(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報処理方法およびサーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/016 20230101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q30/016
(21)【出願番号】P 2020016336
(22)【出願日】2020-02-03
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】戸嶋 朗
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/167282(WO,A1)
【文献】特開2019-175264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAQ(Frequently Asked Question)サービスを提供するための
ネットワークシステムにおける情報処理方法であって、
サーバが、質問者端末からの質問に応じて、FAQデータを参照することによって前記質問者端末に回答を提供する第1の処理と、
前記サーバが、前記質問および前記回答に関するログデータを蓄積する第2の処理と、
前記サーバが、回答者端末から新たなFAQデータを受信する第3の処理と、
前記サーバが、前記FAQデータ自体の不備を見つける第4の処理と、
前記サーバが、前記ログデータに基づいて前記FAQデータを利用した場合に正常な回答がないできない場合を見つける第5の処理と、
前記サーバが、前記第4の処理の結果と前記第5の処理の結果とに基づいて前記FAQデータの完成度の程度を示す数値を計算する第7の処理と、
前記サーバが、前記第4の処理の結果と
、前記第5の処理の結果と
、前記数値と、を前記回答者端末に出力させる第6の処理とを備える、情報処理方法。
【請求項2】
前記第6の処理は、
前記サーバが、前記第4の処理の結果と前記第5の処理の結果とを同一画面に表示させることを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記サーバが、前記第4の処理の結果の表示中に第1の所定の命令を受け付けると、前記回答者端末に前記FAQサービスの利用画面を表示させつつ、質問の入力および回答の表示の試用を行う第8の処理をさらに備える、請求項1
または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記サーバが、前記第4の処理の結果の表示中に第2の所定の命令を受け付けると、受信した前記FAQデータの利用を開始する第9の処理をさらに備える、請求項1から
3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記FAQデータには、前記質問に対応付けて、追加検索用のキーワードが格納されており、
前記第4の処理は、
前記サーバが、前記質問と前記キーワードとの一部重複または全部重複を不備として抽出することを含む、請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第1の処理は、
前記サーバが、前記質問に含まれている文言と前記キーワードに含まれている文言とに応じて類似度を計算し、高い類似度の質問または回答を選択して前記質問者端末に提供することを含む、請求項
5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
FAQサービスを提供するためのサーバであって、
メモリと、
質問者端末および回答者端末と通信するための通信インターフェイスと、
前記通信インターフェイスを介して前記質問者端末からの質問に応じてFAQデータを参照することによって前記質問者端末に回答を提供する第1の処理と、前記質問および前記回答に関するログデータを前記メモリに蓄積する第2の処理と、前記回答者端末から新たなFAQデータを受信する第3の処理と、前記FAQデータ自体の不備を見つける第4の処理と、前記ログデータに基づいて前記FAQデータを利用した場合に正常な回答がないできない場合を見つける第5の処理と、
前記第4の処理の結果と前記第5の処理の結果とに基づいて前記FAQデータの完成度の程度を示す数値を計算する第7の処理と、前記第4の処理の結果と前記第5の処理の結果と
前記数値とを前記回答者端末に出力させる第6の処理とを実行するプロセッサとを備える、サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットなどの通信ネットワークを利用したFAQ(Frequently Asked Question)サービスの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FAQサービスとして、インターネットなどの通信ネットワークを利用して各種の問い合わせをしたり回答したりする技術が知られている。たとえば、特開2003-44487号公報(特許文献1)には、質問/回答システム、及び質問/回答システム対応のサーバ装置が開示されている。特許文献1によると、製品サポートの1つとして、質問者(PDAユーザ)とアドバイザーがサーバ装置を介するようにして質問と回答のやりとりができるWebサイトを設立する。ここでは、これまでに得られたQ&Aデータをインターネット上に公開し、また、これら質問/回答情報のリストであるトップテンリスト、カテゴリー別質問リストページも作成して通信網上で公開する。そして、そして、質問/回答情報のリストを作成するのにあたっては、回答情報に入力されたURLの出現率に応じて、リスト順を決定する。これにより、常にユーザの質問の動向に応じて動的に変動するリスト順によって質問/回答情報のリストを公開することを可能とする。
【0003】
そして、近年、「チャットボット」と呼ばれる人工知能を活用した自動会話プログラムが様々な分野で活用されつつある。「チャットボット」は、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、人工知能を組み込んだコンピュータが人間に代わって対話する用途として、24時間365日サポートが必要なコンタクトセンターをはじめ、自治体や企業での問い合わせ業務の効率化含め拡大しつつある。FAQベースの人工知能などによる自動応答によって、質問者の問い合わせに対して自動で回答するようなものであり、よくある質問、定型的な問い合わせなどは人を介さず自動回答できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、FAQサービスの回答者側の利便性を向上させるための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある態様に従うと、FAQ(Frequently Asked Question)サービスを提供するための情報処理方法が提供される。情報処理方法は、質問者端末からの質問に応じて、FAQデータを参照することによって質問者端末に回答を提供する第1の処理と、質問および回答に関するログデータを蓄積する第2の処理と、回答者端末から新たなFAQデータを受信する第3の処理と、FAQデータ自体の不備を見つける第4の処理と、ログデータに基づいてFAQデータを利用した場合に正常な回答がないできない場合を見つける第5の処理と、第4の処理の結果と第5の処理の結果とを回答者端末に出力させる第6の処理とを備える。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、この発明によれば、FAQサービスの回答者側の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態にかかるネットワークシステム1の全体構成と動作概要を示すイメージ図である。
【
図2】第1の実施の形態にかかるFAQデータ121を示すイメージ図である。
【
図3】第1の実施の形態にかかるFAQデータ121のチェック結果の画面を示すイメージ図である。
【
図4】第1の実施の形態にかかるFAQデータ121の改善レコメンド一覧を示すイメージ図である。
【
図5】第1の実施の形態にかかるプレビュー画面を示すイメージ図である。
【
図6】第1の実施の形態にかかるFAQサービスの質問者の通信端末300Aの画面例を示すイメージ図である。
【
図7】第1の実施の形態にかかるサーバ100の構成を表わすブロック図である。
【
図8】第1の実施の形態にかかるログデータ122の構成を表わすブロック図である。
【
図9】第1の実施の形態にかかるサーバ100のFAQデータ121のアップロード時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施の形態にかかるサーバ100の質問の受け付け時の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】第1の実施の形態にかかる通信端末300の構成を表わすブロック図である。
【
図12】第1の実施の形態にかかる管理者の操作手順および通信端末300Bの情報処理を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施の形態にかかるFAQデータ121の改善レコメンド一覧を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
<ネットワークシステム1の全体構成>
【0010】
まず、
図1を参照して本実施の形態にかかるネットワークシステム1の全体構成について説明する。本実施の形態にかかるネットワークシステム1は、主に、FAQチャットサービスを提供するためのサーバ100と、FAQチャットサービスを利用する質問者の通信端末300Aと、FAQチャットサービスを利用する回答者の通信端末300Bと、有人のFAQチャットサービスを提供するためのオペレータが利用する通信端末200とを含む。
【0011】
なお、サーバ100は、クラウド上の複数の装置によって実現されるものである。たとえば、サーバ100は、最初にQAの問い合わせを受け付けてチャットボットによって対応するWebサイトを運営するサーバや、会社内のビジネスチャットや有人によるQAチャットを運営するサーバなどを含む概念である。
【0012】
なお、通信端末200,300A,300Bは、スマートフォンやタブレットやパーソナルコンピュータやスピーカなどによって実現され、インターネットやキャリア網を介してサーバ100と通信可能である。
<ネットワークシステム1の動作概要>
【0013】
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかるネットワークシステム1の動作概要について説明する。
【0014】
図1を参照して、まず予め、各種の製品やサービスの提供会社の担当者は、通信端末300Bを利用して、製品やサービスなどに関する質問と、その回答との、組み合わせを複数含むFAQチャットデータをサーバ100に登録する(1)。
【0015】
その後、質問者の通信端末300Aから質問を受け付けると、サーバ100は、FAQサービス用のチャットボットを実現する。すなわち、サーバ100は、企業のWebサービスなどを介して、質問者からの問い合わせを受け付ける(2)。ここでは、質問者は、質問の内容のテキストを手入力してもよいし、音声入力してもよい。
【0016】
サーバ100は、自然言語処理やAI学習などを利用することによって自動的に、FAQデータを参照して当該問い合わせに対応する回答を作成して当該質問者に提供する(3)。サーバ100は、ユーザから受け付けた質問や、ユーザへの回答や、回答できたか否かを示すデータなどを、ログデータとして蓄積していく。
【0017】
このようなFAQチャットサービスに関しては、より適切な回答を行えるようにするために、定期的に質問者がFAQデータを更新していくことが好ましい。そこで、本実施の形態においては、回答者側の担当者が、
図2に示すような、客からの想定される質問と、回答と、その他の関連キーワードとしての追加検索文章、などの対応関係を含むデータを作成して、サーバ100にアップロードして公開できるように構成されている。
【0018】
特に、本実施の形態においては、回答者側の通信端末300BからFAQデータがアップロードされた際に、サーバ100が、FAQデータ自体に不備がないか否かをチェックする。たとえば、重要なミスに関しては修正必須項目として抽出し、回答に悪影響を及ぼすミスに関しては修正推奨項目として抽出し、現在は回答に影響はないが将来的に問題になる可能性があるミスに関しては参考情報項目として抽出する。たとえば、そして、
図3に示すように、チェックの結果301を、通信端末300Bに表示させる。
【0019】
さらに本実施の形態においては、サーバ100は、これまで蓄積されたログデータに基づいて、今回の新たなFAQデータを利用して場合に正常に回答できるか否かもチェックする。そして、
図3に示すように、チェックの結果302を、追加推奨項目として、通信端末300Bに表示させる。
【0020】
また、サーバ100は、修正必須項目や、修正推奨項目や、参考情報項目や、追加推奨項目などに基づいて、今回のFAQデータの総合的な完成度を示す数値303を通信端末300Bに表示させる。
【0021】
この状態で、たとえば、担当者が「レコメンド内容を確認する」ボタン304を押すと、サーバ100は、回答者の通信端末300Bに、
図4に示すような、レコメンド一覧のデータを送信する。回答者の通信端末300Bに、レコメンド一覧のデータを送信して表示させる。
【0022】
また、この状態で、たとえば、担当者が「プレビュー」ボタン305を押すと、サーバ100は、回答者の通信端末300Bに、
図5に示すような、プレビュー画面を表示させる。担当者は、プレビュー画面において、直接的に、管理番号を入力して、質問と回答を表示させたり、任意のテキストを質問として入力してサーバ100からの回答を確認したりすることができる。
【0023】
担当者は、レコメンド一覧を確認したり、プレビュー画面での確認をしたりして、通信端末300Bなどを介して、FAQデータを修正したり変更したり内容を追加したりする。その後、担当者が、通信端末300Bを介して新たなFAQデータをサーバ100に送信すると、サーバ100は、上記のようなチェックや結果の表示を繰り返す。
【0024】
担当者は、レコメンド一覧を確認したり、プレビュー画面での確認をしたりして、「公開」ボタン306を押すと、サーバ100は、最後にアップロードした新たなFAQデータを有効にしてFAQサービスに公開する。なお、質問者の通信端末300Aは、
図6に示すような、FAQチャットサービスの画面を表示する。
【0025】
以下、このような機能を実現するためのネットワークシステム1の具体的な構成について詳述する。
<サーバの構成>
【0026】
まず、本実施の形態にかかるネットワークシステム1を構成するサーバ100の構成の一態様について説明する。
図7を参照して、サーバ100は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)110と、メモリ120と、操作部140と、通信インターフェイス160とを含む。
【0027】
CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムを実行することによって、サーバ100の各部を制御する。たとえば、CPU110は、メモリ120に格納されているプログラムを実行し、各種のデータを参照することによって、後述する各種の処理を実行する。
【0028】
メモリ120は、各種のRAM、各種のROMなどによって実現され、サーバ100に内包されているものであってもよいし、サーバ100の各種インターフェイスに着脱可能なものであってもよいし、サーバ100からアクセス可能な他の装置の記録媒体であってもよい。メモリ120は、CPU110によって実行されるプログラムや、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、入力されたデータ、その他の本実施の形態にかかるサービスに利用されるデータベースなどを記憶する。たとえば、本実施の形態にかかるメモリ120は、各種のサービスに利用するデータを格納する。
【0029】
より詳細には、メモリ120は、回答者の通信端末300Bから取得した
図2に示すようなFAQデータ121を記憶する。なお、FAQデータ121は、質問の管理番号と、質問の内容と、回答の内容と、当該質問に関係する追加検索文章と、当該質問に関係する製品やサービスや分野や部署の識別情報などの対応関係を含む。CPU110は、FAQデータ121を参照することによって質問者からの質問に適切な回答をしたり、適切なオペレータを特定したりすることができる。
【0030】
図8に示すように、メモリ120は、ログデータ122を格納する。ログデータ122は、問い合わせ毎に、日時と、ログの種別と、質問文と、回動した管理番号と、その他の類似管理番号などの対応関係を含む。CPU110は、ログデータ122を参照することによって、回答ができなかった質問を特定することができる。
【0031】
図7に戻って、操作部140は、サービスの管理者などの命令を受け付けて、当該命令をCPU110に入力する。
【0032】
通信インターフェイス160は、CPU110からのデータを、インターネット、キャリア網、ルータなどを介して、質問者の通信端末300Aや、回答担当者の通信端末300Bや、オペレータの通信端末200などの他の装置に送信する。逆に、通信インターフェイス160は、インターネット、キャリア網、ルータなどを介してそれらの他の装置からのデータを受信して、CPU110に受け渡す。
<サーバによる情報処理>
【0033】
以下では、本実施の形態にかかるサーバ100における情報処理について説明する。なお以下では説明のために、FAQデータを受け付けたりチェックしたりする機能と、質問者と自動的にチャットを行うためのチャットボットの機能と、回答担当者たちが利用するビジネスチャットを運営する機能とを、1つのサーバ100が実現する形態について説明するが、それらの機能を別々の装置が実現してもよいし、さらに多くの装置で実現するものであってもよい。
【0034】
まず、回答者によるFAQデータの登録や更新におけるサーバ100の情報処理について説明する。
図9を参照して、サーバ100のCPU110は、メモリ120のプログラムに従って、以下の処理を実行する。
【0035】
まず、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、FAQデータ121のアップロードを受け付ける(ステップS152)。
【0036】
CPU110は、FAQデータ121を解析する(ステップS154)。たとえば、CPU110は、重要なミスに関しては修正必須項目として抽出し、回答に悪影響を及ぼすミスに関しては修正推奨項目として抽出し、現在は回答に影響はないが将来的に問題になる可能性があるミスに関しては参考情報項目として抽出する。また、CPU110は、これまで蓄積されたログデータに基づいて、新たなFAQデータ121を利用した場合に正常に回答できるか否かもチェックして、チェックの結果302を追加推奨項目として抽出する。
【0037】
そして、CPU110は、修正必須項目や、修正推奨項目や、参考情報項目や、追加推奨項目などに基づいて、今回のFAQデータの総合的な完成度を示す数値303を計算する(ステップS156)。なお、本実施の形態においては、CPU110は、総合的な完成度を示す数値の30%を修正必須の個数に割り当て、総合的な完成度を示す数値の30%を1番目で適切な回答に到達した個数に割り当て、総合的な完成度を示す数値の40%をログデータの総質問数に対する回答できた質問の個数、すなわち追加推奨項目の個数に割り当てる。
【0038】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、修正必須項目や、修正推奨項目や、参考情報項目や、追加推奨項目や、総合的な完成度などを回答者の通信端末300Bに送信する(ステップS158)。
【0039】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、プレビュー命令を受けるとプレビュー画面を回答者の通信端末300Bに送信する(ステップS160)。
【0040】
CPU110は、質問を受けると、今回アップロードされたFAQデータ121に従って、回答を選択したり、返信したりする(ステップS162)。
【0041】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、公開命令を受けると、今回アップロードされたFAQデータ121を有効にして、これ以降当該FAQデータ121に基づいて質問に回答するようになる(ステップS164)。
【0042】
次に、質問者による問い合わせにおけるサーバ100の情報処理について説明する。
図10を参照して、サーバ100のCPU110は、メモリ120のプログラムに従って、以下の処理を実行する。
【0043】
まず、サーバ100のCPU110は、通信インターフェイス160を利用することによって、たとえばWebサイトなどを介して、質問者の通信端末300Aからの問い合わせを受け付ける(ステップS102)。
【0044】
CPU110は、FAQデータ121を参照して、チャットボットによって自動的に回答可能であるか否かを判断する(ステップS104)。可能でない場合は、CPU110は、ステップS110からの処理を実行する。
【0045】
可能な場合は、CPU110は、チャットボットを利用することによって、FAQデータ121を参照して回答を作成し、通信インターフェイス160を介して回答データを通信端末300Aに送信する(ステップS106)。このとき、CPU110は、今回の質問と回答とを対応付けてログデータ122に追加する。
【0046】
CPU110は、通信インターフェイス160を介して、通信端末300Aに問題が解決したかを問い合わせる(ステップS108)。問題が解決した場合は、CPU110は、今回の質問および回答の処理を終了し、次の通信端末300Aからの問い合わせを待ち受ける。
【0047】
問題が解決していない場合(ステップS108にてNOである場合)、CPU110は、所定の条件が満たされているか否かを判断する(ステップS110)。そして、所定の条件が満たされている場合には、有人によるチャットを希望するか否かを受け付ける。なおここで、所定の条件とは、たとえば、チャットボットによって3回以上回答していることであったり、特定の質問者からの質問であったり、FAQデータに格納されている質問とのマッチ率が著しく低い場合、などが挙げられる。
【0048】
所定の条件が満たされていない場合や、質問者が有人によるチャットを望んでいない場合(ステップS110にてNOである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、通信端末300Aに質問の表現を変えるように要求させて、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0049】
所定の条件が満たされている場合や、質問者が有人によるチャットを望んでいる場合(ステップS110にてYESである場合)、CPU110は、質問者からの質問に適した担当者を抽出する(ステップS112)。たとえば、CPU110は、FAQデータ121を参照することによって、最後にされた質問に関する製品やサービスの種類や担当業務を特定し、適した担当者を抽出する。
【0050】
CPU110は、当該担当者のステータスが在席中であるかを確認したり、通信インターフェイス160を介して、当該担当者の通信端末200に応対可能か否かを問い合わせたりする(ステップS114)。
【0051】
当該担当者が応対可能でない場合(ステップS116にてNOである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、今回質問してきた質問者の通信端末300Aに、後で担当者から連絡する旨を伝える(ステップS120)。なお、このとき、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、今回質問してきた質問者の通信端末300Aに、質問者の連絡先を訪ねてもよい。そして、当該連絡先を回答担当者の通信端末200に提供してもよい。
【0052】
当該担当者が応対可能である場合(ステップS116にてYESである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して、ビジネスチャットを利用して担当者に有人による応対を要求する(ステップS122)。担当者が、通信端末200を介して応対を拒否すると(ステップS124にてNOである場合)、CPU110は、ステップS120を実行する。
【0053】
担当者が、通信端末200を介して質問者に回答するためのビジネスチャットへの参加を宣言すると(ステップS124にてNOである場合)、CPU110は、通信インターフェイス160を介して通信端末200に、今回質問してきた質問者とチャットボットとのチャット履歴を提供する(ステップS126)。通信端末200は、チャット履歴を受信してディスプレイ230に表示する(ステップS128)。
【0054】
なお本実施の形態においては、サーバ100のCPU110は、通信インターフェイス160を介して、通信端末200のビジネスチャットの画面上に、質問者とチャットボットとのメッセージのやり取りを、あたかも質問者と回答担当者とがチャットしてきたかのように表示させる。
【0055】
サーバ100のCPU110は、通信インターフェイス160を介して、ビジネスチャットの機能として、通信端末200を介して回答担当者による質問者とのチャットを開始させつつ(ステップS130)、Webサイトなどを介して通信端末300Aの質問者による有人担当者とのチャットを開始させる(ステップS132)。
<通信端末300A,300B,200の構成>
【0056】
図11を参照して、ネットワークシステム1を構成する通信端末300A,300B,200の構成の一態様について説明する。なお、以下では、質問者が利用する通信端末300Aも、回答者が利用する通信端末300Bも、有人オペレータが利用する通信端末200の構成も同様であるため、以下ではこれらの代表的な装置として通信端末300について説明する。
【0057】
本実施の形態にかかる通信端末300は、主たる構成要素として、CPU310と、メモリ320と、ディスプレイ330と、操作部340と、通信インターフェイス360と、スピーカ370と、マイク380とを含む。
【0058】
CPU310は、メモリ320に記憶されているプログラムを実行することによって、通信端末300の各部を制御する。
【0059】
メモリ320は、各種のRAMや、各種のROMなどによって実現される。メモリ320は、各種サービスのためのアプリケーションプログラムやFAQチャットサービス用のアプリケーションプログラムや、CPU310によるプログラムの実行により生成されたデータ、サーバ100から受信したデータ、操作部340を介して入力されたデータ、通信端末300の質問者を特定するための情報などを記憶する。
【0060】
ディスプレイ330は、CPU310からのデータに基づいて、画像やテキストを表示する。操作部340は、ポインティングデバイスやスイッチなどから構成され、質問者からの各種の命令をCPU310に入力する。なお、通信端末300は、ディスプレイ330と操作部340とを含むタッチパネル350を有してもよい。
【0061】
通信インターフェイス360は、インターネットやキャリア網やルータなどを介して、サーバ100や通信端末200などの他の装置との間でデータを送受信する。たとえば、CPU310は、FAQチャットサービスのアプリケーションプログラムに従って、通信インターフェイス360を介してサーバ100と、質問や回答を含むテキストデータや音声データなど、各種の情報をやりとりする。
【0062】
たとえば、CPU310は、FAQチャットサービス用のアプリケーションプログラムに従って、操作部340を介して質問のテキストデータを受け付けて、通信インターフェイス360を介して当該質問をサーバ100に送信する。そして、CPU310は、サーバ100からチャットボットまたは有人担当者による回答のテキストデータを受け付けて、ディスプレイ330に表示させる。
【0063】
スピーカ370は、CPU310からの信号に基づいて、各種の音声を出力する。CPU310は、ディスプレイ330に限らず、サーバ100から受け付けた回答を音声出力してもよい。
【0064】
マイク380は、音声を受け付けて、音声データをCPU310に入力する。CPU310は、操作部340に限らず、質問者からの音声メッセージを受け付けて、当該音声メッセージをサーバ100に送信してもよい。
【0065】
CPU310は、FAQチャットサービス用のアプリケーションプログラムに従って、マイク380を介して質問の音声データを受け付けて、通信インターフェイス360を介して当該質問をサーバ100に送信する。そして、CPU310は、サーバ100からチャットボットまたは有人担当者による回答の音声データを受け付けて、スピーカ370に音声出力させる。
<回答者の操作手順と通信端末300Bの情報処理>
【0066】
次に、
図12を参照して、本実施の形態にかかる回答者の操作手順と通信端末300Bの情報処理について説明する。なお、回答者の通信端末300BのCPU310は、メモリ320のプログラムに従って、以下の処理を実行する。
【0067】
まず、担当者の指示に従って、通信端末300BのCPU310は、通信インターフェイス360を介して、FAQデータ121をサーバ100にアップロードする(ステップS202)。なお、アップロード後、チェック結果を受信するまでは、CPU310は、ディスプレイ330に「処理中」などの表示を行うことが好ましい。
【0068】
CPU310は、通信インターフェイス360を介して、FAQデータ121の解析結果を受信して、ディスプレイ330に表示させる(ステップS204)。
【0069】
修正すべき内容がある場合(ステップS206にてYESである場合)、CPU310は、操作部340を介して、担当者からFAQデータの編集命令を受け付ける(ステップS208)。CPU310は、担当者の指示に従って、通信インターフェイス360を介して、編集後のFAQデータ121をサーバ100にアップロードする(ステップS202)。
【0070】
修正すべき内容がない場合(ステップS206にてNOである場合)、CPU310は、操作部340を介して担当者からのプレビュー命令を受け付けて、ディスプレイ330にプレビュー画面を表示させる(ステップS210)。
【0071】
問題がなければ、CPU310は、操作部340を介して担当者からの公開命令を受け付けて、新たなFAQデータによるFAQサービスを開始するようにサーバ100に指示する(ステップS212)。
<第2の実施の形態>
【0072】
上記の実施の形態においては、回答者の通信端末300Bは、改善レコメンド一覧として、
図4に示すようなデータを表示するものであった。しかしながら、サーバ100のCPU110が、
図13に示すようなデータを送信してもよい。たとえば、不具合が見つかった質問毎に、管理番号と、質問と、回答と、追加検索文章と、回答ができなかったユーザからの質問と、不具合のレベルと、指摘コードと、指摘の具体的な内容とを対応付けたデータが通信端末300Bに提供されてもよい。
【0073】
通信端末300BのCPU310は、「レコメンド内容を確認する」ボタン304が押されると、サーバ100からのデータに基づいて、
図13に示すような対応関係をディスプレイ330に表示させる。
<第3の実施の形態>
【0074】
上記の実施の形態においては、自動的なFAQサービスで適切な回答ができない場合には、有人のチャットサービスに切り替えるものであったが、有人のチャットサービスに引き継がない構成であってもよい。
<第4の実施の形態>
【0075】
上記の実施の形態のネットワークシステム1の各装置の役割の一部または全部を他の装置が実行してもよい。たとえば、サーバ100や通信端末300A,300B,200の各々の役割の一部または全部を別の装置が担ったり、それらの装置の1つ1つの役割の一部または全部を、複数の装置で分担したりしてもよい。たとえば、通信端末300A,300B,200のアプリケーションプログラムの役割の一部がサーバ100で実現されてもよいし、サーバ100の役割の一部または全部が通信端末300A,300B,200によって実現されてもよい。
【0076】
具体的には、回答者の通信端末300BのCPU310が、メモリ320のFAQ更新用のブログラムに基づいて、あるいはHTMLデータに基づいて、プレビュー画面をローカルで生成してもよい。あるいは、FAQデータ121やログデータ122がメモリ320に記憶されて、CPU310が、FAQデータ121の不備をローカルでチェックしたり、ローカルで質問に対する回答を行ったりしてもよい。
<まとめ>
【0077】
上記の実施の形態においては、FAQ(Frequently Asked Question)サービスを提供するための情報処理方法が提供される。情報処理方法は、質問者端末からの質問に応じて、FAQデータを参照することによって質問者端末に回答を提供する第1の処理と、質問および回答に関するログデータを蓄積する第2の処理と、回答者端末から新たなFAQデータを受信する第3の処理と、FAQデータ自体の不備を見つける第4の処理と、ログデータに基づいてFAQデータを利用した場合に正常な回答がないできない場合を見つける第5の処理と、第4の処理の結果と第5の処理の結果とを回答者端末に出力させる第6の処理とを備える。
【0078】
好ましくは、第6の処理は、第4の処理の結果と第5の処理の結果とを同一画面に表示させることを含む。
【0079】
好ましくは、情報処理方法は、第4の処理の結果と第5の処理の結果とに基づいてFAQデータの完成度の程度を示す数値を計算する第7の処理をさらに備える。第6の処理は、数値を回答者端末に出力させることを含む。
【0080】
好ましくは、情報処理方法は、第4の処理の結果の表示中に第1の所定の命令を受け付けると、回答者端末にFAQサービスの利用画面を表示させつつ、質問の入力および回答の表示の試用を行う第8の処理をさらに備える。
【0081】
好ましくは、情報処理方法は、第4の処理の結果の表示中に第2の所定の命令を受け付けると、受信したFAQデータの利用を開始する第9の処理をさらに備える。
【0082】
好ましくは、FAQデータには、質問に対応付けて、追加検索用のキーワードが格納されている。第4の処理は、質問とキーワードとの一部重複または全部重複を不備として抽出することを含む。
【0083】
好ましくは、第1の処理は、質問に含まれている文言とキーワードに含まれている文言とに応じて類似度を計算し、高い類似度の質問または回答を選択して質問者端末に提供することを含む。
【0084】
上記の実施の形態においては、FAQサービスを提供するためのサーバが提供される。サーバは、メモリと、質問者端末および回答者端末と通信するための通信インターフェイスと、通信インターフェイスを介して質問者端末からの質問に応じてFAQデータを参照することによって質問者端末に回答を提供する第1の処理と、質問および回答に関するログデータをメモリに蓄積する第2の処理と、回答者端末から新たなFAQデータを受信する第3の処理と、FAQデータ自体の不備を見つける第4の処理と、ログデータに基づいてFAQデータを利用した場合に正常な回答がないできない場合を見つける第5の処理と、第4の処理の結果と第5の処理の結果とを回答者端末に出力させる第6の処理とを実行するプロセッサとを備える。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1 :ネットワークシステム
100 :サーバ
110 :CPU
120 :メモリ
121 :FAQデータ
122 :ログデータ
140 :操作部
160 :通信インターフェイス
200 :通信端末
230 :ディスプレイ
300 :通信端末
300A :通信端末
300B :通信端末
301 :チェック結果
302 :チェック結果
303 :完成度の数値
304 :ボタン
305 :ボタン
310 :CPU
320 :メモリ
330 :ディスプレイ
340 :操作部
350 :タッチパネル
360 :通信インターフェイス
370 :スピーカ
380 :マイク