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特許7406918予想制御を有する可変冷媒流システムとこれを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】予想制御を有する可変冷媒流システムとこれを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20231221BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20231221BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231221BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02J3/14 160
F24F11/46
H02J3/32
H02J3/38 130
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018567668
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 US2017039937
(87)【国際公開番号】W WO2018005760
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-03-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】62/357,338
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/491,059
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/511,809
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ターニー、 ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パテル、 ニシス アール.
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】丸山 高政
【審判官】衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-80679(JP,A)
【文献】特開2016-21829(JP,A)
【文献】特開2014-81956(JP,A)
【文献】特開2014-096946(JP,A)
【文献】特開2013-142494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J
F24F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の可変冷媒流(VRF)システムであって、
加熱または冷却を冷媒へ適用するように構成された1つ以上の電動VRF部品を含む屋外VRFユニットと、
前記屋外VRFユニットから前記加熱または冷却された冷媒を受け取ることと、加熱または冷却を複数の建物区域へ提供するために前記加熱または冷却された冷媒を使用することとを行うように構成された複数の屋内VRFユニットと、
前記電動VRF部品に給電する際に使用するために電気エネルギーを蓄積し、前記蓄積された電気エネルギーを放電するように構成された電池と、
最適化期間の各時間ステップにおいて前記電動VRF部品に給電する際に使用するために、前記電動VRF部品により消費されるべき最適量の電気エネルギーと、エネルギーグリッドから購入すべき最適量の電気エネルギーと、前記電池内に蓄積すべきまたは前記電池から放電すべき最適量の電気エネルギーとを決定するために予想費用関数を最適化するように構成された予想VRFコントローラと
を含む、VRFシステム。
【請求項2】
太陽電池エネルギーを収集するように構成された1つ以上の太陽電池パネルをさらに含み、
前記予想VRFコントローラは、前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電池内に蓄積すべき最適量の前記太陽電池エネルギーと、前記電動VRF部品により消費されるべき最適量の前記太陽電池エネルギーとを決定するように構成される、請求項1のVRFシステム。
【請求項3】
前記屋外VRFユニットは、
熱交換器を含む冷凍回路と、
前記熱交換器を介し前記冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサと、
前記熱交換器内の伝熱速度を変調するように構成されたファンと
を含み、
前記電動VRF部品は前記コンプレッサおよび前記ファンを含み、
前記予想費用関数は、前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記コンプレッサおよび前記ファンを動作させる費用を説明する、請求項1のVRFシステム。
【請求項4】
前記予想費用関数は、
前記エネルギーグリッドから購入される前記電気エネルギーの費用と、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電池から蓄積電気エネルギーを放電することから生じる費用節約と
を説明する、請求項1のVRFシステム。
【請求項5】
前記予想VRFコントローラは、前記最適化期間の各時間ステップにおいて
前記エネルギーグリッドから購入される電気エネルギーの単位当たり費用を規定するエネルギー価格データを受信することと、
前記エネルギー価格データを前記予想費用関数への入力として使用することと
を行うように構成される、請求項1のVRFシステム。
【請求項6】
前記予想費用関数は、前記最適化期間と少なくとも部分的に重畳する需要電力料金期間中の前記VRFシステムの最大消費電力に基づく需要電力料金を説明し、
前記予想VRFコントローラは、
前記需要電力料金を規定するエネルギー価格データを受信することと、
前記エネルギー価格データを前記予想費用関数への入力として使用することと
を行うように構成される、請求項1のVRFシステム。
【請求項7】
前記予想VRFコントローラは、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電動VRF部品および前記電池の最適電力設定点を決定するように構成された経済コントローラと、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記建物区域または前記冷媒の最適温度設定点を決定するために前記最適電力設定点を使用するように構成された追跡コントローラと、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電動VRF部品および前記電池の制御信号を生成するために前記最適温度設定点を使用するように構成された機器コントローラと
を含む、請求項1のVRFシステム。
【請求項8】
建物の可変冷媒流(VRF)システムであって、
加熱または冷却を冷媒へ適用するように構成された1つ以上の電動VRF部品を含む屋外VRFユニットと、
前記屋外VRFユニットから前記加熱または冷却された冷媒を受け取ることと、加熱または冷却を複数の建物区域へ提供するために前記加熱または冷却された冷媒を使用することとを行うように構成された複数の屋内VRFユニットと、
前記電動VRF部品に給電する際に使用するために電気エネルギーを蓄積し、前記蓄積された電気エネルギーを放電するように構成された電池と、
最適化期間の各時間ステップにおいて前記電動VRF部品に給電する際に使用するために、エネルギーグリッドから購入すべき最適量の電気エネルギーと、前記電動VRF部品により消費されるべき最適量の電気エネルギーと、前記電池内に蓄積すべきまたは前記電池から放電すべき最適量の電気エネルギーとを決定するために予想費用関数を最適化するように構成される予想VRFコントローラと
を含み、
前記予想費用関数は、前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記エネルギーグリッドから購入される前記電気エネルギーの費用を説明する、VRFシステム。
【請求項9】
太陽電池エネルギーを収集するように構成された1つ以上の太陽電池パネルをさらに含み、
前記予想VRFコントローラは、前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電池に蓄積すべき最適量の太陽電池エネルギーと、前記電動VRF部品により消費されるべき最適量の太陽電池エネルギーとを決定するように構成される、請求項8のVRFシステム。
【請求項10】
前記屋外VRFユニットは、
熱交換器を含む冷凍回路と、
前記熱交換器を介し前記冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサと、
前記熱交換器内の伝熱速度を変調するように構成されたファンと
を含み、
前記電動VRF部品は前記コンプレッサおよび前記ファンを含み、
前記予想費用関数は、前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記コンプレッサおよび前記ファンを動作させる費用を説明する、請求項8のVRFシステム。
【請求項11】
前記予想VRFコントローラは、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記エネルギーグリッドから購入される単位電気エネルギー当たりの費用を規定するエネルギー価格データを受信することと、
前記エネルギー価格データを前記予想費用関数への入力として使用することと
を行うように構成される、請求項1のVRFシステム。
【請求項12】
前記予想費用関数は、前記最適化期間と少なくとも部分的に重畳する需要電力料金期間中の前記VRFシステムの最大消費電力に基づき需要電力料金を説明し、
前記予想VRFコントローラは、
前記需要電力料金を規定するエネルギー価格データを受信することと、
前記エネルギー価格データを前記予想費用関数への入力として使用することと
を行うように構成される、請求項1のVRFシステム。
【請求項13】
前記予想VRFコントローラは、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電動VRF部品の最適電力設定点を決定するように構成された経済コントローラと、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記建物区域または前記冷媒の最適温度設定点を決定するために前記最適電力設定点を使用するように構成された追跡コントローラと、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電動VRF部品の制御信号を生成するために前記最適温度設定点を使用するように構成された機器コントローラと
を含む、請求項1のVRFシステム。
【請求項14】
可変冷媒流(VRF)システムを動作させる方法であって、
最適化期間内の複数の時間ステップのうちのそれぞれの時間ステップのエネルギー価格を規定するエネルギー価格データを前記VRFシステムの予報コントローラにおいて受信する工程と、
前記最適化期間の持続時間全体にわたって前記VRFシステムを動作させる費用を規定する予想費用関数への入力として前記エネルギー価格データを使用する工程と、
前記VRFシステムの1つ以上の電動部品および前記VRFシステムの電池の最適電力設定点を決定するために前記予想費用関数を最適化する工程と、
前記VRFシステムにより影響を受ける区域温度または冷媒温度の温度設定点を生成するために前記最適電力設定点を使用する工程と、
前記VRFシステムの前記電動部品の制御信号を生成するために前記温度設定点を使用する工程と、
前記温度設定点を実現するために前記VRFシステムの前記電動部品を動作させる工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記予想費用関数を最適化する工程は、最適化期間の各時間ステップにおいて前記VRFシステムの前記電動部品に給電する際に使用するためにエネルギーグリッドから購入すべき最適量の電気エネルギーと、前記電池内に蓄積すべきまたは前記電池から放電すべき最適量の電気エネルギーとを決定する工程を含む、請求項14の方法。
【請求項16】
加熱または冷却を冷媒へ適用するために前記VRFシステムの屋外VRFユニット内の冷凍回路を動作させる工程をさらに含み、
前記冷凍回路は、熱交換器と、前記熱交換器を介し前記冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサと、前記熱交換器内の伝熱速度を変調するように構成されたファンとを含み、
前記VRFシステムの前記電動部品は、前記コンプレッサおよび前記屋外VRFユニットの前記ファンを含み、
前記予想費用関数は、前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記コンプレッサおよび前記ファンを動作させる費用を説明する、請求項14の方法。
【請求項17】
熱を前記冷媒と1つ以上の建物区域との間で伝えるために前記VRFシステムの屋内VRFユニットのファンを動作させる工程をさらに含み、
前記VRFシステムの前記電動部品は、前記屋内VRFユニットの前記ファンを含む、請求項16の方法。
【請求項18】
前記予想費用関数は、前記最適化期間と少なくとも部分的に重畳する需要電力料金期間中の前記VRFシステムの最大消費電力に基づき需要電力料金を説明し、
前記方法はさらに、前記需要電力料金を規定する前記予想費用関数への入力として前記エネルギー価格データを使用する工程を含む、請求項14の方法。
【請求項19】
前記VRFシステムの1つ以上の太陽電池パネルから太陽電池エネルギーを得る工程と、
前記最適化期間の各時間ステップにおいて前記電池内に蓄積すべき最適量の前記太陽電池エネルギーと前記VRFシステムの前記電動部品により消費されるべき最適量の前記太陽電池エネルギーとを決定する工程と
をさらに含む、請求項14の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月30日出願の米国仮特許出願第62/357,338号、2017年4月27日出願の米国仮特許出願第62/491,059号、および2017年5月26日出願の米国仮特許出願第62/511,809号の利益および優先権を主張する。これらの特許出願の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般的には建物のHVACシステムに関し、具体的には建物HVACシステムの一部として使用される可変冷媒流(VRF:variable refrigerant flow)システムに関する。
【0003】
VRFは通常、屋外VRFユニットと複数の屋内VRFユニットとを含む。屋外VRFユニットは、建物の外に(例えば屋上に)配置され得、冷媒を加熱または冷却するように動作し得る。屋外VRFユニットは、1つ以上のコンプレッサ、ファン、または加熱または冷却を冷媒へ適用するように構成された他の電動VRF部品を含み得る。屋内VRFユニットは、建物内の様々な建物区域全体にわたって分散され得、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニットから受け取り得る。各屋内VRFユニットは、屋内VRFユニットが配置された特定建物区域の温度制御を提供し得る。
【0004】
VRFシステムは、動作中に電力を消費するいくつかの部品を含み得る。例えば、屋外VRFユニットは、熱交換器を介し冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサと熱交換器を通る気流を変調するように構成されたファンとを含み得る。各屋内VRFユニットは建物区域へ気流を供給するように構成されたファンを含み得る。VRFシステムにより消費されるエネルギーの費用を低減するためにこれらおよび他の電力消費部品の消費電力を最小化することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの実施形態は建物の可変冷媒流(VRF)システムである。VRFシステムは、屋外VRFユニット、複数の屋内VRFユニット、電池、および予想VRFコントローラを含む。屋外VRFユニットは、加熱または冷却を冷媒へ適用するように構成された1つ以上の電動VRF部品を含む。屋内VRFユニットは、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニットから受け取るように、そして加熱または冷却を複数の建物区域へ提供するために加熱または冷却された冷媒を使用するように構成される。電池は、電動VRF部品に給電する際に使用するために電気エネルギーを蓄積し、蓄積された電気エネルギーを放電するように構成される。予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいて電動VRF部品に給電する際に使用するためにエネルギーグリッドから購入すべき最適量の電気エネルギーと、電池内に蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電気エネルギーとを決定するために予想費用関数を最適化するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、VRFシステムは太陽電池エネルギーを収集するように構成された1つ以上の太陽電池パネルを含む。予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいて電池内に蓄積すべき最適量の太陽電池エネルギーと電動VRF部品により消費されるべき最適量の太陽電池エネルギーとを決定するように構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、屋外VRFユニットは、熱交換器を含む冷凍回路、熱交換器を介し冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサ、および熱交換器内の伝熱速度を変調するように構成されたファンを含む。電動VRF部品はコンプレッサおよびファンを含み得る。予想費用関数は、最適化期間の各時間ステップにおいてコンプレッサおよびファンを動作させる費用を説明し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、予想費用関数は、最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入される電気エネルギーの費用と電池から蓄積電気エネルギーを放電することから生じる費用節約とを説明する。
【0009】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいて、エネルギーグリッドから購入される電気エネルギーの単位当たり費用を規定するエネルギー価格データを受信し、エネルギー価格データを予想費用関数への入力として使用するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、予想費用関数は、最適化期間と少なくとも部分的に重畳する需要電力料金期間中のVRFシステムの最大消費電力に基づき需要電力料金を説明する。予想VRFコントローラは、需要電力料金を規定するためにエネルギー価格データを受信し、エネルギー価格データを予想費用関数への入力として使用するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいて電動VRF部品および電池の最適電力設定点を決定するように構成された経済コントローラと、最適化期間の各時間ステップにおいて建物区域または冷媒の最適温度設定点を決定するために最適電力設定点を使用するように構成された追跡コントローラと、最適化期間の各時間ステップにおいて電動VRF部品および電池の制御信号を生成するために最適温度設定点を使用するように構成された機器コントローラとを含む。
【0012】
本開示の別の実施形態は建物の可変冷媒流(VRF)システムである。本VRFシステムは、屋外VRFユニット、複数の屋内VRFユニット、および予想VRFコントローラを含む。屋外VRFユニットは、加熱または冷却を冷媒へ適用するように構成された1つ以上の電動VRF部品を含む。屋内VRFユニットは、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニットから受け取るように、そして加熱または冷却を複数の建物区域へ提供するために加熱または冷却された冷媒を使用するように構成される。予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入すべき最適量の電気エネルギーと電動VRF部品により消費されるべき最適量の電気エネルギーとを決定するために予想費用関数を最適化するように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、VRFシステムは、太陽電池エネルギーを収集するように構成された1つ以上の太陽電池パネルを含む。予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいて電池内に蓄積すべき最適量の太陽電池エネルギーと電動VRF部品により消費されるべき最適量の太陽電池エネルギーとを決定するように構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、屋外VRFユニットは、熱交換器を含む冷凍回路、熱交換器を介し冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサ、および熱交換器内の伝熱速度を変調するように構成されたファンを含む。電動VRF部品はコンプレッサおよびファンを含み得る。予想費用関数は最適化期間の各時間ステップにおいてコンプレッサおよびファンを動作させる費用を説明し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、予想費用関数は最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入される電気エネルギーの費用を説明する。
【0016】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラは最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入される電気エネルギーの単位当たり費用を規定するエネルギー価格データを受信し、エネルギー価格データを予想費用関数への入力として使用するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、予想費用関数は、最適化期間と少なくとも部分的に重畳する需要電力料金期間中のVRFシステムの最大消費電力に基づき需要電力料金を説明する。予想VRFコントローラは、需要電力料金を規定するためにエネルギー価格データを受信し、エネルギー価格データを予想費用関数への入力として使用するように構成され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいて電動VRF部品の最適電力設定点を決定するように構成された経済コントローラと、最適化期間の各時間ステップにおいて建物区域または冷媒の最適温度設定点を決定するために最適電力設定点を使用するように構成された追跡コントローラと、最適化期間の各時間ステップにおいて電動VRF部品の制御信号を生成するために最適温度設定点を使用するように構成された機器コントローラとを含む。
【0019】
本開示の別の実施形態は可変冷媒流(VRF)システムを動作させる方法である。本方法は、最適化期間内の複数の時間ステップのうちのそれぞれの時間ステップのエネルギー価格を規定するエネルギー価格データをVRFシステムの予報コントローラにおいて受信する工程と、エネルギー価格データを、最適化期間の持続時間全体にわたってVRFシステムを動作させる費用を規定する予想費用関数への入力として使用する工程とを含む。本方法は、VRFシステムの1つ以上の電動部品およびVRFシステムの電池の最適電力設定点を決定するために予想費用関数を最適化する工程と、VRFシステムにより影響を受ける区域温度または冷媒温度の温度設定点を生成するために最適電力設定点を使用する工程とを含む。本方法は、VRFシステムの電動部品の制御信号を生成するために温度設定点を使用する工程と、温度設定点を実現するためにVRFシステムの電動部品を動作させる工程とを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、予想費用関数を最適化する工程は、最適化期間の各時間ステップにおいてVRFシステムの電動部品に給電する際に使用するためにエネルギーグリッドから購入すべき最適量の電気エネルギーと電池内に蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電気エネルギーとを決定する工程を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、加熱または冷却を冷媒へ適用するためにVRFシステムの屋外VRFユニット内の冷凍回路を動作させる工程を含む。冷凍回路は、熱交換器と、熱交換器を介し冷媒を循環させるように構成されたコンプレッサと、熱交換器内の伝熱速度を変調するように構成されたファンとを含み得る。VRFシステムの電動部品は屋外VRFユニットのコンプレッサおよびファンを含み得る。予想費用関数は、最適化期間の各時間ステップにおいてコンプレッサおよびファンを動作させる費用を説明し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、冷媒と1つ以上の建物区域との間で熱を伝えるためにVRFシステムの屋内VRFユニットのファンを動作させる工程を含む。VRFシステムの電動部品は屋内VRFユニットのファンを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、予想費用関数は、最適化期間と少なくとも部分的に重畳する需要電力料金期間中のVRFシステムの最大消費電力に基づき需要電力料金を説明する。本方法は、エネルギー価格データを、需要電力料金を規定する予想費用関数への入力として使用する工程を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、最適化期間の各時間ステップにおいて、VRFシステムの1つ以上の太陽電池パネルから太陽電池エネルギーを得る工程と、電池内に蓄積すべき最適量の太陽電池エネルギーとVRFシステムの電動部品により消費されるべき最適量の太陽電池エネルギーとを決定する工程とを含む。
【0025】
当業者は、本概要が単に例示的であるということといかなるやり方でも制限されるようには意図されていないということとを理解することになる。特許請求の範囲により規定されるような本明細書で説明される装置および/またはプロセスの他の態様、独創的特徴、および利点は、本明細書に記載されるとともに添付図面との関連で取り込まれる詳細説明において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】例示的実施形態による屋外VRFユニットおよび複数の屋内VRFユニットを含む可変冷媒流(VRF)システムの図である。
図2】例示的実施形態による図1のVRFシステムの別の図であり、屋内VRFユニットのいくつかが冷却モードで動作し、一方屋内VRFユニットの他のものは加熱モードで動作するということを示す。
図3】例示的実施形態による予想VRFコントローラを有するVRFシステムの図である。
図4】例示的実施形態による図3のVRFシステムをさらに詳細に示すブロック図である。
図5】例示的実施形態による図3の屋外VRFユニットを含む予想VRF制御システムのブロック図である。
図6】例示的実施形態による図3のVRFシステムを監視および制御するために使用され得る予想VRFコントローラを示すブロック図である。
図7】例示的実施形態による図3のVRFシステムを動作させるプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概要
添付図を概して参照すると、様々な例示的実施形態による予報コントローラおよびその部品を有する可変冷媒流(VRF)システムが示される。VRFシステムは加熱および/または冷却を建物区域へ提供する建物HVACシステムとして使用され得る。VRFシステムは1つ以上の屋外VRFユニットと複数の屋内VRFユニットとを含み得る。屋外VRFユニットは建物の外(例えば屋上)に配置され得、冷媒を加熱または冷却するように動作し得る。屋外VRFユニットは、1つ以上のコンプレッサ、ファン、または加熱または冷却を冷媒へ適用するように構成された他の電動VRF部品を含み得る。いくつかの実施形態では、屋外VRFユニットは、太陽エネルギーを収集し、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された太陽電池パネルを含む。屋内VRFユニットは建物内の様々な建物区域全体にわたって分散され得、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニットから受け取り得る。各屋内VRFユニットは屋内VRFユニットが配置された特定建物区域の温度制御を提供し得る。
【0028】
屋外VRFユニットは、電動VRF部品に給電する際に使用するために電気エネルギー(すなわち電気)を蓄積し、蓄積された電気エネルギーを放電するように構成された電池を含み得る。電気エネルギーは、エネルギーグリッドから購入され得るおよび/または太陽電池パネルにより収集され得る。いくつかの実施形態では、電池は、VRFシステムにより消費されるエネルギーの費用を低減するために、エネルギー価格が低い期間中にはエネルギーを蓄積し、エネルギー価格が高い期間中には蓄積されたエネルギーを放電する。電池は、VRFシステムを動作させる費用を最適化するように構成された予報コントローラにより制御され得る。
【0029】
VRFシステムは、制御信号を生成し電動VRF部品および電池へ提供するように構成された予報コントローラを含み得る。いくつかの実施形態では、予報コントローラは制御信号を生成するために多段階最適化技術を使用する。例えば、予報コントローラは、最適化期間中の各時間ステップにおいて電動VRF部品により消費されるべき最適量の電力を決定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適量の電力は、最適化期間の持続時間全体にわたってVRFシステムにより消費されるエネルギーの費用を説明する費用関数を最小化し得る。エネルギーの費用は電気事業者からの時変エネルギー価格(例えば電気料金、付け値など)に基づき得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラは、最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入すべき最適量の電力(すなわちグリッド電力設定点Psp,grid)と電池へ蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電力(すなわち電池電力設定点Psp,bat)とを決定するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、予報コントローラは、各時間ステップにおける最適量の消費電力を実現する温度設定点(例えば区域温度設定点Tsp,zone、給気温度設定点Tsp,sa、冷媒温度設定点Tsp,refなど)を生成するように構成された追跡コントローラを含む。いくつかの実施形態では、予報コントローラは、電動VRF部品により生成され得る加熱または冷却量を電動VRF部品が最適量の消費電力に基づき決定するための機器モデルを使用する。予報コントローラは、どのように建物区域の温度Tzoneが電力設定点および/または温度設定点に基づき変化するかを予想するために区域温度モデルを気象サービスからの気象予報と組み合わせて使用し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、予報コントローラは、電動VRF部品の制御信号を生成するために温度設定点を使用するように構成された機器コントローラを含む。制御信号は、オン/オフ命令、ファンまたはコンプレッサの速度設定点、アクチュエータおよび弁の位置設定点、または電動VRF部品の個々の装置の他の操作命令を含み得る。例えば、機器コントローラは、冷媒温度センサから冷媒温度Trefの測定結果および/または区域温度センサから区域温度Tzoneの測定結果を受信し得る。機器コントローラは、測定された温度を温度設定点へ駆動するために屋外VRFユニットのファンまたはコンプレッサの速度を調整するためにフィードバック制御プロセス(例えばPID、ESC、MPCなど)を利用し得る。VRFシステムのこれらおよび他の特徴は以下にさらに詳細に説明される。
【0032】
可変冷媒流システム
次に図1~2を参照すると、いくつかの実施形態による可変冷媒流(VRF)システム100が示される。VRFシステム100は1つ以上の屋外VRFユニット102と複数の屋内VRFユニット104とを含んで示される。屋外VRFユニット102は、建物の外に配置され得、冷媒を加熱または冷却するように動作し得る。屋外VRFユニット102は、液相、気相、および/または加熱気体(super-heated gas)相間で冷媒を変換するために電気を消費し得る。屋内VRFユニット104は建物内の様々な建物区域全体にわたって分散され得、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニット102から受け取り得る。各屋内VRFユニット104は、屋内VRFユニット104が配置された特定建物区域の温度制御を提供し得る。
【0033】
VRFシステム100の1つの利点は、いくつかの屋内VRFユニット104が冷却モードで動作し得る一方で他の屋内VRFユニット104は加熱モードで動作するということである。例えば、屋外VRFユニット102および屋内VRFユニット104のそれぞれは、加熱モード、冷却モード、またはオフモードで動作し得る。各建物区域は独立に制御され得、様々な温度設定点を有し得る。いくつかの実施形態では、各建物は、建物の外側(例えば屋上)に配置される最大3つの屋外VRFユニット102と、建物全体にわたって(例えば様々な建物区域内に)分散される最大128個の屋内VRFユニット104とを有する。
【0034】
多くの様々な構成がVRFシステム100には存在する。いくつかの実施形態では、VRFシステム100は、各屋外VRFユニット102が単一冷媒戻りラインと単一冷媒出口ラインとへ接続する二重配管式である。二重配管式では、屋外VRFユニット102のすべては、加熱された冷媒または冷却された冷媒のうちの一方だけが単一冷媒出口ラインを介し供給され得るので、同じモードで動作し得る。他の実施形態では、VRFシステム100は、各屋外VRFユニット102が冷媒戻りライン、熱い冷媒出口ライン、および冷たい冷媒出口ラインへ接続する三重配管式である。三重配管式では、加熱と冷却の両方がデュアル冷媒出口ラインを介し同時に供給され得る。三重配管VRFシステムの例については図4を参照して詳細に説明する。
【0035】
予報コントローラを有するVRFシステム
次に図3を参照すると、いくつかの実施形態による予想VRFコントローラ306を有する可変冷媒流(VRF)システム300が示される。VRFシステム300は屋外VRFユニット302と複数の屋内VRFユニット304とを含んで示される。唯1つの屋外VRFユニット302と3つの屋内VRFユニット304とが示されるが、VRFシステム300は任意数の屋外VRFユニット302および屋内VRFユニット304を含み得るということが企図される。いくつかの実施形態では、VRFシステム300は最大3つの屋外VRFユニット302と最大128個の屋内VRFユニット304とを含み得る。
【0036】
VRFシステム300は加熱および/または冷却を建物へ提供するように構成され得る。例えば、屋外VRFユニット302は、建物の外(例えば屋上)に配置され得、冷媒を加熱または冷却するように動作し得る。屋外VRFユニット302は、1つ以上のコンプレッサ、ファン、または液相、気相、および/または加熱気体相間で冷媒を循環させるように構成された他の電力消費冷凍部品を含み得る。屋内VRFユニット304は建物内の様々な建物区域全体にわたって分散され得、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニット302から受け取り得る。各屋内VRFユニット304は、屋内VRFユニット304が配置された特定建物区域の温度制御を提供し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、屋外VRFユニット302は1つ以上の太陽電池(PV:photovoltaic)パネル310を含む。PVパネル310は一群の太陽電池を含み得る。太陽電池は単結晶シリコン、多結晶シリコン、非結晶質シリコン、テルル化カドミウム、銅・インジウム・ガリウムセレン化物/硫化物、または光起電効果を呈示する他の材料などの光起電材料を利用して太陽エネルギー(すなわち日光)を電気に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、太陽電池は、PVパネル310を形成するパッケージアセンブリ内に含まれる。各PVパネル310は複数のリンクされた太陽電池を含み得る。PVパネル310は太陽電池アレイを形成するように組み合わせられ得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、PVパネル310は太陽エネルギー収集を最大化するように構成される。例えば、屋外VRFユニット302は、PVパネル310が太陽へ一日中直接向けられるようにPVパネル310の角度を調整する太陽追跡器(例えばGPS追跡器、太陽光センサなど)を含み得る。太陽追跡器は、PVパネル310が当該日の大部分の間直射日光を受けることを可能にし得、PVパネル310により生成される総電力量を増加し得る。いくつかの実施形態では、屋外VRFユニット302は、一群のミラー、レンズ、または日光をPVパネル310上へ向けるおよび/または集中するように構成された太陽集光器を含む。PVパネル310により生成されるエネルギーは、電池セル312内に蓄積され得るおよび/または屋外VRFユニット302に給電するために使用され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、屋外VRFユニット302は1つ以上の電池セル312を含む。電池セル312は、電気エネルギー(すなわち電気)を蓄積および放電するように構成された電池313(図4に示される)を形成し得る。いくつかの実施形態では、電池313は、外部エネルギーグリッドからの(例えば、電気事業者により供給される)電気を使用することにより充電される。電池313内に蓄積された電気は、屋外VRFユニット302の1つ以上の電動部品(例えばファン、コンプレッサ、制御弁、コントローラ306など)へ給電するために放電され得る。有利には、電池313は、屋外VRFユニット302の電気的負荷を時間シフトするために、エネルギー価格が低いときには屋外VRFユニット302が電気をエネルギーグリッドから引き出して電池313を充電し、エネルギー価格が高いときには、蓄積された電気を放電し得るようにする。いくつかの実施形態では、電池313は、高いエネルギー費用期間中に電池313が利用され低いエネルギー費用期間中に電池313が充電され得るように、最大容量で動作する際にほぼ4~6時間の間屋外VRFユニット302に給電するのに十分なエネルギー容量を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は、最適化期間中に発生する複数の時間ステップのそれぞれの間に電池313を充電すべきかまたは放電すべきかを決定するために最適化処理を行う。予想VRFコントローラ306は、複数の時間ステップのそれぞれの間に必要とされる加熱/冷却量および電気経費を予想するために天候および価格データの308を使用し得る。予想VRFコントローラ306は、最適化期間の持続時間全体にわたってエネルギーグリッドから購入される電気の経費を説明する目的関数を最適化し得る。いくつかの実施形態では、目的関数はまた、屋外VRFユニット302内の冷媒を加熱または冷却する費用を説明し得る。予想VRFコントローラ306は、各時間ステップ中にエネルギーグリッドから購入すべき電力量と電池313に蓄積またはそれから放電すべき電力量とを決定し得る。目的関数と予想VRFコントローラ306により行われる最適化とについては図5~6を参照して詳細に説明する。
【0041】
次に図4を参照すると、いくつかの実施形態によるVRFシステム300を詳細に示すブロック図が示される。VRFシステム300は、屋外VRFユニット302、いくつかの熱回収ユニット314、およびいくつかの屋内VRFユニット304を含んで示される。屋外VRFユニット302は、コンプレッサ402、ファン406、または液相、気相、および/または加熱気体相間で冷媒を変換するように構成された他の電力消費冷凍部品を含み得る。屋内VRFユニット304は建物内の様々な建物区域全体にわたって分散され得、加熱または冷却された冷媒を屋外VRFユニット302から受け取り得る。各屋内VRFユニット304は、屋内VRFユニット304が配置された特定建物区域の温度制御を提供し得る。熱回収ユニット304は、屋外VRFユニット302と屋内VRFユニット304との間の冷媒の流れを(例えば弁を開閉することにより)制御し得、屋外VRFユニット302により担われる加熱または冷却負荷を最小化し得る。
【0042】
屋外VRFユニット302はコンプレッサ402および熱交換器404を含んで示される。コンプレッサ402は冷媒を熱交換器404と屋内VRFユニット304との間で循環させる。熱交換器404は、VRFシステム300が冷却モードで動作するときは凝縮器(冷媒が熱を外気へ廃棄し得るようにする)としてまたはVRFシステム300が加熱モードで動作するときには蒸発器(冷媒が外気から熱を吸収し得るようにする)として機能し得る。ファン406は熱交換器404を介し気流を供給する。ファン406の速度は熱交換器404内の冷媒へのまたはそれからの伝熱速度を変調するように調整され得る(例えば予想VRFコントローラ306により)。
【0043】
各屋内VRFユニット304は熱交換器426および膨張弁424を含んで示される。熱交換器426のそれぞれは、屋内VRFユニット304が加熱モードで動作するときは凝縮器(冷媒が熱を部屋または区域内の大気へ廃棄し得るようにする)としてまたは屋内VRFユニット304が冷却モードで動作するときには蒸発器(冷媒が部屋または区域内の大気から熱を吸収し得るようにする)として機能し得る。ファン422は熱交換器426を介し気流を供給する。ファン422の速度は熱交換器426内の冷媒へのまたはそれからの伝熱速度を変調するように調整され得る(例えば予想VRFコントローラ306により)。温度センサ428は屋内VRFユニット304内の冷媒の温度を測定するために使用され得る。
【0044】
図4では、冷却モードで動作する屋内VRFユニット304が示される。冷却モードでは、冷媒は冷却ライン418を介し屋内VRFユニット304へ供給される。冷媒は、膨張弁424により冷たい低圧状態へ膨張され、建物内の部屋または区域から熱を吸収するように熱交換器426(蒸発器として機能して)を貫流する。次に、加熱された冷媒は戻りライン416を介し屋外VRFユニット302へ逆流し、コンプレッサ402により熱い高圧状態に圧縮される。圧縮された冷媒は、熱交換器404(凝縮器として機能する)を貫流し、熱を外気へ廃棄する。冷却された冷媒は冷却ライン418を介し屋内VRFユニット304へ供給され得る。冷却モードでは、流量調節弁410が閉じられ得、膨張弁408は完全に開放され得る。
【0045】
加熱モードでは、冷媒は加熱ライン414を介し熱い状態の屋内VRFユニット304へ供給される。熱い冷媒は、熱交換器426(凝縮器として機能する)を貫流し、熱を建物の部屋または区域内の大気へ廃棄する。次に、冷媒は、冷却ライン418を介し屋外VRFユニット(図4に示す流れ方向とは反対方向)へ逆流する。冷媒は膨張弁408により冷たい低圧状態へ膨張され得る。膨張された冷媒は熱交換器404(蒸発器として機能する)を貫流し、外気から熱を吸収する。加熱された冷媒は、コンプレッサ402により圧縮され、熱い圧縮状態の加熱ライン414を介し屋内VRFユニット304へ供給され得る。加熱モードでは、流量調節弁410は、コンプレッサ402からの冷媒が加熱ライン414に流入し得るように完全に開放され得る。
【0046】
制御信号をコンプレッサ402、ファン406、および屋内VRFユニット304へ提供する予想VRFコントローラ306が示される。コンプレッサ402へ提供される制御信号は、コンプレッサ速度設定点、コンプレッサ電力設定点、冷媒流設定点、冷媒圧力設定点(例えば圧力センサ412により測定される圧力の差圧設定点)、オン/オフ命令、ステージング(staging)命令、またはコンプレッサ402の運転に影響を与える他の信号を含み得る。同様に、ファン406へ提供される制御信号は、ファン速度設定点、ファン電力設定点、気流設定点、オン/オフ命令、またはファン406の運転に影響を与える他の信号を含み得る。屋内VRFユニット304へ提供される制御信号は、対応建物区域の温度設定点、ファン422のファン速度または気流設定点、冷媒流設定点、弁424の弁位置設定点、または屋内VRFユニット304の運転に影響を与える任意の他の信号を含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラ306は弁408~410の位置を変調するために制御信号を弁408~410へ提供する。
【0047】
予想VRF制御システム
次に図5を参照すると、いくつかの実施形態による予想VRF制御システム500のブロック図が示される。制御システム500内に示される部品のいくつかは屋外VRFユニット302の一部であり得る。例えば、屋外VRFユニット302は、電動VRF部品502、電池313、PVパネル310、予想VRFコントローラ306、電池電力インバータ510、PV電力インバータ506、および電力分岐516を含み得る。電動VRF部品502は、動作中に電力(例えば電気)を消費する屋外VRFユニット302の任意の部品を含み得る。例えば、電動VRF部品502はファン406、コンプレッサ402、および弁/アクチュエータ504(例えば弁408、410)を含んで示される。いくつかの実施形態では、電動VRF部品502はファン422および/または弁424を屋内VRFユニット304内に含む。
【0048】
電池電力インバータ510およびPV電力インバータ506は電力を直流(DC)と交流(AC)との間で変換するように構成され得る。例えば、電池313は直流電力を蓄積および出力するように構成され得、一方、エネルギーグリッド508および電動VRF部品502はAC電力を消費および供給するように構成され得る。電池電力インバータ510は、電池313からの直流電力をエネルギーグリッド508および/または電動VRF部品502のグリッド周波数と同期された正弦波AC出力に変換するように使用され得る。電池電力インバータ510はまた、エネルギーグリッド508からのAC電力を電池313内に蓄積され得る直流電力に変換するために使用され得る。電池313の電力出力はPbatとして示される。Pbatは、電池313が電力を電力インバータ510へ供給していれば(すなわち、電池313が放電していれば)正であり得、また電池313が電力インバータ510から電力を受けていれば(すなわち、電池313が充電してれば)負であり得る。
【0049】
同様に、PV電力インバータ506は、PVパネル310からの直流電力を、エネルギーグリッド508および/または電動VRF部品502のグリッド周波数と同期された正弦波AC出力に変換するように構成され得る。PVパネル310の電力出力はPPVとして示される。PVパネル310の電力出力PPVは電池313内に蓄積され得る、および/または電動VRF部品502に給電するために使用され得る。いくつかの実施形態では、PV電力インバータ506は、PVパネル310により生成される電力量PPVを測定し、PV電力の指標を予想VRFコントローラ306へ提供する。例えば、PV電力の率(すなわちPV%)の指標をVRFコントローラ306へ提供するPV電力インバータ506が示される。PV電力率は、PVパネル310が現在動作している最大PV電力率を表し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、電力インバータ510、506は、エネルギーグリッド508の周波数に一致する正弦波を実現するために単純方形波から高調波を除去するLC回路を含むまたは使用する共振インバータである。様々な実施形態では、電力インバータ510、506は、高周波変成器を使用することにより、低周波変圧器を使用することにより、または変圧器無しに動作し得る。低周波変圧器は、電池313またはPVパネル310からのDC出力を、電動VRF部品502へ提供されるAC出力に直接変換し得る。高周波変成器は、DC出力を高周波ACに変換し、DCへ戻し、次に電動VRF部品502へ提供されるAC出力へ最終的に変換することに関与する多段階プロセスを採用し得る。
【0051】
電力分岐516は、電動VRF部品502、エネルギーグリッド508、電池電力インバータ510、およびPV電力インバータ506が電気的に接続される点である。電池電力インバータ510から電力分岐516へ供給される電力はPbatとして示される。Pbatは、電池電力インバータ510が電力を電力分岐516へ供給していれば(すなわち、電池313が放電していれば)正であり得、また電池電力インバータ510が電力を電力分岐516から受けていれば(すなわち、電池313が充電していれば)負であり得る。PV電力インバータ506から電力分岐516へ供給される電力はPPVとして示される。エネルギーグリッド508から電力分岐516へ供給される電力はPgridとして示される。
【0052】
bat、PPV、およびPgridはPtotalを形成するために電力分岐516において合成する(すなわちPtotal=Pgrid+Pbat+PPV)。Ptotalは電力分岐516から電動VRF部品502へ供給される電力として定義され得る。いくつかの例では、PtotalはPgridより大きい。例えば、電池313が放電しているとPbatは正であり得、Ptotalを形成するためにPbatがPgridおよびPPVと合成するとグリッド電力Pgridを増加する。同様に、PVパネル310が電力を供給しているとPPVは正であり得、Ptotalを形成するためにPPVがPgridおよびPbatと合成するとグリッド電力Pgridを増加する。他の例では、PtotalはPgrid未満であり得る。例えば、電池313が充電しているとPbatは負であり得、Ptotalを形成するためにPbatがPgridおよびPPVと合成するとグリッド電力Pgridから減じられる。
【0053】
予想VRFコントローラ306は電動VRF部品502および電力インバータ510、506を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は電池電力設定点Psp,batを生成し電力インバータ510へ提供する。電池電力設定点Psp,batは、電池電力設定点Psp,batを実現するために、電力分岐516において利用可能な電力を使用して電力インバータ510に(Psp,batが負のときに)電池313を充電させるまたは電力を電力分岐516へ供給するために(Psp,batが正のときに)電池313を放電させる正または負の電力値(例えばkW)を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は制御信号を生成し電動VRF部品502へ提供する。予想VRFコントローラ306は制御信号を生成するために多段階最適化技術を使用し得る。例えば、予想VRFコントローラ306は、最適化期間中の各時間ステップにおいて電動VRF部品502により消費されるべき最適量の電力を決定するように構成された経済コントローラを含み得る。消費されるべき最適量の電力は、屋外VRFユニット302により消費されるエネルギー(例えば電気)の費用を説明する費用関数を最小化し得る。エネルギーの費用は電気事業者512からの時変エネルギー価格に基づき得る。いくつかの実施形態では、費用関数は屋内VRFユニット304を動作させる費用を説明する。屋内VRFユニット304を動作させる費用は、屋内VRFユニット304により消費されるエネルギーの費用および/または屋内VRFユニット304へ供給される加熱または冷却された冷媒を生成する費用を含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は、複数の時間ステップのそれぞれにおいてエネルギーグリッド508(すなわちグリッド電力設定点Psp,grid)から購入すべき最適量の電力と電池313(すなわち電池電力設定点Psp,bat)へ蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電力とを決定する。予想VRFコントローラ306は、電動VRF部品502の実際の電力利用を監視し、最適電力設定点を生成する際に実際の電力利用をフィードバック信号として利用し得る。
【0056】
予想VRFコントローラ306は、各時間ステップにおける最適量の消費電力を実現する温度設定点を生成するように構成された追跡コントローラを含み得る。温度設定点は、例えば屋内VRFユニット304を含む建物区域の区域温度設定点Tsp,zoneおよび/または屋内VRFユニット304により供給される気流の給気温度設定点Tsp,saを含み得る。いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は、VRF部品502により生成され得る加熱または冷却量を最適量の消費電力に基づき決定するために電動VRF部品502の機器モデルを使用する。予想VRFコントローラ306は、どのように建物区域の温度Tzoneが電力設定点および/または温度設定点に基づき変化するかを予想するために、区域温度モデルを気象サービス514からの気象予報と組み合わせて使用し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は、電動VRF部品502および/または屋内VRFユニット304の制御信号を生成するために温度設定点を使用する。制御信号は、オン/オフ命令、ファン406およびコンプレッサ402の速度設定点、弁408~410の位置設定点、ファン422の速度設定点、弁424の位置設定点、または電動VRF部品502または屋内VRFユニット304の個々の装置の他の動作命令を含み得る。他の実施形態では、制御信号は、予想VRFコントローラ306により生成される温度設定点(例えば区域温度設定点Tsp,zone、給気温度設定点Tsp,saなど)を含み得る。
【0058】
温度設定点は、電動VRF部品502、屋内VRFユニット304、または温度設定点を実現するように動作するこのような装置のローカルコントローラへ提供され得る。例えば、屋内VRFユニット304のうちの1つの屋内VRFユニット304のローカルコントローラは、給気温度センサから給気温度Tsaの測定結果および/または区域温度センサから区域温度Tzoneの測定結果を受信し得る。ローカルコントローラは、測定された温度を温度設定点へ駆動するためにファン406および/またはコンプレッサ402の速度を調整するフィードバック制御プロセス(例えばPID、ESC、MPCなど)を使用し得る。同様なフィードバック制御プロセスが、屋内VRFユニット304のファン422および/または弁424を制御するために使用され得る。予想VRFコントローラ306により行われる多段階最適化については図6を参照して詳細に説明する。
【0059】
予想VRFコントローラ
次に図6を参照すると、例示的実施形態による予想VRFコントローラ306を詳細に示すブロック図が示される。予想VRFコントローラ306は通信インターフェース602および処理回路604を含んで示される。通信インターフェース602は、コントローラ306と外部システムまたは装置との間の通信を容易にし得る。例えば、通信インターフェース602は、温度センサ616から区域温度Tzoneおよび冷媒温度Trefの測定結果と電動VRF部品502の電力利用の測定結果とを受信し得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース602は、電池313の充電状態(SOC:state-of-charge)の測定結果を受信し、これは最大電池容量の率(すなわち電池%)として提供され得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース602は、PVパネル310により生成される電力量PPVの測定結果を受信し、これは最大PV容量の率(すなわちPV%)として提供され得る。通信インターフェース602は、気象予報を気象サービス514から、予想されたエネルギー費用および請求費用を電気事業者512から受信し得る。いくつかの実施形態では、予想VRFコントローラ306は、制御信号を電動VRF部品502および電力インバータ510、506へ提供するために通信インターフェース602を使用する。
【0060】
通信インターフェース602はデータ通信を外部システムまたは装置と行うための有線または無線通信インターフェース(例えばジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、ワイヤ端子など)を含み得る。様々な実施形態では、通信は、直接(例えばローカル有線または無線通信)であってもよいし、通信ネットワーク(例えばWAN、インターネット、セルラーネットワークなど)を介してもよい。例えば、通信インターフェース602は、イーサーネット(登録商標)ベース通信リンクまたはネットワークを介しデータを送受信するためのイーサーネットカードおよびポートを含み得る。別の例では、通信インターフェース602は、無線通信ネットワークまたはセルラまたはモバイルフォン通信送受信機を介し通信するためのWiFi送受信機を含み得る。
【0061】
処理回路604はプロセッサ606およびメモリ608を含んで示される。プロセッサ606は、汎用または特定目的プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:eld programmable gate array)、一群の処理部品、または他の好適な処理部品であり得る。プロセッサ606は、メモリ608内に蓄積されるまたは他のコンピュータ可読媒体(例えばCDROM、ネットワーク記憶装置、遠隔サーバなど)から受信されるコンピュータコードまたは命令を実行するように構成される。
【0062】
メモリ608は、データおよび/または本開示に説明された様々な処理を完了および/または容易にするためのコンピュータコードを格納するための1つ以上の装置(例えばメモリユニット、メモリ装置、記憶装置など)を含み得る。メモリ608は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、またはソフトウェアオブジェクトおよび/またはコンピュータ命令を格納するための任意の他の好適なメモリを含み得る。メモリ608はデータベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、または本開示に説明された様々な活動および情報構造を支援するための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ608は、処理回路604を介しプロセッサ606へ通信可能に接続され得、本明細書で説明された1つ以上のプロセスを実行する(例えばプロセッサ606により)ためのコンピュータコードを含み得る。本明細書で説明された様々な活動を完了するためのメモリ608内に格納された命令を実行する際、プロセッサ606は通常、このような活動を完了するためにコントローラ306(具体的には処理回路604)を構成する。
【0063】
図6を依然として参照すると、予想VRFコントローラ306は経済コントローラ610、追跡コントローラ612、および機器コントローラ614を含んで示される。コントローラ610~614は、電力インバータ510、506および電動VRF部品502の制御信号を生成するために多状態最適化プロセスを行うように構成され得る。要約すると、経済コントローラ610は、最適化期間の各時間ステップにおける、エネルギーグリッド508(すなわちグリッド電力設定点Psp,grid)から購入すべき最適量の電力、電池313に蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電力(すなわち電池電力設定点Psp,bat)、および/または電動VRF部品502により消費されるべき最適量の電力(すなわちVRF電力設定点Psp,total)を決定するために予想費用関数を最適化し得る。追跡コントローラ612は、最適温度設定点(例えば区域温度設定点Tsp,zone、給気温度設定点Tsp,sa、冷媒温度設定点Tsp,refなど)を決定するための最適電力設定点Psp,grid、Psp,bat、および/またはPsp,totalと、最適電池充電または放電率(すなわちBatC/D)とを使用し得る。機器コントローラ614は、(例えば、フィードバック制御技術を使用することにより)実際の(例えば、測定された)温度Tzoneおよび/またはTsaを設定点へ駆動する電動VRF部品502の制御信号を生成するために最適温度設定点Tsp,zoneまたはTsp,saを使用し得る。コントローラ610~614のそれぞれは以下に詳細に説明される。
【0064】
経済コントローラ
経済コントローラ610は、最適化期間の各時間ステップにおける、エネルギーグリッド508(すなわちグリッド電力設定点Psp,grid)から購入すべき最適量の電力、電池313に蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電力(すなわち電池電力設定点Psp,bat)、および/または電動VRF部品502により消費されるべき最適量の電力(すなわちVRF電力設定点Psp,total)を決定するために予想費用関数を最適化するように構成され得る。経済コントローラ610により最適化され得る予想費用関数の例が次式に示される:
【数1】
ここで、Cec(k)は時間ステップk中に電気事業者512から購入される電気の単位当たり費用(例えば$/kWh)であり、Pcomp(k)は時間ステップk中のコンプレッサ402の消費電力(例えばkW)であり、Pfan(k)は時間ステップk中のファン406の消費電力(例えばkW)であり、Cvrf(k)は、時間ステップkにおいて屋内VRFユニット304へ供給される冷媒の1単位を加熱または冷却するために発生される費用(例えば$/リットル)であり、Fcold(k)は時間ステップkにおいて屋内VRFユニット304へ供給される冷却された冷媒の流速(例えばリットル/s)であり、Fhot(k)は時間ステップkにおいて屋内VRFユニット304へ供給される加熱された冷媒の流速(例えばリットル/s)であり、CDCは需要電力料金レート(例えば$/kW)であり、max()項は最適化期間の任意の時間ステップk中のVRFシステム300の最大消費電力(すなわちPgrid(k)の最大値)を選択し、Pbat(k)は時間ステップk中に電池313から放電される電力量であり、Δtは各時間ステップkの持続時間である。経済コントローラ610は、最適化期間の持続時間全体にわたってVRFシステム300を動作させる全費用を予想するために最適化期間の持続時間全体(例えば時間ステップk=1から時間ステップk=hまで)にわたって予想費用関数Jを最適化し得る。
【0065】
予想費用関数Jの第1および第2項は、最適化期間の持続時間全体にわたって電動VRF部品502により消費される電気の経費を表す。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は、電気事業者512により提供されるエネルギー費用情報により規定され得る。いくつかの実施形態では、電気の経費は時間に応じて変動し、様々な時間ステップkにおいて様々な値のCec(k)を生じる。いくつかの実施形態では、時間ステップkにおける電動VRF部品502の全消費電力Ptotal(k)はコンプレッサ消費電力Pcomp(k)とファン消費電力Pfan(k)との合計である(すなわちPtotal(k)=Pfan(k)+Pcomp(k))。変数Pcomp(k)およびPfan(k)は経済コントローラ610により最適化され得る決定変数である。
【0066】
予想費用関数Jの第3および第4項は、加熱された冷媒と冷却された冷媒を最適化期間の持続時間全体にわたって屋内VRFユニット304へ供給する費用を表す。いくつかの実施形態では、パラメータCvrf(k)の値は予想VRFコントローラ306への入力として提供される。他の実施形態では、Cvrf(k)の値は、屋内VRFユニット304へ供給される加熱された冷媒と冷却された冷媒とを生成するために使用される機器の属性に基づき経済コントローラ610により決定され得る。例えば、屋外VRFユニット302が、加熱された/冷却された冷媒を生成するために使用されれば、屋外VRFユニット302の性能曲線が、屋外VRFユニット302の性能をモデル化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、性能曲線は屋外VRFユニット302の入力資源と出力資源との関係を定義する。例えば、屋外VRDユニット302の性能曲線は、屋外VRFユニット302により生成される冷却/加熱された冷媒の量(例えばリットル/s)に応じて屋外VRFユニット302の消費電力(例えばkW)を規定し得る。経済コントローラ610は、所定量の冷媒生産に対応する消費電力を決定するために屋外VRFユニット302の特性曲線を使用し得る。経済コントローラ610により使用され得るサブプラント(subplant)曲線のいくつかの例は、その開示全体を参照により本明細書に援用する2015年2月27日出願の米国特許出願第14/634,609号明細書に詳細に説明されている。
【0067】
経済コントローラ610は、パラメータCvrf(k)の値を決定するために屋外VRFユニット302の特性曲線を電気事業者512からのエネルギー価格と組み合わせて使用し得る。例えば、次式は、冷却された冷媒の所与の流速Fcold(k)のパラメータCvrf(k)の値を決定するために経済コントローラ610により使用され得る:
【数2】
ここで、θoutdoor(k)は規定冷媒流速Fcold(k)における屋外VRFユニット302の特性曲線の傾斜であり、Cec(k)は時間ステップkにおける電気の経費である。傾斜θoutdoorは、対応する冷却された冷媒の量(すなわちリットル/s)を生成するのに必要な電力量(すなわちkW電力)を表す。電気の経費Cec(k)は電気事業者512から受信されるエネルギー費用情報により規定され得、一方、性能曲線の傾斜θoutdoor(Fcold(k))は、規定冷媒流速Fcold(k)に応じて屋外VRFユニット302の特性曲線により規定され得る。
【0068】
同様に、次式は、加熱された冷媒の所与流速Fhot(k)のパラメータCvrf(k)の値を決定するために経済コントローラ610により使用され得る:
【数3】
ここで、θoutdoor(k)は規定冷媒流速Fhot(k)における屋外VRFユニット302の特性曲線の傾斜であり、Cec(k)は時間ステップkにおける電気の経費である。傾斜θoutdoorは、対応する加熱された冷媒の量(すなわちリットル/s)を生成するのに必要な電力(すなわちkW電力)の量を表す。電気の経費Cec(k)は電気事業者512から受信されるエネルギー費用情報により規定され得、一方、性能曲線の傾斜θoutdoor(Fhot(k))は、規定冷媒流速Fhot(k)に応じて屋外VRFユニット302の特性曲線により規定され得る。変数Fcold(k)およびFhot(k)は経済コントローラ610により最適化され得る決定変数である。
【0069】
予想費用関数Jの第5項は需要電力料金を表す。需要電力料金は、適用可能需要電力料金期間中に最大消費電力に基づきいくつかの公益事業提供者により課される追加料金である。例えば、需要電力料金レートCDCは、電力単位当たりドル(例えば$/kW)の観点で規定され得、需要電力料金を計算するために需要電力料金期間中のピーク電力利用(例えばkW)により乗算され得る。予想費用関数Jでは、需要電力料金レートCDCは電気事業者512から受信される請求費用情報により規定され得る。変数Pgrid(k)は、需要電力料金期間中に発生するピーク電力利用max(Pgrid(k))を低減するために経済コントローラ610により最適化され得る決定変数である。負荷シフトは「経済コントローラ610が、電動VRF部品502の消費電力が低いときにエネルギーを電池313内に蓄積することによりVRFシステム300の電力需要の瞬間的スパイクを滑らかにする」ことを可能にし得る。蓄積されたエネルギーは、エネルギーグリッド508からのピーク電力引き出しPgridを低減するために電動VRF部品502の消費電力が高いときに電池313から放電され得、これにより、発生される需要電力料金を低減する。
【0070】
予想費用関数Jの最終項は電池313の使用から生じる費用節約を表す。費用関数J内の先の項とは異なり、最終項は全費用から減じられる。各時間ステップkにおけるパラメータCec(k)の値は電気事業者512により提供されるエネルギー費用情報により規定され得る。いくつかの実施形態では、電気の経費は時間に応じて変動し、様々な時間ステップkにおいて様々な値のCec(k)を生じる。変数Pbat(k)は経済コントローラ610により最適化され得る決定変数である。Pbat(k)の正値は電池313が放電しているということを指示し、一方、Pbat(k)の負値は電池313が充電しているということを指示する。電池313から放電される電力Pbat(k)は、電動VRF部品502の全消費電力Ptotal(k)の一部またはすべてを満たすために使用され得、これによりエネルギーグリッド508から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわちPgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。しかし、電池313を充電することは、負値のPbat(k)を生じ、エネルギーグリッド508から購入される総電力量Pgrid(k)を増加する。
【0071】
いくつかの実施形態では、PVパネル310により供給される電力PPVは、PV電力を生成することが費用を発生しないので予想費用関数J内に含まれない。しかし、PVパネル310により生成される電力PPVは電動VRF部品502の全消費電力Ptotal(k)の一部またはすべてを満たすために使用され得、これによりエネルギーグリッド508から購入される電力量Pgrid(k)を低減する(すなわち、Pgrid(k)=Ptotal(k)-Pbat(k)-PPV(k))。任意の時間ステップk中に生成されるPV電力の量PPVが経済コントローラ610により予想され得る。PVパネルにより生成されるPV電力の量を予想するためのいくつかの技術は、米国特許出願第15/247,869号明細書、米国特許出願第15/247,844号明細書および米国特許出願第15/247,788号明細書に説明されている。これらの特許出願のそれぞれは2016年8月25日の出願日を有し、これらの特許出願のそれぞれの開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0072】
経済コントローラ610は、最適化期間中の各時間ステップにおける決定変数の最適値を決定するために最適化期間の持続時間全体にわたって予想費用関数Jを最適化し得る。いくつかの実施形態では、最適化期間の持続時間は約1日であり、各時間ステップは約15分である。しかし、最適化期間および時間ステップの持続時間は他の実施形態では変わり得、ユーザにより調整され得る。有利には、経済コントローラ610は、エネルギー価格が低いときにおよび/または電動VRF部品502により消費される電力が低いときにエネルギーグリッド508から電気を引き出すことにより負荷シフトを行うために電池313を使用し得る。電気は、エネルギー価格が高いときおよび/または電動VRF部品502の消費電力が高いときに電池313内に蓄積され、後で放電され得る。これは、経済コントローラ610がVRFシステム300により消費される電気の経費を低減し得るようにし、VRFシステム300の電力需要の瞬間的スパイクを滑らかにし得、これにより発生需要電力料金を低減する。
【0073】
経済コントローラ610は予想費用関数Jの最適化に制約を課すように構成され得る。いくつかの実施形態では、制約は、VRFシステム300により加熱または冷却される各建物区域の温度Tzoneに関する制約を含む。経済コントローラ610は、実際または予想温度Tzoneを最低温度限界Tminと最高温度限界Tmaxとの間に常時維持する(すなわちTmin≦Tzone≦Tmax)ように構成され得る。パラメータTminおよびTmaxは様々な時間には様々な温度範囲(例えば占有温度範囲、非占有温度範囲、昼間温度範囲、夜間温度範囲など)を規定するように時間依存性であり得る。
【0074】
区域温度制約が満たされるということを保証するために、経済コントローラ610は、経済コントローラ610により最適化される決定変数に応じて建物区域の温度Tzoneをモデル化し得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は伝熱モデルを使用して建物区域の温度をモデル化する。例えば、建物区域を加熱または冷却することの動力学はエネルギーバランスにより次のように記述され得る:
【数4】
ここで、Cは建物区域の熱容量であり、Hは建物区域の周囲伝熱係数であり、Tzoneは建物区域の温度であり、Tは建物区域外の周囲温度(例えば外気温度)であり、
【数5】
はVRFシステム300により建物区域に適用される加熱の量であり、
【数6】
は建物区域により経験される外部負荷、放射、または他の外乱である。前述の式において、
【数7】
はVRFシステム300(すなわち加熱負荷)による建物区域内への伝熱を表し、したがって正符号を有する。しかし、加熱よりむしろ冷却が建物区域に適用されれば、
【数8】
の極性は、
【数9】
がVRFシステム300により建物区域に適用される冷却の量(すなわち冷却負荷)を表すように負号に切り替えられ得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、VRFシステム300により供給される加熱または冷却量
【数10】
は、決定変数Pcomp、Pfan、Fcold、Fhot、およびPbatに応じて規定され得る。区域温度モデルを開発し区域温度Tzoneを予想費用関数J内の決定変数へ関係付けるためのいくつかの技術は、2016年9月6日授与された米国特許第9,436,179号明細書、2015年4月23日出願の米国特許出願第14/694,633号明細書、および2016年6月30日出願の米国特許出願第15/199,510号明細書に詳細に説明されている。これらの特許および特許出願の開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0076】
先のエネルギーバランスは、建物区域のすべての質量および大気特性を単一区域温度に合成する。経済コントローラ610により使用され得る他の伝熱モデルは以下の大気および質量区域モデルを含む:
【数11】
ここで、CとTzoneは、建物区域内の大気の熱容量と温度であり、Tは周囲温度であり、Hazは建物区域の大気と建物区域外の外気との間の伝熱係数(例えば建物区域の外壁を介した)であり、CとTは建物区域内の非大気質量の熱容量と温度であり、Hmzは建物区域の大気と非大気質量との間の伝熱係数である。
【0077】
前述の式は、建物区域のすべての質量特性を単一区域質量に合成する。経済コントローラ610により使用され得る他の伝熱モデルは、以下の大気モデル、浅質量(shallow mass)区域モデル、深質量(deep mass)区域モデルを含む:
【数12】
ここで、CとTzoneは建物区域内の大気の熱容量と温度であり、Tは周囲温度であり、Hazは建物区域の大気と建物区域外の外気との間の伝熱係数(例えば建物区域の外壁を介した)であり、CとTは建物区域内の浅質量の熱容量と温度であり、Hszは建物区域の大気と浅質量との間の伝熱係数であり、CとTは建物区域内の深質量の熱容量と温度であり、Hdsは浅質量と深質量との間の伝熱係数である。
【0078】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、最適化期間の各時間ステップにおいて周囲温度Tおよび/または外部外乱
【数13】
の適正値を決定するために気象サービス514からの気象予報を使用する。CおよびHの値は、追跡コントローラ612から受信された、ユーザから受信された、メモリ608から取り出された、またはそうでなければ経済コントローラ610への入力として提供された建物区域のパラメータとして規定され得る。したがって、建物区域の温度Tzoneは、これらの伝熱モデルのうちの任意のものを使用することによりVRFシステム300により建物区域に適用される加熱または冷却量
【数14】
に応じて規定され得る。操作される変数
【数15】
は、予想費用関数J内の変数Pfan、Pcomp、Fcold、およびFhotを調整することにより経済コントローラ610により調整され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、経済コントローラ610により提供される電力設定点Psp,grid、Psp,batに応じてVRFシステム300により建物区域に適用される加熱または冷却量
【数16】
を規定するモデルを使用する。例えば、経済コントローラ610は、電動VRF部品502により消費されることになる総電力量Ptotalを決定するために電力設定点Psp,grid、Psp,batを追加し得る。いくつかの実施形態では、Ptotalは、ファン406とコンプレッサ402との合成消費電力に等価であり(すなわちPtotal=Pfan+Pcomp)、屋外VRFユニット302により冷媒へ供給される加熱または冷却量を決定するために経済コントローラ610により使用され得る。同様に、FhotおよびFcoldは、屋内VRFユニット304により各建物区域へ供給される加熱または冷却量を決定するために使用され得る。経済コントローラ610は、VRFシステム300により各建物区域に適用される加熱または冷却の合計量
【数17】
を決定するためにPtotalをFcoldおよびFhotと組み合わせて使用し得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、次式に示すように区域温度Tzoneと区域温度設定点Tsp,zoneとに応じてVRFシステム300により建物区域に適用される加熱または冷却量(すなわち
【数18】
)を規定する1つ以上のモデルを使用する:
【数19】
経済コントローラ610により使用されるモデルは「VRFシステム300により供給される加熱または冷却量
【数20】
が、区域温度Tzoneに許容可能または最適温度範囲から逸脱させるであろう値まで低減されない」ということを保証するための最適化制約として課され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、VRFシステム300により供給される加熱または冷却量
【数21】
と区域温度Tzoneおよび区域温度設定点Tsp,zoneととを、複数のモデルを使用することにより関係付ける。例えば、経済コントローラ610は、区域温度Tzoneおよび区域温度設定点Tsp,zoneに応じて機器コントローラ614により行われる制御動作を決定するために機器コントローラ614のモデルを使用し得る。このような区域調整コントローラモデルの例が次式に示される:
air=f(Tzone,Tsp,zone
ここで、vairは建物区域への気流速度(すなわち制御動作)である。いくつかの実施形態では、vairは屋内VRFユニット304内のファン422の速度に依存する。経済コントローラ610は、TzoneおよびTsp,zoneに応じてvairを規定するためにはファン422の機器モデルまたは製造者仕様を使用し得る。関数fはデータから識別され得る。例えば、経済コントローラ610は、vairおよびTzoneの測定結果を収集し、Tsp,zoneの対応値を識別し得る。経済コントローラ610は、このような変数間の関係を定義する関数fを決定するためにトレーニングデータとしてvair、Tzone、およびTsp,zoneの収集値を使用してシステム識別プロセスを行い得る。
【0082】
経済コントローラ610は、次式に示すように、制御動作vairとVRFシステム300により供給される加熱または冷却量
【数22】
とを関係付けるエネルギーバランスモデルを使用し得る:
【数23】
ここで、関数fはトレーニングデータから識別され得る。経済コントローラ610は、このような変数間の関係を定義する関数fを決定するためにvairおよび
【数24】
の収集値を使用してシステム識別プロセスを行い得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、線形関係が
【数25】
とvairとの間に存在する。理想的比例積分(PI)コントローラと、
【数26】
とvairとの間の線形関係とを仮定すると、単純化線形制御機器モデルは、区域温度Tzoneおよび区域温度設定点Tsp,zoneに応じてVRFシステム300により供給される加熱または冷却量
【数27】
を規定するために使用され得る。このようなモデルの例が次式に示される:
【数28】
ここで、
【数29】
は加熱または冷却速度の定常状態速度であり、Kはスケーリングされた区域PIコントローラ比例利得であり、τは区域PIコントローラ積分時間であり、εは設定点誤差である(すなわち区域温度設定点Tsp,zoneと区域温度Tzoneとの間の差)。飽和は、
【数30】
に関する制約により表され得る。線形モデルが機器コントローラ614と屋内VRFユニット304内の伝熱とをモデル化するのに十分に正確でなければ、非線形加熱/冷却率(nonlinear heating/cooling duty)モデルがその代りに使用され得る。
【0084】
区域温度Tzoneに関する制約に加えて、経済コントローラ610は制約を電池313の充電状態(SOC)および充電/放電率に課し得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、以下の電力制約を生成し、これを予想費用関数Jに課す:
bat≦Prated
-Pbat≦Prated
ここで、Pbatは電池313から放電される電力量であり、Pratedは電池313の定格電池電力(例えば電池313が充電または放電され得る最大率)である。これらの電力制約は、電池313が最大可能電池充電/放電率Pratedを越える率で充電または放電されないことを保証する。
【0085】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、1つ以上の容量制約を生成し、これを予想費用関数Jに課す。容量制約は、各時間ステップ中に充電または放電される電池電力Pbatと電池313の容量およびSOCとを関係付けるために使用され得る。容量制約は、電池313の容量が最適化期間の各時間ステップにおいて許容可能下限および上限内に維持されるということを保証し得る。いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は以下の容量制約を生成する:
(k)-Pbat(k)Δt≦Crated
(k)-Pbat(k)Δt≧0
ここで、C(k)は時間ステップkの初めにおける利用可能電池容量(例えばkWh)であり、Pbat(k)は電池313が時間ステップk中に放電される率(例えばkW)であり、Δtは各時間ステップの持続時間であり、Cratedは電池313の最大定格容量(例えばkWh)である。項Pbat(k)Δtは時間ステップk中の電池容量の変化を表す。これらの容量制約は、電池313の容量が零と最大定格容量Cratedとの間で維持されるということを保証する。
【0086】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、1つ以上の容量制約を生成し、これを電動VRF部品502の動作に課す。例えば、ファン406は、ファン406による最大消費電力Pfan,maxに対応する最大動作速度を有し得る。同様に、コンプレッサ402は、コンプレッサ402による最大消費電力Pcomp,maxに対応する最大動作速度を有し得る。経済コントローラ610は、ファン406およびコンプレッサ402の消費電力を次式に示すように零と最大値間に制限する制約を生成するように構成され得る:
0≦Pfan≦Pfan,max
0≦Pcomp≦Pcomp,max
【0087】
経済コントローラ610はまた、次式に示すように電動VRF部品502の全消費電力を規定する制約を設定し得る:
total=Pfan+Pcomp
total=Psp,grid+Psp,bat+PPV
ここで、電動VRF部品502へ供給される全電力Ptotalは、グリッド電力設定点Psp,grid、電池電力設定点Psp,bat、およびPV電力PPVの合計である。電動VRF部品502の全消費電力Ptotalもまたファン消費電力Pfanとコンプレッサ消費電力Pcompの合計である。
【0088】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、1つ以上の容量制約を生成し、これを屋外VRFユニット302の動作に課す。例えば、屋外VRFユニット302の動作は屋外VRFユニット302の機器性能曲線により規定され得る。機器性能曲線は、屋外VRFユニット302により消費される電気に応じて屋外VRFユニット302により供給される加熱または冷却量を規定し得る。経済コントローラ610は、屋外VRFユニット302の動作を機器性能曲線上の点に制限する制約を生成しこれを課し得る。経済コントローラ610により使用され得る機器性能曲線のいくつかの例は、2015年2月27日出願の米国特許出願第14/634,609号明細書に詳細に説明されている。
【0089】
いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、屋内VRFユニット304を通る冷媒の流速を零と最大流速Fmaxとの間に制限する制約を生成しこれを課し得る。このような制約の例が次式に示される:
0≦Fcold≦Fmax
0≦Fhot≦Fmax
【0090】
経済コントローラ610は、決定変数Pfan、Pcomp、Fcold、Fhot、Pgrid、およびPbatの最適値を決定するための制約を受ける予想費用関数Jを最適化し得る、ここでPtotal=Pbat+Pgrid+PPV。いくつかの実施形態では、経済コントローラ610は、追跡コントローラ612の電力設定点を生成するためにPtotal、Pbat、および/またはPgridの最適値を使用する。電力設定点は、最適化期間内の時間ステップkのそれぞれの電池電力設定点Psp,bat、グリッド電力設定点Psp,grid、および/またはVRF電力設定点Psp,totalを含み得る。経済コントローラ610は電力設定点を追跡コントローラ612へ提供し得る。
【0091】
追跡コントローラ
追跡コントローラ612は、最適温度設定点(例えば区域温度設定点Tsp,zone、給気温度設定点Tsp,sa、冷媒温度設定点Tsp,refなど)と最適電池充電または放電率(すなわちBatC/D)を決定するために、経済コントローラ610により生成される最適電力設定点Psp,grid、Psp,bat、および/またはPsp,totalを使用し得る。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ612は、RFシステム300の電力設定点Psp,totalを実現すると予想される区域温度設定点Tsp,zone、給気温度設定点Tsp,sa、および/または冷媒温度設定点Tsp,refを生成する。換言すれば、追跡コントローラ612は、VRFシステム300に経済コントローラ610により決定される最適量の電力Ptotalを消費させる区域温度設定点Tsp,zone、給気温度設定点Tsp,sa、および/または冷媒温度設定点Tsp,refを生成し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ612は、消費電力モデルを使用することによりVRFシステム300の消費電力と区域温度Tzoneおよび区域温度設定点Tsp,zoneとを関係付ける。例えば、追跡コントローラ612は、区域温度Tzoneおよび区域温度設定点Tsp,zoneに応じて機器コントローラ614により行われる制御動作を決定するために機器コントローラ614のモデルを使用し得る。このような区域調整コントローラモデルの例が次式に示される:
sp,comp=f(Tzone,sp,zone
sp,fan=f(Tzone,sp,zone
ここで、ssp,compはコンプレッサ402の速度設定点であり、ssp,fanはファン406の速度設定点である。
【0093】
いくつかの実施形態では、ssp,comp、ssp,fanは対応する消費電力値Pcomp、Pfanをそれぞれ有する。追跡コントローラ612は、ssp,comp、ssp,fanを対応消費電力値Pcomp、Pfanに変換するためにコンプレッサ402およびファン406の機器モデルまたは製造者仕様を使用し得る。したがって、追跡コントローラ612は、区域温度Tzoneおよび区域温度設定点Tsp,zoneに応じて消費電力Ptotal=Pcomp+Pfanを規定し得る。このようなモデルの例が次式に示される:
total=f(Tzone,Tsp,zone
関数fはデータから識別され得る。例えば、追跡コントローラ612は、PtotalおよびTzoneの測定結果を収集し、Tsp,zoneの対応値を識別し得る。追跡コントローラ612は、このような変数間の関係を定義する関数fを決定するためにトレーニングデータとしてPtotal、Tzone、およびTsp,zoneの収集された値を使用してシステム識別プロセスを行い得る。
【0094】
追跡コントローラ612は、VRFシステム300の全消費電力Ptotalと給気温度設定点Tsp,saとの間の関係を決定するために同様なモデルを使用し得る。例えば、追跡コントローラ612は区域温度Tzoneおよび給気温度設定点Tsp,zoneに応じて消費電力Ptotalを規定し得る。このようなモデルの例が次式に示される:
total=f(Tzone,sp,sa
関数fはデータから識別され得る。例えば、追跡コントローラ612は、PtotalおよびTzoneの測定結果を収集し、Tsp,saの対応値を識別し得る。追跡コントローラ612は、このような変数間の関係を定義する関数fを決定するためにトレーニングデータとしてPtotal、Tzone、およびTsp,saの収集された値を使用してシステム識別プロセスを行い得る。
【0095】
追跡コントローラ612は、Tsp,zoneおよびTsp,saの値を決定するためにPtotal、Tsp,zone、およびTsp,sa間の関係を使用し得る。例えば、追跡コントローラ612は、経済コントローラ610からの入力としてPtotalの値(すなわちPsp,total)を受信し得、Tsp,zoneおよびTsp,saの対応値を決定し得る。いくつかの実施形態では、温度設定点は区域固有である。第1の組の屋内VRFユニット304は第1の温度設定点を受信し得、一方、第2の組の屋内VRFユニット304は第2の温度設定点を受信し得る。追跡コントローラ612は、機器コントローラ614への出力としてTsp,zone、Tsp,saの値を提供し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ612は、屋内VRFユニット304のうちのいくつかに、他の屋内VRFユニット304が冷却モードで動作している間に加熱モードで動作させる区域固有温度設定点Tsp,zone、Tsp,saを生成する。有利には、屋内VRFユニット304を加熱モードと冷却モードとで同時に動作させることで、1つの建物区域から抽出される熱が別の建物区域を加熱するために使用され得るようにする。これは、屋外VRFユニット302への全加熱または冷却負荷を低減し、結局屋外VRFユニット302の全消費電力を低減する。いくつかの実施形態では、追跡コントローラ612は、他の建物区域へ提供される加熱または冷却を相殺するために加熱または冷却が対応建物区域に必要とされないときに屋内VRFユニット304のうちのいくつかに加熱または冷却することを強いる。このタイプの制御動作は、追加加熱または冷却を提供するために屋外VRFユニット302を必要とすることなく熱を1つの建物区域から別の建物区域へ効果的に伝える。このようにして温度設定点を調整することにより、追跡コントローラ612は、各建物区域の温度を許容可能温度範囲内に維持する一方でVRFシステム300の消費電力を最小化し得る(例えばTmin≦Tzone≦Tmax)。
【0097】
いくつかの実施形態では、追跡コントローラ612は、電池313を充電または放電すべき最適率BatC/Dを決定するために電池電力設定点Psp,batを使用する。例えば、電池電力設定点Psp,batは、追跡コントローラ612により電力インバータ510および/または機器コントローラ614の制御信号へ変換され得る電力値(kW)を規定し得る。他の実施形態では、電池電力設定点Psp,batは、電池電力Pbatを制御するために電力インバータ510へ直接提供され、電力インバータ510により使用される。
【0098】
機器コントローラ
機器コントローラ614は、電動VRF部品502の制御信号を生成するために、追跡コントローラ612により生成される最適温度設定点Tsp,zone、Tsp,sa、および/またはTsp,refを使用し得る。機器コントローラ614により生成される制御信号は、実際の(例えば、測定された)温度Tzone、Tsaおよび/またはTrefを設定点へ駆動し得る。機器コントローラ614は、電動VRF部品502の制御信号を生成するために多様な制御技術のうちの任意のものを使用し得る。例えば、機器コントローラ614は、電動VRF部品502の制御信号を生成するために、状態ベースアルゴリズム、極値探索制御(ESC:extremum seeking control)アルゴリズム、比例積分(PI:proportional-integral)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID:proportional-integral-derivative)制御アルゴリズム、モデル予想制御(MPC)アルゴリズム、または他のフィードバック制御アルゴリズムを使用し得る。
【0099】
制御信号は、オン/オフ命令、ファン406、422の速度設定点、弁/アクチュエータ504の位置設定点、または電動VRF部品502の個々の装置の他の動作命令を含み得る。いくつかの実施形態では、機器コントローラ614は、測定された冷媒温度Trefを冷媒温度設定点Tsp,refへ駆動するために冷媒に適用される加熱または冷却量を調整するためにファン406および/またはコンプレッサ402の速度を調整するフィードバック制御技術(例えばPID、ESC、MPCなど)を使用する。同様に、機器コントローラ614は、測定された温度Tzoneおよび/またはTsaを温度設定点Tsp,zoneおよび/またはTsp,saへ駆動するために屋内VRFユニット304を通る冷媒流速および気流速を調整するために弁424の位置およびファン422の速度を制御するフィードバック制御技術を使用し得る。機器コントローラ614は、電動VRF部品502の動作を制御するために制御信号を電動VRF部品502へ提供し得、これにより電動VRF部品502に区域温度Tzone、給気温度Tsaおよび/または冷媒温度Trefへ影響を与えさせる。
【0100】
いくつかの実施形態では、機器コントローラ614は制御信号を電力インバータ510へ提供するように構成される。電力インバータ510へ提供される制御信号は電池電力設定点Psp,batおよび/または最適充電/放電率BatC/Dを含み得る。機器コントローラ614は電池電力設定点Psp,batを実現するために電力インバータ510を動作させるように構成され得る。例えば、機器コントローラ614は、電力インバータ510に電池電力設定点Psp,batに従って電池313を充電または放電させ得る。
【0101】
VRF制御プロセス
次に図7を参照すると、例示的実施形態による可変冷媒流(VRF)システムを動作させるプロセス700のフローチャートが示される。いくつかの実施形態では、プロセス700は図3~6を参照して説明したようにVRFシステム300の1つ以上の部品により行われる。例えば、プロセス700は予想VRFコントローラ306により行われ得る。
【0102】
プロセス700は、最適化期間内の複数の時間ステップのうちのそれぞれの時間ステップのエネルギー価格をVRFシステムにおいて受信する工程(工程702)を含んで示される。いくつかの実施形態では、エネルギー価格は、最適化期間の様々な時間ステップの様々な値を有し得る時間依存性エネルギー価格である。エネルギー価格は、電気の単位当たり費用Cec(例えば$/kWh)および/または請求費用CDC(例えば最大消費電力の$/kW)を含み得る。いくつかの実施形態では、エネルギー価格は屋内VRFユニット304へ供給される加熱または冷却された冷媒の単位当たり費用Cvrfを含む。例えば、冷媒単位当たり費用Cvrfは、冷却または加熱された冷媒の1単位を生成するために発生される費用を含み得る。いくつかの実施形態では、費用Cvrfは、図6を参照して説明したように屋外VRFユニット302の機器性能曲線を使用することにより予想VRFコントローラ306により決定される。他の実施形態では、冷媒の単位当たり費用Cvrfは予想VRFコントローラ306への入力として提供され得る。
【0103】
プロセス700は、最適化期間の持続時間全体にわたってVRFシステムを動作させる費用を定義する費用関数への入力としてエネルギー価格を使用する工程(工程704)を含んで示される。工程704において使用され得る予想費用関数の例が次式に示される:
【数31】
【0104】
ここで、Cec(k)は時間ステップk中に電気事業者512から購入される電気の単位当たり費用(例えば$/kWh)であり、Pcomp(k)は時間ステップk中のコンプレッサ402の消費電力(例えばkW)であり、Pfan(k)は時間ステップk中のファン406の消費電力(例えばkW)であり、Cvrf(k)は時間ステップkにおいて屋内VRFユニット304へ供給される冷媒の1単位を加熱または冷却するために発生される費用(例えば$/リットル)であり、Fcold(k)は時間ステップkにおいて屋内VRFユニット304へ供給される冷却された冷媒の流速(例えばリットル/s)であり、Fhot(k)は時間ステップkにおいて屋内VRFユニット304へ供給される加熱された冷媒の流速(例えばリットル/s)であり、CDCは需要電力料金レート(例えば$/kW)であり、max()項は、最適化期間の任意の時間ステップk中のVRFシステム300の最大消費電力(すなわちPgrid(k)の最大値)を選択し、Pbat(k)は時間ステップk中に電池313から放電される電力量であり、Δtは各時間ステップkの持続時間である。
【0105】
プロセス700は、VRFシステムの電動VRF部品および電池の最適電力設定点を決定するために費用関数を最適化する工程(工程706)を含んで示される。工程706は経済コントローラ610により行われ得る。いくつかの実施形態では、費用関数は一組の最適化制約に従って最適化される。最適化制約は、区域温度Tzoneに関する制約、電池電力Pbatに関する制約、電池の充電状態に関する制約、冷媒流速FcoldまたはFhotに関する制約、電動VRF部品の動作領域に関する制約、および/または最適化を実行可能解へ制限するために使用され得る任意の他の制約を含み得る。このような制約の例は図6を参照して詳細に説明された。
【0106】
工程706において生成される最適電力設定点は、最適化期間の各時間ステップにおいてエネルギーグリッドから購入すべき最適量の電力(すなわちグリッド電力設定点Psp,grid)、電池へ蓄積すべきまたはそれから放電すべき最適量の電力(すなわち電池電力設定点Psp,bat)、および/または電動VRF部品により消費されるべき最適量の電力(すなわちVRF電力設定点Psp,total)を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの電力設定点は費用関数内の決定変数である。他の実施形態では、電力設定点の1つ以上は決定変数の値に基づき計算され得る。例えば、電力設定点Psp,totalはPsp,gridと、Psp,batと、Psp,PVとを加算することにより計算され得る。いくつかの実施形態では、工程706は最適ファン電力設定点Psp,fanおよび/または最適コンプレッサ電力設定点Psp,compを決定する工程を含む。最適ファン電力設定点Psp,fanと最適コンプレッサ電力設定点Psp,compとの合計は電動VRF部品により消費される電力量と等価であり得る(例えばPsp,fan+Psp,comp=Psp,total)。
【0107】
プロセス700はVRFシステムにより影響される区域温度または冷媒温度の温度設定点を生成するために最適電力設定点を使用する工程(工程708)を含んで示される。いくつかの実施形態では、工程708は追跡コントローラ612により行われる。工程708は、区域温度設定点Tsp,zoneおよび/または冷媒温度設定点Tsp,refを決定するために、工程706において生成された最適電力設定点Psp,grid、Psp,bat、Psp,total、Psp,fan、および/またはPsp,compを使用する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、工程708は、VRFシステムの電力設定点Psp,totalを実現すると予想される区域温度設定点Tsp,zoneおよび/または冷媒温度設定点Tsp,refを生成する工程を含む。換言すれば、工程708は、工程706において決定された最適量の電力PtotalをVRFシステムに消費させる区域温度設定点Tsp,zoneおよび/または冷媒温度設定点Tsp,saを生成する工程を含み得る。どのように温度設定点が電力設定点に基づき生成され得るかの例は図6を参照して詳細に説明された。
【0108】
プロセス700は、電動VRF部品の制御信号を生成するために温度設定点を使用する工程(工程710)を含んで示される。いくつかの実施形態では、工程710は機器コントローラ614により行われる。工程710において生成される制御信号は、実際の(例えば、測定された)温度Tzoneおよび/またはTrefを設定点へ駆動し得る。工程710は、電動VRF部品の制御信号を生成するために多様な制御技術のうちの任意のものを使用する工程を含み得る。例えば、工程710は、電動VRF部品の制御信号を生成するために、状態ベースアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予想制御(MPC)アルゴリズム、または他のフィードバック制御アルゴリズムを使用する工程を含み得る。
【0109】
制御信号は、オン/オフ命令、ファン406、422の速度設定点、コンプレッサ402の速度設定点、弁408、410または424の位置設定点、または電動VRF部品の個々の装置の他の動作命令を含み得る。いくつかの実施形態では、工程710は、測定された冷媒温度Trefを冷媒温度設定点Tsp,refへ駆動するために屋外VRFユニット302により冷媒に適用される加熱または冷却量を調整するためにファン406および/またはコンプレッサ402の速度を調整するフィードバック制御技術(例えばPID、ESC、MPCなど)を使用する工程を含む。同様に、工程710は、測定された温度Tzoneおよび/またはTsaを温度設定点Tsp,zoneおよび/またはTsp,saへ駆動するために屋内VRFユニット304のそれぞれにより供給される加熱または冷却量を調整するために弁424の位置および/またはファン422の速度を制御するフィードバック制御技術を使用する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、工程710は電池電力インバータの制御信号を生成する工程を含む。電池電力インバータの制御信号は電池電力設定点Psp,batおよび/または最適充電/放電率BatC/Dを含み得る。
【0110】
プロセス700は、温度設定点を実現するために電動VRF部品を動作させる工程(工程712)を含んで示される。いくつかの実施形態では、工程712は、工程710において生成された制御信号を電動VRF部品へ提供する工程を含む。制御信号は、電動VRF部品の動作を制御し得、これにより電動VRF部品に冷媒温度Tref、区域温度Tzoneおよび/または給気温度Tsaに影響を与えさせる。いくつかの実施形態では、工程712は、電池電力設定点Psp,batを実現するために電池電力インバータを動作させる工程を含む。例えば、工程712は、電池電力インバータに電池電力設定点Psp,batに従って電池313を充電または放電させる工程を含み得る。
【0111】
例示的実施形態の構成
様々な例示的実施形態に示されたシステムおよび方法の構造、配置は単に例示的である。いくつかの実施形態だけが本開示では詳細に説明されたが、多くの修正(例えば様々な要素のサイズ、次元、構造、形状および割合、パラメータの値、取り付け方法、材料の使用、色、配向などの変形形態)が可能である。例えば、要素の位置は反転され得、またはそうでなければ変更され得、個別素子の性質または数、または位置は修正または変更され得る。したがって、すべてのこのような修正は本開示の範囲に含まれるように意図されている。任意のプロセスまたは方法工程の順序またはシーケンスは代替実施態様に従って変更または再シーケンス化され得る。他の置換、修正、変更、省略が、本開示の範囲から逸脱することなく例示的実施形態の設計、動作条件、および配置においてなされ得る。
【0112】
本開示は、様々な動作を実現するための任意の機械可読媒体上の方法、システム、およびプログラム製品を企図する。本開示の実施形態は、既存コンピュータプロセッサを使用することにより、またはこの目的または別の目的のために組み込まれる適切なシステムの特殊用途コンピュータプロセッサにより、またはハードワイヤシステムにより実施され得る。本開示の範囲内の実施形態は、その上に格納された機械実行可能命令またはデータ構造を担持するまたは有する機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。このような機械可読媒体は、汎用または特殊用途コンピュータまたはプロセッサを有する他の機械によりアクセスされ得る任意の入手可能媒体であり得る。一例として、このような機械可読記憶媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、または他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または機械可読命令またはデータ構造の形式の所望プログラムコードを担持または格納するために使用され得るとともに汎用または特殊用途コンピュータまたはプロセッサを有する他の機械によりアクセスされ得る任意の他の媒体を含み得る。上記のものの組み合わせもまた機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または特殊用途処理機械に機能または機能群を行わせる命令およびデータを含む。
【0113】
添付図面は方法工程の特定順序を示すが、工程の順序は描写されたものと異なり得る。また2つ以上の工程が同時にまたは部分的に並列に行われ得る。このような変形形態は、選択されるソフトウェアおよびハードウェアシステムと設計者選択とに依存することになる。すべてのこのような変形形態は本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェア実施は、様々な接続工程、処理工程、比較工程および決定工程を実施する規則ベース論理および他の論理を有する標準的プログラミング技術により実現される可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7