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特許7407031管理システム、管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20231221BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231221BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020047098
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021149351
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲作
(72)【発明者】
【氏名】岩城 亮平
(72)【発明者】
【氏名】小倉 耕一
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211980(JP,A)
【文献】特開2019-121109(JP,A)
【文献】特開2019-135616(JP,A)
【文献】特開2017-136977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理システムであって、
前記利用者による前記車両の利用の申し込みを受け付ける受付部と、
前記受付部により前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両の車室内の環境または車載機器の利用に関する制限の度合を示すセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くするセキュリティレベル決定部と、
を備える、管理システム。
【請求項2】
前記セキュリティレベル決定部により決定されたセキュリティレベルに基づいて前記利用者による前記車両の車室内の利用を制御する車室内利用制御部を更に備え、
前記車室内利用制御部は、前記利用者が前記第1の申し込みにより前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合に、前記車両の車室内の照度が閾値以上となるように制御する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記車室内利用制御部は、前記利用者が前記第1の申し込みにより前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合に、前記車室内を監視する車室内監視装置により前記利用者を監視する監視度合を、前記車両を走行させる第2の申し込みにより前記車両を走行させる利用が実行される場合の監視度合よりも高くする、
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記車室内利用制御部は、前記利用者が前記第1の申し込みにより前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する利用者が複数存在する場合に、それぞれの利用者が他の利用者を承認した場合に、前記利用者に前記車室内の空間を利用させる、
請求項2または3のうち何れか1項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記利用者の車室内の利用状態を取得する利用状態取得部を更に備え、
前記利用状態取得部は、前記利用者の車室内の利用状態が不適切であると判定した場合に、前記利用者に関する情報を管理装置に通知する、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記車両を走行させずに車室内の空間を利用するサービスの利用時間が所定時間以上である場合に、前記車両を前記第2の申し込みによる前記利用者の輸送を目的としたサービスに利用させる利用調整部を更に備える、
請求項1から5のうち何れか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記セキュリティレベル決定部は、前記車両が所定エリアに存在する場合に、前記車両のセキュリティレベルを変更する、
請求項1から6のうち何れか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
前記利用調整部は、前記車両が所定エリアに存在する場合に、前記第1の申し込みを受け付けない、
請求項6に記載の管理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
利用者による車両の利用の申し込みを受け付け、
前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両の車室内の環境または車載機器の利用に関する制限の度合を示すセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くする、
管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
利用者による車両の利用の申し込みを受け付けさせ、
前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両の車室内の環境または車載機器の利用に関する制限の度合を示すセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くさせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を利用するサービスとして、ドライバーが同乗しない自動運転車両を用いた送迎サービスに関する発明が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-79462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のサービスでは、車両により利用者を輸送するだけでなく、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する利用形態も考えられるが、空間利用を目的とした場合の車両制御については考慮されていなかった。
【0005】
本発明の態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合であっても、より適切な車両制御を行うことができる管理システム、管理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る管理システム、管理方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る管理システムは、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理システムであって、前記利用者による前記車両の利用の申し込みを受け付ける受付部と、前記受付部により前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両のセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くするセキュリティレベル決定部と、を備える、管理システムである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記セキュリティレベル決定部により決定されたセキュリティレベルに基づいて前記利用者による前記車両の車室内の利用を制御する車室内利用制御部を、更に備え、前記車室内利用制御部は、前記利用者が前記第1の申し込みにより前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合に、前記車両の車室内の照度が閾値以上となるように制御するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記車室内利用制御部は、前記利用者が前記第1の申し込みにより前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合に、前記車室内を監視する車室内監視装置により前記利用者を監視する監視度合を、前記車両を走行させる第2の申し込みにより前記車両を走行させる利用が実行される場合の監視度合よりも高くするものである。
【0009】
(4):上記(2)または(3)の態様において、前記車室内利用制御部は、前記利用者が前記第1の申し込みにより前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する利用者が複数存在する場合に、それぞれの利用者が他の利用者を承認した場合に、前記利用者に前記車室内の空間を利用させるものである。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のうち何れか一つの態様において、前記利用者の車室内の利用状態を取得する利用状態取得部を更に備え、前記利用状態取得部は、前記利用者の車室内の利用状態が不適切であると判定した場合に、前記利用者に関する情報を管理装置に通知するものである。
【0011】
(6):上記(1)から(5)のうち何れか一つの態様において、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用するサービスの利用時間が所定時間以上である場合に、前記車両を前記第2の申し込みによる前記利用者の輸送を目的としたサービスに利用させる利用調整部を更に備えるものである。
【0012】
(7):上記(1)から(6)のうち何れか一つの態様において、前記セキュリティレベル決定部は、前記車両が所定エリアに存在する場合に、前記車両のセキュリティレベルを変更するものである。
【0013】
(8):上記(6)の態様において、前記利用調整部は、前記車両が所定エリアに存在する場合に、前記第1の申し込みを受け付けないものである。
【0014】
(9):本発明の他の態様に係る管理方法は、コンピュータが、利用者による車両の利用の申し込みを受け付け、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両のセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くするものである。
【0015】
(10):本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、利用者による車両の利用の申し込みを受け付けさせ、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両のセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くさせる、プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
上記(1)~(10)の態様によれば、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合であっても、より適切な車両制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】管理装置300を含む管理システム1の構成図である。
図2】車両200の構成図である。
図3】セキュリティ情報298の内容の一例を示す図である。
図4】管理装置300の構成図である。
図5】利用者情報372の内容の一例を示す図である。
図6】利用リクエスト一覧情報374の内容の一例を示す図である。
図7】車両情報376の内容の一例を示す図である。
図8】車両状況管理テーブル378の内容の一例を示す図である。
図9】利用スケジュール情報380の内容の一例を示す図である。
図10】認証情報を入力させる画像の一例を示す図である。
図11】相互承認を行わせる画像IM2の一例を示す図である。
図12】実施形態の管理システム1による一連の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の管理システム、管理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。管理システムは、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を走行させて、指定区間において利用者を車両で輸送するサービス(以下、輸送サービスと称する)を管理する管理装置を含む。指定区間とは、車両に乗車する利用者、または他の利用者によって指定された区間である。また、区間とは、例えば、乗車地点から降車地点(目的地)までの区間である。また、管理装置は、車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させるサービス(以下、空間利用サービスと称する)を管理してもよい。空間利用サービスとは、例えば、車両の車室内の空間を個室として利用者に提供するサービスである。空間利用サービスには、利用者の輸送を開始する前の利用サービスや、利用者を目的地に輸送した後の利用サービスが含まれてもよい。また、以下の説明では、輸送サービス中における利用者の車室内の利用は、空間利用サービスには含まれないものとして説明する。また、輸送サービスおよび空間利用サービスを含むサービスを車両利用サービスと称する。
【0019】
[全体構成]
図1は、管理装置300を含む管理システム1の構成図である。管理システム1は、利用者の利用する一以上の端末装置100と、一以上の車両200と、管理装置300とを含む。これらの構成要素は、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局等を含む。
【0020】
[端末装置]
端末装置100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等、利用者が所持可能な携帯端末である。端末装置100では、上記の車両利用サービスを利用するためのアプリケーションプログラム、或いはブラウザ等が起動し、以下に説明する車両利用サービスをサポートする。以下の説明では端末装置100がスマートフォンであり、車両利用サービスを受けるためのアプリケーションプログラム(車両利用アプリ)が起動していることを前提とする。車両利用アプリは、利用者の操作に応じて管理装置300と通信し、利用者からの車両利用リクエストを管理装置300に送信したり、管理装置300から受信した情報に基づく情報提供を行ったりする。
【0021】
車両利用リクエストには、例えば、空間利用リクエスト(第1の申し込み)と輸送リクエスト(第2の申し込み)とを識別する識別情報である申込種別、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、利用人数等が含まれる。空間利用リクエストとは、車両を走行させずに、車室内の空間を個室として利用することを要求する電子情報である。輸送リクエストとは、車両200によって利用者を、指定区間に亘って輸送することを要求する電子情報である。また、車両利用リクエストには、端末装置100の位置情報が含まれていてもよい。また、車両利用リクエストには、利用したい車載機器の情報や車室内情報が含まれていてもよい。図1の例では、三人の利用者U1、U2、U3を図示している。利用者U1は、利用者U1およびU2がサービスを受けるための車両利用リクエストを端末装置100に発信させる者である。利用者U3は、自身がサービスを受けるための車両利用リクエストを端末装置100に発信させる者である。このように様々な態様の利用者が存在してよい。
【0022】
[車両]
車両200は、少なくとも車室を備える車両である。図2は、車両200の構成図である。車両200は、例えば、監視ユニット210と、通信装置220と、ナビゲーション装置230と、車両センサ237と、HMI(Human Machine Interface)238と、車室内監視装置240と、認証装置242と、車室内照明装置244と、駆動力出力装置260と、ブレーキ装置262と、ステアリング装置264と、ドアロック装置266と、自動運転制御ユニット270とを備える。
【0023】
監視ユニット210は、例えば、車両200の外部の空間を撮像するカメラや車両200の外部を検知範囲とするレーダあるいはLIDAR(Light Detection and Ranging)、これらの出力に基づいてセンサフュージョン処理を行う物体認識装置等を含む。監視ユニット210は、車両200の周辺に存在する物体の種類(特に、車両、歩行者、および自転車)を推定し、その位置や速度の情報と共に自動運転制御ユニット270に出力する。
【0024】
通信装置220は、例えば、ネットワークNWに接続したり、他車両や利用者の端末装置100等と直接的に通信したりするための無線通信モジュールである。通信装置220は、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う。通信装置220として、用途に応じた複数のものが用意されてもよい。
【0025】
ナビゲーション装置230は、例えば、HMI232と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機234と、ナビ制御装置236とを備える。HMI232は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ装置やスピーカ、マイク等を含む。GNSS受信機234は、GNSS衛星から到来する電波に基づいて自機の位置(車両200の位置)を測位する。ナビ制御装置236は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や各種記憶装置を備え、ナビゲーション装置230全体を制御する。記憶装置には、地図情報(ナビ地図)が格納されている。ナビ地図は、ノードとリンクで道路を表現した地図である。ナビゲーション装置230は、通信装置220を用いて、測位した位置を示す位置情報を管理装置300にアップロードする。位置情報のアップロードは、例えば、ミリ秒~秒単位で周期的に行われる。
【0026】
車両センサ237は、車両200の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両200の向きを検出する方位センサ等を含む。また、車両センサ237は、車両200の位置を検出する位置センサを含んでいてもよい。位置センサは、例えばGNSS受信機234でもよく、他のGPS(Global Positioning System)装置であってもよい。また、車両センサ237は、車室内の照度を検出する照度センサを含んでいてもよい。また、車両センサ237は、車室内の臭気を検出する臭気センサを含んでいてもよい。また、車両センサ237は、車両200に搭載された車載バッテリ(不図示)の充電率であるSOC(State Of Charge)を検出したり、電力残量を検出したり、充電中であるか否かを検出するバッテリセンサを含んでいてもよい。バッテリセンサは、例えば、車載バッテリに電力を供給する外部充電設備の充電プラグが車両200に接続されている場合に充電中であると判定し、充電プラグが接続されていない場合に充電中ではないと判定する。また、車載バッテリのSOCの所定時間における増加率が閾値以上である場合に車載バッテリが充電中であると判定し、閾値未満である場合に充電中ではないと判定してもよい。車両センサ237による検出結果は、自動運転制御ユニット270に出力される。
【0027】
HMI238は、車室内または車室外にいる利用者との間で情報授受を行うインターフェース装置である。HMI238は、例えば、表示装置、スピーカ、タッチパネル、ボタン、マウス、キーボード等の入出力インターフェースを含む。HMI238は、例えば、インストルメントパネルに設けられていてもよく、車室内の各シートの正面付近にシートごとに設けられていてもよい。
【0028】
車室内監視装置240は、例えば、車室内の空間を撮像する車室内カメラや赤外線センサ等を含む。カメラによって撮像された画像や赤外線センサによる検出結果は、自動運転制御ユニット270に出力されてもよく、通信装置220によって管理装置300にアップロードされてもよい。
【0029】
認証装置242は、車両200に乗車しようとする利用者が、正規な利用者であることを確認する(利用者を認証する)ための装置である。正規な利用者とは、管理装置300との間で乗車する取り決めがなされた利用者をいう。認証装置242は、近距離無線通信装置、生体認証装置、パスワード入力装置等、認証機能を有するものであれば任意の装置であってよい。認証装置242は、認証結果を自動運転制御ユニット270に出力する。
【0030】
車室内照明装置244は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源を発光させて車両200の車室内を明るくするための照明機器(例えば、室内灯)である。車室内照明装置244は、利用者による操作内容や、後述する車室内利用制御部による制御によって光源の照度を調整することで、車室内全体の照度を調整する。
【0031】
駆動力出力装置260は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。駆動力出力装置260は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するパワーECU(Electronic Control Unit)とを備える。パワーECUは、自動運転制御ユニット270から入力される情報、或いは不図示の運転操作子から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0032】
ブレーキ装置262は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、自動運転制御ユニット270から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置262は、運転操作子に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置262は、上記説明した構成に限らず、自動運転制御ユニット270から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0033】
ステアリング装置264は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、自動運転制御ユニット270から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0034】
ドアロック装置266は、車両200に設けられたドアを施錠状態または開錠状態にする。ドアロック装置266は、ドアを自動開閉させる機構を含んでもよい。
【0035】
自動運転制御ユニット270は、例えば、経路走行制御部272と、乗降位置探索部274と、利用者認識部276と、乗降制御部280と、HMI制御部290と、車室内利用制御部292と、利用状態取得部294とを備える。乗降制御部280は、例えば、停止・発進制御部282と、ドアロック制御部284とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。自動運転制御ユニット270は、記憶部296を備えてもよい。記憶部296は、HDD、DVDやRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部296には、セキュリティ情報298、プログラム等の情報が記憶される。
【0036】
図3は、セキュリティ情報298の内容の一例を示す図である。セキュリティ情報298は、セキュリティレベルに対して、利用者の利用を許可するための利用許可条件、利用時の車室内の照度の制限内容を示す車室内照度制限、車室内の利用者を監視する期間や条件等を示す監視制限、利用時における車載機器の利用条件を示す車載機器制限等が対応付けられたものである。セキュリティ情報298の各項目は、管理装置300から取得される。セキュリティ情報298は、車室内利用制御部292による車室内の利用制御時に参照される。以下、セキュリティレベルに対応付けられた利用許可条件、車室内照度制限、監視制限、および車載機器制限等の情報を、まとめて「制限情報」と称することがあるものとする。
【0037】
経路走行制御部272は、指定された経路を車両200が走行するように、駆動力出力装置260、ブレーキ装置262、およびステアリング装置264を制御する。経路の情報は、通信装置220によって管理装置300から受信される。経路の情報には、利用者ごとの乗車位置や降車位置の情報が含まれる。経路走行制御部272は、例えば、管理装置300から取得した経路を高精度地図情報に当てはめ、経路上で車両200が走行すべき推奨車線を決定する。高精度地図情報は、ナビゲーション装置230が保持する地図情報よりも高精度なものであり、例えば、車線ごとの道路幅や勾配、曲率、信号の位置等の情報が含まれている。推奨車線とは、例えば、交差点等を左折する前に左側車線に寄っておく等の基準に基づいて、経路上を効率的に走行するために決定される車線である。高精度地図情報は、例えば、記憶部296に記憶される。
【0038】
そして、経路走行制御部272は、推奨車線上を走行することを原則としつつ、監視ユニット210から位置や速度が入力された物体との接触を避けるように、車両200を自動的に走行させる。経路走行制御部272は、車両200が将来に走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、車両200の到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、所定の走行距離ごとの車両200の到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における車両200の到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。乗降制御部280も同様に係る機能を備えている。
【0039】
乗降位置探索部274は、監視ユニット210からの入力情報や高精度地図情報等を参照し、管理装置300から取得された経路の情報に含まれる乗車位置や降車位置において、車両200を停止させて利用者を乗車または降車させることができる停止位置(乗降位置)を探索する。乗降位置探索部274は、監視ユニット210からの入力情報に基づいて認識可能な道路上の白線や黄線、道路標識、道路幅、歩道やガードレールの有無等に基づいて、乗降位置を探索して決定する。
【0040】
利用者認識部276は、監視ユニット210からの入力情報に基づいて、車両200に乗車しようとしている利用者を認識する。利用者認識部276は、例えば、監視ユニット210に含まれるカメラの画像を、機械学習によって学習され「乗車しようとしている利用者」を判別可能なモデルに入力することで、車両200に乗車しようとしている利用者を認識する。
【0041】
乗降制御部280の停止・発進制御部282は、乗降位置探索部274により探索され決定された乗降位置に車両200を停止させるための減速制御や操舵制御を行ったり、乗降位置から車道に向けて車両200を発進させるための減速制御や操舵制御を行ったりする。
【0042】
ドアロック制御部284は、例えば、車両200が乗降位置に停止し、且つ認証装置242から利用者の認証が成功した旨の情報が得られた場合に、ドアロック装置266の所定のドアのドアロックを開錠状態にする。また、ドアロック制御部284は、利用者が車両200に乗車した後、停止・発進制御部282によって車両200が発進させられる前に、ドアロック装置266の所定のドアのドアロックを施錠状態にする。また、ドアロック制御部284は、利用者が乗車し、空間利用サービスにおける利用を開始する場合にドアロック装置266の所定のドアのドアロックを施錠状態にする制御を行ってもよい。また、ドアロック制御部284は、停止中の車両200に接近してくる利用者が乗車しようとしている利用者である場合や、空間利用サービスにおける所定時間の利用が終了した場合に、ドアロック装置266の所定のドアのドアロックを開錠状態にする制御を行ってもよい。
【0043】
HMI制御部290は、利用者に向けて各種情報を出力するようにHMI238を制御したり、HMI238が受け付けた利用者からの指示を反映させるようにHMI238その他の機器を制御する。
【0044】
車室内利用制御部292は、管理装置300から送信される利用者のセキュリティレベルに基づいて利用者による車両200の車室内の利用を制御する。例えば、車室内利用制御部292は、管理装置300から取得した情報に含まれるセキュリティレベルに基づいて記憶部296に記憶されたセキュリティ情報298のセキュリティレベルを参照し、合致するセキュリティレベルに対応付けられた制限情報を取得する。そして、車室内利用制御部292は、取得した制限情報に基づいて、セキュリティレベルに応じた利用者の車室内利用に関する車両制御を実行する。車室内利用制御部292の機能の詳細については、後述する。
【0045】
利用状態取得部294は、車室内監視装置240による監視結果や車両センサ237による検出結果に基づいて利用者の車室内の利用状態を取得する。利用状態取得部294は、乗車中の利用者の状態を取得してもよく、乗車後の車室内の状態から利用者の利用状態を取得してもよい。利用状態取得部294の機能の詳細については、後述する。
【0046】
[管理装置]
図4は、管理装置300の構成図である。管理装置300は、例えば、通信部310と、フロント処理部320と、認証部326と、利用車両決定部330と、経路決定部340と、セキュリティレベル決定部342と、利用調整部344と、決済処理部350とを備える。フロント処理部320は、例えば、受付部322と、情報提供部324とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。管理装置300は、記憶部370を備えてもよい。記憶部370は、DVDやRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部370には、利用者情報372や利用リクエスト一覧情報374、車両情報376、車両状況管理テーブル378、利用スケジュール情報380、地図情報382等の情報が記憶される。
【0047】
図5は、利用者情報372の内容の一例を示す図である。利用者情報372は、例えば、利用者を特定する認証情報に対して、氏名、性別、年齢、住所、職業、緊急連絡先等が対応付けられたものである。認証情報には、例えば、利用者を識別する識別情報である利用者IDやパスワード等が含まれる。また、認証情報には、指紋情報や虹彩情報等の生体認証情報が含まれてもよい。利用者情報372の各項目は、管理装置300が管理するサービスへの加入時等に登録される。管理装置300の各部は、利用者情報372を参照して各種処理を行う。
【0048】
図6は、利用リクエスト一覧情報374の内容の一例を示す図である。利用リクエスト一覧情報374は、例えば、利用者IDに対して、申込種別、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、利用人数、利用車両決定部330により利用者に車両200を利用させることが決定されたか否かを示す決定済フラグ等の情報が対応付けられたものである。申込種別、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、および利用人数は、車両利用リクエストに含まれる情報である。例えば、空間利用リクエストが申し込まれた場合、車両200は走行しないため、降車地点の情報は格納されないか、または、乗車地点と同様の地点が降車地点に格納される。また、輸送リクエストの場合には、乗車地点および降車地点が輸送に係る区間の始点および終点となる。図6の例において、利用者に車両200を利用させる場合には決定済フラグに「1」が格納され、利用させない場合は決定済フラグに「0」が格納されるが、他の識別情報を用いてもよい。一つのリクエストに係る、1セットの申込者ID、利用者ID、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、および決定済フラグのことを、レコードと称する。リクエストは、一つのレコードが生成されるのに必要な内容を含む、任意の形式の情報である。
【0049】
図7は、車両情報376の内容の一例を示す図である。車両情報376は、管理装置300が管理する車両200を識別する識別情報である車両IDに対して、車載機器情報、車室内情報、同時に乗車可能な最大乗車人数等が対応付けられたものである。車載機器情報には、例えば、通常の設備とは異なる設備(例えば、高性能音響設備やDVD再生装置、テレビ電話機能)に関する情報が含まれる。車室内情報には、例えば、車室内の環境(例えば、シートの回転の可否、テーブルの有無、シートの材質、照明設備の内容)に関する情報である。車載機器情報、車室内情報、および最大乗車人数は、利用者に利用させる車両200を決定する際の基準となる情報の一例である。
【0050】
図8は、車両状況管理テーブル378の内容の一例を示す図である。車両状況管理テーブル378は、管理装置300が管理する車両200を識別する識別情報である車両IDに対して、現在の利用状況、利用履歴、連続利用時間、現在位置、車両200が充電中であるか否を示す識別情報である充電状態フラグ、車両200に搭載された車載バッテリの充電率が対応付けられた情報である。車両状況管理テーブル378には、充電率の代わりに充電残量が格納されてもよい。利用状況には、例えば、輸送利用と空間利用とを識別する情報が含まれる。また、利用状況には、利用時間や利用者IDの情報が含まれてもよい。利用履歴には、その車両が過去の利用態様(輸送、空間利用等の種別)が時系列に格納されている。連続利用時間は、同一の利用態様で利用された時間である。例えば、現在、前回および前々回の利用態様が、同一の利用態様(例えば、空間利用)である場合、それぞれの利用時間を加算した時間が連続利用時間として格納される。充電状態フラグは、図8の例では充電中である場合に「1」が格納され、充電中でない場合に「0」が格納されているが、フラグの情報はこれに限定されるものではない。また、車両状況管理テーブル378には、予約情報が含まれていてもよい。
【0051】
図9は、利用スケジュール情報380の内容の一例を示す図である。利用スケジュール情報380は、例えば、車両IDおよび利用日ごとに生成される。利用スケジュール情報380は、例えば、乗降地点、予定到着時刻、乗車か降車かを示す情報、乗降する利用者の利用者ID等の情報が時系列に並べられた情報である。図9の例では、車両ID「V001」の利用日「2020/04/30」における輸送利用のスケジュールが示されているが、空間利用についても同様にスケジュールを格納してもよい。
【0052】
地図情報382は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。また、地図情報382は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、地図情報382には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。地図情報382は、通信部310が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。地図情報382には、例えば、高精度地図情報が含まれる。
【0053】
通信部310は、例えば、ネットワークNWに接続するためのネットワークカードである。通信部310は、ネットワークNWを介して端末装置100や車両200、他の外部装置と通信する。
【0054】
受付部322は、通信部310を介して、利用者の端末装置100から発せられた車両利用リクエストを取得し、上述した利用リクエスト一覧情報374の1レコードとして記憶部370に登録する。
【0055】
情報提供部324は、利用者の端末装置100に情報を送信することで、端末装置100のアプリケーションプログラムと連携して、端末装置100に利用者に対する情報提供を行わせる。情報提供の形態はこれに限らず、電子メールやウェブページ提供の形態で行われてもよい。
【0056】
認証部326は、車両利用の申し込み時および利用開始時において、車両200の利用者の認証処理を行う。例えば、認証部326は、端末装置100から管理装置300にアクセスがあった場合に、利用者IDやパスワード等の認証情報を入力する認証画像を生成し、生成した画像を端末装置100に表示させると共に、画像を用いて入力された認証情報に基づいて、記憶部370に記憶された利用者情報372を参照して、認証情報に合致する情報が格納されているか否かによって、車両利用サービスの利用を許可するか否かを判定する。例えば、認証部326は、認証情報に合致する情報が利用者情報372に含まれる場合には利用を許可し、合致する情報が含まれていない場合には利用を拒否する。
【0057】
また、認証部326は、車両200に搭載された認証装置242および利用者認識部276と連携して車両200に乗車した利用者からの認証情報を受け付けて認証を行ってもよい。また、認証部326は、複数の利用者が車両200を利用する場合に、それぞれの利用者が他の利用者の利用を承認する処理を行ってもよい。
【0058】
利用車両決定部330は、利用リクエスト一覧情報374に登録されたレコードに基づいて、車両情報376および車両状況管理テーブル378を参照し、利用者のリクエストに合致する車両200を決定する。例えば、利用車両決定部330は、車両利用リクエストに含まれる乗車地点または端末装置100の位置情報に基づいて、車両状況管理テーブル378の現在位置を参照し、所定距離以内にある車両であって、利用状況が空きの車両を抽出する。また、利用車両決定部330は、抽出された車両に関する情報を車両情報376から取得し、車両利用リクエストに含まれる利用人数以上の人数の乗車が可能であり、且つ、リクエストされた車載機器情報や車室内情報の条件を満たす車両、または各条件との合致度が閾値以上の車両を抽出する。
【0059】
利用者のリクエストに合致する車両が複数存在する場合、利用車両決定部330は、情報提供部324により合致する複数の車両に関する情報を利用者の端末装置100に送信し、複数の車両のうち利用者により選択された車両を、利用者が利用する車両として決定する。
【0060】
また、利用車両決定部330は、決定された車両200に対する利用者の利用スケジュールを決定し、決定した利用スケジュールを利用スケジュール情報380に登録する。例えば、利用車両決定部330は、輸送リクエストに対する利用スケジュールを決定する場合には、利用リクエスト一覧情報374のレコードの乗車希望時刻に基づいて乗車の場合の予定到着時刻を決定し、当日の交通情報ならびに法定速度の情報等を加味して降車の場合の予定到着時刻を決定する。また、利用車両決定部330は、利用車両が決定した場合に、利用リクエスト一覧情報374の決定済フラグに「1」を格納する。また、リクエストに合致する車両200が存在しない場合に、利用リクエスト一覧情報374の決定済フラグに「0」を格納する。利用車両決定部330は、決定済フラグが「0」のレコードについて、所定時間経過後に再度利用車両の検索を行ってもよい。
【0061】
経路決定部340は、利用者による車両200の利用態様が輸送である場合に、利用スケジュール情報380と地図情報382とに基づいて、車両200に指示する経路を決定し、通信部310を用いて車両200に経路の情報を送信する。経路決定部340の機能は、既存のナビゲーションシステムと同様である。
【0062】
セキュリティレベル決定部342は、利用者が車両200を利用する際のセキュリティレベルを決定する。セキュリティレベルとは、例えば車室内の環境や車載機器の利用に関する制限の度合である。セキュリティレベル決定部342は、例えば、受付部322により受け付けられた車両利用リクエストの内容や車両200の現在位置等に基づいてセキュリティレベルを決定する。セキュリティレベル決定部342の機能の詳細については後述する。
【0063】
利用調整部344は、利用者に利用される車両200の利用態様等を調整する。例えば、利用調整部344は、車両状況管理テーブル378を参照し、空間利用サービスの連続利用時間が所定時間以上である場合に、車両200の次の利用態様を第2の申し込みによる輸送を目的としたサービスに変更させる。空間利用が長く継続すると車内の汚れや匂い等が懸念されるため、所定のタイミングで輸送目的地に利用することで、他の利用者に車内を監視させて汚れや匂いを早期に発見することができる。
【0064】
また、利用調整部344は、車両状況管理テーブル378の充電状態フラグを参照し、車両200が充電状態である場合に、輸送サービスでの利用を抑制し、走行しない空間利用サービスに利用させるように調整してもよい。また、利用調整部344は、車両状況管理テーブル378の充電率を参照し、充電率が所定値以上である場合に輸送サービスでの利用を実行させ、所定値未満である場合に空間利用サービスでの利用を実行させるように調整してもよい。また、利用調整部344は、充電率に応じて車載バッテリの使用に関連する車載機器の利用制限を行ってもよい。例えば、充電率が第1所定値以下である場合には、テレビ電話機能の使用を禁止し、第1所定量よりも小さい第2所定量以下である場合には、DVD再生装置の使用を禁止する。
【0065】
決済処理部350は、利用者から料金を徴収するための処理を行う。例えば、決済処理部350は、電子マネーやクレジットカードの決済を管理する外部装置と連携し、利用者から料金を徴収する。例えば、決済処理部350は、空間利用サービスを利用した場合には、利用時間、使用した車載機器、消費電力量、および利用人数のうち少なくとも一つの情報に基づいて請求金額を算出する。また、決済処理部350は、輸送サービスを利用した場合には、輸送距離、輸送時間、および利用人数のうち少なくとも一つの情報に基づいて請求金額を算出する。また、決済処理部350は、例えば、利用する時間帯に応じて通常の算出金額から割引または割増を行ってもよい。例えば、決済処理部350は、空き車両が多い時間帯に利用する場合や車載バッテリの充電時の車両に対して空間利用サービスを利用する場合には利用料の割引を行い、混雑する時間帯や空き車両が少ない場合での利用には利用料の割り増し等を行う。これにより、空き車両が多い状況での利用を促進させると共に、空き車両が少ない状況での利用を抑制することができる。また、決済処理部350は、車種等に応じて金額を調整してもよい。
【0066】
[セキュリティレベルの決定と、レベルに応じた車室内利用制御]
次に、セキュリティレベルの決定と、レベルに応じた車室内利用制御の詳細について説明する。セキュリティレベル決定部342は、受付部322により車両200を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、車両200のセキュリティレベルを、車両200を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くする。例えば、空間利用サービスは、主に個人若しくは友人同士の利用が想定されるが、走行中の車両200と比べて外部から見られる頻度も低く、公共の眼が届きにくい。したがって、利用時のモラルが低下する恐れや、車室内が悪用される恐れがある。そのため、セキュリティレベル決定部342は、空間利用サービスを提供する場合に輸送サービスを提供する場合よりもセキュリティレベルを高くすることで、より適切な環境で利用者に車室内空間を利用させることができる。
【0067】
以下では、受付部322により受け付けられる車両利用リクエストのうち、輸送サービスの申し込み(第2の申し込み)が受け付けられた場合のセキュリティレベルを「レベル1」とし、空間利用サービスの申し込み(第1の申し込み)が受け付けられた場合のセキュリティレベルを「レベル1」よりも高い「レベル2」として説明する。セキュリティレベル決定部342は、車両利用リクエストにより決定したセキュリティレベルを示す情報を車両200に送信する。
【0068】
車両200の車室内利用制御部292は、管理装置300からセキュリティレベルを示す情報を取得し、取得した情報に含まれるセキュリティレベルに基づいて記憶部296に記憶されたセキュリティ情報298からセキュリティレベルに対応付けられた制限情報を取得する。更に、車室内利用制御部292は、取得した制限情報に基づいて利用者の車室内利用に関する車両制御を実行する。
【0069】
例えば、車室内利用制御部292は、利用者が輸送サービスを利用する場合(レベル1での車室内制御が実行される場合)に、車両200の車室内の照度を無制限で調整することを許可する。また、車室内利用制御部292は、利用者が空間利用サービスを利用する場合(レベル2での車室内制御が実行される場合)に、車両200の車室内の照度が制限情報に含まれる閾値(図3の例では、Th1)以上となるように制御する。この閾値は、例えば、車外から車室内の様子がある程度視認できると推測される照度に対応付けられた値である。例えば、車室内利用制御部292は、車両センサ237に含まれる照度センサにより車室内の照度を取得し、取得した照度が閾値未満Th1である場合に、車室内照明装置244によって室内灯(光源)を点灯させて照度が閾値Th1以上となるように制御する。また、車室内利用制御部292は、利用者によるHMI238の操作により車室内照明装置244の照度を調整する指示を受け付けた場合に、車室内の照度が閾値Th1未満とならないように制御する。この場合、車室内利用制御部292は、情報提供部324を介して車両200または端末装置100に「現在のセキュリティレベルでは、これ以上暗くすることはできません。」等のメッセージを出力させてもよい。このように、空間利用サービスの場合には、車室内を外部からも視認できる程度に明るくすることで、例えば、車両200の空間利用に対する利用者のモラルの低下や利用者に悪用されることを抑制することができる。
【0070】
また、車室内利用制御部292は、利用者が空間利用サービスを利用する場合に、車室内監視装置240による利用者を監視する監視度合を、輸送サービスを利用する場合よりも高くしてもよい。監視度合を高くするとは、例えば、輸送サービスの利用時よりも車室内カメラにおける撮像時間を長くすることや、撮像範囲を広くすること、車室内カメラによる撮像に加えて赤外線センサによる物体検出を行うこと等が含まれる。
【0071】
例えば、車室内利用制御部292は、利用者が輸送サービスを利用する場合には、燃料によって稼働するエンジン等の内燃機関が稼働中である場合や、車両200が所定速度以上で走行している場合、急加速や急停止等のように所定時間における速度変化量が所定量以上である場合等のように車両200の挙動が所定の条件を満たす場合に、車室内監視装置240により車室内の利用者を監視させる。また、車室内利用制御部292は、利用者が空間利用サービスを利用する場合には、利用者が車室内に存在する間は、継続して車室内監視装置240により車室内の利用者を監視させる。このように、空間利用サービスの場合には、輸送サービスの場合よりも利用者の監視期間を長くすることで、車両200の空間利用時に利用者のモラルが低下したり、車室内を悪用されることを抑制することができる。
【0072】
また、車室内利用制御部292は、管理装置300からのセキュリティレベルに応じた利用許可条件に基づいて、利用者の利用を許可または拒否する制御を行う。この場合、管理装置300の認証部326は、レベルに応じて、利用者の個人認証の他、複数の利用者が空間利用する場合には、利用者間で相互承認を行ってもよい。図3の例では、セキュリティレベルがレベル1である場合には、1人以上の利用者のそれぞれで個人認証を行い、レベル2の場合には、利用者が1人の場合に個人認証を行い、2人以上の場合に個人認証および相互承認を行うように設定されている。認証部326は、個人認証を行う場合に、認証を行う利用者の端末装置100または利用者が乗車した車両200のHMI238に含まれる表示装置に、認証情報を入力させる画像を表示させ、認証情報の入力を受け付ける。
【0073】
図10は、認証情報を入力させる画像の一例を示す図である。なお、画像IM1のレイアウトや表示内容等の表示態様については、以下の例に限定されるものではない。以降の画像の説明においても同様とする。図10に示す画像IM1には、認証画面として、例えば、認証情報入力領域A11と、スイッチ表示領域A12とが含まれる。認証情報入力領域A11には、例えば、利用者を特定するための認証情報として、利用者IDおよびパスワードを利用者に入力させる領域が表示される。スイッチ表示領域A12には、例えば、アイコンIC11と、アイコンIC12とが含まれる。アイコンIC11は、認証情報入力領域A11に入力された情報に基づいて管理装置300に利用者の認証処理を実行させることを受け付けるGUI(Graphical User Interface)スイッチ(図10に示すOKボタン)である。アイコンIC12は、認証を行わずに、画像IM1の表示を終了させることを受け付けるGUIスイッチ(図10に示すCANCELボタン)である。図10の例において、アイコンIC11の選択を受け付けた場合、管理装置300の認証部326は、認証情報入力領域A11に入力された利用者IDおよびパスワードの内容に基づいて利用者情報372の利用者IDおよびパスワードを参照し、合致するか否かに応じてサービス利用の許可または拒否を決定する。
【0074】
また、認証部326は、車両利用リクエストが空間利用サービスであり、且つ利用人数が複数である場合に、複数の利用者が乗車した車両200のHMI238に含まれる表示装置または利用する複数の利用者のそれぞれの端末装置100に、相互承認を行わせる画像を表示させ、その後の利用者の入力内容に基づいて、利用の最終的な許否を決定する。
【0075】
図11は、相互承認を行わせる画像IM2の一例を示す図である。画像IM2には、相互承認画面として、例えば、文字表示領域A21と、スイッチ表示領域A22とが含まれる。文字表示領域A21には、利用者ごとに他の利用者の利用を承認するか否かを選択させるための文字が表示される。図11の例において、文字表示領域A21には、「同時に利用する他の利用者は、知人ですか?」といった文字が表示されている。
【0076】
スイッチ表示領域A22には、例えば、アイコンIC21と、アイコンIC22とが含まれる。アイコンIC21は、他の利用者の利用を許可することを受け付けるGUIスイッチ(図11に示すYESボタン)である。アイコンIC22は、他の利用者の利用を拒否することを受け付けるGUIスイッチ(図12に示すNOボタン)である。図11の例において、アイコンIC21の選択を受け付けた場合、認証部326は、車両200に乗車中の複数の利用者による同時利用を許可する。アイコンIC22の選択を受け付けた場合、管理装置300の認証部326は、全ての利用者の利用を拒否するか、または他の利用者(例えば、拒否された利用者)が降車するまで車両200を利用させないように、車室内利用制御部292を制御する。この場合、認証部326は、端末装置100や車両200のHMI238に利用を拒否すること示す情報を出力させてもよく、他の利用者が降車するまで車両200のドアを開いた状態にさせる等の制御を行う。これにより、他人が同時に車両200を空間利用することを抑制することができる。そのため、車両空間内での犯罪の発生等を防止することができる。
【0077】
また、複数の利用者が同時に乗車せずに、異なるタイミングで乗車する場合、認証部326は、車両200の車室内監視装置240の車室内カメラで撮像された画像等から利用者数を認識し、利用者数が増加した場合に、上述した画像IM2を各利用者の端末装置100や車両200の表示装置に送信して相互承認を行ってもよい。また、複数の利用者が親と子供等のように、一方の利用者(例えば、子供)が端末装置100を所持していない場合には、他方の利用者(例えば、親)のみが承認を行ってもよい。
【0078】
また、ライドシェアサービスのように、知人ではない利用者を含む利用も許可する場合、認証部326は、文字表示領域A21に、「乗車中の他の利用者との空間の共有を許可しますか?」といった文字が表示させて、相互承認を行ってもよい。これにより、例えば、子供同士や学生同士といった利用者同士のトラブルの発生が低い組み合わせの利用までは許可することができると共に、不審者の利用を拒否することができる。そのため、サービスをより広く利用させることができると共に、より安全で快適なサービスを提供することができる。
【0079】
なお、上述した図10に示す画像用いた個人認証や図11に示す相互承認による認証は、車両200側(例えば、利用者認識部276や車室内利用制御部292)が行ってもよい。この場合、利用者情報372は、記憶部296に記憶されてよい。
【0080】
また、車室内利用制御部292は、利用者が空間利用サービスを利用する場合であって、且つ車両200の位置が所定エリア内に存在する場合に、「レベル2」よりもセキュリティレベルの高い「レベル3」に変更し、レベル3の制限情報に基づいて車両制御を行ってもよい。この場合、車室内利用制御部292は、「レベル3」の制限情報として、例えば、利用者が1人でのみ個人認証による利用を許可(複数人での利用不可)したり、車室内の照度を閾値Th1よりも大きい閾値Th2以上となるように調整するといった制御を行う。所定エリアとは、例えば、予め設定された治安の悪い地域である。これにより、例えば、治安の悪い地域で空間利用のサービスを行う場合に、車室内を悪用できないような環境での利用のみを許可することで、より適切な空間利用サービスを提供することができる。
【0081】
また、車室内利用制御部292は、上述した所定エリアが、予め設定された治安のよい、もしくは犯罪の発生が少ないと予測されるエリアである場合に、「レベル2」よりもセキュリティレベルの低い「レベル1」に変更してもよい。治安のよい、もしくは犯罪の発生が少ないと予測されるエリアとは、例えば、車両200の清掃やメンテナンス等を行う管理会社(整備工場等)の駐車場や、警察署や交番から所定距離(例えば、数十メートル)以内にある駐車場等である。これにより、車両200が位置するエリアに適した制限下において、利用者に車室内を空間利用させることができる。
【0082】
[利用者による車両の利用状態に基づく処理]
以下、利用者による車両200の利用状態に基づく処理について説明する。車両200の利用状態取得部294は、車室内監視装置240による監視結果や、車両センサ237による検出結果に基づいて、利用者ごとの利用状態を取得する。例えば、利用状態取得部294は、車室内カメラにより撮像された画像から利用者の挙動を取得し、取得した挙動から利用者の利用状態を推定する。具体的には、利用状態取得部294は、例えば、カメラ画像を解析して特徴情報(例えば、顔や姿勢の特徴)を取得し、取得した特徴情報と予め決められた状態を推定する状態推定情報とのパターンマッチングを行って、利用者の状態を取得する。状態推定情報は、例えば記憶部296に記憶される。利用者の状態には、例えば、「利用者が端末装置100や車載機器を操作している状態」や「寝ている状態」、「物を落とした状態」、「飲食物をこぼした状態」、「利用者同士が喧嘩している状態」、「喫煙している状態」が含まれる。また、利用者の状態として、例えば、利用中または利用後の臭気センサにより取得した臭度を取得してもよい。利用状態取得部294は、利用者の状態が変化するごとに、利用者の状態を取得する。
【0083】
また、利用状態取得部294は、利用者ごとの利用時間や、利用した車載機器の種類等の情報を取得する。利用状態取得部294は、取得した情報を、通信装置220を介して管理装置300に送信する。なお、利用状態取得部294は、利用者の状態が不適切であると判定した場合に、その利用者に関する情報を管理装置300に通知してもよい。例えば、利用状態取得部294は、利用者の状態が「飲食物をこぼした状態」や「喧嘩している状態」、「車室内が禁煙であるにもかかわらず喫煙している状態」である場合や、臭気センサにより検出された臭度が閾値以上である場合に、不適切な利用状態であると判定する。
【0084】
管理装置300の利用調整部344は、利用状態取得部294により取得された利用者情報に基づいて、車両200の次回の利用内容を調整する。例えば、利用調整部344は、車両状況管理テーブル378に含まれる利用履歴および連続利用時間を参照し、空間利用サービスでの利用が所定時間以上継続した車両が存在する場合に、車両200を輸送サービスで利用するように調整する。空間利用が長く続くと、車室内の汚れや匂いが懸念されるため、所定時間以上継続して空間利用された車両200を輸送サービスでの利用に切り替えることで、輸送利用者に汚れや匂いの様子をチェックさせることができる。また、個人若しくは仲間同士の長時間の空間利用によるモラルが低下等を抑制することができる。
【0085】
また、利用調整部344は、車両200が不適切に利用された場合に、整備工場等で清掃やメンテナンスを行わせるように制御してもよい。これにより、車両200を早期に清潔な状態にすることができる。
【0086】
また、利用調整部344は、利用者が不適切な利用を行った場合に、一定期間が経過するまで利用を拒否するといった制御を行う。また、利用調整部344は、不適切な行為の種類に応じた罰金を請求し、請求した罰金が支払われるまで利用を拒否する制御を行ってもよい。
【0087】
また、利用調整部344は、車両200の位置が所定エリア内に存在する場合に、空間利用サービスの申し込み(第1の申し込み)を受け付けないようにしてもよい。これにより、例えば、所定エリアが治安の悪いエリアである場合の空間利用を禁止することができるため、車室内を悪用されることや、車外の不審者から話しかけられる等といった状況になることを抑制することができる。
【0088】
[処理シーケンス]
以下、実施形態の管理システム1による一連の処理の流れについて説明する。なお、以下では、実施形態の管理システム1による処理として、利用者が利用する端末装置100、車両200、および管理装置300を用いた処理について説明する。
【0089】
図12は、実施形態の管理システム1による一連の処理の流れを示すシーケンス図である。図12の例において、利用者は、端末装置100から管理装置300に利用者情報の登録処理を行う(ステップS100)。また、車両200は、車両200の利用状態や現在位置を示す情報等を管理装置300に送信する(ステップS102)。管理装置300は、端末装置100から送信された利用者情報を受信し、受信した情報を利用者情報372に記憶させると共に、車両200から送信された情報を車両状況管理テーブル378に記憶させる(ステップS104)。なお、ステップS102の処理は、以降の処理でも所定周期で継続的に実行され、その都度車両状況管理テーブル378が更新される。
【0090】
次に、利用者は、車両利用サービスを利用するため、端末装置100から管理装置300にアクセスする(ステップS110)。管理装置300は、アクセスしてきた端末装置100に対して認証情報を受け付け、受け付けた認証情報に基づいて認証処理を行う(ステップS112)。以下では、利用者によるサービスの利用が許可されたものとして説明する。次に、管理装置300は、端末装置100から利用者の車両利用リクエストを受け付け(ステップS114)、受け付けた車両利用リクエストの条件に合致または類似する利用車両を決定し(ステップS116)、決定した利用車両を示す情報を端末装置100に送信する(ステップS118)。また、管理装置300は、車両利用リクエストに基づいて利用者による車両利用時のセキュリティレベルを決定し(ステップS120)、決定したセキュリティレベルの情報を車両200に送信する(ステップS122)。
【0091】
次に、利用者が車両に乗車してきた場合、車両200は、図10に示すような画像IM1をHMI238に含まれる表示装置に表示させ、画像IM1によって入力された認証情報を取得し(ステップS124)、取得した認証情報を管理装置300に送信する(ステップS126)。管理装置300は、車両200から送信された認証情報を受信して認証処理を行い(ステップS128)、認証結果を車両200に送信する(ステップS130)。ここでは、認証により乗車およびサービス利用が許可されたものとする。車両200は、セキュリティレベルに応じた車室内利用制御を実行する(ステップS132)。次に、車両200は、利用者の利用状態を取得し(ステップS134)、取得した利用状態を含む情報を管理装置300に送信する(ステップS136)。
【0092】
利用者によるサービスの利用が終了すると、管理装置300は、車両200から送信された利用状態を含む情報を受信し、受信した情報に基づいて決済処理を行う(ステップS138)。具体的には、管理装置300は、利用状態に関する請求金額を算出し、算出した請求金額を端末装置100に送信する(ステップS140)。端末装置100は、電子マネー等により請求金額の支払いを行い、支払いが完了したことを管理装置300に送信する(ステップS142)。これにより、実施形態の管理システム1による一連の処理は終了する。
【0093】
なお、上述の処理のうち、ステップS124~S128の処理に代えて、車両200が車室内監視装置240により利用者の乗車が検知された場合に、車両200は、利用者が乗車してきたことを管理装置300に送信し、管理装置300は端末装置100に図10に示すような画像IM1を表示させて、端末装置100から入力された認証情報に基づいて認証処理を行ってもよい。
【0094】
以上説明した実施形態によれば、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両200を利用者に提供するサービスを管理する管理システム1であって、利用者による車両200の利用の申し込みを受け付ける受付部322と、受付部322により車両200を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、車両200のセキュリティレベルを、車両200を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くする車室内利用制御部292と、を備えることにより、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合であっても、より適切な車両制御を行うことができる。また、実施形態によれば、通常の輸送サービスの他、車両200を個室空間として利用するサービスであっても、より快適な個室空間を提供することができる。
【0095】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理システムであって、
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記プログラムを実行することにより、
利用者による車両の利用の申し込みを受け付け、
前記車両を走行させずに車室内の空間を利用する第1の申し込みが受け付けられた場合に、前記車両のセキュリティレベルを、前記車両を走行させる第2の申し込みが受け付けられた場合に比して高くする、
管理システム。
【0096】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0097】
例えば、管理装置300の構成要素のうち一部または全部は、車両200に搭載されてもよく、車両200の構成要素のうち一部または全部は、管理装置300に搭載されてもよい。この場合、例えば、管理装置300の認証部326の機能は、車両200の利用者認識部276に含まれてもよい。また、例えば、車両200の車室内利用制御部292の機能の一部を管理装置300側に搭載し、管理装置300でセキュリティレベルに基づく制限情報を生成して車両200に送信し、車両200側で制限情報に基づく車両制御を実行してもよい。また、実施形態の認証および相互承認における情報の入力は、画面入力に代えて(または加えて)、音声入力であってもよい。また、車両200は、遠隔地から遠隔操作される遠隔操作車両であってもよい。この場合、車両200は、監視ユニット210により取得される各種情報を通信装置220によって外部装置に送信する。外部装置では、受信した各種情報に基づいて車両200の周辺状況を示す画像を生成し(あるいは再生し)、遠隔操作者に提示する。この際に、通信による遅延をカバーするため、先読み処理によって画像等が補正されてもよい。遠隔操作者は、提示された画像に基づいて運転操作子を操作する。運転操作子に対してなされた操作は、車両200に送信され、車両200は受信した操作に基づいて走行する。
【符号の説明】
【0098】
1…管理システム、100…端末装置、200…車両、210…監視ユニット、220…通信装置、230…ナビゲーション装置、237…車両センサ、238…HMI、240…車室内監視装置、242…認証装置、244…車室内照明装置、260…駆動力出力装置、262…ブレーキ装置、264…ステアリング装置、266…ドアロック装置、270…自動運転制御ユニット、272…経路走行制御部、274…乗降位置探索部、276…利用者認識部、280…乗降制御部、290…HMI制御部、292…車室内利用制御部、294…利用状態取得部、296、370…記憶部、300…管理装置、310…通信部、320…フロント処理部、322…受付部、324…情報提供部、326…認証部、330…利用車両決定部、340…経路決定部、342…セキュリティレベル決定部、344…利用調整部、350…決済処理部
図1
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図10
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図12