(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】センサチップ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20231221BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G01L9/00 303B
H01L29/84 B
H01L29/84 A
(21)【出願番号】P 2019174118
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 将志
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-32451(JP,A)
【文献】特開2007-132942(JP,A)
【文献】特開2005-227283(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2008-0029555(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に固定される圧力検出用のセンサチップであって、
圧力が作用するダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部の外周端部に固定されて前記ダイヤフラム部を支持しており、前記ダイヤフラム部の厚みよりも厚く構成されている支持部と、
前記ダイヤフラム部に配置されている少なくとも1個のピエゾ抵抗部と、を備えており、
前記支持部は、前記ダイヤフラム部の前記外周端部の周りで厚み方向に延びている第1溝部と、
前記第1溝部の周りで前記厚み方向に延びている第2溝部と、前記第
2溝部よりも外側で前記基部に固定される固定部とを備えており、
前記基部は、前記支持部の厚み方向において前記ダイヤフラム部と対向する位置に開口部を備えて
おり、
前記支持部の前記厚み方向と直交する方向に前記支持部を視たときに前記第1溝部と前記第2溝部とが重なる部分が存在し、
前記第1溝部は、前記支持部の前記厚み方向の一端部で開口しており、
前記第2溝部は、前記支持部の前記厚み方向の他端部で開口しており、
前記固定部は、前記支持部の前記厚み方向の他端部に設けられている、センサチップ。
【請求項2】
前記第1溝部は、前記ダイヤフラム部の前記外周端部の周りで連続して一周している、請求項
1に記載のセンサチップ。
【請求項3】
前記第2溝部は、前記第1溝部の周りで連続して一周している、請求項
1又は2に記載のセンサチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、センサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に圧力検出用のセンサチップが開示されている。特許文献1のセンサチップは、圧力が作用するダイヤフラム部と、ダイヤフラム部の外周端部に固定されてダイヤフラム部を支持しており、ダイヤフラム部の厚みよりも厚く構成されている支持部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のセンサチップは、支持部が基部(例えば、配線基板)に固定されることが考えられる。支持部が基部に固定される構成では、その固定部で応力が生じることがある。例えば、支持部の熱膨張率と基部の熱膨張率との差に起因して固定部に熱応力が生じることがある。固定部で生じた応力がダイヤフラム部に影響すると圧力の検出精度が低下することが考えられる。
【0005】
本明細書は、基部に固定される固定部で生じる応力がダイヤフラム部に影響することを抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示するセンサチップは、基部に固定される圧力検出用のセンサチップである。センサチップは、圧力が作用するダイヤフラム部と、前記ダイヤフラム部の外周端部に固定されて前記ダイヤフラム部を支持しており、前記ダイヤフラム部の厚みよりも厚く構成されている支持部と、を備えていてもよい。前記支持部は、前記ダイヤフラム部の前記外周端部の周りで厚み方向に延びている第1溝部と、前記第1溝部よりも外側で前記基部に固定される固定部とを備えていてもよい。
【0007】
センサチップの支持部が基部に固定される構成では、支持部に設けられている固定部に応力が生じることがある。例えば、支持部の熱膨張率と基部の熱膨張率との差に起因して支持部に設けられている固定部に熱応力が生じることがある。しかしながら、上記の構成では、支持部がダイヤフラム部の外周端部の周りで厚み方向に延びている第1溝部を備えており、その第1溝部よりも外側に設けられている固定部において支持部が基部に固定される。そのため、基部に固定される固定部とダイヤフラム部の外周端部との間に第1溝部が介在することになる。これによって、固定部に生じる応力がダイヤフラム部に影響することを抑制することができる。
【0008】
前記支持部は、前記第1溝部の周りで前記厚み方向に延びている第2溝部を備えていてもよい。前記支持部の前記厚み方向と直交する方向に前記支持部を視たときに前記第1溝部と前記第2溝部とが重なる部分が存在していてもよい。
【0009】
この構成によれば、基部に固定される固定部とダイヤフラム部の外周端部との間に第1溝部と第2溝部が介在することになる。そのため、固定部から第1溝部と第2溝部を迂回してダイヤフラム部の外周端部に至るまでの経路を長くすることができる。これによって、固定部に生じる応力がダイヤフラム部に影響することを抑制することができる。
【0010】
前記第1溝部は、前記支持部の前記厚み方向の一端部で開口していてもよい。前記第2溝部は、前記支持部の前記厚み方向の他端部で開口していてもよい。前記固定部は、前記支持部の前記厚み方向の他端部に設けられていてもよい。
【0011】
この構成によれば、固定部から第1溝部と第2溝部を迂回してダイヤフラム部の外周端部に至るまでの経路を長くすることができる。これによって、固定部に生じる応力がダイヤフラム部に影響することを抑制することができる。
【0012】
前記第1溝部は、前記ダイヤフラム部の前記外周端部の周りで連続して一周していてもよい。この構成によれば、固定部に生じる応力がダイヤフラム部に影響することをより確実に抑制することができる。
【0013】
前記第2溝部は、前記第1溝部の周りで連続して一周していてもよい。この構成によれば、固定部に生じる応力がダイヤフラム部に影響することをより確実に抑制することができる。
【0014】
前記ダイヤフラム部に配置されている少なくとも1個のピエゾ抵抗部を更に備えていてもよい。ダイヤフラム部にピエゾ抵抗部が配置されていても、固定部に生じる応力がダイヤフラム部に影響することを抑制することによって、固定部に生じる応力がピエゾ抵抗部に影響することを抑制することができ、ダイヤフラム部に作用する圧力を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
【
図4】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
【
図5】他の実施例に係るセンサチップの上面図である。
【
図6】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
【
図7】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例に係るセンサチップ1について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、実施例に係るセンサチップ1は、ダイヤフラム部10と、複数(本実施例では4個)のピエゾ抵抗部20と、支持部30とを備えている。また、センサチップ1は、第1溝部40と、第2溝部50とを備えている。センサチップ1は、例えば、半導体であるSi基板から作製されている。センサチップ1は、例えば、配線基板200(基部の一例)に固定されている。センサチップ1は、流体(液体及び/又は気体)の圧力を検出するために用いられる。圧力検出の対象である流体は、例えば水である。
【0017】
ダイヤフラム部10は、半導体(例えば、Si)からなる薄い膜状の構成である。ダイヤフラム部10は、センサチップ1の上面に沿う方向においてセンサチップ1の中央部に形成されている。ダイヤフラム部10は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。ダイヤフラム部10は、流体の圧力を受圧する受圧面14を備えている。流体の圧力が受圧面14に作用する。受圧面14は、ダイヤフラム部10の上面に形成されている。ダイヤフラム部10は、受圧面14が流体の圧力を受圧すると下側に撓むように変形する。受圧面14は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂からなる絶縁性の保護膜(不図示)で被覆されていてもよい。ダイヤフラム部10は、受圧面14と直交する方向から視たときに円形状に形成されている(
図2参照)。他の実施例では、ダイヤフラム部10は四角形状に形成されていてもよい。ダイヤフラム部10の形状は限定されるものではない。
【0018】
複数のピエゾ抵抗部20は、ダイヤフラム部10の上部に配置されている。複数のピエゾ抵抗部20は、互いに間隔をあけて配置されている。各ピエゾ抵抗部20は、ダイヤフラム部10を構成する半導体(例えば、Si)にイオン注入をすることによって形成される。各ピエゾ抵抗部20は、流体の圧力によってダイヤフラム部10が変形したときに、それに応じて歪む。各ピエゾ抵抗部20に歪みが生じると、各ピエゾ抵抗部20の抵抗値が変化する。
【0019】
複数のピエゾ抵抗部20は、ダイヤフラム部10の応力を検出するためのブリッジ回路(不図示)の一部を構成している。各ピエゾ抵抗部20は、ブリッジ回路における各抵抗要素に相当する。各ピエゾ抵抗部20には、ブリッジ回路の配線が接続されている。ブリッジ回路に基づいてダイヤフラム部10の応力を検出することによって、ダイヤフラム部10の受圧面14に作用する流体の圧力を検出することができる。ブリッジ回路に基づいて応力を検出する方法についてはよく知られているので詳細な説明を省略する。
【0020】
センサチップ1の支持部30は、ダイヤフラム部10の周りに配置されている。支持部30よりも内側にダイヤフラム部10が配置されている。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12に固定されている。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12を支持している。支持部30は、半導体(例えば、Si)から形成されている。支持部30は、ダイヤフラム部10と一体的に形成されている。上下方向における支持部30の厚みは、ダイヤフラム部10の厚みよりも厚い。支持部30は、厚いブロック状の構成である。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12の全周を囲んでいる(
図2参照)。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って連続して一周している。
【0021】
支持部30は、配線基板200に固定される固定面32(固定部の一例)を備えている。固定面32は、支持部30の下面に設けられている。固定面32は、ダイヤフラム部10の受圧面14と反対側(下側)を向いている。固定面32は、受圧面14よりも下側に位置している。固定面32は、配線基板200の上面に接着剤90によって接着されている。接着剤90は、例えばシリコーンである。固定面32は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、後述する第1溝部40及び第2溝部50よりも外側に位置している。配線基板200に固定されるセンサチップ1では、配線基板200に固定される支持部30の固定面32に応力が生じることがある。例えば、支持部30の熱膨張率と配線基板200の熱膨張率との差に起因して固定面32に熱応力が生じることがある。
【0022】
第1溝部40は、支持部30に形成されている。第1溝部40は、支持部30の上面から下方に延びている。第1溝部40は、支持部30の厚み方向(Z方向)に延びている。第1溝部40は、支持部30の上面で開口している。第1溝部40は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。第1溝部40の底面42は、ダイヤフラム部10の下面よりも下側に位置している。第1溝部40は、ダイヤフラム部10の外周端部12の周りに形成されている。第1溝部40は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、外周端部12よりも外側に形成されている。第1溝部40は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、支持部30の固定面32よりも内側に形成されている。第1溝部40は、外周端部12の全周を囲んでいる(
図2参照)。第1溝部40は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って連続して一周している。第1溝部40は、円形状に形成されている。
【0023】
第2溝部50は、支持部30に形成されている。第2溝部50は、支持部30の下面から上方に延びている。第2溝部50は、支持部30の厚み方向(Z方向)に延びている。第2溝部50は、支持部30の下面で開口している。第2溝部50は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。第2溝部50の底面52は、ダイヤフラム部10の下面よりも下側に位置している。第2溝部50の底面52は、第1溝部40の底面42よりも上側に位置している。第2溝部50は、第1溝部40の周りに形成されている。第2溝部50は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、第1溝部40よりも外側に形成されている。第2溝部50は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、支持部30の固定面32よりも内側に形成されている。第2溝部50は、支持部30の厚み方向と直交する方向において第1溝部40と重なる重複部53を備えている。支持部30の厚み方向と直交する方向に支持部30を視たときに、第1溝部40と第2溝部50とが重なる部分が存在する。重複部53は、第2溝部50の上部に形成されている。重複部53は、第1溝部40の下部と重なる。第2溝部50の上部と第1溝部40の下部とがオーバーラップしている。第2溝部50は、第1溝部40の全周を囲んでいる(
図2参照)。第2溝部50は、第1溝部40に沿って連続して一周している。第2溝部50は、円形状に形成されている。
【0024】
上記のセンサチップ1では、流体の圧力がダイヤフラム部10の受圧面14に作用すると、ダイヤフラム部10が下側に撓むように変形する。ダイヤフラム部10が変形すると、ダイヤフラム部10に配置されている複数のピエゾ抵抗部20に歪みが生じる。各ピエゾ抵抗部20に歪みが生じると、各ピエゾ抵抗部20の抵抗値が変化する。複数のピエゾ抵抗部20の抵抗値を利用して、ブリッジ回路に基づいてダイヤフラム部10の応力が検出される。
【0025】
以上、実施例に係るセンサチップ1について説明した。上記の説明から明らかなように、センサチップ1は、ダイヤフラム部10の外周端部12に固定されてダイヤフラム部10を支持しており、ダイヤフラム部10の厚みよりも厚く構成されている支持部30を備えている。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12の周りで厚み方向(Z方向)に延びている第1溝部40と、第1溝部40よりも外側で配線基板200に固定される固定面32とを備えている。
【0026】
この構成によれば、支持部30に設けられている固定面32とダイヤフラム部10の外周端部12との間に第1溝部40が介在することになる。そのため、例えば支持部30の熱膨張率と配線基板200の熱膨張率との差に起因して支持部30の固定面32で熱応力が生じたとしても、その応力がダイヤフラム部10に影響することを抑制することができる。これによって、センサチップ1の圧力検出精度を高めることができる。
【0027】
また、上記のセンサチップ1では、支持部30が、第1溝部40の周りで厚み方向(Z方向)に延びている第2溝部50を備えている。支持部30の厚み方向と直交する方向に支持部30を視たときに第1溝部40と第2溝部50とが重なる部分が存在する。この構成によれば、支持部30に設けられている固定面32とダイヤフラム部10の外周端部12との間に第1溝部40と第2溝部50が介在することになる。そのため、固定面32から第1溝部40と第2溝部50を迂回してダイヤフラム部10の外周端部12に至るまでの経路を長くすることができる。これによって、固定面32に生じる応力がダイヤフラム部10に影響することを抑制することができる。
【0028】
また、上記のセンサチップ1では、第1溝部40が、支持部30の上面で開口しており、第2溝部50が、支持部30の下面で開口している。また、固定面32が、支持部30の下面に設けられている。この構成によれば、固定面32から第1溝部40と第2溝部50を迂回してダイヤフラム部10の外周端部12に至るまでの経路を長くすることができる。これによって、固定面32に生じる応力がダイヤフラム部10に影響することを抑制することができる。
【0029】
また、上記のセンサチップ1では、第1溝部40が、ダイヤフラム部10の外周端部12の周りで連続して一周している。更に、第2溝部50が、第1溝部40の周りで連続して一周している。この構成によれば、固定面32に生じる応力がダイヤフラム部10に影響することをより確実に抑制することができる。
【0030】
(対応関係)
支持部30の上面が、「支持部の厚み方向の一端部」に対応する。支持部30の下面が、「支持部の厚み方向の他端部」に対応する。
【0031】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
(1)他の実施例では、
図3に示すように、センサチップ1が絶縁膜60を備えていてもよい。絶縁膜60は、例えばSiO
2膜である。絶縁膜60は、ダイヤフラム部10の下に配置されている。絶縁膜60は、ダイヤフラム部10の下面の全体を覆っている。絶縁膜60は、ダイヤフラム部10の下面に沿う方向に延びている。絶縁膜60は、ダイヤフラム部10の下面に沿う方向においてダイヤフラム部10の外周端部12よりも外側まで延びている。更に、絶縁膜60は、ダイヤフラム部10から支持部30にわたって延びている。絶縁膜60は、支持部30の内部に配置されている。
【0033】
(2)他の実施例では、
図4及び
図5に示すように、センサチップ1が第3溝部70を備えていてもよい。第3溝部70は、支持部30に形成されている。第3溝部70は、支持部30の上面から下方に延びている。第3溝部70は、支持部30の厚み方向(Z方向)に延びている。第3溝部70は、支持部30の上面で開口している。第3溝部70は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。第3溝部70の底面72は、ダイヤフラム部10の下面よりも下側に位置している。第3溝部70の底面72は、第2溝部50の底面52よりも下側に位置している。第3溝部70は、第2溝部50の周りに形成されている。第3溝部70は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、第2溝部50よりも外側に形成されている。第3溝部70は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、支持部30の固定面32よりも内側に形成されている。第3溝部70は、支持部30の厚み方向と直交する方向において第2溝部50と重なる重複部73を備えている。支持部30の厚み方向と直交する方向に支持部30を視たときに、第2溝部50と第3溝部70とが重なる部分が存在する。重複部73は、第3溝部70の下部に形成されている。重複部53は、第2溝部50の上部と重なる。第3溝部70の下部と第2溝部50の上部とがオーバーラップしている。第3溝部70は、第2溝部50の全周を囲んでいる(
図5参照)。第3溝部70は、第2溝部50に沿って連続して一周している。第3溝部70は、円形状に形成されている。
【0034】
(3)また、他の実施例では、
図4に示すように、固定面32が、センサチップ1の上面に設けられていてもよい。固定面32は、ダイヤフラム部10の受圧面14側(上側)を向いている。固定面32は、配線基板200の下面に接着剤90によって接着されている。固定面32は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、第3溝部70よりも外側に位置している。この構成によっても、固定面32に生じる応力がダイヤフラム部10に影響することを抑制することができる。
【0035】
(4)上記の実施例では、センサチップ1の支持部30が配線基板200に固定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、
図6に示すように、センサチップ1の支持部30がガラス部材130(基部の他の一例)に固定されていてもよい。支持部30は、接着剤を介さずにガラス部材130に固定されていてもよい。ガラス部材130は、支持部30の下面に固定されている。ガラス部材130は、支持部30を支持している。ガラス部材130は、開口部132を備えている。ガラス部材130は、その開口部132がダイヤフラム部10と向かい合うように配置されている。他の例では、ガラス部材130が開口部132を備えていなくてもよい。ガラス部材130は、配線基板200に固定されている。この構成によっても、固定面32に生じる応力がダイヤフラム部10に影響することを抑制することができる。また、ダイヤフラム部10に対する配線基板200の影響をガラス部材130によって小さくすることができる。
【0036】
(5)上記の実施例では、センサチップ1の支持部30が配線基板200に固定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、センサチップ1の支持部30が管又は容器(基部の他の一例)に固定されていてもよい(不図示)。更に、センサチップ1の支持部30が管又は容器の内面に固定されていてもよい。この場合は、センサチップ1が管又は容器の内部に配置される。この構成によれば、容器又は管の内部の流体の圧力がセンサチップ1に作用したときに、センサチップ1が容器又は管の内面に押し付けられるので、センサチップ1を容器又は管に強固に固定することができる。
【0037】
(6)上記の実施例では、ダイヤフラム部10に複数のピエゾ抵抗部20が配置されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、ダイヤフラム部10の上面又は下面に接続されている他の部材に複数のピエゾ抵抗部20が配置されていてもよい。ダイヤフラム部10が撓むように変形したときにピエゾ抵抗部20に歪みが生じる構成であればよい。
【0038】
(7)上記の実施例では、支持部30の下面に固定面32が設けられていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、
図7に示すように、支持部30の外周面に固定面32が設けられていてもよい。支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向においてセンサチップ1よりも外側に配置されている配線基板200に支持部30の固定面32が固定されていてもよい。
【0039】
(8)上記の実施例では、第1溝部40がダイヤフラム部10の外周端部12に沿って連続して一周していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、第1溝部40が連続していなくてもよい。第1溝部40がダイヤフラム部10の外周端部12に沿って断続的に形成されていてもよい。また、第2溝部50と第3溝部70についても同様である。
【0040】
(9)上記の実施例では、センサチップ1が接着剤90によって配線基板200に固定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、接着剤60に代えて、はんだや低融点ガラスが用いられてもよい。
【0041】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0042】
1:センサチップ、10:ダイヤフラム部、12:外周端部、14:受圧面、20:ピエゾ抵抗部、30:支持部、32:固定面、40:第1溝部、50:第2溝部、60:絶縁膜、70:第3溝部、90:接着剤、200:配線基板