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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/593 20170101AFI20231221BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231221BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231221BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G06T7/593
G06T7/00 650A
G08G1/16 C
G08G1/09 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019213119
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021086265
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀治
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-168838(JP,A)
【文献】特開2014-235750(JP,A)
【文献】特開2017-016331(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145634(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/145600(WO,A1)
【文献】特開2010-224930(JP,A)
【文献】特開2009-176091(JP,A)
【文献】特開2001-331788(JP,A)
【文献】特開2019-114150(JP,A)
【文献】特開2014-096005(JP,A)
【文献】特開2016-191988(JP,A)
【文献】特開平10-283477(JP,A)
【文献】特開2007-264717(JP,A)
【文献】特開2015-184891(JP,A)
【文献】特開2018-092604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/593
G06T 7/00
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオ画像において、第1の物体の画像を含む第1の画像領域および第2の物体の画像を含む第2の画像領域を設定する画像領域設定部と、
前記第1の画像領域および前記第2の画像領域を結合する結合処理を行うことが可能であり、前記ステレオ画像に基づいて生成された各画素での距離値を含む距離画像における、前記第1の画像領域での前記第1の物体に係る前記画素の数を第1の距離点数として算出するとともに、前記第2の画像領域での前記第2の物体に係る前記画素の数を第2の距離点数として算出し、前記第1の距離点数および前記第2の距離点数の少なくともいずれかが第1のしきい値より小さいことを含む第1の判定条件を満たす場合に、前記結合処理を回避する結合処理部と
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
ステレオ画像において、第1の物体の画像を含む第1の画像領域および第2の物体の画像を含む第2の画像領域を設定する画像領域設定部と、
前記第1の画像領域および前記第2の画像領域を結合する結合処理を行うことが可能であり、前記ステレオ画像、および前記ステレオ画像に基づいて生成された各画素での距離値を含む距離画像に基づいて、前記距離画像における前記第1の画像領域での複数の前記距離値の正確度の合計値である第1の合計値を算出するとともに、前記第2の画像領域での複数の前記距離値の正確度の合計値である第2の合計値を算出し、前記第1の合計値および前記第2の合計値の少なくともいずれかが第2のしきい値よりも小さいことを含む第1の判定条件を満たす場合に、前記結合処理を回避する結合処理部と
を備えた画像処理装置。
【請求項3】
前記結合処理部は、前記ステレオ画像および前記距離画像に基づいて、前記距離画像における前記第1の画像領域での複数の前記距離値の正確度の合計値である第1の合計値を算出するとともに、前記第2の画像領域での複数の前記距離値の正確度の合計値である第2の合計値を算出し、
前記第1の判定条件は、前記第1の合計値および前記第2の合計値の少なくともいずれかが第2のしきい値よりも小さいことを含む
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記結合処理部は、前記ステレオ画像および前記距離画像に基づいて、前記第1の物体の垂直方向の実サイズである第1の実サイズ、および前記第2の物体の垂直方向の実サイズである第2の実サイズを算出し、
前記第1の判定条件は、前記第1の実サイズおよび前記第2の実サイズの少なくともいずれかが第3のしきい値より小さいことを含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ステレオ画像において、第1の物体の画像を含む第1の画像領域および第2の物体の画像を含む第2の画像領域を設定する画像領域設定部と、
前記第1の画像領域および前記第2の画像領域を結合する結合処理を行うことが可能であり、前記第1の物体と前記第2の物体との間の水平方向の離隔距離を示す水平方向距離値を算出し、前記水平方向距離値が第4のしきい値より大きいことを含む第1の判定条件を満たす場合に、前記結合処理を回避する結合処理部と
を備え、
前記結合処理部は、前記ステレオ画像に基づいて生成された各画素での距離値を含む距離画像における、前記第1の画像領域での複数の前記距離値の正確度、および前記第2の画像領域での複数の前記距離値の正確度に基づいて前記第4のしきい値を設定する
画像処理装置。
【請求項6】
前記結合処理部は、前記ステレオ画像および前記距離画像に基づいて、前記距離画像における前記第1の画像領域での複数の前記距離値の正確度の合計値である第1の合計値を算出するとともに、前記第2の画像領域での複数の前記距離値の正確度の合計値である第2の合計値を算出し、
前記第1の判定条件は、前記第1の合計値および前記第2の合計値の少なくともいずれかが第6のしきい値よりも小さいことを含む
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記結合処理部は、前記第1の画像領域に含まれる前記第1の物体の画像および前記第2の画像領域に含まれる前記第2の物体の画像での複数の前記距離値に連続性がないことを含む第2の判定条件を満たす場合に、前記第1の判定条件を満たすかどうかを判定する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像画像に対して画像処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載され、車両の前方を撮像する撮像装置では、雪の粒や雨粒などの降下物が撮像される場合がある。例えば特許文献1には、撮像画像に含まれる雪や雨などのノイズを除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2008-111549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像処理装置では、雪の粒や雨粒などの降下物が撮像された場合でも、適切に画像処理を行うことが望まれている。
【0005】
適切に画像処理を行うことができる画像処理装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る第1の画像処理装置は、画像領域設定部と、結合処理部とを備える。画像領域設定部は、ステレオ画像において、第1の物体の画像を含む第1の画像領域および第2の物体の画像を含む第2の画像領域を設定するように構成される。結合処理部は、第1の画像領域および第2の画像領域を結合する結合処理を行うことが可能であり、ステレオ画像に基づいて生成された各画素での距離値を含む距離画像における、第1の画像領域での第1の物体に係る画素の数を第1の距離点数として算出するとともに、第2の画像領域での第2の物体に係る画素の数を第2の距離点数として算出し、第1の距離点数および第2の距離点数の少なくともいずれかが第1のしきい値より小さいことを含む第1の判定条件を満たす場合に、結合処理を回避するように構成される。
本開示の一実施の形態に係る第2の画像処理装置は、画像領域設定部と、結合処理部とを備える。画像領域設定部は、ステレオ画像において、第1の物体の画像を含む第1の画像領域および第2の物体の画像を含む第2の画像領域を設定するように構成される。結合処理部は、第1の画像領域および第2の画像領域を結合する結合処理を行うことが可能であり、ステレオ画像、およびステレオ画像に基づいて生成された各画素での距離値を含む距離画像に基づいて、距離画像における第1の画像領域での複数の距離値の正確度の合計値である第1の合計値を算出するとともに、第2の画像領域での複数の距離値の正確度の合計値である第2の合計値を算出し、第1の合計値および第2の合計値の少なくともいずれかが第2のしきい値よりも小さいことを含む第1の判定条件を満たす場合に、結合処理を回避するように構成される。
本開示の一実施の形態に係る第3の画像処理装置は、画像領域設定部と、結合処理部とを備える。画像領域設定部は、ステレオ画像において、第1の物体の画像を含む第1の画像領域および第2の物体の画像を含む第2の画像領域を設定するように構成される。結合処理部は、第1の画像領域および第2の画像領域を結合する結合処理を行うことが可能であり、第1の物体と第2の物体との間の水平方向の離隔距離を示す水平方向距離値を算出し、水平方向距離値が第4のしきい値より大きいことを含む第1の判定条件を満たす場合に、結合処理を回避するように構成される。この結合処理部は、ステレオ画像に基づいて生成された各画素での距離値を含む距離画像における、第1の画像領域での複数の距離値の正確度、および第2の画像領域での複数の距離値の正確度に基づいて第4のしきい値を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施の形態に係る第1から第3の画像処理装置によれば、適切に画像処理を行うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る画像処理装置の一構成例を表すブロック図である。
図2】ステレオ画像の一例を表す画像図である。
図3】画像領域の一例を表す画像図である。
図4】降雪時における画像の一例を表す画像図である。
図5】降雪時における画像の一例を表す他の画像図である。
図6図1に示した結合処理部の一動作例を表すフローチャートである。
図7図6に示した簡易判定処理の一例を表すフローチャートである。
図8図7に示した処理の一例を表す説明図である。
図9図7に示した処理の一例を表す他の説明図である。
図10図6に示した判定処理の一例を表すフローチャートである。
図11図10に示した処理の一例を表す説明図である。
図12図6に示した他の判定処理の一例を表すフローチャートである。
図13図12に示した処理の一例を表す説明図である。
図14図12に示した処理の一例を表す他の説明図である。
図15】変形例に係る結合処理部の一動作例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る画像処理装置(画像処理装置1)の一構成例を表すものである。画像処理装置1は、ステレオカメラ11と、処理部20とを有している。画像処理装置1は、自動車等の車両10に搭載される。
【0011】
ステレオカメラ11は、車両10の前方を撮像することにより、互いに視差を有する一組の画像(左画像PLおよび右画像PR)を生成するように構成される。ステレオカメラ11は、左カメラ11Lと、右カメラ11Rとを有する。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rのそれぞれは、レンズとイメージセンサとを含んでいる。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rは、この例では、車両10の車両内において、車両10のフロントガラスの上部近傍に、車両10の幅方向に所定距離だけ離間して配置される。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rは、互いに同期して撮像動作を行う。左カメラ11Lは左画像PLを生成し、右カメラ11Rは右画像PRを生成する。左画像PLおよび右画像PRは、ステレオ画像PICを構成する。ステレオカメラ11は、所定のフレームレート(例えば60[fps])で撮像動作を行うことにより、一連のステレオ画像PICを生成するようになっている。
【0012】
図2は、ステレオ画像PICの一例を表すものであり、図2(A)は左画像PLの一例を示し、図2(B)は右画像PRの一例を示す。この例では、車両10が走行している走行路における車両10の前方に、他車両(先行車両90)が走行している。左カメラ11Lがこの先行車両90を撮像することにより左画像PLを生成し、右カメラ11Rがこの先行車両90を撮像することにより右画像PRを生成する。ステレオカメラ11は、このような左画像PLおよび右画像PRを含むステレオ画像PICを生成するようになっている。
【0013】
処理部20は、ステレオカメラ11から供給されたステレオ画像PICに基づいて、左画像PLおよび右画像PRに含まれる、車両10の前方の車両や障害物などの様々な物体の画像に、画像領域Rを設定することにより、物体を認識するように構成される。そして、処理部20は、その認識結果についての情報を出力する。車両10では、例えば、処理部20が認識した物体についての情報に基づいて、例えば、車両10の走行制御を行い、あるいは、認識した物体についての情報をコンソールモニタに表示することができるようになっている。処理部20は、例えば、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)などにより構成される。処理部20は、距離画像生成部21と、画像領域設定部22と、結合処理部23とを有している。
【0014】
距離画像生成部21は、左画像PLおよび右画像PRに基づいて、ステレオマッチング処理やフィルタリング処理などを含む所定の画像処理を行うことにより、距離画像PZを生成するように構成される。距離画像PZは、複数の画素値を有している。複数の画素値のそれぞれは、3次元の実空間における、各画素に対応する点までの距離値Zmeasに対応している。距離画像PZにおける1つの画素は、例えば、左画像PLにおける複数(例えば16個)の画素に対応するとともに、右画像PRにおける複数(例えば16個)の画素に対応している。
【0015】
画像領域設定部22は、距離画像PZに基づいて、左画像PLおよび右画像PRにおいて画像領域Rを設定するように構成される。具体的には、画像領域設定部22は、例えば、距離画像PZにおいて、距離値Zmeasが連続する複数の画素が1つの画像領域Rに属するように、画像領域Rを設定する。
【0016】
図3は、画像領域Rの一例を表すものである。この例では、ステレオ画像PICにおける右画像PRは、自車両である車両10の前方を走行する先行車両90の画像を含んでいる。なお、この図3では右画像PRを例に挙げたが、左画像PLについても同様である。先行車両90は、車両10の前方を走行路に沿って走行しており、この右画像PRは、先行車両90の背面の画像を含んでいる。先行車両90の背面において、距離画像PZにおける距離値Zmeasは連続するので、画像領域設定部22は、先行車両90の背面に画像領域R(画像領域R1)を設定している。
【0017】
結合処理部23は、複数の画像領域Rが設定された場合において、それらの複数の画像領域Rを結合する領域結合処理Jを行うように構成される。具体的には、例えば、車両10の前方において、車両10が走行する車線の隣の車線から車両10が走行する車線に先行車両91が車線変更を行う場合には、例えば右画像PRおよび左画像PLのそれぞれは、先行車両91の背面の画像および側面の画像を含むことがあり得る。この場合において、画像領域設定部22は、先行車両91の背面部分に画像領域R(画像領域R11)を設定するとともに、その先行車両91の側面部分に別の画像領域R(画像領域R12)を設定することがあり得る。結合処理部23は、このような場合において、2つの画像領域R11,R12を結合する。このようにして、結合処理部23は、その先行車両91に対して1つの画像領域Rを設定するようになっている。
【0018】
また、結合処理部23は、所定の判定条件を満たす場合には、この領域結合処理Jを回避する。具体的には、結合処理部23は、例えば、雪の粒や雨粒などの降下物に複数の画像領域Rが設定された場合には、それらの複数の画像領域Rの結合を回避するように処理を行う。
【0019】
図4,5は、降雪時における画像の一例を表すものである。この例では、右画像PRは、先行車両90に加え、複数の雪の粒の軌跡100の画像を含む。ステレオカメラ11は、所定の長さの露光時間において露光動作を行うことによりステレオ画像PICを生成する。雪の粒は降下し、車両10は前方に向かって走行するので、その露光時間内に、車両10からみた雪の粒の位置は移動する。その結果、雪の粒は軌跡100として撮像される。画像領域設定部22は、このような軌跡100に対して画像領域Rを設定する場合がある。仮に、結合処理部23が、図5に示したように、複数の軌跡100の画像領域Rを結合した場合には、結合された画像領域R(画像領域R2)は大きい領域になるので、車両10は、その画像領域R2における認識結果に基づいて、例えば車両10の走行制御を行い、あるいはコンソールモニタに情報を表示するおそれがある。そこで、結合処理部23は、判定処理(後述する簡易判定処理J1および判定処理J2A,J2B)を行い、所定の判定条件を満たす場合に、各画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物であると判定する。そして、結合処理部23は、各画像領域Rにおける物体が降下物である場合には、これらの複数の画像領域Rの結合を回避する。これにより、降下物の画像領域Rは小さい領域のままであるので、車両10が、これらの画像領域Rにおける認識結果に基づいて、例えば車両10の走行制御を行い、あるいはコンソールモニタに情報を表示するおそれを低減することができるようになっている。
【0020】
処理部20は、このようにして設定された画像領域Rに基づいて、車両10の前方の車両や障害物などの様々な物体を認識する。そして、処理部20は、その認識結果についての情報を出力するようになっている。
【0021】
ここで、画像領域設定部22は、本開示における「画像領域設定部」の一具体例に対応する。結合処理部23は、本開示における「結合処理部」の一具体例に対応する。ステレオ画像PICは、本開示における「ステレオ画像」の一具体例に対応する。距離画像PZは、本開示における「距離画像」の一具体例に対応する。距離値Zmeasは、本開示における「距離値」の一具体例に対応する。車両10は、本開示における「車両」の一具体例に対応する。
【0022】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像処理装置1の動作および作用について説明する。
【0023】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、画像処理装置1の全体動作概要を説明する。ステレオカメラ11は、車両10の前方を撮像することにより、左画像PLおよび右画像PRを含むステレオ画像PICを生成する。処理部20は、ステレオカメラ11から供給されたステレオ画像PICに基づいて、左画像PLおよび右画像PRに含まれる、車両10の前方の車両や障害物などの様々な物体の画像に、画像領域Rを設定することにより、物体を認識する。
【0024】
(詳細動作)
処理部20において、距離画像生成部21は、ステレオカメラ11からステレオ画像PICが供給される度に、そのステレオ画像PICに基づいて距離画像PZを生成し、画像領域設定部22は、この距離画像PZに基づいて画像領域Rを設定する。そして、結合処理部23は、複数の画像領域Rが設定された場合において、それらの複数の画像領域Rを結合する領域結合処理Jを行う。また、結合処理部23は、所定の判定条件を満たす場合には、この領域結合処理Jを回避する。以下に、この結合処理部23における処理について詳細に説明する
【0025】
図6は、結合処理部23における処理の一例を表すものである。結合処理部23は、簡易判定処理J1、判定処理J2A,J2Bを行うことにより、領域結合処理Jを回避するかどうかを判定する。以下に、この処理について詳細に説明する。
【0026】
まず、結合処理部23は、簡易判定処理J1を行う(ステップS101)。この簡易判定処理J1は、後述するより詳細な判定処理J2A,J2Bの前段階として行われる。
【0027】
図7は、簡易判定処理J1の一例を表すものである。結合処理部23は、この簡易判定処理J1において、ステップS201~S203に示す3つの判定条件のそれぞれを満たすかどうかを判定する。
【0028】
まず、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれの水平方向の画像幅がしきい値TAより小さいかどうかを判定する(ステップS201)。
【0029】
図8は、ステップS201の処理の一例を表すものである。この例では、3つの軌跡121~123に対して、3つの画像領域R21~R23が画像領域設定部22により設定されている。結合処理部23は、ステレオ画像PICおよび距離画像PZに基づいて、画像領域R21の画像幅W21を算出し、画像領域R22の画像幅W22を算出し、画像領域R23の画像幅W23を算出する。そして、この例では、結合処理部23は、これらの画像幅W21~W23のそれぞれが、しきい値TAより小さいかどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、雪の粒や雨粒が小さいので、水平方向の画像幅が小さいことが予想される。よって、結合処理部23は、水平方向の画像幅がしきい値TAより小さいかどうかを判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。画像幅およびしきい値TAは、例えば画素数を用いて表すことができる。
【0030】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rにおいて物体の距離値Zmeasに連続性がないかどうかを判定する(ステップS202)。
【0031】
図9は、ステップS202の処理の一例を表すものである。図9には、距離画像PZに含まれる複数の画素のうちの、3つの軌跡121~123に係る画素を、距離点Aとして図示している。例えば、これらの3つの軌跡121~123に係るすべての距離点Aにおける距離値Zmeasがほぼ同じである場合には、結合処理部23は、複数の画像領域Rにおいて距離値Zmeasに連続性があると判定する。この例では、結合処理部23は、距離画像PZに基づいて、これらの軌跡121~123の距離値Zmeasに連続性がないかどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、例えば軌跡間で距離値Zmeasが異なり得るので、距離値Zmeasに連続性がないことが予想される。よって、結合処理部23は、物体の距離値Zmeasに連続性がないかどうかを判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。
【0032】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定する(ステップS203)。
【0033】
例えば、図9の例において、結合処理部23は、軌跡121の複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定する。具体的には、まず、結合処理部23は、軌跡121に係る複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度をそれぞれ算出する。例えば、結合処理部23は、左画像PLや右画像PRにおける、各距離点Aに対応する複数の画素での画素値の勾配に基づいて、その距離点Aにおける画像エッジの明確さを評価し、この画像エッジの明確さに基づいてその距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度を算出することができる。すなわち、左画像PLや右画像PRにおける画像エッジが明確であるほど、距離画像生成部21は、精度よく距離値Zmeasを求めることができるので、結合処理部23は、画像エッジの明確さに基づいて、距離値Zmeasの正確度を算出することができる。そして、結合処理部23は、このようにして算出した複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度の合計値を算出し、この合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、距離点Aの数が少なくかつ距離値Zmeasの正確度が低いので、複数の距離値Zmeasの正確度の合計値が小さいことが予想される。よって、結合処理部23は、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。
【0034】
同様に、結合処理部23は、軌跡122の複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定し、軌跡123の複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定する。
【0035】
以上で、簡易判定処理J1は終了する。なお、ステップS201~S203の各処理は、この順に限定されるものではなく、入れ替えてもよい。
【0036】
次に、図6に示したように、結合処理部23は、簡易判定処理J1におけるすべての判定条件を満たすかどうかを確認する(ステップS102)。すなわち、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれの水平方向の画像幅がしきい値TAより小さいこと(ステップS201)、複数の画像領域Rにおいて物体の距離値Zmeasに連続性がないこと(ステップS202)、および複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいこと(ステップS203)の3つの判定条件を満たすかどうかを確認する。これらの3つの判定条件のうちの少なくとも1つを満たさない場合(ステップS102において“N”)には、ステップS108に進む。
【0037】
ステップS102において、これらの3つの判定条件のすべてを満たす場合(ステップS102において“Y”)には、結合処理部23は、判定処理J2Aを行う(ステップS103)。
【0038】
図10は、判定処理J2Aの一例を表すものである。結合処理部23は、この判定処理J2Aにおいて、ステップS211~S213に示す3つの判定条件のそれぞれを満たすかどうかを判定する。
【0039】
まず、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の垂直方向の実サイズがしきい値TCより小さいかどうかを判定する(ステップS211)。
【0040】
図11は、ステップS211の処理の一例を表すものである。図11には、一例として軌跡121を描いているが、軌跡122,123についても同様である。雪の粒は降下し、車両10は前方に向かって走行するので、軌跡121は、走行路の路面110に近いほど車両10に近づくように延伸する。結合処理部23は、ステレオ画像PICおよび距離画像PZに基づいて、このような軌跡121の、様々な位置での垂直方向の実サイズSを算出する。そして、結合処理部23は、この実サイズSのうちの最大値を選択し、この最大値がしきい値TCより小さいかどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、物体の垂直方向の実サイズSは小さいことが予想される。よって、結合処理部23は、垂直方向の実サイズSがしきい値TCより小さいかどうかを判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。実サイズSおよびしきい値TCは、例えばミリメーターを単位とした値である。
【0041】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の距離点Aの数がしきい値TDより小さいかどうかを判定する(ステップS212)。
【0042】
例えば、図9の例において、結合処理部23は、ステレオ画像PICおよび距離画像PZに基づいて、軌跡121の複数の距離点Aの数を算出する。そして、結合処理部23は、この距離点Aの数がしきい値TDより小さいかどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、距離点Aの数が少ないことが予想される。よって、結合処理部23は、物体の距離点Aの数がしきい値TDより小さいかどうか判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。
【0043】
同様に、結合処理部23は、軌跡122の複数の距離点Aの数がしきい値TDより小さいかどうかを判定し、軌跡123の複数の距離点Aの数がしきい値TDより小さいかどうかを判定する。
【0044】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定する(ステップS213)。このステップS213の処理は、図7に示した簡易判定処理J1におけるステップS203の処理と同じである。
【0045】
以上で、判定処理J2Aは終了する。なお、ステップS211~S213の各処理は、この順に限定されるものではなく、入れ替えてもよい。
【0046】
次に、図6に示したように、結合処理部23は、判定処理J2Aにおけるすべての判定条件を満たすかどうかどうかを確認する(ステップS104)。すなわち、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の垂直方向の実サイズがしきい値TCより小さいこと(ステップS211)、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の距離点Aの数がしきい値TDより小さいこと(ステップS212)、および複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいこと(ステップS213)の3つの判定条件を満たすかどうかを確認する。これらの3つの判定条件のすべてを満たす場合(ステップS104において“Y”)には、ステップS107に進む。
【0047】
ステップS104において、これらの3つの判定条件のうちの少なくとも1つを満たさない場合(ステップS104において“N”)には、結合処理部23は、判定処理J2Bを行う(ステップS105)。
【0048】
図12は、判定処理J2Bの一例を表すものである。結合処理部23は、この判定処理J2Bにおいて、ステップS221~S224に示す4つの判定条件のそれぞれを満たすかどうかを判定する。
【0049】
まず、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれの水平方向の画像幅がしきい値TAより小さいかどうかを判定する(ステップS221)。このステップS221の処理は、図7に示した簡易判定処理J1におけるステップS201の処理と同じである。
【0050】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいかどうかを判定する(ステップS222)。このステップS222の処理は、図7に示した簡易判定処理J1におけるステップS203の処理と同じである。
【0051】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の路面からの高さを示す高さ値がしきい値TEより高いかどうかを判定する(ステップS223)。
【0052】
図13は、ステップS223の処理の一例を表すものである。図13には、一例として軌跡121を描いているが、軌跡122,123についても同様である。軌跡121は、走行路の路面110に近いほど車両10に近づくように延伸する。結合処理部23は、ステレオ画像PICおよび距離画像PZに基づいて、軌跡121の、軌跡121における車両10から一番近い部分における、走行路の路面110からの高さを示す高さ値Hを算出する。そして、結合処理部23は、この高さ値Hがしきい値TEより大きいどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、物体は浮いているので、高さ値Hが大きいことが予想される。よって、結合処理部23は、高さ値Hがしきい値TEより大きいかどうかを判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。高さ値Hおよびしきい値TEは、例えばミリメーターを単位とした値である。
【0053】
次に、結合処理部23は、複数の画像領域Rの間の水平方向の離隔距離を示す距離値がしきい値TFより大きいかどうかを判定する(ステップS224)。
【0054】
図14は、ステップS224の処理の一例を表すものである。この例では、2つの軌跡121,122を示している。結合処理部23は、ステレオ画像PICおよび距離画像PZに基づいて、軌跡121および軌跡122の間の離隔距離を示す距離値Dを算出する。そして、この例では、結合処理部23は、この距離値Dがしきい値TFより大きいかどうかを判定する。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、複数の降下物はそれぞれ別々の降下物であるので、距離値Dが大きいことが予想される。よって、結合処理部23は、距離値Dがしきい値TFより大きいかどうかを判定することにより、その物体が降下物であるかどうかを判定することができる。距離値Dおよびしきい値TFは、例えばミリメーターを単位とした値である。
【0055】
同様に、結合処理部23は、軌跡122および軌跡123の間の水平方向の離隔距離を示す距離値がしきい値TFより大きいかどうかを判定する。
【0056】
このしきい値TFは、固定値であってもよいし、可変値であってもよい。しきい値TFを可変値にする場合には、結合処理部23は、例えば、物体の複数の距離値Zmeasの正確度に基づいて、このしきい値TFを設定することができる。具体的には、結合処理部23は、軌跡121および軌跡122の間の離隔距離に対するしきい値TFを算出する場合には、軌跡121に係る複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度の合計値と、軌跡122に係る複数の距離点Aにおける距離値Zmeasの正確度の合計値との和を算出する。そして、結合処理部23は、この和の値が小さいほどしきい値TFを小さい値に設定し、この和の値が大きいほどしきい値TFを大きい値に設定することができる。これにより、例えば、物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、距離点Aの数が少なく、かつ距離値Zmeasの正確度が低いので、しきい値TFが小さい値になる。その結果、距離値Dはしきい値TFより大きくなりやすいので、その物体が落下物であると判定されやすい。また、例えば、物体が、先行車両91の背面部分および側面部分である場合には、距離点Aの数が多く、かつ距離値Zmeasの正確度が高いので、しきい値TFが大きい値になる。その結果、距離値Dはしきい値TFより小さくなりやすいので、その物体は落下物ではないと判定されやすい。
【0057】
以上で、判定処理J2Bは終了する。なお、ステップS221~S224の各処理は、この順に限定されるものではなく、入れ替えてもよい。
【0058】
次に、図6に示したように、結合処理部23は、判定処理J2Bにおけるすべての判定条件を満たすかどうかを確認する(ステップS106)。すなわち、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれの水平方向の画像幅がしきい値TAより小さいこと(ステップS221)、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の複数の距離値Zmeasの正確度の合計値がしきい値TBより小さいこと(ステップS222)、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の路面からの高さを示す高さ値がしきい値TEより高いこと(ステップS223)、および複数の画像領域Rの間の水平方向の離隔距離を示す距離値がしきい値TFより大きいこと(ステップS224)の4つの判定条件を満たすかどうかを確認する。これらの4つの判定条件のすべてを満たす場合(ステップS106において“Y”)には、ステップS107に進み、これらの4つの判定条件のうちの少なくとも1つを満たさない場合(ステップS106において“N”)には、ステップS108に進む。
【0059】
ステップS104において、判定処理J2Aにおける3つの判定条件のすべてを満たす場合(ステップS104において“Y”)、またはステップS106において、判定処理J2Bにおける4つの判定条件のすべてを満たす場合(ステップS106において“Y”)には、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれの物体は、雪の粒や雨粒などの降下物であると判定する(ステップS107)。以上で、このフローは終了する。すなわち、この場合には、結合処理部23は、これらの複数の画像領域Rを結合する領域結合処理Jを行わない。
【0060】
また、ステップS102において、簡易判定処理J1における3つの判定条件のうちの少なくとも1つを満たさない場合(ステップS102において“N”)、またはステップS106において、判定処理J2Bにおける4つの判定条件のうちの少なくとも1つを満たさない場合(ステップS106において“N”)には、結合処理部23は、複数の画像領域Rのそれぞれの物体は、雪の粒や雨粒などの降下物ではないと判定する(ステップS108)。そして、結合処理部23は、これらの複数の画像領域Rを結合する領域結合処理Jを行う(ステップS109)。以上でこのフローは終了する。
【0061】
ここで、判定処理J2Aにおける3つの判定条件および判定処理J2Bにおける4つの判定条件は、本開示における「第1の判定条件」の一具体例に対応する。簡易判定処理J1における3つの判定条件は、本開示における「第2の判定条件」の一具体例に対応する。きい値TDは、本開示における「第1のしきい値」の一具体例に対応する。ステップS213におけるしきい値TBは、本開示における「第2のしきい値」の一具体例に対応する。しきい値TCは、本開示における「第3のしきい値」の一具体例に対応する。しきい値TFは、本開示における「第4のしきい値」の一具体例に対応する。しきい値TEは、本開示における「第5のしきい値」の一具体例に対応する。ステップS222におけるしきい値TBは、本開示における「第6のしきい値」の一具体例に対応する。しきい値TAは、本開示における「第7のしきい値」の一具体例に対応する。

【0062】
以上のように、画像処理装置1では、判定処理J2Aにおいて、複数の画像領域Rのそれぞれにおいて、物体の垂直方向の実サイズがしきい値TCより小さいことを含む複数の判定条件を満たす場合に、領域結合処理Jを回避するようにした。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、物体の垂直方向の実サイズは小さいことが予想されるので、画像処理装置1では、垂直方向の実サイズがしきい値TCより小さいかどうかを判定するようにした。これにより、画像処理装置1では、判定処理J2Aにおける複数の判定条件を満たす場合に、雪の粒や雨粒などの降下物についての複数の画像領域Rが結合されないようにすることができるので、適切に画像処理を行うことができる。その結果、車両10では、これらの降下物に基づいて、例えば車両10の走行制御を行い、あるいはコンソールモニタに情報を表示するなどの、不適切な動作が行われるおそれを低減することができる。
【0063】
また、画像処理装置1では、判定処理J2Bにおいて、複数の画像領域Rの間の水平方向の離隔距離を示す距離値がしきい値TFより大きいことを含む複数の判定条件を満たす場合に、領域結合処理Jを回避するようにした。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、複数の降下物はそれぞれ別々の降下物であるので、距離値Dが大きいことが予想されるので、画像処理装置1では、距離値がしきい値TFより大きいかどうかを判定するようにした。これにより、画像処理装置1では、判定処理J2Bにおける複数の判定条件を満たす場合に、雪の粒や雨粒などの降下物についての複数の画像領域Rが結合されないようにすることができるので、適切に画像処理を行うことができる。
【0064】
また、画像処理装置1では、判定処理J2A,J2Bの前に簡易判定処理J1を行うようにした。簡易判定処理J1におけるステップS201の判定条件は、判定処理J2BにおけるステップS221の判定条件と同じであり、簡易判定処理J1におけるステップS203の判定条件は、判定処理J2AにおけるステップS213の判定条件および判定処理J2BにおけるステップS222の判定条件と同じである。これにより、画像処理装置1では、これらの判定条件を満たさない場合には、判定処理J2A,J2Bを行うまでもなく、簡易判定処理J1において判定することができるので、処理部20における処理量を少なくすることができる。
【0065】
また、画像処理装置1では、簡易判定処理J1において、複数の画像領域Rにおいて物体の距離値Zmeasに連続性がないことを含む複数の判定条件を満たす場合に、判定処理J2A,J2Bを行うようにした。すなわち、画像領域Rにおける物体が雪の粒や雨粒などの降下物である場合には、軌跡間で距離値Zmeasが異なるため、距離値Zmeasに連続性がないことが予想されるので、画像処理装置1では、物体の距離値Zmeasに連続性がないかどうかを判定するようにした。これにより、画像処理装置1では、簡易判定処理J1における複数の判定条件を満たす場合に、より詳細な判定処理J2A,J2Bを行い、その判定結果に応じて、雪の粒や雨粒などの降下物についての複数の画像領域Rが結合されないようにすることができるので、適切に画像処理を行うことができる。
【0066】
[効果]
以上のように本実施の形態では、判定処理J2Aにおいて、複数の画像領域のそれぞれにおいて、物体の垂直方向の実サイズがしきい値TCより小さいことを含む複数の判定条件を満たす場合に、領域結合処理Jを回避するようにしたので、適切に画像処理を行うことができる。
【0067】
本実施の形態では、判定処理J2Bにおいて、複数の画像領域の間の水平方向の離隔距離を示す距離値がしきい値TFより大きいことを含む複数の判定条件を満たす場合に、領域結合処理Jを回避するようにしたので、適切に画像処理を行うことができる。
【0068】
本実施の形態では、簡易判定処理J1において、複数の画像領域において物体の距離値に連続性がないことを含む複数の判定条件を満たす場合に、判定処理J2A,J2Bを行うようにしたので、適切に画像処理を行うことができる。
【0069】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0070】
例えば、上記実施の形態では、図6に示したように、結合処理部23は、判定処理J2Aを行い(ステップS103)、この判定処理J2Aの3つの判定条件のうちの少なくともいずれかを満たさない場合(ステップS104において“N”)に、判定処理J2Bを行う(ステップS105)ようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、結合処理部23は、図15に示したように、判定処理J2Bを行い(ステップS113)、この判定処理J2Bの4つの判定条件のうちの少なくとも1つを満たさない場合(ステップS114において“N”)に、判定処理J2Aを行う(ステップS115)ようにしてもよい。そして、結合処理部23は、この判定処理J2Aの3つの判定条件のすべてを満たす場合(ステップS116において“Y”)に、物体が降下物であると判定し(ステップS107)、この判定処理J2Aの3つの判定条件の少なくとも1つを満たさない場合(ステップS116において“N”)に、物体は降下物ではないと判定してもよい(ステップS108)。
【0071】
また、例えば、上記の実施の形態では、簡易判定処理J1において3つの判定条件を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば2つ以下の判定条件を設けてもよいし、4つ以上の判定条件を設けてもよい。同様に、上記の実施の形態では、判定処理J2Aにおいて3つの判定条件を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば2つ以下の判定条件を設けてもよいし、4つ以上の判定条件を設けてもよい。同様に、上記の実施の形態では、判定処理J2Bにおいて4つの判定条件を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば4つ以下の判定条件を設けてもよいし、5つ以上の判定条件を設けてもよい。
【0072】
また、例えば、上記実施の形態では、ステレオカメラ11が車両10の前方を撮像するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、車両10の側方や後方を撮像してもよい。
【0073】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…画像処理装置、10…車両、11…ステレオカメラ、11L…左カメラ、11R…右カメラ、20…処理部、21…距離画像生成部、22…画像領域設定部、23…結合処理部、100,121~123…軌跡、A…距離点、J…領域結合処理、J1…簡易判定処理、J2A,J2B…判定処理、PIC…ステレオ画像、PL…左画像、PR…右画像、PZ…距離画像、R,R1,R2,R21~R23…画像領域、TA~TF…しきい値、Zmeas…距離値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15