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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20231221BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F16F15/02 Z
E04H9/02 331D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020129364
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022026075
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-222093(JP,A)
【文献】特開2010-031982(JP,A)
【文献】特開昭60-237218(JP,A)
【文献】特開平9-096338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体と被支持構造との隙間に形成される免震層に設けられる免震装置であって
磁性体でできた球体である複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有するN(N=1、2・・・)個の軸受ユニットと、
複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に保持する永久磁石保持材とを有する(N+1)個の磁石ユニットと、
被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、
を備え、
(N+1)個の前記磁石ユニットのうちの一つ前記磁石ユニットである最上部磁石ユニットが最上部に配され且つ(N+1)個の前記磁石ユニットのうちの一つの前記磁石ユニットである最下部磁石ユニットが最下部に配される様に(N+1)個の前記磁石ユニットとN個の前記軸受ユニットとが上下方向に交互に配され、
(N+1)個の前記磁石ユニットの前記永久磁石保持材がN個の前記軸受ユニットの前記転動体に接触する上側および下側にN個の軸受ユニットの複数の前記転動体の転動できる面である転動面を形成し、
前記最上部磁石ユニットが前記上部基礎構造に固定され、
前記最下部磁石ユニットが前記下部基礎構造に固定され、
1つの前記軸受ユニットと該軸受ユニットを上下から挟む上下一対の磁石ユニットとについて、上から見て前記軸受仮想垂直軸と上下一対の前記磁石仮想垂直軸とを一致させたとき上下一対の該磁石ユニットの前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の位置が該軸受ユニットの前記軸受仮想円に沿って配置される複数の前記転動体の位置に重なり、前記軸受ユニットの複数の前記転動体を間に挟んで対向する上下一対の該磁石ユニットの上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う様に磁界を発生する、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
N(N=1、2・・・)個の軸受ユニットが、磁性体でできた球体である複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の軸受仮想円に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有し、
(N+1)個の磁石ユニットが、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ想の円である複数の磁石仮想円に沿って所定の間隔で配置される様に保持する永久磁石保持材とを有し、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
(N+1)個の前記磁石ユニットは、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に複数の永久磁石の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材と磁石隙間をうめる部材である磁石隙間部材とをもつ永久磁石保持材とを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の免震装置。
【請求項4】
前記磁石ユニットが上から見て中心部に筒状の空隙を形成する内壁をもち
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの前記内壁に沿う様に配される内部磁極ブロックと、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の免震装置。
【請求項5】
前記磁石ユニットが上から見て筒状の外壁をもち、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの外壁に沿う様に配される外部磁極ブロックと、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の免震装置。
【請求項6】
前記転動体保持材が前記軸仮想垂直軸を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、
弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り上端を前記上部基礎構造に拘束され下端を前記下部基礎構造に拘束され前記転動体保持材に形成される前記貫通穴に貫通する部材であるプラグと、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の免震装置。
【請求項7】
柔軟材料でできN個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとが重なった状態で、N個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとを覆う部材である保護材と、
を備え、
前記保護材が前記転動体保持材の外周を支える、
ことを特徴とする請求項6に記載の免震装置。
【請求項8】
(N+1)個の前記磁石ユニットは、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に複数の永久磁石の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材と磁石隙間をうめる部材である磁石隙間部材とをもつ永久磁石保持材とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項9】
前記磁石ユニットが上から見て中心部に筒状の空隙を形成する内壁をもち
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの前記内壁に沿う様に配される内部磁極ブロックと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項10】
前記磁石ユニットが上から見て筒状の外壁をもち、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの外壁に沿う様に配される外部磁極ブロックと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項11】
前記転動体保持材が前記軸仮想垂直軸を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、
弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り上端を前記上部基礎構造に拘束され下端を前記下部基礎構造に拘束され前記転動体保持材に形成される前記貫通穴に貫通する部材であるプラグと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項12】
柔軟材料でできN個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとが重なった状態で、N個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとを覆う部材である保護材と、
を備え、
前記保護材が前記転動体保持材の外周を支える、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体と被支持構造との隙間に形成される免震層に設けられる免震装置とその免震装置を用いた免震システムに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、建物等を地震から守る等の目的で免震装置が用いられる。
免震システムは、複数の免震装置を組み合わせてできている。
例えば、地震が発生すると、免震装置が建物等に入力される加速度を低下させて、建物等を守る。
例えば、免震装置には、複数のゴム板と鉄板を積層した構造である積層ゴム支承、リニアガイドをXY状に交差させた転がり支承、滑りを利用した滑り支承、他が採用される。
また、建物等の基礎に引き抜き力が作用するとき、皿バネやゴム材にによる浮き上がり機構が採用される。
免震システムは、複数の構造をもつ免震装置が組み合わされることもある。
【0003】
免震装置に要求される主な機能は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能、減衰機能である。さらに、対引き抜き力に対して引き抜き地からや浮き上がり機能が要求されることがある。
例えば、鉛入り積層ゴム支承は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能、減衰機能を一つの機構に組み込んでいる。転がりすべり支承は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能を一つの機構に組み込んでいる。鉛入り積層ゴム支承はや浮き上がり機能を発揮する構造を組み合わせて使用することがある。
【0004】
永久磁石と硬球を持ちいた免震装置は、先行文献1、先行文献2に開示される。
また、ボールベアリングと永久磁石を用いた免震装置が、先行文献3に開示される。
【0005】
軸力を許可しながら回転を許容する軸受として「スラスト軸受」は、一般産業機械部品などに広く用いられる。
後述する実施形態で示すようにスラスト軸受の「軸力許容機能」を「建物の荷重を支える機能」に利用し、スラスト軸受の「回転機械」を、免震装置の水平変形、水平回転に利用した事例は見当たらない。
【0006】
発明者は、スラスト軸受の硬球部とフランジ部の間に永久磁石を組合わせる構造を検討し、本願の発明を考案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、スラスト軸受の硬球部とフランジ部の間に永久磁石を組合わせた構造をもつ免震装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る支持構造体と被支持構造との隙間に形成される免震層に設けられる免震装置を、磁性体でできた球体である複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有するN(N=1、2・・・)個の軸受ユニットと、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に保持する永久磁石保持材とを有する(N+1)個の磁石ユニットと、被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、を備え、(N+1)個の前記磁石ユニットのうちの一つ前記磁石ユニットである最上部磁石ユニットが最上部に配され且つ(N+1)個の前記磁石ユニットのうちの一つの前記磁石ユニットである最下部磁石ユニットが最下部に配される様に(N+1)個の前記磁石ユニットとN個の前記軸受ユニットとが上下方向に交互に配され、(N+1)個の前記磁石ユニットの前記永久磁石保持材がN個の前記軸受ユニットの前記転動体に接触する上側および下側にN個の軸受ユニットの複数の前記転動体の転動できる面である転動面を形成し、前記最上部磁石ユニットが前記上部基礎構造に固定され、前記最下部磁石ユニットが前記下部基礎構造に固定され、1つの前記軸受ユニットと該軸受ユニットを上下から挟む上下一対の磁石ユニットとについて上から見て前記軸受仮想垂直軸と上下一対の前記磁石仮想垂直軸とを一致させたとき上下一対の該磁石ユニットの前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の位置が該軸受ユニットの前記軸受仮想円に沿って配置される複数の前記転動体の位置に重なり、前記軸受ユニットの複数の前記転動体を間に挟んで対向する上下一対の該磁石ユニットの上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う様に磁界を発生する、ものとした。
【0009】
上記本発明の構成により、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニットが、磁性体でできた球体である複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有する。(N+1)個の磁石ユニットが、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に保持する永久磁石保持材とを有する。上下一対の基礎構造が、被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する。(N+1)個の前記磁石ユニットのうちの一つ前記磁石ユニットである最上部磁石ユニットが最上部に配され且つ(N+1)個の前記磁石ユニットのうちの一つの前記磁石ユニットである最下部磁石ユニットが最下部に配される様に(N+1)個の前記磁石ユニットとN個の前記軸受ユニットとが上下方向に交互に配される。(N+1)個の前記磁石ユニットの前記永久磁石保持材がN個の前記軸受ユニットの前記転動体に接触する上側および下側にN個の軸受ユニットの複数の前記転動体の転動できる面である転動面を形成する。前記最上部磁石ユニットが前記上部基礎構造に固定される。前記最下部磁石ユニットが前記下部基礎構造に固定される。1つの前記軸受ユニットと該軸受ユニットを上下から挟む上下一対の磁石ユニットとについて、上から見て前記軸受仮想垂直軸と上下一対の前記磁石仮想垂直軸とを一致させたとき上下一対の該磁石ユニットの前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の位置が該軸受ユニットの前記軸受仮想円に沿って配置される複数の前記転動体の位置に重なり、前記軸受ユニットの複数の前記転動体を間に挟んで対向する上下一対の該磁石ユニットの上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う様に磁界を発生する。
その結果、下部基礎構造を基礎として複数の軸受ユニットの複数の軸受と磁石ユニットとを介して上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0011】
本発明の実施形態に係る免震装置は、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニットが、磁性体でできた球体である複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の軸受仮想円に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有し、(N+1)個の磁石ユニットが、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に保持する永久磁石保持材とを有する。
上記の実施形態の構成により、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニットが、磁性体でできた球体である複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の軸受仮想円に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有する。(N+1)個の磁石ユニットが、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の磁石仮想円に沿って所定の間隔で配置される様に保持する永久磁石保持材とを有する。
その結果、下部基礎構造を基礎として複数の軸受ユニットの複数の軸受と磁石ユニットとを介して上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、同心円状に並ぶ複数の磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
【0012】
(N+1)個の前記磁石ユニットは、複数の永久磁石と磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に複数の永久磁石の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材と磁石隙間をうめる部材である磁石隙間部材とをもつ永久磁石保持材とを有する。
上記の実施形態の構成により、永久磁石保持材の上下一対の板状の保持板状部材は、磁性体ででき複数の前記永久磁石を上から見て仮想の垂直軸である磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置される様に複数の永久磁石の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する。永久磁石保持材の磁石隙間部材は、磁石隙間をうめる部材である。
その結果、磁石隙間部材の高さ寸法を永久磁石の高さ寸法に対して所定の値にすることで、永久磁石に作用する荷重を緩和できる。
【0013】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記磁石ユニットが上から見て中心部に筒状の空隙を形成する内壁をもち、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの前記内壁に沿う様に配される内部磁極ブロックと、を備える
上記の実施形態の構成により、前記磁石ユニットが上から見て中心部に筒状の空隙を形成する内壁をもつ。内部磁極ブロックは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの前記内壁に沿う様に配される。
その結果、前記永久磁石を引き合う磁束が内部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
【0014】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記磁石ユニットが上から見て筒状の外壁をもち、磁性体の材料でできるブロックである外部磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの外壁に沿う様に配される外部磁極ブロックと、を備える。
上記の実施形態の構成により、前記磁石ユニットが上から見て筒状の外壁をもつ。外部磁極ブロックが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記磁石ユニットの外壁に沿う様に配される。
その結果、前記永久磁石を引き合う磁束が外部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
【0015】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記転動体保持材が前記軸仮想垂直軸を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り上端を前記上部基礎構造に拘束され下端を前記下部基礎構造に拘束され前記転動体保持材に形成される前記貫通穴に貫通する部材であるプラグと、を備える。
上記の実施形態の構成により、前記転動体保持材が前記軸仮想垂直軸を中心として上下に延びる貫通穴を形成する。プラグが、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り上端を前記上部基礎構造に拘束され下端を前記下部基礎構造に拘束され前記転動体保持材に形成される前記貫通穴に貫通する。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグが前記転動体保持材の動きを拘束できる。
【0016】
本発明の実施形態に係る免震装置は、柔軟材料でできN個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとが重なった状態で、N個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットを覆う部材である保護材と、を備え、前記保護材が前記転動体保持材の外周を支えるものとした。
上記の実施形態の構成により、保護材は、柔軟材料でできN個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとが重なった状態で、N個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットを覆う。前記保護材が前記転動体保持材の外周を支える。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材が前記転動体保持材の動きを拘束できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
前記最上部磁石ユニットが前記上部基礎構造に固定され、前記最下部磁石ユニットが前記下部基礎構造に固定され、(N+1)個の前記磁石ユニットとN個の軸受ユニットとが交互に重なり、(N+1)個の前記磁石ユニットの前記永久磁石保持材が(N+1)個の前記磁石ユニットの前記転動体の接する側に前記転動体の転動する転動面を形成し、上から見て前記軸受仮想垂直軸と上下一対の前記磁石仮想垂直軸とを一致させたとき上下一対の前記磁石ユニットの前記磁石仮想垂直軸を中心とする前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の位置が軸受ユニットの軸受仮想垂直軸を中心とする前記軸受仮想円に沿って配置される複数の前記転動体の位置に重なり、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う様に磁界を発生する様にしたので、下部基礎構造を基礎として複数の軸受ユニットの複数の軸受と磁石ユニットとを介して上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、上から見て前記軸受仮想垂直軸と上下一対の前記磁石仮想垂直軸とを一致させたとき上下一対の前記磁石ユニットの前記磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ複数の前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記永久磁石の位置が軸受ユニットの軸受仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ複数の前記軸受仮想円に沿って配置される複数の前記転動体の位置に重なり、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う様に磁界を発生する様にしたので、下部基礎構造を基礎として複数の軸受ユニットの複数の軸受と磁石ユニットとを介して上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、同心円状に並ぶ複数の磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、磁性体でできた保持射た状部材が永久磁石を磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って配置し、磁石隙間部材が、複数の永久磁石の互いの間の磁石隙間をうめる様にするので、磁石隙間部材の高さ寸法を永久磁石の高さ寸法に対して所定の値にすることで、永久磁石に作用する荷重を緩和できる。
また、磁性体の材料でできる内部磁極ブロックが上から見て前記磁石ユニットの前記内壁に沿って配される様にしたので、前記永久磁石を引き合う磁束が内部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、磁性体の材料でできる外部磁極ブロックが上から見て前記磁石ユニットの外周に沿う様に配される様にしたので、前記永久磁石を引き合う磁束が外部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作るプラグが、上端を前記上部基礎構造に拘束され下端を前記下部基礎構造に拘束され、前記転動体保持材に形成される前記貫通穴に貫通する様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグが前記転動体保持材の動きを拘束できる。
また、重なった状態のN個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットを覆う保護材が前記転動体保持材の外周を支える様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材が前記転動体保持材の動きを拘束できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る免震システムの概念図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その1である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その2である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の断面図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図9】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図10】本発明の第四の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図11】本発明の第四の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図12】本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図13】本発明の第六の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図14】本発明の第七の実施形態に係る免震装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る免震システムの概念図である。
図1は、本発明の実施形態にかかる複数の免震装置10が建物Sと地盤Gとの間の免震層に設置される様子を示す。
図1(A)は、建物を支持する免震システムの正面図である。
図1(B)は、建物を支持する免震システムのI-I断面図である。
ボルト(図示せず)が免震装置10と建物Sとを締結する。
免震層は、図1に示すものと異なり、建物Sの中間層にあってもよい。
【0020】
複数の免震装置10が、碁盤目状に配されて地盤Gを基礎として建物Sを支持する。
複数の免震装置10が、建物sの荷重を支える。
地震が発生すると、複数の免震装置10が地震の揺れを免震する。
複数の免震装置10は、異なる機構をもつ免震装置が組み合わされてもよい。
複数の免震装置10は、本発明の実施形態にかかる免震装置と他の構造の免震装置を組み合わされてもよい。
以下では、本発明の実施形態にかかる免震装置を説明する。
【0021】
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、支持構造体と被支持構造との隙間に形成される免震層に設けられる装置である。
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、構造物Sと地盤Gとの隙間に形成される免震層Mに設けられる装置であってもよい。
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、構造物Sの中間に形成される免震層Mに設けられる装置であってもよい。このとき、構造物の免震層より上部の構造が被支持構造体に相当し、構造物の免震層より下部の構造が支持構造体に相当する。
【0022】
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造とで構成される。
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6とで構成されてもよい。
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造とプラグ9で構成されてもよい。
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と磁極ブロック8とで構成されてもよい。
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、N(N=1、2・・・)個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8とプラグ9で構成されてもよい。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置10は、1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8とプラグ9で構成されてもよい。
例えば、本発明の実施形態にかかる免震装置10は、2個の軸受ユニット2と3個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8とプラグ9で構成されてもよい。
【0023】
軸受ユニット2は、複数の転動体21と転動体保持材22とで構成される。
転動体21は、磁性体でできた球体である。
転動体21は、軸受用の鉄球であってもよい。
転動体保持材22は、複数の転動体21を上から見て軸受仮想円R2に沿って配置され回転自在になる様に保持する部材である。
転動体保持材22は、複数の転動体21を上から見て軸受仮想円R2に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する部材であってもよい。
転動体保持材22は、複数の転動体を上から見て複数の軸受仮想円R2に沿って(所定の間隔で)配置され回転自在になる様に保持する部材であってもよい。
転動体保持材22は、複数の転動体を上から見て同心円状に並ぶ複数の軸受仮想円R2に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する部材であってもよい。
複数の転動体21は、上から見て軸受仮想円R2に沿って直列に配置されてもよい。
複数の転動体21は、上から見て軸受仮想円R2に沿って千鳥状に配置されてもよい。
複数の転動体21は、上から見て軸受仮想円R2に沿ってその他の規則に従って配置されてもよい。
【0024】
ここで、
軸受仮想垂直軸Z2は、仮想の垂直軸である。
軸受仮想円R2は、軸受仮想垂直軸Z2を中心とする仮想の円である。
複数の軸受仮想円R2は、軸受仮想垂直軸Z2を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0025】
磁石ユニット1は、複数の永久磁石11と永久磁石保持材12とで構成される。
永久磁石は、一定の厚みをもつ。
永久磁石は、上から見て所定の輪郭をもち一定の厚みをもつ柱状の形状をもつ。
輪郭は、円形でもよい。
輪郭は、多角形でもよい。
【0026】
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て磁石仮想円R1に沿って配置される様に保持する部材である。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される様に保持する部材であってもよい。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て複数の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される様に保持する部材であってもよい。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て磁石仮想円R1に沿って配置される様に複数の永久磁石11の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材12aで構成されてもよい。
永久磁石保持材12は、一体構造であってもよい。
永久磁石保持材12は、複数の磁石仮想円R1に対応して半径方向に分離していてもよい。
【0027】
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て磁石仮想円R1に沿って配置される様に複数の永久磁石11の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材12aと磁石隙間をうめる部材である磁石隙間部材12bとで構成されてもよい。
磁石隙間部材12bは、円柱状の永久磁石11を囲う中空円柱形状を持っていてもよい。
磁石隙間部材12bの高さ寸法は、永久磁石11の高さ寸法よりわずかにおおきくてもよい。その結果、永久磁石11と保持板状部材12aとの間にわずかの隙間Gapが形成される。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て複数の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される様に複数の永久磁石11の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材12aと磁石隙間をうめる部材である磁石隙間部材12bとで構成されてもよい。
上下一対の板状の保持板状部材12aは、それぞれに一体構造であってもよい。
上下一対の板状の保持板状部材12aは、複数の磁石仮想円R1に対応して半径方向に分離していてもよい。
複数の永久磁石11は、上から見て磁石仮想円R1に沿って直列に配置されてもよい。
複数の永久磁石11は、上から見て磁石仮想円R1に沿って千鳥状に配置されてもよい。
複数の永久磁石11は、上から見て磁石仮想円R1に沿ってその他の規則に従って配置されてもよい。
【0028】
ここで、
磁石仮想垂直軸Z1は、仮想の垂直軸である。
磁石仮想円R1は、磁石仮想垂直軸Z1を中心とする仮想の円である。
複数の磁石仮想円R1は、磁石仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0029】
上下一対の基礎構造は、上部基礎構造と下部基礎構造とで構成される。
上部基礎構造は、被支持構造を支持する構造である。
下部基礎構造は、支持構造体に支持される構造である。
上部基礎構造は、上部磁石ユニット保持材3uと上部フランジプレート4uとで構成されてもよい。
上部磁石ユニット保持材3uと上部フランジプレート4uとは一体構造であってもよい。
上部磁石ユニット保持材3uと上部フランジプレート4uとは、ボルト7で連結されてもよい。
下部基礎構造は、下部磁石ユニット保持材3dと下部フランジプレート4dとで構成されてもよい。
下部磁石ユニット保持材3dと下部フランジプレート4dとは、ボルト7で連結されてもよい。
下部磁石ユニット保持材3dと下部フランジプレート4dとは、一体構造であってもよい。
【0030】
(N+1)個の磁石ユニット1のうちの一つ磁石ユニット1である最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、(N+1)個の磁石ユニット1のうちの一つの磁石ユニット1である最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に、(N+1)個の磁石ユニット1とN個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される。
【0031】
(N+1)個の磁石ユニット1の永久磁石保持材12がN個の軸受ユニットの転動体に接触する上側および下側にN個の軸受ユニットの複数の転動体21の転動できる面である転動面を形成する。
(N+1)個の磁石ユニット1の永久磁石保持材12の上下一対の保持板状部材12aがN個の軸受ユニット2の転動体21に接触する上側および下側にN個の軸受ユニットの複数の転動体21の転動できる面である転動面を形成してもよい。
【0032】
最上部磁石ユニット1uが、上部基礎構造に固定される。
例えば、最上部磁石ユニット1uが上部基礎構造の上部磁石ユニット保持材3uに固定される。
最下部磁石ユニット1dが、下部基礎構造に固定される。
例えば、最下部磁石ユニット1dが下部基礎構造の下部磁石ユニット保持材3dに固定される。
【0033】
1つの軸受ユニット2と軸受ユニット2を上下から挟む上下一対の磁石ユニット1とについて、上から見て軸受仮想垂直軸Z2と上下一対の磁石仮想垂直軸Z1とを一致させたとき上下一対の磁石ユニット1の磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石11の位置が軸受ユニット2の軸受仮想円R2に沿って配置される複数の転動体21の位置に重なり、軸受ユニット2の複数の転動体21を間に挟んで対向する上下一対の磁石ユニット1の上から見て位置が重なる複数の永久磁石11が互いに引き合う様に磁界を発生する。
【0034】
1つの軸受ユニット2と軸受ユニット2を上下から挟む上下一対の磁石ユニット1との複数の組について、上から見て軸受仮想垂直軸Z2と上下一対の磁石仮想垂直軸Z1とを一致させたとき上下一対の磁石ユニット1の磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石11の位置が軸受ユニット2の軸受仮想円R2に沿って配置される複数の転動体21の位置に重なり、軸受ユニット2の複数の転動体21を間に挟んで対向する上下一対の磁石ユニット1の上から見て位置が重なる複数の永久磁石11が互いに引き合う様に互いの磁極を対向させて磁界を発生してもよい。
【0035】
保護材6は、柔軟材料でできN個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとが重なった状態で、N個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットを覆う部材である。
保護材6は、N個の軸受ユニットと(N+1)個の磁石ユニットとの側面を覆う筒状の部材であってもよい。
保護材6は、上端を上部基礎構造に固定され、下端を下部基礎構造に固定されてもよい。
保護材6は、樹脂製の膜を筒状に成形されたものであってもよい。
【0036】
保護材6が、軸受ユニット2を支えてもよい。
例えば、保護材6が、軸受ユニット2の外周を支える。
保護材6が、磁石ユニット1を支えてもよい。
例えば、保護材6が、磁石ユニット1の外周を支えてもよい。
保護材6が、転動体保持材22を支えてもよい。
例えば、保護材6が、転動体保持材22の外周を支える。
【0037】
磁極ブロック8は、内部磁極ブロック8iで構成されてもよい。
磁極ブロック8は、外部磁極ブロック8oで構成されてもよい。
磁極ブロック8は、内部磁極ブロック8iと外部磁極ブロック8oとで構成されてもよい。
磁極ブロック8は、鋼材などの強磁性体でできていてもよい。
【0038】
磁石ユニット1が上から見て中心部に筒状の空隙を形成する内壁をもっていてもよい。
磁石ユニット1が上から見て中心部に円筒形の内周を形成する内壁をもっていてもよい
内部磁極ブロック8iは、磁性体の材料でできる磁極ブロックであって磁極ブロックを上から見て磁石ユニットの内壁に沿う様に配される。
内部磁極ブロック8iは、複数の磁極ブロックが円周状に配されて一体になったものでもよい。
【0039】
磁石ユニット1が上から見て筒状の外壁をもっていてもよい。
外部磁極ブロック8oは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て磁石ユニットの外壁に沿う様に配される。
外部磁極ブロック8oは、複数の磁極ブロック8が円周状に配されて一体になったものでもよい。
【0040】
保護材8は、 柔軟材料でできN個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1とが重なった状態で、N個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1とを覆う部材である。
【0041】
プラグ9は、弾塑性材料ででき、上下に延びる柱状形状を形作り、上端を上部基礎構造に拘束され下端を下部基礎構造に拘束される。
プラグ9は、転動体保持材22に形成される貫通穴に貫通する部材であってもよい。
転動体保持材22が、上下に延びる貫通穴を形成してもよい。
転動体保持材22が、軸仮想垂直軸Z2を中心として上下に延びる貫通穴を形成してもよい。
【0042】
以下に、本発明の複数の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、それぞれ説明する。
【0043】
最初に、本発明の第一の実施形態にかかる免震装置10を、図を基に説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その1である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その2である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の断面図である。図5は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。図6は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
本発明の第一の実施形態にかかる免震装置10は、前述した磁極ブロック8とプラグ9とを備えない。
【0044】
本発明の実施形態にかかる免震装置10は、1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6とで構成される。
図2図3には、1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6とで構成される免震装置10が示される。
【0045】
軸受ユニット2の主要構造は、前述したのものと同じなので、特徴的な箇所を説明する。
転動体保持材22は、複数の転動体21を上から見て1個の軸受仮想円R2に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する部材である。
図4には、転動体保持材22が、複数の転動体21を上から見て1個の軸受仮想円R2に沿って所定の間隔で直列に配置され回転自在になる様に保持する部材である様子が示される。
【0046】
磁石ユニット1の主要な構造は前述したものと同じなので、特徴的な箇所を説明する。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て1個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される様に保持する部材であってもよい。
図2に、複数の永久磁石11の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材12aで構成される永久磁石保持材12が示される。
図3図4に、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て磁石仮想円R1に沿って配置される様に複数の永久磁石11の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材12aで構成される永久磁石保持材12が示される。
図3に、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て1個の磁石仮想円R1に沿って配置される様に複数の永久磁石11の互いの間に隙間である磁石隙間を形成して保持する上下一対の板状の保持板状部材12aと磁石隙間をうめる部材である磁石隙間部材12bとで構成される永久磁石保持材12が示される。
図3に、磁石隙間部材12bは、円柱状の永久磁石11を囲う中空円柱形状を持ち、磁石隙間部材12bの高さ寸法は、永久磁石11の高さ寸法よりわずかに大きい様子が示される。
図3図4に、上から見て、磁石仮想円R1に沿って直列に配置される複数の永久磁石のS極とN極とが交互になるのを示される。
【0047】
上下一対の基礎構造の主要な構造は、前述したものと同じなので、特徴的な箇所を説明する。
上部基礎構造は、構造物Sを支持し、ボルト結合される上部磁石ユニット保持材3uと上部フランジプレート4uとで構成される。
下部基礎構造は、地盤Gに支持され、ボルト結合される下部磁石ユニット保持材3dと下部フランジプレート4dとで構成される。
【0048】
2個の磁石ユニット1のうちの一つ磁石ユニット1である最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、2個の磁石ユニット1のうちの一つの磁石ユニット1である最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に2個の磁石ユニット1と1個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される。
図2図3には、最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に2個の磁石ユニット1と1個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される様子が示される。
【0049】
2個の磁石ユニット1の永久磁石保持材12の上下一対の保持板状部材12aが1個の軸受ユニット2の転動体21に接触する上側および下側にN個の軸受ユニットの複数の転動体の転動できる面である転動面を形成する。
図2図3に、2個の磁石ユニット1の永久磁石保持材12の上下一対の保持板状部材12aが1個の軸受ユニット2の転動体21に接触する上側および下側に1個の軸受ユニットの複数の転動体21の転動できる面である転動面を形成する様子が示される。
【0050】
最上部磁石ユニット1uの上側の永久磁石保持材12が、上部基礎構造の上部磁石ユニット保持材3uに固定される。
最下部磁石ユニット1dの下側の永久磁石保持材12が、下部基礎構造の下部磁石ユニット保持材3dに固定される。
【0051】
上から見て軸受仮想垂直軸Z2と上下一対の磁石仮想垂直軸Z1とを一致させたとき、上下一対の磁石ユニット1の1個の磁石仮想円R1に沿って配置される8個の永久磁石11の位置が軸受ユニット2の1個の軸受仮想円R2に沿って配置される16個のうちの1個飛びの8個の転動体21の位置に重なり、軸受ユニット2の16個のうちの1個飛びの8個の転動体21を間に挟んで対向する上下一対の磁石ユニット1の上から見て位置が重なる8個の永久磁石11が互いに引き合う様に互いの磁極を対向させて磁界を発生する。
図2図3に、上から見て軸受仮想垂直軸Z2と上下一対の磁石仮想垂直軸Z1とを一致する様子と、上下一対の磁石ユニット1の1個の磁石仮想円R1に沿って配置される8個の永久磁石の位置が軸受ユニット2の1個の軸受仮想円R2に沿って配置される16個のうちの1個飛びの8個の転動体21の位置に重なる様子と、上側の磁石ユニットの1個の磁石仮想円R1に沿って配置される8個の永久磁石が下側にS極を向け、下側の磁石ユニットの1個の磁石仮想円R1に沿って配置される8個の永久磁石が上側にN極を向ける様子とが示される。
図5は、図4に示すIV-IV位置での円周方向の磁気回路を示す。
磁界はN極からS極へ向かって形成される。
図を正面に見て、上下左右の磁石ユニット1のそれぞれ外側の永久磁石保持材12を通る外廻りの大きな磁界と、隣り合う磁石ユニット1の永久磁石保持材12を通る内廻りの小さな磁界が発生する。
永久磁石のN極から出た磁束は永久磁石保持材12と転動体21を通り、軸受ユニット2を通過して対向する磁石ユニット1の永久磁石保持材12を通り、永久磁石のS極に到達する。
また、永久磁石11のN極からでた磁束は、上下に隣り合う磁石ユニット1の永久磁石保持材12を通って、永久磁石のS極に到達する。
図5に、軸受ユニット2の16個のうちの1個飛びの8個の転動体21を間に挟んで対向する上下一対の磁石ユニット1の上から見て位置が重なる8個の永久磁石11が互いに引き合う様に互いの磁極を対向させて磁界を発生する様子が示される。
【0052】
保護材6の主要な構造は、前述したものと同じなので、特徴的な箇所を説明する。
保護材6は、柔軟材料でできた、上端を上部磁石ユニット保持材3uに固定され、下端を下部磁石ユニット保持材3dに固定される、筒状の部材である。
【0053】
本発明の第一の実施形態にかかる免震装置の作用を、図を基に、説明する。
図6(A)は、地震が発生していない時の様子を示す。
図6(A)は、本発明の第一の実施形態の免震装置が免震層Mの基礎Fに設置されている様子を示す。
免震装置10は、基礎FとアンカーボルトABまたはスタッドボルトSBで定着されている。
図6(B)は、地震が発生している時の様子を示す。
地震発生前は、上下一対の磁石ユニット1と軸受ユニット2とは磁力で吸着され、一定の鉛直剛性を持って建物重量を支えている。
地震が作用すると、軸受ユニット2の転動体21が磁石ユニット1の永久磁石保持材12の転動面を水平方向に移動し、免震効果を発揮する。
地震が終了すると、磁力の吸引力で軸受ユニット2の転動体21が引き戻され、免震装置10は地震が発生する前の位置に戻る。
免震装置10の水平剛性は磁界の強さに依存する。
水平磁石の大きさや個数を選ぶことで設計的に設定できる。
また、引き抜き力も、同様に設定できる。
【0054】
建物の荷重が、上部フランジプレート4u、上部磁石ユニット保持材3u、最上部磁石ユニット1u、軸受ユニット1、最下部磁石ユニット1d、下部磁石ユニット保持材3d、下部フランジプレート4dを順に通過して基礎Fに伝わる。
軸受ユニット2は、建物荷重を支持するとともに、永久磁石保持材12の転動面を360°水平方向に移動できる。
地震が発生すると、地震による水平力が基礎Fから免震装置10を通過して建物sに伝わる。建物2に加速度が生じ、水平に移動する。
免震装置に水平方向の剪断力が生じ、上から見て最上部磁石ユニット1uの磁石仮想垂直軸Z1、軸受仮想垂直軸Z2、最下部磁石ユニットの磁石仮想垂直軸Z1にずれが生ずる。
上から見て最上部磁石ユニット1uの磁石仮想垂直軸Z1、軸受仮想垂直軸Z2、最下部磁石ユニットの磁石仮想垂直軸Z1にずれが生ずると、転動体21を通過して上下一対の磁石ユニット1に発生する磁束が傾く。
磁束に沿って上下一対の磁石ユニットの磁石を引き寄せる力に上下一対の磁石ユニットの水平方向のずれを少なくしようとする水平分力が生じる。
その結果、建物に水平変位を基に戻そうとする復元力が作用する。
【0055】
次に、本発明の第二の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図7は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。図8は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図7(A)は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の断面図である。
図7(B)は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置のV-V矢視での断面図である。
図8は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の磁気回路を示す。
【0056】
本発明の第二の実施形態に係る免震装置10は、1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8とで構成される。
【0057】
1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6の構成は、第一の実施形態かかる免震装置10のものと同じなので、説明を省略する。
本発明の第二の実施形態に係る免震装置では、本発明の第一の実施形態にかかる免震装置で説明した円周方向の磁気回路に加えて、半径方向の磁気回路が発生し、より強い磁気力を出す磁気回路が生ずる。
【0058】
磁極ブロック8は、磁性体の材料でできるブロックである。
磁極ブロック8は、内部磁極ブロック8iと外部磁極ブロック8oとで構成される。
内部磁極ブロック8iは、永久磁石11の内側に円周状に配置される。
外部磁極ブロック8oは、永久磁石11の外側に円周上に配置される。
磁極ブロック8は、永久磁石11と組み合わせて用いらせ、セットで磁界を形成する。
また、外部磁極ブロック8oは免震装置10の外側への磁気漏れを抑制する。
【0059】
内部磁極ブロック8iは、上から見て磁石ユニット1の中心部に円筒状の空隙を形成する内壁に沿う様に配される。
内部磁極ブロック8iは、中空の円筒状の磁性体である。
上下一対の磁石ユニット保持材3の内側と外側にある磁極ブロック8を通過する外回りの磁界と、磁石ユニット1の永久磁石保持材12と隣り合う磁極ブロック8を通過する内回りの小さな磁界が発生する。
磁石のN極から出た磁束は永久磁石保持材12と転動体21とを通過し、軸受ユニット2を介して対向する磁石ユニット1の永久磁石保持材12を通過し、磁石のS極に到達する。また、磁石のN極から出た磁束は永久磁石保持材12を通過して磁極ブロック8と永久磁石保持材12を通過して永久磁石のS極に到達する。
その結果、上下一対の磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21と上下一対の磁石ユニット1に配された内部磁極ブロック8iとを通過する磁束が発生する。
さらに、磁石ユニット1の上下一対の永久磁石保持材と永久磁石11と内部磁極ブロック8iとを通過する磁束が発生する。
図8に、磁束が上下一対の磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21と上下一対の磁石ユニット1に配された内部磁極ブロック8iとを通過する様子が太線で示される。
【0060】
外部磁極ブロック8oは、上から見て磁石ユニット1の円筒状の外壁に沿う様に配される。
外部磁極ブロック8oは、中空の円筒状の磁性体である。
その結果、上下一対の磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21と上下一対の磁石ユニット1に配された外部磁極ブロック8oとを通過する磁束が発生する。
さらに、磁石ユニット1の上下一対の永久磁石保持材と永久磁石11と外部磁極ブロック8oとを通過する磁束が発生する。
図8に、磁束が、上下一対の磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21と上下一対の磁石ユニット1に配された外部磁極ブロック8oとを通過する様子が太線で示される。
【0061】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図9は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図9は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の断面を示す。
【0062】
本発明の第三の実施形態に係る免震装置10は、1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8とプラグ9とで構成される。
【0063】
1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8の構成は、第二の実施形態に係る免震装置10のものと同じなので、説明を省略する。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置10は、本発明の第1の実施形態に係る免震装置10と異なり、中心部に地震のエネルギーを吸収するプラグ9を充填される。
例えば、プラグ9は鉛製であり、鉛の塑性変形により地震のエネルギーを吸収できる。
発生する磁気回路は本発明の第一の実施形態にかかる免震装置に発生するものと同じである。
【0064】
プラグ9は、弾塑性材料ででき、上下に延びる柱状形状を形作り、上端を上部基礎構造の上部磁石ユニット保持材3uに拘束され、下端を下部基礎構造の下部磁石ユニット保持材3dに拘束される部材である。
プラグ9は、軟金属製であってもよい。
例えば、プラグ9は鉛製、すず製、他である。
その結果、上部基礎構想と下部基礎構造の相対的水平移動の距離が一定の範囲内に制限され、免震装置10により建物に減衰力が作用する。
プラグ9は、内部磁極ブロック8iに形成される貫通穴を貫通する。
その結果、内部磁極ブロック8iを固定される磁石ユニット1の水平移動の距離または上から見た回転が一定の範囲内に制限される。
プラグ9は、磁石ユニット1に形成される貫通穴に勘合する様に貫通してもよい。
その結果、磁石ユニット1の水平移動の距離または上から見た回転が一定の範囲内に制限される。
プラグ9は、転動体保持材22に形成される貫通穴に勘合する様に貫通してもよい。
その結果、軸受ユニット2の水平移動の距離または上から見た回転が一定の範囲内に制限される。
【0065】
次に、本発明の第四の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の概念図である。図11は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図10は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の断面を示す。
図11は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置に発生する磁気回路を示す。
【0066】
本発明の第四の実施形態に係る免震装置10は、1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6とで構成される。
【0067】
1個の軸受ユニット2と2個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6の主要構造は同じなので、異なる点のみを説明する。
本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、本発明の第位置の実施形態に係る免震装置と異なり、磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21とが円周方向に2重に配置されている。
磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21とが円周方向に2重を越えて配置されてもよい。
この様にするとより強い磁界が発生する。
【0068】
軸受ユニット2は、複数の転動体21と転動体保持材22とで構成される。
転動体21は、磁性体でできた球体である。
転動体21は、軸受用の鉄球であってもよい。
転動体保持材22は、複数の転動体を上から見て同心円状に並ぶ2個の軸受仮想円R2に沿って所定の間隔で直列に配置され回転自在になる様に保持する部材であってもよい。
【0069】
磁石ユニット1は、複数の永久磁石11と永久磁石保持材12とで構成される。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で直列に配置される様に保持する部材であってもよい。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で直列に配置される様に保持する上下一対の板状の保持板状部材12aで構成されてもよい。
上下一対の板状の保持板状部材12aが同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される複数の永久磁石11を挟む。
【0070】
本発明の第四の実施形態に係る免震装置に発生する磁気回路は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置に発生する磁気回路に加えて、半径方向の磁気回路が発生する。
図を正面に見て、上下左右の磁石ユニット保持材3を通過する外廻りの大きな磁界と、隣り合う磁石ユニット1の永久磁石保持材12を通る内廻りの小さな磁界が発生する。
本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置に比べて磁極ブロック8がない。
その結果、上下一対の磁石ユニット1の同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って配される永久磁石11と軸受ユニット2の同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R2に沿って配される転動体21とを通過する磁束が発生する。
さらに、上下一対の磁石ユニットの各について、上下一対の永久磁石保持材12と同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って配される永久磁石11とを通過する磁束が発生する。
図11に、磁束が上下一対の磁石ユニット1の同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って配される永久磁石11と軸受ユニット2の同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R2に沿って配される転動体21とを通過する要素が太線で示される。
【0071】
次に、本発明の第五の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図12は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図12は、本発明の第五の実施形態にかかる免震装置の断面を示す。
【0072】
本発明の第五の実施形態に係る免震装置10は、3個の軸受ユニット2と4個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6とで構成される。
軸受ユニット2と磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6の主要な構成は、第一の実施形態かかる免震装置のものと同じなので、異なる点のみを説明する。
本発明の第五の実施形態に係る免震装置10は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10と異なり、軸受ユニット2が縦方向に3段に配置される。
磁石ユニット1と軸受ユニット2が縦方向に2段を越えて配置されてもよい。
この様にすると水平方向の変形量を大きく設定できる。
発生する磁気回路は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10に発生する磁気回路をと同じである。
【0073】
4個の磁石ユニット1のうちの一つ磁石ユニット1である最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、4個の磁石ユニット1のうちの一つの磁石ユニット1である最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に4個の磁石ユニット1と3個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される。
図12には、最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に4個の磁石ユニット1と3個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される様子が示される。
【0074】
次に、本発明の第六の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図13は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図13は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の断面を示す。
【0075】
本発明の第六の実施形態に係る免震装置10は、3個の軸受ユニット2と4個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6とで構成される。
軸受ユニット2と磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6の主要な構成は、第一の実施形態かかる免震装置のものと同じなので、異なる点のみを説明する。
本発明の第六の実施形態に係る免震装置10は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10と異なり、軸受ユニット2が2段に重ねられ、磁石ユニット1の永久磁石11と軸受ユニット2の転動体21とが円周方向に2重に配置される。
さらに2段、2重を越えて配置されてもよい。
本発明の第六の実施形態に係る免震装置10に発生する磁界は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置10に発生するものと同じである。
【0076】
軸受ユニット2は、複数の転動体21と転動体保持材22とで構成される。
転動体21は、磁性体でできた球体である。
転動体21は、軸受用の鉄球であってもよい。
転動体保持材22は、複数の転動体を上から見て同心円状に並ぶ2個の軸受仮想円R2に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持する部材であってもよい。
【0077】
磁石ユニット1は、複数の永久磁石11と永久磁石保持材12とで構成される。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で直列に配置される様に保持する部材であってもよい。
永久磁石保持材12は、磁性体ででき複数の永久磁石11を上から見て同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で直列に配置される様に保持する上下一対の板状の保持板状部材12aで構成されてもよい。
上下一対の板状の保持板状部材12aが同心円状に並ぶ2個の磁石仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される複数の永久磁石11を挟む。
【0078】
4個の磁石ユニット1のうちの一つ磁石ユニット1である最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、4個の磁石ユニット1のうちの一つの磁石ユニット1である最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に4個の磁石ユニット1と3個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される。
図13には、最上部磁石ユニット1uが最上部に配され、最下部磁石ユニット1dが最下部に配される様に3個の磁石ユニット1と2個の軸受ユニット2とが上下方向に交互に配される様子が示される。
【0079】
次に、本発明の第七の実施形態にかかる免震装置を、図を基に、説明する。
図14は、本発明の第七の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図14は、本発明の第七の実施形態に係る免震装置の断面を示す。
【0080】
本発明の第六の実施形態に係る免震装置10は、3個の軸受ユニット2と4個の磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8とで構成される。
軸受ユニット2と磁石ユニット1と上下一対の基礎構造と保護材6と磁極ブロック8との主要な構成は、第六の実施形態かかる免震装置のものと同じなので、異なる点のみを説明する。
本発明の第七の実施形態に係る免震装置10は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置10と異なり、磁極ブロック5が磁石ユニット1の内側と外側とに配置される。
発生する磁界は、第二と第四の実施形態かかる免震装置に発生する磁界を組み合わせたものである。
【0081】
磁極ブロック8が、3個の軸受ユニット2を挟んで配される。
【0082】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
最上部磁石ユニットが上部基礎構造に固定され、最下部磁石ユニットが下部基礎構造に固定され、(N+1)個の磁石ユニット1とN個の軸受ユニット2とが交互に重なり、(N+1)個の磁石ユニット1の永久磁石保持材12が(N+1)個の磁石ユニット1の転動体21の接する側に転動体21の転動する転動面を形成し、上から見て軸受仮想垂直軸Z2と上下一対の磁石仮想垂直軸Z1とを一致させたとき上下一対の磁石ユニット1の磁石仮想垂直軸Z1を中心とする磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石11の位置が軸受ユニット2の軸受仮想垂直軸Z2を中心とする軸受仮想円R2に沿って配置される複数の転動体21の位置に重なり、上から見て位置が重なる複数の永久磁石11が互いに引き合う様に磁界を発生する様にしたので、下部基礎構造を基礎として複数の軸受ユニット2の複数の軸受と磁石ユニット1とを介して上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の永久磁石11が互いに引き合う磁束が傾斜して、磁石仮想円R1に沿って並ぶ複数の永久磁石11を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、上から見て軸受仮想垂直軸Z2と上下一対の磁石仮想垂直軸Z1とを一致させたとき上下一対の磁石ユニット1の磁石仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に並ぶ複数の磁石仮想円R1に沿って配置される複数の永久磁石11の位置が軸受ユニット2の軸受仮想垂直軸Z2を中心とする同心円状に並ぶ複数の軸受仮想円R2に沿って配置される複数の転動体21の位置に重なり、上から見て位置が重なる複数の永久磁石11が互いに引き合う様に磁界を発生する様にしたので、下部基礎構造を基礎として複数の軸受ユニット2の複数の軸受と磁石ユニット1とを介して上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の永久磁石11が互いに引き合う磁束が傾斜して、同心円状に並ぶ複数の磁石仮想円R1に沿って並ぶ複数の永久磁石11を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、磁性体でできた保持板状部材12aが永久磁石11を磁石仮想垂直軸Z1を中心とする<仮想の円である磁石仮想円R1に沿って配置し、磁石隙間部材12bが、複数の永久磁石11の互いの間の磁石隙間をうめる様にするので、磁石隙間部材12bの高さ寸法を永久磁石11の高さ寸法に対して所定の値にすることで、永久磁石11に作用する荷重を緩和できる。
また、磁性体の材料でできる磁極ブロック8が上から見て磁石ユニット1の内壁に沿って配される様にしたので、永久磁石11を引き合う磁束が内部磁極ブロック8iを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、磁性体の材料でできる磁極ブロック8が上から見て磁石ユニット1の外周に沿う様に配される様にしたので、永久磁石11を引き合う磁束が外側磁極ブロック8oを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作るプラグ9が、上端を上部基礎構造に拘束され下端を下部基礎構造に拘束され、転動体21保持材に形成される貫通穴に貫通する様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグ9が転動体21保持材の動きを拘束する。
また、重なった状態のN個の軸受ユニット2と(N+1)個の磁石ユニット1とを覆う保護材6が転動体保持材22の外周を支える様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材6が転動体保持材22の動きを拘束できる。
【0083】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
本願発明の実施形態かかる免震装置は、第一乃至第七の実施形態にかかる免震装置に限定されない。例えば、第一乃至第七の実施形態にかかる免震装置を構成する要素を任意に組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
S 構造物(建物)
G 地盤
M 免震層
F 基礎
N 磁石のN極
S 磁石のS極
AB アンカーボルト
SB スタッドボルト
Gap 隙間
X 水平X軸
Y 水平Y軸
Z1 磁石仮想垂直軸
R1 磁石仮想円
Z2 軸受仮想垂直軸
R2 軸受仮想円
1 磁石ユニット
1u 最上部磁石ユニット
1d 最下部磁石ユニット
2 軸受ユニット
3 磁石ユニット保持材
3u 上部磁石ユニット保持材
3d 下部磁石ユニット保持材
4 フランジププレート
4u 上部グランジプレート
4d 下部フランジプレート
5 接続ボルト穴
6 保護材(被覆材)
7 ボルト
8 磁極ブロック
8i 内部磁極ブロック
8o 外部磁極ブロック
9 プラグ
10 免震装置
11 永久磁石
12 永久磁石保持材
12a 保持板状部材
12b 磁石隙間部材
21 転動体(ボール)
22 転動体保持材(リテーナ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【文献】特開2000-304088号
【文献】特開平11-336756号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14