(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫扉および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20231221BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F25D23/02 304C
F25D23/08 G
(21)【出願番号】P 2019214192
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勇也
(72)【発明者】
【氏名】文 ブン
(72)【発明者】
【氏名】森田 洋平
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089981(JP,A)
【文献】特開2002-340474(JP,A)
【文献】特開2010-091186(JP,A)
【文献】特開2002-195741(JP,A)
【文献】特開2016-001063(JP,A)
【文献】特開2010-060190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の前面側に位置するガラス板と、
前記扉の背面側に位置する背面板と、
前記扉の外周端部に配置され、前記ガラス板および前記背面板の端部を支持する複数の樹脂製の扉キャップと
を備え、
前記扉キャップの少なくとも一つには、前記扉の内部側の前記背面側に前記扉キャップの長手方向に沿って延びる金属製の補強部材が設けられており、
前記少なくとも一つの扉キャップは、前方底面部と、前記前方底面部の後方側に位置しており前記前方底面部よりも一段高い位置に設けられている後方底面部と、前記前方底面部と前記後方底面部との間に設けられている中央壁部と、を有し、
前記補強部材は前記後方底面部と面接触するとともに、前記補強部材の前端を前記中央壁部よりも後方に位置させて、前記補強部材の設置領域には、前記扉キャップと前記補強部材との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている、
冷蔵庫扉。
【請求項2】
前記少なくとも一つの扉キャップは、前記扉のヒンジ軸を支持するヒンジ配置部を、前記扉の長手方向の端部に有しており、
前記少なくとも一つの扉キャップの前記中央壁部および前記補強部材の前端は、前記扉の長手方向の中央部よりも前記ヒンジ配置部が配されている端部のほうが、前方に位置している、
請求項1に記載の冷蔵庫扉。
【請求項3】
前記少なくとも一つの扉キャップには、前記扉の自閉を補助する自閉機構が設けられている、請求項2に記載の冷蔵庫扉。
【請求項4】
前記扉は長方形状を有し、
前記少なくとも一つの扉キャップは、前記扉の長手方向の外周端部に配置されている、
請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫扉。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫扉を備えている冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板を備えている冷蔵庫扉、およびこのような冷蔵庫扉を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、美観の向上を目的として、扉の前面側をガラス板で構成しているものがある。例えば、特許文献1には、冷蔵室2の冷蔵室扉2bの前面がガラス板7で全面的に覆われ、この冷蔵室扉2bの四辺の外周端部には上下左右4個の扉枠部材8a~8c等が取り付けられている冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている冷蔵庫のように、前面をガラス板で構成し、ガラス板の四辺の外周端部にそれぞれ扉枠部材を設ける扉では、荷重がかかった場合や、扉の内部を発泡断熱材で充填した場合などに、扉枠部材が変形する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明では、ガラス板を有する冷蔵庫扉において外周端部の変形を抑制することのできる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面にかかる冷蔵庫扉は、扉の前面側に位置するガラス板と、前記扉の背面側に位置する背面板と、前記扉の外周端部に配置され、前記ガラス板および前記背面板の端部を支持する複数の樹脂製の扉キャップとを備えている。前記扉キャップの少なくとも一つには、前記扉の内部側の前記背面側に前記扉キャップの長手方向に沿って延びる金属製の補強部材が設けられており、前記少なくとも一つの扉キャップの前記内部側の前記補強部材の設置領域は、前記扉キャップと前記補強部材との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている。
【0007】
本発明の第2局面にかかる冷蔵庫扉は、扉の前面側に位置するガラス板と、前記扉の背面側に位置する背面板と、前記扉の外周端部に配置され、前記ガラス板および前記背面板の端部を支持する複数の樹脂製の扉キャップとを備えている。前記扉キャップの少なくとも一つには、前記扉の内部側に前記扉の前後方向または左右方向に延びる少なくとも一つのリブが設けられており、前記少なくとも一つの扉キャップの前記内部側の前記背面側には、前記扉キャップの長手方向に沿って延びる金属製の補強部材が設けられている。前記扉キャップの前記内部側の前記補強部材の設置領域には、前記扉キャップと前記補強部材との間に空間が設けられており、前記少なくとも一つのリブは、前記空間への発泡断熱材の浸入を妨げないような構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1局面または第2局面にかかる構成によれば、ガラス板を有する冷蔵庫扉において外周端部の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかる冷蔵庫の外観を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫に備えられた冷蔵室扉の外観を示す正面図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の冷蔵室扉を構成する部品を分解した状態で示す分解斜視図である。
【
図4】
図3に示す冷蔵室扉の底部キャップを示す斜視図である。
【
図5】
図3に示す冷蔵室扉の底部キャップを示す斜視図である。
【
図6】
図2に示す冷蔵室扉のA-A線部分の内部構成を示す断面図である。
【
図7】第2の実施形態にかかる冷蔵庫の冷蔵室扉の底面部の構成を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す冷蔵室扉の変形例の構成を示す断面図である。
【
図9】第3の実施形態にかかる冷蔵庫の冷蔵室扉の側方キャップを示す斜視図である。
【
図10】第3の実施形態にかかる冷蔵庫の冷蔵室扉の側方キャップを示す斜視図である。
【
図12】比較例にかかる冷蔵室扉のA-A線部分の内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、本発明の一態様にかかる冷蔵庫として、左右何れの側からも開閉可能な冷蔵室扉11を備えている冷蔵庫1を例に挙げて説明する。冷蔵室扉11は、本発明にかかる冷蔵庫扉の一例である。
【0012】
<冷蔵庫の全体構成>
図1には、本実施形態にかかる冷蔵庫1の正面側の構成を示す。冷蔵庫1の本体部の外形は、主として、断熱箱体(冷蔵庫本体部)10で形成されている。冷蔵庫1は、上段に第1の冷蔵室、中段に第2の冷蔵室(野菜室)、および下段に第1の冷凍室を備えている。また、冷蔵庫1の中段には、製氷室および第2の冷凍室も備えられている。
【0013】
なお、冷蔵庫1における各貯蔵室の構成や配置は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の構成および配置は、冷蔵庫の容量、用途などに応じて適宜変更することができる。
【0014】
また、上段の第1の冷蔵室には、冷蔵室扉11が設けられている。冷蔵室扉11は、左右何れの端部からも開閉することのできる両開き式の扉である。そのため、冷蔵室扉11の左右両側の端部には、冷蔵室扉11を開閉する際の取っ手として機能する把持部82がそれぞれ設けられている。具体的には、左側の把持部82aは、冷蔵室扉11の左側端部に設けられている。また、右側の把持部82bは、冷蔵室扉11の右側端部に設けられている。
【0015】
中段の第2の冷蔵室(野菜室)には、引き出し式の冷蔵室扉13が設けられている。下段の第1の冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉14が設けられている。また、中段の製氷室および第2の冷凍室には、引き出し式の製氷室扉15または冷凍室扉16がそれぞれ設けられている。
【0016】
なお、冷蔵庫1における各扉の構成は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の扉は、各貯蔵室の構造、用途、位置などに応じて、例えば、左右両側から開閉可能な方式、観音開き方式、左右の何れかの端部から開閉する方式、引き出し方式などを適宜採用することができる。
【0017】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面(正面)とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1および断熱箱体10の各面を、上面、側面、後面(背面)、及び底面とする。また、冷蔵庫1(あるいは、断熱箱体10、上部取付部材90など)を正面側から見た状態で、左に位置する側を冷蔵庫1などの左側と呼び、右に位置する側を冷蔵庫1などの右側と呼ぶ。
【0018】
断熱箱体10の上面には、上部取付部材90が配置されている。上部取付部材90内には、人検知センサ91、スピーカ、およびヒンジ補強部などが設けられている。
【0019】
<冷蔵室扉の構成>
続いて、冷蔵室扉11の構成について説明する。
図2には、冷蔵室扉11の外観を示す。
図3には、冷蔵室扉11の各構成部材を分解した状態で示す。
図3では、断熱箱体10側の部材であって、ヒンジ軸19・19、およびロックカム17・17などを有するヒンジ保持部材18も図示している。
【0020】
冷蔵室扉11は、縦方向(上下方向)に長い略長方形状を有している。冷蔵室扉11の外形は、主として、ガラス板21、背面樹脂板(背面板)22、枠状パッキン23、および複数の扉キャップ(具体的には、底部キャップ31、上部キャップ32、左側の側方キャップ33、および右側の側方キャップ34)などで構成されている。冷蔵室扉11は、これらの各構成部材によってその外形が形成され、内部に、発泡断熱材(例えば、発泡ポリウレタンなど)および真空断熱材などで構成される断熱層が形成されている。
【0021】
ガラス板21は、冷蔵室扉11の前面側に位置する。冷蔵室扉11の前面がガラス板21で構成されていることで、冷蔵庫1の美観を向上させることができる。ガラス板21は、冷蔵室扉11の形状に合わせて略長方形状を有している。但し、ガラス板21の左右両側の側端部において把持部82aおよび82bが配置される部分は、切り欠かれている。
【0022】
背面樹脂板22は、冷蔵室扉11の背面側に位置する。背面樹脂板22は、樹脂製の板状部材を成型して形成されている。背面樹脂板22は、冷蔵室扉11が閉じられた状態で庫内側に位置し、庫内空間を形成する庫内壁の一部となる。背面樹脂板22には、冷蔵室扉11の背面を左右方向に延びるように配置された、複数の収納ポケット(図示せず)が取り付けられる。
【0023】
枠状パッキン23は、背面樹脂板22の背面の外周に沿うように取り付けられる。枠状パッキン23には、枠に沿って突起状の嵌め込み部23aが設けられている。この嵌め込み部23aは、背面樹脂板22の背面に形成された嵌め込み溝22a(
図6参照)に嵌め込まれる。このような枠状パッキン23が設けられていることで、冷蔵室扉11が閉じられた状態のときに、庫内(冷蔵室内)の密閉性を高めることができる。
【0024】
扉キャップは、底部キャップ31、上部キャップ32、左側の側方キャップ33、および右側の側方キャップ34で構成されている。各扉キャップは、冷蔵室扉11の外周端部に設けられている。各扉キャップは、ガラス板21および背面樹脂板22を保持し、ガラス板21と背面樹脂板22とを連結している。
【0025】
底部キャップ31は、冷蔵室扉11の底部に設けられている。底部キャップ31は、樹脂製のキャップ本体41と、金属製の補強部材42とを有している。底部キャップ31の底面側には、ヒンジ保持部(ヒンジ配置部)25・25(
図5参照)が設けられている。ヒンジ保持部25・25は、断熱箱体10側のヒンジ保持部材18の左右両側のヒンジ軸19および19と対応する位置に設けられている。
【0026】
上部キャップ32は、冷蔵室扉11の上部に設けられている。上部キャップ32は、樹脂製のキャップ本体と、金属製の補強部材とを有している。キャップ本体および補強部材の構成は、底部キャップ31のキャップ本体および補強部材と概ね同様の構成が適用できる。
【0027】
側方キャップ33および34は、冷蔵室扉11の側部に設けられている。側方キャップ33は、正面から見て冷蔵室扉11の左側に設けられている。側方キャップ34は、正面から見て冷蔵室扉11の右側に設けられている。側方キャップ33には、左側の把持部82aが設けられている。側方キャップ34には、右側の把持部82bが設けられている。
【0028】
側方キャップ33は、樹脂製のキャップ本体61と、金属製の補強部材62とを有している。側方キャップ34は、側方キャップ33と左右対称の形状を有している。図示はしていないが、側方キャップ34も、樹脂製のキャップ本体61と、金属製の補強部材62とを有している。
【0029】
以上のように、各扉キャップの内側(発泡断熱材が充填されている側)には、扉キャップの長手方向に沿って金属製の補強部材が設けられている。このような補強部材が設けられていることで、比較的変形しやすい樹脂製の扉キャップの変形を抑制することができる。具体的には、扉キャップの長手方向側の湾曲や反りなどを抑えることができる。
【0030】
<底部キャップの構成>
続いて、底部キャップ31のより詳細な構成について説明する。
図4および
図5には、底部キャップ31の外観構成を示す。
図4では、底部キャップ31の上面側(断熱層が設けられている側)の構成を示す。
図5では、底部キャップ31の底面側(冷蔵室扉11の外側)の構成を示す。また、
図6には、冷蔵室扉11の底部の断面構成を示す。
図6は、
図2に示すA-A線部分の断面構成を示す図である。
【0031】
上述したように、底部キャップ31は、樹脂製のキャップ本体41と、金属製の補強部材42とを有している。
【0032】
キャップ本体41は、底部キャップ31の本体部分を構成している。
図5に示すように、キャップ本体41の底面側には、冷蔵室扉11の開閉動作に関わる構成として、ヒンジ保持部25・25、スライドカム26・26、およびガイドローラ27・27などが設けられている。これらの各構成部材は、左右対称にそれぞれ設けられている。
【0033】
ヒンジ保持部25は、キャップ本体41の左右両側の端部付近にそれぞれ設けられている。ヒンジ保持部25は、断熱箱体10のヒンジ保持部材18に設けられたヒンジ軸19を相対的に摺動案内する。また、左右の一方のヒンジ保持部25が、対応するヒンジ軸19を回動自在に保持して、冷蔵室扉11のヒンジとして機能する。
【0034】
スライドカム26は、ヒンジ保持部25のやや内側に配置されている。スライドカム26は、断熱箱体10のヒンジ保持部材18に設けられたロックカム17に対応する位置に配置されており、扉開閉動作時の冷蔵室扉11の移動を規制する。
【0035】
ガイドローラ27は、冷蔵室扉11の開閉動作を補助するための部材である。ガイドローラ27は、スライドカム26のやや内側に配置されている。
【0036】
ガイドローラ27は、上段の冷蔵室と中段の第2の冷蔵室(野菜室)などとを仕切る仕切壁の前端に配置されたヒンジ保持部材18上に位置し、閉鎖状態の冷蔵室扉11を支持する。また、ヒンジ保持部材18には後方に向かって下方に傾斜する傾斜面が左右にわたって設けられており、ガイドローラ27がこの傾斜面を下ることで冷蔵室扉11が閉鎖方向に付勢される自閉機構(重力を利用した自閉機構)を成している。
【0037】
また、キャップ本体41は、前方底面部41a、後方底面部41b、前方壁部41c、中央壁部41d、後方壁部41e、縦リブ46、および横リブ45などを有している。
【0038】
前方底面部41aおよび後方底面部41bは、冷蔵室扉11の底面をそれぞれ形成している。前方底面部41aは、冷蔵室扉11の前方側に位置し、長手方向(左右方向)に延びている。後方底面部41bは、冷蔵室扉11の後方側に位置し、長手方向(左右方向)に延びている。
図6に示すように、後方底面部41bは、前方底面部41aよりも一段高い位置に設けられている。また、ヒンジ保持部25やスライドカム26が取り付けられるキャップ本体41の左右両側の端部付近では、後方底面部41bの前後方向の幅は他の部分と比較して大きくなっている(
図5など参照)。
【0039】
前方壁部41cは、冷蔵室扉11の前面に沿って延びる側壁である。前方壁部41cの前方側には、ガラス板21の下端部が固定される。中央壁部41dは、前方壁部41cの後方側に位置し、前方壁部41cと略平行に延びている。後方壁部41eは、中央壁部41dの後方側に位置し、前方壁部41cおよび中央壁部41dと略平行に延びている。後方壁部41eには、背面樹脂板22の下端部が固定される。
【0040】
縦リブ46は、キャップ本体41の短手方向(すなわち、冷蔵室扉11の前後方向)に延びている。本実施形態では、複数の縦リブ46が互いに略平行に設けられている。
図4および
図5に示すように、縦リブ46の一部は冷蔵室扉11の外側に位置し、縦リブ46の残りの一部は冷蔵室扉11の内側(断熱層が設けられている側)に位置している。
【0041】
横リブ45は、キャップ本体41の長手方向(すなわち、冷蔵室扉11の左右方向)に延びている。
図5に示すように、横リブ45は、縦リブ46と交差するように延びている。本実施形態では、横リブ45は、冷蔵室扉11の外側に設けられている。
【0042】
補強部材42は、金属板を折り曲げて形成されている。
図6などに示すように、補強部材42は、冷蔵室扉11の内部側(すなわち、断熱層が設けられている側)かつ冷蔵室扉11の背面側(すなわち、背面樹脂板22により近い側)に配置されている。補強部材42は、底部キャップ31の長手方向(左右方向)に沿って延びている。補強部材42は、水平面部42aと、縦壁部42bとを有している。
【0043】
水平面部42aは、キャップ本体41の底面部と略平行に、キャップ本体41の長手方向に沿って延びている。より具体的には、水平面部42aは、キャップ本体41の後方底面部41bに面接触した状態で配置されている(
図6参照)。
【0044】
縦壁部42bは、水平面部42aの前方側を略直角に折り曲げて形成されている。縦壁部42bは、その大部分が、前方壁部41cおよび後方壁部41eなどと略平行になるように底部キャップ31の左右方向に延びている。
【0045】
このような金属製の補強部材42が設けられていることで、底部キャップ31の強度を向上させることができる。特に、底部キャップ31の左右両端部には、ヒンジ軸19・19を支持するヒンジ保持部25・25が設けられており、他の扉キャップよりも高い剛性が要求される。そのため、底部キャップ31においてヒンジ保持部25およびスライドカム26が配置されている左右両側の端部近傍では、水平面部42aの前後方向の幅は、後方底面部41bの前後方向の幅と同様に、他の部分と比較して大きくなっている(
図4など参照)。補強部材42がこのような形状を有していることで、ヒンジ保持部25およびスライドカム26の上部の大部分を、後方底面部41bを介して補強部材42の水平面部42aによって面接触で支持することができ、冷蔵室扉11のヒンジ部の強度を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、底部キャップ31の左右方向の中間部分においても、補強部材42の水平面部42aが、キャップ本体41の後方底面部41b上に配置されている。すなわち、キャップ本体41の中央壁部41dは、補強部材42の縦壁部42bよりも前方側に位置している。
【0047】
これにより、底部キャップ31の内部側(断熱層側)の補強部材42の設置領域は、キャップ本体41の後方底面部41bと面接触した状態となる。そのため、底部キャップ31と補強部材42との間は、断熱層の形成時(発泡断熱材料の注入時)に、発泡断熱材が入り込む余地がないような構成となっている。すなわち、底部キャップ31の内部側の補強部材42の設置領域は、底部キャップ31と補強部材42との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている。
【0048】
この点について、比較のために、底部キャップ31と補強部材42との間に発泡断熱材が入り込む空間が存在する構成を参照しながら説明する。
図12には、本実施形態とは異なる構成のキャップ本体941を有する底部キャップ931を示す。底部キャップ931において、キャップ本体941以外の構成は、本実施形態の底部キャップ31と同じである。
【0049】
底部キャップ931のキャップ本体941は、前方底面部941a、後方底面部941b、前方壁部941c、中央壁部941d、後方壁部941e、縦リブ(図示せず)、および横リブ945などを有している。
【0050】
図12に示す構成では、横リブ945は、冷蔵室扉11の内部側(断熱層側)に設けられている。また、冷蔵室扉11の内部側では、横リブ945と交差するように、複数の縦リブが設けられている。これにより、冷蔵室扉11の内部側には、キャップ本体941の縦リブと横リブ945とで小さく区画された空間が形成される。そして、キャップ本体941の中央壁部941dは、補強部材42の縦壁部42bよりも後方側に位置している。
【0051】
このような構成により、キャップ本体941の縦リブと横リブ945とで小さく区画された空間の一部は、補強部材42の水平面部42aによって部分的に覆われることになる。そのため、底部キャップ931の内部側には、例えば、
図12に示すように、開口の小さな空間Sが形成される。
【0052】
このような空間Sには、断熱層を形成するために発泡断熱材料を注入したときに、材料が入り込みにくい。そのため、結果として、このような空間Sには、発泡断熱材の存在しない空洞が形成されやすくなる。冷蔵室扉11の内部にこのような空洞が形成されると、この部分の剛性が他の部分よりも低下する。このとき、周囲の温度変化によって、冷蔵室扉11の内部側に形成された発泡断熱材が膨張したり収縮したりすると、この空洞に発泡断熱材の膨張または収縮時の歪みが集中して現れる。
【0053】
例えば、発泡断熱材が収縮すると、キャップ本体941には内側に引っ張られる応力がかかる。このとき、キャップ本体の前面側はガラス板21によって支持されており、ガラス板は熱による変形がほとんどないことから、キャップ本体941の前面側はガラス板によって変形が抑制される。一方、キャップ本体の背面側は、樹脂製の板状部材を成型した背面樹脂板22が配されているため、発泡断熱材の収縮に伴って、背面樹脂板22も内側(
図12では前方斜め上側)に引っ張られる。これにより、冷蔵室扉11の前面側と背面側とで冷蔵室扉11を構成する各部材の変形量が異なってくる。
【0054】
このような状態で、キャップ本体941の前後方向の中間部に上記の空洞が存在していると、この空洞の変形によって冷蔵室扉11の前後方向の歪みを吸収しようという作用が生じる。そのため、結果として、空洞の上部が前後方向に潰されて、キャップ本体941の後方底面部941bや後方壁部941eなどが持ち上げられる。このように、冷蔵室扉11の背面側の変形が生じると、枠状パッキン23が傾いて、冷蔵室扉11が閉じられた状態のときの庫内(冷蔵室内)の密閉性が低下する。また、本実施形態のように、底部キャップ31にガイドローラ27などの自閉機構を設けている場合は、キャップ本体941の後方底面部941bが持ち上げられてガイドローラ27も持ち上がることで、自閉機構の機能が低下することも起こりうる。
【0055】
発泡断熱材が膨張した場合は、逆に、空洞の上部が前後方向に広げられて、キャップ本体941の後方底面部941bや後方壁部941eなどが押し下げられる。この場合も、冷蔵室扉11が閉じられた状態のときの庫内(冷蔵室内)の密閉性が低下する。また、自閉機構が押し下げられるので、自閉機構がヒンジ保持部材18と干渉して、冷蔵室扉11の開閉が重くなることも起こりうる。
【0056】
これに対して、本実施形態にかかる構成では、上述したように、冷蔵室扉11の底部キャップ31の内部側の補強部材42の設置領域は、底部キャップ31と補強部材42との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている。
【0057】
これにより、冷蔵室扉11内部の底部分において、発泡断熱材料が入り込めない空間がなくなり、断熱層の充填されていない空洞が形成されにくい構造とすることができる。したがって、冷蔵室扉11の底部分、特に背面側の変形を抑えることができる。
【0058】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、冷蔵室扉11を備えている。冷蔵室扉11は、ガラス板21と、背面樹脂板22と、複数の樹脂製の扉キャップ(底部キャップ31、上部キャップ32、左側の側方キャップ33、および右側の側方キャップ34)とを備えている。各扉キャップは、扉の外周端部に配置され、ガラス板21および背面樹脂板22の外周端部を支持している。扉キャップの少なくとも一つ(例えば、底部キャップ31)には、扉の内部側(断熱層側)の背面側に、扉キャップの長手方向に沿って延びる金属製の補強部材42が設けられている。そして、扉キャップの内部側の補強部材42の設置領域は、扉キャップ(底部キャップ31)と補強部材42との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている。
【0059】
この構成によれば、冷蔵室扉11内部の外周端部において、発泡断熱材料が入り込めない空間がなくなり、断熱層の充填されていない空洞が形成されにくい構造とすることができる。したがって、発泡断熱材の膨張や収縮に対して、冷蔵室扉11の外周端部の変形や強度の低下を抑えることができる。
【0060】
なお、底部キャップ31の左右両端部には、ヒンジ軸19・19を支持するヒンジ保持部25・25が設けられており、他の扉キャップよりも高い剛性が要求される。そのため、底部キャップ31において、底部キャップ31と補強部材42との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないような構成とすることで、断熱層の充填されていない空洞が形成されにくい構造とすることができる。したがって、冷蔵室扉11の底部分の変形や強度の低下を抑えることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、冷蔵室扉11は、縦方向(上下方向)に長い略長方形状を有しているが、本発明にかかる冷蔵庫扉の形状は、これに限定されない。別の実施態様では、冷蔵庫扉は、横方向(左右方向)に長い略長方形状を有していてもよい。また、冷蔵庫扉は、冷蔵室に設けられるものに限定はされず、野菜室、冷凍室、および製氷室などの扉であってもよい。
【0062】
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、冷蔵室扉の底部キャップの構成が第1の実施形態とは異なっている。以下では、本実施形態にかかる冷蔵庫1に備えらえた冷蔵室扉11の底部キャップ131の構成を中心に説明する。
【0063】
図7には、第2の実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室扉11の底部の断面構成を示す。
図7は、本実施形態にかかる冷蔵庫1における冷蔵室扉11のA-A線部分に相当する箇所の断面構成を示す図である。
【0064】
第1の実施形態と同様に、冷蔵室扉11の外形は、主として、ガラス板21、背面樹脂板(背面板)22、枠状パッキン23、および複数の扉キャップなどで構成されている。扉キャップは、底部キャップ131、上部キャップ32、左側の側方キャップ33、および右側の側方キャップ34で構成されている。上部キャップ32、左側の側方キャップ33、および右側の側方キャップ34については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0065】
底部キャップ131は、冷蔵室扉11の底部に設けられている。底部キャップ131は、樹脂製のキャップ本体141と、金属製の補強部材42とを有している。補強部材42については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0066】
キャップ本体141は、底部キャップ131の本体部分を構成している。
図7には図示されていないが、第1の実施形態と同様に、キャップ本体141の底面側には、冷蔵室扉11の開閉動作に関わる構成として、ヒンジ保持部25・25、スライドカム26・26、およびガイドローラ27・27などが設けられている。
【0067】
また、キャップ本体141は、前方底面部41a、後方底面部41b、前方壁部41c、中央壁部41d、後方壁部41e、および縦リブ46(
図7では図示せず)などを有している。
【0068】
前方底面部41aおよび後方底面部41bは、冷蔵室扉11の底面をそれぞれ形成している。前方底面部41aは、冷蔵室扉11の前方側に位置し、長手方向(左右方向)に延びている。後方底面部41bは、冷蔵室扉11の前方側に位置し、長手方向(左右方向)に延びている。
図7に示すように、後方底面部41bは、前方底面部41aよりも一段高い位置に設けられている。
【0069】
前方壁部41cは、冷蔵室扉11の前面に沿って延びる側壁である。前方壁部41cの前方側には、ガラス板21の下端部が固定される。中央壁部41dは、前方壁部41cの後方側に位置し、前方壁部41cと略平行に延びている。後方壁部41eは、中央壁部41dの後方側に位置し、前方壁部41cおよび中央壁部41dと略平行に延びている。
図7では図示していないが、後方壁部41eには、背面樹脂板22の下端部が固定される。
【0070】
縦リブ46は、キャップ本体141の短手方向(すなわち、冷蔵室扉11の前後方向)に延びている。第1の実施形態と同様に、複数の縦リブ46は互いに略平行に設けられている。
【0071】
上述の第1の実施形態にかかる構成では、底部キャップ31の内部側には、縦リブ46と交差するように延びる横リブ45が設けられている。これに対して、本実施形態にかかる構成では、キャップ本体141の内部側に、横リブは形成されていない。
【0072】
また、本実施形態では、補強部材42の水平面部42aの一部が、キャップ本体141の後方底面部41bよりも先方側にせり出している。すなわち、キャップ本体141の中央壁部41dは、
図12と同様に、補強部材42の縦壁部42bよりも後方側に位置している。
【0073】
これにより、底部キャップ131の内部側(断熱層側)の補強部材42の設置領域では、キャップ本体141と補強部材42との間に空間が形成される。そして、キャップ本体141の内部側には、縦リブ46のみが設けられ、横リブが設けられていないことで、キャップ本体141と補強部材42との間の空間へ発泡断熱材料を入り込みやすくすることができる。すなわち、本実施形態では、底部キャップ131の内部側において、キャップ本体141と補強部材42との間の空間への発泡断熱材の浸入を妨げないように、横リブを設けない構成としている。
【0074】
これにより、冷蔵室扉11内部の底部分において、発泡断熱材料が入り込めない空間がなくなり、断熱層の充填されていない空洞が形成されにくい構造とすることができる。したがって、冷蔵室扉11の底部分の変形や強度の低下を抑えることができる。さらに、本実施形態では、補強部材42とキャップ本体141との間にも発泡断熱材が充填されるので、冷蔵室扉11の断熱性を向上させることができ、例えば、底部キャップ131の結露を抑制することができる。
【0075】
続いて、第2の実施形態の変形例について説明する。
図8には、変形例にかかる冷蔵室扉11の底部キャップ131の断面構成を示す。変形例では、キャップ本体141と補強部材42との間の空間への発泡断熱材の浸入を妨げないような横リブ145が形成されている構成について説明する。
【0076】
変形例にかかる冷蔵室扉11の底部キャップ131には、前方底面部41a上に、キャップ本体141の長手方向(すなわち、冷蔵室扉11の左右方向)に延びる横リブ145が設けられている。
図8に示すように、横リブ145の高さH1は、中央壁部41dの高さH2と比較して小さい。また、この横リブ145の高さH1は、縦リブ46の高さと比較しても小さい。
【0077】
例えば、補強部材42の屈曲部O(水平面部42aと縦壁部42bとの境界部分)から横リブ145の頂点までの距離をRとし、キャップ本体141と補強部材42との間の空間の高さをH2とすると、R≧H2の関係を満たすことが好ましい。横リブ145の高さH1は、この条件を満たすような大きさに設定されることが好ましい。
【0078】
このような横リブ145は、キャップ本体141と補強部材42との間の空間へ発泡断熱材の浸入を妨げないような構成である。そのため、この構成によれば、冷蔵室扉11内部の底部分において、発泡断熱材料が入り込めない空間がなくなり、断熱層の充填されていない空洞が形成されにくい構造とすることができる。したがって、冷蔵室扉11の底部分の変形や強度の低下を抑えることができる。また、横リブ145によって、底部キャップ131の左右方向の撓みを抑制することができる。
【0079】
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、冷蔵室扉の側方キャップの構成が第1の実施形態とは異なっている。以下では、本実施形態にかかる冷蔵庫1に備えらえた冷蔵室扉11の側方キャップ234の構成を中心に説明する。
【0080】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵室扉11の外形は、主として、ガラス板21、背面樹脂板(背面板)22、枠状パッキン23、および複数の扉キャップなどで構成されている。扉キャップは、底部キャップ31、上部キャップ32、左側の側方キャップ233、および右側の側方キャップ234で構成されている。底部キャップ31および上部キャップ32については、第1または第2の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0081】
側方キャップ233および234は、冷蔵室扉11の側部に設けられている。側方キャップ233は、正面から見て冷蔵室扉11の左側に設けられている。側方キャップ234は、正面から見て冷蔵室扉11の右側に設けられている。側方キャップ233には、左側の把持部82aが設けられている。側方キャップ234には、右側の把持部82bが設けられている。
【0082】
図9および
図10には、本実施形態の冷蔵室扉11を構成する右側の側方キャップ234の構成を示す。左側の側方キャップ233は、側方キャップ234と左右対称の構成を有している。そのため、以下では、右側の側方キャップ234の構成を例に挙げて説明し、左側の側方キャップ233の説明は省略する。
【0083】
図9は、側方キャップ234の外側の構成を示す。
図10は、側方キャップ234の内部側(断熱層側)の構成を示す。側方キャップ234は、樹脂製のキャップ本体261と、金属製の補強部材262とを有している。
【0084】
キャップ本体261は、側方キャップ234の本体部分を構成している。
図9および
図10に示すように、キャップ本体261には、把持部82が取り付けられる把持部設置部84が設けられている。
【0085】
補強部材262は、金属板を折り曲げて形成されている。
図10に示すように、補強部材262は、冷蔵室扉11の内部側(すなわち、断熱層が設けられている側)かつ冷蔵室扉11の背面側(すなわち、背面樹脂板22により近い側)に配置されている。補強部材262は、側方キャップ234の長手方向(上下方向)に沿って延びている。なお、
図9に示す例では、把持部設置部84が形成されている領域には、補強部材262は設けられていない。しかし、別の実施態様では、補強部材262は、把持部設置部84が形成されている領域にまで延びていてもよい。
【0086】
図11には、側方キャップ234における補強部材262が配置されている部分の断面構成を示す。
【0087】
キャップ本体261は、前方側面部261a、後方側面部261b、前方壁部261c、中央壁部261d、後方壁部261e、およびリブ266などを有している。
【0088】
前方側面部261aおよび後方側面部261bは、冷蔵室扉11の側面をそれぞれ形成している。前方側面部261aは、冷蔵室扉11の前方側に位置し、長手方向(上下方向)に延びている。後方側面部261bは、冷蔵室扉11の後方側に位置し、長手方向(上下方向)に延びている。
図11に示すように、後方側面部261bは、前方側面部261aよりも一段内側に設けられている。
【0089】
前方壁部261cは、冷蔵室扉11の前面に沿って延びる側壁である。前方壁部41cの前方側には、ガラス板21の側端部が嵌め込まれる嵌め込み溝21aが形成されている。中央壁部261dは、前方壁部261cの後方側に位置し、前方壁部261cと略平行に延びている。後方壁部261eは、中央壁部261dの後方側に位置し、前方壁部261cおよび中央壁部261dと略平行に延びている。後方壁部261eには、背面樹脂板22の側端部が固定される。
【0090】
リブ266は、キャップ本体261の短手方向(すなわち、冷蔵室扉11の前後方向)に延びている。本実施形態では、複数のリブ266が互いに略平行に設けられている。本実施形態では、リブ266は、冷蔵室扉11の外側に設けられている。
【0091】
補強部材262は、水平面部262aと、縦壁部262bとを有している。
【0092】
水平面部262aは、キャップ本体261の側面部と略平行に、キャップ本体261の長手方向に沿って延びている。より具体的には、水平面部262aは、キャップ本体261の後方側面部261bに面接触した状態で配置されている(
図11参照)。
【0093】
縦壁部262bは、水平面部262aの前方側を略直角に折り曲げて形成されている。縦壁部262bは、その大部分が、前方壁部261cおよび後方壁部261eなどと略平行になるように側方キャップ234の上下方向に延びている。
【0094】
このような金属製の補強部材262が設けられていることで、側方キャップ234の強度を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態では、補強部材262の水平面部262aの全体が、キャップ本体261の後方側面部261b上に配置されている。すなわち、キャップ本体261の中央壁部261dは、補強部材262の縦壁部262bとほぼ同じ位置、あるいはやや前方側に位置している。
【0096】
これにより、側方キャップ234の内部側(断熱層側)の補強部材262の設置領域は、キャップ本体261の後方側面部261bと面接触した状態となる。そのため、側方キャップ234と補強部材262との間は、断熱層の形成時(発泡断熱材料の注入時)に、発泡断熱材が入り込む余地がないような構成となっている。すなわち、側方キャップ234の内部側の補強部材262の設置領域は、側方キャップ234と補強部材262との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている。
【0097】
これにより、冷蔵室扉11内部の側方部分において、発泡断熱材料が入り込めない空間がなくなり、断熱層の充填されていない空洞が形成されにくい構造とすることができる。したがって、冷蔵室扉11の側方部分の変形や強度の低下を抑えることができる。
【0098】
なお、冷蔵室扉11は、上下方向に長い長方形状を有している。すなわち、側方キャップ234は、冷蔵室扉11の長手方向の外周端部に配置される。冷蔵室扉11の長手方向の外周端部は、短手方向の外周端部に比べて、より変形しやすい。そのため、上下方向に長い長方形状を有する冷蔵室扉11の側方キャップを上記のような構成とすることで、長手方向側の扉キャップの変形を抑えることができる。
【0099】
〔まとめ〕
本発明の一局面にかかる冷蔵庫扉(例えば、冷蔵室扉11)は、扉の前面側に位置するガラス板(例えば、ガラス板21)と、前記扉の背面側に位置する背面板(例えば、背面樹脂板22)と、前記扉の外周端部に配置され、前記ガラス板および前記背面板の端部を支持する複数の樹脂製の扉キャップ(例えば、底部キャップ31または131、上部キャップ32、並びに側方キャップ33・34または233・234)とを備えている。前記扉キャップの少なくとも一つ(例えば、底部キャップ31、または、側方キャップ233・234)には、前記扉の内部側(すなわち、発泡断熱材が充填される側)の前記背面側(すなわち、背面樹脂板22が位置する側)に前記扉キャップの長手方向に沿って延びる金属製の補強部材(例えば、補強部材42、262)が設けられており、前記少なくとも一つの扉キャップの前記内部側の前記補強部材の設置領域は、前記扉キャップと前記補強部材との間に発泡断熱材が入り込む空間を設けないように構成されている。
【0100】
また、本発明のもう一つの局面にかかる冷蔵庫扉(例えば、冷蔵室扉11)は、扉の前面側に位置するガラス板(例えば、ガラス板21)と、前記扉の背面側に位置する背面板(例えば、背面樹脂板22)と、前記扉の外周端部に配置され、前記ガラス板および前記背面板の端部を支持する複数の樹脂製の扉キャップ(例えば、底部キャップ31または131、上部キャップ32、並びに側方キャップ33・34または233・234)とを備えている。前記扉キャップの少なくとも一つ(例えば、底部キャップ131)には、前記扉の内部側(すなわち、発泡断熱材が充填される側)に前記扉の前後方向または左右方向に延びる少なくとも一つのリブ(例えば、縦リブ46、横リブ145)が設けられている。前記少なくとも一つの扉キャップの前記内部側の前記背面側(すなわち、背面樹脂板22が位置する側)には、前記扉キャップの長手方向に沿って延びる金属製の補強部材(例えば、補強部材42)が設けられている。前記扉キャップの前記内部側の前記補強部材の設置領域には、前記扉キャップと前記補強部材との間に空間が設けられており、前記少なくとも一つのリブ(例えば、横リブ145)は、前記空間への発泡断熱材の浸入を妨げないような構成となっている。
【0101】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫扉(例えば、冷蔵室扉11)において、前記少なくとも一つの扉キャップ(例えば、底部キャップ31または131)は、前記扉のヒンジ軸(例えば、ヒンジ軸19)を支持するヒンジ配置部(例えば、ヒンジ保持部25)を有していてもよい。
【0102】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫扉(例えば、冷蔵室扉11)において、前記少なくとも一つの扉キャップ(例えば、底部キャップ31または131)には、前記扉の自閉を補助する自閉機構(例えば、ガイドローラ27)が設けられていてもよい。
【0103】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫扉(例えば、冷蔵室扉11)において、前記扉は長方形状を有し、前記少なくとも一つの扉キャップは、前記扉の長手方向の外周端部に配置されていてもよい。例えば、前記扉が上下方向に長い長方形状の場合には、側方キャップが、前記扉の長手方向の外周端部に配置される扉キャップに相当する。また、前記扉が左右方向に長い長方形状の場合には、上部キャップおよび底部キャップが、前記扉の長手方向の外周端部に配置される扉キャップに相当する。
【0104】
さらに、本発明のもう一つの局面は、冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)に関する。この冷蔵庫は、本発明の何れかの局面にかかる冷蔵室扉(例えば、冷蔵室扉11)を備えている。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1 :冷蔵庫
10 :断熱箱体
11 :冷蔵室扉
19 :ヒンジ軸
21 :ガラス板
22 :背面樹脂板(背面板)
25 :ヒンジ保持部(ヒンジ配置部)
27 :ガイドローラ(自閉機構)
31 :底部キャップ(扉キャップ)
32 :上部キャップ(扉キャップ)
33 :左側の側方キャップ(扉キャップ)
34 :右側の側方キャップ(扉キャップ)
41 :キャップ本体
42 :補強部材
45 :横リブ(リブ)
46 :縦リブ(リブ)
131 :底部キャップ
141 :キャップ本体
145 :横リブ(リブ)
234 :右側の側方キャップ(扉キャップ)
261 :キャップ本体
262 :補強部材
266 :リブ