IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 荏原冷熱システム株式会社の特許一覧

特許7407026遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機
<>
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図1
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図2
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図3
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図4
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図5
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図6
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図7
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図8
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図9
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図10
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図11
  • 特許-遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】遠心式冷凍機に使用される油タンク、および遠心式冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231221BHJP
   F25B 43/02 20060101ALI20231221BHJP
   F25B 1/053 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F25B1/00 387F
F25B1/00 387J
F25B43/02 G
F25B43/02 M
F25B1/053 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020040183
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2020183860
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】201910344619.7
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】山田 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】仙田 卓寛
(72)【発明者】
【氏名】于 勝祥
(72)【発明者】
【氏名】李 景富
(72)【発明者】
【氏名】王 冰
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-164463(JP,U)
【文献】特開平08-110127(JP,A)
【文献】特開平02-178579(JP,A)
【文献】特開2008-014577(JP,A)
【文献】実開平03-059016(JP,U)
【文献】実開昭59-132060(JP,U)
【文献】特開2018-004142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 43/02
B01D 45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心式冷凍機に使用される圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための油タンクであって、
潤滑油を内部に貯留するための貯留容器と、
前記摺動部に供給された潤滑油を前記貯留容器内に戻すための油入口と、
冷媒液と潤滑油との混合流体を前記貯留容器内に導入するための混合流体入口と、
前記貯留容器内の冷媒蒸気を放出するための冷媒出口と、
前記油入口から前記貯留容器内に流入した前記潤滑油と、前記混合流体入口から前記貯留容器内に流入した前記混合流体との衝突を防止する構造体を備えており、
前記構造体は、前記貯留容器内に配置されたバッフル板であり、
前記バッフル板の少なくとも一部は、前記油入口と前記混合流体入口との間に配置されており、
前記バッフル板は、略水平に配置された第1壁と、前記第1壁から上方に延びる第2壁を備えており、
前記混合流体入口は、前記第1壁の上面に向けて前記混合流体を流入させるように配置されており、
前記第2壁は、前記冷媒出口と前記混合流体入口との間に位置しており、
前記油入口は、前記第1壁の下面を向いて配置されている、油タンク。
【請求項2】
遠心式冷凍機に使用される圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための油タンクであって、
潤滑油を内部に貯留するための貯留容器と、
前記摺動部に供給された潤滑油を前記貯留容器内に戻すための油入口と、
冷媒液と潤滑油との混合流体を前記貯留容器内に導入するための混合流体入口と、
前記貯留容器内の冷媒蒸気を放出するための冷媒出口と、
前記油入口から前記貯留容器内に流入した前記潤滑油と、前記混合流体入口から前記貯留容器内に流入した前記混合流体との衝突を防止する構造体を備えており、
前記構造体は、前記貯留容器内に配置されたバッフル板であり、
前記バッフル板の少なくとも一部は、前記油入口と前記混合流体入口との間に配置されており、
前記バッフル板は、略水平に配置された第1壁と、前記第1壁から上方に延びる第2壁を備えており、
前記混合流体入口は、前記第1壁の上面に向けて前記混合流体を流入させるように配置されており、
前記第2壁は、前記冷媒出口と前記混合流体入口との間に位置しており、
前記バッフル板は、前記第1壁から上方に延びる第3壁をさらに備えており、
前記混合流体入口は、前記第2壁と前記第3壁との間に位置しており、
前記第3壁は、前記混合流体入口と前記油入口との間に位置しており、
前記油入口は、前記第3壁の外面を向いて配置されている、油タンク。
【請求項3】
遠心式冷凍機に使用される圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための油タンクであって、
潤滑油を内部に貯留するための貯留容器と、
前記摺動部に供給された潤滑油を前記貯留容器内に戻すための油入口と、
冷媒液と潤滑油との混合流体を前記貯留容器内に導入するための混合流体入口と、
前記貯留容器内の冷媒蒸気を放出するための冷媒出口と、
前記油入口から前記貯留容器内に流入した前記潤滑油と、前記混合流体入口から前記貯留容器内に流入した前記混合流体との衝突を防止する構造体を備えており、
前記構造体は、前記貯留容器内に配置されたバッフル板であり、
前記バッフル板の少なくとも一部は、前記油入口と前記混合流体入口との間に配置されており、
前記混合流体入口および前記油入口は、前記冷媒出口を向いており、
前記混合流体入口は、前記油入口と前記冷媒出口との間に位置している、油タンク。
【請求項4】
遠心式冷凍機に使用される圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための油タンクであって、
潤滑油を内部に貯留するための貯留容器と、
前記摺動部に供給された潤滑油を前記貯留容器内に戻すための油入口と、
冷媒液と潤滑油との混合流体を前記貯留容器内に導入するための混合流体入口と、
前記貯留容器内の冷媒蒸気を放出するための冷媒出口と、
前記油入口から前記貯留容器内に流入した前記潤滑油と、前記混合流体入口から前記貯留容器内に流入した前記混合流体との衝突を防止する構造体を備えており、
前記構造体は、前記貯留容器内に配置されたバッフル板であり、
前記バッフル板の少なくとも一部は、前記油入口と前記混合流体入口との間に配置されており、
前記バッフル板は、略水平に配置された第1壁と、前記第1壁から上方に延びる第2壁を備えており、
前記混合流体入口は、前記第1壁の上方に位置しており、かつ前記第2壁に向けて前記混合流体を流入させるように配置されており、
前記第2壁は、前記冷媒出口と前記混合流体入口との間に位置している、油タンク。
【請求項5】
前記油入口は、前記第1壁の下方に配置されている、請求項に記載の油タンク。
【請求項6】
前記冷媒出口を構成する配管内に配置されたデミスタをさらに備えている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の油タンク。
【請求項7】
冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、
前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて前記冷媒液を生成する凝縮器と、
前記圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための油タンクを備え、
前記油タンクは、請求項1乃至のいずれか一項に記載の油タンクである、遠心式冷凍機。
【請求項8】
前記油タンクの混合流体入口は、前記蒸発器から延びる混合流体回収ラインに接続されている、請求項に記載の遠心式冷凍機。
【請求項9】
前記油タンクの混合流体入口は、前記圧縮機の油溜まり部から延びる油回収ラインに接続されている、請求項に記載の遠心式冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心式冷凍機に使用される油タンクに関し、特に圧縮機の軸受やギヤ等の摺動部に供給される潤滑油を貯留する油タンクに関する。また、本発明は、そのような油タンクを備えた遠心式冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心式冷凍機では、圧縮機の軸受やギヤ等の摺動部を潤滑させるために、潤滑油が使用される。潤滑油は、油タンクから摺動部に油ポンプで送られる。摺動部に供給された潤滑油は、油タンクへ戻る。一方、圧縮機内の潤滑油の一部は、冷媒流路内に漏れ、冷媒蒸気に混入する。潤滑油は冷媒蒸気と共に圧縮機から吐出され、凝縮器に入る。さらに、冷媒循環によって、潤滑油は蒸発器に溜まる。そこで、遠心式冷凍機の安定した運転を継続するために、潤滑油と冷媒液との混合流体は、蒸発器から油タンクに回収される。
【0003】
油タンクは、蒸発器に均圧管で接続されており、油タンクの内圧は、蒸発器とほぼ同じ圧力になる。したがって、圧縮機吐出冷媒蒸気や凝縮器冷媒蒸気を駆動力とするエジェクターで回収された潤滑油と冷媒液の混合流体が油タンクに流入する時、冷媒液の一部が瞬間的に蒸発(フラッシュ)し、冷媒蒸気となる。潤滑油を含む冷媒蒸気の流速は大幅に増大し、油タンク内で混合流体の噴流を形成する。特に蒸発器内を流れる被冷却流体の温度が低く、蒸発器の内圧が低い時は、油タンクでの冷媒フラッシュ蒸発による流速の上昇が大きい。一方、圧縮機の摺動部から油タンクに戻る潤滑油は、冷媒含有量が少ないため、冷媒蒸発による流速増加が小さい。
【0004】
油タンク内に流入した冷媒は蒸発し、油タンクの冷媒出口に接続された冷媒蒸気配管(均圧管)を通して、蒸発器(或いは圧縮機吸込み管)に送られる。冷媒から分離した潤滑油は、油タンク内に溜まる。油タンク内の潤滑油は、油ポンプによって油供給管を通じて圧縮機の摺動部に供給される。このようにして、潤滑油は油タンクに回収され、圧縮機の摺動部の潤滑に再度使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-190627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、油タンク内に形成される混合流体の噴流は、圧縮機からの潤滑油と衝突し、この潤滑油をミスト状にする。このミスト状の潤滑油は、冷媒蒸気に運ばれて油タンクから排出されてしまい、油タンク内の油量が維持できない。これを回避するためには、油タンクのサイズを大きくする必要があった。また、冷媒蒸気の噴流が油タンク内の油面に衝突し、潤滑油が飛散する。飛散した潤滑油は、冷媒蒸気に運ばれて油タンクから排出されてしまう。さらに、油面が不安定になるため、油ポンプでキャビテーションが発生し、潤滑油の供給にも影響が出る。
【0007】
そこで、本発明は、冷媒と潤滑油との混合流体の噴流が、圧縮機からの潤滑油に衝突することを防止し、潤滑油の回収率を増やすことができる油タンクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、遠心式冷凍機に使用される圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための油タンクであって、潤滑油を内部に貯留するための貯留容器と、前記摺動部に供給された潤滑油を前記貯留容器内に戻すための油入口と、冷媒液と潤滑油との混合流体を前記貯留容器内に導入するための混合流体入口と、前記貯留容器内の冷媒蒸気を放出するための冷媒出口と、前記油入口から前記貯留容器内に流入した前記潤滑油と、前記混合流体入口から前記貯留容器内に流入した前記混合流体との衝突を防止する構造体を備えている油タンクが提供される。
【0009】
本発明によれば、貯留容器内での潤滑油と混合流体との衝突が防止される。よって、衝突による潤滑油のミスト化が回避され、ミスト化した潤滑油が冷媒蒸気とともに油タンクから流出してしまうことを防止することができる。結果として、潤滑油の回収率が向上する。さらに、潤滑油のミスト化が回避できるので、油タンクのサイズを小さくできる。
【0010】
一態様では、前記構造体は、前記貯留容器内に配置されたバッフル板であり、前記バッフル板の少なくとも一部は、前記油入口と前記混合流体入口との間に配置されている。
本発明によれば、貯留容器内での潤滑油と混合流体との衝突は、バッフル板によって回避される。
【0011】
一態様では、前記バッフル板は、略水平に配置された第1壁と、前記第1壁から上方に延びる第2壁を備えており、前記混合流体入口は、前記第1壁の上面に向けて前記混合流体を流入させるように配置されており、前記第2壁は、前記冷媒出口と前記混合流体入口との間に位置している。
一態様では、前記油入口は、前記第1壁の下面を向いて配置されている。
一態様では、前記バッフル板は、前記第1壁から上方に延びる第3壁をさらに備えており、前記混合流体入口は、前記第2壁と前記第3壁との間に位置しており、前記第3壁は、前記混合流体入口と前記油入口との間に位置しており、前記油入口は、前記第3壁の外面を向いて配置されている。
【0012】
混合流体が貯留容器内に流入するとき、混合流体に含まれる冷媒液が瞬間的に蒸発(フラッシュ)し、高速の混合流体を形成する。本発明によれば、流速が高い混合流体は第1壁に衝突し、貯留容器内の油面には衝突しない。したがって、潤滑油の飛散が抑制され、油面が安定し、潤滑油を圧縮機の摺動部に安定して供給することができる。また、本発明によれば、混合流体は第1壁に衝突したときに、混合流体に含まれる潤滑油が第1壁に付着し、潤滑油が冷媒から分離される。さらに、混合流体は、第1壁に衝突したときに、その進行方向が変えられ、貯留容器の内面に衝突する。混合流体に含まれる潤滑油は貯留容器の内面に付着し、潤滑油が冷媒から分離される。このように、混合流体に含まれる潤滑油は2段階で冷媒から分離されるので、潤滑油の回収率が向上する。
【0013】
一態様では、前記混合流体入口は、前記貯留容器の一方の側壁に配置され、前記油入口は、前記貯留容器の反対側の側壁に配置されている。
本発明によれば、混合流体入口と油入口が離れているので、潤滑油は冷媒蒸気の流速が低い領域に導入される。したがって、潤滑油は冷媒蒸気によって撹拌されにくく、潤滑油のミスト化が防止される。結果として、潤滑油の回収率が向上する。
【0014】
一態様では、前記混合流体入口および前記油入口は、前記冷媒出口を向いており、前記混合流体入口は、前記油入口と前記冷媒出口との間に位置している。
本発明によれば、貯留容器内の冷媒蒸気の流れ方向において、混合流体入口は下流側に位置し、油入口は上流側に位置する。このような配置では、潤滑油は冷媒蒸気の流速が低い領域に導入される。したがって、潤滑油は冷媒蒸気によって撹拌されにくく、潤滑油のミスト化が防止される。結果として、潤滑油の回収率が向上する。
【0015】
一態様では、前記バッフル板は、略水平に配置された第1壁と、前記第1壁から上方に延びる第2壁を備えており、前記混合流体入口は、前記第1壁の上方に位置しており、かつ前記第2壁に向けて前記混合流体を流入させるように配置されており、前記第2壁は、前記冷媒出口と前記混合流体入口との間に位置している。
混合流体が貯留容器内に流入するとき、混合流体に含まれる冷媒液が瞬間的に蒸発(フラッシュ)し、高速の混合流体を形成する。本発明によれば、流速が高い混合流体は第2壁に衝突し、第1壁は混合流体が貯留容器内の油面に衝突することを防止する。したがって、潤滑油の飛散が抑制され、油面が安定し、潤滑油を圧縮機の摺動部に安定して供給することができる。また、本発明によれば、混合流体は第2壁に衝突したときに、混合流体に含まれる潤滑油が第2壁に付着し、潤滑油が冷媒から分離される。さらに、混合流体は、第2壁に衝突したときに、その進行方向が変えられ、貯留容器の内面に衝突する。混合流体に含まれる潤滑油は貯留容器の内面に付着し、潤滑油が冷媒から分離される。このように、混合流体に含まれる潤滑油は2段階で冷媒から分離されるので、潤滑油の回収率が向上する。
【0016】
一態様では、前記油入口は、前記第1壁の下方に配置されている。
本発明によれば、潤滑油と流速が高い混合流体との衝突が第1壁によって防止される。
一態様では、前記油タンクは、前記冷媒出口を構成する配管内に配置されたデミスタをさらに備えている。
本発明によれば、デミスタは、冷媒蒸気に含まれるミスト状の潤滑油を捕捉し、潤滑油を冷媒蒸気から分離することができる。結果として、潤滑油の回収率を向上することができる。
【0017】
一態様では、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて前記冷媒液を生成する凝縮器と、前記圧縮機の摺動部を潤滑する潤滑油を貯留するための上記油タンクを備えている、遠心式冷凍機が提供される。
一態様では、前記油タンクの混合流体入口は、前記蒸発器から延びる混合流体回収ラインに接続されている。
一態様では、前記油タンクの混合流体入口は、前記圧縮機の油溜まり部から延びる油回収ラインに接続されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、貯留容器内での潤滑油と混合流体との衝突が防止される。よって、衝突による潤滑油のミスト化が回避され、ミスト化した潤滑油が冷媒蒸気とともに油タンクから流出してしまうことを防止することができる。結果として、潤滑油の回収率が向上する。さらに、潤滑油のミスト化が回避できるので、油タンクのサイズを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】遠心式冷凍機の一実施形態を示す模式図である。
図2】油タンクの一実施形態を示す断面図である。
図3図2に示すA-A線断面図である。
図4】バッフル板の斜視図である。
図5】油タンクの他の実施形態を示す断面図である。
図6】油タンクのさらに他の実施形態を示す断面図である。
図7】油タンクのさらに他の実施形態を示す断面図である。
図8図7に示すB-B線断面図である。
図9】油タンクのさらに他の実施形態を示す断面図である。
図10】油タンクのさらに他の実施形態を示す断面図である。
図11】油タンクのさらに他の実施形態を示す断面図である。
図12】遠心式冷凍機の他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遠心式冷凍機の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、遠心式冷凍機は、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器2と、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて冷媒液を生成する凝縮器3を備えている。圧縮機1の吸込口は、冷媒配管4Aによって蒸発器2に連結されている。圧縮機1の排出口は、冷媒配管4Bによって凝縮器3に連結されている。
【0021】
遠心式冷凍機は、凝縮器3と蒸発器2との間に配置されたエコノマイザ9をさらに備えている。凝縮器3は冷媒配管4Cによってエコノマイザ9に連結され、エコノマイザ9は冷媒配管4Dによって蒸発器2に連結されている。さらに、エコノマイザ9は、冷媒配管4Eによって圧縮機1に連結されている。エコノマイザ9は、凝縮器3と蒸発器2との間に配置された中間冷却器である。凝縮器3からエコノマイザ9に延びる冷媒配管4Cには膨張弁21が取り付けられ、エコノマイザ9から蒸発器2に延びる冷媒配管4Dには膨張弁22が取り付けられている。膨張弁21,22は、その開度が調整可能に構成されており、例えば開度可変な電動弁から構成されている。
【0022】
蒸発器2は、被冷却流体(例えば冷水)から熱を奪って冷媒液が蒸発して冷凍効果を発揮する。圧縮機1は、蒸発器2で蒸発した冷媒蒸気を圧縮して高圧の冷媒蒸気を生成し、凝縮器3は、高圧の冷媒蒸気を冷却流体(例えば冷却水)で冷却して凝縮させることで、冷媒液を生成する。冷媒液は、膨張弁21を通過することによって減圧される。減圧された冷媒液中に存在する冷媒蒸気はエコノマイザ9によって分離され、圧縮機1の一段目羽根車11と二段目羽根車12との間に設けた中間吸込口17に送られる。エコノマイザ9を通過した冷媒液は、膨張弁22を通過することによって減圧され、さらに冷媒配管4Dを通って蒸発器2に送られる。このように、遠心式冷凍機は、冷媒を封入したクローズドシステムとして構成される。エコノマイザ9は省略される場合もある。
【0023】
本実施形態では、圧縮機1は、多段遠心式圧縮機1から構成されている。より具体的には、圧縮機1は二段遠心式圧縮機1からなり、一段目羽根車11と、二段目羽根車12と、これらの羽根車11,12を回転させる電動機13とを備えている。圧縮機1は、羽根車11,12を電動機13に連結するギヤ18と、羽根車11,12が固定された回転軸を回転可能に支持する軸受19と、電動機13の軸を支持する軸受23と、ギヤ18および軸受19を少なくとも含む摺動部が収容されたギヤケーシング20をさらに備えている。
【0024】
圧縮機1の吸込口には、冷媒蒸気の羽根車11,12への吸込流量を調整するガイドベーン16が配置されている。ガイドベーン16は一段目羽根車11の吸込側に位置している。ガイドベーン16は放射状に配置されており、各ガイドベーン16が自身の軸心を中心として互いに同期して所定の角度だけ回転することにより、ガイドベーン16の開度が変更される。蒸発器2から送られた冷媒蒸気は、ガイドベーン16を通過し、その後、回転する羽根車11,12によって順次昇圧される。昇圧された冷媒蒸気は、冷媒配管4Bを通って凝縮器3に送られる。
【0025】
遠心式冷凍機は、圧縮機1の摺動部を潤滑するための潤滑油を貯留する油タンク30と、潤滑油を油タンク30から圧縮機1に送るための油ポンプ32を備えている。油ポンプ32は油タンク30に接続されている。油タンク30は、油供給ライン35および油戻りライン36によって圧縮機1に連結されている。より具体的には、油供給ライン35の一端はギヤケーシング20に接続されており、油供給ライン35の他端は油ポンプ32に接続されている。油戻りライン36の一端はギヤケーシング20の下部に接続されており、油戻りライン36の他端は油タンク30に接続されている。
【0026】
油ポンプ32が作動すると、潤滑油は、油タンク30から油供給ライン35を通ってギヤケーシング20内に供給される。潤滑油は、ギヤケーシング20内のギヤ18および軸受19,23などの摺動部に供給され、これら摺動部を潤滑する。摺動部を潤滑した潤滑油は、摺動部から自重により落下して、ギヤケーシング20内に溜まる。ギヤケーシング20内の潤滑油は、油戻りライン36を通って油タンク30内に流れる。油タンク30内の潤滑油は、油ポンプ32によって油供給ライン35を通ってギヤケーシング20に送られ、摺動部の潤滑に再度供される。このように、潤滑油は、油供給ライン35および油戻りライン36を通って油タンク30とギヤケーシング20との間を循環する。
【0027】
圧縮機1内の潤滑油の一部は、冷媒流路内に漏れ、冷媒蒸気に混入する。潤滑油は冷媒蒸気と共に圧縮機1から吐出され、凝縮器3に入る。さらに、冷媒循環によって、潤滑油は蒸発器2に溜まる。蒸発器2内の潤滑油は冷媒液と混ざり、潤滑油と冷媒液の混合流体になる。遠心式冷凍機の安定した運転を継続するために、潤滑油と冷媒液との混合流体は、蒸発器2から混合流体回収ライン38を通って油タンク30に回収される。混合流体回収ライン38の一端は蒸発器2に接続され、混合流体回収ライン38の他端は油タンク30に接続されている。
【0028】
蒸発器2内の潤滑油が比較的多く存在する場所から、潤滑油と冷媒液の混合流体が回収される。混合流体の回収の駆動源には、冷媒蒸気を作動流体に利用したエジェクター40が用いられる。混合流体回収ライン38は、エジェクター40を経由して油タンク30に延びている。作動流体ライン43は冷媒配管4Bから分岐して、エジェクター40に接続されている。圧縮機1から凝縮器3に流れる冷媒蒸気の一部は、冷媒配管4Bから作動流体ライン43を通ってエジェクター40に注入され、エジェクター40の作動流体として作用する。エジェクター40は、潤滑油と冷媒液の混合流体を蒸発器2から吸い込み、その混合流体を油タンク30に移送する。
【0029】
混合流体に含まれる冷媒は、油タンク30内で冷媒蒸気の状態で潤滑油から分離される。潤滑油は、油タンク30内に溜まり、一方で冷媒蒸気は、冷媒戻りライン47を通って蒸発器2に戻される。冷媒戻りライン47の一端は油タンク30に接続され、冷媒戻りライン47の他端は蒸発器2に接続されている。
【0030】
図2は、油タンク30の一実施形態を示す断面図であり、図3は、図2に示すA-A線断面図である。油タンク30は、潤滑油を内部に貯留するための貯留容器51と、圧縮機1の摺動部に供給された潤滑油を貯留容器51内に戻すための油入口54と、冷媒液と潤滑油との混合流体を貯留容器51内に導入するための混合流体入口56と、貯留容器51内の冷媒蒸気を放出するための冷媒出口58を備えている。油入口54は、図1に示す油戻りライン36に接続されている。混合流体入口56は、図1に示す混合流体回収ライン38に接続されている。冷媒出口58は、図1に示す冷媒戻りライン47に接続されている。
【0031】
油タンク30は、油入口54から貯留容器51内に流入した潤滑油と、混合流体入口56から貯留容器51内に流入した混合流体との衝突を防止する構造体としてのバッフル板60を備えている。バッフル板60は、貯留容器51内に配置されている。バッフル板60の少なくとも一部は、油入口54と混合流体入口56との間に配置されている。バッフル板60は、貯留容器51の上壁51aに接続されており、油入口54は、貯留容器51の側壁51bに固定されている。混合流体入口56は、貯留容器51の上壁51aに固定され、かつバッフル板60の上方に配置されている。油ポンプ32は、側壁51bに固定されている。一実施形態では、油ポンプ32は、貯留容器51の反対側の側壁である側壁51cに固定されてもよい。
【0032】
図4は、バッフル板60の斜視図である。バッフル板60は、略水平に配置された第1壁60aと、第1壁60aから上方に延びる第2壁60bおよび第3壁60cを備えている。第2壁60bおよび第3壁60cは、互いに平行に配置されている。混合流体入口56は、第1壁60aの上方に位置しており、第1壁60aの上面に向けて混合流体を流入させるように配置されている。混合流体入口56は、第2壁60bと第3壁60cとの間に位置しており、第3壁60cは、混合流体入口56と油入口54との間に位置しており、油入口54は、第3壁60cの外面を向いて配置されている。
【0033】
図2に示すように、第2壁60bおよび第3壁60cの上端は、貯留容器51の上壁51aに接続されており、第2壁60bおよび第3壁60cの下端は、第1壁60aの両側の縁にそれぞれ接続されている。第2壁60bは、冷媒出口58と混合流体入口56との間に位置している。第3壁60cと、貯留容器51の側壁51bとの間には隙間が形成されている。
【0034】
図1に示すように、油タンク30は、蒸発器2に冷媒戻りライン(均圧管)47で接続されているので、油タンク30の内圧は、蒸発器2とほぼ同じ圧力になる。圧縮機1のギヤケーシング20から戻された潤滑油は、油入口54から貯留容器51内に流れ込む。この潤滑油は、冷媒をほとんど含まないため、潤滑油が貯留容器51内に流入したときに少量の冷媒液のみが蒸発し、実質的に噴流を形成しない。
【0035】
一方、混合流体が混合流体入口56から貯留容器51内に流入するとき、混合流体に含まれる冷媒液が瞬間的に蒸発(フラッシュ)し、高速の混合流体を形成する。本実施形態によれば、バッフル板60の第3壁60cは、油入口54と混合流体入口56との間に配置されている。したがって、貯留容器51内での潤滑油と混合流体との衝突は、バッフル板60によって回避される。よって、衝突による潤滑油のミスト化が回避され、ミスト化した潤滑油が冷媒蒸気とともに油タンク30から流出してしまうことを防止することができる。結果として、潤滑油の回収率が向上する。潤滑油のミスト化が回避できるので、油タンク30のサイズを小さくできる。
【0036】
また、本実施形態によれば、混合流体入口56は、第1壁60aを向いて配置されているので、流速が高い混合流体は第1壁60aに衝突し、貯留容器51内の油面には衝突しない。したがって、潤滑油の飛散が抑制され、油面が安定し、潤滑油を圧縮機1の摺動部に安定して供給することができる。
【0037】
さらに、図3に示すように、混合流体は第1壁60aに衝突したときに、混合流体に含まれる潤滑油が第1壁60aに付着し、潤滑油が冷媒から分離される。潤滑油は、第1壁60a上を流れ、貯留容器51内に落下する。混合流体は、第1壁60aに衝突したときに、その進行方向が変えられ、貯留容器51の内面に衝突する。混合流体に含まれる潤滑油は貯留容器51の内面に付着し、潤滑油が冷媒から分離される。このように、混合流体に含まれる潤滑油は2段階で冷媒から分離されるので、潤滑油の回収率が向上する。
【0038】
図2に示すように、冷媒出口58を構成する配管58a内にはデミスタ65が配置されている。デミスタ65は、冷媒蒸気に含まれるミスト状の潤滑油を捕捉し、潤滑油を冷媒蒸気から分離することができる。結果として、潤滑油の回収率を向上することができる。
【0039】
図5は、油タンク30の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、油入口54は、第1壁60aの下方に配置されており、かつ第1壁60aの下面を向いて配置されている。バッフル板60の第1壁60aは、油入口54と混合流体入口56との間に配置されている。したがって、貯留容器51内での潤滑油と混合流体との衝突は、バッフル板60の第1壁60aによって回避される。
【0040】
図6は、油タンク30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、油入口54は、第1壁60aの下方に配置されており、かつ第1壁60aと平行に延びている。バッフル板60の第1壁60aは、油入口54と混合流体入口56との間に配置されている。したがって、貯留容器51内での潤滑油と混合流体との衝突は、バッフル板60の第1壁60aによって回避される。
【0041】
図7は、油タンク30のさらに他の実施形態を示す断面図であり、図8は、図7に示すB-B線断面図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図2乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、混合流体入口56は、第3壁60cに固定されており、かつ第2壁60bの内面に向けて混合流体を流入させるように配置されている。混合流体入口56は、貯留容器51の側壁51bを貫通して延びている。混合流体入口56の先端は、第1壁60aの上方に位置しており、かつ第3壁60cに接続されている。混合流体入口56は、第2壁60bの内面を向いている。
【0042】
本実施形態によれば、流速が高い混合流体は第2壁60bの内面に衝突し、第1壁60aは混合流体が貯留容器51内の油面に衝突することを防止する。したがって、潤滑油の飛散が抑制され、油面が安定し、潤滑油を圧縮機1の摺動部に安定して供給することができる。また、図8に示すように、混合流体は、第2壁60bに衝突したときに、混合流体に含まれる潤滑油が第2壁60bに付着し、潤滑油が冷媒から分離される。潤滑油は、第2壁60b上を下方に流れ、さらに第1壁60a上を流れ、貯留容器51内に落下する。混合流体は、第2壁60bに衝突したときに、その進行方向が変えられ、貯留容器51の内面に衝突する。混合流体に含まれる潤滑油は貯留容器51の内面に付着し、潤滑油が冷媒から分離される。このように、混合流体に含まれる潤滑油は2段階で冷媒から分離されるので、潤滑油の回収率が向上する。
【0043】
図7に示す実施形態では、混合流体入口56および油入口54の両方は、冷媒出口58を向いており、混合流体入口56は、油入口54と冷媒出口58との間に位置している。貯留容器51内の冷媒蒸気の流れ方向において、混合流体入口56は下流側に位置し、油入口54は上流側に位置する。このような配置では、潤滑油は冷媒蒸気の流速が低い領域に導入される。したがって、潤滑油は冷媒蒸気によって撹拌されにくく、潤滑油のミスト化が防止される。結果として、潤滑油の回収率が向上する。
【0044】
図9は、油タンク30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図7および図8を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、バッフル板60は、第1壁60aおよび第2壁60bを有しているが、第3壁60cを有していない。第1壁60aは、貯留容器51の側壁51bに固定されている。第2壁60bは、貯留容器51の上壁51aから離れているが、上壁51aに固定されてもよい。
【0045】
混合流体入口56および油入口54は、貯留容器51の側壁51bに固定されている。混合流体入口56は、第2壁60bの内面を向いている。油入口54は、第1壁60aの下方に配置されており、かつ第1壁60aと平行に延びている。一実施形態では、図5に示す実施形態と同じように、油入口54は、第1壁60aの下面を向いて配置されてもよい。
【0046】
図9に示す実施形態によれば、図7および図8を参照して説明した実施形態と同じ効果が得られる。加えて、バッフル板60の第1壁60aは、油入口54と混合流体入口56との間に配置されている。したがって、貯留容器51内での潤滑油と混合流体との衝突は、バッフル板60の第1壁60aによって回避される。
【0047】
図10は、油タンク30のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の詳細は、図9を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、混合流体入口56は、貯留容器51の一方の側壁51bに配置され、油入口54は、貯留容器51の反対側の側壁51cに配置されている。すなわち、混合流体入口56および油入口54は、貯留容器51の両側に配置されている。
【0048】
バッフル板60の第1壁60aは貯留容器51の側壁51bに固定され、バッフル板60の第2壁60bは貯留容器51の上壁51aから離れている。一実施形態では、第2壁60bは、貯留容器51の上壁51aに固定されてもよい。さらに、図11に示すように、一実施形態では、バッフル板60の第1壁60aは貯留容器51の側壁51bから離れ、バッフル板60の第2壁60bは貯留容器51の上壁51aに固定されてもよい。
【0049】
本実施形態によれば、混合流体入口56と油入口54が離れているので、潤滑油は冷媒蒸気の流速が低い領域に導入される。したがって、潤滑油は冷媒蒸気によって撹拌されにくく、潤滑油のミスト化が防止される。結果として、潤滑油の回収率が向上する。
【0050】
上述した各実施形態に係る油タンク30は、圧縮機1の外部に配置された外置き型の油タンクであるが、上述した構成と機能は全て、圧縮機1の内部に配置された内蔵型の油タンクにも適用でき、同じ効果が発揮できる。
【0051】
さらに、上述した各実施形態に係る油タンク30は、図12に示す遠心式冷凍機の他の実施形態にも適用することができる。図12に示す実施形態では、上述した混合流体回収ライン38に加えて、油回収ライン70が設けられている。油回収ライン70は、圧縮機1からエジェクター73を経由して油タンク30まで延びている。より具体的には、油回収ライン70の一端は圧縮機1の油溜まり部72に接続され、油回収ライン70の他端は油タンク30の混合流体入口56(図2等参照)に接続されている。油溜まり部72は、圧縮機1の吸込口と、圧縮機1の一段目羽根車11との間に位置している。蒸発器2から圧縮機1に移送される冷媒蒸気には、潤滑油が僅かながら混入している。圧縮機1内に流入した潤滑油は、油溜まり部72に溜まり、油回収ライン70を通じて油タンク30に送られる。作動流体ライン75は冷媒配管4Bから分岐して、エジェクター73に接続されている。圧縮機1から凝縮器3に流れる冷媒蒸気の一部は、冷媒配管4Bから作動流体ライン75を通ってエジェクター73に注入され、エジェクター73の作動流体として作用する。エジェクター73は、油溜まり部72に溜まった潤滑油を吸い込み、その潤滑油を油タンク30に移送する。
【0052】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 圧縮機
2 蒸発器
3 凝縮器
4A,4B,4C,4D,4E 冷媒配管
9 エコノマイザ
11 一段目羽根車
12 二段目羽根車
13 電動機
16 ガイドベーン
17 中間吸込口
18 ギヤ
19 軸受
20 ギヤケーシング
21,22 膨張弁
23 軸受
30 油タンク
32 油ポンプ
35 油供給ライン
36 油戻りライン
38 混合流体回収ライン
40 エジェクター
43 作動流体ライン
47 冷媒戻りライン
51 貯留容器
54 油入口
56 混合流体入口
58 冷媒出口
60 バッフル板
60a 第1壁
60b 第2壁
60c 第3壁
65 デミスタ
70 油回収ライン
72 油溜まり部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12