IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アロン化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-枝管接続部材 図1
  • 特許-枝管接続部材 図2
  • 特許-枝管接続部材 図3
  • 特許-枝管接続部材 図4
  • 特許-枝管接続部材 図5
  • 特許-枝管接続部材 図6
  • 特許-枝管接続部材 図7
  • 特許-枝管接続部材 図8
  • 特許-枝管接続部材 図9
  • 特許-枝管接続部材 図10
  • 特許-枝管接続部材 図11
  • 特許-枝管接続部材 図12
  • 特許-枝管接続部材 図13
  • 特許-枝管接続部材 図14
  • 特許-枝管接続部材 図15
  • 特許-枝管接続部材 図16
  • 特許-枝管接続部材 図17
  • 特許-枝管接続部材 図18
  • 特許-枝管接続部材 図19
  • 特許-枝管接続部材 図20
  • 特許-枝管接続部材 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】枝管接続部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/14 20060101AFI20231221BHJP
   E03C 1/12 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
F16L41/14
E03C1/12 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020124600
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021158
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-026376(JP,A)
【文献】特開2006-105250(JP,A)
【文献】特開2013-024002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/14
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本管に対する枝管の接続に用いられる枝管接続部材であって、
前記本管の外側に配される外周部材と、
前記本管の内部に導入され、前記本管に穿孔された開口の周辺部において前記本管の内周側に装着される内周部材と、
前記内周部材及び外周部材を連結する線状部材と、を有し、
前記外周部材が、
軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、
前記回動部の回動に伴って前記線状部材が巻き付けられる巻付部と、
を有し、
前記内周部材を本管の内側に導入した状態として前記内周部材が前記本管の内周面に接した状態になるまで前記回動部を回動させる操作を行うことで、前記本管に対して取付施工可能なものであり、
前記回動部を回動させて前記線状部材を前記巻付部に巻き付けることにより、前記巻付部よりも前記内周部材側において、前記線状部材が前記回動部の軸線方向に案内され、前記内周部材が前記軸線方向に移動すること、を特徴とする枝管接続部材。
【請求項2】
前記線状部材をガイドするガイド部を有し、
前記ガイド部が、前記巻付部よりも前記内周部材側において、前記線状部材を前記回動部の軸線方向に案内すること、を特徴とする請求項1に記載の枝管接続部材。
【請求項3】
前記巻付部が、前記線状部材が収まる巻付溝を、前記回動部の軸線方向にらせん状に形成したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の枝管接続部材。
【請求項4】
前記内周部材が、前記本管の内周面に当接する複数の内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものであり、
複数の前記内周片から選ばれる二以上のものに対応して、二以上の前記線状部材がそれぞれ個別に前記内周片と前記外周部材とを繋ぐように設けられており、
前記巻付溝が、前記線状部材の本数nに対応してn条の螺旋溝によって構成され、二以上の前記線状部材を個別に螺旋状に巻き付け可能とされていること、を特徴とする請求項3に記載の枝管接続部材。
【請求項5】
前記回動部を回動可能に支持する支持部と、
前記回動部に対して回動抵抗を付与する回動抵抗付与部材と、を有し、
前記回動抵抗付与部材が、
前記支持部側に設けられた支持側抵抗付与部と、
前記回動部側に設けられ、前記支持側抵抗付与部と係合可能な回動側抵抗付与部と、を有し、
前記支持側抵抗付与部と前記回動側抵抗付与部との係合により、前記回動抵抗を発現するものであること、を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の枝管接続部材。
【請求項6】
前記支持側抵抗付与部及び前記回動側抵抗付与部のうち一方が、前記軸心位置を中心として周方向に凹凸が連続するように形成された凹凸部を有するものであり、
前記支持側抵抗付与部及び前記回動側抵抗付与部のうち他方が、前記凹凸部をなす凹部あるいは凸部に対して嵌合により係合可能な嵌合部を有するものであり、
前記凹凸部と前記嵌合部とが嵌合することにより、前記回動部が固定されること、を特徴とする請求項5に記載の枝管接続部材。
【請求項7】
前記回動部を正方向に回動させることにより前記線状部材を前記巻付部に巻き付け、逆方向に回動させることにより前記線状部材を前記巻付部から巻き解くことが可能であり、
前記回動抵抗付与部材により前記回動部に作用する前記逆方向への前記回動抵抗が、前記正方向への前記回動抵抗よりも大きいこと、を特徴とする請求項5又は6に記載の枝管接続部材。
【請求項8】
前記内周部材が、
前記本管の内周面に当接する複数の内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものであって、複数の前記内周片を屈曲させることにより前記本管の前記開口を介して前記本管の外側から内側に導入可能な屈曲状態となり、複数の前記内周片を前記本管の内部で伸長させることにより前記本管の前記開口から前記本管の外部に離脱不能な伸長状態になるものであり、
前記屈曲状態において前記回動部を回動させ、前記巻付部に前記線状部材を巻き付けることにより、前記内周部材を前記内周面に近接させつつ前記伸長状態とすることができることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の枝管接続部材。
【請求項9】
前記内周部材が、
所定の屈曲軸心を中心に複数の前記内周片を屈曲伸長可能に連結する連結部を有し、
前記線状部材が、前記屈曲軸心から外れた位置において前記回動部の回動に伴う力が作用するように接続されていることを特徴とする請求項8に記載の枝管接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝管接続部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、既設の下水道等の主管(本管)に対して枝管を接続するための枝管接続部材の施工用の治具として、例えば下記特許文献1の分岐管取付用治具のようなものが提供されている。
【0003】
上記特許文献1の分岐管取付用治具は、枝管の接続対象となる主管に形成された開口部に対し、主管の内面側に係止可能な内面側係止部材と、主管の外面側から内面側係止部材に接続可能な外面側接続部材とを組付けて、枝管を接続可能な分岐管部を形成するためのものである。特許文献1の分岐管取付用治具は、主管への組み付けに際し、主管の内部において内面側係止部材を仮保持できる分岐管取付治具本体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5859844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来技術においては、上記特許文献1に開示されている分岐管取付用治具のようなものが、枝管接続部材の取り付け施工に用いられている。しかしながら、従来技術においては、上述した分岐管取付用治具のような治具を取り揃えたり、このような治具を用いて所定箇所に設置したりするためには、相応の手間や時間、労力等を有する。
【0006】
そこで、本発明は、特別な治具等を用いることなく、枝管の取付対象となる本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の枝管接続部材は、本管に対する枝管の接続に用いられるものであって、前記本管の外側に配される外周部材と、前記本管の内部に導入され、前記本管に穿孔された開口の周辺部において前記本管の内周側に装着される内周部材と、前記内周部材及び外周部材を連結する線状部材と、を有し、前記外周部材が、軸心位置を中心に回動可能とされた回動部と、前記回動部の回動に伴って前記線状部材が巻き付けられる巻付部と、を有すること、を特徴とするものである。
【0008】
本発明の枝管接続部材は、本管の内周側に装着される内周部材を本管の内側に導入した状態として回動部を回動させることにより、外周部材及び内周部材を連結する線状部材を巻付部に巻き付けることができる。線状部材を巻付部に巻き付ける作業を進めると、巻付部に巻き付けられた線状部材の長さに相当する分だけ外周部材及び内周部材の距離が短くなり、内周部材が内周面に近接する方向に引き寄せられる。そのため、本発明の枝管接続部材は、内周部材が内周面に接した状態になるまで回動部を回動させる操作を行うことで、内周部材を本管に対して取り付けることができる。従って、本発明によれば、特別な治具等を用いることなく、本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供することができる。
【0009】
ここで、上述したように巻付部に対して線状部材を巻き付けることとする場合、線状部材が絡まる等すると、回動部を回動させて内周部材を本管の内周面に引き寄せる作業に支障が生じる可能性がある。
【0010】
(2)かかる知見に基づけば、上述した枝管接続部材は、前記線状部材をガイドするガイド部を有し、前記ガイド部が、前記巻付部よりも前記内周部材側において、前記線状部材を前記軸線方向に案内するものであると良い。
【0011】
かかる構成によれば、ガイド部によって線状部材を軸線方向に案内しつつ、巻付部に対して整然と巻き付けることができる。そのため、上述した構成によれば、回動部を回動させて線状部材を巻付部に巻き付けることにより内周部材を本管の内周面に引き寄せる作業を、スムーズに行える枝管接続部材を提供できる。
【0012】
(3)上述した枝管接続部材は、前記巻付部が、前記線状部材が収まる巻付溝を、前記軸線方向にらせん状に形成したものであると良い。
【0013】
かかる構成によれば、回動部を回動することにより、巻付部に設けられた巻付溝に沿って線状部材を整然と巻き付けることが可能となる。従って、上述した構成によれば、回動部を回動させて内周部材を本管の内周面に引き寄せる作業を、より一層スムーズに行える枝管接続部材を提供できる。
【0014】
(4)上述した枝管接続部材は、前記内周部材が、前記本管の前記内周面に当接する複数の内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものであり、複数の前記内周片から選ばれる二以上のものに対応して、二以上の前記線状部材がそれぞれ個別に前記内周片と前記外周部材とを繋ぐように設けられており、前記巻付溝が、前記線状部材の本数nに対応してn条の螺旋溝によって構成され、二以上の前記線状部材を個別に螺旋状に巻き付け可能とされているものであると良い。
【0015】
上述したように、複数の内周片を複数、屈曲伸長可能に接続することによって内周部材を構成した場合、例えば、線状部材を巻付部に巻き付ける操作に伴って内周片の姿勢が予期せぬ方向に変化する等の問題が生じないようにすることが望ましい。かかる問題を抑制するためには、複数の内周片から選ばれる二以上のものに対応して二以上の線状部材を設け、それぞれ個別に内周片と外周部材とを繋ぐと良い。これにより、線状部材を外周部材側に引き上げて内周片が屈曲した状態から伸長した状態に変化する過程において、内周部材が想定外の姿勢になるのを抑制できる。また、上述したように、巻付溝が線状部材の本数nに対応してn条の螺旋溝を備えたものとし、二以上の線状部材を個別に螺旋状に巻き付け可能とすることで、線状部材を巻付部に対して整然と巻き付けることができる。これにより、例えば、複数の線状部材が巻付部において絡まる等して、線状部材の巻き付け不良が生じるのを抑制できる。従って、上述した構成によれば、複数の線状部材を設けることにより、内周部材が伸長状態になる過程において予期せぬ姿勢に変化する等の問題を解消しつつ、複数の線状部材を設けることによる弊害として考えられる線状部材の絡まり等による問題も解消できる。
【0016】
(5)上述した枝管接続部材は、前記回動部を回動可能に支持する支持部と、前記回動部に対して回動抵抗を付与する回動抵抗付与部材と、を有し、前記回動抵抗付与部材が、前記支持部側に設けられた支持側抵抗付与部と、前記回動部側に設けられ、前記支持側抵抗付与部と係合可能な回動側抵抗付与部と、を有し、前記支持側抵抗付与部と前記回動側抵抗付与部との係合により、前記回動抵抗を発現するものであると良い。
【0017】
かかる構成によれば、回動抵抗付与部材を構成する支持側抵抗付与部及び回動側抵抗付与部の係合によって発生する回動抵抗により、回動部の回動を抑制することができる。そのため、回動部を回動させて内周部材を本管の内周面に引き寄せる引き寄せ操作を行った状態において、回動抵抗を活用して内周部材を位置決めすることができる。また、上述した枝管接続部材は、回動部に対し、回動抵抗付与部材において発生する回動抵抗を越える回動力を作用させることにより、内周部材を本管の内周面に対して近接あるいは離反する方向に移動させることができる。
【0018】
(6)上述した枝管接続部材は、前記支持側抵抗付与部及び前記回動側抵抗付与部のうち一方が、前記軸心位置を中心として周方向に凹凸が連続するように形成された凹凸部を有するものであり、前記支持側抵抗付与部及び前記回動側抵抗付与部のうち他方が、前記凹凸部をなす凹部あるいは凸部に対して嵌合により係合可能な嵌合部を有するものであり、前記凹凸部と前記嵌合部とが嵌合することにより、前記回動部が固定されるものであると良い。
【0019】
かかる構成によれば、支持側抵抗付与部及び回動側抵抗付与部のうち一方に設けられた凹凸部と、他方に設けられた嵌合部とを嵌合により係合させることにより、回動部の回動を制限し、内周部材を位置決め可能な枝管接続部材を提供できる。
【0020】
(7)上述した枝管接続部材は、前記回動部を正方向に回動させることにより前記線状部材を前記巻付部に巻き付け、逆方向に回動させることにより前記線状部材を前記巻付部から巻き解くことが可能であり、前記回動抵抗付与部材により前記回動部に作用する前記逆方向への前記回動抵抗が、前記正方向への前記回動抵抗よりも大きいものであると良い。
【0021】
かかる構成によれば、回動部を正方向に回動させ、線状部材を巻付部に巻き付けることにより、本管の内部に導入された内周部材を本管の内周面に対して近接する方向に移動させる操作を行いやすくすることができる。また、上述した構成によれば、回動部を正方向に回動させるのに要する力よりも大きな力を逆方向に作用させなければ、回動部が逆方向に回動しない。そのため、上述した構成によれば、予期せず回動部が逆方向に回動して線状部材が巻き解かれ、本管の内周面から内周部材が離反する方向に移動してしまうのを抑制できる。
【0022】
(8)上述した枝管接続部材は、前記内周部材が、前記本管の前記内周面に当接する複数の内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものであって、複数の前記内周片を屈曲させることにより前記本管の前記開口を介して前記本管の外側から内側に導入可能な屈曲状態となり、複数の前記内周片を前記本管の内部で伸長させることにより前記本管の前記開口から前記本管の外部に離脱不能な伸長状態になるものであり、前記屈曲状態において前記回動部を回動させ、前記巻付部に前記線状部材を巻き付けることにより、前記内周部材を前記内周面に近接させつつ前記伸長状態とすることができるものであると良い。
【0023】
上述した枝管接続部材は、内周部材が内周片を複数、屈曲伸長可能に接続したものとされている。また、内周部材は、屈曲状態とすることにより本管に設けられた開口を介して本管の内部に導入可能な程度にコンパクトな状態とすることができる。そのため、上述した枝管接続部材は、内周部材を本管の内部に導入する作業を容易かつスムーズに行うことができる。
【0024】
また、上述した枝管接続部材において、内周部材は、複数の内周片を本管の内部で伸長させることにより、本管の開口から前記本管の外部に離脱不能な状態(伸長状態)とすることができる。また、回動部を回動させて巻付部に線状部材を巻き付けることにより、内周部材が本管の内周部に引き寄せられる過程において、内周部材を屈曲状態から伸長状態に変化させることができる。そのため、本発明の枝管接続部材は、本管内部への内周部材の導入後、回動部を回動させて引き寄せ操作を行えば、開口を介して離脱しないように内周部材を本管の内周部に装着することができる。
【0025】
(9)上述した枝管接続部材は、前記内周部材が、所定の屈曲軸心を中心に複数の前記内周片を屈曲伸長可能に連結する連結部を有し、前記線状部材が、前記屈曲軸心から外れた位置において前記回動部の回動に伴う力が作用するように接続されているものであると良い。
【0026】
上述した枝管接続部材においては、内周部材をなす複数の内周片が、連結部を介して所定の屈曲軸心を中心に屈曲伸展可能なように連結されている。そのため、屈曲軸心から外れた位置において内周片に対して引っ張り力を作用させることにより、屈曲軸心を中心として内周片を屈曲させたり伸展させたりすることができる。上述した枝管接続部材においては、操作部材が内周片に接続されており、引き寄せ操作を行うことにより、屈曲軸心から外れた位置において内周片に操作力を作用させることができるものとされている。従って、上述した枝管接続部材では、操作部材による引き寄せ操作により、屈曲軸心を中心として内周片を伸展させ、伸長状態に状態変化させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、特別な治具等を用いることなく、枝管の取付対象となる本管に対して取付施工可能な枝管接続部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を本管に対して接続した状態を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を本管に対して接続した状態を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を示す分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を分解した状態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材を断面視した状態を示す分解斜視図である。
図7】外周当接部材を示す斜視図である。
図8】枝管接続部を示す斜視図である。
図9】回転巻付部を上方から見た状態を示す斜視図である。
図10】回転巻付部を下方から見た状態を示す斜視図である。
図11】支持部を示す斜視図である。
図12】支持部を断面視した状態を示す斜視図である。
図13】ガイド部を示す分解斜視図である。
図14】内側ガイド部を示す側面図である。
図15】ガイド部を示す平面図である。
図16】伸展状態とした内周部材を示す斜視図である。
図17】伸展状態とした内周部材を示す側面図である。
図18】屈曲状態とした内周部材を示す斜視図である。
図19】本発明の一実施形態に係る枝管接続部材の組み立て状態において外周当接部材、支持部、及び外側ガイド部を透視した状態を示す透視図である。
図20】回転抵抗付与部材の構成を説明するための説明図であり、(a)は分解状態を示す図、(b)は組み立て状態を示す図である。
図21】(a)~(d)は、外周部材の組み立て工程について順を追って示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る枝管接続部材10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において上下左右等の方向や表裏、前後等の表現については、特に断りのない限り、図1に示すように枝管接続部材10を本管1に対して取り付けた状態を基準として説明する。また、以下の説明においては、先ず枝管接続部材10の構成について説明した後、枝管接続部材10を用いて本管1に枝管5を接続する施工方法について説明する。
【0030】
≪枝管接続部材10の構成について≫
枝管接続部材10は、例えば下水道管等の既設の本管1に新たに穿孔して形成された開口3に対し、枝管5を接続するために用いられるものである。本管1は、例えば、コンクリート管やヒューム管、塩化ビニル等の樹脂により形成された樹脂管等とすることができる。図1図6等に示すように、枝管接続部材10は、外周部材20、内周部材50、線状部材70、回動抵抗付与部材80を備えている。
【0031】
外周部材20は、本管1に穿孔された開口3の周辺部において本管1の外周面7に装着される部材である。外周部材20は、外周当接部22、枝管接続部24、回動巻付部26、支持部28、及びガイド部30を備えている。
【0032】
図7に示すように、外周当接部22は、本管1の外周面7に対して当接するように取り付けられる部分である。外周当接部22は、外周面7と同等の曲率で湾曲した円弧状の断面形状を有し、平面視で略矩形の形状を有する部材である。外周当接部22は、長手方向(母線方向)に所定の長さを有し、長手方向の略中央部に表面22aから裏面22bに向けて貫通するように設けられた貫通孔22cを備えている。また、外周当接部22は、貫通孔22cを取り囲むように形成された円筒状のガイド接続部22dを有する。ガイド接続部22dの上端側には、被係合部22eが設けられている。被係合部22eは、後に詳述するガイド部30を構成する外側ガイド部40に設けられたガイド部第三係合部40cが係合可能な切欠によって構成されている。
【0033】
図8に示すように、枝管接続部24は、上下方向に貫通した筒状の部材である。枝管接続部24は、枝管5が接続される受口として機能する部分である。枝管接続部24は、例えば樹脂や、ゴム等の弾性を有する素材等によって形成される。枝管接続部24は、下端部を後に詳述する回動巻付部26に対して差し込んで接続可能とされている。枝管接続部24の内周部には、Oリング24aが設けられている。これにより、枝管接続部24と枝管5とを密接に接続可能とされている。
【0034】
回動巻付部26は、枝管接続部材10を本管1に対して取り付ける際に、回動操作によって外周部材20と内周部材50とを繋ぐ線状部材70を巻き上げる作業を行うためのものである。図9図10に示すように、回動巻付部26は、略筒状の外観形状を有する筒状部32に回動部34、及び巻付部36を設けたものとされている。
【0035】
回動部34は、筒状部32の軸線方向一方側(図示状態において上方側)に設けられている。回動部34は、外周部にネジ溝(回動部ネジ溝34a)が螺旋状に形成された部分である。また、回動部34には、一対のハンドル34b,34bが設けられている。ハンドル34b,34bは、それぞれ折り畳み式のものとされている。具体的には、ハンドル34b,34bは、基端側(回動部34の外周面側)に設けられたヒンジを支点として回動させることにより、回動部34の外周面に沿うように折り畳まれた姿勢と、回動部34の径方向外側に向けて突出した姿勢とに切り替え可能とされている。回動部34は、ハンドル34b,34bを径方向外側に向けて突出された状態とすることにより、回動部34を回動させる操作を行うための把持部として機能させることができる。
【0036】
巻付部36は、上述した回動部34に対して筒状部32の軸線方向他方側(図示状態において下方側)に設けられている。巻付部36は、回動部34の回動に伴って、後に詳述する線状部材70が巻き付けられる部分である。本実施形態では、巻付部36の外周面に線状部材70が収まる巻付溝38が、巻付部36の軸線方向にらせん状に形成されている。巻付溝38は、上述した回動部34に設けられた回動部ネジ溝34aと同一方向に形成されている。また、巻付溝38は、第一巻付溝38a、及び第二巻付溝38bを有する。巻付溝38は、第一巻付溝38a、及び第二巻付溝38bが巻付部36の軸線方向に交互に並ぶ、二条の螺旋溝とされている。第一巻付溝38a及び第二巻付溝38bは、それぞれ線状部材70をなす第一線状部材70a、及び第二線状部材70bが収まるものとされている。
【0037】
支持部28は、上述した回動巻付部26(回動部34)を回転可能に支持するものである。図11図12に示すように、支持部28は、軸線方向に貫通した筒状のものとされている。支持部28は、回動部34が収まる大きさの開口径、及び高さ(軸線方向の長さ)を有するものとされている。そのため、支持部28に対して回動巻付部26を軸線方向一端側(図示例では上方側)から内挿すると、支持部28の軸線方向他端側(図示例では下方側)から巻付部36が出た状態になる。また、支持部28の内周部には、回動部34の外周部に設けられた回動部ネジ溝34aに対応する支持部ネジ溝28aが設けられている。そのため、支持部28に対して軸線方向一端側(図示例では上方側)から内挿された回動巻付部26を回動させることにより、支持部ネジ溝28aに回動部ネジ溝34aが噛み合い、回動巻付部26をスムーズに回動させることができる。
【0038】
また、支持部28の軸線方向他端側には、内周部に支持部係合部28bが設けられている。支持部係合部28bは、支持部28の内周面から径方向内側に突出するように形成されている。支持部係合部28bは、周方向に2つ設けられている。支持部係合部28bは、後に詳述するガイド部30をなす外側ガイド部40に対して係合することで、支持部28を外側ガイド部40に対して周方向に位置決め固定するためのものである。
【0039】
ガイド部30は、線状部材70を案内するガイドとしての機能を発揮するものである。図13~15に示すように、ガイド部30は、外側ガイド部40及び内側ガイド部42を有する。ガイド部30は、外側ガイド部40及び内側ガイド部42の組み合わせによって線状部材70が通過する経路44を形成したものである。
【0040】
外側ガイド部40は、筒状に形成された部材である。外側ガイド部40は、経路44を形成する機能に加え、支持部28と、後に詳述する外周当接部22との間を繋ぐ機能も備えたものとされている。枝管接続部材10の組立状態において、外側ガイド部40は、軸線方向に支持部内挿部40x、及び外周当接部内挿部40yの2つの部分に大別できる。
【0041】
支持部内挿部40xは、外側ガイド部40の軸線方向一方側の端部(図示例では上方側)から軸線方向の中間部までの部分である。また、支持部内挿部40xは、上述した支持部28の軸線方向他方側(図示例では下方側)から内挿される部分である。支持部内挿部40xの外周面には、ガイド部第一係合部40aが設けられている。ガイド部第一係合部40aは、上述した支持部28の支持部係合部28bに対応する位置に設けられている。ガイド部第一係合部40aは、外側ガイド部40の軸線方向一方側の端部(図示例では上方側)から軸線方向の中間部まで到達するように形成された凹部とされている。そのため、支持部内挿部40xを支持部28の軸線方向他方側(図示例では下方側)から内挿することにより、ガイド部第一係合部40aに支持部係合部28bを係合させることができる。また、支持部内挿部40xの内周面には、ガイド部第二係合部40bが設けられている。ガイド部第二係合部40bは、後に詳述する内側ガイド部42の外周部に設けられたガイド部第四係合部42eと係合する部分である。ガイド部第二係合部40bは、外側ガイド部40の軸線方向一方側の端部(図示例では上方側)から軸線方向の中間部まで到達するように形成された凹部とされている。
【0042】
外周当接部内挿部40yは、外側ガイド部40の軸線方向中間部から他方側の端部(図示例では下方側)までの部分である。外周当接部内挿部40yは、外周当接部22に設けられた円筒状のガイド接続部22dに内挿される部分である。外周当接部内挿部40yの外周面には、ガイド部第三係合部40cが径方向外側に向けて突出するように設けられている。ガイド部第三係合部40cは、上述した外周当接部22に設けられた被係合部22eに係合するものである。
【0043】
内側ガイド部42は、外側ガイド部40の内周側に配される筒状の部材である。内側ガイド部42は、周面にガイド溝42aを有する。ガイド溝42aは、内側ガイド部42の周方向に2箇所設けられている。ガイド溝42aは、立上部42bと、周溝部42cとを有する。立上部42bは、図示状態において内側ガイド部42の下端側の位置から、軸線方向(高さ方向)の中間部まで上下方向に立ち上がるように形成された溝である。また、周溝部42cは、内側ガイド部42の軸線方向中間部において立上部42bに対して連続し、内側ガイド部42の周方向に延びる溝である。周溝部42cは、内側ガイド部42の周面を正面視した状態において片テーパー状の形状を有する溝である。周溝部42cは、立上部42bと連続する部分から周方向に離れるにつれて上辺側が上方側に傾斜し、溝幅(上下方向の長さ)が拡大するように形成されている。また、内側ガイド部42は、周溝部42cの終端側に連通部42dを有する。連通部42dは、内側ガイド部42の軸線方向(図示状態において上下方向)に延びる開口によって構成されている。そのため、内側ガイド部42は、連通部42dを介して外周側と内周側とが連通している。
【0044】
内側ガイド部42は、外周面にガイド部第四係合部42eが設けられている。ガイド部第四係合部42eは、内側ガイド部42の径方向外側に突出した突出部によって構成されている。ガイド部第四係合部42eは、内側ガイド部42の軸線方向一端側(図示状態において上端側)から軸線方向中間部まで延びるように形成されている。内側ガイド部42は、内側ガイド部42の周方向に2つ設けられている。ガイド部第四係合部42e,42eは、内側ガイド部42の周方向に2つ設けられているガイド溝42a,42aの中間にそれぞれ設けられている。内側ガイド部42は、上述した外側ガイド部40の内側に内挿すると共に、外側ガイド部40の内周面に設けられたガイド部第二係合部40b,40bに対してガイド部第四係合部42e,42eを係合させた状態となるように配される。これにより、内側ガイド部42は、外側ガイド部40に対して周方向に位置決めした状態で固定される。また、内側ガイド部42を外側ガイド部40の内側に配することにより、ガイド溝42a,42aによって形成された2系統の経路44,44が線状部材70を通過可能なように形成される。
【0045】
図2図3に示すように、内周部材50は、本管1に穿孔された開口3の周辺部において、本管1の内周面9に対して固定される部分である。図16図18等に示すように、内周部材50は、複数(本実施形態では2つ)の湾曲片52と、連結部54と、内周筒部56を有する。
【0046】
湾曲片52は、側面視した状態において本管1の内周面9に沿うように円弧状に湾曲した片状の部材である。すなわち、湾曲片52の曲率は、本管1の内周面9の曲率と略同一とされている。湾曲片52は、後に詳述する連結部54を介して並列配置した状態で、互いに回動可能なように連結されている。
【0047】
内周部材50は、隣接する湾曲片52,52の裏面同士が離反するように回動させることにより、隣接する湾曲片52,52が突き合わせられ、表面同士が連続した状態になる。これにより、内周部材50は、全体として伸長した状態(伸長状態)になる。また、伸長状態にすると、内周部材50は、略鞍状の外観形状になる。このように、湾曲片52は、伸長状態において隣接する他の湾曲片52と突き合わせられる部分(合わせ部52x)を有する。
【0048】
また、内周部材50は、連結部54において隣接する湾曲片52,52の裏面同士が近接するように折り畳むことにより、隣接する湾曲片52,52の表面同士の間に非連続部分が形成され、屈曲した状態(変形状態)にすることができる。
【0049】
連結部54は、湾曲片52の母線方向に延びる所定の回動軸心Cを中心に、複数(本実施形態では2つ)の湾曲片52を回動可能に連結するものである。回動軸心Cは、並べて配置された湾曲片52,52の境界をなす合わせ部52x側の位置に存在している。
【0050】
内周筒部56は、本管1に穿孔された開口3の内側に差し込まれる筒状の部分である。内周筒部56は、湾曲片52,52の回動に連動して集合分離可能とされた複数(本実施形態では2つ)の筒構成部58の組み合わせによって構成されている。内周筒部56は、内周部材50が伸長状態とされた状態において、筒構成部58,58が集合することにより形成される。筒構成部58,58は、それぞれ湾曲片52,52に対して一体的に設けられている。筒構成部58,58は、湾曲片52,52の表面側から上方に向けて突出している。筒構成部58,58は、それぞれ湾曲片52,52の長手方向(母線方向)の略中央部に設けられている。湾曲片52,52において、筒構成部58,58の基端(下端)側の部分は、湾曲片52,52の形状に合わせて半円状に切りかかれている。
【0051】
また、内周筒部56を構成する筒構成部58,58の外周面には、線状部材70を固定するための固定部60,60が設けられている。固定部60,60は、内周筒部56の基端側(湾曲片52,52の表面側)から内周筒部56の軸線方向(図示状態においては上下方向)に延びるように形成された固定溝60a,60aを有する。固定溝60a,60aは、線状部材70を嵌め込んで固定可能な溝とされている。また、固定溝60a,60aは、基端側において略「コ」字状に折れ曲がると共に、線状部材70の終端部に設けられた終端部材70cが係合可能とされている。
【0052】
線状部材70は、本管1の内側に導入された内周部材50を、本管1の外側からの操作(引き寄せ操作)により、内周部材50を本管1の内周面9に近接する方向に引き寄せるための部材である。線状部材70は、金属や樹脂等の素材によって形成された線材によって構成されている。本実施形態では、図2図3等に示すように、線状部材70として、湾曲片52,52のうち一方(以下、「第一内周片52a」とも称す)に接続される第一線状部材70aと、他方(以下、「第二内周片52b」とも称す)に接続される第二線状部材70bとが設けられている。
【0053】
線状部材70をなす第一線状部材70a及び第二線状部材70bは、それぞれ内周部材50をなす第一内周片52a及び第二内周片52bの回動軸心Cから外れた位置において引き寄せ操作に伴う操作力が作用するように接続されている。
【0054】
具体的には、第一線状部材70aの一端側は、第一内周片52aを構成する筒構成部58の外周に設けられた固定溝60aに嵌め込み、終端部に設けられた終端部材70cを固定溝60aに係合させることにより、内周部材50に対して接続されている。また、図19等に示すように、第一線状部材70aは、ガイド部30において、外側ガイド部40と内側ガイド部42との間に設けられた2系統の経路44,44のうちの一方を介して内側ガイド部42の内側に導入されている。さらに、第一線状部材70aは、ガイド部30に対して軸線方向(図示状態では上下方向)に接続された支持部28の内部において、回動巻付部26の巻付部36に対して接続されている。これにより、第一線状部材70aは、回動巻付部26を回動させることで、第一巻付溝38aに対して巻き付け可能とされている。
【0055】
同様に、第二線状部材70bの一端側は、第二内周片52bを構成する筒構成部58の外周に設けられた固定溝60aに嵌め込み、終端部に設けられた終端部材70cを固定溝60aに係合させることにより、内周部材50に対して接続されている。また、第二線状部材70bは、ガイド部30において、外側ガイド部40と内側ガイド部42との間に設けられた経路44,44のうち、上述した第一線状部材70aが配されたのとは異なるものを介して内側ガイド部42の内側に導入されている。さらに、第二線状部材70bは、ガイド部30に対して接続された支持部28の内部において、巻付部36に対して接続されている。これにより、第二線状部材70bは、回動巻付部26を回動させることで、第二巻付溝38bに対して巻き付け可能とされている。
【0056】
回動抵抗付与部材80は、上述した回動巻付部26(回動部34)に対して回動抵抗を付与するものである。図20に示すように、回動抵抗付与部材80は、支持側抵抗付与部82と、回動側抵抗付与部84とを有する。
【0057】
支持側抵抗付与部82は、支持部28側に設けられるものである。支持側抵抗付与部82は、支持部28の内側において、支持部28に対して位置決め固定されるものである。本実施形態では、支持側抵抗付与部82は、環状の部材とされている。支持側抵抗付与部82は、ガイド部30を構成する外側ガイド部40の内側に内挿され、内側ガイド部42の上に配されている。支持側抵抗付与部82は、内側ガイド部42のガイド部第四係合部42e,42eと同様に、支持側抵抗付与部82の径方向外側に突出した突出部82a,82aを有する。突出部82a,82aは、外側ガイド部40の内周面に設けられたガイド部第二係合部40b,40bに対して係合している。これにより、支持側抵抗付与部82は、周方向に位置決めされている。また、支持側抵抗付与部82は、天面側に凹凸部82bを有する。凹凸部82bは、軸心位置を中心として周方向に多数の凹凸が連続するように形成されている。また、支持側抵抗付与部82は、底面側(凹凸部82bが形成されたのとは厚み方向反対側)に弾性変形部82cを有する。弾性変形部82cは、支持側抵抗付与部82に対して凹凸部82b側から支持側抵抗付与部82の厚み方向に圧縮力が作用することで弾性変形し、前述の圧縮力が解除されると元に戻るものとされている。
【0058】
回動側抵抗付与部84は、回動巻付部26(回動部34)に設けられている。回動側抵抗付与部84は、上述した支持側抵抗付与部82をなす凹凸部82bと嵌合により係合可能な嵌合部84aを有する。嵌合部84aは、凹凸部82bを構成する凹部と嵌合可能な凸状のものや、凹凸部82bを構成する凸部と嵌合可能な凹状のものとすると良い。本実施形態では、嵌合部84aは、凹凸部82bを構成する凹部と嵌合可能な凸状のもの(凸部)とされている。嵌合部84aは、枝管接続部材10の組立状態において、回動巻付部26をなす回動部34のうち、支持側抵抗付与部82の凹凸部82bと接触する面に回動側抵抗付与部84をなす凸部が設けられている。
【0059】
回動抵抗付与部材80は、支持側抵抗付与部82をなす凹凸部82bと、回動側抵抗付与部84をなす嵌合部84aとが嵌合により係合することにより、回動巻付部26(回動部34)に対して回動抵抗を付与する。また、支持側抵抗付与部82の底面に設けられた弾性変形部82cで発生する弾性力により、支持側抵抗付与部82が回動側抵抗付与部84に近接する方向に付勢される。これらにより、予期せず回動巻付部26が逆方向(巻付部36から線状部材70が巻き解かれる方向)に回動してしまうのを抑制できる。また、凹凸部82bと嵌合部84aが係合した状態において、嵌合部84aに対して周方向両側に隣接する位置にある凹凸部82bを構成する面のうち、嵌合部84aに対して逆方向に存在する面の傾斜が、正方向に隣接する面の傾斜よりも大きい。そのため、回動抵抗付与部材80は、逆方向(巻付部36から線状部材70が巻き解かれる方向)への回動抵抗が、正方向(巻付部36に線状部材70を巻き付ける方向)への回動抵抗よりも大きい。そのため、回動巻付部26は、予期せず巻付部36から線状部材70が巻き解かれるのを抑制しつつ、巻付部36に線状部材70を巻き付けるために回動巻付部26を正方向に回動させるための操作を軽快に行うことができる。
【0060】
≪枝管接続部材10を用いた施工方法について≫
続いて、枝管接続部材10を用い、本管1に穿孔された開口3に対して枝管5を接続する施工方法について説明する。
【0061】
本管1に対する枝管5の接続施工に際し、枝管接続部材10は、先ず外周部材20が組み立てられた状態として準備される。具体的には、図21(a)に示すように、先ず外周当接部22に対してガイド部30を組み付けた後、同図(b)に示すようにガイド部30に対して支持側抵抗付与部82及び支持部28を組み付ける。その後、同図(c)に示すように、支持部28に対して回動巻付部26を組み付けると共に、回動巻付部26に対して枝管接続部24を装着する。このようにして組み立てられた外周部材20の回動巻付部26と、内周部材50とを線状部材70によって繋ぐ。この際、回動巻付部26に線状部材70が殆ど巻き付けられておらず、外周部材20と内周部材50とが十分に離れた状態で準備される。このようにして枝管接続部材10を準備した状態において、内周部材50をなす湾曲片52,52を連結部54において屈曲させ、折り畳んだ状態(変形状態)にする。この状態において、内周部材50は、変形状態で本管1の開口3から内部に導入される。
【0062】
上述したようにして内周部材50が本管1の内部に導入されると、外周部材20の外周当接部22を本管1の外周面7にあてがうと共に、外周当接部22に設けられた貫通孔22cが本管1の開口3に相当する位置に到来するように外周部材20の位置調整を行う。
【0063】
このようにして、外周部材20の配置が完了すると、回動部34に設けられたハンドル34b,34bを径方向外側に突出させた状態とし、ハンドル34b,34bを用いて回動巻付部26(回動部34)を正方向に回動させる。これに伴い、内周部材50をなす湾曲片52,52に接続された線状部材70,70がそれぞれガイド部30によって構成された経路44を介して回動巻付部26側に引き寄せられ、巻付部36に巻き付けられる。回動巻付部26(回動部34)の正方向への回動を継続すると、内周部材50が本管1の内周面9に近接すると共に、内周部材50(第一内周片52a及び第二内周片52b)が本管1の内部において変形状態から伸長状態に状態変化する。内周部材50が内周面9に当接するまで引き寄せられると、内周部材50は伸長状態となって内周面9に対して密接した状態となる。これにより、本管1に対する枝管接続部材10の取り付けが完了する。また、本管1に枝管接続部材10が取り付けられると、枝管接続部24に対して枝管5が差し込まれて接続される。これにより、枝管接続部材10を用いた本管1への枝管5の取付施工が完了する。
【0064】
上述したように、本実施形態の枝管接続部材10は、本管1の内周側に装着される内周部材50を本管1の内側に導入した状態として回動部34を回動させることにより、外周部材20及び内周部材50を連結する線状部材70を巻付部36に巻き付け、内周部材50が内周面に近接する方向に引き寄せることができる。そのため、上述した枝管接続部材10は、内周部材50が内周面に接した状態になるまで回動部34を回動させる操作を行うことで、内周部材50を本管1に対して取り付けることができる。従って、上述した枝管接続部材10は、特別な治具等を用いることなく、本管1に対して取付施工することができる。
【0065】
また、上述した枝管接続部材10は、線状部材70をガイドするガイド部30を有し、ガイド部30が、巻付部36よりも内周部材50側において、線状部材70を軸線方向に案内するものとされている。そのため、枝管接続部材10はガイド部30によって線状部材70を軸線方向に案内しつつ、巻付部36に対して整然と巻き付けることができる。従って、枝管接続部材10によれば、回動部34を回動させて線状部材70を巻付部36に巻き付けることにより内周部材50を本管1の内周面に引き寄せる作業を、スムーズに行うことができる。
【0066】
なお、本実施形態では、線状部材70をガイドするガイド部30を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、枝管接続部材10は、ガイド部30を設けない構成としたり、ガイド部30に代えてあるいはガイド部30に加えて、線状部材70をガイド可能な別の部材等を設けたりした構成としても良い。また、本実施形態では、ガイド部30を回動巻付部26とは別部材として設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、回動巻付部26に対してガイド部30に相当する構成(ガイド機構)を一体的に設けたもの等としても良い。
【0067】
上述したように、枝管接続部材10は、巻付部36が、線状部材70が収まる巻付溝38を、軸線方向にらせん状に形成したものとされている。このような構成とされているため、回動部34を回動することにより、巻付部36に設けられた巻付溝38に沿って線状部材70を整然と巻き付けることが可能となる。従って、上述した枝管接続部材10は、線状部材70が絡まる等の不具合が生じることなく、線状部材70を巻付部36に対してスムーズに巻き付けることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、巻付部36に巻付溝38を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、枝管接続部材10は、巻付溝38を設けない構成としたり、巻付溝38に代えてあるは巻付溝38に加えて、線状部材70を整然と巻き取るための機構等を別途設けたりしても良い。
【0069】
また、上述した枝管接続部材10は、内周部材50が、第一内周片52a及び第二内周片52bを備えたものとされていることに対応して、線状部材70として第一内周片52aに繋がる第一線状部材70a、及び第二内周片52bに繋がる第二線状部材70bを設けると共に、巻付溝38として、第一線状部材70aのための第一巻付溝38aと、第二線状部材70bのための第二巻付溝38bとからなる二条の螺旋溝を設けたものとしている。このような構成によれば、内周部材50を構成する第一内周片52a及び第二内周片52bが本管1の内部で伸長状態になる過程において、例えば上下反転した姿勢や周方向に位置ズレした状態になる等、作業者が予期せぬ姿勢になってしまうのを抑制できる。また、第一線状部材70a及び第二線状部材70bを個別に巻き付けることができるため、複数の線状部材70を設けることによる弊害として懸念される線状部材70の絡まり等による問題も生じにくい。従って、枝管接続部材10によれば、回動部34を回動させて内周部材50を本管1の内周面に引き寄せる引き寄せ操作の作業効率を向上させることができる。そのため、枝管接続部材10は、回動部34の回動量に対する内周部材50の移動量を大きくとることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、内周部材50が、第一内周片52a及び第二内周片52bを備えたものとした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第一内周片52a及び第二内周片52bに相当するものを一体的に形成し、屈曲状態や伸展状態に状態が変化しないものとしたり、第一内周片52a及び第二内周片52bに加えてさらに多数の内周片の組み合わせによって内周部材50が形成されたものとしたりしても良い。また、例えば内周部材50の構成を上述したものと相違させる場合等には、線状部材70を第一線状部材70a、及び第二線状部材70bによって構成するのとは異なる構成としても良い。具体的には、内周部材50が、第一内周片52a及び第二内周片52bだけでなく、さらに多数の内周片を備えたものである場合には、これらのうちから選ばれる二以上の内周片に対応して、二以上の線状部材70をそれぞれ個別に当該内周片と外周部材20とを繋ぐように設けると良い。また、このような構成とする場合には、巻付溝38について、線状部材70の本数nに対応してn条の螺旋溝によって構成されたものとし、各線状部材70を個別に螺旋状に巻き付け可能とすると良い。
【0071】
上述した枝管接続部材10は、回動部34を回動可能に支持する支持部28と、回動部34に対して回動抵抗を付与する回動抵抗付与部材80とを備え、回動抵抗付与部材80を構成する支持側抵抗付与部82及び回動側抵抗付与部84の係合によって発生する回動抵抗により、回動部34の回動を抑制可能とされている。そのため、枝管接続部材10は、内周部材50を本管1の内周面に接触する位置まで引き寄せた状態において、回動抵抗付与部材80により発現する回動抵抗を活用して内周部材50を位置決めすることができる。また、枝管接続部材10は、回動部34に対し、回動抵抗付与部材80において発生する回動抵抗を越える回動力を作用させれば、内周部材50を本管1の内周面に対して近接あるいは離反する方向に移動させることができる。そのため、枝管接続部材10は、必要に応じて回動抵抗付与部材80による回動抵抗を越える回動力を回動部34に付与すれば、例えば内周部材50を本管1に対して設置した後に、内周部材50の位置を微調整する等のために、内周部材50を本管1から離れる方向に移動させたり、内周部材50をさらに本管1に対して近接する方向に引き寄せたりする操作を行うことができる。
【0072】
なお、上述した回動抵抗付与部材80は、支持側抵抗付与部82及び回動側抵抗付与部84に設けられた凹凸部82b及び嵌合部84aが嵌合により係合することにより、回動部34の回動を制限し、内周部材50を位置決め可能なものとされているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回動抵抗付与部材80は、嵌合部84aに相当するものを支持側抵抗付与部82に設け、凹凸部82bに相当するものを回動側抵抗付与部84に設けた構成としても良い。また、枝管接続部材10は、例えば、上述した回動抵抗付与部材80に代えてあるいは加えて、線状部材70に対して固定力を作用させるための構成を設けたものとしても良い。
【0073】
また、上述した回動抵抗付与部材80は、回動抵抗付与部材80により回動部34に作用する逆方向への回動抵抗が、正方向への回動抵抗よりも大きいものとされている。そのため、枝管接続部材10は、回動部34を正方向に回動させて、内周部材50を本管1の内周面に対して近接する方向に移動させる操作を行いやすい。その一方で、枝管接続部材10は、回動部34を正方向に回動させるのに要する力よりも大きな力を逆方向に作用させなければ、回動部34が逆方向に回動しない。そのため、枝管接続部材10は、予期せず回動部34が逆方向に回動して線状部材70が巻き解かれ、本管1の内周面から内周部材50が離反する方向に移動してしまうのを抑制できる。
【0074】
なお、本実施形態では、回動抵抗付与部材80として、回動抵抗付与部材80により回動部34に作用する逆方向への回動抵抗が、正方向への回動抵抗よりも大きいものを採用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回動抵抗付与部材80は、回動部34に作用する正方向への回転抵抗と逆方向への回動抵抗とが略同一のもの等としても良い。また、枝管接続部材10は、例えば回動抵抗付与部材80に代えて、あるいは加えて線状部材70の動作をロック及びロック解除できるものを設ける等しても良い。
【0075】
上述した枝管接続部材10は、内周部材50が当接片を複数(本実施形態では2つ)、屈曲伸長可能に接続したものとされている。また、内周部材50は、屈曲状態とすることにより本管1に設けられた開口3を介して本管1の内部に導入可能な程度にコンパクトな状態とすることができる。そのため、上述した枝管接続部材10は、内周部材50を本管1の内部に導入する作業を容易かつスムーズに行うことができる。また、枝管接続部材10は、回動部34を回動させて巻付部36に線状部材70を巻き付け、内周部材50を本管1の内周部に引き寄せる過程において、内周部材50を屈曲状態から伸長状態に変化させることができる。そのため、枝管接続部材10は、本管1の内部に内周部材50の導入した後、回動部34を回動させて引き寄せる操作を行えば、本管1に対する装着作業を完了できる。
【0076】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、水道管、下水管、排水管等の各種の配管において、本管に対して枝管を接続するために好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 :本管
3 :開口
5 :枝管
10 :枝管接続部材
20 :外周部材
28 :支持部
30 :ガイド部
34 :回動部
36 :巻付部
38 :巻付溝
38a :第一巻付溝
38b :第二巻付溝
50 :内周部材
52a :第一内周片
52b :第二内周片
70 :線状部材
70a :第一線状部材
70b :第二線状部材
80 :回動抵抗付与部材
82 :支持側抵抗付与部
82b :凹凸部
84 :回動側抵抗付与部
84a :嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21