(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】健康状態判定装置、プログラム、健康状態判定方法及び腸内細菌存在比率算出方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20231221BHJP
【FI】
G16H10/40
(21)【出願番号】P 2019193751
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓志
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 詩織
(72)【発明者】
【氏名】森下 聡
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-183663(JP,A)
【文献】特開2012-165716(JP,A)
【文献】特開2017-163980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の口腔内容物に含まれる口腔細菌の種類を示す情報を含む口腔環境情報を取得する口腔環境情報取得部と、
ヒトの口腔内に存在する口腔細菌の種類を示す情報と、ヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報とが互いに対応付けられた細菌対応情報と、前記口腔環境情報取得部が取得する前記被験者の前記口腔環境情報とに基づいて、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類を推定する演算部としての腸内環境推定部と、
前記演算部が演算する演算結果を出力する出力部と、
を備える健康状態判定装置。
【請求項2】
ヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報と、ヒトの疾患の状態を示す情報とが互いに対応付けられた疾患対応情報と、前記腸内環境推定部が推定する前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類とに基づいて、前記被験者の疾患の状態を判定する演算部としての疾患状態判定部、
をさらに備え、
前記出力部は、
前記疾患状態判定部が判定する前記被験者の疾患の状態を前記演算部が演算する他の情報に代えて、又は他の情報に加えて出力する
請求項1に記載の健康状態判定装置。
【請求項3】
ヒトの疾患の状態を示す情報と、疾患に対応する情報であり疾患の予防及び改善に有用な情報である提案情報とが互いに対応付けられた提案情報と、前記疾患状態判定部が判定する前記被験者の疾患の状態とに基づいて、前記被験者の疾患に対応する提案情報を判定する演算部としての提案情報判定部、
をさらに備え、
前記出力部は、
前記提案情報判定部が判定する前記被験者の疾患に対応する提案情報を前記演算部が演算する他の情報に代えて、又は他の情報に加えて出力する
請求項2に記載の健康状態判定装置。
【請求項4】
コンピュータに、
被験者の口腔内容物に含まれる口腔細菌の種類を示す情報を含む口腔環境情報を取得する口腔環境情報取得ステップと、
ヒトの口腔内に存在する口腔細菌の種類を示す情報と、ヒトの口腔内に存在する特定の口腔細菌と対応してヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報とが互いに対応付けられた細菌対応情報と、前記口腔環境情報取得ステップにより取得された前記被験者の前記口腔環境情報とに基づいて、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類を推定する腸内環境推定ステップと、
前記腸内環境推定ステップにより推定された前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類を出力する出力ステップと、
をさせるプログラム。
【請求項5】
コンピュータに情報処理を実行させることにより健康状態を判定する方法であって、
被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定
する測定工程と、
前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出
する算出工程と、
前記F/B比及び前記フィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つから前記被験者の健康状態を判定する
判定工程と、
を有し、
前記算出工程は、口腔内細菌の存在比率と腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線を用いることによる算出を行う、
健康状態判定方法。
【請求項6】
コンピュータに情報処理を実行させることにより被験者のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率を算出する方法であって、
被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定
する測定工程と、
前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出する
算出工程と、
を有し、
前記算出工程は、口腔内細菌の存在比率と腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線を用いることによる算出を行う、
腸内細菌存在比率算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康状態判定装置、プログラム、健康状態判定方法及び腸内細菌存在比率算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者から採取した糞便を検査することにより、当該被験者の腸内環境を判定する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら被験者によっては、糞便の採取に際して心理的なハードルを感じることにより、糞便の採取に抵抗感を示す場合があった。また、糞便を排泄するには便意があるときでなければならず、被験者によっては糞便を採取したいときに採取できない場合があった。さらに、排泄した糞便から検体を採取するのにも時間がかかる。
すなわち、糞便を採取することで検体を得るような腸内環境の判定方法には、容易に検体を採取できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、容易に検体を採取可能な方法による健康状態判定装置及びプログラム、並びに被験者の口腔内細菌の状態から腸内細菌の状態を推定し、被験者の健康状態を判定する方法及び被験者の腸内環境を判定する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る健康状態判定装置は、被験者の口腔内容物に含まれる口腔細菌の種類を示す情報を含む口腔環境情報を取得する口腔環境情報取得部と、ヒトの口腔内に存在する口腔細菌の種類を示す情報と、ヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報とが互いに対応付けられた細菌対応情報と、前記口腔環境情報取得部が取得する前記被験者の前記口腔環境情報とに基づいて、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類を推定する演算部としての腸内環境推定部と、前記演算部が演算する演算結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る健康状態判定装置は、ヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報と、ヒトの疾患の状態を示す情報とが互いに対応付けられた疾患対応情報と、前記腸内環境推定部が推定する前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類とに基づいて、前記被験者の疾患の状態を判定する演算部としての疾患状態判定部、をさらに備え、前記出力部は、前記疾患状態判定部が判定する前記被験者の疾患の状態を前記演算部が演算する他の情報に代えて、又は他の情報に加えて出力する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る健康状態判定装置は、ヒトの疾患の状態を示す情報と、疾患に対応する情報であり疾患の予防及び改善に有用な情報である提案情報とが互いに対応付けられた提案情報と、前記疾患状態判定部が判定する前記被験者の疾患の状態とに基づいて、前記被験者の疾患に対応する提案情報を判定する演算部としての提案情報判定部、をさらに備え、前記出力部は、前記提案情報判定部が判定する前記被験者の疾患に対応する提案情報を前記演算部が演算する他の情報に代えて、又は他の情報に加えて出力する。
【0009】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、被験者の口腔内容物に含まれる口腔細菌の種類を示す情報を含む口腔環境情報を取得する口腔環境情報取得ステップと、ヒトの口腔内に存在する口腔細菌の種類を示す情報と、ヒトの口腔内に存在する特定の口腔細菌と対応してヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報とが互いに対応付けられた細菌対応情報と、前記口腔環境情報取得ステップにより取得された前記被験者の前記口腔環境情報とに基づいて、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類を推定する腸内環境推定ステップと、前記腸内環境推定ステップにより推定された前記被験者の腸内に存在する腸内細菌の種類を出力する出力ステップと、をさせるプログラムである。
【0010】
本発明の一態様に係る健康状態判定方法は、コンピュータに情報処理を実行させることにより健康状態を判定する方法であって、被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定する測定工程と、前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出する算出工程と、前記F/B比及び前記フィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つから前記被験者の健康状態を判定する判定工程と、を有し、前記算出工程は、口腔内細菌の存在比率と腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線を用いることによる算出を行う方法である。
【0011】
本発明の一態様に係る腸内細菌存在比率算出方法は、コンピュータに情報処理を実行させることにより被験者のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率を推定する方法であって、被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定する測定工程と、前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出する算出工程と、を有し、前記算出工程は、口腔内細菌の存在比率と腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線を用いることによる算出を行う方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容易に検体を採取可能な方法による健康状態判定装置及びプログラム、並びに被験者の口腔内細菌の状態から腸内細菌の状態を推定し、被験者の健康状態を判定する方法及び被験者の腸内環境を判定する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態における健康状態判定システムの実施例を示す図である。
【
図2】実施形態における口腔環境情報の一例を示す図である。
【
図3】実施形態における健康状態判定システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態における細菌対応情報の一例を示す図である。
【
図5】実施形態における疾患対応情報の一例を示す図である。
【
図6】実施形態における提案情報の一例を示す図である。
【
図7】実施形態における健康状態判定装置の動作の一例を示す図である。
【
図8】口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、フィルミクテス(Firmicutes)門/バクテロイデテス(Bacteroidetes)門比との関係を示した散布図である。
【
図9】口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、腸内に存在するフィルミクテス(Firmicutes)門の存在比率との関係を示した散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[健康状態判定システム100の概要]
図1は、実施形態における健康状態判定システム100の実施例を示す図である。健康状態判定システム100は、被験者90から取得された口腔内容物OCに基づいて、被験者90の健康状態を示す情報である健康状態情報HCを提供する。
【0015】
被験者90とは、健康状態判定システム100を使用するユーザである。被験者90は、健康状態判定システム100において、口腔内容物OCを提供することにより、健康状態情報HCを得る。
健康状態判定システム100は、病院や検査機関等で実施されるシステムである場合がある。その場合、被験者90は健康状態判定システム100を実施する場所に行って、口腔内容物OCを採取及び提供する。
被験者90は病院や検査機関等に行かなくても適当な場所(自宅、学校、職場等)で健康状態情報HCを受け取ってもよい。健康状態判定システム100は、健康状態情報HCを郵送で被験者90のもとに送付することにより、被験者90は書面で健康状態情報HCを受け取ってもよい。被験者90は、健康状態情報HCをインターネット等のネットワークを通して閲覧する形態でもよい。
また別の実施形態として、健康状態判定システム100は、郵送を前提としたサービスとして行われる場合がある。例えば被験者90は、自宅から所定の送付先に口腔内容物OCを送付することにより、病院や検査機関等に赴くことなく健康状態情報HCを得ることができる。この場合、健康状態情報HCは、郵送で被験者90のもとに送付されてもよいし、被験者90がインターネット等のネットワークを通して閲覧する形態でもよい。
【0016】
口腔内容物OCとは、唾液等の口腔内に含まれる検体をいう。この実施例において口腔内容物OCは、唾液をいう。被験者90は、所定の容器に所定量の唾液を吐き出すことにより、口腔内容物OCを提供する。
また口腔内容物OCは、洗口吐出液により採取されてもよい。例えば洗口吐出液は、所定量の滅菌水を口内全体にいきわたるように口内の前後左右に所定時間ゆすぐことで採取する。所定量の水を使用する場合、必要量としては1~5mLが好ましい。
【0017】
[口腔環境情報OIについて]
被験者90は、口腔環境測定装置80に口腔内容物OCを提供する。口腔環境測定装置80は、口腔内容物OCの測定結果に基づき、健康状態判定装置10に口腔環境情報OIを提供する。
口腔環境情報OIとは、口腔内容物OCから検出される菌の情報である。例えば口腔環境情報OIは、口腔内容物OCから検出される菌における、それぞれの菌が占める比率(以下、存在比率とする。)である。一例として、口腔環境情報OIは、健康状態判定装置10の解析対象である菌のうち、所定の存在比率以上を占める菌についての情報である。
【0018】
図2は、実施形態における口腔環境情報OIの一例を示す図である。
この一例において、口腔環境情報OIは、口腔内容物OCに基づいて検出される菌を、門レベルで示している。含有率とは上述した存在比率のことである。この一例において、口腔環境情報OIは、口腔内容物OCから検出され、健康状態判定装置10の解析対象である菌のうち、存在比率が0.1%以上である菌の種類を示している。
この一例における口腔環境情報OIが示す、口腔内容物OCから検出される菌の存在比率は、Firmicutesが51.745%、Proteobacteriaが20.108%、Actinobacteriaが12.692%、Bacteroidetesが11.311%、Fusobacteriaが1.984%、TM7が1.759%、SR1が0.190%である。
この一例では、口腔環境情報OIを門レベルで示しているが、その他の実施例として、上位又は下位の分類に基づいて示してもよい。
【0019】
[健康状態情報HCについて]
図1に戻って、健康状態判定装置10は、口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得する。健康状態判定装置10は取得した口腔環境情報OIに基づき、被験者90に対して健康状態情報HCを提供する。
健康状態情報HCとは、被験者90が提供する口腔内容物OCに基づき判定される健康状態を示す情報である。健康状態情報HCには、腸内環境情報IIが含まれ、好ましくは、疾患情報DIと、製品情報PIと、健康情報HIから選ばれる1種以上の情報がさらに含まれる。
【0020】
腸内環境情報IIとは、口腔環境情報OIに基づき推定される腸内環境の状態を示す情報である。この一例において腸内環境情報IIとは、腸内に存在する細菌の種類を示す情報である。なお、腸内環境情報IIは、腸内に存在する細菌の存在比率を示す情報であってもよい。
疾患情報DIとは、腸内環境情報IIに基づき判定される疾患の情報である。この一例において疾患情報DIとは、具体的な疾患の名称を示す情報である。
製品情報PIとは、疾患情報DIに基づき提案される製品の情報を示す情報である。この一例において製品情報PIとは、具体的な製品の名称を示す情報である。製品情報PIは、製品の名前に対応する価格、購入可能な場所、服用に関する情報等の情報を含んでいてもよい。この一例において製品情報PIとは、口腔ケア製品又はサプリメント等の健康食品の種類を示す情報である。その他の例として製品情報PIは、具体的な製品名でなく、製品の種類を示唆する情報であってもよい。
健康情報HIとは疾患情報DIに基づき判定される健康に関する情報である。この一例において健康情報HIには、疾患を予防又は改善するために有用な情報が含まれる。
【0021】
[健康状態判定システム100の機能構成の一例]
図3は、実施形態における健康状態判定システム100の機能構成の一例を示す図である。
健康状態判定システム100は、口腔環境測定装置80と、健康状態判定装置10と、提示部70とを備える。上述したように健康状態判定システム100は、被験者90から口腔内容物OCを検体として取得することにより、被験者90の健康状態を示す情報である健康状態情報HCを提供する。
口腔環境測定装置80は、健康状態判定装置10に口腔環境情報OIを提供する。この一例において、口腔環境測定装置80は、口腔細菌検査装置である。口腔環境測定装置80は、口腔内容物OCに含まれる口腔細菌の種類を示す口腔環境情報OIを、健康状態判定装置10に提供する。
健康状態判定装置10は、口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得する。健康状態判定装置10は、口腔環境測定装置80から取得する口腔環境情報OIに基づき、健康状態情報HCを提示部70に出力する。
なお、口腔環境測定装置80は、採取された検体(唾液)について、公知の方法により分析を行い、口腔環境情報を出力する。口腔内容物の測定方法としては特に限定はされないが、例えば後述するリアルタイムPCR法といった方法が知られており、好ましい。
【0022】
提示部70は、健康状態判定装置10から腸内環境情報IIを取得し、好ましくは、疾患情報DI、製品情報PI及び健康情報HIから選ばれる1種以上の情報をさらに取得する。提示部70は、例えば液晶表示面を備えており、健康状態判定装置10から取得する腸内環境情報II、疾患情報DI、製品情報PI及び健康情報HIを提示する。
この実施例において、提示部70は画像表示装置であるとして説明するが、これに限られず、プリンタ装置やスピーカ装置などの情報出力装置として構成されていてもよい。
【0023】
[健康状態判定装置10の機能構成の一例]
健康状態判定装置10は、口腔環境情報取得部20と、腸内環境推定部30と、出力部60とを備え、好ましくは、細菌対応情報記憶部35と、疾患状態判定部40と、疾患対応情報記憶部45と、提案情報判定部50と、提案情報記憶部55をさらに備える。
以後、腸内環境推定部30と、疾患状態判定部40と、提案情報判定部50とを区別しない場合には、演算部とも記載する。
健康状態判定装置10は、口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得し、取得した口腔環境情報OIに基づき、腸内環境情報IIを提供し、好ましくは、疾患情報DI、製品情報PI及び健康情報HIから選ばれる1種以上の情報をさらに提供する。
【0024】
健康状態判定装置10は、いずれも不図示のCPU(制御部)、汎用ROM(汎用記憶部)、汎用RAM(汎用一次記憶部)、通信部を備える。
【0025】
口腔環境情報取得部20は、被験者90の口腔内容物OCに含まれる口腔細菌の種類を示す情報を含む口腔環境情報を取得する。具体的には、上述したように口腔環境測定装置80は、被験者90から口腔内容物OCを取得し、健康状態判定装置10に口腔環境情報OIを提供する。口腔環境情報取得部20は、口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得する。
口腔環境情報OIは、電子データで提供されてもよいし、バーコード又は二次元コードで提供されてもよい。口腔環境情報OIが電子データで提供される場合、口腔環境情報取得部20は通信部である。口腔環境情報OIがバーコード又は二次元コードで提供される場合、口腔環境情報取得部20はレーザスキャナやCCDスキャナ(カメラを含む)等のスキャナである。
口腔環境情報取得部20は、取得した口腔環境情報OIを、腸内環境推定部30に提供する。
【0026】
腸内環境推定部30は、口腔環境情報取得部20から口腔環境情報OIを取得する。腸内環境推定部30は口腔細菌の種類から、腸内細菌の種類を推定する。
細菌対応情報記憶部35は、ヒトの口腔内に存在する口腔細菌の種類を示す情報である口腔環境情報OIと、ヒトの口腔内に存在する特定の口腔細菌と対応してヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報である腸内環境情報IIとが互いに対応付けられた情報(すなわち細菌対応情報)を記憶する。
【0027】
図4は、実施形態における細菌対応情報の一例を示す図である。
細菌対応情報は、口腔細菌と腸内細菌との対応を示す情報である。この一例において、口腔細菌Aは腸内細菌aに対応し、口腔細菌Bは腸内細菌bに対応する。この場合、口腔細菌と腸内細菌の対応は1対1に限らずどちらかの項目の情報が複数になることもある
一例として、口腔細菌は門レベルで示されている場合がある。細菌対応情報が示す口腔細菌は、口腔環境情報OIで示されるレベルと同一である。
【0028】
腸内環境推定部30は、口腔環境情報OIに基づいて細菌対応情報記憶部35を探索し、対応する腸内環境情報IIを得る。
つまり、腸内環境推定部30は、細菌対応情報記憶部35に記憶される細菌対応情報と、口腔環境情報取得部20が取得する被験者90の口腔環境情報OIとに基づいて、被験者90の腸内に存在する腸内細菌の種類を推定する。
なお、この際に腸内細菌の存在比率の推定も備えてもよい。
腸内環境推定部30は、推定した腸内環境情報IIを疾患状態判定部40及び出力部60の双方もしくはいずれか一方に提供する。
【0029】
健康状態判定装置10は、疾患状態判定部40及び疾患対応情報記憶部45の双方もしくはいずれか一方を任意の構成要件として備えていてもよい。具体的には、疾患状態判定部40は、腸内環境推定部30から腸内環境情報IIを取得する。疾患状態判定部40は、腸内細菌の種類から疾患の状態を判定する。なお、判定の際には推定した腸内細菌の存在比率も用いてもよい。
疾患対応情報記憶部45は、ヒトの腸内に存在する腸内細菌の種類を示す情報である腸内環境情報IIと、当該種類の腸内細菌が腸内に存在することと関連するヒトの疾患の状態を示す情報である疾患情報DIとが互いに対応付けられた情報(すなわち、疾患対応情報)を記憶する。
【0030】
図5は、実施形態における疾患対応情報の一例を示す図である。
疾患対応情報は、腸内細菌と、疾患との対応を示す情報である。この一例において、腸内細菌aは疾患a1に対応し、腸内細菌bは疾患b1に対応する。なお、腸内細菌と疾患の対応は1対1に限らず、どちらかの項目の情報が複数になることもある。
一例として、疾患は具体的な疾患の名称を示す。その他の実施例として、疾患は疾患の兆候であってもよいし、疾患の状態(例えば、重篤さの加減を表す情報)を段階的に示してもよい。
【0031】
疾患状態判定部40は、腸内環境情報IIに基づいて疾患対応情報記憶部45を探索し、対応する疾患情報DIを得る。
つまり、疾患状態判定部40は、疾患対応情報記憶部45に記憶される疾患対応情報と、腸内環境推定部30が推定する被験者90の腸内に存在する腸内細菌の種類とに基づいて、被験者90の疾患の状態を判定する。
疾患状態判定部40は、推定した疾患情報DIを提案情報判定部50及び出力部60の双方もしくはいずれか一方に提供する。
【0032】
健康状態判定装置10は、提案情報判定部50及び提案情報記憶部55の双方もしくはいずれか一方を任意の構成要件として備えていてもよい。具体的には、提案情報判定部50は、疾患状態判定部40から疾患情報DIを取得する。提案情報判定部50は、疾患の状態からその疾患を治癒するために有効な製品の製品情報や、その疾患を予防又は改善するために有用な情報である健康情報を判定する。
提案情報記憶部55は、ヒトの疾患の状態を示す情報と、疾患に対応する製品情報や健康情報であり、疾患の予防及び改善に有用な情報である提案情報とが互いに対応付けられた情報(すなわち、提案情報)を記憶する。
【0033】
図6は、実施形態における提案情報の一例を示す図である。
提案情報は、疾患と、製品情報と、健康情報との対応を示す情報である。この一例において、疾患a1は口腔ケア製品a1及び情報a1に対応し、疾患b1はサプリメントb1及び情報b1に対応する。
一例として、製品情報は、口腔ケア製品又はサプリメント等の健康食品である。また、他の一例として、健康情報は、疾患を予防又は改善するために有用な情報である。
【0034】
提案情報判定部50は、疾患情報DIに基づいて提案情報記憶部55を探索し、対応する製品情報PI及び健康情報HIを得る。
つまり、提案情報判定部50は、提案情報記憶部55に記憶される提案情報と、疾患状態判定部40が判定する被験者90の疾患の状態とに基づいて、被験者90の疾患に対応する提案情報を判定する。
提案情報には、製品情報PI及び健康情報HIが含まれる。提案情報判定部50は、判定した製品情報PI及び健康情報HIを出力部60に提供する。
【0035】
出力部60は、腸内環境推定部30から腸内環境情報IIを取得し、好ましくは、疾患状態判定部40から疾患情報DIを取得し、提案情報判定部50から製品情報PI及び健康情報HIをさらに取得する。出力部60は、演算部(腸内環境推定部30、疾患状態判定部40及び提案情報判定部50のうちの少なくとも一つ)が演算する演算結果を提示部70に提示させる。具体的には、出力部60は取得した腸内環境情報IIを提示し、好ましくは、疾患情報DIと、製品情報PIと、健康情報HIとをさらに提示部70に提示させる。
なお、出力部60は、腸内環境情報IIと、疾患情報DIとを取得している場合には、疾患情報DIのみを出力してもよいし、腸内環境情報IIと、疾患情報DIとをともに出力してもよい。
また、出力部60は、腸内環境情報IIと、製品情報PI及び健康情報HIとを取得している場合には、製品情報PI及び健康情報HIを出力してもよいし、腸内環境情報IIと、製品情報PI及び健康情報HIをともに出力してもよい。
また、出力部60は、腸内環境情報IIと、疾患情報DIと、製品情報PI及び健康情報HIとを取得している場合には、疾患情報DIと、製品情報PI及び健康情報HIをともに出力してもよいし、腸内環境情報IIと、疾患情報DIと、製品情報PI及び健康情報HIをともに出力してもよい。
つまり、出力部60は、腸内環境推定部30が推定する被験者90の腸内に存在する腸内細菌の種類を出力する。また、出力部60は、疾患状態判定部40が推定する被験者90の疾患の状態をさらに出力する。また、出力部60は、提案情報判定部50が判定する被験者90の疾患に対応する提案情報をさらに出力する。
【0036】
[健康状態判定装置10の動作]
健康状態判定装置10の動作の一例について説明する。
図7は、実施形態における健康状態判定装置の動作の一例を示す図である。
(ステップS10)口腔環境情報取得部20は、口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得する。口腔環境情報取得部20は取得した口腔環境情報OIを腸内環境推定部30に提供する。
(ステップS20)口腔環境情報取得部20は、口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得した場合、(ステップS20;YES)には、処理をステップS30に進める。口腔環境情報取得部20は口腔環境測定装置80から口腔環境情報OIを取得しない場合、(ステップS20;NO)には、処理をステップS10に戻す。
【0037】
(ステップS30)腸内環境推定部30は口腔環境情報取得部20から口腔環境情報OIを取得する。この一例において、口腔環境情報OIは、複数の口腔細菌の名称を含む場合がある。腸内環境推定部30は、それぞれの口腔細菌に対応する腸内細菌を推定する。具体的に腸内環境推定部30は、口腔環境情報OIが示すそれぞれの口腔細菌の名称を検索キーに、細菌対応情報記憶部35を探索する。腸内環境推定部30は、得られた腸内細菌の情報を、腸内環境情報IIとして、疾患状態判定部40及び出力部60の双方もしくはいずれか一方に提供する。腸内環境情報IIは、複数の腸内細菌の名称を含む場合がある。ユーザが腸内細菌情報IIのみを希望している場合は、腸内環境情報IIは出力部60のみに提供する。
(ステップS40)さらに疾患状態の判定を行う場合、疾患状態判定部40は腸内環境推定部30から腸内環境情報IIを取得する。この一例において、腸内環境情報IIは、複数の腸内細菌の名称を含む場合がある。疾患状態判定部40は、それぞれの腸内細菌に対応する疾患を推定する。具体的に疾患状態判定部40は、腸内環境情報IIが示すそれぞれの腸内細菌の名称を検索キーに疾患対応情報記憶部45を探索する。疾患状態判定部40は得られた疾患の情報を疾患情報DIとして、提案情報判定部50及び出力部60の双方もしくはいずれか一方に提供する。疾患情報DIは、複数の疾患の名称を含む場合がある。ユーザが疾患情報DIのみを希望している場合は、疾患情報DIは出力部60のみに提供する。
【0038】
ここで、疾患状態判定部40は、取得した腸内環境情報IIに基づいて疾患対応情報記憶部45を探索した結果、如何なる疾患にも該当しない場合がある。疾患状態判定部40は、取得した腸内環境情報IIが如何なる疾患にも該当しない場合、「該当疾患なし」として疾患情報DIを提案情報判定部50及び出力部60の双方もしくはいずれか一方に提供する。
【0039】
(ステップS50)提案情報判定部50は、疾患状態判定部40から疾患情報DIを取得する。この一例において、疾患情報DIは複数の疾患の名称を含む場合がある。提案情報判定部50は、それぞれの疾患に対応する製品情報及び健康情報を判定する。製品情報及び健康情報は、それぞれ複数の情報を含む場合がある。具体的に提案情報判定部50は、疾患情報DIが示すそれぞれの疾患の名称を検索キーに提案情報記憶部55を探索する。提案情報判定部50は得られた製品情報を製品情報PIとして、健康情報を健康情報HIとして、出力部60に提供する。
【0040】
ここで、提案情報判定部50は、取得した疾患情報DIが「該当疾患なし」を示していた場合にも、提案情報記憶部55を探索する。この一例において、提案情報記憶部55は、該当疾患がない場合の製品情報及び健康情報を記憶している。つまり、疾患情報DIが「該当疾患なし」であった場合、製品情報は健康維持を目的とする口腔ケア製品又はサプリメント等の健康食品であり、健康情報は健康維持のために有用な情報である。
(ステップS60)出力部60は、腸内環境推定部30から腸内環境情報IIを取得し、腸内環境情報IIを提示部70に提示させる。好ましくは、出力部60は、疾患状態判定部40から疾患情報DIを取得し、提案情報判定部50から製品情報PI及び健康情報HIを取得し、疾患情報DIと、製品情報PIと、健康情報HIとを提示部70に提示させる。
【0041】
[健康状態判定方法]
本実施形態の健康状態判定方法は、被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定し、前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)、及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出し、前記F/B比、及び前記フィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つから前記被験者の健康状態を判定する。
【0042】
前記被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率の測定方法としては、特に制限はないが、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、洗口吐出液検体よりDNAを抽出し、得られたDNAよりシークエンス用のライブラリを調製し、次世代シークエンサーによるシークエンスを行い、抽出されたDNAの塩基配列を決定する。この抽出されたDNAの塩基配列から、OTU(operational taxonomic unit;操作上分類単位、以下OTUとも称する)を生成し、QIIMEアノテーションプログラムにより、各OTUの代表配列を基に、QIIME Resourcesサイトにて提供されている16SrDNAのデータベース(greengenes)に対して相同性検索を行い、各OTUについてTaxonomy情報(界/門/綱/目/科/属/種)を取得する。次に統計ソフトを用いて、検体中の存在比率を変数とした相関解析を行い、門レベルに帰属を行い、帰属ができた口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌に存在比率を算出する。
【0043】
前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)を算出する方法としては、フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)との関係を示した検量線とから、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)を算出する方法等が挙げられる。
【0044】
前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)との関係を示した検量線は、例えば、以下のようにして作成することができる。
【0045】
まず、被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)を算出する。前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)は、被験者の洗口吐出液検体の代わりに、糞便検体を用い、上記口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定する方法と同様にして、算出することができる。前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)についても、前記腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)と同様の方法により算出することができる。
【0046】
次に、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)と、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)より、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)を算出する。前記被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)とを、複数の被験者において算出することにより、フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)との関係を示した検量線を作成することができる。
【0047】
次に、上記で算出した前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)から被験者の健康状態を判定する。前記被験者の健康状態としては、肥満、高血圧等が挙げられる。例えば、肥満については、前記F/B比が高い場合には、肥満である可能性が高いと判定し、前記F/B比が低い場合には、肥満である可能性は低いと判定することができる。高血圧についても同様に、前記F/B比が高い場合は、高血圧である可能性が高いと判定し、前記F/B比が低い場合は、高血圧である可能性は低いと判定することができる。
【0048】
前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率を算出する方法としては、フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線とから、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率を算出する方法等が挙げられる。
【0049】
フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線は、以下のようにして作成することができる。
【0050】
まず、被験者のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、被験者の腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率を算出する。前記被験者の腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率は、被験者の洗口吐出液検体の代わりに、糞便検体を用い、上記口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定する方法と同様にして、算出することができる。
【0051】
次に、前記被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、前記被験者の腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率とを、複数の被験者において算出することにより、フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率と、腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率との関係を示した検量線を作成することができる。
【0052】
次に、上記で算出した被験者の腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率から被験者の健康状態を判定する。前記被験者の健康状態としては、肥満等が挙げられる。例えば、肥満については、前記フィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率が高い場合には、肥満である可能性が高いと判定し、前記フィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率が低い場合には、肥満である可能性は低いと判定することができる。
【0053】
[腸内環境判定方法]
本実施形態の腸内環境判定方法は、被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率を測定し、前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)、及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出する方法である。
【0054】
被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率の測定方法、前記フソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)を算出する方法、および前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率を算出する方法は、それぞれ前記健康状態判定方法に記載した方法と同じ方法で行うことができる。
【0055】
[実施形態の効果のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の健康状態判定装置10は、口腔環境情報OIを取得し、取得した口腔環境情報OIに基づいて腸内環境情報IIを出力する。
健康状態判定装置10は、口腔細菌から腸内細菌を推定することにより、唾液等の口腔内容物OCから、腸内環境を推定する。本実施形態ではこの構成を取ることにより、被験者90が従来行っていた糞便の採取を行うことなく、唾液等の口腔内容物OCの提供という、容易な方法で腸内環境を推定することが可能となる。
【0056】
本実施形態によれば、糞便の採取に際して心理的なハードルを感じていた被験者も容易に腸内環境を推定することができる。また、従来であれば糞便を排泄するには便意があるときでなければならず、被験者によっては糞便を採取したいときに採取できない場合があったのに対し、本実施形態によれば、唾液等の口腔内容物OCのようないつでも採取可能な検体を提供することにより腸内環境を推定することができる。また、本実施形態によれば、従来であれば時間のかかっていた糞便の採取という作業が不要になるという効果を奏する。
【0057】
また、上述した実施形態によれば、健康状態判定装置10は口腔内容物OCに基づいて腸内環境情報IIを推定する。さらに健康状態判定装置10は、腸内環境情報IIから疾患情報DIを判定することができる。
従来であれば、腸内環境に基づく疾患の判定には、糞便を検体として提供する必要があった。しかしながら本実施形態によれば、口腔内容物OCに基づいて腸内環境情報IIを推定し、推定された腸内環境情報IIに基づいて疾患の判定を行うため、糞便の採取を行うことを要しない。したがって健康状態判定装置10は、容易な方法により、腸内環境情報IIに基づく疾患情報DIを判定することができる。
【0058】
また、上述した実施形態によれば、健康状態判定装置10は、製品情報PI及び健康情報HIを提示することができる。
従来であれば、被験者90は、被験者90自身の腸内環境情報II及び疾患情報DIを提示された場合であっても、その疾患を治癒又は改善するための製品又はその疾患の情報を、別途調べる必要があった。しかしながら本実施形態によれば、健康状態判定装置10は、疾患情報DIに対応する製品情報PI及び健康情報HIを提示することが可能である。したがって被験者90は、自身でその疾患を治癒又は改善するための製品又はその疾患の情報を、別途調べる必要がない。よって、疾患に対応した情報を別途調べる必要があるという煩わしい作業をする必要がなくなるという効果が得られる。
【0059】
なお、上述した実施形態における健康状態判定装置10が備える各部の機能の全体あるいはその機能の一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0060】
また、「コンピュータにより読み取り可能な記録媒体」とは、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに、「コンピュータにより読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の健康状態判定方法は、被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)、及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出し、前記F/B比及び前記フィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つから、被験者の健康状態、例えば、肥満や高血圧である可能性等を判定することが可能となる。
【0062】
本実施形態によれば、糞便の採取に際して心理的なハードルを感じていた被験者も容易に健康状態を判定することができる。また、従来であれば糞便を排泄するには便意があるときでなければならず、被験者によっては糞便を採取したいときに採取できない場合があったのに対し、本実施形態によれば、唾液等の口腔内容物のようないつでも採取可能な検体を提供することにより健康状態を判定することができる。また、本実施形態によれば、従来であれば時間のかかっていた糞便の採取という作業が不要になるという効果を奏する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の腸内環境判定方法は、被験者の口腔内に存在する口腔内細菌中のフソバクテリア(Fusobacteria)門に属する口腔内細菌の存在比率から、前記被験者の腸内細菌中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門に属する腸内細菌の存在比率(B)に対する、前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率(F)比(F/B比)、及び前記被験者の腸内に存在する腸内細菌中のフィルミクテス(Firmicutes)門に属する腸内細菌の存在比率からなる群から選ばれる少なくとも1つを算出することが可能となる。
【0064】
本実施形態によれば、糞便の採取に際して心理的なハードルを感じていた被験者も容易に腸内環境を判定することができる。また、従来であれば糞便を排泄するには便意があるときでなければならず、被験者によっては糞便を採取したいときに採取できない場合があったのに対し、本実施形態によれば、唾液等の口腔内容物のようないつでも採取可能な検体を提供することにより腸内環境を判定することができる。また、本実施形態によれば、従来であれば時間のかかっていた糞便の採取という作業が不要になるという効果を奏する。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0066】
[実施例1]口腔細菌叢と腸内細菌叢の関連性確認試験
20代~40代の健常成人を対象に、洗口吐出液・糞便を採取し、口腔細菌叢と腸内細菌叢の関連性を検討した。
【0067】
(方法)
ヘルシンキ宣言に則り、インフォームドコンセントが得られた健常成人5名を対象に、洗口吐出液、糞便を採取した。洗口吐出液は、滅菌水3mLを口内全体にいきわたるように前後左右に10秒間ゆすぐことで採取し、15mLチューブに入れて-80℃で保存した。糞便は、採便キット(ブラシ型、テクノスルガ(株))を用いて、場所を変えながら数箇所すくい取り、小豆1粒程度採取した。採取した糞便は、採便容器内の保存液(グアニジン溶液)とよく混合し、常温で保存した。
ジルコニアビーズを用いて、ホモジナイザーFastPrep 24(MP Biomedicals社)によって検体を破砕し、抽出キットMagDEA DNA 200(Precision System Science)にてDNAを抽出した。抽出したDNAは、Nanodrop(Thermo scientific社)およびQubit Fluorometer(Invitrogen社)を用いて濃度測定を行った。また、Agilent 2200 TapeStation System(Agilent Technologies社)を用いて、濃度測定および品質確認を行った。
【0068】
品質検査を通過したDNAについて、イルミナ社より提供される「16S Metagenomic Sequencing Library Preparation」プロトコルに従い、シーケンス用ライブラリの調製を行った。Tailed PCR法を用いた16S rRNA V3-V4領域の増幅、ならびにオーバーハング配列の付加を行った(Amplicon PCR)。得られたPCR産物について、AMPure XP beads(Beckman Coulter社)を用いたビーズ精製を行った。次いで、精製したPCR産物について、Tailed PCR法を用いたインデックス配列とアダプター配列の付加を行った(Index PCR)。得られたPCR産物について、再度AMPure XP beadsを用いたビーズ精製を行った。その後、イルミナ社の次世代シークエンサーMiSeqを用いて、DNAシークエンシングを行った。
【0069】
微生物群集解析用プログラムQIIMEを使用し、16S rRNA配列に基づく微生物群集解析を行った。まず、出力された画像生データから、塩基配列データ(テキストファイル)を取得した(ベースコール)。インデックス情報による各サンプルデータの振り分けを行った後、サンプルごとにアダプター配列と低QV領域のトリミング、およびリードペアの連結を行った。QIIME OTU生成プログラムを用いて、連結したリードデータについて、similarity threshold 97%の条件にてクラスタリングを行い、OTU(operational taxonomic unit, 操作上分類単位)を生成した。次いで、QIIMEアノテーションプログラムを用いて、各OTUの 代表配列をインプットとし、QIIME Resourcesサイトにて提供されている16S rDNA データベース(greengenes)に対して、similarity 90%以上の条件にて相同性検索を行い、各OTUについてTaxonomy情報(界/門/綱/目/科/属/種)を取得した。
【0070】
統計ソフトJMPを用いて、各サンプルの菌の存在比率を変数とした相関解析を行った。菌のTaxonomyは門レベルを対象とした。門レベルに帰属できた菌22種のうち洗口吐出液中で存在比率が0.1%以上の7菌種を対象とした。相関係数は、Spearmanの順位相関係数ρを用い、|ρ|≧0.9を閾値とした。
【0071】
(結果)
次世代シークエンサーによるシークエンス結果を表1に示す。表中、Mは洗口吐出液、Fは糞便、1~5は被験者No、Yield(Mbases)はChastityフィルタリング後の取得総塩基数(Mbp)、#Readsはリード数、%of>=Q30 BasesはChastityフィルタリング後の総塩基数に占めるQ30以上のHighQualityBaseの割合、Mean Quality ScoreはChastityフィルタリング後のQualityの平均値をそれぞれ示す。Chastityフィルタリングとはイルミナ社の次世代シークエンシングにおける品質管理を示しており、具体的な作業内容はクオリティの低いリードのフィルタリングや、リードに含まれるアダプター配列やクオリティの低い部分配列の除去などである。なおQ30とは1000回に1回のエラー率であり、%of>=Q30 BasesおよびMean Quality Scoreを示すことでリードデータの質の高さを示している。
【0072】
【表1】
本試験で検出された菌のうち解析対象である洗口吐出液中で存在比率が0.1%以上の7菌種の平均存在比率を表2に示す。
【0073】
【0074】
[実施例2]洗口吐出液中口腔細菌と腸内細菌との関係性
洗口吐出液中で存在比率が高かった表2記載の7門について、各々、腸内における同じ7門の存在比率との相関解析を行った。その結果を表3に示す。
【0075】
【0076】
表3に示したように、洗口吐出液中で存在比率が高かった表2記載の7門について、各々、口腔内の存在比率と腸内における存在比率との間に相関性は認められたが、P値としては有意な関係は認められなかった。
【0077】
次に、口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、フィルミクテス(Firmicutes)門/バクテロイデテス(Bacteroidetes)門比との相関解析、及び口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、腸内に存在するフィルミクテス(Firmicutes)門の存在比率の相関解析を行った。
図8に、口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、フィルミクテス(Firmicutes)門/バクテロイデテス(Bacteroidetes)門比との関係を示した散布図、
図9に口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、腸内に存在するフィルミクテス(Firmicutes)門の存在比率との関係を示した散布図をそれぞれ示す。また、表4に相関係数とP値を算出した結果を示す。
【0078】
【0079】
表4に示したように、口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、フィルミクテス(Firmicutes)門/バクテロイデテス(Bacteroidetes)門比との間、及び口腔内のフソバクテリア(Fusobacteria)門の存在比率と、腸内に存在するフィルミクテス(Firmicutes)門の存在比率との間で、きわめて関係性が強いと判定される相関係数|ρ|≧0.9の関係性が認められた。
【0080】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0081】
100…健康状態判定システム、10…健康状態判定装置、80…口腔環境測定装置、90…被験者、20…口腔環境情報取得部、30…腸内環境推定部、35…細菌対応情報記憶部、40…疾患状態判定部、45…疾患対応情報記憶部、50…提案情報判定部、55…提案情報記憶部、60…出力部、70…提示部、OI…口腔環境情報、II…腸内環境情報、DI…疾患情報、PI…製品情報、HI…健康情報