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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】車両用撮像装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20231221BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20231221BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20231221BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60S1/62 120Z
H04N23/52
H05B3/00 310D
B60S1/62 110A
B60S1/56 110H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020020131
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021123298
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉坂 賢一
(72)【発明者】
【氏名】岩月 正和
(72)【発明者】
【氏名】市川 智宜
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/004351(WO,A1)
【文献】特開2017-109683(JP,A)
【文献】特開2011-155468(JP,A)
【文献】特開2018-072484(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225745(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00- 1/68
H04N 23/52
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像側を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像側における少なくとも前記撮像手段の画角の範囲に設けられ、通電されることによって発熱されて前記撮像手段の撮像側を加熱する透明のヒータと、
前記ヒータを含んだ電気回路に設けられ、通電されることによって発熱されると共に、発熱による温度上昇に伴って電気抵抗値が増加されて前記ヒータへ流れる電流の電流値が減少される抵抗部材と、
を備え
前記抵抗部材が特定の温度の状態で、前記ヒータの温度が前記特定の温度よりも低い車両用撮像装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、
撮像側部分にレンズが設けられた撮像手段本体と、
前記撮像手段本体の撮像側に設けられた透明のプレートと、
を備え、
前記ヒータは、前記プレート及び前記レンズの少なくとも一方における撮像側又は撮像側とは反対側に設けられる請求項1に記載の車両用撮像装置。
【請求項3】
前記抵抗部材は、所定の温度未満に比べて所定の温度以上で温度上昇に伴う電気抵抗値の増加が大きい請求項1または請求項2に記載の車両用撮像装置。
【請求項4】
前記抵抗部材の外部からの熱が前記抵抗部材へ伝達されることを抑制する熱伝達抑制手段を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用撮像装置。
【請求項5】
前記熱伝達抑制手段は、内側に前記抵抗部材が配置され、前記抵抗部材を被覆する請求項4に記載の車両用撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段によって撮像される車両用撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアミラー等の鏡体の反射膜を膜状のヒータによって加熱し、反射膜表面に付着した曇りや霜を除去し、また、反射膜表面に付着した雨滴等の水滴を蒸発させて除去する構成がある。また、このような構成では、温度センサによってヒータの温度を検出して、ヒータの温度に基づいてヒータへの通電電流を制御している(一例として、下記特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、このような構成では、所謂NTC(negative temperature coefficient)サーミスタを温度センサとして用いることが考えられる。しかしながら、NTCサーミスタの温度上昇に伴い電気抵抗値が低減される。したがって、ヒータ及びNTCサーミスタを含んだ電気回路への電圧の印加開始時には、NTCサーミスタの電気抵抗値が大きくヒータに大きな電流値の電流が流れない。このため、ヒータの温度上昇が遅い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-108851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ヒータの温度上昇を早くできる車両用撮像装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の車両用撮像装置は、車両後側を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の車両後側で前記撮像手段に対して厚さ方向に対向配置された透明の板状のプレートと、板状又はシート状或いは膜状に形成されて前記プレートの厚さ方向側の面における少なくとも前記撮像手段の画角の範囲に設けられ、通電されることによって発熱されて前記プレートを加熱する透明のヒータと、前記ヒータを含んだ電気回路に設けられ、通電されることによって発熱されると共に、発熱による温度上昇に伴って電気抵抗値が増加されて前記ヒータへ流れる電流の電流値が減少される抵抗部材と、を備えている。
【0007】
本発明の第1の態様における車両用撮像装置によれば、撮像手段の撮像側には透明のヒータが設けられる。ヒータは、通電されることによって発熱される。このため、撮像手段の撮像側で霜や水滴が生じた場合には、ヒータが発熱されることで霜や水滴を蒸発させて除去できる。
【0008】
ここで、ヒータを含んだ電気回路には、抵抗部材が設けられる。抵抗部材は、通電されることによって発熱される。抵抗部材が発熱されると、抵抗部材の温度上昇に伴って電気抵抗値が増加される。このように、抵抗部材の電気抵抗値が増加されると、ヒータに流れる電流の電流値が減少される。これによって、ヒータの発熱が抑制される。
【0009】
ここで、抵抗部材の電気抵抗値は、抵抗部材の温度上昇に伴い増加される。このため、抵抗部材及びヒータを含んだ電気回路に対する電圧の印加開始時、すなわち、抵抗部材の温度の上昇が開始される際の抵抗部材の電気抵抗値は、小さい。このため、抵抗部材及びヒータを含んだ電気回路に対する電圧の印加開始時に大きな電流値の電流を抵抗部材及びヒータを含んだ電気回路に流すことができる。これによって、ヒータの温度を短時間で上昇させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様の車両用撮像装置は、上記第1の態様の車両用撮像装置において、
前記撮像手段は、撮像側部分にレンズが設けられた撮像手段本体と、前記撮像手段本体の撮像側に設けられた透明のプレートと、を備え、前記ヒータは、前記プレート及び前記レンズの少なくとも一方における撮像側又は撮像側とは反対側に設けられる。
【0011】
本発明の第2の態様の車両用撮像装置では、撮像手段を構成する撮像手段本体のレンズ及び撮像手段本体の撮像側に設けられた撮像手段の透明のプレートの少なくとも一方における撮像側又は撮像側とは反対側にヒータが設けられる。これによって、撮像手段本体のレンズ及びプレートのうち、ヒータが設けられた方に付着した霜や水滴等をヒータの熱で蒸発させて除去できる。
【0012】
本発明の第3の態様の車両用撮像装置は、上記第1の態様又は第2の態様の車両用撮像装置において、前記抵抗部材が特定の温度の状態で、前記ヒータの温度が前記特定の温度よりも低く設定される。
【0013】
本発明の第3の態様における車両用撮像装置では、抵抗部材が特定の温度の状態で、ヒータの温度が前記特定の温度よりも低い。このため、ヒータの熱によって抵抗部材の温度が上昇されることを抑制できる。
【0014】
本発明の第4の態様の車両用撮像装置は、上記第1の態様から第3の態様の何れか1つの車両用撮像装置において、前記抵抗部材は、所定の温度未満に比べて所定の温度以上で温度上昇に伴う電気抵抗値の増加が大きく設定される。
【0015】
本発明の第4の態様における車両用撮像装置によれば、抵抗部材は、所定の温度未満に比べて所定の温度以上で温度上昇に伴う電気抵抗値の増加が大きい。このため、抵抗部材が所定の温度を越えて大きくなると、ヒータに流れる電流の電流値を効果的に小さくでき、ヒータの温度上昇を効果的に抑制できる。
【0016】
本発明の第5の態様の車両用撮像装置は、上記第1の態様から第4の態様の何れか1つの車両用撮像装置において、前記抵抗部材の外部からの熱が前記抵抗部材へ伝達されることを抑制する熱伝達抑制手段を備えている。
【0017】
本発明の第5の態様における車両用撮像装置では、抵抗部材の外部からの熱は、熱伝達抑制手段によって抵抗部材への伝達が抑制される。このため、ヒータ等の熱源による抵抗部材の温度上昇への影響を抑制できる。
【0018】
本発明の第6の態様の車両用撮像装置は、上記第5の態様の車両用撮像装置において、前記熱伝達抑制手段は、内側に前記抵抗部材が配置され、前記抵抗部材を被覆する。
【0019】
本発明の第6の態様における車両用撮像装置では、熱伝達抑制手段の内側に抵抗部材が配置され、抵抗部材が熱伝達抑制手段によって被覆される。これによって、熱伝達抑制手段の外部からの熱が抵抗部材へ伝達されることを熱伝達抑制手段によって抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明に係る車両用撮像装置は、ヒータの温度上昇を早くできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態に係る車両用撮像装置の要部の構成を示す断面図とヒータ、抵抗部材を含んだ電気回路の概略的な回路図との複合図である。
図2】抵抗部材とチューブとを示す図で、(A)は、チューブの抵抗部材への取付け前の状態を示し、(B)は、チューブの内側に抵抗部材が配置された状態を示し、(C)は、チューブが加熱されて収縮された状態を示す。
図3】抵抗部材の温度と電気抵抗値との関係を示すグラフである。
図4】(A)は、第2の実施の形態に係る車両用撮像装置の要部の構成を示すカメラブラケットの開口方向に対して直交する方向の一方の側から見た図で、(B)は、(A)の4A-4A線に沿って切った断面図である。
図5】第3の実施の形態に係る車両用撮像装置の要部の構成を示す断面図である。
図6】第3の実施の形態でのバスバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図1から図6の各図に基づいて本発明の各実施の形態について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Aは、後述するカメラブラケット14の開口方向側を示し、矢印Bは、矢印A方向に対して直交する方向の一方の側を示し、矢印Cは、矢印A方向及び矢印Bの双方に対して直交する方向の一方の側を示す。また、以下の各実施の形態の説明において、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と同一の構成に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0023】
<第1の実施の形態の構成>
図1に示されるように、第1の実施の形態に係る車両用撮像装置10は、ハウジング12を備えている。ハウジング12は、例えば、車両の前席に対応したドアパネルの車両前側端部の車両外側に設けられている。また、ハウジング12は、連結ブラケット(図示省略)を介して車両の車体に取付けられている。連結ブラケットは、車両の車体に対して、格納状態と使用可能状態との間で回動可能とされている。
【0024】
ハウジング12の内側には、カメラブラケット14が設けられている。カメラブラケット14は、略箱形状とされており、上記の使用可能状態で車両後側へ開口されている。カメラブラケット14の内側には、撮像手段本体として撮像手段を構成するカメラ16が配置されている。カメラ16は、カメラ本体18とレンズ20とを備えており、レンズ20は、カメラ本体18におけるカメラブラケット14の開口側(図1の矢印A方向側)に設けられている。
【0025】
上記のハウジング12には、開口部22が形成されている。開口部22は、ハウジング12の内外を貫通していると共にカメラブラケット14の開口側に設けられている。これによって、カメラ16は、ハウジング12の外側におけるカメラブラケット14の開口側、すなわち、上記の使用可能状態で、ハウジング12の外側における車両後側を撮像できる。
【0026】
カメラ16のカメラ本体18の内側には、回路基板(図示省略)が設けられており、回路基板上の電気回路には、撮像素子等が電気的に接続されている。回路基板上の電気回路は、例えば、車両室内におけるインパネに設けられたモニタ(何れも図示省略)へ電気的に接続されており、カメラ16が撮像した画像は、モニタに表示される。したがって、車両の運転席に着座した乗員は、モニタを見ることによって車両外部における車両後側の状況を確認できる。
【0027】
一方、図1に示されるように、ハウジング12の内側におけるカメラブラケット14の開口側(図1の矢印A方向側)には、カメラ16と共に撮像手段を構成するプレート24が設けられている。プレート24は、例えば、ガラス等によって形成されており、透明とされている。また、プレート24は、矩形の板状とされており、カメラブラケット14の開口方向側でカメラ16のレンズ20と対向されている。さらに、プレート24の厚さ方向は、カメラブラケット14の開口方向及びその反対方向とされ、プレート24の外周形状は、例えば、カメラブラケット14の外周形状と同じ形状又は相似形状とされている。
【0028】
プレート24に対してカメラブラケット14の開口方向とは反対側には、ヒータ26が設けられている。ヒータ26は、板状又はシート状或いは膜状とされており、ヒータ26の外周形状は、上記のプレート24の外周形状と同じか、プレート24の外周形状よりも大きい略矩形とされている。ヒータ26の厚さ方向は、カメラブラケット14の開口方向及びその反対方向とされている。ヒータ26は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)によって形成されている。このため、ヒータ26は、導電性を有し、しかも、透明とされている。ヒータ26とプレート24(カメラ16の画角範囲を含む)とは、双方の厚さ方向に重なっている。
【0029】
ヒータ26及びプレート24には、一対のバスバー28が設けられている。これらのバスバー28は、金属等によって形成されており、導電性を有している。一対のバスバー28の一方は、ヒータ26及びプレート24におけるカメラブラケット14の開口方向に対して直交する方向の一方の側(図1の矢印B方向側)に設けられている。これに対して、一対のバスバー28の他方は、ヒータ26及びプレート24におけるカメラブラケット14の開口方向に対して直交する方向の他方の側(図1の矢印B方向とは反対方向側)に設けられている。すなわち、両バスバー28は、カメラブラケット14の開口方向に対して直交する方向(図1の矢印B方向側及びその反対方向側)に互いに対向するように配置されている。両バスバー28は、互いの対向方向の内側へ向けて開口されている。
【0030】
また、各バスバー28は、バスバー28自らの弾性力に抗して開口端の開口寸法を大きくさせるように弾性変形可能とされている。上述したヒータ26及びプレート24におけるカメラブラケット14の開口方向に対して直交する方向の一方の側(図1の矢印B方向側)の端部は、一方のバスバー28に挟まれて保持されている。これに対して、ヒータ26及びプレート24におけるカメラブラケット14の開口方向に対して直交する方向の他方の側(図1の矢印B方向とは反対側)の端部は、他方のバスバー28に挟まれて保持されている。
【0031】
一方のバスバー28は、接地(アース)されている。これに対して、他方のバスバー28は、第1コネクタ30に接続されている。第1コネクタ30は、雄型コネクタと雌型コネクタとによって形成されており、雄型コネクタが雌型コネクタの開口側から雌型コネクタの内側へ挿入されることによって、雄型コネクタと雌型コネクタとが機械的且つ電気的に接続される。上記の他方のバスバー28は、第1コネクタ30の雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に電気的に接続されている。
【0032】
第1コネクタ30を構成する雄型コネクタ及び雌型コネクタの他方は、抵抗部材32の一対の端子34、36のうち、一方の端子34に電気的に接続されている。図2(A)に示されるように、抵抗部材32には、被覆部材として熱伝達抑制手段を構成するチューブ38が設けられている。チューブ38は、筒状に形成されており、チューブ38の長手方向の両端は、開口されている。
【0033】
抵抗部材32は、チューブ38の一方の開口端からチューブ38の内側に配置される(図2(B)図示状態)。チューブ38は、例えば、加熱されることによって収縮される性質を有しており、抵抗部材32がチューブ38の内側に配置された状態でチューブ38が加熱されると、チューブ38が抵抗部材32にフィットするような形状に変形される(図2(C)図示状態)。このように、抵抗部材32がチューブ38によって被覆されることによって、チューブ38の外部から抵抗部材32が受ける熱の影響を低減できる。
【0034】
図1に示されるように、抵抗部材32の他方の端子36は、第2コネクタ40に接続されている。第2コネクタ40は、雄型コネクタと雌型コネクタとによって形成されており、雄型コネクタが雌型コネクタの開口側から雌型コネクタの内側へ挿入されることによって、雄型コネクタと雌型コネクタとが機械的且つ電気的に接続される。上記の抵抗部材32の他方の端子は、第2コネクタ40の雄型コネクタ及び雌型コネクタの一方に電気的に接続されている。
【0035】
第2コネクタ40の雄型コネクタ及び雌型コネクタの他方は、スイッチ42の一対の端子の一方に電気的に接続されており、スイッチ42の他方端子は、車両に搭載されたバッテリー44のプラス端子に電気的に接続されている。スイッチ42は、車両室内における運転席の近傍に設けられた操作部材(図示書略)によって電気的又は機械的に開閉操作が可能とされている。スイッチ42が閉じられると、抵抗部材32を介してヒータ26が通電される。このように、ヒータ26が通電されると、ヒータ26は、発熱され、例えば、プレート24に付着した霜や水滴等が加熱されて蒸発される。
【0036】
ところで、上述した抵抗部材32は、通電されることによって発熱する。ここで、図3に示されるように、抵抗部材32の温度が所定の温度T0(例えば、抵抗部材32のキュリー温度)以上に上昇した場合には、抵抗部材32の温度が所定の温度T0未満の場合に比べて抵抗部材32の電気抵抗値が増大される。このため、バッテリー44による抵抗部材32及びヒータ26を含んだ電気回路への印加電圧が一定であれば、抵抗部材32が所定の温度T0以上になり、抵抗部材32の電気抵抗値が増大されることによって、抵抗部材32及びヒータ26を含んだ電気回路に流れる電流の電流値が減少される。
【0037】
また、抵抗部材32は、通電されることによって温度が上昇される。ここで、一定の電圧がヒータ26及び抵抗部材32を含んだ電気回路に印加された状態では、例えば、抵抗部材32が上記の所定の温度T0よりも高い特定の温度を越えると、抵抗部材32の温度は、ヒータ26の温度よりも高くなる。このような抵抗部材32の構成は、例えば、所謂「PTCサーミスタ」と同様の構成とされており、「PTCサーミスタ」を抵抗部材32として流用することが可能である。
【0038】
<第1の実施の形態の作用、効果>
以上の構成の本実施の形態では、例えば、ハウジング12内の湿気が高くなると、水滴がプレート24に付着したり、プレート24が曇ったりする。また、車両の外気温が低い場合には、霜がプレート24に付着することがある。このような場合に、車両室内の操作部材が操作され、ヒータ26を含んだ電気回路に一定の電圧が印加され、この電気回路が通電されると、ヒータ26は、ヒータ26自身の電気抵抗によって発熱される。
【0039】
このようなヒータ26の発熱によってヒータ26の温度が上昇すると、ヒータ26の熱がプレート24へ伝えられ、プレート24の温度が上昇される。このようにしてプレート24の温度が上昇されると、プレート24に付着した水滴や霜が蒸発され、又は、プレート24の曇りが除去される。これによって、カメラ16が、水滴や霜等の除去前に比べて車両後側の状況を明瞭に撮像できる。
【0040】
また、ヒータ26を含んだ電気回路に一定の電圧が印加され、この電気回路が通電されると、抵抗部材32に電流が流れる。このように抵抗部材32に電流が流れると、抵抗部材32が発熱されて、抵抗部材32の温度が上昇される。抵抗部材32の温度が所定の温度T0を越えると、抵抗部材32の電気抵抗値が上昇される。
【0041】
このため、バッテリー44がヒータ26及び抵抗部材32を含んだ電気回路に一定の電圧を印加しているのであれば、抵抗部材32の電気抵抗値の上昇に伴って抵抗部材32及びヒータ26に流れる電流の電流値が減少される。このため、抵抗部材32の温度が上記の所定の温度T0よりも十分に大きな温度まで上昇されると、ヒータ26を流れる電流の電流値が十分に小さくなり、ヒータ26の温度上昇が効果的に抑制される。
【0042】
このように、本実施の形態では、ヒータ26にはバッテリー44によって一定の電圧が印加している。したがって、ヒータ26及び抵抗部材32を含んで構成された電気回路が許容する最大電圧をヒータ26に印加すれば、ヒータ26の温度を早急に上昇させることができ、プレート24に付着した水滴や霜、又は、プレート24の曇り等を短時間で除去できる。
【0043】
しかも、ヒータ26は、板状又はシート状或いは膜状で、ヒータ26の外周形状は、上記のプレート24の外周形状と同じか、プレート24の外周形状よりも大きい。このため、ヒータ26は、プレート24の全体を加熱でき、したがって、例えば、プレート24の厚さ方向に対して直交する方向のプレート24の中央側の温度を早急に上昇させることができ、プレート24の中央側に付着した水滴や霜、又は、プレート24の曇り等を短時間で除去できる。
【0044】
さらに、抵抗部材32の電気抵抗値は、抵抗部材32に電流が流れて抵抗部材32の温度の上昇に伴って増加する。すなわち、抵抗部材32及びヒータ26を含んで構成される電気回路への電圧の印加開始時では、抵抗部材32の温度が低く、抵抗部材32の電気抵抗値が低い。このため、抵抗部材32及びヒータ26を含んで構成される電気回路への電圧の印加が一定であれば、ヒータ26に大きな電流値の電流を流すことができる。このため、短時間でヒータ26の温度を上昇させることができる。
【0045】
また、例えば、温度センサ等でヒータ26の温度を検出し、ヒータ26の温度が一定の温度以上になることでヒータ26への通電を停止するような構成では、温度センサがヒータから離れていると、ヒータ26の温度を的確に検出することが困難である。このため、このような構成では、温度センサは、ヒータ26の極近傍に配置される。
【0046】
これに対して、本実施の形態では、抵抗部材32の温度が上記の所定の温度T0よりも十分に大きな温度まで上昇されることによってヒータ26の温度上昇が抑制される構成であって、抵抗部材32がヒータ26の温度を直接検出する構成ではない。このため、抵抗部材32の配置位置を特にヒータ26へ接近させなくてもよい。
【0047】
しかも、一定の電圧がヒータ26及び抵抗部材32を含んだ電気回路に印加された状態では、例えば、抵抗部材32が上記の所定の温度T0よりも高い特定の温度を越えると、抵抗部材32の温度は、ヒータ26の温度よりも高くなる。このため、抵抗部材32が上記の所定の温度T0よりも高い特定の温度を越えると、ヒータ26の熱によって抵抗部材32が加熱されることを抑制できる。
【0048】
また、抵抗部材32は、チューブ38に被覆されており、チューブ38の外側の熱によって抵抗部材32が加熱されることを抑制できる。これによって、ヒータ26の熱によって抵抗部材32が加熱されることを抑制できる。このように、ヒータ26の熱によって抵抗部材32の温度が上昇することを抑制できるため、抵抗部材32をヒータ26の近傍に配置することができる。
【0049】
このように、本実施の形態では、抵抗部材32の配置位置によらず、ヒータ26の過剰な温度上昇を抑制できる。このため、抵抗部材32の配置位置の設定の自由度が高い。
【0050】
また、抵抗部材32とヒータ26とは第1コネクタ30によって電気的且つ機械的に接続され、抵抗部材32とスイッチ42とは第2コネクタ40によって電気的且つ機械的に接続される。したがって、温度に対する電気抵抗値の上昇特性が異なる抵抗部材32であっても、抵抗部材32のヒータ26側に第1コネクタ30が設けられ、抵抗部材32のスイッチ42側に第2コネクタ40が設けられる構成であれば、抵抗部材32をヒータ26及びスイッチ42の各々に繋ぐことができる。このため、温度に対する電気抵抗値の上昇特性が異なる抵抗部材32への仕様の変更が容易である。
【0051】
<第2の実施の形態>
図4に示されるように、本実施の形態は、カメラブラケット14の外側に一対の保持片52が設けられている。これらの保持片52は、カメラブラケット14の壁部から突出形成されており、カメラブラケット14の開口方向側及びその反対方向側(図4の矢印A方向側及びその反対方向側)に互いに対向している。
【0052】
これらの保持片52の間には、チューブ38のうち、端子34、36を被覆した部分、すなわち、チューブ38における抵抗部材32の近傍部分が配置されている。チューブ38は、保持片52によって両保持片52の対向方向に変形され、これにより、チューブ38は、両保持片52に保持されている。
【0053】
このように、チューブ38における抵抗部材32の近傍部分が両保持片52によって保持されることで、車両走行時等の振動で抵抗部材32が不用意に動くことを抑制できる。これによって、抵抗部材32が不用意に動くことに起因した不具合の発生を抑制できる。
【0054】
なお、本実施の形態では、保持片52がカメラブラケット14に形成された構成であった。しかしながら、保持片52は、ハウジング12に形成されてもよい。すなわち、保持片52は、抵抗部材32の配置位置の近傍に設けられればよく、保持片52の配置位置に関しては特に限定されるものではない。
【0055】
<第3の実施の形態>
図5に示されるように、本実施の形態の車両用撮像装置10では、プレート24におけるカメラブラケット14(図5では図示省略)の開口方向側(図5の矢印A方向側)にヒータ26が配置されている。また、本実施の形態の車両用撮像装置10では、一対のバスバー28のうち接地(アース)される方とは別の方のバスバー28に代わるバスバー62を備えている。
【0056】
図5に示されるようにバスバー62は、全体的に導電性を有すると共に、厚さ方向に対して交差する方向の弾性を有する金属板等の板材によって形成されている。バスバー62は、曲部64を備えている。曲部64は、カメラブラケット14の開口方向に対して直交する方向(図5及び図6の矢印B方向)側へ開口するように曲がっている。
【0057】
バスバー62における曲部64よりも一方の側(図5の矢印D1方向側)は、第1圧接部66とされている。バスバー62がプレート24及びヒータ26に取付けられた状態で、第1圧接部66は、プレート24におけるカメラブラケット14(図5では図示省略)の開口方向とは反対側(図5の矢印A方向とは反対側)に配置される。これに対して、バスバー62における曲部64よりも他方の側(図5の矢印D2方向側)は、第2圧接部68とされている。バスバー62がプレート24及びヒータ26に取付けられた状態で、第2圧接部68は、ヒータ26におけるカメラブラケット14(図5では図示省略)の開口方向側に配置される。
【0058】
第2圧接部68は、複数の第1端子保持片70と複数の第2端子保持片72とを備えている。図6に示されるように、第1端子保持片70と第2端子保持片72とは、曲部64の曲率中心軸方向(図6の矢印C方向)に、交互に設けられている。
【0059】
第1端子保持片70は、第1端子保持部74を備えている。第1端子保持部74は、バスバー62の曲部64の他端から延出されている。また、第1端子保持部74は、曲部64の曲率中心軸方向と同方向を軸方向とする軸周り方向へ適宜に曲げられている。これによって、第1端子保持部74を曲部64の曲率中心軸方向に見た形状(すなわち、図5図示状態での第1端子保持部74の形状)は、概ね、カメラブラケット14の開口方向(図5及び図6の矢印A方向)側へ開口した凹形状とされている。第1端子保持部74の曲部64とは反対側の端部からは第1摘み76が延出されている。
【0060】
一方、第2端子保持片72は、第2端子保持部78を備えている。第2端子保持部78は、バスバー62の曲部64の他端から延出されている。また、第2端子保持部78は、曲部64の曲率中心軸方向と同方向を軸方向とする軸周り方向へ適宜に曲げられている。
【0061】
これによって、第2端子保持部78を曲部64の曲率中心軸方向に見た形状(すなわち、図5図示状態での第2端子保持部78の形状)は、概ね、カメラブラケット14の開口方向とは反対方向(図5及び図6の矢印Aとは反対方向)側へ開口した凹形状とされている。この第2端子保持部78における曲部64からの延出方向中間部は、第1端子保持片70の第1端子保持部74よりもカメラブラケット14の開口方向側に配置されている。
【0062】
また、第1端子保持部74及び第2端子保持部78の双方における曲部64からの延出方向中間部での第1端子保持部74と第2端子保持部78とのカメラブラケット14の開口方向の間隔は、チューブ38において両端子34、36を被覆した部分でのカメラブラケット14の開口方向に沿った寸法以下とされている。さらに、上記の第1圧接部66及び第2圧接部68に外力が付与されていない状態で、第1圧接部66と第2端子保持部78との間隔は、プレート24の厚さとヒータ26の厚さとの和未満とされている。
【0063】
また、第2端子保持部78の曲部64とは反対側の端部からは第2摘み80が延出されている。第2摘み80は、第1端子保持片70の第1端子保持部74よりもカメラブラケット14の開口方向(図5及び図6の矢印A方向)側に配置されている。このため、第1摘み76と第2摘み80とを互いに接近させる方向(図5の矢印E1方向及び矢印E2方向)へ、第1端子保持片70及び第2端子保持片72が曲部64側を中心に弾性変形されると、第1端子保持部74と第2端子保持部78とが互いに離間するように(すなわち、図5の矢印側へF1方向及び矢印側へF2方向)へ移動される。
【0064】
したがって、このように、第1端子保持部74と第2端子保持部78とを互いに離間させることによって、第1端子保持部74と第2端子保持部78との間にチューブ38において両端子34、36を被覆した部分を配置できる。この状態から、第1摘み76と第2摘み80とを互いに接近させる方向への荷重を解消すると、チューブ38において両端子34、36を被覆した部分は、第2圧接部68における第1端子保持片70及び第2端子保持片72の弾性によって第1端子保持部74及び第2端子保持部78に保持される。
【0065】
この状態で、第1圧接部66と、第2圧接部68の第1端子保持部74との間にプレート24及びヒータ26が配置される。これによって第1圧接部66と、第2圧接部68の第2端子保持部78とが離間される(すなわち、図5の矢印G1方向側及び矢印G2方向側へ移動される)。この状態では、曲部64が弾性変形され、曲部64の弾性は、第1圧接部66と、第2圧接部68とを互い接近させるように第1圧接部66及び第2圧接部68を付勢する。これによって、バスバー62は、第1圧接部66と第2圧接部68とがプレート24及びヒータ26を挟むようにプレート24及びヒータ26へ取付けられる。
【0066】
このような構成では、チューブ38に被覆された抵抗部材32を予めバスバー62に組付けておくことで、バスバー62と共に抵抗部材32をプレート24及びヒータ26に組付けられることができる。これによって、組付工数を低減できる。
【0067】
また、バスバー62が抵抗部材32を保持するので、カメラブラケット14やハウジング12に抵抗部材32を保持するための構造を設けなくてもよく、カメラブラケット14やハウジング12の簡素化が可能になる。
【0068】
さらに、抵抗部材32がバスバー62に保持されることによって抵抗部材32が安定し、抵抗部材32が不用意に動くことに起因した不具合の発生を抑制できる。
【0069】
なお、上記の各実施の形態では、熱伝達抑制手段がチューブ38によって構成されていた。しかしながら、例えば、ハウジング12の内側におけるカメラブラケット14の配置位置と抵抗部材32の配置位置との間に熱伝達抑制手段としての隔壁を設け、この隔壁によってヒータ26の熱が抵抗部材32に伝わることを抑制する構成としてもよい。すなわち、熱伝達抑制手段は、ヒータ26の熱が抵抗部材32に伝わることを抑制できるのであれば、その具体的な態様に限定されるものではない。
【0070】
また、上記の各実施の形態では、チューブ38等の熱伝達抑制手段によってヒータ26の熱が抵抗部材32に伝わることを抑制していた。しかしながら、例えば、
抵抗部材32がヒータ26から十分に離れて配置され、抵抗部材32がヒータ26の熱の影響を受けない(又は受けにくい)構成であれば、チューブ38等の熱伝達抑制手段を設けない構成としてもよい。
【0071】
さらに、前記第2の実施の形態では抵抗部材32の配置位置がカメラブラケット14とされ、前記第3の実施の形態では抵抗部材32の配置位置がプレート24とされていた。しかしながら、抵抗部材32の配置位置は、ハウジング12の内側においてカメラブラケット14やプレート24から離れた位置や、ハウジング12の外側であってもよい。
【0072】
また、抵抗部材32は、通電されることによって発熱される構成であるが、上記の各実施の形態では、抵抗部材32によって生じた熱に関して特に言及していない。例えば、ハウジング12と、ハウジング12が取り付けられる車両の車体との間の見切り部の近傍に抵抗部材32を設け、抵抗部材32が通電されることによって生じた熱でハウジング12及び車両の車体における上記の見切り部の近傍部分を温める構成にしてもよい。このような構成では、例えば、冬季に上記の隙に入った水分等が凍結することを抵抗部材32が通電されることによって生じた熱で抑制でき、ハウジング12の回動を維持できる。
【0073】
さらに、上記の各実施の形態では、熱伝達抑制手段としてのチューブ38を備える構成であったが、抵抗部材32がヒータ26の熱の影響を受けないか、抵抗部材32が受けるヒータ26の熱の影響が小さいのであれば、熱伝達抑制手段を備えない構成であってもよい。
【0074】
また、上記の各実施の形態では、カメラ16が撮像する「撮像側」は、車両後側であった。しかしながら、カメラ16が撮像する「撮像側」は、車両の車幅方向外側(車両の左側や右側)であってもよいし、車両上側、車両下側、車両前側であってもよい。
【0075】
さらに、上記の各実施の形態では、車両用撮像装置10は、車両のドアパネルに設けられて車両後側を撮像する構成であった。しかしながら、車両用撮像装置10は、車両のフロントグリル等の車両前側部分に設けられて車両前側等を撮像する所謂「フロントカメラ」であってもよいし、車両後部に設けられて車両後側等を撮像する所謂「リアカメラ」であってもよい。また、上記の各実施の形態では、カメラ16は、車両外側に配置される構成であったが、カメラ16が車両の室内に配置される構成であってもよい。すなわち、車両用撮像装置10の配置位置に関しては、特に限定されるものではなく、広く適用が可能である。
【0076】
また、上記の各実施の形態では、ヒータ26は、プレート24に設けられる構成であったが、ヒータ26は、カメラ16のレンズ20に設けられる構成であってもよい。さらに、このようにヒータ26をカメラ16のレンズ20に設ける構成の場合、プレート24を設けない構成であってもよい。
【0077】
また、上記の各実施の形態では、ヒータ26は、プレート24の撮像側(例えば、図1の矢印A方向側)に設けられる構成であった。しかしながら、ヒータ26は、プレート24における撮像側とは反対側(例えば、図1の矢印A方向とは反対側)やレンズ20における撮像側とは反対側に設けられる構成であってもよい。
【0078】
さらに、上記の各実施の形態では、ヒータ26の外周形状は、プレート24の外周形状と同じか、プレート24の外周形状よりも大きい略矩形とされていた。しかしながら、ヒータ26の外周形状は、プレート24の外周形状より小さくてもよい。ヒータ26の外周形状をプレート24の外周形状より小さくする場合には、ヒータ26の配置位置は、ヒータ26をカメラ16の画角内である中心部分側に設定されることが望ましい。
【符号の説明】
【0079】
10・・・車両用撮像装置、16・・・カメラ(撮像手段本体、撮像手段)、20・・・レンズ、24・・・プレート(撮像手段)、26・・・ヒータ、32・・・抵抗部材、38・・・チューブ(熱伝達抑制手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6