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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】組成物および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20231221BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20231221BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G02B5/20
C08F290/12
C08L101/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019236576
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105108
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 好寛
(72)【発明者】
【氏名】小松 慶史
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 真芳
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290999(JP,A)
【文献】特開昭61-166804(JP,A)
【文献】特開昭61-261305(JP,A)
【文献】特開2014-037535(JP,A)
【文献】特開2008-065077(JP,A)
【文献】特開2013-033276(JP,A)
【文献】特開2018-123274(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189495(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C08L 101/02
C08F 290/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドット(A)と樹脂(B)とを含み、
前記樹脂(B)は、スルフィド基と、カルボキシ基と、不飽和二重結合とを有する重合体(B1)を含む、組成物。
【請求項2】
前記重合体(B1)は、メルカプト基及びカルボキシ基を有する単量体(a)と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種である単量体(b)と、オキシラニル基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(c)とに由来する構造単位を有する重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記メルカプト基及びカルボキシ基を有する単量体(a)は、一般式(1)で表される化合物を含む、請求項2に記載の組成物。
【化1】

[式中、
Rは、炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。前記炭化水素基は1以上の置換基を有していてよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。前記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。
pは、1~10の整数を表す。]
【請求項4】
前記オキシラニル基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(c)は、不飽和鎖式脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(c1)、及び不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(c2)の少なくともいずれか一方を含む、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記重合体(B1)は、一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構造単位を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【化2】

[式中、
61、R62、R63は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を表す。
は、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
Xは、*-R-X-、*-R-O-X-、*-R-S-X-、*-R-NH-X-を表す。*は、R側の酸素原子との結合手を表す。Rは、炭素原子数1~6のアルカンジイル基を表す。Xは、エチレン基又は二価の脂環式炭化水素基を表し、これらはヒドロキシ基を有する。
Yは、**-(R)-を表す。Rは、炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。前記炭化水素基は1以上の置換基を有していてよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。前記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。**は、Sとの結合手を表す。pは、1~10の整数を表す。
Zは、カルボキシ基を表す。]
【請求項6】
重合性化合物(C)と重合開始剤(D)とをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物から形成される硬化膜。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化膜を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関し、さらには表示装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下記一般式で表わされる構造部位を有する重合体と量子ドットとを含有する硬化性樹脂組成物が提案されている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-65178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の量子ドットを含む硬化性樹脂組成物では、硬化膜を作製する工程において輝度が十分に維持されず、及び現像時に残渣が生じることがあった。また、量子ドットを含む硬化性樹脂組成物の硬化物を含む膜上に、有機溶剤を含むハードコート層形成用組成物や着色層形成用組成物を用いてハードコート層や着色層を形成することがあり、硬化後の耐溶剤性もまた求められている。
【0005】
本発明の目的は、硬化膜を作製する工程において輝度を維持する共に現像時の残渣を低減し、硬化後に優れた耐溶剤性をも発揮する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の組成物及び表示装置を提供する。
[1] 量子ドット(A)と樹脂(B)とを含み、
前記樹脂(B)は、スルフィド基と、カルボキシ基と、不飽和二重結合とを有する重合体(B1)を含む、組成物。
[2] 前記重合体(B1)は、メルカプト基及びカルボキシ基を有する単量体(a)と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種である単量体(b)と、オキシラニル基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(c)とに由来する構造単位を有する重合体である、[1]に記載の組成物。
[3] 前記メルカプト基及びカルボキシ基を有する単量体は、一般式(1)で表される化合物を含む、[2]に記載の組成物。
【化2】

[式中、
Rは、炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。前記炭化水素基は1以上の置換基を有していてよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。前記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。
pは、1~10の整数を表す。]
[4] 前記オキシラニル基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(c)は、不飽和鎖式脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(c1)、及び不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(c2)の少なくともいずれか一方を含む、[2]又は[3]に記載の組成物。
[5] 前記重合体(B1)は、一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構造単位を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
【化3】

[式中、
61、R62、R63は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を表す。
は、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
Xは、*-R-X-、*-R-O-X-、*-R-S-X-、*-R-NH-X-を表す。*は、R側の酸素原子との結合手を表す。Rは、炭素原子数1~6のアルカンジイル基を表す。Xは、エチレン基又は二価の脂環式炭化水素基を表し、これらはヒドロキシ基を有する。
Yは、**-(R)p-を表す。Rは、炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。前記炭化水素基は1以上の置換基を有していてよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。前記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。**は、Sとの結合手を表す。pは、1~10の整数を表す。
Zは、カルボキシ基を表す。]
[6] 重合性化合物(C)と重合開始剤(D)とをさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の組成物から形成される硬化膜。
[8] [7]に記載の硬化膜を含む表示装置。
[9] スルフィド基と、カルボキシ基と、不飽和二重結合とを有する樹脂。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工程中での輝度を維持する共に現像時の残渣を低減し、硬化後に優れた耐溶剤性をも発揮する組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<組成物>
本発明の組成物は、量子ドット(A)および樹脂(B)を含む。本発明の組成物は、後述する光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、酸化防止剤(E)、レベリング剤(F)、溶剤(G)および光散乱剤(H)からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むことができる。本発明の組成物は、好ましくは重合性化合物(C)と重合開始剤(D)とをさらに含む。
【0009】
[1]量子ドット(A)
量子ドット(A)は、粒子径1nm以上100nm以下の半導体微粒子であり、半導体のバンドギャップを利用し、紫外光または可視光を吸収して発光する微粒子である。
量子ドット(A)としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdHgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等の12族元素と16族元素との化合物;GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs等の13族元素と15族元素との化合物;PdS、PbSe等の14族元素と16族元素との化合物等が挙げられる。
量子ドット(A)がSやSeを含む場合、金属酸化物や有機物で表面修飾した量子ドットを使用してもよい。表面修飾した量子ドットを使用することで、有機層を形成する材料中の反応成分によってSやSeが引き抜かれることを防止することができる。
また量子ドット(A)は、上記の化合物を組み合わせてコアシェル構造を形成していてもよい。このような組合せとしては、コアがCdSeであり、シェルがZnSである微粒子等が挙げられる。
【0010】
量子ドット(A)のエネルギー状態はその大きさに依存するため、粒子径を変えることにより自由に発光波長を選択することが可能である。例えば、CdSeのみから構成される量子ドットの場合、粒子径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmの時の蛍光スペクトルのピーク波長は、それぞれ528nm、570nm、592nm、637nmである。また、量子ドット(A)からの発光光はスペクトル幅が狭く、このような急峻なピークを有する光を組み合わせることにより、表示装置の表示可能な色域が拡大する。さらに、量子ドット(A)は応答性が高く、光源から放射される光を効率良く利用することができる。
本発明の組成物は、光源から放射される光により、特定波長の光を発光する量子ドットのみを含有していてもよく、異なる波長の光を発光する量子ドットを2種以上組み合わせて含有していてもよい。上記特定波長の光としては、例えば、赤色光、緑色光および青色光が挙げられる。
【0011】
量子ドット(A)の含有率は、組成物の固形分の総量に対して、例えば0.1質量%以上60質量%以下であってよく、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上45質量%以下である。本明細書において固形分の総量とは、後述する溶剤(G)を除いた成分の合計を意味する。組成物の固形分中の含有率は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0012】
[2]樹脂(B)
樹脂(B)は、スルフィド基(-S-)と、カルボキシ基(-C(=O)OH)と、不飽和二重結合(=C)とを有する重合体(B1)を含む。樹脂(B)が重合体(B1)を含むことにより、工程中での輝度を維持する共に現像時の残渣を低減し、硬化後に優れた耐溶剤性をも発揮することができる。
【0013】
重合体(B1)は、メルカプト基(-SH)及びカルボキシ基を有する単量体(a)(以下、「(a)」ということがある)と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種である単量体(b)(以下、「(b)」ということがある)と、オキシラニル基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(c)(以下、「(c)」ということがある)とに由来する構造単位を有する重合体であることができる。
【0014】
(a)としては、例えばメルカプト基を有するカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。メルカプト基を有するカルボン酸としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化4】

[式中、
Rは、炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。上記炭化水素基は1以上の置換基を有していてよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。上記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。
pは、1~10の整数を表す。]
【0015】
Rにおける炭化水素基としては、例えば鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0016】
鎖状炭化水素基は、例えば直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基であってよく、その炭素原子数は、通常1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10である。直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基としては、例えばプロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、1-メチルブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。
【0017】
脂環式炭化水素基は、例えば単環式又多環式のシクロアルカンジイル基であってよく、その炭素原子数は、通常3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。単環式又多環式のシクロアルカンジイル基としては、例えばシクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル等が挙げられる。
【0018】
芳香族炭化水素基は、例えばアレーンジイル基であってよく、その炭素原子数は通常6~20である。単環式又多環式のアレーンジイル基としては、例えばベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ピレンジイル基等が挙げられる。
【0019】
置換基としては、例えば水素原子、炭素原子数1~50のアルキル基、炭素原子数3~50のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
炭素原子数1~50のアルキル基としては、例えば飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状のアルキル基であってよく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及び2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
炭素原子数3~50のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。
炭素原子数6~20のアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
置換基としては、カルボキシ基、アミノ基およびハロゲン原子が好ましい。
【0020】
上記炭化水素基に含まれる-CH-が-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わる場合、-CH-が置き換わるのは、好ましくは-CO-及び-NH-の少なくとも1つであり、より好ましくは-NH-である。
pは、好ましくは1又は2である。
【0021】
一般式(1)で表される化合物としては、例えば下記式(1-1)~(1-9)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0022】
メルカプト基を有するカルボン酸の具体例としては、例えばメルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトブタン酸、4-メルカプトブタン酸、メルカプトコハク酸、メルカプトステアリン酸、メルカプトオクタン酸、4-メルカプト安息香酸、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メルカプト安息香酸、L-システイン、N-アセチル-L-システイン、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、3-メルカプト-2-メチルプロピオン酸等が挙げられる。中でも3-メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸が好ましい。
【0023】
(b)としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の二価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。以下、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
【0024】
(c)としては、例えば不飽和鎖式脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(c1)(以下「(c1)」という場合がある)や、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(c2)(以下「(c2)」という場合がある)が挙げられる。本発明において、(c)は、オキシラニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。また、(c)は(c2)であることが好ましい。
【0025】
(c1)としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、特開平7-248625号公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0026】
(c2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物等が挙げられる。
【0027】
【化6】
【0028】
式(2)及び式(3)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子、又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、互いに独立に、単結合、-R-、*-R-O-、*-R-S-、*-R-NH-を表す。
は、炭素原子数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。
【0029】
炭素原子数1~4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0030】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH-O-、*-CHCH-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CHCH-O-が挙げられる。なお、*はOとの結合手を表す。
【0031】
式(2)で表される化合物としては、式(2-1)~式(2-15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(2-1)、式(2-3)、式(2-5)、式(2-7)、式(2-9)、式(2-11)~式(2-15)で表される化合物であり、より好ましくは式(2-1)、式(2-7)、式(2-9)、式(2-15)で表される化合物である。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
式(3)で表される化合物としては、式(3-1)~式(3-15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(3-1)、式(3-3)、式(3-5)、式(3-7)、式(3-9)、式(3-11)~式(3-15)で表される化合物であり、より好ましくは式(3-1)、式(3-7)、式(3-9)、式(3-15)で表される化合物である。
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
式(2)で表される化合物及び式(3)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(2)で表される化合物:式(3)で表される化合物で、5:95~95:5、より好ましくは10:90~90:10、さらに好ましくは20:80~80:20である。
【0038】
重合体(B1)は、上記(a)と(b)と(c)とに由来する構造単位に加えて、さらに(b)と(c)とに由来する構造単位、及び(b)に由来する構造単位を有することができる。
重合体(B1)は、(b)と共重合可能な単量体(d)(ただし、(a)と(b)と(c)とは異なる単量体)(以下、「(d)」ということがある)に由来する構造単位を有していてもよい。重合体(B1)は、例えば(d)に由来する構造単位、(b)と(d)とに由来する構造単位、(b)と(c)と(d)とに由来する構造単位、(a)と(b)と(c)と(d)とに由来する構造単位等を有することができる。
【0039】
(d)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートといわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類;
【0040】
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリール又はアラルキルエステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
【0041】
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;
【0042】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0043】
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0044】
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン等のスチレン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリルアミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等のジエン化合物類;
3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等のオキセタニル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のテトラヒドロフリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0045】
これらのうち、スチレン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンが、共重合反応性及びアルカリ溶解性の点から好ましい。
【0046】
重合体(B1)が単量体(a)、(b)及び(c)から構成される場合、重合体(B1)を構成する単量体の合計モル数に対する各単量体の割合(以下、モル比ともいう)は、発光強度、耐溶剤性及び現像性の観点から好ましくは以下の範囲にある。
単量体(a):0.01%以上10モル%以下(より好ましくは0.1モル%以上5モル%以下)
単量体(b):30モル%以上98.99モル%以下(より好ましくは65モル%以上94.9モル%以下)
単量体(c):1モル%以上60モル%以下(より好ましくは15モル%以上50モル%以下)
【0047】
重合体(B1)が単量体(a)、(b)、(c)及び(d)から構成される場合、各単量体のモル比は、発光強度、耐溶剤性及び現像性の観点から好ましくは以下の範囲にある。
単量体(a):0.01%以上10モル%以下(より好ましくは0.1モル%以上5モル%以下)
単量体(b):30モル%以上98.99モル%以下(より好ましくは30モル%以上94.9モル%以下)
単量体(c):1モル%以上60モル%以下(より好ましくは15モル%以上50モル%以下)
単量体(d):1モル%以上60モル%以下(より好ましくは15モル%以上50モル%以下)
また、(b)と(c)とのモル数の合計は、重合体(B1)を構成する全構造単位の合計モル数に対して、70モル%以上99モル%以下が好ましい。
上記モル比は、単量体の仕込み量から算出されるモル比である。
【0048】
重合体(B1)は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0049】
具体的には、所定量の単量体、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れ、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気で、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が例示される。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、本発明の組成物の溶剤(G)として後述する溶剤等を用いることができる。
例えば、まず単量体(b)を重合させた後、単量体(c)を添加して反応させ、次に、単量体(a)を添加して反応させる方法等が挙げられる。また、例えばまず単量体(b)及び(d)を反応させた後、単量体(c)を添加して反応させ、次に、単量体(a)を添加して反応させる方法等が挙げられる。
【0050】
得られた重合体(B1)は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(G)と同一の溶剤を使用することにより、反応後の溶液を硬化性樹脂組成物の調製にそのまま使用することができ、硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0051】
重合体(B1)は、下記一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構造単位(式中、角括弧内の側鎖を含む構造)を有する重合体であることができる。
【化11】

[式中、
61、R62、R63は、互いに独立して、水素原子又はメチル基を表す。
は、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
Xは、*-R-X-、*-R-O-X-、*-R-S-X-、*-R-NH-X-を表す。*は、R側の酸素原子との結合手を表す。Rは、炭素原子数1~6のアルカンジイル基を表す。Xは、エチレン基又は二価の脂環式炭化水素基を表し、これらはヒドロキシ基を有する。
Yは、**-(R)p-を表し、R及びpは、上記定義と同じである。**は、Sとの結合手を表す。
Zは、カルボキシ基を表す。]
一般式(ba)で表される構造単位は、(a)と(b)と(c)とに由来する構造単位であることができる。一般式(bb)で表される構造単位は、(b)に由来する構造単位であることができる。一般式(bc)で表される構造単位は、(b)と(c)とに由来する構造単位であることができる。
【0052】
における炭素原子数1~4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
におけるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
は、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基である。
【0053】
における炭素原子数1~6のアルカンジイル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
Xは、好ましくは*-C-X-、*-CHCH-X-、*-CH-O-X-、*-CHCH-O-X-である。
におけるヒドロキシ基を有する二価の脂環式炭化水素基としては、例えば下記式で表される基である。
【化12】
【0054】
Xとしては、例えば下記式(X-1)~(X-14)で表される基が挙げられる。
【化13】
【0055】
Yとしては、例えば下記式(Y-1)~(Y-8)で表される基が挙げられる。
【化14】
【0056】
61、R62、R63、R、X及びYの組合せとしては、例えば以下の表1に示す組合わせ(b-1)~(b-48)が挙げられる。
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
重合体(B1)が一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構成単位を含む場合、一般式(ba)で表される構成単位の含有量は、例えば、重合体(B1)全量を基準に0.01質量%以上10質量%以下であってよく、発光強度、現像性及び耐溶剤性の観点から好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下である。
【0059】
重合体(B1)が一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構成単位を含む場合、一般式(bb)で表される構成単位の含有量は、例えば、重合体(B1)全量を基準に10質量%以上80質量%以下であってよく、発光強度、現像性及び耐溶剤性の観点から好ましくは20質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上60質量%以下である。
【0060】
重合体(B1)が一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構成単位を含む場合、一般式(bc)で表される構成単位の含有量は、例えば、重合体(B1)全量を基準に10質量%以上70質量%以下であってよく、発光強度、現像性及び耐溶剤性の観点から好ましくは20質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上50質量%以下である。
【0061】
重合体(B1)は、好ましくは一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構成単位を主鎖中に含む重合体であり、より好ましくは主鎖が一般式(ba)、(bb)及び(bc)で表される構成単位から構成される重合体である。
【0062】
重合体(B1)は、仕込み比から算出される1分子中のスルフィド基の数(以下、仕込み比から算出される修飾量ともいう)が例えば0.5以上3以下であってよく、好ましくは0.75以上2以下である。
【0063】
重合体(B1)の重量平均分子量は、例えば1000以上20万以下であってよい。重合体(B1)の重量平均分子量は、発光量、現像性及び耐熱性の観点から好ましくは3000以上であり、より好ましくは4000以上であり、さらに好ましくは5000以上であり、一層好ましくは6000以上である。また、重合体(B1)の重量平均分子量は、発光量、現像性及び耐熱性の観点から好ましくは3万以下、より好ましくは2万以下、さらに好ましくは1.5万以下、一層好ましくは1万以下である。重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法にて求められる。
【0064】
重合体(B1)の酸価は、固形分を基準として90mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲である。酸価が90mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、基板に残渣を残すおそれがあり、酸価が150mgKOH/gを超過する場合には、パターンの剥離が起きる可能性が高くなる。重合体(B1)の酸価は、現像性の観点から好ましくは95mgKOH/g以上140mgKOH/g以下の範囲であり、より好ましくは100mgKOH/g以上130mgKOH/g以下の範囲である。ここで酸価は重合体(B1)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。重合体(B1)の酸価は、後述の実施例の欄における測定方法に従って測定される。
【0065】
重合体(B1)は、アクリル当量が例えば300g/eq以上2000g/eq以下である樹脂(以下、アクリル系樹脂ともいう)を含むことができる。アクリル系樹脂は、アクリル当量が好ましくは500g/eq以上1500g/eq以下である。重合体(B1)がアクリル系樹脂を含む場合、カラーフィルター工程中に消光される現像を防止し易くなる傾向にある。一方、重合体(B1)が、アクリル当量が2000g/eqを超過する樹脂を含む場合、量子ドットを効果的に保護する能力が得られにくくなる傾向にあり、アクリル当量が上記範囲未満である樹脂を含む場合、現像時に溶解されずに剥離し易くなる傾向にある。好ましくは重合体(B1)はアクリル系樹脂である。
【0066】
樹脂(B)は、特開2018-123274号公報に記載のアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。具体的には、側鎖に二重結合を有するとともに、主鎖に、下記一般式(4)で表される構成単位(α)と、下記一般式(5)で表される構成単位(β)とを含み、さらに酸基を含む重合体(B2)を含むことができる。酸基は、例えば樹脂(B2)が、酸基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸等)に由来する構成単位(γ)を含むことで、樹脂中に導入されたものであることができる。樹脂(B2)は、好ましくは主鎖骨格に構成単位(α)、(β)および(γ)を含む。
【化15】

〔式中、RおよびR10は、同一または異なって、水素原子または炭素原子数1~25の炭化水素基を表す。nは、一般式(4)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。〕
【化16】

〔式中、R11は、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。R12は、同一または異なって、炭素原子数4~20の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基を表す。mは、一般式(5)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。〕
【0067】
重合体(B2)において、構成単位(α)の含有割合は、耐熱性や保存安定性の観点から例えば重合体(B2)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、0.5質量%以上50質量%以下であってよく、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。一般式(4)中のnは、重合体(B2)中の構成単位(α)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(α)の含有割合が上記範囲内になるようにnを設定することができる。
【0068】
構成単位(β)の含有割合は、耐溶剤性の観点から、重合体(B2)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば10質量%以上90質量%以下であってよく、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。一般式(5)中のmは、重合体(B2)中の構成単位(β)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(β)の含有割合が上述した範囲内になるようにmを設定することができる。
【0069】
構成単位(γ)の含有割合は、アルカリ物質に対する可溶性や溶媒に対する溶解性の観点から、重合体(B2)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下であってよく、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
【0070】
組成物中の樹脂(B)の含有率は、組成物の固形分の総量に対して例えば5質量%以上80質量%以下であってよく、発光強度、現像性及び耐溶剤性の観点から好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは17質量%以上55質量%以下である。
【0071】
[3]光重合性化合物(C)
光重合性化合物(C)は、後述する光重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合しうる化合物であり、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」および「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0072】
中でも、光重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2900以下、より好ましくは250以上1500以下である。
【0073】
組成物中の光重合性化合物(C)の含有率は、組成物の固形分の総量に対して、例えば7質量%以上60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは13質量%以上30質量%以下である。光重合性化合物(C)の含有率が、上記範囲内にあると、硬化パターンの残膜率および硬化パターンの耐薬品性がより向上する傾向がある。
【0074】
[4]光重合開始剤(D)
光重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であって、オキシム化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物およびアシルホスフィン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。中でも、オキシム化合物を含むことが好ましい。これらの重合開始剤を使用すると、硬化パターンの残膜率が高くなる。
また、上記オキシム化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物およびアシルホスフィン化合物は、硬化膜製造時の重合感度がより高くなる傾向があるため、分子内に少なくとも2つの芳香環を有する化合物であることが好ましい。
芳香環としては、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、チオフェン環、チアゾール環等の5員環、およびベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環等の6員環、並びにこれらの縮合環が挙げられる。
【0075】
オキシム化合物は、好ましくは、O-アシルオキシム化合物であり、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
【化17】
【0076】
オキシム化合物としては、例えばN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン;特開2011-132215号公報、国際公開2008/78678号、国際公開2008/78686号、国際公開2012/132558号記載の化合物等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N-1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
中でも、オキシム化合物は、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンおよびN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンがより好ましい。
【0077】
ビイミダゾール化合物は、例えば、式(d5)で表される化合物である。
【化18】

[式(d5)中、R51~R56は、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基を表す。]
【0078】
炭素原子数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基およびナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1~4のアルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等挙げられ、好ましくは塩素原子である。炭素原子数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0079】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平06-75372号公報、特開平06-75373号公報等参照。)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照。)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照。)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物またはこれらの混合物が好ましい。
【化19】
【0080】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。中でも、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジンが好ましい。
【0081】
アシルホスフィン化合物としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0082】
上述の光重合開始剤は、単独で使用してもよいし、2以上の光重合開始剤を併用してもよい。2以上の光重合開始剤を併用する場合は、上述のオキシム化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、およびアシルホスフィン化合物以外の公知の重合開始剤と組み合わせてもよい。
【0083】
公知の光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0084】
2以上の光重合開始剤の組み合わせとしては、オキシム化合物とビイミダゾール化合物、オキシム化合物とトリアジン化合物、オキシム化合物とアシルホスフィン化合物、ビイミダゾール化合物とトリアジン化合物、ビイミダゾール化合物とアシルホスフィン化合物、トリアジン化合物とアシルホスフィン化合物等の組み合わせが挙げられる。
【0085】
[光重合開始助剤(D1)]
さらに、必要に応じて、光重合開始助剤(D1)を併用してもよい。光重合開始助剤(D1)は、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤であり、光重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、光重合開始剤と組み合わせて用いられる。光重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物およびカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0086】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0087】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0088】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0089】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0090】
光重合開始剤(D)の含有率は、光重合性化合物(C)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上300質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上200質量部以下である。光重合開始剤(D)の含有率は、樹脂(D)および光重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。光重合開始剤(D)の含有率が、上記範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため硬化膜の生産性が向上する。
また、光重合開始助剤(D1)を含む場合、光重合開始助剤(D1)の含有率は、光重合性化合物(C)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上300質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上200質量部以下である。光重合開始剤(D)の含有率は、樹脂(D)および光重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。光重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で硬化膜を形成できる傾向がある。
【0091】
[5]酸化防止剤(E)
酸化防止剤(E)としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、リン/フェノール複合型酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤(E)は、2種以上を併用してもよい。リン/フェノール複合型酸化防止剤は、分子中にリン原子とフェノール構造とをそれぞれ1以上有する化合物であることができる。中でも、現像性および発光強度の観点からリン/フェノール複合型酸化防止剤が好ましい。
【0092】
フェノール系酸化防止剤としては、例えばイルガノックス(登録商標)1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1076(Irganox 1076:オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF(株)製)、同1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、BASF(株)製)、同3114(Irganox 3114:1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF(株)製)、同3790(Irganox 3790:1,3,5-トリス((4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF(株)製)、同1035(Irganox 1035:チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1135(Irganox 1135:ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C7-C9側鎖アルキルエステル、BASF(株)製)、同1520L(Irganox 1520L:4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、BASF(株)製)、同3125(Irganox 3125、BASF(株)製)、同565(Irganox 565:2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ3’、5’-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)AO-80(アデカスタブ AO-80:3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、(株)ADEKA製)、スミライザー(登録商標)BHT、同GA-80、同GS(以上、住友化学(株)製)、サイアノックス(登録商標)1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)およびビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
【0093】
リン系酸化防止剤としては、例えばイルガフォス(登録商標)168(Irgafos 168:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、BASF(株)製)、同12(Irgafos 12:トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、BASF(株)製)、同38(Irgafos 38:ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)329K、同PEP36、同PEP-8(以上、(株)ADEKA製)、Sandstab P-EPQ(クラリアント社製)、Weston(登録商標)618、同619G(以上、GE社製)およびUltranox626(GE社製)等が挙げられる。
【0094】
リン/フェノール複合型酸化防止剤としては、例えばスミライザー(登録商標)GP(6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)(住友化学(株)製)等が挙げられる。
【0095】
硫黄系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチルまたはジステアリール等のジアルキルチオジプロピオネート化合物およびテトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
【0096】
酸化防止剤(E)の含有率は、樹脂(B)100質量部に対して、例えば1質量部以上50質量部以下であってよく、発光量および耐熱性の観点から好ましくは5質量部以上40質量部以下、より好ましくは7質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは11質量部以上25質量部以下である。
【0097】
[6]レベリング剤(F)
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤およびフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。レベリング剤(F)は、現像性および発光強度の観点から好ましくはフッ素系界面活性剤である。
【0098】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452およびTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0099】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同F575、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)およびE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0100】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合およびフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477および同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0101】
レベリング剤(F)の含有率は、組成物の総量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%以下であってよく、好ましくは5質量%以上0.75質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下である。レベリング剤(F)の含有率が上記範囲内にあると、硬化膜の平坦性をより良好にすることができる。
【0102】
[7]溶剤(G)
溶剤(G)は、樹脂(B)、光重合性化合物(C)および光重合開始剤(D)を溶解するものであれば特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えばエステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-およびCOO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0103】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテートおよびγ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0104】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトールおよびメチルアニソールなどが挙げられる。
【0105】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0106】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびイソホロンなどが挙げられる。
【0107】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどが挙げられる。
【0108】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンなどが挙げられる。
【0109】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびN-メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0110】
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンまたはトル
エンが好ましい。
【0111】
溶剤(G)は、固形分以外の成分であり、例えば量子ドット(A)や樹脂(B)等に含まれる溶剤をも含む成分である。溶剤(G)の含有率は、組成物の総量に対する組成物に含まれる全溶剤の合計質量の割合であり、組成物の総量に対して、例えば40質量%以上95質量%以下であってよく、好ましくは50質量%以上90質量%以下である。言い換えると、組成物の固形分は、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。溶剤(G)の含有量が上記範囲内にあると、塗布時の組成物層の平坦性がより良好になり、また適切な膜厚の硬化膜を形成しやすい傾向がある。
【0112】
[8]光散乱剤(H)
本発明の組成物は、光散乱剤(H)をさらに含有することができる。光散乱剤(H)としては、金属または金属酸化物の粒子、ガラス粒子等を挙げることができる。金属酸化物としては、TiO、SiO、BaTiO、ZnO等を挙げることができる。光散乱剤(H)の粒子径は、例えば0.03μm以上20μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。
【0113】
組成物中の光散乱剤(H)の含有率は、組成物の固形分の総量に対し、例えば0.001質量%以上50質量%以下であってよく、現像性および発光強度の観点から好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。硬化性組成物が有機溶剤を含む場合、光散乱剤(H)は、分散剤(J)を用いて有機溶剤(G)の一部に予め分散させたものを用いることができる。分散剤(J)としては例えば市販品を用いることができる。市販品の例としては、
ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、116、118、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、192、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155;ANTI-TERRA-U、U100、203、204、250、;BYK-P104、P104S、P105、220S、6919;BYK-LPN6919、21116;LACTIMON、LACTIMON-WS;Bykumen等;
日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;
BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等;
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824
等が挙げられる。
【0114】
なお、本発明の組成物は必要に応じて、重合禁止剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤がさらに含まれていてもよい。
【0115】
<組成物の製造方法>
組成物の製造方法は、量子ドット(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、酸化防止剤(E)、レベリング剤(F)および溶剤(G)、ならびに必要に応じて使用される他の成分を混合する工程を含むことができる。
【0116】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、本発明の組成物を基板に塗布し、光または熱の作用で硬化させることにより得ることができる。本発明の硬化膜は、上記基板全面に形成されていてもよいし、上記基板の一部に形成されていてもよい(すなわち硬化パターン)。上記基板の一部に硬化膜を形成する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、本発明の組成物を基板に塗布し、必要に応じて乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。
基板全面に硬化膜を形成する方法としては、本発明の組成物を基板に塗布し、必要に応じて乾燥させて組成物層を形成し、該組成物層を加熱および/または該組成物層全面に露光する方法が挙げられる。
【0117】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、上記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの等が挙げられる。
【0118】
フォトリソグラフ法による硬化パターンの形成は、公知または慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、硬化性組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)および/または減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して、組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間~60分間であることが好ましく、30秒間~30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50~150Paの圧力下、20~25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とする硬化パターンの膜厚に応じて適宜選択すればよく、例えば0.5μm以上20μm以下であってよく、好ましくは3μm以上18μm以下、より好ましくは5μm以上16μm以下である。
【0119】
次に、組成物層は、目的の硬化パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されない。
露光に用いられる光源としては、250~450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、該波長の光から、重合開始剤の吸収波長に応じて、436nm付近、408nm付近、または365nm付近の光を、バンドパスフィルタにより選択的に取り出してもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができたりするため、マスクアライナおよびステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。露光された組成物層は、該組成物層に含まれる重合性化合物等が重合することにより硬化する。
【0120】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去されて、硬化パターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤が挙げられる。アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。有機溶剤としては、上述の溶剤(G)と同様のものが挙げられる。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法およびスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0121】
現像により得られた硬化パターンに、さらに加熱(ポストベーク)を行うことが好ましい。加熱温度は、150~250℃が好ましく、160~235℃がより好ましい。加熱時間は、1~120分間が好ましく、10~60分間がより好ましい。現像後に加熱を行うことにより、硬化パターンに含まれる未反応の重合性化合物等の重合を進行させることができるため、より耐薬品性に優れた硬化パターンを得ることができる。
【0122】
紫外光または可視光を硬化膜に対して照射することにより、本発明の硬化膜は、照射光とは異なる波長の光を発光することができる。本発明の硬化膜を形成する際に用いる組成物において量子ドットの成分や粒子径を選択することによって、発光する光の波長を選択することができる。
本発明の硬化膜は、上述のように照射光の波長を変換する機能を有するため、表示装置の色変換層として利用可能である。このような表示装置としては、例えば、特開2006-309219号公報、特開2006-310303号公報、特開2013-15812号公報、特開2009-251129号公報、特開2014-2363号公報等に記載される表示装置が挙げられる。
【0123】
本発明の組成物は、厚膜でも現像速度が速く、かつ発光強度の高い膜が得られる傾向にあるため、表示装置、特に、液晶表示装置の色変換層として有用である。
【0124】
<樹脂>
本発明の別の要旨は、スルフィド基と、カルボキシ基と、不飽和二重結合とを有する樹脂(以下、樹脂(I)ともいう)である。樹脂(I)は、上述の重合体(B1)であることができる。樹脂(I)を構成する単量体、構造単位、構造単位の割合、重量平均分子量、酸価、アクリル当量、分子鎖1本当たりの修飾量、及び製造方法について上述の重合体(B1)における説明が適用される。
【実施例
【0125】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」および「部」は、特記のない限り、質量%および質量部である。
【0126】
〔発光強度の測定〕
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、硬化性組成物(X)を、スピンコート法で膜厚が10μmになるように塗布した後、100℃で3分間プリベークして硬化性組成物層を形成した。この硬化性組成物層が形成された基板に対して、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、500mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で60分間ポストベークを行うことにより硬化膜を有する基板を得た。
485nmより長波長領域における発光強度を分光計(Ocean Optics社)を用いて測定した。
【0127】
〔耐溶剤性の評価〕
上記の発光強度の測定に用いたサンプルを有機溶剤(PGMEA)に30分間浸漬した後、上記発光強度の測定の手順に従い、発光強度を測定した。有機溶剤に浸漬する前の発光極度に対する浸漬後の発光強度の割合を求めた。
【0128】
〔現像残渣の評価〕
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、組成物を、スピンコート法で膜厚が10μmになるように塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成し、現像液(水酸化カリウム0.05%水溶液)に浸漬し、現像を行った。現像を行ったガラス基板表面を蛍光灯反射光により観察し、組成物層の残渣の有無の評価を行った。
【0129】
〔重量平均分子量〕
樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC法により、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim-pack GPC-80M
カラム温度;40℃
溶媒;テトラヒドロフラン
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、
F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
【0130】
〔酸価〕
樹脂溶液3gを精秤し、アセトン90gと水10gとの混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM-555)により、重合体溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから固形分1g当たりの酸価(AV)を求めた。
【0131】
〔固形分〕
重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、180℃で1時間乾燥した後、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
【0132】
製造例1:散乱剤(H-1)
酸化チタンナノ粒子70質量部に、DISPERBYK21116(ビックケミー・ジャパン製)を固形分で3質量部、PGMEAを全量が100質量部になるように加えた後、ペイントシェイカーで十分に分散するまで撹拌して、散乱剤(H-1)の分散液(固形分73%)を得た。
【0133】
実施例1:樹脂(B-1)
撹拌器、温度計付き還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を具備したフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)を110質量部投入した後、窒素置換しながら撹拌し、80℃に昇温した。ジシクロペンタニルメタクリレート10質量部、ベンジルメタクリレート45質量部、メタクリル酸45質量部、2,2’-アゾビス(2.4-ジメチルバレロニトリル)7質量部をPGMEA110質量部に溶解したものを、滴下ロートからフラスコ中に滴下した後、80℃で3h撹拌した。
次に、グリシジルメタクリレート15質量部、2、2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4質量部、トリエチルアミン0.8質量部をフラスコ内に投入して110℃まで昇温、8時間撹拌した後、室温まで冷却することで樹脂溶液を得た。この樹脂溶液100質量部に対し、メルカプトプロピオン酸0.4質量部を加え80℃で4時間撹拌することにより、樹脂(B-1)溶液を得た。樹脂(B-1)溶液中の固形分は40質量%であった。樹脂(B-1)は重量平均分子量、酸価、アクリル当量、修飾量を表3に示す。
【0134】
実施例2:樹脂(B-2)
実施例1においてメルカプトプロピオン酸0.4質量部を加えたことに代えてメルカプトプロピオン酸0.8質量部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂(B-2)溶液を得た。結果を表3に示す。
【0135】
実施例3:樹脂(B-3)
実施例1においてメルカプトプロピオン酸0.4質量部を加えたことに代えてメルカプトコハク酸0.6質量部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂(B-3)溶液を得た。結果を表3に示す。
【0136】
実施例4:樹脂(B-4)
撹拌器、温度計付き還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を具備したフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)を110質量部投入した後、窒素置換しながら撹拌し、80℃に昇温した。ジシクロペンタニルメタクリレート10質量部、ベンジルメタクリレート45質量部、メタクリル酸45質量部、2,2’-アゾビス(2.4-ジメチルバレロニトリル)12.5質量部をPGMEA110質量部に溶解したものを、滴下ロートからフラスコ中に滴下した後、80℃で3h撹拌した。
次に、グリシジルメタクリレート15質量部、2、2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4質量部、トリエチルアミン0.8質量部をフラスコ内に投入して110℃まで昇温、8時間撹拌した後、室温まで冷却することで固形分40%の樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液100質量部に対し、メルカプトプロピオン酸0.5質量部を加え80℃で4時間撹拌することにより、樹脂(B-4)溶液を得た。結果を表3に示す。
【0137】
比較例1:樹脂(B-5)
実施例1においてメルカプトプロピオン酸を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、樹脂(B-5)溶液を得た。結果を表3に示す。
【0138】
【表3】
【0139】
<実施例5~8、比較例2>
表4の各成分を混合し、実施例および比較例の組成物を調製した。得られた組成物について発光強度、耐溶剤性および現像性の評価を行った。結果を表5に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
配位子含有量子ドット(A-1):オレイン酸が配位したInP/ZnSeS量子ドットのトルエン分散液(固形分10%)
光重合性化合物(C-1):M-510(多塩基変性アクリレート、東亞合成社製)
光重合開始剤(D-1):OXE02(オキシム開始剤、BASF社製)
酸化防止剤(E-1):Sumilizer-GP(リン/フェノール複合型、酸化防止剤、住友化学社製)
レベリング剤(F-1):トーレシリコーンSH8400(シリコーン系レベリング剤、東レダウ社製)
溶剤(G-1):PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0142】
【表5】