(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20231221BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20231221BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20231221BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20231221BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20231221BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20231221BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20231221BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20231221BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S43/50
F21S43/14
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:20
F21W103:10
F21W103:55
(21)【出願番号】P 2019221942
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2019071125
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】堀川 彰仁
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116142(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061866(WO,A1)
【文献】特開2015-088244(JP,A)
【文献】特開2018-055992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0250341(US,A1)
【文献】特開2016-126948(JP,A)
【文献】特表2013-513912(JP,A)
【文献】特開2015-069905(JP,A)
【文献】特開2021-089877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/239
F21S 43/50
F21S 43/14
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 103/20
F21W 103/10
F21W 103/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と板状導光体とを備えた車両用灯具において、
上記板状導光体は、該板状導光体に入射した上記光源からの光を、該板状導光体の第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、該板状導光体の第2板面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されており、
上記複数の反射素子は、互いに間隔をおいて2次元的に配置されており、
上記各反射素子は、半径がR0.01~0.1mmの値に設定された球面状の表面形状を有しており、
互いに隣接する上記反射素子相互の中心間距離が、上記球面の半径に対して5~15倍の値に設定されて
おり、
上記板状導光体を三方向から囲むようにして該板状導光体の外周縁に沿って延びる棒状導光体を備えており、かつ、上記光源を複数個備えており、
上記各光源は、上記棒状導光体の複数箇所の各々において該棒状導光体に光を入射させるように配置されており、
上記板状導光体は、上記棒状導光体との接続部分における上記複数箇所の各々の近傍領域に、該接続部分に沿って延びる溝部が形成された構成となっており、
上記溝部は、上記複数箇所の各々から離れるに従って深さが減少するように形成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
複数の光源と、板状導光体と、上記板状導光体の外周縁に沿って延びる棒状導光体と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の光源は、上記棒状導光体の複数箇所の各々において該棒状導光体に光を入射させるように配置されており、
上記棒状導光体に、上記複数の光源のうち1対の光源からの光を該棒状導光体に対して互いに逆方向から入射させる1対の光入射部が分岐して延びるように形成されており、
上記板状導光体は、上記複数の光源の各々から上記棒状導光体を介して該板状導光体に入射した光を、該板状導光体の第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、該板状導光体の第2板面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されており、
上記板状導光体は、上記棒状導光体との接続部分の近傍領域に、該接続部分に沿って延びる溝部が形成された構成となっており、
上記溝部は、少なくとも上記1対の光入射部の基端部相互間に位置するように形成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
上記溝部は、上記1対の光入射部の基端部よりも外側の位置まで延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記溝部は、上記板状導光体の複数箇所に形成されており、
上記溝部は、上記複数箇所の各々から離れるに従って深さが減少するように形成されている、ことを特徴とする請求項2または3記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記棒状導光体は、上記板状導光体を三方向から囲むようにして該板状導光体の外周縁に沿って延びるように形成されており、
上記板状導光体は、該板状導光体の外周縁における上記三方向のうち互いに向かい合う二方向に位置する領域に、上記光入射部および上記溝部が形成された構成となっている、ことを特徴とする請求項2~4いずれか記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記溝部は、上記板状導光体における上記棒状導光体との接続部分を楔状の断面形状で切り欠くことによって形成されている、ことを特徴とする請求項2~5いずれか記載の車両用灯具。
【請求項7】
上記複数の反射素子は、互いに間隔をおいて2次元的に配置されており、
上記各反射素子は、半径がR0.01~0.1mmの値に設定された球面状の表面形状を有しており、
互いに隣接する上記反射素子相互の中心間距離が、上記球面の半径に対して5~15倍の値に設定されており、
上記第1板面において上記複数の反射素子が形成されている反射素子形成領域は、該反射素子形成領域全体の面積に対する上記複数の反射素子の占有面積の比率が1~10%の値に設定されており、
上記複数の反射素子は、正三角格子状に配置されている、ことを特徴とする請求項2~6いずれか記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、板状導光体を備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、板状導光体に入射した光源からの光を、その第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、その第2板面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具として、板状導光体の後端面に沿って配置された複数の光源からの出射光を、その後端面から板状導光体に入射させるように構成されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された構成を採用することにより、灯具正面視において板状導光体が略均一に発光して見えるようにすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、この板状導光体は、その背面側の第1板面に複数の反射素子が階段状に形成された構成となっているので、板状導光体が明るく光って見える視線方向が限られてしまう。また、この板状導光体においては、灯具非点灯時にも第1板面に形成された複数の反射素子が見えてしまう。
【0007】
これに対し、車両用灯具として灯具点灯時および灯具非点灯時の意匠性を高めることが望まれる。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、板状導光体を備えた車両用灯具において、灯具点灯時および灯具非点灯時の意匠性を高めることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、板状導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願第1の発明に係る車両用灯具は、
光源と板状導光体とを備えた車両用灯具において、
上記板状導光体は、該板状導光体に入射した上記光源からの光を、該板状導光体の第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、該板状導光体の第2板面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されており、
上記複数の反射素子は、互いに間隔をおいて2次元的に配置されており、
上記各反射素子は、半径がR0.01~0.1mmの値に設定された球面状の表面形状を有しており、
互いに隣接する上記反射素子相互の中心間距離が、上記球面の半径に対して5~15倍の値に設定されており、
上記板状導光体を三方向から囲むようにして該板状導光体の外周縁に沿って延びる棒状導光体を備えており、かつ、上記光源を複数個備えており、
上記各光源は、上記棒状導光体の複数箇所の各々において該棒状導光体に光を入射させるように配置されており、
上記板状導光体は、上記棒状導光体との接続部分における上記複数箇所の各々の近傍領域に、該接続部分に沿って延びる溝部が形成された構成となっており、
上記溝部は、上記複数箇所の各々から離れるに従って深さが減少するように形成されている、ことを特徴とするものである。
また、本願第2の発明に係る車両用灯具は、
複数の光源と、板状導光体と、上記板状導光体の外周縁に沿って延びる棒状導光体と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の光源は、上記棒状導光体の複数箇所の各々において該棒状導光体に光を入射させるように配置されており、
上記棒状導光体に、上記複数の光源のうち1対の光源からの光を該棒状導光体に対して互いに逆方向から入射させる1対の光入射部が分岐して延びるように形成されており、
上記板状導光体は、上記複数の光源の各々から上記棒状導光体を介して該板状導光体に入射した光を、該板状導光体の第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、該板状導光体の第2板面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されており、
上記板状導光体は、上記棒状導光体との接続部分の近傍領域に、該接続部分に沿って延びる溝部が形成された構成となっており、
上記溝部は、少なくとも上記1対の光入射部の基端部相互間に位置するように形成されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードや白熱バルブあるいはレーザーダイオード等が採用可能である。
【0012】
上記「板状導光体」は、該板状導光体に入射した光源からの光を、その第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、その第2板面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されていれば、その外形形状や表面形状等の具体的な形状は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「球面」は、凹球面であってもよいし凸球面であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る車両用灯具は、板状導光体に入射した光源からの光を、その第1板面に形成された複数の反射素子で全反射させた後、その第2板面から灯具前方へ向けて出射させる構成となっているが、複数の反射素子は互いに間隔をおいて2次元的に配置されており、かつ、各反射素子は球面状の表面形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、各反射素子での全反射による光反射はあらゆる方向へ向けて略均等に行われるので、板状導光体を観察する際の視線方向を灯具正面視の方向から大きく変化させても、板状導光体の第1板面における反射素子形成領域(すなわち複数の反射素子が形成されている領域)が2次元的に光って見える状態を維持することができる。
【0016】
その際、各反射素子はその表面形状を構成している球面の半径がR0.01~0.1mmの値に設定されており、かつ、互いに隣接する反射素子相互の中心間距離が上記球面の半径に対して5~15倍の値に設定されているので、灯具点灯時には板状導光体の第1板面における反射素子形成領域が2次元的に略均一に光って見えるようにすることができ、一方、灯具非点灯時には反射素子相互間の素通し部の存在によって板状導光体に透明感を持たせることができる。そしてこれにより、車両用灯具の意匠性を灯具点灯時および灯具非点灯時のいずれにおいても高めることができる。
【0017】
しかも、板状導光体は、灯具非点灯時には単なる透明板のように見えるが、灯具点灯時には反射素子形成領域が光って見えるので、点消灯の切換えに伴う意匠の変化に意外性を持たせることができる。
【0018】
このように本願発明によれば、板状導光体を備えた車両用灯具において、灯具点灯時および灯具非点灯時の意匠性を高めることができる。しかも本願発明によれば、点消灯の切換えに伴う意匠の変化に意外性を持たせることができる。
【0019】
上記構成において、さらに、板状導光体の第1板面における反射素子形成領域の構成として、該反射素子形成領域全体の面積に対する複数の反射素子の占有面積の比率が1~10%の値に設定された構成とすれば、灯具点灯時の明るさと灯具非点灯時の透明感との両立を図ることが容易に可能となる。
【0020】
上記構成において、さらに、複数の反射素子が正三角格子状に配置された構成とすれば、反射素子相互間の間隔が一定となるので、灯具点灯時の均一発光機能および灯具非点灯時の透明感を最大限に高めることができる。
【0021】
上記構成において、さらに、車両用灯具の構成として、板状導光体を三方向から囲むようにしてその外周縁に沿って延びる棒状導光体を備えた構成とするとともに光源を複数個備えた構成とした上で、各光源が棒状導光体の複数箇所の各々において該棒状導光体に光を入射させるように配置された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0022】
すなわち、複数の光源からの光が板状導光体に対して棒状導光体の複数箇所から入射することとなるので、その反射素子形成領域を構成している複数の反射素子に対して多くの光を互いに異なる方向から到達させることができる。そしてこれにより、灯具点灯時に反射素子形成領域がより明るくかつより均一に光って見えるようにすることができる。
【0023】
また、棒状導光体は板状導光体を三方向から囲むように配置されているので、板状導光体において残り一方向に位置する端面が車両用灯具の端部に位置する構成とすることが可能となる。そしてこれにより、車両用灯具を例えば車体の後端部においてバックドアやトランクリッドに隣接する位置(あるいはバックドアやトランクリッドにおいて車体に隣接する位置)等に配置することが容易に可能となり、そのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0024】
その際、棒状導光体に、複数の光源のうち1対の光源からの光を該棒状導光体に対して互いに逆方向から入射させる1対の光入射部が形成された構成とすれば、複数の光源から棒状導光体に入射した光を、該棒状導光体の全長にわたって略均等に導きつつ板状導光体に入射させることが容易に可能となる。そしてこれにより、光源からの光を棒状導光体に対してその端面から入射させることが困難な灯具構成となっている場合(例えば上述したように車両用灯具が車体の後端部においてバックドアやトランクリッドに隣接する位置に配置されている場合等)においても、灯具点灯時に反射素子形成領域がより一層明るくかつより一層均一に光って見えるようにすることができる。
【0025】
上記構成において、さらに、板状導光体の構成として、棒状導光体との接続部分における上記複数箇所の各々の近傍領域に、該接続部分に沿って延びる溝部が形成されたものとすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0026】
すなわち、複数の光源から棒状導光体を介して板状導光体に入射する光は、複数の光源からの光が棒状導光体に入射する複数箇所の各々の近傍領域において多くなる。このため、板状導光体の反射素子形成領域においては、上記複数箇所の各々の近傍領域が相対的に明るくなってしまう傾向がある。
【0027】
これに対し、板状導光体として、棒状導光体との接続部分における上記複数箇所の各々の近傍領域に溝部が形成された構成とすることにより、上記近傍領域からの入射光量を絞ることができるので、反射素子形成領域が上記近傍領域において相対的に明るくなってしまうのを抑制することができ、これにより反射素子形成領域がより均一に光って見えるようにすることができる。
【0028】
その際、上記溝部の構成として、上記複数箇所の各々から離れるに従って深さが減少するように形成されたものとすれば、反射素子形成領域がより一層均一に光って見えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願発明の第1実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【
図2】上記車両用灯具の灯具ユニットを取り出して示す正面図
【
図4】(a)は
図2のIVa-IVa線断面詳細図、(b)は(a)のb部詳細図、(c)は(b)のc部詳細図、(d)は(b)のd部詳細図
【
図8】(a)は本願発明の第2実施形態に係る車両用灯具の灯具ユニットを示す正面図、(b)は上記第2実施形態に係る灯具ユニットを点灯状態で示す正面図
【
図9】本願発明の第3実施形態に係る車両用灯具の灯具ユニットを示す正面図
【
図10】(a)は
図9のXa-Xa線断面詳細図、(b)は上記第3実施形態の第1変形例を示す(a)と同様の図、(c)は上記第3実施形態の第2変形例を示す(a)と同様の図
【
図11】上記第3実施形態の第3変形例に係る灯具ユニットを示す正面図
【
図12】(a)は
図11のXIIa-XIIa線断面詳細図、(b)は
図11のXIIb-XIIb線断面詳細図、(c)は
図11のXIIc-XIIc線断面詳細図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0031】
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、
図2は、車両用灯具10の灯具ユニット20を取り出して示す正面図であり、
図3は、その側面図である。
【0033】
これらの図において、Xで示す方向が車両用灯具10としての「前方」(車両としては「後方」)であり、Yで示す方向が「右方向」(車両としても「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右後端部に配置されるテールランプとして構成されている。その際、この車両用灯具10は、車両のバックドア(あるいはトランクリッド)に取り付けられる別の車両用灯具100の右側に隣接して配置された状態で、車体に取り付けられるように構成されている。なお、車両用灯具100も車両用灯具10と略同様の構成を有している。
【0035】
本実施形態に係る車両用灯具10は、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、灯具ユニット20が組み込まれた構成となっている。
【0036】
上記灯室内には、灯具正面視において灯具ユニット20の周縁部を覆うエクステンション部材16が配置されている。このエクステンション部材16は、パネル状の部材として構成されており、その外周縁部においてランプボディ12に支持されている。
【0037】
図2および3に示すように、灯具ユニット20は、透光部材30と3対の光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2とを備えた構成となっている。
【0038】
透光部材30は、無色透明の樹脂製(例えばアクリル樹脂製)部材であって、板状導光体32とこの板状導光体32の外周縁に沿って延びる棒状導光体34とが一体的に形成された構成となっている。
【0039】
板状導光体32は、1~3mm程度の板厚(例えば2mm程度の板厚)で形成されている。この板状導光体32は、灯具正面視において右端部が斜め上方向に傾斜した略逆台形状の外形形状を有しており、その左端部から右端部へ向けて灯具後方側に湾曲して延びるように形成されている。
【0040】
なお、この板状導光体32の具体的な構成については後述する。
【0041】
棒状導光体34は、φ4~8mm程度の直径(例えばφ6mm程度の直径)で円柱状に形成されており、板状導光体32を三方向から囲むようにしてその外周縁に沿って延びている。
【0042】
具体的には、この棒状導光体34は、板状導光体32の上端縁に沿って延びる上部領域34Aと、板状導光体32の下端縁に沿って延びる下部領域34Bと、板状導光体32の右端縁に沿って延びる側部領域34Cとが連続的に形成された構成となっている。その際、側部領域34Cは、その下端部から上端部へ向けて灯具後方側および右側に傾斜して延びるように形成されており、その上下両端部は上部領域34Aおよび下部領域34Bの各々と略円弧形状に沿って滑らかに繋がっている。
【0043】
この棒状導光体34には、その上部領域34Aの左端寄りの位置に1対の光入射部34A1、34A2が形成されており、その下部領域34Bの左端寄りの位置に1対の光入射部34B1、34B2が形成されており、その側部領域34Cの上端部に1対の光入射部34C1、34C2が形成されている。
【0044】
上部領域34Aに形成された1対の光入射部34A1、34A2は、一方の光入射部34A1が上部領域34Aの左端近傍部位から左上方へ向けて延びるとともに、他方の光入射部34A2が光入射部34A1から右方向に一定程度離れた中間部位から右上方へ向けて延びるように形成されている。
【0045】
その際、各光入射部34A1、34A2は、上部領域34Aと滑らかに繋がるようにして略円弧状に延びており、その先端面34A1a、34A2aは真上の方向に対して僅かに灯具後方側に傾斜した方向を向いている。
【0046】
下部領域34Bに形成された1対の光入射部34B1、34B2は、一方の光入射部34B1が下部領域34Bの左端近傍部位から左下方へ向けて延びるとともに、他方の光入射部34B2が光入射部34B1から右方向に一定程度離れた中間部位から右下方へ向けて延びるように形成されている。
【0047】
その際、各光入射部34B1、34B2は、下部領域34Bと滑らかに繋がるようにして略円弧状に延びており、その先端面34B1a、34B2aは真下の方向に対して僅かに灯具方向側に傾斜した方向を向いている。
【0048】
側部領域34Cの上端部に形成された1対の光入射部34C1、34C2は、一方の光入射部34C1が上部領域34Aの右端部から灯具後方へ向けて略水平方向に湾曲して延びるとともに、他方の光入射部34C2が光入射部34C1から下方向に一定程度離れた中間部位から灯具後方へ向けて上方向に湾曲して延びるように形成されている。
【0049】
その際、各光入射部34C1、34C2は、上部領域34Aおよび側部領域34Cの各々と滑らかに繋がるように形成されており、その先端面34C1a、34C2aは灯具後方を向いている。
【0050】
3対の光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2は、いずれも赤色発光ダイオードで構成されている。
【0051】
1対の光源40A1、40A2は、1対の光入射部34A1、34A2の先端面34A1a、34A2aの近傍において、その発光面を該先端面34A1a、34A2aへ向けた状態で配置されている。そして、これら1対の光源40A1、40A2は、該光源40A1、40A2からの出射光を、1対の光入射部34A1、34A2を介して棒状導光体34の上部領域34Aに対して互いに逆方向から入射させるようになっている。
【0052】
1対の光源40B1、40B2は、1対の光入射部34B1、34B2の先端面34B1a、34B2aの近傍において、その発光面を該先端面34B1a、34B2aへ向けた状態で配置されている。そして、これら1対の光源40B1、40B2は、該光源40B1、40B2からの出射光を、1対の光入射部34B1、34B2を介して棒状導光体34の下部領域34Bに対して互いに逆方向から入射させるようになっている。
【0053】
1対の光源40C1、40C2は、1対の光入射部34C1、34C2の先端面34C1a、34C2aの近傍において、その発光面を該先端面34C1a、34C2aへ向けた状態で配置されている。そして、上側に位置する光源40C1は、該光源40C1からの出射光を、光入射部34C1を介して棒状導光体34の上部領域34Aに入射させるとともに、下側に位置する光源40C2は、該光源40C2からの出射光を、光入射部34C2を介して棒状導光体34の側部領域34Cに入射させるようになっている。
【0054】
1対の光源40A1、40A2は共通の基板42Aに搭載されており、1対の光源40B1、40B2は共通の基板42Bに搭載されており、1対の光源40C1、40C2は共通の基板42Cに搭載されている。
【0055】
図1に示すように、各基板42A、42B、42Cはランプボディ12に支持されている。
【0056】
また、透光部材30は、その棒状導光体34における上部領域34Aの2箇所および下部領域34Bの1箇所に形成されたタブ部34aにおいて、ネジ締め等によってランプボディ12に支持されている。
【0057】
エクステンション部材16は、灯具正面視において透光部材30の板状導光体32の略全領域と棒状導光体34の一部領域とを露出させるように形成された開口部16aを有している。具体的には、この開口部16aは、棒状導光体34に沿って延びるとともに板状導光体32の左端縁近傍に沿って延びる開口形状を有している。
【0058】
図2および3に示すように、板状導光体32は、棒状導光体34の内周側に隣接する第1領域32Aと、この第1領域32Aの内周側に隣接する第2領域32Bと、この第2領域32Aの内周側に隣接する第3領域32Cとを備えている。
【0059】
第1領域32Aは、鉛直面に沿って帯状に延びるように形成されており、その背面側の第1板面32aには複数の反射素子32Asが形成されている。その際、複数の反射素子32Asは、第1領域32Aの幅方向の中央に位置する帯状の反射素子形成領域32A1に形成されている。第1領域32Aにおいて反射素子形成領域32A1の両側に位置する帯状の領域は素通し状に形成されている。
【0060】
第2領域32Bは、第1領域32Aの内周縁から鉛直面に対して板状導光体32の背面側(すなわち灯具後方側および左側)に傾斜して延びるように形成されている。この第2領域32Bも帯状に延びるように形成されており、その背面側の第1板面32aには複数の反射素子32Bsが形成されている。その際、複数の反射素子32Bsは、第2領域32Bが帯状に延びる方向に関しては一定のピッチで配置されているが、その幅方向に関しては第1領域32Aから第3領域32Cへ向かうに従ってピッチが徐々に大きくなるように配置されている。
【0061】
第3領域32Cは、鉛直面に沿って水平方向に帯状に延びるように形成されている。この第3領域32Cは素通し状に形成されている。
【0062】
そして、本実施形態に係る灯具ユニット20においては、棒状導光体34から板状導光体32の第1領域32Aに入射した各光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2からの光を、その第1板面32aの反射素子形成領域32A1に形成された複数の反射素子32Asで全反射させた後、板状導光体32の第2板面32bから灯具前方へ向けて出射させるように構成されている。
【0063】
その際、各光源40A1、40A2、40C1からの出射光は、各光入射部34A1、34A2、34C1を介して棒状導光体34の上部領域34Aに入射した後、この上部領域34Aが延びる方向に導かれ、その導光過程で板状導光体32の第1領域32Aに入射する。また、各光源40B1、40B2からの出射光は、各光入射部34B1、34B2を介して棒状導光体34の下部領域34Bに入射した後、この下部領域34Bが延びる方向に導かれ、その導光過程で板状導光体32の第1領域32Aに入射する。さらに、光源40C2からの出射光は、光入射部34C2を介して棒状導光体34の側部領域34Cに入射した後、この側部領域34Cが延びる方向に導かれ、その導光過程で板状導光体32の第1領域32Aに入射する。
【0064】
図4(a)は、
図2のIVa-IVa線断面詳細図である。また、
図4(b)は
図4(a)のb部詳細図であり、
図4(c)は
図4(b)のc部詳細図であり、
図4(d)は
図4(b)のd部詳細図である。さらに、
図5は
図4(c)のV方向矢視図である。
【0065】
これらの図に示すように、第1領域32Aの反射素子形成領域32A1に形成された複数の反射素子32Asは、互いに等間隔をおいて2次元的に配置されている。
【0066】
図4(c)に示すように、各反射素子32Asは同一サイズの凹球面状の表面形状を有している。具体的には、各反射素子32Asは略半球面状に形成されており、その表面形状を構成している凹球面の半径Rsは、Rs=R0.01~0.1mm(より好ましくは0.03~0.05mm(例えば0.04mm程度))の値に設定されている。
【0067】
また、
図5に示すように、複数の反射素子32Asは正三角格子状に配置されている。その際、互いに隣接する反射素子32As相互の中心間距離Psは、各反射素子32Asの表面形状を構成している凹球面の半径Rsに対して5~15倍(例えば10倍程度)の値に設定されている。
【0068】
そして、反射素子形成領域32A1は、該反射素子形成領域32A1全体の面積に対する複数の反射素子32Asの占有面積の比率が1~10%(例えば5%程度)の値に設定されている。
【0069】
図4(d)に示すように、第2領域32Bに形成された各反射素子32Asは、第1領域32Aの反射素子形成領域32A1に形成された各反射素子32Asと同一サイズの凹球面状の表面形状を有している。
【0070】
【0071】
図6および
図4(c)に示すように、棒状導光体34の上部領域34Aから板状導光体32の第1領域32Aに入射した各光源40A1、40A2、40C1からの光は、この第1領域32Aにおいて互いに異なる方向に導かれ、その導光過程で、反射素子形成領域32A1に形成された複数の反射素子32Asで全反射した後、第2板面32bから灯具前方へ向けて出射する。
【0072】
その際、各反射素子32Asは凹球面状の表面形状を有しているので、該反射素子32Asでの全反射による光反射はあらゆる方向へ向けて略均等に行われる。
【0073】
また、棒状導光体34の上部領域34Aから板状導光体32の第1領域32Aに入射した後、第2領域32Bまで到達した各光源40A1、40A2、40C1からの光は、この第2領域32Bにおいても互いに異なる方向に導かれ、その導光過程で、第2領域32Bの第1板面32aに形成された複数の反射素子32Bsで全反射した後、第2板面32bから灯具前方へ向けて出射する。
【0074】
図7は、灯具ユニット20を点灯状態で示す正面図である。
【0075】
図7に示すように、3対の光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2が点灯した状態にある灯具ユニット20を灯具正面方向(すなわち車両後方)から観察したとき、その透光部材30は、棒状導光体34を介して板状導光体32の第1領域32Aに入射した各光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2からの光が、その反射素子形成領域32A1に形成された複数の反射素子32Asで全反射することによって、帯状に延びる反射素子形成領域32A1がその全域にわたって略均一に光って見える。
【0076】
また、棒状導光体34を介して板状導光体32の第1領域32Aに入射した後、第2領域32Bまで到達した各光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2からの光が、該第2領域32Bに形成された複数の反射素子32Bsで全反射することによって、帯状に延びる第2領域32Bが光って見える。その際、複数の反射素子32Bsは、第2領域32Bが帯状に延びる方向に関しては一定のピッチで配置されているが、その幅方向に関しては第1領域32Aから第3領域32Cへ向かうに従ってピッチが徐々に大きくなるように配置されているので、第1領域32Aから第3領域32Cへ向かうに従って明るさが徐々に減少する態様で光って見える。
【0077】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0078】
本実施形態に係る車両用灯具10は、板状導光体32に入射した光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2からの光を、その第1板面32aに形成された複数の反射素子32Asで全反射させた後、その第2板面32bから灯具前方へ向けて出射させる構成となっているが、複数の反射素子32Asは互いに間隔をおいて2次元的に配置されており、かつ、各反射素子32Asは凹球面状の表面形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0079】
すなわち、各反射素子32Asでの全反射による光反射はあらゆる方向へ向けて略均等に行われるので、板状導光体32を観察する際の視線方向を灯具正面視の方向から大きく変化させても、板状導光体32の第1板面32aにおける反射素子形成領域32A1(すなわち複数の反射素子32Asが形成されている領域)が2次元的に光って見える状態を維持することができる。
【0080】
その際、各反射素子32Asはその表面形状を構成している凹球面の半径RsがR0.01~0.1mmの値に設定されており、かつ、互いに隣接する反射素子32As相互の中心間距離Psが上記凹球面の半径Rsに対して5~15倍の値に設定されているので、灯具点灯時には板状導光体32の第1板面32aにおける反射素子形成領域32A1が2次元的に略均一に光って見えるようにすることができ、一方、灯具非点灯時には反射素子32As相互間の素通し部の存在によって板状導光体32に透明感を持たせることができる。そしてこれにより、車両用灯具10の意匠性を灯具点灯時および灯具非点灯時のいずれにおいても高めることができる。
【0081】
しかも、板状導光体32は、灯具非点灯時には単なる透明板のように見えるが、灯具点灯時には反射素子形成領域32A1が光って見えるので、点消灯の切換えに伴う意匠の変化に意外性を持たせることができる。
【0082】
このように本実施形態によれば、板状導光体32を備えた車両用灯具10において、灯具点灯時および灯具非点灯時の意匠性を高めることができる。しかも本実施形態によれば、点消灯の切換えに伴う意匠の変化に意外性を持たせることができる。
【0083】
その際、本実施形態においては、板状導光体32の第1板面32aにおける反射素子形成領域32A1が、該反射素子形成領域32A1全体の面積に対する複数の反射素子32Asの占有面積の比率が1~10%の値に設定された構成となっているので、灯具点灯時の明るさと灯具非点灯時の透明感との両立を図ることが容易に可能となる。
【0084】
さらに本実施形態においては、複数の反射素子32Asが正三角格子状に配置されており、反射素子32As相互間の間隔が一定となっているので、灯具点灯時の均一発光機能および灯具非点灯時の透明感を最大限に高めることができる。
【0085】
しかも、本実施形態に係る車両用灯具10は、板状導光体32を三方向から囲むようにしてその外周縁に沿って延びる棒状導光体34を備えているとともに複数の光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2を備えた構成となっており、各光源40A1~40C2が棒状導光体34の複数箇所の各々において該棒状導光体34に光を入射させるように配置された構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0086】
すなわち、複数の光源40A1~40C2からの光が板状導光体32に対して棒状導光体34の複数箇所から入射することとなるので、その反射素子形成領域32A1を構成している複数の反射素子32Asに対して多くの光を互いに異なる方向から到達させることができる。そしてこれにより、灯具点灯時に反射素子形成領域32A1がより明るくかつより均一に光って見えるようにすることができる。
【0087】
その際、本実施形態においては、板状導光体32と棒状導光体34とが透光部材30として一体的に形成されているので、棒状導光体34から板状導光体32への光入射効率を高めることができる。
【0088】
また、棒状導光体34は板状導光体32を三方向から囲むように配置されているので、板状導光体32において残り一方向に位置する端面が車両用灯具10の端部に位置する構成とすることが可能となる。そしてこれにより、本実施形態に係る車両用灯具10のように、車両のバックドア(あるいはトランクリッド)に取り付けられる車両用灯具100に隣接して配置された状態で、車体に取り付けられる構成とすることができ、そのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0089】
その際、車両用灯具100も車両用灯具10と略同様の構成を有しているので、両者の意匠を連続的なものとすることができる。
【0090】
しかも、棒状導光体34の上部領域34Aには、1対の光源40A1、40A2からの光を該上部領域34Aに対して互いに逆方向から入射させる1対の光入射部34A1、34A2が形成されているので、1対の光源40A1、40A2から棒状導光体34の上部領域34Aに入射した光を、該上部領域34Aの全長にわたって略均等に導きつつ板状導光体32に入射させることが容易に可能となる。また、棒状導光体34の下部領域34Bには、1対の光源40B1、40B2からの光を該下部領域34Bに対して互いに逆方向から入射させる1対の光入射部34B1、34B2が形成されているので、1対の光源40B1、40B2から棒状導光体34の下部領域34Bに入射した光を、該下部領域34Bの全長にわたって略均等に導きつつ板状導光体32に入射させることが容易に可能となる。
【0091】
そしてこれにより、本実施形態に係る車両用灯具10のように、光源からの光を棒状導光体34に対してその端面から入射させることが困難な灯具構成となっている場合においても、灯具点灯時に反射素子形成領域32A1がより一層明るくかつより一層均一に光って見えるようにすることができる。
【0092】
さらに本実施形態においては、板状導光体32における第1領域32Aの内周側に位置する第2領域32Bに、凹球面状の表面形状を有する複数の反射素子32Bsが形成されているので、板状導光体32の第1領域32Aを介して第2領域32Bまで到達した各光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2からの光が、該第2領域32Bの第1板面32aに形成された複数の反射素子32Bsで全反射することによって、帯状に延びる第2領域32Bが光って見えるようにすることができる。
【0093】
その際、複数の反射素子32Bsは、第2領域32Bが帯状に延びる方向に関しては一定のピッチで配置されているが、その幅方向に関しては第1領域32Aから第3領域32Cへ向かうに従ってピッチが徐々に大きくなるように配置されているので、第1領域32Aから第3領域32Cへ向かうに従って明るさが徐々に減少する態様で光って見えるようにすることができ、これにより灯具点灯時の意匠性を一層高めることができる。
【0094】
上記第1実施形態においては、複数の反射素子32Bsが、第2領域32Bが帯状に延びる方向に関しては一定のピッチで配置されているものとして説明したが、第2領域32Bが帯状に延びる方向に関しても第1領域32Aから第3領域32Cへ向かうに従ってピッチが徐々に大きくなるように配置された構成を採用することも可能である。
【0095】
上記第1実施形態においては、各反射素子32As、32Bsの表面形状を構成している凹球面が略半球面であるものとして説明したが、これよりも浅い球面形状を採用することも可能である。
【0096】
上記第1実施形態においては、各反射素子32As、32Bsの表面形状が凹球面状であるものとして説明したが、これを凸球面状とすることも可能である。
【0097】
上記第1実施形態においては、車両用灯具10がテールランプである場合について説明したが、テールランプ以外にも、ストップランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ等、車両に設けられる箇所や機能にかかわらず、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0098】
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
【0099】
図8(a)は、本実施形態に係る車両用灯具の灯具ユニット120を示す正面図である。
【0100】
図8(a)に示すように、本実施形態に係る灯具ユニット120は、板状導光体132と3つの光源140とを備えた構成となっている。
【0101】
板状導光体132は、無色透明の樹脂製(例えばアクリル樹脂製)の板状部材であって、1~3mm程度の板厚(例えば2mm程度の板厚)で形成されている。この板状導光体132は、灯具正面視において横長矩形状に形成されている。
【0102】
この板状導光体132は、その背面側の第1板面132aに複数の反射素子132sが形成された構成となっている。その際、第1板面132aにおいて複数の反射素子132sが形成されている反射素子形成領域132Aは、左右方向に一定の間隔をおいて複数箇所(具体的には4箇所)に配置されている。各反射素子形成領域132Aは、右方向へ向けて折れ曲がった形状を有する帯状の領域として形成されている。
【0103】
複数の反射素子132sは、各反射素子形成領域132Aにおいて互いに間隔をおいて2次元的に配置されている。その際、複数の反射素子132sの配置は上記第1実施形態の場合と同様であり、各反射素子132sは上記第1実施形態の各反射素子32Asと同一の形状を有している。
【0104】
3つの光源140は、いずれも赤色発光ダイオードで構成されている。これら3つの光源140は、板状導光体132の左端面132cの近傍において、その発光面を該左端面132cへ向けた状態で、上下方向に一定の間隔をおいて配置されている。そして、これら3つの光源140は、該光源140からの出射光を板状導光体132に対してその左端面132cから入射させるようになっている。
【0105】
これら3つの光源140は共通の基板142に搭載されている。
【0106】
板状導光体132に対してその左端面132cから入射した各光源140からの光は、この板状導光体132の内部を右方向へ向けて導かれ、その導光過程で、第1板面132aの各反射素子形成領域132Aに形成された複数の反射素子132sで全反射した後、板状導光体132の第2板面132bから灯具前方へ向けて出射する。その際、各反射素子132sは凹球面状の表面形状を有しているので、該反射素子132sでの全反射による光反射はあらゆる方向へ向けて略均等に行われる。
【0107】
図8(b)は、灯具ユニット120を点灯状態で示す正面図である。
【0108】
図8(b)に示すように、3つの光源140が点灯した状態にある灯具ユニット120を灯具正面方向(すなわち車両後方)から観察したとき、板状導光体132に入射した各光源140からの光が、複数箇所の反射素子形成領域132Aに形成された複数の反射素子132sで全反射することによって、各反射素子形成領域132Aがその全域にわたって略均一に光って見える。
【0109】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0110】
本実施形態においても、各反射素子132sでの全反射による光反射があらゆる方向へ向けて略均等に行われるので、板状導光体132を観察する際の視線方向を灯具正面視の方向から大きく変化させても、板状導光体132の第1板面132aにおける各反射素子形成領域132Aが2次元的に光って見える状態を維持することができる。
【0111】
その際、本実施形態においても、各反射素子形成領域32Aに形成された複数の反射素子132sは、上記第1実施形態の場合と同一配置でかつ同一形状となっているので、灯具点灯時には各反射素子形成領域132Aが2次元的に略均一に光って見えるようにすることができ、一方、灯具非点灯時には反射素子132s相互間の素通し部の存在によって板状導光体132に透明感を持たせることができる。そしてこれにより、灯具ユニット120の意匠性を灯具点灯時および灯具非点灯時のいずれにおいても高めることができる。
【0112】
しかも、板状導光体132は、灯具非点灯時には単なる透明板のように見えるが、灯具点灯時には複数箇所の反射素子形成領域132Aが光って見えるので、点消灯の切換えに伴う意匠の変化に意外性を持たせることができる。
【0113】
次に、本願発明の第3実施形態について説明する。
【0114】
図9は、本実施形態に係る車両用灯具の灯具ユニット220を示す正面図である。
【0115】
図9に示すように、本実施形態に係る灯具ユニット220の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、透光部材230の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0116】
本実施形態の透光部材230も、上記第1実施形態の透光部材30と同様、板状導光体232とその外周縁に沿って延びる棒状導光体234とが一体的に形成された構成となっている。
【0117】
棒状導光体234の構成は、上記第1実施形態の棒状導光体34と全く同様である。
【0118】
一方、板状導光体232は、上記第1実施形態の板状導光体32と同様、棒状導光体34の内周側に隣接する第1領域232Aと、その内周側に隣接する第2領域232Bと、その内周側に隣接する第3領域232Cとを備えた構成となっているが、第1領域232Aにおける棒状導光体234との接続部分の3箇所に、該接続部分に沿って延びる溝部232Aa、232Ab、232Acが形成されている点で上記第1実施形態の板状導光体32と異なっている。
【0119】
具体的には、溝部232Aaは、棒状導光体234の上部領域234Aの下端縁に沿って、光入射部234A1の基端部よりも左側の位置から光入射部234A2の基端部よりも右側の位置まで延びるように形成されている。
【0120】
また、溝部232Abは、棒状導光体234の下部領域234Bの上端縁に沿って、光入射部234B1の基端部よりも左側の位置から光入射部234B2の基端部よりも右側の位置まで延びるように形成されている。
【0121】
さらに、溝部232Acは、棒状導光体234の上部領域234Aから側部領域234Cに回り込むコーナー部の内周縁に沿って、光入射部234C1の基端部よりも左側の位置から光入射部234C2の基端部よりも下側の位置まで延びるように形成されている。
【0122】
図10(a)は、
図9のXa-Xa線断面詳細図である。
【0123】
図10(a)に示すように、溝部232Acは、板状導光体232の第1領域232Aにおける第1および第2板面232a、232bの双方に形成されている。各溝部232Acは、第1および第2板面232a、232bの各々の上端縁部を所定長にわたって楔状の断面形状で切り欠くことによって形成されている。
【0124】
これにより板状導光体232の第1領域232Aにおける棒状導光体234の上部領域234Aとの接続部分は、1対の溝部232Acが形成されている部分の板厚が他の一般部分の板厚の1/3~2/3(例えば1/2程度)の値に設定されている。
【0125】
他の2箇所に形成された溝部232Aa、232Abも、溝部232Acと同様の断面形状で形成されている。
【0126】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0127】
本実施形態の板状導光体232は、その第1領域232Aにおける棒状導光体234との接続部分の3箇所に、該接続部分に沿って延びる溝部232Aa、232Ab、232Acが形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0128】
すなわち、3対の光源40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2から棒状導光体234を介して板状導光体232に入射する光は、1対の光源40A1、40A2からの光が1対の光入射部234A1、234A2を介して入射する位置(すなわち上部領域234Aの左端寄りの位置)の近傍領域と、1対の光源40B1、40B2からの光が1対の光入射部234B1、234B2を介して入射する位置(すなわち下部領域234Bの左端寄りの位置)の近傍領域と、1対の光源40C1、40C2からの光が1対の光入射部234C1、234C2を介して入射する位置(すなわち上部領域234Aから側部領域234Cに回り込むコーナー部の位置)の近傍領域において多くなる。
【0129】
しかしながら、本実施形態の板状導光体232は、その第1領域232Aにおける棒状導光体234との接続部分の3箇所の近傍領域に、該接続部分に沿って延びる溝部232Aa、232Ab、232Acが形成されているので、上記3箇所の近傍領域からの第1領域232Aへの入射光量を絞ることができる。
【0130】
したがって、反射素子形成領域232A1が上記3箇所の近傍領域において相対的に明るくなってしまうのを抑制することができ、これにより反射素子形成領域232A1がより均一に光って見えるようにすることができる。
【0131】
次に、上記第3実施形態の変形例について説明する。
【0132】
図10(b)、(c)は、上記第3実施形態の第1および第2変形例に係る透光部材330、430の要部を示す、
図10(a)と同様の図である。
【0133】
図10(b)に示すように、第1変形例に係る透光部材330も、その板状導光体332の第1領域332Aにおける第1および第2板面332a、332bの双方に、楔状の断面形状を有する溝部332Acが上記第3実施形態の溝部232Acと略同じ深さで形成された構成となっているが、溝部332Acの開口幅が上記第3実施形態の溝部232Aaの開口幅よりも狭くなっている。
【0134】
図10(c)に示すように、第2変形例に係る板状導光体432は、その第1領域432Aにおける第1板面432aにのみ溝部432Acが形成されており第2板面432bには形成されていない構成となっている。溝部432Acは、上記第3実施形態の溝部232Aaと同様の断面形状を有しているが、その深さが溝部232Aaよりも大きくなっている。
【0135】
第1および第2変形例いずれの構成を採用した場合においても、棒状導光体334、434の上部領域334A、434Aからの入射光によって、第1領域332A、432Aの反射素子形成領域332A1、432A1がより均一に光って見えるようにすることができる。
【0136】
図11は、上記第3実施形態の第3変形例に係る灯具ユニット520を示す正面図である。また、
図12(a)は、
図11のXIIa-XIIa線断面詳細図であり、
図12(b)は、
図11のXIIb-XIIb線断面詳細図であり、
図12(c)は、
図11のXIIc-XIIc線断面詳細図である。
【0137】
図11に示すように、本変形例に係る灯具ユニット520の基本的な構成は上記第3実施形態の場合と同様であるが、その透光部材530の板状導光体532の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0138】
すなわち、本変形例の板状導光体532も、上記第3実施形態の板状導光体232と同様、第1領域532Aの第1および第2板面532a、532bにおける棒状導光体534との接続部分の3箇所に、該接続部分に沿って延びる溝部532Aa、532Ab、532Acが形成された構成となっているが、各溝部532Aa、532Ab、532Acの断面形状が上記第3実施形態の場合と異なっている。
【0139】
具体的には、
図12(a)に示すように、1対の光源40C1、40C2からの光が1対の光入射部534C1、534C2を介して棒状導光体534に入射する位置(すなわち上部領域534Aから側部領域534Cに回り込むコーナー部の位置)の近傍領域に形成された溝部532Acは、上記第3実施形態の溝部232Acと同じ楔形の断面形状を有しているが、
図12(b)(c)に示すように、上記コーナー部から離れるに従ってその深さが徐々に減少するように形成されている。
【0140】
図11に示すように、1対の光源40A1、40A2からの光が1対の光入射部534A1、534A2を介して入射する位置(すなわち上部領域534Aの左端寄りの位置)の近傍領域に形成された溝部532Aaも、上記入射位置から離れるに従ってその深さが徐々に減少するように形成されており、また、1対の光源40B1、40B2からの光が1対の光入射部534B1、534B2を介して入射する位置(すなわち下部領域534Bの左端寄りの位置)の近傍領域に形成された溝部532Abも、上記入射位置から離れるに従ってその深さが徐々に減少するように形成されている。
【0141】
本変形例の構成を採用することにより、棒状導光体534から板状導光体532の第1領域532Aに入射する光の量をその全長にわたって略一定にすることができ、これにより反射素子形成領域532A1がより均一に光って見えるようにすることができる。
【0142】
なお、上記各実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0143】
また、本願発明は、上記各実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0144】
10、100、110 車両用灯具
12 ランプボディ
14 透光カバー
16 エクステンション部材
16a 開口部
20、120、220、520 灯具ユニット
30、230、330、430、530 透光部材
32、132、232、332、432、532 板状導光体
32a、132a、232a、332a、432a、532a 第1板面
32A、232A、332A、432A、532A 第1領域
32A1、132A、332A1、432A1、532A1 反射素子形成領域
32As、132s 反射素子
32b、132b、232b、332b、432b、532b 第2板面
32B、232B 第2領域
32Bs 反射素子
32C、232C 第3領域
34、234、334、434、534 棒状導光体
34a タブ部
34A、234A、334A、434A、534A 上部領域
34A1、34A2、34B1、34B2、34C1、34C2、234A1、234A2、234B1、234B2、234C1、234C2、534A1、534A2、534B1、534B2、534C1、534C2 光入射部
34A1a、34A2a、34B1a、34B2a、34C1a、34C2a 先端面
34B、234B、534B 下部領域
34C、234C、534C 側部領域
40A1、40A2、40B1、40B2、40C1、40C2、140 光源
42A、42B、42C、142 基板
132c 左端面
232Aa、232Ab、232Ac、332Ac、432Ac、532Aa、532Ab、532Ac 溝部
Ps 中心間距離
Rs 半径