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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20231221BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F25D25/00 F
F25D25/00 G
F16L59/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020009083
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021116945
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】小林 大謹
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194257(JP,A)
【文献】特開平09-324980(JP,A)
【文献】特開2008-145059(JP,A)
【文献】特開2001-174140(JP,A)
【文献】実開平06-085278(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F16L 59/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内に少なくとも一部が配置されている箱状の容器と、
を備え、
前記容器は、
可視光が透過可能な第1透明領域を有し、前記容器の外面を形成する外郭部材と、
前記外郭部材よりも内側に隙間を空けて配置され、少なくとも前記第1透明領域と対向する部位に可視光が透過可能な第2透明領域を有する内郭部材と、
透明な多孔体を含んでおり、前記外郭部材と前記内郭部材との間の前記隙間に配置された透明断熱材と、
を備え
前記容器は、厚さ方向に互いに対向する前記外郭部材および前記内郭部材が湾曲した角部を有し、
前記透明断熱材は、
前記角部における湾曲に沿って変形可能な可撓性を有する第1断熱材と、
前記第1断熱材よりも可撓性が低い第2断熱材と、
を有し、
前記角部における前記隙間に、前記第1断熱材が配置されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記透明断熱材は、前記外郭部材および前記内郭部材よりも熱伝導率が低い、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記多孔体は、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む乾燥ゲルを含む、
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記容器は、前記外郭部材が前記容器の内面を形成する単層部を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記透明断熱材の厚さ方向に交差する方向における前記透明断熱材の外周部に外力を吸収する緩衝材が配置されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記透明断熱材は、透明な補強材を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の貯蔵室に関し、温度変動を低減することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-138087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、貯蔵室の温度変動を低減することができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は冷蔵庫本体と容器とを持つ。冷蔵庫本体は貯蔵室を含む。容器は貯蔵室内に少なくとも一部が配置されている。容器は箱状である。容器は、外郭部材と、内郭部材と、透明断熱材と、を持つ。外郭部材は、可視光が透過可能な第1透明領域を持ち、容器の外面を形成する。内郭部材は、外郭部材よりも内側に隙間を空けて配置される。内郭部材は、少なくとも第1透明領域と対向する部位に可視光が透過可能な第2透明領域を持つ。透明断熱材は、透明な多孔体を含んでおり、外郭部材と内郭部材との間の隙間に配置されている。容器は、厚さ方向に互いに対向する外郭部材および内郭部材が湾曲した角部を有する。透明断熱材は、角部における湾曲に沿って変形可能な可撓性を有する第1断熱材と、第1断熱材よりも可撓性が低い第2断熱材と、を有し、角部における隙間に、第1断熱材が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の冷蔵庫を示す正面図。
図2図1におけるF2-F2線に沿う断面図。
図3】第1の実施形態における冷蔵室容器を示す斜視図。
図4図3におけるF4-F4線に沿う断面図。
図5図3におけるF5-F5線に沿う断面図。
図6図3におけるF6-F6線に沿う断面図。
図7】第1の実施形態における透明断熱材の例を示す斜視図。
図8】第1の実施形態における透明断熱材の例を模式的に示す部分断面図。
図9】第1の実施形態における透明断熱材の例を模式的に示す斜視の部分断面図。
図10】第1の実施形態における透明断熱材の例を示す斜視図。
図11】第1の実施形態における第1断熱材の例を示す斜視図。
図12】第2の実施形態の冷蔵庫における冷蔵室容器を示す断面図。
図13】第3の実施形態の冷蔵庫における容器を示す斜視図。
図14図13におけるF14-F14線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
本明細書では、特に断らない限り、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味している。
図中に矢線で示した、+X方向は右方向、-X方向は左方向、+Y方向は後方向、-Y方向は前方向、+Z方向は上方向、-Z方向は下方向である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1、2に示す第1の実施形態の冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。図2は、図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、例えば、筐体10(冷蔵庫本体)および複数の扉11を有する。
図2に示すように、冷蔵庫1は、内部に、複数の棚12、複数の容器13、流路形成部品14、第1冷却ユニット15、第2冷却ユニット16、圧縮機17、蒸発皿18、および回路基板19を有する。
【0009】
筐体10は、上壁21、下壁22、左側壁23(図1参照)、右側壁24(図1参照)、および後壁25を有する。
上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左側壁23および右側壁24は、下壁22の左端部および右端部からそれぞれ上方に起立している。左側壁23および右側壁24は、上壁21の左端部および右端部にそれぞれ繋がっている。後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がっている。
【0010】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室27が形成されている。複数の貯蔵室27は、例えば、冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C(図1参照)、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置され、冷蔵室27Aの下方に野菜室27Bが配置され、野菜室27Bの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置されている。ただし、貯蔵室27の配置は、上記例に限定されず、例えば野菜室27Bと主冷凍室27Eの配置が逆でもよい。筐体10は、各貯蔵室27の前面側に(図2の図示左側)、各貯蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0011】
筐体10は、第1仕切部28および第2仕切部29を有する。第1仕切部28および第2仕切部29は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間を仕切っている。例えば、第1仕切部28は、冷蔵室27Aの底壁を形成するとともに、野菜室27Bの天井壁を形成している。一方で、第2仕切部29は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置し、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間を仕切っている。例えば、第2仕切部29は、野菜室27Bの底壁を形成するとともに、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの天井壁を形成している。
【0012】
複数の貯蔵室27の開口は、複数の扉11によって開閉可能に閉じられている。図1に示すように、複数の扉11は、例えば、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eを含む。野菜室扉11Bは、野菜室27Bの開口を閉じる。製氷室扉11Cは、製氷室27Cの開口を閉じる。小冷凍室扉11Dは、小冷凍室27Dの開口を閉じる。主冷凍室扉11Eは、主冷凍室27Eの開口を閉じる。
【0013】
図1に示すように、左右に隣り合って設けられた左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abは、例えば、観音開き式の扉である。左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abはそれぞれ、図示略のヒンジによって筐体10に回動可能に支持されている。
左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abの少なくとも一方の表面には、例えば、操作パネルなどの操作部が設けられてもよい。
【0014】
野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、例えば、引き出し式の扉である。野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、筐体10との間に設けられた図示略のレールによって筐体10に対して引き出し可能に支持されている。
【0015】
図2に示すように、複数の棚12は、冷蔵室27Aに設けられている。
複数の容器13は、冷蔵室容器13A、第1野菜室容器13Ba、第2野菜室容器13Bb、製氷室容器13C、小冷凍室容器13D、第1主冷凍室容器13Ea、第2主冷凍室容器13Eb、および扉容器13Fa、13Fb、13Fcを含む。
冷蔵室容器13Aは、冷蔵室27Aに設けられており、例えばチルド室容器である。冷蔵室容器13Aは、上方に開口した箱型である。冷蔵室容器13Aの上方には、冷蔵室容器13Aの開口部を覆う仕切り板13Aaが配置されている。冷蔵室容器13Aは、仕切り板13Aaと、第1仕切部28との間のスペースにおいて前後方向に移動可能に収容されている。冷蔵室容器13Aの詳細構成は後述する。
第1野菜室容器13Baおよび第2野菜室容器13Bbは野菜室27Bに設けられている。製氷室容器(不図示)は製氷室27Cに設けられている。小冷凍室容器13Dは小冷凍室27Dに設けられている。第1主冷凍室容器13Eaおよび第2主冷凍室容器13Ebは主冷凍室27Eに設けられている。
扉容器13Fa、13Fb、13Fcは、右冷蔵室扉11Abの後側に着脱可能に取り付けられている。扉容器13Fa、13Fb、13Fcは、上側から下側に向かって、この順に配置されている。扉容器13Fa、13Fb、13Fcの形状は、いずれも上方に開口した箱型である。
【0016】
流路形成部品14は、筐体10内に配置されている。流路形成部品14は、第1ダクト部品31、第2ダクト部品32、および戻り流路カバー33を含む。
【0017】
第1ダクト部品31は、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品31は、例えば、野菜室27Bの下端部の後方から冷蔵室27Aの上端部の後方まで延びている。第1ダクト部品31と筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第1ダクト空間D1が形成されている。第1ダクト部品31は、複数の冷気吹出口31aと、冷気戻り口31bとを有する。複数の冷気吹出口31aは、冷蔵室27Aにおいて複数の高さ位置に分かれて設けられている。冷気戻り口31bは、第1ダクト部品31の下端部に設けられ、野菜室27Bの後方に位置する。
【0018】
第2ダクト部品32は、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品32は、例えば、主冷凍室27Eの後方から製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの上端部の後方まで延びている。第2ダクト部品32と筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第2ダクト空間D2が形成されている。第2ダクト部品32は、冷気吹出口32aと、冷気戻り口32bとを有する。冷気吹出口32aは、第2ダクト部品32の上端部に設けられ、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの後方に位置する。冷気戻り口32bは、第2ダクト部品32の下端部に設けられ、主冷凍室27Eの後方に位置する。
【0019】
戻り流路カバー33は、例えば主冷凍室27Eに配置されている。戻り流路カバー33は、筐体10内の後部に設けられている。戻り流路カバー33は、冷蔵庫1の上下方向において、第2ダクト部品32の冷気吹出口32aと冷気戻り口32bとの間の高さに位置した壁部33aを含む。戻り流路カバー33は、主冷凍室27Eの後方において筐体10内の後部を冷気流路f1と戻り流路f2とに分けている。
冷気流路f1は、筐体10の後部において第2ダクト部品32の冷気吹出口32aと連通している。冷気流路f1は、後述する第2冷却器46により冷却されて冷気吹出口32aから吹き出された冷気が通る流路である。例えば、冷気流路f1は、冷気吹出口32aから主冷凍室27Eに向けて冷気が通る流路である。
戻り流路f2は、筐体10の後部において第2ダクト部品32の冷気戻り口32bと連通している。戻り流路f2は、製氷室27C、小冷凍室27D、主冷凍室27Eのうち1つ以上を通過した冷気が第2冷却器46に向けて戻る流路である。戻り流路f2の少なくとも一部は、冷気流路f1の下方に位置する。
戻り流路カバー33において、冷気流路f1に面する第1面側と戻り流路f2に面する第2面側とでは、互いに反対方向に向けて冷気が流れる。
【0020】
第1冷却ユニット15は、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bを冷却する冷却ユニットである。第1冷却ユニット15は、例えば、第1冷却器41、第1除霜水受け42、および第1ファン43を含む。
【0021】
第1冷却器41は、第1ダクト空間D1に配置されている。第1冷却器41は、例えば、冷蔵室27Aの下端部に対応する高さに配置されている。第1冷却器41には、後述する圧縮機17により圧縮された冷媒が供給される。第1冷却器41は、第1ダクト空間D1を流れる冷気を冷却する。
【0022】
第1除霜水受け42は、第1ダクト空間D1に配置され、第1冷却器41の下方に設けられている。第1除霜水受け42は、第1冷却器41で生じた除霜水(第1冷却器41から滴下する除霜水)を受ける。第1除霜水受け42に受け止められた除霜水は、筐体10の後壁25に設けられた排水管部44を経由して蒸発皿18に導かれる。
【0023】
第1ファン43は、例えば、第1ダクト部品31の冷気戻り口31bに設けられている。第1ファン43が駆動されると、野菜室27Bの空気が冷気戻り口31bから第1ダクト空間D1内に流入する。第1ダクト空間D1内に流入した空気は、第1ダクト空間D1内を上方に向けて流れ、第1冷却器41によって冷却される。第1冷却器41によって冷却された冷気は、複数の冷気吹出口31aから冷蔵室27Aに吹き出される。冷蔵室27Aに吹き出された冷気は、冷蔵室27Aを流れた後、野菜室27Bを経由して、再び冷気戻り口31bに戻る。これにより、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bを流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bの冷却が行われる。
【0024】
第2冷却ユニット16は、製氷室27C、小冷凍室27D、および野菜室27Bを冷却する冷却ユニットである。第2冷却ユニット16は、例えば、第2冷却器46、第2除霜水受け47、および第2ファン48を含む。
【0025】
第2冷却器46は、第2ダクト空間D2に配置されている。第2冷却器46は、例えば、小冷凍室27Dに対応する高さに配置されている。第2冷却器46には、後述する圧縮機17により圧縮された冷媒が供給される。第2冷却器46は、第2ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。
【0026】
第2除霜水受け47は、第2ダクト空間D2に配置され、第2冷却器46の下方に設けられている。第2除霜水受け47は、第2冷却器46で生じた除霜水(第2冷却器46から滴下する除霜水)を受ける。第2除霜水受け47に受け止められた除霜水は、筐体10の後壁25に設けられた排水管部44を経由して蒸発皿18に導かれる。
【0027】
第2ファン48は、例えば、第2ダクト部品32の冷気戻り口32bに設けられている。第2ファン48が駆動されると、主冷凍室27Eの空気が冷気戻り口32bから第2ダクト空間D2内に流入する。第2ダクト空間D2内に流入した空気は、第2ダクト空間D2内を上方に向けて流れ、第2冷却器46によって冷却される。第2冷却器46によって冷却された冷気は、冷気吹出口32aから製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに流入する。製氷室27Cおよび小冷凍室27Dに流入した冷気は、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dを流れた後、主冷凍室27Eを経由して、再び冷気戻り口32bに戻る。これにより、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27E内流れる冷気が冷蔵庫1内で循環され、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの冷却が行われる。
【0028】
圧縮機17は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮機17は、貯蔵室27の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機17により圧縮された冷媒ガスは、図示略の放熱パイプなどを経由して、第1冷却器41および第2冷却器46に送られる。
【0029】
蒸発皿18は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。蒸発皿18は、例えば圧縮機17が発する熱によって加熱され、第1除霜水受け42および第2除霜水受け47から蒸発皿18に導かれた除霜水を蒸発させる。
【0030】
回路基板19は、電源回路基板と、制御回路基板と、を含む。
電源回路基板は、外部電源である商用電源(交流100V)に電気的に接続される。電源回路基板は、商用電源から供給された電力を、冷蔵庫1に含まれる各電気部品の駆動に適した電圧の直流電力に変換する。電源回路基板は、変換した直流電力を冷蔵庫1の各電気部品に供給する。電源回路基板は、冷蔵庫1のなかでも発熱量が大きな発熱部品の一例である。
制御回路基板は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。制御回路基板は、電源回路基板および冷蔵庫1内の各電気部品と図示略の配線を介して電気的に接続されている。
例えば、制御回路基板は、冷蔵室27Aおよび主冷凍室27Eなどに設けられた温度センサの検出結果に基づき、第1ファン43、第2ファン48、および圧縮機17の駆動を制御する。
例えば、制御回路基板は、例えば、右冷蔵室扉11Abに設けられた操作部などを通した操作入力に応じて冷蔵庫1の動作を制御する。
【0031】
回路基板19は、例えば、筐体10の上壁21に設けられている。本実施形態では、筐体10の上壁21の上面は、下方に向けて窪んだ凹部84を有する。回路基板19は、凹部84に配置されている。
凹部84上には、回路収容部品85と、カバー86とが配置されている。
回路収容部品85は、凹部84に沿う椀状に形成されている。回路収容部品85は、不図示の締結部材によって外箱52に固定されている。
カバー86は、回路収容部品85に収容された回路基板19を上方から覆う。
【0032】
次に、筐体10の詳細構成について説明する。
図2に示すように、筐体10は、例えば、内箱51、外箱52、および断熱部53を有する。
【0033】
内箱51は、筐体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。内箱51は、筐体10の内面の全部を形成してもよく、一部のみを形成してもよい。内箱51は、貯蔵室27(冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27E)に露出する部材である。
【0034】
外箱52は、筐体10の外面を形成する部材であり、例えば金属製である。外箱52は、筐体10の外面の全部を形成してもよく、一部のみを形成してもよい。外箱52は、内箱51よりも一回り大きく形成されており、内箱51の外側に配置されている。外箱52は、冷蔵庫1の外部に露出する部材である。内箱51と外箱52との間には、後述する断熱部53が設けられる空間が存在する。
【0035】
断熱部53は、内箱51と外箱52との間に設けられ、筐体10の断熱性を高めている。断熱部53の構成は特に限定されない。
例えば、断熱部53は、真空断熱材(VIP:Vacuum Insulation Panel)61、発泡断熱材62、およびシート状断熱材63を含んでいる。
【0036】
真空断熱材61は、例えば、外装体と、外装体に収容された芯材とを含み、外装体の内部が減圧された断熱材である。芯材は、例えば、グラスウールのような繊維素材、または発泡体のような多孔質体である。
【0037】
発泡断熱材62は、例えば、発泡ウレタンのような発泡状の断熱材である。発泡断熱材62は、流動性を有する状態で内箱51と外箱52との間に注入され、内箱51と外箱52との間に注入された後に発泡することで形成されている。
【0038】
シート状断熱材63は、微細な多孔体で形成された乾燥ゲルを含み、シート状に形成された断熱材である。本実施形態では、左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abに用いられる後述の透明断熱材73と同様な材料で形成される。ただし、シート状断熱材63は透明でなくてもよい。
シート状断熱材63は後述するように特に断熱性に優れるので、真空断熱材61および発泡断熱材62よりも薄い層厚でも、真空断熱材61および発泡断熱材62と同様の断熱性能を有する。
【0039】
次に、真空断熱材61、発泡断熱材62、および複数のシート状断熱材63の配置について、上壁21の例で説明する。ただし、以下に説明する上壁21の構成は、筐体10のいずれの壁部に適用されてもよい。すなわち、上壁21の構成は、第1仕切部28、第2仕切部29、下壁22、左側壁23、右側壁24、および後壁25に適用されてもよい。
【0040】
上壁21の上下方向における外形は、内箱51の上面部51aと外箱52の上面部52aとによって形成されている。
上壁21の前面を形成する前面部51bは、冷蔵室27Aの開口を囲む筐体10の前面の一部を構成している。
内箱51の上面部51aは、上壁21の-Y方向の端部において+Z方向に延びる前面部51bの下端から、全体として+Y方向に延びている。ただし、上面部51aは、奥行方向の中間部において段状に屈曲している。このため、上面部51aは、-Y方向の端部から、第1内壁部51a1、傾斜内壁部51a2、および第2内壁部51a3がこの順に連なっている。傾斜内壁部51a2は、第1内壁部51a1の+Y方向の端部から+Y方向に進むにつれて下方に傾斜している。第2内壁部51a3は、傾斜内壁部51a2の+Y方向の端部から水平に延びている。
【0041】
外箱52bの上面部52aは、前面部51bの上端から、全体として+Y方向に延びている。ただし、上面部52aは、奥行方向において傾斜内壁部51a2よりも+Y方向寄りの中間部において段状に屈曲している。このため、上面部52aは、-Y方向の端部から、第1外壁部52a1、傾斜外壁部52a2、および第2外壁部52a3がこの順に連なっている。
第1外壁部52a1の+Y方向の端部は、傾斜内壁部51a2よりもさらに+Y方向に延びている。このため、上から見ると第1外壁部52a1は、第1内壁部51a1、傾斜内壁部51a2、および第2内壁部51a3の一部を覆っている。
傾斜外壁部52a2は、傾斜内壁部51a2と同様の傾斜および奥行方向の幅を有する。第2外壁部52a3は、傾斜外壁部52a2の+Y方向の端部から水平に延びている。
このような構成により、上面部52aの傾斜外壁部52a2および第2外壁部52a3は、第1外壁部52a1よりも低くなっている。傾斜外壁部52a2および第2外壁部52a3上には上述した凹部84が形成されている。
【0042】
真空断熱材61、発泡断熱材62、およびシート状断熱材63は、いずれも内箱51の上面部51aと、外箱52の上面部52aとの間に配置されている。
図2に示す例では、真空断熱材61は、第1外壁部52a1の下面に沿って配置されている。真空断熱材61の第1外壁部52aへの固定方法は特に限定されない。例えば、真空断熱材61は、接着剤または接着テープを含む接着層によって第1外壁部52a1の下面に固定されてもよい。例えば、真空断熱材61は、不図示の締結部材または支持構造によって第1外壁部52a1に固定されてもよい。
【0043】
図2に示す例では、シート状断熱材63の少なくとも一部は、真空断熱材61と内箱51の上面部51aとの間に配置されている。シート状断熱材63は、上面部51aの上面と、上面部52aにおける傾斜外壁部52a2および第2外壁部52a3の各下面と、に沿って配置されている。シート状断熱材63は、例えば接着剤または接着テープを含む接着層によって上面部51aの上面と、傾斜外壁部52a2、および第2外壁部52a3の下面と、に固定されてもよい。
このようにシート状断熱材63は、例えば、段差等の屈曲部を有する壁面形状に沿って配置されている。
【0044】
上壁21において発泡断熱材62は、上壁21の内部空間における真空断熱材61およびシート状断熱材63を除く空間に充填されている。例えば、発泡断熱材62の少なくとも一部は、真空断熱材61とシート状断熱材63との間に充填されている。真空断熱材61が配置されていない領域では、発泡断熱材62は、互いに対向するシート状断熱材63の間、または上面部52aの下面とシート状断熱材63との間、に充填されている。
【0045】
以上、上壁21の内部に真空断熱材61、発泡断熱材62、およびシート状断熱材63が配置された例で説明した。ただし、上壁21に必要な断熱性能が得られれば、真空断熱材61、発泡断熱材62、およびシート状断熱材63のうちのいずれか1つまたは2つは配置されなくてもよい。
【0046】
シート状断熱材63は、断熱性能を有することが好ましい適宜の部材に取り付けられてもよい。例えば、シート状断熱材63は、流路形成部品14の一部に用いられてもよい。図2に示す例では、例えば、第1ダクト部品31において第1ダクト空間D1に面する表面、戻り流路カバー33において冷気流路f1に面する表面、第1除霜水受け42の下面、および第2除霜水受け47の下面などに配置されている。この場合、シート状断熱材63は、例えば接着剤または接着テープを含む接着層を含むによって各表面に固定されてもよい。
【0047】
次に、冷蔵室容器13Aの詳細構成を説明する。冷蔵室容器13Aは、その全体が冷蔵室27A内に収容される容器の例である。
図3は、第1の実施形態における冷蔵室容器を示す斜視図である。
以下の説明では、特に断らない限り、冷蔵室容器13Aが冷蔵室27Aに配置された姿勢における位置関係について説明する。
【0048】
図3に示すように、冷蔵室容器13Aは、第1底板部13a、第2底板部13b、右側板部13d、左側板部13e、前側板部13c、後側板部13f、および取っ手部13gを有する。
第1底板部13aは水平方向に延びる平板である。第1底板部13aの平面視(-Z方向視)の形状は略矩形状である。
第2底板部13bは、第1底板部13aにおける+Y方向の端部から+Y方向に進むにつれて+Z方向に向かう斜め方向に延びる平板である。第2底板部13bは、平面視の形状は略矩形状である。
【0049】
以下では、互いに接続された屈曲板である第1底板部13aおよび第2底板部13bをまとめて、底板部13abと称する場合がある。
底板部13abの平面視の外形は、略矩形状である。ここで、「底板部13abの平面視形状が略矩形状である」とは、例えば、底板部13abの平面視外形が、4辺が直線からなる厳密な矩形であってもよいし、厳密な矩形に類似する形状であってもよいことを意味する。例えば、厳密な矩形に類似する形状としては、厳密な矩形の4つの角の少なくとも1つが外側に凸の円弧状に丸められた形状と、厳密な矩形の4辺の少なくとも1辺が外方または内方に湾曲した形状と、これらの形状の組合せと、が含まれる。
以下では、底板部13abの外周部が、厳密な矩形の4つの角が平面視外側に凸の円弧状に丸められた形状を有する例で説明する。
【0050】
右側板部13dは、第1底板部13aおよび第2底板部13bにおける+X方向の端部から上方に延びている。
左側板部13eは、第1底板部13aおよび第2底板部13bにおける-X方向の端部から上方に延びている。例えば、左側板部13eの上端は、右側板部13dの上端と同一の水平面上に位置している。
前側板部13cは、第1底板部13aにおける-Y方向の端部から上方に延びている。
後側板部13fは、第2底板部13bにおける+Y方向の端部から上方に延びている。
前側板部13cおよび後側板部13fの各上端は、右側板部13dの上端と同一の水平面上に位置している。
【0051】
右側板部13d、前側板部13c、右側板部13d、および後側板部13fは、第1底板部13aおよび第2底板部13bの外周部の周方向に隣り合う位置で互いに接続している。このため、右側板部13d、前側板部13c、右側板部13d、および後側板部13fは、底板部13abの丸められた外周部から延びる部位では、外周部と同様に湾曲している。右側板部13d、前側板部13c、右側板部13d、および後側板部13fは、底板部13abの直線状の外周部から延びる部位では、平板である。
例えば、前側板部13cにおける+X方向の端部と右側板部13dにおける-Y方向の端部とは、平面視で円弧状に湾曲して接続し、上下方向に延びる角部C1を形成している。同様にして、右側板部13dにおける+Y方向の端部と後側板部13fにおける+X方向の端部とは、上下方向に延びる角部C2を形成している。後側板部13fにおける-X方向の端部と左側板部13eにおける-Y方向の端部とは、上下方向に延びる角部C3を形成している。左側板部13eにおける-Y方向の端部と前側板部13cにおける-X方向の端部とは、上下方向に延びる角部C4を形成している。
【0052】
取っ手部13gは、冷蔵室容器13Aを奥行方向に移動する際にユーザが手に持つことができるように設けられている。取っ手部13gの形状は、冷蔵室容器13Aを冷蔵室27Aに出し入れする際に、ユーザが手を掛けることができれば特に限定されない。
図3に示す例では、取っ手部13gは、前側板部13cの上端部から、―Y方向に突出して形成されている。例えば、取っ手部13gは、天板13gd、前側板13ga、右側板13gb、および左側板13gcを有する。
天板13gdは、前側板部13cの上端部から-Y方向に延びている。図3に示す例では、天板13gdの上面は前側板部13cの上端と同じ高さに配置されている。
前側板13gaは、天板13gdの-Y方向の端部から下方に延びている。
右側板13gbは、前側板13gaおよび天板13gdの+X方向の端部を塞いでいる。右側板13gbは、右側板部13dに平行な平板状である。
左側板13gcは、前側板13gaおよび天板13gdの-X方向の端部を塞いでいる。左側板13gcは、左側板部13eに平行な平板状である。
このような構成により、前側板部13cと前側板13gaとの間に下方に開口する溝部13hが形成されている。
【0053】
取っ手部13gの各部の大きさは、溝部13hに少なくともユーザの指の先端部が挿入できれば、特に限定されない。例えば、図3に示す例では、溝部13hの深さは、冷蔵室容器13Aの高さの約四分の一程度である。例えば、奥行方向における溝部13hの幅は、2cmから4cm程度である。
【0054】
次に、冷蔵室容器13Aの断面構成を説明する。
図4は、図3におけるF4-F4線に沿う断面図である。図5は、図3におけるF5-F5線に沿う断面図である。図6は、図3におけるF6-F6線に沿う断面図である。
【0055】
図4~6に示すように、冷蔵室容器13Aは、容器本体71、透明断熱材74A(第2断熱材、図4参照)、緩衝材75a、75b、透明断熱材74B(第2断熱材、図5参照。)、透明断熱材73(第1断熱材、図3参照)、および蓋材72を有する。
【0056】
容器本体71は、冷蔵室容器13Aの外形を形成する。容器本体71は、上述の取っ手部13gの他に、外郭部材71Aと、内郭部材71Bと、を有する。
【0057】
外郭部材71Aは、冷蔵室容器13Aの外面Soを形成する。外郭部材71Aは、冷蔵室容器13Aの下面を形成する下面部71Ab(単層部)と、冷蔵室容器13Aの外側面を形成する側面部71Aaと、を有する。
下面部71Abは、底板部13abを形成する1枚の板部材である。このため、下面部71Abは、底板部13abの外面Soおよび内面Siを形成している。
側面部71Aaは、下面部71Abの外周部から上方に延びる板部材である。側面部71Aaの板厚は、前側板部13c、右側板部13d、左側板部13e、および後側板部13fの厚さよりも薄く、それぞれにおける外面Soを形成している。
【0058】
外郭部材71Aは、少なくとも一部に、可視光が厚さ方向に透過可能な第1透明領域T1を有する。第1透明領域T1は、ユーザが外郭部材71Aを通して、冷蔵室容器13A内の収容物が見える程度の光透過性を有していればよい。例えば、第1透明領域T1には、ユーザの視認性が低くなりすぎない程度の模様、例えば、ドットパターンなどが形成されていてもよい。
第1透明領域T1は、冷蔵室容器13A内の収容物を外側から観察できるように、少なくとも、外郭部材71Aの側面部71Aaに形成されている。図4、5に示す例では、側面部71Aa全体が第1透明領域T1を有する。
ただし、第1透明領域T1は、側面部71Aaにおいてユーザが冷蔵庫1の前側から観察しやすい部位に設けられていればよい。例えば、第1透明領域T1は、前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eにおける下面部71Abの少なくとも一部に形成されていてもよい。例えば、第1透明領域T1は、前側板部13cの下部、右側板部13dおよび左側板部13eの後部などには設けられていなくてもよい。
例えば、第1透明領域T1は、下面部71Abにも設けられていてもよい。図4、5に示す例では、下面部71Ab全体が第1透明領域T1を形成している。
【0059】
内郭部材71Bは、外郭部材71Aよりも冷蔵室容器13Aの内側に間を空けて配置されている。内郭部材71Bは、外郭部材71Aの下面部71Abから上方に延びる板部材である。
内郭部材71Bは、水平方向において、前側板部13c、右側板部13d、左側板部13e、および後側板部13fにおける各下面部71Abと対向して配置されている。これにより、内郭部材71Bの側面部71Aaと内郭部材71Bとの間には、隙間Eが形成されている。
水平方向における隙間Eの大きさは、周方向および高さ方向において変化していてもよい。だだし、図4、5に示す例では、隙間Eの大きさは、周方向および高さ方向において略一定である。このため、図6に示すように、内郭部材71Bは、側面部71Aaの内側に、下面部71Abの内面に沿う形状に配置されている。例えば、角部C1、C2、C3、C4では、これらの外面Soの湾曲に沿って湾曲している。
このように、隙間Eは、底板部13abにおける平面視の外周部に沿う略矩形状の環状溝を形成している。
【0060】
内郭部材71Bは、冷蔵室容器13Aの内面Siを形成していなくてもよい。ただし、本実施形態では、内郭部材71Bは、冷蔵室容器13Aにおける水平方向の内面Siを形成している。
内郭部材71Bは、少なくとも第1透明領域T1と対向する部位に、可視光が透過可能な第2透明領域T2を有する。
第2透明領域T2は、ユーザが内郭部材71Bを通して、冷蔵室容器13A内の収容物が見える程度の光透過性を有していればよい。すなわち、第1透明領域T1の光透過性は、第1透明領域T1と同様である。図4、5に示す例では、内郭部材71B全体が第2透明領域T2を形成している。
【0061】
容器本体71の材料は、少なくとも第1透明領域T1および第2透明領域T2が可視光を透過できれば、特に限定されない。例えば、容器本体71の材料としては、少なくとも第1透明領域T1および第2透明領域T2の部位は、ガラス、樹脂、またはその複合体が用いられる。容器本体71において、第1透明領域T1および第2透明領域T2の部位は、ガラス、樹脂、金属、またはその複合体が用いられてもよい。
ガラスおよび樹脂の種類は特に限定されない。
例えば、ガラスが使用される場合、フロートガラス、強化ガラス、合わせガラスなどが用いられてもよい。強化ガラスは、風冷強化ガラスでもよいし、化学強化ガラスでもよい。容器本体71の材料としてガラスが使用される場合、樹脂に比べると、傷つきにくい、透過率が高い、劣化しにくい、といった利点がある。
例えば、樹脂が使用される場合、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂などが用いられてもよい。例えば、容器本体71の材料として樹脂が使用される場合、ガラスに比べると、軽い、安価、成形が容易、熱伝導率が低いといった利点がある。
【0062】
容器本体71において第1透明領域T1および第2透明領域T2を除く部位は、可視光を十分透過できない材料が用いられたり、可視光が十分に透過できない表面加工が施されたりしてもよい。例えば、容器本体71として透明材料が用いられる場合に、第1透明領域T1および第2透明領域T2を除く領域には、必要に応じて光透過性を低下させる凹凸形状、塗装層などが形成されてもよい。
図4~6に示す例では、容器本体71は、透明な樹脂材料の成形品によって製造されている。
【0063】
図4に示すように、透明断熱材74Aは、奥行方向において互いに対向する外郭部材71A(側面部71Aa)と内郭部材71Bとの間の隙間Eに配置されている。透明断熱材74Aは、奥行方向における隙間Eの全幅を埋めている。ただし、透明断熱材74Aの上端および下端には、後述する緩衝材75a、75bが配置されている。
透明断熱材74Aは、隙間Eに埋め込み可能であれば、例えば、粒状または塊状であってもよいし、隙間Eに挿入可能な板状でもよい。ただし、透明断熱材74Aとしては断熱性を高めるために空孔率が高い材料が用いられる。このため、透明断熱材74Aが粒状または塊状の場合、充填時に受ける外力によって、個々の粒状体または塊状体がつぶれたり、破砕されたりする可能性がある。これに対して、透明断熱材74A全体が予め板状に形成されていると、破損が生じるとしても板の稜線、角部などの外周部に限られる。
このため、透明断熱材74Aを隙間Eへの埋め込む際に埋め込み時に透明断熱材74Bが損傷する可能性が低減される。これにより、透明断熱材74Aの隙間Eへの埋め込み作業が容易になる。
【0064】
図7は、第1の実施形態における透明断熱材の例を示す斜視図である。
図7に示す例では、透明断熱材74Aは、透明断熱材74Aが配置される隙間Eに挿入可能な板状の外形を有する。
例えば、透明断熱材74Aの厚さは、水平方向における外郭部材71Aと内郭部材71Bとの間の隙間Eの大きさよりもわずかに薄い。
例えば、透明断熱材74Aにおいて厚さ方向に交差する外形は、上面74Aa、第1側面74Ab、下面74Ac、および第2側面74Adで囲まれた矩形状である。
図6に示すように、透明断熱材74Aは、前側板部13cおよび後側板部13fの各隙間Eに配置されている。
前側板部13cにおける透明断熱材74Aは、平板状の側面部71Aaおよび内郭部材71Bの間に形成された隙間Ecに挿入されている。第1側面74Abと第2側面74Adとの距離は、隙間Ecを形成する側面部71Aaおよび内郭部材71Bの横幅方向(図示における上下方向)の長さに等しい。上面74Aaと下面74Acとの距離は、隙間Ecを形成する側面部71Aaおよび内郭部材71Bの上下方向(図示における紙面垂直方向)の長さに等しい。
後側板部13fにおける透明断熱材74Aは、平板状の側面部71Aaおよび内郭部材71Bの間に形成された隙間Efに挿入されている。後側板部13fにおける透明断熱材74Aの外形は、前側板部13cにおける透明断熱材74Aと同様、平板状の側面部71Aaおよび内郭部材71Bの間に形成された隙間Efの形状に合わされている。
すなわち、本実施形態では、図4に示すように、隙間Ecと隙間Efとの深さの相違に応じて、各透明断熱材74Aの上下方向の寸法のみが異なる。
【0065】
本実施形態における透明断熱材74Aは、例えば、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材G(以下では説明の便宜上、「特定断熱材G」と称する)で形成されている。
ここで「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む」とは、「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルのうち1つ以上を含む」の意味で用いている。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ、低密度構造体(乾燥ゲル)である。「エアロゲル」とは、例えば、ゲル中に含まれる溶媒を超臨界乾燥により気体に置換した多孔性物質(多孔体)である。「キセロゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を蒸発乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「クライオゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を凍結乾燥により気体に置換した多孔性物質である。
【0066】
なお、エアロゲルのなかには、例えば特定の元素を導入することで、超臨界乾燥を使わずに乾燥させることができるものも存在する。本明細書でいう「エアロゲル」とは、そのようなエアロゲルも含む。すなわち本明細書でいう「エアロゲル」とは、超臨界乾燥を用いて製造されたものに限定されず、「エアロゲル」として流通する各種素材を広く意味する。超臨界乾燥が不要なエアロゲルとしては、例えば、二酸化ケイ素の分子ネットワークにメチル基などの有機鎖が導入された有機-無機ハイブリッドエアロゲルが知られており、PMSQ(CHSiO1.5)エアロゲルなどがある。ただし、これらはあくまで例示である。
【0067】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、微細な空孔(空隙)を多数持ち、極めて高い空隙率(90%以上、好ましくは95%以上の空隙率)を持つ超低密度の乾燥多孔体である。上記乾燥多孔体の密度は、例えば150mg/cm以下である。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、例えば、二酸化ケイ素などが数珠状に結合された構造を持ち、ナノメータレベル(例えば100nm以下、好ましくは2nm~50nm)の空隙を多数持つ。このようにナノメータレベルの細孔と格子状構造を持つため、気体分子の平均自由行程を縮小することができ、常圧でも気体分子同士の熱伝導が非常に少なく、熱伝導率が非常に小さいものである。例えば、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、空気の平均自由行程より小さな微細な空隙を持つ。
【0068】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルとしては、ケイ素、アルミニウム、鉄、銅、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウム、イットリウムなどの金属酸化物からなる無機エアロゲル、無機キセロゲル、または無機クライオゲルでもよく、例えば二酸化ケイ素を含むシリカエアロゲル、シリカキセロゲル、またはシリカクライオゲルなどでもよい。例えば、シリカエアロゲル、シリカキセロゲル、およびシリカクライオゲルなどのシリカ系乾燥ゲルは、直径10nm~20nmのシリカ(SiO)微粒子が連なった構造で、数10nmの幅の細孔を持つ。シリカ系乾燥ゲルは、低密度のため固体部分の熱伝導が極めて小さいことに加え、細孔内部の空気の運動が制限されることから、非常に低い熱伝導率(0.012W/(m・K)~0.02W/(m・K))を示す。さらに、シリカ系乾燥ゲルは、シリカ微粒子や細孔が可視光の波長よりも小さく、可視光を散乱しないため、光透過性が高い。
例えば、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルを構成する素材は、カーボンなどでもよい。
【0069】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルにおいては、素材を選択することで、素材に応じた適宜の性質(例えば弾性、柔軟性等)を持たせることができる。例えば、ポリプロピレンなどの樹脂をエアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルの素材とすることで、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルに高い弾性または柔軟性を持たせることができる。
【0070】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ単体で特定断熱材Gを形成してもよい。
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ前駆体の状態において別の素材(例えば繊維構造物)が浸漬されることで複合体断熱材である特定断熱材Gを形成してもよい。この場合、繊維構造物は、乾燥ゲルを補強する補強材、または乾燥ゲルを支持する支持体として機能する。
図8はこのような複合体断熱材の構成を示す模式図である。図8に示す特定断熱材Gは、繊維構造物h1(補強材)の隙間に、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む乾燥ゲルgが形成されている。
繊維構造物h1としては、フレキシブルな複合体断熱材を得るためにフレキシブルな織布、編布、不織布などが用いられ、より好ましくはフェルトまたはブランケット(軟質の起毛素材)が用いられる。繊維構造物h1の材質としては、透明な繊維材料が用いられる。例えば、繊維構造物h1は、ポリエステル繊維などの有機繊維、ガラス繊維などの無機繊維、有機および無機の複合繊維などを用いることができる。
繊維構造物h1は、透明断熱材を補強する透明な補強材の一例である。
【0071】
上記繊維構造物は、例えば、天然高分子のキトサンであってもよい。この場合、特定断熱材Gは、疎水化された微細なキトサン繊維の三次元網目構造を含み、超高空隙率(体積の96~97%が空隙)を持つ。このような特定断熱材Gは、疎水化によって、親水性キトサンエアロゲルの均質なナノ構造を維持しつつ、多糖類のナノ繊維からなる材料の課題である耐湿性が高められ撥水性を持つ。
【0072】
乾燥ゲルgは、空孔率が高いので、外力に対して脆い。このため、上述のような繊維構造物h1からなる支持体によって、板状またはシート状に形成されることで、外力に対する強度が向上する。
透明断熱材74Aとして用いる特定断熱材Gは、外郭部材71Aおよび内郭部材71Bに挟まれているので、特定断熱材G単体での強度は、隙間Eへの挿入作業の際に受ける外力で破損しない程度であればよい。このため、特定断熱材Gにおける補強材は、繊維構造物h1のように密な構造を有しなくてもよい。
図9は、複合体断熱材の例を模式的に示す斜視の部分断面図である。図9に示すように、特定断熱材Gは、補強ネットh2と、乾燥ゲルgと、を含んでもよい。
補強ネットh2は、例えば、透明断熱材73の厚さよりも細い棒状体で形成された格子である。図9に示す例では、補強ネットh2は丸棒からなる矩形格子状に描かれているが、補強ネットh2の形状はこれには限定されない。例えば、補強ネットh2の格子形状は、六角格子状、網目状などでもよい。例えば、補強ネットh2の棒状体は、角棒状でもよいし、線状体でもよい。例えば、補強ネットh2は、透明な線状体で編まれた網状でもよい。例えば、補強ネットh2は貫通孔が多数形成されたシートでもよい。
【0073】
補強ネットh2の材料としては、可視光の透過率が高く、特定断熱材Gとの境界面が視認されにくい材料であれば特に限定されない。例えば、補強ネットh2の材料としては、透明樹脂、ガラスなどが用いられてもよい。
例えば、補強ネットh2の材料としては、乾燥ゲルgの素材と同じ材料が用いられてもよい。この場合、補強ネットh2と乾燥ゲルgとの屈折率差による境界の視認性が抑制される。
ただし、冷蔵庫1の内部が見にくくなりすぎなければ、補強ネットh2と乾燥ゲルgとは、互いの界面が見える程度の透過率差、または屈折率差を有していてもよい。この場合、補強ネットh2の形状に対応する模様が見えるので冷蔵室容器13Aの意匠性を向上できる。
さらに補強ネットh2が見える場合でも、補強ネットh2は、例えば、網目等の隙間が繊維構造物h1に比べると粗い。このため、補強ネットh2は繊維構造物h1よりも光透過性に優れるので、補強ネットh2を含む特定断熱材Gは、繊維構造物h1を含む特定断熱材Gよりも視認性が向上する。
補強ネットh2は、透明断熱材73の厚さ方向において1層配置されてもよいし、2層以上配置されてもよい。
補強ネットh2は、透明断熱材を補強する透明な補強材の一例である。
【0074】
特定断熱材Gは、例えば、シリカエアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルからなる群から選択される1以上の乾燥ゲルと、ポリプロピレン発泡体と、が複合化された断熱材であってもよい。
ポリプロピレン発泡体は、透明断熱材における透明な補強材の一例である。
【0075】
特定断熱材Gの熱伝導率は、真空断熱材61(一般的な真空断熱材の一例)の熱伝導率よりも高いが、発泡断熱材62(一般的な発泡断熱材の一例)の熱伝導率よりも低い。すなわち、特定断熱材Gの断熱性は、真空断熱材61の断熱性には及ばないが、発泡断熱材62の断熱性よりも優れている。特定断熱材Gの熱伝導率は、例えば、0.010W/(m・K)~0.015W/(m・K)である。真空断熱材61の熱伝導率は、例えば、0.003W/(m・K)~0.005W/(m・K)である。発泡断熱材62の熱伝導率は、例えば、0.020W/(m・K)~0.022W/(m・K)である。ただし、これら数値はあくまで例示である。
また、特定断熱材Gの熱伝導率を外郭部材71Aおよび内郭部材71Bに使用可能な材料と比較すると、例えば、ポリスチレンなどの樹脂材料は、0.10W/(m・K)~0.14W/(m・K)程度である。例えば、ガラスは、0.55W/(m・K)~0.75W/(m・K)程度である。このため、特定断熱材Gの熱伝導率は、外郭部材71Aおよび内郭部材71Bに好適な樹脂材料およびガラスの熱伝導率よりも低い。
【0076】
特定断熱材Gが柔軟性を有する場合、特定断熱材Gの柔軟性(曲げやすさ)は、例えば、真空断熱材61の柔軟性よりも高く、発泡断熱材62の柔軟性よりも高い。また、特定断熱材Gが弾性を有する場合、特定断熱材Gの弾性は、例えば、真空断熱材61の弾性(実質的に非弾性に近い)よりも高く、発泡断熱材62の弾性(実質的に非弾性に近い)よりも高い。
【0077】
以上説明した特定断熱材Gの構成は、いずれも上述したシート状断熱材63に適用できる。ただし、シート状断熱材63は透明でなくてもよいので、例えば、繊維構造物h1、補強ネットh2のような補強材が含まれる場合に、補強材は不透明であってもよい。
【0078】
上述したように、特定断熱材Gは、可視光を光透過性に優れる。このため、水平方向から見て第1透明領域T1を形成する外郭部材71Aと、第2透明領域T2を形成する内郭部材71Bとの間に配置されても、厚さ方向における光透過性を損なうことがない。
例えば、本実施形態では、側面部71Aa、透明断熱材74A、および内郭部材71Bは、三層構造の透明な前側板部13cおよび右側板部13dを形成している。
【0079】
次に、緩衝材75a、75bについて説明する。緩衝材75a、75bは、透明断熱材74Aの厚さ方向に交差する方向の外周部に作用する外力を吸収する。
図4に示すように、緩衝材75aは、外郭部材71Aと内郭部材71Bとの間で、透明断熱材74Aの上端を覆うように配置されている。緩衝材75bは、外郭部材71Aと内郭部材71Bとの間で、透明断熱材74Aの下端を覆うように配置されている。
緩衝材75a、75bは、透明断熱材74Aの上端および下端の長手方向に離間して配置されていてもよい。ただし、本実施形態では、透明断熱材74Aの上端および下端の全体を覆うように配置されている。
【0080】
緩衝材75a、75bの材料は、外力を吸収できれば、特に限定されない。例えば、緩衝材75a、75bの材料は、変形によって衝撃を吸収する材料であってもよい。例えば、緩衝材75a、75bの材料は、変形可能な発泡体、多孔質体、繊維構造物などであってよい。緩衝材75a、75bの変形は、弾性変形には限定されないが、隙間E内で、上下方向にがたつかない程度の反発力を有することが好ましい。
例えば、緩衝材75a、75bの材料の例としては、発泡エラストマー、エラストマー、発泡樹脂などが挙げられる。
緩衝材75a、75bは、熱伝導率が低い材料で形成されることがより好ましい。例えば、緩衝材75a、75bとして、発泡断熱材62と同様な断熱材が用いられてもよい。
【0081】
緩衝材75a、75bの材料は、透明であることがより好ましい。
ただし、緩衝材75a、75bは、+Y方向から見た透明断熱材74Aの面積が狭くなりすぎなければ、不透明な材料であってもよい。例えば、緩衝材75a、75bが不透明な材料からなりかつ前側板部13cおよび後側板部13fの側面部71Aaの一部に第1透明領域T1が形成されている場合、緩衝材75a、75bは、水平方向から見て、第1透明領域T1の外側に配置されることがより好ましい。
【0082】
緩衝材75a、75bの上下方向の厚さは、透明断熱材74Aに作用する外力を低減可能な適宜の厚さにすることができる。前側板部13cおよび後側板部13fの透明な領域を広くしてユーザが冷蔵室容器13Aの内部を見やすくできる点では、緩衝材75a、75bの上下方向の厚さは薄いほど好ましい。
緩衝材75a、75bの上下方向の厚さが薄くなるほど、前側板部13cおよび後側板部13fの隙間Eにおいて透明断熱材74Aが占める空間がより広くなる。このため、冷蔵室容器13Aの断熱性能が向上する。
【0083】
例えば、緩衝材75a、75bは、シート部材で形成されてもよい。
例えば、緩衝材75a、75bは、液状体を透明断熱材74Aの上下端または隙間Eの溝底部に塗布した後、固体化または発泡体化されてもよい。
【0084】
透明断熱材74Bは、横幅方向において互いに対向する外郭部材71A(側面部71Aa)と内郭部材71Bとの間の隙間Eに配置されている以外は、透明断熱材74Aと同様に形成された部材である。
図5、6に示すように、透明断熱材74Bは、右側板部13dおよび左側板部13eにおける隙間Ed、Eeにそれぞれ配置されている。ここで、隙間Ed、Eeは、それぞれ平板状の側面部71Aaおよび内郭部材71Bの間に形成された隙間Eである。
例えば、透明断熱材74Bが板状に形成されている場合、各透明断熱材74Bは、隙間Ed、Eeの形状に沿う外形を有する。
【0085】
図10は、第1の実施形態における透明断熱材の例を示す斜視図である。
図10に示すように、透明断熱材74Bが板状に形成されている場合、透明断熱材74Bの厚さ方向に交差する外形は、透明断熱材74Aの上面74Aa、第1側面74Ab、下面74Ac、および第2側面74Adに代えて、上面74Ba、第1側面74Bb、下面74Bc、および第2側面74Bdを有する。
上面74Baは、隙間Ed、Eeの奥行方向の長さに合わされている以外は上面74Baと同様である。
第1側面74Bbは、第1側面74Abと同様、上下方向に延びる平面である。
下面74Bcは、底板部13abが第1底板部13aと第2底板部13bとに屈曲していることに対応して、それぞれに平行な、第1下面74Bcaと第2下面74Bcbと、を有する。
第2側面74Bdは、第1側面74Baに平行な平面である。ただし、第2側面74Bdは、後側板部13fが前側板部13cよりも上下方向に短いことに対応して、第1側面74Baよりも上下方向に短い。
このように、板状の透明断熱材74Bは、厚さ方向に見て五角形状の外形を有する。
【0086】
図5に示すように、隙間Ed、Eeに配置された透明断熱材74Bの上端および下端にも、それぞれ上述と同様の緩衝材75a、75bが配置されている。例えば、緩衝材75bは、底板部13abの屈曲に沿う隙間Ed、Eeの底部に沿って配置されている。
透明断熱材74Bを覆う緩衝材75a、75bは、透明断熱材74Aを覆う緩衝材75a、75bと異なる部材であってもよいし、一続きの部材でもよい。
【0087】
図6に示すように、透明断熱材73は、隙間Eの周方向において互いに隣り合う透明断熱材74A、74Bの間の隙間Eにそれぞれ配置されている。透明断熱材73は、隙間Eにおける配置位置が異なる以外は、透明断熱材74Aと同様に形成された部材である。
透明断熱材73は、隙間Eのうち、少なくとも角部C1、C2、C3、C4における隙間E1、E2、E3、E4を含む隙間Eに配置されている。例えば、周方向において各透明断熱材73の端部は、隙間Ec、Ed、Ee、Efまで延びていてもよい。
以下では、各透明断熱材73がそれぞれ隙間E1、E2、E3、E4に配置されている例で説明する。
【0088】
例えば、透明断熱材73は、透明断熱材74A、74Bと同様、予め配置位置の隙間E1、E2、E3、E4の湾曲形状に応じた形状に形成されてもよい。この場合、例えば、上述した繊維構造物h1、補強ネットh2などの補強材を隙間E1、E2、E3、E4の湾曲形状に応じた形状に湾曲させてから、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルの前駆体に浸漬させて、複合体断熱材である特定断熱材Gを形成してもよい。
【0089】
ただし、透明断熱材73に用いる特定断熱材Gは、可撓性を有する特定断熱材Gを湾曲させることによって、隙間E1、E2、E3、E4に配置してもよい。
図11は、第1の実施形態における第1断熱材の例を示す斜視図である。
図11に示す透明断熱材73は、厚さ方向と交差する外周部に、上面73a、第1側面73b、下面73c、および第2側面73dを有する。透明断熱材73は、二点鎖線で示す平板状の状態から、第1側面73bと第2側面73dとの間で折り曲げて、隙間E1、E2、E3、E4に挿入することができる。
図11では、下面73cは、上面73aと平行に描かれているが、例えば、隙間E3、E4に配置される透明断熱材73では、下面73cは、第2底板部13bの傾斜に沿う傾斜面とされる。
透明断熱材73に用いる、可撓性を有する特定断熱材Gとしては、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂をエアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルの素材とすることで、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルに高い弾性または柔軟性を持たせた特定断熱材Gが挙げられる。
【0090】
図6に示す例では、透明断熱材73は、周方向に隣り合う透明断熱材74A、74Bとの間にほぼ隙間なく配置されている。
透明断熱材73と透明断熱材74A、74Bの両方が変形不能な特定断熱材Gで形成されている場合、透明断熱材73、74A、74Bの挿入時に互いに隣り合う端面同士がこすれて削れたり、端面同士の間に隙間ができたりする可能性がある。
しかし、例えば、透明断熱材73が上述のような弾性を有する特定断熱材Gで形成されると、挿入時に透明断熱材73が周方向に変形できる。このため、透明断熱材74A、74Bの端面を損傷させることなく、透明断熱材73を透明断熱材74A、74Bに隣接することができる。弾性を有する透明断熱材73は、透明断熱材74A、74Bの側面に作用する外力を吸収する緩衝材としての機能も有する。
【0091】
図示は省略するが、透明断熱材73の上端および下端には、透明断熱材74A、74Bと同様、緩衝材75a、75bがそれぞれ配置されている。
透明断熱材73を覆う緩衝材75a、75bは、透明断熱材74Aを覆う緩衝材75a、75bと異なる部材であってもよいし、一続きの部材であってもよい。
図示は省略するが、透明断熱材73と透明断熱材74Aとの間、および透明断熱材73と透明断熱材74Bの間の少なくとも一方に、緩衝材75aと同様の材料からなる緩衝材が配置されてもよい。
【0092】
図4、5に示すように、蓋材72は、隙間Eの上端を塞ぐ部材である。蓋材72の構成は、透明断熱材73、74A、74Bを隙間E内に閉じ込めることができれば、特に限定されない。
図4、5に示す例では、蓋材72は、容器本体71の上端と緩衝材75aの上面とに接合された板状またはシート状の部材である。このような蓋材72は、例えば、接着剤、粘着剤などによって、容器本体71の上端と緩衝材75aの上面とに接合されていてもよい。
例えば、蓋材72の下面には、隙間Eの開口に嵌合する突起部が形成されてもよい。
例えば、蓋材72は、容器本体71の上端全体を覆う略矩形状の単一部材で構成されてもよいし、複数の部材で構成されてもよい。
蓋材72の材料としては、適宜の樹脂が挙げられる。蓋材72は透明材料で形成されてもよいし、着色されるなどした不透明な材料で形成されてもよい。
【0093】
以上説明した冷蔵室容器13Aによれば、前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eは、厚さ方向において外郭部材71Aと、透明断熱材73、74A、74Bのいずれかと、内郭部材71Bと、が積層した三層構造を有する。透明断熱材73、74A、74Bは、外郭部材71Aおよび内郭部材71Bよりも熱伝導率が低い特定断熱材Gからなるので、前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eは、高い断熱性能を有する。
すなわち、特定断熱材Gは、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む多孔体であるため、上述したように、例えば90%以上の空隙率を有する。これにより、真空断熱材61、発泡断熱材62などの断熱材に比べて熱伝導率が低くなる。この結果、前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eは高い断熱性を有するので、冷蔵庫1の断熱性が向上する。
これにより、前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eを通した熱伝導による熱の出入りが抑制されるので、冷蔵室容器13A内の温度変化が抑制される。この結果、冷蔵室容器13Aを含む冷蔵室27A内の温度変化も低減できる。
例えば、冷蔵室容器13Aの内部の冷却目標温度と、冷蔵室27Aにおける冷蔵室容器13Aの外部の冷却目標温度とに差がある場合に、それぞれの温度変化が低減される。
例えば、左冷蔵室扉11Aaまたは右冷蔵室扉11Abを開放した場合、冷蔵室容器13Aの内部に庫外の熱が伝わりにくいので、左冷蔵室扉11Aaまたは右冷蔵室扉11Abの開放による冷蔵室容器13A内の温度上昇が抑制される。このため、左冷蔵室扉11Aaまたは右冷蔵室扉11Abの開放時の冷蔵室容器13A内の温度変化が低減される。これにより、冷蔵室27A全体としての温度変化が低減される。
【0094】
さらに、透明断熱材73、74A、74Bは、厚さ方向において、互いに対向する外郭部材71Aの第1透明領域T1と、外郭部材71Aの第2透明領域T2との間に配置されている。このため、冷蔵室容器13Aの前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eの少なくとも一部には、水平方向から見て、収容物を視認できる透明な領域が形成されている。
この結果、ユーザは、冷蔵室容器13Aを冷蔵庫1の庫外に引き出さなくても、冷蔵室容器13Aの収容物を観察することができる。例えば、透明な領域が前側板部13cに形成されている場合、冷蔵室容器13Aを冷蔵室27Aの内部から引き出すことなく冷蔵室容器13Aの収容物を観察することができる。例えば、透明な領域が右側板部13dまたは左側板部13eに形成されている場合、冷蔵室容器13Aを透明な領域が見える位置まで引き出すことにより、冷蔵室27Aから完全に引き出さなくても冷蔵室容器13Aの収容物を観察することができる。
これにより、ユーザが、冷蔵室容器13Aを引き出す回数と、1回ごとの引き出し量とが、低減されるので、冷蔵室容器13Aに暖気が進入したり冷気が漏れたりする量が低減される。この点でも、冷蔵室容器13A内の温度を安定させることができる。
【0095】
冷蔵室容器13Aによれば、透明断熱材73、74A、74Bは、外郭部材71Aおよび内郭部材71Bの間に形成され、蓋材72によって閉じられた隙間Eの内部に配置される。このような構成によって、透明断熱材73、74A、74Bが外部に露出しないので、透明断熱材73、74A、74Bとして、高空孔率を有することで脆くなりやすい特定断熱材Gを使用することができる。このため、前側板部13c、右側板部13d、および左側板部13eの厚さが薄くても良好な断熱性能が得られる。この結果、冷蔵室容器13Aの容量を増大させることができる。
【0096】
冷蔵室容器13Aによれば、透明断熱材73、74A、74Bのそれぞれの上端および下端に緩衝材75a、75bが配置されている。このため、透明断熱材73、74A、74Bを隙間Eに挿入するとき、および隙間Eに挿入された後、緩衝材75a、75bによって、透明断熱材73、74A、74Bの上端および下端を通した外力が吸収される。この結果、透明断熱材73、74A、74Bが外力によって損傷しにくくなる。例えば、透明断熱材73、74A、74Bのつぶれ、ひび割れなどが抑制されるので、透明断熱材73、74A、74Bの断熱性能を保ちやすい。
【0097】
上述した冷蔵室容器13Aの一例によれば、角部C1、C2、C3、C4に配置される透明断熱材73は、可撓性を有する特定断熱材Gで形成される。この場合、透明断熱材73は、角部における湾曲に沿って変形可能な可撓性を有する第1断熱材の一例である。さらに、透明断熱材74A、74Bは、第1断熱材よりも可撓性が低い第2断熱材の一例である。
このような構成によれば、例えば、透明断熱材73の隙間Eへの挿入が容易になるので、製造コストを低減できる。
例えば、冷蔵室容器13Aの外形が、種々の角部、湾曲部を有する場合でも、特定断熱材Gを容易に配置することができる。この結果、冷蔵室容器13Aの設計の自由度が向上する。
【0098】
冷蔵室容器13Aによれば、底板部13abは、外郭部材71A(下面部71Ab)からなる。すなわち、下面部71Abは、外郭部材が容器の内面を形成する単層部の一例である。
この場合、底板部13abが単層部であることにより、前側板部13c等と比べて薄く形成できるので、冷蔵室容器13Aの容積を増大させることができる。
さらに、この場合、底板部13abは、前側板部13c、右側板部13d、左側板部13e、および後側板部13fに比べると断熱性能が低い。ただし、底板部13abは、第1仕切部28上に載置されているので、第1仕切部28の断熱性能に応じて、熱伝導が抑制される。例えば、第1仕切部28として、例えば、上壁21等のような断熱壁を用いることで、底板部13abを通した熱伝導を抑制できる。
ただし、必要に応じて、底板部13abにおける熱伝導を利用して、冷蔵室容器13Aの温度変動を抑制することも可能である。例えば、冷蔵室容器13Aを温度変更可能なチルド室として用いる場合、冷蔵室容器13Aの温度を速やかに制御する必要がある。この場合、底板部13abが熱伝導しやすいと、底板部13abからの熱伝導によっても、冷蔵室容器13A内の温度を制御することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1は、可視光を透過する外郭部材71Aと内郭部材71Bとの間の隙間Eに配置された透明断熱材74A、74B、73を含む冷蔵室容器13Aを有する。本実施形態によれば、冷蔵蔵室27Aの温度変動を低減することができる冷蔵庫1を提供することができる。
【0100】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図1~3に示すように、第2の実施形態の冷蔵庫1A(図1、2参照)は、第1の実施形態における冷蔵室容器13Aに代えて、冷蔵室容器113A(図3、2参照、容器)を有する。
冷蔵室容器113Aは、冷蔵室容器13Aと略同様の外形を有しており、断面構成が冷蔵室容器13Aと異なる。冷蔵室容器113Aは、冷蔵室容器13Aと同様、その全体が冷蔵室27A内に収容される容器の例である。
特に断らない限り、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0101】
図12は、第2の実施形態の冷蔵庫における冷蔵室容器を示す断面図である。図12は、図3におけるF12-F12線に沿う断面図である。
図12に示すように、冷蔵室容器113Aは、冷蔵室容器13Aの底板部13abに代えて、底板部113abを有する。
底板部113abは、前側板部13c等と同様の三層構造を有する点が、底板部13abと異なる。底板部113abは、底板部13abにおけると同様、奥行方向の中間部で水平方向から斜め上方に向かって屈曲している。このため、底板部113abは、奥行方向の中間部において横幅方向に延びる角部C12が形成されている。
【0102】
冷蔵室容器13Aは、容器本体71に代えて容器本体171を有する。
容器本体171は、容器本体71と同様の外面Soを形成する外郭部材171Aと、外郭部材171Aと隙間を空けて外郭部材171Aよりも内側に配置され、容器本体171の内面Siを形成する内郭部材171Bと、を有する。
外郭部材171Aと内郭部材171Bとの間の隙間Eには、互いの離間距離を保つスペーサまたはスペーサ機能を有するリブが配置されてもよい。
【0103】
前側板部13cおよび後側板部13fにおいては、外郭部材171Aと内郭部材171Bの間に、透明断熱材74Aと緩衝材75aとが、第1の実施形態と同様に配置されている。図示は省略するが、右側板部13dおよび左側板部13eにおいては、外郭部材171Aと内郭部材171Bの間に、透明断熱材74Bと緩衝材75aとが、第1の実施形態と同様に配置されている。
【0104】
底板部113abにおいては、外郭部材171Aと内郭部材171Bの間に、透明断熱材73と同様の特定断熱材Gからなる透明断熱材173(第1断熱材)と、透明断熱材74Aと同様の特定断熱材Gからなる透明断熱材174(第2断熱材)と、が挟まれている。
透明断熱材173は、前側板部13cと底板部113abとが接続する角部C11における隙間Eと、上述の角部C12における隙間Eと、底板部113abと後側板部13fとが接続する角部C13における隙間Eと、にそれぞれ配置されている。
各透明断熱材173は、いずれも角部C11、C12、C13の湾曲に沿って湾曲している。
角部C11、C13における各透明断熱材173は、それぞれの透明断熱材74Aの下端に当接している。これらの各透明断熱材173は、第1の実施形態における緩衝材75bと同様の緩衝材の機能を有している。
特に図示しないが、右側板部13dおよび左側板部13eは、第1の実施形態と同様の三層構造を有している。特に図示しないが、右側板部13dおよび左側板部13eと底板部113abとが接続する各角部には、角部C11、C13と同様の透明断熱材173が配置されている。
【0105】
このような冷蔵室容器113Aを製造するには、例えば、外郭部材171Aの底面部に透明断熱材173、84を配置した後、外郭部材171Aの内側に内郭部材171Bを配置する。この後、内郭部材171Bの側面と、外郭部材171Aの側面との間に、第1の実施形態と同様にして、透明断熱材73、74A、74B、および緩衝材75aを配置する。この後、第1の実施形態と同様にして容器本体171の上端に蓋材72を接合する。
【0106】
本実施形態の冷蔵室容器113Aによれば、前側板部13c、右側板部13d、左側板部13e、および後側板部13fに加えて、底板部113abにも透明断熱材173、84が配置されているので、底板部113abの断熱性能が向上する。
本実施形態によれば、冷蔵室27Aの温度変動を低減することができる冷蔵庫1Aを提供することができる。
【0107】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図1に示すように、第3の実施形態の冷蔵庫1Bは、第1の実施形態における製氷室27Cの製氷室扉11C、製氷室容器13Cに代えて、製氷室扉211C(容器)、製氷室容器213C(容器)を有する。
特に断らない限り、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0108】
図13は、第3の実施形態の冷蔵庫における容器を示す斜視図である。図14は、図13におけるF14-F14線に沿う断面図である。
図13に示すように、製氷室容器213Cは、上方に開口する箱型の容器である。製氷室容器213Cは、冷蔵庫1Bの貯蔵室27のうち製氷室27C(図1参照)に配置される。製氷室容器213Cの内部には、例えば、製氷済みの氷が配置される。
製氷室容器213Cは、底板部213c、右側板部213d、左側板部213e、後側板部213f、および製氷室扉211Cを有する。
【0109】
底板部213aは、水平方向に延びる平板である。底板部213aの平面視の形状は略矩形状である。
右側板部213dは、底板部213aにおける+X方向の端部から上方に延びている。
左側板部213eは、底板部213aにおける-X方向の端部から上方に延びている。左側板部213eの上端は、例えば、右側板部213dの上端と同一の水平面上に位置している。
後側板部213fは、底板部213aにおける+Y方向の端部から上方に延びている。後側板部13fの上端は、例えば、右側板部13dの上端と同一の水平面上に位置している。
【0110】
製氷室扉211Cは、底板部213a、右側板部213d、および左側板部213eにおける-Y方向の各端部に接続し、横幅方向に沿う鉛直面に沿って延びる板部材である。製氷室扉211Cは、底板部213a、右側板部213d、および左側板部213eとともに、製氷室容器213Cの外面Soおよび内面Siを形成する。
+Y方向から見た製氷室扉211Cの外形は、底板部213a、右側板部213d、および左側板部213eを内側に含む矩形状であり、製氷室27Cの-Y方向における開口よりも大きい。
製氷室扉211Cの外周部において、+Y方向の端面には、製氷室扉211Cの外形に沿って矩形状に延びるガスケット55が取り付けられている。
ガスケット55は、製氷室27Cにおける筐体10(図1参照)の前端面と当接し、製氷室27C内の冷気の漏洩を防止する。
【0111】
図14に示すように、製氷室容器213Cの断面構成は、底板部213aが平板状である点と、前側板部13cに代えて製氷室扉211Cを有する点と、を除くと、第1の実施形態における冷蔵室容器13Aと略同様である。すなわち、製氷室容器213Cの一部を構成する製氷室扉211Cは、製氷室27Cの外部に配置されている。このため、製氷室容器213Cはその一部が製氷室27C内に配置された容器の例になっている。
製氷室容器213Cは、容器本体271、透明断熱材74A、透明断熱材73(図示略)、枠部材280、緩衝材275、75a、75b、および蓋材72を有する。
【0112】
容器本体271は、製氷室容器213Cの外形を形成する。容器本体271は、外郭部材271Aと、内郭部材271Bと、を有する。
【0113】
外郭部材271Aは、製氷室容器213Cの外面Soを形成する。外郭部材271Aは、下面部271Abと、側面部271Acと、扉内面部271Adと、前面部材271Aaと、を有する。
下面部271Abは、底面部213aを形成する。
側面部271Acは、底面部213aにおける+X方向、-X方向、および+Y方向の端部から+Z方向に延びる。側面部271Acは、右側板部213d、左側板部213e、および後側板部213fの各外面Soを形成する。
扉内面部271Adは、下面部271Abにおける-Y方向の端部から-Z方向に延びる平面部と、側面部271Aにおける-Y方向の端部から横幅方向における側面部271Aの外側に延びる平面部と、を含む。扉内面部271Adは、+Y方向から見ると、後述する前面部材271Aaの外形と同様の範囲まで拡がっている。
【0114】
前面部材271Aaは、製氷室扉211Cの前面である外面Soを形成する板部材である。前面部材271Aaは、湾曲板でもよいし、平板でもよい。図13、14に示す例では、前面部材271Aaは平板である。
前面部材271Aaは、扉内面部271Adと、後述する内郭部材271Bにおける扉内面部271Baと、から-Y方向に離間して配置されている。
【0115】
外郭部材271Aは、第1の実施形態と同様、少なくとも一部に第1透明領域T1を有する。図13、14に示す例では、外郭部材271Aの全体が第1透明領域T1を形成している。
外郭部材271Aの材料としては、外郭部材71Aに好適な材料と同様な材料が用いられる。例えば、前面部材271Aaの材料としては、透明なガラスが用いられてもよい。例えば、前面部材271Aaを除く外郭部材271Aの材料としては、透明な樹脂が用いられてもよい。
【0116】
内郭部材271Bは、扉内面部271Baと、側面部271Bbと、を有する。
扉内面部271Baは、外郭部材271Aにおける扉内面部271Adと同一平面上に配置された平面部である。扉内面部271Baは、下面部271Abの-Y方向の端部から+Z方向に延びている。扉内面部271Baにおける+Z方向の端部は、+Y方向から見ると、前面部材271Aaの+Z方向の端部と同様の範囲に延びている。
図14に示す例では、扉内面部271Ba、271Adは、前面部材271Aaと平行に配置され、前面部材271Aaと同様の外形を有する平面部を構成している。少なくとも扉内面部271Baと前面部材271Aaとの間には、透明断熱材74Aを配置する隙間e1が形成されている。
ただし、図14に示す例では、隙間e1は、扉内面部271Adと前面部材271Aaとの間にも形成されている。
【0117】
側面部271Bbは、外郭部材271Aにおける側面部271Acの内側に、側面部271Acから離して配置されている。側面部271Bbは、外郭部材271Aにおける下面部271Abの上面から+Z方向に突出している。このため、側面部271Bb、271Acの間には、透明断熱材74Aと、図示略の透明断熱材73を配置する隙間e2が形成されている。
【0118】
内郭部材271Bは、第1の実施形態と同様、少なくとも一部に第2透明領域T2を有する。図13、14に示す例では、内郭部材271Bの全体が第2透明領域T2を形成している。
内郭部材271Bの材料としては、内郭部材71Bに好適な材料と同様な材料が用いられる。例えば、内郭部材271Bの材料としては、透明な樹脂が用いられてもよい。
【0119】
容器本体271の隙間e1には、前面部材271Aaの略全体を覆う領域に透明断熱材74Aが配置されている。容器本体271において、平板状の外郭部材271Aおよび内郭部材271Bに挟まれる隙間e2には透明断熱材74Aが配置されている、湾曲した外郭部材271Aおよび内郭部材271Bに挟まれる隙間e2には、第1の実施形態と同様に図示略の透明断熱材73が配置されている。
【0120】
本実施形態における緩衝材75a、75bは、隙間e2に配置された透明断熱材74Aと、図示略の透明断熱材73と、の各上端および下端に、第1の実施形態と同様に配置されている。
【0121】
枠部材280は、前面部材271Aaと、扉内面部271Ad、271Baと、の外周部を、前方、側方、および後方から覆う。図13に示すように、枠部材280は、+Y方向から見ると、矩形状である。例えば、枠部材280は、不透明な樹脂材料、金属材料、またはこれらの複合材料からなっていてもよい。
【0122】
枠部材280は、隙間e1に配置された透明断熱材74Aを側方から覆っている。
枠部材280と透明断熱材74Aとの間には、緩衝材75aと同様な材料からなる緩衝材275が、全周にわたって配置されている。
さらに枠部材280は、前面部材271Aaの外周部を+Y方向側から、扉内面部271Baの上端部および扉内面部271Adの外周部を-Y方向側からそれぞれ覆っている。このため、枠部材280は、前面部材271Aaにおいて枠部材280の内側に+Y方向から見て矩形状の開口部を形成している。
同様に枠部材280は、扉内面部271Ba、Adにおいて枠部材280の内側に+Y方向から見て矩形状の開口部を形成している。この開口部の内側に沿って、右側板部213d、左側板部213e、および後側板部213fにおける-Y方向の各端部が扉内面部271Ba、Adと接続している。
枠部材280は、例えば、接着剤、粘着剤などによって、前面部材271Aaと、扉内面部271Ad、271Baと、の外周部に接合されている。
上述のガスケット55は、-Y方向から見ると、枠部材280における+Y方向の端面の領域内に重なった状態で枠部材280と固定されている。
【0123】
このような構成により、第1透明領域T1と第2透明領域T2の間の前面部材271Aa、透明断熱材74A、および扉内面部271Baが可視光を透過する。このため、製氷室容器213Cを前側から見ると、製氷室扉211Cにおける枠部材280の内側の第1透明領域T1を通して、製氷室容器213Cの内部が見える。このとき、ガスケット55は枠部材280に隠れるので、前側からは見えない。
さらに、第1透明領域T1と第2透明領域T2の間の側面部271Ac、透明断熱材74A(73)、および側面部271Bbが可視光を透過する。このため、製氷室容器213Cを側方および後方から見ると、側板部213d、左側板部213e、後側板部213fの第1透明領域T1を通して、製氷室容器213Cの内部が見える。
本実施形態では、製氷室容器213Cの底板部213cも透明なので、製氷室容器213Cの下方からも製氷室容器213Cの内部が見える。
【0124】
本実施形態の冷蔵室容器213Aによれば、右側板部213d、左側板部213e、および後側板部213fに第1の実施形態と同様に、特定断熱材Gからなる透明断熱材74A、73が配置されている。このため、側板部213d、左側板部213e、および後側板部213fは第1の実施形態と同様の三層構造を有する透明な壁体である。
さらに、冷蔵室容器213Aの前面を形成する製氷室扉211Cは、前面部材271Aa、透明断熱材74A、および扉内面部271Baの三層構造を有する透明な壁体である。
この結果、右側板部213d、左側板部213e、後側板部213f、および製氷室扉211Cは、高い断熱性を有するので、製氷室容器213Cおよび製氷室27Cの断熱性が向上する。
特に、製氷室容器213Cの前面を形成する製氷室扉211Cは、製氷室27Cを覆う扉を兼ねているので、製氷室容器213Cの前面と異なる扉を有する場合に比べて製氷室容器213Cの容積が大きくなる。
さらに、右側板部213d、左側板部213e、および後側板部213fが、第1透明領域T1において透明なので、ユーザは、右側板部213d、左側板部213e、および後側板部213fを通して、製氷室容器213C内部に収容された氷の量および状態を容易に確認できる。
特に、製氷室容器213Cでは、製氷室扉211Cが透明なので、ユーザは、製氷室容器213Cを製氷室27Cの外部に引き出さなくても、製氷室容器213C内部に収容された氷の量および状態を容易に確認できる。
これにより、ユーザが氷の量を確認するために製氷室容器213Cを引き出す回数が低減されるので、製氷室27Cに暖気が進入したり冷気が漏れたりする量が低減される。この点でも、製氷室容器213Cおよび製氷室27C内の温度を安定させることができる。
製氷室容器213Cを引き出す回数が低減されると、氷に霜が付きにくくなるので、氷の透明性が良好になる。
【0125】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1Bは、可視光を透過する外郭部材271Aと内郭部材271Bとの間の隙間e1、e2に配置された透明断熱材74A、73を含む製氷室容器213Cを有する。本実施形態によれば、製氷室27Cの温度変動を低減することができる冷蔵庫1Bを提供することができる。
【0126】
以上、いくつかの実施形態について説明した。ただし、実施形態は上記例に限定されない。以上説明した実施形態は互いに組み合わせて実施可能である。
【0127】
例えば、上記第1および第2の実施形態では、複数の容器13のうち、冷蔵室容器13Aが透明断熱材を有するとして説明した。しかし、冷蔵室容器13A、113Aの構成は、貯蔵室27内に全体が配置される他の容器、例えば、第1野菜室容器13Ba、第2野菜室容器13Bb、製氷室容器13C、小冷凍室容器13D、第1主冷凍室容器13Ea、第2主冷凍室容器13Eb、および扉容器13Fa、13Fb、13Fcなどにも同様に適用されてもよい。
【0128】
例えば、上記第3の実施形態では、冷蔵室容器13Aの他に、製氷室容器213Cが透明断熱材を有するとして説明した。しかし、冷蔵室容器13Aは、透明な樹脂材料の単層構造の箱型容器であってもよい。
さらに、製氷室容器213Cのような透明断熱材を有する扉付き容器の構成は、例えば、他の貯蔵室27、例えば、野菜室27B、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに配置される扉付き容器に適用されてもよい。
【0129】
例えば、上記各実施形態では、容器が上側に開口した箱型であるとして説明した。しかし、容器は蓋付きの容器であってもよい。蓋付き容器の蓋は、外郭部材、透明断熱材、および内郭部材の三層構造を有することがより好ましい。この場合、蓋を開けなくても、蓋を通して容器の内部を観察することができる。
【0130】
例えば、上記各実施形態では、角部の隙間に第1断熱材が配置され、平板状の隙間に第2断熱材が配置された例で説明した。しかし、上述したように、角部に予めその湾曲形状に合わせて成形された可撓性を有しない透明断熱材が配置されてもよい。また、平板状の隙間に可撓性を有する第1断熱材が配置されてもよい。例えば、透明断熱材は、可撓性を有しない透明断熱材のみで構成されてもよいし、可撓性を有する透明断熱材のみで構成されてもよい。
【0131】
例えば、上記各実施形態では、透明断熱材の上端および下端を覆うように緩衝材が配置されるとして説明した。しかし、透明断熱材が損傷するおそれがなければ、上端および下端の緩衝材の少なくとも一方は省略されてもよい。
【0132】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、可視光が透過可能な第1透明領域を有し、容器の外面を形成する外郭部材と、外郭部材よりも内側に隙間を空けて配置され、少なくとも第1透明領域と対向する部位に可視光が透過可能な第2透明領域を有する内郭部材と、透明な多孔体を含んでおり、外郭部材と内郭部材との間の隙間に配置された透明断熱材と、を有する。このような構成によれば、貯蔵室の温度変動を低減することができる冷蔵庫を提供することができる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0134】
1,1A,1B…冷蔵庫、10…筐体(冷蔵庫本体)、13…複数の容器、13A、113A、213A…冷蔵室容器(容器)、13ab,213a…底板部、27…複数の貯蔵室、27A…冷蔵室(貯蔵室)、27C…製氷室(貯蔵室)、71,171,271…容器本体、71A,171A,271A…外郭部材、71B,171B,271B…内郭部材、73,173…透明断熱材(第1断熱材)、74A,74B,174…透明断熱材(第2断熱材)、75a,75b,275…緩衝材、211C…製氷室扉(容器)、下面部71Ab(外郭部材、単層部)213C…製氷室容器(容器)、280…枠部材、C1,C2,C3,C4,C11,C12,C13…角部、E,E1,E2,E3,E4,Ec,Ed,Ef,e1,e2…隙間、g…乾燥ゲル、G…特定断熱材、h1…繊維構造物、h2…補強ネット、Si…内面、So…外面、T1…第1透明領域、T2…第2透明領域
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