(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】端子付き電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/296 20210101AFI20231221BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/56 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/109
H01M50/124
H01M50/202 501B
H01M50/50 101
H01M50/543
H01M50/545
H01M50/548 201
H01M50/559
H01M50/56
H01M50/566
(21)【出願番号】P 2020059167
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】岸田 章
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄太
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-022122(JP,A)
【文献】実開昭61-180456(JP,U)
【文献】特開2011-216479(JP,A)
【文献】実開平02-143772(JP,U)
【文献】特開平06-060861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶、封口缶及び電極体を有する扁平形電池と、
前記扁平形電池を収容する絶縁ケースと、
前記扁平形電池に接続される第1外部端子とを備え、
前記絶縁ケースは、前記外装缶及び封口缶のいずれか一方の第1電池缶の一部を露出させる第1開口部を有し、
前記第1外部端子は、平坦部と、該平坦部から延びる先端部とを有し、
前記第1外部端子の平坦部は、前後左右方向への移動が規制されるように前記第1開口部に嵌合されて前記第1外部端子の先端部の位置決めをし、前記第1開口部を介して前記第1電池缶に固定されている、端子付き電池。
【請求項2】
請求項1に記載の端子付き電池であって、
前記第1外部端子の平坦部の外周端と前記第1開口部の内周端とが接する境界線は、平面視で直線を有する、端子付き電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子付き電池であって、
前記第1外部端子の平坦部を前記第1開口部に嵌合した際、該第1開口部内に遊びを有する、端子付き電池。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の端子付き電池であって、さらに、
前記扁平形電池に接続される第2外部端子を備え、
前記絶縁ケースは、前記外装缶及び封口缶のいずれか他方の第2電極缶の一部を露出させる第2開口部を有し、
前記第2外部端子は、平坦部と、該平坦部から延びる先端部とを有し、
前記第2外部端子の平坦部は、前後左右方向への移動が規制されるように前記第2開口部部に嵌合されて前記第2外部端子の先端部の位置決めをし、前記第2開口部を介して前記第2電極缶に固定されており、
前記第1外部端子の先端部と前記第2外部端子の先端部とは、前記位置決めによって所定の距離間隔で配置されている、端子付き電池。
【請求項5】
請求項4に記載の端子付き電池であって、
前記第2外部端子の先端部は、前記第1電池缶側に曲げられている、端子付き電池。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の端子付き電池の製造方法であって、
前記絶縁ケース、前記扁平形電池及び前記第1外部端子を準備する工程と、
前記絶縁ケースに前記扁平形電池を収容する工程と、
前記絶縁ケースの第1開口部に前記第1外部端子の平坦部を嵌合し、前記第1外部端子の先端部の位置決めをする工程と、
前記第1外部端子の平坦部を前記第1開口部を介して前記扁平形電池の第1電池缶に固定する工程とを含む、端子付き電池の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の端子付き電池の製造方法であって、さらに、
前記絶縁ケースの第2開口部に前記第2外部端子の平坦部を嵌合し、前記第2外部端子の先端部の位置決めをする工程と、
前記第2外部端子の平坦部を前記第2開口部を介して前記扁平形電池の第2電池缶に固定する工程とを含む、端子付き電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子付き電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボタン形電池などの扁平形電池は、平面部及び周壁部を有する外装缶と、平面部及び周壁部を有し、外装缶の開口を覆う封口缶とを備え、外装缶と封口缶との間に形成された内部空間に発電要素を収容した構成となっている。扁平形電池は、外装缶と封口缶との各々に外部端子を接続することにより、電子機器及び回路基板等との導電接続がなされる。このような端子付きの電池として、以下のものが開示されている。
【0003】
特開2006-179840号公報は、コイン型電池の下蓋及び上蓋の外表面の各々に略三角形状を有した外部リード端子部を溶接したコイン型電気化学素子を開示している。コイン型電気化学素子は、略三角形状の外部リード部によって上蓋及び下蓋への溶接面積が広くなるため、外部リード端子の取付けを精度良く確実に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コイン型電気化学素子は、一方の外部リード端子部にコイン型電池の下蓋を溶接する際、外部リード端子部の上面にコイン型電池を単に配置しているため、コイン型電池の位置決めが容易ではなく、位置ズレが生じ得る。また、他方の外部リード端子部にコイン型電池の上蓋を溶接する際、一方の外部リード端子部と他方の外部リード端子部との各々に形成されたパイロットピン穴を整合させるように外部リード端子部を配置する必要があり、手間がかかる。
【0006】
そこで、本開示は、扁平形電池に取付ける外部端子の位置決めが容易であり、外部端子の位置精度を向上することができる端子付き電池及びその製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は次のように構成した。すなわち、本開示に係る端子付き電池は、外装缶、封口缶及び電極体を有する扁平形電池と、扁平形電池を収容する絶縁ケースと、扁平形電池に接続される第1外部端子とを備えてよい。絶縁ケースは、外装缶及び封口缶のいずれか一方の第1電池缶の一部を露出させる第1開口部を有してよい。第1外部端子は、平坦部と、平坦部から延びる先端部とを有してよい。第1外部端子の平坦部は、前後左右方向への移動が規制されるように第1開口部に嵌合されて第1外部端子の先端部の位置決めをし、第1開口部を介して第1電池缶に固定されてよい。
【0008】
好ましくは、第1外部端子の平坦部の外周端と第1開口部の内周端とが接する境界線は、平面視で直線を有してよい。
【0009】
好ましくは、第1外部端子の平坦部を第1開口部に嵌合した際、第1開口部内に遊びを有してよい。
【0010】
好ましくは、さらに、扁平形電池の他方の電極に接続される第2外部端子を備えてよい。絶縁ケースは、外装缶及び封口缶のいずれか他方の第2電池缶の一部を露出させる第2開口部を有してよい。第2外部端子は、平坦部と、平坦部から延びる先端部とを有してよい。第2外部端子の平坦部は、前後左右方向への移動が規制されるように第2開口部に嵌合されて第2外部端子の先端部の位置決めをし、第2開口部を介して第2電池缶に固定されてよい。第1外部端子の先端部と第2外部端子の先端部とは、位置決めによって所定の距離間隔で配置されてよい。
【0011】
好ましくは、第2外部端子の先端部は、第1電池缶側に曲げられてよい。
【0012】
本開示に係る端子付き電池の製造方法は、絶縁ケース、扁平形電池及び第1外部端子を準備する工程を含んでよい。絶縁ケースに扁平形電池を収容する工程を含んでよい。絶縁ケースの第1開口部に第1外部端子の平坦部を嵌合し、第1外部端子の先端部の位置決めをする工程を含んでよい。第1外部端子の平坦部を第1開口部を介して扁平形電池の第1電池缶に固定する工程とを含んでよい。
【0013】
好ましくは、絶縁ケースの第2開口部に第2外部端子の平坦部を嵌合し、第2外部端子の先端部の位置決めをする工程を含んでよい。第2外部端子の平坦部を第2開口部を介して扁平形電池の第2電池缶に固定する工程を含んでよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、扁平形電池に取付ける外部端子の位置決めが容易であり、外部端子の位置精度を向上することができる端子付き電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る端子付き電池の構造を示す外観斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す端子付き電池のA-A’断面図である。
【
図5】
図5は、変形例の端子付き電池を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態に係る端子付き電池1を
図1~4を用いて具体的に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0017】
図1~3に示すように、端子付き電池1は、扁平形電池2、扁平形電池2を収容する絶縁ケース3、扁平形電池2の外装缶(電池缶)21に接続される外部端子4及び扁平形電池2の封口缶(電池缶)22に接続される外部端子5を備えている。
【0018】
扁平形電池2は、
図3及び4に示すように、外装缶21と、外装缶21の開口を覆う封口缶22と、外装缶21と封口缶22との間に配置された電極体23と、外装缶21と封口缶22との間を封止するガスケット24とを備えている。
【0019】
外装缶21は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底筒状に形成されている。外装缶21は、円形状の平面部211と、平面部211の外周から連続して形成される円筒状の周壁部212とを備えている。周壁部212は、縦断面視で、平面部211に対して略垂直に延びるように設けられている。
【0020】
封口缶22は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。封口缶22は、円形状の平面部221と、平面部221の外周から連続して形成される円筒状の周壁部222とを備える。周壁部222は、縦断面視で、平面部221に対して略垂直に延びるように設けられている。
【0021】
電極体23は、発電要素として、正極材231と、負極材232と、正極材231及び負極材232の間に配置された電解質233とを備えている。正極材231は、正極活物質等を円柱状に成形した正極ペレットである。正極材231は、外装缶21の平面部211の内面に隣接して配置されている。よって、外装缶21は、正極缶として機能する。負極材232は、負極活物質を円柱状に成形した負極ペレットである。負極材232は、封口缶22の平面部221の内面に隣接して配置されている。よって、封口缶22は、負極缶として機能する。電解質233は、セパレータ(図示せず)の空孔内に保持された電解液であってもよく、固体電解質やポリマー電解質であってもよい。電解質233は、セパレータに保持された状態で、或いは、それ単独で正極材231と負極材232との間に配置されている。すなわち、扁平形電池2は、非水電解質電池又は全固体電池等であってもよく、また、一次電池又は二次電池であってもよく、その構成は限定されない。
【0022】
外装缶21と封口缶22とは、電極体23を内部空間に収容したのち、外装缶21の周壁部212と封口缶22の周壁部222との間にガスケット24を介してカシメられる。具体的には、外装缶21と封口缶22とは、外装缶21と封口缶22の互いの開口を対向させ、外装缶21の周壁部212の内側に封口缶22の周壁部222を挿入したのち、周壁部212と周壁部222との間にガスケット24を介してカシメられる。これにより、外装缶21と封口缶22とによって形成された内部空間は、密閉状態となる。
【0023】
なお、扁平形電池2の形状は、略円柱形状に限定されるものではなく、略多角柱形状や略楕円柱形状等であってもよい。
【0024】
絶縁ケース3は、
図1~3に示すように、略円筒形状に形成されており、その内部に扁平形電池2を収容している。絶縁ケース3の内部空間の形状は、扁平形電池2の外形状と略同じか僅かに大きい。絶縁ケース3は、例えば、樹脂製である。絶縁ケース3は、
図3に示すように、扁平形電池2を収容するための開口部31を有している。絶縁ケース3は、扁平形電池2を収容した状態で、外装缶21の少なくとも一部を露出させる開口部32と、封口缶22の少なくとも一部を露出させる開口部33とを有している。なお、絶縁ケース3の内部空間の形状は、扁平形電池2の種々の形状に応じて扁平形電池2を収容できれば、これに限定されるものではない。
【0025】
開口部31は、絶縁ケース3の周側面に開口形成されている。開口部31は、周方向の開口両端の距離幅を有する。この距離幅は、扁平形電池2の直径と略同じであるか、或いは、開口部31の開口両端の弾性変形によって収容された扁平形電池2を保持できるように扁平形電池2の直径より僅かに小さくすることもできる。また、開口部31は、上述の距離幅に直交する高さを有する。開口部31の高さは、扁平形電池2の高さと略同じか僅かに大きい。扁平形電池2は、開口部31を通じて絶縁ケース3の内部空間に収容される。なお、開口部31は、絶縁ケース3の内部に扁平形電池2を収容できればよく、開口部31の開口位置及び開口形状等は、これに限定されるものではない。
【0026】
開口部32は、絶縁ケース3の上面に開口形成されている。平面視で開口部32の面積は、外装缶21の平面部211の面積よりも小さい。すなわち、開口部32は、外装缶21の平面部211の一部を露出させている。開口部32は、後述する外部端子4の平坦部41を嵌合させる。開口部32は、
図3に示すように、平面視で略四角形状の大開口部321と、大開口部321の一辺(後述する前方向(F)の一辺)から樹脂ケース3上面の周端まで延びる小開口部322と、小開口部322に対向する一辺(後述する後方向(B)の一辺)の両端に形成された切欠き部323とを有している。切欠き部323の外側端部は、大開口部321の一辺と連続するように形成されている。
【0027】
開口部33は、絶縁ケース3の下面に開口形成されている。開口部33は、封口缶22の平面部221の一部を露出させる。開口部33の形状等は、基本的には開口部32と同じである。そのため、開口部33の詳細な説明は、省略する。ただし、
図3に示すように、開口部33の小開口部は、開口部32の小開口部322に対して周方向に位置ズレしている。
【0028】
外部端子4は、平坦部41及び先端部42を有する。
図1に示すように、外部端子4の前後左右方向において、前方向とは、先端部42が位置決めされた方向Fであり、その反対側が後方向(B)であり、図示の左側が右方向Rであり、図示の右側が左方向Lである。平坦部41は、前後左右方向への移動が規制されるように絶縁ケース3の開口部32に嵌合されている。すなわち、平坦部41は、外装缶21の平面部211の面積よりも小さく、平面視で開口部32に嵌合可能な形状で形成されている。具体的に、平坦部41は、平面視において、大開口部321のうち後方向(B)側に沿う略四角形状を有し、先端部42側に向かって徐々に左右方向の幅が狭くなるとともに、開口部32の小開口部322に沿って前方向(F)に向かって突出するように形成されている。なお、平坦部41の前後左右方向への移動のうち、左右方向への移動は、平坦部41の主面に直交する線を軸として左右方向へ水平に回転する移動を含む。
【0029】
平坦部41は、大開口部321の後方向(B)の辺と、大開口部321及び小開口部322の境界によって形成された絶縁ケース3上面の角部とに当接することによって前後方向の位置決めがされる。また、平坦部41は、大開口部321の左方向(L)の辺及び右方向(R)の辺に当接することによって左右方向の位置決めがされる。これにより、外部端子4の先端部42が位置決めされる。先端部42は、図示しない電子機器及び回路基板等に接続される。
図1に示すように、先端部42は、絶縁ケース3の上面に対向して配置される電子機器及び回路基板等に端子付き電池1を取付けるために、平坦部41から絶縁ケース3の外方に向かって延びている。すなわち、先端部42は、平坦部41から図示上方に向かって曲げられている。
【0030】
平坦部41は、開口部32を介して露出した外装缶21の平面部211に溶接されている。これにより、先端部42が位置決めされた状態で、外部端子4が扁平形電池2に固定される。このように、外部端子4の平坦部41を開口部32に嵌合させることにより、外部端子4を容易に位置決めして外装缶21に固定させることができ、外部端子4の先端部41の位置精度を向上させることができる。なお、平坦部41を平面部211に固定し、外装缶21から外部端子4へと導電できれば、その固定方法は、溶接に限られるものではない。
【0031】
また、
図1に示すように、外部端子4の平坦部41の外周端と開口部32の内周端とが接する境界線は、少なくともその境界線の一部において平面視で直線を有している。これにより、例えば、大開口部321の左方向(L)の辺及び右方向(R)の辺に沿って、平坦部41の左右の辺を前方向(F)から直線状に滑らせることにより、平坦部41を開口部32に容易に嵌め込むことができ、外部端子4の先端部42の位置決めがより容易になる。
【0032】
また、
図1に示すように、外部端子4の平坦部41を開口部32に嵌合した際、開口部32の切欠き部323は、開口部32内の遊びとなる。また、平坦部41において徐々に左右方向の幅が狭くなる部分と開口部32の外周端の間にも開口部32内の遊びが形成されている。このように、開口部32内に遊びを有することにより、平坦部41を開口部32に嵌め込み易くなり、また、外装缶21の平面部211から外部端子4を容易に取り外すことができる。また、上述の通り、切欠き部323の外側端部は各々、大開口部321の左右の一辺と連続するように形成されている。これにより、平坦部41の角部を開口部32の角部に正確に合わせて嵌合させる必要がなく、平坦部41を容易に開口部32に嵌合させることができる。
【0033】
外部端子5は、平坦部51と先端部52とを有する。
図2に示すように、外部端子5の前後左右方向において、前方向とは、先端部52が位置決めされた方向Fであり、その反対側が後方向(B)であり、図示の上側が右方向Rであり、図示の下側が左方向Lである。平坦部51は、前後左右方向への移動が規制されるように絶縁ケース3の開口部33に嵌合されている。すなわち、平坦部51は、封口缶22の平面部221の面積よりも小さく、平面視で開口部33に嵌合可能な形状で形成されている。なお、平坦部51の形状は、平坦部41の形状と同様であるため、詳細な説明を省略する。これにより、先端部52が位置決めされる。先端部52は、絶縁ケース3の上面に対向して配置される電子機器及び回路基板等に端子付き電池1を取付けるために、平坦部51から絶縁ケース3の外方に向かって延びている。すなわち、先端部52は、
図1に示すように、平坦部51から外装缶21側(図示上方)に曲げられ、また、その先端は、絶縁ケース3の外方に向かって延びている。先端部52は、絶縁ケース3の周側面の外側に配置されている。これにより、先端部52は、外装缶2から絶縁される。なお、上述の通り、外部端子4の平坦部41は外装缶21の平面部211よりも小さく、また、外部端子5の平坦部51も封口缶22の平面部221よりも小さい。これにより、端子付き電池1を小型化できる。
【0034】
平坦部51は、開口部33を介して露出した封口缶22の平面部221に溶接されている。これにより、先端部52が位置決めされた状態で、外部端子5が扁平形電池2に固定される。このように、外部端子5の平坦部51を開口部33に嵌合させることにより、外部端子5を容易に位置決めして封口缶22に固定させることができ、外部端子5の先端部52の位置精度を向上させることができる。なお、平坦部51を平面部221に固定し、封口缶22から外部端子5へと導電できれば、その固定方法は、溶接に限られるものではない。
【0035】
外部端子4の先端部42と外部端子5の先端部52とは、上述の各々の位置決めにより、絶縁ケース3の周方向において所定の距離間隔で配置されている。これにより、外装缶21に接続される外部端子4の先端部42と封口缶22に接続される外部端子5の先端部52との周方向におけるピッチ間の位置精度を向上させることができる。また、外部端子5の先端部52は、外装缶21側に曲げられている。そのため、先端部42と先端部52とは、同じ一方の外装缶21側において、電子機器及び回路基板等に導電接続することができる。
(変形例)
【0036】
平坦部41の平面視形状と開口部32の平面視形状とは、開口部32に平坦部41を嵌合した状態で、平坦部41の開口部32内での移動を規制できれば、種々変更することができる。すなわち、平坦部41の平面視形状は、開口部32の平面視形状に沿うとは限られない。例えば、平坦部41を略三角形状で形成し、開口部32を略円形状等で形成した場合であっても、略三角形の頂点又はいずれかの辺が開口部32の内周端に当接することにより、先端部42の位置決めがされた状態で平坦部41の移動が規制されればよい。なお、外部端子5の平坦部51の平面視形状と開口部33の平面視形状においても同様である。
【0037】
上記の実施形態では、封口缶22に固定した外部端子5の先端部52を外装缶21側に曲げているが、外装缶21に固定した外部端子4の先端部42を封口缶22側に曲げてもよい。また、上記の実施形態では、先端部42及び先端部52は各々、電子機器及び回路基板等に接続される方向に曲げられているが、例えば、端子付き電池1の周側面に対向するように電子機器及び回路基板等が配置される場合は、曲げることなく平坦部41及び平坦部51に沿う方向に延ばされてもよい。このように、先端部42及び先端部52は各々、接続対象である電子機器及び回路基板等に向かって平坦部41及び平坦部51から延ばされていればよい。
【0038】
また、
図4に示すように、外装缶21の周壁部212は、封口缶22の周壁部222を覆っているため、開口部32は、周壁部212の一部を露出させるように開口形成されてもよい。或いは、外装缶21と封口缶22とのカシメ位置によって外装缶21の周壁部212と封口缶22の周壁部222とがともに露出する場合、開口部32は、外装缶21の周壁部212を露出させ、開口部33は、封口缶22の周壁部222を露出させるように開口形成されてもよい。
【0039】
また、
図1に示すように、外部端子4の先端部42は、外部端子5の先端部52に対して周方向に位置をずらすことにより、周方向における所定の距離間隔(ピッチ間)で位置決めされているが、上述のように、先端部42及び先端部52を曲げずに平坦部41、51に沿って延びる場合等においては、必ずしも周方向に位置ズレさせる必要はなく、絶縁ケース3の厚み方向における距離間隔をあけて位置決めできればよい。
【0040】
また、
図5に示すように、開口部32は、開口部32の開口下端から径方向で内方に延びるフランジ状の開口底部324を含んでもよい。開口底部324は、外部端子4の平坦部41の下面の一部を載置してもよい。開口部33においても、開口上端から径方向で内側に延びるフランジ状の開口底部を含めることができる。この場合、平坦部41は、外装缶21の平面部211に溶接できるように、開口底部324に囲まれた開口に向かって一部湾曲させてもよい。すなわち、平坦部41は、必ずしも平坦である必要はなく、種々の凹凸形状を含んでもよい。例えば、図示のように、平坦部41の中央は、下方に突出する平面視四角形状の凸部411を有してもよい。平坦部41の凸部411は、外装缶21の平面部211への溶接(接続)を容易にする。平坦部51も同様に、上方に突出する凸部を有してもよい。なお、凸部411の平面視形状は特に限定されない。
【0041】
また、外装缶21側に負極材232を配置し、封口缶22側に正極材231を配置してもよい。この場合、外装缶21が負極缶として機能し、封口缶22が正極缶として機能する。
【0042】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0043】
次に、端子付き電池1の製造方法について、
図3を用いて具体的に説明する。
【0044】
まず、扁平形電池2を開口部31から挿入して絶縁ケース3に収容する。この状態で、開口部32は、扁平形電池2の外装缶21を露出させている。また、開口部33は、封口缶22を露出させている。
【0045】
次に、開口部32に外部端子4の平坦部41を嵌め込んで位置決めし、外部端子4を外装缶21に固定(溶接)する。
【0046】
次に、開口部33に外部端子5の平坦部51を嵌め込んで位置決めし、外部端子5を封口缶22に固定(溶接)する。なお、外部端子4と外部端子5とのいずれを先に扁平形電池2に固定させるかは、適宜決定すればよい。この状態で、外部端子4の先端部41と外部端子5の先端部51とは位置精度よく位置決められている。
【0047】
このように、端子付き電池1の製造方法によれば、外部端子4及び外部端子5の位置決めが容易であり、外部端子4及び外部端子5の位置精度のよい端子付き電池を効率よく得ることができる。なお、外部端子4及び外部端子5のいずれか一方のみを扁平形電池1に取付ける場合は、いずれか一方の工程を省略できる。
【符号の説明】
【0048】
1 端子付き電池
2 扁平形電池、21 外装缶、22 封口缶、23 電極体
3 絶縁ケース、31 開口部、32 開口部、33 開口部
4 外部端子、41 平坦部、42 先端部
5 外部端子、51 平坦部、52 先端部