(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20231221BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20231221BHJP
F24C 7/04 20210101ALN20231221BHJP
【FI】
A47J37/06 361
F24C3/12 A
F24C7/04 301Z
(21)【出願番号】P 2019231936
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松井 良和
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-186898(JP,A)
【文献】特開2019-176889(JP,A)
【文献】特開平10-339444(JP,A)
【文献】特開2019-070462(JP,A)
【文献】特開2016-053433(JP,A)
【文献】特開2000-046338(JP,A)
【文献】特開2006-043065(JP,A)
【文献】特開2002-195576(JP,A)
【文献】特開平06-307647(JP,A)
【文献】特開平05-157249(JP,A)
【文献】特開平04-316923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 7/04
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室の内部の載置部に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、当該加熱部の運転状態を制御する運転制御部と、複数の調理メニューのうちから前記被加熱物に応じた調理メニューを指令する調理メニュー指令部と、前記加熱部の加熱開始指令を指令する加熱開始指令部とが備えられ、
前記運転制御部が、前記加熱開始指令が指令されると前記加熱部の加熱作動を開始し、かつ、前記調理メニューが指令されている場合には、前記加熱作動を開始してから当該調理メニューに応じて定められる加熱調理時間が経過すると前記加熱作動を停止する自動加熱処理を実行する加熱調理器であって、
前記運転制御部が、前記自動加熱処理を終了した時点から設定確認時間が経過するまでの間に、前記加熱開始指令が指令されると、予め設定した追加加熱時間が経過するまで前記加熱作動を行う追加加熱処理を実行
し、
前記運転制御部が、前記複数の調理メニューのうちの同じ調理メニューについて、前記自動加熱処理を実行した後に前記追加加熱処理を実行することを設定回数繰り返した場合には、当該調理メニューに対して定めた前記加熱調理時間を設定延長時間長くするように更新し、
前記運転制御部が、前記自動加熱処理において、第1工程時間の間行う第1加熱工程における加熱力を当該第1加熱工程に続いて第2工程時間の間行う第2加熱工程における加熱力よりも大きくする場合には、前記第1工程時間を前記設定延長時間長くする加熱調理器。
【請求項2】
前記追加加熱時間が、前記複数の調理メニューの夫々に応じた時間に設定されている請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記追加加熱処理における加熱力が、前記複数の調理メニューの夫々に応じた加熱力に設定されている請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記設定延長時間が前記追加加熱時間よりも短く定められる請求項
1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記加熱部が、前記載置部の下方側から加熱する下側加熱部と前記載置部の上方側から加熱する上側加熱部とを備え、
前記載置部がプレート状の調理容器であり、
前記第1加熱工程において、前記下側加熱部と前記上側加熱部とが加熱作動され、かつ、前記第2加熱工程において、前記上側加熱部を停止させた状態で前記下側加熱部が加熱作動される請求項
1~4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱室の内部の載置部に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、当該加熱部の運転状態を制御する運転制御部と、複数の調理メニューのうちから前記被加熱物に応じた調理メニューを指令する調理メニュー指令部と、前記加熱部の加熱開始指令を指令する加熱開始指令部とが備えられ、
前記運転制御部が、前記加熱開始指令が指令されると前記加熱部の加熱作動を開始し、かつ、前記調理メニューが指令されている場合には、前記加熱作動を開始してから当該調理メニューにて応じて定められる加熱調理時間が経過すると前記加熱作動を停止する自動加熱処理を実行する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる加熱調理器は、加熱開始指令が指令されると加熱部の加熱作動を開始することになり、そして、被加熱物(例えば、トースト、魚)に応じた調理メニューが指令されている場合には、加熱作動を開始してから当該調理メニューに応じて定められる加熱調理時間が経過すると加熱作動を停止する自動加熱処理を実行することにより、被加熱物の加熱調理を良好に行えるようにしたものである。
ちなみに、調理メニューの指令は、加熱開始指令を指令する前に行う場合と、加熱作動の開始後の設定時間(例えば、20秒)以内に行う場合とがあり、それらいずれかの形態での調理メニューの指令が調理者の好みに応じて行われる。
【0003】
かかる加熱調理器の従来例として、自動加熱処理が終了したときに、追加の加熱時間を設定し、かつ、追加焼きキーを操作することにより、設定された追加の加熱時間の間、追加の加熱作動を行うことができるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
つまり、自動加熱処理が終了した際に、調理者が、被加熱物の加熱具合(焼き加減)を見て、加熱具合(焼き加減)が不足していると思えるときには、追加の加熱時間を設定して、追加焼きキーを操作することにより、被加熱物を追加で加熱調理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の加熱調理器においては、被加熱物の追加の加熱調理を行う際には、追加の加熱時間を設定しなければならない面倒があり、改善が望まれるものであった。
また、従来の加熱調理器においては、被加熱物の追加の加熱調理の開始を指令する追加焼きキーを備えるものであるから、装置構成が複雑となるものであり、この点においても改善が望まれるものであった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、被加熱物の追加の加熱調理を簡素な構成でかつ簡単な操作で行える加熱調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理器は、加熱室の内部の載置部に載置された被加熱物を加熱する加熱部と、当該加熱部の運転状態を制御する運転制御部と、複数の調理メニューのうちから前記被加熱物に応じた調理メニューを指令する調理メニュー指令部と、前記加熱部の加熱開始指令を指令する加熱開始指令部とが備えられ、
前記運転制御部が、前記加熱開始指令が指令されると前記加熱部の加熱作動を開始し、かつ、前記調理メニューが指令されている場合には、前記加熱作動を開始してから当該調理メニューに応じて定められる加熱調理時間が経過すると前記加熱作動を停止する自動加熱処理を実行するものであって、その特徴構成は、
前記運転制御部が、前記自動加熱処理を終了した時点から設定確認時間が経過するまでの間に、前記加熱開始指令が指令されると、予め設定した追加加熱時間が経過するまで前記加熱作動を行う追加加熱処理を実行し、
前記運転制御部が、前記複数の調理メニューのうちの同じ調理メニューについて、前記自動加熱処理を実行した後に前記追加加熱処理を実行することを設定回数繰り返した場合には、当該調理メニューに対して定めた前記加熱調理時間を設定延長時間長くするように更新し、
前記運転制御部が、前記自動加熱処理において、第1工程時間の間行う第1加熱工程における加熱力を当該第1加熱工程に続いて第2工程時間の間行う第2加熱工程における加熱力よりも大きくする場合には、前記第1工程時間を前記設定延長時間長くする点にある。
【0009】
すなわち、自動加熱処理が終了した際に、調理者が、被加熱物の加熱具合(焼き加減)を見て、加熱具合(焼き加減)が不足していると思えるときには、設定確認時間が経過するまでの間に、加熱開始指令部を操作して加熱開始指令を指令することにより、予め設定した追加加熱時間が経過するまで加熱作動を行う追加加熱処理が実行されることになる。
つまり、追加加熱処理により、被加熱物の追加の加熱調理が行われることになる。
【0010】
ちなみに、設定確認時間としては、自動加熱処理が終了した際に、調理者が、被加熱物の加熱具合(焼き加減)を見て、加熱具合(焼き加減)が不足しているか否かを判断し、不足している場合において加熱開始指令部を操作して加熱開始指令を指令することができるようにする時間であり、例えば、30秒程度を設定することができる。
【0011】
このように、加熱開始指令を指令するために備えられている加熱開始指令部の操作により、被加熱物の追加の加熱調理の開始を指令できるものであるから、被加熱物の追加の加熱調理を行うための構成の簡素化を図ることができる。
【0012】
しかも、被加熱物の追加の加熱調理を行うための加熱時間を設定操作することなく、被加熱物の追加の加熱調理を行えるものであるから、被加熱物の追加の加熱調理を行うための操作の簡素化を図ることができる。
また、複数の調理メニューのうちの同じ調理メニューについて、自動加熱処理を実行した後に追加加熱処理を実行することが設定回数繰り返された場合には、当該調理メニューについて設定されている加熱調理時間が、短すぎるものであるから、運転制御部が、当該調理メニューに対して定めた加熱調理時間を設定延長時間長くするように更新することになる。
したがって、追加加熱処理を実行することが設定回数繰り返された調理メニューの加熱調理時間が、設定延長時間長くなった時間に更新されるため、次に、当該調理メニューの自動加熱処理を終了した際に、被加熱物の加熱具合(焼き加減)が調理者の好みに合う状態になり易くなり、追加の加熱調理を行う手間を省略することが可能となり、使用勝手の向上を図ることが可能となる。
要するに本発明の加熱調理器の更なる特徴構成によれば、追加の加熱調理を行う手間を極力省いて、使用勝手の向上を図ることが可能となる。
更に、自動加熱処理を実行する加熱調理時間を設定延長時間長くするときに、第2加熱工程よりも加熱力が大きな第1加熱工程を行う第1工程時間を、設定延長時間長くするものであるから、第2加熱工程を行う第2工程時間を延長させるようにする場合に較べて、設定延長時間を短くできる。
このように、設定延長時間を短くできる結果、自動加熱処理を実行する加熱調理時間が短くなり、自動加熱処理を迅速に終了することができる。
要するに本発明の加熱調理器の更なる特徴構成によれば、自動加熱処理を実行する加熱調理時間を短くして、自動加熱処理を迅速に終了することができる。
【0013】
ちなみに、通常、追加の加熱調理を行うことがない場合には、設定確認時間が経過するまでの間に加熱開始指令が指令されることがないが、設定確認時間が経過するまでの間に加熱開始指令が指令されても、加熱開始指令が指令される前に調理メニューが指令されている場合や、加熱開始指令が指令された後で調理メニューが指令された場合には、追加加熱処理が実行されることなく、設定された調理メニューに対する自動加熱処理が実行されることになる。
【0014】
要するに、本発明の加熱調理器の特徴構成によれば、被加熱物の追加の加熱調理を簡素な構成でかつ簡単な操作で行える。
【0015】
本発明の加熱調理器の更なる特徴構成は、前記追加加熱時間が、前記複数の調理メニューの夫々に応じた時間に設定されている点にある。
【0016】
すなわち、追加加熱処理を実行する追加加熱時間が、複数の調理メニューの夫々に応じた時間に設定されているから、複数の調理メニューの夫々に対応する被加熱物の追加の加熱調理を、加熱時間の過不足を回避しながら良好に行えるものとなる。
【0017】
つまり、被加熱物として、トーストと魚とを比較した場合において、トーストの方が魚よりも熱負荷が小さい等、被加熱物の種類に応じて熱負荷が異なるから、複数の調理メニューの夫々に応じて追加加熱時間を設定することにより、複数の調理メニューの夫々に対応する被加熱物の追加の加熱調理を、加熱時間の過不足を回避しながら良好に行えるのである。
【0018】
要するに、本発明の加熱調理器の更なる特徴構成によれば、複数の調理メニューの夫々に対応する被加熱物の追加の加熱調理を加熱時間の過不足を回避しながら良好に行える。
【0019】
本発明の加熱調理器の更なる特徴構成は、前記追加加熱処理における加熱力が、前記複数の調理メニューの夫々に応じた加熱力に設定されている点にある。
【0020】
すなわち、追加加熱処理を実行する加熱力が、複数の調理メニューの夫々に応じた加熱力に設定されているから、複数の調理メニューの夫々に対応する被加熱物の追加の加熱調理を、不必要に大きな加熱力にて加熱する等、加熱力の過不足を回避しながら良好に行えるものとなる。
【0021】
つまり、追加加熱処理における加熱力を、例えば、加熱部の最大加熱力にすることが考えられるが、この場合、被加熱物に対する加熱力が強すぎて、被加熱物の表面を焦げ付かせてしまう等のトラブルを発生する等、適切な加熱調理ができなくなる虞があるが、複数の調理メニューの夫々に応じて加熱力を設定することにより、複数の調理メニューの夫々に対応する被加熱物の追加の加熱調理を、適切な加熱力にて良好に行えるのである。
【0022】
要するに、本発明の加熱調理器の更なる特徴構成によれば、複数の調理メニューの夫々に対応する被加熱物の追加の加熱調理を、適切な加熱力にて良好に行える。
【0027】
本発明の加熱調理器の更なる特徴構成は、前記設定延長時間が前記追加加熱時間よりも短く定められる点にある。
【0028】
すなわち、設定延長時間が追加加熱時間よりも短く定められるから、加熱調理時間を設定延長時間長くして自動加熱処理を実行した際に、被加熱物を不必要に加熱し過ぎることを回避できる。
【0029】
つまり、自動加熱処理を実行する際における設定延長時間の加熱調理は、加熱調理が開始されて温度が上昇している被加熱物を加熱することになる。
これに対して、追加の加熱調理は、自動加熱処理が終了したときに、調理者が被加熱物の加熱具合(焼き加減)を見て、加熱開始指令部を操作して加熱開始指令を指令することにより行われるから、自動加熱処理が終了してから追加の加熱調理が開始されるまでに時間が経過している等により、温度が低下した被加熱物の温度を再度上昇させながら加熱調理することになる。
【0030】
したがって、設定延長時間を追加加熱時間よりも短く定めることにより、加熱調理時間を設定延長時間長くして自動加熱処理を実行した際に、被加熱物を不必要に加熱し過ぎることを回避しながら、被加熱物を良好に加熱調理できる。
【0031】
要するに本発明の加熱調理器の更なる特徴構成によれば、加熱調理時間を設定延長時間長くして自動加熱調理を実行する際に、被加熱物を不必要に加熱し過ぎることを回避しながら、被加熱物を良好に加熱調理できる。
【0036】
本発明の加熱調理器の更なる特徴構成は、前記加熱部が、前記載置部の下方側から加熱する下側加熱部と前記載置部の上方側から加熱する上側加熱部とを備え、
前記第1加熱工程において、前記下側加熱部と前記上側加熱部とが加熱作動され、かつ、前記第2加熱工程において、前記上側加熱部を停止させた状態で前記下側加熱部が加熱作動される点にある。
【0037】
すなわち、自動加熱処理として、第1加熱工程と第2加熱工程とが順次行われることになり、そして、トースト等の被加熱物がプレート状の調理容器に載置された状態で、第1加熱工程において、下側加熱部と上側加熱部とにより加熱され、かつ、第2加熱工程においては、下側加熱部にて加熱される。
【0038】
つまり、プレート状の調理容器に載置されたトースト等の被加熱物を、第1加熱工程においては表裏両面を加熱し、第2加熱工程においては、被加熱物の表面が上側加熱部にて加熱され過ぎるのを回避しながら、被加熱物の裏面をプレート状の調理容器を介して適切に加熱することができる。
【0039】
そして、第1加熱工程を行う第1工程時間が、設定延長時間長くなるように設定された場合には、第1加熱工程において、被加熱物の表裏両面を十分に加熱することができる。
【0040】
要するに本発明の加熱調理器の更なる特徴構成によれば、被加熱物を調理容器に載置した状態で、表裏両面を良好に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図2】燃料ガス供給構成及び点火用構成を示す回路図である。
【
図4】調理容器支持部をグリドル庫から引き出した状態の斜視図である。
【
図8】設定延長時間を加えた場合のトーストの加熱調理形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、ビルトイン式のガスコンロGCが、コンロ本体Hの上面部に、コンロバーナ1として、標準火力バーナ1A、小火力バーナ1B及び大火力バーナ1Cを有するコンロ部CRを備え、且つ、コンロ本体Hの横幅方向中央部に、調理用加熱部としてのグリドルG(
図3、
図4参照)を備える形態に構成されている。
コンロ本体Hは、上部が開口された箱状の金属製のケーシング2を主要部として構成され、コンロ本体Hの上部には、ガラス製の天板3が配置され、コンロ本体Hの上面部の後部側には、グリドルGの調理排気を排気するためのグリドル排気口4が形成されている。
【0043】
天板3の上部には、コンロバーナ1にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳5が、3つのコンロバーナ1の夫々に対応して設けられている。
コンロバーナ1の中央部には、鍋等の調理容器(図示せず)の底部に接触して温度を検出する容器温度検知部としてのコンロ側温度検知部1Sが設けられている。
【0044】
ケーシング2の内部には、
図3に示すように、グリドルGを構成するグリドル庫6(加熱室の一例)が設けられ、グリドル庫6には、グリドルバーナ7(加熱部の一例)として、グリドル庫6の天井部に設けられる上部バーナ7U(上側加熱部の一例)と、グリドル庫6の底部に設けられる下部バーナ7S(下側加熱部の一例)とが設けられている。
【0045】
(グリドルの詳細)
図3に示すように、グリドルGには、上述の如くグリドル庫6が設けられている。このグリドル庫6は、前部及び後部が開口する筒状に形成され、グリドル庫6の後方側には、グリドルバーナ7の燃焼排ガスや被加熱物からでる水蒸気等の調理排気を排気する排気路Eを形成する排気筒6Aが上方側に延びる状態で連設され、その排気路Eにて調理排気を上述のグリドル排気口4に導くように構成されている。
【0046】
図3及び
図4に示すように、調理容器K(載置部の一例)を支持する引出部としての調理容器支持部Lが、グリドル庫6に対して出退自在に設けられている。つまり、調理容器支持部Lが、グリドル庫6の内部に収納される収納位置とグリドル庫6の前方に引き出される引出位置とにわたってスライド移動形態で出入移動される状態で設けられている。
本実施形態においては、調理容器Kとして、被調理物の載置面が平坦状に形成されたプレートパン9A(プレート状の調理容器の一例)が存在するものとする。
【0047】
図4に示すように、調理容器支持部Lは、グリドル庫6に対して出退自在に案内される左右の可動レールLaと、調理容器Kの前縁部及び後縁部を載置支持する形態に棒状部材を曲げ加工して形成される支持枠Lbとを備える形態に構成されている。
そして、プレートパン9Aが、調理容器支持部Lにおける支持枠Lbに対して、着脱自在に装着されるように構成されている。
【0048】
図4に示すように、左右の可動レールLaの先端部に、グリドル庫6の前部に形成された前開口部6fを開閉するグリドル扉8(
図3参照)を取付ける扉支持体8Aが設けられ、支持枠Lbの先端部が扉支持体8Aに係止連結されている。
尚、詳細は省略するが、支持枠Lbの後端部が、グリドル庫6の内部に設けた載置案内体にて、摺動自在に載置支持されている。
【0049】
(グリドルバーナの詳細)
図3に示すように、グリドルバーナ7が、グリドル庫6の内部に収納された調理容器Kの上部を上部バーナ7Uにて加熱し、グリドル庫6の内部に収納された調理容器Kの底部を下部バーナ7Sにて加熱するように構成されている。
つまり、下部バーナ7Sが、グリドル庫6内に収納された調理容器Kを下方から加熱し、グリドル庫6の天井部に設けた上部バーナ7Uが、グリドル庫6内に収納された調理容器Kを上方から加熱するように構成されている。
【0050】
下部バーナ7Sは、
図3に示すように、円筒状のバーナ本体部10Aと、そのバーナ本体部10Aに接続されるバーナ混合管部10Bとを備え、バーナ本体部10Aには、周方向に沿って炎孔Fが形成されている。
このような構成の下部バーナ7Sは、コンロバーナ1の構成と同様であり、コンロバーナ1を転用して構成されている。
【0051】
調理容器Kの底部に接触して温度を検出するグリドル側温度検知部11Aが、下部バーナ7Sにおける中央箇所を貫通する状態で装備されている。
グリドル側温度検知部11Aが検出する底部検出温度Tsは、後述の如く、運転制御部Bが調理メニューに対する自動加熱調理運転(自動加熱処理)を実行する際の温度情報として用いられることになる。
【0052】
上部バーナ7Uは、下向きの平板状の火炎を形成する輻射式バーナであり、詳細な説明は省略するが、平板状の上バーナ本体部やその上バーナ本体部に接続される上バーナ混合管部を備え、上バーナ本体部の下面部に燃焼炎形成部が形成されている。
【0053】
図2に示すように、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの夫々に対して、点火装置としてのグリドルバーナ用点火プラグPg(加熱バーナ用点火プラグの一例)、及び、着火状態検出装置としてのグリドルバーナ用着火センサRg(加熱バーナ用着火センサの一例)が装備されている。
また、コンロバーナ1についても、同様に、コンロバーナ用点火プラグPc及びコンロバーナ用着火センサRcが装備されている。
【0054】
(ガス燃料の供給構成)
図2に示すように、都市ガス供給管等のガス供給源に接続される元ガス供給路12に、電磁操作式の元ガス弁13が設けられ、元ガス供給路12からは、標準火力バーナ用分岐路14a、小火力バーナ用分岐路14b、大火力バーナ用分岐路14c及びグリドルバーナ用分岐路15の4系統のガス流路が分岐されている。
【0055】
グリドルバーナ用分岐路15に、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに対するガス燃料の供給圧力を設定圧に調整するガバナ16が設けられ、ガバナ16にて設定圧に調整されたガス燃料を下部バーナ7Sに導く下部バーナ用供給路17S、及び、ガバナ16にて設定圧に調整されたガス燃料を上部バーナ7Uに導く上部バーナ用供給路17Uが、グリドルバーナ用分岐路15から分岐されている。
【0056】
標準火力バーナ用分岐路14a、小火力バーナ用分岐路14b及び大火力バーナ用分岐路14cの夫々には、ステッピングモータの駆動によって燃料ガスの流量を調整して加熱量(火力)を調整するためのコンロ用ガス量調整弁18が備えられている。
また、下部バーナ用供給路17S及び上部バーナ用供給路17Uの夫々には、ステッピングモータの駆動によって燃料ガスの流量を調整して加熱量(火力)を調整するためのグリドル用ガス量調整弁19が備えられている。
ちなみに、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力(加熱力の一例)は、グリドル用ガス量調整弁19により無段階に調整されるものであるが、本実施形態においては、強火力と弱火力との2段階に調整されるものとして説明する。
【0057】
図2に示すように、第1イグナイタNCと、第2イグナイタNGが設けられている。
そして、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの夫々に対して配設されたグリドルバーナ用点火プラグPgが、第2イグナイタNGに接続されている。
【0058】
また、標準火力バーナ1A及び大火力バーナ1Cの夫々に対して配設されたコンロバーナ用点火プラグPcが、第1イグナイタNCに接続され、且つ、小火力バーナ1Bに対して配設されたコンロバーナ用点火プラグPcが、第2イグナイタNGに接続されている。
【0059】
(ガスコンロの操作構成)
図1に示すように、コンロ本体Hの前側面におけるグリドルGの右側の上方箇所には、標準火力バーナ1A、小火力バーナ1B及び大火力バーナ1Cの夫々に対して各別に点火及び消火や火力調節を指令するための3つのコンロ操作具20が設けられている。つまり、標準火力バーナ用操作具20a、小火力バーナ用操作具20b、及び、大火力バーナ用操作具20cが設けられている。
コンロ操作具20は、押し操作されるごとに、点火指令と消火指令を交互に指令し、また、回転操作することにより、火力調節指令を指令するように構成されている。
【0060】
コンロ本体Hの前側面におけるグリドルGの右側の下方箇所には、コンロバーナ1による自動調理の設定を行うコンロバーナ用設定操作部21が、下端側を支点にした前後揺動により開閉自在に設けられ、当該コンロバーナ用設定操作部21の上面部には、標準火力バーナ1A、小火力バーナ1B及び大火力バーナ1Cの夫々に対する設定操作を行うコンロ用操作パネル21Pが設けられている。
コンロバーナ用設定操作部21は、湯沸し処理や設定時間が経過すると自動消火するタイマー運転処理等の各種の自動加熱調理運転を設定することになるが、本実施形態においては、コンロバーナ用設定操作部21にて設定するコンロバーナ用自動加熱調理運転の説明は省略する。
【0061】
コンロ本体Hの前側面におけるグリドルGの左側の下方箇所には、グリドルバーナ7に対する設定を行うグリドル用設定操作部22が、下端側を支点にした前後揺動により開閉自在に設けられ、当該グリドル用設定操作部22の上面部には、点火指令、消火指令、火力調節指令、加熱調理時間調節指令、複数の調理メニューの選択指令等の種々の情報を指令するグリドル用操作パネル22Pが設けられている。
【0062】
グリドル用操作パネル22Pの操作により、複数の調理メニューのうちの被加熱物に応じた調理メニューが指令(選択)され、加えて、グリドル用操作パネル22Pの操作により、点火指令、火力調節指令、加熱時間調節指令等の種々の情報が指令されるように構成されている。
【0063】
(グリドル用操作パネルの詳細)
【0064】
図5に示すように、グリドル用操作パネル22Pには、押し操作式のスイッチにて構成されて、押し操作する毎にグリドルバーナ7に対して点火指令(加熱開始指令の一例)を指令するオン状態と消火指令(加熱停止指令の一例)を指令するオフ状態とに切り換わる点消火スイッチ23、グリドルバーナ7が燃焼すると点灯しかつグリドルバーナ7が消火すると消灯する燃焼ランプ24、加熱用のタイマー時間を増減設定するためのタイマー設定スイッチ25、設定されたタイマー時間を表示するためのタイマー表示部26が設けられている。
【0065】
また、グリドル用操作パネル22Pには、上部バーナ7Uと下部バーナ7Sとによる加熱状態を変更する火力切替スイッチ27、及び、火力切替スイッチ27にて変更された加熱状態を示すために、上部バーナ7Uと下部バーナ7Sとの夫々について火力の状態が弱火力であることを示す弱表示部28aと強火力であることを示す強表示部28bとからなる火力表示部28が設けられている。
【0066】
さらに、グリドル用操作パネル22Pには、複数の調理メニューのうちの被加熱物に応じた調理メニューに切り替えるメニュー切替スイッチ29、焼き加減を調整する焼き加減調整スイッチ30、後述する自動加熱調理運転を取り消すためのとりけしスイッチ31等が設けられている。
【0067】
メニュー切替スイッチ29により切り替えられる調理メニューは、被加熱物としてのトーストを加熱調理する「トースト」、被加熱物としての魚を加熱調理する「焼き魚」、各種の被加熱物を温めるための「あたため」があり、そのうちの選択されたものをLEDランプにて示すメニュー表示部29aが設けられている。
調理メニューの焼き加減としては「弱」「中」「強」の3段階があり、そのうちの選択されたものをLEDランプにて示す焼き加減表示部30aが設けられている。
そして、調理者が参照するメニュー表(図示せず)が別途用意されており、調理者はこのメニュー表を参照しながら、調理メニューを設定することになる。
【0068】
ちなみに、本実施形態においては、燃焼ランプ24、タイマー表示部26、火力表示部28、メニュー表示部29a、及び、焼き加減表示部30aが、グリドルGの動作状態を表示する動作状態表示部Dとして機能するように構成されている。
また、点消火スイッチ23が、グリドルバーナ7による加熱を開始する加熱開始指令を指令する加熱開始指令部Aとして機能するように構成されている。
【0069】
また、メニュー切替スイッチ29及び焼き加減調整スイッチ30が、複数の調理メニューのうち被加熱物に応じた調理メニューを指令する調理メニュー指令部MSとして機能するように構成され、この調理メニュー指令部MSによって、調理メニューとして、被加熱物の形態の違い並びに被加熱物に対する焼き加減を指令するように構成されている。
【0070】
(ガスコンロの制御構成)
図2に示すように、ガスコンロGCの運転を制御する運転制御部Bが設けられ、当該運転制御部Bが、グリドルバーナ7やコンロバーナ1の運転状態(燃焼作動)を制御するように構成されている。
すなわち、運転制御部Bが、グリドル用設定操作部22にて点火指令が指令されると、元ガス弁13、グリドル用ガス量調整弁19を操作して、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに燃料ガスを供給する状態とし、加えて、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに対するグリドルバーナ用点火プラグPgを作動させかつグリドルバーナ用着火センサRgにて着火を検出する点火処理を実行するように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、点火処理においては、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力が、強火力に調整されることになる。
【0071】
また、運転制御部Bが、調理メニューが指令されないマニュアル調理運転において、グリドル用設定操作部22により火力調節指令が指令された場合や、自動加熱調理運転中において火力の調節を行う場合には、グリドル用ガス量調整弁19を操作して、下部バーナ7Sや上部バーナ7Uの火力を調節する火力調節処理を実行するように構成されている。
【0072】
さらに、運転制御部Bが、自動加熱調理運転が終了した場合や、マニュアル調理運転を終了する、あるいは、調理メニューの加熱調理を中断する等の目的により、グリドル用設定操作部22により消火指令が指令された場合には、元ガス弁13、グリドル用ガス量調整弁19を閉状態に操作して、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uを消火する消火処理を実行するように構成されている。
【0073】
つまり、運転制御部Bが、グリドル用設定操作部22の設定情報に基づいて、グリドルバーナ7に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理を行ないながら、複数の調理メニューのうちの指令(選択)された調理メニューについての自動加熱調理運転を実行し、また、調理メニューが指令されていない場合には、グリドル用設定操作部22の設定情報に基づいて、グリドルバーナ7に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理を行ないながら、マニュアル調理運転を実行するように構成されている。
【0074】
また、運転制御部Bが、コンロ操作具20による点火指令や消火指令及び火力調節指令によって、コンロバーナ1に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理を行い、また、コンロバーナ用設定操作部21の設定情報に基づいて、コンロバーナ1に対する自動加熱調理運転を実行するように構成されている。
コンロバーナ1に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理は、グリドルバーナ7に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理と同様であるので、本実施形態では、詳細な説明を省略する。
【0075】
(グリドルの自動加熱調理運転の詳細)
運転制御部Bが、調理メニューが指令された後に点火指令が指令された場合や、点火指令が指令されて点火処理を実行した後に設定時間(例えば、20秒)が経過するまでに調理メニューが指令された場合には、調理メニューについての自動加熱調理運転(自動加熱処理に相当)を実行するように構成されている。
尚、以下においては、調理メニューとして、「トースト」「焼き魚」「あたため」の夫々について、焼き加減が「中」に設定されているとして説明する。
【0076】
自動加熱調理運転は、グリドルバーナ7の加熱作動(燃焼)を開始してから調理メニューに応じて定められる加熱調理時間が経過すると加熱作動(燃焼)を停止する処理を実行することになる。
本実施形態においては、
図6及び
図7に示すように、加熱調理時間が、初期工程、第1加熱工程、第2加熱工程を含むように構成されている。
【0077】
図6に示すように、調理メニューのうちの「焼き魚」「あたため」については、加熱調理時間の後に余熱工程が設けられて、余熱工程が終了した段階にて自動加熱調理運転が終了する。
図7に示すように、調理メニューのうちの「トースト」については、余熱工程が設けられておらず、加熱調理時間が終了した段階にて自動加熱調理運転が終了する。
【0078】
複数種の調理メニューのいずれにおいても、初期工程においては、グリドルバーナ7の点火処理を実行した後において、設定保持時間(例えば、20秒)の間、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力を強火力に保持する時間が含まれている。
【0079】
調理メニューのうちの「焼き魚」「あたため」については、初期工程において、設定保持時間(例えば、20秒)が経過すると、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力を、調理メニューに対応して定めた温度勾配計測用火力に調整することになり、その状態において、グリドル側温度検知部11Aの底部検出温度Tsに基づいて、被加熱物の熱負荷を測定するように構成されている。
具体的には、底部検出温度Tsが開始温度T1から終了温度T2になるまでの経過時間Dtを求め、この経過時間Dtに基づいて被加熱物の熱負荷を推定するように構成されている。
ちなみに、温度勾配計測用火力としては、例えば、下部バーナ7Sの火力を弱火力、上部バーナ7Uの火力を強火力にする火力が設定されることになる。
【0080】
被加熱物の熱負荷が推定されると、調理メニューのうちの「焼き魚」「あたため」については、推定された被加熱物の熱負荷に基づいて、第1加熱工程を行う第1工程時間及び第2加熱工程を行う第2工程時間が定められ、かつ、第1加熱工程を行うときの第1工程火力及び第2加熱工程を行うときの第2工程火力が定められ、第1加熱工程及び第2加熱工程が順次行われることになる。
ちなみに、本実施形態では、余熱工程を行う余熱時間が調理メニューに応じて予め設定されている。
【0081】
ちなみに、第1工程火力としては、下部バーナ7Sの火力を弱火力、上部バーナ7Uの火力を強火力にする火力が設定され、第2工程火力としては、下部バーナ7Sの火力を弱火力、上部バーナ7Uの火力を強火力にする火力が設定される。
つまり、調理メニューのうちの「焼き魚」「あたため」については、第1工程火力及び第2工程火力の火力(加熱力)が同じである。
【0082】
そして、被加熱物の熱負荷が推定されたときに、第1工程時間、第2工程時間、余熱時間を加えた残り焼き時間が求められ、その残り焼き時間がタイマー表示部26に表示されるように構成されている。ちなみに、タイマー表示部26に表示される残り焼き時間は、時間経過とともに減少された時間として表示されることになる。
【0083】
調理メニューのうちの「トースト」については、初期工程を行うトースト用の初期工程時間、第1加熱工程を行うトースト用の第1工程時間、第2加熱工程を行うトースト用の第2工程時間が予め定められ、また、初期工程を行うトースト用の初期工程火力、第1加熱工程を行うトースト用の第1工程火力、第2加熱工程を行うトースト用の第2工程火力が予め定められている。
【0084】
ちなみに、トースト用の初期工程時間として、例えば、40秒が設定され、トースト用の第1工程時間として、例えば、160秒が設定され、トースト用の第2工程時間として、例えば、100秒が設定される。
また、トースト用の初期工程火力として、上部バーナ7Uの火力及び下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力が設定され、トースト用の第1工程火力として、例えば、上部バーナ7Uの火力を弱火力、下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力が設定され、トースト用の第2工程火力として、上部バーナ7Uを切(消火)にし、下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力が設定される。
つまり、調理メニューのうちの「トースト」については、第1工程の火力(加熱力)が第2工程火力の火力(加熱力)よりも大きくなるように設定される。
【0085】
調理メニューのうちの「トースト」については、初期工程において、設定保持時間(例えば、20秒)が経過しても、トースト用の初期工程火力としての、上部バーナ7Uの火力及び下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力に維持されることになる。
ちなみに、トースト用の初期工程火力としては、例えば、上部バーナ7Uの火力を弱火力、下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力等、設定保持時間(例えば、20秒)における火力と異なる火力を設定して、設定保持時間(例えば、20秒)が経過したときに、トースト用の初期工程火力に調整する形態で実施してもよい。
【0086】
そして、トースト用の初期工程時間が経過すると、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力を、トースト用の第1工程火力に調整して、第1加熱工程を行い、トースト用の第1工程時間が経過すると、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力を、トースト用の第2工程火力に調整して、第2加熱工程を行い、トースト用の第2工程時間が経過すると、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uが消火されて、「トースト」の調理メニューに対する自動加熱調理運転(自動加熱処理)が終了することになる。
【0087】
ちなみに、調理メニューのうちの「トースト」については、例えば、初期工程における設定保持時間(例えば、20秒)が経過した時点において、初期工程の残り時間、第1工程時間、第2工程時間を加えた残り焼き時間が求められ、その残り焼き時間がタイマー表示部26に表示されるように構成されている。ちなみに、タイマー表示部26に表示される残り焼き時間は、時間経過とともに減少された時間として表示されることになる。
【0088】
(追加加熱処理について)
運転制御部Bが、グリドルバーナ7を消火して自動加熱調理運転(自動加熱処理)を終了した時点から設定確認時間(例えば、30秒)が経過するまでの間に、点消火スイッチ23により点火指令(加熱開始指令)が指令されると、予め設定した追加加熱時間が経過するまで、グリドルバーナ7にて加熱作動を行う追加加熱処理(追加加熱工程)を実行するように構成されている。
尚、設定確認時間は、種々変更できるものであり、例えば、10秒~60秒の範囲で適宜設定できるものである。
【0089】
つまり、
図7に示すように、自動加熱調理運転(自動加熱処理)が終了した後、設定確認時間(例えば、30秒)が経過するまでの間に、点消火スイッチ23にて点火指令(加熱開始指令)が指令されると、グリドルバーナ7を燃焼させて、被加熱物の加熱を行う追加加熱処理(追加加熱工程)を実行するように構成されている。
尚、
図7は、「トースト」の加熱調理において、追加加熱処理を実行する形態を例示するが、「焼き魚」「あたため」についても同様である。ただし、「焼き魚」「あたため」については、余熱工程が終了した後、設定確認時間(例えば、30秒)が経過するまでの間に、点消火スイッチ23にて点火指令(加熱開始指令)が指令されると、グリドルバーナ7を燃焼させて、被加熱物の加熱を行うように構成されることになる。
【0090】
追加加熱時間が、複数の調理メニューの夫々に応じた時間に設定されている。
すなわち、例えば、「焼き魚」の追加加熱時間が、2分に設定され、「あたため」の追加加熱時間が、1分に設定され、「トースト」の追加加熱時間が、30秒に設定される。
【0091】
追加加熱処理における加熱力が、複数の調理メニューの夫々に応じた加熱力に設定されている。
すなわち、例えば、「焼き魚」の加熱力が、上部バーナ7Uの火力を弱火力、下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力に設定され、「あたため」の加熱力が、上部バーナ7Uの火力を弱火力、下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力に設定され、「トースト」の加熱力が、上部バーナ7Uの火力を弱火力、下部バーナ7Sの火力を強火力にする火力に設定される。
つまり、追加加熱処理における加熱力が、第1加熱工程における第1工程火力と同じ火力に設定される。
【0092】
ちなみに、追加加熱処理においては、先ず、上部バーナ7Uの火力及び下部バーナ7Sの火力を強火力にする点火処理が行われ、その後、追加加熱処理のために設定された加熱力(火力)に調整されることになる。
【0093】
また、運転制御部Bが、複数の調理メニューのうちの同じ調理メニューについて、自動加熱調理運転(自動加熱処理)を実行した後に追加加熱処理を実行することを設定回数繰り返した場合(例えば、3回繰り返した場合)には、当該調理メニューに対して定めた前加熱調理時間を設定延長時間長くするように更新することになる。
そして、設定延長時間が追加加熱時間よりも短く定められる。例えば、設定延長時間を、追加加熱時間の80%程度の長さとする。
【0094】
また、運転制御部Bが、自動加熱調理運転(自動加熱処理)において、第1工程時間の間行う第1加熱工程における加熱力を当該第1加熱工程に続いて第2工程時間の間行う第2加熱工程における加熱力よりも大きくする場合、つまり、「トースト」の自動加熱調理運転(自動加熱処理)においては、第1加熱工程についての第1工程時間を設定延長時間長くするように構成されている。
【0095】
すなわち、
図8に示すように、「トースト」の自動加熱調理運転(自動加熱処理)における第1加熱工程の第1工程時間が、設定延長時間を加えた長さに設定される。
そして、「トースト」の自動加熱調理運転(自動加熱処理)では、第1加熱工程において、上部バーナ7Uと下部バーナ7Sとが加熱作動され、かつ、第2加熱工程において、上部バーナ7Uを停止させた状態(消火させた状態)で下部バーナ7Sが加熱作動されるものであるから、第1加熱工程の第1工程時間を、設定延長時間を加えた長さに設定することにより、被加熱物としてのトーストの表裏両面を適切に加熱調理できる。
【0096】
ちなみに、調理メニューのうちの「焼き魚」「あたため」については、第1工程火力及び第2工程火力の火力(加熱力)が同じであるから、第1加熱工程の第1工程時間と第2加熱工程の第2工程時間とのいずれかを、設定延長時間を加えた長さに設定する。
【0097】
〔別実施形態〕
次に、その他の別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、載置部として調理容器Kにて被加熱物を調理する場合を例示したが、載置部として焼き網を設けて、調理メニューとして、「魚の切り身」「魚の姿焼」「干物」等の調理メニューに対する自動加熱調理運転(自動加熱処理)を実行する場合にも、実施形態と同様に実施できるものである。
ちなみに、載置部として焼き網を使用する場合には、グリドル庫6の排気路Eの入口部に調理排気の温度を検出する温度センサを設けて、加熱開始時における温度センサの上昇勾配により、被加熱物の熱負荷を検出させることができる。
【0098】
(2)上記実施形態では、調理容器Kとして、被加熱物の載置面が平坦面であるプレートパン9Aを例示したが、調理容器Kとしては、被加熱物の載置面が波型面である波型プレートパン等、各種の調理容器Kを適用できる。
【0099】
(3)上記実施形態では、グリドルG及びコンロ部CRを備えるガスコンロGCを例示したが、グリドルG等の調理用加熱部のみを備える加熱調理器に対して、本発明は適用できるものである。
【0100】
(4)上記実施形態では、調理メニューとして、「トースト」「焼き魚」「あたため」を例示したが、本発明は、「グリルチキン」「ハンバーグ」等、各種の調理メニューに対する自動加熱調理運転(自動加熱処理)を実行する場合に適用できるものである。
【0101】
(5)上記実施形態では、グリドルGを調理用加熱部として例示したが、調理用加熱部としては、加熱室としてのオーブン庫及び加熱バーナとしてのオーブンバーナを備えたオーブンを設ける形態で実施してもよい。
【0102】
(6)上記実施形態では、グリドルバーナ7を加熱部として備えるグリドルGを例示したが、加熱部として電気ヒータを備える各種の調理用加熱部に対して本発明は適用できる。
【0103】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0104】
6 加熱室
7 加熱部
7S 下側加熱部
7U 上側加熱部
B 運転制御部
A 加熱開始指令部
K 調理容器(載置部)
MS 調理メニュー指令部