(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ひげぜんまい調整機構、てんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計
(51)【国際特許分類】
G04B 17/32 20060101AFI20231221BHJP
G04B 17/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G04B17/32
G04B17/06 Z
(21)【出願番号】P 2020041805
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 重男
(72)【発明者】
【氏名】重城 幸一郎
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224820(JP,A)
【文献】特開2021-117184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻状に形成されたひげぜんまいと、
前記ひげぜんまいの外端部が連結され、前記ひげぜんまいの中心軸線と平行な第一軸線に沿う第一方向に移動可能かつ前記第一軸線と平行な第二軸線回りの第二方向に回転可能なひげ持と、
てんぷ受に連結されるひげ持受と、
前記ひげ持受に対して前記第一方向の一方側に重ねて設けられ、前記ひげ持を前記第二方向に回転可能に支持する支持板と、
前記第一軸線と同軸に設けられ、前記第一方向の前記一方側から前記ひげ持受に締結される締結部と、前記締結部の前記一方側の端部に設けられるとともに前記支持板より前記一方側に位置する拡径部と、を有するねじ部材と、
前記支持板及び前記ねじ部材の前記第一方向への相対移動を規制する規制部と、
を備えるひげぜんまい調整機構。
【請求項2】
前記規制部は、前記ひげ持受と前記支持板との間に設けられ、前記支持板を前記拡径部に向けて付勢する付勢部材である請求項
1に記載のひげぜんまい調整機構。
【請求項3】
前記ねじ部材は、前記支持板に挿入された状態で前記支持板と対応する位置に設けられる挿入部を有し、
前記規制部は、前記挿入部に設けられ、前記第一方向の前記拡径部側から前記ひげ持受側へ向かうにつれて外径が大きくなる傾斜部である請求項
1又は請求項
2に記載のひげぜんまい調整機構。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のひげぜんまい調整機構と、
前記ひげぜんまいの内端部が連結されるてんぷと、
を備えるてんぷ受ユニット。
【請求項5】
請求項
4に記載のてんぷ受ユニットを備えるムーブメント。
【請求項6】
請求項
5に記載のムーブメントを備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひげぜんまい調整機構、てんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、てんぷの中心に固定されたひげぜんまいを用いた機械式時計の構成が知られている。機械式時計では、例えば製造誤差等により、ひげぜんまいの外端部を保持するひげ持の寸法が個々に異なる場合がある。このような場合において、ひげ持の位置を調整することにより、機械式時計の等時性を調整するための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、内端部がバランススタッフに接続されたひげぜんまいと、ひげぜんまいの外端部を保持するバランススプリングスタッド(ひげ持)と、ひげ持に取り付けられ、回転することによりひげぜんまいの外端部を付勢する調節ねじと、を備えた時計用振動システムの構成が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、調節ねじを回転させて軸方向に移動させることにより、ひげぜんまいの外端部を任意に屈折させることができる。これにより、ひげぜんまいの中心に対してひげぜんまいを偏心させ、等時性エラーを減少させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、ひげぜんまいの中心軸線に直交する平面方向に沿ってひげぜんまいの外端部を移動させる構成を有するが、中心軸線と平行な高さ方向に沿ってひげぜんまいの外端部を移動させる機構を有しない。このため、ひげぜんまいの外端部の高さを調整する場合には、ピンセット等を用いてひげぜんまいの形状を変える必要があり、高度な熟練技術が必要であった。よって、作業者の技能や熟練度に依らず、所望の方向に容易にひげ持を移動可能な構成が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、ひげ持を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構、このひげぜんまい調整機構を備えたてんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一つの形態のひげぜんまい調整機構は、渦巻状に形成されたひげぜんまいと、前記ひげぜんまいの外端部が連結され、前記ひげぜんまいの中心軸線と平行な第一軸線に沿う第一方向に移動可能かつ前記第一軸線と平行な第二軸線回りの第二方向に回転可能なひげ持と、てんぷ受に連結されるひげ持受と、前記ひげ持受に対して前記第一方向の一方側に重ねて設けられ、前記ひげ持を前記第二方向に回転可能に支持する支持板と、前記第一軸線と同軸に設けられ、前記第一方向の前記一方側から前記ひげ持受に締結される締結部と、前記締結部の前記一方側の端部に設けられるとともに前記支持板より前記一方側に位置する拡径部と、を有するねじ部材と、前記支持板及び前記ねじ部材の前記第一方向への相対移動を規制する規制部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、ひげ持は、ひげぜんまいに対して、第一方向及び第二方向に移動可能とされている。これにより、ひげ持に保持されたひげぜんまいの外端部を、第一方向に沿って移動させるとともに、第二方向に沿って回転させることができる。よって、少なくとも第一方向と第二方向との二方向においてひげ持を移動させ、ひげぜんまいの外端部の位置を調整できる。また、ひげ持の第一方向の高さ調整(第一軸線に沿う移動)と第二方向の角度調整(第二軸線回りの回転)とがそれぞれ異なる軸線を基準にして行われるので、ひげ持の高さ調整と角度調整とを独立して行うことができる。よって、従来技術と比較して、ひげ持の位置合わせを容易に行うことができる。
したがって、ひげ持を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構を提供できる。
また、ひげ持受に締結されたねじ部材を回転させることにより、ねじ部材がひげ持受に対して第一方向に沿って移動する。このとき、規制部により支持板とねじ部材との相対移動が規制されるので、支持板は、ねじ部材の移動に伴ってひげ持受に対して第一方向に沿って移動する。よって、ねじ部材を回転させることにより、支持板及びひげ持を第一方向へ移動させることができる。また、ねじ部材の回転に伴う第一方向への移動に応じてひげ持が第一方向へ移動するので、第一方向への微調整ができる。さらに、ひげ持の位置を第一方向に調整する際にひげ持に触る必要がない。これにより、例えばピンセット等を用いて直接ひげ持を触ることによりひげ持を第一方向へ移動させる場合と比較して、より容易に高さ調整の微調整を行うことができる。
支持板は、ひげ持を第二方向に回転可能に支持している。これにより、第一方向に沿う移動とは独立して第二方向に沿ってひげ持を回転させることができる。よって、第一方向及び第二方向に沿う所望の方向にひげ持を容易に調整可能とすることができる。これにより、従来技術と比較して、作業者の技能や熟練度に依らず、ひげ持の位置合わせを行うことができるので、製造時の作業性を容易にするとともに、製品の品質を安定的かつ良好な状態に維持することができる。
【0011】
また、前記ひげぜんまい調整機構は、前記規制部は、前記ひげ持受と前記支持板との間に設けられ、前記支持板を前記拡径部に向けて付勢する付勢部材である。
【0012】
この構成によれば、付勢部材が支持板を拡径部側に向けて付勢することにより、支持板とねじ部材との相対移動が規制される。よって、簡素な構成により規制部を設けることができる。
【0013】
また、前記ひげぜんまい調整機構は、前記ねじ部材は、前記支持板に挿入された状態で前記支持板と対応する位置に設けられる挿入部を有し、前記規制部は、前記挿入部に設けられ、前記第一方向の前記拡径部側から前記ひげ持受側へ向かうにつれて外径が大きくなる傾斜部である。
【0014】
この構成によれば、ねじ部材における挿入部の外周部に配置された支持板は、第一方向のねじ部材から離間する方向に移動しようとした場合に、傾斜部によりねじ部材が軽圧入された状態となる。これにより、ねじ部材を第一方向に移動させた場合に、支持板とねじ部材との第一方向に沿う相対移動が規制される。よって、簡素な構成により規制部を設けることができる。一方、ねじ部材を回転させた際、支持板は、ねじ部材と摺動する。これにより、支持板が第一軸線回りに回転することなく、第一方向のみに移動可能となる。よって、第一方向に沿う高さ調整を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の一つの形態のてんぷ受ユニットは、上述のひげぜんまい調整機構と、前記ひげぜんまいの内端部が連結されるてんぷと、を備える。
【0016】
この構成によれば、上述のひげぜんまい調整機構を備えるので、ひげぜんまいの第一方向及び第二方向に沿ってひげ持を移動させることができる。
したがって、ひげ持を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構を備えた、動作の正確性を向上したてんぷ受ユニットを提供できる。
【0017】
本発明の一つの形態のムーブメントは、上述のてんぷ受ユニットを備える。
【0018】
この構成によれば、ひげ持を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構を有するてんぷ受ユニットを備えた、高性能なムーブメントを提供できる。
【0019】
本発明の一つの形態の時計は、上述のムーブメントを備える。
【0020】
この構成によれば、時計は、上述のムーブメントを備え、ムーブメントは、上述のひげぜんまい調整機構を備える。よって、ひげぜんまいの第一方向及び第二方向に沿ってひげ持を移動させることで、等時性のズレを調整できる。
したがって、ひげ持を第一方向及び第二方向にそれぞれ容易に調整可能なひげぜんまい調整機構を備えた、等時性のズレを容易に調整可能な時計とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ひげ持を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構、このひげぜんまい調整機構を備えたてんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】第1実施形態に係るムーブメントを表側から見た平面図。
【
図3】第1実施形態に係るてんぷ受ユニットを表側から見た平面図。
【
図6】第1実施形態に係るひげ持受、支持板、ねじ部材及びひげ持の組み立て状態を示す平面図。
【
図7】第2実施形態に係るてんぷ受ユニットを表側から見た平面図。
【
図9】第3実施形態に係るひげぜんまい調整機構の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施形態)
(時計)
図1は、第1実施形態に係る時計の外観図である。
時計1は、ケース蓋(不図示)及びガラス11を有する時計ケース12内に、ムーブメント2や、時刻に関する情報を示す目盛り等を有する文字板13、各種指針(時針14、分針15及び秒針16)等が組み込まれて構成されている。
【0025】
(ムーブメント)
図2は、第1実施形態に係るムーブメント2を表側から見た平面図である。
図2では、図面を見やすくするため、ムーブメント2を構成する時計用部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計用部品を簡略化して図示している。また、以下の説明では、ムーブメント2の基板を構成する地板17に対して時計ケース12(
図1参照)のガラス11側(文字板13側)をムーブメント2の「裏側」と称し、ケース蓋側(文字板13とは反対側)をムーブメント2の「表側」と称する。
【0026】
ムーブメント2は、地板17と、香箱車、二番車、三番車及び四番車を含む図示しない表輪列と、表輪列の回転を制御するための脱進調速機3と、を備える。図示のムーブメント2は、回転錘を備えた自動巻式時計用のムーブメントを例にしている。但し、この場合に限定されるものではなく、巻真18による手巻き式時計用のムーブメントであっても構わない。
図1に示す秒針16は、四番車の回転に基づいて回転するとともに、脱進調速機3によって調速された回転速度、すなわち1分間で1回転する。分針15は、二番車の回転、或いは二番車の回転に伴って回転する分車の回転に基づいて回転するとともに、脱進調速機3によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。時針14は、日の裏車を介して二番車の回転に伴って回転する筒車の回転に基づいて回転するとともに、脱進調速機3によって調速された回転速度、すなわち12時間或いは24時間で1回転する。
【0027】
脱進調速機3は、四番車に噛み合う不図示のがんぎ車及びアンクルと、てんぷ受ユニット4と、を備える。アンクルは、がんぎ車を脱進させる。てんぷ受ユニット4は、一定周期で規則正しく動作するてんぷ5を備えている。
【0028】
(てんぷ受ユニット)
図3は、第1実施形態に係るてんぷ受ユニット4を表側から見た平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、
図4のV部拡大図である。
図6は、第1実施形態に係るひげ持受37、支持板52、ねじ部材54及びひげ持53の組み立て状態を示す平面図である。
図3から
図5に示すように、てんぷ受ユニット4は、てんぷ5と、てんぷ受6と、ひげぜんまい調整機構7と、緩急針機構8と、を有する。
【0029】
(てんぷ)
図3及び
図4に示すように、てんぷ5は、てん真21と、てん輪22と、ひげぜんまい23と、を備える。てん真21は、中心軸線C周りに回転自在とされている。てん真21は、詳しくは後述するてんぷ受6に軸受36を介して回転可能に支持されている。
以下の説明では、てん真21の中心軸線Cに沿う方向を軸方向といい、中心軸線Cに直交する方向を径方向といい、中心軸線C周りに周回する方向を周方向という場合がある。
てん輪22は、てん真21に圧入等によって固定されたハブ部24と、ハブ部24を径方向の外側から囲繞する環状のリム部25と、ハブ部24及びリム部25間を連結する連結部26と、を備える。
【0030】
ひげぜんまい23は、てん真21とてん輪22との間に配置されている。ひげぜんまい23は、アルキメデス曲線に沿うように巻回された、軸方向から見て渦巻状の平ひげである。ひげぜんまい23の内端部28は、ひげ玉31(
図4参照)を介しててん真21に連結されている。ひげぜんまい23の外端部29は、詳しくは後述するひげぜんまい調整機構7のひげ持53に連結されている。ひげぜんまい23のうち外端部29を含む最も外径側に位置する部分は、径方向の外側に膨出した弧状部32(
図3参照)となっている。
【0031】
てん真21は、ひげぜんまい23から伝えられた動力によって中心軸線C周りに一定の振動周期で正逆回動する。てん真21は、軸方向における一端部21a(表側端部)が軸受36を介しててんぷ受6に支持され、他端部21b(裏側端部)が地板17(
図2参照)に形成された図示しない軸受に支持されている。てん真21の他端部21bには、上述したアンクルに連係する筒状の振り座19(
図4参照)が外装されている。
【0032】
(てんぷ受)
図4に示すように、てんぷ受6は、軸方向においててんぷ5より表側に配置されている。てんぷ受6は、取付基部35と、軸受36と、を有する。
取付基部35は、軸方向から見て、中心軸線Cから径方向の片側に向かって延びている。取付基部35は、軸方向を厚み方向とする平板状に形成されている。取付基部35の延在方向の端部の形状は、時計ケース12の形状に合わせた円弧状に形成されている(
図2も参照)。取付基部35には、軸方向に貫通する取付孔38が複数形成されている。てんぷ受ユニット4は、取付孔38内にそれぞれ挿通された固定ねじ(不図示)を介して地板17(
図2参照)に固定されている。取付基部35は、中心軸線Cと同軸上に形成された中央孔39を有する。取付基部35のうち、中央孔39の外周部を形成する部分は、軸受筒部40とされている。軸受筒部40は、取付基部35に対して裏側に一段下がって形成されている。
【0033】
軸受36は、いわゆる耐振軸受であって、軸受枠43と、穴石44と、受石45と、を備える。
軸受枠43は、軸受筒部40内に軸方向の表側から圧入されている。これにより、軸受枠43は、中心軸線Cと同軸上に配置されるとともに、てんぷ受6に固定されている。
穴石44は、軸受枠43内に取り付けられている。穴石44は、てん真21の一端部21aを回転可能に支持している。
受石45は、穴石44に重ねて配置され、てん真21の一端部21aを表側から支持している。受石45には、受石45をてん真21に向けて付勢する不図示の受石押さえばねが重ねて配置されている。
なお、軸受36の構成は一例であり、てん真21を回転可能に支持できる構成であれば、上述の構成に限られない。
【0034】
(ひげぜんまい調整機構)
ひげぜんまい調整機構7は、上述のひげぜんまい23と、ひげ持受37と、支持板52と、ひげ持53と、ねじ部材54と、規制部55(
図5参照)と、を備える。
【0035】
ひげ持受37は、てんぷ受6に連結されている。ひげ持受37は、てんぷ受6の軸受筒部40に外嵌されている。
図6に示すように、ひげ持受37は、把持部46と、把持部46に連結されるひげ持アーム47と、を有する。把持部46は、軸方向から見た平面視でC字状に形成されている。把持部46は、所定の回転トルクを付与したときに軸受筒部40に対して摺動する。これにより、ひげ持受37は、軸受筒部40(
図4参照)に対して中心軸線C周りに回転可能となっている。
【0036】
ひげ持アーム47は、把持部46より径方向の外側に設けられている。ひげ持アーム47は、把持部46の外径側端部から周方向の一方に向けて延びている。ひげ持アーム47は、U字状の溝50と、締結孔51と、を有する。U字状の溝50は、軸方向から見て、中心軸線Cの周方向における他方に開口するU字状に形成されている。締結孔51は、ひげ持アーム47の周方向においてU字状の溝50と反対側の端部に設けられている。締結孔51は、中心軸線Cと平行な第一軸線O1と同軸上に設けられている。締結孔51は、ひげ持アーム47を第一軸線O1の軸方向に貫通している。締結孔51の内周部には、雌ねじが形成されている。以下の説明では、第一軸線O1の軸方向に沿う方向を第一方向D1という。
【0037】
図4及び
図6に示すように、支持板52は、ひげ持受37のひげ持アーム47に対して第一方向D1の表側(請求項における第一方向D1の一方側)に重ねて設けられている。支持板52は、第一方向D1に移動可能に設けられている。
図6に示すように、支持板52は、スリップ部56と、接続部57と、支持アーム58と、を有する。
図6に示すように、スリップ部56は、ひげ持受37の締結孔51と対応する位置に設けられている。スリップ部56は、第一軸線O1を中心とするC字状に形成されている。スリップ部56のうち周方向の一方側(U字状の溝50と反対側)に切欠き59が形成されている。スリップ部56の内径は、締結孔51の内径より大きい。
【0038】
接続部57は、スリップ部56と接続されている。接続部57は、スリップ部56から周方向の他方側(U字状の溝50側)に向かって延びている。
支持アーム58は、接続部57におけるスリップ部56と反対側の端部に接続されている。支持アーム58は、中心軸線Cの径方向に分かれて一対設けられている。支持アーム58は、U字状の溝50の両側部に沿って二股に分かれつつ接続部57から更に周方向の他方側に向かって延びている。一対の支持アーム58の離間寸法は、U字状の溝50の溝幅寸法以下となっている。一対の支持アーム58のうち互いに対向する内側対向部60には、第一軸線O1と平行な第二軸線O2を中心とする円弧状の凹部61が設けられている。
【0039】
ひげ持53は、支持板52の一対の支持アーム58に支持されている。
図4に示すように、ひげ持53は、支持板52の第一方向D1への移動に伴って第一方向D1に移動可能となっている。ひげ持53は、第二軸線O2と同軸上に設けられている。ひげ持53は、一対の支持アーム58に対して第二軸線O2回りの第二方向D2に回転可能に支持されている。ひげ持53は、柱状部62と、大径部63と、を有する。
【0040】
柱状部62は、第二軸線O2と同軸な円柱状に形成されている。柱状部62の軸方向における裏側の端部には、ひげぜんまい23の外端部29が固定されている。柱状部62は、ひげぜんまい23の外端部29を保持している。
図6に示すように、柱状部62は、U字状の溝50内に配置されている。柱状部62の外周部は、支持アーム58に形成された凹部61と摺動可能に接触している。これにより、柱状部62は、支持アーム58に回転可能に支持されている。
【0041】
大径部63は、柱状部62の軸方向における表側の端部に接続されている。大径部63は、第二軸線O2の軸方向から見て、一部が切り欠かれた円形状に形成されている。具体的に、大径部63は、第一方向D1から見て、第二軸線O2を挟んで対向する一対の直線部と、一対の直線部間を連結する円弧部と、を有する。大径部63の外形寸法は、柱状部62の直径より大きい。
図4に示すように、大径部63は、軸方向の表側から支持板52の一対の支持アーム58に当接している。
【0042】
図4から
図6に示すように、ねじ部材54は、第一軸線O1と同軸に設けられている。本実施形態において、ねじ部材54は、外面に雄ねじ部を有するボルトである。
図5に示すように、ねじ部材54は、締結部65と、拡径部66と、挿入部67と、を有する。
【0043】
締結部65は、第一方向D1の表側からひげ持受37の締結孔51に締結されている。締結部65の外周部には、雄ねじ部が形成されている。
拡径部66は、締結部65の軸方向における表側の端部と連結されている。締結部65がひげ持受37と締結された状態において、拡径部66は、支持板52より表側に位置している。拡径部66は、第一方向D1から見て、円形状に形成されている。拡径部66の外径は、締結部65の外径より大きい。拡径部66の表側の端面には、ドライバー等の工具を挿入可能な凹溝68が形成されている。
【0044】
挿入部67は、第一方向D1において、締結部65と拡径部66との間に設けられている。挿入部67は、第一方向D1から見て円形状に形成されている。挿入部67の外径は、締結部65の外径より大きく、拡径部66の外径より小さい。締結部65がひげ持受37と締結された状態において、挿入部67は、ひげ持受37より表側に位置している。挿入部67の外周部には、支持板52が摺動可能に取り付けられている。挿入部67は、支持板52におけるスリップ部56の内周部に軽圧入されている。軽圧入の際には、スリップ部56に設けられた切欠き59が開くことにより、容易に挿入部67に支持板52が取り付けられる。
【0045】
本実施形態において、挿入部67の外周部には、傾斜部69が形成されている。傾斜部69は、第一方向D1の拡径部66側から締結部65側へ向かうにつれて外径が大きくなるように傾斜している。傾斜部69のうち、第一方向D1の最も締結部65側に位置する部分(最も外径が大きい部分)の外径は、支持板52のスリップ部56の内径より大きい。
このように形成されたねじ部材54は、第一軸線O1回りに回転することで、第一方向D1に移動する。具体的に、第一方向D1の表側から見て、ねじ部材54が時計回りに回転すると、ねじ部材54は第一方向D1の裏側へ移動する。ねじ部材54が反時計回りに回転すると、ねじ部材54は第一方向D1の表側へ移動する。
【0046】
規制部55は、支持板52及びねじ部材54の第一方向D1への相対移動を規制している。本実施形態において、規制部55は、上述の傾斜部69と、付勢部材64と、を有する。
上述したように、傾斜部69は、挿入部67に設けられている。つまり、規制部55は、ねじ部材54の挿入部67に設けられている。傾斜部69の少なくとも一部の外径が支持板52のスリップ部56の内径より大きく形成されることにより、支持板52は、挿入部67に保持されている。つまり、傾斜部69は、ねじ部材54に対する支持板52の第一方向D1への移動を規制している。
【0047】
付勢部材64は、例えばスプリングワッシャーである。付勢部材64は、第一軸線O1と同軸上に設けられている。付勢部材64は、ひげ持受37と支持板52との間に配置されている。付勢部材64の内径は、支持板52の挿入部67の外径より大きい。付勢部材64は、支持板52をねじ部材54の拡径部66側に向けて付勢している。これにより、付勢部材64は、ねじ部材54が回転してひげ持受37から離間する方向に移動した際、ねじ部材54に対する支持板52の第一方向D1への移動を規制している。付勢部材64が設けられることにより、支持板52は、ねじ部材54とともに第一方向D1に沿って移動する。
【0048】
(緩急針機構)
図3に戻って、緩急針機構8は、微動緩急針レバー71と、緩急針72と、を有する。
微動緩急針レバー71は、軸受枠43(
図4参照)に対して中心軸線C回りに回転可能に取り付けられている。微動緩急針レバー71は、軸受枠43に嵌合される嵌合部73(いずれも
図4参照)と、嵌合部73から径方向の外側に延びるとともに、周方向に分岐する二股状に形成された係合フォーク74と、を有する。係合フォーク74の内側には、調整ピン75が配設されている。
図4に示すように、調整ピン75は、てんぷ受6に設けられた軸受ブッシング76の内側に回転可能に嵌合されている。調整ピン75は、軸受ブッシング76と同軸の軸部77と、軸部77の表側端部に一体形成され、軸部77に対して偏心した頭部78と、を有する。頭部78は、係合フォーク74の内面に摺動可能に接触している。よって、調整ピン75を軸受ブッシング76に対して回転させることで、微動緩急針レバー71の全体をてんぷ5の中心軸線C回りに回転させることが可能となっている。
【0049】
図3に示すように、緩急針72は、緩急針体81と、ひげ棒82と、ひげ受83と、を備える。
緩急針体81は、中心軸線C周りに回転可能とされている。緩急針体81は、微動緩急針レバー71の嵌合部73を径方向外側から囲むベース部84と、ベース部84から径方向の外側に延びる緩急針アーム85と、を有する。
【0050】
ひげ棒82及びひげ受83は、緩急針アーム85に取り付けられている。ひげ棒82及びひげ受83は、ひげぜんまい23の弧状部32を間に挟んで径方向に向い合うように配置されている。具体的に、ひげ棒82は、弧状部32より径方向の内側に位置している。ひげ受83は、弧状部32より径方向の外側に位置している。ひげ棒82及びひげ受83の裏側に位置する端部は、ひげぜんまい23の弧状部32よりも下方に突出している。ひげ棒82とひげ受83との間隔は、調整可能となっている。これにより、ひげぜんまい23の振り幅を調整可能となっている。
【0051】
(作用、効果)
次に、上述のひげぜんまい調整機構7、てんぷ受ユニット4、ムーブメント2及び時計1の作用、効果について説明する。
本実施形態のひげぜんまい調整機構7によれば、ひげ持53は、ひげぜんまい23に対して、第一方向D1及び第二方向D2に移動可能とされている。これにより、ひげ持53に保持されたひげぜんまい23の外端部29を、第一方向D1に沿って移動させるとともに、第二方向D2に沿って回転させることができる。よって、少なくとも第一方向D1と第二方向D2との二方向においてひげ持53を移動させ、ひげぜんまい23の外端部29の位置を調整できる。また、ひげ持53の第一方向D1の高さ調整(第一軸線O1に沿う移動)と第二方向D2の角度調整(第二軸線O2回りの回転)とがそれぞれ異なる軸線を基準にして行われるので、ひげ持53の高さ調整と角度調整とを独立して行うことができる。よって、従来技術と比較して、ひげ持53の位置合わせを容易に行うことができる。
したがって、ひげ持53を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構7を提供できる。
【0052】
ひげ持受37に締結されたねじ部材54を回転させることにより、ねじ部材54がひげ持受37に対して第一方向D1に沿って移動する。このとき、規制部55により支持板52とねじ部材54との相対移動が規制されるので、支持板52は、ねじ部材54の移動に伴ってひげ持受37に対して第一方向D1に沿って移動する。よって、ねじ部材54を回転させることにより、支持板52及びひげ持53を第一方向D1へ移動させることができる。また、ねじ部材54の回転に伴う第一方向D1への移動に応じてひげ持53が第一方向D1へ移動するので、ひげ持53の位置を第一方向D1に調整する際にひげ持53に触る必要がない。これにより、例えばピンセット等を用いて直接ひげ持53を触ることによりひげ持53を第一方向D1へ移動させる場合と比較して、より容易に高さ調整の微調整を行うことができる。
【0053】
支持板52は、ひげ持53を第二方向D2に回転可能に支持している。これにより、第一方向D1に沿う移動とは独立して第二方向D2に沿ってひげ持53を回転させることができる。よって、第一方向D1及び第二方向D2に沿う所望の方向にひげ持53を容易に調整可能とすることができる。これにより、従来技術と比較して、作業者の技能や熟練度に依らず、ひげ持53の位置合わせを行うことができるので、製造時の作業性を容易にするとともに、製品の品質を安定的かつ良好な状態に維持することができる。
【0054】
ひげ持受37と支持板52との間に設けられた付勢部材64が規制部55となっている。付勢部材64が支持板52を拡径部66側に向けて付勢することにより、支持板52とねじ部材54との相対移動が規制される。よって、簡素な構成により規制部55を設けることができる。
【0055】
ねじ部材54の挿入部67に設けられた傾斜部69が規制部55となっている。ねじ部材54における挿入部67の外周部に配置された支持板52は、第一方向D1のねじ部材54から離間する方向に移動しようとした場合に、傾斜部69によりねじ部材54が軽圧入された状態となる。これにより、ねじ部材54を第一方向D1に移動させた場合に、支持板52とねじ部材54との第一方向D1に沿う相対移動が規制される。よって、簡素な構成により規制部55を設けることができる。一方、ねじ部材54を回転させた際、支持板52は、ねじ部材54と摺動する。これにより、支持板52が第一軸線O1回りに回転することなく、第一方向D1のみに移動可能となる。よって、第一方向D1に沿う高さ調整を容易に行うことができる。
【0056】
本実施形態では、傾斜部69及び付勢部材64が規制部55として機能する。このようにひげぜんまい調整機構7は複数の規制部55を有するので、規制部55として傾斜部69及び付勢部材64のいずれか一方のみを有する場合と比較して、より確実にねじ部材54と支持板52との相対移動を規制できる。
【0057】
本実施形態のてんぷ受ユニット4によれば、上述のひげぜんまい調整機構7を備えるので、ひげぜんまい23の第一方向D1及び第二方向D2に沿ってひげ持53を移動させることができる。
したがって、ひげ持53を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構7を備えた、動作の正確性を向上したてんぷ受ユニット4を提供できる。
【0058】
本実施形態のムーブメント2によれば、上述のてんぷ受ユニット4を備えるので、ひげ持53を所望の方向に容易に調整可能なひげぜんまい調整機構7を有するてんぷ受ユニット4を備えた、高性能なムーブメント2を提供できる。
【0059】
本実施形態の時計1によれば、時計1は、上述のムーブメント2を備え、ムーブメント2は、上述のひげぜんまい調整機構7を備える。よって、ひげぜんまい23の第一方向D1及び第二方向D2に沿ってひげ持53を移動させることで、等時性のズレを調整できる。
したがって、ひげ持53を第一方向D1及び第二方向D2にそれぞれ容易に調整可能なひげぜんまい調整機構7を備えた、等時性のズレを容易に調整可能な時計1とすることができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係るてんぷ受ユニット4を表側から見た平面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。第2実施形態では、規制部55が付勢部材64のみを有する点で上述した第1実施形態と相違している。
【0061】
図7に示すように、第2実施形態において、支持板52のスリップ部256は、第一軸線O1を中心とする環状に形成されている。換言すれば、スリップ部256は、切欠き59(
図6参照)を有することなく形成されている。
図8に示すように、ねじ部材54の挿入部67の外径は、第一方向D1に沿って一定となっている。換言すれば、第2実施形態において、ねじ部材54は、傾斜部69(
図5参照)を有することなく形成されている。ねじ部材54の挿入部67の外径は、ねじ部材54が挿入される支持板52の内径より小さい。つまり、ねじ部材54は、支持板52に遊挿されている。
【0062】
規制部55は、付勢部材64を有する。第2実施形態における付勢部材64の構成は、第1実施形態における付勢部材64の構成と同等となっている。このため、以下では付勢部材64の詳細な説明を省略する。付勢部材64は、支持板52をねじ部材54の拡径部66側に向けて付勢している。
【0063】
第2実施形態によれば、付勢部材64のみが規制部55として機能する。これにより、傾斜部69を有しないねじ部材54を用いた場合であっても、支持板52とねじ部材54との第一方向D1に沿う相対移動を規制できる。よって、ねじ部材54を簡素な構成としつつ、支持板52をねじ部材54とともに第一方向D1に移動させることができる。また、挿入部67と支持板52とが軽圧入される第1実施形態と比較して、挿入部67と支持板52とのクリアランスを大きくできる。よって、ねじ部材54を回転させた際、支持板52に対してねじ部材54を第一軸線O1回りに容易に摺動させることができる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態に係るひげぜんまい調整機構7の部分断面図である。
図9は、上述の第2実施形態における
図8に対応する部分断面図である。第3実施形態では、ねじ部材54としてナット354が用いられる点で上述した各実施形態と相違している。
【0065】
図9に示すように、第3実施形態のねじ部材54は、内面に雌ねじ部354aを有するナット354である。第3実施形態において、ひげ持受37の締結孔51には、中継部材348が圧入固定されている。具体的に、中継部材348は、第一方向D1の表側に突出する雄ねじ部348aを有するボルトである。中継部材348の第一方向D1の裏側の端部に設けられた取付部348bは、締結孔51に圧入されている。
【0066】
ねじ部材54であるナット354は、第一軸線O1と同軸に設けられている。ナット354は、雌ねじ部354aが形成された本体部365と、本体部365のひげ持受37側に設けられた段部367と、を有する。ナット354の雌ねじ部354aは、中継部材348の雄ねじ部348aと噛み合う。段部367の外径は、本体部365の外形寸法より小さい。段部367の外径は、段部367が挿入される支持部52の内径より小さい。つまり、ナット354は、支持板52に遊挿されている。ひげ持受37と支持板52との間には、規制部55として付勢部材64が設けられている。付勢部材64は、ナット354の軸方向における裏側の端面と接触することなく配置されている。
【0067】
第3実施形態によれば、ねじの代わりにナット354を用いた場合であっても、上述の第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。よって、ひげぜんまい調整機構7の汎用性を向上できる。
なお、上述の第3実施形態において、段部367の外周部に第1実施形態と同様の傾斜部69を設けてもよい。
【0068】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、規制部55が傾斜部69と付勢部材64との両方を有する構成、又は規制部55が付勢部材64のみを有する構成について説明したが、これに限られない。規制部55は、傾斜部69のみを有してもよい。但し、傾斜部69及び付勢部材64のいずれか一方を有する場合と比較して第二方向D2への付勢力を確実に付与できる点において、傾斜部69及び付勢部材64の両方を有する第1実施形態の構成は優位性がある。
【0069】
付勢部材64の構成は上述した実施形態に限られない。すなわち、付勢部材64は、例えばゴム等の弾性体やコイルばね等、スプリングワッシャー以外の部品により構成されてもよい。
【0070】
ねじ部材54の外周部に傾斜部69を設ける代わりに、支持板52におけるスリップ部56の内周部に傾斜部69を設けてもよい。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 時計
2 ムーブメント
4 てんぷ受ユニット
5 てんぷ
6 てんぷ受
7 ひげぜんまい調整機構
23 ひげぜんまい
28 内端部
29 外端部
37 ひげ持受
52 支持板
53 ひげ持
54 ねじ部材
55 規制部
64 付勢部材
65 締結部
66 拡径部
67 挿入部
69 傾斜部
C 中心軸線
D1 第一方向
D2 第二方向
O1 第一軸線
O2 第二軸線