(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】基材上の画像上にオーバーコートを堆積させるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B41M 7/02 20060101AFI20231221BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20231221BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20231221BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231221BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20231221BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20231221BHJP
B05C 9/10 20060101ALI20231221BHJP
B05C 19/06 20060101ALI20231221BHJP
B41M 3/00 20060101ALI20231221BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B41M7/02
B05D7/00 K
B05D3/06 Z
B05D3/00 D
B05D3/02 B
B05D7/24 301A
B05C9/10
B05C19/06
B41M3/00 Z
B41J2/01 125
(21)【出願番号】P 2020068656
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-04-03
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】エリウド・ロブレス・フローレス
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ティー・ファッチーニ
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ・ペイガン
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-141603(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054150(WO,A1)
【文献】特開2003-063159(JP,A)
【文献】特開2015-013463(JP,A)
【文献】特開2004-142277(JP,A)
【文献】特開昭64-024796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00-3/18
B41M 7/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の印刷画像にオーバーコートを塗布するシステムであって、前記システムは、
温度センサと、
既定の波長範囲内の電磁放射線を前記基材上の前記印刷画像に照射する放射源であって、前記電磁放射線が、前記印刷画像によって吸収され、前記印刷画像を前記温度センサによって測定される所定の温度範囲に加熱する、放射源と、
前記所定の温度範囲内の融点を有するオーバーコーティング粉末を含み、前記加熱された印刷画像上に前記オーバーコーティング粉末を堆積させて、前記オーバーコーティング粉末が、その堆積時に前記加熱された印刷画像上に付着及び/又は溶融するようになる、堆積デバイスと、
前記印刷画像又は基材に付着していない残留オーバーコーティング粉末を除去する残留粉末除去デバイスと、を備え、
前記温度センサは、前記オーバーコーティング粉末を堆積させ
る前記印刷画像の部分の温度
上昇速度を、前記印刷画像を含まない基材の部分の温度
上昇速度、又は、前記オーバーコーティング粉末が堆積さ
れない前記印刷画像の部分の温度
上昇速度とともに取得する、システム。
【請求項2】
前記放射源が、前記電磁放射線を前記印刷画像に所定の時間にわたって照射して、前記印刷画像を前記所定の温度範囲に加熱する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所定の時間が、前記基材の特性、前記印刷画像の特性、前記放射源によって照射される波長範囲、前記放射源によって照射される前記電磁放射線の強度、又は前記基材と前記放射源との間の距離のうちの1つ以上に基づく、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記放射源が、約0.7μm~1mmの波長を有する前記電磁放射線を照射する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記印刷画像の特性が、前記印刷画像の色、及び前記基材上に前記印刷画像を塗布するために使用されたインク又はトナーの構成要素、のうちの1つ以上を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記構成要素が、前記放射源によって照射される前記範囲内にある波長をより効果的に吸収するように構成されている、前記インク又はトナーへの添加物を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記放射源が、前記印刷画像を含まない前記基材の部分に前記電磁放射線を前記所定の時間にわたって照射し、前記印刷画像を含まない前記基材の前記部分は、前記所定の温度範囲内に加熱されない、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記印刷画像が、第1の印刷領域及び第2の印刷領域を含み、前記第1及び第2の印刷領域に照射された前記電磁放射線が、前記第1の印刷領域を前記所定の温度範囲に加熱するが、前記第2の印刷領域を前記所定の温度範囲に加熱しない、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の印刷領域は第1の色を含み、前記第2の印刷領域は第2の色を含み、前記第1の色が、前記第2の色と比較して、前記放射源によって照射された前記電磁放射線をより効果的に吸収する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記基材及び/又は前記第2の印刷領域が、前記印刷領域又は前記第1の印刷領域とそれぞれ比較して、前記放射源によって照射された電磁放射線をより効果的に反射する構成要素によって覆われているか、又はそれを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記放射源が、約0.7μm~1mmの波長を有する電磁放射線を照射し、前記基材及び/又は前記第2の印刷領域が、赤外(IR)反射性構成要素を含むか、又は赤外(IR)反射性コーティングで覆われている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記印刷画像に塗布された前記オーバーコーティング粉末は、前記所定の温度範囲に加熱されると、溶融して、透明な、光沢のある、着色された、又は嵩上げされたオーバーコートのうちの1つ以上を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記印刷画像に塗布された前記オーバーコーティング粉末は、前記所定の温度範囲に加熱されると、サイズが拡大する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記印刷画像がハーフトーン画像を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記放射源が、前記基材の有意な幅に延在する全幅放射源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記堆積デバイスが、前記基材の有意な幅に延在するホッパーデバイスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記残留粉末除去デバイスが、前記基材の有意な幅に延在し、スイープデバイス、エアブローデバイス、又はバキュームデバイスのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記基材が個々のシート又はロールの形態であり、前記システムが、前記印刷画像を含む前記基材を前記放射源から前記堆積デバイスに、及び前記残留粉末除去デバイスに搬送するコンベヤー組立体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記印刷画像に付着していない前記残留オーバーコーティング粉末を除去する前記残留粉末除去デバイスに続いて、前記印刷画像上に付着及び/又は溶融している前記オーバーコーティング粉末を、前記付着したオーバーコーティング粉末に熱を加えることによってピニングする熱源を含むピニング組立体を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明な、光沢のある、着色された、又は嵩上げされたオーバーコートなど、オーバーコートを基材上の画像に塗布するためのシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
業務用名刺、挨拶状、招待状などのようなストック上に透明な、光沢のある、着色された、又は嵩上げされたオーバーコートを製造することが可能な印刷プロセスは、一般に知られている。このようなプロセスは、現在、単純な手工業式のプロセスから、高度に特化された高価な印刷機の使用を必要とする、より複雑な高スループットなプロセスにまで及ぶ。様々なオーバーコートを製造する多くの方法が存在するが、典型的な手作業式のプロセスでは、最初に、適切な用具(例えば、ブラシ)を使用して湿式インクをストック又は基材に塗布し、次いで、オーバーコーティング粉末を湿式インク上に堆積させて、そこに付着させ、過剰な粉末を除去し、次いで、ヒートガンなどからの熱源を適用して、付着した粉末を溶融させ、所望のオーバーコートを形成する。高度に特化された印刷機を利用する、より複雑な高スループットなプロセスの場合、所望のオーバーコートを形成する基本プロセスは、手作業のプロセスと概ね同じであり得るが、高度に特化されたプリンター、機器、及び/又は特化されたインク/トナー化合物を使用して実施されるという点で異なる。例えば、いくつかの現在の高スループットなプロセスは、アドレス指定可能な印刷ヘッドを含む特化されたサーモグラフィ機器を利用して、最初に、湿式インクを基材上の所望の位置に堆積させ、直近の後続の堆積工程において、次いで、乾燥UV硬化性粉末が、湿式インクに付着するように湿式インクに塗布され、湿式インクに付着しない任意の残留粉末を除去するプロセスが適用され、次いで、オーバーコートを製造するためにUV光が適用されて粉末を硬化させる。高スループットなプロセスは、それらの最も基本的なレベルにおいて、単純なプロセスと概ね同じであるが、高度に特化された専用の印刷機器及び/又は特化された粉末を利用する必要があるため、非常に高価であると見なされる。
【0003】
現在の高スループットな機器及びプロセスに関連する高コストに加えて、湿式インクが塗布された後に粉末が直ちに堆積され、その後すぐに粉末が硬化されなければならないという事実により、湿式インクの使用は、一般に、全体的なスループット及び製造プロセスを本質的に制限する。すなわち、湿式インクがストック又は基材に塗布されたら、インクが粘着性又は湿性を維持している間に粉末が直ちに塗布されなければならず、すなわち、湿式インクを含む基材は、後の処理のために取っておくことができない。
【0004】
更に、他のインクがストック又は基材に塗布される前又は後にコーティングを塗布することができる、オーバーコートを塗布するための他の手法が知られているが、そのようなプリンター及びプロセスは、典型的には、最初に、フロントエンドのスキャンデバイスを利用して、複製対象の文書又は画像に関する画像情報を取得する。その後、オーバーコートが塗布される特定の位置が識別され、所望の位置にオーバーコートを堆積させるためのアドレス指定可能なヘッドを有する特化されたプリンターを使用して、複製された文書にオーバーコートが塗布される。このようなタイプのシステムの例は、テクスチャーが所望されている場所に対応する位置にトナーを塗布することによって、複製された文書上に三次元テクスチャーを印刷するように構成された電子写真プリンター及びプロセスを記載している、米国特許第7,212,772号に記載されている。
【0005】
上記から理解され得るように、オーバーコートを製造するための現在のプロセスは、典型的には、1つ以上の湿式インクを利用し、画像データを取得するためのフロントエンドのスキャンデバイスを必要とし、及び/又は、複製対象の文書又は画像の特定の領域にオーバーコートを塗布するための特化された機器、例えばアドレス指定可能な印刷ヘッドを利用する。前述したように、このようなプロセス及び機器は、全体的な製造の選択肢を制限し得、及び/又は非常に高度に特化された高価な印刷機器の使用を必要とし得る。
【0006】
したがって、本開示は、オーバーコーティング粉末を付着させる目的で最初に湿式インクを堆積させる必要がなく、ストック又は基材上のどこにオーバーコートを塗布するかを決定するために最初に画像情報を取得する特化された機器を利用する必要がなく、ストック又は基材の所望の領域上にオーバーコートを堆積させるために、例えば、アドレス指定可能な印刷ヘッドを有する高価な特化された印刷機器を利用する必要がない、画像を含むストック又は基材上にオーバーコートを堆積させるためのシステム及び方法を記載する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の主題は、一般に、画像を含む基材の部分に、オーバーコート、例えば、透明な、光沢のある、着色された、又は嵩上げ若しくはテクスチャー化されたオーバーコートなど、を塗布することを目的として、電磁放射線の特定の波長を吸収し、他のものよりも効果的に加熱状態になるように様々な組成物の固有の特性を利用するものであり、この画像は、前もってレンダリングされていても、インライン方式で同時に製造されてもよい。本開示のシステム及び方法によれば、オーバーコーティング粉末が、画像にオーバーコーティングを適用するために使用され、オーバーコーティング粉末を付着させるために湿式インクを利用する必要性、及び特化された印刷機器を利用する必要性は回避され得る。上記は、製造の選択肢を広げ、更には全体的なコストを低減する。
【0008】
画像を含む基材、例えば、紙、挨拶状、又は業務用名刺などの基材上に現れている白黒のゼログラフィー画像に、所定の波長範囲内の電磁放射線を照射することによって、画像の特定の部分、例えば、黒色部分は、画像又は基材の他の部分、例えば、画像又は基材の白色部分又は背景部分と比較して、照射した電磁放射線をより多く吸収する傾向があることが見いだされている。これらの異なる特性により、画像及び基材の黒色部分は、典型的には、白色部分の温度上昇速度を超える増加した温度上昇速度(℃/秒)を呈することになる。温度上昇速度の差を利用することによって、より暗い部分が、後に塗布されるオーバーコーティング粉末を付着及び/又は溶融させるのに十分に高い温度に達することになるが、オーバーコーティング粉末をより明るい部分に付着及び/又は溶融させることのない、予定期間を判定することができる。そのような判定、及び他の要因に基づいて、オーバーコーティング粉末を、画像を含む基材に塗布することができ、この粉末は、画像のより暗い部分にのみ付着及び/又は溶融し、より明るい部分には付着及び/又は溶融しない。その後、画像に付着していない残留オーバーコーティング粉末を除去、再利用及び/又は再使用することができ、それにより、オーバーコートを有する画像を含む基材が残る。換言すれば、所望のオーバーコートは、湿式インク若しくは特別に硬化性である粉末(UV硬化性粉末など)、高価なスキャン機器、又は高度に特化された高価な印刷機器を利用する必要性のない単純な方法で、予め印刷された画像に塗布することができる。
【0009】
本明細書に記載される態様によれば、基材上の印刷画像にオーバーコートを塗布するシステムが提供される。このシステムは、一般に、基材上の印刷画像に既定の波長範囲内の電磁放射線を照射する放射源であって、電磁放射線が、印刷画像によって吸収され、印刷画像を所定の温度範囲に加熱する、放射源と、加熱された印刷画像上にオーバーコーティング粉末を堆積させる堆積デバイスであって、オーバーコーティング粉末は、その堆積時に、オーバーコーティング粉末が加熱された印刷画像上に付着及び/又は溶融するように、所定の範囲内の融点を有する、堆積デバイスと、印刷画像又は基材に付着していない残留オーバーコーティング粉末を除去する残留粉末除去デバイスと、を含む。
【0010】
更なる態様によれば、放射源が、電磁放射線を印刷画像に所定の時間にわたって照射して、印刷画像を所定の温度範囲に加熱する、システムであって、所定の時間が、基材の特性、印刷画像の特性、放射源によって照射される波長範囲、放射源によって照射される電磁放射線の強度、又は基材と放射源との間の距離のうちの1つ以上に基づく、システム。いくつかの態様では、放射源は、約0.7μm~1mmの波長を有する電磁放射線を照射し、かつ/又は印刷画像の特性は、印刷画像の色、及び/若しくは0.7μm~1mmの波長を有する電磁放射線を吸収する増強された能力を有する、基材上に画像を塗布するために使用されたインク若しくはトナーの構成要素、のうちの1つ以上を含む。いくつかの態様では、構成要素は、放射源によって照射される範囲内にある波長をより効果的に吸収するように構成されている、インク又はトナーへの添加物を含む。
【0011】
また更にいくつかの態様では、放射源は、印刷画像を含まない基材の部分に電磁放射線を所定の時間にわたって照射し、画像を含まない基材の部分は、所定の範囲内に加熱されない。いくつかの態様では、印刷画像は、第1の印刷領域及び第2の印刷領域を含み、第1及び第2の印刷領域に照射された放射線は、第1の印刷領域を所定の範囲に加熱するが、第2の印刷領域を所定の範囲に加熱しない。いくつかの態様では、第1の印刷領域は第1の色を含み、第2の印刷領域は第2の色を含み、第1の色は、第2の色と比較して、放射源によって照射された電磁放射線をより効果的に吸収する。
【0012】
いくつかの態様では、基材及び/又は第2の印刷領域は、第1の印刷領域と比較して、放射源によって照射された電磁放射線をより効果的に反射する構成要素によって覆われているか、又はそれを含む。
【0013】
いくつかの特定の態様では、放射源は、約0.7μm~1mmの波長(例えば、近赤外、赤外(IR)、及び遠赤外(IR)スペクトルにあると考えられる波長)を有する電磁放射線を照射し、基材及び/又は第2の印刷領域は、反射性構成要素を含むか、又は反射性コーティングで覆われており、放射源によって放射された波長を反射する。
【0014】
いくつかの態様では、オーバーコーティング粉末は、透明な、光沢のある、着色された、又は嵩上げされたオーバーコートのうちの1つ以上を形成し、いくつかの態様では、オーバーコーティング粉末は、サイズが拡大する。いくつかの態様では、印刷画像は、ハーフトーン画像で印刷され得、その結果、例えば、着色された粉末を画像に塗布すると、下にある画像を見ることが、見えるにしても、困難であり得る。
【0015】
いくつかの態様では、放射源は、基材の有意な幅に延在し、かつ主に約0.7μm~1mmの波長を照射する、全幅放射源を含む。いくつかの態様では、放射源は、約0.7μm~1.4μmの波長(すなわち、IR-Aとしても知られる、近赤外波長)を有する電磁放射線を主に照射するように構成されている。いくつかの態様では、放射源は、約1.4μm~3μmの波長(すなわち、IR-Bとしても知られる、短赤外波長)を有する電磁放射線を主に照射するように構成されている。いくつかの態様では、放射源は、約3μm~8μmの波長(すなわち、IR-Cとしても知られる、中赤外波長)を有する電磁放射線を主に照射するように構成されている。いくつかの態様では、放射源は、約8μm~15μmの波長(すなわち、IR-Cとしても知られる、長赤外波長)を有する電磁放射線を主に照射するように構成されている。最後に、いくつかの態様では、放射源は、約15μm~1000μmの波長(すなわち、遠長赤外波長)を有する電磁放射線を主に照射するように構成されている。いくつかの態様では、この放射源と組み合わせて、他の波長の電磁放射線、例えば、白色光を照射する追加の放射源が使用され得る。
【0016】
いくつかの態様では、堆積デバイスは、基材の有意な幅に延在する全幅ホッパーデバイスを含み、残留粉末除去デバイスは、基材の有意な幅に延在する全幅デバイスを含み、スイープデバイス(例えば、ブレード又はブラシ型デバイス)、エアブローデバイス(例えば、エアナイフ)、又はバキュームデバイスのうちの1つ以上を含む。
【0017】
いくつかの態様では、システムは、画像を含む基材が個々のシートの形態であるように構成されており、このシートは、コンベヤーを使用して、放射線源から堆積デバイスに、及び残留粉末除去デバイスに搬送されることができる。他の態様では、システムは、基材がロールの形態であるように構成されており、画像を含む基材は、コンベヤーを使用して、放射線源から堆積デバイスに、及び残留粉末除去デバイスに搬送される。
【0018】
いくつかの態様では、システムは、印刷画像に付着していない残留オーバーコーティング粉末を除去する残留粉末除去デバイスに続いて、印刷画像上に付着及び/又は溶融している乾燥オーバーコーティング粉末を、例えば、オーバーコーティングを溶融させるのに十分な熱を加えることによって、ピニングする、ピニング組立体を更に含む。
【0019】
基材上の印刷画像をオーバーコーティングする方法を適用する態様では、方法は、一般に、既定の波長範囲内の電磁放射線を基材上の印刷画像に照射する工程であって、その結果、電磁放射線が、印刷画像によって吸収されて、印刷画像を所定の温度範囲に加熱する、工程と、堆積デバイスを使用して、加熱された印刷画像上にオーバーコーティング粉末を堆積させる工程であって、オーバーコーティング粉末は、その堆積時に、オーバーコーティング粉末が、加熱された印刷画像上に付着及び/又は溶融するように、所定の温度範囲内の融点を有する、工程と、残留粉末除去デバイスを使用して、印刷画像又は基材に付着していない残留オーバーコーティング粉末を除去する工程と、を含む。
【0020】
方法のいくつかの態様では、電磁放射線は、基材上の印刷画像に所定の時間にわたって照射されて、印刷画像を所定の温度範囲に加熱し、所定の時間は、基材の特性、印刷画像の特性、放射源によって照射される波長範囲、放射源によって照射される電磁放射線の強度、又は基材と放射源との間の距離のうちの1つ以上に基づく。
【0021】
方法のいくつかの態様では、照射される電磁放射線は、約0.7μm~1mmの波長を有する。いくつかの態様では、放射源は、印刷画像を含まない基材の部分に電磁放射線を所定の時間にわたって照射し、画像を含まない基材の部分は、所定の範囲内に加熱されない。いくつかの態様では、他の波長の電磁放射線、例えば、白色光を照射する追加の放射源が、それと組み合わせて使用され得る。
【0022】
いくつかの態様では、システムにおいて、画像を含む基材上にオーバーコートを塗布するための方法であって、画像及び基材は、予め製造され、続いて後の時点において独立したスタンドアロン型マシンを使用してコーティングされ得るか、又は画像及び基材は、本開示のシステムを統合した印刷機を使用して、インライン方式で、製造され、次いで同時にオーバーコーティングされ得る、方法。生産性、すなわち、スループットの観点から、印刷機から独立しているオーバーコーティングシステムを提供することが望ましい場合があり、そのようなシステムは、より高い生産の融通性を提供することができ、インライン方式で印刷機と一体化されているシステムよりも高い稼働率を提供することができる。それにもかかわらず、本開示によるシステムは、インライン方式で印刷機と一体化されることができる。
【0023】
1つ以上の実施形態の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から並びに添付の図面及び特許請求の範囲から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
様々な実施形態が、例示のみを目的として、対応する参照記号が対応する部分を示す添付図面を参照して開示されている。
【
図1】様々な基材上での様々な着色インク(シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及び黒色(K))の温度上昇速度のグラフ表示である。
【
図2A】それぞれ、透明なオーバーコーティング粉末を利用して白色紙基材上で実施された実験の結果、及び
図2Aの線2B-2Bに概ね沿って取られたその断面の図である。
【
図2B】それぞれ、透明なオーバーコーティング粉末を利用して白色紙基材上で実施された実験の結果、及び
図2Aの線2B-2Bに概ね沿って取られたその断面の図である。
【
図3A】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの概略図である。
【
図3B】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの概略図である。
【
図3C】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの概略図である。
【
図3D】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの概略図である。
【
図3E】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの概略図である。
【
図3F】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの概略図である。
【
図4】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングする方法のフローチャートである。
【
図5】塗布された反射性コーティングを含む基材の一実施形態の断面図である。
【
図6】塗布された反射性コーティングを含む基材の更なる実施形態の図である。
【
図7】一体型反射性構成要素を含む基材の一実施形態の図である。
【
図8】面上に印刷画像を含む基材をオーバーコーティングするためのシステムの実施形態による、プロセスフローの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
最初に、異なる図面上での同様の図面番号は、本明細書に記載される実施形態の同一の、又は機能的に類似した構造要素を識別し、図面は、縮尺どおりに描かれる、及び/又は特定の領域、特徴、及び概念を強調するために、意図的に縮尺どおりに描かれないことがあることは、理解されるべきである。更に、開示される実施形態は、記載される特定の材料、方法、及び変形例に限定されず、したがって、当然ながら変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される、開示される実施形態の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
【0026】
別途具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、これらの実施形態が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、「全幅」、例えば、「全幅放射源」、「全幅ホッパーデバイス」及び/又は「全幅」残留粉末除去デバイス」は、基材の有意な幅を覆う構造体として広義に解釈されることを意図する。例えば、いくつかの実施形態では、全幅放射源の長さは、基材の幅に延在することができ、又は基材の幅の約半分に延在してもよい。
【0027】
更に、本明細書で使用される場合、「プリンター」、「プリンターシステム」、「印刷システム」、「プリンターデバイス」、「印刷デバイス」、「印刷機」など、及び同類の語句は、任意の目的のために印刷出力機能を実施するデジタル複写機、製本機、ファクシミリ機、多機能機などの装置を包含する。更に、本明細書で使用される場合、「基材」、「印刷可能な基材」、及び/又は「ウェブ」は、例えば、紙、スライドフィルム、羊皮紙、フィルム、布地、プラスチック、写真仕上げ紙などの基材、又は上部に情報若しくはマーキングを作製、複製、及び/若しくは可視化することができる個々のシート若しくはロールの形態での他のコーティングされた若しくはコーティングされていない基材媒体を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「溶融する」、「溶融」などは、その通常及び慣例的な意味に従って定義されることに加えて、何らかの軟化、完全な若しくは部分的な液化、又は本明細書の文脈内で、物質、例えばオーバーコーティング粉末が、その所望の機能を実施する可能性が高くなる他の物理的変化を意味することも意図される。本明細書で使用される場合、「オーバーコーティング粉末」は、約90~150℃、好ましくは約90~125℃の融点を有する粉末状、粒子状、又は顆粒状の熱可塑性組成物を指すことを意図し、その粒子は、加熱されると、互いに溶融及び/又は融合してコーティングを形成する。「オーバーコーティング粉末」は、透明な、光沢のある、着色された、テクスチャー化若しくは嵩上げされた、又は膨張したオーバーコートのうちの1つ以上を形成する目的で、粉末又は微粒子を含み得る。
【0029】
更に、本明細書で使用するとき、システム又は要素と組み合わせた語句「のうちの少なくとも1つを含む(comprises at least one of)」及び「のうちの少なくとも1つを含む(comprising at least one of)」は、システム又は要素が、その語句の後に列挙される要素のうちの1つ以上を含むことを意味することを意図する。例えば、第1の要素、第2の要素、及び第3の要素のうちの少なくとも1つを含むデバイスは、以下の構造配置のうちのいずれか1つとして解釈されることが意図される:第1の要素を含むデバイス、第2の要素を含むデバイス、第3の要素を含むデバイス、第1の要素及び第2の要素を含むデバイス、第1の要素及び第3の要素を含むデバイス、第1の要素、第2の要素、及び第3の要素を含むデバイス、又は、第2の要素及び第3の要素を含むデバイス。語句「~のうちの少なくとも1つにおいて使用される(used in at least one of:)」が本明細書で使用される場合も、類似する解釈が意図される。更に、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、列挙された要素又は条件のうちの1つ以上が含まれ得ること、又は発生し得ることを示すために使用される、文法的な接続詞を意味することを意図する。例えば、第1の要素、第2の要素、及び/又は第3の要素を含むデバイスは、以下の構造配置のうちのいずれか1つとして解釈されることが意図される:第1の要素を含むデバイス、第2の要素を含むデバイス、第3の要素を含むデバイス、第1の要素及び第2の要素を含むデバイス、第1の要素及び第3の要素を含むデバイス、第1の要素、第2の要素、及び第3の要素を含むデバイス、又は、第2の要素及び第3の要素を含むデバイス。
【0030】
更に、本明細書で説明される方法、デバイス、又は材料に類似する、又は同等の任意の方法、デバイス、又は材料を、これらの実施形態の実施又は試験に使用することができるが、方法、デバイス、及び材料のいくつかの実施形態を以下に説明する。
【0031】
前述したように、画像を含む基材、例えば、紙、挨拶状、又は業務用名刺などの基材上に現れている白黒のゼログラフィー画像、に所定の波長範囲内の電磁放射線を照射することによって、画像の特定の部分、例えば、黒色部分は、画像又は基材の他の部分、例えば、画像又は基材の白色部分又は背景部分と比較して、照射した電磁放射線をより多く吸収する傾向があることが見いだされている。
【0032】
1mmのアルミニウム製の正方形の上にセットされ、電磁放射線を照射する放射源(例えば、IRスペクトル内の波長を照射することができる、Heraeus Group及び/又はLichtzen Co.,Ltd.から市販されているタイプの全幅赤外線(IR)エミッター、に暴露された白色紙基材(例えば、Xerox Corporationから市販されているタイプのもの)上に現れている黒色インク(K)4と様々な着色インク(シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M))6との温度上昇速度(℃/秒)2の比較を示す実験データのグラフ図である、
図1に示されるように、黒色インク4を含む白色紙基材のそれらの部分は、着色インク(C、Y、及びM)及びインク6を含まない基材の部分と比較して、使用された白色紙基材のタイプ、すなわち、ゼロックス未コーティング紙、スターリングウルトラマット紙、サテン紙、及び光沢紙に関係なく、増加した温度上昇速度を呈したことが分かる。例えば、未コーティング紙基材上に配置された黒色インク及び着色インクの場合、黒色インク4と着色インク6との間の温度上昇速度の差は、少なくとも0.5℃/秒(シアン(C)の場合)~約3.0℃/秒(イエロー(Y)の場合)の範囲であった。ウルトラスターリングマット、サテン、及び光沢白色紙基材の場合、温度上昇速度の差は、それぞれ、約1.5℃/秒~2.0℃/秒(ウルトラスターリングマット)、約1.5℃/秒~2.0℃/秒(サテン)、及び1.2℃/秒~2.0℃/秒(光沢)の範囲であった。
【0033】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、上記の観察された温度上昇速度の差に基づいて、黒色(K)インク/トナー画像10を含む白色紙基材8と、約105~110℃の融点を有する透明なオーバーコーティング粉末12とを用いて後続の実験が実施された。実験では、画像10を含む基材8を、0.7μm~1mmの範囲内の波長を照射する放射源、例えば、IRトランスミッターに、画像10に対応する基材の温度を透明なオーバーコーティング粉末12の融点まで上昇させるのに十分であるが、画像を含まない基材14のそれらの部分の温度を同様に上昇させるには不十分である期間にわたって暴露した。その後、透明なオーバーコーティング粉末12を基材8及び画像10に塗布し、冷却させて、オーバーコーティング粉末12を固定した。冷却後、続いて、基材8に付着していない残留オーバーコーティング粉末、及び画像10を除去した。上記の実験の結果として、透明なオーバーコーティング粉末12は、画像10に対応する基材8のそれらの部分上に付着/溶融して、その上に透明なオーバーコーティング16を形成するが、画像のない基材の部分14に同様に付着/溶融することはないことが観察された。
【0034】
ここで
図3A~
図3Fを参照すると、基材上の印刷画像にオーバーコートを塗布するシステムが示されている。
図3A~
図3Fに概して示されるように、予め印刷されたインク/トナー画像を含む基材18、例えば、黒色インク/トナーで印刷された画像22を含む紙シート20は、コンベヤーシステム(図示せず)を介して放射組立体24から粉末堆積組立体40へ、次いで残留粉末除去組立体50上に搬送されて、画像及びオーバーコーティングを含む基材58を製造するものとして示されている。
【0035】
図3Bに示されるように、画像を含む基材18は、矢印で示される方向にコンベヤー(図示せず)を介してシステムを通過するように搬送され、最初に放射組立体24を通過させられるものとして、概して示されている。放射組立体24は、概して、画像を含む基材18に向けて電磁波28を照射する放射源26を含み、この電磁波は、画像22、及び画像を含まない基材の部分30によって差別的に吸収/反射され得る。図に示されるように、画像22と画像を含まない基材の部分30との吸収/反射特性の違いに起因して、基材及び画像18に照射された電磁波28は、画像22によって吸収され、熱エネルギー32に変換される。対照的に、画像を含まない基材30のそれらの部分に照射された電磁波28は、実質的に反射され(34)、同様の熱エネルギーへの変換は行われない。前述したように、放射源26は、好ましくは、0.7μm~1mmの電磁波を放射することができるIR放射デバイスである。好適な放射源26、例えば、0.7μm~1mmの電磁波を放射することができるIRエミッターは、Heraeus Groupから商業的に入手され得る。放射源26は、好ましくは、全幅デバイス、すなわち、基材の幅に延在し得るデバイスを含み、また単一のロッド状放射デバイスを含むものとして示されているが、他の形状で形成されてもよい。放射源26は、単一のIR放射デバイスであるものとして図に示され、説明されているが、放射源26は、デバイスの電池を形成するように複数のIR放射デバイスから構成されることができ、また、IR放射デバイスと組み合わせて、非IR放射源、例えば、白色発光体を含むこともできる。放射源26はまた、放射された電磁波28を集束させる/方向付けるための1つ以上の反射面又はレンズ(図示せず)を含んでもよい。例えば、反射面/レンズは、反射面の場合には放射源26の背後に、又はレンズ若しくは他の光学式デバイスの場合には放射源26と基材との間に、配置することができる。放射源26は、画像22が塗布される基材のタイプ(例えば、紙対プラスチックフィルムなど)、基材に塗布されて画像22を形成するインク/トナーのタイプ又は色、放射源の電力などを含むがこれらに限定されない複数の要因に基づいて、適切であれば基材18から距離を置いて配置することができる。
【0036】
図3Cに示されるように、基材18が、矢印によって示される方向に、コンベヤーを介して放射組立体24を通過するとき、画像を含む基材18に向かって照射された電磁波28は、画像22によって吸収され、その結果、照射された波を吸収した画像の部分が加熱状態(32)になる。対照的に、画像含まない基材の部分30、又は照射された波を効果的に吸収せず、照射された波28をより効果的に反射する(34)画像の部分は、同様の加熱が行われることはない。画像を含まない部分30は、例えば、いかなる画像も含まない基材自体、放射源によって照射された波長28を効果的に吸収しない色及び/若しくは照射された波長をより反射する(34)傾向のある色(例えば、
図1のグラフに示されるような色イエロー(Y))で形成された画像、又は放射源によって照射された波長28を反射するコーティング(例えば、IR反射性コーティング)を含み得る基材及び画像の部分を含むことができる。放射組立体24は、画像22が十分な電磁波を吸収するために適切な期間にわたって画像を含む基材18に向かって波28を照射し、吸収された電磁波は、続いて塗布される所望の粉末状オーバーコーティングの融点範囲に到達するように熱エネルギー32に変換されるが、この期間は、画像を含まないそれらの部分30が同様の加熱状態になるには不十分である。放射組立体24は、放射源26からの電磁波28の放射を開始及び終了する目的で組立体内の画像の存在及び不在を判定するために、1つ以上のセンサ、例えば、光センサ(図示せず)を含んでもよい。放射組立体24は、画像22及び/又は画像を含まない基材30の温度を判定する目的で1つ以上の温度センサ(図示せず)を含んでもよい。
【0037】
図3Dに示されるように、前述の要因(例えば、画像対基材の温度上昇速度、使用されるオーバーコーティング粉末の融点など)に基づいて適切な期間にわたって加熱されると、基材18は、次いで、放射組立体24から粉末堆積組立体40上へと通過するように矢印の方向に搬送される。粉末堆積組立体40は、概して、例えば、画像を含む基材18上にオーバーコーティング粉末38を分配するためのホッパー36などの適切なデバイスを含む。ホッパー36は、好ましくは、全幅デバイス、すなわち、基材の幅に延在し得るデバイスを含み、
図3Dは、ホッパー36を含むものとして粉末堆積組立体を示しているが、オーバーコーティング粉末を堆積させるための他の全幅デバイスが企図されており、それらが利用されてもよい。例えば、オーバーコーティング粉末38は、空気圧などで基材上に吹き付けられてもよい。粉末堆積組立体40は、基材のタイプ、基材上の画像インク/トナーの色、インク/トナーを形成する構成要素(例えば、IR吸収添加物)、放射源の強度、温度上昇速度などのうちの1つ以上を含む複数の要因に基づいて、放射組立体24及び/又は基材からの予め設定された距離で調整可能又は配置され得る。粉末堆積組立体40はまた、オーバーコーティング粉末38の堆積を自動的に開始及び終了する目的で、画像及び基材の存在を判定するために、1つ以上のセンサ、例えば、光センサ(図示せず)を含んでもよい。
【0038】
図3Dから理解され得るように、また前述したように、画像22を含む基材18の部分は十分に加熱されているが(32)、画像を含まない部分30は同様の加熱がされないため、加熱された部分32上に堆積されたオーバーコーティング粉末38は、画像22上に付着及び/又は溶融並びに融合してオーバーコート42を形成するが、画像を含まない部分30上に堆積されたオーバーコーティング粉末38は、基材に付着も、溶融も、融合もせず、残留粉末44としてその粉末状形態に留まる。
【0039】
オーバーコーティング粉末38に関して、そのような粉末は、概して、低融点であると考えられるものを有する熱可塑性物質から主に形成された粒子状又は顆粒状タイプの組成物を含む。すなわち、そのような粉末は、典型的には、90~150℃、好ましくは約90~125℃の融点範囲を有する。低融点を呈することに加えて、そのような粉末は、透明である、光沢がある、着色されている、テクスチャー化されている、又は嵩上げされている、のうちの1つ以上の状態であるオーバーコーティングを形成することができ、いくつかは、そのようなオーバーコーティングを特定の条件下で膨張させる構成成分を含むことができる。このような熱可塑性オーバーコーティング粉末は、エンボスパウダーとして典型的に知られる市販の粉末と同様の物理的特性を有する。
【0040】
ここで
図3Eを参照すると、粉末堆積組立体40を通過することに続いて、任意選択的に、オーバーコーティング42を画像22上に十分に固定する及び硬化させるように冷却された後、画像を含む基材18は、次いで、画像22、又は画像を含まない基材の部分30に付着していない残留粉末44を除去する目的で、矢印の方向に残留粉末除去組立体50に搬送される。
図3Eに示されるように、残留粉末除去組立体50は、非接触様式で強制空気を使用して未付着の残留粉末44を所望の位置に方向付ける空気ブレードなどのブローデバイス52、未付着の残留粉末に手動で接触し、それらを所望の位置に方向付けるブラシ又はブレードを含むスイープデバイス54、又は未付着の粉末を非接触様式で除去するバキューム組立体56のうちの1つ以上を含むことができる。
図3Eは、画像を含む基材及びオーバーコーティング42が最初にブローデバイス52に、続いてスイープデバイス54に、その後、更に続いてバキューム56に供されることを示しているが、このような順序は必ずしも必要とされず、例えば、残留粉末は、第1の工程において空気ブレードでブローされ、第2の工程においてバキュームされ、次いで最後にスイープされてもよい。しかしながら、オーバーコーティング42が十分に硬化されることを確実にする、及び/又はオーバーコーティングに対して起こり得る損傷を回避する観点から、残留粉末44を除去するために非接触手段を利用することが好ましく、これは、オーバーコーティングとの接触を必要とする更なるプロセスが実施される前に、オーバーコーティングを冷却することにも役立ち得る。ブローデバイス52、スイープデバイス54、及びバキュームデバイス56のそれぞれは、好ましくは、全幅デバイス、すなわち、基材の幅に延在し得るデバイスを含むが、全幅デバイスは必ずしも必要とされず、それぞれは、特定の画像及び塗布されるオーバーコートに基づいて適合させられ得る。
【0041】
図3Fに示されるように、放射組立体24、粉末堆積組立体40、及び粉末除去組立体50を通過すると、画像及びオーバーコーティングを含む基材58(オーバーコーティングは、画像22上のみに配置され、小さいエッジ効果を除いて、画像を含まない基材のそれらの部分上には配置されていない)が、一般に、形成され、完成していると考えられる。すなわち、画像及びコーティングを含む基材58が形成され、完成していると考えられるが、オーバーコーティング42を加熱する更なるプロセス及び手順に基材及びコーティングされた画像58を通過させるなど、追加の後処理手順が、任意選択的に、実施されてもよい。例えば、画像及びコーティングを含む基材60を、オーバーコーティング42の付着、若しくはピニング、を確実にするために、又は塗布されたオーバーコーティング42の外観若しくは光沢を更に高めるために、例えば、オーブン又は加熱ローラー(図示せず)上に通過させてもよい。
【0042】
ここで
図4を参照すると、この図は、基材上の印刷画像にオーバーコートを塗布するための一般的なプロセス及び手順を示すフロー図である。工程60では、最初に、基材又はオーバーコーティングされない画像(例えば、放射源又はIRエミッターからの電磁放射線を反射する傾向のある色で塗布された画像)の温度上昇速度と対比した、オーバーコーティングされる画像(例えば、黒色インクで塗布された画像又はIRエミッターなどの放射源からの電磁放射線をより効果的に吸収する色の画像)の温度上昇速度を、画像を含む基材に電磁放射線源をある期間にわたって適用し、温度計、例えば、IR温度計を使用してその温度を得ることによって判定することができる。判定された温度上昇速度に基づいて、第2の工程62では、オーバーコーティングされる画像を十分に加熱するが、画像を含まない基材のそれらの部分を同様に加熱することがないように、画像及び基材が放射源に暴露される予定期間を計算することができる。任意選択の試験工程64では、例えば、複数の同一の画像がオーバーコーティングされる場合、実際の温度が予定計算温度に適合することを確実にするために、画像を含む基材のサンプルを、算出された期間にわたって放射源に暴露させ、画像、及び画像を含まない基材のそれらの部分の実際の温度読み取り値を得ることができる。不一致が存在する場合、例えば、十分かつ適切な暴露時間が画像及び基材に適用されることを確実にするために、暴露時間を制限又は延長する、放射源の強度を修正する、放射源と基材との間の距離を修正することなどを行って、更なる試験を実施すること及び/又は修正を行うことができる。第3の工程66では、次いで、画像を含む基材を、画像に対応する基材のそれらの部分を塗布される所望のオーバーコーティング粉末の融点まで加熱するが、画像を含まない基材のそれらの部分を同様に加熱することはないように、十分かつ適切な時間及び/又は算出された暴露時間にわたって電磁放射線源に曝露することができる。オーバーコーティングされる画像が上記のように十分に加熱されると、第4の工程68では、オーバーコーティング粉末を画像及び基材上に堆積させることによって、所望のオーバーコーティングを塗布することができる。工程70では、堆積されたオーバーコーティング粉末が、適切な時間にわたって画像上に付着及び/又は溶融並びに融合させられて、それにより、オーバーコーティング層を形成してもよい。工程72では、次いで、残留余剰粉末を画像及び基材から除去して、画像及びオーバーコーティングを含む基材を形成する。その後、任意選択の後処理工程74を実施して、画像上のオーバーコーティングの付着を確実にし、かつ/又はオーバーコーティングの外観を向上させることができる。
【0043】
ここで
図5~
図7を参照すると、前述の実施形態は、主に、基材上の印刷画像にオーバーコートを塗布することに関するものであったが、他の構成も可能である。例えば、
図5は、基材82が、オーバーコーティングされる画像84、並びにオーバーコーティングを受容しない基材及び/又は他の画像のそれらの部分上に配置された反射性コーティング86を含む、代替実施形態80を示す。すなわち、例えば、オーバーコーティング粉末を塗布する前に、画像84を、オーバーコーティング粉末を付着及び/又は溶融並びに融合させるために必要な温度に加熱する目的で、近IRスペクトル、IRスペクトル、又は遠IRスペクトル内の波長を放射する放射源が利用される場合、オーバーコーティング粉末を受容及び溶融しない基材又は画像のそれらの部分は、IR反射性コーティングでコーティングされ得る。これは、このような部分が同様に加熱されて、後に塗布されるオーバーコーティング粉末を溶融させる可能性を低減するのに役立つ。これは、オーバーコーティングされる画像、及びオーバーコーティングされない画像が、放射源に暴露すると同様の温度に到達させられ得る、同様のIR吸収特性、例えば、同様の色、同様の温度上昇速度などを有する可能性がある場合に重要であり得る。したがって、オーバーコーティング粉末の加熱及び塗布の前に、放射源、例えば、IRエミッターによって放射される波長を反射する反射性コーティング、例えば、IRコーティングを塗布することは、オーバーコーティングを受容しない部分が同様に加熱された状態になるのを防止するのに役立ち得、また、エッジ効果(例えば、オーバーコーティングされる画像及びオーバーコーティングされない基材の境界での非画像部分上へのオーバーコーティング粉末の潜在的な融解)を制限することにも役立ち得る。
図6に示す更なる実施形態では、基材82が放射源への暴露に敏感であり得る場合、基材を、最初に、放射源から放射された電磁放射線を反射するコーティング86でコーティングし、次いで、オーバーコーティングされる画像84をその上に印刷することができる。図示されていない更なる代替実施形態では、最初に、オーバーコーティングされない画像を基材上に印刷し、反射性オーバーコーティングを基材の上に重ねて塗布し、次いで、オーバーコーティングされる画像を反射性コーティング上に塗布し、次いで、このような基材を放射源に暴露させて、オーバーコーティングされる画像上にオーバーコーティングを適用し得る。
図7に示されるように、更なる代替実施形態では、基材82は、基材自体の一体型構成要素である反射性構成要素と、その上に後に塗布される、オーバーコーティングされる画像84とを含むように製造することができる。したがって、放射源に暴露されると、画像84は、それに塗布されたオーバーコーティング粉末を溶融させるように十分に加熱された状態になることができるが、基材上へのそのような粉末の塗布は、粉末を同様に溶融させることはない。これは、着色された基材が利用され得る、及び/又は基材が放射源に敏感であり得る場合に有利であり得る。
【0044】
ここで
図8を参照すると、基材上の印刷画像にオーバーコートを塗布するシステムは、様々な製造の選択肢90を収容するように構成され得る。すなわち、このシステムは、プリレンダリングされた又はプリプリ印刷されたストック又は基材を予め印刷された個々のシート又は予め印刷されたストック若しくは基材のロールの形態で受容するためのスタンドアロン型デバイスを含むように構成され得るか、又はオーバーコーティングされる画像が、最初に印刷され、次いで、その後に実質的に同時にオーバーコーティングされる、インライン式印刷機に組み込まれ得る。スタンドアロン型デバイスの場合、画像を含む基材は、予め製造され、続いて後の時点でコーティングされることができ、これは有利であり得る。換言すれば、生産性、すなわち、スループットの観点から、印刷機から独立しているオーバーコーティングシステムを提供することが望ましい場合があり、そのようなシステムは、より高い生産の融通性を提供することができ、インライン方式で印刷機と一体化されているシステムよりも高い稼働率を提供することができる。それにもかかわらず、本開示によるシステムは、インライン方式で印刷機と一体化されることができる。
【0045】
様々な上記で開示された及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。現在予想されていないか又は予測されていないそこでの様々な代替物、修正物、変形物、又は改善物は、以後に当業者によって行われてもよく、これらはまた、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。