(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20231221BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20231221BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20231221BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q30/0207
G09F19/22 H
G09F21/04 Z
(21)【出願番号】P 2020044705
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山崎 維香
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004212(JP,A)
【文献】特開2017-207796(JP,A)
【文献】特開昭50-131244(JP,A)
【文献】特開2002-251158(JP,A)
【文献】特開2002-229495(JP,A)
【文献】‐環境負荷の低減を啓発‐ ”水で描く新しい広告媒体”が誕生走った後が広告になる自転車「STAMP BIKE」,[online],2019年03月19日,https://prtimes.jp/main/thml/rd/p/000000005.000032030.html,[平成5年6月20日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09F 19/22
G09F 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の付着した車輪を路面に接触させることによって
当該路面に広告情報を表示する車両の運転者の体重を登録しておき、前記車両を運転した運転者のIDに対応付けて当該運転者に付与する特典を記憶する付与処理部であって、当該運転者について登録した前記体重が重いほど価値が大きい特典を記憶する付与処理部
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告を提示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
街頭において通行人に広告を提示するための技術が提案されている。例えば特許文献1には、通行人が街頭の広告表示手段の近傍に到達するタイミングで、そのユーザのプロファイルから得られる最適な広告情報を表示する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
街頭広告においては、その広告がより多くの場所でより多くの人間の目に触れるようにすることで、その広告の効果は大きくなる。そこで、本発明は、広告の効果を大きくすることを目的とする。
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、液体の付着した車輪を路面に接触させることによって当該路面に広告情報を表示する車両の運転者の体重を登録しておき、前記車両を運転した運転者のIDに対応付けて当該運転者に付与する特典を記憶する付与処理部であって、当該運転者について登録した前記体重が重いほど価値が大きい特典を記憶する付与処理部を備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0015】
本発明によれば、広告の効果を大きくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両シェアリングシステム1の構成を例示する図である。
【
図2】サーバ装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】車両10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】サーバ装置20が記憶するデータを例示する図である。
【
図6】サーバ装置20が記憶するデータを例示する図である。
【
図7】サーバ装置20の動作を例示するフローチャートである。
【
図8】変形例においてサーバ装置20が記憶するデータを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[構成]
図1は、本実施形態の車両シェアリングシステム1の一例を示す図である。車両シェアリングシステム1は、複数の車両10と、サーバ装置20と、複数の移動端末30と、これら車両10、サーバ装置20及び移動端末30を通信可能に接続する通信網2とを備える。本実施形態において車両10は電動自転車である。車両10の駐車エリアは予め決まっており、ユーザは任意の駐車エリアにて借りた車両10を利用した後、任意の駐車エリアへと返却する。サーバ装置20は、ユーザによる各車両10の利用状況を管理する処理や、後述するような広告に関する処理などを行う。通信網2は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の通信規格の無線通信網であり、図示せぬ無線基地局やその上位装置を含んでいる。なお、
図1において車両10及び移動端末30の数は単なる例示に過ぎない。
【0018】
車両10は、進行方向に対して前後に2つの車輪を有している。この2つの車輪のうち少なくともいずれ一方の車輪(例えば後輪)の外周面(つまり車輪の外周を構成するタイヤの、路面に対する接地面)には、広告として機能する情報(広告情報という)を文字、記号或いは図形等によって表現した凹凸構造(或いは山谷構造)が設けられている。このような凹凸構造は、一般にトレッドパターンと呼ばれており、主には駆動力や制動力、旋回力、排水力などの向上を図るものであるが、本実施形態では、路面における情報の表示手段としても機能する。車両10の通行中に、この凹凸構造の凸部分に液体(例えば水)が供給されると、車輪が路面上を回転しながら、液体が付着した凸部分が路面に接触する。これにより、路面において上記凸部分と接触した部分は液体で濡れ、路面において上記凸部分と接触していない部分(つまり、凹部分が通過した路面の部分)は液体で濡れないことになる。例えばアスファルトやコンクリート或いはウッドデッキが液体で濡れると、その液体の一部が路面に吸収されて、液体で濡れていない部分よりも濃い色に見えるため、路面において液体で濡れた部分と濡れない部分とを人間の目で識別可能となる。このため、上記のように車両10が道路を通行することにより、その路面において液体で濡れた部分と濡れない部分が生じ、この液体の有無の差により、広告情報が表示されることになる。なお、車輪の外周面において、上記の文字、記号又は図形に相当する部分が凸部分であってもよいし、上記の文字、記号又は図形に相当する部分が凹部分であってもよい。要するに、路面における液体の有無によって広告情報が表示されればよい。
【0019】
サーバ装置20は、本発明に係る情報処理装置の一例であり、車両10によって広告情報が表示されたときの広告の効果に応じて、車両10の運転者(つまり車両10を借りたユーザ)に対して特典を付与する処理を行う。ここでいう特典とは、例えばユーザが車両10を借りるために支払う金銭を割り引くという特典であってもよいし、そのユーザが金銭の代わりに利用できる電子的価値(ポイントとも呼ばれる)をそのユーザに提供するという特典であってもよい。車両10によって広告情報が表示されたときの広告の効果が大きいとみなされるときは、ユーザに与えられる特典の価値も大きいし、車両10によって広告情報が表示されたときの広告の効果が小さいとみなされるときは、ユーザに与えられる特典の価値も小さい。
【0020】
図2は、サーバ装置20のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置20は、物理的には、プロセッサ2001、メモリ2002、ストレージ2003、通信装置2004、入力装置2005、出力装置2006及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータとして構成されている。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。サーバ装置20のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0021】
サーバ装置20における各機能は、プロセッサ2001、メモリ2002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ2001が演算を行い、通信装置2004による通信を制御したり、メモリ2002及びストレージ2003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0022】
プロセッサ2001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ2001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0023】
プロセッサ2001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ2003及び通信装置2004の少なくとも一方からメモリ2002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。サーバ装置20の機能ブロックは、メモリ2002に格納され、プロセッサ2001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ2001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ2001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ2001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介して通信網2からサーバ装置20に送信されてもよい。
【0024】
メモリ2002は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ2002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ2002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0025】
ストレージ2003は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ2003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0026】
通信装置2004は、有線通信網及び無線通信網の少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えば通信網デバイス、通信網コントローラ、通信網カード、通信モジュールなどともいう。
【0027】
入力装置2005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチなど)である。出力装置2006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイなど)である。なお、入力装置2005及び出力装置2006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0028】
プロセッサ2001、メモリ2002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0029】
サーバ装置20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ2001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0030】
移動端末30は、例えばスマートホンやタブレット或いはウェアラブル端末等の、ユーザが携帯可能なコンピュータ装置である。移動端末30は、物理的には、サーバ装置20と同様にプロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置及びこれらを接続するバスを備える。なお、移動端末30の通信装置は無線通信に適した構成、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどの構成を含んでいてもよい。例えば、送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、移動端末30の通信装置によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などが移動端末30のプロセッサによって実現されてもよい。
【0031】
図3は、車両10の電気的なハードウェア構成を示す図である。車両10は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、液体供給装置1007、測位装置1008、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。さらに、この車両10は、車輪、ペダル、ハンドル、サドル、フレーム、チェーン等の、自転車として機能するための構造体(図示略)のほか、電力によって車輪を駆動するためのモータや電源等の駆動系(図示略)を備えている。なお、車輪の外周面を構成するタイヤには、上記のような凹凸構造が設けられている。具体的には、例えば3Dプリンタによって成形されたエアレスタイヤの外周に、レーザ加工によって所望の位置に溝が形成されたゴム製の板状部材が接着されることで、この凹凸構造が実現されている。
【0032】
プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、入力装置1005、出力装置1006は、サーバ装置20が備えるプロセッサ2001、メモリ2002、ストレージ2003、入力装置2005、出力装置2006と同様の装置群である。測位装置1008は、例えばGPS等によって車両10の位置を測位する。液体供給装置1007は、液体が蓄えられた容器10071と、容器10071に蓄えられた液体の量を調整しながらその液体を車輪の外周面に供給する調整機構10072と、車輪の外周面に供給された液体の一部を当該外周面から除去する除去機構10073とを含む。容器10071には、蓄えている液体の残量計が設けられている。調整機構10072は、例えば容器10071から液体を輸送するためのポンプと、ポンプを駆動して液体の供給量を制御する制御機構と、ポンプによって輸送される液体を車輪の外周面に対して噴霧するためのノズルを含む。除去機構10073は、例えば車輪の外周面に接触する位置に設けられた、液体が含侵可能な素材からなる部材(例えばスポンジ)と、その部材を車両のフレームに対して支持する支持体とを含む。この部材は、車輪の外周面に付着する液体の量を、路面における情報の表示に適した量に調整するためのものであり、適度な圧力で車輪の外周面に押し付けられている。つまり、この除去機構は、車輪の外周面において、その外周面に液体が供給される箇所から、その外周面が路面に接触するまでの間の箇所に設けられている。
【0033】
なお、通信装置1004は無線通信に適した構成、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどの構成を含んでいてもよい。例えば、送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置1004によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0034】
図4は、サーバ装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、サーバ装置20においては、情報取得部、利用管理部及び付与処理部が実現される。これらの各機能は、プロセッサ2001、メモリ2002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ2001が演算を行い、通信装置2004による通信を制御したり、メモリ2002及びストレージ2003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御することによって実現される。
【0035】
情報取得部21は、車両10及び移動端末30から通信網2経由で各種の情報を取得する。
【0036】
付与処理部22は、車両10が路面に広告情報を表示するときの広告の効果に応じて、車両10の運転者であるユーザに対して特典を付与する。本実施形態では広告の効果が、車両10が走行する経路に関する条件、より具体的には、車両10が走行する経路における通行人の数に応じて異なっている。付与処理部22は、
図5に例示するような情報を記憶する付与条件記憶部221と、
図6に例示するような情報を記憶するユーザ情報記憶部222とを含む。
【0037】
付与条件記憶部221は、各経路の位置と、その経路の通行人の多さを意味する通行人数レベルと、車両10がその経路を走行することでその車両10の運転者であるユーザに付与される特典とを対応付けて記憶している。経路の位置は、実際には、線状の経路を意味する多数の位置群によって表されている。通行人数レベルについては「大」が最も通行人数が多いレベルを意味し、「小」が最も通行人数が少ないレベルを意味し、「中」がこれらの中間となるレベルを意味している。特典は、ここではポイントと呼ばれる価値を意味する情報である。例えば位置「P1」によって示される経路における通行人数レベルは「中」レベルであり、車両10がその経路を走行することでその車両10の運転者であるユーザに付与される特典は「20」ポイントであることが例示されている。この場合、経路における通行人数のレベルが大きいほど、つまり通行人が多い経路を走行したときには、広告の効果も大きいとみなされ、より大きな価値の特典が付与される。一方、経路における通行人数のレベルが小さいほど、つまり通行人が少ない経路を走行したときには、広告の効果も小さいとみなされ、より小さな価値の特典が付与される。なお、小さな価値の特典が付与されるとは、特典が付与されないことを含む(以下において同じ)。各経路の通行人数レベルについては、例えばサーバ装置20が通行人に関する情報を提供する通行人情報提供装置から通信網2経由で通行人数を取得して求めるとか、又は、通行人の数を検出するセンサによって通行人数を取得して求めるようにすればよい。
【0038】
ユーザ情報記憶部222は、各ユーザの識別情報であるユーザIDと、そのユーザに付与された特典の合計とを対応付けて記憶している。例えばユーザID「UID001」のユーザには、特典「50」ポイントが付与されていることが例示されている。
【0039】
[動作]
次に、
図7を参照して、本実施形態の動作を説明する。まず、車両10を借りたいユーザは、移動端末30や車両10において所定の操作を行う。この操作に応じて、移動端末30又は車両10から、ユーザのユーザID及び車両の車両IDを含む走行開始通知が通信網2経由でサーバ装置20に送信される。サーバ装置20は、この走行開始通知を取得し、以降、ユーザID及び車両IDに基づいてこの車両10の利用を管理するための処理を行う。これら処理自体は周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
車両10の利用が開始されると、車両10において、測位装置1008は、車両10の位置を定期的に測定する処理を開始し、調整機構10072を駆動して液体の供給に関する制御を開始するとともに、測定された測位位置を車両IDとともに定期的にサーバ装置20に送信する。車両10の車輪が通過したあとに表示される広告情報は、路面における液体の有無という目新しい現象によって表示され、且つ、或る期間が経過すると液体の蒸発によって消滅するので、これを見た通行人から注目を集める効果を期待できる。つまり広告としての効果は大きいと言える。車両10の利用が終了すると、ユーザは移動端末30や車両10において所定の操作を行う。この操作に応じて、移動端末30又は車両10から、ユーザのユーザID及び車両の車両IDを含む走行終了通知が通信網2経由でサーバ装置20に送信される。車両10において、測位処理及び調整機構10072の駆動を停止し、車両IDとともに走行終了の旨をサーバ装置20に通知する。
【0041】
図7において、車両10の利用が開始されると、サーバ装置20において、情報取得部21は車両10から走行開始通知を受けとると(ステップS11;YES)、以降、定期的に車両ID及び測位位置を取得する(ステップS12)。この処理は、サーバ装置20において、情報取得部21が車両10から走行終了通知を受けとるまで(ステップS13;NO)、継続される。
【0042】
情報取得部21が車両10から走行終了通知を受けとると(ステップS13;YES)、付与処理部22は特典を付与する処理を行う(ステップS14)。具体的には、付与処理部22は、情報取得部21が取得した測位位置の履歴と、付与条件記憶部221に記憶されている条件とを比較し、車両が走行した経路に対応付けられている特典を全て加算してユーザ情報記憶部222に記憶させる。なお、付与処理部22は、付与条件記憶部221に記憶されている各経路の所定割合以上の長さを車両が走行した場合に、その経路に対応する特典を付与する。例えば
図5の例では、位置「P1」によって示される経路において、その全長の60%以上を車両10が走行することでその車両10の運転者であるユーザに特典「20」ポイントが付与される。
【0043】
以上の実施形態によれば、車両の運転者に対して広告の効果に応じた特典を与えることにより、運転者はより多くの場所でより多くの機会にわたって車両を運転するというモチベーションを持つことになり、これにより広告の効果を大きくすることが期待できるようになる。
【0044】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0045】
[変形例1]
車両は、実施形態で例示した電動自転車に限定されず、例えば電動ではない自転車のほか、自動車、自動二輪車或いはベビーカー等の車輪を有するものであればよい。車両の車輪の数は特に限定されない。また、車輪の外周面の構造は、凹凸構想に限定されず、液体が付着する部分と液体が付着しない部分とが生じ得るような構造であればよい。
【0046】
[変形例2]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両10が走行する経路において液体による広告情報の表示のしやすさに応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば路面がアスファルト、コンクリート又はウッドデッキのような、液体による情報の表示及び閲覧が容易な路面であれば、広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくする。一方、路面が土や砂利のような、液体による情報の表示及び閲覧が困難な路面であれば、広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。つまり、広告の効果は、車両10が走行する経路における広告情報の表示のしやすさに応じて異なる。付与処理部22はこのような路面の状態に関する路面情報を提供する路面情報提供装置から通信網2経由で路面に関する情報を取得するとか、又は路面の状態を検出するセンサによって路面の状態に関する情報を取得する。
【0047】
[変形例3]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両10が走行する経路の長さに応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば経路の長さが閾値以上であれば、広告情報が通行人の目に触れる機会も多くなることから広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくする。一方、経路の長さが閾値未満であれば、広告情報が通行人の目に触れる機会も少なくことから広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。つまり、広告の効果は車両10が走行する経路の長さに応じて異なる。
【0048】
[変形例4]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両10が走行する経路における天候に応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば晴れや曇の天候であるというような路面全体が濡れないような天候であれば、液体による情報の表示及び閲覧が容易であることから広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくする。一方、雪や雨の天候であるというような、路面全体が濡れるような天候であれば、液体による情報の表示及び閲覧が困難であることから広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。また、付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両10が走行するときの時間に応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば昼間の時間帯であれば、液体による情報の表示及び閲覧が容易であることから広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくし、夜間の時間帯であれば、液体による情報の表示及び閲覧が困難であることから広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。このように、広告の効果は、天候又は時間に関する条件に応じて異なる。付与処理部22は天候に関する天候情報を提供する天候情報提供装置から通信網2経由で路面に関する情報を取得するとか、又は天候の状態を検出するセンサによって天候の状態に関する情報を取得する。
【0049】
[変形例5]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両10が走行する路面の乾き具合に応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば晴れや曇の天候であるというような路面が乾いているような場合とか、しばらくの期間、降雪が無い等の理由から積雪が無く、路面が乾いているような場合であれば、液体による情報の表示及び閲覧が容易であることから広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくする。一方、雪や雨であるとか、積雪が適宜融け出して路面が濡れているような場合であれば、液体による情報の表示及び閲覧が困難であることから広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。付与処理部22は天候乃至路面の積雪等に関する情報を提供する情報提供装置から通信網2経由でその情報を取得して路面の乾き具合を判断するとか、又は天候乃至路面の積雪等に関する状態を検出するセンサによってその情報を取得して路面の乾き具合を判断する。
【0050】
[変形例6]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両10における車輪への液体の供給量に応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば車両において、容器10071内の液体が無くなると、プロセッサ1001は車両10の運転者(ユーザ)に液体を補充してほしい旨のアラームを出力し、液体が補充されると、液体を車両に供給する。この場合、車両10における車輪への液体の供給量が多いほど、広告情報が通行人の目に触れる機会も多くなることから、広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくする。一方、車両における車輪への液体の供給量が少ないほど、広告情報が通行人の目に触れる機会も少なくことから、広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。つまり、広告の効果は車両10における車輪への液体の供給量に応じて異なる。付与処理部22は車両10における液体の供給量乃至供給時間に関する情報を車両10から通信網2経由で取得する。
【0051】
[変形例7]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、運転者の体重に応じて特典を付与するというものであってもよい。前述の通り、車両10の車輪が路面に押し付けられることで広告情報が表示されるから、運転者の体重が重いほうが、より鮮明に広告情報が表示されることになる。広告情報の表示及び閲覧が容易であれば広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくし、情報の表示及び閲覧が困難であれば広告の効果は小と言えるので特典の価値も小さくする。つまり、広告の効果が、運転者の体重に関する条件に応じて異なる。付与処理部22は、各ユーザの体重をサーバ装置20に予め登録させておき、それを参照して車両10の運転者の体重を判断する。
【0052】
[変形例8]
付与条件記憶部221が記憶する条件は、車両によって路面に表示される広告情報と、当該車両が走行する経路における通行人の属性との関係に応じて特典を付与するというものであってもよい。例えば、通行人に若い男性が多い場合に、そのような若い男性向きの商品に関する広告情報を表示すると、広告の効果は大と言えるので特典の価値も大きくする。一方、通行人に女性が多い場合に、若い男性向きの商品に関する広告情報を表示すると、広告の効果は小となるので特典の価値も小さくする。このため、付与条件記憶部221は、
図8に例示するように各車両の車両IDと、その車両によって表示される広告情報の属性(広告属性)を対応付けて記憶している。広告属性は、広告のターゲットとなる通行人の属性を意味する。付与処理部22は、各経路を通行する通行人の属性に関する情報を提供する通行人情報提供装置から通信網2経由で通行人の属性に関する情報を取得するとか、又は、通行人の属性を検出するセンサによって通行人の属性に関する情報を取得する。そして、付与処理部22は、付与条件記憶部221の記憶内容と、車両10が走行した経路の通行人の属性の傾向乃至分布を比較し、車両10によって路面に表示される広告情報の広告属性と、当該車両が走行する経路における通行人の属性とが適合している場合には大きな価値の特典を付与し、適合していない場合には小さな価値の特典を付与する。
【0053】
[そのほかの変形例]
上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0054】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0055】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0056】
本明細書で使用する「システム」及び「通信網」という用語は、互換的に使用される。
【0057】
本明細書で説明した情報又はパラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。
【0058】
本明細書で使用する「判定(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判定」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining) した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、受信(receiving) (例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判定」「決定」は、何らかの動作を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0059】
本発明は、車両10又はサーバ装置20において行われる処理のステップを備える情報処理方法として提供されてもよい。また、本発明は、車両10又はサーバ装置20において実行されるプログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記憶媒体に記憶した形態で提供されたり、インターネット等の通信網を介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0060】
ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0061】
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0062】
本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0063】
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0064】
本開示の全体において、例えば、英語でのa、an、及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0065】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び決定態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0066】
1…車両シェアリングシステム、2…通信網、10…車両、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…液体供給装置、10071…容器、10072…調整機構、10073…除去機構、1008…測位装置、20…サーバ装置、21…情報取得部、22…付与処理部、221…付与条件記憶部、222…ユーザ情報記憶部、2001…プロセッサ、2002…メモリ、2003…ストレージ、2004…通信装置、2005…入力装置、2006…出力装置。