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特許7407084加熱調理器管理システムおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】加熱調理器管理システムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20231221BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C3/12 C
F24C7/04 301A
F24C7/04 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020128242
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025430
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅也
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138543(JP,A)
【文献】特開2017-9206(JP,A)
【文献】特開2018-204846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04、7/08
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作する加熱調理器と、前記加熱調理器と通信可能に構成されており、管理者が操作する外部端末と、を備えている加熱調理器管理システムであって、
前記加熱調理器は、
被調理物を加熱する加熱部と、
前記加熱部に対する制御内容を含んでいる制御情報に基づいて、前記加熱部を制御する制御部と、
前記加熱部における異常の発生を検知する異常検知部と、
前記異常検知部が検知した前記異常に関する情報を含んでいる異常関連情報を前記外部端末に送信する送信部と、
前記外部端末から、前記制御情報に含まれる前記制御内容を制限する制御制限情報を受信する受信部と、
前記加熱部の加熱中における、前記ユーザによる前記加熱調理器に対する操作が継続して中断している時間である操作中断時間を計測する操作中断時間計測部と、を備えており、
前記制御部は、前記異常検知部が前記異常の発生を検知した場合であって、かつ、前記異常の発生を検知する前に前記操作中断時間計測部によって計測された前記操作中断時間である異常前操作中断時間が所定のしきい値時間を超えている場合に、前記加熱部の加熱を停止し、
前記送信部は、前記制御部が前記加熱部の加熱を停止した後に、前記異常関連情報を前記外部端末に送信し、
前記外部端末は、前記送信部から前記異常関連情報を受信した場合に、前記管理者の指示に応じて、前記制御内容についての制限を含んでいる前記制御制限情報を前記受信部に送信し、
前記制御部は、前記受信部が前記制御制限情報を受信した場合に、前記制御制限情報によって制限された前記制御内容で前記加熱部を制御し、
前記外部端末は、前記送信部から前記異常関連情報を受信しない場合には、前記制御制限情報を前記受信部に送信しない、加熱調理器管理システム。
【請求項2】
前記送信部は、前記異常前操作中断時間が前記所定のしきい値時間を超えている状態で、所定時間内に前記異常検知部が前記異常の発生を検知した頻度数が、所定のしきい値頻度数を超えている場合に、前記異常関連情報を前記外部端末に送信する、請求項1に記載の加熱調理器管理システム。
【請求項3】
前記外部端末における前記制御内容についての前記制限は、前記加熱部の加熱の継続時間である加熱継続時間と、前記加熱部の加熱量の最大値である最大加熱量と、前記加熱部での加熱の開始、のうち少なくとも一つに関するものである、請求項1または2に記載の加熱調理器管理システム。
【請求項4】
前記外部端末における前記制御内容についての前記制限は、前記送信部が前記外部端末に送信した前記異常関連情報に含まれる前記異常に関する前記制御内容のみについてのものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器管理システム。
【請求項5】
前記送信部は、前記異常関連情報を所定のしきい値回数以上前記外部端末に送信した後に、前記加熱部の加熱が開始された場合に、前記加熱が再開されたことを示す加熱再開情報を、前記外部端末に送信し、
前記外部端末は、前記送信部から前記加熱再開情報を受信した場合に、前記管理者の指示に応じて、前記加熱部を停止する加熱停止情報を前記受信部に送信し、
前記制御部は、前記受信部が前記加熱停止情報を受信した場合に、前記加熱部の加熱を停止し、
前記外部端末は、前記送信部から前記加熱再開情報を受信しない場合には、前記加熱停止情報を前記受信部に送信しない、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱調理器管理システム。
【請求項6】
ユーザが操作する加熱調理器と通信可能に構成されており、管理者が操作する外部端末のためのコンピュータプログラムであって、
前記加熱調理器は、
被調理物を加熱する加熱部と、
前記加熱部に対する制御内容を含んでいる制御情報に基づいて、前記加熱部を制御する制御部と、
前記加熱部における異常の発生を検知する異常検知部と、
前記異常検知部が検知した前記異常に関する情報を含んでいる異常関連情報を前記外部端末に送信する送信部と、
前記外部端末から、前記制御情報に含まれる前記制御内容を制限する制御制限情報を受信する受信部と、
前記加熱部の加熱中における、前記ユーザによる前記加熱調理器に対する操作が継続して中断している時間である操作中断時間を計測する操作中断時間計測部と、を備えており、
前記制御部は、前記異常検知部が前記異常の発生を検知した場合であって、かつ、前記異常の発生を検知する前に前記操作中断時間計測部によって計測された前記操作中断時間である異常前操作中断時間が所定のしきい値時間を超えている場合に、前記加熱部の加熱を停止し、
前記送信部は、前記制御部が前記加熱部の加熱を停止した後に、前記異常関連情報を前記外部端末に送信し、
前記コンピュータプログラムは、
前記外部端末を、
前記加熱調理器の前記送信部から前記異常関連情報を受信する端末側受信部と、
前記異常関連情報に含まれる前記異常に関する情報を表示する表示部と、
前記表示部が表示した前記異常に関する情報に基づいて、前記管理者に前記制御内容についての制限を指示させる操作部と、
前記管理者が前記操作部で指示した前記制御内容についての制限を含んでいる前記制御制限情報を、前記加熱調理器の前記受信部に送信する端末側送信部と、
として機能させ、
前記制御部は、前記受信部が前記制御制限情報を受信した場合に、前記制御制限情報によって制限された前記制御内容で前記加熱部を制御し、
前記端末側送信部は、前記端末側受信部が前記加熱調理器の前記送信部から前記異常関連情報を受信しない場合には、前記制御制限情報を前記加熱調理器の前記受信部に送信しない、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、加熱調理器管理システムおよびコンピュータプログラム
に関する。
【背景技術】
【0002】
被調理物を加熱する加熱部を備えている加熱調理器を、外部端末の操作によって制御する技術が知られている。例えば、特許文献1の加熱調理器管理システム(特許文献1では、通信システムと称している)では、加熱調理器(特許文献1では、燃焼装置と称している)と外部端末とが無線で接続される。特許文献1の加熱調理器管理システムでは、外部端末が加熱調理器から離れ、無線接続の信号強度がしきい値未満である状態が所定期間継続した場合に、加熱調理器が外部端末に対して通知を送信する。その後、通知を受信した外部端末から、加熱中の加熱調理器に対して加熱の停止を指示する消火信号が送信されると、加熱調理器は加熱を停止する。このように、特許文献1の加熱調理器管理システムでは、加熱調理器から離れた場所に位置している外部端末の操作によって、加熱調理器の加熱が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-22127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器管理システムは、加熱調理器のユーザが加熱調理器から離れている場合に、当該ユーザに対して、外部端末による加熱調理器の制御を許可する。しかしながら、加熱調理器のユーザが例えば高齢者である場合には、外部端末の操作による加熱調理器の制御が困難な場合がある。高齢者が加熱中の加熱調理器から離れている間にその加熱調理器に異常が発生した場合、高齢者とは別の場所にいる管理者(例えば、高齢者の家族等)が加熱調理器を制御することで加熱調理器による事故を防止することができる。
【0005】
しかしながら、加熱調理器は、そのユーザ(例えば、高齢者)によって操作されるのが原則であり、管理者によって加熱調理器をいたずらに制御可能とすると、ユーザの利便性が低下する。また、管理者によって加熱調理器を制御することができる場合、かえって加熱調理器を操作するユーザの安全意識の低下を招くおそれがある。本明細書では、一定の条件下に限定して管理者に対して加熱調理器の制御を許可することで、加熱調理器のユーザの利便性を確保しつつ、安全性を向上させることができる加熱調理器管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する加熱調理器管理システムは、ユーザが操作する加熱調理器と、前記加熱調理器と通信可能に構成されており、管理者が操作する外部端末と、を備えている。前記加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱部と、前記加熱部に対する制御内容を含んでいる制御情報に基づいて、前記加熱部を制御する制御部と、前記加熱部における異常の発生を検知する異常検知部と、を備えている。この加熱調理器は、さらに、前記異常検知部が検知した前記異常に関する情報を含んでいる異常関連情報を前記外部端末に送信する送信部と、前記外部端末から前記制御情報に含まれる前記制御内容を制限する制御制限情報を受信する受信部と、前記加熱部の加熱中における、前記ユーザによる前記加熱調理器に対する操作が継続して中断している時間である操作中断時間を計測する操作中断時間計測部と、を備えている。前記制御部は、前記異常検知部が前記異常の発生を検知した場合であって、かつ、前記異常の発生を検知する前に前記操作中断時間計測部によって計測された前記操作中断時間である異常前操作中断時間が所定のしきい値時間を超えている場合に、前記加熱部の加熱を停止する。前記送信部は、前記制御部が前記加熱部の加熱を停止した後に、前記異常関連情報を前記外部端末に送信する。前記外部端末は、前記送信部から前記異常関連情報を受信した場合に、前記管理者の指示に応じて、前記制御内容についての制限を含んでいる前記制御制限情報を前記受信部に送信する。前記制御部は、前記受信部が前記制御制限情報を受信した場合に、前記制御制限情報によって制限された前記制御内容で前記加熱部を制御する。前記外部端末は、前記送信部から前記異常関連情報を受信しない場合には、前記制御制限情報を前記受信部に送信しない。
【0007】
上記一側面に係る加熱調理器管理システムでは、異常が発生しており、さらに、加熱部の操作が比較的長い時間中断されている場合に、加熱部の加熱を停止する。このような場合には、加熱調理器のユーザが加熱調理器の近くに存在しない可能性が高いため、上述した加熱調理器管理システムは、まず加熱部の加熱を停止することで事故の発生を防止する。その後、送信部が異常関連情報を外部端末に送信することで、管理者に対して異常が発生したことを認識させることができる。異常の発生を認識した管理者は、外部端末によって制御制限情報を受信部に送信し、制御制限情報によって制限された制御内容で加熱部を制御する。このような構成とすることで、異常関連情報により異常の発生を認識した管理者は、その後異常が発生しないように、加熱部の制御を制限することができる。一方、外部端末は、送信部から異常関連情報を受信しない場合には、制御制限情報を受信部に送信しない。すなわち、管理者は、異常関連情報を受信しない場合には、加熱部の制御内容を制限できない。このように、本明細書が開示する加熱調理器システムは、一定の条件下に限定して、管理者に対して加熱調理器の制御内容の制限を許可する。これにより、加熱調理器のユーザの利便性を確保しつつ、安全性を向上させることができる。
【0008】
上記一側面に係る加熱調理器システムでは、前記送信部は、前記異常前操作中断時間が前記所定のしきい値時間を超えている状態で、所定時間内に前記異常検知部が前記異常の発生を検知した頻度数が、所定のしきい値頻度数を超えている場合に、前記異常関連情報を前記外部端末に送信してもよい。
【0009】
頻繁に異常が発生している場合に加熱部の加熱を停止し、送信部によって異常関連情報を外部端末に送信することで、管理者に対して、異常が頻繁に発生していることを認識させることができる。これにより、管理者は、異常が頻繁に発生していることを踏まえた上で加熱調理器の制御内容の制限をすることができる。
【0010】
さらに、上記一側面に係る加熱調理管理システムでは、前記外部端末における前記制御内容についての前記制限は、前記加熱部の加熱の継続時間である加熱継続時間と、前記加熱部の加熱量の最大値である最大加熱量と、前記加熱部での加熱の開始、のうち少なくとも一つに関するものであってもよい。
【0011】
これにより、管理者は、加熱調理器のユーザの状態に合わせて、制御内容を制限することができる。
【0012】
また、上記一側面に係る加熱調理器管理システムでは、前記外部端末における前記制御内容についての前記制限は、前記送信部が前記外部端末に送信した前記異常関連情報に含まれる前記異常に関する前記制御内容のみについてのものであってもよい。
【0013】
これにより、管理者に対して余計な制御内容の制限を許可することなく、異常関連情報に含まれる異常に関する制御内容のみに対して、制限を許可することができる。
【0014】
さらに、上記一側面に係る加熱調理器管理システムでは、前記送信部は、前記異常関連情報を所定のしきい値回数以上前記外部端末に送信した後に、前記加熱部の加熱が開始された場合に、前記加熱が再開されたことを示す加熱再開情報を、前記外部端末に送信してもよい。その場合、前記外部端末は、前記送信部から前記加熱再開情報を受信した場合に、前記管理者の指示に応じて、前記加熱部を停止する加熱停止情報を前記受信部に送信してもよい。前記制御部は、前記受信部が前記加熱停止情報を受信した場合に、前記加熱部の加熱を停止してもよい。前記外部端末は、前記送信部から前記加熱再開情報を受信しない場合には、前記加熱停止情報を前記受信部に送信しなくてもよい。
【0015】
繰り返し異常が発生する場合、加熱調理器のユーザが加熱調理器を正常に操作できる状態にないことが推定される。このような場合には、加熱調理器のユーザに、加熱調理器を続けて操作させることは危険である。上述した構成とすることにより、繰り返し異常が発生した後に、加熱部の加熱が再開された場合に、管理者の指示に応じて外部端末により加熱を停止することで、安全性を向上させる。一方で、加熱再開情報を受信しない場合には、管理者に加熱を停止させないことで、加熱調理器のユーザの利便性を確保することができる。
【0016】
上記一側面に係るコンピュータプログラムは、ユーザが操作する加熱調理器と通信可能に構成されており、管理者が操作する外部端末に用いられる。前記加熱調理器は、加熱部と、制御部と、異常検知部と、送信部と、受信部と、操作中断時間計測部と、を備えている。加熱部は、被調理物を加熱する。制御部は、前記加熱部に対する制御内容を含んでいる制御情報に基づいて、前記加熱部を制御する。異常検知部は、前記加熱部における異常の発生を検知する。送信部は、前記異常検知部が検知した前記異常に関する情報を含んでいる異常関連情報を前記外部端末に送信する。受信部は、前記外部端末から、前記制御情報に含まれる前記制御内容を制限する制御制限情報を受信する。操作中断時間計測部は、前記加熱部の加熱中における、前記ユーザによる前記加熱調理器に対する操作が継続して中断している時間である操作中断時間を計測する。前記制御部は、前記異常検知部が前記異常の発生を検知した場合であって、かつ、前記異常の発生を検知する前に前記操作中断時間計測部によって計測された前記操作中断時間である異常前操作中断時間が所定のしきい値時間を超えている場合に、前記加熱部の加熱を停止する。前記送信部は、前記制御部が前記加熱部の加熱を停止した後に、前記異常関連情報を前記外部端末に送信する。前記コンピュータプログラムは、前記外部端末を、端末側受信部と、表示部と、操作部と、端末側送信部と、として機能させる。端末側受信部は、前記加熱調理器の前記送信部から前記異常関連情報を受信する。表示部は、前記異常関連情報に含まれる前記異常に関する情報を表示する。操作部は、前記表示部が表示した前記異常に関する情報に基づいて、前記管理者に前記制御内容についての制限を指示させる。端末送信部は、前記管理者が前記操作部で指示した前記制御内容についての制限を含んでいる前記制御制限情報を、前記加熱調理器の前記受信部に送信する。前記制御部は、前記受信部が前記制御制限情報を受信した場合に、前記制御制限情報によって制限された前記制御内容で前記加熱部を制御する。前記端末側送信部は、端末側受信部が前記加熱調理器の前記送信部から前記異常関連情報を受信しない場合には、前記制御制限情報を前記加熱調理器の前記受信部に送信しない。
【0017】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施例の加熱調理器管理システムの斜視図を示す。
図2】加熱調理システムのハードウェアの構成を示す。
図3】第1実施例の制御装置が実行する処理のフロー図を示す。
図4】第2実施例の制御装置が実行する処理のフロー図を示す。
図5】第3実施例の制御装置が実行する処理のフロー図を示す。
図6】携帯端末に表示される異常関連情報の一例を示す。
図7】携帯端末に表示される制限内容を選択する画面の一例を示す。
図8】携帯端末に表示される制御が制限されたことを通知する画面の一例を示す。
図9】携帯端末に表示される加熱再開情報を管理者に通知する画面の一例を示す。
図10】携帯端末に表示される加熱が停止されていることを管理者に通知する画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の加熱調理器管理システム2を模式的に示した斜視図である。図1に示されるように、加熱調理器管理システム2は、加熱調理器10と、携帯端末30と、を備えている。加熱調理器10は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。携帯端末30は、典型的にはスマートフォンであるが、フィーチャーフォン、タブレット端末、パソコン等であってもよい。
【0020】
加熱調理器10の天板10uには、第1コンロ11aと、第2コンロ11bと、第3コンロ11cと、グリル28に連通する排気口17が配置されている。また、加熱調理器10の前側(すなわち、図1の右側)の面である前面10fには、コンロ操作部20と、グリル28が設けられている。また、加熱調理器10の前面10fの紙面左側には、グリル28内のグリルバーナ29a(図2参照)を操作するグリル操作部が設けられているが、本明細書では説明を省略する。
【0021】
第1コンロ11aは、第1コンロバーナ12aと、第1センサ14aと、五徳16aを備えている。第1コンロバーナ12aには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、第1コンロバーナ12aへのガス供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)が設けられている。第1コンロバーナ12aは、第1コンロバーナ12aにガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることによって点火する。第1コンロ11aは、点火した第1コンロバーナ12aによって、上方に載置される鍋やフライパン等の調理容器に収容されている被調理物を加熱する。第1コンロバーナ12aへのガス供給量を調整することにより、第1コンロバーナ12aの加熱量を調整することができる。また、第1コンロバーナ12aへのガスの供給が停止されることにより、第1コンロバーナ12aは消火される。なお、第2コンロ11bが備えている第2コンロバーナ12bと、第3コンロ11cが備えている第3コンロバーナ12cも、第1コンロバーナ12aと同様の構造を有している。
【0022】
第1センサ14aは、第1コンロ11aの上方に載置される調理容器の存在を検出するとともに、第1コンロ11aの第1コンロバーナ12aによって加熱される調理容器の温度を検出する。第1コンロ11aの上に調理容器が載置されると、第1センサ14aが調理容器によって押圧される。第1センサ14aは、調理容器によって押圧されると、第1コンロ11aの上方に調理容器が載置されたことを検知する。第1コンロ11aの上に調理容器が載置されていない場合は、第1センサ14aが押圧されない。第1センサ14a内には熱電対が配置されており、第1センサ14aに接触している調理容器の温度を測定することができる。なお、第2コンロ11bが備えている第2センサ14bと、第3コンロ11cが備えている第3センサ14cも、第1センサ14aと同様の構造を有する。また、五徳16a~16cは、それぞれのコンロの上方に載置される調理容器を、それぞれのコンロバーナから一定の距離離間させた状態で支持する。
【0023】
コンロ操作部20は、加熱調理器10の電源スイッチ24と、第1加熱量操作部20aと、第2加熱量操作部20bと、第3加熱量操作部20cと、パネル操作部22を備えている。電源スイッチ24は、加熱調理器10を起動させるスイッチであり、電源スイッチ24をオンすることで各コンロバーナへの点火が可能になる。第1加熱量操作部20aは、第1コンロ11aに対応する。同様に、第2加熱量操作部20bは第2コンロ11bに対応し、第3加熱量操作部20cは第3コンロ11cに対応する。第1加熱量操作部20aは、第1コンロバーナ12aの点火および消火を行うとともに、第1コンロバーナ12aの加熱量の調整を行うためのオルタネイト型のスイッチである。第2加熱量操作部20bと第3加熱量操作部20cも、第1加熱量操作部20aと同様の構造を有している。
【0024】
パネル操作部22には、各コンロバーナ(すなわち、第1コンロバーナ12a、第2コンロバーナ12b、第3コンロバーナ12c)、およびグリルバーナ29a(図2参照)の動作状態などが表示される。ユーザは、パネル操作部22によって各コンロバーナおよびグリルバーナ29aを所定の時間経過後に消火する、消火タイマーの設定等をすることができる。なお、以下では、各コンロバーナおよびグリルバーナ29aをまとめて、全バーナと称することがある。
【0025】
加熱調理器10は、制御装置40を内部に収容している。制御装置40は、第1コンロ11aと、第2コンロ11bと、第3コンロ11cと、グリル28内のグリルバーナ29a(図2参照)を自動制御するためのコンピュータである。
【0026】
携帯端末30は、加熱調理器10のユーザとは別の管理者が所有し、操作する端末である。詳細は後述するが、加熱調理器10には、管理者の連絡先として携帯端末30のアドレス、電話番号等を登録することができる。なお、本明細書では、理解を助けるため、加熱調理器10のユーザを単にユーザと称し、携帯端末30のユーザを管理者と称することがある。
【0027】
加熱調理器10の制御装置40は、インターネット100を介して携帯端末30と通信可能である。すなわち、携帯端末30は、加熱調理器10とインターネット100とを介して通信可能に構成されている外部端末である。なお、加熱調理器10と携帯端末30とは、他の公衆通信網等により構成される外部ネットワークを介して、通信を行ってもよい。
【0028】
図2を参照して、加熱調理器管理システム2が備えている制御構成について説明する。なお、図2では、第1コンロ11aの第1コンロバーナ12aのみを記載して、第2コンロバーナ12bと第3コンロバーナ12cの記載を省略している。同様に、図2では、第1コンロ11aの第1センサ14aのみを記載して、第2センサ14bと第3センサ14cの記載を省略している。電源スイッチ24がオンされると、コンロ操作部20、パネル操作部22、制御装置40等が起動する。
【0029】
制御装置40は、ハードウェアプロセッサであるCPU(CentralProcessing Unit)、RAM(RandomAccess Memory)、ROM(ReadOnly Memory)等を備えている。また、制御装置40は、外部の機器と通信するインターフェースである外部インターフェースを備えている。コンロ操作部20が操作されると、その操作に基づいて、制御装置40は、第1コンロバーナ12aの火力を調整する。制御装置40は、例えば、ECU(ElectronicControl Unit)により構成される。
【0030】
制御装置40は、あらかじめROMに記憶されたプログラムをRAMに展開する。制御装置40は、RAMに展開されたプログラムをCPUにより解釈および実行して、各構成要素を制御する。これによって、図2に示されるとおり、制御装置40は、ソフトウェアモジュールとして、制御部40c、異常検知部40d、記憶部40m、送信部40s、受信部40r、および操作中断時間計測部40iを備えるコンピュータとして構成される。
【0031】
制御部40cは、例えば第1コンロバーナ12aが加熱中である場合に、第1コンロバーナ12aへのガス供給量を調整することにより、第1コンロバーナ12aの加熱量を制御する。また、制御部40cは、第1コンロバーナ12aへのガスの供給を停止することで、第1コンロバーナ12aの加熱を停止する。このように、制御部40cは、制御情報に基づいて、第1コンロバーナ12aを制御する。
【0032】
異常検知部40dは、全バーナにおける異常の発生を検知する。例えば、異常検知部40dは、全バーナの連続的な加熱継続時間が所定の上限時間(例えば2時間)を超えた場合に、消し忘れが発生したことを検知する。また、異常検知部40dは、図1を参照して説明した、第1加熱量操作部20aが操作されていないにも関わらず、第1コンロバーナ12aの加熱が停止(すなわち、第1コンロバーナ12aが失火)した場合に加熱中の調理物の煮こぼれが発生したことを検知する。さらに、異常検知部40dは、図1を参照して説明した第1センサ14aが計測する調理容器の温度が所定の温度を超えて上昇している場合に、第1コンロバーナ12aに調理容器の空炊き、被調理物の焦げ付き等が発生したことを検知する。また、異常検知部40dは、グリル28の内部温度の検出値が過剰に昇温した場合にも、被調理物の焦げ付き等が発生したことを検知する。これらの異常は、全バーナのそれぞれにおける連続的な加熱継続時間が長くなると発生し、もしくは、発生しやすくなる異常である。
【0033】
記憶部40mは、管理者の携帯端末30のアドレス等を記憶する。例えば、加熱調理器10の購入時に、加熱調理器10と管理者の携帯端末30とでBluetooth(登録商標)により通信を行うことで、記憶部40mに、管理者の携帯端末30のアドレス等が記憶される。なお、Wi-Fi(登録商標)により通信を行うことで、加熱調理器10の記憶部40mに、管理者の携帯端末30のアドレス等が記憶されてもよい。さらに、管理者の携帯端末30のアドレス等は、加熱調理器10に直接入力されてもよい。また、図4を参照して後述する第2実施例の異常情報、図5を参照して後述する第3実施例の異常関連情報送信履歴も、記憶部40mに記憶される。
【0034】
送信部40sは、インターネット100を介して、記憶部40mが記憶している管理者の携帯端末30に様々な情報を送信する。送信部40sは、インターネット100を介して、異常検知部40dが検知した異常に関する情報を含む第1異常関連情報、第2異常関連情報を携帯端末30に送信する。なお、第1異常関連情報、第2異常関連情報の詳細については後述する。
【0035】
受信部40rは、インターネット100を介して、携帯端末30から送信される情報を受信する。受信部40rは、インターネット100を介して、管理者が指示した制御制限情報を携帯端末30から受信する。なお、制御制限情報の詳細については後述する。
【0036】
操作中断時間計測部40iは、全バーナのうちのいずれかで加熱が開始された後、加熱調理器10に対する操作が継続して中断している時間である操作中断時間を計測する。操作中断時間は、加熱調理器10のコンロ操作部20(図1参照)およびグリル操作部が、継続してユーザに操作されていない時間である。例えば、第1コンロバーナ12aで加熱を開始した場合、加熱を開始してから、ユーザが第1加熱量操作部20aによって第1コンロバーナ12aの加熱量を変更するまでが、操作中断時間に該当する。また、第1コンロバーナ12aで加熱を開始した場合に、ユーザによって第2コンロバーナ12bでさらに加熱が開始された場合には、第1コンロバーナ12aの加熱開始後、第2コンロバーナ12bの加熱開始までが操作中断時間に該当する。すなわち、操作中断時間は、ユーザが加熱調理器10に対して操作を実行していない時間であり、操作中断時間が長い場合には、ユーザが加熱調理器10の近傍に存在しないことが推定される。
【0037】
次いで、携帯端末30について説明する。携帯端末30は、ハードウェアプロセッサであるCPU、RAM、ROM等を含み、プログラムおよびデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。その結果、携帯端末30は、表示部30dと、操作部30оと、制御部30cと、端末側受信部30rと、端末側送信部30sと、記憶部30mと、を備える。表示部30dは、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部30dは、いわゆるタッチパネル(すなわち操作部30о)として機能してもよい。操作部30оは、複数のキーを備える。管理者(すなわち、携帯端末30のユーザ)は、操作部30оを操作することによって、様々な指示を携帯端末30に入力することができる。携帯端末30は、端末側受信部30rと端末側送信部30sとを介して、インターネット100に接続可能である。端末側受信部30rは、上述した第1異常関連情報、第2異常関連情報を加熱調理器10の送信部40sから受信する。端末側送信部30sは、制御制限情報を加熱調理器10の受信部40rに送信する。制御部30cは、携帯端末30の動作を制御する。記憶部30mには、管理アプリ30aが格納されている。管理アプリ30aは、例えば、インターネット100上のサーバ(図示省略)から携帯端末30にインストールされる。管理アプリ30aは、加熱調理器10に関する各種情報の受信や、加熱調理器10に対する各種指示の送信を実行するためのアプリケーションである。
【0038】
図3を参照して、第1実施例の加熱調理器管理システム2(図1参照)の制御装置40が実行する処理について説明する。加熱調理器10のユーザが電源スイッチ24(図1参照)をオンすると、図3に示される処理が開始される。なお、図3図5では、一例としてユーザが第1コンロバーナ12a(図1参照)で被調理物を加熱している場合について説明する。しかしながら、制御装置40は、他のコンロバーナおよびグリルバーナ29aで被調理物を加熱する場合も、同様の処理を実行する。
【0039】
ユーザが電源スイッチ24(図1参照)をオンし、第1加熱量操作部20a(図1参照)を押すと、制御装置40は、第1コンロバーナ12aの加熱を開始する(ステップS2)。第1コンロバーナ12aを開始した後、制御装置40は、図2を参照して説明した操作中断時間計測部40iによって、操作中断時間Tiの計測を開始する(ステップS4)。
【0040】
次いで、制御装置40は、操作中断時間計測部40iによってユーザによる加熱調理器10の操作の中断が継続しているか否かを監視する(ステップS6)。具体的には、操作中断時間計測部40iは、先に述べたように、第1加熱量操作部20aによる第1コンロバーナ12aの加熱量の変更操作、他のコンロバーナ、グリルバーナ29aの加熱を開始する操作等がユーザによって実行されるか否かを監視する。制御装置40は、上述したユーザの操作が確認された場合には(ステップS6:NO)、制御装置40は、全バーナの加熱が停止しているかを確認する(ステップS10)。全バーナの加熱が停止している場合(ステップS10:YES)、すなわちユーザが異常発生前に第1コンロバーナ12aの加熱を停止した場合には、制御装置40は、ユーザが再び全バーナのいずれかで加熱を開始するまで待機する。
【0041】
また、例えば、ユーザによって第1コンロバーナ12aの加熱量の変更操作がされた場合には(ステップS6:NO)、第1コンロバーナ12aの加熱は停止されない。この場合(ステップS10:NO)、制御装置40は、第1コンロバーナ12aの操作中断が終了したと判定して、第1コンロバーナ12aの加熱開始から計測していた操作中断時間Tiをリセットする(ステップS12)。その後、制御装置40は、操作中断時間計測部40iにより、再び操作中断時間Tiの計測を開始する(ステップS6)。このように、制御装置40は、加熱調理器10に対するユーザの操作の状況を、操作中断時間Tiによって測定することで、ユーザが加熱調理器10の近傍に存在しており、正常に加熱調理器10を操作しているか否かを監視する。
【0042】
ユーザによる加熱調理器10の操作が実行されず、操作の中断が継続される場合(ステップS6:YES)には、制御装置40は、操作中断時間計測部40iにより操作中断時間Tiの計測を継続しつつ、異常検知部40dにより、異常発生を監視する(ステップS8)。制御装置40は、異常検知部40dによって異常発生が検知できない場合(ステップS8:NO)には、操作中断時間計測部40iにより操作中断時間Tiの計測を継続する(ステップS6)。制御装置40は、異常検知部40dによって異常の発生を検知した場合(ステップS8:YES)には、操作中断時間計測部40iによる操作中断時間Tiの計測を終了する(ステップS14)。これにより、異常検知部40dが異常の発生を検知する前の操作中断時間である異常前操作中断時間Taが算出される。
【0043】
次いで、制御装置40は、異常前操作中断時間Taとしきい値時間Tthとを比較する(ステップS16)。しきい値時間Tthは、加熱調理器10の近傍にユーザが存在しないことを推定される程度の時間である。しきい値時間Tthは、例えば、30分である。
【0044】
異常前操作中断時間Taがしきい値時間Tthを超えている場合(ステップS16:YES)には、制御装置40は、図2を参照して説明した制御部40cによって第1コンロバーナ12aの加熱を停止する(ステップS18)。制御装置40は、異常検知部40dによって異常を検知し、かつ、異常前操作中断時間Taがしきい値時間Tthを超えている場合に、第1コンロバーナ12aの加熱を停止する。これにより、制御装置40は、異常が発生し、かつ、加熱調理器10の近傍にユーザが存在しないと推定される場合(すなわち、加熱調理器10のユーザが異常の発生を認識していないと推定される場合)に、まず加熱を停止することができる。その後、制御装置40は、図2を参照して説明した送信部40sによって第1異常関連情報を管理者の携帯端末30に送信する(ステップS20)。
【0045】
ここで、一旦図6を参照して、管理者の携帯端末30に表示される異常関連情報について説明する。図3のステップS20で送信部40sが第1異常関連情報を携帯端末30に送信すると、携帯端末30は、図2を参照して説明した端末側受信部30rによって第1異常関連情報を受信する。その結果、図6(A)に示されるように、携帯端末30は、図2を参照して説明した表示部30dによって、加熱調理器10のユーザ「Aさん」のコンロに消し忘れの異常が発生したことを表示する。これにより、管理者は、加熱調理器10のユーザが消し忘れの異常を発生させたことを認識することができる。なお、先に述べたように、第1異常関連情報には、消し忘れ以外の異常も含まれている。第1異常関連情報の異常名称表示部3aに表示される異常の名称は、第1コンロバーナ12a(図1参照)に発生した異常の種類により変更される。
【0046】
管理者がユーザの加熱調理器10に異常が発生したことを認識して、図6(A)に示される了解ボタンをタップすると、図7に示されるように、携帯端末30には、表示部30dにより、制御内容選択画面が表示される。制御内容選択画面には、加熱継続時間制限部3cと、最大加熱量制限部3dと、加熱開始制限部3eと、制限拒否ボタン3fとが含まれる。加熱継続時間制限部3cでは、ユーザが再び加熱調理器10の全バーナのいずれかによって被調理物の加熱を開始した場合に、その加熱の継続時間を制限することができる。例えば、管理者は、加熱継続時間制限部3cを選択し、継続時間を「0.5時間」と入力する。これにより、ユーザが、例えば第1コンロバーナ12aで再び加熱を開始すると、30分後に加熱が自動で停止される。ユーザが第2コンロバーナ12b(図1参照)で再び加熱した場合も、同様に30分後に加熱が自動で停止される。
【0047】
また、最大加熱量制限部3dでは、ユーザが再度加熱調理器10の全バーナによって被調理物の加熱を開始した場合に、その加熱における加熱量の最大値である最大加熱量を制限することができる。例えば、管理者は、最大加熱量制限部3dを選択し、最大加熱量を「弱」と入力する。これにより、ユーザが例えば第3コンロバーナ12c(図1参照)で再度加熱を開始すると、弱以下の加熱量に加熱が制限される。
【0048】
さらに、加熱開始制限部3eでは、ユーザによる、加熱調理器10の全バーナにおける被調理物の加熱開始を制限する。これにより、ユーザが例えば、グリルバーナ29a(図1参照)で再度加熱を試みても、グリルバーナ29aには着火しない。また、管理者は、制御内容の選択をしない場合には、制限拒否ボタン3fを押してもよい。
【0049】
このように、制御内容選択画面に加熱継続時間制限部3cと、最大加熱量制限部3dと、加熱開始制限部3eとを含めることで、管理者は、その中からユーザの状態に合わせた制限内容を選択し、制御装置40に対して指示することができる。管理者が選択した制限内容は、図2を参照して説明した端末側送信部30sによって、制御制限情報として加熱調理器10の制御装置40の受信部40rに送信される。
【0050】
ここで再び図3を参照して、制御装置40が実行する処理について説明する。制御装置40は、受信部40rが、図7に示される制限内容選択画面で管理者が選択した(すなわち、指示した)制御制限情報を受信したか否かを判定する(ステップS22)。制御制限情報を受信した場合(ステップS22:YES)、制御装置40は、全バーナの加熱が停止しているかを確認する(ステップS24)。全バーナの加熱が停止していない場合(ステップS24:NO)には、加熱中のバーナの加熱を停止する(ステップS28)。これにより、ステップS18で制御装置40が第1コンロバーナ12aの加熱を停止した後に、ユーザが再び第1コンロバーナ12a、またはその他のコンロバーナおよびグリルバーナ29aによって加熱を開始していた場合に、当該バーナの加熱を停止することができる。
【0051】
ステップS24で全バーナの加熱が停止していた場合(ステップS24:YES)、または、ステップS28で全バーナの加熱が停止された後、制御装置40は、管理者が選択した制御制限を設定する(ステップS26)。これにより、制御部40cは、管理者の指示に応じて、全バーナのその後の動作を制御する。
【0052】
図8に示されるように、ステップS26で制御制限が設定されると、携帯端末30には、設定された制御制限の内容が表示される。これにより、管理者は、自身が指示した制御制限が設定されたこと(すなわち、図8の例では加熱継続時間が0.5時間に制限されたことを)を認識する。また、携帯端末30には、設定された制御制限の内容と同時に制限解除ボタン3gも表示される。これにより、管理者は、その後にユーザの状況が確認でき、問題ないと判断した場合等に、制御制限を解除することができる。
【0053】
なお、制御制限が設定されている間に、ユーザが制御制限を超えて加熱調理器10を利用しようとした場合には、コンロ操作部20(図1参照)のパネル部分に「管理者により使用制限がされています。」というメッセージが表示される。また、音声によって、ユーザに使用制限されていることを伝達してもよい。これにより、ユーザは、加熱調理器10に対して管理者から制御制限が設定されていることを認識することができる。その場合、ユーザは、管理者に直接連絡し、管理者に制御制限の設定解除を依頼してもよい。
【0054】
一方で、ステップS16で操作中断時間Tiがしきい値時間Tthよりも短い場合(ステップS16:NO)には、第1コンロバーナ12aに異常は発生している場合であっても、ユーザが加熱調理器10の近傍に存在するため、ユーザによる対応が可能である。このため、制御装置40は、管理者の携帯端末30に第1異常関連情報は送信しない。
【0055】
また、ステップS22で受信部40rが制御制限情報を受信しない場合(ステップS22:NO)には、制御装置40は、制御制限情報を受信するまで所定時間待機する(ステップS23)。所定時間経過していない場合(ステップS23:NO)は、制御装置40は、制御制限情報を受信したか否かを判定する(ステップS22)。所定時間経過しても制御制限情報を受信しない場合(ステップS23:YES)には、管理者が制御制限情報を送信しなかったと推定されるため、制御装置40は、制御制限を設定せずに処理を終了する。これにより、例えば、第1異常関連情報を受信した管理者がユーザに直接連絡を取ることでユーザの状況が確認できた場合等、管理者が制御制限の設定を指示しなかった場合にまで制御制限が設定されることを防止することができる。
【0056】
上述したように、第1実施例の加熱調理器管理システム2(図1参照)は、加熱中の第1コンロバーナ12aに異常が発生し、かつ、異常前操作中断時間Taがしきい値時間Tthを超えている場合に、管理者の携帯端末30に対して、第1異常関連情報を送信する。すなわち、加熱調理器管理システム2は、異常が発生しており、さらに加熱調理器10のユーザが長時間にわたって加熱調理器10の近傍に存在しないと推定される場合に、管理者の携帯端末30に対して、第1異常関連情報を送信する。また、加熱調理器管理システム2では、管理者の携帯端末30から制御制限情報を受信した場合に、制御制限を設定する。すなわち、加熱調理器管理システム2は、上述した条件下に限定して、管理者による加熱調理器10の制御制限を許可する。これにより、加熱調理器管理システム2は、加熱調理器10のユーザの利便性を確保しつつ、管理者の指示に応じた制御制限を認めることで、安全性を向上させることができる。
【0057】
(第2実施例)
図4を参照して、第2実施例の加熱調理器管理システム2の制御装置40が実行する処理について説明する。図4に示されるフローは、図3に示される第1実施例のフローのステップS16とステップS22との間に追加され、実行される処理である。第2実施例の制御装置40は、異常前操作中断時間Taがしきい値時間Tthを超えている場合(ステップS16:YES)に、ステップS8で異常検知部40dが検知した異常に関する情報である異常情報を記憶部40mに記憶する(ステップS30)。ここで、異常情報には、発生した異常の種類、所定の周期内で異常の発生が検知された回数である異常の発生頻度数等が含まれる。次いで、第2実施例の制御装置40は、記憶部40m内の異常情報から、所定時間内に異常が発生した回数である異常発生頻度数Nwを算出する(ステップS32)。そして、第2実施例の制御装置40は、異常発生頻度数Nwとしきい値頻度数Nthとを比較する(ステップS34)。しきい値頻度数Nthは、ユーザが正常に加熱調理器10を操作できていないと推定される異常発生の頻度数であり、その値は管理者によって変更可能である。なお、異常情報には、異常の発生日時が含まれてもよい。その場合、異常情報は、上述した異常の発生頻度数に代えて、異常の発生回数を含んでもよい。第2実施例の制御装置40は、異常の発生日時と異常の発生回数とを利用して、異常発生頻度数Nwを算出してもよい。
【0058】
異常発生頻度数Nwがしきい値頻度数Nthを超えている場合(ステップS34:YES)には、第2実施例の制御装置40は、第1コンロバーナ12aの加熱を停止する(ステップS18)。その後、第2実施例の制御装置40は、図3のステップS20および図6(A)を参照して説明した第1異常関連情報に代えて、送信部40sにより、第2異常関連情報を携帯端末30に送信する(ステップS36)。第2異常関連情報には、加熱されていた第1コンロバーナ12a(図1参照)に発生した異常の種類に加え、所定時間内に発生した回数も含まれる。携帯端末30は、第2異常関連情報を受信すると、表示部30dにより、図6(B)の発生頻度数表示部3bに示されるように、所定時間内に3回の消し忘れが発生したことを表示する。これにより、管理者は、加熱調理器10のユーザが所定時間内に3回の消し忘れを発生させたことを認識することができる。これにより、管理者は、よりユーザの状況を把握することができる。その結果、管理者は、よりユーザの状況に適した制御制限の指示を選択することができる。
【0059】
なお、第2異常関連情報は、同じ種類の異常発生頻度数Nwがしきい値頻度数Nthを超えている場合に携帯端末30に送信されてもよいし、全ての種類を含んだ異常発生頻度数Nwがしきい値頻度数Nthを超えている場合に携帯端末30に送信されてもよい。その場合、携帯端末30には、異常の種類ごとに発生頻度数が表示されてもよい。
【0060】
一方、異常発生頻度数Nwがしきい値頻度数Nthよりも小さい場合(ステップS34:NO)は、操作中断時間Tiが比較的長いにも関わらず、加熱中の第1コンロバーナ12aでの異常の発生頻度が小さい。これらの場合には、加熱調理器10のユーザは、第1コンロバーナ12aが加熱中であることを正常に認識している可能性が高い。そのため、このような場合には、第2実施例の制御装置40は、まず第1コンロバーナ12aの加熱を停止し(ステップS18)、その後に処理を終了する。すなわち、第2実施例の制御装置40は、異常発生に関する情報を管理者に通知する必要が無いものとして、第2異常関連情報を管理者の携帯端末30に送信しない。このように、第2実施例の加熱調理器管理システム2では、第1実施例の異常前操作中断時間Taに加え、異常発生頻度数Nwがしきい値頻度数Nthを超えた場合に、初めて第2異常関連情報を携帯端末30に送信する。これにより、第2異常関連情報を送信する回数を低減させ、加熱調理器10のユーザの利便性を向上させるとともに、異常発生が頻繁に発生した場合には、そのことを管理者に通知することができる。なお、第2実施例の制御装置40は、異常発生頻度数Nwがしきい値頻度数Nthよりも小さい場合(ステップS34:NO)に、第1コンロバーナ12aの加熱を停止した後に処理を終了した。しかしながら、変形例の制御装置では、第1コンロバーナ12aの加熱を停止した後に、図3のステップS20の処理を実行し、第1異常関連情報を携帯端末30に送信してもよい。
【0061】
(第3実施例)
図5を参照して、第3実施例の加熱調理器管理システム2の制御装置40が実行する処理について説明する。図5に示されるフローは、図3に示される第1実施例のフローのステップS2とステップS4との間に追加され、実行される処理である。第3実施例の加熱調理器管理システム2では、図3のステップS20で第1異常関連情報を携帯端末30に送信した後、記憶部40mで異常関連情報送信履歴を記憶する。その後、ステップS2において、第1コンロバーナ12a(図1参照)の加熱が開始されると、図5に示されるように、記憶部40mに記憶している異常関連情報送信履歴から、異常関連情報送信回数Rsを算出する(ステップS40)。ここで、異常関連情報送信回数Rsは、全バーナの加熱前の所定時間内に、第1異常関連情報が携帯端末30に送信された回数である。
【0062】
ステップS40で異常関連情報送信回数Rsを算出した後、第3実施例の制御装置40は、異常関連情報送信回数Rsとしきい値回数Rthとを比較する(ステップS42)。ここで、しきい値回数Rthは、所定時間内に発生した場合に、ユーザが正常に加熱調理器10を操作できていないと推定される回数であり、その値は管理者によって変更可能である。
【0063】
異常関連情報送信回数Rsがしきい値回数Rthを超えている場合(ステップS42:YES)には、ユーザは、正常に加熱調理器10を操作できる状態にないにもかかわらず、再び加熱を開始しようとしている可能性がある。第3実施例の制御装置40は、この場合に、加熱再開情報を携帯端末30に送信する(ステップS44)。加熱再開情報を受信した携帯端末30は、図9に示されるように、管理者に対して、ユーザ(すなわち、Aさん)が、加熱調理器10(図1参照)により、再び加熱を試みていることを通知する。管理者は、図9に示す加熱停止指示部3hをタップすることで、加熱調理器10に加熱停止情報を送信する。これにより、第3実施例の制御装置40は、受信部40rが加熱停止情報を受信したか否かを判定する(ステップS46)。第3実施例の制御装置40は、加熱停止情報を受信していない場合(ステップS46:NO)には、加熱停止情報を受信するまで所定時間待機する(ステップS47)。所定時間経過していない場合(ステップS47:NO)は、第3実施例の制御装置40は、再び加熱停止情報を受信したか否かを判定する(ステップS46)。所定時間経過しても制御制限情報を受信しない場合(ステップS47:YES)には、第3実施例の制御装置40は、加熱停止情報が管理者より送信されなかったと判定し、図3のステップS4からの処理を実行する。
【0064】
同様に、図9に示す加熱停止拒否部3iを管理者が選択し、ステップS46で受信部40rが加熱停止情報を受信しなかった場合(ステップS46:NO)も、第3実施例の制御装置40は、図3のステップS4からの処理を実行する。さらに、異常関連情報送信回数Rsがしきい値回数Rthよりも小さい場合(ステップS42:NO)にも、第3実施例の制御装置40は、図3のステップS4からの処理を実行する。これらの場合、管理者が加熱を停止する必要はないと判断したか、また、異常関連情報送信回数Rsが少ないと考えられる。第3実施例の制御装置40は、このような場合に加熱を停止しないことで、ユーザの利便性を確保することができる。
【0065】
受信部40rが加熱停止情報を受信した場合(ステップS46:YES)、第3実施例の制御装置40は、ユーザが加熱を実行したバーナの加熱を停止する(ステップS48)。これにより、管理者は、正常に加熱調理器10を操作できる状態にないユーザによって、加熱が再開されることを防止する。また、その際、コンロ操作部20(図1参照)のパネル部分に「管理者により加熱が停止されました。」というメッセージが表示される。また、音声によって、ユーザに加熱が停止されたことを伝達してもよい。これにより、ユーザは、管理者が加熱を停止したことを認識することができる。
【0066】
なお、例えば第1コンロバーナ12aによる加熱の再開を試みたが、管理者によって加熱を停止されたユーザが、今度は第2コンロバーナ12bによる加熱の再開を試みた場合も、再び図5のフローが実行され、再度管理者の携帯端末30に加熱再開情報が送信される。このような構成とすることで、管理者は、ユーザが繰り返し加熱の再開を試みていることを認識することができる。
【0067】
(対応関係)加熱調理器10の各コンロバーナおよびグリルバーナ29aが「加熱部」の一例である。携帯端末30が、「外部端末」の一例である。
【0068】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0069】
(変形例1)上述した実施例の制御内容選択画面(図7参照)には、加熱継続時間制限部3cと、最大加熱量制限部3dと、加熱開始制限部3eと、が含まれている。しかしながら、変形例では、第1異常関連情報に含まれる異常に関するもののみを携帯端末30に表示してもよい。例えば、第1異常関連情報に「消し忘れ」の異常が含まれる場合には、制御内容選択画面は、加熱継続時間制限部3cのみを含んでもよい。これにより、管理者に許可する制御制限の内容を、発生した異常に関するものに限定することができる。
【0070】
(変形例2)上述した実施例の制御装置40の送信部40sは、一台の携帯端末30に第1、第2異常関連情報を送信していたが、変形例では、複数の携帯端末に同時にこれらの情報を送信してもよい。これにより、複数の管理者によってユーザの加熱調理器10に対する操作を監視することができる。また、その場合、複数の管理者のうちの1名をメインの管理者として登録し、その登録されている管理者からの指示で優先的に制御内容を制限してもよい。
【0071】
(変形例3)また、上述した第3実施例の制御装置40は、管理者によって加熱停止処理が実行された後、ユーザが加熱の再開を試みる度に、管理者の携帯端末30に加熱再開情報を送信した。これに代えて、変形例では、一度加熱停止処理が実行された後は、所定時間全バーナの加熱を停止してもよい。その場合、図10に示されるように、管理者の携帯端末30に、加熱停止中であることを示す表示がされてもよい。また、解除するための加熱停止解除ボタン3jも一緒に表示されてもよい。これにより、管理者の携帯端末30に加熱再開情報を送信される回数を低減することができる。
【0072】
(変形例4)上述した加熱調理器10は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。これに代えて、変形例では、電磁誘導加熱調理器(IH調理器)であってもよいし、内蔵されている電熱線を電気で加熱することで被調理物を加熱する電気加熱調理器(例えば、電気コンロ)であってもよい。
【0073】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0074】
2 :加熱調理器管理システム
10 :加熱調理器
10f :前面
10u :天板
11a :第1コンロ
12a :第1コンロバーナ
14a :第1センサ
17 :排気口
20 :コンロ操作部
20a :第1加熱量操作部
22 :パネル操作部
24 :電源スイッチ
28 :グリル
29a :グリルバーナ
30 :携帯端末
30a :管理アプリ
30c、40c :制御部
30d :表示部
30m、40m :記憶部
30о :操作部
30r :端末側受信部
30s :端末側送信部
40 :制御装置
40d :異常検知部
40i :操作中断時間計測部
40r :受信部
40s :送信部
100 :インターネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10