された場合は、さらに、装着部が第2装着状態なのか第3装着状態なのかを判定するための第2判定処理を行う。
【0052】
具体的には、CPU154は、ASIC72内のスイッチの切り替えにより、プルダウン抵抗67をGPIO端子66との接続を切断し、且つGPIO端子66を入力状態から出力状態に移行させる。これにより、図7(B)に示すような回路構成となる。そしてCPU154は、図7(B)に示すような回路構成において、定電流源62が電流の供給を開始し、デジタル値を取得する。そしてCPU154は、取得したデジタル値に基づいて、装着部が第2装着状態なのか第3装着状態なのかを判定する。すなわち、第2判定処理とは、GPIO端子66が出力状態である場合に回路70を介して得られる電圧値に基づくデジタル値による状態判定処理である。なお装着部が第2装着状態である状態で実行される第2判定処理においては、出力部64がグラウンドと接続していることにより、アンプ63及びASIC72には、回路70を介して0Vの値(又は0Vに近い値)が入力されることとなる。結果としてCPU154は、装着部が第2装着状態である状態においては、0Vに基づくデジタル値を取得する。そのためCPU154は、GPIO端子66が出力状態である場合に0Vに対応するデジタル値が取得されることに基づいて、装着部が第2装着状態であることを特定する。
【0053】
図8(A)は、GPIO端子66が入力状態であり、且つ装着部が第3装着状態である場合における回路構成を示す図である。
【0054】
装着部が第3装着状態である状態においては、MAIN基板上の回路70が他の回路と電気的に接続していないため、ハイインピーダンス状態となる。ハイインピーダンス状態においては、定電流源62から電流を流そうとしても電流は流れず、アンプ63には、定電流源62が電流の供給に利用する電圧である3.3Vが回路70を介して出力される。結果として、装着部が第3装着状態である場合は、装着部が第2装着状態である状態と同様、CPU154によって、3.3Vに対応するデジタル値が取得される。そのため上述したように本実施形態では、CPU154は、GPIO端子66が入力状態である状態で3.3Vに対応するデジタル値が取得された場合は、第2判定処理を行う。
【0055】
回路の切り替えにより、第2判定処理では、図8(B)に示すような回路構成となる。このような回路構成(すなわち、GPIO端子66が出力状態である回路構成)となっても、回路70がハイインピーダンス状態であることは変わらない。そのためこのような回路構成において、定電流源62が電流の供給を開始したとしても、第1判定処理の時と同様、CPU154は、定電流源62が電流の供給に利用する電圧である3.3Vに対応するデジタル値を、回路70を介して取得することになる。そのためCPU154は、GPIO端子66が出力状態である場合に3.3Vに対応するデジタル値が取得されることに基づいて、装着部が第3装着状態であることを特定する。
【0056】
図9は、装着部がいずれの装着状態かを判定するための閾値を示すグラフである。GPIO端子66が入力状態である場合に得られるデジタル値が、閾値ADth2~閾値ADth3の範囲内である場合、装着部が第1装着状態であると判定され、閾値ADth2~閾値ADth3の範囲外である場合、装着部が第1装着状態でないと判定される。なお閾値ADth2~閾値ADth3の範囲は、記録ヘッド7bの通常状態の温度(すなわち、室温)に対応するデジタル値を含むように設定されている。そして、GPIO端子66が出力状態である場合に得られるデジタル値が閾値ADth1を上回った場合、装着部が第3装着状態であると判定される。また、GPIO端子66が出力状態である場合に得られるデジタル値が閾値ADth4を下回った場合、装着部が第2装着状態であると判定される。なお、閾値ADth1は、3.3Vに対応するデジタル値より小さくなるように設定され、閾値ADth4は、0Vに対応するデジタル値より大きくなるように設定される。
【0057】
このように本実施形態では、回路70を介して取得される電圧値に基づく値(すなわち、CPU154によって取得されるデジタル値)を用いて、状態判定処理を行う。なお記録装置1は、取得したデジタル値を、ダイオード温度センサ73の温度特性に基づく計算式に当てはめることで、取得したデジタル値に基づく温度を取得することが可能である。これにより記録装置1は、装着部が第1装着状態である状態においては、ダイオード温度センサ73が出力する電圧Vfに基づく温度を取得し、記録ヘッド7bの温度を取得することが可能となる。そして記録装置1は、このようにして印刷時における記録ヘッド7bの温度を取得することで、印刷時に記録ヘッド7bが適切な温度を保っているかどうかの判定を行う温度判定機能を有する。この機能により記録装置1は例えば、印刷時に記録ヘッド7bの温度が過剰に上昇していたり、印刷時に記録ヘッド7bの温度が過剰に低くなっていたりすることによりインクの吐出が正確に制御できない状態であることを特定することができる。なお記録装置1は、そのような状態であることが特定された場合、エラーをユーザに通知する。
【0058】
そして本実施形態において記録装置1は、温度判定機能を司るセンサ(ダイオード温度センサ73)からの出力を得る回路(回路70)を介して取得される値に基づいて状態判定処理も実行する。これにより、状態判定処理のための特別な構成を加えることなく、状態判定処理を実現できる。なおCPU154は、状態判定処理を、デジタル値そのものではなく、上述のようにしてデジタル値から取得される温度の値に基づいて実行しても良い。すなわちCPU154は、状態判定処理を、ダイオード温度センサ73からの出力値を得るための回路から出力される値に基づいて、状態判定処理を実行すればよい。
【0059】
なお上述では、GPIO端子66が入力状態である状態における判定処理(第1判定処理)とGPIO端子66が出力状態である状態における判定処理(第2判定処理)の両方を実行する形態を説明したが、この形態に限定されない。例えば、第1判定処理を実行せず、第2判定処理のみを実行する形態であっても良い。第2判定処理により、第1装着状態では室温に対応するデジタル値が取得され、第2装着状態では0Vに対応するデジタル値が取得され、第3装着状態では3.3Vに対応するデジタル値が取得される。そのため、第2判定処理のみを実行する形態でも、第1装着状態と第2装着状態、第3装着状態のうちいずれであるかを判定(特定)することができる。
【0060】
図10は、記録装置1が実行する状態判定処理及び、状態判定処理の結果に基づく処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、例えば、CPU154がROM152等に格納されたプログラムをRAM153に読み出して実行することにより実現される。また本フローチャートが示す処理は、記録装置1の電源が投入されたことや、記録装置1に装着されていた記録ヘッドが交換されたこと等に応じて開始される。なお、記録装置1に装着されていた記録ヘッドが交換されたかどうかの検知は、例えば、記録装置1の筐体に含まれるカバーであり、記録ヘッドの交換のためのカバーの開閉の検知によって実現される。また本フローチャートが示す処理は、GPIO端子66が入力状態である状態で開始されるものとする。
【0061】
S1001にて、CPU154は、状態判定処理を実行する。状態判定処理の詳細は後述する。
【0062】
次にS1002にて、CPU154は、S1001の状態判定処理によって特定される装着状態が、第1装着状態か否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1003に進み、NO判定の場合、S1004に進む。
【0063】
S1002がYES判定の場合に実行されるS1003では、CPU154は、記録装置1を、カラー印刷モードで動作させる。具体的には例えば、CPU154は、記録装置1をカラー印刷モードで動作させる場合、記録ヘッド7aと記録ヘッド7bの両方を用いるべく、それぞれの記録ヘッドに対して準備動作を行う。これにより、記録装置1は、カラー印刷及びモノクロ印刷の両方が実行可能な状態となる。また記録装置1は、カラー印刷の実行を指示するためのカラー印刷指示部と、モノクロ印刷の実行を指示するためのモノクロ印刷指示部を有している。そして記録装置1は、ユーザにより、カラー印刷指示部が操作された場合、カラー印刷を実行し、モノクロ印刷指示部が操作された場合、モノクロ印刷を実行する。例えば、CPU154は、記録装置1がカラー印刷モードで動作している間は、カラー印刷指示部とモノクロ印刷指示部の両方を有効化し、両方の指示部から印刷の指示を受け付け可能となるように制御する。なお、各指示部は、記録装置1が備える不図示の物理ボタンであっても良いし、記録装置1が表示する画面において表示されるソフトボタンであっても良い。なお各指示部が操作された場合に実行される印刷は、記録装置1が原稿をスキャンすることにより得られる画像データに基づく印刷であっても良いし、記録装置1に取り付けられたメモリ(USBメモリやSDカード)内の画像データに基づく印刷であっても良い。また例えば、CPU154は、記録装置1をカラー印刷モードで動作させる場合、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、記録装置1がカラー印刷モードで動作することを示す情報を送信する。これにより、情報処理装置101は、モノクロ印刷を実行させるための印刷ジョブとカラー印刷を実行させるための印刷ジョブの両方を記録装置1に対して送信可能な状態となる。また例えば、CPU154は、記録装置1をカラー印刷モードで動作させる場合、記録ヘッド7aと記録ヘッド7bの両方が記録装置1に装着されていることや、記録装置1がカラー印刷モードで動作することを示す画面を表示する。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0064】
S1002がNO判定の場合に実行されるS1004では、CPU154は、S1001の状態判定処理によって特定される装着状態が、第2装着状態か否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1005に進み、NO判定の場合、S1006に進む。
【0065】
S1004がYES判定の場合に実行されるS1005では、CPU154は、記録装置1を、モノクロ印刷モードで動作させる。具体的には例えば、CPU154は、記録ヘッド7aを用いるべく、記録ヘッド7aに対してのみ準備動作を行う。これにより、記録装置1は、カラー印刷は実行できないが、モノクロ印刷が実行可能な状態となる。また例えば、CPU154は、記録装置1がモノクロ印刷モードで動作している間は、カラー印刷指示部を無効化し、モノクロ印刷指示部のみから印刷の指示を受け付け可能となるように制御する。また例えば、CPU154は、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、記録装置1がモノクロ印刷モードで動作することを示す情報を送信する。これにより、情報処理装置101は、カラー印刷を実行させるための印刷ジョブを記録装置1に対して送信できないが、モノクロ印刷を実行させるための印刷ジョブを記録装置1に対して送信可能な状態となる。また例えば、CPU154は、記録ヘッド7aが記録装置1に装着されており記録ヘッド7bが記録装置1に装着されていないことや、記録装置1がモノクロ印刷モードで動作することを示す画面を表示する。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0066】
S1004がNO判定の場合に実行されるS1006では、CPU154は、記録ヘッド7bとコンタクトプロテクタ50のいずれもが装着部に装着されていないエラー(以下、装着エラー)が生じていることをユーザに通知するためのエラー通知処理を実行する。具体的には例えば、CPU154は、装着エラーが生じていることをユーザに通知するためのエラー通知画面を、記録装置1が備える表示部(不図示)に表示する。また例えば、CPU154は、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、装着エラーが生じていることをユーザに通知するためのエラー通知情報を送信する。これにより情報処理装置101は、表示部108に、エラー通知画面を表示する。なおここで実行される通知処理は例えば、装着部に記録ヘッド7b又はコンタクトプロテクタ50を装着するようにユーザを促すための通知処理であっても良い。なお装着エラーが生じている状態において、記録装置1は、カラー印刷とモノクロ印刷のどちらも実行できない状態である。すなわち、CPU154は、装着エラーが生じている間は、カラー印刷指示部とモノクロ印刷指示部の両方を無効化し、両方の指示部から印刷の指示を受け付けできなくなるモード(エラーモード)で記録装置1が動作するように制御する。また例えば、CPU154は、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、記録装置1がエラーモードで動作することを示す情報を送信する。これにより、情報処理装置101は、カラー印刷を実行させるための印刷ジョブとモノクロ印刷を実行させるための印刷ジョブの両方を記録装置1に対して送信できない状態となる。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0067】
図11は、記録装置1が実行する状態判定処理(S1001)の詳細を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、例えば、CPU154がROM152等に格納されたプログラムをRAM153に読み出して実行することにより実現される。
【0068】
S1101にて、CPU154は、GPIO端子66が入力状態である状態において、定電流源62による電流の供給を開始し、回路70を介した出力に応じたデジタル値を取得する。当該デジタル値の取得方法は、上述したとおりである。
【0069】
S1102にて、CPU154は、第1判定処理を実行する。具体的には、S1101にて取得したデジタル値及び図9で示した閾値に基づいて、装着部が第1装着状態であるか否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1103に進み、NO判定の場合、S1104に進む。
【0070】
S1102がYES判定の場合に実行されるS1103では、CPU154は、装着部が第1装着状態であることを特定する。この特定結果は、上述したように、図10に示したフローチャートにおける処理において参照される。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了し、S1002に進む。
【0071】
S1102がNO判定の場合に実行されるS1104では、CPU154は、プルダウン抵抗67とGPIO端子66との接続を切断し、且つGPIO端子66を入力状態から出力状態に移行させる。
【0072】
次にS1105では、CPU154は、定電流源62による電流の供給を開始し、回路70を介した出力に応じたデジタル値を取得する。当該デジタル値の取得方法は、上述したとおりである。
【0073】
次にS1106では、CPU154は、第2判定処理を実行する。具体的には、S1105にて取得したデジタル値及び図9で示した閾値に基づいて、装着部が第2装着状態であるか否か(第3装着状態であるか)を判定する。CPU154は、NO判定の場合、S1107に進み、YES判定の場合、S1108に進む。
【0074】
S1106がNO判定の場合に実行されるS1107では、CPU154は、装着部が第3装着状態であることを特定する。この特定結果は、上述したように、図10に示したフローチャートにおける処理において参照される。その後、CPU154は、S1108に進む。
【0075】
S1106がYES判定の場合に実行されるS1108では、CPU154は、装着部が第2装着状態であることを特定する。この特定結果は、上述したように、図10に示したフローチャートにおける処理において参照される。その後、CPU154は、S1108に進む。
【0076】
S1108では、CPU154は、プルダウン抵抗67とGPIO端子66との接続を再確立し、且つGPIO端子66を出力状態から入力状態に移行させる。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了し、S1002に進む。
【0077】
このような形態とすることで、本実施形態の記録装置1は、装着部が第1装着状態と第2装着状態、第3装着状態の内いずれの状態であるかを適切に判定することができる。そして、特定した装着状態に応じた適切な処理を実行することができる。
【0078】
(第2実施形態)
本実施形態では、記録ヘッド7bが装着される装着部の装着状態だけでなく、記録ヘッド7aが装着される装着部の装着状態を考慮した処理を実行する形態について説明する。以下、記録ヘッド7aが装着される装着部を第1装着部といい、記録ヘッド7bが装着される装着部を第2装着部という。
【0079】
第1実施形態で説明したように、記録ヘッド7bだけでなく、記録ヘッド7aも、記録装置1において脱着可能である。しかしながら第1装着部には、第2装着部と異なり、コンタクトプロテクタが装着されることはない。これは、記録ヘッド7bと異なり、記録ヘッド7aは着荷時から記録装置1に装着されているため、ヘッドコネクタ41は、記録ヘッド7aによって保護されているためである。そのため、第1装着部の装着状態には、第1装着状態と第3装着状態が含まれ、第2装着状態が含まれない。
【0080】
そこで本実施形態では、第2装着部の装着状態に関しては、第1装着状態と第2装着状態、第3装着状態のうちいずれであるかが判定されるのに対し、第1装着部の装着状態に関しては、第1装着状態と第3装着状態のうちいずれであるかのみが判定される。以下、第1装着部に関する状態判定処理を第1状態判定処理といい、第2装着部に関する状態判定処理を第2状態判定処理という。第2状態判定処理は、第1実施形態にて説明した状態判定処理と同様である。
【0081】
本実施形態における第1状態判定処理について詳細に説明する。
【0082】
図13(A)は、第1装着部が第1装着状態である場合における回路構成を示す図である。
【0083】
記録装置1の本体側に位置するMAIN基板上の回路131には、ダイオード温度センサ143からの出力を得るための回路140と、印刷データを記録ヘッド7aに入力するための回路141が含まれる。回路140は、ヘッドコネクタ41aと、パッド31aとを介して、記録ヘッド7aと接続し、回路141は、ヘッドコネクタ41cと、パッド31cとを介して、記録ヘッド7aと接続する。
【0084】
構成134~139、141は、印刷データを記録ヘッド7aに送信するための回路構成である。印刷データは、抵抗138とコンデンサ139によって形成されるフィルタを介して、記録ヘッド7a内のロジックブロック144に送信される。記録ヘッド7aは、こうして受信した印刷データに基づいてインクの吐出を行う。GPIO端子136は、ASIC142と回路141を接続する端子であり、入力状態又は出力状態で動作する。入力状態と出力状態は、第1実施形態にて説明したとおりである。ASIC142には、プルダウン抵抗137が備わっており、プルダウン抵抗137は、GPIO端子136が入力状態である場合において、GPIO端子136と接続している。図13(A)は、GPIO端子66が入力状態である場合の回路構成を示している。
【0085】
第1装着部が第1装着状態である状態においては、回路131にある定電流源132が、記録ヘッド7a内の回路にあるダイオード温度センサ143に電流を供給する。これにより、ダイオード温度センサ143が記録ヘッド7aの温度に基づく電圧Vfを出力する。
【0086】
電圧Vfは微小な値であるため、ダイオード温度センサ143は、電圧Vfを増幅すべく、アンプ133に電圧Vfを出力する。これにより、アンプ133は、電圧Vfを増幅した値である電圧Vfaを出力する。なお本実施形態において、アンプ133は、GAIN=α、オフセット=βの特性を持っているため、電圧Vfaの具体的な値は、αVf+βとなる。そしてアンプ133は、ASIC142が備えるコンバータに電圧Vfaを出力する。ASIC142はコンバータによって、電圧VfaをA/D変換し、電圧Vfに基づくデジタル値を出力する。なお本実施形態において、10bitのコンバータによってリファレンス電圧Vref=3.3VとしたA/D変換が行われるため、デジタル値の具体的な値は、1024(αVf+β)/3.3となる。そしてASIC142は、こうして得られたデジタル値を、CPU154に出力する。すなわちCPU154は、装着部が第1装着状態である状態においては、ダイオード温度センサ143から回路140を介して取得される電圧Vfに基づくデジタル値を取得する。そしてCPU154は、特定の範囲内の値のデジタル値が取得されることに基づいて、第1装着部が第1装着状態であることを特定する。なおこのとき、記録ヘッド7bの温度は室温に近い状態であるため、室温に近い温度に対応する値のデジタル値が取得されることに基づいて、第1装着状態であることを特定する。このように、回路140を介して得られる電圧値に基づくデジタル値によって実行される、第1装着に関する状態判定処理を、以下、第3判定処理という。
【0087】
図13(B)は、第1装着部が第3装着状態である場合における回路構成を示す図である。第1装着部が第3装着状態である状態においては、MAIN基板上の回路141が他の回路と電気的に接続していないため、ハイインピーダンス状態となる。ハイインピーダンス状態においては、定電流源132から電流を流そうとしても電流は流れず、アンプ133には、定電流源132が電流の供給に利用する電圧である3.3Vが回路140を介して出力される。結果として、第1装着部が第3装着状態である場合は、CPU154によって、3.3Vに対応するデジタル値が取得される。なお上述したように、第1装着部にはコンタクトプロテクタが装着されず、第1装着部が第2装着状態になることはない。そのため、CPU154は、3.3Vに対応するデジタル値が取得されることに基づいて、第1装着部が第3装着状態であることを特定する。
【0088】
なお本実施形態では、第3判定処理が、GPIO端子66が入力状態である状態において実行される。しかしながらこの形態に限定されず、GPIO端子66が出力状態である状態において第3判定処理が実行されても良い。
【0089】
また上述では、第1装着部を介して出力を得たり第1装着部を介して出力を送信するための構成である回路61と、第2装着部を介して出力を得たり第2装着部を介して出力を送信するための構成である回路131が別々の構成である例を示した。しかしながら、この形態に限定されず、回路61に含まれる構成と回路131に含まれる構成とが、一部又は全て同一であっても良い。
【0090】
図14は、記録装置1が実行する状態判定処理及び、状態判定処理の結果に基づく処理を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、例えば、CPU154がROM152等に格納されたプログラムをRAM153に読み出して実行することにより実現される。また本フローチャートが示す処理は、記録装置1の電源が投入されたことや、記録装置1に装着されていた記録ヘッドが交換されたこと等に応じて開始される。なお、記録装置1に装着されていた記録ヘッドが交換されたかどうかの検知は、例えば、記録装置1の筐体に含まれるカバーであり、記録ヘッドの交換のためのカバーの開閉の検知によって実現される。また本フローチャートが示す処理は、GPIO端子66が入力状態である状態で開始されるものとする。
【0091】
S1401にて、CPU154は、第1状態判定処理を実行する。第1状態判定処理の詳細は後述する。
【0092】
次にS1402にて、CPU154は、第2状態判定処理を実行する。第2状態判定処理の詳細は、図10を用いて第1実施形態で説明したとおりである。
【0093】
次にS1403にて、CPU154は、S1401の第1状態判定処理によって特定される第1装着部の装着状態が、第1装着状態か否か(第3装着状態か)を判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1407に進み、NO判定の場合、S1404に進む。
【0094】
S1403がNO判定の場合に実行されるS1404では、CPU154は、S1402の第2状態判定処理によって特定される第2装着部の装着状態が、第3装着状態か否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1405に進み、NO判定の場合、S1406に進む。
【0095】
S1404がYES判定の場合に実行されるS1405では、CPU154は、第1装着部にも第2装着部にも、いずれの装着部品も装着されていないエラー(以下、第1装着エラー)が生じていることをユーザに通知するための第1エラー通知処理を実行する。具体的には例えば、CPU154は、第1装着エラーが生じていることをユーザに通知するための第1エラー通知画面を、記録装置1が備える表示部(不図示)に表示する。また例えば、CPU154は、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、第1装着エラーが生じていることをユーザに通知するための第1エラー通知情報を送信する。これにより情報処理装置101は、表示部108に、第1エラー通知画面を表示する。また、情報処理装置101は、カラー印刷を実行させるための印刷ジョブとモノクロ印刷を実行させるための印刷ジョブの両方を記録装置1に対して送信できない状態となる。なお第1実施形態と同様、装着エラーが生じている状態において、記録装置1は、カラー印刷とモノクロ印刷のどちらも実行できない状態である。なおここで実行される通知処理は、第1装着部に記録ヘッド7aを装着し、第2装着部に記録ヘッド7b又はコンタクトプロテクタ50を装着するようにユーザを促すための通知処理であっても良い。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0096】
S1404がNO判定の場合に実行されるS1406では、CPU154は、第1装着部に、記録ヘッド7aが装着されていないエラー(以下、第2装着エラー)が生じていることをユーザに通知するための第2エラー通知処理を実行する。具体的には例えば、CPU154は、第2装着エラーが生じていることをユーザに通知するための第2エラー通知画面を、記録装置1が備える表示部(不図示)に表示する。また例えば、CPU154は、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、第2装着エラーが生じていることをユーザに通知するための第2エラー通知情報を送信する。これにより情報処理装置101は、表示部108に、第2エラー通知画面を表示する。また情報処理装置101は、カラー印刷を実行させるための印刷ジョブとモノクロ印刷を実行させるための印刷ジョブの両方を記録装置1に対して送信できない状態となる。なおここで実行される通知処理は、第1装着部に記録ヘッド7aを装着するようにユーザを促すための通知処理であっても良い。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0097】
S1403がYES判定の場合に実行されるS1407では、CPU154は、S1402の第2状態判定処理によって特定される第2装着部の装着状態が、第1装着状態か否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1408に進み、NO判定の場合、S1409に進む。
【0098】
S1407がYES判定の場合に実行されるS1408では、CPU154は、記録装置1を、カラー印刷モードで動作させる。カラー印刷モードの詳細は、第1実施形態にて説明した通りである。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0099】
S1407がNO判定の場合に実行されるS1409では、CPU154は、S1402の第2状態判定処理によって特定される第2装着部の装着状態が、第2装着状態か否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1410に進み、NO判定の場合、S1411に進む。
【0100】
S1409がYES判定の場合に実行されるS1410では、CPU154は、記録装置1を、モノクロ印刷モードで動作させる。モノクロ印刷モードの詳細は、第1実施形態にて説明した通りである。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0101】
S1409がNO判定の場合に実行されるS1411では、CPU154は、第3エラー通知処理を実行する。第3エラー通知処理は、第2装着部に、記録ヘッド7bとコンタクトプロテクタ50のいずれもが装着されていないエラー(以下、第3装着エラー)が生じていることをユーザに通知するための処理である。具体的には例えば、CPU154は、第3装着エラーが生じていることをユーザに通知するための第3エラー通知画面を、記録装置1が備える表示部(不図示)に表示する。また例えば、CPU154は、記録装置1と接続している情報処理装置101に対して、第3装着エラーが生じていることをユーザに通知するための第3エラー通知情報を送信する。これにより情報処理装置101は、表示部108に、第3エラー通知画面を表示する。また情報処理装置101は、カラー印刷を実行させるための印刷ジョブとモノクロ印刷を実行させるための印刷ジョブの両方を記録装置1に対して送信できない状態となる。なおここで実行される通知処理は、第2装着部に記録ヘッド7b又はコンタクトプロテクタ50を装着するようにユーザを促すための通知処理であっても良い。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了する。
【0102】
なお上述の形態に限定されず、CPU154は例えば、第1状態判定処理により第1装着部が第3状態であることを特定した時点で、第2状態判定処理を実行せず、エラー通知処理を実行しても良い。
【0103】
また上述の形態では、各エラー通知処理の内容(エラー通知画面の内容やエラー通知情報の内容)がそれぞれ異なっているが、各エラー通知処理の内容が同じであっても良い。例えば、少なくとも1つの装着部において、いずれの装着部品も装着されていないエラーが生じていることをユーザに通知するための処理が、各エラー通知処理において実行されても良い。この場合、エラー通知画面やエラー通知情報が、各エラー通知処理において同じとなる。
【0104】
図15は、記録装置1が実行する第1状態判定処理(S1401)の詳細を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理は、例えば、CPU154がROM152等に格納されたプログラムをRAM153に読み出して実行することにより実現される。
【0105】
S1501にて、CPU154は、GPIO端子136が入力状態である状態において、定電流源132による電流の供給を開始し、回路140を介した出力に応じたデジタル値を取得する。当該デジタル値の取得方法は、上述したとおりである。
【0106】
S1502にて、CPU154は、第3判定処理を実行する。具体的には、S1501にて取得したデジタル値及び図9で示した閾値に基づいて、装着部が第1装着状態であるか否かを判定する。CPU154は、YES判定の場合、S1503に進み、NO判定の場合、S1504に進む。
【0107】
S1502がYES判定の場合に実行されるS1503では、CPU154は、第1装着部が第1装着状態であることを特定する。この特定結果は、上述したように、図14に示したフローチャートにおける処理において参照される。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了し、S1402に進む。
【0108】
S1502がNO判定の場合に実行されるS1504では、CPU154は、第1装着部が第3装着状態であることを特定する。この特定結果は、上述したように、図14に示したフローチャートにおける処理において参照される。その後、CPU154は、本フローチャートの処理を終了し、S1402に進む。
【0109】
このような形態とすることで記録装置1は、各装着部の状態に応じた適切な処理を実行することができる。
【0110】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ブラックのインクは、記録ヘッドの外部のインクタンクから供給され、ブラック以外のカラーインクは、記録ヘッドに予め格納されているものとしたが、この形態に限定されない。ブラック以外のカラーインクも、記録ヘッドの外部のインクタンクから供給される形態であっても良い。
【0111】
上述の実施形態では、記録ヘッド7bに、複数の色のインクが格納されるものとしたが、この形態に限定されない。1つの記録ヘッドに、1つの色のインクが格納される形態であっても良い。
【0112】
上述の実施形態では、装着部において記録ヘッドが脱着可能なものとしたが、この形態に限定されない。例えば装着部において、記録ヘッドそのものではなく、記録ヘッドにカラーインクを供給するインクカートリッジ等が脱着可能な形態であっても良い。また記録装置1が、インクジェット方式のプリンタではなく、電子写真方式のプリンタであれば、例えば装着部において、記録剤としてトナーを供給するトナーカートリッジ等が脱着可能な形態であっても良い。
【0113】
上述の実施形態では、記録装置1に、2つの記録ヘッドを装着可能であるものとしたが、この形態に限定されない。記録装置1に1つのみ記録ヘッドが装着可能であっても良いし、3つ以上の記録ヘッドが装着可能であっても良い。またその場合、各装着部において、上述の状態判定処理が実行されてよく、その結果に応じた処理が実行されてよい。
【0114】
上述の実施形態では、ダイオード温度センサから出力を得るための構成を用いて、状態判定処理を行う形態を説明したが、この形態に限定されない。例えば、記録ヘッドやコンタクトパッドが有する識別IDを取得を試み、識別IDを取得できたか否かや、取得した識別IDの内容に基づいて、状態判定処理を実行しても良い。また例えば、装着部に装着されている装着部品を検知するための物理センサを記録装置1に設け、当該物理センサの出力に基づいて、状態判定処理を実行しても良い。すなわち本発明において、状態判定処理の方法は限定されず、状態判定処理の結果に応じた適切な処理が実行されれば良い。
【0115】
上述の実施形態では、判定結果に応じた処理として、カラー印刷モードの設定、モノクロ印刷モードの設定、通知処理の実行を行うものとしたが、この形態に限定されない。判定結果に応じて、それぞれ異なる処理が実行されれば良い。例えば、判定結果に応じて、それぞれ異なる画面が表示されるように制御されても良い。具体的には、装着部が第1装着状態であることが特定されたことに基づき、装着部が第1装着状態であることを示す画面が表示され、装着部が第2装着状態であることが特定されたことに基づき、装着部が第2装着状態であることを示す画面が表示されても良い。また、装着部が第3装着状態であることが特定されたことに基づき、装着部が第3装着状態であることを示す画面が表示されても良い。
【0116】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 記録装置
7 記録ヘッド
50 コンタクトプロテクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15