(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】無線通信ユニット
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20231221BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H04B1/38
H05K7/20 H
(21)【出願番号】P 2020014132
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】前田 智志
(72)【発明者】
【氏名】河上 省吾
(72)【発明者】
【氏名】丹下 透
(72)【発明者】
【氏名】勝又 貞行
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137663(JP,A)
【文献】特開2014-056958(JP,A)
【文献】特開2012-209812(JP,A)
【文献】特開2010-129846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末との間で3GPP仕様に基づく無線通信を行う無線基地局モジュールと、前記無線基地局モジュールに有線接続され、前記無線基地局モジュールに対する上位ネットワーク制御を行うEPC(Evolved Packet Core)モジュールとを含む通信本体部と、
前記通信本体部に作動電圧を供給する電源モジュールと、
前記通信本体部及び前記電源モジュールを一体的に収容する可搬型筐体とを備え、
前記可搬型筐体の内部にモジュール支持板が設けられるとともに、該モジュール支持板の一方の主面がモジュール取付面として定められ、前記モジュール取付面が上側となるよう前記モジュール支持板を水平に配置した場合の、前記モジュール取付面から垂直に立ち上がる向きを上下方向と定義したとき、
前記モジュール取付面に沿って定められた第一方向において、前記可搬型筐体の前記第一方向における第一端側の側壁部に気流入口が形成される一方、第二端側の側壁部に気流出口が形成されるとともに冷却ファンが前記気流入口に取り付けられ、該冷却ファンの作動により前記気流入口より外気が取り込まれるとともに該外気が冷却風として前記可搬型筐体内部を前記第一方向に流通したのち前記気流出口より排出されるようになっており、
前記モジュール支持板の前記モジュール取付面には、前記冷却風の流通方向において前記気流入口に近い側に前記無線基地局モジュール及び電源モジュールを含む無線駆動系モジュール群が、前記気流出口に近い側に前記EPCモジュールを含む制御系モジュール群がそれぞれ配置されてなることを特徴とする無線通信ユニット。
【請求項2】
前記冷却ファンは前記可搬型筐体に対し、ファン回転羽根の回転軸線の延長が無線駆動系モジュール群の側面の高さ方向中間位置を通るように取り付けられている請求項1記載の無線通信ユニット。
【請求項3】
前記モジュール支持板の前記モジュール取付面に対し前記無線駆動系モジュール群をなす前記無線基地局モジュール及び前記電源モジュールは、それら無線基地局モジュールと電源モジュールと間に冷却風流通隙間が形成される形で上下に隣接配置されるとともに、前記冷却ファンは前記冷却風流通隙間に対し前記冷却風の一部が吹き込み可能となるように、前記可搬型筐体に対する取付位置が定められている請求項2記載の無線通信ユニット。
【請求項4】
前記冷却ファンは前記可搬型筐体に対し、前記ファン回転羽根の回転軸線の延長が前記冷却風流通隙間の内側に入り込む形で上向きに傾斜するように取り付けられている請求項3記載の無線通信ユニット。
【請求項5】
前記モジュール支持板の前記モジュール取付面において前記無線駆動系モジュール群は、前記電源モジュールが下側に、前記無線基地局モジュールが上側に配置されており、前記冷却ファンからの冷却風が、前記冷却風流通隙間に向かう第一気流と、前記無線基地局モジュー
ルの上面側に向かう第二気流とに分流するようになっている請求項3又は請求項4に記載の無線通信ユニット。
【請求項6】
前記冷却ファンの送
風方向正面側には、前記冷却風を前記第一気流及び前記第二気流に分割する気流ガイド板が設けられている請求項5記載の無線通信ユニット。
【請求項7】
前記気流ガイド板は、前記第二気流が前記無線駆動系モジュール群の上面側に誘導されるよう、板面が前記ファン回転羽根の回転軸線に対し上方に傾斜するように配置されている請求項6記載の無線通信ユニット。
【請求項8】
前記無線基地局モジュールに含まれる送信用のパワー半導体素子が前記無線基地局モジュールの上面側に実装され、該パワー半導体素子の上面と密着する形で金属により構成されたヒートシンク板が設けられている請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の無線通信ユニット。
【請求項9】
前記ヒートシンク板の上面に複数の金属製の放熱フィンが、各々長手方向が前記冷却風の送風方向と一致するように前記ヒートシンク
板の上面から立ち上がる形態で一体形成され、隣接する前記放熱フィン間の隙間が前記冷却風の通路を形成している請求項8記載の無線通信ユニット。
【請求項10】
複数の前記放熱フィンの上面側を覆うように遮蔽板が取り付けられ、前記冷却風の通路が、前記遮蔽板により上方がふさがれた方形断面に形成されてなる請求項9記載の無線通信ユニット。
【請求項11】
前記可搬型筐体内には、前記無線駆動系モジュール群の占有空間内に第一の温度センサが、前記制御系モジュール群の占有空間内に第二の温度センサがそれぞれ配置されている請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の無線通信ユニット。
【請求項12】
前記制御系モジュール群は、前記可搬型筐体内における前記通信本体部の作動環境情報を、前記第一の温度センサ及び前記第二の温度センサが検知する前記可搬型筐体の内部温度情報を含むように取得する作動環境情報取得部と、取得された前記作動環境情報に基づき前記通信本体部の作動環境に異常が発生したか否かを判定する作動環境異常判定部と、該判定結果を出力する判定結果出力部とを備える統括制御モジュールを含む請求項11記載の無線通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基地局装置とコアネットワーク(EPC)の機能が可搬型筐体に一体化され、3GPP(Third Generation Partnership Project)で規定された通信プロトコルスタックに従い無線ネットワーク通信を移動端末との間で実行可能な無線通信ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP仕様に基づく高速通信規格(例えば、LTE(Long Term Evolution)あるいはWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の無線通信ネットワークにおいては、無線通信アクセス網を収容するEPC(Evolved Packet Core)をエリア内に構築することが必須であり、移動端末が接続する無線基地局は該EPCを介してIPパケットの送受信制御を受ける。一方、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットPCなどの移動端末の普及に伴い、海上や過疎地域、あるいは災害等により通信機能が喪失した地域など、EPCや無線基地局がインフラ的に整備されていない地域(以下、「無線非整備地域」と称する)においても、移動端末を利用したいという要望が高まっている。
【0003】
こうした要望に応えるべく、例えば特許文献1には、無線基地局とコアネットワーク(EPC)とを一体化した複合型の無線通信ユニットが提案されている。このような無線通信ユニットを上記のような無線非整備地域に設置することで、該ユニットに含まれる無線基地局モジュールにより小規模ながら通信可能エリアが構築され、ユニット内のEPCモジュールがその上位通信制御を行なうことで、前記無線基地局モジュールに接続する複数の移動端末間で3GPP仕様の無線通信を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような無線通信ユニットにおいては、無線基地局モジュールとEPCモジュールが個別のユニットではなく同一の筐体に一体化されており、無線基地局モジュール及びこれに電源供給する電源モジュールの発熱により筐体内部は特に昇温しやすい問題がある。それら2つのモジュールが同時に高温にさらされることになる。特に、3GPP仕様の無線通信においては、上記昇温の影響により、無線基地局モジュールに対する上位ネットワーク制御を行うEPCモジュールが正常に動作しなくなる恐れがあり、結果的に無線基地局及びEPCが昇温のために誤動作を起こしたり、他の無線システムの電波干渉源として動作したりしてしまうリスクが生じる。また、昇温して正常な動作が見込めなくなった状態で無線基地局やEPCの制御プログラムを立ち上げると、プログラムが暴走し、ソフトウェアデータが破壊されるおそれもある。
【0006】
本発明の課題は、可搬型筐体内部で冷却装置の不調や温度上昇等の異常が発生した場合に、内部の無線基地局モジュールとEPCモジュールが誤動作を起こしたり、他の無線システムの電波干渉源として動作したりしてしまうリスクを抑制できる構造の無線通信ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の無線通信ユニットは、移動端末との間で3GPP仕様に基づく無線通信を行う無線基地局モジュールと、無線基地局モジュールに有線接続され、無線基地局モジュールに対する上位ネットワーク制御を行うEPC(Evolved Packet Core)モジュールとを含む通信本体部と、通信本体部に作動電圧を供給する電源モジュールと、通信本体部及び電源モジュールを一体的に収容する可搬型筐体とを備え、可搬型筐体の内部にモジュール支持板が設けられるとともに、該モジュール支持板の一方の主面がモジュール取付面として定められ、モジュール取付面が上側となるようモジュール支持板を水平に配置した場合の、モジュール取付面から垂直に立ち上がる向きを上下方向と定義したとき、モジュール取付面に沿って定められた第一方向において、可搬型筐体の第一方向における第一端側の側壁部に気流入口が形成される一方、第二端側の側壁部に気流出口が形成されるとともに冷却ファンが気流入口に取り付けられ、該冷却ファンの作動により気流入口より外気が取り込まれるとともに該外気が冷却風として可搬型筐体内部を第一方向に流通したのち気流出口より排出されるようになっており、モジュール支持板のモジュール取付面には、冷却風の流通方向において気流入口に近い側に無線基地局モジュール及び電源モジュールを含む無線駆動系モジュール群が、気流出口に近い側にEPCモジュールを含む制御系モジュール群がそれぞれ配置されてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の無線通信ユニットにおいて冷却ファンは可搬型筐体に対し、ファン回転羽根の回転軸線の延長が無線駆動系モジュール群の側面の高さ方向中間位置を通るように取り付けることができる。
【0009】
モジュール支持板のモジュール取付面に対し無線駆動系モジュール群をなす無線基地局モジュール及び電源モジュールは、それら無線基地局モジュールと電源モジュールと間に冷却風流通隙間が形成される形で上下に隣接配置されるとともに、冷却ファンは冷却風流通隙間に対し冷却風の一部が吹き込み可能となるように、可搬型筐体に対する取付位置を定めることができる。
【0010】
冷却ファンは可搬型筐体に対し、ファン回転羽根の回転軸線の延長が冷却風流通隙間の内側に入り込む形で上向きに傾斜するように取り付けることができる。
【0011】
統括制御モジュールは、通信本体部における基地局機能プログラム及びEPC機能プログラムの立ち上げ後において作動環境異常判定部により作動環境異常が発生したと判定された場合に、基地局機能プログラム記憶部に格納された基地局機能プログラム及びEPC機能プログラム記憶部に格納されたEPC機能プログラムのクローズ処理の実行を通信本体部に指令し、その後通信本体部の電源遮断処理を行なう作動中異常対応処理部を備えるものとして構成することができる。
【0012】
モジュール支持板のモジュール取付面において無線駆動系モジュール群は、電源モジュールを下側に、無線基地局モジュールを上側に配置でき、冷却ファンからの冷却風を、冷却風流通隙間に向かう第一気流と、無線基地局モジュールの上面側に向かう第二気流とに分流させることができる。この場合、冷却ファンの送風方向正面側には、冷却風を第一気流及び第二気流に分割する気流ガイド板が設けることができる。また、気流ガイド板は、第二気流が無線駆動系モジュール群の上面側に誘導されるよう、板面がファン回転羽根の回転軸線に対し上方に傾斜するように配置できる。
【0013】
本発明の無線通信ユニットにおいては、無線基地局モジュールに含まれる送信用のパワー半導体素子を無線基地局モジュールの上面側に実装でき、該パワー半導体素子の上面と密着する形で金属により構成されたヒートシンク板を設けることができる。また、ヒートシンク板の上面に複数の金属製の放熱フィンを、各々長手方向が冷却風の送風方向と一致するようにヒートシンク板の上面から立ち上がる形態で一体形成できる。この場合、隣接する放熱フィン間の隙間が冷却風の通路を形成する。さらに、複数の放熱フィンの上面側を覆うように遮蔽板を取り付けることができ、冷却風の通路を、遮蔽板により上方がふさがれた方形断面に形成することができる。
【0014】
可搬型筐体内には、無線駆動系モジュール群の占有空間内に第一の温度センサを、制御系モジュール群の占有空間内に第二の温度センサがそれぞれ配置できる。この場合、制御系モジュール群は、可搬型筐体内における通信本体部の作動環境情報を、第一の温度センサ及び第二の温度センサが検知する可搬型筐体の内部温度情報を含むように取得する作動環境情報取得部と、取得された作動環境情報に基づき通信本体部の作動環境に異常が発生したか否かを判定する作動環境異常判定部と、該判定結果を出力する判定結果出力部とを備える統括制御モジュールを含むものとして構成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無線通信ユニットは、可搬型筐体に取り付けた冷却ファンが形成する冷却風の風上側に発熱量の大きい無線駆動系モジュール群を配置することで、無線駆動系モジュール群の冷却を効果的に実施できる。そして、制御系モジュール群をその風下側に分離することで制御系モジュール群の過度の温度上昇を防止できる。これにより、通信本体部の作動環境に異常が発生した場合にあっても、無線基地局及びEPCが誤動作を起こしたり、他の無線システムの電波干渉源として動作したりしてしまうリスクを生じにくく、プログラムの暴走等によるソフトウェアデータの破壊も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の無線通信ユニットの概念を示す模式図。
【
図2】
図1の無線通信ユニットの電気的構成の一例を示すブロック図。
【
図3】
図2の構成を電源供給系統とともに示す別のブロック図。
【
図4】I
2Cネットワークによる
図2の各マスタノード及びスレーブノードの接続構造と、I
2C通信におけるフレーム構造とを示す説明図。
【
図6】3GPPのコントロールプレーンのプロトコルスタックを概念的に示す図。
【
図7】3GPPのユーザプレーンのプロトコルスタックを概念的に示す図。
【
図8】3GPPの下りリンクのチャネルマッピングを概念的に示す図。
【
図9】同じく上りリンクのチャネルマッピングを概念的に示す図。
【
図10】周波数バンドチャネル、及びリソースブロックの関係を示す概念図。
【
図11】I
2C通信におけるマスタノードのReadモードの処理流れを示すフローチャート。
【
図12】I
2C通信におけるマスタノードのWriteモードの処理流れを示すフローチャート。
【
図13】統括制御モジュールの制御ファームウェアにおける起動シーケンスの処理流れを示すフローチャート。
【
図14】同じく異常解析処理の流れを示すフローチャート。
【
図15】同じく正常時終了シーケンスの処理流れを示すフローチャート。
【
図17】統括制御モジュールの制御ファームウェアにおける作動中異常対応処理の流れを示すフローチャート。
【
図18】同じく電源切替処理の流れを示すフローチャート。
【
図20】冷却ファンからの情報取得形態の変形例を示す図。
【
図21】可搬型筐体内部の各モジュールの配置形態の一例を示す側面図。
【
図25】冷却ファン及び気流ガイド板の作用の詳細を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の無線通信ユニットの一例を概念的に示す模式図である。無線通信ユニット1は3GPPで規定された方式(本実施形態では、LTEとするが、WiMAXなど他の方式であってもよい)の通信プロトコルスタックに従い、複数のUE(移動端末装置)5との間で無線通信を行なうものとして構成されている。該無線通信ユニット1は、海上や過疎地域、あるいは災害等により通信機能が喪失した地域など、EPCや無線基地局がインフラ的に整備されていない無線非整備地域などに設置して使用される。無線通信ユニット1は後述の通りバッテリーや自家発電装置等から電源電圧を調達でき、公衆網に依存しない自営型の無線ネットワークを容易に構築できる。UE5は、各々無線通信ユニット1に対し無線ベアラ57により接続される。
【0018】
無線通信ユニット1は、無線基地局モジュール(無線基地局あるいはeNodeB(evolved NodeB)4と、無線基地局モジュール4に有線接続され、該無線基地局モジュール4に対する上位ネットワーク制御部として機能するEPC(Evolved Packet Core)モジュール3とを有する。EPCモジュール3は、コントロールプレーン側のゲートウェイとなるMME(Mobility Management Entity)2、ユーザプレーン側のゲートウェイとなるS-GW(Serving Gateway)6、及び上流側ネットワーク要素(ここでは、ルータ8)との結節点に位置し、上流側ネットワーク要素側に向けたIPアドレス管理を行なうP-GW(PDN (Packet Data Network) Gateway)7を有する。ルータ8は無線(例えば衛星通信)ないし有線により外部ネットワーク60(例えばインターネット)を介して図示しないアプリケーションサーバと接続し、端末アプリや動画(映像)等のコンテンツデータを取得する機能を果たす。コントロールプレーン側において無線基地局モジュール(eNodeB)4は、S1-MMEインターフェースを介してMME2に接続される。また、ユーザプレーン側において無線基地局モジュール4は、S1-Uインターフェースを介してS-GW6に接続される。S-GW6はS5インターフェースを介してP-GW7と接続される。
【0019】
図2は、無線通信ユニット1の電気的構成の一例を示すブロック図である。無線通信ユニット1は可搬型筐体23を備え、その内部に、EPCモジュール3、無線基地局モジュール4、統括制御モジュール9及び電源モジュール22が周辺のコンポーネントとともに収容されている。また、可搬型筐体23には内部を冷却するための冷却ファン14A,14B(冷却装置)が設けられている。EPCモジュール3と無線基地局モジュール4とは通信本体部を構成する。
【0020】
EPCモジュール3はEPCコンピュータ300を主体に構成されている。EPCコンピュータ300は、CPU301、プログラム実行領域となるRAM302、マスクROM303(恒久的に書換えが不要なマイコンハードウェア周辺制御用等のファームウェアを格納している;以下、同様)及びそれらを相互に接続する内部バス306等からなる。内部バス306にはEPC機能プログラム記憶部として、記憶内容が書き換え可能な不揮発性記憶デバイス、例えばフラッシュメモリ305が接続され、ここにEPC用のLTEプロトコルスタックを含むEPC通信ファームウェア305a(EPC機能プログラム)と、前記LTEプロトコルスタックをプラットフォームとして、
図2のMME2、S-GW6及びP-GW7の各機能を仮想的に実現するMMEエンティティ305b、S-GWエンティティ305c及びP-GWエンティティ305d、及び
図1のルータ8の機能を実現するためのソフトウェアルータ305eの各プログラムがインストールされている。また、内部バス306にはLANインターフェースであるイーサネットインターフェース304が接続されている。なお、上記の構成では、
図2のMME2、S-GW6及びP-GW7がコンピュータハードウェア上でソフトウェア的に機能実現される仮想機能エンティティとして構成されているが、各々独立したハードウェアロジックにより構成してもよい。
【0021】
無線基地局モジュール4は無線基地局コンピュータ400を主体に構成されている。無線基地局コンピュータ400は、CPU401、プログラム実行領域となるRAM402、マスクROM403及びそれらを相互に接続する内部バス406等からなる。内部バス406には基地局機能プログラム記憶部としてフラッシュメモリ405が接続され、ここに無線基地局用のLTEプロトコルスタックを含む基地局通信ファームウェア405a(基地局機能プログラム)が格納されている。また、内部バス406には無線ベアラの構築によりUE5と無線接続するための無線通信部412と、イーサネットインターフェース408とが接続されている。
【0022】
統括制御モジュール9は統括制御コンピュータ900を主体に構成されている。統括制御コンピュータ900は、CPU901、プログラム実行領域となるRAM902、マスクROM903及びそれらを相互に接続する内部バス906等からなる。内部バス906にはフラッシュメモリ905が接続され、ここに統括制御ファームウェア905aが格納されている。また、内部バス906にはイーサネットインターフェース904(第一のインターフェース)、入出力部(I/O)909及びWiFiモジュール908が接続されている。また、統括制御モジュール9の機能を拡張するために、該統括制御モジュール9に入出力される制御信号を統括する制御ボード13が別途設けられている。該制御ボード13には、I2C(Inter-Integrated Circuit)バスマスタ907(第二のインターフェース、マスタノード)及び拡張入出力部(I/O)910が搭載され、各々、統括制御モジュール9の入出力部(I/O)909に接続されている。なお、制御ボード13は広義には統括制御モジュールの一構成要素とみなすことができる。
【0023】
EPCコンピュータ300、無線基地局コンピュータ400及び統括制御コンピュータ900は、イーサネットインターフェース304、408、904にて、イーサネットバス32(あるいはLANケーブル)によりスイッチングハブ(例えば、L2スイッチ)11を介して接続されている。すなわち、EPCコンピュータ300、無線基地局コンピュータ400及び統括制御コンピュータ900は、スイッチングハブ11を経由してLAN(Local Area Network)接続され、インターネットプロトコル(IP)に従い相互にネットワーク通信可能とされている。
【0024】
電源モジュール22は、EPCモジュール3、無線基地局モジュール4、統括制御モジュール9、スイッチングハブ11及び冷却ファン14A,14B等の各コンポーネントに電源電圧を供給するものであり、外部電源26(例えば商用交流:AC100V)及び充電式バッテリー21(例えば、リチウムイオン充電式バッテリーやニッケル水素充電式バッテリーなど)からバッテリーコントローラ24を介して元電圧を受電する。本実施形態では、外部電源26の交流電圧はAC/DCコンバータ25により直流電圧(DC12V)に変換されて電源モジュール22に供給される。外部電源26(AC/DCコンバータ25)からの受電状態(受電電圧)は、電源モジュール22の基板上に設けられた外部電圧監視部16によりモニタリングされる。
【0025】
また、充電式バッテリー21のバッテリー電圧はバッテリーコントローラ24により安定化直流電圧(DC12V)に変換されて電源モジュール22に供給される。これにより、無線通信ユニット1は、充電式バッテリー21から駆動電源電圧を自律的に調達でき、商用交流などの外部電源電圧が使用不能な設置場所(例えば停電している被災地など)においても問題なく使用可能である。なお、可搬型筐体23は金属ないし強化型樹脂製の箱型である。
【0026】
また、バッテリーコントローラ24は市販のI2Cデバイスとして構成されたものが使用され、複数個の充電式バッテリー21が並列かつ着脱可能にマウントされている。放電により充電式バッテリー21の出力電圧が下がった場合は、バッテリーコントローラ24から当該の充電式バッテリー21を取り外し、充電済みの別の充電式バッテリー21を装着可能である。このとき、各充電式バッテリー21はバッテリーコントローラ24上でホットスワップが可能である。また、電源モジュール22が外部電源26から受電中の状態では、バッテリーコントローラ24は当該外部電源電圧により充電式バッテリー21の充電を実行することができる。さらに、電源モジュール22が外部電源26から受電している状態で、停電により該受電が途絶えた場合は充電式バッテリー21からの受電に切り替えることで、無線通信ユニット1が無瞬停により動作継続可能である(後述)。
【0027】
電源モジュール22は、各コンポーネントにて要求される複数の直流電源電圧に対応するために、出力電圧の異なる複数の安定化直流電源回路(図示せず)を搭載している。
図3は、無線通信ユニット1内の各コンポーネントへの電源供給形態を示すものであり、各コンポーネントの枠線上の〇印は電源端子を示し、これらをつなぐ破線は電源ラインを示す。本実施形態においては、主要なハードウェアがEPCコンピュータ300のみのEPCモジュール3にはDC3.5Vが、スイッチング駆動部を有するスイッチングハブ11にはDC5Vが、それぞれバックプレーン12を介して分配入力される。また、無線通信部412を有する無線基地局モジュール4にはDC3.5Vが、WiFiモジュール908を有する統括制御モジュール9にはDC5Vが入力される。また、
図3において、各コンポーネントの枠線上の□印はLANポートを示し、これらをつなぐ実線(一重)は第一のネットワークをなすイーサネットバス(あるいはLANケーブル)32を示す。さらに、各コンポーネントの枠線上の■印はI
2Cポートを示し、これらをつなぐ実線(二重)は第二のネットワークをなすI
2Cバス52を示す。また、●印は外部接続用のポート(及びコンポーネント上の対応端子)を示す。具体的には、ソフトウェアルータ8の外部ポート群31Aとして、APPポート(アプリケーションサーバ接続用ポート)、MNTポート(無線通信ユニット1の運用管理用LANに接続するためのポート)、BHポート(インターネット等に接続するためのバックホール用ポート)が設けられている。また、無線基地局モジュール4の外部ポート群31Bは、
図2の無線通信部412にアンテナ413を接続するためのものである。TRx1ポートは送受信共用アンテナの接続ポートであり、Rx2ポートは送受信共用アンテナと受信ダイバーシチを形成する受信アンテナの接続用ポートである(
図2では、これら複数のアンテナ群からなるアンテナ413を1個のアンテナとして簡略化した形で図示している)。
【0028】
次に、
図2に示すように、可搬型筐体23上には、電源スイッチ65、制御スイッチ66及び異常報知部をなす複数のLED60が設けられている。電源スイッチ65及び制御スイッチ66は制御ボード13上の拡張入出力部910に接続される。また、複数のLED60はI
2Cデバイスとして構成されたLEDドライバ17に電流調整抵抗62(
図3参照)を介して接続される。
図3に示すように、電源スイッチ65及び制御スイッチ66の信号ラインは抵抗67を介して信号電源電圧Vccによりプルアップされ、スイッチ開閉状態を反映した二値のスイッチ信号を拡張入出力部910に入力する。このうち、電源スイッチ65の操作により入力されるスイッチ信号は主起動信号をなし、EPC通信ファームウェア305a及び基地局通信ファームウェア405aを一括して立上げるための指令信号として使用さる(拡張入出力部910は主起動信号受付部として機能する)。また、制御スイッチ66の操作により入力されるスイッチ信号はシステムリセットやその他の制御入力用に使用される。
【0029】
一方、無線基地局モジュール4には第一の温度センサ(以下、図面では「温度センサ1」とも表示する)15Aが、後述の制御ボード13には第二の温度センサ(以下、図面では「温度センサ2」とも表示する)15Bそれぞれ設けられている。以下、無線通信ユニット1の内部構造の実例を、各モジュール、温度センサ15A,15B及び冷却ファン14A,14Bの配置形態とともに説明する。
図21は無線通信ユニット1の内部構造を示す側面図であり、
図22は平面図である。可搬型筐体23の長手方向(第一方向:紙面内左右方向)において、その第一端側の側壁部に気流入口23yが形成され、ここに冷却ファン14A,14Bが取り付けられている。具体的には、
図22に示すごとく、1対の冷却ファン14A,14Bが可搬型筐体23の幅方向(第二方向:紙面上下方向)に所定の間隔をおいて配置されている。一方、
図22に示すように、可搬型筐体23の長手方向において第二端側の側壁部には気流出口23wが形成され、エアフィルタ23fにより覆われている。冷却ファン14A,14Bの作動により気流入口23yより外気FAが取り込まれ、冷却風として可搬型筐体23内部を長手方向に流通したのち気流出口23wより排出される。
【0030】
可搬型筐体23の底部には底部支持板233が配置されている。該底部支持板233の上面にはデュプレクサ404が取り付けられている。デュプレクサ404は、
図2に示すように、無線通信部412のアンテナ413に含まれる送受信共用アンテナの直下に設けられ、アンテナ送信経路とアンテナ受信経路とを電気的に分離して、強力な送信波が受信側に流入することを阻止するための部品である。無線基地局の場合は送信波出力が例えば100~250W前後と高いため、キャビティフィルタ等で構成された大型のローパスフィルタ部品が含まれる。該デュプレクサ404は、空間寸法が大きい反面、発熱量は小さい。よって、
図21のごとく、可搬型筐体23の底部上面に配置するのが望ましいといえる。
【0031】
次に、底部支持板233の上方には中間支持板234がモジュール支持板として配置されている。底部支持板233と中間支持板234とは、板面外周縁部に配置された複数の支柱部235により互いに連結されている。該中間支持板234の上面はモジュール取付面を形成し、可搬型筐体23内部の冷却風の流通方向(長手方向、第一方向)において上流側(気流入口23yに近い側)に無線基地局モジュール4及び電源モジュール22を含む無線駆動系モジュール群が、同じく下流側(気流出口23wに近い側)にEPCモジュール3、統括制御モジュール9及び制御ボード13を含む制御系モジュール群が、それぞれ配置されている。冷却風の風上側に発熱量の大きい無線駆動系モジュール群を配置することで、無線駆動系モジュール群の冷却を効果的に実施でき、制御系モジュール群をその風下側に分離することで制御系モジュール群の過度の温度上昇を防止できる。そして、前述の温度センサ15A,15Bは、第一の温度センサ15Aが無線駆動系モジュール群の占有空間内に、第二の温度センサ15Bが制御系モジュール群の占有空間内にそれぞれ配置されている。なお、以下において、中間支持板234(モジュール支持板)を水平に配置した時の上面(モジュール取付面)から垂直に立ち上がる向きを便宜的に上下方向と定義して説明するが、可搬型筐体23内におけるモジュール取付面の向きは水平方向に限定されるものではなく、例えばモジュール取付面が水平面に対して傾斜ないし直交する形態となっていてもよい。
【0032】
作動時の発熱が大きい無線駆動系モジュール群の占有空間に第一の温度センサ15Aを配置して温度検出することにより、可搬型筐体23内での無線駆動系モジュール群の発熱源としての挙動を把握することができる。他方、作動時の発熱が小さい制御系モジュール群の占有空間に第二の温度センサ15Bを配置して温度検出することにより、無線駆動系モジュール群を通過後の冷却風でも、制御系モジュール群に対する冷却効果が十分達成されているかどうかを的確に把握することができる。また、上記のように発熱源(無線駆動系モジュール群)近傍での温度検出と、発熱源から送風方向下流側に離れた位置での温度検出とを組み合わせることで、可搬型筐体23内に温度異常が発生した場合の原因特定がより容易になる場合がある。例えば、冷却ファン14A,14Bが異常により停止した場合は、発熱源に近い第一の温度センサ15Aの検知温度が直ちに上昇し始め、その後、やや遅延して第二の温度センサ15Bの検知温度が上昇するなどの特有の挙動が生じる。また、制御系モジュール群において短絡などによる過電流が生じた場合は、第一の温度センサ15Aの検知温度がそれほど変化しないのに対し、制御系モジュール群内の発熱を検知する第二の温度センサ15Bの検知温度が急激に上昇を開始する。2つの温度センサ15A,15Bの上記のような温度検知挙動の相違を参照することで、温度異常発生の要因特定に寄与する情報を容易に取得することができる。
【0033】
中間支持板234のモジュール取付面(上面)に対し無線基地局モジュール4及び電源モジュール22は構成部品が実装される基板4s,22sの主表面が平面視にて互いに重なるよう、上下に隣接配置されるとともに、両者の間に冷却風流通隙間231が形成されている。冷却ファン14A,14Bは、この冷却風流通隙間231に対し冷却風の一部が吹き込み可能となるように、可搬型筐体23に対する取付位置が定められている。発熱量が大きい無線駆動系モジュール群をなす無線基地局モジュール4及び電源モジュール22を上記のように隣接配置することで、可搬型筐体23内にてモジュール取付面に対する無線駆動系モジュール群の専有面積を縮小でき、無線通信ユニット1のコンパクト化に寄与する。そして、発熱量の大きい無線基地局モジュール4及び電源モジュール22が隣接配置されているにも関わらず、両者の間に形成されている冷却風流通隙間231に冷却風が送られることで両者の発する熱をより効果的に排出でき、無線駆動系モジュール群の温度が過度に上昇することをさらに効果的に抑制できる。
【0034】
図21に示すように、電源モジュール22は構成部品(コイル22i,コンデンサ22c及びDC/DC変換IC22d等を含む)が実装された基板22sを有する。また、無線基地局モジュール4も同様に、構成部品(パワーアンプ素子等のパワー半導体素子4aを含む)が実装された複数の基板4sを有する。これら基板22s,4sは支柱部232により上下に互いに連結されている。
【0035】
また、中間支持板234のモジュール取付面に対し、電源モジュール22が下側に、無線基地局モジュール4が上側に配置されており、冷却ファン14A,14Bからの冷却風は、冷却風流通隙間231に向かう第一気流CFAと、無線基地局モジュール4の基板4sの法線方向にて、冷却風流通隙間231に面しているのと反対側(つまり、
図21において無線基地局モジュール4の上面側)に向かう第二気流CFBとに分流するようになっている。これにより、特に発熱量の大きい無線基地局モジュール4については上下に冷却風を流通させることができ、より効率的な冷却が可能となる。無線基地局モジュール4の送信出力が例えば100~250Wのとき、冷却ファン14A,14Bによる冷却風の風速は1~2m/秒程度確保されているのがよい。
【0036】
無線基地局モジュール4のパワー半導体素子4aは無線基地局モジュール4の上面側、すなわち複数の基板4sのうち最上部に位置するものに実装され、該パワー半導体素子4aの上面と密着する形でアルミニウム等の金属により構成されたヒートシンク板4hが設けられている。該ヒートシンク板4hの上面には複数の金属製の放熱フィン4fが、ヒートシンク板4hの上面から垂直に立ち上がる形態で一体形成されている。
図22に示すように、放熱フィン4fの長手方向は可搬型筐体23の長手方向(冷却風の送風方向)と一致する形で配置され、隣接する放熱フィン4f,4fの間の隙間が冷却風の通路4k(
図24参照)を形成している。これにより、
図21の第二気流CFBによるパワー半導体素子4aの冷却効率を大幅に向上することができる。
【0037】
図21に示すように、冷却ファン14A,14Bは可搬型筐体23に対し、ファン回転羽根14pの回転軸線Jの延長が無線駆動系モジュール群の側面の高さ方向中間位置を通るように取り付けられている。冷却ファン14A,14Bはそれぞれ、ファン駆動モータ等が収容されるベース部14bと、該ベース部14bに一体化されファン回転羽根14pが収容された本体部14mとを有する。本体部14mはベース部14bに対し、ファン回転羽根14pの回転軸線Jの延長が冷却風流通隙間231の内側に入り込む形で上向きに傾斜するように取り付けられている。これにより、冷却ファン14A,14Bの冷却風は、第一気流CFAが冷却風流通隙間231に対し斜め下側から効率よく吹き込まれる一方、モジュール取付面から遠い無線基地局モジュール4の上面側(ヒートシンク板4h及び放熱フィン4fが設けられている側)にも第二気流CFBを比較的大きな流量で導くことができる。
【0038】
冷却ファン14A,14Bの送
風方向正面側には、冷却風を上記の第一気流CFA及び第二気流CFBに分割する気流ガイド板14sが設けられている。気流ガイド板14sは、第二気流CFBが無線駆動系モジュール群の上面側に誘導されるよう、板面がファン回転羽根14pの回転軸線Jよりも上方に傾斜して配置されている。これにより、第二気流CFBは無線駆動系モジュール群の上面側(
図21の例では無線基地局モジュール4の上面側)にさらに効率よく導かれ、無線駆動系モジュール群の冷却を促進することができる。
図24に示すように、気流ガイド板14sは、両端に取付アーム部14sfが一体化され、該取付アーム部14sfにて冷却ファン14A,14Bのベース部14bに対しねじ等の締結部材14tにより固定されている。
【0039】
また、
図21に示すように、無線基地局モジュール4の放熱フィン4fの上面側には遮蔽板4pが取り付けられている。遮蔽板4pもまた金属製とすることができる。
図24に示すように、この遮蔽板4pを設けることにより、隣接する放熱フィン4f,4f間には前述の冷却風の通路4kが、遮蔽板4pにより上方がふさがれた方形断面に形成される。
図25に示すように、通路4kの入り口部に斜め下方から吹き付けられる第二気流CFBは、もし遮蔽板4pが存在しなければ通路4kの上方に吹き抜けてしまい、ヒートシンク板4hの板面に沿った冷却風の流れが形成されにくい。しかし、遮蔽板4pが設けられていれば、第二気流CFBが上方に抜けることが妨げられ、通路4k内部の流れが優位となって、第二気流CFBをヒートシンク板4hの板面とより効率的に接触させることができる。また、遮蔽板4pの入り口側の縁に斜め下側から第二気流CFBが当たりことでエッジ効果が生じ、通路4k内部の入り口付近に生じるカルマン渦により流れが絞られて高速化する結果、その減圧効果によって通路4k内に気流を引き込む効果も期待できる。
【0040】
図21に戻り、制御系モジュール群を形成するEPCモジュール3、統括制御モジュール9、スイッチングハブ11及び制御ボード13は、冷却風の送風方向において、無線駆動系モジュール群(無線基地局モジュール4及び電源モジュール22)の下流側に配置されている。このうち、統括制御モジュール9及び制御ボード13については、中間支持板234上に直接取り付けられている。
図23は中間支持板234の上面(モジュール取付面)における各基板の取付レイアウトを示すものであり、モジュール取付面内にて可搬型筐体23の長手方向(送風方向、図面左右方向)と直交する向きを奥行き方向と定義した時、電源モジュール22の送風方向下流側にて該奥行き方向に、統括制御モジュール9の基板と制御ボード13とが中間支持板234に対し互いに隣接する形で組付けられている。
【0041】
また、これら電源モジュール22の送風方向下流側には柱状の基板支持枠236が4本立設されている。
図21に示すように、該基板支持枠236に対し下側から、EPCモジュール3の基板とスイッチングハブ11の基板の各四隅が、送風用の隙間を上下方向に形成する形で取り付けられている。
【0042】
次に、温度センサ15A,15Bは、駆動状態情報取得ノードをなす内部温度監視デバイス85A,85B(
図4上)に取り付けられ、通信本体部の作動環境情報として可搬型筐体23の内部温度情報を取得する役割を果たす。
図21に示すように温度センサ15A,15Bは、いずれも内部温度監視デバイス85A,85Bを構成する基板上に実装されている。第一の温度センサ15Aについては、内部温度監視デバイス85Aの基板とともに無線基地局モジュール4の側面に取り付けられている。また、第二の温度センサ15Bは内部温度監視デバイス85Bの基板とともに、制御ボード13上に立設されたI
2Cバスマスタ907の基板907s上に実装されている(基板907sは広義に制御ボード13に属するものとする)。いずれの温度センサ15A,15Bも、無線駆動系モジュール群及び制御系モジュール群の奥行き方向における側面位置にて温度検知するように配置されている。
【0043】
一方、冷却ファン14A,14Bには、駆動状態情報取得ノードをなすファン動作監視デバイス84A,84B(
図4上:冷却装置駆動状態情報取得ノード、スレーブノード)が組み込まれ、通信本体部の作動環境情報として例えばファンの回転速度、温度及び駆動電流値などを監視し、取得する役割を果たす。また、外部電圧監視部16は駆動状態情報取得ノードをなし、電源モジュール22のAC/DCコンバータ25からの受電電圧を作動環境情報として監視し、取得する役割を果たす。さらに、バッテリーコントローラ24も駆動状態情報取得ノードをなし、作動環境情報としてバッテリー(BTT)残量、バッテリー電圧及びバッテリー温度を監視し、取得する役割を果たす。
【0044】
図4上に示すように、作動環境情報取得ノードをなすファン動作監視デバイス84A,84B、内部温度監視デバイス85A,85B、外部電圧監視部16及びバッテリーコントローラ24はI
2C通信のスレーブノードとして構成されている。一方、制御ボード13上のI
2Cバスマスタ907はI
2C通信におけるマスタノードとして機能し、上記各スレーブノード(作動環境情報取得ノード)がI
2Cバス52により接続されるとともに、各スレーブノードから作動環境情報を検知ログの形で取得する作動環境情報取得部を構成する。
【0045】
このように、統括制御モジュール9と通信本体部(基地局コンピュータ400及びEPCコンピュータ300)とを接続する通信ネットワーク(第一のネットワーク)から、作動環境情報を取得するためのネットワーク(第二のネットワーク)を分離することで、通信本体部自体の制御に必要な複雑な通信シーケンスから、作動環境情報を取得するための通信シーケンスを独立させることができ、作動環境情報の取得をより簡便かつスムーズに行うことができる。また、第二のネットワークインターフェース側にマスタノードを設け、作動環境情報取得ノードとなるスレーブノードをアドレス指定する形で情報要求コマンドをマスタノードからスレーブノードに送信し、これに応答する形でスレーブノードからマスタノードに作動環境情報を送信するように構成することで、複数のデバイスから作動環境情報を取得する際のシーケンスの錯綜が生じず、より効率的な作動環境情報の収集を図ることができる。そのような第二のネットワークとして、特にI2Cネットワークを使用すると、比較的サイズの大きい作動環境情報であってもシリアル通信により簡易に送受信制御することが可能となり、複雑な入出力ポート制御処理も不要である。
【0046】
以下、I2C通信の概略について説明する。I2C通信においては、マスタノード(I2Cバスマスタ907)とスレーブノードが明確に区分され、マスタノードが制御を主導する。マスタノードとスレーブノードとを接続するI2Cバス52は、クロック線SCLとデータ線SDAとの2ラインからなり、マスタノードがクロック線SCLにより送信するクロック信号を基準として、二値のデータ信号がデータ線SDA上でシリアル転送される。個々のスレーブノードは固有のアドレスを有し、情報送信がなされた場合、送信元のノードに対し送信先ノードからアクノリッジ信号(ACK)が必ず返される。
【0047】
図4下にI
2C通信のデータフレーム1100の構造を示す。データフレーム1100には、以下のフィールドが含まれる。
・アドレスフィールド1101:データ転送先となるスレーブノードのアドレスが7ビット又は10ビットで転送される。アドレスフィールド1101の情報転送方向は、必ずマスタ(M)→スレーブ(S)である。全スレーブノードがこの時のクロックを元にアドレスを受信し、自身のアドレスと一致したスレーブノードだけが、その後の送受信を継続する。作動環境情報取得ノードをなすファン動作監視デバイス84A,84B、内部温度監視デバイス85A,85B、外部電圧監視部16及びバッテリーコントローラ24には、互いに異なるアドレスが付与され、そのアドレスは作動環境情報の取得対象となるデバイスの種別を特定する情報としても機能する。
・R/Wフィールド1102:1ビットのR/Wモード情報が転送される。R/Wモード情報が「0」の時はスレーブ(S)からマスタ(M)への情報入力(Readモード:スレーブノードからの情報読取り)となり、R/Wモード情報が「1」の時はマスタ(M)からスレーブ(S)への情報出力(Writeモード:スレーブノードへの情報書込み)であることを示す。転送方向は、マスタ(M)→スレーブ(S)である。
・ACK1103:R/Wフィールドの送受信に対するアクノリッジ信号であり、転送方向は、Readモードではマスタ(M)←スレーブ(S)、Writeモードではマスタ(M)→スレーブ(S)となる。
・データフィールド1104:1バイト(8ビット)の情報(データ又はコマンド)が転送される。転送方向は、Readモードではマスタ(M)→スレーブ(S)、Writeモードではマスタ(M)←スレーブ(S)となる。その内容がコマンドである場合、スレーブノードをなすデバイスの種別ごとに、取得するべき作動環境情報の種別(例えばバッテリーコントローラ24の場合は、バッテリー残量、バッテリー電圧、温度など)が、該種別に一義的に対応付けられたコマンドによって特定されることとなる。
・ACK1105:データフィールドの送受信に対するアクノリッジ信号であり、転送方向は、Readモードではマスタ(M)←スレーブ(S)、Writeモードではマスタ(M)→スレーブ(S)となる。
なお、転送するべき情報の全サイズがデータフィールド1104のサイズよりも大きい場合は、複数のデータフィールド1104に分割して情報転送がなされる。
【0048】
図11は、Readモードにおけるマスタノードの処理フローを示すものである。S151でI
2Cバス(SCL及びSAD)を情報転送開始状態(Start Condition)とし、S152で情報要求先となるスレーブノードのアドレスを出力するとともに、R/Wモード情報として「0」を出力する。S153でACKの入力があればS154に進み、スレーブノードからのデータ(あるいはコマンド)を入力する(ACKがない場合はS159のエラー処理へ進む)。S155でデータ(あるいはコマンド)が正常に入力された場合はS156に進み、ACKをスレーブノードに返す(正常に入力できなかった場合はS159のエラー処理へ進む)。S157で全データの入力が終了していない場合はS154へ戻り、以下の処理を繰り返す。一方、S157で全データの入力が完了した場合はS158に進み、I
2Cバスを情報転送終了状態(Stop Condition)とし、終了する。
【0049】
図12は、Writeモードにおけるマスタノードの処理フローを示すものである。S101でI
2CバスをStart Conditionとし、S102で情報転送先となるスレーブノードのアドレスを出力するとともに、R/Wモード情報として「1」を出力する。S103でACKの入力があればS104に進んでデータ(あるいはコマンド)を出力する(ACKがない場合はS108のエラー処理へ進む)。S105でスレーブノードからのACKが受信できた場合はS106に進み、全データの出力が終了したかどうかを確認する。終了していない場合はS104へ戻り、以下の処理を繰り返す。一方、S106で全データの出力が完了した場合はS107に進み、I
2Cバスを情報転送終了状態(Stop Condition)とし、終了する。
【0050】
以下、3GPP仕様の通信方式にかかる概略について説明する。
図5は、UE5と無線通信ユニット1との間のデータ伝送に使用するIPパケットの構造を示す模式図である。IPパケット1300はIPヘッダ1301とペイロード1302とからなり、IPヘッダ1301にはPDU識別番号、データの送信元アドレス1301a、送信先アドレス1301bなどが書き込まれる。また、IPヘッダ1301にはToS(Type of Service)フィールド1301cが形成さている。ToSフィールド1301cはパケットの転送優先度及び通信の種類を規定するものである。
【0051】
図6及び
図7は、EPC通信ファームウェア305aあるいは基地局通信ファームウェア405aの基礎となる3GPP仕様の無線プロトコルスタックを示す。
図6はユーザプレーンのプロトコルスタックを、
図7はコントロールプレーンのプロトコルスタックを示している。該無線プロトコルスタックは、OSI参照モデルのレイヤ1~レイヤ3に区分されており、レイヤ1はPHY(物理)層である。レイヤ2は、MAC(Medium Access Control:メディアアクセス制御)層、RLC(Radio Link Control:無線リンク制御)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol:パケットデータ暗号化)層を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control:無線リソース制御)層及びNAS(Non-Access Stratum:非アクセス)層を含む。
【0052】
各層の役割は以下の通りである。
・PHY層:符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行なう。
・MAC層:データの優先制御、HARQによる再送制御処理、及びランダムアクセス手順等を行なう。UE5のMAC層と無線基地局モジュール4のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。無線基地局モジュール4のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE5への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
【0053】
・RLC層:MAC層及びPHY層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE5のRLC層と無線基地局モジュール4のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
・PDCP層:PDUのヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行なう。
・RRC層:制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE5のRRC層と無線基地局モジュール4のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル及び物理チャネルを制御する。UE5のRRCと無線基地局モジュール4のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE5はRRCコネクティッドモードとなり、そうでない場合はRRCアイドルモードとなる。
【0054】
以上の層はコントロールプレーン及びユーザプレーンの双方にて使用される。一方、コントロールプレーンのみ、UE5及びMME2には、RRC層よりさらに上位のセッション管理及びモビリティ管理等を行なうNAS層が設けられる。また、無線基地局モジュール4のEPCモジュール3側とのユーザデータ伝送インターフェースには、GTP-U(GPRS(General Packet Radio Service)Tunneling Protocol for User Plane)層が設けられている。GTP-U層は、接続先のUE5の識別や、使用する無線ベアラの識別を行なうためのものである。
【0055】
次に、
図8は、下りリンクのチャネルマッピングを示す。ここでは、論理チャネル(Downlink Logical Channel)、トランスポートチャネル(Downlink Transport Channel)及び物理チャネル(Downlink Physical Channel)相互間のマッピング関係を示している。以下、順に説明する。
・DTCH(Dedicated Traffic Channel:専用トラフィックチャネル)は、データの送信のための個別論理チャネルである。DTCHは、トランスポートチャネルであるDLSCH(Downlink Shared Channel:下りシェアドチャネル)にマッピングされる。
・DCCH(Dedicated Control Channel:専用制御チャネル):UE5とネットワークとの間の個別制御情報を送信するための論理チャネルである。DCCHは、UE5が無線基地局モジュール4とRRC接続を有する場合に用いられる。DCCHは、DLSCHにマッピングされる。
・CCCH(Common Control Channel:共通制御チャネル):UE5と無線基地局モジュール4との間の送信制御情報のための論理チャネルである。CCCHは、UE5が無線基地局モジュール4との間でRRC接続を有していない場合に用いられる。CCCHは、DLSCHにマッピングされる。
・BCCH(Broadcast Control Channel:放送制御チャネル):システム情報配信のための論理チャネルである。BCCHは、トランスポートチャネルであるBCH(Broadcast Channel、放送チャネル)又はDLSCHにマッピングされる。
・PCCH(Paging Control Channel:ページング制御チャネル):ページング情報、及びシステム情報変更を通知するための論理チャネルである。PCCHは、トランスポートチャネルであるPCH(Paging Channel:ページングチャネル)にマッピングされる。
【0056】
また、トランスポートチャネルと物理チャネルとの間のマッピング関係は以下の通りである。
・DLSCH及びPCH:PDSCH(Physical Downlink Shared Channel:物理下りシェアドチャネル)にマッピングされる。DLSCHは、HARQ、リンクアダプテーション、及び動的リソース割当をサポートする。
・BCH:PBCH(Physical Broadcast Channel:物理ブロードキャストチャネル)にマッピングされる。
【0057】
図9は、上りリンクのチャネルマッピングを示す。
図8と同様に、論理チャネル(Downlink Logical Channel)、トランスポートチャネル(Downlink Transport Channel)及び物理チャネル(Downlink Physical Channel)相互間のマッピング関係を示している。以下、順に説明する。
・CCCH(Common Control Channel:共通制御チャネル):UE5とEPCモジュール3との間の制御情報を送信するために使用される論理チャネルであり、EPCモジュール3と無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)接続を有していないUE5によって使用される。
・DCCH(Dedicated Control Channel:専用制御チャネル):1対1(point-to-point)の双方向の論理チャネルであり、UE5とEPCモジュール3と間で個別の制御情報を送信するために利用するチャネルである。専用制御チャネルDCCHは、RRC接続を有しているUE5によって使用される。
・DTCH(Dedicated Traffic Channel:専用トラフィックチャネル):1対1の双方向論理チャネルであり、特定のUE専用のチャネルであって、ユーザ情報の転送のために利用される。
【0058】
・ULSCH(Uplink Shared Channel:上りリンク送受信チャネル):HARQ)、動的適応無線リンク制御、間欠送信(DTX:Discontinuous Transmission)がサポートされるトランスポートチャネルである。
・RACH(Random Access Channel:ランダムアクセスチャネル):制限された制御情報が送信されるトランスポートチャネルである。
【0059】
・PUCCH(Physical Uplink Control Channel:物理上りリンク制御チャネル):下りリンクデータに対する応答情報(ACK(Acknowledge)/NACK(Negative acknowledge))、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator )、および、上りリンクデータの送信要求(スケジューリングリクエスト:Scheduling Request:SR)を無線基地局モジュール4に通知するために使用される物理チャネルである。
・PUSCH(Physical Uplink Shared Channel:物理上りリンク送受信チャネル):上りリンクデータを送信するために使用される物理チャネルである。
・PRACH(Physical Random Access Channel:物理ランダムアクセスチャネル):主にUE5から無線基地局モジュール4への送信タイミング情報(送信タイミングコマンド)を取得するためのランダムアクセスプリアンブル送信に使用される物理チャネルである。ランダムアクセスプリアンブル送信はランダムアクセス手順の中で行なわれる。
【0060】
図9に示すように、上りリンクでは、次のようにトランスポートチャネルと物理チャネルのマッピングが行われる。上りリンク送受信チャネルULSCHは、物理上りリンク送受信チャネルPUSCHにマッピングされる。ランダムアクセスチャネルRACHは、物理ランダムアクセスチャネルPRACHにマッピングされる。物理上りリンク制御チャネルPUCCHは、物理チャネル単独で使用される。また、共通制御チャネルCCCH、専用制御チャネルDCCH、専用トラフィックチャネルDTCHは、上りリンク送受信チャネルULSCHにマッピングされる。
【0061】
LTEシステムの下りリンクにおいては、UE5は無線基地局モジュール4に対してOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing、直交周波数分割多重)アクセス(OFDMA)により無線接続する。OFDMA方式は、周波数分割多重と時間分割多重とを複合させた二次元の多重化アクセス方式として特徴づけられる。具体的には、直交する周波数軸と時間軸のサブキャリアを分割してUE5に割り振り、各サブキャリアの信号がゼロ(0点)になるように、周波数軸上で直交するサブキャリアを分割する。サブキャリアを分割して周波数軸上に割り当てることにより、あるサブキャリアがフェージングの影響を受けても影響のない別のサブキャリアを選択することができるので、ユーザは無線環境に応じてより良好なサブキャリアを使用でき、無線品質を維持できる利点が生ずる。
【0062】
そして、OFDMA方式においては、周波数軸と時間軸とが張る仮想平面上で定義されるリソースブロック(Resource Block:以下、RBともいう)が無線リソースとして採用される。RBは
図10に示すように、上記平面を180kHz/0.5msecでマトリックスに区切ったブロックとして定義され、各リソースブロックRBは周波数軸上では15kHz間隔で隣接する12個のサブキャリアを、時間軸上ではフレームの1スロット分(7シンボル)を含む。このRBは時間軸上で隣接する2つ(1msec)を1組としてUE5に割り当てられる。他方、LTEシステムの上りリンクにおいても、SC-FDM(Single Career Frequency-Division Multiplexing)アクセス(SC-FDMA)が採用される点を除き、同様の概念のリソースブロックRBが無線リソースとして用いられる。OFDMAでは1つのリソースブロックが周波数軸上で12のサブキャリア(帯域幅:15kHz)に分割されるのに対し、SC-FDMAはサブキャリアへの分割がなされないシングルキャリア方式である。
【0063】
上記の構成の無線通信ユニット1において統括制御モジュール9は、統括制御ファームウェア905aの実行により、以下のような機能動作を行なう。
・作動環境情報取得部(I2Cバスマスタ907)が取得する作動環境情報に基づき、予め定められた作動環境異常が発生したか否かを判定する(作動環境異常判定部)。
・作動環境異常が発生していないと判定された場合にのみ通信本体部に本体立上げ指令を送信する(本体立上げ指令送信部)。
・作動環境異常が発生している場合に作動環境異常報知出力を行なう(異常報知部)。
・通信本体部における基地局機能プログラム及びEPC機能プログラムの立ち上げ後において、作動環境異常判定部により作動環境異常が発生したと判定した場合に、基地局機能プログラム記憶部に格納された基地局機能プログラム及びEPC機能プログラム記憶部(フラッシュメモリ305)に格納されたEPC機能プログラム(EPC通信ファームウェア305a)のクローズ処理の実行を通信本体部に指令し、その後通信本体部の電源遮断処理を行なう(作動中異常対応処理部)。
【0064】
図2のLED60は異常報知部の機能を有し、例えば
図19に示すようなものを含む。
・電源LED60A:電源スイッチ65の操作状態を示し、例えば電源モジュール22が受電状態にて、電源スイッチ65がオン操作されると点灯、オフ操作されると消灯する。
・作動LED60B:通信本体部(EPCモジュール3及び無線基地局モジュール4)が受電して立上り作動しているか否か(EPC通信ファームウェア305a及び基地局通信ファームウェア405aが起動し、実行されているか否か)を報知する。例えば、立上り作動している場合に点灯し、そうでない場合に消灯する。
・ファンLED60C:冷却ファン14A,14Bに異常がある場合に例えば点灯し、そうでない場合に消灯する。
・温度LED60D:温度センサ15A,15Bの検知温度に異常がある場合に例えば点灯し、そうでない場合に消灯する。
・バッテリーLED60E:充電式バッテリー21の残量が閾値未満になるなど、バッテリー21からの正常な給電が困難になった場合に例えば点灯し、そうでない場合に消灯する。
・外部電源LED60F:外部電源26からの入力がある場合に点灯し、そうでない場合に消灯する。
【0065】
以下、統括制御ファームウェア905aによる機能実現処理の詳細を、フローチャートを用いて説明する。
図2において、電源OFFの状態でユーザが
図2の電源スイッチ65を押すと、統括制御コンピュータ900の入出力部909に主起動信号が入力される。
図13は、無線通信ユニット1の動作を起動する際の起動シーケンスの処理流れを示すものであり、S201において主起動信号が検出されると電源ONと判断され、S202にて統括制御コンピュータ900(統括制御ファームウェア905a)を立ち上げる。S203ではI
2Cバスマスタ907に電源ONを通知する。I
2Cバスマスタ907はI
2C通信によりLEDドライバ17に電源LED60Aの点灯指示コマンドを送信する。LEDドライバ17はこれを受け、T203にて電源LED60Aを点灯させる。
【0066】
次にS204では、バッテリーコントローラ24からの検知ログ収集をI2Cバスマスタ907に指令する。I2Cバスマスタ907はI2C通信によりバッテリーコントローラ24に検知ログ収集コマンドを送信する。バッテリーコントローラ24はこれを受け、検知ログ(作動環境情報)を送信する。S205にてI2Cバスマスタ907はバッテリーコントローラ24からの検知ログを受信する。
【0067】
同様に、S206では、冷却ファン14A,14B(ファン動作監視デバイス84A,84B)及び温度センサ15A,15B(内部温度監視デバイス85A,85B)からの検知ログ収集をI2Cバスマスタ907に指令する。I2Cバスマスタ907はI2C通信によりファン動作監視デバイス84A,84B及び内部温度監視デバイス85A,85Bに検知ログ収集コマンドを送信する。ファン動作監視デバイス84A,84B及び内部温度監視デバイス85A,85Bは、それぞれこれを受け、検知ログ(作動環境情報)を送信する。S205にてI2Cバスマスタ907はファン動作監視デバイス84A,84B及び内部温度監視デバイス85A,85Bを受信する。
【0068】
S208では、受信した検知ログを解析し、異常の有無を解析する。
図14はその詳細を示すものである。S2081では、第一の温度センサ15A及び第二の温度センサ15Bの検知ログを解析する。いずれの温度センサにおいても、「正常」と判定されるのは検知温度dが上限値dmax以下となっている場合である。
【0069】
S2082では冷却ファン14A,14B(ファン動作監視デバイス84A,84B)の検知ログ解析を行なう。冷却ファン14A,14Bの動作が正常と判定されるための条件は、以下の通りである。
・回転速度uが正常範囲内であること(umin≦u≦umax:uminは許容最小回転速度、umaxは許容最大回転速度)。回転速度は、例えばロータリエンコーダなどの回転センサにより検出可能である(いずれも図示せず)。回転速度uがumin未満であることは、冷却ファン14A,14Bの駆動モータが断線その他の要因により正常に回転していないことを意味し、可搬型筐体23の内部の冷却が十分に進まず高温化する恐れがある。他方、回転速度uがumaxを超えることは、短絡等により冷却ファン14A,14Bの駆動モータに過剰電流が流れて暴走し、故障につながる可能性がある。
・温度Tfが正常範囲内であること(Tf≦Tfmax:Tfmaxは許容最高温度)。温度TfがTfmaxを超えることは、過負荷等の不具合により冷却ファン14A,14Bの駆動モータが異常発熱していることを意味し、故障につながる可能性がある。冷却ファン14A,14Bの温度については、例えば駆動モータの筐体表面の温度を温度センサ(図示せず)により検出することができる。
【0070】
・電流Ifが正常範囲内であること(Ifmin≦If≦Ifmax:Ifminは許容最小電流値、Ifmaxは許容最大電流値)。電流IfがIfmin未満であることは、冷却ファン14A,14Bの駆動モータが断線その他の要因により正常に回転していないことを意味し、可搬型筐体23の内部の冷却が十分に進まず高温化する恐れがある。他方、電流IfがIfmaxを超えることは、短絡等により冷却ファン14A,14Bの駆動モータに過剰電流が流れて暴走し、故障につながる可能性がある。
【0071】
なお、回転速度uと電流Ifの検出はいずれかを省略することも可能であるが、双方を共に検出することで、冷却ファン14A,14Bの回転に生じた異常の原因をより正確に特定する上で有益となる場合がある。例えば、電流IfがIfmaxを超え、回転速度uがuminになっている場合は、駆動モータへの通電はなされているが、ファンの回転が異物や伝達系の不調により強制的に妨げられて過負荷状態になっている状況が考えられる。他方、電流IfがImin未満であり、回転速度uがumin未満のときは断線か電源異常の可能性が高い。本実施形態のように冷却ファンが複数設けられる場合は、それぞれの冷却ファンについて同様の監視を行なうことが望ましい。
【0072】
なお、より単純な形態として、冷却ファン14A,14Bが単に動作しているか否かを監視する場合は、冷却ファン14A,14Bを、ファン動作監視デバイス84A,84Bが随伴したI
2Cデバイスとしてあえて構成せずともよい場合あがる。例えば、
図20に示すように、冷却ファン14A,14Bの駆動電流値SFを、例えばシャント抵抗14R等により電圧信号とし、この電圧信号を、冷却ファン14A,14Bの作動・停止を示す二値の検知信号SFとして統括制御モジュール9に入力すればよい(本実施形態では拡張入出力部910に入力するようにしている)。
【0073】
図14に戻り、S2083では、バッテリーコントローラ24の検知ログを解析する。
動作が正常と判定されるための条件は、以下の通りである。
・バッテリー残量Crが規定下限値Crmin以上に確保されていること。
・バッテリー電圧Vbが正常範囲内であること(Vbmin≦Vb≦Vbmax:Vbminは許容最低バッテリー電圧、Vbmaxは許容最大バッテリー電圧)。バッテリー電圧VbがVbmin未満となることは、バッテリー残量が不足している場合のほか、バッテリー自体の故障や非装着によりバッテリー電圧が出力されていない可能性がある。また、バッテリー電圧がVbmaxを超えることは、バッテリー出力回路に対する他電源からの短絡などが不具合として生じている可能性がある。
・バッテリー温度Tbが許容最高温度Tbmax以下であること。バッテリー温度TbがTbmaxを超えることは、過充電や過放電など充電式バッテリーの仕様外の動作により異常発熱している可能性がある。
【0074】
そして、S2084では、以上の全ての解析項目が正常であるか否かを確認する。1つでも異常であればS2085に進んで異常判定を行なう。他方、S2084で全ての解析項目が正常であればS2086に進んで正常判定を行なう。
【0075】
図13に戻り、S209にて異常判定でない場合(すなわち、正常判定の場合)は、
図2においてスイッチングハブ11及びイーサネットバス32(LAN、第一のネットワーク)を経由してIPプロトコルに従い、S210にてEPCコンピュータ300にEPC通信ファームウェア(EPC機能プログラム)305aを立ち上げるための起動指示コマンド(本体立上げ指令)を送信する。EPCコンピュータ300はこれを受けてシステム始動し、EPC通信ファームウェア305aが立ち上げるとともに、立ち上処理が正常に完了すれば統括制御モジュール9に立上完了通知を返す。また、S211では無線基地局コンピュータ400に基地局通信ファームウェア(基地局機能プログラム)405aを立ち上げるための起動指示コマンド(本体立上げ指令)を同様に送信する。無線基地局コンピュータ400はこれを受けてシステム始動し、基地局通信ファームウェア405aを立ち上げるとともに、統括制御モジュール9に立上完了通知を返す。統括制御モジュール9は、S212で上記立上完了通知の受信の有無に基づきEPCコンピュータ300及び無線基地局コンピュータ400の正常起動を確認する。正常起動が確認できればS213に進み、I
2Cバスマスタ907に正常起動を通知する。I
2Cバスマスタ907はこれを受け、LEDドライバ17に「作動」を示すLED点灯コマンドを送信する。これにより、LEDドライバ17は
図19のLED60Bを点灯させる(T213)。
【0076】
一方、S209にて異常判定の場合は、S210及びS211の処理が実行されない。すなわち、EPCコンピュータ300及び無線基地局コンピュータ400に起動指示コマンド(本体立上げ指令)は送信されず、EPC通信ファームウェア305a及び基地局通信ファームウェア405aの立上げ処理、すなわちEPCモジュール3及び無線基地局モジュール4を含む通信本体部の起動処理がなされない。これに代わって処理はS214に進み、I
2Cバスマスタ907に異常発生を通知する。I
2Cバスマスタ907はこれを受け、LEDドライバ17に「異常」を示すLED点灯コマンドを送信する。具体的には
図14の異常解析処理において異常発生したデバイスの種別(温度センサ、冷却ファン及びバッテリー)をI
2Cバスマスタ907に通知し、I
2Cバスマスタ907はLEDドライバ17に対し、異常発生したデバイスに対応するLEDを点灯させるコマンドを送信する。
【0077】
これにより、
図19において、例えば冷却ファン14A,14Bの少なくともいずれかに前述の異常(の1又は複数)が生じた場合は、
図19のLED60Cが点灯する。また、温度センサ15A,15Bの少なくともいずれかの検知温度に異常が生じた場合は、LED60Dが点灯する。さらに、バッテリーコントローラ24が前述の異常(の1又は複数)を検知している場合は
図19のLED60Eが点灯する。なお、異常発生したデバイスが複数ある場合は、対応するLEDが複数同時に点灯する。他方、上記の異常発生時においては、「作動」を示すLED60Bは非点灯となる。なお、該異常発生状況の詳細(デバイス別の異常種別と発生時刻など)を、例えば
図2の統括制御モジュール9にLAN[接続された外部PC911や、WiFi接続されたUE5にGUI(Graphic User Interface)等により出力できるように構成してもよい。
【0078】
上記実施形態の方式においては、通信本体部の作動環境に1つでも異常が発生した場合、EPCモジュール3及び無線基地局モジュール4の通信ファームウェアは立上げ処理そのものが見送られる。例えば、可搬型筐体23の内部の温度が上昇し、温度センサ15A,15Bの検知温度が異常になると、EPCコンピュータ300ないし無線基地局コンピュータ400の動作が不安定化する確率が高くなり、無線基地局モジュール4及びEPCモジュール3が誤動作を起こしたり、他の無線システムの電波干渉源として動作したりしてしまう可能性がある。しかし、内部温度異常を含む作動環境異常が無線通信ユニットの起動時に把握され通信本体部の起動が阻止されることで、上記のような不具合を効果的に防止することができる。
【0079】
一方、温度センサ15A,15Bの検知温度が異常を示していなくとも、冷却ファン14A,14Bに停止などの異常が発生していれば、筐体内の冷却が進まないから、いずれは必ず温度異常につながり、同様の不具合を招来することは必至となる。よって、上記のように、可搬型筐体23内の内部温度情報とともに冷却ファン(冷却装置)の駆動状態情報も合わせて取得し、無線通信ユニット1の起動時に異常把握して通信本体部の起動を阻止することで、上記不具合をさらに効果的に防止することができる。
【0080】
EPC通信ファームウェア305a(EPC機能プログラム)及び基地局通信ファームウェア405a(基地局機能プログラム)は、フラッシュメモリなど記憶内容が書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されてはいるものの、その動作時には、設定パラメータの書き換えを含む一部の記憶内容の変更処理がなされる場合もある。よって、温度異常の発生は、プログラムの暴走等によりソフトウェアデータの一部を破壊にもつながる場合がある。しかし、上記方式を採用することにより、このようなソフトウェアデータの破壊も生じにくくすることができる。特に、電源スイッチ65のワンプッシュ操作によりEPCコンピュータ300ないし無線基地局コンピュータ400が一括して立ち上がる上記構成においては、異常発生を検知して適宜立上げを停止する機能を搭載していることにより、両コンピュータの通信ファームウェア305a及び405aを暴走・破壊等から極めて効果的に保護することができる。
【0081】
次に、上記実施形態の方式においては、バッテリーコントローラ24による充電式バッテリー21の状態も作動環境情報として取得され、異常発生した場合は通信本体部のEPCモジュール3及び無線基地局モジュール4の通信ファームウェアの立上げ処理が阻止される。具体的には、温度センサ15A,15Bの検知温度及び冷却ファン14A,14Bにおける異常発生の有無とは無関係に、バッテリー異常が検出された場合に上記通信ファームウェアの立上げ処理が阻止されるようになっている。
【0082】
無線通信ユニット1がバッテリーにより動作する環境において、例えば残量不足等によりバッテリーからの正常な給電が不能となっている状態にてEPC通信ファームウェア305a(EPC機能プログラム)及び基地局通信ファームウェア405a(基地局機能プログラム)が立ち上がろうとすると、プログラム起動中の電源遮断によりソフトウェアデータの破壊が生じる場合がある。よって、バッテリー異常が検出された場合に上記通信ファームウェアの立上げ処理を阻止することで、該不具合を効果的に防止することができる。
【0083】
特に、
図4の外部電圧監視部16の検知ログが示す受電電圧情報(受電状態情報)が外部電源電圧を正常に受電していない状態(例えば略0Vを示している状態)においては、外部電源電圧をバックアップとして使用できないので、バッテリー異常が検出された場合は、通信本体部の通信ファームウェアの立上げ処理を回避することが特に望ましいといえる。この場合、外部電源電圧を受電している場合は、バッテリー異常が検出された場合においても、外部電源電圧を使用しつつ通信本体部の通信ファームウェアの立上げ処理を実行するように構成することが可能である。
【0084】
一方、外部電源電圧を受電している場合にあっても、バッテリー異常が検出されたとき通信本体部の通信ファームウェアの立上げ処理を回避するように構成することもできる。外部電源電圧を使用しつつ通信本体部の通信ファームウェアの立上げ処理を実行している際に、万一停電等により外部電源電圧の受電が途切れた場合に、バッテリー異常が生じていると通信ファームウェアの立上げ処理を継続するための電源電圧の確保が不能となり、前述のソフトウェアデータの破壊を生じる可能性が生ずる。そこで、上記のように構成することで、通信ファームウェア立上げ処理中の停電等に対しても、ソフトウェアデータを破壊から保護することが可能となる。
【0085】
次に、
図15は、統括制御ファームウェア905aによる正常時の無線通信ユニット1の終了シーケンスを示すものである。S401では、無線通信ユニット1が起動中の状態において、
図2の電源スイッチ65を押すとS402に進み、終了処理が実行される。
図16は、終了処理の詳細を示すものであり、
図2のスイッチングハブ11及びイーサネットバス32(LAN、第一のネットワーク)を経由してIPプロトコルに従い、S4021にてEPCコンピュータ300にEPC通信ファームウェア(EPC機能プログラム)305aを終了(クローズ)するための終了指示コマンドを送信する。EPCコンピュータ300はこれを受けてクローズ処理に移行し、EPC通信ファームウェア305aをクローズするとともに、終了処理が正常に完了すれば統括制御モジュール9に終了完了通知を返す。また、S4022では無線基地局コンピュータ400に基地局通信ファームウェア(基地局機能プログラム)405aを終了(クローズ)するための終了指示コマンドを同様に送信する。無線基地局コンピュータ400はこれを受けて終了(クローズ)処理に移行し、基地局通信ファームウェア405aをクローズするとともに、終了処理が正常に完了すれば統括制御モジュール9に終了完了通知を返す。統括制御モジュール9は、S4023で上記終了通知の受信の有無に基づきEPCコンピュータ300及び無線基地局コンピュータ400の正常終了を確認する。正常終了が確認できればS4024に進み、I
2Cバスマスタ907に正常終了を通知する。I
2Cバスマスタ907はこれを受け、LEDドライバ17に「終了」を示すLED点灯コマンドを送信する。これにより、LEDドライバ17は
図19のLED60A(電源),60B(作動)を消灯する。そして、統括制御モジュール9の処理はS4025に進み、統括制御コンピュータの終了処理が実施されたのち、電源遮断される。
【0086】
一方、S4023にて正常終了でない場合(すなわち、異常判定の場合)はS4026に進み、I
2Cバスマスタ907に異常発生を通知する。T4026にてI
2Cバスマスタ907はこれを受け、
図19のLED60A(電源)は点灯継続し、60B(作動)は消灯する処理を行なう。LED60Aが点灯継続することにより、使用者は通信本体部の終了処理が正常に完了できなかったことを知ることができる。この場合、例えば、電源スイッチ65の長押し等により強制終了処理が実行されるように構成することもできる。
【0087】
次に、
図17は、通信本体部の各通信ファームウェア(EPC通信ファームウェア及び基地局通信ファームウェア)が一旦正常に立ち上り、その後の作動中に異常が発生した場合の統括制御ファームウェア905aによる処理の流れを示すものである。この処理は、例えばタイマー処理等により所定の時間間隔にて繰り返し実行される。S501では、冷却ファン14A,14B(ファン動作監視デバイス84A,84B)、温度センサ15A,15B(内部温度監視デバイス85A,85B)及びバッテリーコントローラ24からの検知ログ収集をI
2Cバスマスタ907に指示し、S502にてI
2Cバスマスタ907から各デバイスの検知ログを受信する。該ステップは、
図13のS204~S207に至る処理と同様である。そして、S503では
図14と同様の異常解析処理を実施する。S505で異常判定の場合はS506に進み、
図16の終了処理を実行する。このように、基地局通信ファームウェア405a(基地局機能プログラム)及びEPC通信ファームウェア305a(EPC機能プログラム)の立ち上げ後において通信本体部に作動環境異常が発生した場合は、両ファームウェアの終了処理が行われた後電源遮断が行われるので、上記異常時もソフトウェアデータを破壊から保護することができる。
【0088】
図18は、電源モジュール22に対する外部電源とバッテリー電源との切替えについての統括制御ファームウェア905aによる処理の流れを示すものである。この処理も所定の時間間隔にて繰り返し実行される。S601では、外部電圧監視部16(
図4)からの受電電圧にかかる検知ログの取得をI
2Cバスマスタ907に指示する。S602では、I
2Cバスマスタ907から該検知ログを受信する。S603では、その検知ログが受電中を示している場合はS604に進み、I
2Cバスマスタ907に外部受電ありを通知する。I
2Cバスマスタ907はこれを受け、LEDドライバ17に「外部電源受電中」を示すLEDの点灯コマンドを送信する。これにより、LEDドライバ17は
図19のLED60F(外部電源)を点灯する(T604)。
【0089】
一方、S603で検知ログが受電中を示していない場合はS606に進み、I
2Cバスマスタ907に外部受電なしを通知する。I
2Cバスマスタ907はこれを受け、LEDドライバ17に「外部電源受電中」を示すLEDの消灯コマンドを送信する。これにより、LEDドライバ17は
図19のLED60F(外部電源)を消灯する(T606)。そして、S605に進み、充電式バッテリー21への電源切替を行なう。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、あくまで例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 無線通信ユニット
2 MME
3 EPCモジュール
4 無線基地局モジュール
4a パワー半導体素子
4f 放熱フィン
4h ヒートシンク板
4k 通路
4p 遮蔽板
4s 実装基板
5 UE(移動端末)
6 S-GW
7 P-GW
8 ルータ
9 統括制御モジュール
11 スイッチングハブ
12 バックプレーン
13 制御ボード
14A 冷却ファン(冷却装置)
14b ベース部
14B 冷却ファン(冷却装置)
14m 本体部
14p ファン回転羽根
14R シャント抵抗
14s 気流ガイド板
14sf 取付アーム部
14t 締結部材
15A 温度センサ
15B 温度センサ
16 外部電圧監視部
17 LEDドライバ
21 充電式バッテリー
22 電源モジュール
22c コンデンサ
22i コイル
22s 実装基板
23 可搬型筐体
23f エアフィルタ
23w 気流出口
23y 気流入口
24 バッテリーコントローラ(スレーブノード)
25 AC/DCコンバータ
26 外部電源
31A 外部ポート群
31B 外部ポート群
32 イーサネットバス(第一のネットワーク)
52 I2Cバス(第二のネットワーク)
57 無線ベアラ
60 LED(異常報知部)
62 電流調整抵抗
65 電源スイッチ
66 制御スイッチ
67 抵抗
84A ファン動作監視デバイス(冷却装置駆動状態情報取得ノード、スレーブノード)
84B ファン動作監視デバイス(冷却装置駆動状態情報取得ノード、スレーブノード)
85A 内部温度監視デバイス(内部温度情報取得ノード、スレーブノード)
85B 内部温度監視デバイス(内部温度情報取得ノード、スレーブノード)
231 冷却風流通隙間
232 支柱部
233 底部支持板
234 中間支持板(モジュール組付支持板)
235 支柱部
236 基板支持枠
300 EPCコンピュータ
301 CPU
302 RAM
303 マスクROM
304 イーサネットインターフェース
305 フラッシュメモリ
305a EPC通信ファームウェア
305b MMEエンティティ
305c S-GWエンティティ
305d P-GWエンティティ
305e ソフトウェアルータ
306 内部バス
400 無線基地局コンピュータ
401 CPU
402 RAM
403 マスクROM
404 デュプレクサ
405 フラッシュメモリ
405a 基地局通信ファームウェア
406 内部バス
408 イーサネットインターフェース
412 無線通信部
413 アンテナ
900 統括制御コンピュータ
901 CPU
902 RAM
903 マスクROM
904 イーサネットインターフェース(第一のインターフェース、本体立上げ指令送信部)
905 フラッシュメモリ
905a 統括制御ファームウェア(作動環境異常判定部、作動中異常対応処理部)
906 内部バス
907 I2Cバスマスタ(第二のインターフェース、マスタノード)
907s 基板
908 WiFiモジュール
909 入出力部(主起動信号受付部)
910 拡張入出力部(I/O)
911 外部PC
912 無線通信部
913 モニタ
914 USBメモリ
1100 データフレーム
1101 アドレスフィールド
1102 R/Wフィールド
1104 データフィールド
1300 IPパケット
1301 IPヘッダ
1301a 送信元アドレス
1301b 送信先アドレス
1301c ToSフィールド
1302 ペイロード