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特許7406883撮像装置、アクセサリ装置、およびこれらの制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】撮像装置、アクセサリ装置、およびこれらの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20231221BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20231221BHJP
【FI】
G03B17/14
H04N23/66
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019114938
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2020038347
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2018165392
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018118125
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】田中 智基
(72)【発明者】
【氏名】高梨 豪也
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187811(JP,A)
【文献】特開2017-181980(JP,A)
【文献】特開2010-266595(JP,A)
【文献】特開2016-057515(JP,A)
【文献】特開2013-182118(JP,A)
【文献】特開2012-108474(JP,A)
【文献】特開2003-319678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/05
G03B 17/02
G03B 17/14
G03B 17/18
H04L 7/00
H04L 13/00
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセサリ装置を装着することができる撮像装置であって、
第1の通信チャネルによる前記アクセサリ装置への信号の送信と、第3の通信チャネルによる前記アクセサリ装置へのデータの送信と、第2の通信チャネルによる前記アクセサリ装置からのデータの受信と、を制御する通信制御部であって、前記アクセサリ装置のアクセサリ属性情報の、前記第2の通信チャネルによる受信を制御する通信制御部を有し、
前記通信制御部は、前記アクセサリ属性情報のうち第1のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、第1の通信方式によって受信してから、前記第1の通信方式から前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式への切り替えを実行し、前記アクセサリ属性情報のうち前記第2の通信方式を用いた通信により実現される機能に対応しているか否かを示す予め定められた情報を含む第2のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、前記第2の通信方式によって受信するよう通信を制御し、
前記第1の通信方式は、第1の信号レベルと前記第1の信号レベルとは異なる第2の信号レベルとの間で交互に信号レベルが切り替わるクロック信号の前記第1の通信チャネルでの送信に対応するタイミングで、データの前記第3の通信チャネルでの送信とデータの前記第2の通信チャネルでの受信とを行う通信方式であり、
前記第2の通信方式は、前記第1の通信チャネルの信号レベルの、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えに対応して送信されたデータを前記第2の通信チャネルで受信することに対応して、データの送信を第3の通信チャネルで行う通信方式であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第2のアクセサリ属性情報の通信を行うか否かを、前記第1のアクセサリ属性情報に基づいて判定する判定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1のアクセサリ属性情報は、前記アクセサリ装置が前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応しているか否かに対応する情報を有し、
前記通信制御部は、当該情報が前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応していることを示す場合には、前記第1の通信方式から前記第2の通信方式への切り替え要求の前記第1の通信方式による前記第3の通信チャネルでの送信を行うとともに通信方式の前記第1の通信方式から前記第2の通信方式への切り替えを実行し、前記第2のアクセサリ属性情報の要求の前記第2の通信方式による前記第3の通信チャネルでの送信に対応して前記第2のアクセサリ属性情報を前記第2の通信方式によって前記第2の通信チャネルで受信することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2のアクセサリ属性情報は、前記第1のアクセサリ属性情報と異なる情報を含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記第2の通信方式において、前記第2の通信チャネルで受信したデータに対応づけられて受信した所定のビットの信号レベルが第3の信号レベルであった場合には、前記第2の通信チャネルの信号レベルが前記第3の信号レベルに維持されている間は前記第1の通信チャネルの信号レベルを前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えを行わない第1の制御を行う第1の通信フォーマットと、前記第1の制御を行わない第2の通信フォーマットと、のいずれかの通信フォーマットによって通信を制御し、
前記通信制御部は、前記第2のアクセサリ属性情報の前記第2の通信チャネルによる受信を、前記第2の通信フォーマットで制御することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応しているか否かに対応する情報が前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応していないことを示す場合には、前記第2のアクセサリ属性情報の要求に対応するデータの、前記第3の通信チャネルによる送信を行わないことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像装置を装着することができるアクセサリ装置であって、
第1の通信チャネルによる前記撮像装置からの信号の受信と、第3の通信チャネルによる前記撮像装置からのデータの受信と、第2の通信チャネルによる前記撮像装置へのデータの送信と、を制御する通信制御部であって、前記アクセサリ装置のアクセサリ属性情報の、前記第2の通信チャネルによる送信を制御する通信制御部を有し、
前記通信制御部は、前記アクセサリ属性情報のうち第1のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、第1の通信方式によって送信してから、前記第1の通信方式から前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式への切り替えを実行し、前記アクセサリ属性情報のうち前記第2の通信方式を用いた通信により実現される機能に対応しているか否かを示す予め定められた情報を含む第2のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、前記第2の通信方式によって送信するよう通信を制御し、
前記第1の通信方式は、第1の信号レベルと前記第1の信号レベルとは異なる第2の信号レベルとの間で交互に信号レベルが切り替わるクロック信号の前記第1の通信チャネルでの受信に対応するタイミングで、データの前記第3の通信チャネルでの受信とデータの前記第2の通信チャネルでの送信とを行う通信方式であり、
前記第2の通信方式は、前記第1の通信チャネルの信号レベルの、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えに対応して前記第2の通信チャネルでデータを送信することに対応して、前記第3の通信チャネルでデータを受信する通信方式であることを特徴とするアクセサリ装置。
【請求項8】
前記第1のアクセサリ属性情報は、前記アクセサリ装置が前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応しているか否かに対応する情報を有し、
前記通信制御部は、当該情報が前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応していることを示す場合には、前記第1の通信方式から前記第2の通信方式への切り替え要求の前記第1の通信方式による前記第3の通信チャネルでの受信に対応して通信方式の前記第1の通信方式から前記第2の通信方式への切り替えを実行し、前記第2のアクセサリ属性情報の要求の前記第2の通信方式による前記第3の通信チャネルでの受信に対応して前記第2のアクセサリ属性情報を前記第2の通信方式によって前記第2の通信チャネルで送信することを特徴とする請求項に記載のアクセサリ装置。
【請求項9】
前記第2のアクセサリ属性情報は、前記第1のアクセサリ属性情報と異なる情報を含むことを特徴とする、請求項又は請求項に記載のアクセサリ装置。
【請求項10】
前記通信制御部は、前記第2の通信方式において、データとともに当該データに対応づけられた所定のビットを付加して前記第2の通信チャネルで送信する第1の通信フォーマットと、前記第1の通信フォーマットとは異なる第2の通信フォーマットと、のいずれかの通信フォーマットによって通信を制御し、
前記通信制御部は、前記第2のアクセサリ属性情報の前記第2の通信チャネルによる送信を、前記第2の通信フォーマットで制御することを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載のアクセサリ装置。
【請求項11】
前記通信制御部は、前記第1の通信フォーマットでは、前記所定のビットを付加することで、前記撮像装置によって前記第1の通信チャネルの信号レベルの前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えが行われないように通信を制御し、
前記第2の通信フォーマットでは、前記データに前記所定のビットを付加せずに、データの前記第2の通信チャネルによる送信を制御することを特徴とする請求項10に記載のアクセサリ装置。
【請求項12】
前記通信制御部は、前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応しているか否かに対応する情報が前記第2のアクセサリ属性情報の通信に対応していないことを示す場合には、前記第2のアクセサリ属性情報の前記第2の通信チャネルによる送信を行わないことを特徴とする請求項に記載のアクセサリ装置。
【請求項13】
アクセサリ装置を装着することが可能であり、第1の通信チャネルによる前記アクセサリ装置への信号の送信と、第3の通信チャネルによる前記アクセサリ装置へのデータの送信と、第2の通信チャネルによる前記アクセサリ装置からのデータの受信と、を制御する通信制御部であって、前記アクセサリ装置のアクセサリ属性情報の、前記第2の通信チャネルによる受信を制御する通信制御部を有する撮像装置の制御方法であって、
前記通信制御部が、前記アクセサリ属性情報のうち第1のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、第1の通信方式によって受信してから、前記第1の通信方式から前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式への切り替えを実行し、前記アクセサリ属性情報のうち前記第2の通信方式を用いた通信により実現される機能に対応しているか否かを示す予め定められた情報を含む第2のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、前記第2の通信方式によって受信するよう通信を制御する制御ステップを有し、
前記第1の通信方式は、第1の信号レベルと前記第1の信号レベルとは異なる第2の信号レベルとの間で交互に信号レベルが切り替わるクロック信号の前記第1の通信チャネルでの送信に対応するタイミングで、データの前記第3の通信チャネルでの送信とデータの前記第2の通信チャネルでの受信とを行う通信方式であり、
前記第2の通信方式は、前記第1の通信チャネルの信号レベルの、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えに対応して送信されたデータを前記第2の通信チャネルで受信することに対応して、データの送信を第3の通信チャネルで行う通信方式であることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項14】
撮像装置を装着することが可能なアクセサリ装置であり、第1の通信チャネルによる前記撮像装置からの信号の受信と、第3の通信チャネルによる前記撮像装置からのデータの受信と、第2の通信チャネルによる前記撮像装置へのデータの送信と、を制御する通信制御部であって、前記アクセサリ装置のアクセサリ属性情報の、前記第2の通信チャネルによる送信を制御する通信制御部を有するアクセサリ装置の制御方法であって、
前記通信制御部が、前記アクセサリ属性情報のうち第1のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、第1の通信方式によって送信してから、前記第1の通信方式から前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式への切り替えを実行し、前記アクセサリ属性情報のうち前記第2の通信方式を用いた通信により実現される機能に対応しているか否かを示す予め定められた情報を含む第2のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、前記第2の通信方式によって送信するよう通信を制御する制御ステップを有し、
前記第1の通信方式は、第1の信号レベルと前記第1の信号レベルとは異なる第2の信号レベルとの間で交互に信号レベルが切り替わるクロック信号の前記第1の通信チャネルでの受信に対応するタイミングで、データの前記第3の通信チャネルでの受信とデータの前記第2の通信チャネルでの送信とを行う通信方式であり、
前記第2の通信方式は、前記第1の通信チャネルの信号レベルの、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えに対応して前記第2の通信チャネルでデータを送信することに対応して、前記第3の通信チャネルでデータを受信する通信方式であることを特徴とするアクセサリ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置とアクセサリ装置との通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクセサリ装置(例えばレンズ装置)を着脱可能なカメラ本体を含むアクセサリ交換型カメラシステムでは、カメラ本体がアクセサリ装置を制御したり、アクセサリ装置がその制御や撮像に必要なデータをカメラ本体に送信するための通信が行われる。この通信を行うにあたって必要な情報を、アクセサリ装置がカメラ本体に装着されることに対応して、カメラ本体とアクセサリ装置とで通信する初期通信を行う技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、初期通信において、カメラ本体とアクセサリ装置との間で送受信された通信ビットレートに関する情報に基づいて通信フォーマットを設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-187811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、カメラ本体とアクセサリ装置とがより適した通信ビットレートで通信することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、初期通信が具体的にどのような通信フォーマット・通信方式や通信によって実現されるかについて開示されていない。
【0007】
そこで、本発明は、初期通信をより高速化する撮像装置、アクセサリ装置、およびこれらの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、アクセサリ装置を装着することができる撮像装置であって、第1の通信チャネルによる前記アクセサリ装置への信号の送信と、第3の通信チャネルによる前記アクセサリ装置へのデータの送信と、第2の通信チャネルによる前記アクセサリ装置からのデータの受信と、を制御する通信制御部であって、前記アクセサリ装置のアクセサリ属性情報の、前記第2の通信チャネルによる受信を制御する通信制御部を有し、前記通信制御部は、前記アクセサリ属性情報のうち第1のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、第1の通信方式によって受信してから、前記第1の通信方式から前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式への切り替えを実行し、前記アクセサリ属性情報のうち前記第2の通信方式を用いた通信により実現される機能に対応しているか否かを示す予め定められた情報を含む第2のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、前記第2の通信方式によって受信するよう通信を制御し、前記第1の通信方式は、第1の信号レベルと前記第1の信号レベルとは異なる第2の信号レベルとの間で交互に信号レベルが切り替わるクロック信号の前記第1の通信チャネルでの送信に対応するタイミングで、データの前記第3の通信チャネルでの送信とデータの前記第2の通信チャネルでの受信とを行う通信方式であり、前記第2の通信方式は、前記第1の通信チャネルの信号レベルの、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えに対応して送信されたデータを前記第2の通信チャネルで受信することに対応して、データの送信を第3の通信チャネルで行う通信方式であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の側面は、撮像装置を装着することができるアクセサリ装置であって、第1の通信チャネルによる前記撮像装置からの信号の受信と、第3の通信チャネルによる前記撮像装置からのデータの受信と、第2の通信チャネルによる前記撮像装置へのデータの送信と、を制御する通信制御部であって、前記アクセサリ装置のアクセサリ属性情報の、前記第2の通信チャネルによる送信を制御する通信制御部を有し、前記通信制御部は、前記アクセサリ属性情報のうち第1のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、第1の通信方式によって送信してから、前記第1の通信方式から前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式への切り替えを実行し、前記アクセサリ属性情報のうち前記第2の通信方式を用いた通信により実現される機能に対応しているか否かを示す予め定められた情報を含む第2のアクセサリ属性情報を、前記第2の通信チャネルで、前記第2の通信方式によって送信するよう通信を制御し、前記第1の通信方式は、第1の信号レベルと前記第1の信号レベルとは異なる第2の信号レベルとの間で交互に信号レベルが切り替わるクロック信号の前記第1の通信チャネルでの受信に対応するタイミングで、データの前記第3の通信チャネルでの受信とデータの前記第2の通信チャネルでの送信とを行う通信方式であり、前記第2の通信方式は、前記第1の通信チャネルの信号レベルの、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルへの切り替えに対応して前記第2の通信チャネルでデータを送信することに対応して、前記第3の通信チャネルでデータを受信する通信方式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、初期通信をより高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のカメラシステムの構成を示すブロック図。
図2】実施例1におけるカメラ本体(カメラマイコン)と交換レンズ(レンズマイコン)との間の通信回路を示す図。
図3】実施例1における通信モードM1での信号波形を示す図。
図4】実施例1における通信モードM2の信号波形を示す図。
図5】実施例1における通信モードM3の信号波形を示す図。
図6】実施例1における交換レンズのレンズ属性情報を示す図。
図7】実施例1におけるカメラ本体のカメラ属性情報を示す図。
図8】実施例1における初期通信シーケンス(カメラ)を示すフローチャート。
図9】実施例1における初期通信シーケンス(カメラレンズ間の連携)を示すフローチャート。
図10】実施例2における交換レンズのレンズ属性情報を示す図。
図11】実施例2におけるカメラ本体のカメラ属性情報を示す図。
図12】実施例2における初期通信シーケンス(カメラ)を示すフローチャート。
図13】実施例2における初期通信シーケンス(カメラレンズ間の連携)を示すフローチャート。
図14】実施例3における交換レンズのレンズ属性情報を示す図。
図15】実施例3におけるカメラ本体のカメラ属性情報を示す図。
図16】実施例3における初期通信シーケンス(カメラ)を示すフローチャート。
図17A】本発明の実施形態に係る撮像装置及びアクセサリ装置を含むカメラシステムの構成を説明する図。
図17B】交換レンズ2100の外観例と各種操作部材を説明する図。
図18】撮像装置とアクセサリ装置との間の通信回路を示す概略図。
図19】通信モードM1における通信波形を示す概略図。
図20】通信モードM2における通信波形を示す概略図。
図21】通信モードM3における通信波形を示す概略図。
図22】アクセサリ装置及び撮像装置において通信フォーマットを決定するフローを説明するフローチャート。
図23】通信モードM2におけるデータ通信フローを説明するフローチャート。
図24】撮像装置に表示する撮影距離バー情報を説明する概略画面図。
図25】撮像装置に表示する撮影距離バー情報において倍率情報および被写界深度情報を示す概略画面図。
図26】撮像装置とアクセサリ装置の起動動作に関わる処理を説明するフローチャート。
図27A】撮像装置とアクセサリ装置の定常的な動作を説明するフローチャート。
図27B】カメラ表示部2206による表示の更新処理を説明するフローチャート。
図28】撮像装置とアクセサリ装置の定常状態における通信状況を説明するタイミングチャート。
図29】実施例5における手振れ状況の表示例を説明する図。
図30】実施例5の手振れ状況を表示するための表示処理を説明するフローチャート。
図31】実施例5の手振れ状況を表示するためのレンズ通信処理を説明するフローチャート。
図32】実施例6におけるズーム位置情報の表示例および交換レンズ2100の各種操作部材を説明する図。
図33】実施例6のズーム位置情報を表示するための表示処理を説明するフローチャート。
図34】実施例5のズーム位置情報を表示するためのレンズ通信処理を説明するフローチャート。
図35】課題を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。各実施例では、撮像装置(以下、カメラ本体という)とアクセサリ装置としての交換レンズとの間での通信制御に関する。まず、実施例における用語の定義について説明する。なお、以下の実施例はアクセサリ装置が交換レンズ以外である場合にも適用することが可能であり、例えば交換レンズと撮像装置の間に装着する中間アクセサリであっても良い。
【0013】
「通信フォーマット」は、カメラ本体と交換レンズとの間の通信全体の取り決めを示す。本実施例の「通信方式」は、クロック同期式または調歩同期式である。「データフォーマット」はBUSY信号の付加の許否を示し、BUSY信号の付加を許可するデータフォーマットを「フォーマットF1」とし、BUSY信号の付加を禁止するデータフォーマットを「フォーマットF2」とする。
【0014】
「通信モード」は、通信方式とデータフォーマットの組み合わせを意味し、実施例では以下の3つの通信モードについて述べる。「通信モードM1」はクロック同期式においてフォーマットF1を適用した制御通信モードである。「通信モードM2」は、調歩同期式においてフォーマットF1を適用した制御通信モードである。また、「通信モードM3」は、調歩同期式においてフォーマットF2を適用した、大容量通信モードである。
【実施例1】
【0015】
<カメラシステムの構成>
図1には、本発明の実施例1である撮像装置としてのカメラ本体200とこれに取り外し可能に装着されたアクセサリ装置としての交換レンズ100とを含む撮像システム(以下、カメラシステムという)の構成を示している。
【0016】
カメラ本体200と交換レンズ100は、それぞれが有する通信制御部を介して制御命令や内部情報の伝送を行う。また、それぞれの通信制御部は複数の通信フォーマットをサポートしており、通信データの種類や通信目的に応じて互いに同期して同一の通信フォーマットに切り替えることにより、様々な状況に対する最適な通信フォーマットを選択することが可能となっている。
【0017】
まず、交換レンズ100とカメラ本体200の具体的な構成について説明する。交換レンズ100とカメラ本体200は、結合機構であるマウント300を介して機械的および電気的に接続されている。交換レンズ100は、マウント300に設けられた不図示の電源端子を介してカメラ本体200から電力の供給を受け、後述する各種アクチュエータやレンズマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)111の制御を行う。また、交換レンズ100とカメラ本体200は、マウント300に設けられた通信端子(図2に示す)を介して相互に通信を行う。
【0018】
交換レンズ100は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ101と、変倍を行う変倍レンズ102と、光量を調節する絞りユニット114と、像振れ補正レンズ103と、焦点調節を行うフォーカスレンズ104とを含む。
【0019】
変倍レンズ102とフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、不図示のガイド軸により図中に破線で示した光軸方向に移動可能にガイドされており、それぞれステッピングモータ107、108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ107、108はそれぞれ、駆動パルスに同期して変倍レンズ102およびフォーカスレンズ104を移動させる。
【0020】
像振れ補正レンズ103は、撮像光学系の光軸に直交する方向に移動することで、手振れ等に起因する像振れを低減する。
【0021】
レンズマイコン111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御するアクセサリ制御部である。レンズマイコン111は、アクセサリ通信制御部としてのレンズ通信制御部112を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドを受信し、レンズデータの送信要求を受ける。また、レンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、レンズ通信制御部112を介して送信要求に対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。
【0022】
また、レンズマイコン111は、制御コマンドのうち変倍やフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路119およびフォーカス駆動回路120に駆動信号を出力してステッピングモータ107、108を駆動させる。これにより、変倍レンズ102による変倍動作を制御するズーム処理やフォーカスレンズ104による焦点調節動作を制御するオートフォーカス処理を行う。
【0023】
絞りユニット114は、絞り羽根114a、114bを備えて構成される。絞り羽根114a、114bの状態は、ホール素子115により検出され、増幅回路122およびA/D変換回路123を介してレンズマイコン111に入力される。レンズマイコン111は、A/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させる。これにより、絞りユニット114による光量調節動作を制御する。
【0024】
さらに、レンズマイコン111は、交換レンズ100内に設けられた振動ジャイロ等の不図示の振れセンサにより検出された振れに応じて、防振駆動回路125を介して防振アクチュエータ126を駆動する。これにより、像振れ補正レンズ103のシフト動作を制御する防振処理が行われる。
【0025】
カメラ本体200は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子201と、A/D変換回路202と、信号処理回路203と、記録部204と、カメラマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)205と、表示部206とを有する。
【0026】
撮像素子201は、交換レンズ100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換回路202は、撮像素子201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路203は、A/D変換回路202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成する。
【0027】
また、信号処理回路203は、映像信号から被写体像のコントラスト状態、つまり撮像光学系の焦点状態を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報も生成する。信号処理回路203は、映像信号を表示部206に出力し、表示部206は映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
【0028】
カメラ制御部としてのカメラマイコン205は、不図示の撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチ等のカメラ操作部材からの入力に応じてカメラ本体200の制御を行う。また、カメラマイコン205は、カメラデータ送受信部208bを介して、不図示のズームスイッチの操作に応じて変倍レンズ102の変倍動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。さらに、カメラマイコン205は、カメラデータ送受信部208bを介して、輝度情報に応じた絞りユニット114の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ104の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。カメラマイコン205は、コンピュータプログラムとしての通信制御プログラムに従ってレンズマイコン111との通信に関する動作を行う。
【0029】
<クロック同期式による通信の構成>
次に、図2を用いてカメラ本体200(カメラマイコン205)と交換レンズ100(レンズマイコン111)との間で構成される通信回路とこれらの間で行われる通信について説明する。カメラマイコン205は、レンズマイコン111との間での通信モードを管理する機能と、レンズマイコン111に対して送信要求等の通知を行う機能とを有する。また、レンズマイコン111は、レンズデータを生成する機能と該レンズデータを送信する機能とを有する。
【0030】
カメラマイコン205とレンズマイコン111は、マウント300に設けられた通信端子部(図中に3つの四角形で示す)とそれぞれに設けられた通信インタフェース回路208a、112aとを介して通信を行う。本実施例では、カメラマイコン205とレンズマイコン111は、3つのチャネルを用いた(3線式の)クロック同期式および調歩同期式によるシリアル通信を行う。通信インタフェース回路208aとカメラデータ送受信部208bによりカメラ通信制御部が構成され、通信インタフェース回路112aとレンズデータ送受信部112bによりアクセサリ通信制御部が構成される。
【0031】
上記3つのチャネルのうち1つは、クロック同期式ではクロックチャネルとなり、調歩同期式では送信要求チャネルとなる第1の通信チャネルである。他の2つのチャネルのうち1つは、レンズマイコン111からカメラマイコン205へのレンズデータ送信に用いられる第2の通信チャネルである。もう1つのチャネルは、カメラマイコン205からレンズマイコン111へのカメラデータ送信に用いられる第3の通信チャネルである。第2の通信チャネルでレンズマイコン111からカメラマイコン205に信号として送信されるレンズデータ(アクセサリデータ)を、レンズデータ信号DLCという。また、第3の通信チャネルでカメラマイコン205からレンズマイコン111に信号として送信されるカメラデータを、カメラデータ信号DCLという。
【0032】
カメラ本体100と交換レンズ200はそれぞれ不図示のマウント部を有している。カメラ本体100のマウント部は、通信端子401、通信端子402、通信端子403を有する。交換レンズ200のマウント部は、通信端子411、通信端子412、通信端子413。カメラ本体100と交換レンズ200とは、マウント部を介して装着状態となる。装着状態になると、通信端子401と通信端子411とが接触し、通信端子401と通信端子411とを介した第1の通信チャネルによる通信が可能になる。また、通信端子402と通信端子412とが接触し、通信端子402と通信端子412とを介した第3の通信チャネルによる通信が可能になる。また、通信端子403と通信端子413とが接触し、通信端子403と通信端子413とを介した第2の通信チャネルによる通信が可能になる。
【0033】
まず、クロック同期式での通信について説明する。クロック同期式では、通信マスタとしてのカメラマイコン205から通信スレーブとしてのレンズマイコン111にクロック信号LCLKがクロックチャネルを通じて出力される。カメラデータ信号DCLは、カメラマイコン205からレンズマイコン111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含む。一方、レンズデータ信号DLCは、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111からカメラマイコン205に送信される様々なデータを含む。カメラマイコン205とレンズマイコン111は、共通のクロック信号LCLKに同期して相互かつ同時に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信する。
【0034】
図3(A)~(C)には、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間でやり取りされる信号の波形を示している。このやり取りの手順を取り決めたものを通信プロトコルと呼ぶ。
【0035】
図3(A)は、最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。まず、カメラマイコン205は、クロックチャネルの信号レベル(電圧レベル)をHigh(第1の信号レベル)とLow(第2の信号レベル)の間で交互に切り替えることで、8周期のクロックパルスを1組とするクロック信号LCLKを出力する。また、カメラマイコン205は、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111に対してカメラデータ信号DCLを送信する。これと同時に、カメラマイコン205は、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111から出力されたレンズデータ信号DLCを受信する。このようにして、レンズマイコン111とカメラマイコン205との間で1組のクロック信号LCLKに同期して1バイト(8ビット)のデータが送受信される。この1バイトのデータ送受信の期間をデータフレームと呼ぶ。このデータフレームの送受信の後、後に詳細に説明するように、レンズマイコン111がカメラマイコン205に対して通信待機要求BUSYを通知する信号(以下、BUSY信号という)を送信し、これにより通信休止期間が挿入される。この通信休止期間をBUSYフレームと呼ぶ。そして、データフレーム期間とBUSYフレーム期間とを1組とする通信単位が1フレームとなる。なお、通信状況により、BUSYフレームが付加されない場合もあるが、この場合はデータフレーム期間のみで1フレームが構成される。
【0036】
図3(B)は、カメラマイコン205がレンズマイコン111に要求コマンドCMD1を送信し、これに対応する2バイトのレンズデータDT1(DT1a、DT1b)をレンズマイコン111から受信する「通信CMD1」での連続3フレームでの信号波形を示す。カメラマイコン205とレンズマイコン111との間では、予め複数種類のコマンドCMDのそれぞれに対応するレンズデータDTの種類とバイト数が決められている。通信マスタ(クロックマスタ)であるカメラマイコン205があるコマンドCMDをレンズマイコン111に送信すると、レンズマイコン111は該コマンドCMDに対応するレンズデータバイト数の情報に基づいて必要なクロック数をカメラマイコン205に送信する。また、コマンドCMD1に対するレンズマイコン111の処理には、各フレームのクロック信号LCLKにBUSY信号を重畳することが含まれており、フレーム間には上述したBUSYフレームが挿入される。
【0037】
「通信CMD1」では、カメラマイコン205はクロック信号LCLKをレンズマイコン111に送信し、さらにレンズデータDT1の送信を要求する要求コマンドCMD1をカメラデータ信号DCLとしてレンズマイコン111に送信する。このフレームでのレンズデータ信号DLCは無効データとして扱われる。
【0038】
続いて、カメラマイコン205は、クロックチャネルでクロック信号LCLKを8周期だけ出力した後にカメラマイコン側(カメラ本体側)のクロックチャネルを出力設定から入力設定に切り替える。レンズマイコン111は、カメラマイコン側のクロックチャネルの切り替えが完了すると、レンズマイコン111側(交換レンズ側)のクロックチャネルを入力設定から出力設定に切り替える。そして、レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知するために、クロックチャネルの信号レベル(電圧レベル)をLowにする。これにより、クロックチャネルにBUSY信号を重畳する。カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYが通知されている期間はクロックチャネルの入力設定を維持し、レンズマイコン111への通信を休止する。
【0039】
レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYの通知期間中に送信要求コマンドCMD1に対応するレンズデータDT1を生成する。そして、レンズデータDT1を次のフレームのレンズデータ信号DLCとして送信する準備が完了すると、レンズマイコン側のクロックチャネルの信号レベルをHighに切り替え、通信待機要求BUSYを解除する。カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYの解除を認識すると、1フレームのクロック信号LCLKをレンズマイコン111に送信することでレンズマイコン111からレンズデータDT1aを受信する。次のフレームでカメラマイコン205がクロック信号LCLKを再び8周期だけ出力したカメラマイコン205とレンズマイコン111が上記と同様の動作を繰り返すことで、カメラマイコン205はレンズマイコン111からレンズデータDT1bを受信する。
【0040】
図3(C)は、クロック同期式における、通信フォーマットF2による通信の信号波形を示す図である。カメラマイコン205がレンズマイコン111に要求コマンドCMD2を送信し、これに対応するレンズマイコン111からの3バイトのレンズデータDT2(DT2a~DT2c)を受信する「通信CMD2」での4フレームの信号波形が示されている。この「通信CMD2」での要求コマンドCMD2に対するレンズマイコン111の処理には、1フレーム目にのみクロックチャネルにBUSY信号を重畳することが含まれる。すなわち、レンズマイコン111は、続く2フレーム目から4フレーム目にはBUSY信号を重畳しない。これにより、2フレーム目から4フレーム目までのフレーム間にBUSYフレームが挿入されず、フレーム間の時間を短くすることが可能である。ただし、BUSYフレームを挿入しない期間は、レンズマイコン111がカメラマイコン205に対して通信待機要求を送ることができない。このため、これによる通信の破綻が生じないように送信するデータ数や送信間隔、レンズマイコン111内での通信の優先順位等を決定しておく必要がある。
【0041】
<クロック同期式の通信の特徴>
このように、カメラマイコン205から送信したクロック信号LCLKに同期して第2のチャネルと第3のチャネルにおけるデータ通信が行われることから、クロック信号とデータ信号とのタイミングにズレが生じにくい。このため、信頼性が高い通信方式であるという特徴を持つ。
【0042】
一方で、カメラマイコン205からクロック信号LCLKを送信する構成をとっていることから、通信レートが速すぎると、クロック信号LCLKへのノイズの影響により第2のチャネルと第3のチャネルにおけるデータ通信を適切に行うことができない可能性がある。このため、信頼性が高いという特徴を活かしつつクロック同期式の通信を行うには、ノイズの影響を考慮して通信レートにある程度の制約を設ける必要がある。
【0043】
なお、クロック信号LCLKのHighからLowに切り替わるタイミングとLowからHighに切り替わるタイミングの双方で1ビットの通信を行うことも原理的には可能だが、クロック信号LCLKへのノイズ対策や歪対策等が必要となり、電気回路が複雑になる。すなわち、よりコストが高くなってしまうというデメリットが発生する。
【0044】
<調歩同期式による通信の構成>
次に、調歩同期式での通信について説明する。ここでは調歩同期式を用いてフォーマットF1により通信を行う通信モードM2についても併せて説明する。図4には、通信モードM2においてカメラマイコン205とレンズマイコン111との間でやり取りされる通信信号の波形を示している。先に述べたように、フォーマットF1では、レンズデータ信号DLCにBUSYフレームに付加することが許可される。
【0045】
調歩同期式において、送信要求チャネル(RTS)は、通信マスタであるカメラマイコン205から通信スレーブとしてのレンズマイコン111へのレンズデータの送信要求(送信指示)等の通知に用いられる。送信要求チャネルでの通知は該送信要求チャネルでの信号のレベル(電圧レベル)をHigh(第1の信号レベル)からLow(第2の信号レベル)に変化させることで行う。以下の説明では、送信要求チャネルに供給される信号を送信要求信号RTSという。
【0046】
第2の通信チャネルは、クロック同期式と同様に、レンズマイコン111からカメラマイコン205への各種データを含むレンズデータ信号DLCの送信に用いられる。第3の通信チャネルも、クロック同期式と同様に、カメラマイコン205からレンズマイコン111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含むカメラデータ信号DCLの送信に用いられる。
【0047】
調歩同期式では、クロック同期式と異なり、カメラマイコン205とレンズマイコン111は、共通のクロック信号に同期してデータの送受信を行うのではなく、予め通信速度を設定し、この設定に沿った通信ビットレートで送受信を行う。通信ビットレートとは、1秒間に転送することができるデータ量を示し、単位はbps(bits per second)で表される。
【0048】
なお、本実施例では、この調歩同期式においても、クロック同期式と同様に、カメラマイコン205とレンズマイコン111は相互に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信する。
【0049】
図4は最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。1フレームのデータフォーマットの内訳は、カメラデータ信号DCLとレンズデータ信号DLCでは一部異なる部分がある。
【0050】
まずレンズデータ信号DLCのデータフォーマットについて説明する。1フレームのレンズデータ信号DLCは、大きな区分けとして、前半のデータフレームとこれに続くBUSYフレームとにより構成されている。レンズデータ信号DLCは、データ送信を行っていない非送信状態では信号レベルはHighに維持されている。
【0051】
レンズマイコン111は、レンズデータ信号DLCの1フレームの送信開始をカメラマイコン205に通知するため、レンズデータ信号DLCの信号レベルを1ビット期間の間Lowとする。この1ビット期間を1フレームの開始を示すスタートビットSTと呼ぶ。すなわち、このスタートビットSTからデータフレームが開始される。スタートビットSTは、レンズデータ信号DLCの1フレームごとにその先頭ビットに設けられている。続いて、レンズマイコン111は、次の2ビット目から9ビット目までの8ビット期間で1バイトのレンズデータを送信する。データのビット配列はMSBファーストフォーマットとして、最上位のデータD7から始まり、順にデータD6、データD5と続き、最下位のデータD0で終わる。そして、レンズマイコン111は、10ビット目に1ビットのパリティー情報(PA)を付加し、1フレームの最後を示すストップビットSPの期間のレンズデータ信号DLCの信号レベルをHighとする。これにより、スタートビットSTから開始されたデータフレーム期間が終了する。
【0052】
続いて、図中の「DLC(BUSY有)」に示すように、レンズマイコン111は、ストップビットSPの後にBUSYフレームを付加する。BUSYフレームは、クロック同期式と同様に、レンズマイコン111からカメラマイコン205に通知する通信待機要求BUSYの期間を表す。レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYを解除するまでレンズデータ信号DLCの信号レベルをLowに保持する。そして、カメラマイコン205は、レンズデータ信号DLCの信号レベルがLowに保持されている場合には、カメラマイコン205から送信要求チャネル(RTS)の通知を行わないよう制御する。言い換えると、第1の通信チャネルの信号レベルのHIghからLowへの切り替えを行わないよう制御する(この制御を第1の制御とも称する)。
【0053】
一方、レンズマイコン111からカメラマイコン205への通信待機要求BUSYの通知が不要な場合がある。この場合のために、図中の「DLC(BUSY無)」に示すように、BUSYフレーム(以下、BUSY通知ともいう)を付加せずに1フレームを構成するデータフォーマットも設けられている。つまり、レンズデータ信号DLCのデータフォーマットとしては、レンズマイコン側の処理状況に応じてBUSY通知を付加したものと付加しないものとを選択することができる。
【0054】
カメラマイコン205が行うBUSY通知の有無の識別方法について説明する。図4中の「DLC(BUSY無)」に示す信号波形および図4中の「DLC(BUSY有)」に示す信号波形には、B1とB2というビット位置が含まれている。カメラマイコン205は、これらB1とB2のいずれかのビット位置をBUSY通知の有無を識別するBUSY識別位置P(所定ビットに対応する)として選択する。なお、BUSY識別位置Pに対応するビット位置のビット(所定ビット)が信号レベルHighまたはLowに維持される期間を、所定ビット期間とも称する。
【0055】
カメラマイコン205は、BUSY識別位置Pの信号レベルがHIghであるかLowであるかを判定し、Lowである場合には、レンズデマイコン111によるBUSY通知を有ると判断する。裏を返すと、レンズマイコン111は、カメラマイコン205にBUSY通知をしたい場合には、レンズレンズデータ信号DLCのデータフレームに対応づけて、Lowを示すBUSY識別位置Pをカメラマイコン205に送信する。
【0056】
このように本実施例では、BUSY識別位置PをB1とB2のビット位置から選択し、BUSY識別位置PによってBUSY通知を行うデータフォーマットを採用する。これにより、レンズマイコン111の処理性能によってレンズデータ信号DLCのデータフレーム送信後にBUSY通知(DLCのLow)が確定するまでの処理時間が異なる課題に対処することができる。
【0057】
BUSY識別位置PをB1のビット位置とするかB2のビット位置とするかは、調歩同期式での通信を行う前にカメラマイコン205とレンズマイコン111との間で通信により決定する。なお、BUSY識別位置PをB1とB2のビット位置のいずれかに固定する必要はなく、両マイコン205、111の処理能力に応じて変更してもよい。
【0058】
ここで、クロック同期式においてクロック信号LCLKに付加されたBUSYフレームが、調歩同期式ではレンズデータ信号DLCに付加されるデータフォーマットとされた理由について説明する。
【0059】
クロック同期式では、通信マスタであるカメラマイコン205が出力するクロック信号LCLKと通信スレーブであるレンズマイコン111が出力するBUSY信号とを同一のクロックチャネルでやり取りする必要がある。このため、カメラマイコン205とレンズマイコン111の出力同士の衝突を、時分割方式で両マイコン205、111の出力可能期間を割当てることで防止する。ただし、この時分割方式では、両マイコン205、111の出力同士の衝突を確実に防ぐ必要がある。このため、カメラマイコン205が8パルスのクロック信号LCLKの出力を完了した時点からレンズマイコン111がBUSY信号の出力を許容される時点までの間に、両マイコン205、111の出力が禁止される一定の出力禁止期間が挿入される。この出力禁止期間は両マイコン205、111が通信できない通信無効期間となるため、実効的な通信速度を低下させる原因となる。
【0060】
このような課題を解決するために、調歩同期式では、レンズマイコン111からのBUSYフレームは、レンズマイコン111の専用出力チャネルでのレンズデータ信号DLCに付加するデータフォーマットを採用している。
【0061】
次に、カメラデータ信号DCLのデータフォーマットについて説明する。1フレームのデータフレームの仕様はレンズデータ信号DLCと共通である。ただし、カメラデータ信号DCLは、レンズデータ信号DLCとは異なり、BUSYフレームの付加が禁止されている。
【0062】
次に、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間での調歩同期式での通信の手順について説明する。まず、カメラマイコン205は、レンズマイコン111との通信を開始するイベントが発生すると、送信要求信号RTSのレベルをLowにする(以下、送信要求信号RTSをアサートするという)ことで、レンズマイコン111に対して通信要求を通知する。レンズマイコン111は、送信要求信号RTSのLowにより通信要求を検出すると、カメラマイコン205に送信するレンズデータ信号DLCの生成処理を行う。そして、該レンズデータ信号DLCの送信準備が整うと、第2の通信チャネルでの1フレームのレンズデータ信号DLCの送信を開始する。ここで、レンズマイコン111は、通信要求信号RTSがLowとなった時点からカメラマイコン205とレンズマイコン111との間で相互に設定した設定時間内にレンズデータ信号DLCの送信を開始する。すなわち、調歩同期式では、通信要求信号RTSがLowとなった時点からレンズデータ信号DLCの送信開始までの間に、クロック同期式のように最初のクロックパルスが入力される時点までに送信するレンズデータを確定させておく必要があるといった厳しい制約はない。
【0063】
次にカメラマイコン205は、レンズマイコン111から受信したレンズデータ信号DLCのデータフレームの先頭ビットであるスタートビットSTの検出に応じて、送信要求信号RTSのレベルをHighに戻す(以下、送信要求信号RTSをネゲートするという)。これにより、送信要求を解除するとともに第3の通信チャネルでのカメラデータ信号DCLの送信を開始する。なお、送信要求信号RTSのネゲートとカメラデータ信号DCLの送信開始はどちらが先であってもよく、レンズデータ信号DLCのデータフレームの受信が完了するまでにこれらを行えばよい。
【0064】
レンズデータ信号DLCのデータフレームを送信したレンズマイコン111は、カメラマイコン205に通信待機要求BUSYを通知する必要がある場合に、レンズデータ信号DLCにBUSYフレームを付加する。カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYの通知の有無を監視しており、通信待機要求BUSYが通知されている間は次の送信要求のために送信要求信号RTSをアサートすることが禁止される。レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYによりカメラマイコン205からの通信を待機させている期間に必要な処理を実行し、次の通信準備が整った後に通信待機要求BUSYを解除する。カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYが解除され、かつカメラデータ信号DCLのデータフレームの送信が完了したことを条件に、次の送信要求のために送信要求信号RTSをアサートすることが許可される。
【0065】
このように、本実施例では、カメラマイコン205での通信開始イベントがトリガとなって送信要求信号RTSがアサートされたことに応じて、レンズマイコン111がカメラマイコン205にレンズデータ信号DLCのデータフレームの送信を開始する。そして、カメラマイコン205は、レンズデータ信号DLCのスタートビットSTを検出することに応じて、カメラデータ信号DCLのデータフレームのレンズマイコン111への送信を開始する。ここでレンズマイコン111は、必要に応じて通信待機要求BUSYのためにレンズデータ信号DLCのデータフレームの後にBUSYフレームを付加し、その後、通信待機要求BUSYを解除することで1フレームの通信処理が完了する。この通信処理により、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間で相互に1バイトの通信データが送受信される。
【0066】
<調歩同期式の通信の特徴>
このように、調歩同期式では、クロック同期式とは異なりカメラマイコン205からレンズマイコン111にクロック同期信号LCLKを送信する構成を有していない。送信データ、受信データの確定タイミングは、カメラマイコン205、レンズマイコン111にて内部的に生成されるクロック信号によって決定される。そのため、クロック同期式の通信の場合にはノイズの影響を考慮して通信レートにある程度の制約を設ける必要があるが、調歩同期式ではこの制約がない。つまり、調歩同期式通信は、クロック同期通信と比較して、より高速に通信可能な通信方式である。一方で、調歩同期式ではカメラマイコン205からレンズマイコン111へのクロック同期信号LCLKの送信の代わりに、カメラマイコン205とレンズマイコン111の各々が有する不図示のクロックによって、各々の通信タイミングを制御している。このため、カメラマイコン205のクロックの振動子とレンズマイコン111のクロックの振動子の周波数にズレがあると、第2の通信チャネルや第3の通信チャネルで通信されるデータが適切に通信できない。このことから、通信の信頼性は調歩同期式よりもクロック同期式のほうが高い。
【0067】
<調歩同期式+フォーマットF2(通信モード3)>
次に、調歩同期式を用いてフォーマットF2により通信を行う通信モードM3について説明する。図5(A)には、通信モードM3においてカメラマイコン205とレンズマイコン111との間でやり取りされる連続3フレームでの通信信号の波形を示している。先に述べたように、フォーマットF2では、レンズデータ信号DLCに通信待機要求BUSYを付加することは禁止される。このため、本実施例のフォーマットF2では、レンズデータ信号DLCのデータフレームの後にBUSY識別位置Pが付加されない。
【0068】
通信モードM3では、レンズデータ信号DLCのデータフォーマットは、1フレームがデータフレームのみで構成され、BUSYフレームは存在しない。このため、通信モードM3では、レンズマイコン111からカメラマイコン205への通信待機要求BUSYを通知することができない。このようなフォーマットF2は、比較的大きな容量のデータをカメラマイコン205とレンズマイコン111との間で転送する際に、フレーム間の間隔を短くした連続通信を行う用途に用いられる。すなわち、フォーマットF2により、大容量データの高速通信が可能となる。
【0069】
次に、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間の通信制御処理について説明する。図5(B)には、カメラマイコン205とレンズマイコン111がそれぞれ、nフレームのカメラデータ信号DCLおよびレンズデータ信号DLCを連続して送受信する場合の通信信号の波形を示している。まず、カメラマイコン205は、レンズマイコン111との通信を開始するイベントが発生すると、送信要求信号RTSをアサートする。フォーマットF2では、フォーマットF1と異なり、カメラマイコン205は送信要求信号RTSを1フレームごとにネゲートする必要はなく、連続してデータ送受信が可能な状態である間はRTSのアサート状態を維持する。
【0070】
レンズマイコン111は、送信要求信号RTSのアサートにより通信要求を検出すると、カメラマイコン205に送信するレンズデータ信号DLCの生成処理を行う。そして、該レンズデータ信号DLCの送信準備が整うと、第2の通信チャネルでの1フレーム目のレンズデータ信号DLC(DL1)の送信を開始する。
【0071】
1フレーム目のレンズデータ信号DLCのデータフレームを送信したレンズマイコン111は、再び送信要求信号RTSを確認する。このとき、送信要求信号RTSがアサート状態であった場合には、レンズマイコン111は送信が完了した1フレーム目に続けて次の2フレーム目のレンズデータ信号DLC(DL2)をカメラマイコン205に送信する。このようにして送信要求信号RTSのアサート状態が維持されている間はレンズマイコン111からのレンズデータ信号DLC(DL1~DLn)がカメラマイコン205に連続して送信される。そして、予め決められたフレーム数nの送信が完了すると、レンズデータ信号DLCの送信が停止される。
【0072】
カメラマイコン205からは、レンズマイコン111からのレンズデータ信号DCLのフレームごとのスタートビットSTを検出することに応じて、nフレームのカメラデータ信号DCL(DC1~DCn)の第3の通信チャネルでの送信が開始される。
【0073】
図5(C)には、図5(B)で示した連続データ送受信の通信中にカメラマイコン205から又はレンズマイコン111から一時的な通信休止が指示された場合の通信信号の波形を示している。ここでも、カメラマイコン205から通信要求信号RTSがアサートされることでレンズマイコン111がレンズデータ信号DLCの送信を開始し、そのスタートビットSTの検出に応じてカメラマイコン205がカメラデータ信号DCLの送信を開始する。
【0074】
T2w1は、カメラマイコン205から通信休止が指示された期間である通信休止期間を示し、該指示は送信要求信号RTSを一時的にネゲートすることでレンズマイコン111に通知される。レンズマイコン111は、送信要求信号RTSがネゲートされたことを検出すると、その検出時点で送信途中のレンズデータ信号DLCのフレーム(図ではDL6:以下、休止フレームという)の送信を完了した後、送信を休止する。このレンズデータ信号DLCの送信休止を受けて、カメラマイコン205も、カメラデータ信号DCLのうち上記休止フレームに対応するフレーム(DC6)を送信した後にカメラデータ信号DCLの送信を休止する。このような通信制御により、連続データ送受信の通信中に通信休止指示が発生した場合でもレンズデータ信号DLCとカメラデータ信号DCLの送信済みフレーム数を同数にするように管理することができる。
【0075】
カメラマイコン205は、通信休止の要求イベントがなくなると、送信要求信号RTSを再びアサートすることでレンズマイコン111に対して通信再開を指示することができる。通信再開指示に応じて、レンズマイコン111は休止フレームの次のフレーム(DL7:以下、再開フレームという)からレンズデータ信号DLCの送信を再開する。そして、再開フレームのスタートビットSTの検出に応じて、カメラマイコン205はカメラデータ信号DCLの上記再開フレームに対応するフレーム(DC7)からの送信を再開する。
【0076】
一方、T2w2はレンズマイコン111から通信休止が指示された期間である通信休止期間を表している。図5(C)では、通信休止期間T2w1の終了後はカメラマイコン205およびレンズマイコン111とも通信休止を指示しておらず、上述した再開フレームDL7、DC7およびそれに続くフレームDL8、DC8~DL9、DC9の順で連続データ送受信を行っている。
【0077】
そして、レンズマイコン111内でフレームDL9の送信(カメラマイコン205でのフレームDC9の受信)が完了したときに通信休止要求イベントが発生することで、レンズマイコン111はカメラマイコン205に対して通信休止指示を通知する。該通知は、レンズマイコン111が送信要求信号RTSの状態がアサート状態であってもレンズデータ信号DLCを送信しないことで行う。カメラマイコン205は、レンズデータ信号DLCのフレームごとのスタートビットSTを常時監視しており、スタートビットSTを検出しない場合には次のカメラデータ信号DCLのフレームの送信を停止するよう取り決めている。このため、カメラマイコン205は、送信要求信号RTSをアサートしていてもレンズマイコン111からのレンズデータ信号DLC(図ではDL10)を受信しない場合はレンズマイコン111にカメラデータ信号DCL(DC10)を送信せずに通信を休止する。なお、カメラマイコン205は、レンズマイコン111からの指示による通信中止期間T2w2中は送信要求信号RTSをアサート状態に維持する。
【0078】
その後、レンズマイコン111内で通信休止要求イベントがなくなってレンズマイコン111がレンズデータ信号DLCの再開フレームDL10の送信を再開する。カメラマイコン205は、該再開フレームDL10のスタートビットSTを検出することに応じてカメラデータ信号DCLにおける対応フレームDC10の送信を再開する。
【0079】
<調歩同期式+フォーマットF2(通信モードM3)の通信の特徴>
このように、調歩同期式においてフォーマットF2によって通信する場合には、調歩同期式においてレンズデータ信号DLCに通信待機要求BUSYを付加されない。このことから、調歩同期式においてフォーマットF2によって通信する場合、調歩同期式の通信による特徴に加え、更に高速に通信を行うことができるという特徴を有する。このため、大容量のデータを通信する場合には、通信モードM3を採用することで、通信に要する時間を短縮することが可能である。通常、レンズマイコン111がBUSYを付加するのはカメラマイコン205からの通信により、特定の機能を作動させる必要がある場合である。たとえば、単純にレンズマイコン111からカメラマイコン205へデータ転送することを目的とする場合に当該の通信モードM3を適用することが有効となる。
【0080】
ただし、カメラマイコンがフォーマットF1の通信フォーマットとして制御しているが、レンズマイコン111はフォーマットF2の通信フォーマットで制御するような認識ずれが生じると、逆に通信レートを落としてしまったり、通信異常を引き起こしてしまう。従って、フォーマットF2を使用するためには、フォーマットF2への切り替え処理を確実に行う必要がある。例えば、通信量の通知など、フォーマットF2による大容量通信を保障するような処理を事前に行うことが好ましい。このことから、フォーマットF2を少容量のデータを送信するために用いると、前述のフォーマットF2への切り替え処理にかかる時間が支配的となり、通信時間の短縮という効果が得られない場合もあり得る。このことから、ある程度以上の容量のデータを通信するために用いられることが好ましい。
【0081】
<レンズ属性情報>
図6には、図8に後述する初期通信処理でレンズマイコン111からカメラマイコン205に送信されるレンズ属性情報(アクセサリ属性情報に対応する)の一例を示している。
【0082】
ここで、初期通信処理とは、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間で通信の開始に対応して、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間で通信や、カメラ本体200又は交換レンズ100が実現する機能において必要な情報を、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間で通信する処理である。ここで、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間での通信の開始とは、カメラ本体200に交換レンズ100が装着された状態でカメラ本体に電源供給された場合や、カメラ本体に電源供給された状態で交換レンズ100が装着された場合である。
【0083】
レンズ属性情報は、レンズの特徴・特性を示す情報であり、本実施例では識別情報と、動作状態情報を含む。
【0084】
識別情報は、個々の交換レンズ100ごとに定まっている情報であり、固有情報や機能情報を含む。固有情報とは、交換レンズ100に固有な光学データ(たとえば焦点距離情報)を示す光学データ情報や同一機種の中での個体を識別可能な製造ナンバー(シリアルナンバー)が含まれる情報である。
【0085】
機能情報とは、カメラ本体200と交換レンズ100との組み合わせにより実現する機能を制御するための情報である。具体的には、交換レンズ100が前述した通信モードM3の通信に対応しているか否かを識別できる情報や、あるいは、交換レンズ100が特定の部材を有しているか否かを識別することを可能とする情報である。
【0086】
そして、前述の動作状態情報とは、機種によらず、個々の交換レンズ100ごとの動作状態を示す情報である。動作状態情報の一例が、セーフモードであるか否かを示す情報である。セーフモードであるか否かを示す情報は、交換レンズ100のファーム更新が通信異常により中断され、ファームアップに必要最低限の動作のみに対応している状態(この状態をセーフモードと称する)となっているか否かを示す情報である。セーフモードの状態である場合には、セーフモード状態情報は「セーフモードである」ことを示す。セーフモードの状態ではない場合には、セーフモード状態情報は「セーフモードではない」ことを示す。
【0087】
前述した通信モードM1、あるいはM2、M3いずれを採用した場合も、カメラ本体200と交換レンズ100との間で実現する通信ではバイト単位で通信処理が行われる。そして、このように実施されることでカメラ本体200と交換レンズ100との間で情報交換される情報を例示したものが図6のテーブル情報となっている。図6に図示されているように、前述した通信処理にて交換される各種情報は、各バイトに関して、各1バイトを構成する8ビットを活用することで、レンズが有するレンズ属性情報を表現することが可能となっている。なお、レンズの属性情報は1ビットで表現されるものであっても複数ビットで表現されるものであってもよい。
【0088】
たとえば、図6に示すレンズ属性情報1の1バイト(8ビット)はレンズ機種名を表現しており、交換レンズの機種ごとにユニークな番号が割り当てられている。
【0089】
また、たとえばレンズ属性情報2~レンズ属性情報4の3バイト(24ビット)はシリアルナンバーを表現している。
【0090】
レンズ属性情報5ではb0(bnはn番目のビットという意味とする。1バイトはb0~b7で対応するビットを表現することができる。)に機能FUNC1のための通信に対応するか、否かが表現されている。b1に交換レンズ100が部材ITEM1を有しているか否かを表現している。b2にセーフモードであるか否かを表現している。b3に対応可能な通信ビットレート情報を表現している。
【0091】
レンズ属性情報6からレンズ属性情報8の3バイト(24ビット)には交換レンズ100のファームウェアのバージョンが表現されている。これは交換レンズ100のファームウェアの更新時の表示や古いファームウェアに更新されないように制御するためなどに利用される。
【0092】
レンズ属性情報20のb0では通信モードM3に対応しているか否かを表現している。本実施例で、通信モードM3に対応しているか否かに対応するこの情報は、後述の第2のレンズ属性情報の通信に対応するか否かを示す情報としても用いられる。なお、ここでは交換レンズ100において対応可能な通信モードを示す情報として通信モードM3に対応しているか否かの情報を例示しているが、通信モードM1や通信モードM2に対応している否かの情報を別途有していても良い。また、交換レンズ100において対応可能な通信方式を示す情報として、調歩同期式に対応しているのかを示す情報を別途含んでいても良い。
【0093】
レンズ属性情報21以降では通信モードM3に対応していることが前提のレンズのみに関係する属性情報が含まれている。例えば、通信モードM3を実行することができるレンズのみ実現することができる通信に関する固有情報や、機能情報が含まれている。(以降、この図中のレンズ属性情報20までを第1のレンズ属性情報、レンズ属性情報21以降を第2のレンズ属性情報という)。ここで、第2のレンズ属性情報は、調歩同期式の通信フォーマットF2に限らず、調歩同期式の通信フォーマットF1によって調歩同期式を実行することができるレンズのみ実現することができる通信に関する固有情報や、機能情報が含んでいても良い。
【0094】
例えばレンズ属性情報21のb0は大容量の補正データ通信に対応しているか否かを表現している。大容量のデータを通信することはクロック同期式である通信モードM1でも可能であるが、通信レートが遅い通信モードM1にて当該通信を実施すると通信時間がかかってしまう。その結果、たとえばカメラの起動時間が遅延するなどのユーザーの使い勝手の低下を招いてしまう。このように、カメラ全体としての性能、機能を成り立たせるには既定の時間内に通信が完了していることが求められることも多い。このため、実質的により高速に通信可能な通信方式である調歩同期式や、これに加えてより高速に通信可能な通信フォーマットF2によって通信を行うことが好ましい。
【0095】
<カメラ属性情報>
図7には、初期通信でカメラマイコン205からレンズマイコン111に送信されるカメラ属性情報の一例が示されている。レンズ属性情報と同様にカメラ属性情報は1バイトを構成する8ビットを活用することで、カメラが有するカメラ属性情報を表現することが可能となっている。なお、カメラの属性情報は1ビットで表現されるものから複数ビットで表現されるものもあってよい。
【0096】
たとえば図7に示すレンズ属性情報1の1バイト(8バイト)はカメラ機種名を表現しており、カメラ本体の機種ごとにユニークな番号が割り当てられている。また、たとえばカメラ属性情報2ではb0には機能FUNC1のための通信に対応しているか否かを、b1にはカメラマイコン205が通信モードM3に対応しているか否かを表現している。
【0097】
<初期通信シーケンス処理(カメラ)>
図8のフローチャートを用いて、本実施例が特徴とするカメラ本体200側の処理としての初期通信シーケンス処理を説明する。カメラマイコン205は、コンピュータプログラムとしての通信制御プログラムにしたがってこの処理を実行する。図8および以下の説明において「S」はステップを意味する。
【0098】
S90において、カメラマイコン205はレンズマイコン111と通信するための通信モードを、クロック同期式である通信モードM1に設定する。同様にレンズマイコン111も通信モードを通信モードM1に設定する必要があるが、レンズマイコン111の処理については図9で後述する。
【0099】
S100において、カメラマイコン205は、カメラデータ送受信部208bを介して、第1のレンズ属性情報の送信要求コマンドを送信する。また、カメラマイコン205は、カメラデータ送受信部208bを介して、第1のカメラ属性情報を送信する。
【0100】
S101において、カメラマイコン205は、カメラデータ送受信部208bを介して、レンズマイコン111から送信される第1のレンズ属性情報を受信する。第1のレンズ属性情報は、通信モードM3に対応しているか否かという機能情報を含んでいる。
【0101】
S102において、カメラマイコン205は、セーフモードで動作する交換レンズ100か否かを判定する。例えばレンズ属性情報のレンズ属性情報1~レンズ属性情報20によって構成される第1のレンズ属性情報に動作状態情報としての、交換レンズ100がセーフモードで動作しているか否かという情報が設定されているか否かを判定する。または、交換レンズ100がセーフモードで動作しているか否かを判定する通信を介してセーフモードの判定を行ってもよい。
【0102】
ここで交換レンズ100がセーフモードで動作していると判定された場合(S102のYes)、初期通信シーケンス処理を終了する。S101で取得する第1のレンズ属性情報には表示やファームウェア更新の制御のために交換レンズ100のファームウェアバージョンが含まれることが好ましい。セーフモードで動作する交換レンズ100はなるべく早く交換レンズ100のファームウェアを更新するためのシーケンスに移行することが好ましいためである。また、図中には示されていないが、交換レンズ100がセーフモードで動作する場合には、カメラ表示部206に現在装着している交換レンズ100のファームアップが正常に行われなかったことを表示し、ユーザーに異常状態を通知するなどの処理を行う。
【0103】
セーフモードレンズではないと判定された場合(S102のNo)、S103に遷移する。S103で、カメラマイコン205は、S101で取得した第1のレンズ属性情報に含まれる通信モードM3に対応できるか否かの情報に基づいて、通信モードM1より高速に通信可能な通信モードM3に対応しているか否かを判定する。
【0104】
ここで交換レンズ100が通信モードM3に対応していないと判定された場合(S103のNo)、通信モードM3に対応していることを前提としたレンズ機能情報を取得せずに、初期通信シーケンス処理を終了する。これにより、初期通信シーケンス処理時間を短縮することができる。なお、S102とS103の順序は逆でもよい。
【0105】
通信モードM3に対応した交換レンズ100であると判定された場合(S103のYes)、S104において、カメラマイコン205はレンズマイコン111に通信モードM3への切り替え要求を送信する。そして、カメラマイコン205は、通信モードを通信モードM3に切り替える。同様にレンズマイコン111が通信モードM3に設定する処理については図9で後述する。
【0106】
その後、S105において、カメラマイコン205はカメラデータ送受信部208bを介して、レンズマイコン111に第2のレンズ属性情報の要求を送信する。そして、カメラマイコン205は、交換レンズ100の第2のレンズ属性情報を、レンズマイコン111から取得する。
【0107】
このように、本実施例では、通信モードM3に対応できるか否かの情報に基づいて、第2のレンズ属性情報を取得するか否かを切り替えている。この点、通信モードM3に対応できるか否かの情報は、第2のレンズ属性情報の通信に対応する否かの情報としても機能している。そして、通信モードM3に対応できる場合には、通信モードM3によって第2のレンズ属性情報を取得することで、初期通信をより高速化している。
【0108】
S106において、カメラマイコン205はレンズマイコン111に通信モードM1への切り替え要求を送信する。また、カメラマイコン205は、通信モードM1に設定する。ただし、ここで必ずしも通信モードにM1設定しなおす必要はない。初期通信シーケンス処理終了後においてもより高速な通信を継続したい場合には、通信モードM1に変更せずに、通信モードM3を継続してもよい。または通信モードM2に変更してもよい。
【0109】
<初期通信シーケンス処理(カメラレンズ間の連携)>
図8のフローチャートではカメラ本体200の初期通信処理について説明した。図9のフローチャートではカメラ本体200と交換レンズ100のいずれも通信モードM3に対応している場合のカメラ本体200と交換レンズ100の連携による、本実施例の初期通信処理における通信制御を説明する。カメラマイコン205とレンズマイコン111は、コンピュータプログラムとしての通信制御プログラムにしたがってこの処理を実行する。なおここでは、交換レンズ100がセーフモードではないものとする。
【0110】
まず、S1100、S1200においてカメラマイコン205およびレンズマイコン111は、通信モードを通信モードM1に設定する(S1100はS90に対応する)。本実施例では、通信モードM1が初期の通信モードとして予め設定されているものとする。
【0111】
続いて、S1101において、カメラマイコン205は、第1のレンズ属性情報の要求と、カメラ本体において対応可能な通信モードを含むカメラ属性情報とを、第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。S1201においてレンズマイコン111はカメラマイコン205から第3の通信チャネルによって送信されてくるカメラ属性情報を受信する。カメラ属性情報は、図7で説明したように、カメラの識別情報や、機能情報を含んでいる。
【0112】
S1202においてレンズマイコン111は、第2の通信チャネルによって第1のレンズ属性情報をカメラマイコン205に送信する。
【0113】
S1102において、カメラマイコン205は、レンズマイコン111から第2の通信チャネルによって送信されてくる第1のレンズ属性情報を受信する(S1102はS101に対応する)。
【0114】
このように、図9のフローチャートでは、カメラ属性情報が送信された後にレンズ属性情報が送信されているが、カメラ属性情報の送信とレンズ属性情報の送信は同時であってもよい。また、レンズ属性情報が送信された後にカメラ属性情報が送信されるようにしてもよい。
【0115】
S1102で得られるレンズ属性情報には、交換レンズ100が高速な通信モードM3に対応しているか否かを示す情報が含まれている。この情報が通信モードM3に対応していることを示す情報であった場合(図8のS103がYesの場合に対応する)は、図8のS105で説明したように高速な通信モードM3で第2のレンズ属性情報を受信する。
【0116】
そこで、S1103でカメラマイコン205は、通信フォーマットM3への切り替え要求を、第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。S1203においてレンズマイコン111は、通信モードM3への切り替え要求を第3の通信チャネルによって受信する。
【0117】
S1104においてカメラマイコン205は通信モードM3に切り替える。同様にS1204においてレンズマイコン111は通信モードM3に切り替える。
【0118】
S1105において、カメラマイコン205は、第2のレンズ属性情報の要求を第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。S1205において、レンズマイコン111は、第2のレンズ属性情報の要求を第3の通信チャネルによって受信する。
【0119】
その後、S1206において、レンズマイコン111は通信モードM3に対応した交換レンズ100のための第2のレンズ属性情報を第2の通信チャネルによって送信する。S1106において、カメラマイコン205は第2のレンズ属性情報を第2の通信チャネルによって受信する。なお、この図中ではカメラマイコン205が通信モードM3に対応した交換レンズ100のためのカメラ属性情報の送信を省略しているが、送信してもよい。この場合、カメラマイコン205は、S1206においてレンズマイコン111が送信した、第2の属性情報を含むデータフレームのスタートビットSTの、第2の通信チャネルによって受信に対応してカメラ属性情報を、第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。
【0120】
第2のレンズ属性情報の送受信が終わったのちに、S1107においてカメラマイコン205は、通信モードの通信モードM1への切り替え要求を第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。S1207においてレンズマイコン111は、通信モードの通信モードM1への切り替え要求を第3の通信チャネルによって受信する。
【0121】
そしてS1108、S1208においてカメラマイコン205およびレンズマイコン111は通信モードを通信モードM1に設定する。
【0122】
なお、初期通信シーケンスの後も通信モードM3を利用するなどの理由でS1107、S1108、S1207、S1208を省略してもよい。
【0123】
なお、本実施例では第2のレンズ属性情報を通信モードM3により取得することを例示したが、通信モードM3に代えて通信モードM2によって取得しても良い。通信モードM2は、クロック同期式である通信モードM1よりも高速に通信可能な調歩同期式の通信であるので、通信モードM3と同様に初期通信を高速化することができる。この場合、第2の属性情報の取得を行うか否かに対応する情報として、通信モードM2に対応しているか否かの情報が第1のレンズ属性情報に含まれるようにしても良い。
【0124】
<実施例1の効果>
このように、本実施例のレンズの属性情報には、第1のレンズ属性情報と、第2のレンズ属性情報とが含まれる。本実施例では、第1のレンズ属性情報はクロック同期式である通信モードM1で、第2のレンズ属性情報は調歩同期式である通信モードM3で取得する。このように、レンズの属性情報を、クロック同期式の通信で取得してから、調歩同期式の通信に切り替えて別途取得する理由は、通信の信頼性を保障しつつ、初期通信を高速化するためである。
【0125】
前述のように、クロック同期式は調歩同期式と比較すると通信の信頼性が高いので、初期設定としてはクロック同期式で初期通信を開始することが好ましい。一方で、前述のように、クロック同期式で通信の信頼性を保障するためには、通信レートに制約が生じる。レンズ属性情報は項目が多く、将来的に増加する場合もあることから、初期通信で通信するレンズ属性情報のすべてをクロック同期式で行うと、レンズ属性情報が多いほど、通信に時間がかかってしまう。ここで通信に要する時間が長くなるほど、ユーザーにとってカメラの起動までの時間が長くなってしまう。これに対し、調歩同期式はクロック同期式の通信と比較してより高速な通信が可能であるが、通信の信頼性はクロック同期式のほうがより高いことから、初期設定としての通信方式は、調歩同期式よりもクロック同期式のほうが好ましい。
【0126】
このことから、本実施例では、まずはクロック同期式である通信モードM1で第1のレンズ属性情報を取得する。そして、第1のレンズ属性情報に含まれる情報に基づいて、調歩同期式である通信モードM3への切り替えと、通信モードM3による第2のレンズ属性情報の取得を行う。これにより、通信の信頼性を保障しつつ、初期通信を高速化している。ここで、第2のレンズ属性情報の取得を通信モードM3(調歩同期式の通信フォーマットF2)によって行うことで、調歩同期式の通信フォーマットF1によって行う場合と比較して、初期通信をより高速化することができる。
【0127】
また、本実施例では、調歩同期式で実現することを想定した機能情報は、第1のレンズ属性情報ではなく第2のレンズ属性情報に含まれている。これにより、そもそも調歩同期式を採用しない交換レンズについては、第2のレンズ属性情報の通信を省略することで、初期通信を高速化することができる。
【実施例2】
【0128】
実施例1では第1のレンズ属性情報を通信モードM1(クロック同期式+通信フォーマットF1)で受信し、第2のレンズ属性情報を通信モードM3(調歩同期+通信フォーマットF2)で受信する実施例とした。これに対し、実施例2では、実施例1の図3にて説明した通信モードM1を基本の通信モードとしつつ初期通信の高速化を実現することを提案する。具体的には、通信モードM3に代えて、クロック同期式において多バイトの通信についてすべてBUSYを介在させない通信フォーマットF2を用いる。この実施例2の方式では実施例1の方式に比べ同一の通信方式で行うため、通信方式を切り替えるための時間をかけずに初期通信シーケンス処理時間を短縮できるという利点がある。
【0129】
この実施例を説明するためのレンズ属性情報とカメラ属性情報のテーブルの変形例を図10、11に示す。実施例2は、レンズ属性情報を2つのブロックに分割し、通信方式M3への対応状況を示すレンズ属性情報20までを第1のレンズ属性情報と規定し、レンズ属性情報21以降を第2のレンズ属性情報と規定している点では実施例1と同様である。一方で、実施例2では、前述のように第2のレンズ属性情報を通信方式M3(調歩同期+F2)ではなく、クロック同期式の通信フォーマットF2によって通信する。これに対応して実施例2では、図10に示すように、第1のレンズ属性情報が、「BUSY無しによる初期通信に対応するか否か」(「レンズ属性情報10のb0」に定義)に対応する情報を有している点が実施例1とは異なる。また、図11に示すように、カメラ属性情報が「BUSY無しによる初期通信に対応するか否か」(「レンズ属性情報5のb0」に定義)に対応する情報を有している点でも実施例1とは異なる。
【0130】
<初期通信シーケンス処理(カメラ)>
図12を用いて、本実施例が特徴とするカメラ本体200側の処理としての初期通信シーケンス処理を説明する。なお、実施例1の図8との共通点については説明を省略し、差異に着目して説明する。
【0131】
S201で、カメラマイコン205は、通信フォーマットF1にて、第1のレンズ属性情報、すなわちレンズ属性情報1~レンズ属性情報10までを取得する。
【0132】
S203で、カメラマイコン205は、第1のレンズ属性情報に含まれる「BUSY無しによる初期通信に対応するか否か」に対応する情報に基づいて、交換レンズ100が、通信フォーマットF2を用いた初期通信に対応しているか否かを判断する。
【0133】
S204で、カメラマイコン205は、通信フォーマットF2への切り替え要求をレンズマイコン111に送信するとともに、通信フォーマットを前述する通信フォーマットF2に切り替える。
【0134】
S205で、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に第2のレンズ属性情報の要求を送信する。また、カメラマイコン205は通信フォーマットF2を用いて第2のレンズ属性情報、すなわちレンズ属性情報11以降を取得する。
【0135】
S206で、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に通信フォーマットF1への切り替え要求を送信するとともに、通信フォーマットF1へ復帰させ、以降の通信制御に備える。
【0136】
<初期通信シーケンス処理(カメラレンズ間の連携)>
図13のフローチャートではカメラ本体200と交換レンズ100のいずれもクロック同期式における通信フォーマットF2に対応している場合のカメラ本体200と交換レンズ100の連携による、本実施例の初期通信処理における通信制御を説明する。なお、実施例1の図9との共通点については説明を省略し、差異に着目して説明する。
【0137】
S2103で、カメラマイコン205は、S1102で受信した第1のレンズ属性情報に含まれる「BUSY無しによる初期通信に対応するか否か」に対応する情報が「BUSY無しによる初期通信に対応する」ことを示す情報であった場合に、通信フォーマットF2への切り替え要求を第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。S2203で、レンズマイコン111は、通信フォーマットF2への切り替え要求を第3の通信チャネルによって受信する。
【0138】
S2104で、カメラマイコン205は、通信フォーマットを通信フォーマットF1から通信フォーマットF2へと切り替える。S2204で、レンズマイコン111も同様に、通信フォーマットを通信フォーマットF1から通信フォーマットF2へと切り替える。
【0139】
S1106とS1206において第2のレンズ属性情報の第2の通信チャネルによる送受信が通信フォーマットF2により行われると、S2107で、カメラマイコン205は、通信フォーマットF1への切り替え要求を第3の通信チャネルによってレンズマイコン111に送信する。S2207で、レンズマイコン111は、通信フォーマットF1への切り替え要求を第3の通信チャネルによって受信する。
【0140】
S2108で、カメラマイコン205は、通信フォーマットを通信フォーマットF2から通信フォーマットF1へと切り替える。S2208で、レンズマイコン111も同様に、通信フォーマットを通信フォーマットF2から通信フォーマットF1へと切り替える。
【0141】
<実施例2による効果>
以上説明したように、本実施例では、初期通信において第1のレンズ属性情報を取得する。そして、第1のレンズ属性情報に含まれている情報がBUSY無しによる初期通信機能に対応することを示す情報を含んでいる場合には、クロック同期式のまま通信フォーマットをフォーマットF1からフォーマットF2に切り替える。そして、クロック同期式のフォーマットF2によって第2のレンズ属性情報を受信する。これにより、初期通信の高速化が可能である。
【実施例3】
【0142】
実施例3は実施例1の変形例である。本実施例では、レンズ属性情報およびカメラ属性情報の構成が、実施例1とは異なる。また、初期通信シーケンス処理についても相違点があるので後述する。なお、実施例1と共通の構成については説明を省略し、相違点に着目して説明する。
【0143】
<実施例3のレンズ属性情報>
実施例1では、通信モードM3に対応できるか否かの情報を、第2のレンズ属性情報の通信に対応するに対応するか否かの情報として用いていた。これに対し、実施例3では図14に示すように、通信モードM3に対応できるか否かの情報に代えて、調歩同期式の通信方式に対応しているか否かの情報を有する。また、調歩同期式の通信方式に対応しているか否かの情報とは別途、第2のレンズ属性情報の通信に対応するに対応するか否かの情報を有している。
【0144】
<実施例3のカメラ属性情報>
本実施例のカメラ属性情報は、図15に示すように、レンズ属性情報に対応して、調歩同期式の通信方式に対応しているか否かの情報を有している。
【0145】
<初期通信シーケンス処理(カメラ)>
図16を用いて、本実施例が特徴とするカメラ本体200側の処理としての初期通信シーケンス処理を説明する。なお、実施例1の図8との共通点については説明を省略し、差異に着目して説明する。
【0146】
S303で、カメラマイコン205は、交換レンズ100が調歩同期式の通信に対応しているか否かを判断する。この判断は、S101で取得した第1のレンズ属性情報に含まれる、調歩同期式の通信方式に対応しているか否かの情報を用いて行う。調歩同期式の通信方式に対応しているか否かの情報が、調歩同期式の通信方式に対応していることを示す情報である場合には、S304へと進む。調歩同期式の通信方式に対応しているか否かの情報が、調歩同期式の通信方式に対応していないことを示す情報である場合には、本フローの処理を終了する。
【0147】
S304で、カメラマイコン205は、交換レンズ100が第2のレンズ属性情報の通信に対応するに対応するか否かを判断する。この判断は、S101で取得した第1のレンズ属性情報に含まれる、第2のレンズ属性情報の通信に対応するか否かの情報を用いて行う。第2のレンズ属性情報の通信に対応するに対応するか否かの情報が、第2のレンズ属性情報の通信に対応することを示す情報である場合には、S104へと進む。第2のレンズ属性情報の通信に対応するに対応するか否かの情報が、第2のレンズ属性情報の通信に対応していないことを示す情報である場合には、本フローの処理を終了する。
【0148】
このように、本実施例では、S303とS304とがYESの場合にS104で第3の通信フォーマットM3に切り替える。これは、S303とS304とがYESの場合に、S105の第2レンズ属性情報の通信は、通信フォーマットF2で行うことが予め取り決められているためである。
【0149】
S307で、カメラマイコン205は、交換レンズ100が大容量の補正データ通信に対応するか否かを判断する。この判断は、S101で取得した第1のレンズ属性情報に含まれる、大容量の補正データ通信に対応するか否かの情報を用いて行う。大容量の補正データ通信に対応するか否かの情報が、大容量の補正データ通信に対応することを示す情報である場合には、S308へと進む。大容量の補正データ通信に対応するか否かの情報が、大容量の補正データ通信に対応していないことを示す情報である場合には、本フローの処理を終了する。
【0150】
S308で、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に大容量の補正データの要求を第3の通信チャネルによって送信する。そして、カメラマイコン205は、当該要求の受信に対応してレンズマイコン111によって送信された大容量の補正データを、第2の通信チャネルによって受信する。
【0151】
なお、本実施例では交換レンズ100による処理の説明を省略するが、図16に示したカメラマイコン205の処理に対応する処理をレンズマイコン111が実行する。
【0152】
<実施例3の効果>
大容量のデータを通信することはクロック同期式である通信モードM1でも可能であるが、通信レートが遅い通信モードM1にて当該通信を実施すると通信時間がかかってしまう。その結果、たとえばカメラの起動時間が遅延するなどのユーザーの使い勝手の低下を招いてしまう。このように、カメラ全体としての性能、機能を成り立たせるには既定の時間内に通信が完了していることが求められることも多く、実質的により高速な通信方式でなければ成り立たない場合がある。そこで、本実施例では、第2のレンズ属性情報の通信を通信モードM3で行うともに、第2のレンズ属性情報に基づいて、大容量の補正データの通信を、通信モードM3で行う。これによって各通信の高速化を実現することができる。
【実施例4】
【0153】
以下、アクセサリ装置としての交換レンズ及び撮像装置としてのカメラ本体における通信制御方法について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。まず、本実施例における用語の定義について説明する。
【0154】
「通信フォーマット」は、カメラ本体と交換レンズとの間の通信全体の取り決めを示す。「通信方式」はクロック同期式と調歩同期式を意味し、クロック同期式を通信方式A、調歩同期式を通信方式Bとする。「データフォーマット」は通信待機要求信号(BUSY信号)の付加の可否を示し、BUSY信号の付加を許可するデータフォーマットを「フォーマットF1」とし、BUSY信号の付加を禁止するデータフォーマットを「フォーマットF2」とする。
【0155】
「通信モード」は、通信方式とデータフォーマットの組み合わせを意味し、本実施例では以下の3つの通信モードについて説明する。「通信モードM1」は通信方式AかつフォーマットF1の通信モードであり、「通信モードM2」は通信方式BかつフォーマットF1の通信モードである。また、「通信モードM3」は通信方式BかつフォーマットF2の通信モードである。
【0156】
カメラ本体は上記の通信モードM1、M2、M3を適宜切り替えて通信を行うことで、カメラ本体と交換レンズの組み合わせや撮影モードに応じて適切な通信モードを選択することができる。
【0157】
例えば、カメラ本体と交換レンズが通信モードM2に対応していて、大容量のデータを送受信する場合には、それぞれの通信モードを通信モードM3に切り替えた後に、BUSY信号の付加が禁止された高速なデータ通信が実行される。また、交換レンズにおけるデータ処理にある程度の時間を要する場合には、カメラ本体と交換レンズの通信モードをそれぞれ通信モードM2に切り替えた後に、BUSY信号の付加が許可されたデータ通信が行われる。これにより、カメラ本体と交換レンズの間で通信の破綻を招くことのないデータ通信を実行することができる。
【0158】
<カメラ本体2200と交換レンズ2100の基本構成>
図17Aには、本発明の実施例4である撮像装置としてのカメラ本体2200とこれに取り外し可能に装着されたアクセサリ装置としての交換レンズ2100とを含む撮像システム(以下、カメラシステムという)の構成を示している。
【0159】
カメラ本体2200と交換レンズ2100は、それぞれが有する通信制御部を介して制御命令や内部情報の伝送を行う。また、それぞれの通信制御部は複数の通信フォーマットをサポートしており、通信データの種類や通信目的に応じて互いに同期して同一の通信フォーマットに切り替えることにより、様々な状況に対する最適な通信フォーマットを選択することが可能となっている。
【0160】
まず、交換レンズ2100とカメラ本体2200の具体的な構成について説明する。交換レンズ2100とカメラ本体2200は、結合機構である不図示のマウント部及び当該マウント部が有する通信端子群を介して機械的および電気的に接続されている。交換レンズ2100は、マウント部に設けられた不図示の電源端子を介してカメラ本体2200から電力の供給を受け、後述する各種アクチュエータやレンズマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)2111の制御を行う。また、交換レンズ2100とカメラ本体2200は、マウント部に設けられた通信端子群2300(図18に示す)を介して相互に通信を行う。ここで、通信端子群2300はカメラ本体2200のマウント部に設けられた通信端子群2300a(撮像装置の通信部の一例である)と交換レンズ2100のマウント部に設けられた通信端子群2300b(アクセサリ装置の通信部の一例である)とを有している。通信端子群2300aは通信端子2301a(撮像装置の第1の通信部の一例である)、通信端子2302a(撮像装置の第2の通信部の一例である)及び通信端子2303a(撮像装置の第3の通信部の一例である)を有する。また、通信端子群2300は、通信端子2301b(アクセサリ装置の第1の通信部の一例である)、通信端子2302b(アクセサリ装置の第2の通信部の一例である)及び通信端子2303b(アクセサリ装置の第3の通信部の一例である)を有する。
【0161】
交換レンズ2100は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ2101と、変倍を行う変倍レンズ2102と、光量を調節する絞りユニット2114と、像振れ補正レンズ2103と、焦点調節を行うフォーカスレンズ2104とを含む。
【0162】
変倍レンズ2102とフォーカスレンズ2104はそれぞれ、レンズ保持枠2105、2106により保持されている。レンズ保持枠2105、2106は、不図示のガイド軸により図中に破線で示した光軸方向に移動可能にガイドされており、それぞれステッピングモータ2107、2108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ2107、2108はそれぞれ、駆動パルスに同期して変倍レンズ2102およびフォーカスレンズ2104を移動させる。
【0163】
像振れ補正レンズ2103は、撮像光学系の光軸に直交する方向に移動することで、手振れ等に起因する像振れを低減する。
【0164】
レンズマイコン2111は、交換レンズ2100内の各部の動作を制御するアクセサリ制御部である。レンズマイコン2111は、アクセサリ通信制御部としてのレンズ通信制御部123を介して、カメラ本体2200から送信された制御コマンドを受信し、レンズデータの送信要求を受ける。また、レンズマイコン2111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、レンズ通信制御部123を介して送信要求に対応するレンズデータをカメラ本体2200に送信する。
【0165】
また、レンズマイコン2111は、制御コマンドのうち変倍やフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路2119およびフォーカス駆動回路2120に駆動信号を出力してステッピングモータ2107、2108を駆動させる。これにより、変倍レンズ2102による変倍動作を制御するズーム処理やフォーカスレンズ2104による焦点調節動作を制御するオートフォーカス処理を行う。またフォーカス位置検出センサ140は、オートフォーカス処理あるいはユーザー操作によるマニュアルフォーカス処理によりフォーカスレンズ2104を動作させたときのフォーカス位置を検出するセンサである。レンズマイコン2111はフォーカス位置検出センサ140の出力によりフォーカスレンズの位置情報を取得する。
【0166】
また、レンズ鏡筒にはオートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り替える、図17Bに後述するAF/MF切り替えスイッチや、フォーカスレンズの駆動範囲を限定するフォーカスリミットスイッチ141が存在する。フォーカスリミットスイッチ141(第1の操作部材とも称する)は、たとえば、「0.8m~∞」や「3m~∞」と選択可能なスイッチとなっていてオートフォーカス制御においてリミットされた範囲内でフォーカスレンズを動かす制御を行う。たとえば、檻の中の動物を撮影したい場合は至近側では合焦させないようにフォーカスレンズを動かす範囲にリミットを掛けるなど、所定の距離範囲に限定して合焦制御を行いたい撮影シーンにおいてはこのようにリミットを掛ける設定が有効である。
【0167】
絞りユニット2114は、絞り羽根2114a、2114bを備えて構成される。絞り羽根2114a、2114bの状態は、ホール素子2115により検出され、増幅回路2122およびA/D変換回路2123を介してレンズマイコン2111に入力される。レンズマイコン2111は、A/D変換回路2123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路2121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ2113を駆動させる。これにより、絞りユニット2114による光量調節動作を制御する。
【0168】
さらに、レンズマイコン2111は、交換レンズ2100内に設けられた振動ジャイロ等の不図示の振れセンサにより検出された振れに応じて、防振駆動回路2125を介して防振アクチュエータ2126を駆動する。これにより、像振れ補正レンズ2103のシフト動作を制御する防振処理が行われる。また振動ジャイロの振れセンサによりユーザーの手振れ情報としての信号情報が出力され、レンズマイコン2111は現在の手振れ状態情報を取得する。
【0169】
本実施例では、たとえば上述のフォーカス位置検出センサ140によるフォーカス位置情報や振動ジャイロの振れセンサによる手振れ状態情報やズームレンズにおいてはズーム位置情報などをカメラ本体2200へ通信する。ただし、上述したフォーカス位置、手振れ状態、ズーム位置に限らず交換レンズ2100が有する情報であれば対象としてもよい。
【0170】
カメラ本体2200は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子2201と、A/D変換回路2202と、信号処理回路2203と、記録部2204と、カメラマイクロコンピュータ(以下、05という)2205と、表示部2206(表示手段の一例である)とを有する。
【0171】
撮像素子2201は、交換レンズ2100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換回路2202は、撮像素子2201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路2203は、A/D変換回路2202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成する。
【0172】
また、信号処理回路2203は、映像信号から被写体像のコントラスト状態、つまり撮像光学系の焦点状態を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報も生成する。信号処理回路2203は、映像信号を表示部2206に出力し、表示部2206は映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
【0173】
表示部2206に表示するライブビュー画像には、カメラ本体のたとえばシャッター速度や絞り設定値などの各種設定情報を表示する。また、本実施例ではレンズマイコン2111から通信制御部123を介して通信されるレンズ100のフォーカス位置情報などをライブビュー画面に重畳して表示させる。具体的な表示例については図24にて後述する。
【0174】
カメラ制御部としてのカメラマイコン2205は、不図示の撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチ等のカメラ操作部材からの入力に応じてカメラ本体2200の制御を行う。また、カメラマイコン2205は、通信インタフェース(I/Fとも表記する)回路2208を介して、不図示のズームスイッチの操作に応じて変倍レンズ2102の変倍動作に関する制御コマンドをレンズマイコン2111に送信する。さらに、カメラマイコン2205は、通信インタフェース回路2208を介して、輝度情報に応じた絞りユニット2114の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ2104の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズマイコン2111に送信する。
【0175】
また、上述のカメラ操作部材からの入力に応じてカメラの各種設定を変更するためのメニュー画面を表示部2206に表示させることが可能である。本実施例のレンズ2111の各種情報(被写体距離情報など)を表示部2206に表示させるか否か、あるいは表示させる対象の情報(フォーカス位置、倍率情報、手振れ状態など)を選択可能となっている。
【0176】
図17Bには交換レンズ2100の外観例と各種操作部材を示している。リング2150はズームレンズでありユーザー操作あるいはカメラからの通信指示によりズーム位置をワイドからテレの領域に駆動させることができる。
【0177】
リング2151はフォーカスリングであり、ユーザーによるマニュアルフォーカス操作を可能としている。
【0178】
スイッチ2152は、オートフォーカスとマニュアルフォーカスのモードの切り替えを可能とする操作部材である。
【0179】
スイッチ2153は、防振機能を有効とするか無効とするかを切り替え可能とする操作部材である。
【0180】
スイッチ2154は、図17Aにおけるフォーカスリミットスイッチ141に相当する。ここで図示した例ではリミットなし、「0.8m~∞」、「3.0m~∞」の3状態を切り替え可能となっている。
【0181】
<通信のための基本構成>
次に、図18を用いてカメラ本体2200と交換レンズ2100との間で構成される通信回路とこれらの間で行われる通信制御について説明する。カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111との間での通信フォーマットを管理する機能と、レンズマイコン2111に対して送信要求等の通知を行う機能とを有する。また、レンズマイコン2111は、レンズデータを生成する機能と該レンズデータを送信する機能とを有する。
【0182】
カメラマイコン2205とレンズマイコン2111は、マウント部に設けられた通信端子群2300とそれぞれに設けられた通信インタフェース回路2208、2210を介して通信を行う。
【0183】
本実施例では、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111は、第1の通信チャネル、第2の通信チャネル、第3の通信チャネルの3つのチャネルを用いた3線式の通信方式A及び通信方式Bによるシリアル通信を行う。
【0184】
第1の通信チャネルでは、通信端子2301aと通信端子2301bとを介して通信が行われる。
【0185】
第1の通信チャネルは、通信方式Aではクロックチャネルとなり、通信方式Bでは送信要求チャネルとなる通知チャネルである。第1の通信チャネルでレンズマイコン2111からカメラマイコン2205に信号として送信されるレンズデータを、レンズデータ信号DLCという。
【0186】
第2の通信チャネルでは、通信端子2302aと通信端子2302bとを介して通信が行われる。
【0187】
第2の通信チャネルは、カメラマイコン2205からレンズマイコン2111へのカメラデータ送信に用いられる。第2の通信チャネルでカメラマイコン2205からレンズマイコン2111に信号として送信されるカメラデータを、カメラデータ信号DCLという。
【0188】
第3の通信チャネルでは、通信端子2303aと通信端子2303bとを介して通信が行われる。第3の通信チャネルは、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205へのレンズデータ送信に用いられる。第3の通信チャネルでレンズマイコン2111からカメラマイコン2205に信号として送信されるレンズデータを、レンズデータ信号DLCという。
【0189】
<通信方式A>
まず、通信方式Aでの通信について説明する。通信方式Aでは、通信マスタとしてのカメラマイコン2205から通信スレーブとしてのレンズマイコン2111にクロック信号LCLKがクロックチャネルを介して出力される。カメラデータ信号DCLは、カメラマイコン2205からレンズマイコン2111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含む。一方、レンズデータ信号DLCは、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン2111からカメラマイコン2205に送信される様々なデータを含む。カメラマイコン2205とレンズマイコン2111は、共通のクロック信号LCLKに同期して相互かつ同時に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信可能である。
【0190】
図19(A)(B)は、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間でやり取りされる信号の波形を示している。このやり取りの手順を取り決めたものを通信プロトコルと呼ぶ。
【0191】
図19(A)は、最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。まず、カメラマイコン2205は、8周期のクロックパルスを1組とするクロック信号LCLKを出力するとともに、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン2111に対してカメラデータ信号DCLを送信する。これと同時に、カメラマイコン2205は、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン2111から出力されたレンズデータ信号DLCを受信する。
【0192】
このようにして、レンズマイコン2111とカメラマイコン2205との間で1組のクロック信号LCLKに同期して1バイト(8ビット)のデータが送受信される。この1バイトのデータ送受信の期間をデータフレームと呼ぶ。この1バイトのデータの送受信後に、レンズマイコン2111がカメラマイコン2205に対して通信待機要求BUSYを通知する信号(以下、BUSY信号という)を送信し、これにより通信待機期間が挿入される。この通信待機期間をBUSYフレームと呼び、BUSYフレームを受信している間、カメラマイコン2205は通信待機状態となる。そして、データフレーム期間とBUSYフレーム期間とを1組とする通信単位が1フレームとなる。なお、通信状況により、BUSYフレームが付加されない場合もあるが、この場合はデータフレーム期間のみで1フレームが構成される。
【0193】
図19(B)は、カメラマイコン2205がレンズマイコン2111に要求コマンドCMD1を送信し、これに対応する2バイトのレンズデータDT1(DT1a、DT1b)をレンズマイコン2111から受信するときの信号波形を示している。図19(B)では、「通信CMD1」に応じてデータ通信が実行される例を示している。
【0194】
カメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間では、予め複数種類のコマンドCMDのそれぞれに対応するレンズデータDTの種類とバイト数が決められている。通信マスタであるカメラマイコン2205が、特定のコマンドCMDをレンズマイコン2111に送信すると、レンズマイコン2111は該コマンドCMDに対応するレンズデータバイト数の情報に基づいて必要なクロック数をカメラマイコン2205に送信する。また、コマンドCMD1に対するレンズマイコン2111の処理には、各フレームのクロック信号LCLKにBUSY信号を重畳することが含まれており、データフレーム間には上述したBUSYフレームが挿入される。
【0195】
通信CMD1では、カメラマイコン2205はクロック信号LCLKをレンズマイコン2111に送信し、さらにレンズデータDT1の送信を要求する要求コマンドCMD1をカメラデータ信号DCLとしてレンズマイコン2111に送信する。このフレームでのレンズデータ信号DLCは無効データとして扱われる。
【0196】
続いて、カメラマイコン2205は、クロックチャネルでクロック信号LCLKを8周期だけ出力した後にカメラマイコン側(カメラ本体側)のクロックチャネルを出力設定から入力設定に切り替える。レンズマイコン2111は、カメラマイコン側のクロックチャネルの切り替えが完了すると、レンズマイコン2111側(交換レンズ側)のクロックチャネルを入力設定から出力設定に切り替える。そして、レンズマイコン2111は、通信待機要求BUSYをカメラマイコン2205に通知するために、クロックチャネルの電圧レベルをLowにする。これにより、クロックチャネルにBUSY信号を重畳する。カメラマイコン2205は、通信待機要求BUSYが通知されている期間はクロックチャネルの入力設定を維持し、レンズマイコン2111への通信を停止する。
【0197】
レンズマイコン2111は、通信待機要求BUSYの通知期間中に送信要求コマンドCMD1に対応するレンズデータDT1を生成する。そして、レンズデータDT1を次のフレームのレンズデータ信号DLCとして送信する準備が完了すると、レンズマイコン側のクロックチャネルの信号レベルをHighに切り替え、通信待機要求BUSYを解除する。
【0198】
カメラマイコン2205は、通信待機要求BUSYの解除を認識すると、1フレームのクロック信号LCLKをレンズマイコン2111に送信することでレンズマイコン2111からレンズデータDT1aを受信する。次のフレームでカメラマイコン2205がクロック信号LCLKを再び8周期だけ出力したカメラマイコン2205とレンズマイコン2111が上記と同様の動作を繰り返すことで、カメラマイコン2205はレンズマイコン2111からレンズデータDT1bを受信する。
【0199】
<通信方式B>
次に、通信方式Bでの通信について説明する。ここでは通信方式Bを用いてフォーマットF1により通信を行う通信モードM2についても併せて説明する。図20には、通信モードM2においてカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間でやり取りされる通信信号の波形を示している。先に述べたように、フォーマットF1では、レンズデータ信号DLCにBUSYフレームが選択的に付加される。
【0200】
通信方式Bにおいて、送信要求チャネルは、通信マスタであるカメラマイコン2205から通信スレーブとしてのレンズマイコン2111へのレンズデータの送信要求等の通知に用いられる。送信要求チャネルでの通知は該送信要求チャネルでの信号のレベル(電圧レベル)をHigh(第1のレベル)とLow(第2のレベル)との間で切り替えることで行う。以下の説明では、通信方式Bにおいて送信要求チャネルに供給される信号を送信要求信号RTSという。
【0201】
第1のデータ通信チャネルは、通信方式Aと同様に、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205への各種データを含むレンズデータ信号DLCの送信に用いられる。第2のデータ通信チャネルも、通信方式Aと同様に、カメラマイコン2205からレンズマイコン2111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含むカメラデータ信号DCLの送信に用いられる。
【0202】
通信方式Bでは、通信方式Aと異なり、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111は、共通のクロック信号に同期してデータの送受信を行うのではなく、予め通信速度を設定し、この設定に基づいた通信ビットレートで送受信を行う。通信ビットレートとは、1秒間に転送することができるデータ量を示し、単位はbps(bit per second)で表される。
【0203】
なお、本実施例では、この通信方式Bにおいても、通信方式Aと同様に、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111は相互に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信を行う。
【0204】
図20は最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。1フレームのデータフォーマットの内訳は、カメラデータ信号DCLとレンズデータ信号DLCでは一部異なる部分がある。
【0205】
まずレンズデータ信号DLCのデータフォーマットについて説明する。1フレームのレンズデータ信号DLCは、前半のデータフレームとこれに続くBUSYフレームとにより構成されている。レンズデータ信号DLCは、データ送信を行っていない状態では信号レベルはHighに維持されている。
【0206】
レンズマイコン2111は、レンズデータ信号DLCの1フレームの送信開始をカメラマイコン2205に通知するため、レンズデータ信号DLCの電圧レベルを1ビット期間の間LOWとする。この1ビット期間をスタートビットSTと呼び、スタートビットSTからデータフレームが開始される。続いて、レンズマイコン2111は、スタートビットSTに続く2ビット目から9ビット目までの8ビット期間で1バイトのレンズデータを送信する。
【0207】
データのビット配列はMSB(Most Significant Bit)ファーストフォーマットとして、最上位のデータD7から始まり、順にデータD6、データD5と続き、最下位のデータD0で終了する。そして、レンズマイコン2111は、10ビット目に1ビットのパリティー情報(PA)を付加し、1フレームの最後を示すストップビットSPの期間、レンズデータ信号DLCの電圧レベルをHIGHとする。これにより、スタートビットSTから開始されたデータフレーム期間が終了する。なお、パリティー情報は1ビットである必要はなく、複数のビットのパリティー情報が付加されても良い。また、パリティー情報は必須ではなく、パリティー情報が付加されないフォーマットとしても良い。
【0208】
続いて、図中の「DLC(BUSY有)」に示すように、レンズマイコン2111は、ストップビットSPの後にBUSYフレームを付加する。BUSYフレームは、通信方式Aと同様に、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205に通知する通信待機要求BUSYの期間を表す。レンズマイコン2111は、通信待機要求BUSYを解除するまでレンズデータ信号DLCの信号レベルをLowに保持する。
【0209】
一方、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205への通信待機要求BUSYの通知が不要な場合がある。この場合のために、図中の「DLC(BUSY無)」に示すように、BUSYフレーム(以下、BUSY通知ともいう)を付加せずに1フレームを構成するデータフォーマットも設けられている。つまり、レンズデータ信号DLCのデータフォーマットとしては、レンズマイコン側の処理状況に応じてBUSY通知を付加したものと付加しないものとを選択することができる。
【0210】
カメラマイコン2205が行うBUSY通知の有無の識別方法について説明する。図20の「DLC(BUSY無)」に示す信号波形および図20の「DLC(BUSY有)」に示す信号波形には、B1とB2というビット位置が含まれている。カメラマイコン2205は、これらB1とB2のいずれかのビット位置をBUSY通知の有無を識別するBUSY識別位置Pとして選択する。このように本実施例では、BUSY識別位置PをB1とB2のビット位置から選択するデータフォーマットを採用する。これにより、レンズマイコン2111の処理性能によってレンズデータ信号DLCのデータフレーム送信後にBUSY通知(DLCのLow)が確定するまでの処理時間が異なる課題に対処することができる。
【0211】
BUSY識別位置PをB1のビット位置とするかB2のビット位置とするかは、通信方式Bでの通信を行う前にカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間で通信により決定する。なお、BUSY識別位置PをB1とB2のビット位置のいずれかに固定する必要はなく、カメラマイコン2205、レンズマイコン2111の処理能力に応じて変更してもよい。なお、BUSY識別位置Pは、B1やB2に限らず、ストップビットSPよりも後の所定位置に設定することができる。
【0212】
ここで、通信方式Aにおいてクロック信号LCLKに付加されたBUSYフレームが、通信方式Bではレンズデータ信号DLCに付加されるデータフォーマットとした理由について説明する。
【0213】
通信方式Aでは、通信マスタであるカメラマイコン2205が出力するクロック信号LCLKと通信スレーブであるレンズマイコン2111が出力するBUSY信号とを同一のクロックチャネルでやり取りする必要がある。このため、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111の出力同士の衝突を時分割方式で防止している。つまり、クロックチャネルにおけるカメラマイコン2205とレンズマイコン2111の出力可能期間を適宜割り当てることで出力同士の衝突を防ぐことができる。
【0214】
ただし、この時分割方式では、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111の出力同士の衝突を確実に防ぐ必要がある。このため、カメラマイコン2205が8パルスのクロック信号LCLKの出力を完了した時点からレンズマイコン2111がBUSY信号の出力を許容される時点までの間に、両マイコン205、2111の出力が禁止される一定の出力禁止期間が挿入される。この出力禁止期間はカメラマイコン2205とレンズマイコン2111が通信できない通信無効期間となるため、実効的な通信速度を低下させる原因となる。
【0215】
このような課題を解決するために、通信方式Bでは、レンズマイコン2111の専用出力チャネルである第1のデータ通信チャネルでのレンズデータ信号DLCにレンズマイコン2111からのBUSYフレームを付加するデータフォーマットを採用している。
【0216】
次に、カメラデータ信号DCLのデータフォーマットについて説明する。1フレームのデータフレームの仕様はレンズデータ信号DLCと共通である。ただし、カメラデータ信号DCLは、レンズデータ信号DLCとは異なり、BUSYフレームの付加が禁止されている。
【0217】
次に、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間での通信方式Bでの通信の手順について説明する。まず、カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111との通信を開始するイベントが発生すると、送信要求信号RTSの電圧レベルをLowにする(以下、送信要求信号RTSをアサートするという)ことで、レンズマイコン2111に対して通信要求を通知する。
【0218】
レンズマイコン2111は、送信要求信号RTSの電圧レベルがLowに変化したことにより通信要求を検出すると、カメラマイコン2205に送信するレンズデータ信号DLCの生成処理を行う。そして、該レンズデータ信号DLCの送信準備が整うと、第1のデータ通信チャネルを介して1フレームのレンズデータ信号DLCの送信を開始する。ここで、レンズマイコン2111は、通信要求信号RTSの電圧レベルがLowとなった時点から、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間で相互に設定した設定時間内にレンズデータ信号DLCの送信を開始する。
【0219】
すなわち、通信方式Bでは、通信要求信号RTSの電圧レベルがLowとなった時点からレンズデータ信号DLCの送信が開始されるまでの間に、送信するレンズデータを確定させればよい。通信方式Aのように、最初のクロックパルスが入力される時点までに送信するレンズデータを確定させておく必要があるといった厳しい制約がないため、レンズデータ信号DLCの送信を開始するタイミングに自由度を持たせることができる。
【0220】
次にカメラマイコン2205は、レンズマイコン2111から受信したレンズデータ信号DLCのデータフレームの先頭に付加されたスタートビットSTの検出に応じて、送信要求信号RTSの電圧レベルをHighに戻す。以下、送信要求信号RTSをネゲートするという。これにより、送信要求を解除するとともに第2の通信チャネルでのカメラデータ信号DCLの送信を開始する。なお、送信要求信号RTSのネゲートとカメラデータ信号DCLの送信開始はどちらが先であってもよく、レンズデータ信号DLCのデータフレームの受信が完了するまでにこれらを行えばよい。
【0221】
レンズデータ信号DLCのデータフレームを送信したレンズマイコン2111は、カメラマイコン2205に通信待機要求BUSYを通知する必要がある場合には、レンズデータ信号DLCにBUSYフレームを付加する。カメラマイコン2205は、通信待機要求BUSYの通知の有無を監視しており、通信待機要求BUSYが通知されている間は次の送信要求のために送信要求信号RTSをアサートすることが禁止される。
【0222】
レンズマイコン2111は、通信待機要求BUSYによりカメラマイコン2205からの通信を待機させている期間に必要な処理を実行し、次の通信準備が整った後に通信待機要求BUSYを解除する。カメラマイコン2205は、通信待機要求BUSYが解除され、かつカメラデータ信号DCLのデータフレームの送信が完了したことを条件に、次の送信要求のために送信要求信号RTSをアサートすることが許可される。
【0223】
このように、本実施例では、カメラマイコン2205での通信開始イベントがトリガとなって送信要求信号RTSがアサートされたことに応じて、レンズマイコン2111がカメラマイコン2205にレンズデータ信号DLCのデータフレームの送信を開始する。そして、カメラマイコン2205は、レンズデータ信号DLCのスタートビットSTを検出することに応じて、カメラデータ信号DCLのデータフレームのレンズマイコン2111への送信を開始する。
【0224】
ここでレンズマイコン2111は、必要に応じて通信待機要求BUSYのためにレンズデータ信号DLCのデータフレームの後にBUSYフレームを付加し、その後、通信待機要求BUSYを解除することで1フレームの通信処理が完了する。この通信処理により、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間で相互に1バイトの通信データが送受信される。
【0225】
次に、通信方式Bを用いてフォーマットF2により通信を行う通信モードM3について説明する。図21(A)には、通信モードM3においてカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間でやり取りされる通信信号の波形を示している。図21(A)では、連続的に3フレームのデータを送信するときにおける通信信号の波形を示している。先に述べたように、フォーマットF2では、レンズデータ信号DLCに通信待機要求BUSYを付加することは禁止される。
【0226】
通信モードM3におけるレンズデータ信号DLCのデータフォーマットでは、データフレームのみで1フレームが構成され、BUSYフレームは存在しない。このため、通信モードM3では、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205への通信待機要求BUSYを通知することができない。
【0227】
このようなフォーマットF2は、比較的大きな容量のデータをカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間で転送する際に、フレーム間の間隔を短くした連続通信を行う用途に用いられる。すなわち、フォーマットF2により、大容量データの高速通信が可能となる。
【0228】
次に、本実施例が特徴とするカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間の通信制御処理について説明する。図21(B)は、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111がそれぞれ、nフレームのカメラデータ信号DCLおよびレンズデータ信号DLCを連続的に送受信するときにおける通信信号の波形を示している。カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111との通信を開始するイベントが発生すると、送信要求信号RTSをアサートする。フォーマットF2では、フォーマットF1と異なり、カメラマイコン2205は送信要求信号RTSを1フレームごとにネゲートする必要はない。そのため、連続的にデータ送受信が可能な状態である間は、送信要求信号RTSのアサート状態を維持する。
【0229】
レンズマイコン2111は、送信要求信号RTSのアサートにより通信要求を検出すると、カメラマイコン2205に送信するレンズデータ信号DLCの生成処理を行う。そして、該レンズデータ信号DLCの送信準備が整うと、第1のデータ通信チャネルでの1フレーム目のレンズデータ信号DLC(DL1)の送信を開始する。
【0230】
1フレーム目のレンズデータ信号DLCのデータフレームを送信したレンズマイコン2111は、再び送信要求信号RTSを確認する。このとき、送信要求信号RTSがアサート状態であった場合には、レンズマイコン2111は送信が完了した1フレーム目に続けて次の2フレーム目のレンズデータ信号DLC(DL2)をカメラマイコン2205に送信する。このようにして送信要求信号RTSのアサート状態が維持されている間はレンズマイコン2111からのレンズデータ信号DLC(DL1~DLn)がカメラマイコン2205に連続的に送信される。そして、予め決められたフレーム数nの送信が完了すると、レンズデータ信号DLCの送信が停止される。
【0231】
カメラマイコン2205からは、レンズマイコン2111からのレンズデータ信号DCLのフレームごとのスタートビットSTを検出することに応じて、nフレームのカメラデータ信号DCL(DC1~DCn)の第2の通信チャネルでの送信が開始される。
【0232】
図21(C)には、図21(B)で示した連続データ送受信の通信中にカメラマイコン2205から又はレンズマイコン2111から一時的な通信待機が指示された場合の通信信号の波形を示している。ここでも、カメラマイコン2205から通信要求信号RTSがアサートされることでレンズマイコン2111がレンズデータ信号DLCの送信を開始し、そのスタートビットSTの検出に応じてカメラマイコン2205がカメラデータ信号DCLの送信を開始する。
【0233】
T2w1は、カメラマイコン2205から通信待機が指示された期間である通信待機期間を示し、該指示は送信要求信号RTSを一時的にネゲートすることでレンズマイコン2111に通知される。レンズマイコン2111は、送信要求信号RTSがネゲートされたことを検出すると、その検出時点で送信途中のレンズデータ信号DLCのフレーム(図ではDL6:以下、休止フレームという)の送信を完了した後、送信を休止する。
【0234】
このレンズデータ信号DLCの送信休止を受けて、カメラマイコン2205も、カメラデータ信号DCLのうち上記休止フレームに対応するフレーム(DC6)を送信した後にカメラデータ信号DCLの送信を休止する。このような通信制御により、連続データ送受信の通信中に通信待機指示が発生した場合でもレンズデータ信号DLCとカメラデータ信号DCLの送信済みフレーム数を同数にするように管理することができる。
【0235】
カメラマイコン2205は、通信待機の要求イベントがなくなると、送信要求信号RTSを再びアサートすることでレンズマイコン2111に対して通信再開を指示することができる。通信再開指示に応じて、レンズマイコン2111は休止フレームの次のフレーム(DL7:以下、再開フレームという)からレンズデータ信号DLCの送信を再開する。そして、再開フレームのスタートビットSTの検出に応じて、カメラマイコン2205はカメラデータ信号DCLの上記再開フレームに対応するフレーム(DC7)からの送信を再開する。
【0236】
一方、T2w2はレンズマイコン2111から通信待機が指示された期間である通信待機期間を表している。図では、通信待機期間T2w1の終了後はカメラマイコン2205およびレンズマイコン2111とも通信待機を指示しておらず、上述した再開フレームDL7、DC7およびそれに続くフレームDL8、DC8~DL9、DC9の順で連続データ送受信を行っている。
【0237】
そして、レンズマイコン2111内でフレームDL9の送信(カメラマイコン2205でのフレームDC9の受信)が完了したときに通信待機要求イベントが発生することで、レンズマイコン2111はカメラマイコン2205に対して通信待機指示を通知する。
【0238】
送信要求信号RTSがアサート状態であるときに、レンズマイコン2111がレンズデータ信号DLCを送信しないことで、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205へ通信を休止することが通知される。
【0239】
カメラマイコン2205は、レンズデータ信号DLCのフレームごとのスタートビットSTを常時監視しており、スタートビットSTを検出しない場合には、次のカメラデータ信号DCLのフレームの送信を停止するよう取り決めている。カメラマイコン2205は、送信要求信号RTSをアサートしていてもレンズマイコン2111からのレンズデータ信号DLC(図ではDL10)を受信しない場合は、カメラデータ信号DCL(DC10)を送信することなく通信を休止する。なお、カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111からの指示による通信待機期間T2w2中は送信要求信号RTSをアサート状態に維持する。
【0240】
その後、レンズマイコン2111内で通信待機要求イベントがなくなってレンズマイコン2111がレンズデータ信号DLCの再開フレームDL10の送信を再開する。カメラマイコン2205は、該再開フレームDL10のスタートビットSTを検出することに応じてカメラデータ信号DCLにおける対応フレームDC10の送信を再開する。
【0241】
次に、図22を用いて、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111の間で行われる通信フォーマットの決定手順について説明する。カメラマイコン2205及びレンズマイコン2111は、コンピュータプログラムである通信制御プログラムに従って、図22図23のフローチャートに示す通信制御を行う。なお図22、7において「S」はステップ意味する。
【0242】
まず、カメラ本体2200に交換レンズ2100が装着されると、ステップS2100、ステップS2200において、カメラマイコン2205及びレンズマイコン2111は、通信フォーマットを、通信の成立が保障された初期通信フォーマットに設定する。ここで、初期通信フォーマットは、本実施例で開示した通信方式とデータフォーマットの組み合わせでもよいし、それ以外の通信フォーマットでもよい。なお、初期通信フォーマットとして調歩同期式の通信フォーマットが選択されるときには、どのようなカメラと交換レンズが組み合わされても通信が実行できるようにBUSY識別位置Pを設定することが好ましい。
【0243】
続いて、ステップS2101において、カメラマイコン2205は、カメラ本体2200において対応可能な通信フォーマットを表すカメラ識別情報をレンズマイコン2111に送信する。また、ステップS2202において、レンズマイコン2111は、交換レンズ2100において対応可能な通信フォーマットを表すレンズ識別情報をカメラマイコン2205に送信する。
【0244】
ここで、「識別情報」には、クロック同期式と調歩同期式のいずれの通信方式に対応しているのかを示す情報や、対応可能な通信ビットレートの範囲を示す情報が含まれる。BUSY識別位置Pを示す情報も識別情報に含まれる。
【0245】
カメラマイコン2205は、ステップS2102においてレンズ識別情報を受信する。レンズマイコン2111は、ステップS2201においてカメラ識別情報を受信する。ここで、図22のフローチャートでは、カメラ識別情報が送信された後にレンズ識別情報が送信されているが、カメラ識別情報の送信とレンズ識別情報の送信は同時であってもよい。また、レンズ識別情報が送信された後にカメラ識別情報が送信されるようにしてもよい。
【0246】
続いて、ステップS2103、ステップS2203において、以降の通信における通信フォーマットの設定が行われる。具体的には、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111は、互いに対応可能な通信ビットレートのうち最速レートを通信ビットレートとして決定する。また、互いに対応可能なBUSY識別位置のうちストップビットSPから最も近い位置をBUSY識別位置に設定する。
【0247】
以上の通信制御を経て、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111の通信モードはM2の状態に移行する。
【0248】
<調歩同期式の通信方式におけるデータ通信フロー>
次に、図23を用いて、調歩同期式の通信方式におけるデータ通信フローについて説明する。図23では、BUSY信号の付加が許可されたデータフォーマットにおける通信フローについて説明する。
【0249】
カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111との通信を開始する通信イベントが発生したか否かを監視しており、ステップS2110において通信イベントが発生したときにステップS2111に進む。ステップS2111では、これまでに説明したように、通信要求信号RTSをアサートすることで、レンズマイコン2111に対して通信要求を行う。
【0250】
レンズマイコン2111は、通信要求信号RTSがアサートされたか否かを監視しており、ステップS2210において通信要求信号RTSがアサートされたことを認識するとステップS2211に進む。ステップS2211において、レンズマイコン2111は、第1のデータ通信チャネルを介してレンズデータ信号DLCをカメラマイコン2205に送信する。
【0251】
カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111からレンズデータ信号DLCを受信すると(ステップS2112のYES)、ステップS2113に進み、通信要求信号RTSをネゲートする。そして、ステップS2114に進み、第2のデータ通信チャネルを介してカメラデータ信号DCLをレンズマイコン2111に送信する。
【0252】
レンズマイコン2111は、ステップS2212でカメラデータ信号DCLの受信開始を検出すると、ステップS2213に進み、カメラデータ信号DCLの受信処理を行う。ステップS2213の処理と並行してステップS2214において、カメラマイコン2205に通信待機要求BUSYを通知する必要があるか否かの判定を行う。通信待機要求BUSYを通知する必要がない場合は、ステップS2218に進み、カメラデータ信号DCLの受信が完了するまで待機する。
【0253】
一方、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205に対して通信待機要求BUSYを通知する必要があるときは、ステップS2215に進み、レンズデータ信号DLCにBUSYフレームを付加する。レンズマイコン2111は、通信待機要求BUSYを通知している間に必要な処理を実行し、次の通信準備が整った後に(ステップS2216のYes)、通信待機要求BUSYを解除する(ステップS2217)。通信待機要求BUSYを解除した後は、ステップS2218に進み、カメラデータ信号DCLの受信が完了するまで待機する。カメラデータ信号DCLの受信が完了すると(ステップS2218のYes)、ステップS2210に戻り、通信要求信号RTSがアサートされたか否かの監視を継続する。
【0254】
カメラマイコン2205は、ステップS2115において通信待機要求BUSYの通知を受けると、通信待機要求BUSYが解除されるまで待機する。通信待機要求BUSYが解除される(ステップS2116のYES)と、ステップS2117に進み、カメラデータ信号DCLの送信が完了したか否かの判定を行う。また、ステップS2115において通信待機要求BUSYの通知を受けていないときにもステップS2117に進み、カメラデータ信号DCLの送信が完了したか否かの判定を行う。ステップS2117において、カメラデータ信号DCLの送信が完了したと判定されると、ステップS2110に戻り、通信イベントが発生したか否かの監視を継続する。
【0255】
以上説明したように、本実施例は、3つのチャネルから構成される調歩同期式(通信方式B)の通信における通信制御に関するものである。レンズマイコン2111の専用出力チャネルである第1のデータ通信チャネルを介して、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205に通信待機要求BUSYが送信される。一方、カメラマイコン2205からの送信要求信号RTSは、カメラマイコン2205の専用出力チャネルとしての通知チャネルを介して、カメラマイコン2205からレンズマイコン2111へ送信される。
【0256】
このように、レンズマイコン2111からの通信待機要求BUSYは、レンズマイコン2111の専用出力チャネルを介して送受信し、カメラマイコン2205からの送信要求信号RTSは、カメラマイコン2205の専用出力チャネルを介して送受信される。これにより、カメラマイコン2205とレンズマイコン2111の間の通信無効期間を短縮することができ、結果として実行的な通信速度を高速化させることができる。
【0257】
また、通信の開始タイミングに関しては、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205へのデータ送信が先に開始される。カメラマイコン2205は、レンズマイコン2111から送信されるデータフレームのスタートビットSTを検出することに応じてデータ送信を開始する。通信の開始タイミングをこのように設定することで、送信要求信号RTSを受けたレンズマイコン2111がカメラマイコン2205に対してのデータ送信を開始するタイミングに自由度を持たせることができる。
【0258】
例えば、レンズマイコン2111の情報処理能力に応じてデータ送信の開始タイミングを変化させることができる。これにより、通信の破綻を招くことなく、カメラ本体2200と交換レンズ2100の間の通信速度を向上させることができる。
【0259】
<本実施例が想定している課題>
ここで、本実施例で想定している課題について説明する。
【0260】
広角レンズや望遠レンズなどの交換レンズのスペック違いや、カメラの表示部材の画素数などのスペックの違いを考慮しないで距離情報の指標を表示しようとすると、以下のような場面で課題が生じうる。
【0261】
図35(A)はレンズマイコン2111からカメラマイコン2205へ距離バーの代表指標位置を送信したものである。より具体的には各指標位置の表示位置をピクセル数で指定する場合となっている。3001~3007は各代表指標「0.45m」「0.6m」「0.8m」「1m」「1.5m」「3m」「5m」の指標を表示する開始位置を示している。
【0262】
3008は表示起点位置であり,「0.45m」の表示開始位置は表示起点3008からカウントしたピクセル数としてたとえば「30ピクセル」のように指示する。同様に「0.6m」の表示開始位置は表示起点3008からカウントしたピクセル数としてたとえば「150ピクセル」のように指示する。
【0263】
この方式では,距離バー全長を有効に活用するために装着され得るカメラの表示部材の全長のピクセル数を交換レンズ2100のレンズマイコン2111があらかじめ把握しておかなければならない。
【0264】
また、カメラ表示部材の有効画素数が増えた時に同様の情報のやり取りを行った場合は図35(B)に示すように各指標位置が図35(A)に比べて詰められた状態で表示される。この場合、3011に示すように「3m」と「5m」の境目が認識しづらくなり「35m」のようにご認識される可能性がある。
【0265】
このような問題を解決するためには、カメラの表示部材の有効画素数などのスペックをレンズへ送信し、レンズ側がカメラの表示部材の有効画素数に応じて被写体距離情報や代表指標位置をカメラへ送信するという手法が考えうる。しかしながら、レンズ製品より後発に発売するカメラの有効画素数をあらかじめ知ることはできないため互換性の保証が難しい。また、カメラの表示部に表示する項目として、被写体距離情報をはじめとして代表指標値やマクロ倍率情報、合焦範囲情報など多岐にわたるとしても、フォーカスや絞り、防振などの駆動制御に影響させないようにする必要がある。また表示用の情報の通信においても遅延が起きると表示遅延を引き起こすため使い勝手を低下させてしまう。そのため、表示用の情報通信に関して通信量を抑制する必要がある。
【0266】
本実施例では、レンズのスペックに応じて適した情報をレンズマイコン2111がカメラマイコン2205に送信するだけでなく、必要に応じてレンズマイコン2111が規格化した値をカメラマイコン2205に送信している。これにより、交換レンズに応じた情報をカメラ表示部に適切に表示させることができる。
【0267】
<距離バーの、被写体距離情報に関する表示画面例>
次に本実施例のレンズの被写体距離情報をカメラ表示部2206に表示する距離バー情報の表示画面例について図24を用いて説明する。
【0268】
2801は、カメラ表示部2206に表示されるライブビュー表示画面を示す。
【0269】
2802は、カメラのメニューで設定されるカメラの撮影モード情報を示すアイコンであり、この例ではシャッター速度優先モードとなっている。
【0270】
2803は、現在の撮影条件における各種設定情報としてシャッター速度や絞り値、露出h設定値、ISO感度など、撮影に関わる情報表示を示す。
【0271】
2804は、撮影時の被写体を示しており、ピントが合っている状態であればフォーカスレンズの位置情報が被写体距離情報としてレンズマイコン2111からカメラマイコン2205へ通信される。
【0272】
2805は、交換レンズ2100のスペックとして撮影可能な距離領域としてフォーカス至近側からフォーカス無限側までを表現する距離バーを示している。
【0273】
2806は、現在の被写体距離情報を視認しやすくするための距離情報の代表指標値であり、たとえば「0.45m」や「1.5m」「5m」などの表現となっている。このような被写体距離に関する指標を第1の指標とも称する。なお、この代表指標値の表示位置、代表指標値の表示個数、代表指標値の表示間隔は交換レンズ2100のスペック(広角レンズ、望遠レンズなど)によって変更することで最適な表示品質を得ることができる。
【0274】
2807は、撮影距離が無限遠であることを示すフォーカス無限位置アイコンである。フォーカス無限位置アイコン2807を第2の指標とも称する。交換レンズ2100は一般的に、遠景にピントが合うフォーカスレンズ位置を、フォーカスレンズの物理的な可動範囲の無限側の端にせず、その先に遊びを持たせるように設計される。またこの遊びの量は交換レンズ2100の光学設計によって異なる。この遊びのことを本実施例ではオーバー無限と表現する。この無限遠アイコンの表示位置から右、2805のバーの右端までの領域はオーバー無限であることを表す。さらに上述のようにオーバー無限の量は交換レンズ2100の機種によって異なるため、無限遠アイコンの表示位置は、装着する交換レンズ2100の機種に応じて変えるようにする。
【0275】
2808は、現在表示している被写体距離情報の単位系を示しており、たとえば「m」はメートルを示し、「ft」はフィートを表現する。
【0276】
2809は、現在のフォーカスレンズの位置情報すなわち、ピントが合っている状態における被写体距離情報を表示している。図24では「1.5m」の指標位置の近辺に現在のフォーカスレンズの位置が存在する事から撮影距離はおおよそ1.5mであることが視認できる。
【0277】
2810は、交換レンズ2100が備えるフォーカスリミットスイッチ141が有効となっている場合のフォーカス駆動が制限されている領域を示している。2810で表現している例は、フォーカスリミットスイッチを「0.8m~∞」に切り替えた時の例を示しておりオートフォーカスではこの領域「至近~0.8m」を使用しないことを表現している。一般的に交換レンズ2100には、オートフォーカスの撮影距離範囲を切り換えることができるフォーカスリミッターSWが付いたものがある。ただしリミットされる領域は交換レンズ2100の機種ごとに異なるため2810で示されるフォーカスリミット領域は装着されるレンズの機種およびスイッチ状態によってレンズマイコン2111から取得して切り替え可能としている。
【0278】
2811、2812は、フォーカスレンズ2104の駆動方向を示すアイコンであり、フォーカスを無限方向へ駆動している場合には2811が表示され、2812は非表示である。フォーカスを至近方向へ駆動している場合には2811が非表示となり、2812は表示される。
【0279】
なお、交換レンズによってはユーザーによって予めあるフォーカスレンズ位置を交換レンズが有するレンズマイコンに記憶させておくことが可能である。例えば、ユーザーが所望のフォーカスレンズ位置に対応するあるフォーカスリングの位置へとフォーカスリングを操作して、そのフォーカスレンズ位置に対応する情報を記憶させる可能である。そして、例えば交換レンズに設けられた操作部材を操作すると、当該記憶されたフォーカスレンズ位置にフォーカスレンズを再生駆動させることが可能である。当該再生駆動を行っていることを、表示画面2801に示すようにしても良い。例えばアイコン2811又はアイコン2812を表示させ、フォーカスレンズが駆動していることを示すことで再生駆動を行っていることをユーザーに知らしめても良い。また、例えば、アイコン2811及びアイコン2812とば別の不図示のアイコンを表示させても良い。ここで、レンズマイコンが記憶する情報は予め設定されたフォーカスレンズ位置に対応する情報であれば良く、例えばフォーカスリングの位置を記憶させるようにしても良い。
【0280】
2813は、「0.6m」の代表指標位置を距離バー上に配置する位置を示している。本位置情報はレンズマイコン2111から通信にて取得するもので、距離バーの全長を100としたときの距離バーの左端(つまり至近端)を起点とした配置位置として表現される。たとえば、「0.6m」の代表指標位置を距離バー全長に対して左端から10%の位置に配置したい場合は「0.6m」の指標を規格化位置「10」に配置するといった情報をレンズマイコン2111から取得する。なお説明の便宜上、図に表現しているが実際のライブビュー画面2801にはこの矢印は表示しない。以下、2814、2815の矢印も同様でライブビュー画面には表示されない。
【0281】
2814は、2813同様に現在の被写体距離位置について、カメラ表示部2206が表示可能な距離バー2805の全長に対して規格化された距離バー上の位置情報を示す。
【0282】
2815は、2813同様にフォーカスリミットスイッチ位置について、カメラ表示部2206が表示可能な距離バー2805の全長に対して規格化された距離バー上の位置情報を示す。
【0283】
<距離バーの、マクロ倍率情報や被写界深度情報に関する表示画面例>
図24では被写体距離情報を表示する例を示したが、次に図25を用いてそれ以外のたとえばマクロ倍率情報や被写界深度情報を表示する場合の表示例を図示する。
【0284】
2901は、被写体距離情報に加えてマクロ倍率情報を表示した状態を示している。倍率情報も距離情報と同じく、交換レンズ2100のスペックに応じてユーザが視認しやすくなるように代表指標値、代表指標位置を適切に配置している。たとえば2902は1.2倍のマクロ倍率位置であることを示しており、交換レンズ2100から取得する表示用情報として「1.2x」を距離バー上に表示する位置として規格化した位置情報に基づき「3」の位置に配置する。ままた、「0.7x」を規格化した位置として「30」の位置に配置する。このような情報をレンズマイコン2111からカメラマイコン2205が取得して表示部2206へ表示させる。
【0285】
2903は、現在の被写体距離情報に加えてピントが合っている領域を示す被写界深度情報を表示している例を示している。被写界深度は絞り状態によって変化し絞り込むにしたがって被写界深度は広くなる。被写界深度はピントが合っているかどうかの基準となるボケ量としての許容錯乱円情報と絞り口径とによって決まるため、カメラマイコン2205はレンズマイコン2111から取得する現在の絞り口径情報から被写界深度情報を取得し、深度を演算する。たとえば絞りをF8あるいはF22などに設定した場合のピントが合っている領域を演算する。指標2809は現在の被写体距離情報である。指標2904は絞り値をF8.0と設定していた場合の被写界深度領域を示す指標位置であり、距離バーには2905のようにF8.0設定時の被写界深度位置であることを表示する。そして2906の範囲がF8.0設定時の被写界深度領域になっている。同様に、指標2907は絞り値をF22と設定した場合の被写界深度領域を示す指標位置であり、距離バーには2908のようにF22設定時の被写界深度位置であることを表示する。そして2909の範囲がF22設定時の被写界深度領域になっている。
【0286】
<起動処理>
次に、図24、9に説明した表示情報を交換レンズ2100からカメラ本体2200に伝搬し、表示させるための処理について、図26のカメラ起動処理、図27Aの定常動作処理、及び図27Bの表示更新処理のフローチャートを用いて説明する。まず、図26を用いてカメラ起動処理についてカメラマイコン2205とレンズマイコン2111の双方の処理について以下に説明する。
【0287】
S2001およびS2021は、カメラ本体2200と交換レンズ2100との間でのネゴシエーションの通信処理(初期通信)を実施する。ネゴシエーション通信としてはカメラ本体2200がどのような機能に対応しているカメラであるかを交換レンズ2100へ送信し、逆に交換レンズ2100の備える機能情報をカメラ本体2200へ送信することを実施する。より具体的にはたとえば交換レンズ2100が防振機能を備えるか否か、あるいは図20図21にて説明した通信モード2、通信モード3に対応するか否か、といった情報である。
【0288】
S2002はS2001およびS2021の通信処理の結果として、カメラマイコン2205が、現在装着されている交換レンズ2100との組み合わせにおいて通信モードM2の通信を実施可能か否かについて判定する。本実施例としては通信モードM2を実施できない場合には、被写体距離情報のカメラへの表示処理を行わないため定常状態へ遷移する。これは通信モードM1よりも通信モードM2の方が通信の実効レートが高いため、通信モードM2を選択していれば通信帯域に余裕ができるためである。しかし、通信モードM2に非対応で通信モードM1を選択している場合であっても通信帯域の余裕に合わせて通信頻度を間引くなどの工夫により、被写体距離情報のカメラへの表示処理を行ってもよい。本判定処理により通信モードM2の実施が可能と判定されると、S2003、S2022にて通信モードM2への切り替え処理を実施する。本切替処理は図22に前述した方法で実施される。
【0289】
以降の処理では、交換レンズ2100からカメラ本体2200が被写体距離情報の表示のための情報を通信にて取得する処理を説明する。用語の説明として、カメラ本体2200に交換レンズ2100を装着した際に確定される情報(たとえば、テレ端、ワイド端の焦点距離、後述する被写体距離情報の代表指標位置など)を静的な表示用情報と表現する。静的な表示用情報は、カメラ、レンズの操作や撮影モードなど、カメラ本体2200と交換レンズ2100の状態によって変化しない情報である。一方で、たとえばフォーカスの位置などカメラ2200の動作によって動的に変更する表示用情報を動的な表示用情報と表現する。動的な表示用情報は、カメラ、レンズの操作や撮影モードなど、カメラ本体2200と交換レンズ2100の状態によって変化する情報である。なお、静的な表示用情報を第1の情報とも称する。また、動的な表示用情報を第2の情報とも称する。
【0290】
S2004では被写体距離情報の表示のために必要となる静的な表示用情報のデータサイズ数を交換レンズ2100に対して要求する。ここで、被写体距離情報の表示のために必要となる静的な表示用情報について説明する。
【0291】
被写体距離情報をカメラ表示部2206へ表示するための静的な表示用情報は、交換レンズ2100の操作部材の有無に対応する情報と、指標の表示に関する情報と、を含んでいる。本実施例の静的な表示用情報は、具体的にはたとえば下記1~12のようなパラメータである。
【0292】
・操作部材の有無に対応する情報
1.マクロ撮影状態への切り替えスイッチの有無
2.フォーカスリミットスイッチの有無
・指標の表示に関する情報
3.メートル表記における、代表指標位置の個数
4.メートル表記における、各代表指標の数値(代表指標位置の個数分)
5.メートル表記における、各代表指標の規格化された距離バー上の配置位置情報(代表指標位置の個数分)
6.フィート表記における、代表指標位置の個数
7.フィート表記における、各代表指標の数値(代表指標位置の個数分)
8.フィート表記における、各代表指標の規格化された距離バー上の配置位置情報(代表指標位置の個数分)
9.マクロ倍率表記における、代表指標位置の個数
10.マクロ倍率表記における、各代表指標の数値(代表指標位置の個数分)
11.マクロ倍率表記における、各代表指標の規格化された距離バー上の配置位置情報(代表指標位置の個数分)
12.規格化された「∞」マークの距離バー上の配置位置情報
【0293】
上記静的な表示用情報について、図24の表示例にて説明する。
【0294】
まず、「操作部材の有無に対応する情報」について説明する。この情報は操作部材に対応する機能を有することを示すために用いる情報であるので、表示に関わる機能の有無に対応する情報であれば、他の情報でも代用可能である。つまり、例えば、「1.マクロ撮影状態への切り替えスイッチの有無」の情報は、マクロ撮影状態へ切り替えることが可能であることを示す情報であれば良い。また、「2.フォーカスリミットスイッチの有無」は、フォーカスレンズを動かす範囲を制限する機能を有することを示す情報であれば良い。
【0295】
なお、「1.マクロ撮影状態への切り替えスイッチの有無」に関して、レンズ鏡筒の操作として、たとえばズームリングを突き当てながら鏡筒のスイッチ(不図示)を操作することでマクロ撮影モードに切り替わる交換レンズ製品が存在する。本項目はこうしたマクロ撮影状態への切り替えスイッチを交換レンズ2100が備えているか否かを示す。本提案ではマクロ撮影時には撮影倍率をカメラ表示部2206へ表示するため、当該スイッチの操作により表示内容を切り替えることを可能とする。静的な表示用情報として当該スイッチが無い場合にはマクロ撮影時の表示用情報を取得しない通信制御としてもよい。
【0296】
また、「2.フォーカスリミットスイッチの有無」に関して、レンズ鏡筒にはピントを合わせることを可能とする距離範囲を限定するフォーカスリミットスイッチを備える交換レンズ製品が存在する。本提案ではフォーカスリミットスイッチによるリミット状態をカメラ表示部2206へ表示する。静的な表示用情報として当該スイッチが無い場合にはフォーカスリミットスイッチの指標位置についての表示用情報を取得しない通信制御としてもよい。
【0297】
図24の例では、「0.45m」「0.6m」「0.8m」「1m」「1.5m」「3m」「5m」の7個の代表指標位置を配置するため、「3.メートル表記における、代表指標位置の個数」のパラメータは「7」となる。
【0298】
図26に後述するように,上記の1~12の各項目の情報はレンズ装着時に一括して取得する。その際、代表指標値の数を固定値としてしまうと代表指標値の数が最大数ではない場合には通信内容にブランクを設けなければならなくなる。一方,上記のように代表指標位置の個数を通信内容に入れておくことによって、当該情報を受信したカメラが受信データの順番を代表指標位置の個数に基づいて解析することで1~12の各項目の情報を抽出し、無駄なブランクとなる通信を行う必要がなくなる。より具体的には「3.メートル表記における、代表指標位置の個数」のパラメータは「7」であった場合には、受信データは以下の順番にて受信する事となる。
【0299】
1バイト目:マクロ撮影状態への切り替えスイッチの有無
2バイト目:フォーカスリミットスイッチの有無
3バイト目:メートル表記における、代表指標位置の個数
4~10バイト目:メートル表記における、各代表指標の数値(1指標値を1バイト表現とした場合)
11~17バイト目:メートル表記における、各代表指標の規格化された距離バー上の配置位置情報(1指標値を1バイト表現とした場合)
【0300】
このように、代表指標位置の個数を通信内容に入れておくことによって、各データを隙間なく通信することができる。
【0301】
「4.メートル表記における、各代表指標の数値(代表指標位置の個数分)」は、「0.45」「0.6」「0.8」「1」「1.5」「3」「5」となる。
【0302】
そして、「5.メートル表記における、各代表指標の規格化された距離バー上の配置位置情報(代表指標位置の個数分)」については、表示部2206に表示される距離バー(表示領域の一例である)の所定の範囲(長さ)に対して規格化した値を通信する。レンズマイコン2111は各代表指標位置を距離バーのどこに配置するかという情報を有している。たとえば「0.6m」の代表指標位置を距離バーのどこに配置するかという情報について、距離バー全長を100としたときの規格化された値を通信する。基準となる所定の範囲(長さ)はカメラマイコン2205とレンズマイコン2111で予め取り決めておいても良いし、通信で取得しても良い。「0.45m」を配置するのは至近端から規格化された値で「3」の位置、「0.6m」を配置するのは至近端から規格化された値で「15」の位置、といった値になり、図24に表現される2813の長さとして「15」の値が当該パラメータとなる。
【0303】
この表示用の位置情報は交換レンズ2100のスペックとデザインの観点によって決めることができる。たとえば,交換レンズ2100の撮影可能距離(最短撮影距離)が「0.45m」無限側は「∞」マークの前には「5m」の指標を表示したい場合には、「0.45m」~「5m」に加えてデザインとして「0.45m」よりも至近側、「5m」~「∞マーク」までにどれくらいの表示スペースを設けたいかを踏まえて規格値100に収めるように各指標値の位置情報を決めることができる。
【0304】
フィート表記、マクロ倍率表記に関しても同様に規格化された値として通信する。
【0305】
3、4、5に着目すると、「3.メートル表記における、代表指標位置の個数」は、指標の個数に対応する情報である。また、「4.メートル表記における、各代表指標の数値(代表指標位置の個数分)」は、指標の個数に対応する情報が示す数の指標の各々に対応して表示される数値に対応する情報である。また、「5.メートル表記における、各代表指標の規格化された距離バー上の配置位置情報(代表指標位置の個数分)」は、前述の数値に対応する情報の各々が表示される位置に対応する情報である。このように、指標の個数に対応する情報と、指標の個数に対応する情報が示す数の指標の各々に対応して表示される数値に対応する情報と、当該数値に対応する情報の各々が表示される位置に対応する情報とがセットになっている。
【0306】
6、7、8についても、メートル表記とは異なる単位系であるフィート表記による上記セットの情報を有している。
【0307】
また、9、10、11についても、メートル表記やフィート表記とは異なる単位系であるマクロ倍率表記による上記セットの情報を有している。
【0308】
このように、単位系に依存して異なる情報に関しては、単位系ごとに情報を有している。
【0309】
「12.規格化された「∞」マークの距離バー上の配置位置情報」、すなわち図24の「∞」マークの配置位置は、メートル表記、フィート表記、マクロ倍率表記のいずれの表記をする場合にも距離バー上の配置位置は同じである。このため、パラメータとしては1つの共通値でよい。
【0310】
上記のパラメータは動的に変更されるものではないため交換レンズ2100が装着されたカメラ本体2200起動時(カメラが起動している状態で交換レンズ2100が装着されたタイミングでも良い)に行う。S2004では上記の静的な表示用情報の通信データのデータサイズ数を交換レンズ2100へ問い合わせる。これは代表指標の数は交換レンズのスペックに応じて変わることと上記のすべての静的な表示用情報の通信を、より通信実効レートの高い通信モードM3で実施するためにあらかじめ通信サイズを確定させるためである。
【0311】
S2023ではレンズマイコン2111が、カメラ本体2200の表示部2206へ表示させるための静的な表示用情報を生成し、そのデータサイズ数をカメラマイコン2205へ応答する。
【0312】
S2005、S2024では前述の静的な表示用情報の一括で高速に取得する事を目的とし、図21にて説明した最も通信実効速度の高い通信モードM3へ通信モードを切り替える。通信モードM3は通信端子のデータ通信方向を切り替えるため、データ通信の衝突が発生しないように内部バッファの方向を順番に切り替えるため、通信モードの切替処理が必要である。切替処理には一定の処理時間がかかるが、通信量がある程度大きい場合には通信時間を短縮することができる。逆説的には、通信量が少ない場合に通信モードM3を使用すると、通信モードの切替処理がオーバーヘッドとなり通信処理時間が伸びてしまう。今回の静的な表示用情報は、ある程度大きいデータサイズであるため、通信モードM3を使用することで通信時間を短縮することができる。
【0313】
S2006では、カメラマイコン2205が前述の静的な表示用情報の取得要求コマンドを通信する。この通信コマンドを受信したレンズマイコン2111はS2025にて、S2023で生成したカメラ表示部2206へ表示させるための静的な表示用情報の規格化処理を行う。なお、この規格化処理は、たとえば図21においてカメラマイコン2205がRTS信号をアサートした後、DLCデータを送信するまでの時間に行えばよい。あるいはS2023のデータ生成処理と同時に行ってもよい。
【0314】
S2026では、前述した静的な表示用情報の規格化処理を行ったデータをDLC通信チャネルにてカメラマイコン2205へ通信し、カメラマイコン2205はS2007にて、このデータを受信する。
【0315】
S2008、S2027では、通信モードM2へ復帰する。S2006、S2007、S2025、S2026の処理にてカメラマイコン2205は動的に変化する事のない静的なレンズ情報を表示するために必要な大量データ(たとえば上述の1.~13.の項目)の通信を完了したためである。
【0316】
S2009では、カメラマイコン2205が前述した規格化された静的な表示用情報についてカメラ表示部2206を制御する不図示のブロックへ伝搬しておく。
【0317】
S2010では、カメラメニューの設定にて距離情報の表示を有効に設定しているか否かを判定する。表示設定が無効であればメニューが「表示設定を有効」に再設定されるまでは距離情報の表示を行う必要が無いため、定常状態へ遷移する。メニューにて表示設定が有効であれば、S2011以降にて、動的に変更される被写体距離情報の通信および表示処理へ移行する。
【0318】
ここで、被写体距離情報の表示のために必要となる動的な表示用情報について説明する。
【0319】
動的な表示用情報とは、カメラ本体2200あるいは交換レンズ2100の操作部材の状態などにより表示状態を変えるために必要となる情報である。本実施例では、たとえば以下のようなパラメータである。
【0320】
・表示を行うか否かに関する情報
1.被写体距離情報を表示するか、非表示とするか
・位置に対応する情報
2.規格化された現在の被写体距離の距離バー上の位置情報
3.規格化された無限端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報
4.規格化された至近端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報
5.規格化されたマクロ領域の距離バー上の位置情報
【0321】
まず、「表示を行うか否かに関する情報」について説明する。たとえば、「1.被写体距離情報を表示するか、非表示とするか」の情報は、レンズマイコン2111からカメラマイコン2205への本表示機能を非表示としたい場合に通知する。たとえば交換レンズ2100のフォーカスレンズの駆動が脱調するなどイレギュラーな状態になった場合に違和感のある表示をユーザーに見せることを回避したい場合に「非表示」がレンズマイコン2111からカメラマイコン2205へ通信される。これ以外の実施形態として「非表示」ではなく「前回の表示状況からの更新を停止させる」でもよい。なお、「表示を行うか否かに関する情報」が「フォーカスレンズの駆動状態に関する情報を表示するか、非表示にするか」、を更に含むように構成しても良い。この情報を通信することにより、前述のフォーカスレンズ2104の駆動方向を示すアイコン2811、2812を表示させることが可能である。このとき、必要に応じてフォーカスレンズの駆動方向に関する情報をともにレンズマイコン2111からカメラマイコン2205へ送信するようにしても良い。もしくは、「フォーカスレンズの無限方向への駆動状態に関する情報を表示するか、非表示にするか」と「フォーカスレンズの至近方向への駆動状態に関する情報を表示するか、非表示にするか」とを別の情報として送信するようにしても良い。また、前述の再生駆動をしている場合においては、別途アイコンを表示させる構成であれば、「再生駆動に関するアイコンを表示するか、非表示にするか」をレンズマイコン2111からカメラマイコン2205へ送信するようにしても良い。
【0322】
次に、「位置に対応する情報」について説明する。「2.規格化された現在の被写体距離の距離バー上の位置情報」とは図24における距離バーの全長に対する規格化された表示位置を示すパラメータであり、2814に相当する。レンズマイコン2111はフォーカス位置検出センサ140の出力情報によりフォーカスパルスの絶対位置情報を取得する事が可能であり、至近側から無限側のパルスエンコーダの位置情報とから現在のフォーカスパルス位置を規格化した値として算出する。
【0323】
「3.規格化された無限端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報」とは図24における距離バーの全長に対する規格化された表示位置を示すパラメータであり、2815に相当する。
【0324】
S2011では、カメラマイコン2205がレンズマイコン2111に対して前述した動的に変更する表示用情報の取得要求コマンドを通信する。
【0325】
S2028では、前述の動的に変更する表示用情報を生成し、規格化処理を行い、S2029にてカメラマイコン2205へ通信結果として応答する。この応答結果をカメラマイコン2205はS2012にて受信する。
【0326】
S2013では、被写体距離情報の初期表示のための情報として、S2012で取得した動的に変更する表示用情報をカメラ表示部2206へ伝搬する。
【0327】
ここで、静的な表示用情報を通信モードM3で通信し、動的な表示用情報を通信モードM2で通信する意義を説明する。
【0328】
以上の処理によって起動時の通信および表示処理を実現し、図24に示す例のような初期の表示状態を実現する。
【0329】
<定常動作処理>
次に図27A及び図27Bのフローチャートを用いてカメラが定常状態における被写体距離情報の表示更新処理について説明する。
【0330】
図27Aは、被写体距離情報の表示に関するカメラ本体2200及び交換レンズ2100の処理を説明するフローチャートである。この処理はカメラマイコン2205に記録されたプログラムにより実行される。本情報の表示処理は、交換レンズ2100との通信を行うレンズ通信処理部と表示処理を行うカメラ表示部処理の両方の処理にて説明する。
【0331】
まず、カメラ表示処理部の処理について説明する。
【0332】
S2101とS2121では図26の起動処理にて説明したように、交換レンズから静的な表示用情報および表示の初期値としての動的な表示用情報をレンズ通信処理部からカメラ表示処理部へ伝搬する。
【0333】
S2102ではカメラ表示処理部は、カメラのメニュー状態として被写体距離情報を「表示する設定」か「表示しない設定」のいずれになっているかを判定する。「表示しない設定」の場合には本表示処理を行わないためメニュー設定が変更されるのを待つ。「表示する設定」の場合にはS2103へ遷移する。
【0334】
S2103では、S2101でレンズ通信制御部から取得した静的な表示用情報と初期値としての動的な表示用情報を表示部2206へ表示する。これら表示用情報の代表指標値2806や現在の被写体距離位置2809は撮影距離バーの全長を100とした場合の相対位置である。より具体的には撮影距離の代表指標値「0.8」の表示位置が「20」である場合、撮影距離バーの全長500pixに対して100pixの位置に代表指標値「0.8」を表示する。
【0335】
S2104では、これ以降の処理として動的表示用情報の表示更新を行うか否かのために表示設定を再確認する。後述するS2107の表示更新処理を行った後には本ステップで表示更新処理を継続するか否かが判定されることとなる。
【0336】
S2105では、レンズ通信制御部から静的および動的表示用情報のクリア通知があるか否かを判定する。表示のクリア通知があればS2106にて表示部2206の表示状態をクリアし、S2108にて再度、レンズ通信制御部からの静的表示用情報の伝搬が行われるのを待つ。表示のクリア通知が無ければS2107の表示更新処理へ遷移する。本処理は後述する図27Bのサブルーチンにて説明する。
【0337】
次に交換レンズ2100の通信制御部2110の処理について説明する。
【0338】
S2121にてカメラ表示部へ静的表示用情報および初期値としての動的表示用情報を伝搬する。
【0339】
S2122では、交換レンズ2100が取り外されたか否かを判定する。交換レンズ2100が取り外された場合には、静的および動的表示用情報のクリア通知をカメラ表示部に伝搬する。これは、レンズ取り外し時にカメラ表示部2206の表示を非表示とし、その後、別の交換レンズ2100が装着された場合に当該の装着された交換レンズ2100のスペックに合わせた表示を行う必要があるためである。
【0340】
S2124では、カメラマイコン2205が通信インタフェース回路2208にてレンズ装着状態を確認できるまで待ち合わせする。
【0341】
S2125では、図26にて説明したカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間での初期通信処理を実施する。この処理により交換レンズ2100のスペックに対応した静的な表示用情報と初期値としての動的な表示用情報を取得し、S2121から表示のための処理が再実施される。
【0342】
S2126はS2122でレンズが継続して装着されている場合に遷移し、交換レンズ2100の被写体距離情報の更新が必要か否かを判定する。たとえばメニュー表示中は被写体距離を表示する距離バーの表示が無い状態であるならば、本判定は「No」となりS2128へ遷移する。表示更新が必要であると判定した場合はS2127へ遷移し、交換レンズ2100から動的な表示用情報の取得処理およびカメラ表示部への伝搬を行うが、表示更新が不要な場合はS2128へ遷移し、交換レンズ2100との間での通信処理も行わない。
【0343】
ここで、S2127、S2128における通信処理については図28の通信処理のタイミングチャートを用いて説明する。
【0344】
図28は横軸を時間経過方向とし縦軸に通信項目を記したカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間で行われるレンズ通信処理のタイミングチャートである。ここではライブビュー中の通信制御を例として示すが、ファインダー撮影であってもよい。
【0345】
1201は撮像同期信号であり、1202の撮像センサの蓄積制御の開始タイミングを示す。撮像同期信号はフレームレートに応じた周期で生成され、たとえば60fps制御であれば16.6msの周期で1210の垂直同期信号としてカメラマイコン2205に入力される。1211は撮像センサの蓄積制御の重心タイミングを示している。
【0346】
1203はカメラ本体2200と交換レンズ2100との間で露光タイミングを共有するための同期信号通信を示しており、1210の垂直同期信号をトリガとして通信を実施する。なお、図28で示した各通信処理のうち斜線で示した処理はタイミング制約が存在する通信処理であることを示している。同期信号通信処理1220に遅延が生じるとカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間での露光タイミングの認識のずれとなるため所定のタイミング制約のもとに通信を実行する必要がある。本実施例で実現する被写体距離情報の表示のための通信は、このようなタイミング制約のある通信処理に影響を与えないように実施する必要がある。
【0347】
1204はカメラマイコン2205とレンズマイコン2111との間で連携して動作する防振機能のための通信処理であり、たとえば1フレームの間で1221、1222の2つの通信を実施している例を示している。撮像センサの蓄積制御の重心タイミング1211を起点として、所定のタイミング以内で1222の通信を実施するといったタイミング制約が発生している。
【0348】
1205はAF制御のための通信処理である。たとえば1223はピントずれ量を補正するためのパラメータや現在のフォーカスレンズの状態情報を交換レンズ2100から取得する通信である。たとえば1224はカメラマイコン2205からレンズマイコン2111へピント合わせのためのフォーカスリングの駆動を要求する通信である。
【0349】
1206はAE制御のための通信処理であり、たとえば1225は露出制御のために使用する絞り口径値などの現在の光学情報を交換レンズ2100から取得する通信である。1226はカメラマイコン2205からレンズマイコン2111へ絞りの駆動を要求する通信である。
【0350】
1207は被写体距離表示用のデータ通信処理であり、上述した動的に変更される表示用情報を交換レンズ2100から取得する通信である。図28に示すようにすべての通信処理を1フレーム内に行えることが理想的ではあるが、通信帯域に余裕が無い場合はたとえばAE用のデータ通信を2フレーム毎に行うなどのスケジューリングを行う。なお、本実施例では動的な表示用情報を周期的に通信している例を説明したが、動的な表示用情報が変化した場合にこの変化に応じた表示が行うことができればこれに限らない。例えば動的な表示用情報が変化したことをレンズマイコン2111が検出して、当該検出に応じてカメラマイコン2205に検出された旨を通知することで、必要な場合のみ動的な表示用情報を通信するようにしても良い。
【0351】
次にS2107のカメラ表示部の表示更新処理について、図27Bを用いて説明する。
【0352】
S2140では、被写体距離表示の表示状態をタイマによって非表示とするケースにおけるタイムアウト状況を判定する。本モードについてはS2146にて後述する。タイムアウトにより表示を維持するか否かの判定結果として表示を維持させる場合はS2142へ遷移し,表示を非表示とする判定の場合はS2154へ遷移する。
【0353】
S2142では、情報表示をどのように行うかという表示メニューの設定状況を判定する。本実施例では、メニューにより撮影距離情報の表示パターンを、MF時に常時表示、ピント調整時に所定時間表示、常時表示、表示しない、から設定可能とする。メニューの表示設定がMF時に常時表示の場合、S2143へ遷移する。メニューの表示設定がピント調整時に所定時間表示の場合、S2146へ遷移する。メニューの表示設定が常時表示の場合、S2149へ遷移する。メニューの表示設定が表示しないの場合、S2145へ遷移する。
【0354】
S2143では、カメラマイコン2205は、交換レンズ2100からレンズ鏡筒に備えられたレンズフォーカススイッチ状態がオートフォーカス(AF)かマニュアルフォーカス(MF)かのいずれの状態として通知されているかを判定する。その他の実施形態としてAF、MFの状態をカメラメニューで切り替える形態の場合にはメニューの設定状態を確認するのでもよい。AFの場合はS2151へ遷移し、MFの場合はS2144へ遷移する。
【0355】
S2144では、カメラマイコン2205が最新の動的表示用情報に基づき表示部2206へ被写体距離情報(距離バー情報)の表示更新処理を行う。
【0356】
S2146では、カメラマイコン2205は、被写体距離のバー表示を消去するためのタイマをクリアする。
【0357】
S2147は、S2144と同様の処理である。
【0358】
S2148では、カメラマイコン2205は、所定時間後に被写体距離情報のための距離バーを非表示とするため、被写体距離情報の消去タイマをセットする。
【0359】
S2149は、S2142のメニュー設定が「常時表示」に割り当てられている場合に遷移し、処理内容としてはS2144と同様の処理である。
【0360】
S2151では、メニューの表示設定が「表示しない」以外の設定であった場合に、フォーカスの至近端あるいは無限端にあることをユーザーに通知するための判定を行う。
【0361】
より具体的には動的表示用情報に含まれる「規格化された現在の被写体距離の距離バー上の位置情報」を判定する。当該位置情報が至近端位置を示す場合はS2152へ遷移し、無限端位置を示す場合はS2153へ遷移し、至近端、無限端いずれでもない場合はS2145へ遷移する。
【0362】
S2152では、カメラマイコン2205は、フォーカス移動方向アイコン2812aの色をグレーにする。これによりマニュアルフォーカス操作時において、フォーカスリングをそれ以上至近側へ回してもフォーカスが変わらないことをユーザーに認知させる。
【0363】
S2153では、カメラマイコン2205は、フォーカス移動方向アイコン2812bの色をグレーにする。これによりマニュアルフォーカス操作時において、フォーカスリングを∞側へ回してもフォーカスが変わらないことをユーザーに認知させる。
【0364】
S2154は、S2140で被写体距離表示の表示状態をタイマによって非表示とする判定となった場合に遷移し、図24にて説明した各種被写体距離情報の表示を非表示とする。
【0365】
以上に説明した撮像装置とアクセサリ装置との間での通信方法および撮像装置の表示処理によって、撮像装置に表示する被写体距離情報に関わる情報について表示する位置を規格化した数値として通信にて撮像装置へ伝搬するようにした。これにより、スペックの異なるアクセサリ装置をどの撮像装置へ装着しても最適な表示をさせることを可能としている。
【0366】
また、被写体距離情報の表示のためのスケール表示に関わるデータをアクセサリ装置の装着時に実施し、その後定常状態においては動的に変更するアクセサリ装置の被写体距離情報のみを取得するようにしたことにより通信負荷を最小化するようにした。これにより、AFやAE、防振などといった各種制御への影響を抑え、かつ被写体表示用の通信をたとえば毎垂直信号タイミング毎といった高頻度で取得可能とした。したがって、各種駆動制御の実施と表示遅延のない被写体距離情報の表示を実現することが可能となる。
【実施例5】
【0367】
実施例4は、レンズマイコン2111が検出する被写体距離情報をカメラ本体2200の表示部2206へ表示するケースとさらにマクロ倍率情報や被写界深度情報を表示するケースについて説明した。本実施例はレンズマイコンが検出する振動ジャイロの振れセンサによる手振れ状態情報をカメラマイコン2205が通信にて取得し、表示部2206にて表示させるケースについて説明する。
【0368】
カメラ本体2200と交換レンズ2100の各種構成および起動処理、定常時の通信処理は実施例4と同様であるため説明を省略する。
【0369】
本実施例で実現する手振れ情報の表示に関しては、実施例4で説明した静的表示用情報、動的表示用情報として通信する項目および表示に関わる制御が異なるため、この点について説明する。
【0370】
本実施例では、実施例4説明した静的な表示用情報に加え手振れ状況を表示するための静的な表示用情報として、下記をレンズマイコン2111がカメラマイコン2205に送信する。
【0371】
1.交換レンズ2100の振動ジャイロの搭載有無
すなわち、カメラマイコン2205は、機能の有無に対応する情報として、手振れ状況を検出する機能を有することを示す情報を、レンズマイコン2111に送信する。
【0372】
そして、本実施例では、表示対象に応じて動的な表示用情報として取得する情報を切り替える。表示対象が「手振れ状況」である場合には、動的な表示用情報として、下記をレンズマイコン2111がカメラマイコン2205に送信する。
1.振動ジャイロのピッチ方向の振動検出値
2.振動ジャイロのヨー方向の振動検出値
【0373】
すなわち、レンズマイコン2111は、手振れ状況の検出により検出された検出値をカメラマイコン2205に送信する。一方でレンズマイコン2111は、表示対象が「手振れ状況」でない場合には、実施例4で説明した静的な表示用情報をカメラマイコン2205に送信する。
【0374】
まず図29を用いて手振れ状況の表示内容について説明する。
【0375】
2301は現在の手振れ量の検出状況を表示している例を示している。この情報表示は交換レンズ2100の振動ジャイロの振れセンサによる手振れ状態情報をカメラマイコン2205が通信にて取得し、表示部2206にて表示させる。2302はピッチ方向の振動状況を示しており、振動レベルを2303のゲージにて表示する。同様に2304はヨー方向の振動状況を示しており、振動レベルを1305にて表示する。
【0376】
次に表示のための制御フローについて説明する。
【0377】
図26にて説明した起動時のフローと図27にて説明した交換レンズ2100との通信処理におけるS2127以外およびカメラ表示部のフローのS2107以外については実施例4と同様であるため説明を省略する。図30にてカメラ表示部の表示更新処理S2107のサブルーチン処理について説明する。
【0378】
S2107のサブルーチンを開始すると、S2401では、手振れ状況表示状態をタイマによって非表示とするケースにおけるタイムアウト状況を判定する。本モードについてはS2406にて後述する。
【0379】
S2402では、カメラのメニュー設定で表示部に表示する対象が「手振れ状況」になっているか否かを判定する。「手振れ状況」の表示メニューが設定されているとS2403にて、さらに情報表示をどのように行うかという表示メニューの設定状況を判定する。実施例4と同様、MF時に常時表示、ピント調整時に所定時間表示、常時表示、表示しない、から設定可能とする。
【0380】
メニューの表示設定がMF時に常時表示の場合、S2404へ遷移する。メニューの表示設定がピント調整時に所定時間表示の場合、S2406へ遷移する。メニューの表示設定が常時表示の場合、S2409へ遷移する。メニューの表示設定が表示しないの場合、本サブルーチンを終了する。
【0381】
S2404では、カメラマイコン2205は、交換レンズ2100からレンズ鏡筒に備えられたレンズフォーカススイッチ状態がAFかMFかのいずれの状態として通知されているかを判定する。その他の実施形態としてAF、MFの状態をカメラメニューで切り替える形態の場合にはメニューの設定状態を確認するのでもよい。AFの場合は本サブルーチンを終了し、MFの場合はS2405にて手振れ状況を表示する。
【0382】
S2406では、カメラマイコン2205は、手振れ状況を消去するためのタイマをクリアする。
【0383】
S2407は、S2405と同様の処理である。
【0384】
S2408では、カメラマイコン2205は、所定時間後に手振れ状況を非表示とするため、手振れ状況の消去タイマをセットする。
【0385】
S2409は、S2403のメニュー設定が「常時表示」に割り当てられている場合に遷移し、処理内容としてはS2405と同様の処理である。
【0386】
S2401で手振れ状況表示タイマがタイムアウトとなっている場合にはS2410にて手振れ状況表示を非表示とする。
【0387】
S2402で表示項目が「手振れ状況」でない場合にはS2411にて実施例4で説明した被写体距離情報の表示処理へ遷移する。
【0388】
次に、本実施例におけるレンズ通信処理について図31にて説明する。ただし前述したようにS2127以外は実施例4と同様である。
【0389】
S2126にて表示更新が必要なカメラ状態であることを判定したらS2501へ遷移する。
【0390】
S2501では、カメラのメニューにて表示する対象が「手振れ状況」であるか否かを判定する。表示対象が「手振れ状況」であればS2502にて、レンズマイコン2111から取得する動的表示用情報を「手振れ状況」の表示のために必要な下記値に設定する。
1.振動ジャイロのピッチ方向の振動検出値
2.振動ジャイロのヨー方向の振動検出値
【0391】
表示対象が「手振れ状況」ではなく「被写体距離情報」である場合には、S2503にて実施例4で説明した被写体距離情報の表示に必要な下記情報をレンズマイコン2111から取得するように設定する。
1.被写体距離情報を表示するか、非表示とするか
2.規格化された現在の被写体距離の距離バー上の位置情報
3.規格化された無限端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報
4.規格化された至近端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報
5.規格化されたマクロ領域の距離バー上の位置情報
【0392】
より具体的には「手振れ状況」を取得する通信コマンドと「被写体距離情報」を取得する通信コマンドをおのおの規定しカメラメニューに応じて使い分ける。
【0393】
以上の説明したように、本実施例ではアクセサリ装置のスペックごとに異なる被写体距離情報の表示のためのスケール表示に関わるデータおよび手振れ状況の表示に必要な情報をアクセサリ装置の装着時に実施する。また、その後の定常状態においては動的に変更するアクセサリ装置の被写体距離情報と手振れ状況の情報とを排他的に取得する。これにより、定常動作においては表示に必要な動的に変更されるパラメータのみを通信するようにしたので、通信帯域の使用量を抑えシステム負荷を最小限に抑えることで表示用情報のアクセサリ装置からの取得が遅延しないようにすることが可能となる。
【実施例6】
【0394】
実施例4は、レンズマイコン2111が検出する被写体距離情報をカメラ本体2200の表示部2206へ表示するケースとさらにマクロ倍率情報や被写界深度情報を表示するケースについて説明した。本実施例は交換レンズ2100がズームレンズである場合にズーム位置の情報をカメラマイコン2205が通信にて取得し、表示部2206にて表示させるケースについて説明する。
【0395】
カメラ本体2200と交換レンズ2100の各種構成および起動処理、定常時の通信処理は実施例4と同様であるため説明を省略する。ただし、ズーム位置の表示のためには、静的な表示用情報として追加で取得する項目が生じる。
【0396】
すなわち実施例4で説明した下記項目に加えて、下記の項目についても、レンズマイコン2111がカメラマイコン206に送信する。
13.ズーム位置をバー表示する際の代表指標位置の個数
14.ズーム位置をバー表示する際の各代表指標の数値(代表指標位置の個数分)
15.ズーム位置をバー表示する際の各代表指標の規格化されたズームバー上の配置位置情報(代表位置の個数分)
【0397】
このように、本実施例の静的な表示用情報は、ズーム位置についても、「指標の表示に関する情報」を含んでいる。つまり、本実施例の静的な表示用情報は、指標の個数に対応する情報と、指標の個数に対応する情報が示す数の指標の各々に対応して表示される数値に対応する情報と、当該数値に対応する情報の各々が表示される位置に対応する情報とのセットを有している。
【0398】
そして、本実施例では、表示対象に応じて動的な表示用情報として取得する情報を切り替える。表示対象が「ズーム位置」である場合には、動的な表示用情報として、下記をレンズマイコン2111がカメラマイコン2205に送信する。
【0399】
・現在のズーム位置をバー表示する際の規格化されたズームバー上の配置位置情報
すなわち、レンズマイコン2111は、「位置に対応する情報」として、ズームレンズの現在の位置に対応する情報を、カメラマイコン2205に送信する。一方でレンズマイコン2111は、表示対象が「手振れ状況」でない場合には、実施例4で説明した静的な表示用情報をカメラマイコン2205に送信する。
【0400】
まず図32を用いてズーム位置をバー表示する際の表示内容について説明する。
【0401】
2161は現在のズーム位置を表示している例を示している。2162はワイド側、2163がテレ側のズーム方向を示しており、テレ端からワイド端への全領域を2164にてバー表示している。2165には被写体距離情報の表示と同様で代表的なズーム位置の指標値としての焦点距離情報を表示しており、この表示例は焦点距離が70mm~300mmまでズーム可能なスペックのレンズの場合を示している。これら代表指標値としてどの数値を表示するか、どの位置に表示するかについては実施例4の被写体距離情報の表示の場合と同じく、ズームバー全長に対して規格化された位置情報を交換レンズ2100から取得する事により表示を実現する。たとえば「70mm」はズームバー全長に対して「3」の位置に表示し、「135mm」はズームバー全長に対して「50」の位置に表示するといった情報となる。2606は現在のズーム位置を示しており、レンズマイコン2111から規格化したズーム位置情報として取得し、カメラマイコン2205が表示部2206へ表示する。
【0402】
<表示のための制御フロー>
次に表示のための制御フローについて説明する。
【0403】
図26にて説明した起動時のフローと図27にて説明した交換レンズ2100との通信処理およびカメラ表示部のフローのS2107以外については実施例4と同様であるため説明を省略する。図33にてカメラ表示部の表示更新処理S2107のサブルーチン処理について説明する。
【0404】
S2107のサブルーチンを開始すると、S2701では、ズーム位置表示状態をタイマによって非表示とするケースにおけるタイムアウト状況を判定する。本モードについてはS2706にて後述する。
【0405】
S2702では、カメラのメニュー設定で表示部に表示する対象が「ズーム位置」になっているか否かを判定する。「ズーム位置」の表示メニューが設定されているとS2703にて、さらに情報表示をどのように行うかという表示メニューの設定状況を判定する。実施例4と同様、MF時に常時表示、ピント調整時に所定時間表示、常時表示、表示しない、から設定可能とする。
【0406】
メニューの表示設定がMF時に常時表示の場合、S2704へ遷移する。メニューの表示設定がピント調整時に所定時間表示の場合、S2706へ遷移する。メニューの表示設定が常時表示の場合、S2709へ遷移する。メニューの表示設定が表示しないの場合、本サブルーチンを終了する。
【0407】
S2704では、カメラマイコン2205は、交換レンズ2100からレンズ鏡筒に備えられたレンズフォーカススイッチ状態がAFかMFかのいずれの状態として通知されているかを判定する。その他の実施形態としてAF、MFの状態をカメラメニューで切り替える形態の場合にはメニューの設定状態を確認するのでもよい。AFの場合は本サブルーチンを終了し、MFの場合はS2705にてズーム位置情報を表示する。
【0408】
S2706では、カメラマイコン2205は、ズーム位置情報を消去するためのタイマをクリアする。
【0409】
S2707は、S2705と同様の処理である。
【0410】
S2708では、カメラマイコン2205は、所定時間後にズーム位置情報を非表示とするため、ズーム位置情報の消去タイマをセットする。
【0411】
S2709は、S2703のメニュー設定が「常時表示」に割り当てられている場合に遷移し、処理内容としてはS2705と同様の処理である。
【0412】
S2701でズーム位置情報表示タイマがタイムアウトとなっている場合にはS2710にてズーム位置情報表示を非表示とする。
【0413】
S2702で表示項目が「ズーム位置」でない場合にはS2711にて実施例4で説明した被写体距離情報の表示処理へ遷移する。
【0414】
次に、本実施例におけるレンズ通信処理について図34にて説明する。ただし前述したようにS2121~S2125までの処理は実施例4と同様である。
【0415】
S2122にて交換レンズ2100がカメラ本体2200に引き続き装着された状態である場合にはS2801へ遷移する。
【0416】
S2801では装着しているレンズの光学情報が変化したか否かを判定する。交換レンズ2100とカメラ本体2200との間に中間アクセサリが装着されると、レンズの光学情報が変化する場合がある。たとえば交換レンズ2100にはエクステンダーが内蔵されている機種が存在する。この内蔵されたエクステンダーを有効とすることで焦点距離をはじめとする交換レンズの光学情報が変更される。たとえば交換レンズ2100の製品形態の一例としての外観を2630に示す。図面上の2150~2153の各種操作部材は実施例4と同様である。操作部材1631が交換レンズ2100に内蔵されたエクステンダーを切り替える操作部材となっている。切り替えスイッチとしては、「エクステンダー無し」、「1.4倍エクステンダー有効」、「2.0倍エクステンダー有効」の3状態を選択可能としている。
【0417】
上記のようなエクステンダーの装着状態の変更などの光学情報が変化する場合には、すでにレンズ装着時もしくはレンズ装着状態で起動した場合に、静的な表示用として取得していた情報も更新する必要がある。
【0418】
そのためS2801で光学情報が変化したと判定するとS2802にて静的な表示用情報および初期値としての動的表示用情報とを交換レンズ2100から取得し表示部へ再配信する。
【0419】
S2803では表示更新が必要なカメラ状態であることを判定したらS2804へ遷移する。
【0420】
S2804では、カメラのメニューにて表示する対象が「ズーム位置」であるか否かを判定する。表示対象が「ズーム位置」であればS2805にて、レンズマイコン2111から取得する動的表示用情報を「ズーム位置」の表示のために必要な、現在のズーム位置をバー表示する際の規格化されたズームバー上の配置位置情報に設定する。表示対象が「ズーム位置」ではなく「被写体距離情報」である場合には、S2806にて実施例4で説明した被写体距離情報の表示に必要な下記情報を、レンズマイコン2111から取得するように設定する。
1.被写体距離情報を表示するか、非表示とするか
2.規格化された現在の被写体距離の距離バー上の位置情報
3.規格化された無限端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報
4.規格化された至近端側のフォーカスリミットの距離バー上の位置情報
5.規格化されたマクロ領域の距離バー上の位置情報
【0421】
より具体的には「ズーム位置情報」を取得する通信コマンドと「被写体距離情報」を取得する通信コマンドをおのおの規定しカメラメニューに応じて使い分ける。
【0422】
図32を用いてS2801でたとえば内蔵された1.4倍のエクステンダーが装着された場合と、2.0倍のエクステンダーが装着された場合の表示内容について説明する。
【0423】
2610は1.4倍のエクステンダーが有効となっている場合の現在のズーム位置を表示している例を示している。2611はワイド側の焦点距離でありエクステンダー無しの時にはワイド端の焦点距離は70mmであったのに対して1.4倍された98mmを表示する。
【0424】
2612はテレ側の焦点距離でありエクステンダー無しの時にはテレ側の焦点距離は300mmであったのに対して1.4倍された420mmを表示している。ここではズームのワイド端、テレ端は代表指標値を表示したほうが視認性がよいとし98mmという端数を表示しているが、エクステンダー無しの時に135mmを表示していた箇所に関しては、1.4倍すると189mmという端数になり表示が煩雑となってしまう。そこであえて「200mm」の位置を表示するように交換レンズ2100は静的な表示用情報として規格化した位置情報ともに情報を生成する。
【0425】
以上に説明した撮像装置とアクセサリ装置との間での通信方法および撮像装置の表示処理によって、撮像装置に表示するズーム位置情報に関わる情報について表示する位置を規格化した数値として通信にて撮像装置へ伝搬するようにした。これにより、スペックの異なるアクセサリ装置をどの撮像装置へ装着しても最適な表示をさせることを可能としている。
【0426】
また、本実施例では、ズーム位置情報の表示のためのスケール表示に関わるデータをアクセサリ装置の装着時に実施し、その後定常状態においては動的に変更するアクセサリ装置の被写体距離情報のみを取得するようにした。これに加え、表示対象が被写体距離情報かズーム位置情報かにより通信処理を選択的に行うようにして通信負荷を最小化するようにした。これらにより、AFやAE、防振などといった各種制御への影響を抑えつつ被写体表示用の通信をたとえば毎垂直信号タイミング毎といった高頻度で取得可能としたので、各種駆動制御の実施と表示遅延のない被写体距離情報の表示を実現することが可能となる。また光学情報が動作中に変更する場合においてもスケール表示に必要な情報を再取得し表示するようにしたことと、光学情報の変化時には変化後の光学状態として最適な指標の表示を行うので、視認のしやすい表示を実現することが可能となる。
【0427】
<その他の実施例>
なお、前述の実施例のレンズ属性情報やカメラ属性情報として例示した各々の情報は、各々の情報に対応する情報を用いることで同様の目的を達成することができるのであれば、別の情報を用いても良い。
【0428】
また、前述の実施例でフローチャートを用いて説明した動作は、同様の目的を達成することができるように、適宜実行されるステップの順序を変更することが可能である。
【0429】
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0430】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0431】
100 交換レンズ
111 レンズマイコン
112 レンズ通信制御部
200 カメラ本体
205 カメラマイコン
208 カメラ通信制御部
図1
図2
図3
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図6
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