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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20231221BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A63F5/04 603E
A63F5/04 697
A63F7/02 304D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020055579
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021153755
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】冨永 佳寛
(72)【発明者】
【氏名】林 享一
【審査官】奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017701(JP,A)
【文献】特開2017-140218(JP,A)
【文献】特開2015-062578(JP,A)
【文献】特開2011-177197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04,7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕様の異なる複数種類の演出音出力手段と、
演出音出力手段から出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御手段と、
を備え、演出音出力手段からテストトーンを出力可能な遊技機であって、
前記演出音制御手段は、前記複数種類の演出音出力手段のうちの少なくとも1つから出力する演出音について、特定周波数以上の成分を減衰させる処理を実行可能であり、
前記複数種類の演出音出力手段は、前記特定周波数以上の音を出力可能な仕様であり、
前記特定周波数は、前記テストトーンよりも高い周波数である
遊技機。
【請求項2】
仕様の異なる複数種類の演出音出力手段と、
演出音出力手段から出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御手段と、
記憶部と、
を備え、テストトーンのデータが前記記憶部に記憶された遊技機であって、
前記演出音制御手段は、前記複数種類の演出音出力手段のうちの少なくとも1つから出力する演出音について、特定周波数以上の成分を減衰させる処理を実行可能であり、
前記複数種類の演出音出力手段は、前記特定周波数以上の音を出力可能な仕様であり、
前記特定周波数は、前記テストトーンよりも高い周波数である
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機では、スピーカから演出音を出力して遊技を盛り上げたりする。この種の遊技機として、複数のスピーカを有し、各スピーカから異なる周波数帯域の音を出力する遊技機等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-85625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これまでの遊技機では音の出力に関して、遊技者が不快に感じてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、遊技者にとって快適な環境を提供できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
仕様の異なる複数種類の演出音出力手段(スピーカ)と、
演出音出力手段から出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出音制御手段は、前記複数種類の演出音出力手段のうちの少なくとも1つから出力する演出音について、特定周波数以上の成分を減衰させる処理を実行可能であり、
前記複数種類の演出音出力手段は、前記特定周波数以上の音を出力可能な仕様であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、高音が痛いと感じてしまう遊技者に対して、特定周波数以上の高音成分を減衰させた音を届けることができ、当該遊技者にとって快適な環境を提供することができる。また、複数種類の演出音出力手段は、前記特定周波数以上の音を出力可能であるため、高音が不快でない遊技者に対しては、複数種類の演出音出力手段から特定周波数以上の音を出力し、当該遊技者の気分を高揚させる環境を提供することができる。
【0008】
また、本発明の前記構成において、
演出音出力手段からテストトーンを出力可能な遊技機であって、
前記特定周波数は、前記テストトーンよりも高い周波数であることとしてもよい。
【0009】
このような構成によれば、特定周波数以上の成分を減衰させた状態についても、テストトーンを用いた検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機によれば、遊技者にとって快適な環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示す正面図である。
図2】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】同、スピーカの再生周波数帯域を示す図である。
図4】同、演出音制御部の概略的な構成を示すブロック図である。
図5】同、第1イコライザ部の処理について説明するための図である。
図6】同、通常モード時および高音カットモード時の第2イコライザ部の周波数特性について説明するための図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の一例を示す斜視図である。
図8】同、遊技盤を正面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等のその他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明において、基本的に、「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0013】
まず、発明が適用されるスロットマシンXの概略構成について説明する。
図1はスロットマシンXを示す正面図である。このスロットマシンXは、筐体10を備えており、この筐体10は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体10の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。また、筐体10の正面には、筐体10の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉12が設けられており、この前扉12は、前記開口部の上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、前記開口部の下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。なお、前扉12を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。
【0014】
筐体10内の下部には、各部品に電力を供給するための電源装置を内蔵した電源ユニット、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット16(図2参照)、ホッパーユニット内のメダルの量が所定量以上となるとホッパーユニットからメダルが送り出されるキャッシュボックス等が設けられている。また、電源ユニットは、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニットから各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニットがOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0015】
また、筐体10内には、リールユニット20や主制御基板70(主制御装置)、副制御基板72(副制御装置)等が設けられている(図2参照)。リールユニット20は、周囲に複数の図柄を表示した3個の回転リール(第1リール20a、第2リール20b、第3リール20c)と、リール20a~20cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)と、各リール20a~20cに対応して設けられたインデックスセンサと、を有している。各インデックスセンサは、各リール20a~20cの内側に取り付けられた半円帯状のインデックスのエッジを検知するようになっている。そして、このインデックスセンサによる検知情報に基づいて、リール20a~20cの停止制御等が行われる。
【0016】
図1に示すように、上扉30には、表示窓31が設けられ、この表示窓31の奥には、3個のリール20a~20cが横一列に設けられている。また、リール20a~20cの前側には、液晶ディスプレイ34(画像表示装置)が表示窓31に面して設けられている。
【0017】
液晶ディスプレイ34は、その表示領域(表示面)200に、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の演出画像が表示される。また、表示領域200は、第1表示領域200aと第2表示領域200bとを有している。第1表示領域200aは、液晶ディスプレイ34の正面視において、略下半分に横長の矩形状に形成されている。液晶ディスプレイ34は、透過型の液晶ディスプレイとなっており、第1表示領域200aの後方にある部材を視認可能な状態とすることができるようになっている。
【0018】
第1表示領域200aの後方には、リールユニット20が、その一部が第1表示領域200aを介して視認可能となるように配置されている。各リール20a~20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール20a~20cが停止すると、第1表示領域200aおよび表示窓31を介して1リール当たり3個の連続する図柄が表示される。また、第1表示領域200a(表示窓31)には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、各リール20a~20cの中段によって構成される有効ラインが有効化される。また、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに当選役抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。すなわち、リール20a~20cが停止したときに表示窓31を通して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。
【0019】
第1表示領域200aは、透明な状態と演出画像を表示した状態とを含む複数の状態を有している。そして、第1表示領域200aが透明な状態においては、リール20a~20cの図柄が視認可能な状態となる。また、第1表示領域200aが演出画像を表示した状態においては、リール20a~20cの前方に演出画像が表示される。なお、第1表示領域200aが演出画像を表示した状態において、リール20a~20cの図柄は視認可能(視認容易)となっていてもよく、視認不可能(視認困難)となっていてもよい。このように第1表示領域200aは、リール20a~20cの図柄が視認可能で、かつ演出用の画像を表示可能な領域となっている。
【0020】
第2表示領域200bは、液晶ディスプレイ34の表示領域200のうち、第1表示領域200aを除いた部分であり、本実施形態の遊技機では、第1表示領域200aより上側の広い横長矩形の領域、第1表示領域200aより下側の狭い横長矩形の領域および第1表示領域200aより左右側の縦長矩形の狭い領域によって構成されている。つまり、第2表示領域200bは、第1表示領域200aを囲むように配置されている。第2表示領域200bは、演出用の画像を表示可能となっており、第2表示領域200bと第1表示領域200aとにわたって一つのまとまりのある画像を表示することもできるようになっている。また、第2表示領域200bは、透明な状態を有さず、後方にある部材を透過させて視認可能とすることはできないようになっている。ただし、第2表示領域200bも透明な状態を有していてもよい。換言すると、表示領域200全体が第1表示領域200aとなっていてもよい。
【0021】
なお、液晶ディスプレイ34は透過型の液晶ディスプレイでなくてもよく、リール202a~20cは、液晶ディスプレイ34を介して視認されるものでなくてもよい。例えば、リール20a~20cを視認可能とする表示窓31の他に、液晶ディスプレイ34を視認可能とする第2の表示窓を設け、当該第2の表示窓を介して液晶ディスプレイ34が視認されるようにしてもよい。
【0022】
また、上扉30や下扉40には、スピーカ(演出音出力手段)100が複数設けられている。スピーカ100からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の演出音(音楽、効果音、音声等)が出力される。また、前扉12には、報知や演出などを行うための照明装置38が複数設けられている。
【0023】
また、上扉30は、筐体10にヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体10の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉40は筐体10にヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体10の開口下部を開閉するようになっている。
なお、このスロットマシンXは、分離型筐体タイプの構造を有するものであり、機種の交換時に筐体10、下扉40および筐体10内の電源ユニット14やホッパーユニット16等が遊技店の島設備に取り付けられたままで、上扉30およびリールユニット20等を交換可能となっている。また、スロットマシンXは、分離型筐体タイプに限られるものではなく、機種交換時にスロットマシン全体を交換するものであってもよい。
【0024】
また、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態で、上扉30を開放することができない構造になっている。
【0025】
また、下扉40の下部には、スロットマシンXの内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口41と、メダル払い出し口41から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿43とが形成されている。また、下扉40の上部にはスロットマシンXを操作するための操作部50が設けられている。
【0026】
操作部50には、クレジットされたメダルを払い出すための精算ボタン52、遊技を開始させるためのスタートレバー53、3個のリール20a~20cそれぞれの回転を停止させるための3個のストップボタン54、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン、最大数の3枚のメダルをベットするときに操作されるMAXベットボタン56(ベットボタン)等が設けられる他、演出に係る操作を行うための演出操作部57も設けられている。また、演出操作部57は、演出の態様を変化させる演出ボタン57aや、演出に係る選択に使用される選択ボタン57b(十字キー、決定ボタン、キャンセルボタン等)を有している。
【0027】
ここで、本実施の形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入(ベット)され、遊技を開始することが可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下する操作を行なうと、リール20a~20cが回転を始め、リール20a~20cの回転速度が所定の速度まで上昇するとストップボタン54の押下操作が有効な状態となる。その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタン54を押下していくと、各リール20a~20cが停止する。そして、すべてのリール20a~20cが停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0028】
また、演出ボタン57aは、例えば、ボーナスに当たったことや、遊技者にとって有利な状態に移行することが決定したこと等の、遊技者にとって喜ばしいことを遊技者に報知する場合や、遊技者にとっての勝負所等の所定のタイミングで、演出の態様を変化させるための押下操作が有効な状態となる。そして、当該押下操作が有効な状態で、演出ボタン57aが押下されると、液晶ディスプレイ34に表示される演出画像の態様が変化したり、可動役物が動いたりして、演出の態様が変化する。
【0029】
スロットマシンXは主制御基板(主制御装置)70と副制御基板(副制御装置)72とによって制御される。主制御基板70は、図2に示すように、MAXベットボタンを含むベットボタン56、スタートレバー53、ストップボタン54、メダル投入口42から投入されるメダルの通過を検知するメダルセンサ89、精算ボタン52等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいてリール20a,20b,20cや、ホッパーユニット16等の出力手段の制御を行なう。また、副制御基板72は、主制御基板70から送られてくる信号(コマンド)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ34、スピーカ100および照明装置38等の演出用の装置の制御を行なう。また、副制御基板72は、演出ボタン62や演出操作部57等の入力手段からの入力信号を受けて、演出に係る各種の演算を行い、演出を進行させたり、演出に係る設定を変更したりする。すなわち、副制御基板72は、演出を制御する。
【0030】
主制御基板70と副制御基板72とは電気的に接続されており、主制御基板70から副制御基板72へは遊技状態を示す情報など各種情報(コマンド)の送信が可能となっているが、副制御基板72から主制御基板70へは情報を送信できないようになっている。
また、主制御基板70や副制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0031】
副制御基板72は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。副制御基板72は、演出制御部(演出制御手段)74と、演出音制御部(演出音制御手段)76と、記憶部(記憶手段)78と、アンプ群112と、を備えている。本実施形態では演出制御部74および演出音制御部76は、1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)され、この回路の機能ブロックとして構成されてもいる。
【0032】
本実施形態の遊技機は、図1に示すように、下扉40に設けられた2つのスピーカ(下部スピーカ100a,100b)と、上扉30に設けられた2つのスピーカ(上部スピーカ100c,100d)とを有している。すなわち、前扉12には、下部スピーカ100a,100bと、下部スピーカ100a,100bよりも上方に配置された上部スピーカ100c,100dとが設けられている。また、2つの下部スピーカ100a,100bは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。また、2つの上部スピーカ100c,100dは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。なお、本明細書において略同一(略一致)とは、同一(一致)の場合を含むものとする。すなわち、本実施形態の遊技機は、4つのスピーカ間における相対的な位置が左下となるスピーカ100aと、右下となるスピーカ100bと、左上となるスピーカ100cと、右上となるスピーカ100dとの4つのスピーカを有している。換言すると、遊技をするときの遊技者から見て、左下に位置するスピーカ100aと、右下に位置するスピーカ100bと、左上に位置するスピーカ100cと、右上に位置する100dとの4つのスピーカを有している。
【0033】
また、本実施形態の遊技機は、上扉30に設けられた2つのツイーター100e,100fを有している。また、ツイーター100e,100fは、上部スピーカ100c,100dよりも上方に配置されている。また、2つのツイーター100e,100fは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。
【0034】
2つの下部スピーカ100a,100bと、2つの上部スピーカ100c,100dと、2つのツイーター100e,100fとは、互いに異なる仕様のスピーカ(型番が異なるスピーカ)となっている。換言すると、下部スピーカ100a,100bと、上部スピーカ100c,100dと、ツイーター100e,100fとでは、再生可能な周波数帯域(再生周波数帯域(定格周波数帯域):周波数特性)が異なるものとなっている。さらに換言すると、下部スピーカ100a,100bと、上部スピーカ100c,100dと、ツイーター100e,100fとでは、出力音圧レベルの周波数特性が異なるものとなっている。
【0035】
下部スピーカ100a,100bは、上部スピーカ100c,100dよりも振動板の面積(口径)が大きくなっている。具体的には、下部スピーカ100a,100bの振動板は、円形となっており、直径が約10cmとなっている。また、上部スピーカ100c,100dの振動板は、長円形となっており、長径が約10cm、短径が約4.5cmとなっている。したがって、下部スピーカ100a,100bは、大スピーカともいえる。また、上部スピーカ100c,100dは、小スピーカともいえる。また、ツイーター100e,100fは、上部スピーカ100c,100dよりも振動板の面積(口径)が小さくなっている。具体的には、ツイーター100e,100fの振動板は、円形となっており、直径が約2.5cmとなっている。したがって、ツイーター100e,100fは、最小スピーカともいえる。
【0036】
図3に示すように、下部スピーカ100a,100bの再生周波数帯域は、90Hz~16kHzとなっている。また、下部スピーカ100a,100bの最低共振周波数は90Hzとなっている。また、上部スピーカ100c,100dの再生周波数帯域は、235Hz~18kHzとなっている。また、上部スピーカ100c,100dの最低共振周波数は235Hzとなっている。また、ツイーター100e,100fの再生周波数帯域は、2kHz~20kHzとなっている。また、ツイーター100e,100fの最低共振周波数は2kHzとなっている。下部スピーカ100a,100bおよび上部スピーカ100c,100dは、ツイーターやウーファー等の他のスピーカに比べ広い音域の音を出力可能となっており(再生周波数帯域が広く)、フルレンジスピーカともいえる。
【0037】
また、下部スピーカ100a,100bと上部スピーカ100c,100dとは、235Hz~16kHzの帯域(周波数帯域A)が共通して再生周波数帯域に含まれている。また、下部スピーカ100a,100bと上部スピーカ100c,100dとツイーター100e,100fとは、2kHz~16kHzの帯域(周波数帯域B)が共通して再生周波数帯域に含まれている。また、上部スピーカ100c,100dとツイーター100e,100fとは、2kHz~18kHzの帯域(周波数帯域C)が共通して再生周波数帯域に含まれている。また、下部スピーカ100a,100bとツイーター100e,100fとは、2kHz~16kHzの帯域(周波数帯域D)が共通して再生周波数帯域に含まれている。また、帯域幅(周波数範囲)は、周波数帯域Cの方が周波数帯域Aよりも広く、周波数帯域Aの方が周波数帯域Bよりも広くなっている。
【0038】
図2に示すように、演出音制御部76は、アンプ群112を構成するアンプ113,114,115を介してスピーカ100a,100b,100c,100d,100e,100fを制御可能となっている。また、アンプ113,114,115は、演出音制御部76から出力された信号をデジタル信号からアナログ信号に変換するとともに、このアナログ信号を増幅してスピーカ100a,100b,100c,100d,100e,100fを駆動することが可能となっている。換言すると、アンプ113,114,115は、DAC(デジタル-アナログ変換部)として機能するとともに、増幅器(例えばD級アンプ)として機能するようになっている。また、アンプ113,114,115はそれぞれ、1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)されている。このため、複数のアンプ113,114,115および演出音制御部76は、互いに異なる部品(広義には集積回路などの電子部品、狭義には集積回路に設けられたチップ部品)で構成されている。具体的には、本実施形態の遊技機では、演出制御部74および演出音制御部76は、副制御基板72のメインIC(演出制御用IC)によって構成されている一方、アンプ113,114,115は、それぞれ演出制御用ICとは別体のアンプICによって構成されており、複数のアンプ113,114,115および演出音制御部76は、互いに異なるICとなっている。また、アンプ113,114,115は、全て同一仕様のIC(型番が同一のIC)となっている。
【0039】
演出音制御部76は、図4に示すように、デコーダ部150と、第1音量制御部151と、第2音量制御部153と、イコライザ部(周波数特性制御部)155と、第3音量制御部157と、オーディオ出力部159と、を有している。また、演出音制御部76は、複数(例えば、トラック1~トラック40の合計40個)のトラックと、複数(例えば、チャンネルCH1~チャンネルCH8の合計8個(CH7,CH8は図示せず))のチャンネルとを有している。ここで、トラックは、記憶部78の演出音記憶部(ROM)160に記憶された各演出音(フレーズデータ)の再生の実行単位であり、チャンネルは、演出音制御部76の演出音データの出力単位となっている。演出音制御部76は、各トラックで再生される演出音(各トラックの出力)を各チャンネルにおいて合成して出力するようになっている。
なお、演出音記憶部160には、例えば、一連の背景音楽(BGM)や、予告音、効果音、キャラクタのセリフ音等の演出音が記憶されている。
【0040】
なお、以下では、音量の設定値を「0」~「255」の256段階とし、音量「0」が無音、音量「255」が最大音量として説明するが、各設定値や段階数について特に限定するものではない。
【0041】
デコーダ部150は、トラック毎に独立してデコード処理をすることが可能となっている。これにより、演出音制御部76は、最大で40個の演出音(演出音記憶部160から読み出した演出音)を同時に再生することが可能となっている。デコーダ部150でデコード処理された各トラックの演出音は、第1音量制御部151に入力される。
【0042】
第1音量制御部151は、トラック毎に音量(ボリューム)を調整することが可能となっている。また、第1音量制御部151は、各トラックについて、出力先のチャンネル毎に音量を調整することが可能となっている。すなわち、例えば、トラック1においてBGMが再生され、トラック2においてキャラクタのセリフ音が再生される場合に、トラック1で再生されるBGMの音量を「100」とし、トラック2で再生されるキャラクタのセリフ音の音量を「150」とするなど、トラック毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。また、例えば、トラック1で再生されるBGMをチャンネルCH1に対しては音量「100」として出力し、チャンネルCH2に対しては音量「50」として出力するなど、出力先のチャンネル毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。
【0043】
各トラックでの再生音は、第1音量制御部151の設定に応じた音量で各チャンネルに出力され、各チャンネルにおいて合成される(重ね合わされる)。すなわち、各チャンネルでは、各トラックの演出音を合成した演出音(合成演出音)が扱われる。そして、第1音量制御部151の出力を合成した各チャンネルの演出音(合成演出音)は、第2音量制御部153に入力される。
【0044】
第2音量制御部153は、チャンネル毎に音量を調整することが可能となっている。そして、第2音量制御部153で音量調整された各チャンネルの合成演出音は、イコライザ部155に入力される。
【0045】
イコライザ部155は、チャンネル毎に所望の周波数特性を実現可能となっている。具体的には、イコライザ部155は、設定に応じて、合成演出音の所定の周波数帯域を強めたり弱めたりすることが可能となっている。換言すると、イコライザ部155は、合成演出音について、周波数帯毎に音量(音圧レベル)を大きくしたり、小さくしたりすることが可能となっている。さらに換言すると、イコライザ部155は、合成演出音の各周波数帯について入出力のゲインをいくらにするか設定可能となっている。また、イコライザ部155は、フィルタ回路(デジタルフィルタ)として機能するともいえる。すなわち、第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157は、各トラックあるいは各チャンネルの演出音について、全周波数帯域(少なくとも可聴帯域あるいは対応するスピーカ100の再生周波数帯域全体)の音量(ゲイン)を一律に大きくあるいは小さくするのに対し、イコライザ部155は、可聴帯域(スピーカ100の再生周波数帯域)に含まれる所定帯域の音量(ゲイン)を大きくあるいは小さくすることが可能となっている。
【0046】
イコライザ部155を通過した各チャンネルの合成演出音は、第3音量制御部157に入力される。第3音量制御部157は、全チャンネルについて一律に音量調整することが可能となっている。すなわち、第3音量制御部157の設定に応じて、全チャンネルの音量が一律に大きくされたり小さくされたりするようになっている。
【0047】
オーディオ出力部159は、例えばI2S(Inter-IC Sound)の規格に
準拠するビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよびシリアルデータ信号SDATAを出力可能に構成されている。オーディオ出力部159は、第3音量制御部157から出力される各チャンネルの合成演出音を、I2Sの規格に準拠した方式で出力するようになっている。本実施形態の遊技機では、第1シリアルデータ信号SDATA1、第2シリアルデータ信号SDATA2および第3シリアルデータ信号SDATA3を含む複数のシリアルデータ信号SDATAを出力可能となっている。そして、第1シリアルデータ信号SDATA1には、チャンネルCH1およびチャンネルCH2の合成演出音のデータが含まれ、第2シリアルデータ信号SDATA2には、チャンネルCH3およびチャンネルCH4の合成演出音のデータが含まれ、第3シリアルデータ信号SDATA3には、チャンネルCH5およびチャンネルCH6の合成演出音のデータが含まれるようになっている。
【0048】
オーディオ出力部159から出力されるビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよびシリアルデータ信号SDATAは、図2に示すように、アンプ群112に入力される。具体的には、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第1シリアルデータ信号SDATA1が、アンプ113に入力され、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第2シリアルデータ信号SDATA2が、アンプ114に入力され、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第3シリアルデータ信号SDATA3が、アンプ115に入力される。
【0049】
アンプ113は、演出音制御部76から送られる第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100aおよびスピーカ100bを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第1シリアルデータ信号SDATA1とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH1の合成演出音のデータを含む第1シリアルデータ信号SDATA1が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH2の合成演出音のデータを含む第1シリアルデータ信号SDATA1が送信される。アンプ113は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100aに演出音を出力させる。また、アンプ113は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100bに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100aからはチャンネルCH1の合成演出音が出力され、スピーカ100bからはチャンネルCH2の合成演出音が出力されるようになっている。
【0050】
アンプ114は、演出音制御部76から送られる第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100cおよびスピーカ100dを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第2シリアルデータ信号SDATA2とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH3の合成演出音のデータを含む第2シリアルデータ信号SDATA2が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH4の合成演出音のデータを含む第2シリアルデータ信号SDATA2が送信される。アンプ114は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100cに演出音を出力させる。また、アンプ114は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100dに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100cからはチャンネルCH3の合成演出音が出力され、スピーカ100dからはチャンネルCH4の合成演出音が出力されるようになっている。
【0051】
アンプ115は、演出音制御部76から送られる第3シリアルデータ信号SDATA3に基づいて、スピーカ100eおよびスピーカ100fを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第3シリアルデータ信号SDATA3とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH5の合成演出音のデータを含む第3シリアルデータ信号SDATA3が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH6の合成演出音のデータを含む第3シリアルデータ信号SDATA3が送信される。アンプ115は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第3シリアルデータ信号SDATA3に基づいて、スピーカ100eに演出音を出力させる。また、アンプ115は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第3シリアルデータ信号SDATA3に基づいて、スピーカ100fに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100eからはチャンネルCH5の合成演出音が出力され、スピーカ100fからはチャンネルCH6の合成演出音が出力されるようになっている。
【0052】
本実施形態の遊技機では、イコライザ部155は、第1イコライザ部155aと第2イコライザ部155bとを有している。第1イコライザ部155aと第2イコライザ部155bとは、それぞれ設定された周波数特性(周波数応答)に応じて演出音の周波数特性を変化させるようになっている。換言すると、第1イコライザ部155aと第2イコライザ部155bとは、それぞれ設定に応じた周波数特性(周波数応答)を有するデジタルフィルタとなっている。
【0053】
第1イコライザ部155aは、デコーダ部150に入力されスピーカ100から出力される音について、各スピーカ100の再生周波数帯域内の略全域において、ゲイン(音量)が略一定となるように、周波数特性(周波数応答)が設定される。すなわち、デコーダ部150に入力されスピーカ100から出力される音は、通常、スピーカ100の周波数特性やスピーカ100を駆動する回路の影響、あるいはスピーカ100を収容する部分(エンクロージャー)の形状等により、再生周波数帯域内における所定の周波数成分が減衰されたりすることとなる。第1イコライザ部155aは、これらの要因による演出音の周波数特性の変化を補正する処理を行う。具体的には、第1イコライザ部155aは、デコーダ部150に入力され各スピーカ100から出力される音について、入力対出力のゲイン特性が各スピーカの再生周波数帯域の略全域において略均一(フラット)となるようにする処理(均一化処理)を行う。
【0054】
なお、このような均一化処理を実現可能とする第1イコライザ部155aの設定は、例えば、ホワイトノイズをデコーダ部150に入力しスピーカ100から出力させた上で、スピーカ100の出力音をマイクで集音し、この集音した出力音の周波数特性がフラットとなるように(出力音の音量が所定の周波数範囲において均一となるように)第1イコライザ部155aの設定(周波数応答)を調整することで実現することができる。具体的には、例えば、ホワイトノイズをデコーダ部150に入力し、第1イコライザ部155aにおける補正をせずにスピーカ100から出力させたときの出力音の周波数特性が図5(a),(b)の2点鎖線で示すものであった場合に、出力音の周波数特性が図5(a),(b)の破線で示すものとなるように第1イコライザ部155aが設定される。なお、図5(a)は、後述する通常モードにおける出力音の周波数特性を示すものであり、図5(b)は、後述する高音カットモードにおける出力音の周波数特性を示すものである。
【0055】
なお、第1イコライザ部155aは、スピーカ毎(チャンネル毎)に設定を調整することが可能となっている。そして、本実施形態の遊技機では、下部スピーカ100a,100b(チャンネルCH1,CH2)と、上部スピーカ100c,100d(チャンネルCH3,CH4)と、ツイーター100e,f(チャンネルCH5,CH6)とでそれぞれ異なる設定とされるようになっている。なお、各チャンネルについての第1イコライザ部155aの設定は、対応するスピーカ100の再生周波数帯域全体において、デコーダ部150の入力からスピーカ100の出力に至るまでのゲイン特性が略均一となるように調整してもよく、対応するスピーカ100についてゲイン特性を略均一としたい所定の周波数範囲についてゲイン特性が略均一となるように調整してもよい。
【0056】
また、演出音制御部76は、演出操作部57に対するユーザの操作に基づいて第2イコライザ部155bの設定を変更することが可能となっている。本実施形態の遊技機では、所定のスピーカ100から出力する演出音について、所定の周波数以上の成分を抑制する(減衰させる)高音カットモードと、当該所定の周波数以上の成分を抑制しない(減衰させない)通常モードとを含む複数(少なくも2つ)のモード(演出音モード)が用意されている。すなわち、高音カットモードは、通常モードに比べて演出音の所定周波数以上の成分の減衰量が大きくなっている。そして、演出音制御部76は、第2イコライザ部155bがモードに応じた所望の周波数特性(周波数応答)となるように、モードに応じて第2イコライザ部155bの設定を変更するようになっている。
【0057】
なお、通常モードと高音カットモードとの切り替えは、例えば、一般的な遊技機における音量設定と同様に行えるようにしてもよい。すなわち、例えば、遊技者の操作に基づいて、液晶ディスプレイ34に演出音に関するモードを選択させる画面を表示させ、演出操作部57の十字キーや決定ボタンの操作によってモードを選択させるようにしてもよい。
【0058】
通常モードにおける第2イコライザ部155bの周波数特性(入力対出力のゲイン特性)を図6(a)に示す。また、高音カットモードにおける第2イコライザ部155bの周波数特性(入力対出力のゲイン特性)を図6(b)に示す。図6(a)に示すように、通常モードにおいては、第2イコライザ部155bの周波数特性は、全帯域においてフラットとなっている。換言すると、通常モードにおいては、第2イコライザ部155bは、スピーカ100a,100b,100c,100d,100e,100fの再生周波数帯域全体において、ゲインが0dBとなっている。さらに換言すると、通常モードにおいては、第2イコライザ部155bは、200Hz以上、20kHz以下の帯域において、ゲインが0dBとなっている。すなわち、通常モードにおいては、第2イコライザ部155bは、通過する演出音の周波数特性を変化させず、そのままスルーさせるようになっている。
【0059】
また、図6(b)に示すように、高音カットモードにおいては、第2イコライザ部155bは、特定周波数(例えば、3kHz)以上の帯域において、ゲインが0dB未満となっている。また、特定周波数未満の帯域においては、ゲインが0dBとなっている。すなわち、高音カットモードにおいては、第2イコライザ部155bは、通過する演出音の特定周波数以上の成分を減衰させるようになっている。換言すると、高音カットモードにおいては、第2イコライザ部155bは、演出音についてローパスフィルタ処理を行い、特定周波数未満の成分を減衰させずに通過させる一方、特定周波数以上の成分を減衰させる(カットする)ようになっている。
【0060】
ここで、第2イコライザ部155bにおける特定周波数は、3kHz以上に設定することが好ましい。また、特定周波数は、10kHz以下に設定することが好ましく、8kHz以下に設定することがより好ましく、6kHz以下に設定することがさらに好ましい。特定周波数をこのように設定することで、耳にとって刺激の強い音を除去することが可能となる。なお、図6(b)に示す例では、特定周波数が3kHzに設定されており、カットオフ周波数が約6kHzに設定されている。
【0061】
また、特定周波数は、テストトーンよりも高い周波数に設定されている。ここで、テストトーンは、単一周波数の正弦波の音(正弦波信号)であり、音の出力に関する検査を行うための信号である。本実施形態の遊技機は、複数種類のテストトーンを出力可能となっており、例えば、500Hzのテストトーンと1kHzのテストトーンとが用意されている。具体的には、500Hzのテストトーンのデータが記憶部78に記憶されており、演出音制御部76は、当該データに基づいて、500Hzのテストトーンを各スピーカ100から出力することが可能となっている。また、演出音制御部76は、信号発生器(オシレータ)を有しており、1kHzのテストトーンを生成することが可能となっている。そして、信号発生器の生成した1kHzのテストトーンを、各チャンネルに入力し、各スピーカ100から出力することが可能となっている。特定周波数は、スロットマシンXが出力可能なテストトーンのうちの少なくとも1つよりも高い周波数に設定されることが好ましく、スロットマシンXが出力可能な全てのテストトーンよりも高い周波数に設定してもよい。換言すると、特定周波数よりも低い周波数のテストトーンが少なくとも1つ用意されている(記憶手段78に記憶されているか、あるいは信号発生器で生成可能となっている)ことが好ましく、複数用意されていることがさらに好ましい。特定周波数よりも低い周波数のテストトーンを少なくとも1つ用意しておくことで、高音カットモードでの検査を行うことが可能となる。
【0062】
また、高音カットモードにおいては、第2イコライザ部155bは、特定周波数以上の周波数が再生周波数帯域に含まれるスピーカ100のうちの少なくとも1つについて、スピーカ100から出力する演出音の特定周波数以上の成分を減衰させるようになっている。本実施形態の遊技機では、高音カットモードにおいては、第2イコライザ部155bは、特定周波数以上の周波数が再生周波数帯域に含まれる全てのスピーカ100について、スピーカ100から出力する演出音の特定周波数以上の成分を減衰させるようになっている。換言すると、通常モードと高音カットモードとの間でモードが変更されると、所定のスピーカ(所定のチャンネル)について、第2イコライザ部155bの設定が変更されるようになっている。なお、通常モードと高音カットモードとの間でモードが変更された場合に、全てのチャンネルについて第2イコライザ部155bの設定を変更してもよく、いくつかのチャンネルについては第2イコライザ部155bの設定を変更しないこととしてもよく、チャンネル毎に異なる設定とする(特定周波数を異ならせる)ようにしてもよい。
なお、遊技機は、下部スピーカ100a,100bよりも低音域の音の出力を担当するウーファー(スピーカ100)を備えていてもよい。ここで、ウーファーは、例えば、下部スピーカ100a,100b、上部スピーカ100c,100dおよびツイーター100e,100fよりも再生周波数帯域の周波数の下限値および上限値が低いスピーカである。この場合に、ウーファーの再生周波数帯域に、特定周波数以上の周波数が含まれるのであれば(当該上限値が、特定周波数よりも高ければ)、ウーファーから出力する演出音についても、特定周波数以上の成分を減衰させることとしてもよい。
【0063】
なお、イコライザ部155は、第3イコライザ部を有し、第3イコライザ部が、演出音の所定周波数以下の成分を減衰させる(カットする)ようになっていてもよい。換言すると、イコライザ部155は、所定周波数以下の成分を減衰させる(カットする)ハイパスフィルタ処理を行う第3イコライザ部を有していてもよい。具体的には、第3イコライザ部は、下部スピーカ100a,100bから出力する演出音について、90Hz以下(あるいは例えば100Hz以下)の成分を減衰させる処理を実行してもよく、上部スピーカ100c,100dから出力する演出音について、235Hz以下(あるいは例えば240Hz以下)の成分を減衰させる処理を実行してもよく、ツイーター100e,100fから出力する演出音について、2kHz以下(あるいは例えば2020Hz以下)の成分を減衰させる処理を実行してもよい。換言すると、第3イコライザ部は、各スピーカ100から出力する演出音について、最低共振周波数以下の成分を減衰させる処理を実行することとしてもよい。このような構成によれば、最低共振周波数の成分によるスピーカ100への負荷を軽減することができる。
【0064】
また、イコライザ部155は、第4イコライザ部を有し、第4イコライザ部が、所定のスピーカ100について、スピーカ100から出力する演出音の第2特定周波数以下の成分を減衰させる(カットする)ようになっていてもよい。例えば、第4イコライザ部は、上部スピーカ100c,100dから出力する演出音(チャンネルCH3,CH4の演出音)について、第2特定周波数以下の成分を減衰させるようにしてもよい。換言すると、第4イコライザ部は、第2特定周波数以下の帯域において、ゲインが0dB未満となるように周波数応答が設定されてもよい。ここで、第2特定周波数を、例えば800Hzに設定し、上部スピーカ100c,100dから出力する演出音について、中音域(例えば100Hz~1kHzの音域)部分の少なくとも一部を減衰させることとしてもよい。換言すると、第2特定周波数は、上部スピーカ100c,100dの最低共振周波数235Hzよりも高い周波数に設定してもよい。また、第2特定周波数は、下部スピーカ100a,100bの最低共振周波数90Hzよりも高い周波数に設定してもよい。また、第2特定周波数は、テストトーンよりも低い周波数に設定してもよい。より具体的には、第2特定周波数は、スロットマシンXが出力可能なテストトーンのうちの少なくとも1つよりも低い周波数に設定されることが好ましく、スロットマシンXが出力可能な全てのテストトーンよりも低い周波数に設定してもよい。換言すると、第2特定周波数よりも高い周波数のテストトーンが少なくとも1つ用意されている(記憶手段78に記憶されているか、あるいは信号発生器で生成可能となっている)ことが好ましく、複数用意されていることがさらに好ましい。第2特定周波数よりも高い周波数のテストトーンを少なくとも1つ用意しておくことで、第2特定周波数よりも低周波数の成分をカットした状態での検査を行うことが可能となる。このような構成によれば、比較的高音域の音の出力を担当する上部スピーカ100c,100dから出力される演出音について、中音域の成分を減少させ、比較的低音域の音の出力を担当する下部スピーカ100a,100bから出力される演出音と帯域が被ることを防止することができる。そして、これにより、上部スピーカ100c,100dと下部スピーカ100a,100bとを備えるスピーカシステムから出力される音がすっきりと聞こえるようになる。また、不要な帯域被りをなくすことで、各スピーカ100の負荷を軽減し、熱の発生量を減少させることができる。また、最低共振周波数の成分による上部スピーカ100c,100dへの負荷を軽減することができる。
なお、第4イコライザ部における当該処理は、第3イコライザ部で行うこととしてもよい。換言すると、第3イコライザ部における上部スピーカ100c,100dについての前記所定周波数を、第2特定周波数に設定してもよい。
【0065】
また、イコライザ部155は、第5イコライザ部を有し、第5イコライザ部が、所定のスピーカ100について、スピーカ100から出力する演出音の第3特定周波数以下の成分を減衰させる(カットする)ようになっていてもよい。例えば、第5イコライザ部は、下部スピーカ100a,100bから出力する演出音(チャンネルCH1,CH2の演出音)について、第3特定周波数以下の成分を減衰させるようにしてもよい。換言すると、第5イコライザ部は、第3特定周波数以下の帯域において、ゲインが0dB未満となるように周波数応答が設定されてもよい。ここで、第3特定周波数を、例えば100Hzに設定し、下部スピーカ100a,100bから出力する演出音について、低音域(例えば20Hz~100Hzの音域)部分の少なくとも一部を減衰させることとしてもよい。換言すると、第3特定周波数は、下部スピーカ100a,100bの最低共振周波数90Hzよりも高い周波数に設定してもよい。また、第3特定周波数は、上部スピーカ100c,100dの最低共振周波数235Hzよりも低い周波数に設定してもよい。また、第3特定周波数は、テストトーンよりも低い周波数に設定してもよい。より具体的には、第3特定周波数は、スロットマシンXが出力可能なテストトーンのうちの少なくとも1つよりも低い周波数に設定されることが好ましく、スロットマシンXが出力可能な全てのテストトーンよりも低い周波数に設定してもよい。換言すると、第3特定周波数よりも高い周波数のテストトーンが少なくとも1つ用意されている(記憶手段78に記憶されているか、あるいは信号発生器で生成可能となっている)ことが好ましく、複数用意されていることがさらに好ましい。第3特定周波数よりも高い周波数のテストトーンを少なくとも1つ用意しておくことで、第3特定周波数よりも低周波数の成分をカットした状態での検査を行うことが可能となる。このような構成によれば、下部スピーカ100a,100bから出力する音について不要な帯域の成分をなくすことができ、下部スピーカ100a,100bの負荷を軽減し、熱の発生量を減少させることができる。また、最低共振周波数の成分による下部スピーカ100a,100bへの負荷を軽減することができる。
なお、第5イコライザ部における当該処理は、第3イコライザ部で行うこととしてもよい。換言すると、第3イコライザ部における下部スピーカ100a,100bについての前記所定周波数を、第3特定周波数に設定してもよい。
【0066】
なお、演出音制御部76の一部あるいは全部がアンプ113,114,115に設けられていてもよく、アンプ113,114,115の一部あるいは全部が演出音制御部76に設けられていてもよい。換言すると、演出音制御部76の一部あるいは全部がアンプICによって構成されていてもよく、アンプ113,114,115の一部あるいは全部が演出制御用ICによって構成されていてもよい。例えば、アンプICが、演出音についての周波数特性を制御する機能(例えば、第1イコライザ部~第5イコライザ部の一部または全部)を有していてもよく、演出音についての音量を制御する機能(第1音量制御部151、第2音量制御部153、第3音量制御部157等)を有していてもよい。具体的には、例えば、アンプIC(アンプ113,114,115)に、第2イコライザ部155bを設け、アンプIC(アンプ113,114,115)が、上述のローパスフィルタ処理を実行することとしてもよい。また、演出音制御部76は、複数のICによって構成されていてもよい。ただし、遊技者による操作に基づく演出音モードの変更を可能とする場合、第2イコライザ部155bは、演出制御用IC76に設けることが好ましい。第2イコライザ部155bをアンプICに設けた場合、例えば、演出制御用ICからI2C通信等によって第2イコライザ部155bの設定を変更することとなり、モード変更時に一時的に演出音の出力を止める等しなければならないところ、第2イコライザ部155bを演出制御用ICに設けることで、演出音の出力を続けた状態でモード変更をすることが可能となる。一方、遊技者の操作に基づいて設定が変更されることのないイコライザ部や、遊技の途中で設定が変更されることのないイコライザ部(例えば第3~第5イコライザ部)については、アンプICに設けられていてもよい。また、本実施形態の遊技機では、デコーダ部150でデコード処理された演出音は、第1イコライザ部155aで処理され、その後第2イコライザ部155b~第5イコライザ部で処理されるようになっているが、必ずしもこの順で処理されるものでなくてもよい。
【0067】
なお、イコライザ部155の設定(周波数応答の設定(通常モード、高音カットモードの設定))ならびに第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定(音量の設定)は、演出音制御部76が演出音制御部76の有するレジスタ(演出制御用IC(またはアンプIC)の内部レジスタ)の設定を書き換えることにより変更することが可能となっている。例えば、第2イコライザ部155bの通常モードの設定情報と高音カットモードの設定情報とは、記憶部78のイコライザ設定記憶部に記憶されており、演出音制御部76は、演出操作部57に対する操作に基づいて使用する設定情報を決定し、決定した設定情報に従ってレジスタの設定を書き換えるようになっている。また、演出音制御部76は、演出制御部74が主制御基板70からのコマンドに基づいて決定する演出に応じて各スピーカ100から出力する演出音を決定し、演出音の出力を制御するようになっている。なお、第3音量制御部157の設定を、副制御基板72に設けられた音量変更スイッチ(図示せず)の状態に応じて決定することとしてもよい。また、第1音量制御部151、第2音量制御部153または第3音量制御部157の設定を、演出操作部57に対する操作に基づいて変更可能としてもよい。
【0068】
以上のように、本実施形態の遊技機は、仕様の異なる複数種類のスピーカ100a,100b,100c,100dと、スピーカから出力する演出音に関する処理を実行する演出音制御部76と、を備え、演出音制御部76は、複数種類のスピーカ100a,100b,100c,100dのうちの少なくとも1つから出力する演出音について、特定周波数(例えば3kHz)以上の成分を減衰させる処理を実行可能であり、複数種類のスピーカ100a,100b,100c,100dは、全て、特定周波数以上の音を出力可能な仕様となっている。
【0069】
本発明によれば、高音が痛いと感じてしまう遊技者に対して、特定周波数以上の高音成分を減衰させた音を届けることができ、当該遊技者にとって快適な環境を提供することができる。また、複数種類のスピーカは、いずれも特定周波数以上の音を出力可能であるため、高音が不快でない遊技者に対しては、複数種類のスピーカから特定周波数以上の音を出力し、当該遊技者の気分を高揚させる環境を提供することができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態では遊技機の一つであるパチンコ遊技機について説明するが、その他の遊技機であってもよい。本実施の形態の遊技機も、演出音の出力に係る構成は基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様であるため、第1の実施の形態と同様の構成については、同様の符号を付す等して、その説明を省略ないし簡略化する。
【0071】
図7は、本実施形態に係るパチンコ遊技機Yの外観構成を示す斜視図である。パチンコ遊技機Yは、遊技場から貸し出された遊技球(遊技媒体)を用いて遊技を行うものであり、パチンコ遊技機Yの外側面を形成する外枠1002と、パチンコ遊技機Yの内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域1004を形成する遊技盤1006と、遊技盤1006を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット1008と、ガラスユニット1008が取り付けられている前枠1010を備えている。
【0072】
前枠1010のうちガラスユニット1008を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の前枠ランプ1012が設けられている。また、前枠1010の上部の左右および下部の左右には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカ100が設けられている。
【0073】
前枠1010の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿1016が設けられており、上皿1016の内側側面の左部には、パチンコ遊技機Yから遊技者に遊技球を払い出すための払出口1018が設けられている。前枠1010の下部右側には、グリップユニット1020が設けられており、遊技者がグリップユニット1020をパチンコ遊技機Yに向かって右回りに回転させる操作を行うと、パチンコ遊技機Yの内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域1004内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施の形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
【0074】
上皿1016の内側側面の右部には、上皿1016から遊技球を発射装置に供給するための供給口1022が設けられている。また、上皿1016の下方には、上皿1016に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿1024が設けられている。
【0075】
上皿1016の縁部の手前側には、演出操作装置1026が設けられており、遊技者が演出操作装置1026を操作すると、パチンコ遊技機Yで行われる演出が変化する。詳細には演出操作装置1026は、押しボタンスイッチおよびロータリースイッチ(ジョグダイヤル)を内蔵しており、演出操作装置1026を押下する操作と、演出操作装置1026を回転させる操作を検出することができるようになっている。
【0076】
図8は、図7で示した遊技盤1006の外観構成を示す正面図である。図8に示すように遊技盤1006には、円形状に外レール1028が設けられており、外レール1028に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域1004となっている。また、遊技領域1004の左端部には、外レール1028に沿うように円弧状に内レール1030が設けられており、外レール1028と内レール1030は、遊技盤1006の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域1004に誘導する。
【0077】
遊技盤1006の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像等を表示する表示装置(液晶ディスプレイ)1032と、表示装置1032を取り囲むように形成されたディスプレイ枠1034を備える演出ユニット1036が設けられている。
【0078】
本実施の形態では、表示装置1032の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、表示装置1032の左側の遊技領域1004か右側の遊技領域1004を落下するようになっている。そして遊技領域1004には、遊技盤1006の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域1004を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
【0079】
ディスプレイ枠1034の左部には、表示装置1032の左側の遊技領域1004を落下する遊技球が通過できる開口1040が形成されており、この開口1040を通過した遊技球はディスプレイ枠1034に設けられている通路1042を通過して、表示装置1032の下方に設けられたステージ1044に落下するようになっている。このステージ1044の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ1044とガラスユニット1008との間に遊技球がステージ1044から下方に落下できる隙間が形成されており、通路1042からステージ1044上に落下した遊技球がステージ1044上を左右に往復移動した後にステージ1044の中央部付近から下方に落下するようになっている。
【0080】
ステージ1044の中央部の下方には、第1始動入賞口1046が設けられている。また、表示装置1032の右側の遊技領域1004には、通過ゲート1048が設けられている。また、通過ゲート1048の下方に、第2始動入賞口1050が設けられている。この第2始動入賞口1050には、第2始動入賞口1050に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な補助部材を備える普通役物1052が設けられている。
【0081】
表示装置1032の右側の遊技領域1004には、第2始動入賞口1050の下方に、大入賞口1054が設けられている。この大入賞口1054には、大入賞口1054を塞ぐ可動部材を備える特別役物1056が設けられている。特別役物1056は、大入賞口1054に遊技球が進入不可能な閉状態と、大入賞口1054に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(図8は閉状態を示している)。特別役物1056は、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態において、所定条件下で開状態となるように制御される。
【0082】
大入賞口1054の下方には、大入賞通路1058が下方に向かって設けられている。大入賞通路1058の下端には、通常進入口1062が設けられている。また、大入賞通路1058の下方には、大入賞通路1058の途中から下方に向かって分岐するように特定通路1065が設けられている。この特定通路1065には、特定通路1065を塞ぐ可動部材を備える特定役物1066が設けられている。特定役物1066は、特定通路1065に遊技球が進入不可能な閉状態と、特定通路1065に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(図8は閉状態を示している)。特定役物1066は、特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。特定通路1065の下端には、特定進入口1068が設けられている。また、遊技領域1004の最下部には、いずれの入賞口にも進入せずに遊技領域1004を落下した遊技球を遊技機の内部に回収するアウト口1069が設けられている。
【0083】
遊技球の発射装置は、図7で示したグリップユニット1020の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット1020の回転量が少ない場合には表示装置1032の左側の遊技領域1004を遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット1020の回転量が多い場合には表示装置1032の右側の遊技領域1004を遊技球が落下するように遊技球が発射される。
【0084】
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット1020の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域1004を落下して、あるいは開口1040と通路1042とステージ1044を通過して第1始動入賞口1046に進入するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域1004を落下して、通過ゲート1048を遊技球が通過するように、あるいは第2始動入賞口1050に遊技球が進入するように、あるいは大入賞口1054に遊技球が進入するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
【0085】
遊技盤1006の右下部であって、遊技領域1004の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部1070が設けられている。本実施形態の遊技機は、主制御基板70および副制御基板72を含む制御基板によって制御される。また、主制御基板70や副制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0086】
主制御基板70は、入力手段(第1始動入賞口センサ、通過ゲートセンサ、第2始動入賞口センサ、大入賞口センサ、通常進入口センサ、特定通路センサ、払出センサ等)からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(状態表示駆動装置、普通役物駆動装置、特別役物駆動装置、特定役物駆動装置、払出装置等)の動作制御を行う。
【0087】
副制御基板72は、主制御基板70から送られてくる信号(コマンド)や、演出操作部62等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置(液晶ディスプレイ34、スピーカ100等)の制御を行なう。
【0088】
本実施形態の遊技機は、図7に示すように、前枠1010の下部に設けられた2つのスピーカ(下部スピーカ100a,100b)と、前枠1010の上部に設けられた2つのスピーカ(上部スピーカ100c,100d)とを有している。
【0089】
このような遊技機においても、各スピーカ100について、第1の実施の形態の遊技機と同様の仕様とし、同様の制御を行う等することで、第1の実施の形態の遊技機と同様の作用効果を奏することができる。なお、本実施形態の遊技機も、ウーファーを備えるものであってもよい。
【0090】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、前述した制御動作は、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0091】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0092】
72 副制御基板
76 演出音制御部
100a,100b 下部スピーカ
100c,100d 上部スピーカ
100e,100f ツイーター
113,114,115 アンプ
155 イコライザ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8