IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TBKの特許一覧

<>
  • 特許-ドラムブレーキ 図1
  • 特許-ドラムブレーキ 図2
  • 特許-ドラムブレーキ 図3
  • 特許-ドラムブレーキ 図4
  • 特許-ドラムブレーキ 図5
  • 特許-ドラムブレーキ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ドラムブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/54 20060101AFI20231221BHJP
   F16D 65/09 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F16D65/54 K
F16D65/09 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020082763
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021177092
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000220712
【氏名又は名称】株式会社TBK
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】喬 海超
(72)【発明者】
【氏名】飯室 智啓
(72)【発明者】
【氏名】鴨川 延明
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-242238(JP,A)
【文献】実開平02-072827(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材に設けられて前記回転部材と一体的に回転可能な円筒状のブレーキドラムと、
固定部材に揺動自在に設けられて、前記ブレーキドラムの内周面に沿って配設されるブレーキライニングを有するブレーキシューと、
ブレーキ操作に応じて前記ブレーキシューを揺動させて前記ブレーキライニングを前記ブレーキドラムの内周面に押し付けるエキスパンダとを備えるドラムブレーキであって、
前記エキスパンダは、ブレーキ操作に応じて軸方向に押圧力を作用させる押圧力発生部材と、前記押圧力発生部材に対して前記軸方向回りに回転自在に設けられる伝達部材と、前記伝達部材に対して前記軸方向に螺合されるとともに前記ブレーキシューに対して前記軸方向回りに回転不能に接続されて、前記伝達部材から伝達される押圧力により前記ブレーキシューを揺動させて前記ブレーキライニングを前記ブレーキドラムの内周面に押し付ける押圧部材とを有し、前記伝達部材を前記軸方向回りに回転させて前記押圧部材を前記軸方向に繰り出させることで、前記伝達部材に対する前記押圧部材の前記軸方向の相対位置を変位させて、前記ブレーキライニングと前記ブレーキドラムの内周面との間の間隙を調整する間隙調整機構を備えており、
前記押圧部材は、当該押圧部材が前記伝達部材に対して前記軸方向に規定量を超えて繰り出されることを規制するストッパを備えていることを特徴とするドラムブレーキ。
【請求項2】
前記伝達部材は、前記押圧部材を前記軸方向に沿って受容する受容部を有し、
前記受容部には、ストッパ受け部が設けられており、
前記押圧部材が前記軸方向に前記規定量だけ繰り出されたときに、前記ストッパが前記ストッパ受け部に当接することで、当該押圧部材が前記軸方向に規定量を超えて繰り出されることが規制されることを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記伝達部材に螺合されて前記受容部に受容される第1押圧部材と、前記第1押圧部材の先端側に設けられて前記ブレーキシューに接続される第2押圧部材とを有し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とが互いに分離可能に結合されていることを特徴とする請求項2に記載のドラムブレーキ。
【請求項4】
前記伝達部材と前記押圧力発生部材との間には、前記押圧力発生部材に対する前記伝達部材の前記軸方向周り一方向への相対回転を許容して前記軸方向周り他方向への相対回転を規制するラップスプリングが配設されており、
前記ストッパの外径は前記ラップスプリングの内径よりも小径に形成されて、前記ストッパが前記ラップスプリングに対して前記軸方向に挿通可能に構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のドラムブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムブレーキに関し、さらに詳しくは間隙調整機構を備えたドラムブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ドラムブレーキは、車軸と一体回転可能に取り付けられた円筒状のブレーキドラムと、アンカーブラケットに揺動可能に保持されてブレーキドラムの内周面に沿って配設される一対のブレーキシューとを有し、ブレーキドラムと対向してブレーキシューに設けられるブレーキライニングをブレーキドラムの内周面に押し付けることにより、両者間に生じる摩擦を利用してブレーキドラム(車軸に設けられた車輪)の回転を制動するものである。
【0003】
このようなドラムブレーキには、ブレーキシューの先端にブレーキ操作に応じて外方に張出作動するエキスパンダを取り付け、エキスパンダの張出作動によりブレーキシューを揺動させてブレーキライニングをブレーキドラムの内周面に押し付ける構成のものがある。このドラムブレーキのエキスパンダは、タペットと、タペットに同軸的に取り付けられるスリーブと、スリーブに螺合されるとともに外端部がブレーキシューに繋がるスクリュウとを有し、タペットをハウジングに形成された収容空間に嵌挿させて構成されている。ここで、タペットとスリーブとはサークリップを介して接続されて、軸線方向の相対移動が規制されている。また、タペットとスリーブとの間には、ワンウェイクラッチが配設されて、タペットに対するスリーブの軸線回りの一方向への回転は許容され、軸線回りの他方向への回転は規制されるようになっている。ブレーキドラムとの摩擦によりブレーキライニングは摩耗するが、この摩耗によりブレーキライニングとブレーキドラムとの間隙(以下、シュークリアランスとも称する)が大きくなると、ブレーキの効きを悪化させる原因ともなる。そのため、ドラムブレーキには、ブレーキライニングの摩耗に応じてシュークリアランスを詰めて、ブレーキライニングとブレーキドラムとの間隙を常に一定に保持するよう自動的に調整する間隙調整機構が備えられている(例えば、特許文献1を参照)。間隙調整機構は、スリーブをスクリュウに対して単独で相対回転(前記一方向へ回転)させて、スリーブに螺合するスクリュウを外方に向けて繰り出させることによりブレーキライニングを揺動させてシュークリアランスを詰めるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-242238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のドラムブレーキでは、ブレーキライニングの摩耗が進展して一定の摩耗限界(使用限界)に達した後もシュークリアランスが調整されると、スクリュウが外方に過剰に繰り出されることでブレーキドラムと干渉して(ブレーキドラムに喰い込んで)、間隙調整機構やブレーキドラムが損傷するおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、シュークリアランスが過調整されることによって間隙調整機構やブレーキドラムが損傷する事態を防止することのできるドラムブレーキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るドラムブレーキは、回転部材に設けられて前記
回転部材と一体的に回転可能な円筒状のブレーキドラムと、固定部材に揺動自在に設けられて、前記ブレーキドラムの内周面に沿って配設されるブレーキライニングを有するブレーキシューと、ブレーキ操作に応じて前記ブレーキシューを揺動させて前記ブレーキライニングを前記ブレーキドラムの内周面に押し付けるエキスパンダとを備えるドラムブレーキであって、前記エキスパンダは、ブレーキ操作に応じて軸方向に押圧力を作用させる押圧力発生部材と、前記押圧力発生部材に対して前記軸方向回りに回転自在に設けられる伝達部材と、前記伝達部材に対して前記軸方向に螺合されるとともに前記ブレーキシューに対して前記軸方向回りに回転不能に接続されて、前記伝達部材から伝達される押圧力により前記ブレーキシューを揺動させて前記ブレーキライニングを前記ブレーキドラムの内周面に押し付ける押圧部材とを有し、前記伝達部材を前記軸方向回りに回転させて前記押圧部材を前記軸方向に繰り出させることで、前記伝達部材に対する前記押圧部材の前記軸方向の相対位置を変位させて、前記ブレーキライニングと前記ブレーキドラムの内周面との間の間隙を調整する間隙調整機構を備えており、前記押圧部材は、当該押圧部材が前記伝達部材に対して前記軸方向に規定量を超えて繰り出されることを規制するストッパを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るドラムブレーキにおいて、前記伝達部材は、前記押圧部材を前記軸方向に沿って受容する受容部を有し、前記受容部には、ストッパ受け部が設けられており、前記押圧部材が前記軸方向に前記規定量だけ繰り出されたときに、前記ストッパが前記ストッパ受け部に当接することで、当該押圧部材が前記軸方向に規定量を超えて繰り出されることが規制されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るドラムブレーキにおいて、前記押圧部材は、前記伝達部材に螺合されて前記受容部に受容される第1押圧部材と、前記第1押圧部材の先端側に設けられて前記ブレーキシューに接続される第2押圧部材とを有し、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とが互いに分離可能に結合されていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係るドラムブレーキにおいて、前記伝達部材と前記押圧力発生部材との間には、前記押圧力発生部材に対する前記伝達部材の前記軸方向周り一方向への相対回転を許容して前記軸方向周り他方向への相対回転を規制するラップスプリングが配設されており、前記ストッパの外径は前記ラップスプリングの内径よりも小径に形成されて、前記ストッパが前記ラップスプリングに対して前記軸方向に挿通可能に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドラムブレーキによれば、押圧部材の繰出量が規定量に達したときにストッパ機能が発動して、押圧部材が過剰に繰り出されることが防止されることで、ブレーキライニングの使用限界を超えてドラムブレーキが継続使用されたとしても、ブレーキ作動時に押圧部材がブレーキドラムと干渉することが防止されるため、間隙調整機構やブレーキドラムが損傷する事態、および車輪ロックが発生する事態を効果的に抑止することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るドラムブレーキでは、押圧部材を第1押圧部材と第2押圧部材とに二分割して、第1押圧部材と第2押圧部材とを分離可能に結合したことで、押圧部材とブレーキハウジングとに跨って防塵用のブーツを取り付ける場合に、第1押圧部材と第2押圧部材とを分離させた状態でブーツをブレーキハウジングに装着することができるため、ブーツの交換作業を容易化することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明に係るドラムブレーキでは、ストッパの外径がラップスプリングの内径よりも小径に形成されて、ストッパがラップスプリングに対して軸方向に挿通可能に構成
されているため、ドラムブレーキ全体を小型コンパクト化しながらも、押圧部材の繰り出し方向(軸方向)のストロークを大きく確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態のドラムブレーキを示す正面図である。
図2図1における矢印A-Aに沿って示す断面図であり、上記ドラムブレーキの非作動時を示す。
図3図1における矢印A-Aに沿って示す断面図であり、上記ドラムブレーキの作動時を示す。
図4】上記ドラムブレーキのスリーブアッシーの分解状態を示す断面図である。
図5】上記ドラムブレーキのスクリュウの組立状態を示す断面図である。
図6】上記ドラムブレーキのスクリュウの分解状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明の一実施形態に係るドラムブレーキの全体構成について図1図6を参照して説明する。なお、図2図3等では、図を見易くするために、一部の断面部のハッチングを省略している。
【0016】
ドラムブレーキBは、図1に示すように、ダストカバー29とともに車体に固定されるアンカーブラケット2と、車軸1に設けられて該車軸1と一体的に回転するブレーキドラム31を設けてなるドラムユニット3と、アンカーブラケット2に揺動自在に設けられてブレーキドラム31の内周面に沿って配設される一対のブレーキシュー40,40を備えたブレーキシューユニット4と、ブレーキ操作に応じてブレーキシュー40,40を揺動させてブレーキドラム31の内周面に押し付けるエキスパンダ5とを主体に構成される。なお、図1においてはドラムユニット3(ブレーキドラム31)を二点鎖線で示し、詳細な図示を省略している。
【0017】
アンカーブラケット2は、中央に円孔状の開口21を有し、この開口21の周囲に設けたボルト孔22に挿入されるボルト(図示せず)を介して車体のアクスルハウジング(図示せず)に固定される。また、アンカーブラケット2の下部には、その厚さ方向(図1紙面直交方向)に二股に分かれるブレーキシュー支持部25が形成されており、このブレーキシュー支持部25に一対のピン挿入口24が正面視左右に並んで開設されている。
【0018】
ドラムユニット3は、アンカーブラケット2の開口21から外方へ突出する車軸1上にベアリングを介して回転可能に取り付けられたホイールハブ(図示せず)に、ホイールリム(図示せず)が取り付けられるとともに、ブレーキドラム31が結合されて構成されている。なお、ホイールリムには車輪が取り付けられ、ブレーキドラム31と車輪とがホイールハブを介して一体回転するようになっている。
【0019】
ブレーキシューユニット4は、アンカーブラケット2を挟んで正面視左右に配設された二つのブレーキシュー40,40を有して構成される。各ブレーキシュー40は、弧状に延びるウェブ部41と、ウェブ部41の外周端に取り付けられるリム部42と、リム部42にリベット等により固着されるブレーキライニング(以下、「ライニング」と呼称する)43とを有して構成される。ブレーキシュー40は、ブレーキドラム30の内周面に沿って配設されており、ライニング43をブレーキドラム31の内周面に対向させている。
【0020】
ブレーキシュー40は、基端部がブレーキシュー支持部25のピン挿入口24に挿入されたアンカーピン44を介してアンカーブラケット2に枢結されており、このアンカーピン44を揺動中心として図1における左右方向に揺動可能とされる。一対のブレーキシュ
ー40,40の先端部同士の間には、これらを相互に接続するリターンスプリング45が跨設されている。そして、ブレーキ操作がなされていないとき(ブレーキの非作動時)には、各ブレーキシュー40はリターンスプリング45の付勢力を受けて内方に揺動した位置(すなわち、ブレーキドラム31と離間した位置)に保持される。
【0021】
また、一対のブレーキシュー40,40の先端部同士の間には、アンカーブラケット2に固定されたエキスパンダ5が配設されている。後に詳述するが、エキスパンダ5は、ブレーキ操作がなされたとき(ブレーキの作動時)に、各スクリュウ57の張出作動(繰出作動)により各ブレーキシュー40の先端部をリターンスプリング45の付勢力に抗して外方へ押圧する。各ブレーキシュー40は、各アンカーピン44を中心にそれぞれ外方へ揺動し、各ライニング43がブレーキドラム31の内周面に押し付けられ、両者の間の摩擦力によりブレーキドラム31の回転が制動される。それにより、ブレーキドラム31と一体回転する車輪に対して所定のブレーキ作用が得られることになる。
【0022】
エキスパンダ5は、図2および図3に示すように、中央にウェッジ収容部51aを空間形成するとともに両側部からウェッジ収容部51aに連通した一対のシリンダ部51b,51bを形成してなるハウジング51と、ウェッジ収容部51aに挿抜可能に取り付けられるウェッジ52と、各シリンダ部51b内に嵌挿されて軸線Xの方向(以下「軸線方向」とも呼称する)に摺動可能に配設されるスリーブアッシー53と、スリーブアッシー53と軸線方向に螺合してハウジング51の側部外方へ向けて延出するスクリュウ57とを備えて構成される。ハウジング51のシリンダ部51bの開口端には、該シリンダ部51b内への粉塵の混入を防止するブーツ59が着脱自在に取り付けられている。
【0023】
エキスパンダ5は、図2および図3において左右対称に構成されており、以下では、図2および図3に示すエキスパンダ5の配設姿勢を基準として、軸線方向におけるハウジング51の内方側(ウェッジ収容部51a側)を「一端側」、軸線方向におけるハウジング51の外方側(ブレーキシュー40側)を「他端側」と呼称して説明する。なお、図2はブレーキの非作動時におけるエキスパンダ5の状態を示し、図3はブレーキの作動時におけるエキスパンダ5の状態を示している。
【0024】
ウェッジ52は、シャフト状に形成されて、チャンバ9内のダイヤフラムの作動によりハウジング51に対して軸線方向と直交する方向(以下「軸線直交方向」とも呼称する)に挿抜可能に取り付けられている。このウェッジ52は、ブレーキの非作動時(ブレーキの解除時)には、図2に示すように、ウェッジスプリング52aの付勢力によりウェッジ収容部51aに対して外方へ抜出された状態とされる。一方、ウェッジ52は、ブレーキの作動時には、図3に示すように、ウェッジスプリング52aの付勢力に抗して、ウェッジ収容部51a内を軸線直交方向(図3では下方)に移動して、ウェッジ収容部51aに対して挿入された状態とされる。ウェッジ収容部51a内に挿入される側の端部である挿入端部52bは、先端に向かって尖る楔形に形成されており、軸線方向の両側に傾斜面52cを有している。また、ウェッジ52の先端側(挿入端部52b側)には、一対のローラ52fを支持するローラ保持体52eが設けられている。一対のローラ52fは、ローラ保持体52eに対して回転自在且つ互いに近接および離間する方向(軸線方向)に移動可能に設けられている。また、ローラ保持体52eは、軸線直交方向に沿って往復動自在に設けられており、常にはウェッジスプリング52aによってウェッジ52とともにハウジング51の外方側(図3では上方)に付勢されている。このローラ保持体52eは、ウェッジ52と協働して、ウェッジ52の軸線直交方向の直線運動を、スリーブアッシー53の軸線方向の直線運動に変換する。
【0025】
スリーブアッシー53は、図4に示すように、軸線方向の一端側に外径がシリンダ部51bの内径よりも僅かに小さく形成された本体部54aを有して軸線方向の他端側に本体
部54aよりも外径の小さい54bを有するタペット54と、タペット54の本体部54aと外径の等しい円筒状に形成されて軸線方向の一端側でタペット54の円筒部54bに対して外側に嵌合されるスリーブ55と、タペット54およびスリーブ55の嵌合面に設けられて両者を接続し、互いの軸線方向への相対移動を規制するC字形のサークリップ56と、タペット54およびスリーブ55の間に支持されたラップスプリング61とを有して構成される。
【0026】
タペット54は、互いに外径の異なる本体部54aおよび円筒部54bから段付き円筒状に形成されている。本体部54aの一端側には、ウェッジ52の傾斜面52aと略平行となる傾斜面54cが形成されている。円筒部54bには、ラップスプリング61の一端側を支持するスプリング取付孔54sが形成されている。また、円筒部54bには、外周面の全周に亘りリング取付溝54rが形成されている。タペット54は、シリンダ部51bの最内方に嵌挿されて、傾斜面54cをローラ52fの周面に当接させており、ウェッジ52の挿抜作動によりローラ52fを介してシリンダ部51b内を軸線方向に摺動可能になっている。
【0027】
スリーブ55は、軸線方向に沿って延びる貫通孔55aを有した中空の略円筒状に形成されている。貫通孔55aは、軸線方向の一端側から順に、タペット54の円筒部54bが嵌合される円筒孔55bと、ラップスプリング61の軸線方向の他端側を支持するスプリング取付孔55sと、スクリュウ57の軸線方向の一端側に形成されたストッパ57dが挿通されるストッパ挿通孔55cと、スクリュウ57の雄ネジ部57cが螺合される雌ネジ部55dとが同軸的に連通されて構成されている。このスリーブ55の円筒孔55bには、内周面の全周に亘り円環状のリング取付溝55rが形成されている。また、ストッパ挿通孔55cの内径は、ストッパ57dの外径よりも大径に形成されている。このストッパ挿通孔55cと雌ネジ部55dとの間の段差部には、軸線方向と直交する方向に延びる環状のストッパ受け部55eが形成されている。
【0028】
タペット54の円筒部54bとスリーブ55の円筒孔55bとを嵌合させると、円筒部54bの外周面に沿って刻設されるリング取付溝54rと、円筒孔55bの内周面に沿って刻設されるリング取付溝55rとが整合して、タペット54とスリーブ55との嵌合面間に、サークリップ56を装着するための一体の空隙が形成される。また、タペット54の円筒部54bとスリーブ55の円筒孔55bとを嵌合させると、円筒部54bの他端側に開口されるスプリング取付孔54sと、スリーブ55の一端側に開口されるスプリング取付孔55sとが整合して、タペット54とスリーブ55との内部に、ラップスプリング61を配設するための一体の空隙が形成される。
【0029】
サークリップ56は、例えば焼入れ・焼戻しあるいはオーステンパ等の熱処理を施した鋼線材で形成されて、円環の一部を切り欠いたC形状(正面リング状)をなして縮径方向に弾性変形可能に形成される。このサークリップ56は、タペット54とスリーブ55との嵌合面間において互いに整合して一体となったリング取付溝54r,55r内に配設されることで、タペット54とスリーブ55とを軸線方向に離脱不能に連結される。
【0030】
ラップスプリング61は、例えば円断面の素線を巻回してコイル状に加工されたばね素材を所定長さに切断して得られた圧縮コイルスプリングである。このラップスプリング61は、一端側の外周面がタペット54のスプリング取付孔54sの内周面に係合され、他端側の外周面がスプリング取付溝55sの内周面に係合されて、軸線方向に弾性的に圧縮変形された状態で取り付けられている。このラップスプリング61は、ワンウェイクラッチ機能を有し、コイルの外径が縮小する縮径方向(例えばコイルの巻回方向が右巻きの場合には右回転)にはスリーブ55のタペット54に対する軸線回りの相対回転を許容し、コイル外径が拡大する拡径方向(例えばコイルの巻回方向が右巻きの場合には左回転)に
は、外周面がタペット54およびスリーブ55に喰い付いてこれらを一体化し、この相対回転を阻止する。なお、図2に示すように、ラップスプリング61の内径はストッパ57dの外径よりも大径に形成されており、このラップスプリング61内をストッパ57dが軸線方向に挿通可能となっている。それにより、ドラムブレーキB全体を小型コンパクト化しながらも、スクリュウ57の繰り出し方向(軸線方向)のストロークを大きく確保することができる。
【0031】
スクリュウ57は、図5および図6などに示すように、スリーブ55の貫通孔55a内に受容されるネジ軸部57aと、このネジ軸部57aに皿ボルト57jにより分離可能に締結される調整ダイヤル部57bとを備えて構成される。
【0032】
ネジ軸部57aは、軸線方向に延びるロッド状に形成されており、その外周面に雄ネジ部57cを有している。この雄ネジ部57cは、スリーブ55の雌ネジ部55cに螺合される。また、このネジ軸部57aの軸線方向の一端側には、雄ネジ部57cよりも大きい外径となる鍔状のストッパ57dが一体的に形成されている。このストッパ57dは、スリーブ55の貫通孔55a内に挿通されてストッパ受け部55eと当接可能に形成されている。それにより、スクリュウ57がスリーブ55の貫通孔55aに抜け止め状態で取り付けられることとなる。また、ネジ軸部57aの軸線方向の他端側には、調整ダイヤル部57b側に向けて凸形状となる嵌合部57eが形成されている。この嵌合部57eの軸心には、皿ボルト57jが螺着されるネジ孔57fが軸線方向に穿設されている。
【0033】
調整ダイヤル部57bは、ネジ軸部57aの軸線方向の他端側に着脱自在に取り付けられる。この調整ダイヤル部57bには、スクリュウ57の螺合軸回りに回動可能にクリップ58が係止されている。クリップ58は、ブレーキシュー40のウェブ部41と係合している。スクリュウ57は、調整ダイヤル部57bを挟持して設けられるクリップ58を介してブレーキシュー40に接続される。また、調整ダイヤル部57bには、皿ボルト57jが挿通される中心孔57gが軸線方向に貫通形成されている。また、調整ダイヤル部57bには、ネジ軸部57aの嵌合部57eと嵌合可能に形成された嵌合孔57hが凹設されている。さらに、調整ダイヤル部57bの外周部には、ブーツ装着溝57iが周方向に沿って形成されている。
【0034】
かかる構成のスクリュウ57は、ネジ軸部57aの嵌合部57eを調整ダイヤル部57bの嵌合孔57hに嵌合させた後、皿ボルト57jを調整ダイヤル部57bの中心孔57gを介してネジ軸部57aのネジ孔57fに螺合させることで一体的に組み立てられる。また、このスクリュウ57は、ネジ軸部57aの雄ネジ部57cをスリーブ55の雌ネジ部55dに螺合させることで、スリーブ55に取り付けられる。このスクリュウ57とハウジング51との間には、シリンダ部51b内への粉塵の混入を防止するブーツ59が着脱自在に取り付けられる。このブーツ59の取り付け方としては、まず、ネジ軸部57aをハウジング51の貫通孔51aに抜け止め状態で取り付けた後、ブーツ59の一端側をハウジング51のブーツ装着孔51dに圧入する。そして、調整ダイヤル部57bを皿ボルト57jによりネジ軸部57aに締結して、この調整ダイヤル部57bのブーツ装着溝57jにブーツ59の他端側を係合させれば、ブーツ59がスクリュウ57とハウジング51との間に跨って取り付けられることとなる。このようにスクリュウ57をネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとに二分割したことで、ネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとを分離させた状態でブーツ59をハウジング51に装着することができるため、ブーツ59の交換作業を容易化することが可能となる。なお、ネジ軸部57aと調整ダイヤル57bとの締結部材(締結手段)として、例えば、ノックピンや止め輪などの他の締結部材(締結手段)を適用してもよい。
【0035】
スリーブ55の外周面には、螺旋状のヘリカルスプライン55fが刻設されており、こ
のヘリカルスプライン55fに対して所定のガタ(例えば3mm)を有してドライブリング62が噛合している。ドライブリング62は、シリンダ部51bの外端に形成された傾斜面51cと当接する円錐面62aを有し、このドライブリング62を軸線方向の一端側へ向けて付勢するドライブスプリング63により傾斜面51cおよび円錐面62aの間に所定の摩擦抵抗を付与するように構成されている。
【0036】
かかる構成のエキスパンダ5は、ライニング43に摩耗が生じたときに、ライニング43とブレーキドラム31との間の間隙(シュークリアランス)を自動的に詰めて所定の間隙に調整する間隙調整機構6が備えられている。この間隙調整機構6は、スリーブアッシー53、スクリュウ57、ドライブリング62、およびドライブスプリング63等を有して構成されている。
【0037】
次に、上記構成のドラムブレーキBのブレーキ作動時、非作動時における作用について説明する。
【0038】
まず、ブレーキ操作がなされると、そのブレーキ操作に応じてチャンバ9内に圧縮空気が供給され、チャンバ9内のダイヤフラムの作動により、ウェッジ52がウェッジスプリング52aの付勢力に抗してウェッジ収容部51aへの挿入方向(図2および図3の下方向)に押圧される。この押圧力は、互いに平行に延びるウェッジ52の傾斜面52cとタペット54の傾斜面54cとの楔作用によりローラ52fを介して軸線方向への押圧力に変換され、スリーブアッシー53に伝達される。この押圧力を受けて、タペット54およびスリーブ55は一体化された状態でシリンダ部51b内を軸線方向の一端側から他端側へ向けて移動する。
【0039】
スリーブ55のヘリカルスプライン55fおよびドライブリング62は、軸線方向に所定のガタを有して噛合されている。上記ブレーキ作動によるスリーブ55の移動量がガタの範囲内であれば、スリーブ55はドライブリング62を回転させることなくシリンダ部51b内を軸線方向に沿って直動する。このとき、ドライブリング62は、ドライブスプリング63の付勢力によって、円錐面62aをハウジング51の傾斜面51cに当接させた状態で保持される。
【0040】
スリーブ55と噛合されたスクリュウ57は、クリップ58によりブレーキシュー40に係止されており、クリップ58の摩擦抵抗およびネジ面での摩擦抵抗によりスリーブ55に対して相対回転することなくスリーブ55と協働して軸線方向に直動する。そして、スクリュウ57の軸線方向への張り出しにより、ブレーキシュー40はアンカーピン44を中心に外方へ揺動し、ライニング43がブレーキドラム31の内周面に押圧され、これら両者間の摩擦によりブレーキドラム31の回転が制動される。
【0041】
ブレーキ操作が解除されると、ウェッジ52がウェッジスプリング52aの付勢力によりウェッジ収容部51aからの抜脱方向(図2および図3の上方向)へ移動する。スクリュウ57およびスリーブアッシー53は、両ブレーキシュー40,40間に跨設されたリターンスプリング45の作用により、シリンダ部51b内を軸線方向の他端側から一端側へ向けて移動し、軸線方向内方へ格納される。スリーブ55の移動量がガタの範囲内であれば、スリーブ55は張り出し時と同様に回転することなくシリンダ部51b内を軸線方向に沿って直動する。
【0042】
一方、ライニング43が摩耗してくると、ブレーキ作動時に同一の制動効果を得るため、スクリュウ57およびスリーブアッシー53の軸線方向の移動量が大きくなってくる。このとき、ブレーキ作動時のスリーブ55の移動量がガタ分相当量を越えると、ヘリカルスプライン55fの噛合面がドライブリング62の噛合面に当接し、ドライブリング62
が軸線方向の他端側へ向けて押圧力を受ける。この押圧力により傾斜面51cおよび円錐面62aの間の摩擦力が低減し、ドライブリング62がヘリカルスプライン55fの噛合面に沿って回転する。なお、スリーブ55は、ラップスプリング61のワンウェイクラッチ機能によりタペット54に対する相対回転を阻止され、シリンダ部51b内を軸線方向に沿って直動する。
【0043】
また、ブレーキ操作が解除されると、スクリュウ57およびスリーブアッシー53がリターンスプリング45の付勢力により軸線方向の一端側へ戻されることで、ドライブリング62とヘリカルスプライン55fとの当接が解かれる。すると、ドライブリング62がドライブスプリング63の付勢力により軸線方向の一端側へ押圧され、円錐面62aをハウジング51の傾斜面51cに当接させる。それにより、ドライブリング62は当接面での摩擦抵抗により回転が規制される。これに対して、スリーブ55は、ヘリカルスプライン55fとドライブリング62との間のガタ分相当量については、抵抗を受けることなくシリンダ部51b内を軸線方向の一端側へ向けて移動する。一方、スリーブ56の移動量がガタ分相当量を越えると、ヘリカルスプライン55fがドライブリング62の他端側の噛合面と当接して軸線方向の移動が阻止される。
【0044】
このとき、ドライブリング62は前述のようにハウジング51の傾斜面51cとの当接により回転が規制されており、自由に回転することができない。これに対して、スリーブアッシー53に内蔵されたラップスプリング61は、スリーブ55がドライブリング62の一端側の噛合面に沿って回転される方向(例えば左回転)に対しては回転を規制させ、スリーブ55がドライブリング62の他端側の噛合面に沿って回転される方向(例えば右回転)に対しては回転を許容させるように形成されている。そのため、今度はスリーブ55がドライブリング62の他端側の噛合面に沿って回転される。なお、このとき、タペット54に対するスリーブ55の相対回転に対してサークリップ56によって摩擦抵抗が付与されるが、リターンスプリング45はこの摩擦力に抗してスリーブ55を回転させるだけの付勢力を発揮する。
【0045】
ここで、スクリュウ57は、ブレーキシュー40に係止されて回転規制されたクリップ58からの摩擦抵抗を受けている。この摩擦抵抗は、スクリュウ57とスリーブ55とのネジ面の摩擦抵抗よりも大きいため、スクリュウ57はスリーブ55とともに一体回転しない。そのため、スリーブ55は、タペット54およびスクリュウ57に対して単独で回転する。そして、このスリーブ55の回転により、スクリュウ57がスリーブ55の回転量に応じた繰出量だけ軸線方向の外方へ繰り出される。
【0046】
このように、間隙調整機構6では、ライニング43が摩耗すると、ブレーキ作動時には、スリーブ55が所定量(ガタ分相当量)を超過して移動する一方で、ブレーキ解除時には、スリーブ55がこの超過量に応じた回転量だけ回転し、この回転量に応じた繰出量だけスクリュウ57を軸線方向の外方へ向けて繰り出させることにより、ライニング43とドラムブレーキ31との間隙(シュークリアランス)が常に一定となるように自動調整する。
【0047】
ここで、スクリュウ57の繰出量は、ライニング43の摩耗量と比例関係にある。本実施形態では、ライニング43の摩耗量とスクリュウ57の繰出量とが1:2の関係にあり、スクリュウ57の繰出量がライニング43の摩耗量の2倍となるように設計されている。よって、ライニング43の使用限界までの摩耗量が10mmである場合には、この摩耗量(使用限界)に対応して繰り出されるスクリュウ57の繰出量は20mmとなる。また、スクリュウ57の繰出量は、スリーブ55の回転数(累積回転数)と両ネジ55c,57aのネジピッチとを積算することにより得られる。本実施形態では、ネジピッチが1mmに設定されており、スリーブ55が1回転する毎に、スクリュウ57がネジピッチ分(
1mm)だけ繰り出されるようになっている。従って、本実施形態では、スリーブ55が20回転したときに、スクリュウ57の繰出量が20mmとなり、ライニング43の摩耗量が10mm(使用限界)に達したことになる。
【0048】
本実施形態においては、スクリュウ57の過剰な繰り出しを規制するため、ライニング43の摩耗量が使用限界(10mm)に達したときに、スクリュウ57のストッパ57dがスリーブ55のストッパ受け部55eに当接して、ストッパ機能が発動するようになっている。具体的には、ドラムブレーキBの長期間の使用によって、スクリュウ57の繰出量が予め定められた規定繰出量(20mm)に達したときに、ストッパ57dがストッパ受け部55eに当接して、スクリュウ57の軸線方向の移動が規制されるようになっている。このようにスクリュウ57が規定繰出量を越えて過剰に繰り出されることを防止することで(シュークリアランスの過調整を防止することで)、ブレーキの作動時にスクリュウ57がブレーキドラム31と干渉すること(ブレーキドラム31に喰い込むこと)を防止することができる。
【0049】
以上、本実施形態に係るドラムブレーキBによれば、スクリュウ57の繰出量が規定繰出量に達したときにストッパ機能が発動して、スクリュウ57が過剰に繰り出されることが防止されることで、ライニング43の使用限界を超えてドラムブレーキBが継続使用されたとしても、ブレーキ作動時にスクリュウ57がブレーキドラム31と干渉することが防止されるため、間隙調整機構6やブレーキドラム31が損傷する事態、および車輪ロックが発生する事態を効果的に抑止することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係るドラムブレーキBでは、スクリュウ57をネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとに二分割して、ネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとを皿ボルト57jにより分離可能に締結したことで、スクリュウ57aとハウジング51とに跨って防塵用のブーツ59を取り付ける場合に、ネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとを分離させた状態でブーツ59をハウジング51に装着することができるため、ブーツ59の交換作業を容易化することが可能となる。
【0051】
さらに、本実施形態に係るドラムブレーキBでは、ストッパ57dの外径がラップスプリング61の内径よりも小径に形成されて、ストッパ57dがラップスプリング61に対して軸線方向に挿通可能に構成されているため、ドラムブレーキB全体を小型コンパクト化しながらも、スクリュウ57の繰り出し方向(軸線方向)のストロークを大きく確保することが可能となる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0053】
上記実施形態では、スクリュウ57の規定繰出量をライニング43の使用限界(限界摩耗量)に対応した20mmに設定しているが、この構成に限定されるものではなく、スクリュウ57の規定繰出量は車両の要求仕様等に応じて適宜に設定することができ、例えば、スクリュウ57の規定繰出量を20mm未満に設定して、ライニング43の摩耗量が使用限界に達する前に、ストッパ機能が発動するように構成してもよい。
【0054】
上記実施形態では、スクリュウ57をネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとに二分割して構成したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、ストッパ57dをスクリュウ57の他の部分から分割して、このストッパを着脱自在に構成してもよい。
【0055】
上記実施形態では、ネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとをネジ締結構造により着脱可能に構成したが、この構成に限定されるものではなく、ネジ軸部57aと調整ダイヤ
ル部57bとを両者の相対回転を規制する回り止めを有した嵌合構造(凹凸嵌合構造)により着脱可能に構成してもよい。ネジ軸部57aと調整ダイヤル部57bとの回り止めとしては、例えば、二面幅嵌合、Dカット嵌合、スプライン嵌合、キー嵌合などを採用することができる。
【0056】
上記実施形態では、ドラムブレーキBとして、リーディングトレーリング式のドラムブレーキを例示して説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、ユニサーボ式、デュオサーボ式、あるいは2リーディング式のドラムブレーキを適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
B ドラムブレーキ
1 車軸(回転部材)
2 アンカーブラケット(固定部材)
3 ドラムユニット
4 ブレーキシューユニット
5 エキスパンダ
6 間隙調整機構
31 ブレーキドラム
40 ブレーキシュー
43 ブレーキライニング
53 スリーブアッシー
54 タペット(押圧力発生部材)
55 スリーブ(伝達部材)
55a 貫通孔(受容部)
55e ストッパ受け部
57 スクリュウ(押圧部材)
57a ネジ軸部(第1押圧部材)
57b 調整ダイヤル部(第2押圧部材)
57d ストッパ
57j 皿ボルト
59 ブーツ
61 ラップスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6