IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特許7407097放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法
<>
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図1
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図2
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図3
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図4
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図5
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図6
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図7
  • 特許-放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21G 1/02 20060101AFI20231221BHJP
   G21K 5/08 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G21G1/02
G21K5/08 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020183271
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073339
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 英樹
【審査官】大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/025120(WO,A1)
【文献】特開2013-140136(JP,A)
【文献】特開平05-196800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21G 1/02、4/00
G21K 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位体の原料であるRI原料を原子炉内に配置し、放射性同位体を製造する放射性同位体の製造装置であって、
前記原子炉に接続された計装管の内部を移動する供給部と、
前記供給部の先端に装着され、内部が前記供給部の前記RI原料の通過領域と繋がり、前記RI原料を収納可能な袋部と、
前記供給部からRI原料を前記袋部に搬送する搬送機構と、を含む放射性同位体の製造装置。
【請求項2】
前記袋部は、伸縮可能な材料で形成される請求項1に記載の放射性同位体の製造装置。
【請求項3】
前記袋部は、前記RI原料が供給された部分が前記供給部の先端から離れた位置に配置され、前記供給部に装着された部分と繋がっている請求項1または請求項2に記載の放射性同位体の製造装置。
【請求項4】
前記供給部は、前記供給部から供給されたRI原料が収納される前記袋部に対して相対回転可能である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射性同位体の製造装置。
【請求項5】
前記搬送機構は、前記RI原料を空気で搬送する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射性同位体の製造装置。
【請求項6】
前記袋部に収納され、前記RI原料から製造された放射性同位体を回収する回収装置を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射性同位体の製造装置。
【請求項7】
放射性同位体の原料であるRI原料を原子炉内に配置し、放射性同位体を製造する放射性同位体の製造方法であって、
前記原子炉に接続された管の内部を移動する供給部と、前記供給部の先端に装着され、内部が前記供給部の先端と繋がり、前記RI原料を収納可能な袋部と、を備える放射性同位体の製造装置を用い、前記供給部を前記原子炉に接続された計装管の内部に挿入するステップと、
前記供給部の先端を前記原子炉の中性子線が照射される領域に配置し、先端から前記袋部に前記RI原料を供給するステップと、
前記袋部の前記RI原料を供給した部分と、前記袋部の他の部分が装着された前記供給部とを相対回転させ、前記袋部の前記RI原料を供給した部分の前記供給部側の端部を閉塞するステップと、を含む放射性同位体の製造方法。
【請求項8】
前記供給部側の端部を閉塞するステップを実行した後、前記RI原料を供給するステップと、前記供給部側の端部を閉塞するステップを1回以上実行し、前記袋部に前記RI原料が充填された充填部が繋がった構造物を製造する請求項に記載の放射性同位体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用や工業用などの用途に、放射性同位体を用いることが知られている。特許文献1には、原料を原子炉の計装管に挿入して、原料に中性子を照射させることで、放射性同位体を製造する旨が記載されている。特許文献1では、原料が収納された保持構体を送り出しシステムの管から計装管に移動させることで、放射性同位体を製造する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5798305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、計装管は、長く形成されていたり、湾曲して形成されていたりするため、原料が収納された保持構体を計装管に適切に挿入して放射性同位体を製造するには、改善の余地がある。例えば特許文献1では、保持構体の構造について詳細構成が開示されておらず、保持構体を計装管に適切に挿入できないおそれもある。また、特許文献1に記載の装置は、保持構体を計装管の入り口から目的位置まで移動させる必要がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、放射性同位体の原料を計装管に適切に挿入可能な放射性同位体の製造装置及び放射性同位体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る放射性同位体の製造装置は、放射性同位体の原料であるRI原料を原子炉内に配置し、放射性同位体を製造する放射性同位体の製造装置であって、前記原子炉に接続された計装管の内部を移動する供給部と、前記供給部の先端に装着され、内部が前記供給部の前記RI原料の通過領域と繋がり、前記RI原料を収納可能な袋部と、前記供給部からRI原料を前記袋部に搬送する搬送機構と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る放射性同位体の製造方法は、放射性同位体の原料であるRI原料を原子炉内に配置し、放射性同位体を製造する放射性同位体の製造方法であって、前記原子炉に接続された管の内部を移動する供給部と、前記供給部の先端に装着され、内部が前記供給部の先端と繋がり、前記RI原料を収納可能な袋部と、を備える放射性同位体の製造装置を用い、前記供給部を前記原子炉に接続された計装管の内部に挿入するステップと、前記供給部の先端を前記原子炉の中性子線が照射される領域に配置し、先端から前記袋部に前記RI原料を供給するステップと、前記袋部の前記RI原料を供給した部分と、前記袋部の他の部分が装着された前記供給部とを相対回転させ、前記袋部の前記RI原料を供給した部分の前記供給部側の端部を閉塞するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、放射性同位体の原料を計装管に適切に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る原子炉容器の模式的な一部断面図である。
図2図2は、計装管を説明する概略側面図である。
図3図3は、本実施形態に係る放射性同位体製造装置の模式図である。
図4図4は、放射性同位体製造装置を計装管内に挿入する方法を説明するための模式図である。
図5図5は、放射性同位体製造方法を説明するための模式図である。
図6図6は、放射性同位体製造方法を説明するための模式図である。
図7図7は、他の実施形態に係る放射性同位体製造装置の模式図である。
図8図8は、他の実施形態に係る放射性同位体製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0011】
(原子炉容器)
図1は、本実施形態に係る原子炉容器の模式的な一部断面図である。本実施形態に係る原子炉容器101は、原子力発電プラントの加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる。ただし、原子炉容器101は、加圧水型原子炉に用いられることに限られず、例えば沸騰水型原子炉に用いられてもよい。図1に示すように、原子炉容器101は、原子炉容器本体101aの内部に、燃料集合体120を含む炉内構造物を有している。
【0012】
図2は、計装管を説明する概略側面図である。また、原子炉容器本体101aは、複数の計装管147Aが接続されている。計装管147Aは、原子炉容器本体101aの下部の複数個所に配置される。計装管147Aは、計装管台146と、炉内計装案内管147と、コンジットチューブ148と、シンブルチューブ151と、を含む。計装管台146は、下部鏡101eを貫通する。計装管台146は、炉内側の上端部に炉内計装案内管147が連結される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ148が連結されている。炉内計装案内管147は、計装管台146に接続され、炉心内部の燃料集合体120が配置される領域まで伸びている。コンジットチューブ148は、原子炉容器本体101aの外側に配置され、計装管台146とシールテーブル156とに接続される。シンブルチューブ151は、コンジットチューブ148、計装管台146及び炉内計装案内管147に挿入される管である。シンブルチューブ151は、中性子束を計測可能な中性子束検出器(図示略)が挿入されるが挿通される。シンブルチューブ151は、コンジットチューブ148、計装管台146及び炉内計装案内管147に挿入されることで燃料集合体120が配置される領域まで挿入可能となっている。
【0013】
計装管147Aは、中性子束検出器が挿入される。計装管147Aは、炉心129まで延在することで、挿入された中性子束検出器が、中性子束に晒されて中性子束を検出する。
【0014】
図2に示すように、コンジットチューブ148は、原子炉容器101の外部まで延出される。原子炉格納容器100は、原子炉容器101の下方に配管室155が形成されている。複数のコンジットチューブ148は、下部鏡101eにある計装管台146から原子炉容器101の外部に引き出され、配管室155を湾曲して上方に引き回された後、端部が別室のシールテーブル156に固定されている。シンブルチューブ151は、この固定されたコンジットチューブ148の端部から挿通される。そして、このシンブルチューブ151に中性子束検出器が挿入される。
【0015】
シールテーブル156は、板状に形成され、コンジットチューブ148の端部が下から上に貫通された状態で固定されている。複数のコンジットチューブ148は、シールテーブル156の上面から林立されている。
【0016】
このように、計装管147Aは、コンジットチューブ148がシンブルチューブ151に挿入される構成であるが、それに限られず、中性子束検出器や後述する供給部が挿入される任意の形状の管、また、内部空間が細長い通路となる中空部材であってよい。
【0017】
(放射性同位体製造装置)
図3は、本実施形態に係る放射性同位体製造装置の模式図である。本実施形態に係る放射性同位体製造装置10は、供給部12と、搬送機構14と、袋部16と、回収装置20と、を含む。
【0018】
供給部12は、計装管147Aに挿入される管路である。供給部12は、挿入される計装管147Aの内部で、移動可能な剛性を備え、かつ、管に沿って変形する可撓性を備える。供給部12は挿入される管となる計装管、シンブルチューブ151よりも径が小さい。供給部12は、原子炉容器の所定位置、具体的には中性子線が照射される位置からシールテーブル156まで到達可能な長さを備える。本実施形態の供給部12は、管路の少なくとも一部にRI(Radioisotope)原料が充填される。供給部12は、内部にRI原料が充填されている構造の場合、一部にRI原料が充填された状態で、計装管147Aを移動し、先端が、計装管147Aの所定の位置に到達した後に充填したRI原料を、袋部16に供給する。供給部12は、計装管147Aへの挿入時は内部にRI原料が充填されておらず、先端が所定の位置(燃料集合体120が配置されている位置)に到達した状態で搬送機構14から供給されるRI原料を通過させる構造でもよい。
【0019】
(RI原料)
RI原料は、放射性同位体の原料である。RI原料は、計装管147Aの原子炉容器101内に位置する箇所内で、中性子束に暴露されることで、放射性同位体に変換される。RI原料は、後述する搬送機構14で搬送可能であればよく、粉体としても、粉末が焼き固められたブロック状としてもよい。なお、ブロック状の形状は、どのような形状でもよく、球体、ペレット状、円柱形状、不定形等とすることができる。RI原料は、例えば、モリブデン‐98、クロム‐50、銅‐63、ジスプロシウム‐164、エルビウム‐168、ホルミウム‐165、ヨウ素-130、イリジウム-191、鉄‐58、ルテチウム‐176、パラジウム‐102、リン‐31、カリウム‐41、レニウム‐185、サマリウム‐152、セレン‐74、ナトリウム‐23、ストロンチウム‐88、イッテルビウム‐168、イッテルビウム‐176、イットリウム‐89、のうち少なくとも1つであってよい。そして、それらのRI原料に中性子束が照射されることで、放射性同位体として、それぞれ、モリブデン‐99、クロム‐51、銅‐64、ジスプロシウム‐165、エルビウム‐169、ホルミウム‐166、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄‐59、ルテチウム‐177、パラジウム‐103、リン‐32、カリウム‐42、レニウム‐186、サマリウム‐153、セレン‐75、ナトリウム‐24、ストロンチウム‐89、イッテルビウム‐169、イッテルビウム‐177、イットリウム‐90、が製造される。
【0020】
搬送機構14は、供給部12の基端側、計装管147Aのシールテーブル156側の端部と接続される。搬送機構14は、供給部12内のRI原料の搬送を行う。具体的には、搬送機構14は、供給部12から袋部16にRI原料を搬送する。搬送機構14は、供給部12内のRI原料をガス搬送で搬送する。また、搬送機構14は、RI原料に接触し、供給部12の内部の管路を塞ぐ蓋を、袋部16側に移動させ、つまり、供給部12をシリンダとし、搬送機構14をピストンとして、ピストンを袋部16側に移動させ、RI原料を押し出す機構としてもよい。
【0021】
袋部16は、供給部12の先端、つまり、搬送機構14とは反対側の端部に装着される。袋部16は、一端が開放された細長い袋構造であり、開口が供給部12の先端の外周に挿入される。これにより、袋部16は、袋の閉塞面で供給部12の先端を塞ぎ、内面で供給部12の先端を覆う。袋部16は、原子炉容器内に所定時間、例えば数日配置されても破損せず、かつ、原子炉容器内の温度で溶けない材料で形成される。袋部16は、例えばゴム等の伸縮性を備えた材料で形成されることが好ましいが、伸縮しない材料でもよい。
【0022】
回収装置20は、袋部16に充填された放射性同位体を回収する。回収装置20は、回収駆動源22と、配管24と、ノズル26と、を備える。回収駆動源22は、袋部16に充填された放射性同位体を回収する動力を発生させる。本実施形態の回収駆動源22は、袋部16に充填された放射性同位体を吸着する吸引力と、配管24、ノズル26を移動させる駆動力を発生させる。配管24は、ノズル26と、回収駆動源22とを接続する。配管24は、コンジットチューブ151内を移動可能な剛性と可撓性を備える。ノズル26は、吸引口であり、袋部16に充填された放射性同位体を吸引する。なお、本実施形態では、回収装置20を設けたが、供給部12と搬送機構14で、回収装置20の機能を実行してもよい。つまり、放射性同位体製造装置10は、回収装置20と、供給部12及び搬送機構14とを1つの装置としてもよい。
【0023】
(放射性同位体の製造方法)
次に、放射性同位体製造装置でRI原料集合体を放射化し、放射性同位体を製造する方法を説明する。図4は、放射性同位体製造装置を計装管内に挿入する方法を説明するための模式図である。図5及び図6は、それぞれ放射性同位体製造方法を説明するための模式図である。本実施形態の放射性同位体製造装置10は、シールテーブル156の上面から突出した計装管147Aの端部の開口から、計装管147A内に、供給部12を挿入する。具体的には、中性子束検出器が挿入されていないシンブルチューブ151に、供給部12を挿入する。すなわち、供給部12は、中性子束検出器用のシンブルチューブ151(計装管147A)に挿入される。供給部12は、先端に袋部16が装着されている。本実施形態では、図4及び図5のステップS12に示すように、計装管147A内を移動させることで、図5のステップS14に示すように、袋部16が装着されている供給部12の先端を、原子炉容器101内の所定の位置まで移動させる。なお、RI原料集合体12を計装管147Aに挿入している際には、計装管147A内を二酸化炭素雰囲気とすることが好ましい。
【0024】
次に、放射性同位体製造装置10は、搬送機構14で供給部12のRI原料を袋部16の先端側に移動させる。これにより、RI原料は、供給部12の先端から排出され、袋部16の内部に充填される。図5のステップS16に示すように、袋部16のRI原料が充填された部分は充填部200となる。放射性同位体製造装置10は、所定量のRI原料を充填部200に充填しながら、充填部200と供給部12とを相対回転させる。具体的には、供給部12を回転させる。これにより、袋部12の充填部200と供給部12側の部分との間を捩じり、充填部200の供給部12側の端部に閉塞部202を形成し、充填部200を閉塞する。
【0025】
放射性同位体製造装置10は、袋部16の閉塞部202を先端として、袋部16へのRI原料の充填と、充填部200と供給部12とを相対回転と、順番に実行し、充填部200と閉塞部202が並んだ構造を原子炉容器101内の所定の位置に形成する。次に、放射性同位体製造装置10は、ステップS18に示すように、袋部16が計装管147Aの内周面と接触するまで、袋部16にガスを供給し、袋部16を閉塞させ、封止栓204を形成する。封止栓204は、計装管147Aと接触することで、計装管147Aに対して固定される。なお、封止栓204は、ガスを供給するとしたが、RI原料を供給してもよい。放射性同位体製造装置10は、封止栓204を形成した後、供給部12を計装管147Aから抜き出す。これにより、計装管147Aの内部には、袋部16とRI原料で形成された充填部200と封止栓204が配置され、供給部12がない状態となる。なお、本実施形態では、袋部16で封止栓204を形成したが、別部材、例えば計装管147Aを閉塞する板状の部材を用いてもよい。また、供給部12の先端側の一部に計装管147Aを封止する構造物を設け、供給部12を挿入することで計装管147Aを封止する様にしてもよい。
【0026】
放射性同位体製造装置10は、封止栓204で、計装管147Aに対する充填部200の位置を所定位置に支持した状態を維持することで、充填部200に充填された放射性同位体に中性子束が照射されて、放射性同位体が製造される。
【0027】
放射性同位体製造装置10は、回収装置20を計装管147Aに挿入し、回収装置20で、放射性同位体が製造された充填部200に充填された放射性同位体を回収する。具体的には、回収装置20のノズル26を充填部200まで移動させ、図6のステップS30に示すように、充填部200の内部にノズル26を挿入する。回収装置20は、ノズル26の先端で充填部200の一部に穴を開けることで、ノズル26を充填部200に挿入できる。回収装置20は、ノズル26を充填部200に挿入した後、回収駆動源22を駆動し、充填部200の内部を吸引することで、放射性同位体をノズル26、配管24に吸引する。
【0028】
回収装置20は、充填部200の放射性同位体を回収した後、ノズル26を閉塞部202に接触させ、ノズル26を閉塞部202の作成時とは逆方向に回転させつつ、移動させる。これにより、ステップS32に示すように、閉塞部202のねじれを解消し、より先端側の充填部200にノズル26を挿入する。回収装置20は、計装管147A内の全ての充填部200から放射性同位体を回収する。次に、回収部20は、袋部を回収した後、計装管147Aからノズル26を取り出す。
【0029】
(効果)
本実施形態に係る放射性同位体製造装置10は、RI原料を保持する供給部12を計装管に挿入し、原子炉容器101内の所定位置に移動させた後、袋部16にRI原料を充填し、充填部200を作成する。原子炉容器101内の所定位置に作成した充填部200に中性子束を照射することで、放射性同位体を製造することができる。このように、RI原料に中性子線を照射させる構造物を、計装管147Aの内部で製造することで、計装管の移動時に、RI原料を充填した構造物が損傷することを抑制できる。また、充填部200に中性子線を照射している工程では供給部12を計装管147Aに配置する必要がないため、対象物以外で中性子線が照射されにくい環境とすることができる。これにより、より好適に放射性同位体を製造することができる。
【0030】
(他の実施形態)
図7は、他の実施形態に係る放射性同位体製造装置の模式図である。図5に示す袋部16aは、袋構造体240の延びる方向に所定の間隔で収縮部250が設けられている。収縮部250は、リング構造であり、供給部12から離脱すると供給部12よりも小さい径に収縮する。袋部16aは、収縮部250を設けることで、充填部と供給部12を相対回転させた場合に捩じれる支点を収縮部250とすることができ、充填部の端部となる閉塞部202を形成しやすくすることができる。また、収縮部250を、充填部を閉塞できる構造、例えば、RI原料よりも小さい径まで収縮する構造とした場合、充填部と供給部12を相対回転させることなく、充填部を閉塞することができる。
【0031】
図8は、他の実施形態に係る放射性同位体製造装置の模式図である。図8に示す放射性同位体製造装置10aは、供給部の先端に回転機構260と、袋部操作機構270と、を備える。回転機構260は、袋部16の装着部分よりも基端側に設けられ、供給部12の袋部16が装着されている先端部262をその他の部分に対して回転させる。回転機構260は、軸受と駆動源とを備える。回転部260は、先端部262を回転させることで、充填部と先端部262とを相対回転させる。
【0032】
袋部操作機構270は、充填部と供給部との間の袋部16を絞る機構であり、アーム部272と、アーム部272の開度を制御する回動部274とを備える。アーム部272は、供給部12よりも先端側に配置され、袋部16の外周面と当接可能な棒状の部材である。アーム部272は、供給部の周囲の少なくとも2カ所に配置される。回動部274は、アーム部272の回動動作の支点となる。回動部274を支点にアーム部272を回動させることで、アーム部272の先端の間隔を供給部よりも大きい状態、供給部よりも幅が小さい状態に変化させることができる。
【0033】
袋部操作機構270は、アーム部272の先端の間隔を供給部よりも幅が広い構造とした場合、袋部にRI原料が供給されやすい状態にできる。袋部操作機構270は、図8に示すように、アーム部272の先端の間隔を供給部よりも幅が小さい状態にすることで、充填部と供給部との間の袋部16を絞ることができる。アーム部272で袋部を絞ることで、閉塞部を形成しやすくすることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、複数の充填部を形成したが、充填部は1つでもよい。また、充填部を計装管147Aと当接させ、各充填部を計装管147Aに対して固定してもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、回収装置が計装管の内部で充填部から放射性同位体を回収したが、計装管の内部で充填部の袋部に穴を開け、袋部から排出された放射性同位体を吸引して回収してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
10 放射性同位体製造装置
12 供給部
14 搬送機構
16 袋部
20 回収装置
22 回収駆動源
24 配管
26 ノズル
101 原子炉容器
147A 計装管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8