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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】配車システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20231221BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
E04H1/02
G08G1/13
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020077676
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173058
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 知親
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-203175(JP,A)
【文献】特開2013-113070(JP,A)
【文献】米国特許第04499696(US,A)
【文献】特開2018-162591(JP,A)
【文献】特開2019-006336(JP,A)
【文献】特開2019-164685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0057480(US,A1)
【文献】特開平11-283186(JP,A)
【文献】特開2002-215738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
G08G 1/00 -99/00
G06Q 50/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多目的車両が駐車される駐車スペースに面して立設された外壁部を有する建物本体と、
前記外壁部に形成されると共に、前記駐車スペースに前記多目的車両が駐車された状態で前記多目的車両の開口と対向して配置され、前記建物本体の内部と前記多目的車両の内部とを行き来可能とする開口部と、を備える建物に前記多目的車両を配車する配車システムであって、
ユーザ端末から送信された前記建物に配車する前記多目的車両の利用目的を含む依頼情報に基づいて、複数の前記多目的車両の中から前記利用目的に適合する候補車両に係る車両情報を取得する車両情報取得部と、
取得された前記車両情報に基づいて前記多目的車両を配車する配車管理部と、
を有する配車システム。
【請求項2】
前記多目的車両の依頼実績に係る実績情報を記憶する記憶部と、記憶された前記実績情報に基づいて前記車両情報を更新する車両情報更新部と、をさらに備え、
前記車両情報更新部は、前記実績情報に基づいて利用目的毎に前記多目的車両の需要を求め、当該需要に基づいて各多目的車両の利用料金を更新する、
請求項1に記載の配車システム。
【請求項3】
前記車両情報には、利用目的ごとに割り当てられる前記多目的車両の台数が含まれており、
前記車両情報更新部は、前記実績情報に基づいて利用目的毎に前記多目的車両の需要を求め、当該需要に基づいて、利用目的ごとに割り当てられる前記多目的車両の台数を決定する、
請求項2に記載の配車システム。
【請求項4】
前記配車管理部は、取得された前記車両情報に基づいて、前記候補車両の中から、目的地となる前記建物までの移動距離が最短であって、かつ、目的地まで運転することが可能な所定の前記多目的車両を前記建物に配車する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物への配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本棟と本棟に向かい合って配置された離れに跨って、屋根付きのテラスが設けられた建物が開示されている。建物の居住者は、テラスを通って本棟と離れの間を行き来できるようになっている。これにより、離れには、本棟との一体感を備えつつ、本棟とは別の独立性の高い空間が生まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-339580号公報
【0004】
ところで、このような離れは、仕事や勉強、趣味のための空間として設けられることが多いが、家族で住む住宅等では、居住者それぞれに離れを利用する目的が異なる場合がある。上記先行技術のように、一つの離れを有する建物では離れの利用目的が限定されるため、居住者全員の利用目的に対応させることが難しい。また、利用目的に応じて建物の離れの増築やリフォーム等を行っていたのでは、費用等の面で居住者の負担が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、増築やリフォーム等を伴うことなく、多目的に利用できる空間を得ることができる建物及び当該建物への配車システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る建物は、多目的車両が駐車される駐車スペースに面して立設された外壁部を有する建物本体と、前記外壁部に形成されると共に、前記駐車スペースに前記多目的車両が駐車された状態で前記多目的車両の開口と対向して配置され、前記建物本体の内部と前記多目的車両の内部とを行き来可能とする開口部と、を備えている。
【0007】
第1の態様に係る建物では、駐車スペースに多目的車両を駐車すると、建物本体の外壁部に設けた開口部と多目的車両の開口が対向して配置され、建物本体の内部と多目的車両の内部とを行き来可能とされる。これにより、建物本体の増築やリフォームを伴うことなく車両内部に多目的に利用できる空間を得ることができる。
【0008】
第2の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、前記建物本体の内部の床高は、前記多目的車両の内部の床高と一致している。
【0009】
第2の態様に係る建物では、建物本体の内部の床高が、多目的車両の内部の床高と一致している。このため、建物本体の内部と多目的車両の内部とをスムーズに行き来することができる。その結果、多目的車両の内部の空間が、建物本体の内部の空間との一体感を備えつつ、建物本体とは別の独立性の高い空間となる。
【0010】
第3の態様に係る配車システムは、ユーザ端末から送信された請求項1又は請求項2に記載の建物に配車する前記多目的車両の利用目的を含む依頼情報に基づいて、複数の多目的車両の中から前記利用目的に適合する候補車両に係る車両情報を取得する車両情報取得部と、取得された前記車両情報に基づいて前記多目的車両を配車する配車管理部と、を有している。
【0011】
第3の態様に係る配車システムでは、配車管理装置は、ユーザ端末から送信された依頼情報に基づいて、複数の前記多目的車両の中から依頼情報に含まれる利用目的に適合する多目的車両を建物に配車することができる。これにより、ユーザは、利用目的に応じた空間を提供できる多目的車両の手配をすることができる。
【0012】
第4の態様に係る配車システムは、第3の態様に記載の構成において、前記多目的車両の依頼実績に係る実績情報を記憶する記憶部と、記憶された前記実績情報に基づいて前記車両情報を更新する車両情報更新部と、をさらに備え、前記車両情報更新部は、前記実績情報に基づいて利用目的毎に前記多目的車両の需要を求め、当該需要に基づいて各多目的車両の利用料金を更新する。
【0013】
第4の態様に係る配車システムでは、多目的車両の依頼実績に係る実績情報に基づいて、利用目的毎に多目的車両の需要を求め、当該需要に基づいて多目的車両の利用料金を更新することができる。これにより、例えば、実績情報に基づいて需要が低いとされる利用目的の車両は値下げし、需要が高いとされる利用目的の車両は値上げして、どの利用目的の車両にも一定の需要を生むことができる。その結果、多目的車両の稼働率が高まる。
【0014】
第5の態様に係る配車システムは、第4の態様に記載の構成において、前記車両情報には、利用目的ごとに割り当てられる前記多目的車両の台数が含まれており、前記車両情報更新部は、前記実績情報に基づいて利用目的毎に前記多目的車両の需要を求め、当該需要に基づいて、利用目的ごとに割り当てられる前記多目的車両の台数を決定している。
【0015】
第5の態様に係る配車システムでは、実績情報に基づいて利用目的毎に多目的車両の需要を求め、当該需要に基づいて、利用目的ごとに割り当てられる多目的車両の台数が決定される。これにより、例えば、実績情報に基づいて需要が低いとされる利用目的の車両の台数は減らし、需要が高いとされる利用目的の車両は台数を増やすことで、どの利用目的の車両にも一定の需要を生むことができる。その結果、多目的車両の稼働率を高めることができる。
【0016】
第6の態様に係る配車システムは、第3の態様~第5の態様の何れか1態様に記載の構成において、前記配車管理部は、取得された前記車両情報に基づいて、前記候補車両の中から、目的地となる前記建物までの移動距離が最短であって、かつ、目的地まで運転することが可能な所定の前記多目的車両を前記建物に配車する。
【0017】
第6の態様に係る配車システムにおいて、配車管理部では、取得された車両情報に基づいて、候補車両の中から目的地となる前記建物までの移動距離が最短であって、かつ、目的地まで運転することが可能な所定の多目的車両を決定する。これにより、複数の地点を回る多目的車両の走行ルートを効率化することができ、車両の稼働率を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、第1の態様に係る建物によれば、増築やリフォーム等を伴うことなく、多目的に利用できる空間を得ることができるという優れた効果を有する。
【0019】
第2の態様に係る建物によれば、多目的車両の内部の空間を、建物本体の内部の空間との一体感を備えつつ、建物本体とは別の独立性の高い空間にすることができるという優れた効果を有する。
【0020】
第3の態様に係る配車システムによれば、ユーザが、利用目的に応じた空間を提供できる多目的車両の手配をすることができるという優れた効果を有する。
【0021】
第4の態様~第6の態様に係る配車システムによれば、多目的車両の稼働率を高めることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る建物の正面図である。
図2】本実施形態に係る配車システムの概略構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る多目的車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る多目的車両の機能構成の例を示すブロック図である。
図5】本実施形態に係る配車管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る配車管理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図7】本実施形態に係る配車手配処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8】本実施形態に係る車両決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る車両情報更新処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図9を用いて、本実施形態に係る建物10と、建物10に多目的車両30を配車する配車システム100について説明する。
【0024】
(建物)
図1に示されるように、建物10は、図示しない基礎の上に設けられた略直方体形状の建物本体12を備えている。建物本体12の一階部分12Aは、居室や廊下等が設けられる室内空間14と、インナガレージ16とで構成されている。このインナガレージ16は、屋外側に開放された略直方体形状の空間とされている。また、インナガレージ16の床は、後述する多目的車両30が駐車される駐車スペースPとして構成されている。
【0025】
建物本体12の室内空間14とインナガレージ16とは、建物本体12の外壁部の一部を構成する区画壁18によって区画されている。この区画壁18には、室内空間14とインナガレージ16とを連通させる矩形状の開口部20が設けられている。この開口部20には、一例として、図示しない窓枠が取り付けられており、窓枠には、開口部20の開閉を行うドア部材や窓部材等の開閉部材が保持されている。
【0026】
一方、図1には、インナガレージ16の駐車スペースPに駐車された状態の多目的車両30が示されている。この多目的車両30は、一例として、略直方体形状に形成されている。また、多目的車両30は、幅方向の側面30Aに矩形状の車両開口部32が設けられている。この車両開口部32には、車両開口部32の開閉を行うスライドドア等のドア部材が設けられている。
【0027】
多目的車両30の内部には、車室34が設けられている。この車室34には、所定の利用目的に対応する室内空間が形成されている。所定の利用目的に対応する室内空間とは、例えば、各種トレーニングマシンを備えたトレーニングルームや、大画面で映像作品を鑑賞できるシアタールーム、勉強部屋、オフィス、各種販売店舗、宿泊用の居室等の空間である。
【0028】
上記多目的車両30をインナガレージ16の駐車スペースPに駐車した状態では、区画壁18に設けられた開口部20と多目的車両30の車両開口部32とが対向して配置されている。また、建物本体12の開口部20と多目的車両30の車両開口部32が連結部材40を用いて連結されており、ユーザは、開口部20と車両開口部32を通って室内空間14と車室34とを行き来することができる。
【0029】
本実施形態では、車室34の中にいるユーザが室内空間14との一体感を感じることができるように、建物本体12の開口部20は、形状及び大きさが車両開口部32と同一に設定されている。また、室内空間14の床F1の床高が、多目的車両30の車室34の床F2の床高と同じ高さに設定されているため、室内空間14から車室34へスムーズに移動できる。
【0030】
なお、開口部20と車両開口部32の形状及び大きさが互いに異なる形状等で構成しても本発明は実施できる。しかし、室内空間14から車室34への移動をスムーズにする観点では、少なくとも、開口部20の下端部20Uと車両開口部32の下端部32Uの位置が同じ高さに設定されていることが好ましい。
【0031】
連結部材40は、例えば、矩形状の板状部材で構成されており、開口部20及び車両開口部32の下端部20U、32Uの間に架け渡されている。連結部材40は、通常、多目的車両30の車室34の床下、又は、室内空間14の床下等に格納されており、使用時に、これらの床下から引き出して使用される。本実施形態の連結部材40は、開口部20及び車両開口部32の下端部20U、32Uの下方側で、建物本体12(区画壁18)と多目的車両30とを連結している。このため、連結部材40は、開口部20及び車両開口部32に各々設けられた図示しない開閉部材と干渉しない位置に配置されているため、開口部20と車両開口部32が連結された状態において開閉部材の開閉操作が可能に構成されている。従って、各々の開閉部材を閉塞することにより、多目的車両30の車室34の独立性が高まる。
【0032】
本実施形態では、開口部20及び車両開口部32の下端部20U、32U間のみを連結部材40で連結したが、上述したとおり、インナガレージ16の内部に駐車スペースPが設けられている。このため、開口部20及び車両開口部32の開閉部材を開放状態にして過ごしても、屋外の天候による影響が少ない構成となっている。なお、建物本体に隣接する屋根のない駐車スペース等では、開口部20及び車両開口部32の全周を連結部材で連結し、室内空間14や車室34に風や雨が侵入することを防ぐ構成としてもよい。
【0033】
(配車システム)
次に、上記構成の建物10に多目的車両30を配車する配車システム100について説明する。図2は、配車システム100の概略構成を示すブロック図である。
【0034】
(概略)
図2に示されるように、本実施形態に係る配車システム100は、複数の多目的車両30(30A、30B等)と、ユーザ端末60と、配車管理装置70と、を含んで構成されている。
【0035】
各々の多目的車両30は、車両制御装置50を備えている。そして、配車システム100において、多目的車両30に搭載された車両制御装置50、ユーザ端末60、配車管理装置70は、ネットワークNを介して相互に接続されている。
【0036】
(多目的車両)
図3は、多目的車両30に搭載される機器のハードウェア構成を示すブロック図である。多目的車両30は、車両制御装置50の他、GPS(Global Positioning System)装置52と、センサ54と、アクチュエータ56と、を含んでいる。
【0037】
車両制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)50A、ROM(Read Only Memory)50B、RAM(Random Access Memory)50C、ストレージ50D、通信I/F(Inter Face)50E及び入出力I/F50Fを含んで構成されている。CPU50A、ROM50B、RAM50C、ストレージ50D、通信I/F50E及び入出力I/F50Fは、バス50Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU50Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU50Aは、ROM50Bからプログラムを読み出し、RAM50Cを作業領域としてプログラムを実行する。本実施形態では、ROM50Bに実行プログラムが記憶されている。CPU50Aが実行プログラムを実行することで、車両制御装置50は、図4に示す運転指示受信部510、走行計画生成部520、自動運転制御部530、ユーザ情報取得部540、ユーザ情報送信部550として機能する。
【0039】
ROM50Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM50Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0040】
記憶部としてのストレージ50Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを記憶している。
【0041】
通信部としての通信I/F50Eは、他の車両制御装置50、ユーザ端末60、配車管理装置70及び図示しない情報サーバ等と通信すべく、ネットワークNに接続するためのインタフェースを含む。当該インタフェースは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。
【0042】
入出力I/F50Fは、多目的車両30に搭載される各装置と通信するためのインタフェースである。本実施形態の車両制御装置50は、入出力I/F50Fを介してGPS装置52、センサ54、アクチュエータ56が接続されている。
【0043】
GPS装置52は多目的車両30の現在位置を測定する装置である。GPS装置52は、GPS衛星からの信号を受信するアンテナ(図示省略)を含んでいる。
【0044】
センサ54は、多目的車両30の周囲の周辺情報を検出する外部センサ群と、多目的車両30の走行状態を検出する内部センサ群、車室34内の情報を検出する車内センサ群を含んでいる。外部センサ群は、カメラやミリ波レーダ、ライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)等を含む。内部センサ群は、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサのうち少なくとも一つを含む。車内センサ群は、車内を撮影する室内カメラや各種利用目的に対応して車室に搭載された各種機器の利用状況を検出する各種センサを含んでいる。
【0045】
アクチュエータ56は、多目的車両30の操舵輪を駆動させるステアリングホイールアクチュエータ、多目的車両30の加速を制御するアクセルアクチュエータ、多目的車両30の減速を制御するブレーキアクチュエータを含んでいる。
【0046】
図4は、車両制御装置50の機能構成の例を示すブロック図である。図4に示されるように、車両制御装置50は、運転指示受信部510、走行計画生成部520、自動運転制御部530、ユーザ情報取得部540、ユーザ情報送信部550を有している。各機能構成は、CPU50AがROM50Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0047】
運転指示受信部510は、通信I/F50Eを介して後述する配車管理装置70から送信された目的地となる建物10への運転指示を受信する。
【0048】
走行計画生成部520は、GPS装置52から多目的車両30の現在位置である位置情報を取得し、目的地となる建物10まで多目的車両30を走行させるための走行計画を生成する機能を有している。
【0049】
自動運転制御部530は、走行計画生成部520で生成された走行計画に基づいて、多目的車両30の自動運転を制御する。
【0050】
ユーザ情報取得部540は、センサ54から車室34内のユーザの利用状況に係るユーザ情報を取得する。具体的には、車室34内に設置された機器の利用頻度や内容を取得する。例えば、車室34にトレーニングルームが設けられた多目的車両30の場合、車室34に設置された複数のトレーニングマシンの使用頻度や、使用時間、及び、これらの情報から算出されるユーザの消費カロリー等の情報を取得する。若しくは、車室34にシアタールームが設けられた多目的車両30の場合、映画等の視聴したコンテンツに係る情報を取得する。
【0051】
ユーザ情報送信部550は、ユーザ情報取得部540で取得されたユーザ情報を通信I/F50Eを介して配車管理装置70に送信する。
【0052】
(ユーザ端末)
ユーザ端末60は、基本的には、一般的なコンピュータの構成とされており、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、建物10に配設さられたHEMS( Home Energy Management System)等により構成されている。図示はしないが、ユーザ端末60は、CPU,ROM、RAM、通信I/F及び情報の表示及び入力が可能な表示入力部を備え、それぞれシステムバスやデータバス等のバスに接続されている。
【0053】
本実施形態では、ユーザ端末60は、ユーザの操作によって所定の多目的車両30を手配するための依頼情報を生成する機能を有している。依頼情報には、建物10の住所、配車希望時間、利用時間、多目的車両30の利用目的等が含まれている。多目的車両30の利用目的は、トレーニングルーム、シアタールーム、勉強部屋、オフィス、宿泊ルーム等の複数の利用目的の中から選択される。なお、利用目的としてトレーニングルームを選択する場合は、車室34に設置されるトレーニングマシンの種類や数によって、更に複数の項目を依頼情報として選択可能に構成してもよい。また、利用目的としてシアタールームを選択する場合は、上映する映画等の映像コンテンツの種類によって、更に複数の項目を依頼情報として選択してもよい。また、ユーザ端末60は、生成された依頼情報を配車管理装置に送信する機能を有する。
【0054】
(配車管理装置)
図5は、配車管理装置70に搭載される機器のハードウェア構成を示すブロック図である。配車管理装置70は、CPU70A、ROM70B、RAM70C、ストレージ70D、通信I/F70E及び入出力I/F70Fを含んで構成されている。CPU70A、ROM70B、RAM70C、ストレージ70D、通信I/F70E及び入出力I/F70Fは、バス70Gを介して相互に通信可能に接続されている。CPU70A、ROM70B、RAM70C、ストレージ70D、通信I/F70E及び入出力I/F70Fの機能は、上述した車両制御装置50と同じである。
【0055】
CPU70Aは、ROM70Bからプログラムを読み出し、RAM70Cを作業領域としてプログラムを実行する。本実施形態では、ROM70Bに実行プログラムが記憶されている。CPU70Aが実行プログラムを実行することで、配車管理装置70は、依頼情報受信部710、車両情報取得部720、配車管理部730、ユーザ情報受信部740、ユーザ情報更新部750、及び車両情報更新部760として機能する。
【0056】
記憶部としてのストレージ70Dには、車両情報データベース70D1、実績情報データベース70D2、ユーザ情報データベース70D3が格納されている。車両情報データベース70D1には、各多目的車両30に割り当てられた利用目的や内装の仕様、単位時間ごとの利用料金(レンタル料金)、運行スケジュール、多目的車両30から送信された上記ユーザ情報等が対応付けられて格納されている。
【0057】
実績情報データベース70D2には、ユーザから配車の依頼をされた依頼実績に係る実績情報が多目的車両30毎に対応付けられて格納されている。この依頼実績には、例えば、配車依頼に応じて実際に配車された時間や、配車依頼がないため、車庫に戻った時間等に係る情報が格納されている。
【0058】
ユーザ情報データベース70D3には、ユーザ毎に過去の依頼履歴や依頼内容、多目的車両30の利用等が対応付けられた顧客情報が格納されている。
【0059】
図6は、配車管理装置70の機能構成の例を示すブロック図である。図6に示されるように、配車管理装置70は、依頼情報受信部710、車両情報取得部720、配車管理部730、ユーザ情報受信部740、ユーザ情報更新部750、及び車両情報更新部760を有している。各機能構成は、CPU70AがROM70Bに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0060】
依頼情報受信部710は、通信I/F50Eを介してユーザ端末60から送信された依頼情報を受信する。
【0061】
車両情報取得部720は、受信した依頼情報に基づいて車両情報データベース70D1から車両情報を取得する。車両情報は、車両情報データベース70D1に対応付けられた複数の多目的車両30の中から依頼情報の利用目的に適合する候補車両に係る情報である。
【0062】
配車管理部730は、後述する車両決定処理を実行することにより、車両情報取得部720で取得された車両情報に基づいて、建物10に所定の多目的車両30を配車する機能を有する。具体的には、車両情報に含まれる複数の候補車両の中から、建物10に配車する所定の多目的車両30を決定し、決定された所定の多目的車両30に運転指示を送信する。
【0063】
ユーザ情報受信部740は、建物10に配車された多目的車両30から送信されたユーザ情報を受信する。
【0064】
ユーザ情報更新部750は、受信したユーザ情報をユーザ情報をデータベースに記憶し、ユーザ毎のパーソナルデータを更新する機能を有する。また、ユーザ情報更新部750は、自動で、又はユーザ端末60からの要求により、パーソナルデータをユーザ端末60に送信する。
【0065】
車両情報更新部760は、後述する更新処理により、ストレージ70Dの実績情報データベース70D2に記憶された実績情報に基づいて、利用目的毎に多目的車両30の車両情報を更新する機能を有する。具体的には、実績情報に基づいて利用目的毎に多目的車両30の需要を求め、当該需要に基づいて、利用目的ごとに割り当てられる多目的車両30の利用料金及び割り当て台数を更新する。
【0066】
<配車システムの作用>
次に、ユーザ端末60から配車を依頼され、建物10に所定の多目的車両30が配車される際に、各装置間の処理の流れを図7のシーケンス図で説明する。ユーザが、ユーザ端末60に依頼情報を入力すると、ステップS201において、ユーザ端末60は依頼情報を生成し、ステップS202において、ユーザ端末60は、生成された依頼情報を配車管理装置70に送信する。
【0067】
ステップS203において、配車管理装置70では、CPU70Aが、依頼情報に基づいて、建物10に配車する所定の多目的車両30を決定する。この車両の決定に係る車両決定処理の詳細は、図8を用いて後述する。
【0068】
ステップS204において、CPU70Aが、配車の完了を報告する報告通知をユーザ端末60に送信する。
【0069】
ステップS205において、CPU70Aが、目的地となる建物10までの運転指示をステップS203で決定された所定の多目的車両30に送信する。
【0070】
ステップS206において、CPU70Aが、配車された多目的車両30の依頼実績に係る実績情報を実績情報データベース70D2に記憶(格納)する。
【0071】
ステップS207において、多目的車両30では、CPU50Aが、受信した運転指示に基づいて走行計画を生成する。
【0072】
ステップS208において、CPU50Aは、多目的車両30の自動運転により走行を開始する。
【0073】
ステップS209において、CPU50Aが、目的地である建物10に到着したと判断すると、ステップS210において、CPU50Aは、ユーザ情報を取得する。そして、ステップS211において、CPU50Aは、取得したユーザ情報を配車管理装置70に送信する。
【0074】
ステップS212において、配車管理装置70では、CPU70Aが、受信したユーザ情報をユーザ情報データベース70D3に格納して、ユーザ情報データベース70D3を更新する。
【0075】
ステップS213において、CPU70Aは、更新したユーザ情報をユーザ端末60に送信して処理を終了する。これにより、ユーザは、ユーザ端末60で受信した更新後のユーザ情報を確認して、次回の配車する車両の選定にあたり、活用することができる。
【0076】
(車両決定処理)
図8は、ステップS203における配車する多目的車両30の決定に係る車両決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
ステップS301において、配車管理装置70のCPU70Aは、受信した依頼情報に基づいて、車両情報データベース70D1から所定の車両情報を取得する。具体的には、依頼情報に基づいて、複数の多目的車両の中から依頼情報の利用目的に適合する候補車両に係る情報を取得する。
【0078】
ステップS302において、CPU70Aは、取得した車両情報に基づいて、候補車両の中から目的地の建物10に最も近い地点を走行する多目的車両30を選定する。
【0079】
ステップS303において、CPU70Aは、選定された多目的車両30が、建物10に配車可能な状態か否かを判定する。配車可能な状態か否かは、例えば、車両情報データベース70D1に格納された運行スケジュールを参照し、建物10まで配車可能な状態か否かを判定する。ステップS303において、配車可能であると判定された場合、ステップS304において、CPU70Aは建物10に配車する車両を決定し処理を終了する。
【0080】
一方、ステップS303において、CPU70Aに配車できないと判定された場合、ステップS305において、CPU70Aは、取得した車両情報に基づいて、候補車両の中から次に(2番目に)建物10に近い地点を走行する多目的車両30を選定する。
【0081】
ステップS306において、CPU70Aは、ステップS303と同様に選定された多目的車両30が、建物10に配車可能な状態か否かを判定する。配車可能であると判定された場合、ステップS304に移行して、CPU70Aは、建物10に配車する車両を決定し、処理を終了する。
【0082】
ステップS306において、CPU70Aに配車できないと判定された場合、ステップS305に戻って候補車両の中から次に建物10に近い地点を走行する多目的車両30を選定し、同様の処理を繰り返す。
【0083】
(車両情報更新処理)
次に、図9のフローチャートを用いて、配車管理装置70が実行する車両情報更新処理の流れを説明する。ステップS401において、配車管理装置70では、CPU70Aは、実績情報データベース70D2から実績情報を取得する。
【0084】
ステップS402においてCPU402は、取得した実績情報に基づいて、所定の利用目的毎に対応する多目的車両30の需要が、供給を下回っているか否かを判定する。
【0085】
なお、多目的車両30の需要は、例えば、所定の期間に蓄積された実績情報を参照して、所定の利用目的に適合する多目的車両30が車庫に滞在した時間の総計に基づいて判定される。例えば、車庫への滞在時間が所定の閾値より長い場合、所定の利用目的において、多目的車両30の需要が供給を下回ると判定する。また、車庫への滞在時間が所定の閾値と一致する場合、所定の利用目的において、多目的車両30の需要と供給が一致すると判定する。また、車庫への滞在時間が所定の閾値より短い場合、所定の利用目的において、多目的車両30の需要が供給を上回ると判定する。
【0086】
ステップS402において、CPU70Aが、所定の利用目的毎に対応する多目的車両30の需要が、供給を下回っていると判定した場合、ステップS403において、CPU70Aは、対応する多目的車両30の利用料金を値下げし、且つ、利用目的に適合する多目的車両30の割り当て台数を減らすように車両情報を更新して処理を終了する。
【0087】
一方、ステップS402において、CPU70Aに所定の利用目的毎に対応する多目的車両30の需要が供給を下回らないと判定された場合、ステップS404に移行する。
【0088】
ステップS404でCPU70Aは、所定の利用目的において、多目的車両30の需要と供給が一致するか否かを判定する。需要と供給が一致すると判定された場合、ステップS405において、CPU70Aは、対応する多目的車両30の利用料金及び当該利用目的に適合する多目的車両30の割り当て台数を維持するように車両情報を更新して処理を終了する。
【0089】
一方、ステップS404において、CPU70Aが、多目的車両30の需要と供給が一致しないと判定した場合、ステップS406において、CPU70Aは、所定の利用目的に対応する多目的車両30の需要が、供給を上回っていると判定する。そして、ステップS407において、CPU70Aは、対応する多目的車両30の利用料金を値上げし、且つ、当該利用目的に適合する多目的車両30の割り当て台数を増やすように車両情報を更新して処理を終了する。
【0090】
なお、上記車両情報更新処理では、多目的車両30の利用料金と利用目的毎の割り当て台数に係る情報を共に更新するものとしたが、どちらか一方のみを更新するように構成してもよい。
【0091】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0092】
以上説明したとおり、本実施形態の建物10は、駐車スペースPに多目的車両30を駐車すると、建物本体12の区画壁(外壁部)18に設けた開口部20と多目的車両30の車両開口部34が対向して配置され、建物本体12の室内空間14と多目的車両30の車室34とを行き来可能とされる。これにより、建物本体12の増築やリフォームを伴うことなく多目的車両30の車室34により多目的に利用できる空間を得ることができる。
【0093】
また、本実施形態では、室内空間14の床F1の床高が、多目的車両30の車室34の床F2の床高と一致している。このため、室内空間14と車室34とをスムーズに行き来することができる。これにより、多目的車両30の車室34が、建物本体12の室内空間14との一体感を備えつつ、建物本体12とは別の独立性の高い空間となる。
【0094】
また、本実施形態の配車システム100では、配車管理装置70は、ユーザ端末60から送信された依頼情報に基づいて、複数の多目的車両30の中から依頼情報に含まれる利用目的に適合する多目的車両を建物10に配車することができる。これにより、ユーザは、利用目的に応じた空間を提供できる多目的車両30の手配をすることができる。
【0095】
また、本実施形態の配車システム100では、多目的車両30の依頼実績に係る実績情報に基づいて、利用目的毎に多目的車両30の需要を求め、当該需要に基づいて多目的車両30の利用料金を更新することができる。具体的には、実績情報に基づいて需要が低いとされる利用目的の車両は値下げし、需要が高いとされる利用目的の車両は値上げして、どの利用目的の車両にも一定の需要を生むことができる。その結果、多目的車両の稼働率を高めることができる。
【0096】
また、本実施形態の配車システム100では、実績情報に基づいて利用目的毎に多目的車両30の需要を求め、当該需要に基づいて、利用目的ごとに割り当てられる多目的車両30の台数が決定される。具体的には、実績情報に基づいて需要が低いとされる利用目的の車両の台数は減らし、需要が高いとされる利用目的の車両は台数を増やすことで、どの利用目的の車両にも一定の需要を生むことができる。その結果、多目的車両30の稼働率を高めることができる。
【0097】
また、本実施形態の配車システム100において、配車管理部730では、取得された車両情報に基づいて、候補車両の中から目的地となる建物10までの移動距離が最短であって、かつ、目的地まで運転することが可能な所定の多目的車両30を決定する。これにより、複数の地点を回る多目的車両30の走行ルートを効率化することができ、車両の稼働率を高めることができる。
【0098】
[補足説明]
上記実施形態では、車両情報データベース70D1、実績情報データベース70D2、ユーザ情報データベース70D3を配車管理装置70が備える構成としたが、これらのデータベースが外部に存在してもよい。
【0099】
また、上記実施形態でCPU50A、70Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0100】
また、上記実施形態において、プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0101】
上記実施形態で説明した処理の流れは一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 建物
12 建物本体
18 区画壁(外壁部)
20 開口部
30 多目的車両
32 車両開口部(開口)
60 ユーザ端末
70 配車管理装置
100 配車システム
720 車両情報取得部
730 車両管理部
750 車両情報更新部
P 駐車スペース
F1 床(建物本体の内部の床)
F2 床(多目的車両の内部の床)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9