(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ハイスループットマルチオミクスサンプル解析
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20231221BHJP
C12Q 1/6855 20180101ALI20231221BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20231221BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALN20231221BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20231221BHJP
C12P 19/34 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6855 Z
C12N15/113 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/686 Z
C12P19/34 A
(21)【出願番号】P 2020561807
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(86)【国際出願番号】 US2019030245
(87)【国際公開番号】W WO2019213294
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-19
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ファン クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ワルチャック エリザベス マリー
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-533187(JP,A)
【文献】特表2012-506704(JP,A)
【文献】特表2018-501776(JP,A)
【文献】国際公開第2018/018008(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/031631(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/058073(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼと、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーとを含むトランスポソームと接触させて、前記5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程
であって、前記二本鎖ヌクレアーゼがトランスポザーゼを含み、前記捕捉配列がポリ(dT)領域を含む、工程と;
前記複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、前記捕捉配列に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程であって、前記捕捉配列に相補的な配列がポリ(dA)領域を含む、工程と;
前記複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数の
ssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付き
ssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付き
ssDNAフラグメントの配列を検出する工程と;
シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付き
ssDNAフラグメントの配列に基づいて、前記dsDNA
に関
する情報を決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)から複数の核酸フラグメントを生成する工程であって、前記複数の核酸フラグメントのそれぞれは、捕捉配列、前記捕捉配列の相補体、前記捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せを含み、該工程は、前記dsDNAを、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼと、前記捕捉配列を含むアダプターの2つのコピーとを含むトランスポソームと接触させて、前記捕捉配列に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成することを含
み、前記二本鎖ヌクレアーゼがトランスポザーゼを含み、前記捕捉配列がポリ(dT)領域を含み、前記捕捉配列に相補的な配列がポリ(dA)領域を含む、工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列を検出する工程と
を含む方法。
【請求項3】
サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)から複数の核酸フラグメントを生成する工程であって、
前記dsDNAを、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼと、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーとを含むトランスポソームと接触させて、前記5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成すること;及び
前記5’オーバーハングを含む前記複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、
前記捕捉配列に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成すること
を含み、
前記捕捉配列がポリ(dT)領域を含み、前記二本鎖ヌクレアーゼがトランスポザーゼを含み、前記捕捉配列に相補的な配列がポリ(dA)領域を含み、
前記複数の核酸フラグメントのそれぞれは、捕捉配列、前記捕捉配列の相補体、前記捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せを含む、
前記複数の核酸フラグメントを生成する工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列を検出する工程と
を含む方法。
【請求項4】
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列に基づいて、前記dsDNA
に関
する情報を決定する工程をさらに含む、請求項
2又は
3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の核酸フラグメントを生成する工程は、前記dsDNAを断片化して、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み、かつ
捕捉配列に相補的な配列を含むアダプターの2つのコピーを前記複数のdsDNAフラグメントに付加して、複数の核酸フラグメントを生成する工程を含んでもよく、前記アダプターの前記2つのコピーを付加することは、前記アダプターの前記2つのコピーを前記複数のdsDNAフラグメントにライゲートして、前記アダプターを含む前記複数の核酸フラグメントを生成する工程を含んでもよい、請求項
2~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記dsDNA
に関
する前記情報を決定する工程は、
(a)得られた前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメント
又は前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントの前記配列に基づいて、前記dsDNAのクロマチンアクセシビリティを決定する工程を含み、前記dsDNAの前記クロマチンアクセシビリティを決定する工程は、
(i)前記複数のバーコード付きDNAフラグメント
又は前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントの配列を前記dsDNAの参照配列とアラインメントする工程;及び
前記複数のバーコード付きDNAフラグメント
又は前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントのバーコード付きDNAフラグメント
又はバーコード付きssDNAフラグメントの末端に対応する前記dsDNAの領域を、閾値を超えるアクセシビリティを有するものと同定する工程、又は
(ii)前記複数の
バーコード付きssDNAフラグメントの配列を前記dsDNAの参照配列とアラインメントする工程;及び
前記シーケンシングデータ中の前記複数の
バーコード付きssDNAフラグメントの
バーコード付きssDNAフラグメントの数に基づいて、前記複数の
バーコード付きssDNAフラグメントの
バーコード付きssDNAフラグメントの末端に対応する前記dsDNAの領域のアクセシビリティを決定する工程
を含んでもよく、
及び/又は
(b)得られた前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメント
又は前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントの前記配列に基づいて、前記dsDNAのメチローム情報を決定する工程を含み、
(i)下記工程:
(A)前記細胞の前記dsDNAに関連付けられたヌクレオソームを消化する工程; 及び/又は
(B)前記複数のオーバーハング
dsDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメントの複数の一本鎖DNAのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を含む複数のバイサルファイト変換されたssDNAを生成する工程
を更に含んでもよく、及び/又は
(ii)前記メチローム情報を決定する工程は、前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメント
又は前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントの位置がチミン塩基を有するかどうか及び前記dsDNAの参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有するかどうかを決定して、前記dsDNAにおける前記対応する位置がメチルシトシン塩基を有することを決定する工程
を含んでもよい、
請求項1、
4又は
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記バーコードを付ける工程は、
(a)前記複数のバーコードを用いて、前記複数の
ssDNAフラグメント又は前記複数の核酸フラグメントに確率バーコード付けし、複数の確率バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程、又は
(b)粒子に関連付けられた前記複数のバーコードを用いて、前記複数の
ssDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記粒子に関連付けられた前記バーコードは、同一の細胞標識配列及び少なくとも100の異なる分子標識配列を含む、工程を含み、
(i)前記複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは:
(A)前記粒子上に固定;
(B)前記粒子上に部分的に固定;
(C)前記粒子に封入;又は
(D)前記粒子に部分的に封入
されていてもよく、
(ii)前記粒子は:
(A)崩壊性である;又は
(B)崩壊性ヒドロゲル粒子を含む、
ものであってもよい、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記バーコードを付ける工程が、請求項
7に記載の工程(b)を含み、
(a)前記粒子は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスチレン、ガラス、ポリプロピレン、アガロース、ゼラチン、ヒドロゲル、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、セルロース、ナイロン、シリコーン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む、及び/又は
(b)前記粒子の前記バーコードは、少なくとも1000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含み、前記粒子の前記バーコードは、少なくとも10000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含んでもよい、
請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞からの前記dsDNAは、核DNA、核小体DNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、構築物DNA、ウイルスDNA又は前記列挙された項目の2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼと、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーとを含むトランスポソームと接触させて、前記5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程
であって、前記捕捉配列がポリ(dT)領域を含み、前記二本鎖ヌクレアーゼがトランスポザーゼを含む、工程と;
前記複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、
前記捕捉配列に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程
であって、前記捕捉配列に相補的な配列がポリ(dA)領域を含む、工程と;
前記複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程と;
同じ細胞標識配列に関連付けられたユニーク分子標識配列の量に基づいて、前記細胞内の前記dsDNAの量を定量する工程と
を含む方法。
【請求項11】
前記複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、前記捕捉配列、前記細胞標識配列及び前記分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体上に捕捉する工程であって、前記捕捉配列は、前記ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含む、工程と;
前記ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、前記バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記バーコード付きssDNAは、前記捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含む、工程と;
逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はそれらの組合せを用いて、前記オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、前記バーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程と;
前記バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程と;
前記一本鎖配列を増幅する工程と
をさらに含み、さらに、前記複数のssDNAフラグメントのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を含む複数のバイサルファイト変換されたssDNAフラグメントを生成する工程を含んでもよい、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
サンプル解析のためのキットであって、
トランスポソームであって、
dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ
であって、トランスポザーゼを含む二本鎖ヌクレアーゼ;及び
捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピー
であって、前記捕捉配列がポリ(dT)領域を含む、アダプターの2つのコピー
を含むトランスポソームと;
複数のバーコードであって、各バーコードは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含むことができ、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、複数のバーコードと
を含み、
(a)前記トランスポソームは、リガーゼをさらに含んでもよく、
(
b)前記複数のバーコードは、少なくとも10、50、100、500、1000、5000、10000、50000又は100000の異なる分子標識を含んでもよく、及び/又は
(
c)前記バーコードは:
(i)粒子上に固定されていてもよく、各粒子上に固定された前記バーコードの全ては、同じ細胞標識配列を含んでもよく、異なる粒子は、異なる細胞標識配列を含んでもよく;又は
(ii)基材のウェル中に分けられていてもよく、各ウェル中に分けられた前記バーコードの全ては、同じ細胞標識配列を含んでもよく、異なるウェルは、異なる細胞標識配列を含んでもよい、
キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年5月3日に出願された米国仮特許出願第62/666,483号明細書の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、分子生物学の分野、特に分子バーコーディングを用いた細胞のマルチオミクス解析に関する。
【背景技術】
【0003】
分子バーコーディングなどの方法及び技術は、例えば、逆転写、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び次世代シーケンシング(NGS)を用いて、細胞の状態を決定するために遺伝子発現プロファイルを解読することを含む単一細胞トランスクリプトミクス解析に有用である。分子バーコーディングは、単一細胞プロテオミクス解析にも有用である。単一細胞のマルチオミクス解析のための方法及び技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されるものには、サンプル解析の方法の実施形態が含まれる。例えば、サンプル解析は、単一細胞解析を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。いくつかの実施形態において、本方法は、二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)(例えば、gDNAが、接触中、細胞中にあるか、核若しくはミトコンドリアなどの細胞小器官中にあるか又は細胞分画若しくは抽出物中にあるかにかかわらず、細胞からのゲノムDNA(gDNA))をトランスポソームと接触させる工程を含む。トランスポソームは、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ(例えば、トランスポザーゼ)及び5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成するために、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含み得る。本方法は、複数のバーコードを用いて、複数のオーバーハングdsDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程を含むことができ、ここで、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む。本方法は、複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列を検出する工程を含み得る。本方法は、シーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列に基づいて、dsDNA配列を、dsDNAを含む構造に関連付ける情報を決定する工程を含み得る。本方法は、複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と;複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程とをさらに含むことができ、ここで、ssDNAフラグメントは、バーコードを付けられ、それによってDNAフラグメントにバーコードを付ける。いくつかの実施形態において、dsDNAは、gDNAを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法において、トランスポソームは、dsDNAを含む特定の構造、例えばクロマチン、特定のDNAメチル化状態、特定の細胞小器官中のDNAなどを標的にし得る。サンプル解析の方法は、トランスポソームによって標的にされる構造に関連付けられた特定のDNA配列、例えばクロマチンアクセス可能DNA、構築物DNA、細胞小器官DNAなどを同定し得るものと考えられる。
【0005】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、dsDNA(例えば、gDNAが、接触中、細胞中にあるか又は細胞の核中にあるかにかかわらず、細胞からのgDNA)からの複数の核酸フラグメントを生成する工程であって、複数の核酸フラグメントのそれぞれは、捕捉配列、捕捉配列の相補体、捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せを含む、工程と;複数のバーコードを用いて、複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程であって、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列を検出する工程とを含む。本方法は、シーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列に基づいて、dsDNA配列を、dsDNAを含む構造に関連付ける情報を決定する工程をさらに含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、dsDNAを、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含むアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、捕捉配列に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。二本鎖ヌクレアーゼには、アダプターの2つのコピーがロードされ得る。本方法は、相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程をさらに含み得る。本方法は、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付け、それによって複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。本方法は、バーコード付きDNAフラグメントを変性して、バーコード付き一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程をさらに含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、dsDNAを、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ有する複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程と;5’オーバーハングを有する複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程とを含み得る。二本鎖ヌクレアーゼには、アダプターの2つのコピーがロードされ得る。本方法は、相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程をさらに含み得る。本方法は、ssDNAフラグメントにバーコードを付け、それによってバーコード付きDNAを生成する工程をさらに含み得る。本方法は、バーコード付きDNAフラグメントを変性して、バーコード付き一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、バーコード付きDNAフラグメントは、ssDNAフラグメントであり得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数の相補的dsDNAフラグメントのいずれもオーバーハング(例えば、3’オーバーハング又は5’オーバーハング)を含まない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、アダプターは、トランスポゾンのDNA末端配列を含み得る。例として、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼは、Tn5トランスポザーゼなどのトランスポザーゼを含み得る。他の好適なトランスポザーゼの例が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数の相補的dsDNAフラグメントは、それぞれ平滑末端を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、dsDNAを断片化して、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含む。dsDNAを断片化する工程は、dsDNAを制限酵素と接触させて、1つ又は2つの平滑末端をそれぞれ有する複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、平滑末端を含み得る。いくつかの実施形態において、複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、5’オーバーハング及び/又は3’オーバーハングを含み得る。いくつかの実施形態において、複数のdsDNAフラグメントのいずれも平滑末端を含まない。
【0010】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNAを断片化する工程は、dsDNAをCRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9又はCas12a)と接触させて、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。例として、標的DNAモチーフ又は配列に相補的なガイドRNAを用いて、CRISPR関連タンパク質を標的にして、標的DNAモチーフ又は配列における二本鎖DNA切断を生じることができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、捕捉配列に相補的な配列を含むアダプターの2つのコピーを複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つに付加して、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含む。例えば、アダプターは、本明細書に記載されるトランスポザーゼによって付加され得る。例えば、アダプターの2つのコピーを付加する工程は、アダプターの2つのコピーを複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つにライゲートして、アダプターを含む複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、捕捉配列は、ポリ(dT)領域を含む。捕捉配列に相補的な配列は、ポリ(dA)領域を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNAを断片化する工程は、dsDNAを制限酵素と接触させて、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含むことができ、複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、捕捉配列を含む。捕捉配列は、5’オーバーハングの配列に相補的であり得る。捕捉配列に相補的な配列は、5’オーバーハングの配列を含み得る。いくつかの実施形態において、捕捉配列は、3、4、5、6又はそれを超える連続するTを含まない配列を含む。例えば、捕捉配列は、標的dsDNAの一方又は両方の鎖に特有の配列を含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNAは、細胞小器官、例えば核内にある。本方法は、例えば、Triton X-100などの洗浄剤を用いて核を透過処理して、透過処理された核を生成する工程を含み得る。本方法は、核を透過処理する前に、核を含む細胞を固定する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNAは、核、核小体、ミトコンドリア又は葉緑体の少なくとも1つ内にある。いくつかの実施形態において、dsDNAは、核DNA(例えば、クロマチンの一部)、核小体DNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、構築物DNA、ウイルスDNA又は列挙された項目の2つ以上の組合せからなる群から選択される。構築物DNAの例は、プラスミド、クローニングベクター、発現ベクター、ハイブリッドベクター、ミニサークル、コスミド、ウイルスベクター、BAC、YAC及びHACを含み得る。例として、ゲノム外DNA中に存在するウイルスDNAが宿主ゲノム中に挿入され得る。例えば、本明細書に記載されるサンプル解析の方法は、細胞の1つ以上の細胞小器官中のDNA又はDNAの種類を定量し得る。例えば、本明細書に記載されるサンプル解析の方法は、細胞中のウイルスDNA又はDNAのウイルス負荷を定量し得る。例えば、本明細書に記載されるサンプル解析の方法は、細胞中の構築物DNA(例えば、プラスミド、クローニングベクター、発現ベクター、ハイブリッドベクター、ミニサークル、コスミド、ウイルスベクター、BAC、YAC及び/又はHAC)を定量し得る。したがって、本方法は、dsDNAを含むトランスポソームアクセス可能構造についての情報をもたらし得るものと考えられる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、本方法は、複数の核酸フラグメントを変性して、複数のssDNAフラグメントを生成する工程を含み、ここで、複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、複数のバーコードを用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、アダプターは、プロモータ配列を含む。複数の核酸フラグメントを生成する工程は、インビトロ転写を用いて、複数のdsDNAフラグメントを転写して、複数のリボ核酸(RNA)分子を生成する工程を含むことができ、ここで、複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、複数のRNA分子にバーコードを付ける工程を含み得る。プロモータ配列は、T7プロモータ配列を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程は、得られたシーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列及び/又は存在度に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)のクロマチンアクセシビリティを決定する工程を含む。dsDNAのクロマチンアクセシビリティを決定する工程は、複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列をdsDNA(例えば、gDNA)の参照配列とアラインメントする工程と;複数のssDNAフラグメントのバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)の末端に対応するdsDNAの領域を、閾値を超えるアクセシビリティを有するものと同定する工程とを含み得る。dsDNA(例えば、gDNA)のクロマチンアクセシビリティを決定する工程は、複数のバーコード付きDNAフラグメント(例えば、ssDNAフラグメント)の配列をdsDNA(例えば、gDNA)の参照配列とアラインメントする工程と;シーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNA(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)フラグメントのバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)の数に基づいて、複数のバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)のバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)の末端に対応するdsDNA(例えば、gDNA)の領域のアクセシビリティを決定する工程とを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程は、得られたシーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)の配列に基づいてdsDNAのゲノム情報を決定する工程を含む。サンプル解析の方法は、dsDNAに関連付けられたヌクレオソームを消化する工程を含み得る。dsDNAのゲノム情報を決定する工程は、複数のバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)の配列をdsDNAの参照配列とアラインメントすることにより、dsDNAの少なくとも部分配列を決定する工程を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、dsDNA(例えば、gDNA)を、dsDNAを含む構造に関連付ける情報を決定する工程は、得られたシーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)のメチローム情報を決定する工程を含む。サンプル解析の方法は、dsDNAに関連付けられたヌクレオソームを消化する工程を含み得る。サンプル解析の方法は、複数のオーバーハングDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメント(例えば、オーバーハングDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメントを変性することによって得られた)の複数の一本鎖DNAフラグメントのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を有する複数のバイサルファイト変換されたssDNAを生成する工程を含み得る。複数のオーバーハングDNAフラグメントにバーコードを付ける工程又は複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、複数のバーコードを用いて、複数のバイサルファイト変換されたssDNAにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。メチローム情報を決定する工程は、シーケンシングデータ中の複数のバーコード付きDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント)の位置がチミン塩基を有すること及びdsDNAの参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有することを決定して、dsDNAにおける対応する位置がメチルシトシン塩基を有することを決定する工程を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、バーコードを付ける工程は、複数のバーコードを用いて、複数のDNAフラグメント(例えば、ssDNAフラグメント)又は複数の核酸に確率バーコードを付けて、複数の確率バーコード付きDNAフラグメントを生成する工程を含む。バーコードを付ける工程は、粒子に関連付けられた複数のバーコードを用いて、複数のDNAフラグメント(例えば、ssDNAフラグメント)又は複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含むことができ、ここで、粒子に関連付けられたバーコードは、同一の細胞標識配列及び少なくとも100の異なる分子標識配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子上に固定され得る。複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子上に部分的に固定され得る。複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子に封入され得る。複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子に部分的に封入され得る。粒子は、崩壊性であり得る。粒子は、破裂性ヒドロゲル粒子を含み得る。粒子は、セファロースビーズ、ストレプトアビジンビーズ、アガロースビーズ、磁気ビーズ、コンジュゲートビーズ、プロテインAコンジュゲートビーズ、プロテインGコンジュゲートビーズ、プロテインA/Gコンジュゲートビーズ、プロテインLコンジュゲートビーズ、オリゴ(dT)コンジュゲートビーズ、シリカビーズ、シリカ様ビーズ、抗ビオチンマイクロビーズ、抗蛍光色素マイクロビーズ又はそれらの任意の組合せを含み得る。粒子は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスチレン、ガラス、ポリプロピレン、アガロース、ゼラチン、ヒドロゲル、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、セルロース、ナイロン、シリコーン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、他のバーコードと分けられ得る。区切る工程は、例えば、バーコードを、本明細書に記載される粒子などの固体担体上に配置する工程と、バーコードを、ヒドロゲルドロップレットなどのドロップレット(例えば、マイクロドロップレット)中、又はマイクロウェルなどの基材のウェル、又は流体デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)のチャンバ中に配置する工程とを含み得るものと考えられる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、粒子のバーコードは、少なくとも1000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含み得る。粒子のバーコードは、少なくとも10000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含み得る。バーコードの分子標識は、ランダム配列を含み得る。粒子は、少なくとも10000のバーコードを含み得る。
【0022】
本明細書に記載される単一細胞解析の方法のいずれかにおいて、複数のオーバーハングDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、(DNAフラグメント又は核酸フラグメントの)複数のssDNAを複数のバーコードの捕捉配列と接触させる工程と;複数のバーコードを用いて、複数のssDNAを転写して、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程とを含み得る。サンプル解析の方法は、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る前に、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを増幅して、複数の増幅されたバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。複数のバーコード付きssDNAフラグメントを増幅する工程は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってバーコード付きssDNAフラグメントを増幅する工程を含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法は、複数のバーコードを用いて、核の複数の標的にバーコードを付けて、複数のバーコード付き標的を生成する工程と;バーコード付き標的のシーケンシングデータを得る工程とを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、細胞からのdsDNAは、核DNA、核小体DNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、構築物DNA、ウイルスDNA又は列挙された項目の2つ以上の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、5’オーバーハングは、ポリdT配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、本方法は、複数のバーコード付きsDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、捕捉配列、細胞標識配列及び分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む粒子上に捕捉する工程であって、捕捉配列は、ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含み、前記捕捉されたssDNAフラグメントは、メチル化シチジンを含む、工程と、ssDNAフラグメントにおいてバイサルファイト変換反応を行って、メチル化シチジンをチミジンに変換する工程と、ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、チミジンを含むバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、バーコード付きssDNAは、捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含む、工程と、逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はその組合せを用いて、オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、チミジンを含むバーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程と、バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程と、一本鎖配列を増幅する工程とをさらに含む。本方法は、シーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメントの位置がチミン塩基を有するかどうか及びdsDNAの参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有するかどうかを決定する工程をさらに含むことができ、バイサルファイト変換反応後、参照配列におけるチミン塩基の対応する位置がシトシン塩基であることを決定する工程を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、トランスポソームの二本鎖ヌクレアーゼは、トランスポザーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、CRISPR関連タンパク質、二本鎖特異的ヌクレアーゼ又はこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、トランスポソームは、抗体又はそのフラグメント、アパトマー又はdsDNAを含む構造に結合するDNA結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、トランスポソームは、リガーゼをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、核酸試薬が記載される。核酸試薬は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含み得る。捕捉配列は、ポリ(A)領域を含み得る。プライマー結合部位は、ユニバーサルプライマー結合部位を含み得る。核酸試薬は、原形質膜不透過性であり得る。いくつかの実施形態において、核酸試薬は、死細胞に特異的に結合するように構成される。いくつかの実施形態において、核酸試薬は、生細胞に結合しない。
【0027】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかについて、本方法は、細胞を核酸試薬と接触させる工程をさらに含む。核酸試薬は、本明細書に記載されるとおりであり得る。核酸試薬は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含み得る。細胞は、死細胞であり得、核酸結合試薬は、死細胞内の二本鎖DNAに結合し得る。本方法は、死細胞を洗浄して、過剰な核酸結合試薬を除去する工程を含み得る。本方法は、死細胞を溶解させる工程を含み得る。溶解により、核酸結合試薬を放出し得る。本方法は、核酸結合試薬にバーコードを付ける工程を含み得る。いくつかの実施形態の方法において、細胞は、細胞標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体に関連付けられ、バーコードを付ける工程は、細胞標識配列で核酸結合試薬にバーコードを付ける工程を含む。固体担体は、細胞標識配列及び異なる分子標識配列をそれぞれ含む複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、バーコード付き核酸結合試薬をシーケンシングする工程と、核酸試薬のバーコードの存在に基づいて死細胞の存在を決定する工程とをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、2つ以上の細胞を、異なる細胞標識を含む異なる固体担体にそれぞれ関連付ける工程であって、それにより、2つ以上の細胞のそれぞれは、異なる細胞標識と1対1で関連付けられる、工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、核酸試薬のバーコードに関連付けられたユニークな細胞標識の数に基づいて、サンプル中の死細胞の数を決定する工程をさらに含む。細胞標識に関連付けられた固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程は、シーケンシングデータ中の各細胞標識について、細胞標識に関連付けられた最高数の固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程を含み得る。いくつかの実施形態の方法において、核酸結合試薬は、生細胞に入らず、且つしたがって生細胞内の二本鎖DNAに結合しない。いくつかの実施形態において、本方法は、死細胞を、一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられたタンパク質結合試薬と接触させる工程であって、タンパク質結合試薬は、死細胞のタンパク質に結合する、工程と;一意識別子オリゴヌクレオチドにバーコードを付ける工程とをさらに含む。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬は、抗体、四量体、アプタマー、タンパク質骨格、インベイシン又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、10~100の異なるタンパク質標的を含む群から選択されるか、又は細胞成分結合試薬の細胞成分標的は、10~100の異なる細胞成分標的を含む群から選択される。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、炭水化物、脂質、タンパク質、細胞外タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞マーカー、B細胞受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体、腫瘍抗原、受容体、インテグリン、細胞内タンパク質又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬は、細胞表面タンパク質に結合する抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態の方法において、バーコードを付ける工程は、分子標識配列を含むバーコードによるものである。
【0028】
いくつかの実施形態は、サンプル解析の方法を含む。本方法は、サンプルの死細胞を核酸結合試薬と接触させる工程を含むことができ、核酸結合試薬は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含む。核酸結合試薬は、死細胞内の二本鎖DNAに結合し得る。本方法は、過剰な核酸結合試薬を死細胞から除去する工程を含み得る。本方法は、死細胞を溶解させ、それによって核酸結合試薬を死細胞から放出する工程を含み得る。本方法は、核酸結合試薬にバーコードを付ける工程を含み得る。いくつかの実施形態の方法において、バーコードを付ける工程は、死細胞をビーズなどの固体担体上に捕捉する工程を含み、固体担体は、細胞標識配列及び分子標識配列を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、各細胞標識配列に関連付けられた固有の分子標識配列の数を決定する工程と、分子標識配列に関連付けられた固有の細胞標識配列の数に基づいて、サンプル中の死細胞の数を決定する工程とをさらに含む。いくつかの実施形態の方法において、細胞標識に関連付けられた固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程は、シーケンシングデータ中の各細胞標識について、細胞標識に関連付けられた最高数の固有の配列を有する分子標識配列の数を決定する工程を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、死細胞を、一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられたタンパク質結合試薬と接触させる工程をさらに含む。タンパク質結合試薬は、死細胞のタンパク質に結合し得る。本方法は、一意識別子オリゴヌクレオチドにバーコードを付ける工程をさらに含み得る。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬は、同一の配列を有する2つ以上のサンプルインデックス付加オリゴヌクレオチドに関連付けられる。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬は、異なるサンプルインデックス付加配列を有する2つ以上のサンプルインデックス付加オリゴヌクレオチドに関連付けられる。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬は、抗体、四量体、アプタマー、タンパク質骨格、インベイシン又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、10~100の異なるタンパク質標的を含む群から選択されるか、又は細胞成分結合試薬の細胞成分標的は、10~100の異なる細胞成分標的を含む群から選択される。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、炭水化物、脂質、タンパク質、細胞外タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞マーカー、B細胞受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体、腫瘍抗原、受容体、インテグリン、細胞内タンパク質又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態の方法において、タンパク質結合試薬は、細胞表面タンパク質に結合する抗体又はそのフラグメントを含む。
【0029】
いくつかの実施形態の方法において、捕捉配列及び捕捉配列に相補的な配列は、少なくとも5ヌクレオチド~約25ヌクレオチド長の相補的核酸の特定の対である。
【0030】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法が記載される。本方法は、細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。本方法は、複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングのそれぞれの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。本方法は、複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程を含み得る。本方法は、複数のバーコードを用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含むことができ、ここで、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードは、同一の細胞標識配列を含む。本方法は、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程を含み得る。本方法は、同じ細胞標識配列に関連付けられたユニーク分子標識配列の量に基づいて、細胞内のdsDNAの量を定量する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、捕捉配列、細胞標識配列及び分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体上に捕捉する工程であって、捕捉配列は、ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含む、工程と;ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、バーコード付きssDNAは、捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含む、工程と;逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はそれらの組合せを用いて、オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、バーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程と;バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程と;一本鎖配列を増幅する工程とをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、複数のssDNAフラグメントのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を含む複数のバイサルファイト変換されたssDNAフラグメントを生成する工程をさらに含む。
【0031】
本明細書に記載される方法のいずれかにおいて、dsDNAは、構築物DNAを含み得る。構築物DNAは、プラスミド、クローニングベクター、発現ベクター、ハイブリッドベクター、ミニサークル、コスミド、ウイルスベクター、BAC、YAC及びHACからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、構築物DNAの数は、1~約1×106の範囲である。
【0032】
本明細書に記載される方法のいずれかにおいて、dsDNAは、ウイルスDNAを含み得る。細胞内のウイルスDNAの負荷は、約1×102~1×106の範囲であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、サンプル解析のためのキットが記載される。キットは、本明細書に記載されるトランスポソームと、本明細書に記載される複数のバーコードとを含み得る。各トランスポソームは、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ(例えば、本明細書に記載されるトランスポザーゼ)及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含み得る。任意選択的に、トランスポソームは、リガーゼをさらに含む。各バーコードは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列、例えばポリT配列を含み得る。複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む。例えば、バーコードは、少なくとも10、50、100、500、1000、5000、10000、50000又は100000の異なる分子標識を含み得る。バーコードは、本明細書に記載される粒子上に固定され得る。同じ粒子上のバーコードの全ては、同じ細胞標識を含み得る。いくつかの実施形態のキットにおいて、バーコードは、基材のウェル中に分けられる。各ウェル中に分けられたバーコードの全ては、同じ細胞標識配列を含むことができ、異なるウェルは、異なる細胞標識配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】バーコーディング及びデジタルカウンティングの非限定的な例示的なワークフローを示す。
【
図3】複数の標的からのバーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーを作製するための非限定的な例示的なプロセスを示す概略図である。
【
図4A】単一細胞からのマルチオミクス情報のハイスループット捕捉の非限定的な例示的な方法の概略図を示す。
【
図4B】単一細胞からのマルチオミクス情報のハイスループット捕捉の非限定的な例示的な方法の概略図を示す。
【
図5】
図5A-5Bは、向上したシグナル強度で単一細胞からゲノム及びクロマチンアクセシビリティ情報を捕捉する非限定的な例示的な方法を概略的に示す。
【
図6】いくつかの実施形態の非限定的な例示的な核酸試薬を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の詳細な説明において、その一部を成す添付の図面が参照される。これらの図面において、類似の符号は、典型的に、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、類似の構成要素を特定する。詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定的であることが意図されていない。本明細書に示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実施形態が用いられ得、他の変更形態がなされ得る。本明細書に一般に記載され、図に示されるように、本開示の態様は、多様な異なる構成で配置され、置き換えられ、組み合わされ、分離され、且つ設計され得、それらは、全て本明細書において明示的に考えられ、本開示の一部を成すことが容易に理解されるであろう。
【0036】
本明細書において言及される全ての特許、公開特許出願、他の刊行物並びにGenBank及び他のデータベースからの配列は、関連技術に関して、その全体が参照により援用される。
【0037】
異なる分子標識差を有する分子標識(分子指標(MI)とも呼ばれる)を有する確率バーコードなどのバーコードを用いて、核酸標的の相対又は絶対存在量などの核酸標的の存在量を決定することができる。確率バーコーディングは、Precise(商標)アッセイ(Cellular Research,Inc.(Palo Alto,CA))及びRhapsody(商標)アッセイ(Becton,Dickinson and Company(Franklin Lakes,NJ))を用いて行われ得る。Precise(商標)アッセイ又はRhapsody(商標)アッセイは、ポリ(T)オリゴヌクレオチド上に多数(例えば、6561~65536)のユニーク分子標識配列を有する確率バーコードの非枯渇プールを用いて、逆転写(RT)工程中、サンプル中の全てのポリ(A)-mRNAをハイブリダイズさせることができる。確率バーコードは、ユニバーサルPCRプライミング部位を含み得る。RT中、標的遺伝子分子は、確率バーコードとランダムに反応する。各標的分子は、確率バーコードとハイブリダイズして、確率バーコード付きの相補的リボヌクレオチド酸(cDNA)分子を生成することができる。標識した後、マイクロウェルプレートのマイクロウェルからの確率バーコード付きcDNA分子を、PCR増幅及びシーケンシングのために単一チューブ中にプールすることができる。未補正のシーケンシングデータを分析して、リードの数、ユニーク分子標識配列を有する確率バーコードの数及びmRNA分子の数を得ることができる。
【0038】
本明細書に開示されるものには、サンプル解析の方法の実施形態が含まれる。例えば、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれも単一細胞解析を含むか、それからなるか又はそれから本質的になり得る。サンプル解析の方法は、分子バーコーディング(Precise(商標)アッセイ及びRhapsody(商標)アッセイなど)を用いたマルチオミクス解析に使用され得る。いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ有する複数のオーバーハング二本鎖DNA(dsDNA)フラグメントを生成する工程を含む。二本鎖ヌクレアーゼ(例えば、トランスポザーゼ)には、アダプターの2つのコピーがロードされ得る。本方法は、複数のオーバーハングdsDNAフラグメント(5’オーバーハングを含む)をポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と;複数の相補的dsDNAフラグメント(5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む)を変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と;複数のバーコードを用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程と;得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメントの配列に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程とを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、二本鎖DNAは、任意の二本鎖DNA、例えばゲノムDNA(gDNA)、細胞小器官DNA(例えば、核DNA、核小体DNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA及び葉緑体DNA)、ウイルスDNA及び/又は構築物DNA(例えば、プラスミド、クローニングベクター、発現ベクター、ハイブリッドベクター、ミニサークル、コスミド、ウイルスベクター及び/又は人工染色体、例えばBAC、YAC及びHAC)を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、構築物DNAは、プラスミド、クローニングベクター、発現ベクター、ハイブリッドベクター、ミニサークル、コスミド、ウイルスベクター、BAC、YAC及びHAC又は列挙された項目のいずれかの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、構築物DNAの数は、1~約1×106の範囲である。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、ウイルスDNAの負荷は、約1×102~1×106の範囲である。
【0043】
いくつかの好適な二本鎖DNA結合試薬は、本明細書に記載される核酸試薬及びサンプル解析の方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の核酸試薬及び/又はサンプル解析の方法について、二本鎖DNA酸結合試薬は、限定はされないが、アントラサイクリン(例えば、アクラルビシン、アルドキソルビシン、アムルビシン、アンナマイシン、ボヘミ酸(bohemic acid)、カルビシン、コスモマイシンB、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、ノガラマイシン、ピラルビシン、サバルビシン、バルルビシン、ゾプタレリンドキソルビシン及びゾルビシン)、アミケリン、9-アミノアクリジン、7-アミノアクチノマイシンD、アムサクリン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エリプチシン、臭化エチジウム、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピクサントロン、プロフラビン及びソラレン又は列挙された項目の2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれも、細胞の二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)から複数の核酸フラグメントを生成する工程であって、複数の核酸フラグメントのそれぞれは、捕捉配列、捕捉配列の相補体、捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せを含む、工程と;複数のバーコードを用いて、複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付き一本鎖デオキシリボ核酸(ssDNA)フラグメントを生成する工程であって、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程と;得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメントの配列に基づいてdsDNAに関する情報を決定する工程とを含む。
【0045】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 1994);Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(Cold Spring Harbor,NY 1989)を参照されたい。本開示の趣旨では、以下の用語についての情報が以下に示される。
【0046】
本明細書において使用される際、「アダプター」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、関連核酸の増幅、シーケンシング及び/又は捕捉を促進するための配列を指す。関連核酸は、標的核酸を含み得る。関連核酸は、空間標識、標的標識、サンプル標識、指標標識又はバーコード配列(例えば、分子標識)の1つ以上を含み得る。アダプターは、線状であり得る。アダプターは、予めアデニル化されたアダプターであり得る。アダプターは、二本鎖又は一本鎖であり得る。1つ以上のアダプターは、核酸の5’又は3’末端に位置し得る。アダプターが5’及び3’末端に既知の配列を含む場合、既知の配列は、同じであるか又は異なる配列であり得る。ポリヌクレオチドの5’及び/又は3’末端に位置するアダプターは、表面上に固定された1つ以上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能であり得る。アダプターは、いくつかの実施形態において、ユニバーサル配列を含み得る。ユニバーサル配列は、2つ以上の核酸分子と共通のヌクレオチド配列の領域であり得る。2つ以上の核酸分子は、異なる配列の領域も有し得る。したがって、例えば、5’アダプターは、同一及び/又はユニバーサル核酸配列を含むことができ、3’アダプターは、同一及び/又はユニバーサル配列を含み得る。複数の核酸分子の異なるメンバー中に存在し得るユニバーサル配列は、ユニバーサル配列に相補的な単一のユニバーサルプライマーを用いて、複数の異なる配列の複製又は増幅を可能にし得る。同様に、核酸分子のコレクションの異なるメンバー中に存在し得る少なくとも1つ、2つ(例えば、対)若しくはそれを超えるユニバーサル配列は、ユニバーサル配列に相補的な少なくとも1つ、2つ(例えば、対)若しくはそれを超える単一のユニバーサルプライマーを用いて、複数の異なる配列の複製又は増幅を可能にし得る。したがって、ユニバーサルプライマーは、このようなユニバーサル配列にハイブリダイズし得る配列を含む。標的核酸配列担持分子は、修飾されて、ユニバーサルアダプター(例えば、非標的核酸配列)を異なる標的核酸配列の一端又は両端に結合させ得る。標的核酸に結合された1つ以上のユニバーサルプライマーは、ユニバーサルプライマーのハイブリダイゼーションのための部位を提供することができる。標的核酸に結合された1つ以上のユニバーサルプライマーは、互いに同じであるか又は異なり得る。
【0047】
本明細書において使用される際、「関連付けられる」又は「に関連付けられる」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、ある時点で共配置されているとして同定可能である2つ以上の種を指し得る。関連付けは、類似の容器内にあるか又はあった2つ以上の種を指し得る。関連付けは、インフォマティクス関連付けを指し得る。例えば、2つ以上の種に関連するデジタル情報が記憶され得、それを用いて、これらの種の1つ以上がある時点で共配置されたことを決定することができる。関連付けは、物理的関連付けも指し得る。いくつかの実施形態において、2つ以上の関連付けられる種は、互いに又は共通の固体若しくは半固体の表面に「テザー連結」、「結合」又は「固定」される。関連付けは、ビーズなどの固体又は半固体の担体に標識を結合するための共有結合手段又は非共有結合手段を指し得る。関連付けは、標的と標識との間の共有結合を指し得る。関連付けは、2つの分子(標的分子及び標識など)間のハイブリダイゼーションを含み得る。
【0048】
本明細書において使用される際、「相補的」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、2つのヌクレオチド間の精密なペアリングの能力を指し得る。例えば、核酸の所与の位置のヌクレオチドが別の核酸のヌクレオチドと水素結合可能である場合、2つの核酸は、その位置で互いに相補的であると見なされる。2つの一本鎖核酸分子間の相補性は、ヌクレオチドの一部のみが結合する場合に「部分的」であり得るか、又はそれは、一本鎖分子間の全体的な相補性が存在する場合に完全であり得る。第1のヌクレオチド配列が第2のヌクレオチド配列に相補的である場合、第1のヌクレオチド配列は、第2の配列の「相補体」であるといえる。第1のヌクレオチド配列が第2の配列の逆(すなわちヌクレオチドの順序が逆)の配列に相補的である場合、第1のヌクレオチド配列は、第2の配列の「逆相補体」であるといえる。本明細書において使用される際、「相補的」配列は、配列の「相補体」又は「逆相補体」を指し得る。ある分子が別の分子にハイブリダイズし得る場合、それは、ハイブリダイズしている分子に相補的であるか又は部分的に相補的であり得ることが本開示から理解される。
【0049】
本明細書において使用される際、「デジタルカウンティング」という用語は、サンプル中の標的分子の数を推定する方法を指し得る。デジタルカウンティングは、サンプル中の標的に関連付けられたユニーク標識の数を決定する工程を含み得る。この方法は、本質的に確率的であり得、分子をカウントする問題を、同一の分子の位置決定及び同定の問題から、所定の標識のセットの検出に関する一連のあり/なしのデジタル問題に変換する。
【0050】
本明細書において使用される際、1つ又は複数の「標識」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それらは、サンプル内の標的に関連付けられる核酸コードを指し得る。標識は、例えば、核酸標識を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。標識は、全体的に又は部分的に増幅可能な標識であり得る。標識は、全体的に又は部分的にシーケンシング可能な標識であり得る。標識は、固有であると同定可能な天然核酸の一部であり得る。標識は、既知の配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。標識は、核酸配列の接合、例えば天然及び非天然配列の接合を含み得る。本明細書において使用される際、「標識」という用語は、「インデックス」、「タグ」又は「標識タグ」という用語と同義的に使用され得る。標識は、情報を伝達することができる。例えば、様々な実施形態において、標識は、サンプルの同一性、サンプル源、細胞の同一性及び/又は標的を決定するのに使用され得る。
【0051】
本明細書において使用される際、「非枯渇リザーバ」という用語は、多くの異なる標識から構成されたバーコード(例えば、確率バーコード)のプールを指し得る。非枯渇リザーバは、非枯渇リザーバが標的のプールに関連付けられる場合、各標的がユニークバーコードに関連付けられる可能性が高くなるように、多数の異なるバーコードを含み得る。各標識標的分子のユニーク性は、ランダム選択の統計により決定可能であり、標識の多様性と比較してコレクション中の同一の標的分子のコピー数に依存する。得られる標識標的分子のセットのサイズは、バーコーディングプロセスの確率的性質によって決定可能であり、次に、検出されたバーコードの数の解析は、元のコレクション又はサンプル中に存在する標的分子の数の計算を可能にする。存在する標的分子のコピー数とユニークバーコードの数との比率が低い場合、標識標的分子は、非常にユニークである(すなわち2つ以上の標的分子が所与の標識で標識される確率が非常に低い)。
【0052】
本明細書において使用される際、「核酸」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、ポリヌクレオチド配列又はそのフラグメントを指す。核酸は、ヌクレオチドを含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。核酸は、細胞に対して外因性又は内因性であり得る。核酸は、無細胞環境中に存在し得る。核酸は、遺伝子又はそのフラグメントを含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。核酸は、DNAを含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。核酸は、RNAを含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。核酸は、1つ以上のアナログ(例えば、改変された骨格、糖又は核酸塩基)を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。アナログのいくつかの非限定的な例としては、5-ブロモウラシル、ペプチド核酸、ゼノ核酸、モルホリノ体、ロックド核酸、グリコール核酸、トレオース核酸、ジデオキシヌクレオチド、コルジセピン、7-デアザ-GTP、フルオロフォア(例えば、糖に結合されたローダミン又はフルオレセイン)、チオール含有ヌクレオチド、ビオチン結合ヌクレオチド、蛍光塩基アナログ、CpGアイランド、メチル-7-グアノシン、メチル化ヌクレオチド、イノシン、チオウリジン、プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、クエオシン及びワイオシンが挙げられる。「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「標的ポリヌクレオチド」及び「標的核酸」は、同義的に使用され得る。
【0053】
核酸は、新たな又は向上した特徴(例えば、向上した安定性)を有する核酸を提供するために、1つ以上の修飾(例えば、塩基修飾、骨格修飾)を含み得る。核酸は、核酸アフィニティータグを含み得る。ヌクレオシドは、塩基-糖の組合せであり得る。ヌクレオシドの塩基部分は、複素環式塩基であり得る。このような複素環式塩基の2つの最も一般的なクラスは、プリン及びピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドであり得る。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドでは、リン酸基は、糖の2’、3’又は5’ヒドロキシル部分に結合され得る。核酸を形成する際、リン酸基は、隣接ヌクレオシドを互いに共有結合して、直鎖状ポリマー化合物を形成し得る。したがって、この直鎖状ポリマー化合物のそれぞれの末端は、さらに連結されて、環状化合物を形成し得るが;直鎖状化合物が一般に好適である。さらに、直鎖状化合物は、内部ヌクレオチド塩基相補性を有し得るため、完全に又は部分的に二本鎖の化合物を生成するようにフォールディングし得る。核酸内では、リン酸基は、核酸のヌクレオシド間骨格を形成するものとして一般的に示され得る。結合又は骨格は、3’-5’ホスホジエステル結合であり得る。
【0054】
核酸は、修飾骨格及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含み得る。修飾骨格は、骨格中にリン原子を保持するもの及び骨格中にリン原子を有さないものを含み得る。リン原子を中に含有する好適な修飾核酸骨格は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、キラルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、ホスホロジアミデート、チエノホスホルアミデート、チエノアルキルホスホネート、チエノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート及び通常の3’-5’結合、2’-5’結合アナログを有するボラノホスフェート並びに1つ以上のヌクレオチド間結合が3’-3’、5’-5’又は2’-2’結合である逆極性を有するものを含み得る。
【0055】
核酸は、短鎖アルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子又は複素環式ヌクレオシド間結合によって形成されるポリヌクレオチド骨格を含み得る。これらは、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;リボアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの;並びに混合N、O、S及びCH2構成部分を有する他のものを含み得る。
【0056】
核酸は、核酸ミメティックを含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。「ミメティック」という用語は、フラノース環のみ又はフラノース環及びヌクレオチド間結合の両方が非フラノース基で置換されているポリヌクレオチドを含むことが意図され得、フラノース環のみの置換は、糖サロゲートであるとも示され得る。複素環式塩基部分又は修飾複素環式塩基部分は、適切な標的核酸とのハイブリダイゼーションのために保持され得る。1つのこのような核酸は、ペプチド核酸(PNA)であり得る。PNAでは、ポリヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格で置換され得る。ヌクレオチドは、保持され得、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合される。PNA化合物中の骨格は、PNAにアミド含有骨格を与える2つ以上の結合されたアミノエチルグリシン単位を含み得る。複素環式塩基部分は、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合され得る。
【0057】
核酸は、モルホリノ骨格構造を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。例えば、核酸は、リボース環の代わりに6員モルホリノ環を含み得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、ホスホロジアミデート又は他の非ホスホジエステルヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合を置換し得る。
【0058】
核酸は、モルホリノ環に結合された複素環式塩基を有する結合されたモルホリノ単位(例えば、モルホリノ核酸)を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。結合基は、モルホリノ核酸中のモルホリノモノマー単位を結合し得る。非イオン性モルホリノ系オリゴマー化合物は、細胞タンパク質とのより少ない望ましくない相互作用を有し得る。モルホリノ系ポリヌクレオチドは、核酸の非イオン性ミミックであり得る。モルホリノクラス内の様々な化合物は、異なる結合基を用いて連結され得る。ポリヌクレオチドミメティックのさらなるクラスは、シクロヘキセニル核酸(CeNA)と呼ばれ得る。核酸分子中に通常存在するフラノース環は、シクロヘキセニル環で置換され得る。CeNA DMT保護ホスホロアミダイトモノマーは、ホスホロアミダイト化学を用いたオリゴマー化合物合成のために調製及び使用され得る。核酸鎖中へのCeNAモノマーの組み込みにより、DNA/RNAハイブリッドの安定性を高めることができる。CeNAオリゴアデニレートは、天然複合体に類似した安定性を有する核酸相補体との複合体を形成し得る。さらなる修飾は、2’-ヒドロキシル基が糖環の4’炭素原子に結合され、2’-C、4’-C-オキシメチレン結合を形成することによって二環式糖部分を形成するロックド核酸(LNA)を含み得る。結合は、2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するメチレン(-CH2)基(式中、nは、1又は2である)であり得る。LNA及びLNAアナログは、相補的核酸との非常に高い二本鎖熱安定性(Tm=+3~+10℃)、3’-エキソヌクレアーゼ分解に対する安定性及び良好な溶解性を示し得る。
【0059】
核酸は、核酸塩基(単に「塩基」と呼ばれることが多い)修飾又は置換も含み得る。本明細書において使用される際、「非修飾」又は「天然」の核酸塩基は、プリン塩基、(例えば、アデニン(A)及びグアニン(G))及びピリミジン塩基、(例えば、チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U))を含み得る。修飾核酸塩基は、他の合成及び天然の核酸塩基、例えば5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニル(-C=C-CH3)ウラシル及びシトシン及びピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニン及び3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンを含み得る。修飾核酸塩基は、三環式ピリミジン、例えばフェノキサジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド(5,4-(b)(1,4)ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)などのG-クランプ、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド(5,4-b)(1,4)ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド(5,4-(b)(1,4)ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)などのG-クランプ、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド(4,5-b)インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド(3’,2’:4,5)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)を含み得る。
【0060】
本明細書において使用される際、「サンプル」という用語は、標的を含む組成物を指し得る。開示される方法、デバイス及びシステムによる分析に好適なサンプルとしては、細胞、組織、器官又は生物が挙げられる。いくつかの実施形態において、サンプルは、単一細胞を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。いくつかの実施形態において、サンプルは、少なくとも100,000、200,000、300,000、500,000、800,000又は1,000,000個の単一細胞を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。
【0061】
本明細書において使用される際、「サンプリングデバイス」又は「デバイス」という用語は、サンプルのセクションの採取及び/又は基材上へのセクションの配置を行い得るデバイスを指し得る。サンプルデバイスは、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)機、セルソーター機、生検針、生検デバイス、組織切片化デバイス、マイクロ流体デバイス、ブレードグリッド及び/又はミクロトームを指し得る。
【0062】
本明細書において使用される際、「固体担体」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、複数のバーコード(例えば、確率バーコード)が結合され得る離散した固体又は半固体の表面を指し得る。固体担体は、核酸が(例えば、共有結合又は非共有結合で)固定され得るプラスチック、セラミック、金属又はポリマー材料(例えば、ヒドロゲル)から構成された任意のタイプの中実、多孔性若しくは中空のスフェア、ボール、ベアリング、シリンダー又は他の類似の構成を包含し得る。固体担体は、球状(例えば、マイクロスフェア)であり得るか又は非球状若しくは不規則形状、例えば立方体形、直方体形、角錐形、円柱形、円錐形、楕円形又はディスク形などを有し得る離散粒子を含み得る。ビーズは、非球状の形状であり得る。アレイ状に離間して配置された複数の固体担体は、基材を含まないこともあり得る。固体担体は、「ビーズ」という用語と同義的に使用され得る。バーコードが固体担体、粒子、ビーズなどの上に固定される、本明細書におけるいずれかの実施形態について、バーコードは、例えば、ヒドロゲルドロップレットなどのドロップレット(例えば、マイクロドロップレット)中、又はマイクロウェルなどの基材のウェル中、又は流体デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)のチャンバ中にも分けられ得るものと考えられる。したがって、「固体担体」(例えば、ビーズ)による核酸の分類、選別又は分配が本明細書のいずれの箇所に記載されていても、流体(例えば、マイクロドロップレットなどのドロップレット)又は物理的な空間、例えばマイクロウェル(例えば、マルチウェルプレート上)又はチャンバ(例えば、流体デバイス中)への分配も明示的に考えられる。
【0063】
本明細書において使用される際、「確率バーコード」という用語は、本開示の標識を含むポリヌクレオチド配列を指し得る。確率バーコードは、確率バーコーディングに使用され得るポリヌクレオチド配列であり得る。確率バーコードは、サンプル中の標的を定量するのに使用され得る。確率バーコードは、標識を標的に関連付けた後に起こり得るエラーを制御するのに使用され得る。例えば、確率バーコードは、増幅又はシーケンシングのエラーを評価するのに使用され得る。標的に関連付けられた確率バーコードは、確率バーコード標的又は確率バーコードタグ標的と呼ばれ得る。
【0064】
本明細書において使用される際、「遺伝子特異的確率バーコード」という用語は、標識及び遺伝子特異的である標的結合領域を含むポリヌクレオチド配列を指し得る。確率バーコードは、確率バーコーディングに使用され得るポリヌクレオチド配列であり得る。確率バーコードは、サンプル中の標的を定量するのに使用され得る。確率バーコードは、標識を標的に関連付けた後に起こり得るエラーを制御するのに使用され得る。例えば、確率バーコードは、増幅又はシーケンシングのエラーを評価するのに使用され得る。標的に関連付けられた確率バーコードは、確率バーコード標的又は確率バーコードタグ標的と呼ばれ得る。
【0065】
本明細書において使用される際、「確率バーコーディング」という用語は、核酸のランダム標識化(例えば、バーコーディング)を指し得る。確率バーコーディングは、標識を標的に関連付けて、標的に関連付けられた標識を定量するために再帰的ポアソンストラテジーを用いることができる。本明細書において使用される際、「確率バーコーディング」という用語は、「確率標識化」と同義的に使用され得る。
【0066】
本明細書において使用される際、「標的」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、バーコード(例えば、確率バーコード)に関連付けられ得る組成物を指し得る。開示される方法、デバイス及びシステムによる分析に好適な例示的な標的としては、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、mRNA、マイクロRNA、tRNAなどが挙げられる。標的は、一本鎖又は二本鎖であり得る。いくつかの実施形態において、標的は、タンパク質、ペプチド又はポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、標的は、脂質である。本明細書において使用される際、「標的」は、「種」と同義的に使用され得る。
【0067】
本明細書において使用される際、「逆転写酵素」という用語は、本明細書を考慮して、当技術分野におけるその慣例的な及び通常の意味を有する。それは、逆転写酵素活性を有する(すなわちRNA鋳型からのDNAの合成を触媒する)酵素のグループを指し得る。一般に、このような酵素としては、限定はされないが、レトロウイルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、レトロプラスミド逆転写酵素、レトロン逆転写酵素、細菌逆転写酵素、グループIIイントロン由来逆転写酵素及びそれらの突然変異体、変異体又は誘導体が挙げられる。非レトロウイルス逆転写酵素としては、非LTRレトロトランスポゾン逆転写酵素、レトロプラスミド逆転写酵素、レトロン逆転写酵素及びグループIIイントロン逆転写酵素が挙げられる。グループIIイントロン逆転写酵素の例としては、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)LI.LtrBイントロン逆転写酵素、サーモシネココッカス・エロンガツス(Thermosynechococcus elongatus)TeI4cイントロン逆転写酵素又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)GsI-IICイントロン逆転写酵素が挙げられる。他のクラスの逆転写酵素としては、多くのクラスの非レトロウイルス逆転写酵素(すなわちレトロン、グループIIイントロン及び特に多様性生成レトロエレメント)が挙げられ得る。
【0068】
「ユニバーサルアダプタープライマー」、「ユニバーサルプライマーアダプター」又は「ユニバーサルアダプター配列」という用語は、同義的に使用されて、バーコード(例えば、確率バーコード)をハイブリダイズして、遺伝子特異的バーコードを生成するために使用され得るヌクレオチド配列を指す。ユニバーサルアダプター配列は、例えば、本開示の方法に使用される全てのバーコードに対してユニバーサルである既知の配列であり得る。例えば、複数の標的が、本明細書に開示される方法を用いて標識される場合、標的特異的配列のそれぞれは、同じユニバーサルアダプター配列に結合され得る。いくつかの実施形態において、2つ以上のユニバーサルアダプター配列は、本明細書に開示される方法に使用され得る。例えば、複数の標的が、本明細書に開示される方法を用いて標識される場合、標的特異的配列の少なくとも2つは、異なるユニバーサルアダプター配列に結合される。ユニバーサルアダプタープライマー及びその相補体は、2つのオリゴヌクレオチドに含まれ得、その1つは、標的特異的配列を含み、他方は、バーコードを含む。例えば、ユニバーサルアダプター配列は、標的核酸と相補的なヌクレオチド配列を生成するための標的特異的配列を含むオリゴヌクレオチドの一部であり得る。バーコード及びユニバーサルアダプター配列の相補的配列を含む第2のオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド配列とハイブリダイズして、標的特異的バーコード(例えば、標的特異的確率バーコード)を生成し得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサルアダプタープライマーは、本開示の方法に使用されるユニバーサルPCRプライマーと異なる配列を有する。
【0069】
バーコード
確率バーコーディングなどのバーコーディングは、例えば、米国特許出願公開第2015/0299784号明細書、国際公開第2015/031691号パンフレット及びFu et al,Proc Natl Acad Sci U.S.A.2011 May 31;108(22):9026-31に記載されている(これらの刊行物のそれぞれの内容は、全体が参照により本明細書に援用される)。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバーコードは、標的に確率標識(例えば、バーコード、タグ)を付けるのに使用され得るポリヌクレオチド配列であり得る確率バーコードであり得る。確率バーコードの異なるバーコード配列の数と、標識される標的のいずれかの存在の数との比率が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る場合、バーコードは、確率バーコードと呼ばれ得る。標的は、同一又はほぼ同一の配列を有するmRNA分子を含むmRNA種であり得る。確率バーコードの異なるバーコード配列の数と、標識される標的のいずれかの存在の数との比率が少なくとも又は多くとも1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1若しくは100:1である場合、バーコードは、確率バーコードと呼ばれ得る。確率バーコードのバーコード配列は、分子標識と呼ばれ得る。
【0070】
バーコード、例えば確率バーコードは、1つ以上の標識を含み得る。例示的な標識としては、ユニバーサル標識、細胞標識、バーコード配列(例えば、分子標識)、サンプル標識、プレート標識、空間標識及び/又はプレ空間標識が挙げられ得る。
図1は、空間標識を有する例示的なバーコード104を示す。バーコード104は、バーコードを固体担体105に連結し得る5’アミンを含み得る。バーコードは、ユニバーサル標識、次元標識、空間標識、細胞標識及び/又は分子標識を含み得る。バーコードは、ユニバーサル標識、細胞標識及び分子標識を含み得る。バーコードは、ユニバーサル標識、空間標識、細胞標識及び分子標識を含み得る。バーコードは、ユニバーサル標識、次元標識、細胞標識及び分子標識を含み得る。バーコード中の様々な標識(限定はされないが、ユニバーサル標識、次元標識、空間標識、細胞標識及び/又は分子標識を含む)の順序は、変動し得る。例えば、
図1に示されるように、ユニバーサル標識は、最も5’側の標識であり得、分子標識は、最も3’側の標識であり得る。空間標識、次元標識及び細胞標識は、任意の順序であり得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサル標識、空間標識、次元標識、細胞標識及び分子標識は、任意の順序であり得る。バーコードは、標的結合領域を含み得る。標的結合領域は、サンプル中の標的(例えば、標的核酸、RNA、mRNA、DNA)と相互作用し得る。例えば、標的結合領域は、mRNAのポリ(A)テールと相互作用し得るオリゴ(dT)配列を含み得る。ある場合には、バーコードの標識(例えば、ユニバーサル標識、次元標識、空間標識、細胞標識及びバーコード配列)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20又はそれを超えるヌクレオチドによって隔てられ得る。
【0071】
標識、例えば細胞標識は、規定の長さ、例えばそれぞれ7ヌクレオチド(いくつかのハミングエラー訂正コードに使用されるビット数に相当する)の核酸部分配列の固有のセットを含むことができ、これらは、エラー訂正能力を与えるように設計され得る。エラー訂正部分配列のセットは、7つのヌクレオチド配列を含み、これらは、セット内の配列の任意のペア組合せが規定の「遺伝子距離」(又はミスマッチ塩基の数)を示すように設計され得、例えば、エラー訂正部分配列のセットは、3つのヌクレオチドの遺伝子距離を示すように設計され得る。この場合、標識化標的核酸分子(以下により詳細に説明される)についての配列データのセット内のエラー訂正配列の見直しにより、増幅又はシーケンシングエラーを検出又は訂正することが可能になる。いくつかの実施形態において、エラー訂正コードを作製するのに使用される核酸部分配列の長さは、変動し得、例えば、それらは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、31、40、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態において、他の長さの核酸部分配列は、エラー訂正コードを作製するのに使用され得る。
【0072】
バーコードは、標的結合領域を含み得る。標的結合領域は、サンプル中の標的と相互作用し得る。標的は、リボ核酸(RNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、RNA分解産物、ポリ(A)テールをそれぞれ含むRNA又はそれらの任意の組合せであるか又はそれを含み得る。いくつかの実施形態において、複数の標的は、デオキシリボ核酸(DNA)を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、標的結合領域は、mRNAのポリ(A)テールと相互作用し得るオリゴ(dT)配列を含み得る。バーコードの標識(例えば、ユニバーサル標識、次元標識、空間標識、細胞標識及びバーコード配列(例えば、分子標識))の1つ以上は、バーコードの残りの標識の別の1つ又は2つからスペーサによって隔てられ得る。スペーサは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20又はそれを超えるヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態において、バーコードの標識のいずれもスペーサによって隔てられない。
【0074】
ユニバーサル標識
バーコードは、1つ以上のユニバーサル標識を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のユニバーサル標識は、所与の固体担体に結合されるバーコードのセット中の全てのバーコードについて同じであり得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のユニバーサル標識は、複数のビーズに結合される全てのバーコードについて同じであり得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサル標識は、シーケンシングプライマーにハイブリダイズすることが可能な核酸配列を含み得る。シーケンシングプライマーは、ユニバーサル標識を含むバーコードをシーケンシングするために使用され得る。シーケンシングプライマー(例えば、ユニバーサルシーケンシングプライマー)は、ハイスループットシーケンシングプラットフォームに関連付けられるシーケンシングプライマーを含み得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサル標識は、PCRプライマーにハイブリダイズすることが可能な核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、ユニバーサル標識は、シーケンシングプライマー及びPCRプライマーにハイブリダイズすることが可能な核酸配列を含み得る。シーケンシングプライマー又はPCRプライマーにハイブリダイズすることが可能なユニバーサル標識の核酸配列は、プライマー結合部位と呼ばれ得る。ユニバーサル標識は、バーコードの転写を開始するのに使用され得る配列を含み得る。ユニバーサル標識は、バーコード又はバーコード内の領域の伸長に使用され得る配列を含み得る。ユニバーサル標識は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。例えば、ユニバーサル標識は、少なくとも約10ヌクレオチドを含み得る。ユニバーサル標識は、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200又は300ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態において、切断性リンカー又は修飾ヌクレオチドは、担体からバーコードを切断して除去することを可能にするユニバーサル標識配列の一部であり得る。
【0075】
次元標識
バーコードは、1つ以上の次元標識を含み得る。いくつかの実施形態において、次元標識は、標識化(例えば、確率標識化)が行われた次元に関する情報を提供する核酸配列を含み得る。例えば、次元標識は、標的にバーコードが付けられた時点に関する情報を提供することができる。次元標識は、サンプルのバーコーディング(例えば、確率バーコーディング)の時点に関連付けられ得る。次元標識は、標識化の時点で活性化され得る。異なる次元標識は、異なる時点で活性化され得る。次元標識は、標的、標的のグループ及び/又はサンプルにバーコードを付けた順序に関する情報を提供する。例えば、細胞集団は、細胞周期のG0期にバーコードを付けられ得る。細胞は、細胞周期のG1期にバーコード(例えば、確率バーコード)で再びパルスされ得る。細胞は、細胞周期のS期にバーコードで再びパルスされ得、他の時期も同様である。各パルス時(例えば、細胞周期の各期)のバーコードは、異なる次元標識を含み得る。このように、次元標識は、細胞周期のいずれの期に標的に標識したかに関する情報を提供する。次元標識は、多くの異なる生物時間を精査することができる。例示的な生物時間としては、限定はされないが、細胞周期、転写(例えば、転写開始)及び転写物分解が挙げられ得る。別の例において、サンプル(例えば、細胞、細胞集団)は、薬剤治療及び/又は療法前及び/又は後に標識を付けられ得る。固有の標的のコピー数の変化は、薬剤及び/又は療法に対するサンプルの反応の指標であり得る。
【0076】
次元標識は、活性化可能であり得る。活性化可能な次元標識は、特定の時点で活性化され得る。活性化可能な標識は、例えば、構成的に活性化され得る(例えば、オフに切り替わらない)。活性化可能な次元標識は、例えば、可逆的に活性化され得る(例えば、活性化可能な次元標識は、オン及びオフの切替えが可能である)。次元標識は、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれを超えて可逆的に活性化可能であり得る。次元標識は、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれを超えて可逆的に活性化可能であり得る。いくつかの実施形態において、次元標識は、蛍光、光、化学的イベント(例えば、切断、別の分子のライゲーション、修飾(例えば、ペグ化、SUMO化、アセチル化、メチル化、脱アセチル化、脱メチル化)の付加、光化学的イベント(例えば、光ケージング)及び非天然ヌクレオチドの導入により活性化され得る。
【0077】
次元標識は、いくつかの実施形態において、所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合される全てのバーコード(例えば、確率バーコード)について同一であり得るが、異なる固体担体(例えば、ビーズ)について異なり得る。いくつかの実施形態において、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%が同じ次元標識を含み得る。いくつかの実施形態において、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも60%が同じ次元標識を含み得る。いくつかの実施形態において、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも95%が同じ次元標識を含み得る。
【0078】
複数の固体担体(例えば、ビーズ)には、106程度又はそれを超えるユニーク次元標識配列が存在し得る。次元標識は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。次元標識は、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200又は300ヌクレオチド長であり得る。次元標識は、約5~約200ヌクレオチドを含み得る。次元標識は、約10~約150ヌクレオチドを含み得る。次元標識は、約20~約125ヌクレオチド長を含み得る。
【0079】
空間標識
バーコードは、1つ以上の空間標識を含み得る。いくつかの実施形態において、空間標識は、バーコードに関連付けられる標的分子の空間配向に関する情報を提供する核酸配列を含み得る。空間標識は、サンプル中の座標に関連付けられ得る。座標は固定座標であり得る。例えば、座標は、基材を基準にして固定され得る。空間標識は、二次元又は三次元のグリッドを基準にし得る。座標は、ランドマークを基準にして固定され得る。ランドマークは、空間内で同定可能であり得る。ランドマークは、イメージング可能な構造であり得る。ランドマークは、生物学的構造体、例えば解剖学的ランドマークであり得る。ランドマークは、細胞ランドマーク、例えば細胞小器官であり得る。ランドマークは、色コード、バーコード、磁性、蛍光、放射能又はユニークなサイズ若しくは形状などの同定可能な識別子を有する構造体などの非天然ランドマークであり得る。空間標識は、物理的区画(例えば、ウェル、容器又はドロップレット)に関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、空間内の1つ以上の位置にコードを付けるために、複数の空間標識が一緒に使用される。
【0080】
空間標識は、所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合される全てのバーコードについて同一であり得るが、異なる固体担体(例えば、ビーズ)について異なり得る。いくつかの実施形態において、同じ空間標識を含む同じ固体担体上のバーコードのパーセンテージは、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、100%又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る。いくつかの実施形態において、同じ空間標識を含む同じ固体担体上のバーコードのパーセンテージは、少なくとも又は多くとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%若しくは100%であり得る。いくつかの実施形態において、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも60%が同じ空間標識を含み得る。いくつかの実施形態において、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも95%が同じ空間標識を含み得る。
【0081】
複数の固体担体(例えば、ビーズ)には、106程度又はそれを超えるユニーク空間標識配列が存在し得る。空間標識は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。空間標識は、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200若しくは300ヌクレオチド長であり得る。空間標識は、約5~約200ヌクレオチドを含み得る。空間標識は、約10~約150ヌクレオチドを含み得る。空間標識は、約20~約125ヌクレオチド長を含み得る。
【0082】
細胞標識
バーコード(例えば、確率バーコード)は、1つ以上の細胞標識を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞標識は、いずれの標的核酸がいずれの細胞に由来するかを決定するための情報を提供する核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞標識は、所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合される全てのバーコードについて同一であるが、異なる固体担体(例えば、ビーズ)について異なる。いくつかの実施形態において、同じ細胞標識を含む同じ固体担体上のバーコードのパーセンテージは、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、100%又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る。いくつかの実施形態において、同じ細胞標識を含む同じ固体担体上のバーコードのパーセンテージは、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%若しくは100%又はそのような値の近似値であり得る。例えば、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも60%が同じ細胞標識を含み得る。別の例として、同じ固体担体上のバーコードの少なくとも95%が同じ細胞標識を含み得る。
【0083】
複数の固体担体(例えば、ビーズ)には、106程度又はそれを超えるユニーク細胞標識配列が存在し得る。細胞標識は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。細胞標識は、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200若しくは300ヌクレオチド長であり得る。例えば、細胞標識は、約5~約200ヌクレオチドを含み得る。別の例として、細胞標識は、約10~約150ヌクレオチドを含み得る。さらに別の例として、細胞標識は、約20~約125ヌクレオチド長を含み得る。
【0084】
バーコード配列
バーコードは、1つ以上のバーコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、バーコード配列は、バーコードにハイブリダイズされた標的核酸種の特定のタイプを同定するための情報を提供する核酸配列を含み得る。バーコード配列は、バーコード(例えば、標的結合領域)にハイブリダイズされた標的核酸種の特定の存在に対するカウンターを提供する(例えば、概算を提供する)核酸配列を含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、バーコード配列の多様なセットが所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合される。いくつかの実施形態において、102、103
、104、105、106、107、108、109又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のユニーク分子標識配列が存在し得る。例えば、複数のバーコードは、固有の配列を有する約6561のバーコード配列を含み得る。別の例として、複数のバーコードは、固有の配列を有する約65536のバーコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、少なくとも又は多くとも102、103
、104、105、106、107、108又は109のユニークバーコード配列が存在し得る。ユニーク分子標識配列は、所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合され得る。いくつかの実施形態において、ユニーク分子標識配列は、粒子(例えば、ヒドロゲルビーズ)によって部分的に又は全体的に包含される。
【0086】
バーコードの長さは、異なる実装において異なり得る。例えば、バーコードは、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。別の例として、バーコードは、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200若しくは300ヌクレオチド長であり得る。
【0087】
分子標識
バーコード(例えば、確率バーコード)は、1つ以上の分子標識を含み得る。分子標識は、バーコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、分子標識は、バーコードにハイブリダイズされた標的核酸種の特定のタイプを同定するための情報を提供する核酸配列を含み得る。分子標識は、バーコード(例えば、標的結合領域)にハイブリダイズされた標的核酸種の特定の存在に対するカウンターを提供する核酸配列を含み得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、分子標識の多様なセットが所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合される。いくつかの実施形態において、102、103
、104、105、106、107、108、109又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のユニーク分子標識配列が存在し得る。例えば、複数のバーコードは、固有の配列を有する約6561の分子標識を含み得る。別の例として、複数のバーコードは、固有の配列を有する約65536の分子標識を含み得る。いくつかの実施形態において、少なくとも又は多くとも102、103
、104、105、106、107、108又は109のユニーク分子標識配列が存在し得る。ユニーク分子標識配列を有するバーコードは、所与の固体担体(例えば、ビーズ)に結合され得る。
【0089】
複数の確率バーコードを用いたバーコーディング(例えば、確率バーコーディング)では、異なる分子標識配列の数と、標的のいずれかの存在の数との比率は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る。標的は、同一又はほぼ同一の配列を有するmRNA分子を含むmRNA種であり得る。いくつかの実施形態において、異なる分子標識配列の数と、標的のいずれかの存在の数との比率は、少なくとも又は多くとも1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1若しくは100:1である。
【0090】
分子標識は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。分子標識は、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200若しくは300ヌクレオチド長であり得る。
【0091】
標的結合領域
バーコードは、捕捉プローブなどの1つ以上の標的結合領域を含み得る。いくつかの実施形態において、標的結合領域は、対象の標的とハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、標的結合領域は、標的(例えば、標的核酸、標的分子、例えば分析される細胞核酸)、例えば特定の遺伝子配列に特異的にハイブリダイズする核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、標的結合領域は、特定の標的核酸の特定の位置に結合(例えば、ハイブリダイズ)し得る核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、標的結合領域は、制限酵素部位オーバーハング(例えば、EcoRI付着末端オーバーハング)への特異的なハイブリダイゼーションが可能な核酸配列を含み得る。次に、バーコードは、制限部位オーバーハングに相補的な配列を含む任意の核酸分子にライゲートし得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、標的結合領域は、非特異的標的核酸配列を含み得る。非特異的標的核酸配列は、標的核酸の特定の配列に関係なく、複数の標的核酸に結合し得る配列を指し得る。例えば、標的結合領域は、ランダムマルチマー配列又はmRNA分子のポリ(A)テールにハイブリダイズするオリゴ(dT)配列を含み得る。ランダムマルチマー配列は、例えば、ランダムダイマー、トリマー、クアトラマー、ペンタマー、ヘキサマー、セプタマー、オクタマー、ノナマー、デカマー又は任意の長さのより高次のマルチマー配列であり得る。いくつかの実施形態において、標的結合領域は、所与のビーズに結合された全てのバーコードについて同じである。いくつかの実施形態において、所与のビーズに結合された複数のバーコードの標的結合領域は、2つ以上の異なる標的結合配列を含み得る。標的結合領域は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。標的結合領域は、多くとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド長又はそれを超え得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、標的結合領域は、ポリアデニル化末端を含むmRNAとハイブリダイズし得るオリゴ(dT)を含み得る。標的結合領域は、遺伝子特異的であり得る。例えば、標的結合領域は、標的の特定の領域にハイブリダイズするように構成され得る。いくつかの実施形態において、標的結合領域は、オリゴ(dT)を含まない。標的結合領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。標的結合領域は、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30ヌクレオチド長であり得る。標的結合領域は、約5~30ヌクレオチド長であり得る。バーコードが遺伝子特異的標的結合領域を含む場合、このバーコードは、本明細書において遺伝子特異的バーコードと呼ばれ得る。
【0094】
配向性
確率バーコード(例えば、確率バーコード)は、バーコードを配向(例えば、アラインメント)するのに使用され得る1つ以上の配向性を含み得る。バーコードは、等電点電気泳動用の部分を含み得る。異なるバーコードは、異なる等電点電気泳動点を含み得る。これらのバーコードがサンプルに導入される場合、サンプルは、バーコードを既知の形態に配向するために等電点電気泳動を行い得る。このように、配向性は、サンプルにおいてバーコードの既知のマップを作成するのに使用され得る。例示的な配向性としては、電気泳動移動度(例えば、バーコードのサイズに基づく)、等電点、スピン、伝導率及び/又はセルフアセンブリが挙げられる。例えば、セルフアセンブリの配向性を有するバーコードは、活性化時に特定の配向に自己集合し得る(例えば、核酸ナノ構造)。
【0095】
親和性
バーコード(例えば、確率バーコード)は、1つ以上の親和性を含み得る。例えば、空間標識は、親和性を含み得る。親和性は、別のエンティティ(例えば、細胞受容体)へのバーコードの結合を促進し得る化学的及び/又は生物学的部分を含み得る。例えば、親和性は、抗体、例えばサンプル上の特定の部分(例えば、受容体)に特異的な抗体を含み得る。いくつかの実施形態において、抗体は、バーコードを特定の細胞型又は分子に誘導し得る。特定の細胞型若しくは分子及び/又はその近傍にある標的が標識化され得る(例えば、確率標識化される)。抗体はバーコードを特定の位置に誘導することができるため、親和性は、いくつかの実施形態において、空間標識のヌクレオチド配列に加えて、空間情報を提供することができる。抗体は、治療用抗体、例えばモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。抗体は、ヒト化されているか又はキメラであり得る。抗体は、ネイキッド抗体又は融合抗体であり得る。
【0096】
抗体は、全長(すなわち天然であるか若しくは通常の免疫グロブリン遺伝子フラグメント組み換えプロセスによって形成される)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)又は抗体フラグメントのような、免疫グロブリン分子の免疫活性(すなわち特異的結合)部分であり得る。
【0097】
抗体フラグメントは、例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFvなどの抗体の一部であり得る。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは、全長抗体によって認識される同じ抗原に結合し得る。抗体フラグメントは、抗体の可変領域からなる単離されたフラグメント、例えば重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント並びに軽鎖及び重鎖の可変領域がペプチドリンカーによって接続された組み換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)を含み得る。例示的な抗体としては、限定はされないが、癌細胞に対する抗体、ウイルスに対する抗体、細胞表面受容体(CD8、CD34、CD45)に結合する抗体及び治療用抗体が挙げられ得る。
【0098】
ユニバーサルアダプタープライマー
バーコードは、1つ以上のユニバーサルアダプタープライマーを含み得る。例えば、遺伝子特異的確率バーコードなどの遺伝子特異的バーコードは、ユニバーサルアダプタープライマーを含み得る。ユニバーサルアダプタープライマーは、全てのバーコードに対してユニバーサルであるヌクレオチド配列を指し得る。ユニバーサルアダプタープライマーは、遺伝子特異的バーコードを構築するのに使用され得る。ユニバーサルアダプタープライマーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はこれらのヌクレオチド長のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値のヌクレオチド長であり得る。ユニバーサルアダプタープライマーは、少なくとも又は多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30ヌクレオチド長であり得る。ユニバーサルアダプタープライマーは、5~30ヌクレオチド長であり得る。
【0099】
リンカー
バーコードが2つ以上のタイプの標識(例えば、2つ以上の細胞標識又は2つ以上のバーコード配列、例えば1つの分子標識)を含む場合、標識には、リンカー標識配列が組み入れられ得る。リンカー標識配列は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるヌクレオチド長であり得る。リンカー標識配列は、多くとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるヌクレオチド長であり得る。ある場合には、リンカー標識配列は、12ヌクレオチド長である。リンカー標識配列は、バーコードの合成を促進するのに使用され得る。リンカー標識は、エラー訂正(例えば、ハミング)コードを含み得る。
【0100】
固体担体
本明細書に開示される確率バーコードなどのバーコードは、いくつかの実施形態において、固体担体と結合され得る。固体担体は、例えば、合成粒子であり得る。いくつかの実施形態において、固体担体上の複数のバーコード(例えば、第1の複数のバーコード)の確率バーコードの分子標識などのバーコード配列(例えば、第1のバーコード配列)の一部又は全てが少なくとも1ヌクレオチド異なる。同じ固体担体上のバーコードの細胞標識は、同じであり得る。異なる固体担体上のバーコードの細胞標識は、少なくとも1ヌクレオチド異なり得る。例えば、第1の固体担体上の第1の複数のバーコードの第1の細胞標識は、同じ配列を有し得、第2の固体担体上の第2の複数のバーコードの第2の細胞標識は、同じ配列を有し得る。第1の固体担体上の第1の複数のバーコードの第1の細胞標識及び第2の固体担体上の第2の複数のバーコードの第2の細胞標識は、少なくとも1ヌクレオチド異なり得る。細胞標識は、例えば、約5~20ヌクレオチド長であり得る。バーコード配列は、例えば、約5~20ヌクレオチド長であり得る。合成粒子は、例えば、ビーズであり得る。
【0101】
ビーズは、例えば、シリカゲルビーズ、制御細孔ガラスビーズ、磁気ビーズ、Dynabead、セファデックス/セファロースビーズ、セルロースビーズ、ポリスチレンビーズ又はそれらの任意の組合せであり得る。ビーズは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスチレン、ガラス、ポリプロピレン、アガロース、ゼラチン、ヒドロゲル、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、セルロース、ナイロン、シリコーン又はそれらの任意の組合せなどの材料を含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、ビーズは、ポリマービーズ、例えば変形性ビーズ又はゲルビーズであり得、これらは、バーコード又は確率バーコードで官能化されている(10X Genomics(San Francisco,CA)製のゲルビーズなど)。いくつかの実装において、ゲルビーズは、ポリマーベースのゲルを含み得る。ゲルビーズは、例えば、1つ以上のポリマー前駆体をドロップレット中に封入することによって作製され得る。促進剤(例えば、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED))にポリマー前駆体を曝露すると、ゲルビーズが作製され得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、粒子は、崩壊性(例えば、溶解性又は分解性)であり得る。例えば、ポリマービーズは、例えば、所望の条件下で、溶解、溶融又は分解し得る。所望の条件は、環境条件を含み得る。所望の条件は、制御された様式で、ポリマービーズの溶解、溶融又は分解をもたらし得る。ゲルビーズは、化学的刺激、物理的刺激、生物学的刺激、熱刺激、磁気刺激、電気刺激、光刺激又はそれらの任意の組合せにより、溶解、溶融又は分解し得る。
【0104】
例えば、オリゴヌクレオチドバーコードなどの被検物質及び/又は試薬は、ゲルビーズの内側表面(例えば、オリゴヌクレオチドバーコード及び/又はオリゴヌクレオチドバーコードを作製するのに使用される材料の拡散によってアクセス可能な内部)及び/又はゲルビーズの外側表面又は本明細書に記載される任意の他のマイクロカプセルにカップリング/固定され得る。カップリング/固定は、化学結合(例えば、共有結合、イオン結合)又は物理的現象(例えば、ファン・デル・ワールス力、双極子間相互作用など)の任意の形態を介するものであり得る。いくつかの実施形態において、ゲルビーズ又は本明細書に記載される任意の他のマイクロカプセルに対する試薬のカップリング/固定は、例えば、不安定部分(例えば、本明細書に記載される化学架橋剤を含む化学架橋剤)を介するなど、可逆性であり得る。刺激を適用すると、不安定部分は、切断されて、固定された試薬が遊離され得る。いくつかの実施形態において、不安定部分はジスルフィド結合である。例えば、オリゴヌクレオチドバーコードがジスルフィド結合を介してゲルビーズに固定される場合、還元剤へのジスルフィド結合の曝露により、ジスルフィド結合が切断され、オリゴヌクレオチドバーコードがビーズから遊離され得る。不安定部分は、ゲルビーズ若しくはマイクロカプセルの一部として、試薬若しくは被検物質をゲルビーズ若しくはマイクロカプセルに連結する化学リンカーの一部として且つ/又は試薬若しくは被検物質の一部として含まれ得る。いくつかの実施形態において、複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子上に固定されるか、粒子上に部分的に固定されるか、粒子に封入されるか、粒子に部分的に封入されるか又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、ゲルビーズは、限定はされないが、ポリマー、熱感受性ポリマー、感光性ポリマー、磁気ポリマー、pH感受性ポリマー、塩感受性ポリマー、化学的感受性ポリマー、高分子電解質、多糖類、ペプチド、タンパク質及び/又はプラスチックを含む様々な異なるポリマーを含み得る。ポリマーとしては、限定はされないが、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、ポリ(スルホン酸スチレン)(PSS)、ポリ(アリルアミン)(PAAm)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(ジアリルジメチル-塩化アンモニウム)(PDADMAC)、ポリ(ピロール)(PPy)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVPON)、ポリ(ビニルピリジン)(PVP)、ポリ(メタクリル酸)(PMAA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)、ポリ(フタルアルデヒド)(PTHF)、ポリ(ヘキシルビオロゲン)(PHV)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)(PARG)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)などの材料が挙げられ得る。
【0106】
多くの化学的刺激がビーズの破壊、溶解又は分解を引き起こすのに使用される。これらの化学的変化の例としては、限定はされないが、ビーズ壁に対するpH媒介による変化、架橋結合の化学的切断を介したビーズ壁の崩壊、ビーズ壁の解重合のトリガー及びビーズ壁スイッチング反応が挙げられ得る。また、バルク変化は、ビーズの破壊をトリガーするのに使用され得る。
【0107】
様々な刺激を介したマイクロカプセルに対するバルク又は物理的変化も、試薬を放出するようにカプセルを設計する上で多くの利点を提供する。バルク又は物理的変化は、巨視的規模で起こり、その際、ビーズ破断は、刺激によって誘導される機械物理的力の結果である。これらのプロセスとしては、限定はされないが、圧力誘導破断、ビーズ壁溶融又はビーズ壁の多孔性変化が挙げられ得る。
【0108】
生物学的刺激も、ビーズの破壊、溶解又は分解をトリガーするのに使用され得る。一般に、生物学的トリガーは、化学的トリガーと類似しているが、多くの例では、生体分子又は酵素、ペプチド、糖類、脂肪酸、核酸などの生物系に一般的に存在する分子が使用される。例えば、ビーズは、特定のプロテアーゼによる切断に感受性のペプチド架橋を有するポリマーを含み得る。より具体的には、一例は、GFLGKペプチド架橋を含むマイクロカプセルを含み得る。プロテアーゼカテプシンBなどの生物学的トリガーを加えると、シェルウェルのペプチド架橋が切断され、ビーズの内容物が放出される。他の場合、プロテアーゼは、熱活性化され得る。別の例において、ビーズは、セルロースを含むシェル壁を含む。加水分解性酵素キトサンの添加は、セルロース結合の切断、シェル壁の解重合及びその内部内容物の放出のための生物学的トリガーとして役立つ。
【0109】
ビーズは、熱刺激の適用時にその内容物を放出するようにも誘導され得る。温度の変化は、ビーズに様々な変化を引き起こし得る。熱の変化は、ビーズ壁が崩壊するように、ビーズの溶融を引き起こし得る。他の場合、熱は、ビーズが破断又は破裂するように、ビーズの内部成分の内圧を高め得る。さらに他の場合、熱は、ビーズを収縮した脱水状態に変形させ得る。熱は、ビーズの壁内の熱感受性ポリマーにも作用して、ビーズの破壊を引き起こし得る。
【0110】
マイクロカプセルのビーズ壁に磁気ナノ粒子を含めると、ビーズの破断のトリガー並びに多くのビーズの誘導を可能にし得る。本開示のデバイスは、いずれの目的で電磁ビーズを含み得る。一例において、高分子電解質含有ビーズ中にFe3O4ナノ粒子に組み込むと、振動磁界刺激の存在下で破断がトリガーされる。
【0111】
ビーズはまた、電気刺激の結果として破壊、溶解又は分解され得る。前の項に記載される磁気粒子と同様に、電気感受性ビーズも、ビーズの破断のトリガー並びに電界下でのアラインメント、導電性又はレドックス反応などの他の機能を可能にし得る。一例において、電気感受性材料を含有するビーズは、内部試薬の放出を制御することができるように、電界下でアラインメントされる。他の例において、電界は、ビーズ壁自体の内部でレドックス反応を誘導することができ、それにより、多孔性を増加させ得る。
【0112】
光刺激も、ビーズを破壊するのに使用され得る。多数の光トリガーが可能であり、特定の範囲の波長の光子を吸収することができるナノ粒子及び発色団などの様々な分子を使用するシステムが挙げられる。例えば、金属酸化物コーティングがカプセルトリガーとして使用され得る。SiO2で被覆された高分子電解質カプセルのUV照射は、ビーズ壁の崩壊をもたらし得る。さらに別の例において、アゾベンゼン基などのフォトスイッチ材料がビーズ壁に組み込まれ得る。UV又は可視光を適用すると、これらなどの化学物質は、光子の吸収時に、可逆的シス-トランス異性化を起こす。この態様において、光子スイッチの組み込みにより、光トリガーの適用時、ビーズ壁が崩壊するか又はより多孔性になり得る。
【0113】
例えば、
図2に示されるバーコーディング(例えば、確率バーコーディング)の非限定的な例において、ブロック208でマイクロウェルアレイの複数のマイクロウェルに、単一細胞などの細胞を導入した後、ビーズは、ブロック212でマイクロウェルアレイの複数のマイクロウェルに導入され得る。各マイクロウェルは、1つのビーズを含み得る。ビーズは、複数のバーコードを含み得る。バーコードは、ビーズに結合された5’アミン領域を含み得る。バーコードは、ユニバーサル標識、バーコード配列(例えば、分子標識)、標的結合領域又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0114】
本明細書に開示されるバーコードは、固体担体(例えば、ビーズ)に関連付けられ得る(例えば、結合され得る)。固体担体と結合されたバーコードは、それぞれユニーク配列を有する少なくとも100又は1000のバーコード配列を含む群から選択されるバーコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、固体担体と結合された異なるバーコードは、異なる配列を有するバーコードを含み得る。いくつかの実施形態において、固体担体と結合された、あるパーセンテージのバーコードが同じ細胞標識を含む。例えば、パーセンテージは、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、100%又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る。別の例として、パーセンテージは、少なくとも又は多くとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%若しくは100%であり得る。いくつかの実施形態において、固体担体と結合されたバーコードは、同じ細胞標識を有し得る。異なる固体担体と結合されたバーコードは、ユニーク配列を有する少なくとも100又は1000の細胞標識を含む群から選択される異なる細胞標識を有し得る。
【0115】
本明細書に開示されるバーコードは、固体担体(例えば、ビーズ)に関連付けられ得る(例えば、結合され得る)。いくつかの実施形態において、サンプル中の複数の標的にバーコードを付ける工程は、複数のバーコードに関連付けられた複数の合成粒子を含む固体担体を用いて行われ得る。いくつかの実施形態において、固体担体は、複数のバーコードに関連付けられ複数の合成粒子を含み得る。異なる固体担体上の複数のバーコードの空間標識は、少なくとも1ヌクレオチド異なり得る。固体担体は、例えば、二次元又は三次元の複数のバーコードを含み得る。合成粒子は、ビーズであり得る。ビーズは、シリカゲルビーズ、制御細孔ガラスビーズ、電磁ビーズ、Dynabeads、セファデックス/セファロースビーズ、セルロースビーズ、ポリスチレンビーズ又はそれらの任意の組合せであり得る。固体担体は、ポリマー、マトリックス、ヒドロゲル、ニードルアレイデバイス、抗体又はそれらの任意の組合せを含み得る。いくつかの実施形態において、固体担体は、浮動性であり得る。いくつかの実施形態において、固体担体は、半固体又は固体アレイに埋め込まれ得る。バーコードは、固体担体と結合されていなくてもよい。バーコードは、個別のヌクレオチドであり得る。バーコードは、基材と結合され得る。いくつかの実施形態において、バーコードは、区画、例えばマイクロドロップレットなどのドロップレット又はマイクロウェルなどの基材のウェル(例えば、マルチウェルプレート上)又はチャンバ(例えば、流体デバイス中)において単一細胞と結合され得る。ドロップレットの例としては、ヒドロゲルドロップレットが挙げられ得る。区画中のバーコードは、固体担体上に固定され得るか又はそれらは溶液中で遊離し得る。
【0116】
本明細書において使用される際、「テザー連結される」、「結合される」及び「固定される」という用語は、同義的に使用され、バーコードを固体担体に結合するための共有結合又は非共有結合の手段を指し得る。様々な異なる固体担体のいずれも、予め合成されたバーコードを結合するか又はバーコードのインサイチュ固相合成のための固体担体として使用され得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、固体担体はビーズである。ビーズは、核酸が(例えば、共有結合又は非共有結合で)固定され得る、固体、多孔性若しくは中空のスフェア、ボール、ベアリング、シリンダー又は他の類似の構成の1つ以上のタイプを含み得る。ビーズは、例えば、プラスチック、セラミック、金属、ポリマー材料又はそれらの任意の組合せから構成され得る。ビーズは、球状(例えば、マイクロスフェア)であるか又は非球状若しくは不規則形状、例えば立方体形、直方体形、角錐形、円柱形、円錐形、楕円形又はディスク形などを有する離散粒子であるか又はそれを含み得る。いくつかの実施形態において、ビーズは、非球状の形状であり得る。
【0118】
ビーズは、限定はされないが、常磁性材料(例えば、マグネシウム、モリブデン、リチウム及びタンタル)、超常磁性材料(例えば、フェライト(Fe3O4;マグネタイト)ナノ粒子)、強磁性材料(例えば、鉄、ニッケル、コバルト、それらのいくつかの合金及びいくつかの希土類金属化合物)、セラミック、プラスチック、ガラス、ポリスチレン、シリカ、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、アガロース、ヒドロゲル、ポリマー、セルロース、ナイロン又はそれらの任意の組合せを含む様々な材料を含み得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、ビーズ(例えば、標識が結合されたビーズ)は、ヒドロゲルビーズである。いくつかの実施形態において、ビーズは、ヒドロゲルを含む。
【0120】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、1つ以上の粒子(例えば、ビーズ)を含む。粒子のそれぞれは、複数のオリゴヌクレオチド(例えば、バーコード)を含み得る。複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、バーコード配列(例えば、分子標識配列)、細胞標識及び標的結合領域(例えば、オリゴ(dT)配列、遺伝子特異的配列、ランダムマルチマー又はそれらの組合せ)を含み得る。複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれの細胞標識配列は、同じであり得る。異なる粒子上のオリゴヌクレオチドの細胞標識配列は、異なる粒子上のオリゴヌクレオチドを同定することができるように、異なり得る。異なる細胞標識配列の数は、異なる実装において異なり得る。いくつかの実施形態において、細胞標識配列の数は、10、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、106、107、108、109、これらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲又はそれを超えるか或いはそのような値の近似値であり得る。いくつかの実施形態において、細胞標識配列の数は、少なくとも又は多くとも10、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、106、107、108若しくは109であり得る。いくつかの実施形態において、複数の粒子の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000以下又はそれを超えるものは、同じ細胞配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、同じ細胞配列を有するオリゴヌクレオチドを含む複数の粒子は、多くとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、複数の粒子のいずれも、同じ細胞標識配列を含まない。
【0121】
各粒子上の複数のオリゴヌクレオチドは、異なるバーコード配列(例えば、分子標識)を含み得る。いくつかの実施形態において、バーコード配列の数は、10、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、106、107、108、109又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る。いくつかの実施形態において、バーコード配列の数は、少なくとも又は多くとも10、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、106、107、108若しくは109であり得る。例えば、複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも100は、異なるバーコード配列を含む。別の例として、単一の粒子において、複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも100、500、1000、5000、10000、15000、20000、50000、これらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲又はそれを超えるものが異なるバーコード配列を含む。いくつかの実施形態は、バーコードを含む複数の粒子を提供する。いくつかの実施形態において、標識される標的の存在(又はコピー若しくは数)と、異なるバーコード配列との比率は、少なくとも1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、サンプル標識、ユニバーサル標識又はその両方をさらに含む。粒子は、例えば、ナノ粒子又は微小粒子であり得る。
【0122】
ビーズのサイズは、変動し得る。例えば、ビーズの直径は、0.1マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、ビーズの直径は、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50マイクロメートル又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値であり得る。
【0123】
ビーズの直径は、基材のウェルの直径に関連し得る。いくつかの実施形態において、ビーズの直径は、ウェルの直径より、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値だけ長いか又は若しくは短い長さであり得る。ビーズの直径は、細胞(例えば、基材のウェルに閉じ込められた単一細胞)の直径に関連し得る。いくつかの実施形態において、ビーズの直径は、ウェルの直径より、少なくとも又は多くとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%若しくは100%長いか又は短い長さであり得る。ビーズの直径は、細胞(例えば、基材のウェルに閉じ込められた単一細胞)の直径に関連し得る。いくつかの実施形態において、ビーズの直径は、細胞の直径より、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲或いはそのような値の近似値だけ長いか又は若しくは短い長さであり得る。いくつかの実施形態において、ビーズの直径は、細胞の直径より、少なくとも又は多くとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%若しくは300%長いか又は短い長さであり得る。
【0124】
ビーズは、基材に結合されるか及び/又は埋め込まれ得る。ビーズは、ゲル、ヒドロゲル、ポリマー及び/又はマトリックスに結合されるか及び/又は埋め込まれ得る。基材(例えば、ゲル、マトリックス、骨格又はポリマー)内のビーズの空間位置は、位置アドレスとして機能し得るビーズ上のバーコードに存在する空間標識を用いて同定され得る。
【0125】
ビーズの例としては、限定はされないが、ストレプトアビジンビーズ、アガロースビーズ、電磁ビーズ、Dynabeads(登録商標)、MACS(登録商標)マイクロビーズ、抗体コンジュゲートビーズ(例えば、抗免疫グロブリンマイクロビーズ)、プロテインAコンジュゲートビーズ、プロテインGコンジュゲートビーズ、プロテインA/Gコンジュゲートビーズ、プロテインLコンジュゲートビーズ、オリゴ(dT)コンジュゲートビーズ、シリカビーズ、シリカ様ビーズ、抗ビオチンマイクロビーズ、抗蛍光色素マイクロビーズ及びBcMag(商標)カルボキシル末端電磁ビーズが挙げられ得る。
【0126】
ビーズは、1つの蛍光光学チャネル又は複数の光学チャネルで蛍光を発するように量子ドット又は蛍光色素に関連付けられ得る(例えば、それらに含侵され得る)。ビーズは、常磁性又は強磁性にするために、酸化鉄又は酸化クロムに関連付けられ得る。ビーズは、同定可能であり得る。例えば、ビーズは、カメラを用いてイメージングされ得る。ビーズは、ビーズに関連付けられた検出可能なコードを有し得る。例えば、ビーズは、バーコードを含み得る。ビーズは、例えば、有機又は無機溶液中での膨潤に起因してサイズ変化し得る。ビーズは、疎水性であり得る。ビーズは、親水性であり得る。ビーズは、生体適合性であり得る。
【0127】
固体担体(例えば、ビーズ)は可視化され得る。固体担体は、可視化タグ(例えば、蛍光色素)を含み得る。固体担体(例えば、ビーズ)は、識別子(例えば、数)でエッチングされ得る。識別子は、ビーズをイメージングすることによって可視化され得る。
【0128】
固体担体は、不溶性、半溶解性又は不溶性材料を含み得る。固体担体は、それに結合されたリンカー、骨格、構成単位又は他の反応性部分を含む場合、「官能化された」と示され得る一方、固体担体は、それに結合されたこのような反応性部分を含まない場合、「非官能化」であり得る。固体担体は、マイクロタイターウェル形式;カラム中などでの流水式;又はディップスティック式(dipstick)などで、溶液中で遊離させた状態で用いられ得る。
【0129】
固体担体は、膜、紙、プラスチック、被覆表面、平坦な表面、ガラス、スライド、チップ又はそれらの任意の組合せを含み得る。固体担体は、樹脂、ゲル、ミクロスフェア又は他の幾何学形状の形態を取り得る。固体担体は、シリカチップ、微粒子、ナノ粒子、プレート、アレイ、毛細管、平坦な担体、例えばガラス繊維フィルタ、ガラス表面、金属表面(鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素及び銅)、ガラス担体、プラスチック担体、ケイ素担体、チップ、フィルタ、膜、マイクロウェルプレート、スライド、プラスチック材料(マルチウェルプレート又は膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ二フッ化ビニリデンで形成される)を含む)及び/又はウエハー、コーム、ピン又はニードル(例えば、コンビナトリアル合成若しくは分析に好適なピンのアレイ)又はウエハー(例えば、シリコンウエハー)、フィルタ底部を有するか若しくは有さない窪みを備えたウエハーなどの平坦な表面の一連の窪み若しくはナノリットルウェル中のビーズを含み得る。
【0130】
固体担体は、ポリマーマトリックス(例えば、ゲル、ヒドロゲル)を含み得る。ポリマーマトリックスは、細胞内空間(例えば、細胞小器官の周り)を透過することが可能であり得る。ポリマーマトリックスは、循環系全体にわたって送られることも可能であり得る。
【0131】
基材及びマイクロウェルアレイ
本明細書において使用される際、基材は、あるタイプの固体担体を指し得る。基材は、本開示のバーコード又は確率バーコードを含み得る固体担体を指し得る。基材は、例えば、複数のマイクロウェルを含み得る。例えば、基材は、2つ以上のマイクロウェルを含むウェルアレイであり得る。いくつかの実施形態において、マイクロウェルは、規定の体積の小さい反応チャンバを含み得る。いくつかの実施形態において、マイクロウェルは、1つ以上の細胞を閉じ込めることができる。いくつかの実施形態において、マイクロウェルは、1つの細胞のみを閉じ込めることができる。いくつかの実施形態において、マイクロウェルは、1つ以上の固体担体を閉じ込めることができる。いくつかの実施形態において、マイクロウェルは、1つの固体担体のみを閉じ込めることができる。いくつかの実施形態において、マイクロウェルは、単一細胞及び単一固体担体(例えば、ビーズ)を閉じ込める。マイクロウェルは、本開示のバーコード試薬を含み得る。
【0132】
バーコーディングの方法
本開示は、身体サンプル(例えば、組織、器官、腫瘍、細胞)の固有の位置における固有の標的の数を推定するための方法を提供する。本方法は、サンプルと近接させてバーコード(例えば、確率バーコード)を配置する工程、サンプルを溶解させる工程、固有の標的を、バーコードに関連付ける工程、標的を増幅する工程及び/又は標的をディジタルカウントする工程を含み得る。本方法は、バーコードの空間標識から得られた情報を分析する工程及び/又は視覚化する工程をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、サンプル中の複数の標的を視覚化する工程を含む。サンプルのマップに複数の標的をマッピングする工程は、サンプルの二次元マップ又は三次元マップを作製する工程を含み得る。二次元マップ及び三次元マップは、サンプル中の複数の標的にバーコードを付ける(例えば、確率バーコードを付ける)前又は後に作製され得る。サンプル中の複数の標的を視覚化する工程は、サンプルのマップに複数の標的をマッピングする工程を含み得る。サンプルのマップに複数の標的をマッピングする工程は、サンプルの二次元マップ又は三次元マップを作製する工程を含み得る。二次元マップ及び三次元マップは、サンプル中の複数の標的にバーコードを付ける前又は後に作製され得る。いくつかの実施形態において、二次元マップ及び三次元マップは、サンプルを溶解させる前又は後に作製され得る。二次元マップ又は三次元マップを作製する前又は後にサンプルを溶解させる工程は、サンプルを加熱する工程、サンプルを洗浄剤と接触させる工程、サンプルのpHを変化させる工程又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、複数の標的にバーコードを付ける工程は、複数のバーコードを複数の標的とハイブリダイズさせて、バーコード付き標的(例えば、確率バーコード付き標的)を生成する工程を含む。複数の標的にバーコードを付ける工程は、バーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーを作製する工程を含み得る。バーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーを作製する工程は、複数のバーコード(例えば、確率バーコード)を含む固体担体を用いて行われ得る。
【0134】
サンプル及びバーコードの接触
本開示は、サンプル(例えば、細胞)を、本開示の基材と接触させるための方法を提供する。例えば、細胞、器官又は組織薄片を含むサンプルは、バーコード(例えば、確率バーコード)と接触され得る。細胞は、例えば、重力流によって接触され得、その場合、細胞は沈殿して単層を形成し得る。サンプルは、組織薄片であり得る。薄片は、基材上に配置され得る。サンプルは、一次元(例えば、平面表面を形成する)。サンプル(例えば、細胞)は、例えば、基材上に細胞を増殖させる/培養することによって基材全体に広げることができる。
【0135】
バーコードが標的と近接している場合、標的は、バーコードにハイブリダイズし得る。バーコードは、各固有の標的が本開示の固有のバーコードと結合し得るように、非枯渇的比率で接触され得る。標的とバーコードとの効率的な結合を確実にするために、標的は、バーコードに架橋され得る。
【0136】
細胞溶解
細胞及びバーコードの分配後、細胞は、標的分子を遊離するように溶解され得る。細胞溶解は、様々な手段のいずれかにより、例えば化学的若しくは生化学的手段、浸透圧ショック又は熱溶解、機械溶解若しくは光学溶解により達成され得る。細胞は、洗浄剤(例えば、SDS、ドデシル硫酸Li、Triton X-100、Tween-20若しくはNP-40)、有機溶媒(例えば、メタノール若しくはアセトン)又は消化酵素(例えば、プロテイナーゼK、ペプシン若しくはトリプシン)或いはそれらの任意の組合せを含む細胞溶解緩衝液の添加によって溶解され得る。標的及びバーコードの関連付けを向上させるために、標的分子の拡散速度は、例えば、温度の低下及び/又は溶解物の粘度の増加によって変化され得る。
【0137】
いくつかの実施形態において、サンプルは、ろ紙を用いて溶解され得る。ろ紙は、ろ紙の上を溶解緩衝液で浸漬可能である。ろ紙は、サンプルの溶解及び基材へのサンプルの標的のハイブリダイゼーションを促進し得る圧力でサンプルに適用され得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、機械溶解、熱溶解、光学溶解及び/又は化学溶解によって行われ得る。化学溶解は、プロテイナーゼK、ペプシン及びトリプシンなどの消化酵素の使用を含み得る。溶解は、基材への溶解緩衝液の添加によって行われ得る。溶解緩衝液は、トリスHClを含み得る。溶解緩衝液は、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.5若しくは1M又はそれを超えるトリスHClを含み得る。溶解緩衝液は、多くとも約0.01、0.05、0.1、0.5若しくは1M又はそれを超えるトリスHCLを含み得る。溶解緩衝液は、約0.1MのトリスHClを含み得る。溶解緩衝液のpHは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超え得る。溶解緩衝液のpHは、多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液のpHは、約7.5である。溶解緩衝液は、塩(例えば、LiCl)を含み得る。溶解緩衝液中の塩の濃度は、少なくとも約0.1、0.5若しくは1M又はそれを超え得る。溶解緩衝液中の塩の濃度は、多くとも約0.1、0.5若しくは1M又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液中の塩の濃度は、約0.5Mである。溶解緩衝液は、洗浄剤(例えば、SDS、ドデシル硫酸Li、triton X、tween、NP-40)を含み得る。溶解緩衝液中の洗浄剤の濃度は、少なくとも約0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%若しくは7%又はそれを超え得る。溶解緩衝液中の洗浄剤の濃度は、多くとも約0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%若しくは7%又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液中の洗浄剤の濃度は、約1%のドデシル硫酸Liである。溶解のための方法に使用される時間は、使用される洗浄剤の量に依存性し得る。いくつかの実施形態において、使用される洗浄剤が多くなるほど、溶解に必要な時間は短くなる。溶解緩衝液は、キレート剤(例えば、EDTA、EGTA)を含み得る。溶解緩衝液中のキレート剤の濃度は、少なくとも約1、5、10、15、20、25若しくは30mM又はそれを超え得る。溶解緩衝液中のキレート剤の濃度は、多くとも約1、5、10、15、20、25若しくは30mM又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液中のキレート剤の濃度は、約10mMである。溶解緩衝液は、還元試薬(例えば、β-メルカプトエタノール、DTT)を含み得る。溶解緩衝液中の還元試薬の濃度は、少なくとも約1、5、10、15若しくは20mM又はそれを超え得る。溶解緩衝液中の還元試薬の濃度は、多くとも約1、5、10、15若しくは20mM又はそれを超え得る。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液中の還元試薬の濃度は、約5mMである。いくつかの実施形態において、溶解緩衝液は、約0.1MのトリスHCl、約pH7.5、約0.5MのLiCl、約1%のドデシル硫酸リチウム、約10mMのEDTA及び約5mMのDTTを含み得る。
【0139】
溶解は、約4、10、15、20、25又は30℃の温度で行われ得る。溶解は、約1、5、10、15若しくは20分間又はそれを超えて行われ得る。溶解細胞は、少なくとも約100000、200000、300000、400000、500000、600000若しくは700000又はそれを超える標的核酸分子を含み得る。溶解細胞は、多くとも約100000、200000、300000、400000、500000、600000若しくは700000又はそれを超える標的核酸分子を含み得る。
【0140】
標的核酸分子へのバーコードの結合
細胞の溶解及びそれからの核酸分子の放出後、核酸分子は、共局在化された固体担体のバーコードにランダムに関連付けられ得る。関連付けは、標的核酸分子の相補的部分へのバーコードの標的認識領域のハイブリダイゼーションを含み得る(例えば、バーコードのオリゴ(dT)は、標的のポリ(A)テールと相互作用し得る)。ハイブリダイゼーションに使用されるアッセイ条件(例えば、緩衝液pH、イオン強度、温度など)は、特定の安定なハイブリッドの形成を促進するように選択され得る。いくつかの実施形態において、溶解した細胞から放出された核酸分子は、基材上の複数のプローブに関連付けする(例えば、基材上のプローブとハイブリダイズする)ことができる。プローブがオリゴ(dT)を含む場合、mRNA分子は、プローブにハイブリダイズして、逆転写され得る。オリゴヌクレオチドのオリゴ(dT)部分は、cDNA分子の第1鎖合成のためのプライマーとして作用し得る。例えば、
図2、ブロック216に示されるバーコーディングの非限定的な例において、mRNA分子は、ビーズ上のバーコードにハイブリダイズし得る。例えば、一本鎖ヌクレオチドフラグメントは、バーコードの標的結合領域にハイブリダイズし得る。
【0141】
結合は、バーコードの標的認識領域及び標的核酸分子の一部のライゲーションをさらに含み得る。例えば、標的結合領域は、制限部位オーバーハング(例えば、EcoRI付着末端オーバーハング)への特異的ハイブリダイゼーションが可能であり得る核酸配列を含み得る。アッセイ手順は、標的核酸を制限酵素(例えば、EcoRI)で処理して、制限部位オーバーハングを生成する工程をさらに含み得る。次に、バーコードは、制限部位オーバーハングに相補的な配列を含む任意の核酸分子にライゲートされ得る。リガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼ)は、2つのフラグメントを連結するために使用され得る。
【0142】
例えば、
図2、ブロック220に示されるバーコーディングの非限定的な例において、複数の細胞(又は複数のサンプル)からの標識標的(例えば、標的-バーコード分子)は、続いて、例えばチューブ中にプールされ得る。標識標的は、例えば、バーコード及び/又は標的-バーコード分子が結合されるビーズを回収することによってプールされ得る。
【0143】
結合された標的-バーコード分子の固体担体ベースのコレクションの回収は、電磁ビーズ及び外部印加磁界の使用によって実現され得る。標的-バーコード分子がプールされた後、全てのさらなる処理が単一反応容器中で進行させることができる。さらなる処理は、例えば、逆転写反応、増幅反応、切断反応、解離反応及び/又は核酸伸長反応を含み得る。さらなる処理反応は、マイクロウェル内において、すなわち複数の細胞からの標識標的核酸分子を最初にプールせずに行われ得る。
【0144】
逆転写
本開示は、(例えば、
図2のブロック224で)逆転写を用いて、標的-バーコードコンジュゲートを生成するための方法を提供する。標的-バーコードコンジュゲートは、バーコードと、標的核酸の全て又は一部の相補的配列(すなわち確率バーコード付きcDNA分子などのバーコード付きcDNA分子)とを含み得る。関連付けられたRNA分子の逆転写は、逆転写酵素とともに逆転写プライマーを添加することによって起こり得る。逆転写プライマーは、オリゴ(dT)プライマー、ランダムヘキサヌクレオチドプライマー又は標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーであり得る。オリゴ(dT)プライマーは、12~18ヌクレオチド長又は概ねそのようなヌクレオチド長であり得、哺乳動物mRNAの3’末端で内因性ポリ(A)テールに結合する。ランダムヘキサヌクレオチドプライマーは、様々な相補的部位でmRNAに結合し得る。標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、典型的に、対象のmRNAを選択的にプライミングする。
【0145】
いくつかの実施形態において、標識RNA分子の逆転写は、逆転写プライマーの添加によって起こり得る。いくつかの実施形態において、逆転写プライマーは、オリゴ(dT)プライマー、ランダムヘキサヌクレオチドプライマー又は標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーである。一般に、オリゴ(dT)プライマーは、12~18ヌクレオチド長であり、哺乳動物mRNAの3’末端の内因性ポリ(A)テールに結合する。ランダムヘキサヌクレオチドプライマーは、様々な相補的部位でmRNAに結合し得る。標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、典型的に、対象のmRNAを選択的にプライミングする。
【0146】
逆転写は、繰返し行うことにより、複数の標識cDNA分子を生成することができる。本明細書に開示される方法は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20回の逆転写反応を行う工程を含み得る。本方法は、少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100回の逆転写反応を行う工程を含み得る。
【0147】
増幅
1回以上の核酸増幅反応(例えば、
図2のブロック228で)は、標識標的核酸分子の複数のコピーを生成するために行われ得る。増幅は、複数の標的核酸配列が同時に増幅される、多重方式で行われ得る。増幅反応は、核酸分子にシーケンシングアダプターを付加するのに使用され得る。増幅反応は、存在する場合、サンプル標識の少なくとも一部を増幅する工程を含み得る。増幅反応は、細胞標識及び/又はバーコード配列(例えば、分子標識)の少なくとも一部を増幅する工程を含み得る。増幅反応は、サンプルタグ、細胞標識、空間標識、バーコード配列(例えば、分子標識)、標的核酸又はそれらの組合せの少なくとも一部を増幅する工程を含み得る。増幅反応は、複数の核酸の0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、100%又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲若しくは数を増幅する工程を含み得る。本方法は、サンプル標識、細胞標識、空間標識及び/又はバーコード配列(例えば、分子標識)を含む標的-バーコード分子の1つ以上のcDNAコピーを生成するために1回以上のcDNA合成反応を行う工程をさらに含み得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて行われ得る。本明細書において使用される際、PCRは、DNAの相補鎖の同時のプライマー伸長による特定のDNA配列のインビトロ増幅のための反応を指し得る。本明細書において使用される際、PCRは、限定はされないが、RT-PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量PCR、多重PCR、デジタルPCR及びアセンブリPCRを含む反応の派生形を包含し得る。
【0149】
標識核酸の増幅は、非PCRベースの方法を含み得る。非PCRベースの方法の例としては、限定はされないが、多重置換増幅(MDA)、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、リアルタイムSDA、ローリングサークル増幅又はサークル-サークル増幅が挙げられる。他の非PCRベースの増幅方法としては、DNA若しくはRNA標的を増幅するためのDNA依存性RNAポリメラーゼ駆動RNA転写増幅又はRNA指向DNA合成及び転写の多重サイクル、リガーゼ連鎖反応(LCR)及びQβレプリカーゼ(Qβ)法、パリンドロームプローブの使用、鎖置換増幅、制限エンドヌクレアーゼを用いたオリゴヌクレオチド駆動増幅、プライマーが核酸配列にハイブリダイズされ且つ得られた二本鎖が伸長反応及び増幅前に切断される増幅方法、5’エキソヌクレアーゼ活性の欠如した核酸ポリメラーゼを用いた鎖置換増幅、ローリングサークル増幅及び分岐伸長増幅(RAM)が挙げられる。いくつかの実施形態において、増幅は、環化転写物を生成しない。
【0150】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、標識核酸(例えば、標識RNA、標識DNA、標識cDNA)上でポリメラーゼ連鎖反応を行って、標識アンプリコン(例えば、確率標識アンプリコン)を生成する工程をさらに含む。標識アンプリコンは、二本鎖分子であり得る。二本鎖分子は、二本鎖RNA分子、二本鎖DNA分子又はDNA分子にハイブリダイズされたRNA分子を含み得る。二本鎖分子の鎖の一方又は両方は、サンプル標識、空間標識、細胞標識及び/又はバーコード配列(例えば、分子標識)を含み得る。標識アンプリコンは、一本鎖分子であり得る。一本鎖分子は、DNA、RNA又はそれらの組合せを含み得る。本開示の核酸は、合成又は改変核酸を含み得る。
【0151】
増幅は、1つ以上の非天然ヌクレオチドの使用を含み得る。非天然ヌクレオチドは、光不安定性又はトリガー性のヌクレオチドを含み得る。非天然ヌクレオチドの例としては、限定はされないが、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックド核酸(LNA)並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)が挙げられ得る。非天然ヌクレオチドは、増幅反応の1サイクル以上に添加され得る。非天然ヌクレオチドの添加は、増幅反応の特定のサイクル又は時点で産物を同定するのに使用され得る。
【0152】
1回以上の増幅反応を行う工程は、1つ以上のプライマーの使用を含み得る。1つ以上のプライマーは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15ヌクレオチド又はそれを超えるものを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15ヌクレオチド又はそれを超えるものを含み得る。1つ以上のプライマーは、12~15ヌクレオチド未満を含み得る。1つ以上のプライマーは、複数の標識標的(例えば、確率標識標的)の少なくとも一部にアニールし得る。1つ以上のプライマーは、複数の標識標的の3’末端又は5’末端にアニールし得る。1つ以上のプライマーは、複数の標識標的の内部領域にアニールし得る。内部領域は、複数の標識標的の3’末端から少なくとも約50、100、150、200、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、650、700、750、800、850、900又は1000ヌクレオチドであり得る。1つ以上のプライマーは、プライマーの一定パネルを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1つ以上のカスタムプライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1つ以上の対照プライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1つ以上の遺伝子特異的プライマーを含み得る。
【0153】
1つ以上のプライマーは、ユニバーサルプライマーを含み得る。ユニバーサルプライマーは、ユニバーサルプライマー結合部位にアニールし得る。1つ以上のカスタムプライマーは、第1のサンプル標識、第2のサンプル標識、空間標識、細胞標識、バーコード配列(例えば、分子標識)、標的又はそれらの任意の組合せにアニールし得る。1つ以上のプライマーは、ユニバーサルプライマー及びカスタムプライマーを含み得る。カスタムプライマーは、1つ以上の標的を増幅するように設計され得る。標的は、1つ以上のサンプル中の全核酸のサブセットを含み得る。標的は、1つ以上のサンプル中の全標識標的のサブセットを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも96又はそれを超えるカスタムプライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも960又はそれを超えるカスタムプライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも9600又はそれを超えるカスタムプライマーを含み得る。1つ以上のカスタムプライマーは、2つ以上の異なる標識核酸にアニールし得る。2つ以上の異なる標識核酸は、1つ以上の遺伝子に相当し得る。
【0154】
任意の増幅スキームが本開示の方法に使用され得る。例えば、一スキームにおいて、第1ラウンドのPCRは、遺伝子特異的プライマー及びユニバーサルIlluminaシーケンシングプライマー1配列に対するプライマーを用いて、ビーズに結合された分子を増幅することができる。第2ラウンドのPCRは、Illuminaシーケンシングプライマー2配列が隣接するネステッド遺伝子特異的プライマー及びユニバーサルIlluminaシーケンシングプライマー1配列に対するプライマーを用いて、第1のPCR産物を増幅することができる。第3ラウンドのPCRは、P5及びP7及びサンプルインデックスを付加して、PCR産物をIlluminaシーケンシングライブラリーにする。150 bp x 2シーケンシングを用いたシーケンシングは、リード1上の細胞標識及びバーコード配列(例えば、分子標識)、リード2の遺伝子及びインデックス1リード上のサンプルインデックスを明らかにし得る。
【0155】
いくつかの実施形態において、核酸は、化学切断を用いて基材から除去され得る。例えば、核酸中に存在する化学基又は修飾塩基は、固体担体からのその除去を促進するのに使用され得る。例えば、酵素は、基材から核酸を除去するのに使用され得る。例えば、核酸は、制限エンドヌクレアーゼ(本明細書において「制限酵素」とも呼ばれ得る)消化によって基材から除去され得る。例えば、ウラシル-d-グリコシラーゼ(UDG)によるdUTP又はddUTPを含有する核酸の処理は、基材から核酸を除去するのに使用され得る。例えば、核酸は、ヌクレオチド切除を行う酵素、例えば塩基除去修復酵素、例えば脱プリン/脱ピリミジン(AP)エンドヌクレアーゼを用いて、基材から除去され得る。いくつかの実施形態において、核酸は、光切断性基及び光を用いて、基材から除去され得る。いくつかの実施形態において、切断性リンカーは、基材から核酸を除去するのに使用され得る。例えば、切断性リンカーは、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/ニュートラビジン、Ig-プロテインA、光不安定性リンカー、酸又は塩基不安定性リンカー基又はアプタマーの少なくとも1つを含み得る。
【0156】
プローブが遺伝子特異的である場合、分子は、プローブにハイブリダイズし、逆転写及び/又は増幅され得る。いくつかの実施形態において、核酸が合成された後(例えば、逆転写された後)、それは増幅され得る。増幅は、複数の標的核酸配列が同時に増幅される、多重方式で行われ得る。増幅は、核酸にシーケンシングアダプターを付加し得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、増幅は、例えば、ブリッジ増幅を用いて、基材上で行われ得る。cDNAは、基材上でオリゴ(dT)プローブを用いてブリッジ増幅するのに適合する末端を生成するためにテールを付加されたホモポリマーであり得る。ブリッジ増幅では、テンプレート核酸の3’末端に相補的なプライマーは、固体粒子に共有結合された各対の第1のプライマーであり得る。テンプレート核酸を含有するサンプルが粒子と接触され、1回の熱サイクルが行われる場合、テンプレート分子は、第1のプライマーにアニールされ得、第1のプライマーは、ヌクレオチドの付加によって順方向に伸長されて、テンプレート分子及びテンプレートに相補的な新たに形成されたDNA鎖からなる二本鎖分子を形成する。次のサイクルの加熱工程では、二本鎖分子は、変性されて、粒子からテンプレート分子を放出し、第1のプライマーを介して粒子に結合された相補的DNA鎖を残し得る。続くアニーリング及び伸長工程のアニーリング段階では、相補鎖は、第1のプライマーから除去された位置の相補鎖のセグメントに相補的な第2のプライマーにハイブリダイズし得る。このハイブリダイゼーションにより、相補鎖は、共有結合によって第1のプライマーに及びハイブリダイゼーションによって第2のプライマーに固定された第1及び第2のプライマーの間にブリッジを形成し得る。伸長段階では、第2のプライマーは、同じ反応混合物中へのヌクレオチドの添加によって逆方向に伸長され、それによりブリッジを二本鎖ブリッジに変換することができる。次に、次のサイクルが開始し、二本鎖ブリッジは、変性されて、2つの一本鎖核酸分子をもたらし、一本鎖核酸分子は、第1及び第2のプライマーを介して粒子表面に結合された一方の末端と、それぞれ結合されていない他方の末端とをそれぞれ有する。この第2のサイクルのアニーリング及び伸長工程では、各鎖は、同じ粒子上のこれまで未使用であったさらなる相補的プライマーにハイブリダイズして、新しい一本鎖ブリッジを形成することができる。この時点でハイブリダイズされる2つのこれまで未使用であったプライマーは、伸長して、2つの新しいブリッジを二本鎖ブリッジに変換することができる。
【0158】
増幅反応は、複数の核酸の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又は100%を増幅する工程を含み得る。
【0159】
標識核酸の増幅は、PCRベースの方法又は非PCRベースの方法を含み得る。標識核酸の増幅は、標識核酸の指数関数的増幅を含み得る。標識核酸の増幅は、標識核酸の線形増幅を含み得る。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行われ得る。PCRは、DNAの相補鎖の同時のプライマー伸長により、特定のDNA配列のインビトロ増幅のための反応を指し得る。PCRは、限定はされないが、RT-PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量PCR、多重PCR、デジタルPCR、サプレッションPCR、セミサプレッシブPCR及びアセンブリPCRを含む反応の派生形を包含し得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、標識核酸の増幅は、非PCRベースの方法を含む。非PCRベースの方法の例としては、限定はされないが、多重置換増幅(MDA)、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、リアルタイムSDA、ローリングサークル増幅又はサークル-サークル増幅が挙げられる。他の非PCRベースの増幅方法としては、DNA若しくはRNA標的を増幅するためのDNA依存性RNAポリメラーゼ駆動RNA転写増幅又はRNA指向DNA合成及び転写の多重サイクル、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβレプリカーゼ(Qβ)、パリンドロームプローブの使用、鎖置換増幅、制限エンドヌクレアーゼを用いたオリゴヌクレオチド駆動増幅、プライマーが核酸配列にハイブリダイズされ且つ得られた二本鎖が伸長反応及び増幅前に切断される増幅方法、5’エキソヌクレアーゼ活性の欠如した核酸ポリメラーゼを用いた鎖置換増幅、ローリングサークル増幅及び/又は分岐伸長増幅(RAM)が挙げられる。
【0161】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、増幅アンプリコン(例えば、標的)上でネステッドポリメラーゼ連鎖反応を行う工程をさらに含む。アンプリコンは、二本鎖分子であり得る。二本鎖分子は、二本鎖RNA分子、二本鎖DNA分子又はDNA分子にハイブリダイズされたRNA分子を含み得る。二本鎖分子の鎖の一方又は両方は、サンプルタグ又は分子識別子標識を含み得る。代わりに、アンプリコンは、一本鎖分子であり得る。一本鎖分子は、DNA、RNA又はそれらの組合せを含み得る。本明細書に記載される核酸は、合成又は改変核酸を含み得る。
【0162】
いくつかの実施形態において、本方法は、標識核酸を繰返し増幅して、複数のアンプリコンを生成する工程を含む。本明細書に開示される方法は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20回の増幅反応を行う工程を含み得る。代わりに、本方法は、少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100回の増幅反応を行う工程を含む。
【0163】
増幅は、複数の核酸を含む1つ以上のサンプルに1つ以上の対照核酸を添加する工程をさらに含み得る。増幅は、複数の核酸に1つ以上の対照核酸を添加する工程をさらに含み得る。対照核酸は、対照標識を含み得る。
【0164】
増幅は、1つ以上の非天然ヌクレオチドの使用を含み得る。非天然ヌクレオチドは、光不安定性及び/又はトリガー性ヌクレオチドを含み得る。非天然ヌクレオチドの例としては、限定はされないが、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックド核酸(LNA)並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)が挙げられる。非天然ヌクレオチドは、増幅反応の1サイクル以上に添加され得る。非天然ヌクレオチドの添加は、増幅反応の特定のサイクル又は時点で産物を同定するのに使用され得る。
【0165】
1回以上の増幅反応を行う工程は、1つ以上のプライマーの使用を含み得る。1つ以上のプライマーは、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含み得る。1つ以上のオリゴヌクレオチドは、少なくとも約7~9ヌクレオチドを含み得る。1つ以上のオリゴヌクレオチドは、12~15ヌクレオチド未満を含み得る。1つ以上のプライマーは、複数の標識核酸の少なくとも一部にアニールし得る。1つ以上のプライマーは、複数の標識核酸の3’末端及び/又は5’末端にアニールし得る。1つ以上のプライマーは、複数の標識核酸の内部領域にアニールし得る。内部領域は、複数の標識核酸の3’末端から少なくとも約50、100、150、200、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、650、700、750、800、850、900又は1000ヌクレオチドであり得る。1つ以上のプライマーは、プライマーの一定パネルを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1つ以上のカスタムプライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1つ以上の対照プライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、少なくとも1つ以上のハウスキーピング遺伝子プライマーを含み得る。1つ以上のプライマーは、ユニバーサルプライマーを含み得る。ユニバーサルプライマーは、ユニバーサルプライマー結合部位にアニールし得る。1つ以上のカスタムプライマーは、第1のサンプルタグ、第2のサンプルタグ、分子識別子標識、核酸又はその産物にアニールし得る。1つ以上のプライマーは、ユニバーサルプライマー及びカスタムプライマーを含み得る。カスタムプライマーは、1つ以上の標的核酸を増幅するように設計され得る。標的核酸は、1つ以上のサンプル中の全核酸のサブセットを含み得る。いくつかの実施形態において、プライマーは、本開示のアレイに結合されたプローブである。
【0166】
いくつかの実施形態において、サンプル中の複数の標的にバーコードを付ける工程(例えば、確率バーコードを付ける工程)は、バーコード付き標的(例えば、確率バーコード付き標的)又は標的のバーコード付きフラグメントのインデックス付加ライブラリーを作製する工程をさらに含む。異なるバーコード(例えば、異なる確率バーコードの分子標識)のバーコード配列は、互いに異なり得る。バーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーを作製する工程は、サンプル中の複数の標的から複数のインデックス付加ポリヌクレオチドを作製する工程を含む。例えば、第1のインデックス付加標的及び第2のインデックス付加標的を含むバーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーについて、第1のインデックス付加ポリヌクレオチドの標識領域は、第2のインデックス付加ポリヌクレオチドの標識領域と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50ヌクレオチドだけ異なるか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値又はこれらの値のいずれか2つの間の数若しくは範囲のヌクレオチドだけ異なり得る。いくつかの実施形態において、バーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーを作製する工程は、複数の標的、例えばmRNA分子を、ポリ(T)領域及び標識領域を含む複数のオリゴヌクレオチドと接触させる工程と;逆転写酵素を用いて第1鎖合成を行って、cDNA領域及び標識領域をそれぞれ含む一本鎖標識cDNA分子を生成する工程とを含み、ここで、複数の標的は、異なる配列の少なくとも2つのmRNA分子を含み、複数のオリゴヌクレオチドは、異なる配列の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。バーコード付き標的のインデックス付加ライブラリーを作製する工程は、一本鎖標識cDNA分子を増幅して、二本鎖標識cDNA分子を生成する工程と;二本鎖標識cDNA分子上でネステッドPCRを行って、標識アンプリコンを生成する工程とをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、アダプター-標識アンプリコンを作製する工程を含み得る。
【0167】
バーコーディング(例えば、確率バーコーディング)は、個々の核酸(例えば、DNA又はRNA)分子を標識するために、核酸バーコード又はタグを使用する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、それは、DNAバーコード又はタグがmRNAから生成される際に、cDNA分子にそれらを付加する工程を含む。ネステッドPCRは、PCR増幅バイアスを最小限に抑えるために行われ得る。アダプターは、例えば、次世代シーケンシング(NGS)を用いるシーケンシングのために付加され得る。シーケンシング結果を用いて、例えば
図2のブロック232で、標的の1つ以上のコピーの細胞標識、分子標識及びヌクレオチドフラグメントの配列を決定することができる。
【0168】
図3は、バーコード付き標的(例えば、確率バーコード付き標的)、例えばバーコード付きmRNAs又はそのフラグメントのインデックス付加ライブラリーを作製する非限定的な例示的なプロセスを示す概略図である。工程1に示されるように、逆転写プロセスは、ユニーク分子標識配列、細胞標識配列及びユニバーサルPCR部位を含む各mRNA分子をコードし得る。特に、RNA分子302は、RNA分子302のポリ(A)テール領域308へのバーコードのセット(例えば、確率バーコード)310のハイブリダイゼーション(例えば、確率論的ハイブリダイゼーション)によって逆転写されて、cDNA領域306を含む標識cDNA分子304を生成することができる。バーコード310のそれぞれは、標的結合領域、例えばポリ(dT)領域312、標識領域314(例えば、バーコード配列又は分子)及びユニバーサルPCR領域316を含み得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、細胞標識配列は、3~20ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態において、分子標識配列は、3~20ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態において、複数の確率バーコードのそれぞれは、ユニバーサル標識及び細胞標識の1つ以上をさらに含み、ここで、ユニバーサル標識は、固体担体上の複数の確率バーコードについて同じであり、細胞標識は、固体担体上の複数の確率バーコードについて同じである。いくつかの実施形態において、ユニバーサル標識は、3~20ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態において、細胞標識は、3~20ヌクレオチドを含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、標識領域314は、バーコード配列又は分子標識318及び細胞標識320を含み得る。いくつかの実施形態において、標識領域314は、ユニバーサル標識、次元標識及び細胞標識の1つ以上を含み得る。バーコード配列又は分子標識318は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチド長であるか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値のヌクレオチド長又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲のヌクレオチド長であり得る。細胞標識320は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチド長であるか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値のヌクレオチド長又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲のヌクレオチド長であり得る。ユニバーサル標識は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチド長であるか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値のヌクレオチド長又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲のヌクレオチド長であり得る。ユニバーサル標識は、固体担体上の複数の確率バーコードについて同じであり得、細胞標識は、固体担体上の複数の確率バーコードについて同じである。次元標識は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチド長であるか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値のヌクレオチド長又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲であり得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、標識領域314は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000の異なる標識を含むか、概ねそのような値の異なる標識を含むか、少なくとも若しくは多くともそのような値の異なる標識又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲の異なる標識、例えばバーコード配列又は分子標識318及び細胞標識320を含み得る。各標識は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチド長であるか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値のヌクレオチド長又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲のヌクレオチド長であり得る。バーコード又は確率バーコード310のセットは、10、20、40、50、70、80、90、102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1020のバーコード又は確率バーコード310を含むか、概ね少なくとも若しくは多くともそのような値のバーコード又は確率バーコード310を含むか、又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲のバーコード又は確率バーコード310を含み得る。バーコード又は確率バーコード310のセットは、例えば、ユニーク標識領域314をそれぞれ含み得る。標識cDNA分子304は、過剰なバーコード又は確率バーコード310を除去するために、精製され得る。精製は、Ampureビーズ精製を含み得る。
【0172】
工程2に示されるように、工程1の逆転写プロセスからの産物が1チューブ中にプールされ、第1のPCRプライマープール及び第1のユニバーサルPCRプライマーを用いてPCR増幅され得る。プールする工程は、ユニーク標識領域314によって可能である。特に、標識cDNA分子304は、増幅されて、ネステッドPCR標識アンプリコン322を生成することができる。増幅は、多重PCR増幅を含み得る。増幅は、単一反応量で96多重プライマーを用いた多重PCR増幅を含み得る。いくつかの実施形態において、多重PCR増幅は、単一反応量で10、20、40、50、70、80、90、102、103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1020の多重プライマーを用いるか、概ねそのような値の多重プライマーを用いるか、少なくとも若しくは多くともそのような値の多重プライマーを用いるか、又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲の多重プライマーを用い得る。増幅は、特定の遺伝子を標的とするカスタムプライマー326A~Cを含む第1のPCRプライマープール324及びユニバーサルプライマー328を使用する工程を含み得る。カスタムプライマー326は、標識cDNA分子304のcDNA部分306’内の領域にハイブリダイズし得る。ユニバーサルプライマー328は、標識cDNA分子304のユニバーサルPCR領域316にハイブリダイズし得る。
【0173】
図3の工程3に示されるように、工程2のPCR増幅からの産物がネステッドPCRプライマープール及び第2のユニバーサルPCRプライマーを用いて増幅され得る。ネステッドPCRは、PCR増幅バイアスを最小限に抑えることができる。特に、ネステッドPCR標識アンプリコン322は、ネステッドPCRによってさらに増幅され得る。ネステッドPCRは、単一反応量でネステッドPCRプライマー332a~cのネステッドPCRプライマープール330及び第2のユニバーサルPCRプライマー328’を含む多重PCRを含み得る。ネステッドPCRプライマープール328は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000の異なるネステッドPCRプライマー330を含むか、概ねそのような値の異なるネステッドPCRプライマー330を含むか、少なくとも若しくは多くともそのような値の異なるネステッドPCRプライマー330を含むか、又はこれらの値のいずれかの間の数若しくは範囲の異なるネステッドPCRプライマー330を含み得る。ネステッドPCRプライマー332は、アダプター334を含有して、標識アンプリコン322のcDNA部分306’’内の領域にハイブリダイズし得る。ユニバーサルプライマー328’は、アダプター336を含有し、標識アンプリコン322のユニバーサルPCR領域316にハイブリダイズし得る。したがって、工程3は、アダプター-標識アンプリコン338を生成する。いくつかの実施形態において、ネステッドPCRプライマー332及び第2のユニバーサルPCRプライマー328’は、アダプター334及び336を含有しなくてもよい。その代わりに、アダプター334及び336は、ネステッドPCRの産物にライゲートされて、アダプター-標識アンプリコン338を生成し得る。
【0174】
工程4に示されるように、工程3からのPCR産物は、ライブラリー増幅プライマーを用いたシーケンシングのためにPCR増幅され得る。特に、アダプター334及び336を用いて、アダプター-標識アンプリコン338に対する1回以上のさらなるアッセイを行うことができる。アダプター334及び336は、プライマー340及び342にハイブリダイズされ得る。1つ以上のプライマー340及び342は、PCR増幅プライマーであり得る。1つ以上のプライマー340及び342は、シーケンシングプライマーであり得る。1つ以上のアダプター334及び336は、アダプター-標識アンプリコン338のさらなる増幅のために使用され得る。1つ以上のアダプター334及び336は、アダプター-標識アンプリコン338のシーケンシングのために使用され得る。バーコードの同じセットを用いて生成されたアンプリコン又は確率バーコード310が、次世代シーケンシング(NGS)を用いた1回のシーケンシング反応でシーケンシングされ得るように、プライマー342は、プレート指標344を含有し得る。
【0175】
マルチオミクス解析
本明細書に開示されるものには、ハイスループットサンプル解析のための方法の実施形態が含まれる。本方法は、単一粒子を用いて単一細胞を区切るための任意のサンプル解析プラットフォーム又はシステム、例えばドロップレット(例えば、Chromium(商標)Single Cell 3’Solution(10X Genomics(San Francisco,CA)))、マイクロウェル(例えば、Rhapsody(商標)アッセイ(Becton,Dickinson and Company(Franklin Lakes,NJ)))、マイクロ流体チャンバ及びパターニングされた基材に基づいたプラットフォーム及びシステムとともに使用され得る。本方法は、ゲノム、ゲノムアクセシビリティ(例えば、クロマチンアクセシビリティ)及びメチロームを含むマルチオミクス情報を捕捉することができる。本方法は、トランスクリプトミクス解析、プロテオミクス解析及び/又はサンプル追跡のための方法とともに使用され得る。プロテオミクス解析のためのバーコーディングの使用は、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第15/715028号明細書(米国特許出願公開第2018/0088112号明細書として公開されている)に記載されている。サンプル追跡のためのバーコーディングの使用は、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第15/937,713号明細書(米国特許出願公開第2018/0346970号明細書として公開されている)に記載されている。いくつかの実施形態において、単一細胞のゲノミクス、クロマチンアクセシビリティ、メチロミクス、トランスクリプトミクス及びプロテオミクスなどのマルチオミクス情報がバーコーディングを用いて得られる。
【0176】
いくつかの実施形態において、本方法は、ゲノムDNAフラグメントの末端に細胞及び分子標識又は指標を有する捕捉プローブのものに相補的な配列を付加する工程を含む。例えば、ゲノムフラグメントが、細胞及び分子バーコードが隣接するオリゴ(dT)プローブ(又は付加される配列に相補的な配列)によって捕捉され得るように、ポリ(dA)テール(又は任意の配列)がゲノムフラグメントに付加され得る。本方法を用いて、単一細胞から以下のもの、ゲノム、メチローム、クロマチンアクセシビリティ、トランスクリプトーム及びプロテオームなどの全て又は一部をハイスループットで捕捉することができる。
【0177】
本方法は、これらのサンプル解析システムのいずれかに細胞物質をロードする前にサンプル調製を含み得る。例えば、酵素カッター(enzymatic cutter)、例えば本明細書に記載される二本鎖ヌクレアーゼ(トランスポザーゼ、制限酵素及びCRISPR関連タンパク質など)を用いて、dsDNA(例えば、gDNA)は、固定された細胞又は核内のゲノムフラグメントへと断片化され得る。制限酵素は、ハイスループットマルチオミクスサンプル解析に使用され得る。例えば、本方法は、制限酵素とともに細胞をインキュベートする工程(その後、例えば制限酵素を除去する工程)を含み得る。別の例として、本方法は、制限配列が隣接するT7プロモータ配列を有するポリ(dT)/ポリ(dA)又はポリ(dT)/ポリ(dA)を有するリガーゼ及びアダプターとともに細胞をインキュベートする工程を含み得る。さらに別の例として、捕捉プローブは、制限部位の配列を有し得る。この実施形態において、dT/dAアダプターの付加は必要とされないことがある。いくつかの実施形態において、Cas9/CRISPRは、ゲノムの特定の位置で切断するのに使用され得る。
【0178】
細胞又は核は、新鮮であるか又は固定され得る(例えば、アルデヒド、酸化剤、hepes-グルタミン酸緩衝液媒介有機溶媒保護効果(HOPE)固定剤などの固定剤で固定される細胞)。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞を、本明細書に記載される核酸試薬と接触させる工程を含む。次に、細胞は、過剰な核酸試薬を除去するように洗浄され得る。本明細書に記載されるように、核酸試薬は、死細胞中のdsDNAに結合し得るが、生細胞に結合せず、それにより死細胞のみが洗浄後に核酸試薬で標識されたまま残る。いくつかの実施形態において、捕捉プローブ(例えば、確率バーコードなどのバーコード)に相補的な配列は、次に、ゲノムフラグメントの各末端に付加される。捕捉プローブは、固体担体上又は溶液中で固定され得る。単一細胞トランスクリプトーム解析システムの捕捉プローブは、ポリ(dT)配列であり得る。したがって、ゲノムフラグメントの各末端には、ポリ(dA)配列が付加され得る。次に、細胞又は核は、加熱されるか又は化学物質に曝されて、各末端にポリ(dA)配列が付加された二本鎖ゲノムフラグメントを変性することができ、次に、サンプル解析システムにロードされる。細胞及び/又は核溶解後、付加された配列を有するゲノムフラグメントは、ポリ(A)テールを有するmRNA分子が捕捉プローブのポリ(dT)配列によって捕捉され得るのと同様に、存在する捕捉プローブによって捕捉され得る。逆転写酵素及び/又はDNAポリメラーゼが加えられて、ゲノムフラグメントをコピー(例えば、逆転写)し、細胞及び分子標識又は指標をゲノムフラグメントに付加し得る。
【0179】
本明細書に開示されるものには、サンプル解析の方法の実施形態が含まれる。
図4A~4Bは、単一細胞からのマルチオミクス情報のハイスループット捕捉の方法400の非限定的な例示的実施形態の概略図を示す。いくつかの実施形態において、方法400は、トランスポソームを使用して、捕捉配列を含む5’オーバーハング(又は3’オーバーハング)を有する二本鎖DNAフラグメントを生成する工程を含む。方法400は、二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)、例えばゲノムDNA(gDNA)を、トランスポソーム428と接触させる工程410を含み得る。トランスポソーム428は、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ430及び捕捉配列(例えば、ポリ(dT)配列434a、434b)を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピー432a、432bを含み得る。二本鎖ヌクレアーゼ430には、アダプター434a、434bの2つのコピー432a及び432bがロードされ得る。アダプターの各コピー436a、436bは、トランスポゾンのDNA末端配列(例えば、Tn5配列436a、436b又はその部分配列)を含み得る。二本鎖ヌクレアーゼは、Tn5トランスポザーゼなどのトランスポザーゼであるか又はそれを含み得る。dsDNA(例えば、gDNA)を、トランスポソーム428と接触させる工程410は、5’オーバーハング434a、434bの2つのコピー432a、432bをそれぞれ有する複数のオーバーハングdsDNAフラグメント438を生成することができる。
【0180】
いくつかの実施形態において、方法400は、(例えば、ブロック412で)複数のオーバーハングdsDNAフラグメント(5’オーバーハングを有する)438をポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハング434a、434bの少なくとも一部に相補的な配列434a’、434b’をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程を含む。方法400は、(例えば、ブロック414で)5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメント440を変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメント442を生成する工程と、(例えば、ブロック424で)複数のバーコード444を用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメント(例えば、バーコード付きssDNAフラグメント446又はその相補的配列)を生成する工程とを含み得る。複数のバーコード444の少なくとも一部(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、10、100、1000、10000、100000、1000000、10000000又はそれを超える)は、細胞標識448、分子標識450及び捕捉配列434を含む。複数のバーコード444の少なくとも2つのバーコードの分子標識448は、異なる分子標識配列を含み得る。複数のバーコード444の少なくとも2つのバーコードは、同一の細胞標識配列を有する細胞標識450を含み得る。方法400は、複数のバーコード付きssDNAフラグメント446(又はその相補的配列)のシーケンシングデータを得る工程と、得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメント446の配列(又はその相補的配列)に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程とを含み得る。
【0181】
方法400は、トランスポソーム428(例えば、トランスポザーゼ、制限エンドヌクレアーゼ及び/又はCas9若しくはCas12aなどのCRISPR関連タンパク質を含み得る)を使用して、細胞のゲノムDNAからDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、方法400は、細胞の二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)、例えばgDNAから複数の核酸フラグメントを生成する工程を含み得る。例えば、複数の核酸フラグメントは、増幅から生成されなくてもよい。別の例として、複数の核酸フラグメントは、インビトロ転写によって産生されるRNA分子であるか又はそれを含み得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、複数の核酸フラグメントのそれぞれは、捕捉配列434a、434b、捕捉配列の相補体、捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せを含み得る。方法400は、複数のバーコード付き一本鎖デオキシリボ核酸(ssDNA)フラグメント446(又はその相補的配列、例えば相補体又は逆相補体446)を生成するために、複数のバーコード444を用いて、複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程424を含み得る。複数のバーコード444の少なくとも一部(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1000、10000、100000、1000000、10000000又はそれを超える)は、細胞標識450、分子標識448及び捕捉配列434(又は捕捉配列の相補体、捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せ)を含み得る。複数のバーコード444の少なくとも2つのバーコードの分子標識448は、異なる分子標識配列を含む。複数のバーコード444の少なくとも2つのバーコードは、同一の細胞標識配列を有する細胞標識450を含み得る。方法400は、複数のバーコード付きssDNAフラグメント446(又はその相補的配列)のシーケンシングデータを得る工程と;得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメント445の配列に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程とを含み得る。
【0183】
いくつかの実施形態において、dsDNA(例えば、gDNA)は、核452の内部にある。方法400は、任意選択的に、(例えば、ブロック402で)核452を透過処理して、透過処理された核を生成する工程を含み得る。方法400は、任意選択的に、核を透過処理する前に、(例えば、ブロック402で)核452を含む細胞を固定する工程を含み得る。
【0184】
いくつかの実施形態において、方法400は、複数のssDNAフラグメント442を生成するために、複数の核酸フラグメント440を変性する工程414を含む。複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程424は、複数のバーコード付きssDNAフラグメント446及び/又は又はその相補的配列を生成するために、複数のバーコード444を用いて、複数のssDNAフラグメント442にバーコードを付ける工程424を含み得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法について、本方法は、細胞を本明細書に記載される核酸試薬と接触させる工程をさらに含む。核酸試薬は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含み得る。細胞は、死細胞であり得る。核酸試薬は、死細胞内の二本鎖DNAに結合し得る。本方法は、細胞を洗浄して、過剰な核酸試薬を除去する工程をさらに含み得る。本方法は、細胞を溶解させ、それによって核酸試薬を放出する工程をさらに含み得る。本方法は、核酸試薬にバーコードを付ける工程をさらに含み得る。死細胞が核酸試薬に対して透過性である一方、生細胞は透過性でないか、又はわずかな微量の核酸試薬に対して透過性であるものと考えられる。したがって、本明細書に記載される方法は、核酸試薬が細胞のDNAに結合されているかどうかを確認することによって(例えば、核酸試薬に関連付けられたバーコードが細胞に関連付けられるかどうかを決定することによって)及び/又は少なくとも閾値数の核酸試薬が細胞に結合されているかどうかを決定することによって(例えば、少なくとも閾値数のバーコード、例えば少なくとも10、50、100、500、1000、5000又は10000の異なるバーコードが、細胞に関連付けられた核酸試薬に関連付けられるかどうかを決定することによって)、死細胞及び生細胞を同定することができるものと考えられる。
【0186】
DNAフラグメントを生成するためのトランスポソームの使用
いくつかの実施形態の方法及びキットにおいて、DNAフラグメントがトランスポソームを用いて生成され得る。本明細書において使用される際、「トランスポソーム」は、(i)dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び(ii)捕捉配列を含むアダプターの少なくとも2つのコピーを含む。アダプターは、dsDNAの末端への付加のために構成され得る。したがって、アダプターは、該当する部分がdsDNA中の二本鎖切断を誘導した後、dsDNAの末端に捕捉配列を付加するために構成され得る。二本鎖ヌクレアーゼは、トランスポザーゼ(例えば、Tn5、Tn7、Tn10、Tc3又はMos1などのマリナー(mariner)トランスポザーゼ)、制限エンドヌクレアーゼ(例えば、EcoRI、NotI、HindIII、HhaI、BamH1若しくはSal I)、CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9若しくはCas12a)、二本鎖特異的ヌクレアーゼ(DSN)又はこれらの組合せなどの酵素を含み得る。トランスポザーゼなどの一部の二本鎖ヌクレアーゼがdsDNAフラグメントの末端へのアダプターの付加を促進し得る一方、他の例えば制限エンドヌクレアーゼは、促進しないものと考えられる。したがって、トランスポソームは、任意選択的に、リガーゼ(例えば、T4、T7又はTaq DNAリガーゼ)を含み得る。トランスポソームは、dsDNA、例えばクロマチン、メチル化dsDNA、転写開始複合体などを含む特定の構造に標的化され得ることがさらに考えられる。したがって、アダプターを、dsDNAを含む構造に標的化し、dsDNAを断片化し、dsDNAについての配列情報を得るようにdsDNAにバーコードを付けることにより、トランスポソームは、dsDNAを含む構造に関連付けられたDNA配列についての情報を提供することができる。したがって、トランスポソームは、トランスポソームを、dsDNA、例えば抗体(例えば、ヒストンH3のヒストンリン酸化S28に特異的に結合する抗体HTA28若しくは)若しくはそのフラグメント、アパタマー(核酸又はペプチド)又はDNA結合ドメイン(例えば、亜鉛フィンガー結合ドメイン)を含む構造に標的化する部分をさらに含み得る。本明細書に記載されるサンプル解析のいずれかの方法において、トランスポソームは、dsDNAを含む特定の構造、例えばクロマチン、特定のDNAメチル化状態、特定の細胞小器官中のDNAなどを標的にし得る。サンプル解析の方法は、トランスポソームによって標的にされる構造に関連付けられた特定のDNA配列、例えばクロマチンアクセス可能DNA、構築物DNA、細胞小器官DNAなどを同定し得るものと考えられる。いくつかの実施形態において、サンプル解析のためのキットが記載される。キットは、本明細書に記載されるトランスポソームと、本明細書に記載される複数のバーコードとを含み得る。バーコードは、本明細書に記載される粒子上に固定され得る。
【0187】
例として、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、dsDNA(例えば、gDNA)を、トランスポソーム428と接触させる工程を含むことができ、ここで、トランスポソーム428は、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ(例えば、トランスポザーゼ)430及び捕捉配列434a、434bに相補的な配列434a’、434b’をそれぞれ含む複数の二本鎖DNA(dsDNA)フラグメント440を生成するために、捕捉配列(例えば、ポリ(dT)配列)を含むアダプターの2つのコピー434a、434bを含む。例えば、アダプターは、ポリ(dT)オーバーハング434a、434bなどの5’オーバーハングを含まなくてもよい。二本鎖ヌクレアーゼ(例えば、トランスポザーゼ)430には、アダプターの2つのコピー434a、434bがロードされ得る。いくつかの実施形態において、捕捉配列434a、434bは、ポリ(dT)領域を含む。捕捉配列に相補的な配列434a’、434b’は、ポリ(dA)領域を含み得る。
【0188】
複数の核酸フラグメントを生成する工程は、dsDNA(例えば、gDNA)を、トランスポソーム428と接触させる工程410を含むことができ、ここで、トランスポソーム428は、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ(例えば、トランスポザーゼ)430及び5’オーバーハングの2つのコピー434a、434bをそれぞれ有する複数の二本鎖DNA(dsDNA)フラグメント438を生成するために、捕捉配列を含む5’オーバーハング434a、434bを有するアダプターの2つのコピー432a、432bを含む。二本鎖ヌクレアーゼ430には、アダプターの2つのコピー432a、432bがロードされ得る。方法400は、いくつかの実施形態において、5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列434a’、434b’(例えば、相補体又は逆相補体)をそれぞれ含む複数のdsDNAフラグメントを含む複数の核酸フラグメント440を生成するために、5’オーバーハング434a、434bを有する複数のdsDNAフラグメント438をポリメラーゼと接触させる工程412を含み得る。いくつかの実施形態において、複数のdsDNAフラグメント442のいずれもオーバーハング(例えば、3’オーバーハング又は5’オーバーハング434a’、434b’のような5’オーバーハング)を含まない。
【0189】
より高いシグナル強度
ゲノム及びクロマチンアクセシビリティ情報を捕捉するために、シグナル、例えば、クロマチンアクセシビリティ解析のためのdsDNAフラグメントなどの対象のdsDNAフラグメントの数は、トランスポソーム428のポリ(dA)テールの前にプロモータ(例えば、T7プロモータ)を組み込むことによってさらに増幅され得る。例えば、dsDNA(例えば、gDNA)は、単一細胞系又はプラットフォーム416にロードする前に核452又は細胞内にインビトロ転写を組み込むことによってさらに(例えば、1000倍)増幅され得る。例えば、配列中のT7プロモータ502は、dsDNA(例えば、gDNA)フラグメントの末端に付加され得る。
【0190】
ポリ(dT)配列及びプロモータの転位及び付加後、固定された細胞又は核を、インビトロ転写(IVT)反応ミックスとともにインキュベートする。dsDNA(例えば、gDNA)配列を有するRNAの何千ものコピーは、生成され、固定された細胞又は核内に含まれ得る。単一細胞捕捉及び溶解(例えば、
図4A~4B中のブロック418で)方法は、本明細書に記載されるように行われ得る。
【0191】
図5A~5Bは、向上したシグナル強度で単一細胞からゲノム及びクロマチンアクセシビリティ情報を捕捉する非限定的な例示的な方法を概略的に示す。いくつかの実施形態において、アダプター432a、432bは、任意選択的にプロモータ配列を含む。プロモータ配列は、T7プロモータ配列502を含み得る。複数の核酸フラグメントを生成する工程は、インビトロ転写を用いて、複数のdsDNAフラグメントを転写して、複数のリボ核酸(RNA)分子504を生成する工程を含み得る。複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程424は、複数のRNA分子504にバーコードを付ける工程を含む。
【0192】
平滑末端を有するdsDNAフラグメントを生成するための制限酵素の使用
いくつかの実施形態において、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、制限酵素を用いて、dsDNA(例えば、gDNA)を断片化して、平滑末端を有する複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含む。dsDNA(例えば、gDNA)を断片化する工程は、dsDNA(例えば、gDNA)を、制限酵素と接触させて、平滑末端をそれぞれ有する複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、平滑末端を含み得る。複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、5’オーバーハング又は3’オーバーハングを含み得る。複数のdsDNAフラグメントのいずれも平滑末端を含まないことがある。dsDNA(例えば、gDNA)を断片化する工程は、二本鎖gDNAを、制限酵素と接触させて、平滑末端を有する複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。dsDNAフラグメントの少なくとも1つ、一部又は全てが平滑末端を含み得る。
【0193】
dsDNAフラグメントを生成するためのCRISPR関連タンパク質の使用
いくつかの実施形態において、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、Cas12aのCas9などのCRISPR関連タンパク質を用いて、dsDNA(例えば、gDNA)を断片化して、複数の二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)フラグメントを生成する工程を含む。dsDNA(例えば、gDNA)を断片化する工程は、二本鎖gDNAをCRISPR関連タンパク質と接触させて、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。dsDNAフラグメントの少なくとも1つ、一部又は全ては、平滑末端を含み得る。いくつかの実施形態において、dsDNAの切断は、特定の配列又はモチーフを標的化するガイドRNA(gRNA)を用いて特定の配列又はモチーフに標的化され得、それにより、CRISPR関連タンパク質は、特定の配列又はモチーフにおける二本鎖切断を誘導するものと考えられる。
【0194】
核酸フラグメントの生成
いくつかの実施形態において、(例えば、制限酵素又はCRISPR関連タンパク質を用いて)複数の核酸フラグメントを生成する工程は、(例えば、
図4A~4Bを参照して説明されるブロック410)捕捉配列に相補的な配列を含むアダプターの2つのコピーを複数のdsDNAフラグメントの少なくとも一部(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1000、10000、100000、1000000、10000000又はそれを超える)に付加して、複数のdsDNAフラグメント(例えば、平滑末端を有する複数のdsDNAフラグメント)を生成する工程を含む。アダプターの2つのコピーを付加する工程は、アダプターの2つのコピーを複数のdsDNAフラグメントの少なくとも一部(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1000、10000、100000、1000000、10000000又はそれを超える)にライゲートして、アダプターを含む複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。
【0195】
オーバーハングを有するdsDNAフラグメントを生成するための制限酵素の使用
いくつかの実施形態において、複数の核酸フラグメントを生成する工程は、制限酵素を用いて、dsDNA(例えば、gDNA)を断片化して、オーバーハングを有する複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み、それによりアダプターを加える必要がなくなる。dsDNA(例えば、gDNA)を断片化する工程は、dsDNA(例えば、gDNA)を、制限酵素と接触させて、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含むことができ、ここで、複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、捕捉配列を含む。捕捉配列は、5’オーバーハングの配列に相補的であり得る。捕捉配列に相補的な配列は、5’オーバーハングの配列を含み得る。
【0196】
クロマチンアクセシビリティ
図4A~4Bを参照すると、クロマチンアクセシビリティ情報406aを捕捉するために、核452が酵素カッター(例えば、トランスポザーゼ、制限酵素及びCas9)とともにインキュベートされ得、dsDNA(例えば、gDNA)フラグメントに、アダプター432a、432bが付加され得る。切断は、クロマチンが露出される(例えば、最も露出される、平均より露出される及び望ましい程度に露出される)位置において起こり得る。例えば、トランスポザーゼ432は、アダプター432a、432bを、dsDNA(例えば、gDNA)中に挿入し得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、dsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程は、得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメント442の配列及び/又は存在度に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)のクロマチンアクセシビリティ406aを決定する工程を含む。dsDNA(例えば、gDNA)のクロマチンアクセシビリティ442を決定する工程は、複数のssDNAフラグメント442の配列をdsDNA(例えば、gDNA)の参照配列とアラインメントする工程と;複数のssDNAフラグメント442のssDNAフラグメントの末端に対応するdsDNA(例えば、gDNA)の領域がアクセス可能であるか又は一定のアクセシビリティを有するか(例えば、高度にアクセス可能である、平均アクセシビリティを超える及び閾値又は所望の程度を超えるアクセシビリティ)を決定する工程を含み得る。dsDNA(例えば、gDNA)のクロマチンアクセシビリティを決定する工程は、複数のssDNAフラグメントの配列をdsDNA(例えば、gDNA)の参照配列とアラインメントする工程と;シーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントの数に基づいて、複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントの末端に対応するdsDNA(例えば、gDNA)の領域のアクセシビリティを決定する工程とを含み得る。
【0198】
例えば、切断は、クロマチンが平均アクセシビリティを超える位置で起こり得る。ssDNAフラグメントの末端に対応するdsDNA(例えば、gDNA)の領域は、平均アクセシビリティ超を有し得る。dsDNA(例えば、gDNA)のこのような領域は、得られたシーケンシングデータにおける平均存在度超を有し得る。別の例として、dsDNA(例えば、gDNA)は、領域A-領域B1-領域B2-領域Cを含む。領域B1及び領域B2が平均アクセシビリティ超を有する一方、領域A及び領域Cが平均アクセシビリティ未満を有する場合、領域B1及び領域B2が(例えば、領域B1と領域B2との間で)切断され得る一方、領域A及び領域Cは切断されない。シーケンシングデータは、切断が起こる(及びその付近で切断が起こる)領域B1及び領域B2の配列の平均存在度超を含み得る。領域A及び領域Cの配列は、シーケンシングデータ中に存在しないことがある(又は低い存在度を有する)。したがって、dsDNA(例えば、gDNA)のクロマチンアクセシビリティは、複数のssDNAフラグメントのそれぞれの配列及び数に基づいて決定され得る。
【0199】
ゲノム情報
ゲノム情報406bを捕捉するために、核452は、酵素カッターに供し、アダプターを付加する前に、まず試薬に曝されて、ヌクレオソーム構造を消化し得る(408)(例えば、ヌクレオソーム/ヒストンタンパク質を除去するために)。いくつかの実施形態において、dsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程は、得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメント442の配列に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)のゲノム情報406bを決定する工程を含む。本方法は、二本鎖dsDNA(例えば、gDNA)に関連付けられたヌクレオソームを消化する工程408を含み得る。dsDNA(例えば、gDNA)のゲノム情報を決定する工程は、複数のssDNAフラグメント442の配列をdsDNA(例えば、gDNA)の参照配列とアラインメントすることにより、dsDNA(例えば、gDNA)の少なくとも部分配列を決定する工程を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞の全又は部分ゲノムが決定され得る。いくつかの実施形態において、dsDNAは、細胞のゲノムDNA(gDNA)である。いくつかの実施形態において、dsDNAは、細胞小器官、例えばミトコンドリア又は葉緑体のゲノムDNAである。
【0200】
メチローム情報
メチローム情報406cを捕捉するために、dsDNA(例えば、gDNA)フラグメントが捕捉プローブ444によって捕捉され、一本鎖442を保持した後、バイサルファイト処理422を用いて、メチルシトシン塩基454mcをチミン塩基に変化させる。続いて、dsDNA(例えば、gDNA)がRT 424又はDNAポリメラーゼによってコピーされ得る。
【0201】
いくつかの実施形態において、dsDNA(例えば、gDNA)に関する情報を決定する工程は、得られたシーケンシングデータ中の複数のssDNAフラグメント442の配列に基づいてdsDNA(例えば、gDNA)のメチローム情報406cを決定する工程を含む。本方法は、dsDNA(例えば、gDNA)に関連付けられたヌクレオソームを消化する工程408を含み得る。方法400は、複数の一本鎖DNA442のシトシン塩基のバイサルファイト変換422を行って、ウラシル塩基454uを有する複数のバイサルファイト変換されたssDNA 442bを生成する工程を含み得る。複数のssDNAフラグメント442にバーコードを付ける工程424は、複数のバーコード付きssDNAフラグメント446及び/又は又はその相補的配列を生成するために、複数のバーコード444を用いて、複数のバイサルファイト変換されたssDNA 452bにバーコードを付ける工程424を含み得る。メチローム情報406cを決定する工程は、シーケンシングデータにおける複数のssDNAフラグメント442の位置がチミン塩基(又はウラシル塩基454u)を有すること及びdsDNA(例えば、gDNA)の参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有することを決定して、dsDNA(例えば、gDNA)における対応する位置がメチルシトシン塩基454mcを有することを決定する工程を含み得る。
【0202】
いくつかの実施形態において、メチローム情報を決定する工程は、細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーがロードされたdsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼを含むトランスポソームと接触させて、5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程を含む、サンプル解析の方法を含む。本方法は、複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングのそれぞれの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と、複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と、複数のバーコードを用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程と、シーケンシングデータ中の複数のバーコード付きssDNAフラグメントの配列に基づいてdsDNAに関する情報を決定する工程とをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、捕捉配列、細胞標識配列及び分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む粒子上に捕捉する工程をさらに含む。例として、捕捉配列は、ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含み得る。捕捉されたssDNAフラグメントは、メチル化シチジンを含むことができ、ssDNAフラグメント上でバイサルファイト変換反応を行って、メチル化シチジンをチミジンに変換する工程と、ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、チミジンを含むバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、バーコード付きssDNAは、捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含む、工程と、逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はその組合せを用いて、オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、チミジンを含むバーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程と、バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程と、一本鎖配列を増幅する工程とを含み得る。
【0203】
いくつかの実施形態において、メチローム情報を得る工程は、シーケンシングデータにおける複数のssDNAフラグメントの位置がチミン塩基を有すること及びdsDNAの参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有することを決定する工程を含み、複数のssDNAフラグメントのメチル化シトシンのバイサルファイト変換、したがってメチル化シトシン塩基をチミン塩基に変換する工程及び参照配列におけるチミン塩基の対応する位置がシトシン塩基であることを決定する工程を含む。
【0204】
マルチオミクス
いくつかの実施形態において、本方法は、複数のバーコード444を用いて、複数の標的(例えば、核452中の標的)にバーコードを付けて、複数のバーコード付き標的を生成する工程と;バーコード付き標的のシーケンシングデータを得る工程とを含み得る。標的は、mRNA標的、サンプルインデックス付加オリゴヌクレオチド(例えば、全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第15/937,713号明細書(米国特許出願公開第2018/0346970号明細書として公開されている)に記載されている)及びタンパク質発現を決定するためのオリゴヌクレオチド(例えば、全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第15/715028号明細書(米国特許出願公開第2018/0088112号明細書として公開されている)に記載されている)などの核酸標的であり得る。いくつかの実施形態において、ゲノム、クロマチンアクセシビリティ、メチローム、トランスクリプトーム及びプロテオーム情報の2つ以上が単一細胞内で決定され得る。
【0205】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーがロードされたdsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼを含むトランスポソームと接触させて、5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程と、複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングのそれぞれの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と、複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と、複数のバーコードを用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程と、シーケンシングデータ中の複数のバーコード付きssDNAフラグメントの配列に基づいてdsDNAに関する情報を決定する工程とを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞を核酸試薬と接触させる工程であって、核酸試薬は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含み、ここで、細胞は、死細胞であり、核酸結合試薬は、死細胞内の二本鎖DNAに結合する、工程と、死細胞を洗浄して、過剰な核酸試薬を除去する工程と、死細胞を溶解させ、それによって核酸試薬を放出する工程と、核酸試薬にバーコードを付ける工程とをさらに含む。
【0206】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、細胞は、細胞標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体に関連付けられ、バーコードを付ける工程は、細胞標識配列で核酸試薬にバーコードを付ける工程を含む。
【0207】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、固体担体は、細胞標識配列及び異なる分子標識配列をそれぞれ含む複数のオリゴヌクレオチドを含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、バーコード付き核酸試薬をシーケンシングする工程と、核酸試薬のバーコードの存在に基づいて死細胞の存在を決定する工程とをさらに含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、2つ以上の細胞を、異なる細胞標識を含む異なる固体担体にそれぞれ関連付ける工程であって、それにより、2つ以上の細胞のそれぞれは、異なる細胞標識と1対1で関連付けられる、工程をさらに含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、核酸試薬のバーコードに関連付けられたユニークな細胞標識の数に基づいて、サンプル中の死細胞の数を決定する工程をさらに含む。
【0211】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、細胞標識に関連付けられた固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程を含み、この工程は、シーケンシングデータ中の各細胞標識について、細胞標識に関連付けられた最高数の固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程を含む。
【0212】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、細胞は生細胞であり、核酸試薬は、生細胞に入らず、且つしたがって生細胞内の二本鎖DNAに結合しない。
【0213】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、死細胞を、一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられたタンパク質結合試薬と接触させる工程であって、それにより、タンパク質結合試薬は、死細胞のタンパク質に結合する、工程と、一意識別子オリゴヌクレオチドにバーコードを付ける工程とをさらに含む。
【0214】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、抗体、四量体、アプタマー、タンパク質骨格、インベイシン又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、抗体又はそのフラグメント、アプタマー、小分子、リガンド、ペプチド、オリゴヌクレオチド又はそれらの任意の組合せを含む。例として、タンパク質結合試薬は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組み換え抗体、一本鎖抗体(scAb)又はFab、Fv、scFvなどのそのフラグメントを含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。例として、抗体は、Abseq抗体を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る(内容全体が参照により本明細書に援用される、Shahi et al.(2017),Sci Rep.7:44447を参照)。タンパク質結合試薬の一意識別子は、ヌクレオチド配列を含み得る。いくつかの実施形態において、一意識別子は、25~45ヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、一意識別子は、サンプル又は細胞のゲノム配列に一致しない。いくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、一意識別子オリゴヌクレオチドと共有結合的に関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、一意識別子オリゴヌクレオチドと共有結合的に関連付けられ得る。例えば、タンパク質結合試薬は、リンカーを介して一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、リンカーは、オリゴヌクレオチドをタンパク質結合試薬に可逆的に結合する化学基を含み得る。化学基は、例えば、アミン基を介して、リンカーにコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態において、リンカーは、タンパク質結合試薬にコンジュゲートされた別の化学基とともに安定した結合を形成する化学基を含み得る。例えば、化学基は、UV光切断性基、ストレプトアビジン、ビオチン、アミンなどであり得る。いくつかの実施形態において、化学基は、リジンなどのアミノ酸又はN末端上で、第一級アミンを介して、タンパク質結合試薬にコンジュゲートされ得る。オリゴヌクレオチドは、それがタンパク質結合試薬とそのタンパク質標的との間の特異的結合を妨げない限り、タンパク質結合試薬の任意の好適な部位にコンジュゲートされ得る。タンパク質結合試薬が抗体である実施形態において、オリゴヌクレオチドは、抗原結合部位以外のいずれかの場所、例えばFc領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CLドメインなどでの抗体にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態において、各タンパク質結合試薬は、単一のオリゴヌクレオチド分子とコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態において、各タンパク質結合試薬は、2つ以上のオリゴヌクレオチド分子、例えば少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも1,000又はそれを超えるオリゴヌクレオチド分子とコンジュゲートされ得、ここで、オリゴヌクレオチド分子のそれぞれは、同じ一意識別子を含む。
【0215】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、10~100の異なるタンパク質標的を含む群から選択されるか、又は細胞成分結合試薬の細胞成分標的は、10~100の異なる細胞成分標的を含む群から選択される。
【0216】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、炭水化物、脂質、タンパク質、細胞外タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞マーカー、B細胞受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体、腫瘍抗原、受容体、インテグリン、細胞内タンパク質又はそれらの任意の組合せを含む。
【0217】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、細胞表面タンパク質に結合する抗体又はそのフラグメントを含む。
【0218】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、バーコードを付ける工程は、分子標識配列を含むバーコードによるものである。
【0219】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、サンプルの死細胞を核酸試薬と接触させる工程を含む。核酸試薬は、本明細書に記載されるいずれかの核酸薬剤を含むか、それから本質的になるか又はそれからなり得る。例えば、核酸結合剤は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含み得る。例として、バーコードは、本明細書に記載される細胞標識、分子標識及び標的結合領域を含み得る。核酸試薬は、死細胞内の二本鎖DNAに結合し得る。本方法は、例えば、サンプルを遠心分離し、サンプルから流体を吸引し、緩衝液などの新たな流体をサンプルに適用することにより、過剰な核酸試薬を死細胞から洗浄する工程を含み得る。洗浄する工程は、非結合核酸試薬を除去し得る一方、二本鎖DNA結合された核結合試薬は、死細胞の二本鎖DNAに結合されたままであり得る。生細胞について、洗浄する工程は、全てを除去する(又は微量の核酸試薬を除いて全てを除去する)ものと考えられる。本方法は、死細胞を溶解させる工程を含み得る。溶解させる工程は、核酸試薬を死細胞から放出させ得る。例として、死細胞は、洗浄剤(例えば、SDS、ドデシル硫酸Li、Triton X-100、Tween-20若しくはNP-40)、有機溶媒(例えば、メタノール又はアセトン)、消化酵素(例えば、プロテイナーゼK、ペプシン若しくはトリプシン)又はそれらの任意の組合せを含む細胞溶解緩衝液の添加によって溶解され得る。本方法は、本明細書に記載される核酸試薬にバーコードを付ける工程を含み得る。バーコードを付ける工程は、細胞標識で標識される核酸試薬(又はその相補体)のバーコードを含む核酸を生成することができる。任意選択的に、核酸は、分子標識をさらに含み得る。細胞標識は、核酸試薬を、細胞(例えば、死細胞)と1対1で関連付けることができ、分子標識は、単一細胞(例えば、死細胞)に関連付けられた核酸試薬の数を定量するのに使用され得るものと考えられる。
【0220】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、バーコードを付ける工程は、死細胞をビーズなどの固体担体上に捕捉する工程を含み、固体担体は、細胞標識配列及び分子標識配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、各細胞標識配列に関連付けられた固有の分子標識配列の数を決定する工程と、分子標識配列に関連付けられた固有の細胞標識配列の数に基づいて、サンプル中の死細胞の数を決定する工程とをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸試薬のバーコードの存在は、細胞が死細胞であることを示し得る。例えば、いくつかの実施形態において、閾値を超える核酸試薬のバーコードの量は、細胞が死細胞であることを示し得る。閾値は、例えば、検出限界又は陰性対照、例えば既知の生細胞を超える核酸試薬のバーコードの量を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞に関連付けられた核酸試薬の少なくとも10、50、100、500、1000、5000又は10000のバーコードの量は、細胞が死細胞であることを示し得る。
【0222】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、細胞標識に関連付けられた固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程は、シーケンシングデータ中の各細胞標識について、細胞標識に関連付けられた最高数の固有の配列を有する分子標識配列の数を決定する工程を含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、死細胞を、一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられたタンパク質結合試薬と接触させる工程であって、それにより、タンパク質結合試薬は、死細胞のタンパク質に結合する、工程をさらに含む。本方法は、一意識別子オリゴヌクレオチドにバーコードを付ける工程をさらに含み得る。任意選択的に、タンパク質結合試薬は、死細胞を洗浄する前に、死細胞と接触され得る。いくつかの実施形態において、死細胞は、それぞれ一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられた2つ以上の異なるタンパク質結合試薬と接触される。したがって、存在する場合、死細胞の少なくとも2つの異なるタンパク質が異なるタンパク質結合試薬と結合され得る。
【0224】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、同一の配列を有する2つ以上のサンプルインデックス付加オリゴヌクレオチドに関連付けられる。
【0225】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、異なるサンプルインデックス付加配列を有する2つ以上のサンプルインデックス付加オリゴヌクレオチドに関連付けられる。
【0226】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、抗体、四量体、アプタマー、タンパク質骨格、インベイシン又はそれらの組合せを含む。
【0227】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、10~100の異なるタンパク質標的を含む群から選択されるか、又は細胞成分結合試薬の細胞成分標的は、10~100の異なる細胞成分標的を含む群から選択される。
【0228】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、炭水化物、脂質、タンパク質、細胞外タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞マーカー、B細胞受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体、腫瘍抗原、受容体、インテグリン、細胞内タンパク質又はそれらの任意の組合せを含む。
【0229】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、タンパク質結合試薬は、細胞表面タンパク質に結合する抗体又はそのフラグメントを含む。
【0230】
サンプル解析の方法のいくつかの実施形態において、捕捉配列及び捕捉配列に相補的な配列は、少なくとも5ヌクレオチド~約25ヌクレオチド長の相補的核酸の特定の対である。
【0231】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームと接触させる工程を含む。トランスポソームは、5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成するために、捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーがロードされたdsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼを含み得る。本方法は、複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、5’オーバーハングのそれぞれの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。本方法は、複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程を含み得る。本方法は、複数のバーコードを用いて、複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含むことができ、複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び捕捉配列を含む。単一細胞に関連付けられた細胞標識配列の全ては、各単一細胞を細胞標識配列と1対1で関連付けるように同じであり得る。複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み得る。本方法は、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程を含み得る。本方法は、同じ細胞標識配列に関連付けられたユニーク分子標識配列の量に基づいて、細胞内のdsDNAの量を定量する工程を含み得る。
【0232】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、捕捉配列、細胞標識配列及び分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体上に捕捉する工程をさらに含む。捕捉配列は、標的結合配列に相補的なssDNAフラグメントの配列にハイブリダイズする標的結合配列を含み得る。例えば、捕捉配列は、ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含み得る。本方法は、ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。例えば、伸長する工程は、DNAポリメラーゼを用いて行われ得る。バーコード付きssDNAは、捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含み得る。本方法は、逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はそれらの組合せを用いて、オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、バーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程を含み得る。本方法は、バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程を含み得る。本方法は、一本鎖配列を増幅する工程を含み得る。
【0233】
いくつかの実施形態において、サンプル解析の方法は、複数のssDNAフラグメントのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を含む複数のバイサルファイト変換されたssDNAフラグメントを生成する工程をさらに含む。したがって、バーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖が生成される場合、ウラシル塩基に相補的な位置は、(シトシン塩基がメチル化されておらず、したがってバイサルファイト変換プロセス後にシトシンを保持していた場合に予測され得るように、グアニンではなく)アデニンを含むものと考えられる。したがって、相補的DNA鎖上にグアニンを含むことが予測される位置における(グアニンではなく)アデニンの存在がその位置におけるシトシンのメチル化を示し得るものと考えられる。アデニンの存在は、相補的DNA鎖を直接シーケンシングするか又はその相補体をシーケンシングすることによって決定され得る。任意選択的に、配列は、ゲノム参照配列などの参照配列と比較され得る。参照配列は、電子的に保存される参照であり得る。
【0234】
バーコードを付ける工程
いくつかの実施形態において、バーコードを付ける工程424は、細胞416を単一細胞プラットフォームにロードする工程を含む。ssDNAフラグメント442又は核酸は、バーコードを付ける工程のために捕捉配列434にハイブリダイズし得る420。バーコード付きssDNAフラグメント446、相補体、逆相補体446rc又はそれらの組合せは、
図3を参照して記載されるようにシーケンシング前及び/又はシーケンシングのために増幅され得る426。
【0235】
いくつかの実施形態において、バーコードを付ける工程424は、複数のバーコード444を用いて、複数のssDNAフラグメント442又は複数の核酸に確率バーコードを付けて、複数の確率バーコード付きssDNAフラグメント446を生成する工程を含み得る。バーコードを付ける工程424は、粒子456に関連付けられた複数のバーコード444を用いて、複数のssDNAフラグメント442にバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメント446を生成する工程を含むことができ、ここで、粒子456に関連付けられたバーコード444は、同一の細胞標識配列及び少なくとも100の異なる分子標識配列を含む。
【0236】
いくつかの実施形態において、複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子上に固定され得る。複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子上に部分的に固定され得る。複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子に封入され得る。複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、粒子に部分的に封入され得る。粒子は、崩壊性(例えば、溶解性又は分解性)であり得る。粒子は、破裂性ヒドロゲル粒子を含み得る。粒子は、セファロースビーズ、ストレプトアビジンビーズ、アガロースビーズ、磁気ビーズ、コンジュゲートビーズ、プロテインAコンジュゲートビーズ、プロテインGコンジュゲートビーズ、プロテインA/Gコンジュゲートビーズ、プロテインLコンジュゲートビーズ、オリゴ(dT)コンジュゲートビーズ、シリカビーズ、シリカ様ビーズ、抗ビオチンマイクロビーズ、抗蛍光色素マイクロビーズ又はそれらの任意の組合せを含み得る。粒子は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスチレン、ガラス、ポリプロピレン、アガロース、ゼラチン、ヒドロゲル、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、セルロース、ナイロン、シリコーン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含み得る。
【0237】
いくつかの実施形態において、粒子のバーコードは、少なくとも1000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含み得る。粒子のバーコードは、少なくとも10000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含み得る。バーコードの分子標識は、ランダム配列を含み得る。粒子は、少なくとも10000のバーコードを含み得る。
【0238】
複数のssDNAフラグメントにバーコードを付ける工程は、複数のssDNAフラグメントを、複数のバーコードの捕捉配列と接触させる工程と;複数のバーコードを用いて、複数のssDNAを転写して、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程とを含み得る。本方法は、複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る前に、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを増幅して、複数の増幅されたバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程を含み得る。複数のバーコード付きssDNAフラグメントを増幅する工程は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってバーコード付きssDNAフラグメントを増幅する工程を含み得る。
【0239】
核酸試薬
いくつかの実施形態において、核酸試薬は、捕捉配列、バーコード、プライマー結合部位及び二本鎖DNA結合剤を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。核酸試薬のバーコードは、識別子配列を含むことができ、これは、バーコードが核酸試薬に関連付けられることを示す。任意選択的に、本明細書に記載される方法及びキットによれば、異なる分子核酸試薬は、異なるバーコード配列を含み得る。核酸は、本明細書に記載されるサンプル解析の方法のいずれかに使用され得る。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載される核酸試薬を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。任意選択的に、キットは、本明細書に記載される固体担体(例えば、粒子)をさらに含む。本明細書に記載される複数のバーコードは、固体担体上に固定され得る。
【0240】
いくつかの実施形態の核酸試薬600の例が
図6に示される。核酸試薬600は、二本鎖DNA結合剤610を含み得る。核酸試薬600は、プライマー結合部位620、例えばPCRハンドルを含み得る。核酸試薬600は、バーコード630を含み得る。バーコードは、一意識別子配列を含み得る。核酸試薬600は、捕捉配列640、例えばポリ(A)テールを含み得る。
【0241】
いくつかの実施形態において、核酸試薬は、原形質膜不透過性である。理論によって制約されるものではないが、このような核酸試薬は、無傷の細胞膜を通過することができず(又はわずかな微量が無傷の細胞膜を通過することができる)、したがって、生細胞の核に入らない(又は微量以上が生細胞の核に入らない)ものと考えられる。対照的に、死細胞の細胞膜は無傷でないため、核酸試薬は、死細胞の核に入ることができる。いくつかの実施形態において、核酸試薬は、死細胞に特異的に結合するように構成され、核酸試薬は、生細胞に結合しない。
【0242】
核酸試薬のいくつかの実施形態において、捕捉配列は、ポリ(A)領域を含む。
【0243】
核酸試薬のいくつかの実施形態において、プライマー結合部位は、ユニバーサルプライマー結合部位を含む。
【0244】
いくつかの実施形態において、核酸試薬を細胞に結合する方法が記載される。本方法は、サンプルの細胞を核酸試薬で標識する工程を含み得る。過剰な核酸試薬は、洗い流され得る。任意選択的に、細胞は、本明細書に記載される1つ以上のバーコード、例えば一意識別子配列に関連付けられたタンパク質結合試薬、例えばAbseq抗体でも標識される。次に、細胞は、バーコードが上に固定された粒子に関連付けられ得る。細胞の核酸(例えば、mRNA)及び/又は一意識別子配列(Abseq抗体などのタンパク質結合試薬の)及び細胞の核結合試薬は、例えば、固体担体上に固定されたか又は区画中で単一細胞標識に関連付けられ得る。核酸は、本明細書に記載される単一細胞標識及び分子標識でバーコードを付けられ得る。バーコード付き核酸のライブラリーが作製され得る。ライブラリーは、シーケンシングされ得る。細胞のタンパク質及び/又は核酸の数についての情報を提供することに加えて、シーケンシングは、核酸試薬(又は核酸試薬の閾値量)が細胞に関連付けられたかどうかについての情報を提供することができることが留意される。核酸試薬と細胞との関連付け又は核酸試薬の閾値量(例えば、核酸試薬の少なくとも10、50、100、500、1000、5000又は10000の分子)と細胞との関連付けは、細胞が死細胞であることを示し得る。
【0245】
様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態が当業者に明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、例示を目的としたものであり、限定を意図したものではなく、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲により示される。
【0246】
当業者は、本明細書に開示されるこの及び他のプロセス及び方法について、これらのプロセス及び方法において実施される機能が異なる順序で実施され得ることを理解するであろう。さらに、概説した工程及び操作は、あくまでも例として示され、工程及び操作の一部は、開示される実施形態の本質から逸脱することなく、任意選択的であり、組み合わせて、より少ない工程及び操作にするか又は追加工程及び操作に拡張することができる。
【0247】
本明細書における実質的に全ての複数形及び/又は単数形の用語の使用に関連して、文脈上及び/又は適用上適切であれば、当業者は、複数形から単数形へ及び/又は単数形から複数形への変換が可能である。明確にするために様々な単数形/複数形の置き換えが本明細書に明示的に記載され得る。
【0248】
一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の主部)において使用される用語が「オープン」な用語であることが一般に意図されることが当業者によって理解されるであろう(例えば、「含む」という用語は、「限定はされないが、含む」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「限定はされないが、含む」と解釈されるべきであるなど)。特定数の導入クレームレシテーションが意図される場合、このような意図は、請求項に明示的に記載され、このような記載の不在下では、このような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、クレームレシテーションを導入するために導入語句「少なくとも1つの」及び「1つ以上」の使用を含み得る。しかしながら、このような語句の使用は、同じ請求項が導入語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」及び「1つの(a)」又は「1つの(an)」などの不定冠詞を含む場合でも(例えば、「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味するものと解釈されるべきである)、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」によるクレームレシテーションの導入は、このような導入クレームレシテーションを含む任意の特定の請求項を、1つのみのこのような記載を含む実施形態に限定することを意味するものと解釈されるべきではなく;同じことは、クレームレシテーションを導入するのに使用される定冠詞の使用についても当てはまる。さらに、特定数の導入クレームレシテーションが明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載された数を意味する(例えば、他の修飾語を含まない、「2つの記載」の最低限の記載は、少なくとも2つの記載又は2つ以上の記載を意味する)と解釈されるべきであることを認識するであろう。さらに、「A、B及びCなどの少なくとも1つ」に類似した条件が使用される場合、一般に、このような構成は、当業者がその条件を理解する意味であることが意図される(例えば、「A、B及びCの少なくとも1つを有する系」は、限定はされないが、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、且つ/又はA、B及びCを一緒に有する系などを含むであろう)。「A、B又はCなどの少なくとも1つ」に類似した条件が使用される場合、一般に、このような構成は、当業者がその条件を理解する意味であることが意図される(例えば、「A、B又はCの少なくとも1つを有する系」は、限定はされないが、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、且つ/又はA、B及びCを一緒に有する系などを含むであろう)。2つ以上の代替用語を表す実質的に全ての離接語及び/又は語句は、本明細書、特許請求の範囲又は図面中にかかわらず、用語の1つ、用語のいずれか又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」若しくは「B」又は「A及びB」の可能性を含むことが理解されるであろう。
【0249】
さらに、本開示の特徴又は態様がマーカッシュグループに関して記載される場合、当業者は、本開示がマーカッシュグループの任意の個々のメンバー又はサブグループに関してもそれによって記載されることを認識するであろう。
【0250】
当業者によって理解されるように、あらゆる目的のために、例えば明細書の提供に関して、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる可能な部分範囲及びその部分範囲の組合せも包含する。いずれの列挙された範囲も、同一範囲が少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などされ得ることを十分に記載し、可能にすることが容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書に記載される各範囲は、下3分の1、中3分の1及び上3分の1などに容易に分けられ得る。当業者によってさらに理解されるように、「~まで」、「少なくとも」などの全ての文言は、記載される数を含み、上記の部分範囲に続いて分けられ得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、それぞれの個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1、2又は3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4又は5個の細胞を有する群を指すなどである。
【0251】
上記から、本開示の様々な実施形態が例示の目的のために本明細書に記載されていること及び様々な変更形態が本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなくなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本明細書に開示される様々な実施形態は、限定を意図したものではなく、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、前記5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数のオーバーハングDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列を検出する工程と;
シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列に基づいて、前記dsDNA配列を、dsDNAを含む前記構造に関連付ける情報を決定する工程と
を含む方法。
〔2〕前記複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、前記5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と;
前記複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と
をさらに含み、前記ssDNAフラグメントは、バーコードを付けられ、それによって前記DNAフラグメントにバーコードを付ける、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)から複数の核酸フラグメントを生成する工程であって、前記複数の核酸フラグメントのそれぞれは、捕捉配列、前記捕捉配列の相補体、前記捕捉配列の逆相補体又はそれらの組合せを含む、工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列を検出する工程と
を含む方法。
〔4〕前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの配列に基づいて、前記dsDNA配列を、前記dsDNAを含む構造に関連付ける情報を決定する工程をさらに含む、前記〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記複数の核酸フラグメントを生成する工程は、
前記dsDNAを、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び前記捕捉配列を含むアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、前記捕捉配列に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程
を含む、前記〔3〕又は〔4〕に記載の方法。
〔6〕前記複数の核酸フラグメントを生成する工程は、
前記dsDNAを、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、前記5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程と;
前記5’オーバーハングを含む前記複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、前記5’オーバーハングの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と
を含む、前記〔3〕又は〔4〕に記載の方法。
〔7〕前記バーコード付きDNAフラグメントは、バーコード付き一本鎖DNAである、前記〔3〕~〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕前記複数の相補的dsDNAフラグメントのいずれもオーバーハングを含まない、前記〔1〕又は〔6〕に記載の方法。
〔9〕前記アダプターは、トランスポゾンのDNA末端配列を含む、前記〔1〕、〔2〕又は〔5〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕前記二本鎖ヌクレアーゼは、Tn5トランスポザーゼなどのトランスポザーゼを含む、前記〔1〕又は〔5〕~〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕前記複数の核酸フラグメントを生成する工程は、前記dsDNAを断片化して、複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含む、前記〔3〕~〔10〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕前記dsDNAを断片化する工程は、前記dsDNAを制限酵素と接触させて、平滑末端をそれぞれ有する前記複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、平滑末端を含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、5’オーバーハング及び/又は3’オーバーハングを含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔15〕前記複数のdsDNAフラグメントのいずれも平滑末端を含まない、前記〔11〕に記載の方法。
〔16〕前記dsDNAを断片化する工程は、前記dsDNAをCas9又はCas12aなどのCRISPR関連タンパク質と接触させて、前記複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔17〕前記複数の核酸フラグメントを生成する工程は、
捕捉配列に相補的な配列を含むアダプターの2つのコピーを前記複数のdsDNAフラグメントに付加して、複数の核酸フラグメントを生成する工程
を含む、前記〔11〕~〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕前記アダプターの前記2つのコピーを付加する工程は、前記アダプターの前記2つのコピーを前記複数のdsDNAフラグメントにライゲートして、前記アダプターを含む前記複数の核酸フラグメントを生成する工程を含む、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記捕捉配列は、ポリ(dT)領域を含む、前記〔1〕~〔18〕のいずれか一項に記載の方法。
〔20〕前記捕捉配列に相補的な前記配列は、ポリ(dA)領域を含む、前記〔2〕又は〔5〕~〔18〕のいずれか一項に記載の方法。
〔21〕前記dsDNAを断片化する工程は、前記dsDNAを制限酵素と接触させて、前記複数のdsDNAフラグメントを生成する工程を含み、前記複数のdsDNAフラグメントの少なくとも1つは、前記捕捉配列を含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔22〕前記捕捉配列は、前記5’オーバーハングの配列に相補的である、前記〔14〕に記載の方法。
〔23〕前記捕捉配列に相補的な前記配列は、前記5’オーバーハングの前記配列を含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔24〕前記dsDNAは、前記接触中に核内にある、前記〔1〕~〔23〕のいずれか一項に記載の方法。
〔25〕前記核を透過処理して、透過処理された核を生成する工程を含む、前記〔24〕に記載の方法。
〔26〕前記核を透過処理する前に、前記核を含む細胞を固定する工程を含む、前記〔25〕に記載の方法。
〔27〕前記複数の核酸フラグメントを変性して、複数のssDNAフラグメントを生成する工程を含み、前記複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、前記複数のバーコードを用いて、前記複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含む、前記〔5〕~〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔28〕前記アダプターは、プロモータ配列を含む、前記〔5〕~〔27〕のいずれか一項に記載の方法。
〔29〕前記複数の核酸フラグメントを生成する工程は、インビトロ転写を用いて、前記複数のdsDNAフラグメントを転写して、複数のリボ核酸(RNA)分子を生成する工程を含み、前記複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、前記複数のRNA分子にバーコードを付ける工程を含む、前記〔28〕に記載の方法。
〔30〕前記プロモータ配列は、T7プロモータ配列を含む、前記〔28〕又は〔29〕に記載の方法。
〔31〕前記dsDNA配列を前記構造に関連付ける前記情報を決定する工程は、得られた前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの前記配列に基づいて、前記dsDNAのクロマチンアクセシビリティを決定する工程を含む、前記〔1〕、〔2〕又は〔4〕~〔30〕のいずれか一項に記載の方法。
〔32〕前記dsDNAの前記クロマチンアクセシビリティを決定する工程は、
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの前記配列を前記dsDNAの参照配列とアラインメントする工程と;
前記複数のバーコード付きDNAフラグメントのバーコード付きDNAフラグメントの末端に対応する前記dsDNAの領域を、閾値を超えるアクセシビリティを有するものと同定する工程と
を含む、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記dsDNAの前記クロマチンアクセシビリティを決定する工程は、
前記複数のssDNAフラグメントの配列を前記dsDNAの参照配列とアラインメントする工程と;
前記シーケンシングデータ中の前記複数のssDNAフラグメントの前記ssDNAフラグメントの数に基づいて、前記複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントの末端に対応する前記dsDNAの領域のアクセシビリティを決定する工程と
を含む、前記〔31〕に記載の方法。
〔34〕前記dsDNAに関する前記情報を決定する工程は、得られた前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの前記配列に基づいて前記dsDNAのゲノム情報を決定する工程を含む、前記〔1〕、〔2〕又は〔4〕~〔30〕のいずれか一項に記載の方法。
〔35〕前記dsDNAに関連付けられたヌクレオソームを消化する工程をさらに含む、前記〔34〕に記載の方法。
〔36〕前記dsDNAの前記ゲノム情報を決定する工程は、前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの前記配列を前記dsDNAの参照配列とアラインメントすることにより、前記dsDNAの少なくとも部分配列を決定する工程を含む、前記〔34〕又は〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記dsDNA配列を、dsDNAを含む前記構造に関連付ける前記情報を決定する工程は、得られた前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの前記配列に基づいて前記dsDNAのメチローム情報を決定する工程を含む、前記〔1〕、〔2〕又は〔4〕~〔36〕のいずれか一項に記載の方法。
〔38〕前記細胞の前記dsDNAに関連付けられたヌクレオソームを消化する工程をさらに含む、前記〔37〕に記載の方法。
〔39〕前記複数のオーバーハングDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメントの複数の一本鎖DNAのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を含む複数のバイサルファイト変換されたssDNAを生成する工程をさらに含む、前記〔37〕又は〔38〕に記載の方法。
〔40〕前記複数のオーバーハングDNAフラグメントにバーコードを付ける工程又は前記複数の核酸フラグメントにバーコードを付ける工程は、前記複数のバーコードを用いて、複数のバイサルファイト変換されたssDNAにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程を含む、前記〔39〕に記載の方法。
〔41〕前記メチローム情報を決定する工程は、
前記シーケンシングデータ中の前記複数のバーコード付きDNAフラグメントの位置がチミン塩基を有するかどうか及び前記dsDNAの参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有するかどうかを決定して、前記dsDNAにおける前記対応する位置がメチルシトシン塩基を有することを決定する工程
を含む、前記〔37〕~〔40〕のいずれか一項に記載の方法。
〔42〕前記バーコードを付ける工程は、
前記複数のバーコードを用いて、前記複数のDNAフラグメント又は前記複数の核酸フラグメントに確率バーコードを付けて、複数の確率バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程
を含む、前記〔1〕~〔41〕のいずれか一項に記載の方法。
〔43〕前記バーコードを付ける工程は、
粒子に関連付けられた前記複数のバーコードを用いて、前記複数のDNAフラグメント又は複数の核酸フラグメントにバーコードを付けて、前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程
を含み、前記粒子に関連付けられた前記バーコードは、同一の細胞標識配列及び少なくとも100の異なる分子標識配列を含む、前記〔1〕~〔41〕のいずれか一項に記載の方法。
〔44〕前記複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、前記粒子上に固定される、前記〔43〕に記載の方法。
〔45〕前記複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、前記粒子上に部分的に固定される、前記〔43〕に記載の方法。
〔46〕前記複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、前記粒子に封入される、前記〔43〕に記載の方法。
〔47〕前記複数のバーコードの少なくとも1つのバーコードは、前記粒子に部分的に封入される、前記〔43〕に記載の方法。
〔48〕前記粒子は、崩壊性である、前記〔44〕~〔47〕のいずれか一項に記載の方法。
〔49〕前記粒子は、崩壊性ヒドロゲル粒子を含む、前記〔44〕~〔47〕のいずれか一項に記載の方法。
〔50〕前記粒子は、セファロースビーズ、ストレプトアビジンビーズ、アガロースビーズ、磁気ビーズ、コンジュゲートビーズ、プロテインAコンジュゲートビーズ、プロテインGコンジュゲートビーズ、プロテインA/Gコンジュゲートビーズ、プロテインLコンジュゲートビーズ、オリゴ(dT)コンジュゲートビーズ、シリカビーズ、シリカ様ビーズ、抗ビオチンマイクロビーズ、抗蛍光色素マイクロビーズ又はそれらの任意の組合せを含む、前記〔43〕~〔49〕のいずれか一項に記載の方法。
〔51〕前記粒子は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスチレン、ガラス、ポリプロピレン、アガロース、ゼラチン、ヒドロゲル、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、セファロース、セルロース、ナイロン、シリコーン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料を含む、前記〔43〕~〔50〕のいずれか一項に記載の方法。
〔52〕前記粒子の前記バーコードは、少なくとも1000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含む、前記〔43〕~〔51〕のいずれか一項に記載の方法。
〔53〕前記粒子の前記バーコードは、少なくとも10000の異なる分子標識配列を有する分子標識を含む、前記〔43〕~〔52〕のいずれか一項に記載の方法。
〔54〕前記バーコードの前記分子標識は、ランダム配列を含む、前記〔42〕~〔53〕のいずれか一項に記載の方法。
〔55〕前記粒子は、少なくとも10000のバーコードを含む、前記〔43〕~〔54〕のいずれか一項に記載の方法。
〔56〕前記複数のssDNAフラグメントにバーコードを付ける工程は、
前記複数のssDNAフラグメントを前記複数のバーコードの前記捕捉配列と接触させる工程と;
前記複数のバーコードを用いて、前記複数のssDNAを転写して、前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程と
を含む、前記〔42〕~〔55〕のいずれか一項に記載の方法。
〔57〕前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントの前記シーケンシングデータを得る前に、前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントを増幅して、複数の増幅されたバーコード付きDNAフラグメントを生成する工程を含む、前記〔42〕~〔56〕のいずれか一項に記載の方法。
〔58〕前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントを増幅する工程は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって前記バーコード付きssDNAフラグメントを増幅する工程を含む、前記〔57〕に記載の方法。
〔59〕前記複数のバーコードを用いて、前記核の複数の標的にバーコードを付けて、複数のバーコード付き標的を生成する工程と;
前記バーコード付き標的のシーケンシングデータを得る工程と
を含む、前記〔1〕~〔58〕のいずれか一項に記載の方法。
〔60〕前記細胞からの前記dsDNAは、核DNA、核小体DNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、構築物DNA、ウイルスDNA又は前記列挙された項目の2つ以上の組合せからなる群から選択される、前記〔1〕~〔59〕のいずれか一項に記載の方法。
〔61〕前記5’オーバーハングは、ポリdT配列を含む、前記〔1〕、〔2〕又は〔4〕~〔60〕のいずれか一項に記載の方法。
〔62〕前記複数のバーコード付きDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、前記捕捉配列、前記細胞標識配列及び前記分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む粒子上に捕捉する工程であって、前記捕捉配列は、前記ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含み、前記捕捉されたssDNAフラグメントは、メチル化シチジンを含む、工程と;
前記ssDNAフラグメントにおいてバイサルファイト変換反応を行って、前記メチル化シチジンをチミジンに変換する工程と;
前記ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、前記チミジンを含む前記バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記バーコード付きssDNAは、前記捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含む、工程と;
逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はその組合せを用いて、前記オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、前記チミジンを含む前記バーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程と;
前記バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程と;
前記一本鎖配列を増幅する工程と
をさらに含む、前記〔2〕、〔7〕又は〔9〕~〔61〕のいずれか一項に記載の方法。
〔63〕前記シーケンシングデータ中のssDNAフラグメントの位置が前記バイサルファイト変換反応後にチミン塩基を有するかどうか及び前記dsDNAの参照配列における対応する位置がシトシン塩基を有するかどうかを決定し、それによって前記ssDNAフラグメントの前記位置がメチル化シトシンを含むことを示す工程をさらに含む、前記〔62〕に記載の方法。
〔64〕前記トランスポソームの前記二本鎖ヌクレアーゼは、トランスポザーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、CRISPR関連タンパク質、二本鎖特異的ヌクレアーゼ又はこれらの組合せからなる群から選択される、前記〔1〕若しくは〔2〕又は〔5〕~〔63〕のいずれか一項に記載の方法。
〔65〕前記トランスポソームは、抗体若しくはそのフラグメント、アパトタマー又はdsDNAを含む前記構造に結合するDNA結合ドメインをさらに含む、前記〔1〕若しくは〔2〕又は〔5〕~〔64〕のいずれか一項に記載の方法。
〔66〕前記トランスポソームは、リガーゼをさらに含む、前記〔1〕若しくは〔2〕又は〔5〕~〔65〕のいずれか一項に記載の方法。
〔67〕捕捉配列と;
バーコードと;
プライマー結合部位と;
二本鎖DNA結合剤と
を含む核酸試薬。
〔68〕原形質膜不透過性である、前記〔67〕に記載の核酸試薬。
〔69〕死細胞に特異的に結合するように構成される、前記〔67〕又は〔68〕に記載の核酸試薬。
〔70〕生細胞に結合しない、前記〔67〕又は〔68〕に記載の核酸試薬。
〔71〕前記捕捉配列は、ポリ(A)領域を含む、前記〔67〕~〔70〕のいずれか一項に記載の核酸試薬。
〔72〕前記プライマー結合部位は、ユニバーサルプライマー結合部位を含む、前記〔67〕~〔71〕のいずれか一項に記載の核酸試薬。
〔73〕細胞を核酸試薬と接触させる工程であって、前記核酸試薬は、
捕捉配列;
バーコード;
プライマー結合部位;及び
二本鎖DNA結合剤
を含み、前記細胞は、死細胞であり、前記核酸結合試薬は、前記死細胞内の二本鎖DNAに結合する、工程と;
前記死細胞を洗浄して、過剰な前記核酸結合試薬を除去する工程と;
前記死細胞を溶解させ、それによって前記核酸結合試薬を放出する工程と;
前記核酸結合試薬にバーコードを付ける工程と
をさらに含む、前記〔1〕~〔66〕のいずれか一項に記載の方法。
〔74〕前記細胞は、細胞標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体に関連付けられ、バーコードを付ける工程は、前記細胞標識配列で前記核酸結合試薬にバーコードを付ける工程を含む、前記〔73〕に記載の方法。
〔75〕前記固体担体は、前記細胞標識配列及び異なる分子標識配列をそれぞれ含む複数の前記オリゴヌクレオチドを含む、前記〔74〕に記載の方法。
〔76〕前記バーコード付き核酸結合試薬をシーケンシングする工程と;
前記核酸試薬の前記バーコードの存在に基づいて死細胞の存在を決定する工程と
をさらに含む、前記〔73〕~〔75〕のいずれか一項に記載の方法。
〔77〕2つ以上の細胞を、異なる細胞標識を含む異なる固体担体にそれぞれ関連付ける工程であって、それにより、前記2つ以上の細胞のそれぞれは、異なる細胞標識と1対1で関連付けられる、工程をさらに含む、前記〔73〕~〔76〕のいずれか一項に記載の方法。
〔78〕核酸試薬のバーコードに関連付けられたユニークな前記細胞標識の数に基づいて、サンプル中の死細胞の数を決定する工程をさらに含む、前記〔77〕に記載の方法。
〔79〕前記細胞標識に関連付けられた固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程は、前記シーケンシングデータ中の各細胞標識について、前記細胞標識に関連付けられた最高数の固有の配列を有する分子標識配列及び前記コントロールバーコード配列の数を決定する工程を含む、前記〔73〕~〔78〕のいずれか一項に記載の方法。
〔80〕前記核酸結合試薬は、生細胞に入らず、且つしたがって前記生細胞内の二本鎖DNAに結合しない、前記〔67〕~〔71〕のいずれか一項に記載の方法。
〔81〕死細胞を、一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられたタンパク質結合試薬と接触させる工程であって、それにより、前記タンパク質結合試薬は、前記死細胞のタンパク質に結合する、工程と;
前記一意識別子オリゴヌクレオチドにバーコードを付ける工程と
をさらに含む、前記〔73〕~〔80〕のいずれか一項に記載の方法。
〔82〕前記タンパク質結合試薬は、抗体、四量体、アプタマー、タンパク質骨格、インベイシン又はそれらの組合せを含む、前記〔81〕に記載の方法。
〔83〕前記タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、10~100の異なるタンパク質標的を含む群から選択されるか、又は前記細胞成分結合試薬の細胞成分標的は、10~100の異なる細胞成分標的を含む群から選択される、前記〔81〕又は〔82〕に記載の方法。
〔84〕前記タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、炭水化物、脂質、タンパク質、細胞外タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞マーカー、B細胞受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体、腫瘍抗原、受容体、インテグリン、細胞内タンパク質又はそれらの任意の組合せを含む、前記〔81〕~〔83〕のいずれか一項に記載の方法。
〔85〕前記タンパク質結合試薬は、細胞表面タンパク質に結合する抗体又はそのフラグメントを含む、前記〔81〕~〔84〕のいずれか一項に記載の方法。
〔86〕前記バーコードを付ける工程は、分子標識配列を含むバーコードによるものである、前記〔73〕~〔85〕のいずれか一項に記載の方法。
〔87〕サンプル解析の方法であって、
サンプルの死細胞を核酸結合試薬と接触させる工程であって、前記核酸結合試薬は、
捕捉配列;
バーコード;
プライマー結合部位;及び
二本鎖DNA結合剤
を含み、前記核酸結合試薬は、前記死細胞内の二本鎖DNAに結合する、工程と;
過剰な核酸結合試薬を前記死細胞から除去する工程と;
前記死細胞を溶解させ、それによって前記死細胞から前記核酸結合試薬を放出する工程と;
前記核酸結合試薬にバーコードを付ける工程と
を含む方法。
〔88〕バーコードを付ける工程は、前記死細胞をビーズなどの固体担体上に捕捉する工程を含み、前記固体担体は、細胞標識配列及び分子標識配列を含む、前記〔87〕に記載の方法。
〔89〕各細胞標識配列に関連付けられた固有の分子標識配列の数を決定する工程と;
分子標識配列に関連付けられた固有の細胞標識配列の数に基づいて、前記サンプル中の死細胞の数を決定する工程と
をさらに含む、前記〔87〕又は〔88〕に記載の方法。
〔90〕前記細胞標識に関連付けられた固有の配列を有する分子標識配列及びコントロールバーコード配列の数を決定する工程は、
シーケンシングデータ中の各細胞標識について、前記細胞標識に関連付けられた最高数の固有の配列を有する分子標識配列の数を決定する工程
を含む、前記〔87〕~〔89〕のいずれか一項に記載の方法。
〔91〕死細胞を、一意識別子オリゴヌクレオチドに関連付けられたタンパク質結合試薬と接触させる工程であって、それにより、前記タンパク質結合試薬は、前記死細胞のタンパク質に結合する、工程と;
前記一意識別子オリゴヌクレオチドにバーコードを付ける工程と
をさらに含む、前記〔79〕~〔90〕のいずれか一項に記載の方法。
〔92〕前記タンパク質結合試薬は、同一の配列を有する2つ以上のサンプルインデックス付加オリゴヌクレオチドに関連付けられる、前記〔87〕~〔91〕のいずれか一項に記載の方法。
〔93〕前記タンパク質結合試薬は、異なるサンプルインデックス付加配列を有する2つ以上のサンプルインデックス付加オリゴヌクレオチドに関連付けられる、前記〔87〕~〔92〕のいずれか一項に記載の方法。
〔94〕前記タンパク質結合試薬は、抗体、四量体、アプタマー、タンパク質骨格、インベイシン又はそれらの組合せを含む、前記〔88〕~〔93〕のいずれか一項に記載の方法。
〔95〕前記タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、10~100の異なるタンパク質標的を含む群から選択されるか、又は前記細胞成分結合試薬の細胞成分標的は、10~100の異なる細胞成分標的を含む群から選択される、前記〔88〕~〔94〕のいずれか一項に記載の方法。
〔96〕前記タンパク質結合試薬のタンパク質標的は、炭水化物、脂質、タンパク質、細胞外タンパク質、細胞表面タンパク質、細胞マーカー、B細胞受容体、T細胞受容体、主要組織適合性複合体、腫瘍抗原、受容体、インテグリン、細胞内タンパク質又はそれらの任意の組合せを含む、前記〔88〕~〔95〕のいずれか一項に記載の方法。
〔97〕前記タンパク質結合試薬は、細胞表面タンパク質に結合する抗体又はそのフラグメントを含む、前記〔88〕~〔96〕のいずれか一項に記載の方法。
〔98〕サンプル解析の方法であって、
細胞からの二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、トランスポソームであって、dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ及び捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピーを含むトランスポソームと接触させて、前記5’オーバーハングの2つのコピーをそれぞれ含む複数のオーバーハングdsDNAフラグメントを生成する工程と;
前記複数のオーバーハングdsDNAフラグメントをポリメラーゼと接触させて、前記5’オーバーハングのそれぞれの少なくとも一部に相補的な配列をそれぞれ含む複数の相補的dsDNAフラグメントを生成する工程と;
前記複数の相補的dsDNAフラグメントを変性して、複数の一本鎖DNA(ssDNA)フラグメントを生成する工程と;
複数のバーコードを用いて、前記複数のssDNAフラグメントにバーコードを付けて、複数のバーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記複数のバーコードのそれぞれは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードは、同一の細胞標識配列を含む、工程と;
前記複数のバーコード付きssDNAフラグメントのシーケンシングデータを得る工程と;
同じ細胞標識配列に関連付けられたユニーク分子標識配列の量に基づいて、前記細胞内の前記dsDNAの量を定量する工程と
を含む方法。
〔99〕前記複数のssDNAフラグメントのssDNAフラグメントを、前記捕捉配列、前記細胞標識配列及び前記分子標識配列を含むオリゴヌクレオチドを含む固体担体上に捕捉する工程であって、前記捕捉配列は、前記ssDNAフラグメント上のポリAテールに結合するポリdT配列を含む、工程と;
前記ssDNAフラグメントを5’-3’方向に伸長して、前記バーコード付きssDNAフラグメントを生成する工程であって、前記バーコード付きssDNAは、前記捕捉配列、分子標識配列及び細胞標識配列を含む、工程と;
逆転写酵素若しくはポリメラーゼ又はそれらの組合せを用いて、前記オリゴヌクレオチドを5’-3’方向に伸長して、前記バーコード付きssDNAに相補的な相補的DNA鎖を生成する工程と;
前記バーコード付きssDNA及び相補的DNA鎖を変性して、一本鎖配列を生成する工程と;
前記一本鎖配列を増幅する工程と
をさらに含む、前記〔98〕に記載の方法。
〔100〕前記複数のssDNAフラグメントのシトシン塩基のバイサルファイト変換を行って、ウラシル塩基を含む複数のバイサルファイト変換されたssDNAフラグメントを生成する工程をさらに含む、前記〔100〕に記載の方法。
〔101〕前記構築物DNAは、プラスミド、クローニングベクター、発現ベクター、ハイブリッドベクター、ミニサークル、コスミド、ウイルスベクター、BAC、YAC及びHACからなる群から選択される、前記〔60〕に記載の方法。
〔102〕サンプル中の構築物DNAの量は、1~約1×10
6
個の構築物DNAの範囲である、前記〔101〕に記載の方法。
〔103〕前記dsDNAは、ウイルスDNAを含み、ウイルスDNAの単一細胞負荷は、約1×10
2
~1×10
6
の範囲である、前記〔60〕に記載の方法。
〔104〕単一細胞解析を含む、前記〔1〕~〔103〕のいずれか一項に記載の方法。
〔105〕サンプル解析のためのキットであって、
トランスポソームであって、
dsDNAを含む構造における二本鎖DNA切断を誘導するように構成された二本鎖ヌクレアーゼ;及び
捕捉配列を含む5’オーバーハングを有するアダプターの2つのコピー
を含むトランスポソームと;
複数のバーコードであって、各バーコードは、細胞標識配列、分子標識配列及び前記捕捉配列を含むことができ、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、異なる分子標識配列を含み、前記複数のバーコードの少なくとも2つは、同一の細胞標識配列を含む、複数のバーコードと
を含むキット。
〔106〕前記二本鎖ヌクレアーゼは、トランスポザーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、CRISPR関連タンパク質、二本鎖特異的ヌクレアーゼ(DSN)又はこれらの組合せを含む、前記〔105〕に記載のキット。
〔107〕前記トランスポソームは、リガーゼをさらに含む、前記〔105〕又は〔106〕に記載のキット。
〔108〕前記複数のバーコードは、少なくとも10、50、100、500、1000、5000、10000、50000又は100000の異なる分子標識を含む、前記〔105〕~〔107〕のいずれか一項に記載のキット。
〔109〕前記バーコードは、粒子上に固定される、前記〔105〕~〔108〕のいずれか一項に記載のキット。
〔110〕各粒子上に固定された前記バーコードの全ては、同じ細胞標識配列を含み、異なる粒子は、異なる細胞標識配列を含む、前記〔109〕に記載のキット。
〔111〕前記バーコードは、基材のウェル中に分けられる、前記〔105〕~〔108〕のいずれか一項に記載のキット。
〔112〕各ウェル中に分けられた前記バーコードの全ては、同じ細胞標識配列を含み、異なるウェルは、異なる細胞標識配列を含む、前記〔111〕に記載のキット。