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特許7406938デジタル航空交通管制センターのための識別システム及び航空交通対象識別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】デジタル航空交通管制センターのための識別システム及び航空交通対象識別方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/06 20060101AFI20231221BHJP
   G08G 1/017 20060101ALI20231221BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20231221BHJP
   B64D 47/06 20060101ALI20231221BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20231221BHJP
【FI】
G08G5/06 A
G08G1/017
G08G1/04 A
B64D47/06
B64F1/36
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019146965
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2020027657
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】16/100,138
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516320322
【氏名又は名称】センサーズ・アンリミテッド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】カート ドヴォンチ
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0009596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0194622(US,A1)
【文献】米国特許第06628321(US,B1)
【文献】特表2018-518859(JP,A)
【文献】特表2016-532330(JP,A)
【文献】特開2013-248387(JP,A)
【文献】特表2014-528253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル航空交通管制センターのための識別システムであって、
パルス検出アレイを有し、視野を有するセンサであって、前記センサおよび前記パルス検出アレイは、生成された画像データおよびパルスデータの両方を使用して航空交通対象を認識および識別するための、画像データおよびパルスデータをそれぞれ個別に生成し、前記画像データは、前記センサの前記視野内におけるそれぞれの前記航空交通対象から反射された照明を使用して生成され、前記パルスデータは、前記センサの前記視野内におけるそれぞれの前記航空交通対象を識別するための情報を有するように変調された、前記航空交通対象が搭載するパルス照明器によって放射されるパルス状の照明を使用して生成される、センサと、
前記センサの前記視野内の前記航空交通対象を表示するためのユーザインターフェースと、
コントローラであって、
前記パルス検出アレイと通信するように配置されたパルス検出モジュールであって、前記パルスデータを復調し、前記復調されたパルスデータを使用して、前記航空交通対象を識別するように構成及び適合されている、パルス検出モジュールと、
前記センサと通信するように配置された航空交通対象認識モジュールであって、前記画像データを処理し、その形状に従って前記航空交通対象を認識するように構成および適合された航空交通対象認識モジュールと、
を備えたコントローラと、
を備え
前記航空交通対象の識別および形状の表示は、前記航空交通対象の表示に関連する前記ユーザインターフェースによって表示される、前記識別システム。
【請求項2】
前記センサが、飛行場に配置されたマストまたはジンバルに固定されている、請求項1に記載の識別システム。
【請求項3】
前記センサの前記視野が、飛行場の近位の制御された空域を含んでいる、請求項1に記載の識別システム。
【請求項4】
前記ユーザインターフェースが、前記センサと遠隔で接続されている、請求項1に記載の識別システム。
【請求項5】
前記パルス検出アレイが、可視の波長の周波数帯のパルス検出アレイである、請求項1に記載の識別システム。
【請求項6】
前記パルス検出アレイが、長波赤外(LWIR)の周波数帯のパルス検出アレイである、請求項1に記載の識別システム。
【請求項7】
前記パルス検出アレイが、中波赤外(MWIR)の周波数帯のパルス検出アレイである、請求項1に記載の識別システム。
【請求項8】
前記パルス検出アレイが、短波赤外(SWIR)の周波数帯のパルス検出アレイである、請求項1に記載の識別システム。
【請求項9】
前記パルス状の照明を放射するために配置された、前記パルス照明器を保持する航空交通対象をさらに含む、請求項1に記載の識別システム。
【請求項10】
前記パルス照明器と操作可能に関連付けられ、前記パルス照明器によって放射されたパルス状の照明を、前記航空交通対象の正体により変調するように構成されたパルス照明変調モジュールをさらに含む、請求項9に記載の識別システム。
【請求項11】
前記パルス照明器が、可視、赤外、LWIR、MWIR、及びSWIRのいずれかの周波数帯のパルス照明器である、請求項9に記載の識別システム。
【請求項12】
前記パルス照明器が、前記可視、前記LWIR、前記MWIR、及び前記SWIRの周波数帯で、パルス状の照明を放射するように構成されている、請求項9に記載の識別システム。
【請求項13】
前記センサと通信するように配置され、前記ディスプレイと操作可能に関連付けられている、航空機認識モジュールをさらに備えている、請求項1に記載の識別システム。
【請求項14】
請求項1に記載の識別システムを含む、デジタル航空交通管制センター。
【請求項15】
請求項1に記載の識別システムを含むデジタル航空交通管制センターを有する、軍事用または民間用の飛行場。
【請求項16】
航空交通対象識別方法であって、
センサの視野内の航空交通対象から反射された照明、および放射されたパルス状の照明を、パルス検出アレイを有するセンサにおいて受信することであって、前記パルス状の照明は、前記航空交通対象を識別する情報で変調されている、前記反射された照明およびパルス状の照明を受信することと、
前記受信した前記反射された照明およびパルス状の照明を使用して画像データおよびパルスデータを個別に生成し、前記生成された画像データおよびパルスデータの両方を使用して前記航空交通対象を認識および識別することと、
前記パルスデータを復調することと、
前記復調されたパルスデータを使用して前記航空交通対象を識別することと、
前記画像データの処理に基づき、前記航空交通対象をその形状に従って認識することと、
前記センサと通信するように配置されたユーザインターフェース上に、前記航空交通対象に関連する識別およびその形状を表示することであって、前記ユーザインターフェースが、前記センサの前記視野から離れて配置されている、前記表示することと、
を含む、前記航空交通対象識別方法。
【請求項17】
前記航空交通対象において、前記航空交通対象の正体により、前記パルス状の照明を変調することをさらに含む、請求項16に記載の航空交通対象識別方法。
【請求項18】
パルス状の照明を放射することには、可視、LWIR、MWIR、及び/またはSWIRの周波数帯の照明を放射することが含まれる、請求項16に記載の航空交通対象識別方法。
【請求項19】
前記センサを使用して前記航空交通対象を確認することをさらに含む、請求項16に記載の航空交通対象識別方法。
【請求項20】
前記航空交通対象を前記識別することが、デジタル航空交通管制センターで行われる、請求項16に記載の航空交通対象識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空交通管制に関し、より詳細には、デジタル航空交通管制センターのための識別システム、及び、航空交通対象を識別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行場の管制塔内などの交通管制センターは、一般に、飛行場と、飛行場の近くの空域との両方において、航空機の移動を制御する目的のために、飛行場に配置されている。管制塔を飛行場に配置することにより、管制塔から操作する人間の運航管理員が、飛行場、及びその周りにおける航空機の移動に関する状況を認識することを可能にする。航空交通自体に近いことは、伝統的に、人間の運航管理員が、飛行場、及び飛行場のすぐ近くを移動する航空機を視覚的に見ることができる利点を提供している。
【0003】
センサの急増により、飛行場の人間の運航管理員によって提供される機能を飛行場から離し、飛行場から離れた位置に移動することが可能になってきている。人間の運航管理員を飛行場から移動することにより、他の用途のために、飛行場の空間がフリーになり、飛行場の作業の効率が向上する。そのような交通管制塔は、通常、飛行場での活動のライブ画像を離れた位置に通信し、人間の運航管理員が、安全な位置から飛行場の作業を制御し、活動を監視することを可能にする、撮像デバイスを含んでいる。これにより、飛行場の設置面積を低減し、人間の航空交通管理員が危険にさらされないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような慣習的な方法及びシステムは、概して、その意図される目的には十分であると見なされてきた。しかし、依然として、当該技術には、デジタル航空交通管制センターのための識別システム、飛行場のデジタル航空交通管制センター、及び航空交通対象識別方法を向上させる必要がある。本開示は、この必要性に関する解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
デジタル航空交通管制センターのための識別システムが、パルス検出アレイを有する、ある視野のセンサと、センサの視野内の航空交通対象を表示するためのユーザインターフェースと、コントローラとを含んでいる。コントローラは、センサの視野内の航空交通対象によって保持されたパルス照明器によって放射されたパルス状の照明を使用して、航空交通対象を識別するために、パルス検出アレイと通信するように配置されたパルス検出モジュールを含んでいる。
【0006】
特定の実施形態では、センサは、マストに固定することができる。センサは、飛行場に配置することができる。センサの視野は、制御された空間を含むことができる。制御された空域は、飛行場の周囲にあるものとすることができる。ユーザインターフェースは、センサと遠隔で接続されていてもよい。識別システムは、軍事用または民間用の飛行場などの、飛行場のデジタル航空交通管制センターで採用することができる。航空交通対象は、固定翼または回転翼の航空機とすることができる。
【0007】
特定の実施形態によれば、パルス検出アレイは、可視波長の周波数帯のパルス検出アレイとすることができる。パルス検出アレイは、赤外の周波数帯のパルス検出アレイとすることができる。パルス検出アレイは、長波赤外(LWIR)のパルス検出アレイとすることができる。パルス検出アレイは、中波赤外(MWIR)のパルス検出アレイとすることができる。パルス検出アレイは、短波赤外(SWIR)のパルス検出アレイとすることができる。航空機認識モジュールは、パルス検出アレイと通信するように配置し、ディスプレイと操作可能に関連付けることができる。
【0008】
特定の実施形態によれば、航空交通対象が、パルス状の照明を放射するために配置されたパルス照明器を保持することができることも考えられる。パルス照明変調モジュールは、パルス照明器と操作可能に関連付けることができる。パルス照明変調モジュールは、パルス照明器から放射されたパルス状の照明を変調するように構成することができる。パルス照明器は、可視周波数帯、赤外周波数帯、LWIR、MWIR、及び/またはSWIRのパルス照明器の1つとすることができる。パルス照明器は、可視、赤外、LWIR、MWIR、及び/またはSWIRの周波数帯の1つでパルス状の照明を放射するように構成することができる。
【0009】
航空交通対象検出方法には、航空交通対象によって保持されたパルス照明器からパルス状の照明を放射することが含まれる。放射されたパルス状の照明は、パルス検出アレイを有するセンサにおいて、センサの視野内から受信され、航空交通対象は、パルス状の照明を使用して識別される。航空交通対象の正体は、センサと通信するように配置されたユーザインターフェース上に表示される。ユーザインターフェースは、センサの視野から離れている。
【0010】
特定の実施形態では、本方法は、航空交通対象において、航空交通対象の正体により、パルス状の照明を変調することを含むことができる。パルス状の照明を放射することには、可視周波数帯、赤外周波数帯、LWIRのサブ周波数帯、MWIRのサブ周波数帯、及び/またはSWIRのサブ周波数帯のパルス状の照明の1つを放射することを含むことができる。航空交通対象は、センサを使用して認識することができる。たとえば、センサは、可視、赤外、LWIR、MWIR、及び/またはSWIRの1つで、航空交通対象から反射(または放射)された照明を使用して、航空交通対象のタイプを認識することができる。
【0011】
本主題の開示のシステム及び方法のこれら及び他の特徴は、図面と合わせて、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者にはより容易に明らかとなるであろう。
【0012】
開示の主題が属する技術分野の当業者が、過度な実験を行うことなく、どのように開示の主題のデバイス及び方法を形成及び使用するかを容易に理解するように、開示の主題の実施形態は、特定の図面を参照して、本明細書において以下に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、デジタル航空交通管制センターのための識別システムを含む、本開示に従って建設された、民間用または軍事用の飛行場の例示的実施形態の概略図であり、飛行場に位置し、離れたデジタル航空交通管制センターと通信するように配置されたセンサを示している。
図2A図1の識別システムの実施形態の概略図であり、パルス照明器を保持する航空交通対象と、パルス状の照明の例示的な周波数帯、及び、例示的なサブ周波数帯のためにそれぞれ構成された、パルス検出アレイを有するセンサとを示している。
図2B図2Aと同様の識別システムの実施形態の概略図である。
図2C図2Aと同様の識別システムの実施形態の概略図である。
図2D図2Aと同様の識別システムの実施形態の概略図である。
図2E図2Aと同様の識別システムの実施形態の概略図である。
図3図3は、図1の識別システムの概略図であり、識別システムのパルス検出モジュール、航空交通対象認識モジュール、及び航空交通識別モジュールを示している。
図4図4は、航空交通対象識別方法を示すブロック図であり、本方法のステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、同様の参照符号が開示の主題の同様の構造的特徴または態様を識別する、図面を参照する。説明及び図示の目的のため、限定ではなく、本開示に係る、デジタル航空交通管制センターのための航空交通識別システムの例示的実施形態の部分図が、図1に示されており、全体として、参照符号100によって示されている。本開示に係る、航空交通識別システム、航空交通識別システムを伴う、デジタル航空交通管制センターを有する民間用及び軍事用の飛行場、ならびに、航空交通対象を識別する方法の他の実施形態、またはその態様が、以下に記載されるように、図2Aから図4に提供されている。本明細書に記載のシステム及び方法は、民間用及び軍事用の飛行場のための離れているデジタル航空交通管制センターなど、航空交通対象を識別するために使用することができるが、本開示は、概して、離れたデジタル航空交通管制センター、または、航空交通対象の識別に限定されない。
【0015】
人間の目は、電磁スペクトルの可視の部分内の光に反応する。可視光は、概して、約380ナノメートルから約720ナノメートルの間の波長を有するものと理解されている。380ナノメートル未満の波長の電磁放射は、概して、紫外放射と記載される。720ナノメートルを超える波長の電磁放射は、概して、赤外放射と記載される。
【0016】
電磁スペクトルの赤外部分は、通常、近赤外(NIR)の赤外スペクトル部分と、短波赤外(SWIR)の赤外スペクトル部分と、中波赤外(MWIR)の赤外スペクトル部分と、長波(LWIR)赤外スペクトル部分とに分けられる。本明細書で使用される場合、NIRは、約0.7ミクロンから約1ミクロンの間の波長の電磁放射に関する。SWIRは、約0.9ミクロンから約1.7ミクロンの間の波長の電磁放射に関する。MWIRは、約3ミクロンから5ミクロンの間の波長の電磁放射に関する。LWIRは、約8ミクロンから14ミクロンの間の波長の電磁放射に関する。
【0017】
図1を参照すると、飛行場10が示されている。飛行場10は、1つまたは複数の滑走路12と、傾斜路14と、デジタル航空交通管制センター16、たとえば、離れたデジタル管制塔とを含んでいる。デジタル航空交通管制センター16は、飛行場10の傾斜路14及び1つまたは複数の滑走路12上、ならびに、飛行場10の周囲2の航空交通対象18の移動を制御するために構成及び適合されている。周囲2は、本明細書で使用される場合、デジタル航空交通管制センター16の有効な視野内にあるものを意味している。飛行場10は、パルス検出アレイ103を有するセンサ102をも含んでいる。パルス検出アレイ103は、周囲2、傾斜路14、及び1つまたは複数の滑走路12の少なくとも一部にわたる視野104を有している。デジタル航空交通管制センター16が、飛行場10から離れていることが考えられる。離れていることは、デジタル航空交通管制センター16にいるオペレータが、リモートセンサ、たとえばセンサ102の助けなしでは、飛行場10を直接見ることができないことを意味している。
【0018】
傾斜路14、滑走路12、及び周囲12に位置する、1つまたは複数の航空交通対象18は、パルス照明器116を保持している。パルス照明器116は、所定の周波数帯で、パルス状の照明を放射するように構成及び適合され、また、それぞれの航空交通対象18を識別する情報で変調されている。パルス照明器116が、比較的長いレンジ、たとえば、可視レンジの外側、及び/または、大気のくもり34を通して、航空交通対象18の正体を通信するために、センサ102に光学的に結合されていることが考えられる。大気のくもりの例には、非限定的例として、霧、もや、及びスモッグが含まれる。
【0019】
センサ102は、周囲2、傾斜路14、及び1つまたは複数の滑走路12の少なくとも一部を含む、景色の画像データ20を取得するために構成及び適合されている。画像データ20は、サイズまたは形状に従って航空交通対象18を認識する、航空交通対象認識モジュール120(図3に示す)に提供される。パルス検出アレイ103は、航空交通対象18によって保持されたパルス照明器116から放射される、パルスデータ25を取得するために構成及び適合されている。このパルス検出アレイ103は、航空交通対象識別モジュール122(図3に示す)にこのパルスデータを提供し、この航空交通対象識別モジュール122は、たとえばテールナンバーにより、航空交通管制対象18を識別するために、このパルスデータを使用する。
【0020】
特定の実施形態では、空港10は、陸上の空港とすることができる。陸上の空港の実施例には、一般民間航空、及び、商業用空港設備が含まれる。特定の実施形態によれば、空港10は、海上の空港とすることができる。海上の空港の実施例には、小型のデッキ及び大型のデッキの軍事用航空母艦、軍事用及び商業用の海上船のヘリコプタ発着所、ならびに、石油掘削プラットフォーム及び探査プラットフォームなどの固定された海上構造物上の着陸設備が含まれる。航空交通対象18には、所与の用途に適切であるような、固定翼航空機、回転翼航空機、及び/または自動航空機が含まれ得る。
【0021】
センサ102は、空港10と同じ場所に配置され、飛行場10及び周囲2の少なくとも一部を包含する視野104を有している。たとえば、センサ102は、マストまたはジンバル構造108に取り付けることができる。ジンバル構造108のマストは、固定されたものとすることができるか、パン、ティルト、及び/またはズームの能力をセンサ102に提供することができる。本開示の観点から、当業者には理解されるように、マストまたはジンバル構造の使用により、視野104のサイズを増大させることができる。これに関し、画像データ20が、それぞれの航空交通対象のタイプを認識することにより、飛行場10、及び、飛行場10の周囲2において、航空交通対象18の移動を安全に制御するために、代表的、及びタイムリーであるように、1つのセンサ102のみによって十分な受信可能範囲を提供することが考えられる。さらに、パルスデータ25が、個別の航空交通対象18の識別に従って、飛行場10、及び、飛行場10の周囲2において、航空交通対象18のタイムリーかつ安全な移動を制御するための識別情報を提供するように、1つのパルス検出アレイ103のみによって十分な受信可能範囲を提供することも考えられる。
【0022】
データリンク106を示す破線で示すように、デジタル航空交通管制センター16が、飛行場10から離れており、航空交通識別システム100を含んでいることが考えられる。これに関し、デジタル航空交通管制センター16は、飛行場10から離れて、たとえば、センサ102の視野104の外側に、配置することができる。デジタル航空交通管制センター16を離れた位置に配置することにより、飛行場の作業のために、飛行場10の空間がフリーになり、飛行場の効率が向上する。デジタル航空交通管制センター16を離れた位置に配置することにより、識別システム100及びそのユーザを、安全を必要とする他の資産と同じ場所に置くことなどにより、デジタル航空交通管制センター16を設置するために必要なリソースを低減することもできる。
【0023】
図2Aから図2Eを参照すると、センサ102、パルス検出アレイ103、及びパルス照明器116が、例示的実施形態に従って示されている。航空交通対象18の各々は、パルス照明変調モジュール118及びパルス照明器116を保持している。パルス照明変調モジュール118は、パルス照明器116と操作可能に関連付けられており、また、パルス照明器に、所定の周波数帯またはサブ周波数帯でパルス状の照明を放射させるように構成されている。パルス検出アレイ103及びセンサ102は、航空交通対象から反射された照明を使用した航空交通対象の認識のための画像データ20と、パルス照明器116によって放射されたパルス状の照明を使用した個別の航空交通対象の識別のためのパルスデータ25との両方を生成するように、構成及び適合されている。
【0024】
たとえば、図2Aに示すように、特定の実施形態では、航空交通対象18は、可視の周波数帯のパルス照明器116Aを保持することができる。可視の周波数帯のパルス照明器116Aは、照明変調モジュール118によって提供された変調情報に従って、可視の周波数帯のパルス状の照明24を放射するように構成されている。可視の周波数帯のパルス検出アレイ103Aは、個別に、及び/または、センサ102と協同して、可視の周波数帯のパルス状の照明24を使用して、航空交通対象18の認識及び識別のための画像データ20及びパルスデータ25を生成する。
【0025】
図2Bに示すように、特定の実施形態によれば、航空交通対象18は、赤外のパルス照明器116Bを保持することができる。赤外のパルス照明器116Bは、照明変調モジュール118によって提供された変調情報に従って、赤外周波数帯のパルス状の照明26を放射するように構成されている。赤外周波数帯のパルス検出アレイ103Bは、個別に、及び/または、センサ102と協同して、赤外の周波数帯のパルス状の照明26を使用して、航空交通対象18の認識及び識別のための画像データ20及びパルスデータ25を生成する。
【0026】
図2Cに示すように、特定の実施形態によれば、航空交通対象18は、MWIRのサブ周波数帯のパルス照明器116Cを保持することができる。MWIRのパルス照明器116Cは、照明変調モジュール118によって提供された変調情報に従って、MWIRのパルス状の照明28を放射するように構成されている。MWIRのパルス検出アレイ103Cは、個別に、及び/または、センサ102と協同して、MWIRのパルス状の照明28を使用して、航空交通対象18の認識及び識別のための画像データ20及びパルスデータ25を生成する。
【0027】
図2Dに示すように、特定の実施形態によれば、航空交通対象18は、LWIRのサブ周波数帯のパルス照明器116Dを保持することができる。LWIRのパルス照明器116Dは、照明変調モジュール118によって提供された変調情報に従って、LWIRのパルス状の照明30を放射するように構成されている。LWIRのパルス検出アレイ103Dは、個別に、及び/または、センサ102と協同して、LWIRのパルス状の照明30を使用して、航空交通対象18の認識及び識別のための画像データ20及びパルスデータ25を生成する。
【0028】
図2Eに示すように、航空交通対象18が、SWIRの照明器116Eを保持できることも考えられる。SWIRのパルス照明器116Eは、照明変調モジュール118によって提供された変調情報に従って、SWIRのパルス状の照明32を放射するように構成されている。SWIRのサブ周波数帯のパルス検出アレイ103Eは、個別に、及び/または、センサ102と協同して、SWIRのパルス状の照明32を使用して、航空交通対象18の認識及び識別のための画像データ20及びパルスデータ25を生成する。本開示の観点から、当業者には理解されるように、画像データ20(図1に示す)及びパルスデータ25を生成するために、赤外の周波数帯の照明を使用することには、大気のくもり34、たとえば、ほこり、もや、スモッグ、及び煙などを通して撮像する際に、視認性を向上させる利点がある。次いで、視認性の向上により、比較的長いレンジにおいて、航空交通対象18の認識を可能にし、それにより、センサ102の視野104の有効深さを延ばす。このことは、SWIRのパルス状の照明の場合に特に当てはまり、これにより、同じ場所にある航空交通管制センターの検知レンジを超えて、識別レンジを延ばすことができる。
【0029】
図3を参照すると、識別システム100が示されている。識別システム100は、プロセッサ108、データインターフェース110、ユーザインターフェース112、及びメモリ114を含んでいる。プロセッサ108は、データインターフェース110と通信し、また、データインターフェース110を通してセンサ102と通信するように配置されており、データリンク106を介してセンサ102から画像データ20を受信する。プロセッサ108は、飛行場10(図1に示す)の画像36を表示するための、ユーザインターフェース112の操作可能な接続のために、ユーザインターフェース112と通信するようにも配置されている。
【0030】
メモリ114は、命令を有する複数のプログラムモジュールを有している。この命令は、このプログラムモジュール上に記録されており、プロセッサ108によって読み込まれた際に、プロセッサ108に、特定の操作を実行させる。この操作は、たとえば、以下に記載するように、航空交通対象識別方法200の操作である。モジュールの中には、飛行場、及びこの飛行場の周囲における、航空交通対象の形状40を認識するための航空交通対象認識モジュール120、ならびに、飛行場、及びこの飛行場の周囲における、航空交通対象の正体38を判定するための航空交通対象識別モジュール122がある。識別システム100が、意図した用途に適切であるように、回路、ソフトウェア、またはソフトウェアと回路との両方の組合せを使用して実施されることが考えられる。
【0031】
図4を参照すると、航空交通対象識別方法200が示されている。航空交通対象識別方法200は、ボックス210で示すように、パルス状の照明、たとえば、パルス状の照明24から32(図2Aから図2Eに示す)を放射することを含んでいる。パルス状の照明は、ボックス212で示すように、個別の航空交通対象を識別する情報を含むように変調されている。特定の実施形態では、パルス状の照明は、ボックス214で示すように、可視波長の周波数帯内とすることができる。特定の実施形態によれば、パルス状の照明は、ボックス216で示すように、赤外波長の周波数帯内とすることができる。パルス状の照明は、ボックス218からボックス222で示すように、LWIR、MWIR、及び/またはSWIRの周波数帯など、赤外のサブ周波数帯内とすることができることも考えられる。
【0032】
航空交通対象識別方法200は、ボックス230で示すように、パルス状の照明を、センサ、たとえば、パルス検出アレイ103(図1に示す)、及び/または、センサ102(図1に示す)で受信することをも含んでいる。パルス状の照明は、ボックス232で示すように、復調され、ボックス240で示すように、変調された照明に含まれる情報に基づき、航空交通対象が識別される。航空交通対象の正体は、ボックス250で示すように、ユーザインターフェース、たとえば、ユーザインターフェース112(図3に示す)に表示される。ユーザインターフェースは、図3に例示的画像(またはビデオ)24で示すように、飛行場、及び/または、飛行場の周囲の、少なくとも一部を表示する間、飛行場から離れて配置することができる。特定の実施形態では、航空機は、ボックス250で示すように、センサで受信した照明を使用して、形状認識アルゴリズムまたは類似のユーティリティなどで認識することもでき、ボックス260で示すように、パルス照明器を伴わずに、及び/または、操作可能なパルス照明器で、航空交通対象を統合することの柔軟性を提供する。形状の認識は、ボックス270に示すように、航空機の正体とともに表示することができる。
【0033】
商業用及び軍事用の航空交通管制は、従来型の航空交通管制塔から、デジタル航空交通管制センターへと移行している。マスト上に取り付けられたデジタル撮像センサは、ライブ画像を、安全な設備内の航空交通管制員に伝達することにより、デジタル航空交通管制センターが有する視認性を向上させることができる。これにより、空港上の設置面積を低減し、航空交通管理員が危険にさらされないようにしている。
【0034】
本明細書に記載の実施形態では、パルス検出アレイ及びパルスエミッタが、デジタル航空交通管制センターにおける視認性をさらに向上させるために採用されている。特定の実施形態によれば、デジタル航空交通管制センター内での航空機の識別のために、SWIR、MWIR、及び/またはLWIRの照明を採用するパルス検出アレイ及びパルスエミッタが採用される。識別は、航空機間、及び、航空機とデジタル航空交通管制センターとの間の、1方向及び2方向の通信を促進するように、対象の認識によって増大し得る。たとえば、航空機に保持されたパルスLED赤外エミッタ、及び、パルス検出ピクセル技術のSWIR撮像器は、パン、ティルト、及び/またはズームの能力を伴って、マスト上に取り付けることができる。そのような、SWIR撮像器は、もやの深い日には、認識の目的に関し、可視センサよりも優れており、パルス検出能力により、長距離にある、遠くの航空機を検出し、明確に識別する。これにより、少ないフォールスポジティブまたはフォールスネガティブの割合で、航空機の長距離の自動撮像及び識別が可能になることが考えられる。赤外撮像は、大気中のひどいぼやけの要素(ほこり、もや、スモッグ、煙)の環境で採用され、パルス検出アレイがパルス状の照明と対になっている場合、航空機などの対象を長距離で検出及び識別できる利点をも有している。
【0035】
上述し、図面に示したような、本開示の方法及びシステムは、低いフォールスポジティブまたはフォールスネガティブの割合、及び、ひどい大気のくもりを通しての撮像の能力を含む、優れた特性で、航空機の、長距離で自動的な撮像及び識別を提供する。開示の主題の装置及び方法が、好ましい実施形態を参照して図示及び記載されてきたが、当業者は、変更及び/または変化が、開示の主題の範囲を逸脱することなく、これら装置及び方法に対して行われ得ることを容易に理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4