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特許7407037認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム
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  • 特許-認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20231221BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20231221BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20231221BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20231221BHJP
【FI】
E05B49/00 R
B60R25/25
E05F15/73
E05F15/79
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020051258
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021147955
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 詞音
(72)【発明者】
【氏名】梶田 基貴
(72)【発明者】
【氏名】塚原 靖典
(72)【発明者】
【氏名】原田 久光
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118619(JP,A)
【文献】特開2015-98687(JP,A)
【文献】特開2003-74256(JP,A)
【文献】特開2018-172873(JP,A)
【文献】特開2008-208649(JP,A)
【文献】特開2008-2085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 1/00-17/00
B60R 25/24-25/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者から認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させ、
前記第一状態は、前記対象物に搭載された施錠装置により前記対象物が備える開閉体の解錠がなされた状態であり、
前記第二状態は、前記開閉体が規定された幅だけ開かれた状態であ
前記幅は、前記対象物への進入が不能である幅として規定されている、
認証装置。
【請求項2】
被認証者から認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させ、
前記第一状態は、前記対象物に搭載された施錠装置により前記対象物が備える開閉体の解錠がなされた状態であり、
前記第二状態は、前記開閉体が規定された幅だけ開かれた状態であり、
前記認証情報は、前記被認証者が写り込んだ画像に対応する画像情報である
証装置。
【請求項3】
前記対象物に搭載されるように構成されている、
請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記対象物は、移動体である、
請求項1からのいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項5】
認証装置の処理部によって実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者から認証情報を受け付け、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行し、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させ、
前記第一状態は、前記対象物に搭載された施錠装置により前記対象物が備える開閉体の解錠がなされた状態であり、
前記第二状態は、前記開閉体が規定された幅だけ開かれた状態であ
前記幅は、前記対象物への進入が不能である幅として規定されている、
コンピュータプログラム。
【請求項6】
認証装置の処理部によって実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者から認証情報を受け付け、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行し、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させ、
前記第一状態は、前記対象物に搭載された施錠装置により前記対象物が備える開閉体の解錠がなされた状態であり、
前記第二状態は、前記開閉体が規定された幅だけ開かれた状態であり、
前記認証情報は、前記被認証者が写り込んだ画像に対応する画像情報である、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
被認証者の認証情報を出力する出力装置と、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行する認証装置と、
を備えており、
前記認証装置は、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させ、
前記第一状態は、前記対象物に搭載された施錠装置により前記対象物が備える開閉体の解錠がなされた状態であり、
前記第二状態は、前記開閉体が規定された幅だけ開かれた状態であ
前記幅は、前記対象物への進入が不能である幅として規定されている、
認証システム。
【請求項8】
被認証者の認証情報を出力する出力装置と、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行する認証装置と、
を備えており、
前記認証装置は、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させ、
前記第一状態は、前記対象物に搭載された施錠装置により前記対象物が備える開閉体の解錠がなされた状態であり、
前記第二状態は、前記開閉体が規定された幅だけ開かれた状態であり、
前記出力装置は、前記対象物に搭載されて前記被認証者が写り込んだ画像に対応する画像情報を、前記認証情報として出力する撮像装置である
証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を行なう認証装置に関連する。本発明は、当該認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。本発明は、当該認証装置を含む認証システムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対象物の一例としての車両に適用される認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての施錠装置の動作を制御する制御装置と被認証者が所持するモバイル装置の一例としてのキーとの間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証に成功すると、当該車両のドアの施錠が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-211334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、認証システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、認証装置であって、
被認証者から認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させる。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、認証装置の処理部によって実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者から認証情報を受け付け、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行し、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させる。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、認証システムであって、
被認証者の認証情報を出力する出力装置と、
前記認証情報に基づいて前記被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を実行する認証装置と、
を備えており、
前記認証装置は、
前記認証処理が成立すると、前記対象物の状態を、第一セキュリティレベルを有する第一状態から当該第一セキュリティレベルよりも低い第二セキュリティレベルを有する第二状態へ遷移させ、
時間の経過、前記対象物と前記被認証者の距離、および前記被認証者による指示の入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されると、前記対象物の状態を、前記第二状態から前記第一状態へ遷移させる。
【0008】
被認証者に対象物の利用の意思がないにも関わらず、意図せず認証条件が満足されてしまうことによって認証処理が成立する可能性が皆無ではない。認証処理が成立すると、対象物の状態は、よりセキュリティレベルの低い第二状態へ遷移する。この状態が放置されることは、対象物の防犯上の観点から好ましくない。
【0009】
しかしながら、上記のような構成によれば、時間の経過、被認証者と対象物の間の距離、および被認証者による指示入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されることにより、対象物の状態を、よりセキュリティレベルの高い第一状態へ復帰させることができる。特に時間の経過と距離について条件の満足が判断される構成の場合、被認証者が意図しない第二状態への遷移に気付かなかったとしても、第一状態への復帰を自動的に行なわせることができる。したがって、認証システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る認証システムの機能構成を例示している。
図2図1の認証システムの動作を例示している。
図3図1の認証システムの動作を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る認証システム10の機能構成を例示している。認証システム10は、図2に例示される被認証者20を車両30のユーザとして認証する認証処理を実行するためのシステムである。車両30は、対象物の一例である。
【0012】
図1に例示されるように、認証システム10は、撮像装置11を含んでいる。撮像装置11は、車両30における適宜の位置に搭載される。撮像装置11は、被認証者20が写り込んだ画像を取得し、当該画像に対応する画像情報Iを出力するように構成されている。画像情報Iは、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。撮像装置11は、出力装置の一例である。
【0013】
認証システム10は、認証装置12を含んでいる。認証装置12は、受付部121と処理部122を備えている。受付部121は、撮像装置11から画像情報Iを受け付けるように構成されている。画像情報Iがアナログデータの形態である場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。処理部122は、デジタルデータの形態である画像情報Iを処理の対象とする。
【0014】
処理部122は、画像情報Iに基づいて認証処理を実行するように構成されている。具体的には、処理部122は、不図示の記憶部に予め保存されている被認証者20の画像情報と画像情報Iを比較し、両者の一致度を取得する。一致度が規定された閾値を上回る場合、処理部122は、画像情報Iに基づく認証処理を成立させる。
【0015】
認証装置12は、出力部123を備えている。処理部122は、画像情報Iに基づく認証処理が成立すると、出力部123を通じて制御情報Cを出力するように構成されている。制御情報Cは、デジタルデータの形態でもよいし、アナログデータの形態でもよい。制御情報Cがアナログデータの形態である場合、出力部123は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0016】
認証システム10は、制御装置13を含んでいる。制御装置13は、車両30に搭載されている。制御装置13は、認証装置12から出力された制御情報Cに基づいて、車両30に搭載された被制御装置40の動作を制御するように構成されている。被制御装置40の例としては、ドアや窓などの開閉体の施錠装置、当該開閉体の開閉装置、エンジン、空調装置、照明装置、音響映像装置、座席位置の調節装置などが挙げられる。
【0017】
図2に例示されるように、撮像装置11が車両30の側部に配置されることにより、フロントドア31の周囲に検出領域Aが設定されうる。検出領域Aは、撮像装置11の視野内であり、かつ撮像装置11が被認証者20の顔やジェスチャを認識可能な範囲として定められうる。
【0018】
例えば、検出領域Aに被認証者20が進入すると、処理部122において顔認証処理が実行されうる。この場合、処理部122は、被認証者20の顔が写り込んだ画像に対応する画像情報Iと、不図示の記憶部に予め保存されている被認証者20の顔画像情報とを比較し、両者の一致度を取得する。一致度が規定された閾値を上回る場合、処理部122は、画像情報Iに基づく顔認証処理を成立させる。
【0019】
処理部122は、顔認証処理が成立すると、車両30に搭載された被制御装置40としての施錠装置にフロントドア31の解錠動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、施錠装置にフロントドア31の解錠を行なわせる。フロントドア31は、開閉体の一例である。
【0020】
図3に例示されるように、顔認証処理が成立した結果として、車両30は施錠状態から解錠状態に遷移する。本明細書で用いられる「施錠状態」という語は、車両30に搭載された被制御装置40としての施錠装置によりフロントドア31などの開閉体の施錠がなされた状態を意味する。本明細書で用いられる「解錠状態」という語は、当該施錠装置により当該開閉体の解錠がなされた状態を意味する。
【0021】
解錠状態は、施錠状態よりもセキュリティレベルが低い状態であると言える。すなわち、処理部122は、顔認証処理が成立すると、車両30の状態をセキュリティレベルがより低い状態へ遷移させる。この場合、施錠状態は、第一状態の一例である。解錠状態は、第二状態の一例である。
【0022】
他方、処理部122は、時間の経過について規定された条件が満足されると、車両30の状態を解錠状態から施錠状態へ遷移させるように構成されうる。
【0023】
具体的には、処理部122は、規定されたタイミングで不図示の内部タイマによる計時を開始する。規定されたタイミングの例としては、顔認証処理が開始された時点、顔認証処理の成立が判断された時点、施錠状態から解錠状態への遷移がなされた時点などが挙げられる。
【0024】
処理部122は、規定された時間の計時が終了すると、施錠装置に施錠動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、施錠装置にフロントドア31の施錠を行なわせる。計時される時間は、検出領域Aに進入した被認証者20がフロントドア31を通じて車両30に乗り込むまでに要する平均的な時間よりも長い時間として規定されうる。
【0025】
これに加えてあるいは代えて、処理部122は、被認証者20と車両30の間の距離について規定された条件が満足されると、車両30の状態を解錠状態から施錠状態へ遷移させるように構成されうる。
【0026】
具体的には、処理部122は、被認証者20と車両30の間の距離が閾値を上回ると判断すると、施錠装置に施錠動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、施錠装置にフロントドア31の施錠を行なわせる。
【0027】
閾値は、検出領域Aに基づいて規定されてもよいし、被認証者20が乗車の意思を有していないと判断しうる距離として規定されてもよい。距離の特定は、撮像装置11により取得される画像に写り込んだ被認証者20の大きさ(画素数)に基づいて判断されてもよいし、周知の距離センサを用いてなされてもよい。
【0028】
これに加えてあるいは代えて、処理部122は、被認証者20による指示の入力について規定された条件が満足されると、車両30の状態を解錠状態から施錠状態へ遷移させるように構成されうる。
【0029】
具体的には、処理部122は、被認証者20から規定された指示が入力されたと判断すると、施錠装置に施錠動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、施錠装置にフロントドア31の施錠を行なわせる。
【0030】
例えば、骨格モデルを適用する処理に基づいてジェスチャ認証処理を実行可能に認証装置12が構成されている場合、上記の規定された指示は、被認証者20による所定のジェスチャでありうる。骨格モデルを適用する処理においては、当該骨格モデルにおいて規定された複数の特徴点を撮像装置11により取得された画像に写り込んだ被認証者20において検出し、当該複数の特徴点同士を当該骨格モデルにおいて規定された複数の骨格線で接続する。処理部122は、画像情報Iより得られる骨格モデルの動きと、不図示の記憶部に予め保存されている骨格モデルの動きとを比較し、両者の一致度を取得する。一致度が規定された閾値を上回る場合、処理部122は、画像情報Iに基づくジェスチャ認証処理を成立させる。すなわち、被認証者20により入力された所定のジェスチャに基づくジェスチャ認証処理が成立すると、処理部122は、車両30の状態を解錠状態から施錠状態へ遷移させる。
【0031】
例えば、認証装置12が音声認識処理を実行可能に構成されている場合、上記の規定された指示は、被認証者20による所定の言葉の音声入力でありうる。例えば、所定の言葉が「ロックして」である場合、音声認識処理により被認証者20が「ロックして」と発語したことが認識されると、処理部122は、車両30の状態を解錠状態から施錠状態へ遷移させる。
【0032】
被認証者20に車両30への乗車の意思がないにも関わらず撮像装置11の検出領域Aに意図せず進入してしまった結果として、顔認証処理が成立する可能性が皆無ではない。顔認証処理が成立すると、車両30の状態は、よりセキュリティレベルの低い解錠状態へ遷移する。この状態が放置されることは、車両30の防犯上の観点から好ましくない。
【0033】
しかしながら、上記のような構成によれば、時間の経過、被認証者20と車両30の間の距離、および被認証者20による指示入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されることにより、車両30の状態を、よりセキュリティレベルの高い施錠状態へ復帰させることができる。特に時間の経過と距離について条件の満足が判断される構成の場合、被認証者20が意図しない解錠状態への遷移に気付かなかったとしても、施錠状態への復帰を自動的に行なわせることができる。したがって、認証システム10の利便性を高めることができる。
【0034】
前述の通り、認証装置12は、ジェスチャ認証処理を実行可能に構成されうる。例えば、処理部122は、ジェスチャ認証処理が成立すると、車両30に搭載された被制御装置40としての開閉装置にフロントドア31を開く動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、開閉装置にフロントドア31を開かせる。
【0035】
図3に例示されるように、顔認証処理が成立した結果として、車両30は施錠状態から半開状態に遷移する。本明細書で用いられる「半開状態」という語は、車両30に搭載された被制御装置40としての開閉装置によりフロントドア31などの開閉体が規定された幅だけ開かれた状態を意味する。図2においては、半開状態にあるフロントドアが符号31’で例示されている。
【0036】
図2においては、全開状態にあるフロントドアが符号31”で例示されている。本明細書で用いられる「全開状態」という語は、フロントドア31などの開閉体が半開状態に係る規定された幅よりも大きく開かれている状態を意味する。半開状態から全開状態への遷移は、フロントドア31が車両30のユーザとして認証された被認証者20の手により開かれることによってなされうる。あるいは、図3に例示されるように、ジェスチャ認証処理に成功した被認証者20の車両30へのさらなる接近が検出されることにより、被制御装置40としての開閉装置によりフロントドア31がさらに開かれてもよい。
【0037】
半開状態は、解錠状態よりもセキュリティレベルが低い状態であると言える。すなわち、処理部122は、ジェスチャ認証処理が成立すると、車両30の状態をセキュリティレベルがより低い状態へ遷移させる。この場合、解錠状態は、第一状態の一例である。半開状態は、第二状態の一例である。
【0038】
他方、処理部122は、時間の経過について規定された条件が満足されると、車両30の状態を半開状態から解錠状態へ遷移させるように構成されうる。
【0039】
具体的には、処理部122は、規定されたタイミングで不図示の内部タイマによる計時を開始する。規定されたタイミングの例としては、ジェスチャ認証処理が開始された時点、ジェスチャ認証処理の成立が判断された時点、解錠状態から半開状態への遷移がなされた時点などが挙げられる。
【0040】
処理部122は、規定された時間の計時が終了すると、開閉装置にドア閉塞動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、開閉装置にフロントドア31の閉塞を行なわせる。計時される時間は、検出領域Aに進入した被認証者20がフロントドア31を通じて車両30に乗り込むまでに要する平均的な時間よりも長い時間として規定されうる。
【0041】
これに加えてあるいは代えて、処理部122は、被認証者20と車両30の間の距離について規定された条件が満足されると、車両30の状態を半開状態から解錠状態へ遷移させるように構成されうる。
【0042】
具体的には、処理部122は、被認証者20と車両30の間の距離が閾値を上回ると判断すると、開閉装置にドア閉塞動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、開閉装置にフロントドア31の閉塞を行なわせる。
【0043】
閾値は、検出領域Aに基づいて規定されてもよいし、被認証者20が乗車の意思を有していないと判断しうる距離として規定されてもよい。距離の特定は、撮像装置11により取得される画像に写り込んだ被認証者20の大きさ(画素数)に基づいて判断されてもよいし、周知の距離センサを用いてなされてもよい。
【0044】
これに加えてあるいは代えて、処理部122は、被認証者20による指示の入力について規定された条件が満足されると、車両30の状態を半開状態から解錠状態へ遷移させるように構成されうる。
【0045】
具体的には、処理部122は、被認証者20から規定された指示が入力されたと判断すると、開閉装置にドア閉塞動作を行なわせるための制御情報Cを、出力部123から出力する。制御装置13は、制御情報Cに基づいて、開閉装置にフロントドア31の閉塞を行なわせる。
【0046】
例えば、骨格モデルを適用する処理に基づいてジェスチャ認証処理を実行可能に認証装置12が構成されている場合、上記の規定された指示は、被認証者20による所定のジェスチャでありうる。この場合、被認証者20により入力された所定のジェスチャに基づくジェスチャ認証処理が成立すると、処理部122は、車両30の状態を半開状態から解錠状態へ遷移させる。
【0047】
例えば、認証装置12が音声認識処理を実行可能に構成されている場合、上記の規定された指示は、被認証者20による所定の言葉の音声入力でありうる。例えば所定の言葉が「閉めて」である場合、音声認識処理により被認証者20が「閉めて」と発語したことが認識されると、処理部122は、車両30の状態を半開状態から解錠状態へ遷移させる。
【0048】
被認証者20に車両30への乗車の意思がないにも関わらず撮像装置11の検出領域A内で意図せず所定のジェスチャに似た動作をしてしまった結果として、ジェスチャ認証処理が成立する可能性が皆無ではない。ジェスチャ認証処理が成立すると、車両30の状態は、よりセキュリティレベルの低い半開状態へ遷移する。この状態が放置されることは、車両30の防犯上の観点から好ましくない。
【0049】
しかしながら、上記のような構成によれば、時間の経過、被認証者20と車両30の間の距離、および被認証者20による指示入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されることにより、車両30の状態を、よりセキュリティレベルの高い解錠状態へ復帰させることができる。特に時間の経過と距離について条件の満足が判断される構成の場合、被認証者20が意図しない半開状態への遷移に気付かなかったとしても、施錠状態への復帰を自動的に行なわせることができる。したがって、認証システム10の利便性を高めることができる。
【0050】
半開状態におけるフロントドア31の開度(すなわち上記の「規定された幅」)は、車両30への搭乗が不能である幅として規定されうる。
【0051】
このような構成によれば、半開状態にある車両30の防犯性の低下を抑制できるだけでなく、フロントドア31を解錠状態へ復帰させるための開閉装置の動作を必要最小限にできる。
【0052】
これまで説明した各機能を有する処理部122は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。プロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0053】
処理部122は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部122は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0054】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0055】
上記の実施形態においては、時間の経過、被認証者20と車両30の間の距離、および被認証者20による指示入力の少なくとも一つについて規定された条件が満足されることにより、車両30の状態が半開状態から解錠状態に遷移される。しかしながら、図3に例示されるように、車両30の状態は、半開状態から施錠状態へ遷移されてもよい。
【0056】
上記の実施形態においては、車両30の状態を施錠状態から解錠状態へ遷移させる認証処理として顔認証処理が用いられ、車両30の状態を解錠状態から半開状態へ遷移させる認証処理としてジェスチャ認証が用いられている。しかしながら、各状態遷移の判断に用いられる認証処理は、顔認証、ジェスチャ認証、歩容認証などから適宜に選択されうる。
【0057】
また、各状態遷移の判断に用いられる認証処理は、必ずしも撮像装置11から出力される画像情報Iに基づくことを要しない。例えば、被認証者20による携帯が可能なモバイル装置から出力される認証情報に基づいて認証処理が行なわれてもよい。この場合、モバイル装置は、出力装置の一例である。
【0058】
認証装置12は、車両30に搭載されてもよいし、適宜の規格に基づく無線通信ネットワークを介して車両30と通信可能な外部装置として提供されてもよい。認証装置12が車両30に搭載される場合、認証装置12による認証処理と制御装置13による制御処理は、共通の装置あるいは素子によって行なわれてもよい。認証装置12が無線通信ネットワークを介して車両30と通信可能な外部装置として提供される場合、撮像装置11から出力された画像情報Iが、無線通信ネットワークを介して認証装置12に送信される。処理部122による認証処理の結果として出力されうる制御情報Cは、当該無線通信ネットワークを介して制御装置13へ送信される。
【0059】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0060】
認証システム10は、移動体以外の対象物にも適用されうる。他の対象物の例としては、住宅、商業施設、校舎、社屋、工場、研究施設などが挙げられる。
【符号の説明】
【0061】
10:認証システム、11:撮像装置、12:認証装置、121:受付部、122:処理部、13:制御装置、20:被認証者、30:車両、31:フロントドア、40:被制御装置、I:画像情報
図1
図2
図3