(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ボルトナットセット
(51)【国際特許分類】
F16B 39/24 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
F16B39/24 A
(21)【出願番号】P 2023146580
(22)【出願日】2023-09-09
【審査請求日】2023-09-09
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】720003880
【氏名又は名称】永田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲也
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-13151(JP,A)
【文献】国際公開第2003/093691(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向の一部に雌螺子部が形成され、かつ、円周方向の一部に第1嵌合部が形成されるナットと、前記円周方向へのモーメントを受け付けるモーメント入力部、かつ、前記雌螺子部に挿入される雄螺子部が形成されるボルトと、前記ナットと前記ボルトに挟まれ、貫通穴を備え、かつ、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部が形成される座金とを備えるボルトナットセットであって、
前記第1嵌合部、及び、前記第2嵌合部は、前記ナット、及び、前記座金の軸方向に形成され、前記ナットと前記座金を前記軸方向で嵌合させると、前記第1嵌合部、及び、前記第2嵌合部が契合し、前記ナット、又は、前記座金のいずれか一方が回転すると、前記回転が前記第1嵌合部、及び、前記第2嵌合部によって伝達されて、前記回転が生じたのとは異なる他方が前記回転に同期して回転し、前記ボルトは、前記貫通穴を通って、前記雄螺子部が前記雌螺子部に挿入され、前記モーメント入力部に前記モーメントを加えると、前記雄螺子部が前記雌螺子部に挿入していき、前記モーメント入力部と前記ナットの間に前記座金を挟むボルトナットセット。
【請求項2】
前記ボルトは、頭部から半径方向に形成され、かつ、前記座金に引っ掛かる突起部が形成されるレバー部を更に備える請求項1に記載のボルトナットセット。
【請求項3】
前記座金は前記ボルトの頭部に引っ掛かるフックとフックを前記ボルトの頭部に固定するレバー部を備える請求項1に記載のボルトナットセット。
【請求項4】
前記第1嵌合部、及び、前記第2嵌合部は、切り欠き部、又は、溝である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボルトナットセット。
【請求項5】
前記雌螺子部、及び、前記雄螺子部は、M3からM20である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボルトナットセット。
【請求項6】
前記第1嵌合部、及び、前記第2嵌合部は、前記ナット、及び、前記座金にそれぞれ形成される切り欠き部であって、前記ナット、及び、前記座金の切り欠き部の幅は、2mmから15mmである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボルトナットセット。
【請求項7】
前記ナット、及び、前記座金の切り欠き部は、前記ナット、及び、前記座金にそれぞれ1か所又は2か所形成される請求項6に記載のボルトナットセット。
【請求項8】
スノーボードのハイバックのヒンジに使用される請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボルトナットセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工具を使用することなく、容易に着脱することができ、緩みを生じることがないボルトナットセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明はボルトとナットにより構成されるボルトナットセットに関するものである。
ねじは使用している箇所の振動や回転、旋回、揺動などの動作によって緩みが発生することがあり、特に回転や旋回、揺動の支点軸にねじを使用した場合、回転、旋回、揺動動作により、ねじに回転方向のトルクがかかりねじが緩みやすくなる。
緩みを防止するためにダブルナット等の構造が考えられるが、ナット側を操作するためにねじ面が露出しねじの劣化が進みやすい。
また、多くは操作する箇所が複数になり、そのために構造を理解する必要があり、多くは締めこむための工具が必要になる。
【0003】
改善策として特許文献1は皿状をなす座金の外周斜縁を両側方より加圧折曲し、弛み止めとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、ねじの緩みが生じる。具体的には、従来の技術では、使い続けていると、ボルトナットセットにおいて、ボルトとナットの間がねじ締めされても、ねじが緩み、工具で再度ねじを締める作業を要する。特に、スノーボード等の雪山では、工具の調達が困難な場合もある。
本発明は、緩みを生じないボルトナットセットを提供するのを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、ナットと座金の軸方向に切り欠き部や溝を加え、これを契合させることによりナットと座金の回転を同期させ、これによってナットとボルトの回転を同期させる。さらに座金とボルトをレバーで容易に回転止めを行うことにより、ボルトとナットの回転を同期させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緩みを生じないボルトナットセットが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2から
図10は本発明の構造である。
図2はボルトナットセットの実施方法を示した説明図である(実施例1)
【
図7】
図7はボルトナットセットの実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【
図9】
図9は
図7に示す構造のボルト及びレバーの部品図を示す。
【
図10】
図10はボルトナットセットの実施方法を示した説明図である。(実施例3)
【
図11】
図11はボルトナットセットの実施方法を示した説明図である。(実施例4)
【
図12】
図12はボルトナットセットの実施方法を示した説明図である。(実施例5)
【
図13】
図13はスノーボードのハイバックのヒンジのねじの構造の比較例である。
【
図14】
図14はスノーボードのハイバックのヒンジのねじの構造に本発明に示すボルトナットセットを適用した例である。
【
図15】
図15は比較例と実施例1と実施例2のねじの緩みに関する実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[比較例]
図1は、以下、重力方向を「Z軸方向」とする。そして、Z軸方向に対し、直交する軸の方向を「X軸方向」、及び、「Y軸方向」とする。また、X-Y平面が水平面となる。したがって、X軸方向とY軸方向は直交する関係となる。
また、以下の説明では、Z軸方向がねじの「軸方向」と一致する。
【0011】
図1は、比較例の分解図と組立図を示す図である。
ナット1とボルト2は、ゆるみ止めを目的とする座金3を介して固定された部材又は回転、旋回、揺動、直動など動作する部材4と回転、旋回、揺動、直動など動作する部材又は固定された部材5を締めこむ。
この比較例では回転、旋回、揺動動作によりねじに回転方向のトルクがかかり、ナット1とボルト2を嵌合させている、ねじが緩みやすくなる。
【0012】
図2は、本発明装置の実施例1の分解図と組立図を示す図である。
ナット1と座金3の軸方向に切り欠き部や溝を加え、これを契合させることによりナット1と座金3の回転を同期させ、これによってナット1とボルト2の回転を同期させる。
【0013】
図3は、ナット1の部品図を示す図である。具体的には、
図3は、
図2に示すナット1を三面図で示す。
以下、ねじのサイズは、Japanese Industrial Standards(JIS)におけるJIS B 0205:2001(メートルねじ、並目ねじ)に基づいて表記する。
例えば、ナット1に形成する雌螺子部のねじのサイズは、M6(ねじの谷径6mm)である。ただし、ねじのサイズは、限定されるものではなく、他にM20からM3であればよい。
図4にナット1の切り欠き部を示す。
以下、
図4に示す切り欠き部を第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101の2つの切り欠き部を形成する例で説明する。
また、切り欠き幅を4mmとしているが切り欠き部が回転力により変形するようなことがなければ切り欠き幅は限定させない。ただし、小径のねじでも切り欠き幅は円周方向に、2mm程度以上が望ましい。
第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101は、切削工具等で形成するため、ある程度の幅がないと切削工具が入らず、製造が難しくなる。
したがって、2mm程度以上の幅があると、安価な切削工具でも容易に製造しやすくできる。
切り欠き数も2か所としているが切り欠き数も限定されるものではない。切り欠き幅が確保されれば切り欠き数は限定されるものではない。ただし、切り欠き部は、1か所、又は、2か所が望ましい。切り欠き部が増えると、製造が複雑になり、かつ、ねじ部分が少なくなる。そのため、ねじが噛み合う部分が少なくなりすぎ、強度等に影響が出る場合がある。一方で、2か所で、切り欠き部とねじ部が同じくらいの比率であれば、強度等には影響が少ない。
2か所であっても、
図4に示す第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101のように対向する位置関係にあれば、両箇所を1回の切削工具で製造できるので、製造負荷が変わらずに製造できる。このように、切り欠き部は2か所以下にすると、強度、かつ、製造コストを少なくできる。
例えば、切り欠き部は、ナット1の円周部の一部をやすり又はグラインダー又は切削工具で削って形成する。
図4に示す第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101のように、ナット1の円周方向に円中心点を対称にして、切り欠き部は対向する位置に形成するのが望ましい。このように対向した位置関係に切り欠き部を形成すると、切削工具がナット1の直径よりも十分に長ければ、一度の切削作業で複数の切り欠き部を形成でき、効率良く切り欠き部が形成できる。
このように、ナット1は、円周方向に、雌螺子部と第1嵌合部が形成される。なお、雌螺子部と第1嵌合部の割合は限定されない。雌螺子部が形成されるため、ナット1にボルト2の雄螺子部が挿入されると、ねじが噛み合い、モーメントによってナット1とボルト2を緩めたり、又は、締めたりすることができる。
一方で、第1嵌合部の例である、第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101が嵌合部の凹部となる。したがって、第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101に対し、座金3の第2嵌合部の凸部が挿入され、契合する。ゆえに、第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101の寸法は、座金3の第2嵌合部に合わせて製造される。
【0014】
図5は、座金の部品図を示す図である。
図6は、座金の切り欠き部の詳細図を示す図である。
図6は、
図2における座金3を下方向から見る視点で示す。
座金3の第3切り欠き部200、及び第4切り欠き部201は、それぞれがナット1の第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101の切り欠き部に契合する。したがって、座金3における第3切り欠き部200、及び第4切り欠き部201の円周方向の位置、及び、寸法(はめあいを含む。)は、ナット1の第1切り欠き部100、及び、第2切り欠き部101に合わせて形成される。
ナット1に一か所以上の切り欠き部、又は、溝を設けて第1嵌合部を形成する。一方で、座金3にはナットの切り欠き部、又は、溝に契合する切り欠き部や摺動部位を設けて第2嵌合部を形成する。このような、第1嵌合部、及び、第2嵌合部の嵌め込みにより、ナット1と座金3を契合させる、これにより座金3は軸方向(
図1におけるZ軸方向である。)には直線動作するが、回転はナット1の回転(Z軸回りの回転、すなわち、ヨー(Yaw)軸回転である。)に同期する。
座金3の内周には、ねじ山が形成されていないため、ボルト2が座金3の貫通穴を貫通してもボルト2と座金3の間には拘束がない。したがって、座金3は、軸方向を直線動作する。
ボルト2は座金3に接しているので、ナット1とボルト2の回転は同期し、ねじの緩みを大幅に低減することができる。すなわち、ボルト2の頭部は、モーメントを入力するのに持ち手となり、かつ、ボルト2の頭部サイズが座金3の貫通穴のサイズより大きい。そのため、座金3は、ボルト2から抜けることがなく、ボルト2の頭部でナット1側(
図1におけるZ軸方向で下方向となる。)に押し付けられる。この押し付けにより、第1嵌合部、及び、第2嵌合部が契合し、Z軸方向に抜けずに契合状態が維持される。
なお、座金3の切り欠き数や切り欠き幅もねじの切り欠きと同様に限定されるものではない。
ボルト2は、モーメント入力部の例となる頭部と、雌螺子部で構成される。なお、モーメント部は、人が手でつまめる程度の大きさが望ましい。また、頭部は、モーメントが入力されるため、雌螺子部より直径が大きいと、大きなモーメントが伝達しやすい。
【0015】
[実施例2]
図7は、本発明装置の実施例2の分解図と組立図を示す図である。
実施例1と比較すると、実施例2は、ボルト2にレバー6が加わる点が異なる。更に、レバー6は、座金3と回転を同期させる「第2同期部」を実現する。第2同期部は、レバー6と座金3で実現する。
座金3は、実施例1と比較すると、第2同期部を実現するため、実施例1より直径サイズが大きい円盤部を備える。円盤部の円周方向には、レバー6に形成される突起部を固定できる固定部が形成される。固定部は、例えば、レバー6の突起部が接触する位置に形成される。固定部は、レバー6の突起部が引っ掛かれば形状等は問わない。
レバー6は、頭部から円周に向かう方向に形成される。そして、レバー6は、座金3のある方向に突起する突起部が形成される。
ナット1と座金3に切り欠きを加え、これを契合させることによりナット1と座金3は回転方向に同期され、更にボルト2にはレバー6を備え、レバー6は座金3に弾性変形を利用し一動作で固定することができる。これによりナット1とボルト2の回転は同期し、ねじは緩むことはない。
これにより
図2に示す構造でボルトの締め込みが緩い状態でナットを急速に回転させることによりねじの緩みが発生する可能性を完全に防止することができる。
ねじ面は外部に露出することはなく、レバー6はボルト2に備えられているのでねじ込み時は、レバー6によって回転させることもできるので、操作部は一か所のため容易にねじ込み動作および固定動作を行うことができる。
ボルト2とレバー6は手動で操作可能なため工具は必要なく、レバー6の固定はレバー6の弾性変形で行うので繰り返し使用することができる。
【0016】
図8は、実施例2における座金3の部品図を示す図である。座金3にはナットと契合するための切り欠きとボルトと固定するための固定部となる溝が施されている。この溝は
図6では3mmの球状としているが、レバー6の突起部を固定するためのものであるのでこの形状に限定されるものではない。
【0017】
図9に
図7に示す構造のボルト2及びレバー6の部品図を示す図である。レバー6はボルト2の頭部に旋回可能(Y軸を回転中心とする。いわゆるPitch回転である。)に設置され先端の球(突起部)により座金に固定される。また、レバー部は半径方向に伸びるように棒状に形成する。なお、レバー部の形成位置、及び、長さは、座金3と固定できる位置関係で定まる。これによりボルト2と座金3は回転方向に同期され、座金3はナット1の回転に同期するのでねじは緩むことがない。
レバー6先端の球(突起部)は、座金3と固定するためのものでこの形状に限定されるものではない。ただし、突起部は、強度を確保するため、φ3以上の大きさがあるのが望ましい。
【0018】
[実施例3]
図10はボルトナットセットの実施方法を示した説明図を示す図である。実施例1と比較すると、実施例3は、切り欠き部でなく、溝で第1嵌合部、及び、第2嵌合部を実現している点が異なる。
ナット1と座金3に溝を設けそれを契合させることによりナットと座金を同期させる。
そのほかの構造は
図7と同じである。溝は、切り欠き部より、製造しやすく、ねじ部分が多く残せる。
【0019】
[実施例4]
図11はボルトナットセットの実施方法を示した説明図を示す図である。
座金3とボルト2の固定をボルト2に設置されたレバー6とフック7で座金3に引っ掛け固定する。実施例4は、実施例2と比較すると、レバー6の突起部でなく、フック7で座金3に引っ掛かる構造である点が異なる。このようなフック7の構造であると、引っ掛ける操作をしやすく、よりユーザが使いやすい。そのほかの構造は
図7と同じである。
【0020】
[実施例5]
図12はボルトナットセットの実施方法を示した説明図を示す図である。
座金3とボルト2の固定を座金3上に設置されたレバー6の内に設置されたとフック7をボルト2の頭部に引っ掛け、レバー6を倒してボルトの頭部を固定する。レバー6を倒すときにボルトの頭部をフック7とレバー6で挟み込んでもよい。多くのボルトの頭部には鋸歯状の多連の溝が形成されており、フック7及びレバー6のボルト2の頭部との接触面にボルト2の多連の溝にはまり込む溝を整形しボルト2の多連の溝に引っ掛けてもよい。そのほかの構造は
図7と同じである。
【0021】
代表的な実施例としてスノーボードのバインディングに使用されているハイバックのヒンジに使用されるねじをあげる。
このねじは屋外の雪中で使用されるため、工具を使用せずに容易に着脱し緩み止めを行うことが必要になる。スノーボードの使用時にはスノーボードブーツをサポートするためにハイバックはスノーボードに対して立てて使用されるが、運搬時や使用していないときはバインディングのヒンジを中心にたたまれる。ハイバックのヒンジにはハイバックの旋回用と位置調整用のためにねじが使用され、リフトの搭乗時や休憩時などにはブーツの着脱のためにハイバックはたたまれ、使用時は立てられるため、ねじはヒンジの支点となり、このナットはハイバックの動作に追従して旋回する。
このねじはこの旋回運動を阻害しないようにするため、適度な締め付けが必要となり、強固に締め付けをすることができない。
ブーツの着脱のたびに、ヒンジは旋回運動を行う必要があるため、このねじはしばしば緩んでしまい、緩みが進行するとねじが脱落し、ハイバックがブーツをサポートすることができずに非常に危険な状況になる。
このため、適度な締め付け力を維持しながら、緩むことのないねじが必要となる。
【0022】
図13はスノーボードのハイバックのヒンジのねじの構造の比較例である。
ナット1は往復するハイバック8に追従して旋回する。
ボルト2により締めこむが緩み止め用の座金3などを使用してもハイバック8の往復に伴いねじに緩みが発生することがある。
【0023】
図14はスノーボードのハイバックのヒンジのねじの構造に本発明に示すボルトナットセットを適用した例である。
ナット1には切り欠き又は溝が設けてある。切り欠きまたは溝の本数は問わない。
図12は2か所の切り欠きの例である。
座金3にはナットの切り欠き部又は溝に契合する切り欠き又は溝が設けてある。
またボルト2との結合のための複数の穴または溝が設けられている。
ボルト2には座金と回転を同期するためのレバー6またはフック(図示せず)などが設けられている。
これによりボルト2とナット1の回転は同期し、ハイバック8が旋回しても緩みが発生することはない。
【0024】
図15に試作した比較品とナット1および座金3に切り欠きを入れ回転を同期化させたボルトセット(実施例1)とナット1および座金3に切り欠きを入れ、さらにボルトと座金を固定したボルトセット(実施例2)の、ハイバックの往復運動に対するゆるみトルクの変化を記す。
実施例2は簡易的な装置としてボルトの締め込み後、座金とボルトをクリップで固定した。
M5のねじを使用しM5ねじの標準トルクは3Nmであるがハイバックの回転操作を行いやすいものとするため1.5Nmのトルクで締めこみ、これによりねじを緩みやすい状態とした。
ハイバックのヒンジを中心にして下端から上端まで移動させ、その後上端から下端まで往復させる動作をハイバック往復運動としその回数を
図15のグラフの横軸とした。
また所定回数後ねじを緩めるのに必要なトルクを測定しそのトルクを緩みトルクとし
図15の縦軸とした。
ねじの場合にはハイバックの1往復でねじトルクはトルクレンチの測定限界である0.3Nmまで低下し、ゆるみが発生したが、ナット1および座金3の回転同期品のボルトセットではハイバックの往復運動4回まで低下せず、ゆるみまでの回数が大幅に改善された。
更にボルト2と座金3とが固定されたナット座金ボルトの回転同期品では10往復しても、ゆるみは発生しなかった。
【0025】
本構造はねじの緩みという重大な欠陥を防止するものであり、ねじを使用している各種の製品や産業に対して利用される可能性は大きい。
本構造は、家具、又は、建築部材等にも適用されてよい。ただし、本構造は、スノボ、スキー、又は、スノーモービル、自動車用チャイルドシート、ベビーカー、車いすのように、工具を持ち合わせるのが難しく、かつ、振動等があってねじが緩みやすい環境の製品に適する。
【符号の説明】
【0026】
1 ナット
2 ボルト
3 座金
4 固定された部材又は回転、旋回、揺動、直動など動作する部材
5 回転、旋回、揺動、直動など動作する部材又は固定された部材
6 レバー
7 フック
8 ハイバック
【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、緩みを生じないボルトナットセットを提供する。
【解決手段】ナット1と座金3の軸方向に切り欠き部や溝を加え、これを契合させることによりナットと座金の回転を同期させることにより、ねじ面を外部に露出させずに、ボルト2とそれに付随するレバーやフックの操作だけで工具を使用せず、繰り返し使用できる、ねじのゆるみを大幅に低減させるボルトナットセット。更に座金とボルトを容易に固定することによりボルトとナットの回転を同期させ、ねじ面を外部に露出させずに、ボルトとそれに付随するレバーやフックの操作だけで工具を使用せず、繰り返し使用できる、ねじ緩み止めを行うボルトナットセット。
【選択図】
図2