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特許7407129溶融塩による化学物質および電力への天然ガスの変換
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】溶融塩による化学物質および電力への天然ガスの変換
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/05 20170101AFI20231221BHJP
   B01J 21/10 20060101ALI20231221BHJP
   B01J 23/10 20060101ALI20231221BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20231221BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20231221BHJP
   B01J 27/10 20060101ALI20231221BHJP
   B01J 27/125 20060101ALI20231221BHJP
   B01J 27/138 20060101ALI20231221BHJP
   C01B 3/24 20060101ALI20231221BHJP
   C01B 3/26 20060101ALI20231221BHJP
   C01B 32/16 20170101ALI20231221BHJP
   C01B 32/184 20170101ALI20231221BHJP
   C01B 32/205 20170101ALI20231221BHJP
【FI】
C01B32/05
B01J21/10 M
B01J23/10 M
B01J23/745 M
B01J23/755 M
B01J27/10 M
B01J27/125 M
B01J27/138 M
C01B3/24
C01B3/26
C01B32/16
C01B32/184
C01B32/205
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2020565424
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019032205
(87)【国際公開番号】W WO2019226416
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】62/674,268
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクファーランド エリック ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】アプハム チェス
(72)【発明者】
【氏名】パーマー クラーク
(72)【発明者】
【氏名】スー シーザオ
(72)【発明者】
【氏名】マンニーニ ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ラヒミ ナザニン
(72)【発明者】
【氏名】カン ドヒョン
(72)【発明者】
【氏名】メティウ ホーリア
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン マイケル
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106966360(CN,A)
【文献】特表2017-512736(JP,A)
【文献】特開昭63-211273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00 - 32/991
B01J 21/00 - 38/74
C01B 3/00 - 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素を含む供給ストリームを槽内に供給するステップであって、前記槽内に溶融塩混合物および固体反応性成分が位置するステップと;
前記槽内で前記炭化水素を反応させるステップと;
前記炭化水素前記固体反応性成分との前記反応に基づいて、固体炭素および気相生成物を含む反応生成物を生成するステップであって、前記反応生成物の生成によって酸化炭素が生成されないステップと;
前記反応生成物を前記溶融塩混合物と接触させるステップと;
前記溶融塩混合物から前記気相生成物を分離するステップと;
前記溶融塩混合物から前記固体炭素を分離して、固体炭素生成物を生成するステップと;
を含むことを特徴とする反応方法。
【請求項2】
請求項1に記載の反応方法であって、
前記固体炭素が、前記溶融塩混合物に溶媒和される、運搬される、または同伴されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の反応方法であって、
前記溶融塩混合物を熱流体として使用して、前記槽内で前記供給ストリームおよび前記溶融塩混合物と熱を交換するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記供給ストリームが前記溶融塩混合物に吹き込まれ、前記方法が、
前記供給ストリームの前記溶融塩混合物への吹き込みに基づいて、前記槽から前記固体炭素および前記溶融塩混合物を排出するステップ
をさらに含み、
前記溶融塩混合物から前記固体炭素を分離するステップが、前記固体炭素および前記溶融塩混合物が前記槽から排出された後に行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記溶融塩混合物から前記固体炭素を分離するステップが、
前記固体炭素および前記溶融塩混合物をフィルターに通し、前記固体炭素を前記フィルター上に保持すること;
前記固体炭素および前記溶融塩混合物の密度の違いを使用して、前記溶融塩混合物から前記固体炭素を分離すること;または
固体移送デバイスを使用して、前記溶融塩混合物から前記固体炭素を第2の槽に物理的に除去すること;
の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記溶融塩混合物上の層として前記固体炭素を分離するステップ;または
前記固体炭素および前記溶融塩混合物を固化して固化塩混合物を生成し、前記固化塩混合物から塩を溶液中に溶解して前記固体炭素を分離するステップ;
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記溶融塩混合物が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、Mg、Ca、Mn、Zn、La、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、S、またはNOの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記固体反応性成分が活性金属成分を含み、前記活性金属成分は、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、Fe、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記固体反応性成分が、前記溶融塩混合物内に位置する固体を含み、活性成分が、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、固体炭素、またはそれらの任意の組合せを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記固体反応性成分が、Ni、Fe、Co、Ru、Ce、MoC、WC、SiC、MgO、CaO、Al、MgF、CaF、またはそれらの任意の組合せを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記固体反応性成分が、前記溶融塩混合物中の固体金属粒子、または前記溶融塩混合物中の担持構造上に位置する固体金属成分の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記固体反応性成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、前記溶融塩混合物が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
槽内で炭化水素を含む供給ストリームを固体活性金属成分と接触させるステップと;
前記槽内で前記供給ストリームを前記固体活性金属成分と反応させるステップと;
前記槽内での前記供給ストリームと前記固体活性金属成分との前記反応に基づいて炭素を生成するステップであって、前記炭素が酸化炭素を生成することなく生成されるステップと;
前記固体活性金属成分を溶融塩混合物と接触させるステップと;
前記溶融塩混合物を使用して前記炭素の少なくとも一部を溶媒和させるステップと;
前記溶融塩混合物から前記炭素を分離して、炭素生成物を生成するステップと;
を含むことを特徴とする反応方法。
【請求項14】
請求項13に記載の反応方法であって、
前記槽内の前記溶融塩混合物を使用して前記固体活性金属成分から前記炭素を除去するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の反応方法であって、
前記溶融塩混合物を熱流体として使用して、前記槽内で前記供給ストリームおよび前記固体活性金属成分と熱を交換するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記供給ストリームが前記固体活性金属成分の周りに吹き込まれることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記溶融塩混合物上の固体層として前記炭素を分離するステップ;または
前記溶融塩混合物を固化して固化塩混合物を生成し、前記固化塩混合物から塩を水溶液中に溶解して前記炭素を分離するステップ;
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記槽内での前記供給ストリームと前記固体活性金属成分との前記反応に基づいて水素を生成するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記固体活性金属成分が、Ni、Fe、Co、Ru、Ce、Mn、Zn、Al、それらの塩、またはそれらの任意の混合物の少なくとも1つを含み、前記溶融塩混合物が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
記固体活性金属成分は、前記溶融塩混合物中の固体金属粒子、または前記溶融塩混合物中の担持構造上に位置する固体金属成分の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記固体活性金属成分が、担持構造上に位置する固体金属成分を含み、前記担持構造は、シリカ、アルミナ、またはジルコニアの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項13に記載の方法であって、
前記溶融塩混合物が、LiOHと混合されたLiI、KBrと混合されたNiBr、溶融NaClと乳化されたNi-Bi、LiOHと混合されたLiI、アルミナに担持された担持溶融LiFの充填層を有するCsBr、MnCl、MnClおよびKBr、MnClおよびNaCl、LiBrおよびKBrの共融混合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項13に記載の方法であって、
前記溶融塩混合物が、固相の少なくとも1種の塩を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項13に記載の方法であって、
固体活性成分が、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、固体炭素、またはそれらの任意の組合せを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
炭化水素ガスから炭素を生成するためのシステムであって、
溶融塩混合物、および前記溶融塩混合物内に位置する固体活性金属成分を含む反応槽と;
前記反応槽への供給ストリーム入口であって、供給ストリームを前記反応槽に導入するように構成される供給ストリーム入口と;
実質的に純粋な天然ガスである炭化水素を含む供給ストリームと;
前記反応槽内に位置する固体炭素であって、前記反応槽内の炭化水素の反応生成物である固体炭素と;
前記反応槽から前記固体炭素を除去するように構成される生成物出口と;
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、
前記供給ストリーム入口が、前記供給ストリームを前記反応槽内の前記溶融塩混合物に吹き込むように構成されることを特徴とするシステム
【請求項27】
請求項25に記載のシステムであって、
記供給ストリーム入口が、前記固体活性金属成分の下の前記反応槽のより低い部分に位置付けられ、活性成分が、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、固体炭素、またはそれらの任意の組合せを含むことを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項25に記載のシステムであって、
第2の槽をさらに備え、前記生成物出口が、前記第2の槽の入口に流体カップリングし、前記生成物出口が、前記反応槽から前記固体炭素および前記溶融塩混合物を受容して、前記溶融塩混合物から前記固体炭素を分離するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、
前記生成物出口が、前記反応槽の上部セクションにあることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28に記載のシステムであって、
前記第2の槽と前記反応槽の入口との間の流体連通を提供するように構成される第2の槽出口をさらに備え、前記第2の槽出口は、分離された前記溶融塩混合物を受容して、前記分離された溶融塩混合物を前記反応槽の前記入口に返送するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項25に記載のシステムであって、
前記生成物出口が、前記溶融塩混合物上の層として前記固体炭素を分離するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項25に記載のシステムであって、
前記溶融塩混合物が、前記固体炭素の密度以上の密度を有することを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項25に記載のシステムであって、
前記固体炭素が、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または炭素繊維の少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項25に記載のシステムであって、
前記溶融塩混合物が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、Mg、Ca、Mn、Zn、La、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、S、またはNOの少なくとも1つであることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項25に記載のシステムであって、
前記固体活性金属成分が、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、Ce、Fe、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つであることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項25に記載のシステムであって、
前記固体活性金属成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、前記溶融塩混合物が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項25に記載のシステムであって、
前記固体活性金属成分が、前記溶融塩混合物中の固体金属粒子、または前記溶融塩混合物中の担持構造上に位置する固体金属成分の少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年5月21日出願の米国仮特許出願第62/674,268号、名称「Natural Gas Conversion to Chemicals and Power with Molten Salts」の優先権を主張し、その全体を本願に引用して援用する。
【0002】
(連邦政府資金による研究開発に関する記述)
本発明は、US DOE BESにより授与された助成金番号DE-FG02-89ER14048の下で政府援助によりなされた。政府は本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、反応器から炭素を除去するために溶融塩を使用した、天然ガスからの化学物質および固体炭素の製造に関する。本発明はまた、天然ガス、石油、およびそれらの成分を含む他の炭化水素原料からの水素および固体炭素の製造に関する。本発明はまた、広範には、触媒を有する溶融塩環境中での生成物からの反応物質の反応分離に関する。本発明はまた、固体炭素の除去が可能な溶融塩環境中で、二酸化炭素を生成することなく天然ガスから熱および蒸気を生成することに関する。より詳細には、本開示は、溶融塩の存在により固体炭素の除去が容易化された、反応器内で水素および炭素含有分子を水素ガスおよび固体炭素に変換するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0004】
現在、工業用水素は、主に蒸気メタン改質(SMR)プロセスを使用して生成され、反応器からの生成物流出物は、所望の水素生成物だけでなく、酸化炭素ガス(CO/CO2)および未変換メタンを含む他のガス種も含有する。輸送または貯蔵のための水素の分離、および改質器への再循環のためのメタンの分離は、圧力スイング吸着(PSA)ユニットで行われるが、これはコストがかかりエネルギー集約的な分離である。一般に、酸化炭素は環境に放出される。この分離プロセスは、反応後の独立したユニットとして存在する。全般的に、プロセスは大量の二酸化炭素を生成する。天然ガスはまた、酸素との燃焼によって電力を生成するために広く使用され、これもまた大量の二酸化炭素を生成する。
【0005】
メタン熱分解は、水素および固体炭素を生成する手段として使用され得る。
【化1】
の反応は平衡により制限され、工業生産に必要なおよそ5~40barの圧力および1100℃未満の温度ではメタン変換率が比較的低い。これまで調査されてきた多くの戦略が、最近、金属、金属強化炭素(metal enhanced carbon)、および活性炭を含む固体触媒に焦点を置いたRenewable and Sustainable Energy Reviews 44 (2015) 221~256、Applied Catalysis A General 359(1~2):1~24 2009年5月、Energy & Fuels 1998、12、41~48頁および一般的な水素生成のための炭化水素の触媒分解に関する技術を評価したTopics in Catalysis 第37巻、第2~4号、2006年4月、137~145頁においてレビューされており、その結論は、固体触媒の急速な失活(再賦活ステップを必要とする)、ならびにプラズマ型システムにおける高い電力要件および生成された水素の低い圧力を指摘している。これらの同じ技術の他のレビューは、International Journal of Hydrogen Energy 24 (1999)、613~624頁、およびInternational Journal of Hydrogen Energy 35 (2010)、1160~1190頁を含む。
【0006】
米国特許第9,061,909号は、炭化水素源からのカーボンナノチューブおよび水素の生成を開示している。炭素は固体触媒上で生成され、炭素は「分離ガス」を使用して除去されると報告されている。
【0007】
1920年代には、非常に高温でメタンを熱的に分解して炭素を生成することが説明されている(J. Phys. Chem., 1924、28(10)、1036~1048頁)。この手法に続いて、米国特許第6,936,234号は、2100~2400℃での高温プロセスにおいて触媒を使用せずにメタンを固体グラファイト炭素に変換するための方法を開示している。加熱方法、または炭素を除去するための方法は開示されていない。
【0008】
米国特許第6,936,234号は、2100~2400℃での高温プロセスにおいて触媒を使用せずにメタンを固体グラファイト炭素に変換するための方法を開示している。加熱方法、または炭素を除去するための方法は開示されていない。
【0009】
米国特許第9,776,860号は、化学ループサイクルで炭化水素を固体グラファイト炭素に変換するための方法を開示しており、炭化水素は溶融金属塩(例えば金属塩化物)で脱水素化されて、還元金属(例えばNi)、固体炭素、および水素含有中間体(例えばHCl)を生成する。次いで、中間体を金属と反応させて金属塩および水素分子を再形成させるように反応条件が変更される。
【0010】
米国特許第4,187,672号および米国特許第4,244,180号では、石炭から生成された炭素の溶媒として溶融鉄が使用されており、次いで炭素は、一部は酸化鉄により、また一部は酸素の導入により酸化される。石炭は、溶融鉄等の溶融金属浴中で1200~1700℃の温度で気化され得る。蒸気が注入されて炭素と吸熱反応し、さもなくば熱くなる反応を抑える。この開示は、異なる炭化および酸化反応チャンバを維持する。米国特許第4,574,714号および米国特許第4,602,574号は、製鋼設備で利用されているような金属またはスラグ浴中に有機廃棄物を酸素と共に注入することにより、有機廃棄物を破壊するための方法を説明している。ナーゲル(Nagel)らは、米国特許第5,322,547号および米国特許第5,358,549号において、金属含有成分の金属を化学的に還元して溶解した中間体を形成する物質を含む溶融金属浴中に有機廃棄物を誘導することを説明している。溶解した中間体の金属を還元するために第2の還元剤が添加され、それにより間接的に金属成分が化学的に還元される。いくつかの異なる技術を使用して、天然ガス、バイオマスおよび蒸気等の炭化水素原料から水素ガスが生成され得る。
【0011】
オオカネ(Okane)らによる米国特許第4,388,084号は、石炭、酸素および蒸気を約1500℃の温度で溶融鉄上に注入することにより石炭を気化させるための方法を開示している。酸化性金属種を使用した蒸気の還元による水素の製造もまた知られている。例えば、米国特許第4,343,624号は、3段階水素生成方法および蒸気酸化プロセスを利用した装置を開示している。米国特許第5,645,615号は、石炭等の炭素および水素含有供給物を、浸漬ランス(submerged lance)を使用して供給物を溶融金属中に注入することにより分解するための方法を開示している。米国特許第6,110,239号は、水素および酸化炭素を生成する炭化水素気化方法を説明しており、溶融金属が同じ反応器内の異なるゾーンに移送される。
【0012】
メタンを溶融金属と接触させて固体炭素および水素を生成することが、以前にEnergy & Fuels 2003、17、705~713頁で説明されている。この以前の研究では、溶融スズ、および炭化ケイ素粒子を懸濁させた溶融スズが反応環境として使用された。著者は、粒子を非触媒伝熱媒体中のスズ溶融物に添加した際の滞留時間の増加に起因して熱化学プロセスがメタン変換を増加させたと報告している。より最近では、メタン熱分解の反応媒体として再び溶融スズが利用され(Int. J. Hydrogen Energy 40、14134~14146 (2015))、金属は、気相水素からの固体炭素生成物の分離を可能にする非触媒伝熱媒体として機能した。
【0013】
発電のための化学ループ燃焼
炭化水素の選択的部分酸化のための触媒としてのハロゲン化物塩の使用は、酸素の存在下で実証されている。例えば、米国特許第3,080,435号に記載のように、広範な炭化水素を脱水素するためにヨウ化物塩が使用されている。参照された特許において、酸素はヨウ化物塩と反応して元素ヨウ素を生成し、一方これが気相で飽和炭化水素と反応して、不飽和化合物およびヨウ化水素を生成する。ヨウ化水素は塩と反応して再びヨウ化物を生成し、触媒化学ループサイクルが完了する。脱水素生成物は気相にとどまり、プロセスは継続して進行する。
【0014】
高温伝熱流体としての溶融塩の使用は、本技術分野において説明されており、熱抽出が溶融塩原子炉、濃縮された太陽加熱塩(concentrated solar heated salt)、および他の発熱反応から実証されている。例えば、米国特許第2,692,234号は、高温での熱伝達のための溶融媒体を説明しており、WO2012093012A1は、太陽熱用途の溶融塩を説明しており、米国特許第3,848,416号は、原子炉における熱の伝達および貯蔵のための溶融塩の使用を説明している。参照された特許において、液体媒体は、1つの槽から別の槽へ容易に移動可能な伝熱物質として機能する。
【0015】
溶融媒体中での炭化水素分解反応からの炭素の連続的除去が、米国特許第5,767,165号においてスタインバーグ(Steinburg)により報告されており、メタンは液体スズの気泡塔に供給される。メタンは炭素および水素に分解し、炭素は表面に浮遊し、そこで除去され得る。炭化水素の熱分解から生成された炭素はまた、分解が生じる溶融媒体中に溶解することが示されている。例えば、米国特許第4,574,714号は、溶融金属浴中での有機廃棄物の分解を開示している。酸素もまた添加され、生成された炭素は溶融物中に部分的に溶解する。
【0016】
塩を使用して、メタンを変換し炭素および水素のストリームを分離するための複数段階の方法が、米国特許第9,776,860号に参照される。参照される方法では、メタンは塩化ニッケルと接触し、ニッケル金属、炭素および塩化水素が生成される。別個のステップにおいて、より低温で塩化水素およびニッケル金属が反応し、塩化ニッケルおよび水素を形成する。塩化ニッケルが昇華する別のより高温の反応器内で、炭素および塩化ニッケルが分離される。
【0017】
メタンおよび酸素から炭素および蒸気への気相変換が、レボルディノス(Rebordinos)により報告されている(International Journal of Hydrogen Energy 42、4710~4720)。参照される研究では、メタンおよび臭素が反応して炭素および臭化水素を形成し、これが別の反応器に流動して炭素が分離される。次いで臭化水素は別の反応器内で酸素と反応し、蒸気を生成し、臭素を再生する。このプロセスは、複数の反応器、および反応器間のエネルギー集約的な分離を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許第9,061,909号明細書
【文献】米国特許第6,936,234号明細書
【文献】米国特許第9,776,860号明細書
【文献】米国特許第4,187,672号明細書
【文献】米国特許第4,244,180号明細書
【文献】米国特許第4,574,714号明細書
【文献】米国特許第4,602,574号明細書
【文献】米国特許第5,322,547号明細書
【文献】米国特許第5,358,549号明細書
【文献】米国特許第4,388,084号明細書
【文献】米国特許第4,343,624号明細書
【文献】米国特許第5,645,615号明細書
【文献】米国特許第6,110,239号明細書
【文献】米国特許第3,080,435号明細書
【文献】米国特許第2,692,234号明細書
【文献】国際特許出願公開第2012/093012号パンフレット
【文献】米国特許第3,848,416号明細書
【文献】米国特許第5,767,165号明細書
【非特許文献】
【0019】
【文献】Renewable and Sustainable Energy Reviews 44 (2015) 221~256
【文献】Applied Catalysis A General 359(1~2):1~24 2009年5月
【文献】Energy & Fuels 1998、12、41~48頁
【文献】Topics in Catalysis 第37巻、第2~4号、2006年4月、137~145頁
【文献】International Journal of Hydrogen Energy 24 (1999)、613~624頁
【文献】International Journal of Hydrogen Energy 35 (2010)、1160~1190頁
【文献】J. Phys. Chem., 1924、28(10)、1036~1048頁
【文献】Energy & Fuels 2003、17、705~713頁
【文献】Int. J. Hydrogen Energy 40、14134~14146 (2015)
【文献】International Journal of Hydrogen Energy 42、4710~4720
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
いくつかの実施形態において、反応方法は、炭化水素を含む供給ストリームを槽内に供給するステップと、槽内で供給ストリームを反応させるステップと、供給ストリームと溶融塩混合物との接触に基づいて、固体炭素および気相生成物を生成するステップと、溶融塩混合物から気相生成物を分離するステップと、溶融塩混合物から固体炭素を分離して、固体炭素生成物を生成するステップとを含む。槽は溶融塩混合物を含み、溶融塩混合物は反応性成分を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、反応方法は、槽内で炭化水素を含む供給ストリームを活性金属成分と接触させるステップと、槽内で供給ストリームを活性金属成分と反応させるステップと、槽内での供給ストリームと活性金属成分との反応に基づいて炭素を生成するステップと、反応性金属成分を溶融塩混合物と接触させるステップと、溶融塩混合物を使用して炭素の少なくとも一部を溶媒和させるステップと、溶融塩混合物から炭素を分離して、炭素生成物を生成するステップとを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、炭化水素ガスから炭素を生成するためのシステムは、溶融塩混合物を含む反応槽と、反応槽への供給ストリーム入口と、炭化水素を含む供給ストリームと、反応槽内に位置する固体炭素と、反応槽から炭素を除去するように構成される生成物出口とを備える。溶融塩混合物は、活性金属成分および溶融塩混合物を含む。供給ストリーム入口は、供給ストリームを反応槽に導入するように構成され、固体炭素は、反応槽内の炭化水素の反応生成物である。
【0023】
これらの、および他の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて以下の発明を実施するための形態からより明確に理解される。
【0024】
ここで、本開示のより完全な理解のために、添付の図面および発明を実施するための形態と併せて以下の簡単な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】主に水素および炭素を含む分子を含有するガスを、固体炭素生成物および気相化学物質に変換するための全体的プロセスの実施形態の略図である。
図2】固体炭素および水素ガスを生成する触媒活性を含む溶融塩充填槽に天然ガスストリームが吹き込まれている実施形態の略図である。
図3】A~C:主反応器から分離システムに炭素を含有する溶融塩を運ぶ気泡リフトポンプ(bubble lift pump)を示す実施形態の略図および写真である。
図4】反応器から除去するためのスクリューオーガーに固体炭素を移動させる別個のセクションを有する溶融塩熱分解反応器の実施形態の略図である。
図5】固体炭素が濾過され、炭素を同伴させ固体-ガス分離システムに移動させるために高速ガスストリームが使用される別個のセクションを有する溶融塩熱分解反応器の実施形態の略図である。
図6】担持触媒反応器内でのメタン熱分解の略図である。担持触媒は異なってもよく、また周囲環境として使用される溶融塩と不混和性であってもよい。周囲の溶融塩は、堆積した任意の炭素種を湿潤および除去し、容易な除去のために表面に移動させることができる。
図7】溶融反応性金属の上に溶融塩を循環させるための気泡リフト反応器構成の略図である。メタンと反応性金属との接触により形成された炭素は、塩ループで分離され得る。
図8】溶融塩と2つの異なるガスとの並流循環を可能にする直列の2つの溶融塩気泡塔の略図である。一方のガスは反応性であってもよく、もう一方は直接接触により熱を交換するために使用されてもよい。
図9】溶融金属および溶融塩がエマルジョンを形成し得、一方の相が反応性材料であることを示す略図である。
図10】天然ガス熱分解ユニットとガスタービンおよび発電機との組合せとしての、電力生成のための連続的方法の略図である。
図11】メタンおよび酸素が溶融塩気泡塔に供給され、熱から炭素、蒸気および電気を生成する実施形態の略図である。
図12】LiI-LiOHを使用してヨウ素ガスを生成し、これがメタンと反応して炭素およびヨウ化水素を形成する、1つの塩の対および1種のハロゲンの提案される反応経路を示す図である。
図13】一般反応スキームが異なるガスが供給される3つの反応器にどのように分割され得るかを示す図である。
図14】溶融塩反応器内の天然ガスからのCOの別個のストリームを伴う水素および電力の2段階生成を示す図である。天然ガスは1つの溶融塩槽に吹き込まれ、1000℃で水素ガスおよび固体炭素に熱分解され得る。固体炭素は溶融塩でインターカレートされてスラリーを形成し、次いでこれが別個の槽に供給されて、酸素中で燃焼される。次いで新鮮な塩が第1の反応槽にリサイクルされる。
図15】炭化水素含有ガスが溶融塩を含む反応器に導入されて、低密度固体炭素および水素ガスを生成する例示的プロセスの略図である。
図16】溶融アルカリ-ハロゲン化物二成分塩:(A)KCl、(B)KBr、(C)NaCl、(D)NaBr中のメタン熱分解のメタン変換率対温度[℃]を示す、実施例2においてさらに説明されるデータである。
図17】実施例3に使用される、1000℃での溶融(A)KCl、(B)KBr、(C)NaCl、および(D)NaBr中のメタン変換率(fractional methane conversion)対時間を示すデータである。
図18】純粋メタン供給物(A)、ならびに2体積%の炭化水素添加物:(B)エタン、(C)プロパン、(D)アセチレン、および(E)ベンゼンを含むメタンの、KCl気泡塔反応器で異なる炭化水素添加物を使用した場合のメタン変換率対温度[℃]を示す図である。
図19】純粋メタン供給物(A)、ならびに1体積%(B)、2体積%(C)、および5体積%(D)のエタンが添加されたメタンの、KCl気泡塔反応器でエタンを添加した場合のメタン変換率対温度[℃]を示す図である。
図20】実施例4で説明されるように、純粋メタン供給物(A)、ならびに1体積%(B)、2体積%(C)、および5体積%(D)のプロパンが添加されたメタンの、KCl気泡塔反応器でプロパンを添加した場合のメタン変換率対温度[℃]を示す図である。
図21】炭化水素含有ガスが触媒溶融塩を含む反応器に導入され、固体炭素および水素ガスを生成する例示的プロセスの概略図である。
図22】溶融塩反応器内に異なる組成の塩化カリウムおよび塩化マンガン混合物を含む場合のメタン変換率対温度を示す、実施例5で説明されるデータである。
図23】純粋な溶融塩化カリウムおよび塩化カリウム-マンガンの溶融塩混合物からの炭素の結晶化度を示す、実施例5で説明されるデータである。
図24】炭化水素含有ガスが、塩化カリウムまたはマグネシウムおよび酸化マグネシウム粒子を含む溶融塩粒子スラリーを含む反応器に導入され、固体炭素および水素ガスを生成する例示的プロセスの概略図である。
図25】溶融塩-酸化マグネシウムスラリー反応器でのメタン変換率対温度を示す、実施例6で説明されるデータである。
図26】水素含有ガスが、塩化鉄および塩化カリウムを含む塩混合物を含む反応器に導入されて塩化鉄を還元し、鉄ナノ/ミクロン粒子が組み込まれた溶融塩化カリウムを生成する例示的プロセスの概略図である。
図27】炭化水素含有ガスが、鉄ナノ/ミクロン粒子が組み込まれた溶融塩化カリウムを含む反応器に導入され、固体炭素および水素ガスを生成する例示的プロセスの概略図である。
図28】溶融塩反応器内に異なる重量分率の鉄ナノ/ミクロン粒子含む場合のメタン変換率対温度を示す、実施例7で説明されるデータである。
図29】炭化水素含有ガスが三相溶融塩充填層反応器に導入される例示的プロセスの概略図である。
図30】三相溶融塩充填層反応器でのメタン変換率対温度を示す、実施例8で説明されるデータである。
図31A】より低密度の塩を含む溶融塩反応器を示す略図である。
図31B】より高密度の塩を含む溶融塩反応器を示す略図である。
図32A】塩中に含浸された球状固体触媒が左に示された、メタン熱分解のための溶融塩充填反応器の略図である。
図32B】固体Ni球が1000℃の塩中に含浸された溶融臭化物塩の写真が示される。
図32C】実施例10で説明されるように、反応器の頂部に炭素の蓄積を示す、数時間処理後のものが示されている。
図33A】実施例11で説明されるように、コークス化Ni箔を示した写真である。
図33B】実施例11で説明されるように、溶融塩で炭素を洗い流した後のものを示した写真である。
図34A】還元ガスが遷移金属ハロゲン化物を含有する溶融塩を含む反応器に導入され、溶融塩中に分散した固体遷移金属を生成する例示的プロセスの概略図である。
図34B】炭化水素含有ガスが溶融塩中に分散された固体触媒を含む反応器に導入されて、低密度固体炭素および水素ガスを生成する例示的プロセスの概略図である。
図35】溶融塩および固体コバルト粒子からなる反応器が室温に冷却された後の溶融塩の表面から収集された炭素の走査型電子顕微鏡画像である。
図36A】コバルト粒子および冷却された塩の走査型電子顕微鏡画像である。
図36B】冷却された塩から抽出されたコバルト粒子の高解像度透過型電子顕微鏡画像である。
図37A】気泡によるリフト作用がどのようにして反応器の頂部に炭素を蓄積させ得るかを示す図である。
図37B】気泡によるリフト作用がどのようにして反応器の頂部に炭素を蓄積させ得るかを示す図である。
図38A】冷却し、破壊して開き、炭素蓄積を示した後の石英気泡塔の、実施例13で説明される写真である。
図38B】冷却し、破壊して開き、炭素蓄積を示した後の石英気泡塔の、実施例13で説明される写真である。
図39】(A)TiO(10wt%)の添加、(B)CeO(10wt%)の添加、(C)金属酸化物なしでの溶融塩混合物におけるメタン変換率を示す、実施例14で収集および説明されるデータである。
図40】1050℃で99時間のメタン分解反応における時間の関数としてのメタン変換率の、実施例15で説明されるデータである。1.25gのNi担持触媒(Al/SiO上に65wt%のNi投入)が、25gのNaBr(49mol%)-KBr(51mol%)溶融塩中に分散している。メタン流速は14SCCMである。
図41】実施例15で説明される溶融塩に懸濁された固体触媒でのメタン分解からの炭素生成物の走査型電子顕微鏡画像である。
図42】実施例15で説明される溶融塩に懸濁された固体触媒でのメタン分解からの炭素生成物のラマン分光データである。
図43】実施例16で説明される活性溶融塩を含む気泡塔反応器内での、温度の関数としてのメタン変換率のデータである。
図44】実施例16で説明される冷却後の気泡塔反応器の内側の写真である。
図45】実施例16で説明される分解反応温度の関数としての固体MgF表面上でのメタンの測定されたターンオーバー頻度を示す図である。
図46】実施例17で説明されるメタン変換のための触媒としての溶融塩気化ガスの使用の略図である。
図47】実施例17で説明される特定の溶融塩の気化ガスによるメタン変換率のデータである。
図48】実施例18で説明される溶融塩の触媒気化ガスから気相触媒がどのように生じるかを示す略図である。
図49】実施例18で説明される特定の溶融塩の気化ガスによるメタン変換率のデータである。
図50】実施例20で説明される触媒環境として溶融塩および溶融金属混合物のエマルジョンがどのように使用され得るかを示す図である。
図51】流動反応器システムを有する実施例23および24の実験構成を示す図である。
図52】酸素変換を示す、実施例23で使用される質量分析計からの実験結果を示す図である。
図53】実施例23で説明される、メタン変換、酸素変換、および炭素領域への選択性がプロットされた、メタンおよび酸素が1:1 LiI-LiOH気泡塔に供給される実験からの結果を示す図である。
図54】実施例23で説明される反応速度測定からの実験結果を示す図である。
図55A】実施例24で説明される変換の実験結果を示す図である。
図55B】実施例24で説明される変換の実験結果を示す図である。
図56】実施例24で説明される、ヨウ化物塩の気泡塔にヨウ化メチルが送られた実験における変換率および選択性実験データを示す図である。
図57】実施例24で説明される反応速度モデリング結果を示す図である。
図58】実施例24で説明される気相で酸素およびヨウ素と反応するメタンからの実験データを示す図である。
図59】実施例25で説明される2:1 Br:CHがNiBr-KBrに吹き込まれたメタンおよび臭素の反応からの実験結果を示す図である。
図60】実施例26で説明されるLiI-LiOH気泡塔の表面における炭素の1組の走査型電子顕微鏡画像である。
図61】実施例26の実験からのラマン分光結果を示す図である。
図62A】実施例25で説明される、臭化メチルのNiBr-KBr-LiBrの気泡塔への送出からの実験結果を示す図である。
図62B】実施例25で説明される、臭化メチルのNiBr-KBr-LiBrの気泡塔への送出からの実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
天然ガスから水素または電力への変換は、今日では、大量の二酸化炭素を生成するプロセスを使用して商業的に実践されている。国際社会では二酸化炭素排出の低減が求められているため、天然ガスを使用して、二酸化炭素を生成することなく水素または電力を生成するコスト効率的なプロセスを見出すことが望まれている。本発明のシステムおよび方法は、二酸化炭素を生成しない代わりに固体炭素を生成する、天然ガスまたは他の化石炭化水素から水素ならびに/または電力用の熱および蒸気への変換を可能にする。
【0027】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、天然ガス、または主に水素および炭素原子を含む他の分子もしくは分子の混合物から、容易に取り扱うことができ、雰囲気中で二酸化炭素を形成するのが防止され得る固体炭素生成物、および気相副生成物への転換に基づく。いくつかの実施形態において、副生成物は、燃料または化学物質として使用され得る水素である。この場合の全体的プロセスは熱分解と呼ばれ、
【化2】
である。いくつかの実施形態において、副生成物は、発電に使用され得る蒸気である。この第2の場合の全体的反応は、以下のように行われる:
【化3】
【0028】
多くの実施形態による本発明のシステムおよび方法は、溶融塩を含む触媒環境の使用により、炭素および水素を含むガスから水素および固体炭素を含む化学物質への転換の以前の試みを大幅に改善する手法を示し、固体炭素は、既知のものよりもはるかに低いコストで、また実用上容易な様式で溶融塩により運ばれて反応器から除去され得る。
【0029】
本明細書で開示されるシステムおよび方法は、化学量論的酸化炭素を生成することなく水素もしくは他の化学物質および/または電力の同時生成を伴う天然ガスから固体炭素への転換のための溶融塩を含む反応器内の新規な高温触媒環境の調製および使用を教示する。様々な実施形態は、天然ガスから炭素が生成され、気相化学副生成物と共に溶融媒体から分離され得る連続的方法、ならびに炭素を除去するための反応器および方法を含む。いくつかの実施形態において、メタンまたは他の軽質炭化水素ガスは、触媒と共に溶融塩を含む反応器システムに供給され、反応して化学生成物として炭素および分子水素を生成する。反応は吸熱反応であり、反応器に熱が与えられる。塩は優れた伝熱媒体であり、反応器への熱伝達を容易にするために使用され得る。いくつかの実施形態において、メタンまたは他の軽質炭化水素ガスおよび酸素が反応器システムに供給され、酸素がハロゲン化物塩の存在下で反応して炭素および水を生成する。この実施形態において、反応は発熱反応であり、熱(および蒸気)が除去され、電力を生成するために使用され得る。溶融塩の特定の使用は、生成熱の除去を容易にする。各プロセスにおいて、炭素はプロセス中固体として分離および除去され得る。
【0030】
本明細書で開示される方法は、二酸化炭素を一切生成せずに炭素および水素を含む分子を固体炭素および化学生成物ならびに/または熱エネルギーに転換する従来の手法を阻害する主要な障害をほとんど、または全て克服し得る。すなわち、特定の溶融塩の使用によって、固体炭素が形成および蓄積され、溶融塩と共に除去され得る。生成された炭素は、容易に清浄化されて大量の残留塩を除去され得、触媒塩または塩中の触媒の使用によって、反応速度は速く、商業的に許容される反応器サイズが可能となる。さらに、本明細書に記載の新規反応器構成を展開することによって、塩中で移動する炭素が除去され得る。本発明のシステムおよび方法は、新規な実施形態において独特の組合せの溶融塩により天然ガスから固体炭素、化学生成物、および/または電力を生成することが可能となった、高温反応および固体分離環境を利用する。
【0031】
本明細書において実証されるように、純粋または実質的に純粋な(例えば反応に影響しない少量の不純物を説明している)天然ガスが、特定組成の高温溶融塩に吹き込まれて、炭素および水素を含む分子を固体炭素および分子水素に熱的に分解し得る。固体炭素生成物は塩中に懸濁され得、これは連続的方法中に(例えば動作停止なしに)容易に除去され得る。固体炭素からの塩の分離は容易であり、清浄な炭素の生成、および経済的に許容される塩の全体的損失を可能にする。
【0032】
他の実施形態において、天然ガスは、反応ネットワークに関与するハロゲン化物塩環境に酸素と同時供給され得る。酸素とハロゲン化物との急速な反応は、酸化炭素形成を抑制し、アルキル-ハロゲン化物中間体を介した固体炭素および蒸気への容易な天然ガス変換を可能にする。
【0033】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の様々なシステムおよび方法は、溶融物系の触媒活性により脱水素反応が促進され、生成された固体炭素が気相化学生成物から分離され得るように反応分離が生じる環境中で脱水素される炭化水素分子(天然ガスに含有されるアルカンを含む)の制御された反応を可能にする独特の触媒特性を有する溶融塩を主に含む、新規で複雑な高温液体システムおよびプロセスに関する。反応環境は、任意の酸化炭素(COおよびCO)が生成されるのを完全に防止する、またはいくつかの実施形態では制限するように設計される。
【0034】
反応への供給物は、天然ガスを含んでもよい。本明細書において使用される場合、天然ガスは、炭素および水素のみを含む分子であるメタン、エタン、プロパンおよびブタンを含む軽質アルカンを一般に含み得る、および/または主にそれらからなり得る。いくつかの実施形態において、供給物は、天然ガスまたは他の炭化水素原料中に時折存在する水素および炭素以外の元素(例えば少量の酸素、窒素、硫黄等)を含む炭化水素(例えば少量の炭化水素)を含んでもよい。天然ガス様分子の非酸化的脱水素(熱分解)は、固体触媒上で実践されている。残念ながら、固体触媒は急速に失活(コークス化)し、炭素の除去は困難でコストがかかる。いくつかの実施形態では、これらのアルカンを特定の溶融塩環境内で近似的反応温度、例えば約900℃~約1200℃、またはおよそ1000℃で触媒種と接触させることにより、触媒をコークス化または別様に失活させることなくアルカンが脱水素されて固体炭素および分子水素を形成し得ることが実証されている。
【0035】
特定の塩の選択もまた、本発明の構成要素である。多くの塩は炭化水素との高温反応環境に好適ではなく、例えばほとんどの硝酸塩または炭酸塩は好適ではない。好ましい塩のクラスはハロゲン化物(塩化物、臭化物等)である。最も単純な塩(例えばNaCl、KCl等)では、この反応プロセスは比較的遅く、高い変換率をもたらさない可能性があり、それにより副生成物である多環式芳香族および非構造化炭素が生成し得る。塩の種類、特性、および/または独特の溶融塩環境中で行われる場合には反応への特定の触媒の添加を制御することで、触媒機能の失活は、塩中で生成された炭素を運び去ることにより防止され得、それにより失活することのない連続動作が可能となる。単純ではあるが重要な例において、固体活性化アルミナがメタン熱分解のための合理的に活性な触媒であるが、固体触媒として使用される場合、固体炭素(コークス)に急速に被覆されて失活する。しかしながら、(例えば触媒から炭素を運搬、同伴、または除去するために)溶媒および/またはスクラブ剤として使用される特定の溶融塩により、ガスは溶融物中で固体触媒と接触し、アルカンを活性化してそれを脱水素することができる。塩中では、炭素は形成時に固体触媒表面から除去され得、触媒活性部位から炭素を除去することで触媒活性が継続し、液体塩と共に反応器から炭素が運び出され、そこで分離および処理され得る。この環境において、塩は炭素の強力な溶媒および/またはスクラブ剤として機能して、炭素を溶融塩流中で運搬/同伴することにより炭素を触媒から除去する。いくつかの実施形態において、触媒は、固定された固体、固体粒子、分散物、または液体金属エマルジョンの形態である。他の実施形態において、触媒は、塩の成分そのものである。
【0036】
化石炭化水素ガスから水素および固体炭素への変換のための全体的プロセスは、図1を参照することにより理解され得る。天然ガス、または主に水素および炭素を含む他の炭化水素等の原材料反応物質ガス1がプロセスに供給され得、任意選択で任意の不純物202を除去するために前処理され得る。一次供給物101は、反応器システム203に供給され得、溶融塩を含む環境内において触媒プロセスが反応器内で反応物質を固体炭素および気相生成物に変換する。主反応器内または別個のユニット204内のいずれかにおいて、ガスが切り離され液体および固体から分離され得る。ガスは主反応器システム5を出て、固体炭素が除去される。任意の保持された溶融媒体からの固体炭素の分離のための設備が、主反応器内または別個のユニット205内のいずれかに提供される。固体炭素は、炭素粒子のサイズおよび/または塩との密度差によって、フィルターまたは他の物理的手段を使用して物理的に分離され得る。ガスは、プロセス208から出る前に追加の精製206を必要とする場合がある。同様に、固体もまた、販売または廃棄のためのプロセス209から出る前に追加の精製207を必要とする場合がある。
【0037】
化学反応物質ストリーム(複数可)101は、炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン等、および/または混合物、例えば天然ガスを含み得る。いくつかの実施形態において、一般的なメタン源は天然ガスであり、これはまた関連する炭化水素であるエタンおよび他のアルカン、ならびに本発明の反応器システム中に供給され得る不純物ガスを含み得る。天然ガスはまた、システムで使用される前にスイートニング処理および/または脱水処理されてもよい。本明細書で開示される方法および装置は、メタンを炭素および水素に変換することができ、また関連するより高次の炭化水素の一部のフラクションを炭素および水素に同時に変換するように機能し得る。
【0038】
本明細書に記載のように、メタンへの他の炭化水素ガスの添加は、メタンから固体炭素および水素を含む反応生成物への全体的変換率を改善し得る。添加物は、アルケンおよびアルキンを含む芳香族および/または脂肪族化合物を含むより高分子量の炭化水素を含み得る。例示的な添加物は、これらに限定されないが、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ブタジエン、ベンゼン等を含み得る。メタンと共に添加物が使用される場合、添加物は、0.1vol.%~約20vol.%、または約0.5vol.%~約5vol.%の範囲の体積パーセントで存在し得る。添加物の添加は、メタンから炭素および水素への変換率を少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも2.0倍、または少なくとも2.5倍改善し得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、溶融塩は、炭素および/または固体炭素粒子の高い溶解度を有する、または固体炭素の懸濁を容易にし、メタン熱分解等の炭化水素脱水素プロセスの反応分離に好適な媒体とする特性を有する任意の塩を含み得る。ほとんどの熱炭化水素プロセスは固体炭素形成を伴うため、溶融塩中の固体炭素または炭素原子の気泡中の気相反応からの輸送は、反応物質変換の増加に効果的となる。溶融塩中の固体炭素の親和性は塩に特有であり、大きく変動し得る。
【0040】
塩の選択もまた、塩の密度に応じて変動し得る。溶融塩の選択は、得られる溶融塩混合物の密度に影響し得る。密度は、固体炭素より低密度である、または高密度であることによって固体炭素が分離され得るように選択され、それにより固体炭素はそれぞれ反応器の底部または頂部で分離され得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態において、反応器内で形成された炭素は、溶融塩とスラリーを形成するために使用され得る。これらの実施形態において、塩は、固体炭素が溶融塩中で中立浮力を有し得る、またはほぼ中立の浮力を有し得るように選択され得る。
【0041】
塩は、溶融塩または溶融塩混合物が反応器内で形成され得るのに好適な融点を有する任意の塩であり得る。いくつかの実施形態において、塩混合物は、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、Mg、Ca、Mn、Zn、La、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである。例示的な塩は、これらに限定されないが、NaCl、NaBr、KCl、KBr、LiCl、LiBr、CaCl、MgCl、CaBr、MgBrおよびそれらの組合せを含み得る。
【0042】
2種以上の塩の組合せが使用される場合、個々の組成物は、密度、他の成分との相互作用、炭素の溶解度、炭素を除去または運搬する能力等に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態において、共融混合物が溶融塩混合物に使用され得る。例えば、KCl(44wt.%)およびMgCl(56wt%)の共融混合物が溶融塩における塩混合物として使用され得る。他の塩の他の共融混合物もまた、本明細書で開示されるシステムおよび方法との使用に好適である。
【0043】
溶融塩混合物における塩の選択は、炭素の最終的な構造に影響し得る。例えば、炭素の形態は、反応条件および溶融塩組成の選択により制御され得る。生成される炭素は、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭素繊維等を含み得る。例えば、塩のいくつかの混合物(例えばMnCl/KCl)の使用は、高結晶性炭素を生成し得るが、単一塩の使用は、より結晶化度が低い炭素を生成し得る。
【0044】
反応器は、熱分解が生じるのに好適な条件で動作し得る。いくつかの実施形態において、温度は、塩または塩混合物が混合物の融点を超えるが沸点を下回るような溶融状態に塩を維持するように選択される。いくつかの実施形態において、反応器は、約400℃超、約500℃超、約600℃超、または約700℃超の温度で動作し得る。いくつかの実施形態において、反応器は、約1,500℃未満、約1,400℃未満、約1,300℃未満、約1,200℃未満、約1,100℃未満、または約1,000℃未満の温度で動作し得る。
【0045】
反応器は、任意の好適な圧力で動作し得る。気泡が望ましい場合、反応器は、大気圧またはほぼ大気圧で、例えば約0.5atm~約3atm、または約1atm~2.5atmで動作し得る。反応器構成、動作条件、および流動スキームを適切に選択してより高い圧力も可能であり、圧力は反応器内の気相を維持するように選択され得る。
【0046】
反応器内の化学プロセス自体も重要となり得、図2に示されるような実験構成で概略的に説明される。供給物101は、溶融塩203および活性触媒である成分を含む反応器204内に、供給管202を通して導入され得る。供給物101は、本明細書に記載の任意選択の添加物を含む供給成分のいずれかを含み得る。同様に、溶融塩203は、本明細書に記載の任意の塩または塩の組合せを含み得る。これは、本発明のシステムおよび方法の新規性の一部を形成する、触媒/溶融物系の特定の組成である。供給管202を通過する供給物101は気泡を形成し、気泡は触媒環境中で反応して気相生成物および固体炭素206を形成し、固体炭素は溶融塩203中に別個の相として蓄積し、反応器204から除去され得る。気相生成物は、ガスストリーム205として反応器を出る。以下の特定の例は、これがどのように様々な反応器構成およびプロセスに適用されるかを示している。
【0047】
反応器204からの固体炭素の除去もまた、本明細書で開示されるシステムおよび方法の一部である。反応器構成の別の実施形態を図3Aに示すが、これは気泡リフトポンピング構成を使用しており、天然ガスおよび/またはメタンを含む本明細書に記載の供給物成分のいずれかを含む気相反応物質101が入口管202を通して反応器304に導入され得、上昇する気泡が溶融塩332および固体炭素生成物を上方に持ち上げ、接続部335を通して主反応器304の外に出すことができる。混合物は流動してフィルター336上に排出され、フィルターは固体炭素を保持して溶融塩332を通過させ、パイプシステム333を通して反応器304に返送する。気相水素生成物は、生成物ストリーム337として反応器から出ることができる。図3Bおよび3Cの写真は、どのように固体炭素が生成されてフィルター336に捕捉され得るかを示しており、これは以下の実施例1でさらに説明される。
【0048】
反応器システムの実装の別の実施形態を、図4に概略的に示す。供給物101は、ガス分配器402を通して反応器403内に供給され得、ガス分配器は、反応器403内に含まれる溶融塩中に供給物101を吹き込む。供給物101は、本明細書に記載の成分のいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、供給物は主にメタンを含み得る。反応器403内の溶融塩は、本明細書に記載の任意の溶融塩または溶融塩混合物を含み得る。気泡は反応器403内でガスおよび液体の両方を上方に運びながら上昇し得、一方反応が生じて固体炭素および水素ガスを生成する。反応器403の頂部では、ガスの気泡リフト作用により押された液体ストリームが第2の槽404内に排出され得る。反応器403と第2の槽404との間で、水素ガスが水素生成物ストリーム405として反応器から出る前に水素ガス生成物がデミスター405で液体および固体生成物から切り離され得る。第2の槽404内では、固体炭素が濾過および/または密度差(例えば溶融塩の密度と比較して)により分離され、スクリューオーガー等の固体移送デバイス408を使用して機械的に槽から除去され得る。固体は移送導管409を通して槽に移送され得、そこで必要に応じてさらなる処理が行われ得る。液体溶融塩ストリームは、気泡リフトポンピングの作用下で主槽403に返送され得、熱交換機要素407(例えば熱交換機、蒸気管、抵抗加熱器等)を介して溶融物に熱が与えられて、第2の槽404内および/または主反応器403内の溶融塩の温度が維持される。
【0049】
反応器システム構成の別の実施形態を、図5に概略的に示す。反応器システムおよびその動作は、図4に示された実施形態に関して説明されたものと同じまたは同様であってもよく、同様の要素は、上述のものと同じまたは同様であってもよい。この実施形態において、溶融塩および固体炭素の混合物は、接続要素535を通して主反応器403から出てフィルター536上に排出され得る。高速ガスストリーム555は反応器のガスが充填された頂部内またはフィルター536上に導入され得、フィルター536上の収集された固体炭素をガスストリームに同伴させるために使用され得る。ガスストリーム555は、フィルター536から炭素を同伴させるのに十分速い速度を有し得る。同伴炭素を有するガスストリームは反応器を出て、サイクロン556等の気体-固体分離システムで分離される。ガスストリーム555は、固体炭素を同伴するのに十分な速度を有し得、いくつかの実施形態において高速ガスストリームと呼ばれ得る。固体は、収集槽557内でガスから別個に収集され得、ガスはガスストリーム505としてシステムを出る。いくつかの実施形態において、同伴ガスストリーム555としてのガス速度を増加させるために使用されるブロワー(例えばブロワー、コンプレッサー、タービン等)554と共に、水素生成物のスリップストリーム553が使用され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、塩自体が金属触媒の添加なしに触媒活性を有するように設計され得る。他の実施形態において、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、MgClの混合物を含むホスト塩と共に使用される場合、アルカリ金属を有さない塩、例えばこれらに限定されないがMnCl、ZnCl、AlCl等が、アルカンを脱水素して溶融物中に炭素を生成する反応環境を提供し得る。いくつかの実施形態において、フッ素ベースの塩(例えばフッ化物)が、天然ガス等の本明細書に記載の供給ガス成分のいずれかの熱分解に使用され得る。いくつかの実施形態において、マグネシウムベースの塩、例えばMgCl、MgBr、および/またはMgFが、メタン熱分解を含む炭化水素熱分解に使用され得る。マグネシウムベースの塩は、塩および炭素の比較的単純な分離と共に高い変換率を可能にし得る。
【0051】
本明細書に記載の溶融塩組成物のいずれにおいても、塩溶融物の一部が溶融していてもよく、1つ以上の追加の成分または元素が固体として存在し、複数相組成物を生成してもよい。例えば、1つの成分が液相塩であってもよく、第2の成分が固相であってもよく、2つの成分がスラリーを形成してもよく、または固体が固定されその周りを塩が流動してもよい。固体自体は、塩、金属、非金属、または、塩、金属もしくは非金属を含む複数の固体成分の組合せであってもよい。いくつかの実施形態において、塩は、完全に固相であってもよい。例えば、塩粒子が反応器内で使用され、供給ガスが固体塩粒子上に通されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、溶融塩中の複数相組成物は、水素に対する高い溶解度およびアルカンに対する低い溶解度を有し、それによりメタン熱分解等の炭化水素脱水素プロセスの反応分離に好適な媒体となる溶融金属、金属合金、および溶融金属混合物を含み得る。溶融金属は溶融塩中でエマルジョンもしくは分散物を形成するか、または溶融金属は固体担体(例えばAl)上にあってもよい。ほとんどの熱炭化水素プロセスは固体炭素形成を伴うため、溶融金属中の固体炭素または炭素原子の輸送は、反応物質変換の効果的な増加において水素と類似の役割を果たし得る。溶融金属中の固体炭素の溶解度は金属に特有であり、大きく変動し得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、溶融塩中の複数相組成物は、触媒液を含んでもよい。触媒液は、所望の反応に対するより高い固有の活性を有するが反応の所望の動作温度を超える融点を有する金属と組み合わせた、所望の反応に対する比較的低い活性を有する低融点金属を含んでもよい。合金はまた、活性をさらに改善する、融点を低下させる、または触媒合金の性能もしくは触媒プロセスを別様に改善する追加の金属(複数種可)からなってもよい。触媒合金の融点は反応温度を超えてもよく、液体は過飽和溶融物として機能する、または1つ以上の成分が沈殿することが理解され、本開示の範囲内である。また、1つ以上の反応物質、生成物、または中間体が溶融物に溶解する、または別様に組み込まれ、したがって純粋な金属ではない触媒合金を生成することが理解され、本開示の範囲内である。そのような合金でも、本明細書において溶融金属または液相金属と呼ばれる。
【0054】
金属(複数種可)の選択は、選択される金属の触媒活性に基づき得る。触媒目的の溶融金属の反応性は、十分に立証または理解されていない。現在の予備的な結果は、液相の金属が、その固相よりもアルカン活性化プロセスに関してはるかに活性が低いことを示唆している。さらに、様々な溶融金属にわたる活性の差は、触媒用の固体金属における差と比較してはるかに小さく、固体金属における差は、反応物質分子のターンオーバー頻度の点で数桁も異なる。
【0055】
いくつかの実施形態において、溶融金属を含む液体は、ニッケル、ビスマス、銅、白金、インジウム、鉛、ガリウム、鉄、パラジウム、スズ、コバルト、テルル、ルテニウム、アンチモン、ガリウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組合せを含み得る。例えば、炭化水素熱分解の触媒活性を有する金属の組合せは、これらに限定されないが、ニッケル-ビスマス、銅-ビスマス、白金-ビスマス、ニッケル-インジウム、銅-インジウム、銅-鉛、ニッケル-ガリウム、銅-ガリウム、鉄-ガリウム、パラジウム-ガリウム、白金-スズ、コバルト-スズ、ニッケル-テルル、および/または銅-テルルを含み得る。
【0056】
合金の特定の組成もまた、触媒活性に影響した。いくつかの実施形態において、溶融金属の成分は、5mol.%~95mol.%、または10mol.%~90mol.%、または15mol.%~85mol.%の第1の成分を含み得、残りは少なくとも1種の追加の金属である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の金属は、選択された温度範囲内で所望の相特性を提供するように選択され得る。例えば、少なくとも1つの成分は、混合物が反応温度で液体状態であることを確実にするのに好適なパーセンテージで選択され得る。さらに、各金属の量は、所望の相特性、例えば均質な溶融金属混合物、エマルジョン等を提供するように構成され得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、固体金属、金属酸化物、金属炭化物、およびいくつかの実施形態においては固体炭素等の固体成分はまた、触媒成分として溶融塩中に存在し得る。例えば、固体成分は、溶融溶液中に存在してもよく、これらに限定されないが、金属(例えばNi、Fe、Co、Cu、Pt、Ru等)、金属炭化物(例えばMoC、WC、SiC等)、金属酸化物(例えばMgO、CaO、Al、CeO等)、金属ハロゲン化物(例えばMgF、CaF等)、固体炭素、およびそれらの任意の組合せを含む固体を含み得る。固体成分は、反応器内で、スラリーとして存在する粒子として、または固定された成分として存在し得る。粒子はある範囲のサイズを有し得、いくつかの実施形態において、粒子はナノおよび/またはマイクロスケール粒子として存在し得る。好適な粒子は、マグネシウム、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅、白金、ルテニウム、セリウムの元素、それらの組合せ、および/またはそれらの酸化物を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、固体成分はin-situで生成され得る。いくつかの実施形態において、遷移金属固体が溶融塩中でin situで生成され得る。このプロセスでは、遷移金属前駆体が、溶融塩に溶解した遷移金属ハロゲン化物(例えばCoCl、FeCl、FeCl、NiCl、CoBr、FeBr、FeBrもしくはNiBr)のように均質に、または溶融塩に懸濁された遷移金属酸化物固体粒子(例えばCoO、Co、FeO、Fe、Fe、NiO)のように不均質に、溶融塩中に分散され得る。次いで水素が混合物に通され得、水素により触媒前駆体が還元され得る。溶融塩中で遷移金属固体が生成および分散され、メタン分解反応のための反応媒体を形成し得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、複数相組成物は、固体触媒成分を含んでもよい。触媒固体金属は、ニッケル、鉄、コバルト、銅、白金、ルテニウム、またはそれらの任意の組合せを含み得る。固体金属は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、またはそれらの任意の組合せ等の担体上にあってもよい。炭化水素熱分解を触媒する固体は、炭化水素を炭素および水素に変換し、その後液体溶融金属および/または溶融塩と接触して、触媒表面から炭素を除去し、触媒活性を再生する。液体の好ましい実施形態は、これらに限定されないが、ニッケル-ビスマス、銅-ビスマス、白金-ビスマス、ニッケル-インジウム、銅-インジウム、銅-鉛、ニッケル-ガリウム、銅-ガリウム、鉄-ガリウム、パラジウム-ガリウム、白金-スズ、コバルト-スズ、ニッケル-テルル、および/または銅-テルルの溶融金属を含む。溶融塩は、これらに限定されないが、NaCl、NaBr、KCl、KBr、LiCl、LiBr、CaCl、MgCl、CaBr、MgBrおよびそれらの組合せを含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムおよび方法に使用される溶融金属または固体の特定の組成物は、異なる種類の炭素生成物を提供し得る。アルカン熱分解を行うための溶融材料の組成物は、これらに限定されないがNi、Fe、Mnの合金を含む炭素に対する高い溶解度を有する金属を含んでもよく、これらはほぼグラファイト型の炭素である炭素生成物を生成する。アルカン熱分解を行うための溶融材料の組成物は、これらに限定されないがCu、Sn、Agの合金を含む炭素に対する限定された溶解度を有する金属を含んでもよく、これらはほぼ無秩序型の炭素である炭素生成物を生成する。
【0061】
いくつかの実施形態において、複数相組成物は、固体塩成分を含んでもよい。塩は、反応器内での融点未満の塩成分、または塩混合物中の飽和組成を超える塩を含んでもよく、例えば、溶融NaCl中の固体CaFを含んでもよい。
【0062】
反応器システムの別の実装を、図6に概略的に示す。いくつかの実施形態では主にメタンであってもよい炭化水素を含む供給物101は、反応器204に供給され得、気泡が固定された固体660の充填層を通過し得る。固体660は、炭化水素および/またはメタン熱分解を含む、供給物に対する触媒活性を有し得る。固体660は、固体触媒成分に関して上述された固体(例えば金属、金属酸化物、固体塩等)のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、固定された固体は、触媒担持材料662、および上述の触媒成分のいずれかを含む活性触媒661を含み得る。いくつかの実施形態において、触媒担持材料662は、熱分解の触媒活性を有してもよく、単独で(例えば両方の機能性を有するものとして)、または別の触媒成分と組み合わせて存在し得る。供給物101は、主要な溶融塩中で、および/または固体660との接触に基づいて反応して、炭素および水素を生成し得る。水素は、ガスストリーム205として層の上から除去され得、固体炭素は、本明細書に記載の多くの様式の1つで除去され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、複数相組成物は、固体担体に閉じ込められた溶融塩または溶融金属成分を含み得る。溶融成分は、溶融塩、または反応器内の主要溶融塩と不混和性である融点を超える金属を含み得る。溶融成分は、表面張力に基づいて溶融成分が表面に結合したままとなるように、アルミナ、ジルコニア、および/またはシリカから形成された担体等の表面上に存在し得る。これにより、溶融成分は、反応器内で自由に動き回ることなく反応部位として機能し得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、溶融塩は、金属(例えばFe)、ならびに/または酸化物(例えばCaO、MgO)および/もしくは固体塩(例えばMgF)を含む非金属、ならびに/または担持溶融触媒(主要な塩に不混和性の金属もしくは塩)を含む固体触媒を含有する溶融塩を含み得る。炭化水素ガスは、担持された溶融塩粒子の層を用いて高温溶融塩に吹き込まれてもよく、溶融塩粒子は、表面張力に基づいて担体上に接着する、または保持される。固体触媒担体上の担持された溶融塩部位は、反応が生じる表面積を大幅に増加させる。担持された溶融塩種は、担持部位が表面張力により係止されたままとなることを確実にするために、周囲環境に使用される溶融塩中に不混和性であるように選択されるべきである。動的な液体表面は、C-C結合配位を防止し得る。さらに、周囲の溶融塩環境は、担持溶融塩部位上に堆積した任意のC原子を取り込むためのより高い炭素湿潤性を有するように選択され得、これは充填層反応器のコークス化および詰まりを低減または防止するのに役立ち得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、溶融塩は、触媒活性を有する固定された固体の周りを流動し、触媒表面で形成された固体炭素を除去、溶媒和および/または洗浄し、炭素を反応器から運び出す。この溶融塩の液体コークス除去剤としての使用は、本明細書に記載のシステムおよび方法の独特の態様である。
【0066】
反応器構成の別の実施形態を図7に概略的に示すが、触媒溶融金属770は、溶融塩相771との密度差により別個の相として存在し、溶融塩相は溶融金属770に浮いている、またはその上にある。反応器システムは、2つの槽を備えてもよい。2つの槽は、反応器の底部から進入する炭化水素反応物質(例えば任意選択の添加物を含むメタンまたは他の反応物質ガス)を含む供給物101が、触媒溶融金属770中で反応して固体炭素706および水素ガスを生成するように構成され得る。水素ガスおよび潜在的に一部の未反応炭化水素反応物質を含む気泡は上昇し、気泡リフトポンプとして機能して炭素706を含有する溶融塩771を第1の槽から第2の槽内に移動させることができ、そこで炭素が炭素生成物209として分離および除去される。反応器の頂部では、ガスおよび液体が気相から切り離され、ガスはガスストリーム208としてシステムを出て、一方液体溶融塩772は気泡リフトポンピング作用下で再び第1の槽に循環する。反応性金属770の上に溶融塩771がある塩塔の存在により、気相からの塩以外の気化ガスの凝縮および部分的除去が可能であり、それにより清浄な炭素生成物が提供される。
【0067】
図8は、どのように2つの反応器が直列に接続されて2つの別個の気相/液相反応を可能にし得るかを示す。示されるように、2つの溶融塩気泡塔が直列に接続され、2つの異なるガスによる溶融塩の並流循環を可能にし得る。一方のガスは反応性であってもよく、もう一方は直接接触により熱を交換するために使用されてもよい。反応器の頂部では、ガスおよび液体が切り離され、ガスは反応器を出る一方、ガスと接触していた液体は第1の反応器の頂部から第2の反応器に流動する。
【0068】
いくつかの実施形態において、溶融塩混合物は、溶融塩中に乳化された触媒溶融金属、または溶融金属中に乳化された溶融塩を含み得る。図9を参照すると、供給物101は、溶融金属の高温乳化990により溶融塩に吹き込まれてもよく、またはその逆であってもよい。供給物101は、本明細書に記載の成分のいずれかを含み得、溶融塩は、本明細書に記載の成分のいずれかを含み得る。溶融金属は、上述のような任意の金属(複数種可)、合金等を含み得る。乳化990は、純粋な溶融塩または溶融金属が単独で有するものよりはるかに高い表面積対体積比を有する。一方、炭化水素ガスの気泡に利用可能な反応表面積はより大きく、より速い水素生成速度をもたらす。乳化990はまた、塩または金属界面に通常選択的であるプロセスおよび反応を同時に行わせる機会を提供する。乳化は、乳化剤を塩-金属混合物に添加することにより、または通常は層状である溶融金属-溶融塩塔を乱す高いガス速度により達成され得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、図9に関して考察されたエマルジョンは、高速混合または剪断を使用して、例えば高速ガスストリームを使用してナノまたはマイクロスケールのエマルジョンとして形成され得る。図7および図50を参照すると、溶融金属および溶融塩の両方を用いた反応器構成を使用して、高速ガスを導入してエマルジョンを生成することにより溶媒としての溶融塩中の触媒活性溶融金属の反応速度論的に安定なナノエマルジョンを生成することができる。不混和性の金属および金属塩は、機械的撹拌およびガス流下で溶融され試薬の均質混合物を生成する。これは、溶融塩中に分散したミクロンサイズからナノサイズの溶融金属の液滴の生成をもたらす。
【0070】
本方法の重要な態様は、生成される炭素の種類の制御、および価値のある商品として使用するためのその分離である。例において示されるように、特定の塩の組合せおよび特定の条件の使用は、カーボンブラック型炭素から結晶性グラファイト炭素に至る特定の形態の炭素の生成を可能にする。
【0071】
本明細書に記載の反応システムおよび方法は、電力生成プロセスに使用され得る。図10は、燃焼タービンを駆動する
【化4】
の反応にしたがって燃焼チャンバ45内で水素を酸素と反応させることにより、組み合わされたサイクルガスタービン内で熱分解ユニット44で生成された水素208を使用して電力を生成するための連続的方法を概略的に示す。次いで、高圧高温ストリーム47は蒸気タービンに通過し、追加の電力、ならびにより低い圧力および温度の蒸気46を生成する。サイクルの全体的な効率は、全ての現代的な単一段階タービン電力サイクルを超えることができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、方法は、化学ループ塩を使用する。1つのステップにおいて、ハロゲン化水素が酸化物または水酸化物との反応によりハロゲン化物塩に変換される。第2のステップにおいて、酸素がハロゲン化物塩と反応してハロゲンおよび酸化物または水酸化物を生成し、塩化学ループサイクルが完了する。この方法において、アルカンはハロゲンと反応し、ハロゲン化水素を形成する。ハロゲン化水素は塩化学ループサイクルにおいて再びハロゲンに変換され、それにより、ハロゲンも塩も化学量論的に使用されず、以下で表される全体的プロセスにおいて使用も生成もされないように、ハロゲンループサイクルが完了する(この例ではメタンは任意の炭化水素を表す):
【化5】
【0073】
本方法は、天然ガスを使用し、メタンまたは天然ガス炭化水素から炭素を、また発熱反応から電力を生成し得る。蒸気サイクルを使用して、方法において生成された発熱を電力に変換することができる。生成された炭素は、必要に応じて使用または貯蔵され得る(例えば安定な生成物として無期限に貯蔵され得る)。正味の効果は、天然ガス供給物中の炭素の選択的な部分酸化からゼロ酸化状態までである。また実施例において実証および説明されるように、炭素が相分離され得る液体(溶融塩)触媒を使用することによって、炭素は触媒表面を汚損することなく除去され得る。別の実施形態において、酸素およびメタンは、同時供給、または反応器内の別個の場所もしくは別個の反応器内に供給され得る。酸素は、ハロゲン化物塩と反応して、ハロゲン含有中間体を形成する。この中間体は、反応器の別の領域で、または別個の反応器内でメタンと反応する。反応は炭素の生成をもたらし、炭素は分離および除去される。2つの反応器が使用される場合、塩または塩スラリーは反応器の間を流動し得る。一方の反応器からのガス状生成物はまた、他方の反応器への供給物と組み合わされてもよい。例えば、ヨウ化リチウムと酸素との間の反応からヨウ素が生成され、反応器の別の部分または別の反応器内でメタンと組み合わされてもよい。ヨウ素はまた、塩に溶解され、液相で塩と共に運搬されてメタンと接触してもよい。
【0074】
一方、上記用途において、金属ハロゲン化物塩およびその酸化物はループ構成で使用され、活性アルカン活性化剤として機能する分子ハロゲンXをリサイクルする。別の実施形態において、塩自体が、アルカンの活性化ならびにその炭素および水素への変換に使用される触媒である。反応器システムおよび方法は、一般的な溶融塩混合物に基づき、塩混合物は酸化原子(M+nおよび還元原子(X)-1を含む1つ以上の活性金属成分を有する。そのような活性金属成分の例は、これらに限定されないが、M=Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、およびX=F、Cl、Br、I、OH、SO、NOを含み得、これらは1種以上の酸化原子(M)+mおよび還元原子(X)-1を有する第2の溶媒塩混合物と混合されてもよい。1種以上の酸化原子(M)+mおよび還元原子(X)-1の例は、これらに限定されないが、M=K、Na、LiおよびX=F、Cl、Br、I、OH、SO、NOを含み得る。本明細書で開示されるように、アルカンR-Hから炭素および水素の変換の高い活性を有する塩の特定の組合せが特定されている。特に、特定の活性塩は、金属を求電子性にして以下の反応を促進する還元原子Xが配位した特定の活性金属Mの形成により、アルカンR-H(R=CH、C等)の熱分解を含む反応を促進する。
【化6】
【0075】
本明細書に記載のシステムおよび方法に含まれる反応の重要な部分は、炭化水素の完全脱水素において使用するための特定の溶媒塩と組み合わされて特に活性となる特定の金属Mの特定である。水素燃焼プロセスに直接連結される場合、上記の溶融塩ベースの脱水素を使用して、電力を生成するために使用され得る蒸気を生成することができる。図10に示されるようないくつかの実施形態において、熱分解ユニットからなる連続的方法は、燃焼チャンバ内で酸素(または空気)と接触する水素を生成し、反応によって生成される得られた高温蒸気は、高温高圧ガスタービンに導入される。排気された蒸気はまだ、第2の段階としての従来の蒸気タービンに導入される十分な位置エネルギーを含む。
【0076】
図11を参照すると、炭素および電力の生成のためのシステムが概略的に示されている。示されるように、炭化水素ガス(例えばメタン、天然ガス等)および酸素は、供給ストリーム101または2つの独立したガスストリームとして、反応性溶融ハロゲン化物塩204を含む反応器に送られ得る。供給物101は、本明細書に記載の成分のいずれかを含み得、溶融ハロゲン化物塩204は、本明細書に記載の塩のいずれかを含み得、溶融塩は、ハロゲン化物塩を有する。反応器内では、炭化水素ガスが変換されて固体炭素を形成し、固体炭素は表面に浮上して、固体炭素生成物206として除去され得る。炭化水素ガス中の水素は、反応してストリーム1105を生成し、反応器から出ることができる。反応は発熱反応であり、蒸気サイクルは、蒸気タービン1106および発電機1107を使用して反応熱から電力1108を生成するために使用される。
【0077】
図12を参照すると、炭化水素ガスから炭素への還元における反応経路および中間体が概略的に示されている。示されるように、様々な中間体が図において説明され得るが、ヨウ素、ヨウ化リチウムおよび水酸化リチウムが例示的中間体として用いられている。メタン等の炭化水素および酸素1202を含む供給物101は、塩に対するハロゲンの溶解度に依存して、一緒に、または図示されるように別個に供給されて、メタン含有気泡内のハロゲン気化ガスの源を提供する。酸素ガス1202がハロゲン化物塩(例えばLiI)と反応すると、ハロゲン(例えばI)が生成され得る。ハロゲンは気泡内に維持され得る、溶融物1215中に溶解し得る、またはメタンの別のガスストリームと組み合わされ得る。ハロゲンは、ラジカル気相反応によりメタン等の炭化水素と反応して、ハロゲン化水素(HI)および炭素を形成し得る。このステップはまた、表面から生じてもよく、またはI -2等のハロゲンを溶融安定化してもよい。生成された炭素206は溶融物表面に浮上し、除去され得る。ハロゲン化水素は、酸化物、オキシハロゲン化物または水酸化物(LiOH)と反応して、元のハロゲン化物および水1203を形成する。
【0078】
図13を参照すると、図12に関して説明された様々な反応ステップは、反応器間で混合を伴う別個の反応器に分割され得る。塩化学ループステップは、酸素添加およびハロゲン化水素添加を伴う反応器に分割され得る。これらの2つの反応器はまた、単一の反応器に組み合わされてもよく、両方のステップは同時に生じる。メタン添加を伴う反応器は、同じ化学ループハロゲン化物塩、または別の触媒活性溶融物からなってもよく、例えば溶融金属、溶融塩、または他の液体触媒媒体が使用され得る。臭素および臭化物化学ループサイクルのこの例では、臭化物塩が使用される。酸素1301は、他の塩に溶解していてもよいスラリー1311中の反応性臭化物塩1309と接触し、臭素1302および酸化物またはオキシハロゲン化物1310が生成される。次いで、臭素1302は、別個の槽内でメタン1303と接触し、分離可能な炭素1305および臭化水素1306を生成する。次いで、臭化水素1306は別の反応槽に送られ、酸化物またはオキシハロゲン化物1307と接触して、蒸気1308および臭化物またはオキシ臭化物1309を生成する。次いで、臭化物またはオキシ臭化物1309は、第1の反応器にリサイクルされ、塩およびハロゲン両方の化学ループサイクルが完了する。熱伝達は、塩の選択に応じて1つ以上の槽で生じ得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、反応器内に存在する酸素は、酸化物または水酸化物により提供され得、それにより酸素キャリアを提供する。複数反応器システムは、炭化水素を酸化物または水酸化物と別個に反応させ、続いて得られる生成物と分子酸素との間で別個に反応させるために使用され得る。これは、分子酸素と炭化水素との直接的な反応を防止するのに役立ち得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、炭素の形態は、反応条件および溶融塩組成の選択により制御され得る。生成される炭素は、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ等を含み得る。炭素の収集および分離を容易にするために、反応条件における溶融塩の密度は、固体炭素の密度と同等またはそれを超える密度を有するように選択され得る。
【0081】
図14を参照すると、別個に処理され得る塩スラリーの形成を可能にするシステムが概略的に示されている。図示されるように、炭化水素ガスを含む供給物101は、高温の溶融塩203に吹き込まれ、分子水素205および固体炭素に熱化学的に分解され得る。水素ガス205は反応器の頂部で収集され得、固体炭素は溶融塩203の表面に浮上し得る。溶融塩は、反応温度において固体炭素と同等の密度を有するように選択され、したがって溶融塩-炭素スラリー1404が形成する。スラリーは、重力、溶融塩ポンプ、および/または補助的ガス流により別個の槽に迂回する。別個の酸素ストリーム1405がスラリーに吹き込まれて、固体炭素の全てを燃焼し、純粋なCOストリーム1407および熱1406を生成し得る。高温COストリームはタービンを通過して電力を生成し、圧縮および隔離または利用のために冷却され得る。この燃焼から生成された電力は、吸熱分解を駆動するために第1の槽に再び供給されてもよい。次いで、再生された塩1408(例えば実質的に炭素を含まない、または無垢の塩)が、溶融塩反応器のベースにリサイクルされ得る。
【実施例
【0082】
本開示を概略的に説明したが、以下の実施例は、本開示の具体的な実施形態として、またその実践および利点を実証するために示されている。実施例は例示を目的として示され、決して明細書または特許請求の範囲を制限することを意図しないことが理解される。
【0083】
<実施例1>
図3を参照すると、メタンの熱分解を行って水素および固体炭素を形成し、これらを気泡リフトポンプで濾過により分離した。50%のKClおよび50%のNaCl塩の溶融混合物を含む1000℃の反応器内に、石英製の同心円入口管202を通して、100%メタンを供給物101として30sccmの速度で使用した。供給ガスを液体充填反応器332に吹き込んで気泡を上昇させた。メタンは気泡内で反応し、生成物である炭素および水素は、その密度差によって、液体と共に反応器内で上方に持ち上げられた。液体の頂部では、通路によって炭素を含む液体およびガスが主要反応器セクション335の外に移動してフィルター336上に通され、そこで固体炭素が保持され、溶融塩が通過した。フィルターは取り外し可能であり、写真は、フィルターに保持された固体炭素を示す。気相生成物は主に水素であり、これは反応器337を出た。溶融塩は気泡リフトポンピング333の作用下で反応器の底部に返送された。
【0084】
<実施例2>
(二成分溶融塩中でのメタン熱分解)
第2の例では、簡略化された図15に従う反応器構成でメタンを熱的に分解する。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0085】
この特定の例では、1barの圧力で15sccmの流速を有するメタンの供給物ストリーム1501を、石英入口管1502(3mmの外径(OD)および2mmの内径(ID)を有する)を通して、石英反応器1504(25mmのOD、22mmのIDを有する)に収容されたアルカリ-ハロゲン化物溶融塩1503に吹き込んだ。合計で77cmの溶融塩を反応器に投入した。気泡上昇速度は24cm/秒と推定され、約0.75秒のガス滞留時間が得られた。水素、C炭化水素(例えばエタン、エテン、およびアセチレン)、芳香族化合物(例えばベンゼン)、ならびに未反応メタン等のガス状生成物を塔1505の頂部から収集し、質量分析計を使用して分析した。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は塔全体および溶融物表面1506に蓄積した。異なる実施形態において、炭素が浮遊または沈積する傾向は、溶融塩媒体の密度を変更することにより制御することができた。ヘッドスペース1507における反応を抑制するために、不活性ガスとしてのアルゴン(30sccm)を溶融物の表面に送達した。
【0086】
KCl(A)、KBr(B)、NaCl(C)、およびNaBr(D)中でのメタンの変換率対温度を、図16に示す。15sccmのメタンを溶融塩気泡塔に吹き込み、形成された固体炭素は塔全体に蓄積した。ガス滞留時間は0.75秒と推定された。メタン変換は約900℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で3~5%の変換率、および1050℃で10~16%の変換率であった。より長いガス滞留時間(例えばより高い気泡塔)では、メタン変換はさらに改善するだろう。固体炭素は定常状態で形成され、冷却後に溶融物から収集した。
【0087】
図16に示される示差メタン変換率測定から、見かけの反応速度パラメーター(例えば活性化エネルギーおよび頻度因子)は、以下のメタン消費の単純な反応速度モデル:
【数1】
を使用し、kがアレニウスの式を用いて説明され得ると仮定して推定され得る。異なるアルカリ-ハロゲン化物塩(KCl、KBr、NaCl、NaBr)に対する見かけの反応速度パラメーターを、表1に示す。約300kJ/モルの測定された見かけの活性化エネルギーは、非触媒気相メタン熱分解における350~450kJ/モルの報告値より著しく低い。
【0088】
【表1】
【0089】
この実施例は、非触媒気相化学よりも速い効果的な速度を伴う溶融塩気泡塔反応器でのメタン変換の成功を実証している。高温でのメタン分解から形成された固体炭素は溶融物中に蓄積し、反応器の頂部または底部から分離され得る。現行の不均一触媒反応器設計は、メタン熱分解中に形成される固体炭素による失活および反応器の詰まりを、それを燃焼しない限り回避することができない。
【0090】
<実施例3>
(炭素-塩スラリー中のMP)
この例では、簡略化された図15に従う反応器構成でメタンを熱的に分解した。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。他の実施形態は、反応速度を高め、反応表面積を増加させるために、溶融塩媒体中に懸濁させた固体を導入し得る。例えば、金属および炭素ベース材料の両方が、不均一メタン変換触媒として徹底的に探究されている。
【0091】
この特定の例では、1barの圧力のメタン(15sccm)の供給ストリーム1501を、石英入口管1502(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、1000℃の石英反応器(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容されたアルカリ-ハロゲン化物溶融塩1503(すなわちNaCl、NaBr、KClまたはKBr)に吹き込んだ。合計で77cmの溶融塩を反応器に投入した。気泡上昇速度は24cm/秒と推定され、約0.75秒のガス滞留時間が得られた。水素、C炭化水素(例えばエタン、エテン、およびアセチレン)、芳香族化合物(例えばベンゼン)、ならびに未反応メタン等のガス状生成物を塔1505の頂部から収集し、質量分析器を使用して分析した。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は塔全体および溶融物表面1506に蓄積した。異なる実施形態において、炭素が浮遊または沈積する傾向は、溶融塩媒体の密度を変更することにより制御することができる。ヘッドスペース1507における反応を抑制するために、不活性ガスとしてのアルゴン(30sccm)を溶融物の表面に送達した。
【0092】
4つの二成分溶融塩:(A)KCl、(B)KBr、(C)NaClおよび(D)NaBrにおける1000℃でのメタン熱分解に関して、8時間の反応期間でのストリームに対するメタン変換率対時間を図17に示す。供給物添加物分解の生成物(例えばメタンおよび水素)がこのデータに考慮されている。15sccmのメタンを反応器に吹き込み、形成された固体炭素は塔全体に蓄積したが、気体-固体相互作用は示さなかった。ガス滞留時間は0.75秒と推定された。固体炭素(特に非晶質炭素)はメタン熱分解を触媒することが周知であり、固体炭素が溶融塩気泡塔内で生成および蓄積したため、より多くの反応表面積が効果的に形成された。しかしながら、図17では、顕著な炭素の増加にもかかわらずメタンの変換は経時的に増加しないことが明らかであり、これは、塩が気体-固体(すなわちメタン-炭素)接触および反応を妨げることを示唆している。この溶融塩による炭素の「湿潤」はまた、炭素が逆反応を触媒またはそれに関与するのを妨げ、平衡を生成物(例えば水素ガス)側にシフトさせ得ると推定される。
【0093】
この実施例は、溶融塩気泡塔反応器でのメタン変換の成功および液体塩による炭素種の湿潤を実証している。他の実施形態は、気体-固体接触を可能に、固体-液体分離を容易にするように気体-固体-液体相互作用を最適化し得る。
【0094】
<実施例4>
(炭化水素供給物添加物を含む熱分解)
いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。他の実施形態は、炭化水素ガス供給物の混合物を導入し得る。例えば、炭化水素ガスはラジカル経路により分解および反応し得ることが周知である。したがって、より低いエネルギー障壁でラジカル生成物に分解する炭化水素(例えばエタンおよびプロパン)を利用して、より高いエネルギー障壁で分解する炭化水素(例えばメタン)と反応させることができる。
【0095】
この特定の例では、1barの圧力の炭化水素供給物添加物(例えばメタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ブタジエン、ベンゼン等)を含むメタン(15sccm)の供給ストリーム1501を、石英入口管1502(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、850~1025℃の温度の石英反応器1504(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容された溶融KCl 1503に吹き込んだ。合計で77cmの溶融KClを反応器に投入した。気泡上昇速度は24cm/秒と推定され、約0.75秒のガス滞留時間が得られた。水素、C炭化水素(例えばエタン、エテン、およびアセチレン)、芳香族化合物(例えばベンゼン)、ならびに未反応メタン等のガス状生成物を塔1505の頂部から収集し、質量分析器を使用して分析した。メタン(および炭化水素添加物)の熱的分解から形成された固体炭素は塔全体および溶融物表面1506に蓄積した。異なる実施形態において、炭素が浮遊または沈積する傾向は、溶融塩媒体の密度を変更することにより制御することができる。ヘッドスペース1507における反応を抑制するために、不活性ガスとしてのアルゴン(30sccm)を溶融物の表面に送達した。
【0096】
純粋なメタン(A)、ならびに2体積%のエタン(B)、プロパン(C)、アセチレン(D)およびベンゼン(E)を含むメタンの変換率を、図18に示す。供給物添加物分解の生成物(例えばメタンおよび水素)がこのデータに考慮されている。15sccmのメタン(および添加物)をKCl気泡塔に吹き込み、形成された固体炭素は塔全体に蓄積した。ガス滞留時間は0.75秒と推定された。炭化水素供給物添加物とは無関係に、メタンの消費速度は純粋なメタン供給物と比較して供給物添加物(およびその分解生成物)の存在下で高められた。2%のプロパン(C)および2%のアセチレン(D)の供給によりメタン変換率は著しく改善し、1000℃における純粋メタンでの5%メタン変換率から、上述の添加物により13%メタン変換率に増加した。
【0097】
メタンの他に、エタン、プロパンおよびブタン等の軽質アルカンが天然ガスの一般的な成分であり、おそらくは今後数十年にわたり豊富である。したがって、これらのアルカン不純物を容易に添加または天然ガスから除去することができ、メタン分解速度に対する効果の点でその体積パーセンテージを最適化することが可能であると考えられる。図19は、0体積%(A)、1体積%(B)、2体積%(C)、および5体積%(D)のエタンにおけるメタン変換率対温度のプロットである。15sccmのメタン(および添加物)をKCl気泡塔に吹き込み、形成された固体炭素は塔全体に蓄積する。ガス滞留時間は0.75秒と推定された。図20は、0体積%(A)、1体積%(B)、2体積%(C)、および5体積%(D)のプロパンにおけるメタン変換率対温度のプロットである。15sccmのメタン(および添加物)をKCl気泡塔に吹き込み、形成された固体炭素は塔全体に蓄積する。ガス滞留時間は0.75秒と推定された。両方のデータのセットにおいて、炭化水素添加物の供給体積パーセンテージが増加するにつれてメタン消費速度が増加する。しかしながら、供給物添加物のパーセンテージにはおそらく、炭化水素添加物から生成された水素の量がメタン消費速度を阻害する閾値が存在する。
【0098】
この実施例は、炭化水素供給物添加物による向上した反応速度を伴う溶融KCl気泡塔反応器でのメタン変換の成功を実証している。エタンおよびプロパン等の天然炭化水素不純物の供給物組成は、メタンの分解速度を最適化するように調節され得る。特別な装置または追加の触媒は必要ない。
【0099】
<実施例5>
この例では、図21に示される簡略化された図に従う反応器構成で、活性溶融塩触媒をメタンの熱的分解と共に使用した。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0100】
この特定の例では、1barの圧力のメタン(10sccm)およびアルゴン(10sccm)の供給物ストリーム2101を、石英入口管2102(3mmのOD、2mmのID)を通して、石英反応器2104(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容された塩化マンガンおよび塩化カリウム混合物を含む溶融塩2103に吹き込んだ。合計で50cmの溶融塩を反応器に投入した。気泡上昇速度は20cm/秒と推定され、約0.6秒のガス滞留時間が得られた。ほとんどは水素および未反応メタンであるガス状生成物を、塔2105の頂部から収集した。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は、その相対密度に基づいて溶融塩の表面2106に浮遊するかまたは底部2107に沈積し、次いで炭素を除去した。
【0101】
反応器流出物(例えば図21に示される流出物2105)におけるメタンの変換率対温度を、図22に示す。塩化カリウム(A)のメタン変換は約850℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で4%の変換率、および1050℃で15%の変換率である。塩化カリウム中の塩化マンガンの量が増加すると、混合塩のメタン変換は増加し、67モルパーセントの塩化マンガン(E)で最大となり、純粋な塩化マンガン(F)で減少する。67モルパーセントの塩化マンガンでは、メタン変換は約750℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で23%の変換率、および1050℃で40%の変換率である。固体炭素は定常状態で形成され、冷却後に溶融物の底部(0、17、および33モルパーセントの塩化マンガン)または表面(50、67、および100モルパーセントの塩化マンガン)から収集した。
【0102】
水洗した炭素のラマンスペクトルを図23に示す。図23に示されるように、67モルパーセントの塩化マンガンから収集された炭素は、Gバンドに対するDバンドの低い強度比を示し(A)、炭素の高い結晶化度を示す。一方、純粋な塩化カリウムから収集された炭素は、Gバンドに対するDバンドの高い強度比を示し、炭素の低い結晶化度を示す(B)。
【0103】
この実施例は、触媒溶融塩気泡塔反応器でのメタン変換の成功を実証している。塩化カリウムへの塩化マンガンの添加はメタン変換を増加させ、これは塩混合物中のメタン熱分解のための活性種の存在を裏付けている。高温でメタンの分解から形成された固体は、本質的に溶融物の表面に浮上するかまたは底部に沈積し、触媒の失活または反応器の詰まりが防止される。現行の不均一触媒反応器設計は、メタン熱分解中に形成される固体炭素による失活および反応器の詰まりを、それを燃焼しない限り回避することができない。
【0104】
<実施例6>
別の例において、図24に示される簡略化された図に従う反応器構成でメタンを熱的に分解した。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0105】
この特定の例では、1barの圧力のメタン(10sccm)およびアルゴン(10sccm)の供給ガス混合物2401を、石英入口管2402(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、石英反応器2404(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容された溶融塩2403内に酸化マグネシウム粒子2429を流動化しながら、溶融塩化カリウムまたは塩化マグネシウムの溶融塩2403に吹き込んだ。合計で50cmの溶融塩を反応器に投入した。気泡上昇速度は25cm/秒と推定され、約0.5秒のガス滞留時間が得られた。塩化カリウム中の酸化マグネシウムの初期重量分率は、約12.5パーセントであった。酸化マグネシウムは塩化マグネシウムからin-situで生成されたため、塩化マグネシウム中の酸化マグネシウムの厳密な重量分率は測定できなかった。ほとんどは水素および未反応メタンであるガス状生成物を、塔2405の頂部から収集した。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は、溶融塩化カリウムの底部2407に沈積するか、または塩化マグネシウムの表面2408に浮上した。
【0106】
反応器流出物2405におけるメタンの変換率対温度を、図25に示す。図25に示されるように、酸化マグネシウムと混合された塩化カリウム(A)におけるメタン変換は約825℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で10%の変換率である。酸化マグネシウムなしでの塩化カリウムのメタン変換率、1000℃で4%の変換率(図22(A)を参照されたい)と比較して、酸化マグネシウムの添加はメタン変換を増加させ、これは溶融物中の流動化酸化マグネシウム粒子の触媒活性を示唆している。塩化マグネシウム-酸化マグネシウムスラリーのメタン変換率は、1000℃で18%であり(B)、これはおそらくは大量の酸化マグネシウム粒子またはその十分な流動化に起因する。固体炭素は定常状態で形成され、冷却後に溶融物の底部(塩化カリウム)または表面(塩化マグネシウム)から収集した。
【0107】
この実施例は、溶融塩-粒子スラリー反応器でのメタン変換の成功を実証している。溶融塩への酸化マグネシウム粒子の添加はメタン変換を増加させ、これは溶融塩気泡塔反応器でのメタン熱分解に対するその触媒活性を示唆している。高温でメタンの分解から形成された固体は、本質的に溶融物の底部に沈積する(塩化カリウム)かまたは表面に浮上し(塩化マグネシウム)、触媒の失活または反応器の詰まりが防止される。現行の不均一触媒反応器設計は、メタン熱分解中に形成される固体炭素による失活および反応器の詰まりを、それを燃焼しない限り回避することができない。
【0108】
<実施例7>
別の例において、図26に示されるように、非常に希薄な水素で塩化鉄を還元することにより、鉄ナノ/ミクロン粒子が組み込まれた溶融塩化カリウム-ナトリウム混合物を調製した。次いで、図27に示される簡略化された図に従う反応器構成でメタンを熱的に分解した。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0109】
図26の特定の例では、塩化カリウム-ナトリウムおよび塩化鉄の固体塩混合物を、アルゴン(20sccm)中の非常に希薄な水素(1sccm)の入口ストリーム2601下で、0.25℃/分の昇温速度で室温から塩混合物の融点まで1barの圧力で乾燥させた。塩混合物を溶融した後、アルゴン(20sccm)中の非常に希薄な水素(1sccm)の混合物を、石英入口管2602(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、石英反応器(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容された溶融塩2603に吹き込み、塩化鉄を還元して溶融物2604中で鉄ナノ/ミクロン粒子を合成した。塩化鉄4を完全に還元した後、合計で50cmの鉄ナノ/ミクロン粒子を組み込んだ溶融塩を反応器に投入した。
【0110】
図27に示されるように、1barの圧力のメタン(10sccm)およびアルゴン(10sccm)のガス混合物を有する供給ストリーム2701を、石英入口管2702(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、石英反応器2703(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容された鉄ナノ/ミクロン粒子を組み込んだ溶融塩2704に吹き込み、合計50cmのスラリー混合物を反応器に投入した。気泡上昇速度は25cm/秒と推定され、約0.5秒のガス滞留時間が得られた。ほとんどは水素および未反応メタンであるガス状生成物を、塔の頂部2705から収集した。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は、溶融塩2704の表面2706に浮上した。
【0111】
反応器流出物2705におけるメタンの変換率対温度を、図28に示す。図28に示されるように、塩化カリウム-ナトリウム(A)のメタン変換は約850℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で3.5%の変換率である。鉄粒子の量が増加するにつれて、スラリーのメタン変換率は増加し、3wt%(C)超でプラトーを示す。3wt%の鉄粒子では、メタン変換は約750℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で7.5%の変換率である。固体炭素は定常状態で形成され、冷却後にスラリーの表面から収集した。
【0112】
この実施例は、鉄ナノ/ミクロン粒子を組み込んだ溶融塩気泡塔でのメタン変換の成功を実証している。溶融塩への鉄粒子の添加はメタン変換を増加させ、これは溶融塩気泡塔反応器でのメタン熱分解に対するその触媒活性を示唆している。高温でメタンの分解から形成された固体は、本質的に表面に浮上し、触媒の失活または反応器の詰まりが防止される。現行の不均一触媒反応器設計は、メタン熱分解中に形成される固体炭素による失活および反応器の詰まりを、それを燃焼しない限り回避することができない。
【0113】
<実施例8>
別の例において、図29に示される簡略化された図に従う反応器構成でメタンを熱的に分解する。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0114】
この特定の例では、1barの圧力のメタン(20sccm)の供給ストリーム2901を、石英入口管2902(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、石英反応器2904(25mmのODおよび22mmのIDを有する)に収容された純粋なKBrの溶融金属合金2903に吹き込んだ。400m-1の表面積を有する20gの多孔質アルミナビーズ2905を、14cmの溶融KBrに添加し、組合せを反応器2906に投入した。K型熱電対により、温度をin-situで測定した。気泡上昇速度は20cm/秒と推定され、約0.5秒のガス滞留時間が得られた。水素、C炭化水素(例えばエタン、エテン、およびアセチレン)、芳香族化合物(例えばベンゼン)、ならびに未反応メタン等のガス状生成物を塔の頂部2907から収集した。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は、そのより低い密度により溶融金属の表面2908に浮上し、そこで除去された。
【0115】
反応器流出物2907におけるメタンの変換率対温度を、図30に示す。示されるように、以下の凡例が適用される:(A)純粋なKBrでのメタン変換、(B)α-アルミナKBr三相反応器でのメタン変換、(3)γ-アルミナKBr三相反応器でのメタン変換。
【0116】
図30に示されるように、メタン変換(A)および(B)は約850℃で開始し、温度と共に増加して、1000℃で1.3%の変換率、および1050℃で3.7%の変換率である。メタン変換(C)は約850℃で開始し、温度と共に指数関数的に増加して、1000℃で2.4%の変換率、および1050℃で8.0%の変換率である。(A)および(B)におけるメタン変換の(C)との比較により、純粋な塩の一相反応器およびα-アルミナ固定層三相反応器と比較してγ-アルミナビーズがほぼ2倍メタン変換率を改善することが示される。
【0117】
この実施例は、触媒三相溶融塩充填層反応器でのメタン変換の成功を実証している。高温でメタンの分解から形成された固体炭素は、本質的にγ-アルミナKBr反応器の表面に浮上し、触媒の失活または反応器の詰まりが防止される。
【0118】
<実施例9>
(異なる塩密度を使用したメタン熱分解用の溶融塩反応器における触媒分散および炭素分離)
図31を参照すると、溶融塩3103中に分散した触媒3102を共に含む2つの石英反応器3101が用意された。触媒は両方の反応器において同じであり、10/20μmの同じサイズを有する。第1の反応器aには、NaCl/KClの溶融した共融混合物を充填し、図31Bにおける第2の反応器には、より密度の高いLiBr/KBrの溶融した共融混合物を充填した。両方の反応器に入口管3105から20sccmのメタン4を供給し、1000℃の温度に保持した。ガス生成物は頂部3106から反応器を出た。表2に示されるように、これらの塩混合物は異なる密度を有する。溶融塩化物塩は、溶融臭化物塩より密度が低く、触媒の流動化がより困難となる。溶融臭化物塩のより高い密度は、触媒の分散に役立ち、活性粒子の完全な流動化をもたらす。さらに、塩化物塩は、メタン熱分解から形成された炭素3107の密度と同等の密度を有する。炭素が生成されると、炭素は分離する代わりに溶融塩中に分散する傾向があるが、生成された炭素より著しく密度が高い溶融臭化物塩中では、炭素は溶融物の表面に浮上し、反応系から炭素を分離するのに役立つ。
【0119】
【表2】
【0120】
<実施例10>
(溶媒として溶融塩を使用した活性触媒のコークス除去)
図32を参照すると、LiBr/KBr 3の溶融した共融混合物3203に含浸された球状Ni固体触媒3202が充填された石英反応器3201(図32Bに示される通り)が概略的に示されている(図32A)。メタン4の供給物3204を、入口管3205を通して反応器の底部に流した。反応器は1000℃であり、供給物の流れは20sccmのメタンであった。ガス生成物は頂部3206から反応器を出た。Ni球は、炭素へのメタン変換用の触媒として機能した。溶融臭化物塩は表面張力により金属表面のコークス化を著しく減少させ、長期間高い変換率でメタン熱分解を行うことができた。図32Cは、数時間運転した後の冷却された反応器の写真を示す。炭素は塩表面の上の反応器の頂部に分離された。Ni表面は、表面上に最小限のコークス化を示している。
【0121】
<実施例11>
(溶媒として溶融塩を使用した活性触媒のコークス除去)
コークス化した金属試料を清浄化するLiBr-KBrの溶融した共融混合物の能力を実証する。図33Aを参照すると、密閉槽内でメタンにより高温でコークス化されたNi金属薄箔が示されている。次いで、コークス化された箔を、密閉槽内でLiBr-KBr溶融混合物中に含浸し、コークス化された金属片の隣にArを吹き込んだ。槽に20分間Arを吹き込んだ後、図33Bに示されるようにNi箔はコークスが除去され、炭素が溶融塩の頂部層まで洗い流され、溶融塩に比べて密度が低いためにそこに浮遊した。
【0122】
<実施例12>
(溶融塩中での金属触媒のin-situ生成および分散)
この例では、簡略化された図34Aに従う反応器構成で溶融塩から遷移金属固体が生成される。いくつかの実施形態は、異なる形態の触媒前駆体として溶融塩媒体中に懸濁した固体を導入し得る。この例では、メタンは、簡略化された図に従って遷移金属固体のin-situ生成後に反応器内で熱的に分解される。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。この特定の例では、1barの水素(3sccm)およびアルゴン(17sccm)の供給ストリーム3401を、石英入口管3402(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、アルカリ-ハロゲン化物溶融塩3403(例えばLiCl、NaCl、KCl、LiBr、NaBrもしくはKBr)またはアルカリ-ハロゲン化物溶融塩の混合物に吹き込みながら導入する。遷移金属触媒前駆体は、溶融塩に溶解した遷移金属ハロゲン化物(例えばCoCl、FeCl、FeCl、NiCl、CoBr、FeBr、FeBrもしくはNiBr)のように均質に、または溶融塩に懸濁された遷移金属酸化物固体粒子(例えばCoO、Co、FeO、Fe、Fe、NiO)のように不均質に、溶融塩中に分散される。溶融塩は、750℃の石英反応器3404(9.5mmのODおよび8.8mmのIDを有する)に収容される。触媒前駆体は、水素により還元される。遷移金属固体は、図34Bに示されるメタン分解反応の反応媒体として溶融塩中に生成および分散される。
【0123】
図34Bに示される特定の例では、石英反応器3404(9.5mmのODおよび8.8mmのIDを有する)に収容されたNaClおよびKClの溶融塩混合物3403中に、コバルトナノ粒子3448を分散させた。1barのメタンの供給物3401を、石英入口管3405(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、1000℃の溶融塩に吹き込んだ。気泡上昇速度は19cm/秒と推定され、0.78秒のガス滞留時間が得られた。水素生成物および未反応メタンを塔の頂部3405aから収集し、質量分析計を使用して分析した。この特定の例では、触媒失活の兆候なしに、5時間の反応期間にわたり15%の安定したメタンから水素の変換率が観察された。メタンの熱的分解から形成された固体炭素は溶融物表面3406に蓄積した。反応器塔の頂部から収集された固体炭素3406の走査型電子顕微鏡写真を、図35に示す。ミクロンおよびサブミクロンレベルの円形炭素プレートが、反応器内で収集される固体炭素粒子として凝集する。5時間のメタン分解反応後の冷却された溶融塩の走査型電子顕微鏡像を、図36Aに示す。直径5~10μmのコバルト金属粒子3448が、冷却された溶融塩3403中に均一に分散していた。コバルト金属粒子の透過型電子顕微鏡像を、図36Bに示す。コバルト金属粒子は、単分散コバルトナノ粒子3448からなる。
【0124】
この実施例は、溶融塩における金属触媒のin-situ生成の成功を実証している。固体金属触媒および溶融塩の固体懸濁物は、気泡塔反応器内でメタンを水素および固体炭素に変換することに成功した。固体炭素は溶融塩の表面で収集され、溶融塩のバルクおよび固体触媒の表面から分離される。他の実施形態は、より高い反応速度およびより長い触媒寿命を可能にするように、溶融塩組成、固体触媒前駆体の選択および他の反応条件を最適化し得る。
【0125】
<実施例13>
(気泡塔のリフト力を使用した炭素と溶融塩との間の分離の制御)
この例では、簡略化された図37Aおよび37Bに従う反応器でメタンを熱的に分解した。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0126】
図37Aに示されるような1つの反応器構成では、1barのメタン(15sccm)の供給物3701を、塩化マグネシウムおよび塩化カリウムを含む溶融塩3703を収容する石英反応器3702(25mmのODおよび22mmのIDを有する)の底部に導入する。固体炭素3704がメタンの熱的分解から生成され、気泡塔のリフト力により溶融ハロゲン化物塩と混合されてスラリーを形成する。図37Bに示されるような別の反応器構成では、溶融塩3703と同じ組成の塩化マグネシウムおよび塩化カリウムを含む溶融塩3705が、メタンストリームとの反応期間後に静止している。メタンの熱的分解により生成された炭素3706は、溶融物の表面上に凝集し、溶融塩から分離された。分離の程度は、気泡塔のリフト力により制御することができ、炭素を付加価値生成物として収集する、または液体燃料として溶融塩中で移送および利用することが可能となる。
【0127】
したがって、図37Aは、溶融塩を有する気泡塔反応器内の炭化水素ガスストリームのリフト力が炭素を溶融塩と混合させた例示的プロセスを示す。次いで図37Bは、静止した反応器が溶融塩および炭化水素の熱的分解からの固体炭素生成物からなる例示的プロセスを示す。炭素は溶融塩の上に浮上し、容易な固体-液体分離が可能となる。
【0128】
溶融塩化カリウムおよび塩化マグネシウムを有する気泡塔反応器は、メタン分解反応後に速やかに室温にクエンチした。得られた生成物の写真を、図38Aおよび38Bに示す。クエンチプロセスは、メタンストリームからのリフト力が存在する一方で溶融塩の微細構造を保持する。図38Aの断面3791は、クエンチされた塩が、メタンの熱的分解から生成された炭素と均質に混合していることを示している。この現象は、溶融塩および炭素が、気泡リフト力により高温でスラリーを形成したことを示す。図38Bに示されるような別の気泡塔反応器では、メタン分解反応後に気泡が十分な期間液体を通過することなく溶融塩がその融点超に維持され、静止した液体を形成させる。冷却された反応器塔は、炭素3792と塩3793との間の明確な分離を示している。図38に示される写真に関して、図38Aに示されるような溶融塩化カリウムおよび塩化マグネシウムからなる気泡塔反応器は、メタン分解反応後に速やかに室温にクエンチされ、図38Bに示されるような溶融塩化カリウムおよび塩化マグネシウムからなる気泡塔反応器は、メタン分解反応後に液体にガス流が通過することなく、溶融塩の融点より高い温度で十分な期間経過した後に室温に冷却された。
【0129】
この例は、炭化水素分解用の気泡塔反応器において炭素と溶融塩との間の分離の程度を制御することの実現可能性を実証している。炭素が溶融塩と混合されたスラリーは、ガスストリームのリフト力により形成される。そのようなスラリーは移送が容易であり、それ自体高温で利用され得る。反応器が溶融塩からなり、炭素が静止している、または十分なリフト力がない場合、炭素は溶融塩の上に浮上し、容易な固体-液体分離が可能となる。他の実施形態は、異なる用途の必要性に応じて固体-液体分離を調整するために、溶融塩組成、反応器設計、反応条件およびガス組成を最適化し得る。
【0130】
<実施例14>
(溶融塩に固体金属酸化物粒子を分散させた気泡塔におけるメタン分解)
この例では、簡略化された図37Aに従う溶融塩および固体酸化物粒子を有する反応器でメタンを熱的に分解した。金属酸化物は、それ自体触媒として、または他の遷移金属触媒(例えばNi、Co、Fe等)の担体として機能する。金属酸化物粒子は、溶融塩中で安定なスラリーを形成する。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0131】
図37Aに示されるような構成を参照するこの特定の例では、第1の試験においてCeOを、および第2の試験においてTiOを含む10wt%金属酸化物を、石英反応器3702(9.5mmのODおよび8.8mmのIDを有する)に収容された45wt%のNaClおよび55wt%のKClの溶融塩混合物3703中に分散させた。1barのメタン(8sccm)およびアルゴン(2sccm)の供給物3701を、石英入口管(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、1000℃の溶融塩に吹き込んだ。気泡上昇速度は19cm/秒と推定され、0.55秒のガス滞留時間が得られた。水素生成物および未反応メタンを塔3702の頂部から収集し、質量分析計を使用して分析した。塩は、CeO表面上の酸素空孔に起因する均一な黄色を呈するようであったが、これは安定なスラリー形成の直接的な証拠である。
【0132】
溶融NaCl-KCl塩中に分散した2種の金属酸化物:(A)TiO、(B)CeOにおけるメタン変換率対温度を、図39に示す。金属酸化物分散なし(C)での溶融塩におけるメタン変換と比較して、触媒活性金属酸化物(例えばCeO)を溶融塩中に分散させた場合、メタン分解反応速度およびメタン変換率が増加することは明らかである。この実施形態において、金属酸化物粒子は、メタン分解反応の触媒として機能する。触媒的に不活性な金属酸化物(すなわちTiO)を溶融塩中に分散させた場合、メタン分解反応速度は、金属酸化物粒子を含まない溶融塩混合物中でのメタン分解反応速度と同様である。
【0133】
<実施例15>
金属酸化物がどのように溶融塩中で触媒として機能するかを示す別の例において、Niが65%投入された1.25gのAl/SiO粒子(<38μmのサイズ)を、NaBr(49mol%)およびKBr(51mol%)を含む溶融塩混合物(25g)中に分散させた。1050℃および1barで、メタン(14SCCM)をスラリーに吹き込んだ。99時間の連続メタン分解反応中のメタン変換率を、図40に示す。メタン変換は99時間の期間内で安定であり、金属酸化物の添加なしでの同じ気泡塔でのメタン変換率(8%)より著しく高かった。メタン分解反応中に生成された炭素を、溶融物の頂部から収集した。炭素生成物の走査型電子顕微鏡画像を、図41に示す。炭素は、直径100~300nmのナノプレートからなる。これらの炭素ナノプレートが集合したより大きなプレートもまた観察される。炭素生成物のラマン分光(図42に示される)は、1.26のD/G比を示し、無秩序およびグラファイト様炭素の混合物、または図41において観察されるようなサブミクロンレベルの微小グラファイト単位を有する炭素を表すG’放射特性を示す。この特定の実施形態において、金属酸化物(AlおよびSiO)粒子は、メタン分解反応の遷移金属(Ni)触媒の担体として機能する。担持された金属酸化物を溶融塩中に分散させると、安定な分散物が形成された。担持された金属酸化物は、溶融塩中で触媒活性を有していた。溶融塩媒体は、酸化物表面からの固体炭素の除去を容易にし、溶融液体の表面上での炭素生成物の容易な分離および収集を可能にすると共に、触媒の表面活性部位からの固体炭素の除去により触媒失活を防止する。
【0134】
この例は、溶融塩および溶融塩中に分散した固体酸化物粒子からなる気泡塔反応器でのメタン変換の成功を実証している。固体酸化物粒子は、メタン分解の触媒として、またはメタン分解の金属触媒の担体として機能し得る。溶融塩は、固体酸化物表面から固体炭素生成物を除去し、触媒活性固体酸化物の失活を防止するのに役立つ。炭素と溶融塩との間の分離は、溶融塩の密度、および気泡塔のリフト力を変更することにより制御することができ、固体炭素の容易な分離および収集が可能となる。他の実施形態は、反応器の性能を高めるために、溶融塩組成、固体酸化物組成、反応器設計および反応条件を最適化し得る。
【0135】
<実施例16>
(ルイス酸金属ハロゲン化物塩でのメタン分解)
この例では、図2に示される簡略化された構成に従う触媒溶融塩からなる反応器でメタンを熱的に分解した。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0136】
この特定の例では、KF(87mol%)およびMgF(13mol%)の5mLの溶融塩混合物203がアルミナ反応器204に収容された。1barのメタン(16SCCM)の供給物1を、アルミナ入口管202(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、950℃~1050℃の温度の溶融塩混合物203に吹き込んだ。水素生成物および未反応メタンを塔の頂部205から収集し、質量分析計を使用して分析した。FとMg2+との間の強いイオン結合がMg2+の高いルイス酸性度に寄与し、メタン分解の高い触媒活性をもたらす。図43は、温度の関数としてのメタン変換率を示す。比較的短い気泡塔において1050℃での短い滞留時間で高い変換率(約40%)が観察される。図44は、950℃~1050℃でのメタン分解反応後ゆっくりと室温に冷却された後の反応器の内側の写真を示す。溶融塩の上に炭素(A)が見られ、これは塩(B)とほぼ分離していた。冷却された反応器塔は、炭素(A)と塩(B)との間の明確な分離を示している。
【0137】
別の実施形態において、固相におけるMgFの特定の活性ルイス酸部位もまた、メタンを炭素および水素に触媒的に変換することが示されている。固体MgF粉末を、5cmの長さを有する直径1cmの充填層反応器に投入した。メタン(10SCCM)を1barで充填層に流し、層の温度を300℃から1000℃に上昇させた。メタンはまず600℃で変換し、1000℃で炭素および水素へのほぼ50%の変換率を有することが観察された。図45は、温度の関数としての固体MgF表面上でのメタンのターンオーバー頻度(TOF)を示す。失活なしにメタン分解の高いTOFが観察される。
【0138】
本明細書においてルイス酸塩(例えばMgCl、ZnCl、YClおよびLaCl)と呼ばれ、また表3に示されるルイス酸カチオンを有する他の溶融ハロゲン化物塩からなる気泡塔反応器において、見かけの反応速度パラメーターを測定した。溶融ルイス酸塩からなる気泡塔反応器におけるメタン分解反応は、不活性溶融塩(例えばKCl)または気相メタン分解反応と比較して低い見かけの活性化エネルギーを有する。この結果は、強電解質中のカチオンのルイス酸性度と、これらのルイス酸塩の表面上でのメタン分解の触媒活性との間の相関を実証している。
【0139】
【表3】
【0140】
この例は、触媒としてルイス酸塩を使用したメタン変換の成功を実証している。気泡塔反応器にはルイス酸溶融塩が使用され、充填層反応器には固体ルイス酸塩が使用される。全ての場合において、ルイス酸塩は、メタン分解反応の高い触媒活性を示す。他の実施形態は、メタン分解反応の性能を高めるために、溶融塩組成、反応器設計および反応条件を最適化し得る。
【0141】
<実施例17>
(溶融塩気化ガスによる触媒)
簡略化された図46に従う反応器構成でメタンを熱的に分解する。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、還流ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。
【0142】
この特定の例では、1barの圧力の5sccmメタンの供給物4601を、石英入口管(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、10gの溶融ZnClを有する溶融塩4602が投入された3ゾーン石英反応器内に流し、流出ガス4603を反応器の頂部で収集した。反応器の下の2つの部分4604、4605は、同じ幅(12mmのODおよび10mmのIDを有する)であり、その全長は40cmであった。頂部ゾーン4606(28mmのODおよび25mmのIDを有し、長さは10cmである)には、いくつかの石英ビーズ4608を保持する多孔質石英プレート4607を設置した。溶融ZnClを有する底部ゾーンは、ZnClの融点に近い720℃の一定温度に保持した。ZnCl気化ガスが中央ゾーン4605に進入し、異なる温度でメタンの分解を触媒した。400℃に維持された頂部ゾーン4606では、塩気化ガスが液体として凝縮して高温の中央ゾーン4605に還流した。この反応器において生成された炭素4609は、壁上で成長するか、または底部に沈積する。
【0143】
ブランクの反応器およびZnClを投入した反応器のメタン変換率を、図47に示す。温度は、中央ゾーンの温度である。メタン変換率は、同じ温度ではブランクの反応器よりもZnClの存在下ではるかに高かったことが明らかに確認され得る。ZnClの場合、メタン変換率は900℃で14%に達し、一方ブランクの反応器では、変換率は同じ温度で5%未満である。この例は、ZnCl気化ガスの触媒活性を実証している。
【0144】
<実施例18>
図48に示される簡略化された構成に従う反応器構成でメタンを熱的に分解する。いくつかの実施形態はまた、より多くの反応ゾーン、還流ゾーン、反応後分離ユニット、またはガス予熱ユニットを含み得る。異なる触媒組成または濃度もまた使用され得る。
【0145】
この特定の例では、1barの圧力の10sccmメタンの供給物4801を、石英入口管(3mmのODおよび2mmのIDを有する)を通して、12cmの30mol%ZnCl-70mol%KClの共融溶融塩混合物4802を投入した2ゾーン4804、4805の石英反応器に吹き込んだ。流出ガス4803を反応器の頂部で収集した。反応器の部分4804、4805は両方とも同じ幅(25mmのODおよび22mmのIDを有する)であったが、8cmの底部ゾーン4804をより高温に保持し、30cmの頂部ゾーン4805を室温に維持した。頂部ゾーン4805には、いくつかのアルミナビーズ4807を保持する多孔質石英プレート4806を設置した。気泡4808内では、ZnCl気化ガス4810によりメタンが水素および固体炭素4811に変換された。固体炭素は液体溶融塩の表面に浮上するか、または底部に沈積した。液体表面の上では、ZnCl気化ガス4810が共融液体4802中に再溶解し、より低温のアルミナビーズ4807は、ZnCl気化ガスを凝縮することにより未溶解ZnClが流出ガス4803と共に流れ出すのを防止した。
【0146】
より低いゾーン4804における異なる温度でのメタンの変換率を、図49に示す。1000℃では、メタン変換率は17.6%に達する。この反応器構成では、炭素は反応器の壁上で成長せず、液体貯蔵部はZnClが再び液体に溶解するのを可能にする。この例は、ZnCl-KCl共融混合物がメタン熱分解の活性触媒として使用され得ることを実証している。活性ガス状塩気化ガスは、反応物質ガスの気泡を満たし、触媒として機能し得る。
【0147】
<実施例19>
(担持された溶融塩上でのメタン熱分解)
図6を参照する。担持された溶融塩粒子の層を有する高温溶融塩に天然ガスを吹き込む。固体触媒担体上の担持された溶融塩部位は、反応が生じる表面積を大幅に増加させる。担持された溶融塩種は、担持部位が表面張力により係止されたままとなることを確実にするために、周囲環境に使用される溶融塩と不混和性であるように選択されるべきである。動的な液体表面は、C-C結合配位を防止し得る。さらに、周囲の溶融塩環境は、担持溶融塩部位上に堆積した任意のC原子を取り込むためのより高い炭素湿潤性を有するように選択され得、これは充填層反応器のコークス化および詰まりを防止する。
【0148】
特定の例では、20sccmのメタンを900℃のCsBr(臭化セシウム)の溶融塩カラムに吹き込む。γ-Al上に担持された溶融LiFの充填層は、メタン熱分解の多数の触媒部位を提供する。LiFはCsBr中に不混和性であり、LiF液滴がアルミナ担体の表面に付着したままとなるのに役立つ。炭素は、CsBrカラムの表面から容易に除去される。
【0149】
<実施例20>
(溶融塩および溶融金属のエマルジョン中での高温メタン熱分解)
図50を参照する。メタン5001をより低密度の溶融塩5003中の高温溶融金属5052に激しく吹き込み、溶融塩5051中の溶融金属粒子または溶融金属中の溶融塩粒子のエマルジョンを形成する。エマルジョンは、純粋な溶融塩または溶融金属が単独で有するものよりはるかに高い表面積対体積比を有する。一方、メタンガスに利用可能な反応表面積はより大きくなり、より速い水素生成速度をもたらす。エマルジョン反応環境はまた、塩または金属界面に通常選択的であるプロセスおよび反応を同時に行う機会を提供する。乳化は、乳化剤を塩-金属混合物に添加することにより向上させることができる。
【0150】
特定の例では、乳化剤として炭素の粒子を使用して、27mol%のNi-Bi溶融金属を1000℃で溶融NaBr/KBrと共に乳化する。20sccmのメタンを塔に吹き込むと、熱分解から形成された固体炭素は表面で容易に分離し、そこで容易に除去され得る。
【0151】
<実施例21>
(メタンの部分燃焼による電気または熱生成)
図11を参照する。メタンおよび酸素の供給ストリーム101を、単一ストリームまたは2つの独立したガスストリームとして、気泡塔内に反応性溶融ハロゲン化物塩204を含む反応器に送る。酸素と塩との間の急速な反応により、ハロゲンが生成すると同時に、酸素分圧が低下する。いくつかの実施形態において、塩はヨウ化リチウムであり、酸素が反応してヨウ素ガスおよび酸化リチウムまたは水酸化リチウムを形成する。その結果、ハロゲンはメタンの酸化剤となり、酸素とメタンとの間の反応を最小限にする。いくつかの実施形態において、ハロゲンは、これらに限定されないが、ハロゲンラジカルおよび塩-ガス界面で反応する溶融塩に溶解したハロゲンを含むいくつかの中間体を介してメタンと反応し得る。メタンが活性化した後、生じた生成物はさらに反応して、固体炭素206およびハロゲン化水素を形成し得る。固体炭素は表面に浮上し、除去され得る。さらに、ハロゲン化水素が生成され、塩および/または酸素とさらに反応して蒸気205を生成する。メタン中の水素は低減されて蒸気となり、反応器から出る。
【0152】
全体的な反応は発熱反応であり、蒸気サイクル1105を使用して反応熱から電力が生成される。この略図において、それは蒸気が通過して反応器を冷却する塩内の管を使用して達成される。加熱された蒸気は蒸気タービン1106を通過し、これが発電機1107を作動させて電気1108を生成する。図11の反応器、蒸気タービンおよび発電機は、概略的な表現であることが意図され、本発明の実施形態の反応器設計、熱伝達設計、または任意の他の要素の構成を決して制限しない。別の好ましい実施形態において、発電機および蒸気タービンは含まれず、その代わりに発熱反応はプロセス熱を生成するために使用される。
【0153】
別の好ましい実施形態において、図12を参照すると、メタンおよび酸素1202の供給物101が別個の点で溶融塩1215に供給される。様々な中間体が図において説明されるが、ヨウ素、ヨウ化リチウムおよび水酸化リチウムが例示的中間体として用いられている。好ましい実施形態において、メタンおよび酸素は、塩に対するハロゲンの溶解度に依存して、一緒に、または図示されるように別個に供給されて、メタン含有気泡内のハロゲン気化ガスの源を提供する。酸素ガスがハロゲン化物塩(LiI)と反応すると、ハロゲン1216(I)が生成される。ハロゲンは、気泡内に維持される、溶融物中に溶解する、またはメタンの別のガスストリームと組み合わされる。第2の好ましい実施形態において、ハロゲンは塩に溶解して塩を活性化し、それにより表面をメタンに対しより反応性にし、メタンはガス-溶融物界面で活性化される。このステップはまた、表面から生じてもよく、またはI -2等のハロゲン1217を溶融安定化してもよい。ハロゲン、または塩に溶解したハロゲンは、ラジカル気相反応によりメタンと反応して、ハロゲン化水素(HI)および炭素206を形成する。生成された炭素は溶融物表面に浮上し、除去され得る。ハロゲン化水素は、酸化物、オキシハロゲン化物または水酸化物(LiOH)と反応して、元のハロゲン化物および水1203を形成する。
【0154】
<実施例22>
(化学ループ反応器を使用したメタンの部分燃焼)
図13を参照する。実施例21で概説された様々なステップは、反応器間で混合を伴う別個の反応器に分割され得る。塩化学ループステップは、酸素添加およびハロゲン化水素添加を伴う反応器に分割される。これらの2つの反応器はまた、単一の反応器に組み合わされてもよく、両方のステップは同時に生じる。メタン添加を伴う反応器は、同じ化学ループハロゲン化物塩、または別の触媒活性溶融物からなってもよく、例えば溶融金属、溶融塩、または他の液体触媒媒体が使用され得る。臭素および臭化物化学ループサイクルのこの例では、臭化物塩が使用される。酸素1301は、他の塩に溶解していてもよい反応性臭化物塩1311と接触し、臭素および酸化物またはオキシハロゲン化物1310が生成される。次いで、臭素1302は、別個の槽1304内でメタン1303と接触し、分離可能な炭素1305および臭化水素1306を生成する。次いで、臭化水素は別の反応槽1307に送られ、酸化物またはオキシハロゲン化物と接触して、蒸気1308および臭化物またはオキシ臭化物を生成する。次いで、臭化物またはオキシ臭化物は、第1の反応器1309にリサイクルされ、塩およびハロゲン両方の化学ループサイクルが完了する。熱伝達は、塩の選択に応じて1つ以上の槽で生じ得る。
【0155】
<実施例23>
(溶融LiI-LiOH中でのメタンの部分燃焼)
図52を参照すると、図51に示された装置を使用してLiOHと混合されたLiIの気泡塔に様々な酸素:メタン比が供給され、メタンおよび酸素の両方が一緒に単一の入口管に供給される。オンライン質量分析計(Stanford Research Systems RGA 300)を有する実験システムを反応試験に使用し、反応生成物を分析した。全ての配管はガラスまたはHastelloy-C製であり、グラファイトの継ぎ手またはすり合わせガラスジョイントを有していた。加熱ラインがガラス毛細管を通して流出物からガスを直接質量分析計に送達し、ハロゲンを含む完全な物質収支が維持された。ヨウ素および臭素は、アルゴンキャリアガスとの液体-気化ガス平衡で動作する蒸発器から気化ガスとして送達され、キャリアガスは、質量流量コントローラー(MKS1179)を使用して送達された。ガスは組み合わされて、2つの350W Omega加熱カートリッジを有する外部ステンレススチール加熱ブロックを備え、1.27cmの内径を有する管状石英気泡塔反応器に送達された。加熱ブロックの後、すり合わせガラス接続を使用してヘリウムガスストリームをT字管により導入し(teed in)、反応流出物ラインをクエンチおよび希釈した。次いで、流出物はHastelloy接合部を通過し、ガラス毛細管(0.025mmのID)がガスを直接質量分析計に送達した。
【0156】
図52のデータでは、LiOHと混合されたLiIの気泡塔に様々な酸素:メタン比が供給され、メタンおよび酸素の両方が一緒に単一の入口管に供給されている。メタン変換率(B)および酸化炭素選択性(C)は、酸素:メタンが増加するにつれて増加し、一方炭素選択性(A)は減少する。溶融物と酸素との間の反応は急速であるため、高い酸素:メタン比であっても、望ましくない酸化炭素に対する選択性は低い。温度は650℃であり、メタン圧力は0.3barであり、LiI:LiOHの比は1:1モルであり、酸素:メタン比はモル比として表現され、全ての場合において酸素変換率は98%超である。
【0157】
この例は、触媒として溶融塩を使用した単一反応槽でのメタンから固体炭素および蒸気への選択的変換の成功を実証しており、以下の結論を裏付けている。(1)O:CH=0ではメタン変換がないことにより明らかなように、酸素の非存在下では、メタンは溶融ヨウ化リチウムおよび水酸化リチウムと反応せず、(2)酸素が多すぎると、望ましくないことに酸化炭素選択性がより高くなり、また塩からヨウ素ガスへの変換が生じてヨウ素ガスが反応せずに反応器から出る。したがって酸素対メタン比には最適値が存在する。
【0158】
別の実験において、図53を参照する。酸素(A)およびメタン(B)の変換率を、炭素選択性(C)および酸化炭素選択性(D)と共に、1:1モルのLiI:LiOH、0.3barのメタンおよび0.3barの酸素を有する気泡塔内の温度の関数として測定した。500℃では、極めて低いメタン変換率が観察されるが、酸素変換率は75%超であり、酸素とLiIとの間の反応の速度が炭化水素反応より著しく速いという主張を裏付けている。より高い温度では、完全な、またはほぼ完全な酸素変換が観察され、メタン変換率は温度の増加と共に増加する。炭素選択性は、完全酸素変換が観察される温度に相当する600℃超まで温度が増加しても大きくは減少せず、酸素とヨウ化リチウムとの間の急速な反応が酸素圧力の減少を、ひいてはより低い酸化炭素形成をもたらすという主張を裏付けている。二酸化炭素選択性は比較的低く、より高い温度でも大きくは増加しない。
【0159】
この例は、様々な温度において異なるレベルの選択性を伴うメタンから蒸気および炭素への変換の成功を実証しており、以下の結論を裏付けている。(1)酸素分圧に直接関連する酸素変換が、炭素選択性と相関し、(2)酸素変換は炭化水素反応より急速であり、比較的短い気泡塔において著しいメタン反応が生じる温度より低い温度で完全に変換し、また(3)酸素が急速に消費される場合、より高い炭素選択性が観察される。
【0160】
別の実験において、図54を参照する。活性化エネルギーおよび反応次数がこのデータから得られた。0.22barのCHおよび0.22barのOでの反応速度の対数が、1/温度の関数としてプロットされ、活性化エネルギーは156kJ/molと判断される。メタンにおける反応次数は1次であることが分かり、メタンの分圧は低変換率において575℃で様々であった。酸素については、1:1のLiI:LiOH気泡塔において575℃で2.5に近い反応次数が観察された。全ての場合において、酸素とメタンとの間の反応は、1:1モルのLiI:LiOHの気泡塔内であった。結果は、ヨウ素ラジカルとメタンとの間の反応において気相で生じるメタン活性化と一致しており、これは同様のメタン分圧依存性および活性化エネルギーを有する。結果はまた、ヨウ化リチウムおよび酸素との反応を裏付けている。
【0161】
<実施例24>
(溶融塩によるハロゲン化水素の酸化)
図55Aおよび55Bを参照する。ハロゲンおよびメタンを、酸素の非存在下であるが酸素キャリア、LiOHの存在下で反応器に供給した。酸化炭素を形成することなく、著しい水(A)および水素(B)が生成された。LiIのみ(LiOHなし)による同じ実験は、測定可能なメタン変換を伴わず、ヨウ化水素と反応し、それが反応機構にさらに関与するのを防止するヨウ化物媒介プロセスにおけるLiOHの重要な役割を実証していた。図55Bは、温度を変化させ、メタンおよびヨウ素ガスをLiI-LiOHの気泡塔に0.15barのメタンで供給した場合の実験結果を示す。酸素は供給しなかったが、LiI-LiOHを使用した場合固体炭素に対する高い選択性を伴って変換が観察された。LiIのみ(LiOHなし)による同じ実験は、測定可能なメタン変換を伴わず、ヨウ化物媒介プロセスにおけるLiOHの重要な役割を実証していた。
【0162】
図56を参照すると、ヨウ化メチルが、LiI(図56Cおよび56D)またはLiOHと混合されたLiI(図56Aおよび56B)からなる反応器に供給された。結果は、ヨウ化メチル変換率および選択性がLiOHの存在下で改善されたこと、ならびに短い実験室規模の気泡塔において650℃でほぼ100%のヨウ化メチル変換が達成されたことを示している。ヨウ化メチル変換率(A)、ならびに水素(E)、蒸気(F)、メタン(G)およびエタン(H)に対する選択性を、1:1のLiOH:LiIの存在下、0.61atmのヨウ化メチルを用いて温度の関数として測定した。ヨウ化メチル変換率(C)、ならびに水素(J)、メタン(I)およびエタン(K)に対する選択性もまた、LiIの存在下、0.61atmのヨウ化メチルを用いて温度の関数として測定した。
【0163】
結果は、ヨウ化メチル変換率および選択性がLiOHの存在下で改善されること、ならびに短い実験室規模の気泡塔において650℃でほぼ100%のヨウ化メチル変換が達成されることを示している。0.61atmのヨウ化メチルを1:1のLiOH:LiIに吹き込んだ場合の、温度の関数としてプロットされたヨウ化メチル変換率(1)。(2)(1)における実験からの水素含有生成物に対する選択性。(3)および(4)0.61atmのヨウ化メチルを(1)および(2)と同じ高さの純粋なLiIに吹き込んだ場合の、変換率および水素含有生成物に対する選択性。
【0164】
水酸化物の存在は、変換率および選択性の両方を改善する。水酸化物は、ヨウ化メチルからのメタンの形成を防止するために必要である。気相におけるHIとCHIとの間の反応がメタン形成の原因であり、図57は、気相ラジカルネットワークが国立科学技術研究所(NIST)から収集した微小反応速度パラメーター(microkinetic parameter)を用いてモデル化された反応速度モデリングからの結果を示す。メタンおよびヨウ素(C)、ヨウ化水素(B)、およびヨウ化メチル(A)に対する選択性が時間の関数としてプロットされており、ヨウ化メチルおよびヨウ化水素が一緒に存在する場合、メタンが生成されることを示している。
【0165】
気相で酸素およびヨウ素と反応するメタンからの実験データを示す図58を参照する。メタン変換率および酸素変換率が、図58Aにプロットされている。メタン単独は安定であり、酸素の存在下でのメタンは安定である。しかしながら、気相ヨウ素の存在下では、酸素およびメタンから酸化炭素への著しい変換が観察される。反応には塩は存在しない。
【0166】
空の石英反応器内で650℃および15秒の滞留時間で3つの実験を行い、ヨウ素の役割を実証し、また水酸化リチウムの重要性をさらに実証した。0.2barのメタンを反応器Aに送ると、メタン変換Fは観察されなかった。0.2barのメタンおよび0.05barの酸素を反応器Bに送ると、メタン変換または酸素変換Eはほとんど観察されなかった。0.2barのメタン、0.05barの酸素および0.1barのヨウ素Cを反応器に送ると、二酸化炭素G、蒸気Hおよび一酸化炭素Iに対する選択性と共に著しいメタンおよび酸素変換が観察された。選択性は、塩が存在しなかったこれらの実験において著しいメタン燃焼が生じることを示しており、溶融塩触媒の新規性および重要性をさらに実証している。
【0167】
<実施例25>
(メタンおよび臭素から炭素および臭化水素への変換)
図59を参照する。図13の略図で示されるスキームの一部として、メタンおよび臭素を、KBrに溶解したNiBrからなる反応器に供給する。得られた溶融物は、メタンから炭素および臭化水素への分解のための媒体を提供し、炭素は溶融物表面に浮上する。500℃であっても、高い臭化水素選択性を伴って高いメタン変換率が観察される。得られた臭化水素は、NiOまたは塩中に懸濁したNiOを含む反応器に送られてもよく、HBrとNiOとの反応によりNiBrが生成し、これが酸素と接触して臭素を生成し得、臭素は図59の反応器に供給される。500℃、550℃および600℃で完全な臭素変換が観察された。主要生成物は、HBrおよび炭素であった。炭素は、溶融塩の表面に浮上することが観察された。
【0168】
この例では、酸素キャリアを炭化水素または炭素種から分離することにより、懸濁した酸化物による臭化メチルの酸化が回避される。この分離がないと、図62に示される結果のように酸化炭素が観察される。ここで、臭化メチルは、NiBr-KBr-LiBr(上)またはNiBr-NiO-KBr-LiBrを含む反応器に送られ、臭化メチルの変換率(A)および(B)が、一酸化炭素(C)および二酸化炭素(D)に対する選択性と共に温度の関数として示されている。図62は、懸濁した酸化ニッケル(NiO)が存在する場合(下)および存在しない場合(上)の、臭化メチルをNiBr-KBr-LiBrの気泡塔に送った実験結果を含む。NiOの非存在下では、臭化メチル変換はほとんど観察されず、700℃で生じた変換は、主にメタンおよび炭素を生成した。NiOの存在下(下)では、550~700℃で著しい酸化炭素が観察された。
【0169】
酸化炭素の存在は、NiOと臭化メチルまたは炭素含有種との間の一部の接触が生じ、固体炭素に対する全体的選択性が低減されることを示し、いくつかの好ましい実施形態において、酸素キャリアおよび炭化水素変換の分離が改善された全体的プロセス効率をもたらし得るという結論を裏付けている。
【0170】
<実施例26>
(メタンの部分燃焼における炭素形成および溶融ヨウ化リチウムからの除去)
図60および61を参照する。LiI-LiOH溶融物中で700℃でメタンを接触させることにより炭素を形成した。炭素は表面に浮上し、蓄積したことが視覚的に観察された。図60は、CHIが吹き込まれた場合の冷却後のLiI-LiOH気泡塔の表面における炭素の1組の走査型電子顕微鏡画像である。炭素は、溶融物表面に明確な分離可能層を形成し、そこで画像化のために除去された。画像は、カーボンブラックと一致する。同じ炭素の図61におけるラマンスペクトルもまた、カーボンブラックの形成と一致する。
【0171】
この例は、主に気相分解から生成された炭素の形態が、カーボンブラックと一致する形態をもたらすことを示している。高い表面積と相互接続した微小球状炭素群は、溶融ヨウ化物塩中のヨウ化メチルの熱的分解から達成される(図60)。4つの異なるレベルの倍率が示されている。(A)は300ミクロンのスケールバーを示し、(B)は30ミクロンのスケールバーを示し、(C)は3ミクロンのスケールバーを示し、(D)は1ミクロンのスケールバーを示す。ヨウ化物塩またはヨウ化物-水酸化物塩の気泡塔にヨウ化メチルが送られた実験における変換率および選択性実験データを、図56に示す。
【0172】
<実施例27>
(溶融塩反応器内の天然ガスからのCOの別個のストリームを伴う水素および電力の2段階生成)
図14を参照する。メタンが高温溶融塩媒体に吹き込まれ、分子水素および固体炭素に熱化学的に分解される。水素ガスは反応器の頂部で収集され、固体炭素は溶融塩の表面に浮上する。溶融塩は、反応温度において固体炭素と同等の密度を有するように選択され、したがって溶融塩-炭素スラリーが形成する。このスラリーは、重力、溶融塩ポンプ、および/または補助的ガス流により別個の槽に迂回する。別個の酸素ストリームがスラリーに吹き込まれて、固体炭素の全てを燃焼し、純粋なCOストリームおよび熱を生成する。高温COストリームはタービンを通過して電力を生成してもよく、また圧縮および隔離または利用のために冷却されてもよい。この燃焼から生成された電力は、吸熱分解を駆動するために第1の槽に再び供給されてもよい。次いで無垢の塩が溶融塩反応器のベースにリサイクルされる。図14の構成を使用した特定の例では、20sccmのメタンが1000℃の純粋なNaClに吹き込まれる。炭素-塩スラリーは溶融塩反応器の頂部から、20sccmのOが供給される900℃の別個の槽に移送される。固体炭素の燃焼が完了し、反応器にリサイクルされる新鮮なNaClを再生する。
【0173】
様々なシステムおよび方法を説明してきたが、特定の例は、限定されることなく以下を含み得る。
【0174】
第1の実施形態において、連続的方法は、酸素と金属ハロゲン化物との急速な反応により形成されるハロゲン中間体(これは一方で炭化水素と反応する)の使用により、大量の酸化炭素を生成することなく酸素および天然ガス炭化水素を反応させることによって、炭素ならびに熱および/または蒸気を生成するステップを含む。
【0175】
第2の実施形態は、炭素が懸濁物または不混和相として塩から連続的に分離される第1の実施形態の方法を含み得る。
【0176】
第3の実施形態において、連続的方法は、固体または液体酸化剤の存在下でハロゲン酸化剤を使用して天然ガス炭化水素を炭素に変換するステップを含む。
【0177】
第4の実施形態において、連続的方法は、酸素および炭化水素を溶融塩溶液に供給するステップを含み、酸素は溶融塩と反応し、炭化水素より急速にハロゲンを生成して酸化炭素の形成を防止し、酸素と塩との反応により生成されたハロゲンは、活性化して炭化水素と反応する。
【0178】
第5の実施形態において、連続的方法は、天然ガスおよびハロゲンから炭素およびハロゲン化水素を生成するステップを含み、ハロゲン化水素は炭素ストリームから分離され、別個の反応器または同じ反応器のセクションにおいて酸化物と反応して、ハロゲン化物またはオキシハロゲン化物塩を生成し、ハロゲン化水素の発熱酸化が、熱または蒸気を生成するために任意選択的に使用され得る。
【0179】
第6の実施形態において、方法は、酸素および化学ループ塩を使用してハロゲン化水素をハロゲンに変換するステップを含み、塩構成要素の1つ以上は、液体である、または液体に溶解している。
【0180】
第7の実施形態において、方法は、酸素とメタンとの間の炭素および蒸気への反応からの発熱を、蒸気サイクルまたは塩熱サイクルを使用して電力に変換するステップを含む。
【0181】
第8の態様において、連続的方法は、i)分離可能な固体炭素および分子水素ガスを生成するための、溶融塩中での炭化水素熱分解、ii)生成された水素が酸素と接触して、ガスタービンを駆動する高エネルギー蒸気を生成する燃焼ユニット内での燃焼、ならびにiii)組み合わされた構成における蒸気タービン内のガスタービンからの出口蒸気の使用を含む。
【0182】
第9の実施形態において、水素および炭素を含む純粋な反応物質または反応物質の混合物から固体炭素および水素を生成するための熱分解反応器は、高温の溶融塩を含み、反応器は、反応物質を受容し、反応物質を反応させて水素および炭素を形成させるように構成される。
【0183】
第10の実施形態は、溶融塩がハロゲン化物塩の混合物からなり、アニオンが主に塩素、臭素またはヨウ素であり、カチオンが主にNa、K、Li、Mn、Zn、Al、Ceである、第9の実施形態の熱分解反応器を含み得る。
【0184】
第11の実施形態は、溶融塩が、非反応性固体(これらに限定されないが、アルミナ、シリカ、炭素、ジルコニアを含む)上に担持された反応性金属または金属の混合物(これらに限定されないが、Ni、Fe、Co、Mn、Cu、W、Pt、Pdを含む)を含む固体触媒の固体懸濁物を含む、第10の実施形態の熱分解反応器を含み得る。
【0185】
第12の実施形態において、反応器は、アルカン(メタン、エタン、プロパン、ブタン、…)ガスまたはアルカンガスの混合物を含む炭化水素含有反応物質を受容し、反応物質を反応させて炭化水素生成物および水素を形成するように構成される、高温の溶融塩ならびに/または溶融塩および固体懸濁物を含む。
【0186】
第13の実施形態は、溶融塩および/または混合物が、形成された固体炭素の除去および分離を可能にするように構成される第12の実施形態の反応器を含み得る。
【0187】
第14の実施形態において、反応器は、高温の溶融塩ならびに/または溶融塩および固体懸濁物を含み、溶融塩ならびに/または溶融塩および固体懸濁物は、アルカンガスおよび二酸化炭素の混合物を含む供給物を受容し、供給物を反応させて水素および一酸化炭素を形成するように構成される。
【0188】
第15の実施形態は、溶融塩および/または混合物が、形成された任意の固体炭素の除去および分離を可能にするように選択される、第14の実施形態の反応器を含み得る。
【0189】
第16の実施形態において、反応器は、気相水素および炭素含有反応物質を受容し、反応物質を溶融材料と接触させて、生成物の1つとして水素を生成するように構成される高温の溶融塩および/または溶融塩懸濁物を含み、溶融塩は、ハロゲン化物塩の混合物を含み、アニオンは、主に塩素、臭素またはヨウ素であり、カチオンは、主にNa、K、Li、Mn、Zn、Al、Ceであり、溶融塩懸濁物は、非反応性固体(これらに限定されないが、アルミナ、シリカ、炭素、ジルコニアを含む)上に担持された反応性金属または金属の混合物(これらに限定されないが、Ni、Fe、Co、Mn、Cu、W、Pt、Pdを含む)を含む粒子を含む。
【0190】
第17の実施形態は、第1から第8の実施形態のいずれか1つの方法およびシステムのための反応器システムを含み得、気相反応物質は、反応器の底部に導入され、内部構造により誘導されて表面に浮かび上がり、生成物が溶解した溶融材料の循環、および反応器の上部領域のより低圧/低温環境中の溶解種の除去を可能にする。
【0191】
第18の実施形態において、反応器システムは、気相反応物質が反応器の底部で液体と接触し、管を通して誘導されて、溶解した生成物を含む液体を気泡中のガスと共に反応器塔の頂部に気泡リフトポンピングするのを可能にし、液体中に溶解した生成物は、反応器からの除去のために気相に移動される、第1から第8の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。溶融材料の循環は、気泡のリフトにより提供される。
【0192】
第19の実施形態において、第1から第8の実施形態のいずれか1つの方法およびシステムのための反応器システムは、可溶性種の発熱反応(すなわち燃焼)が、反応物質(例えば酸素)が導入される1次反応システムとは別個の気泡ストリーム中で達成されることを含み得る。
【0193】
第19の実施形態において、第1から第8の実施形態のいずれか1つの方法およびシステムのための反応器システムは、可溶性種あり、またはなしでの吸熱反応プロセス(すなわち蒸気生成)が、反応物質(例えば液体の水)が導入される1次反応システムとは別個のストリーム中で達成されることを含み得る。
【0194】
第21の実施形態において、反応方法は、炭化水素を含む供給ストリームを、溶融塩混合物を含む槽に提供するステップであって、溶融塩混合物は活性金属成分および溶融塩溶媒を含むステップと;槽内で供給ストリームを溶融塩混合物と反応させるステップと;槽内での供給ストリームと溶融塩混合物との反応に基づいて炭素を生成するステップとを含む。
【0195】
第22の実施形態は、供給ストリームが溶融塩混合物に吹き込まれる、第21の実施形態の方法を含み得る。
【0196】
第23の実施形態は、溶融塩混合物上の層として炭素を分離するステップ;または溶融塩混合物を固化し、溶融塩混合物を水溶液中に溶解して炭素を分離するステップとをさらに含む、第21または第22の実施形態の方法を含み得る。
【0197】
第24の実施形態は、槽に酸素を提供するステップと;供給ストリームおよび酸素と溶融塩混合物との反応に基づいて蒸気を生成するステップとをさらに含む、第21から第23の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0198】
第25の実施形態は、槽内での供給ストリームと溶融塩混合物との反応に基づいて水素を生成するステップをさらに含む、第21から第23の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0199】
第26の実施形態は、供給ストリームを溶融塩混合物と反応させるステップが、炭化水素をハロゲンと反応させて、ハロゲン化水素および炭素を形成することと;ハロゲン化水素を酸化物または水酸化物と反応させることにより、溶融塩混合物中でハロゲン化水素をハロゲン化物塩に変換することと;酸素をハロゲン化物塩と反応させて、ハロゲンおよび酸化物または水酸化物を生成することとを含む、第21から第25の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0200】
第27の実施形態は、溶融塩溶媒が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第21から第26の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0201】
第28の実施形態は、活性金属成分が、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第21から第27の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0202】
第29の実施形態は、活性金属成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、溶融塩溶媒が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含む、第21から第28の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0203】
第30の実施形態は、活性金属成分が、溶融塩溶媒中の固体金属粒子を含む、第21から第29の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0204】
第31の実施形態は、活性金属成分が、溶融塩溶媒中の担持構造上に位置する固体金属成分を含む、第21から第30の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0205】
第32の実施形態は、活性金属成分が、溶融金属を含み、溶融金属は、溶融塩溶媒とスラリーを形成する、第21から第31の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0206】
第33の実施形態は、溶融塩混合物を第2の槽に移送するステップと;酸素を第2の槽に導入するステップと;第2の槽内で酸素を溶融塩混合物と反応させるステップと;第2の槽内で酸素を溶融塩混合物と反応させた後に溶融塩混合物を槽に返送するステップとをさらに含む、第21から第32の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0207】
第34の実施形態は、溶融塩混合物が、第2の槽に移送される際に炭素を含み、第2の槽内で酸素を溶融塩混合物と反応させることにより、酸化炭素が生成される、第33の実施形態の方法を含み得る。
【0208】
第35の実施形態は、溶融塩混合物が、LiOHと混合されたLiIを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0209】
第36の実施形態は、溶融塩混合物が、KBrと混合されたNiBrを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0210】
第37の実施形態は、溶融塩混合物が、溶融NaClと乳化された溶融Ni-Biを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0211】
第38の実施形態は、溶融塩混合物が、LiOHと混合されたLiIを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0212】
第39の実施形態は、溶融塩混合物が、アルミナに担持された担持溶融LiFの充填層を有するCsBrを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0213】
第40の実施形態は、溶融塩混合物が、MnClを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0214】
第41の実施形態は、溶融塩混合物が、MnClおよびKBrを含む、第21から第34の実施形態いずれか1つの方法を含み得る。
【0215】
第42の実施形態は、溶融塩混合物が、MnClおよびNaClの共融混合物を含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0216】
第43の実施形態は、溶融塩混合物が、LiBrおよびKBrの共融混合物を含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0217】
第44の実施形態は、溶融塩混合物が、MgClおよびKBr;MgClおよびKCl;またはLiCl、LiBr、およびKBrの少なくとも1つを含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0218】
第45の実施形態は、活性金属成分が、CoまたはCeの粒子を含む、第21から第34の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0219】
第46の実施形態は、溶融塩混合物が、マグネシウムベースの塩を含む、第21から第34の実施形態いずれか1つの方法を含み得る。
【0220】
第47の実施形態は、溶融塩混合物が、フッ化物塩を含む、第21から第34の実施形態いずれか1つの方法を含み得る。
【0221】
第48の実施形態は、溶融塩混合物が、固相の少なくとも1種の塩を含む、第21から第47の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0222】
第49の実施形態は、炭素が、酸化炭素を生成することなく生成される、第21から第48の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0223】
第50の実施形態において、炭化水素ガスから炭素を生成するための方法は、炭化水素を含む供給ストリームを、溶融塩混合物を含む槽に提供するステップであって、溶融塩混合物は活性金属成分および溶融塩溶媒を含むステップと、槽内で供給ストリームを溶融塩混合物と接触させるステップと、槽内での供給ストリームと溶融塩混合物との接触に基づいて炭素を生成するステップと、溶融塩混合物から炭素生成物を分離するステップとを含む。
【0224】
第51の実施形態は、供給ストリームが溶融塩混合物に吹き込まれる、第50の実施形態の方法を含み得る。
【0225】
第52の実施形態は、溶融塩混合物上の層として炭素を分離するステップをさらに含む、第50または第51の実施形態の方法を含み得る。
【0226】
第53の実施形態は、溶融塩混合物が、炭素の密度以上の密度を有する、第50から第52の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0227】
第54の実施形態は、炭素が、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または炭素繊維の少なくとも1つを含む、第50から第53の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0228】
第55の実施形態は、槽内での供給ストリームと溶融塩混合物との反応に基づいて水素を生成するステップをさらに含む、第50から第54の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0229】
第56の実施形態は、供給ストリームを溶融塩混合物と反応させるステップが、炭化水素をハロゲンと反応させて、ハロゲン化水素および炭素を形成することと;ハロゲン化水素を酸化物または水酸化物と反応させることにより、溶融塩混合物中でハロゲン化水素をハロゲン化物塩に変換することと;酸素をハロゲン化物塩と反応させて、ハロゲンおよび酸化物または水酸化物を生成することとを含む、第50から第55の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0230】
第57の実施形態は、溶融塩溶媒が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第50から第56の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0231】
第58の実施形態は、活性金属成分が、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第50から第57の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0232】
第59の実施形態は、活性金属成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、溶融塩溶媒が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含む、第50から第58の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0233】
第60の実施形態は、活性金属成分が、溶融塩溶媒中の固体金属粒子を含む、第50から第59の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0234】
第61の実施形態は、活性金属成分が、溶融塩溶媒中の担持構造上に位置する固体金属成分を含む、第50から第60の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0235】
第62の実施形態は、活性金属成分が、溶融金属を含み、溶融金属は、溶融塩溶媒とスラリーを形成する、第50から第61の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0236】
第63の実施形態は、溶融塩混合物が、LiOHと混合されたLiIを含む、第50から第62の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0237】
第64の実施形態は、溶融塩混合物が、MnClおよびKBrを含む、第50から第62の実施形態いずれか1つの方法を含み得る。
【0238】
第65の実施形態は、溶融塩混合物が、MnClおよびNaClの共融混合物を含む、第50から第62の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0239】
第66の実施形態は、溶融塩混合物が、LiBrおよびKBrの共融混合物を含む、第50から第62の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0240】
第67の実施形態は、溶融塩混合物が、固相の少なくとも1種の塩を含む、第50から第66の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0241】
第68の実施形態は、炭素が、酸化炭素を生成することなく生成される、第50から第67の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0242】
第69の実施形態において、電力を生成するための方法は、供給ストリームを溶融塩混合物と反応させるステップであって、供給ストリームは炭化水素含有ガスを含むステップと;反応に基づいて熱を生成するステップと;熱を使用して電力を生成するステップとを含む。
【0243】
第70の実施形態は、供給ストリームが酸素をさらに含み、熱を生成するステップが、供給ストリームと溶融塩混合物との反応に基づいて炭素および蒸気を形成することを含み、電力を生成するステップは、蒸気中の熱を使用して電力を生成することを含む、第69の実施形態の方法を含み得る。
【0244】
第71の実施形態は、供給ストリームを溶融塩混合物と反応させるステップが、槽内で供給ストリームを溶融塩混合物と反応させることと;槽内での供給ストリームと溶融塩混合物との反応に基づいて炭素および蒸気を生成することと;溶融塩混合物を第2の槽に移送することと;酸素を第2の槽に導入することと;第2の槽内で酸素を溶融塩混合物と反応させ、熱を生成することと;第2の槽内で酸素を溶融塩混合物と反応させた後に溶融塩混合物を槽に返送することとを含む、第69または第70の実施形態の方法を含み得る。
【0245】
第72の実施形態は、第2の槽内で酸素を溶融塩混合物と反応させるステップが、酸化炭素を生成する、第71の実施形態の方法を含み得る。
【0246】
第73の実施形態は、蒸気、酸化炭素、またはその両方で熱が生成される、第71または第72の実施形態の方法を含み得る。
【0247】
第74の実施形態は、供給ストリームと溶融塩混合物との反応に基づいて水素を生成するステップと;水素を燃焼して熱を生成するステップとをさらに含む、第69または第70の実施形態の方法を含み得る。
【0248】
第75の実施形態は、熱を使用して電力を生成するステップが、タービンを使用して電気を生成することを含む、第69から第74の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0249】
第76の実施形態は、電力が、酸化炭素を生成することなく生成される、第69から第71の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0250】
第77の実施形態において、反応方法は、炭化水素を含む供給ストリームを、溶融塩混合物を含む槽に提供するステップであって、塩混合物は反応性塩を含むステップと;槽内で供給ストリームを塩混合物と反応させるステップと;槽内での供給ストリームと塩混合物との反応に基づいて炭素を生成するステップとを含む。
【0251】
第78の実施形態は、供給ストリームが塩混合物に吹き込まれる、第77の実施形態の方法を含み得る。
【0252】
第79の実施形態は、塩混合物上の層として炭素を分離するステップ;または塩混合物中で炭素を固化し、塩混合物を溶液中に溶解して炭素を分離するステップとをさらに含む、第77または第78の実施形態の方法を含み得る。
【0253】
第80の実施形態は、槽に酸素を提供するステップと;供給ストリームおよび酸素と塩混合物との反応に基づいて蒸気を生成するステップとをさらに含む、第77から第79の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0254】
第81の実施形態は、槽内での供給ストリームと塩混合物との反応に基づいて水素を生成するステップをさらに含む、第77から第79の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0255】
第82の実施形態は、供給ストリームを塩混合物と反応させるステップが、炭化水素をハロゲンと反応させて、ハロゲン化水素および炭素を形成することと;ハロゲン化水素を酸化物または水酸化物と反応させることにより、塩混合物中でハロゲン化水素をハロゲン化物塩に変換することと;酸素をハロゲン化物塩と反応させて、ハロゲンおよび酸化物または水酸化物を生成することとを含む、第77から第81の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0256】
第83の実施形態は、塩溶媒が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第77から第82の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0257】
第84の実施形態は、塩混合物が活性金属成分をさらに含み、活性金属成分は、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第77から第83の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0258】
第85の実施形態は、活性金属成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、溶融塩溶媒が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含む、第84の実施形態の方法を含み得る。
【0259】
第86の実施形態は、活性金属成分が、溶融塩溶媒中の固体金属粒子を含む、第84または第85の実施形態の方法を含み得る。
【0260】
第87の実施形態は、活性金属成分が、溶融塩溶媒中の担持構造上に位置する固体金属成分を含む、第84から第86の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0261】
第88の実施形態は、活性金属成分が、溶融金属を含み、溶融金属は、溶融塩溶媒とスラリーを形成する、第84から第87の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0262】
第89の実施形態は、塩混合物が、LiOHと混合されたLiIを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0263】
第90の実施形態は、塩混合物が、KBrと混合されたNiBrを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0264】
第91の実施形態は、塩混合物が、溶融NaClと乳化された溶融Ni-Biを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0265】
第92の実施形態は、塩混合物が、LiOHと混合されたLiIを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0266】
第93の実施形態は、塩混合物が、アルミナに担持された担持溶融LiFの充填層を有するCsBrを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0267】
第94の実施形態は、塩混合物が、MnClを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0268】
第95の実施形態は、塩混合物が、MnClおよびKBrを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0269】
第96の実施形態は、塩混合物が、MnClおよびNaClの共融混合物を含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0270】
第97の実施形態は、塩混合物が、LiBrおよびKBrの共融混合物を含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0271】
第98の実施形態は、塩混合物が、MgClおよびKBr;MgClおよびKCl;またはLiCl、LiBr、およびKBrの少なくとも1つを含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0272】
第99の実施形態は、活性金属成分が、CoまたはCeの粒子を含む、第28から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0273】
第100の実施形態は、塩混合物が、マグネシウムベースの塩を含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0274】
第101の実施形態は、塩混合物が、フッ化物塩を含む、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0275】
第102の実施形態は、炭素が、酸化炭素を生成することなく生成される、第77から第88の実施形態のいずれか1つの方法を含み得る。
【0276】
本明細書で開示される実施形態に加えて、ある特定の態様は、限定されることなく以下を含み得る。
【0277】
第1の態様において、反応方法は、炭化水素を含む供給ストリーム(101)を槽(204、304、403)に供給するステップであって、槽(204、304、403)は溶融塩混合物(203、332、771)および反応性成分を含むステップと;槽(204、304、403)内で供給ストリーム(101)を反応させるステップと;供給ストリームの反応に基づいて、固体炭素および気相生成物(208)を含む反応生成物を生成するステップと;反応生成物を溶融塩混合物(203、332、771)と接触させるステップと;溶融塩混合物から気相生成物(208、337)を分離するステップと;溶融塩混合物から固体炭素を分離して、固体炭素生成物(209)を生成するステップとを含む。
【0278】
第2の態様は、固体炭素が、溶融塩混合物に溶媒和される、運搬される、または同伴される、第1の態様の反応方法を含み得る。
【0279】
第3の態様は、溶融塩混合物を熱流体として使用して、槽内で供給ストリームおよび溶融塩混合物と熱を交換するステップをさらに含む、第1または第2の態様の反応方法を含み得る。
【0280】
第4の態様は、供給ストリームが溶融塩混合物に吹き込まれ、方法が、供給ストリームの溶融塩混合物への吹き込みに基づいて、槽から固体炭素および溶融塩混合物を排出するステップをさらに含み、溶融塩混合物から固体炭素を分離するステップが、固体炭素および溶融塩混合物が槽から排出された後に行われる、第1から第3の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0281】
第5の態様は、溶融塩混合物から固体炭素を分離するステップが、固体炭素および溶融塩混合物をフィルター(336、536)に通し、固体炭素をフィルター上に保持すること;固体炭素および溶融塩混合物の密度の違いを使用して、溶融塩混合物から固体炭素を分離すること;または固体移送デバイス(408)を使用して、溶融塩混合物から固体炭素を第2の槽に物理的に除去することの少なくとも1つを含む、第4の態様の反応方法を含み得る。
【0282】
第6の態様は、溶融塩混合物(203、332、771)上の層として固体炭素を分離するステップ;または固体炭素および溶融塩混合物(203、332、771)を固化して固化塩混合物を生成し、固化塩混合物から塩を溶液中に溶解して固体炭素を分離するステップをさらに含む、第1から第5の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0283】
第7の態様は、槽(204、304、403)に酸素を提供するステップと;供給ストリームおよび酸素と溶融塩混合物との反応に基づいて蒸気を生成するステップとをさらに含む、第1から第6の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0284】
第8の態様は、溶融塩混合物(203、332、771)が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、Mg、Ca、Mn、Zn、La、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第1から第7の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0285】
第9の態様は、反応性成分が活性金属成分を含み、活性金属成分は、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、Fe、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第1から第8の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0286】
第10の態様は、反応性成分が、溶融塩混合物内に位置する固体を含み、活性成分が、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、固体炭素、またはそれらの任意の組合せを含む、第1から第9の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0287】
第11の態様は、反応性成分が、Ni、Fe、Co、Ru、Ce、MoC、WC、SiC、MgO、CaO、Al、MgF、CaF、またはそれらの任意の組合せを含む、第10の態様の反応方法を含み得る。
【0288】
第12の態様は、反応性成分が、溶融塩混合物中の固体金属粒子、または溶融塩混合物中の担持構造上に位置する固体金属成分の少なくとも1つを含む、第10または第11の態様の反応方法を含み得る。
【0289】
第13の態様は、反応性成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、溶融塩混合物が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含む、第1から第12の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0290】
第14の態様は、反応性成分が、溶融塩混合物とスラリーを形成する溶融金属、または固体担体と接触する溶融塩の少なくとも1つを含み、溶融塩は、溶融塩混合物に少なくとも部分的に不溶である、第1から第13の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0291】
第15の態様において、反応方法は、槽(204、304、403)内で炭化水素を含む供給ストリーム(10)を活性金属成分と接触させるステップと、槽(204、304、403)内で供給ストリームを活性金属成分と反応させるステップと、槽(204、304、403)内での供給ストリーム(101)と活性金属成分との反応に基づいて炭素を生成するステップと、活性金属成分を溶融塩混合物(203、332、771)と接触させるステップと、溶融塩混合物(203、332、771)を使用して炭素の少なくとも一部を溶媒和させるステップと、溶融塩混合物(203、332、771)から炭素を分離して、炭素生成物(209)を生成するステップとを含む。
【0292】
第16の態様は、槽(204、304、403)内の溶融塩混合物(203、332、771)を使用して活性金属成分から炭素を除去するステップをさらに含む、第15の態様の反応方法を含み得る。
【0293】
第17の態様は、溶融塩混合物(203、332、771)を熱流体として使用して、槽(204、304、403)内で供給ストリームおよび活性金属成分と熱を交換するステップをさらに含む、第15または第16の態様の反応方法を含み得る。
【0294】
第18の態様は、供給ストリームが活性金属成分の周りに吹き込まれる、第15から第17の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0295】
第19の態様は、溶融塩混合物(203、332、771)上の固体層として炭素を分離するステップ;または溶融塩混合物(203、332、771)を固化して固化塩混合物を生成し、固化塩混合物から塩を水溶液中に溶解して炭素を分離するステップをさらに含む、第15から第18の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0296】
第20の態様は、槽(204、304、403)内での供給ストリームと活性金属成分との反応に基づいて水素を生成するステップをさらに含む、第15から第19の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0297】
第21の態様は、活性金属成分が、Ni、Fe、Co、Ru、Ce、Mn、Zn、Al、それらの塩、またはそれらの任意の混合物の少なくとも1つを含み、溶融塩混合物が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含む、第15から第20の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0298】
第22の態様は、活性金属成分が、固体活性金属成分であり、固体活性金属成分は、溶融塩混合物中の固体金属粒子、または溶融塩混合物中の担持構造上に位置する固体金属成分の少なくとも1つを含む、第15から第21の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0299】
第23の態様は、固体活性金属成分が、担持構造上に位置する固体金属成分を含み、担持構造は、シリカ、アルミナ、またはジルコニアの少なくとも1つを含む、第15から第22の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0300】
第24の態様は、溶融塩混合物が、LiOHと混合されたLiI、KBrと混合されたNiBr、溶融NaClと乳化されたNi-Bi、LiOHと混合されたLiI、アルミナに担持された担持溶融LiFの充填層を有するCsBr、MnCl、MnClおよびKBr、MnClおよびNaCl、LiBrおよびKBrの共融混合物の少なくとも1つを含む、第15から第23の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0301】
第25の態様は、溶融塩混合物が、固相の少なくとも1種の塩を含む、第15から第24の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0302】
第26の態様は、炭素が、酸化炭素を生成することなく生成される、第15から第24の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0303】
第27の態様は、活性金属成分が、溶融塩混合物内に位置する固体を含み、活性成分が、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、固体炭素、またはそれらの任意の組合せを含む、第15から第26の態様のいずれか1つの反応方法を含み得る。
【0304】
第28の態様において、炭化水素ガスから炭素を生成するためのシステムは、溶融塩混合物(203、332)を含む反応槽(204、304、403)であって、溶融塩混合物(203、332、771)は活性金属成分および溶融塩を含む反応槽(204、304、403)と;反応槽(204、304、403)への供給ストリーム入口(202)であって、供給ストリームを反応槽(204、304、403)に導入するように構成される供給ストリーム入口(202)と;炭化水素を含む供給ストリーム(101)と;反応槽(204、304、403)内に位置する固体炭素であって、反応槽(204、304、403)内の炭化水素の反応生成物である固体炭素と;反応槽(204、304、403)から固体炭素を除去するように構成される生成物出口(335)とを備える。
【0305】
第29の態様は、供給ストリーム入口(202)が、供給ストリームを反応槽(204、304、403)内の溶融塩混合物(203、332、771)に吹き込むように構成される、第28の態様のシステムを含み得る。
【0306】
第30の態様は、活性金属成分が、固体活性金属成分を含み、供給ストリーム入口が、活性金属成分の下の反応槽(204、304、403)のより低い部分に位置付けられ、活性金属成分が、溶融塩混合物(203、332、771)内に位置する固体を含み、活性成分が、金属、金属炭化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、固体炭素、またはそれらの任意の組合せを含む、第28または第29の態様のシステムを含み得る。
【0307】
第31の態様は、第2の槽(404)をさらに備え、生成物出口(335)が、第2の槽の入口(333)に流体カップリングし(fluidly couple)、生成物出口が、反応槽(204、304、403)から固体炭素および溶融塩混合物(203、332、771)を受容して、溶融塩混合物(203、332、771)から固体炭素を分離するように構成される、第28から第30の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0308】
第32の態様は、生成物出口が、反応槽(204、304、403)の上部セクション(upper section)にある、第31の態様のシステムを含み得る。
【0309】
第33の態様は、第2の槽と反応槽(204、304、403)の入口との間の流体連通を提供するように構成される第2の槽出口をさらに備え、第2の槽出口は、分離された溶融塩混合物(203、332、771)を受容して、分離された溶融塩混合物(203、332、771)を反応槽(204、304、403)の入口に返送するように構成される、第31または第32の態様のシステムを含み得る。
【0310】
第34の態様は、溶融塩混合物(203、332、771)が、第2の槽に移送される際に固体炭素を含み、第2の槽内で酸素を溶融塩混合物(203、332、771)と反応させることにより、酸化炭素が生成される、第33の態様のシステムを含み得る。
【0311】
第35の態様は、生成物出口が、溶融塩混合物(203、332、771)上の層として固体炭素を分離するように構成される、第28から第34の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0312】
第36の態様は、溶融塩混合物(203、332、771)が、固体炭素の密度以上の密度を有する、第28から第35の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0313】
第37の態様は、固体炭素が、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または炭素繊維の少なくとも1つを含む、第28から第36の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0314】
第38の態様は、溶融塩混合物が、1種以上の酸化原子(M)+mおよび対応する還元原子(X)-1を含み、Mは、K、Na、Mg、Ca、Mn、Zn、La、またはLiの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第28から第37の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0315】
第39の態様は、活性金属成分が、酸化原子(MA)+nおよび還元原子(X)-1を有する塩を含み、MAは、Zn、La、Mn、Co、Ni、Cu、Mg、Ce、Fe、またはCaの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、またはNOの少なくとも1つである、第28から第38の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0316】
第40の態様は、活性金属成分が、MnCl、ZnCl、またはAlClの少なくとも1つを含み、溶融塩混合物が、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、またはMgClの少なくとも1つを含む、第28から第39の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0317】
第41の態様は、活性金属成分が、溶融塩混合物中の固体金属粒子、または溶融塩混合物中の担持構造上に位置する固体金属成分の少なくとも1つを含む、第28から第40の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0318】
第42の態様は、活性金属成分が、溶融金属を含み、溶融金属は、溶融塩混合物とスラリーを形成する、第28から第41の態様のいずれか1つのシステムを含み得る。
【0319】
本開示においていくつかの実施形態を示したが、開示されたシステムおよび方法は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく多くの他の特定の形態で具現化され得ることが理解されるべきである。実施形態および本発明の例は、例示であって制約するものではないとみなされるべきであり、本明細書で示される詳細に制限することを意図しない。本明細書で開示されるシステムおよび方法の多くの変化型および変形が可能であり、本開示の範囲に含まれる。例えば、様々な要素もしくは成分は、別のシステムに組み合わされてもよく、もしくは統合されてもよく、または、ある特定の特徴は、省略されてもよく、もしくは実装されなくてもよい。また、様々な実施形態において異なるまたは別個のものとして説明および例示される技術、システム、サブシステムおよび方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、モジュール、技術、または方法に組み合わされてもよい、または統合されてもよい。互いに直接結合または連通しているものとして示される、または説明される他の品目は、電気的であるか、機械的であるか、または別様であるかに関わらず、いくつかの界面、デバイス、または中間部品を介して間接的に結合または連通していてもよい。変更、置換、および改変の他の例は、当業者により確認され得、本明細書で開示される精神および範囲から逸脱せずに行われ得る。
【0320】
多くの他の変形、均等物、および代替物は、上記の開示が十分に理解されれば当業者に明らかとなる。以下の特許請求の範囲は、該当する場合には全てのそのような変形、均等物、および代替物を包含するように解釈されるべきであることが意図される。したがって、保護の範囲は、上に記載の説明によって制限されず、以下の特許請求の範囲によってのみ制限され、その範囲は、特許請求の範囲の主題の全ての均等物を含む。あらゆる請求項が、本発明のシステムおよび方法の実施形態として明細書に組み込まれる。したがって、特許請求の範囲はさらなる説明であり、本発明の詳細な説明への追加である。本明細書において引用された全ての特許、特許出願および出版物の開示は、本願に引用して援用する。
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