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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】抵抗器
(51)【国際特許分類】
   H01C 13/00 20060101AFI20231221BHJP
   H01C 1/142 20060101ALI20231221BHJP
   H01C 1/012 20060101ALI20231221BHJP
   H01C 3/12 20060101ALI20231221BHJP
   H01C 7/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01C13/00 J
H01C1/142
H01C1/012
H01C3/12
H01C7/00 400
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020571116
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2020002960
(87)【国際公開番号】W WO2020162266
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2019020261
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019027116
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】後藤 陽一
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-330801(JP,A)
【文献】特開2016-036002(JP,A)
【文献】特開昭64-051691(JP,A)
【文献】国際公開第2013/137338(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/113341(WO,A1)
【文献】特公昭46-000775(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0057766(US,A1)
【文献】特開2016-046458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/00
H01C 1/142
H01C 1/012
H01C 3/12
H01C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く第1面および第2面を有する抵抗体と、
前記第1面に配置された絶縁板と、
前記第2面に配置された保護膜と、
前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間して配置され、かつ前記抵抗体に接する一対の電極と、を備え、
前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向において前記抵抗体に対して前記絶縁板とは反対側に位置する底部を有し、
前記一対の電極の前記底部は、前記厚さ方向に視て前記保護膜の一部に重なっており、
導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなるとともに、前記第1方向において互いに離間した一対の中間層をさらに備え、
前記一対の中間層の各々は、前記保護膜の一部を覆う被覆部を有し、
前記一対の中間層の前記被覆部の各々は、前記保護膜と、前記一対の電極の前記底部のいずれかと、の間に位置しており、
前記抵抗体は、金属板からなり、
前記保護膜は、合成樹脂を含む材料からなり、
前記一対の中間層には、金属粒子が含有されており、
前記抵抗体は、前記第1面から前記第2面にかけて貫通するスリットを有し、
前記スリットは、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に延びている、抵抗器。
【請求項2】
前記金属粒子は、銀を含む、請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記一対の中間層の電気抵抗率は、前記抵抗体の電気抵抗率よりも大である、請求項1または2に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記保護膜には、セラミックスを含む材料からなるフィラーが含有されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項5】
前記絶縁板は、合成樹脂を含む材料からなり、
前記絶縁板の一部が、前記厚さ方向において前記スリットに入り込んでいる、請求項1ないし4のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項6】
前記スリットは、前記第1方向に離間した一対の側壁を有し、
前記一対の側壁の各々は、前記第1方向に向けて凹状である部分を含む、請求項5に記載の抵抗器。
【請求項7】
前記抵抗体は、前記第2面から凹み、かつ所定の方向に延びる複数の溝を有し、
前記保護膜は、前記複数の溝と噛み合っている、請求項1ないし6のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項8】
前記抵抗体は、前記第1面および前記第2面の双方につながり、かつ前記第1方向において互いに離間した一対の第1端面を有し、
前記一対の電極の各々は、前記一対の電極の前記底部のいずれかにつながり、かつ前記厚さ方向に起立する側部を有し、
前記一対の電極の前記側部の各々は、前記一対の第1端面のいずれかに接している、請求項1ないし7のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項9】
前記絶縁板は、前記第1方向において互いに反対側を向き、かつ互いに離間した一対の第2端面を有し、
前記一対の電極の前記側部の各々は、前記一対の第2端面のいずれかに接している、請求項8に記載の抵抗器。
【請求項10】
前記一対の第2端面の各々は、前記一対の第1端面のいずれかと面一である、請求項9に記載の抵抗器。
【請求項11】
前記厚さ方向に視て、前記保護膜は、前記一対の第1端面よりも前記第1方向の内方に位置しており、
前記厚さ方向に視て、前記第2面は、前記一対の第1端面のいずれかと前記保護膜との間に位置し、かつ前記一対の中間層に覆われていない露出領域を含み、
前記一対の電極の前記底部の各々は、前記露出領域に接している、請求項8ないし10のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項12】
前記一対の中間層の各々は、前記一対の中間層の前記被覆部のいずれかから前記一対の第1端面のいずれかにかけて延びる延伸部を有し、
前記延伸部は、前記第2面に接しており、
前記一対の電極の前記底部の各々は、前記一対の中間層の前記延伸部のいずれかに接している、請求項11に記載の抵抗器。
【請求項13】
前記一対の中間層の前記延伸部の各々には、前記一対の第1端面のいずれかから前記第1方向に向けて凹む凹部が形成されており、
前記凹部から前記露出領域が露出している、請求項12に記載の抵抗器。
【請求項14】
前記一対の中間層の各々は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記延伸部を有し、
前記第2層は、前記被覆部を有し、かつ前記一対の中間層の前記第1層のいずれかにつながっている、請求項12または13に記載の抵抗器。
【請求項15】
前記一対の中間層の前記第1層の各々は、前記延伸部から前記保護膜に向けて延びる介在部を有し、
前記介在部は、前記抵抗体と前記保護膜との間に位置する部分を含む、請求項14に記載の抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に電流検出に用いられる抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板からなる抵抗体を備える抵抗器が知られている。このような抵抗器は、主に電流検出に用いられる。特許文献1には、金属板からなる抵抗体を備える抵抗器の一例が開示されている。当該抵抗器は、抵抗体と、当該抵抗体の厚さ方向の一方側を向く抵抗体の面の両端に形成された一対の電極と、抵抗体を覆う保護膜とを備える。抵抗体の当該面を覆う保護膜の一部は、一対の電極の間に位置する。
【0003】
当該抵抗器によって、より大きな電流を検出させる場合、抵抗体から発生する熱がより増加する。この熱によって抵抗体の温度がより上昇すると、当該抵抗器の抵抗値に変動が生じるおそれがある。このため、当該抵抗器の放熱性を向上させるため、一対の電極の各々の表面積を拡大させる方策を講じることがある。このような方策を講じる場合、抵抗器の寸法の拡大を抑制するため、当該抵抗体の厚さ方向に沿って視て、一対の電極の一部が保護膜に重なるような構成をとることがある。本構成に基づく一対の電極は、スパッタリング法により保護膜に金属薄膜を成膜した後、電解バレルめっきを施すことにより形成することができる。
【0004】
しかし、上記構成をとった抵抗器とすると、当該抵抗器の使用の際、一対の電極の各々と、保護膜との界面に作用する熱応力の影響により、保護膜に接する一対の電極の部分が剥離するおそれがある。このような剥離が起こると当該抵抗器の放熱性が低下するため、当該抵抗器の抵抗値に変動を来す。このため、当該抵抗器においては、熱応力に起因した一対の電極の剥離を抑止する方策が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-225602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は上記事情に鑑み、抵抗体の厚さ方向に沿って視て、保護膜に重なる一対の電極の部分が剥離することを抑止可能な抵抗器を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によって提供される抵抗器は、厚さ方向において互いに反対側を向く第1面および第2面を有する抵抗体と、前記第1面に配置された絶縁板と、前記第2面に配置された保護膜と、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間して配置され、かつ前記抵抗体に接する一対の電極と、を備え、前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向において前記抵抗体に対して前記絶縁板とは反対側に位置する底部を有し、前記一対の電極の前記底部は、前記厚さ方向に沿って視て前記保護膜の一部に重なり、導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなるとともに、前記第1方向において互いに離間した一対の中間層をさらに備え、前記一対の中間層の各々は、前記保護膜の一部を覆う被覆部を有し、前記一対の中間層の前記被覆部の各々は、前記保護膜と、前記一対の電極の前記底部のいずれかと、の間に位置する。
【0008】
本開示の構成および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態にかかる抵抗器の平面図である。
図2図1に対応する平面図であり、絶縁板を透過している。
図3図1に示す抵抗器の底面図である。
図4図3に対応する底面図であり、一対の電極を透過している。
図5図3に対応する底面図であり、一対の電極、および一対の中間層を透過している。
図6図1に示す抵抗器の右側面図である。
図7図1に示す抵抗器の正面図である。
図8図2のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図8の部分拡大図である。
図10図8の部分拡大図である。
図11図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図12図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図13図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図14図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図15図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図16】本開示の第2実施形態にかかる抵抗器の底面図であり、一対の電極を透過している。
図17図16に示す抵抗器の断面図である。
図18図17の部分拡大図である。
図19図16に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図20図16に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図21図16に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図22】本開示の第3実施形態にかかる抵抗器の平面図である。
図23図22に対応する平面図であり、絶縁板を透過している。
図24図22に示す抵抗器の底面図である。
図25図24に対応する底面図であり、一対の電極を透過している。
図26図24に対応する底面図であり、一対の電極、および一対の中間層を透過している。
図27図22に示す抵抗器の右側面図である。
図28図22に示す抵抗器の正面図である。
図29図23のXXIX-XXIX線に沿う断面図である。
図30図29の部分拡大図である。
図31図29の部分拡大図である。
図32図22に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図33図22に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図34図22に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図35図22に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図36図22に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図37図22に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図38】本開示の第3実施形態の変形例にかかる抵抗器の平面図であり、絶縁板を透過している。
図39図38のXXXIX-XXXIX線に沿う断面図である。
図40】本開示の第4実施形態にかかる抵抗器の平面図であり、絶縁板を透過している。
図41図40に示す抵抗器の底面図であり、一対の電極を透過している。
図42図40に示す抵抗器の正面図である。
図43図40のXLIII-XLIII線に沿う断面図である。
図44図43の部分拡大図である。
図45図40に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図46図40に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
図47図40に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1図10に基づき、本開示の第1実施形態にかかる抵抗器A10について説明する。抵抗器A10は、電流検出に用いられるシャント抵抗器を対象としている。抵抗器A10の抵抗値は、概ね5mΩ以上220mΩ以下である。抵抗器A10は、様々な電子機器の配線基板に表面実装される。抵抗器A10は、抵抗体10、絶縁板20、保護膜30、一対の中間層40、および一対の電極50を備える。ここで、図2は、理解の便宜上、絶縁板20を透過している。図4は、理解の便宜上、一対の電極50を透過している。図5は、理解の便宜上、一対の中間層40、および一対の電極50をそれぞれ透過している。これらの図において透過した一対の中間層40、および一対の電極50を想像線(二点鎖線)で示している。
【0012】
抵抗器A10と、後述する抵抗器A20~抵抗器A40との説明においては、便宜上、抵抗体10の厚さに沿った方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する一方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。図1に示すように、抵抗器A10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。第1方向xは、抵抗器A10の長手方向に相当する。第2方向yは、抵抗器A10の短手方向に相当する。
【0013】
抵抗体10は、抵抗器A10の機能中枢をなしている。抵抗体10は、金属板である。当該金属板の材料は、たとえば銅(Cu)-マンガン(Mn)-ニッケル(Ni)合金(マンガニン:登録商標)、または銅-マンガン-錫(Sn)合金(ゼラニン:登録商標)である。抵抗体10の厚さは、50μm以上150μm以下である。
【0014】
図8に示すように、抵抗体10は、第1面10A、第2面10B、および一対の第1端面10Cを有する。第1面10Aは、厚さ方向zの一方を向く。第2面10Bは、第1面10Aとは反対側を向く。このため、第1面10Aおよび第2面10Bは、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。一対の第1端面10Cは、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の第1端面10Cの各々は、第1面10Aおよび第2面10Bの双方につながっている。
【0015】
図5に示すように、抵抗体10は、複数のスリット11、および複数の溝12を有する。複数のスリット11、および複数の溝12は、抵抗体10の抵抗値を所定の値に調整するために設けられている。図8に示すように、複数のスリット11の各々は、第1面10Aから第2面10Bにかけて抵抗体10を貫通している。図2に示すように、複数のスリット11の各々は、第2方向yに延びている。複数のスリット11により、抵抗体10の第2方向yの両端は、その一部が開口している。図9に示すように、複数のスリット11の各々は、一対の側壁111を有する。一対の側壁111は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の側壁111の各々は、第1面10Aおよび第2面10Bの双方につながっている。一対の側壁111の各々は、第1方向xに向けて凹状である部分を含む。図5および図10に示すように、複数の溝12は、第2面10Bから凹み、かつ所定の方向に延びている。抵抗器A10が示す例においては、複数の溝12の各々は、第2方向yに延びている。図10に示すように、複数の溝12の各々の最大幅bmaxは、複数のスリット11の各々の最小幅Bmin(図9参照)よりも小である。スリット11の数は、抵抗体10に求められる抵抗値に応じて自在に設定可能である。
【0016】
絶縁板20は、図8に示すように、抵抗体10の第1面10Aに配置されている。絶縁板20は、合成樹脂を含む材料からなる。抵抗器A10が示す例においては、絶縁板20は、エポキシ樹脂を含む合成樹脂シートである。絶縁板20は、一対の第2端面20Aを有する。一対の第2端面20Aは、第1方向xにおいて互いに反対側を向き、かつ第1方向xにおいて互いに離間している。一対の第2端面20Aの各々は、一対の第1端面10Cのいずれかと面一である。絶縁板20の一部が、厚さ方向zにおいて抵抗体10の複数のスリット11に入り込んでいる。
【0017】
保護膜30は、図8に示すように、抵抗体10の第2面10Bに配置されている。保護膜30は、電気絶縁性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなる。抵抗器A10が示す例においては、保護膜30は、エポキシ樹脂を含む材料からなる。図9および図10に示すように、保護膜30には、フィラー31が含有されている。フィラー31は、セラミックスを含む材料からなる。当該セラミックスは、たとえばアルミナ(Al23)や窒化ホウ素(BN)といった熱伝導率が比較的大であるものが好ましい。保護膜30は、第2面10Bと、第2面10Bと同じ側を向く絶縁板20の面との双方に接している。図5に示すように、保護膜30は、厚さ方向zに沿って視て抵抗体10の一対の第1端面10Cよりも第1方向xの内方に位置する。図10に示すように、保護膜30は、抵抗体10の複数の溝12と噛み合っている。
【0018】
一対の中間層40は、図8に示すように、厚さ方向zにおいて抵抗体10に対して絶縁板20とは反対側に位置する。一対の中間層40は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の中間層40は、導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなる。一対の中間層40は、抵抗体10に導通している。一対の中間層40には、金属粒子が含有されている。当該金属粒子は、銀(Ag)を含む。抵抗器A10が示す例においては、一対の中間層40に含まれる合成樹脂は、エポキシ樹脂である。一対の中間層40の電気抵抗率は、抵抗体10の電気抵抗率の約10倍である。したがって、一対の中間層40の電気抵抗率は、抵抗体10の電気抵抗率よりも大である。
【0019】
図4および図8に示すように、一対の中間層40の各々は、被覆部41および延伸部42を有する。被覆部41は、厚さ方向zにおいて保護膜30に対して抵抗体10とは反対側に位置する。被覆部41は、保護膜30の一部を覆っている。延伸部42は、一対の中間層40の被覆部41のいずれかから、抵抗体10の一対の第1端面10Cのいずれかにかけて延びている。延伸部42は、抵抗体10の第2面10Bと、第2面10Bと同じ側を向く絶縁板20の面との双方に接している。これにより、一対の中間層40は、抵抗体10に導通している。図4および図7に示すように、一対の中間層40の延伸部42の各々には、凹部421が形成されている。凹部421は、一対の第1端面10Cのいずれかから第1方向xに向けて凹んでいる。厚さ方向zに沿って視て、凹部421は、矩形状である。一方、図4図5および図8に示すように、抵抗体10の第2面10Bは、厚さ方向zに沿って視て一対の第1端面10Cのいずれかと、保護膜30との間に位置する露出領域13を含む。露出領域13は、一対の中間層40に覆われていない。凹部421から露出領域13が現れている。
【0020】
一対の電極50は、図1図3図6および図8に示すように、第1方向xにおいて互いに離間して配置されている。一対の電極50の各々は、抵抗体10に接している。これにより、一対の電極50は、抵抗体10に導通している。一対の電極50の各々は、複数の金属層により構成されている。抵抗器A10が示す例においては、当該複数の金属層は、抵抗体10に近い方から順に、銅層、ニッケル層、錫層が積層されたものである。
【0021】
図3、および図6図8に示すように、一対の電極50の各々は、底部51を有する。底部51は、厚さ方向zにおいて抵抗体10に対して絶縁板20とは反対側に位置する。底部51は、厚さ方向zに沿って視て保護膜30の一部に重なっている。
【0022】
図6および図8に示すように、一対の中間層40の被覆部41の各々は、保護膜30と、一対の電極50の底部51のいずれかとの間に位置する。抵抗器A10においては、一対の中間層40の被覆部41の各々は、保護膜30と、一対の電極50の底部51のいずれかとの双方に接している。
【0023】
図6および図8に示すように、一対の中間層40の延伸部42の各々は、抵抗体10と、一対の電極50の底部51のいずれかとの間に位置する。一対の電極50の底部51の各々は、一対の中間層40の延伸部42のいずれかに接している。あわせて、一対の電極50の底部51の各々は、抵抗体10の第2面10Bの露出領域13と、保護膜30とに接している。
【0024】
図1図3、および図6図8に示すように、一対の電極50の各々は、側部52を有する。側部52は、一対の電極50の底部51のいずれかにつながり、かつ厚さ方向zに起立している。一対の電極50の側部52の各々は、抵抗体10の一対の第1端面10Cのいずれかに接している。あわせて、一対の電極50の側部52の各々は、絶縁板20の一対の第2端面20Aのいずれかに接している。
【0025】
次に、図11図15に基づき、抵抗器A10の製造方法の一例について説明する。ここで、図11図15が示す断面位置は、図8が示す断面位置と同一である。
【0026】
最初に、図11に示すように、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く第1面81Aおよび第2面81Bを有する抵抗体81に、基材82を熱圧着させる。抵抗体81は、抵抗器A10の抵抗体10が第1方向xおよび第2方向yに複数連なったものである。第1面81Aは、抵抗体10の第1面10Aに相当する。第2面81Bは、抵抗体10の第2面10Bに相当する。基材82は、抵抗器A10の絶縁板20が第1方向xおよび第2方向yに複数連なったものである。まず、第1面10Aから第2面81Bにかけて貫通する複数のスリット811を抵抗体81に形成する。複数のスリット811が、抵抗器A10の複数のスリット11に相当する。複数のスリット811は、ウエットエッチングにより形成される。次いで、第1面81Aに基材82を積層プレスにより熱圧着させる。第1面81Aに基材82を圧着させると、厚さ方向zにおいて複数のスリット811に基材82の一部が入り込む。最後に、第2面10Bに抵抗体81の抵抗値を測定するためのプローブを接触させた状態で、第2面10Bから凹む複数の溝812を抵抗体81に形成する。複数の溝812が、抵抗器A10の複数の溝12に相当する。複数の溝12は、たとえばレーザ照射により形成される。抵抗体81の抵抗値が所定の値になったとき、複数の溝812の形成を終了する。
【0027】
次いで、図12に示すように、抵抗体81の第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面のそれぞれ一部ずつを覆う保護膜30を形成する。保護膜30は、エポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面に塗布した後、当該材料を熱硬化させることにより形成される。
【0028】
次いで、図13に示すように、抵抗体81の第2面81B、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面、および保護膜30のそれぞれ一部ずつを覆う一対の中間層40を形成する。一対の中間層40は、銀粒子およびエポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81B、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面、および保護膜30に塗布した後、当該材料を熱硬化させることにより形成される。
【0029】
次いで、図14に示すように、抵抗体81および基材82を切断線CLに沿ってダイシングブレードで切断することにより、保護膜30および一対の中間層40を含む個片に分割する。当該個片が、一対の電極50を除く抵抗器A10の構成要素となる。すなわち、個片に分割された抵抗体81が、抵抗器A10の抵抗体10となる。あわせて、個片に分割された基材82が、抵抗器A10の絶縁板20となる。抵抗体10の一対の第1端面10C、および絶縁板20の一対の第2端面20Aは、本工程において形成される抵抗体81および基材82の切断面である。
【0030】
最後に、図15に示すように、抵抗体10に接する一対の電極50を形成する。一対の電極50は、銅層、ニッケル層、錫層の順に、それぞれ電解バレルめっきを施すことにより形成される。一対の中間層40の各々は、一対の電極50の底部51のいずれかに覆われる。一対の電極50の底部51の各々は、抵抗体10の第2面10Bの露出領域13と、保護膜30とに接する。あわせて、抵抗体10の一対の第1端面10Cの各々と、絶縁板20の一対の第2端面20Aの各々の一部とは、一対の電極50の側部52のいずれかに覆われる。次いで、温度170℃、かつ2時間の条件下で、一対の電極50を熱処理させる。これにより、一対の電極50の底部51の各々と、抵抗体10との結合性が向上する。以上の工程を経ることによって、抵抗器A10が製造される。
【0031】
次に、抵抗器A10の作用効果について説明する。
【0032】
抵抗器A10においては、一対の電極50の底部51は、厚さ方向zに沿って視て保護膜30の一部に重なっている。抵抗器A10は、保護膜30の一部を覆う被覆部41を有し、かつ第1方向xにおいて互いに離間した一対の中間層40を備える。一対の中間層40は、導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなる。一対の中間層40の被覆部41の各々は、保護膜30と、一対の電極50の底部51のいずれかとの間に位置する。図15に示す工程において説明したとおり、一対の電極50は電解バレルめっきにより形成されるため、これにより一対の電極50の底部51の各々と、一対の中間層40の被覆部41のいずれかとの結合性は良好なものとなる。あわせて、抵抗器A10の使用の際、一対の電極50の底部51の各々と、一対の中間層40の被覆部41のいずれかとの界面に作用する熱応力は、当該被覆部41により緩和される。これにより、一対の中間層40の被覆部41の各々と、保護膜30との界面に伝達される当該熱応力が低減される。よって、当該熱応力の影響により、一対の中間層40の被覆部41が保護膜30から剥離することが抑止される。したがって、抵抗器A10によれば、厚さ方向zに沿って視て、保護膜30に重なる一対の電極50の部分(底部51)が剥離することを抑止可能となる。
【0033】
保護膜30は、合成樹脂を含む材料からなる。これにより、保護膜30および一対の中間層40は、ともに同種材料を含む構成となるため、保護膜30と、一対の中間層40の被覆部41との結合性を向上させることができる。
【0034】
一対の中間層40には、金属粒子が含有されている。これにより、一対の中間層40が合成樹脂を含む材料からなる場合であっても、導電性を有する物性とすることができる。あわせて、当該金属粒子は、銀を含む。図15に示す工程において説明したとおり、電解バレルめっきにより形成された一対の電極50は、所定の条件下にて熱処理される。銀は比較的、熱酸化されにくい物性を有する。したがって、一対の電極50の底部51の各々と、一対の中間層40のいずれかとの結合性を向上させることができる。
【0035】
一対の中間層40の電気抵抗率は、抵抗体10の電気抵抗率よりも大である。これにより、抵抗器A10の使用の際、抵抗体10を流れる電流が一対の中間層40には流れにくくなる。したがって、一対の中間層40の影響による抵抗器A10の抵抗値の変動を抑制することができる。
【0036】
保護膜30には、セラミックスを含む材料からなるフィラー31が含有されている。これにより、保護膜30の機械的強度を増加させることができる。さらに、当該セラミックスとして、アルミナや窒化ホウ素など、熱伝導率が比較的大であるものを選択することにより、保護膜30の熱伝導率を高くすることができる。これにより、抵抗器A10の放熱性を、より向上させることができる。
【0037】
絶縁板20は、合成樹脂を含む材料からなる。これにより、図11に示す工程において、抵抗体81の第1面81Aに基材82を、積層プレスにより熱圧着させることができる。また、抵抗体10は、第1面10Aから第2面10Bにかけて貫通する複数のスリット11を有する。絶縁板20の一部が、厚さ方向zにおいて複数のスリット11に入り込んでいる。これにより、抵抗体10に対して絶縁板20に投錨効果(アンカー効果)が生じるため、抵抗体10と絶縁板20との結合性を向上させることができる。さらに、複数のスリット11の各々は、第1方向xに離間した一対の側壁111を有する。一対の側壁111の各々は、第1方向xに向けて凹状である部分を有する。これにより、抵抗体10に対する絶縁板20の投錨効果が高まるため、抵抗体10と絶縁板20との結合性を、より向上させることができる。
【0038】
抵抗体10は、第2面10Bから凹み、かつ所定の方向に延びる複数の溝12を有する。保護膜30は、複数の溝12と噛み合っている。これにより、抵抗体10に対して保護膜30に投錨効果が生じるため、抵抗体10と保護膜30との結合性を向上させることができる。
【0039】
絶縁板20は、第1方向xにおいて互いに反対側を向き、かつ第1方向xにおいて互いに離間した一対の第2端面20Aを有する。一対の電極50の側部52の各々は、一対の第2端面20Aのいずれかに接している。これにより、一対の電極50の側部52の各々の厚さ方向zの寸法を、より長くすることができる。抵抗器A10を配線基板に実装した際、一対の電極50の側部52の各々には、はんだフィレットが形成される。したがって、本構成により、はんだフィレットの体積がより拡大するため、配線基板に対する抵抗器A10の実装性を、より向上させることができる。
【0040】
保護膜30は、厚さ方向zに沿って視て抵抗体10の一対の第1端面10Cよりも第1方向xの内方に位置する。一対の電極50の底部51の各々は、厚さ方向zに沿って視て一対の第1端面10Cのいずれかと、保護膜30との間に位置する抵抗体10の第2面10Bの露出領域13に接している。これにより、抵抗器A10の使用の際、抵抗体10を流れる電流は、露出領域13から一対の電極50の底部51に流れやすくなる。したがって、抵抗器A10における電流経路の長さが短縮されるため、一対の電極50の影響による抵抗器A10の抵抗値の変動を抑制することができる。
【0041】
一対の中間層40の延伸部42の各々には、抵抗体10の一対の第1端面10Cのいずれかから第1方向xに向けて凹む凹部421が形成されている。凹部421から抵抗体10の第2面10Bの露出領域13が露出している。一対の電極50の底部51の各々は、露出領域13と、一対の中間層40の延伸部42のいずれかとの双方に接している。これにより、抵抗器A10の抵抗値の変動を抑制しつつ、一対の中間層40の各々に対する一対の電極50の底部51のいずれかとの接触面積の向上を図ることができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
図16図18に基づき、本開示の第2実施形態にかかる抵抗器A20について説明する。これらの図において、先述した抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図16は、理解の便宜上、一対の電極50を透過している。図16において透過した一対の電極50を想像線で示している。図17が示す断面位置は、図8が示す断面位置と同一である。
【0043】
抵抗器A20においては、保護膜30および一対の中間層40の構成が、先述した抵抗器A10におけるこれらの構成と異なる。
【0044】
図16および図17に示すように、一対の中間層40の各々は、第1層40Aおよび第2層40Bを含む。第1層40Aは、延伸部42を有するとともに、抵抗体10の第2面10Bと、第2面10Bと同じ側を向く絶縁板20の面との双方に接している。第1層40Aの厚さ方向zの寸法は、全体にわたって略均一である。第2層40Bは、被覆部41を有する。第2層40Bは、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかにつながっている。第2層40Bは、当該第1層40Aの一部に覆い被さった構成となっている。
【0045】
図18に示すように、一対の中間層40の第1層40Aの各々は、延伸部42から保護膜30に向けて延びる介在部43を有する。介在部43は、抵抗体10と保護膜30との間に位置する部分を含む。これにより、保護膜30の第1方向xの両端の各々は、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかに覆い被さった構成となっている。抵抗器A20においては、介在部43は、抵抗体10および保護膜30の双方に接している。
【0046】
次に、図11図14図15、および図19図21に基づき、抵抗器A20の製造方法の一例について説明する。ここで、図19図21が示す断面位置は、図17が示す断面位置と同一である。
【0047】
最初に、図11に示すように、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く第1面81Aおよび第2面81Bを有する抵抗体81に、基材82を熱圧着させる。本工程は、抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0048】
次いで、図19に示すように、抵抗体81の第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面のそれぞれ一部ずつを覆う一対の中間層40の第1層40Aを形成する。一対の中間層40の第1層40Aは、銀粒子およびエポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81Bと、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面との双方に塗布する。この際、第1方向xにおいて互いに離間させた状態で当該材料を塗布する。その後、当該材料を熱硬化させることにより、一対の中間層40の第1層40Aが形成される。
【0049】
次いで、図20に示すように、抵抗体81の第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面のそれぞれ一部ずつを覆う保護膜30を形成する。まず、エポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面に塗布する。この際、当該材料の第1方向xの両端の各々が、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかに覆い被さるようにする。その後、当該材料を熱硬化させることにより、保護膜30が形成される。
【0050】
次いで、図21に示すように、保護膜30の一部を覆う一対の中間層40の第2層40Bを形成する。まず、銀粒子およびエポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により保護膜30に塗布する。この際、第1方向xにおいて互いに離間させた状態で当該材料を塗布する。あわせて、互いに離間させた当該材料の個々の部分が、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかの一部に覆い被さるようにする。その後、当該材料を熱硬化させることにより、一対の中間層40の第2層40Bが形成される。
【0051】
次いで、図14に示すように、抵抗体81および基材82を切断線CLに沿ってダイシングブレードで切断することにより、保護膜30および一対の中間層40(第1層40Aおよび第2層40B)を含む個片に分割する。本工程は、抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0052】
最後に、図15に示すように、抵抗体10に接する一対の電極50を形成する。本工程は、抵抗器A10の製造方法にかかる工程と同一であるため、ここでの説明は省略する。以上の工程を経ることによって、抵抗器A20が製造される。
【0053】
次に、抵抗器A20の作用効果について説明する。
【0054】
抵抗器A20においては、一対の電極50の底部51は、厚さ方向zに沿って視て保護膜30の一部に重なっている。抵抗器A20は、保護膜30の一部を覆う被覆部41を有し、かつ第1方向xにおいて互いに離間した一対の中間層40を備える。一対の中間層40は、導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなる。一対の中間層40の被覆部41の各々は、保護膜30と、一対の電極50の底部51のいずれかとの間に位置する。したがって、抵抗器A20によっても、厚さ方向zに沿って視て、保護膜30に重なる一対の電極50の部分(底部51)が剥離することを抑止可能となる。
【0055】
抵抗器A20においては、一対の中間層40の各々は、第1層40Aおよび第2層40Bを含む。第1層40Aは、延伸部42を有する。第2層40Bは、被覆部41を有し、かつ一対の中間層40の第1層40Aのいずれかにつながっている。これにより、一対の中間層40の第1層40Aの各々の厚さ方向zの寸法を、全体にわたって略均一にすることができる。抵抗器A20においては、一対の中間層40の第1層40Aは、抵抗体10の第2面10Bに接している。したがって、一対の中間層40の第1層40Aの各々の厚さ方向zの寸法が全体にわたって略均一であると、一対の中間層40の影響による抵抗器A20の抵抗値の変動を、抵抗器A10の場合よりもさらに抑制することができる。
【0056】
一対の中間層40の第1層40Aの各々は、延伸部42から保護膜30に向けて延びる介在部43を有する。介在部43は、抵抗体10と保護膜30との間に位置する部分を含む。これにより、保護膜30に対する一対の中間層40の接触面積が増加する。したがって、保護膜30と一対の中間層40との接合性を、抵抗器A10の場合よりもさらに向上させることができる。
【0057】
〔第3実施形態〕
図22図31に基づき、本開示の第3実施形態にかかる抵抗器A30について説明する。これらの図において、先述した抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図23は、理解の便宜上、絶縁板20を透過している。図25は、理解の便宜上、一対の電極50を透過している。図26は、理解の便宜上、一対の中間層40、および一対の電極50をそれぞれ透過している。これらの図において透過した一対の中間層40、および一対の電極50を想像線で示している。
【0058】
図29に示すように、抵抗器A30においては、抵抗体10は、第1面10A、第2面10B、および一対の第1端面10Cに加えて、一対の側面10Dをさらに有する。一対の側面10Dは、第2方向yにおいて互いに離間している。一対の側面10Dの各々は、第1面10Aおよび第2面10Bの双方につながっている。
【0059】
図23図26および図29に示すように、抵抗器A30においては、抵抗体10は、一対の第1抵抗部101、第2抵抗部102、および一対の接続部103を含む。一対の第1抵抗部101は、第1方向xにおいて互いに離間している。第2抵抗部102は、一対の第1抵抗部101の間に位置する。第2抵抗部102の第1方向xの両端は、一対の第1抵抗部101につながっている。一対の接続部103は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の接続部103は、一対の第1抵抗部101につながっている。一対の接続部103は、抵抗体10において第1方向xの最も外方に位置する。一対の接続部103の各々は、一対の第1端面10Cのいずれかを含む。
【0060】
図23に示すように、一対の第1抵抗部101の各々の導電経路CPの最大幅w1maxは、第2抵抗部102の導電経路CPの最小幅w2minよりも小である。ここで、導電経路CPは、一対の電極50に所定の電位差を与えた際、抵抗体10を流れる電流の経路を指す。導電経路CPの幅は、厚さ方向zに沿って視て導電経路CPに対して直交する方向における抵抗体10の寸法を指す。
【0061】
図23および図26に示すように、複数のスリット11により、一対の側面10Dの各々は、その一部が開口している。複数のスリット11は、一対の第1抵抗部101に形成されている。複数のスリット11のうち、一対の電極50のいずれかから第1方向xにおいて最も離れて位置するスリット11の隣に、第2抵抗部102が位置する。あわせて、複数のスリット11のうち、一対の電極50のいずれかから第1方向xにおいて最も近くに位置するスリット11の隣に、一対の接続部103のいずれかが位置する。複数のスリット11が形成された抵抗体10の形状は、厚さ方向zに沿って視て点対称をなしている。この場合の点対称とは、図23に示す抵抗体10の中心Cを通過し、かつ第2方向yの延びる境界Bにより抵抗体10を2つに区分した際、一方の区分領域と、他方の区分領域とが中心Cに対して点対称の関係であることを指す。
【0062】
図26に示すように、複数の溝12は、第2抵抗部102に形成されている。複数の溝12は、第2抵抗部102に加えて、一対の第1抵抗部101に形成されていてもよい。
【0063】
図23図25および図28に示すように、一対の接続部103の各々は、一対の突起14を有する。一対の突起14は、第2方向yにおいて互いに離間している。一対の突起14の各々は、一対の側面10Dのいずれかから第2方向yに向けて突出している。一対の突起14の各々は、一対の第1端面10Cのいずれかにつながっている。
【0064】
図22および図28に示すように、抵抗体10の第1面10Aと、抵抗体10の一対の側面10Dとは、絶縁板20に覆われている。
【0065】
抵抗器A30においては、一対の中間層40は、金属薄膜からなる。当該金属薄膜は、たとえばニッケル-クロム(Cr)合金からなる。
【0066】
図25に示すように、抵抗器A30においては、露出領域13は、厚さ方向zに沿って視て一対の第1端面10Cのいずれかと、当該第1端面10Cに最も近い一対の中間層40の延伸部42のいずれかとの間に位置する。
【0067】
図23および図29に示すように、一対の電極50の各々は、抵抗体10の一対の接続部103のいずれかに接している。これにより、一対の電極50は、抵抗体10に導通している。
【0068】
図23および図29に示すように、抵抗体10の一対の第1抵抗部101の各々は、厚さ方向zに沿って視て一対の電極50の底部51のいずれかに重なっている。一対の電極50の側部52の各々は、抵抗体10の一対の第1端面10Cのいずれかに接している。
【0069】
次に、図32図37に基づき、抵抗器A30の製造方法の一例について説明する。ここで、図32図36が示す断面位置は、図29が示す断面位置と同一である。
【0070】
最初に、図32に示すように、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く第1面81Aおよび第2面81Bを有する抵抗体81に、基材82を熱圧着させる。まず、第1面10Aから第2面81Bにかけて貫通する複数のスリット811を抵抗体81に形成する。複数のスリット811が、抵抗器A30の複数のスリット11に相当する。複数のスリット811は、ウエットエッチングにより形成される。次いで、第1面81Aに基材82を積層プレスにより熱圧着させる。第1面81Aに基材82を圧着させると、厚さ方向zにおいて複数のスリット811に基材82の一部が入り込む。最後に、第2面10Bに抵抗体81の抵抗値を測定するためのプローブを接触させた状態で、第2面10Bから凹む複数の溝812を抵抗体81に形成する。複数の溝812が、抵抗器A30の複数の溝12に相当する。複数の溝12は、たとえばレーザ照射により形成される。抵抗体81の抵抗値が所定の値になったとき、複数の溝812の形成を終了する。
【0071】
次いで、図33に示すように、抵抗体81の第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面のそれぞれ一部ずつを覆う保護膜30を形成する。保護膜30は、エポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面に塗布した後、当該材料を熱硬化させることにより形成される。
【0072】
次いで、図34に示すように、抵抗体81の第2面81B、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面、および保護膜30の全体を覆う金属薄膜83を形成する。金属薄膜83の形成にあたっては、まず、抵抗体81の第2面81B、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面、および保護膜30のそれぞれ一部ずつを覆うマスク層89を形成する。マスク層89は、スクリーン印刷により形成される。マスク層89を形成した後、金属薄膜83を形成する。金属薄膜83は、ニッケル-クロム合金からなる。金属薄膜83は、スパッタリング法により形成される。本工程において、マスク層89は、金属薄膜83に覆われる。
【0073】
次いで、図35に示すように、マスク層89と、マスク層89を覆う金属薄膜83の一部を除去(リフトオフ)する。本工程により、抵抗体81の第2面81B、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面、および保護膜30のそれぞれ一部ずつを覆う一対の中間層40が形成される。すなわち、一対の中間層40は、保護膜30などに残存した金属薄膜83により構成される。
【0074】
次いで、図36に示すように、抵抗体81および基材82を切断線CLに沿ってダイシングブレードで切断することにより、保護膜30および一対の中間層40を含む個片に分割する。当該個片が、一対の電極50を除く抵抗器A30の構成要素となる。すなわち、個片に分割された抵抗体81が、抵抗器A30の抵抗体10となる。あわせて、個片に分割された基材82が、抵抗器A30の絶縁板20となる。抵抗体10の一対の第1端面10C、および絶縁板20の一対の第2端面20Aは、本工程において形成される抵抗体81および基材82の切断面である。
【0075】
最後に、図37に示すように、抵抗体10に接する一対の電極50を形成する。一対の電極50は、銅層、ニッケル層、錫層の順に、それぞれ電解バレルめっきを施すことにより形成される。一対の中間層40の各々は、一対の電極50の底部51のいずれかに覆われる。一対の電極50の底部51の各々は、抵抗体10の第2面10Bの露出領域13と、保護膜30とに接する。あわせて、抵抗体10の一対の第1端面10Cの各々と、絶縁板20の一対の第2端面20Aの各々の一部とは、一対の電極50の側部52のいずれかに覆われる。次いで、温度170℃、かつ2時間の条件下で、一対の電極50を熱処理させる。これにより、一対の電極50の底部51の各々と、抵抗体10との結合性が向上する。以上の工程を経ることによって、抵抗器A30が製造される。
【0076】
〔第3実施形態の変形例〕
図38および図39に基づき、本開示の第3実施形態の変形例にかかる抵抗器A31について説明する。抵抗器A31は、抵抗体10の構成が、先述した抵抗器A30における本構成と異なる。ここで、図38は、理解の便宜上、絶縁板20を透過している。
【0077】
図38および図39に示すように、抵抗器A31の抵抗体10は、複数の補助スリット15を有する。複数の補助スリット15は、複数のスリット11、および複数の溝12とともに、抵抗体10の抵抗値を所定の値に調整するために設けられている。複数の補助スリット15の各々は、第1面10Aから第2面10Bにかけて抵抗体10を貫通している。複数の補助スリット15の各々は、第2方向yに延びている。複数の補助スリット15により、一対の側面10Dの各々は、その一部が開口している。複数の補助スリット15は、第2抵抗部102に形成されている。複数の補助スリット15の各々の長さ(第2方向yの寸法)は、複数のスリット11の各々の長さ(第2方向yの寸法)よりも小である。また、絶縁板20の一部が、厚さ方向zにおいて複数の補助スリット15に入り込んでいる。補助スリット15の数は、抵抗体10に求められる抵抗値に応じて自在に設定可能である。
【0078】
次に、抵抗器A30の作用効果について説明する。
【0079】
抵抗器A30においては、抵抗体10は、第1方向xにおいて互いに離間した一対の第1抵抗部101と、一対の第1抵抗部101の間に位置する第2抵抗部102とを含む。抵抗体10に接する一対の電極50の各々は、厚さ方向zにおいて抵抗体10に対して絶縁板20とは反対側に位置する底部51を有する。一対の第1抵抗部101の各々は、厚さ方向zに沿って視て一対の電極50の底部51のいずれかに重なっている。一対の第1抵抗部101の各々の導電経路CPの最大幅w1maxが、第2抵抗部102の導電経路CPの最小幅w2minよりも小である。これにより、第2抵抗部102の抵抗値は、一対の第1抵抗部101の各々の抵抗値よりも相対的に小となる。よって、抵抗器A30の使用の際、第2抵抗部102の発熱量を抑制することができる。一方、抵抗器A30の使用の際、一対の第1抵抗部101の各々から発生した熱は、一対の電極50の底部51を介して放出される。したがって、抵抗器A30によれば、抵抗器A30の使用の際、抵抗体10の温度上昇を一様に抑制することが可能となる。
【0080】
抵抗体10は、第1面10Aから第2面10Bにかけて貫通する複数のスリット11を有する。複数のスリット11の各々は、第2方向yに延びている。複数のスリット11は、一対の第1抵抗部101に形成されている。複数のスリット11のうち、一対の電極50のいずれかから第1方向xにおいて最も離れて位置するスリット11の隣に、第2抵抗部102が位置する。これにより、抵抗体10において一対の第1抵抗部101と、第2抵抗部102との区別は、複数のスリット11の形成の有無により判別することができる。
【0081】
抵抗器A31においては、抵抗体10は、第1面10Aから第2面10Bにかけて貫通し、かつ第2方向yに延びる補助スリット15を有する。補助スリット15は、第2抵抗部102に形成されている。これにより、抵抗体10に求められる抵抗値が比較的大である場合であっても、当該抵抗体10の抵抗値を設定することができる。また、補助スリット15の長さは、複数のスリット11の各々の長さよりも小である。これにより、抵抗体10が補助スリット15を有する場合であっても、第2抵抗部102の導電経路CPの最小幅w2minが、一対の第1抵抗部101の各々の導電経路CPの最大幅w1max未満となることを回避できる。
【0082】
抵抗体10の形状は、厚さ方向zに沿って視て点対称をなしている。これにより、一対の電極50の極性にかかわらず、抵抗体10の抵抗値は一定となる。したがって、抵抗器A30を配線基板に実装する際、一対の電極50の極性を確認する必要がなくなる。
【0083】
抵抗器A30は、抵抗体10の第2面10Bに配置され、かつ電気絶縁性を有する保護膜30をさらに備える。一対の電極50の底部51の各々は、厚さ方向zに沿って視て保護膜30の一部に重なる部分を含む。これにより、抵抗器A30を配線基板に実装する際、はんだ接合の影響による一対の電極50の短絡を防止できる。あわせて、一対の電極50の当該短絡が発生しない範囲内で一対の電極50の底部51の各々の表面積をできるだけ大にすることにより、抵抗器A30の放熱性を、より向上させることができる。
【0084】
抵抗器A30は、保護膜30の一部を覆う被覆部41を有し、かつ第1方向xにおいて互いに離間した一対の中間層40をさらに備える。一対の中間層40は、抵抗体10に導通している。抵抗器A30においては、一対の中間層40は、金属薄膜からなる。一対の中間層40の被覆部41の各々は、保護膜30と、一対の電極50の底部51のいずれかとの間に位置する。これにより、保護膜30の一部を覆う一対の電極50の底部51を、図37に示す工程において電解バレルめっきにより形成することができる。
【0085】
一対の接続部103の各々は、一対の第1端面10Cのいずれかから第2方向yに向けて突出する突起14を有する。突起14は、一対の第1端面10Cのいずれかにつながっている。これにより、図36に示す工程において、突起14を目標として切断線CLを設定することができる。また、突起14により露出領域13の面積が拡大される。これにより、一対の電極50の底部51と、抵抗体10との結合性を向上させることができる。図37に示す工程において電解バレルめっきにより一対の電極50を形成する際、当該結合性の向上により、一対の電極50の底部51に欠損が発生しにくくなる。
【0086】
〔第4実施形態〕
図40図44に基づき、本開示の第4実施形態にかかる抵抗器A40について説明する。これらの図において、先述した抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図40は、理解の便宜上、絶縁板20を透過している。図41は、理解の便宜上、一対の電極50を透過している。図41において透過した一対の電極50を想像線で示している。
【0087】
抵抗器A40においては、保護膜30および一対の中間層40の構成が、先述した抵抗器A30におけるこれらの構成と異なる。
【0088】
抵抗器A40においては、一対の中間層40は、導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなる。一対の中間層40には、金属粒子が含有されている。当該金属粒子は、銀を含む。抵抗器A40が示す例においては、一対の中間層40に含まれる合成樹脂は、エポキシ樹脂である。一対の中間層40の電気抵抗率は、抵抗体10の電気抵抗率の約10倍である。したがって、一対の中間層40の電気抵抗率は、抵抗体10の電気抵抗率よりも大である。
【0089】
図40図41および図43に示すように、一対の中間層40の各々は、第1層40Aおよび第2層40Bを含む。第1層40Aは、延伸部42を有するとともに、抵抗体10の第2面10Bと、第2面10Bと同じ側を向く絶縁板20の面との双方に接している。第1層40Aの厚さ方向zの寸法は、全体にわたって略均一である。第2層40Bは、被覆部41を有する。第2層40Bは、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかにつながっている。第2層40Bは、当該第1層40Aの一部に覆い被さった構成となっている。
【0090】
図41および図42に示すように、一対の中間層40の延伸部42の各々には、凹部421が形成されている。凹部421は、一対の第1端面10Cのいずれかから第1方向xに向けて凹んでいる。厚さ方向zに沿って視て、凹部421は、矩形状である。凹部421から、第2面10Bの露出領域13が露出している。
【0091】
図44に示すように、一対の中間層40の第1層40Aの各々は、延伸部42から保護膜30に向けて延びる介在部43を有する。介在部43は、抵抗体10と保護膜30との間に位置する部分を含む。これにより、保護膜30の第1方向xの両端の各々は、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかに覆い被さった構成となっている。抵抗器A40においては、介在部43は、抵抗体10および保護膜30の双方に接している。
【0092】
次に、図32図36図37、および図45図47に基づき、抵抗器A40の製造方法の一例について説明する。ここで、図45図47が示す断面位置は、図43が示す断面位置と同一である。
【0093】
最初に、図32に示すように、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く第1面81Aおよび第2面81Bを有する抵抗体81に、基材82を熱圧着させる。本工程は、抵抗器A30の製造方法にかかる工程と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0094】
次いで、図45に示すように、抵抗体81の第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面のそれぞれ一部ずつを覆う一対の中間層40の第1層40Aを形成する。一対の中間層40の第1層40Aは、銀粒子およびエポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81Bと、第2面81Bと同じ側を向く基材82の面との双方に塗布する。この際、第1方向xにおいて互いに離間させた状態で当該材料を塗布する。その後、当該材料を熱硬化させることにより、一対の中間層40の第1層40Aが形成される。
【0095】
次いで、図46に示すように、抵抗体81の第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面のそれぞれ一部ずつを覆う保護膜30を形成する。まず、エポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により第2面81B、および第2面81Bと同じ側を向く基材82の面に塗布する。この際、当該材料の第1方向xの両端の各々が、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかに覆い被さるようにする。その後、当該材料を熱硬化させることにより、保護膜30が形成される。
【0096】
次いで、図47に示すように、保護膜30の一部を覆う一対の中間層40の第2層40Bを形成する。まず、銀粒子およびエポキシ樹脂を含む材料をスクリーン印刷により保護膜30に塗布する。この際、第1方向xにおいて互いに離間させた状態で当該材料を塗布する。あわせて、互いに離間させた当該材料の個々の部分が、一対の中間層40の第1層40Aのいずれかの一部に覆い被さるようにする。その後、当該材料を熱硬化させることにより、一対の中間層40の第2層40Bが形成される。
【0097】
次いで、図36に示すように、抵抗体81および基材82を切断線CLに沿ってダイシングブレードで切断することにより、保護膜30および一対の中間層40(第1層40Aおよび第2層40B)を含む個片に分割する。本工程は、抵抗器A30の製造方法にかかる工程と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0098】
最後に、図37に示すように、抵抗体10に接する一対の電極50を形成する。本工程は、抵抗器A30の製造方法にかかる工程と同一であるため、ここでの説明は省略する。以上の工程を経ることによって、抵抗器A40が製造される。
【0099】
次に、抵抗器A40の作用効果について説明する。
【0100】
抵抗器A40においては、抵抗体10は、第1方向xにおいて互いに離間した一対の第1抵抗部101と、一対の第1抵抗部101の間に位置する第2抵抗部102とを含む。抵抗体10に接する一対の電極50の各々は、厚さ方向zにおいて抵抗体10に対して絶縁板20とは反対側に位置する底部51を有する。一対の第1抵抗部101の各々は、厚さ方向zに沿って視て一対の電極50の底部51のいずれかに重なっている。一対の第1抵抗部101の各々の導電経路CPの最大幅w1maxが、第2抵抗部102の導電経路CPの最小幅w2minよりも小である。したがって、抵抗器A40によっても、抵抗器A40の使用の際、抵抗体10の温度上昇を一様に抑制することが可能となる。
【0101】
抵抗器A40においては、一対の中間層40は、金属粒子が含有された合成樹脂を含む材料からなる。これにより、保護膜30および一対の中間層40は、ともに同種材料を含む構成となるため、保護膜30と、一対の中間層40の被覆部41との結合性を向上させることができる。また、一対の中間層40の物性が導電性を有するものとなるため、一対の中間層40を抵抗体10に導通させることができる。
【0102】
抵抗器A40においては、一対の中間層40の電気抵抗率は、抵抗体10の電気抵抗率よりも大である。これにより、抵抗器A40の使用の際、抵抗体10を流れる電流が一対の中間層40には流れにくくなる。したがって、一対の中間層40の影響による抵抗器A40の抵抗値の変動を抑制することができる。
【0103】
本開示は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0104】
本開示における種々の実施形態は、以下の付記として規定しうる。
【0105】
付記1A.厚さ方向において互いに反対側を向く第1面および第2面を有する抵抗体と、
前記第1面に配置された絶縁板と、
前記第2面に配置された保護膜と、
前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間して配置され、かつ前記抵抗体に接する一対の電極と、を備え、
前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向において前記抵抗体に対して前記絶縁板とは反対側に位置する底部を有し、
前記一対の電極の前記底部は、前記厚さ方向に沿って視て前記保護膜の一部に重なり、
導電性を有し、かつ合成樹脂を含む材料からなるとともに、前記第1方向において互いに離間した一対の中間層をさらに備え、
前記一対の中間層の各々は、前記保護膜の一部を覆う被覆部を有し、
前記一対の中間層の前記被覆部の各々は、前記保護膜と、前記一対の電極の前記底部のいずれかと、の間に位置する、抵抗器。
【0106】
付記2A.前記保護膜は、合成樹脂を含む材料からなり、
前記一対の中間層には、金属粒子が含有されている、付記1Aに記載の抵抗器。
【0107】
付記3A.前記金属粒子は、銀を含む、付記2Aに記載の抵抗器。
【0108】
付記4A.前記一対の中間層の電気抵抗率は、前記抵抗体の電気抵抗率よりも大である、付記2Aまたは3Aに記載の抵抗器。
【0109】
付記5A.前記保護膜には、セラミックスを含む材料からなるフィラーが含有されている、付記2Aないし4Aのいずれかに記載の抵抗器。
【0110】
付記6A.前記抵抗体は、金属板からなり、
前記抵抗体は、前記第1面から前記第2面にかけて貫通するスリットを有し、
前記スリットは、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に延びている、付記2Aないし5Aのいずれかに記載の抵抗器。
【0111】
付記7A.前記絶縁板は、合成樹脂を含む材料からなり、
前記絶縁板の一部が、前記厚さ方向において前記スリットに入り込んでいる、付記6Aに記載の抵抗器。
【0112】
付記8A.前記スリットは、前記第1方向に離間した一対の側壁を有し、
前記一対の側壁の各々は、前記第1方向に向けて凹状である部分を含む、付記7Aに記載の抵抗器。
【0113】
付記9A.前記抵抗体は、前記第2面から凹み、かつ所定の方向に延びる複数の溝を有し、
前記保護膜は、前記複数の溝と噛み合っている、付記6Aないし8Aのいずれかに記載の抵抗器。
【0114】
付記10A.前記抵抗体は、前記第1面および前記第2面の双方につながり、かつ前記第1方向において互いに離間した一対の第1端面を有し、
前記一対の電極の各々は、前記一対の電極の前記底部のいずれかにつながり、かつ前記厚さ方向に起立する側部を有し、
前記一対の電極の前記側部の各々は、前記一対の第1端面のいずれかに接している、付記6Aないし9Aのいずれかに記載の抵抗器。
【0115】
付記11A.前記絶縁板は、前記第1方向において互いに反対側を向き、かつ互いに離間した一対の第2端面を有し、
前記一対の電極の前記側部の各々は、前記一対の第2端面のいずれかに接している、付記10Aに記載の抵抗器。
【0116】
付記12A.前記一対の第2端面の各々は、前記一対の第1端面のいずれかと面一である、付記11Aに記載の抵抗器。
【0117】
付記13A.前記保護膜は、前記厚さ方向に沿って視て前記一対の第1端面よりも前記第1方向の内方に位置し、
前記第2面は、前記厚さ方向に沿って視て前記一対の第1端面のいずれかと、前記保護膜と、の間に位置し、かつ前記一対の中間層に覆われていない露出領域を含み、
前記一対の電極の前記底部の各々は、前記露出領域に接している、付記10Aないし12Aのいずれかに記載の抵抗器。
【0118】
付記14A.前記一対の中間層の各々は、前記一対の中間層の前記被覆部のいずれかから前記一対の第1端面のいずれかにかけて延びる延伸部を有し、
前記延伸部は、前記第2面に接し、
前記一対の電極の前記底部の各々は、前記一対の中間層の前記延伸部のいずれかに接している、付記13Aに記載の抵抗器。
【0119】
付記15A.前記一対の中間層の前記延伸部の各々には、前記一対の第1端面のいずれかから前記第1方向に向けて凹む凹部が形成され、
前記凹部から前記露出領域が露出している、付記14Aに記載の抵抗器。
【0120】
付記16A.前記一対の中間層の各々は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記延伸部を有し、
前記第2層は、前記被覆部を有し、かつ前記一対の中間層の前記第1層のいずれかにつながっている、付記14Aまたは15Aに記載の抵抗器。
【0121】
付記17A.前記一対の中間層の前記第1層の各々は、前記延伸部から前記保護膜に向けて延びる介在部を有し、
前記介在部は、前記抵抗体と前記保護膜との間に位置する部分を含む、付記16Aに記載の抵抗器。
【0122】
付記1B.厚さ方向を向く第1面を有する抵抗体と、
前記第1面に配置された絶縁板と、
前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間して配置され、かつ前記抵抗体に接する一対の電極と、を備え、
前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向において前記抵抗体に対して前記絶縁板とは反対側に位置する底部を有し、
前記抵抗体は、前記第1方向において互いに離間した一対の第1抵抗部と、前記一対の第1抵抗部の間に位置する第2抵抗部と、前記一対の電極に接し、かつ前記一対の第1抵抗部につながる一対の接続部と、を含み、
前記一対の第1抵抗部の各々は、前記厚さ方向に沿って視て前記一対の電極の前記底部のいずれかに重なり、
前記一対の第1抵抗部の各々の導電経路の最大幅が、前記第2抵抗部の前記導電経路の最小幅よりも小である、抵抗器。
【0123】
付記2B.前記抵抗体は、前記第1面とは反対側を向く第2面を有し、
前記抵抗体は、前記第1面から前記第2面にかけて貫通し、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に延びる複数のスリットを有し、
前記複数のスリットは、前記一対の第1抵抗部に形成され、
前記複数のスリットのうち、前記一対の電極のいずれかから前記第1方向において最も離れて位置するものの隣に、前記第2抵抗部が位置する、付記1Bに記載の抵抗器。
【0124】
付記3B.前記抵抗体は、前記第1面から前記第2面にかけて貫通し、かつ前記第2方向に延びる補助スリットを有し、
前記補助スリットは、前記第2抵抗部に形成され、
前記補助スリットの長さは、前記複数のスリットの各々の長さよりも小である、付記2Bに記載の抵抗器。
【0125】
付記4B.前記抵抗体の形状は、前記厚さ方向に沿って視て点対称をなしている、付記2Bまたは3Bに記載の抵抗器。
【0126】
付記5B.前記抵抗体は、前記第1面および前記第2面の双方につながり、かつ前記第1方向において互いに離間した一対の端面を有し、
前記一対の電極の各々は、前記一対の電極の前記底部のいずれかにつながり、かつ前記厚さ方向に起立する側部を有し、
前記一対の電極の前記側部の各々は、前記一対の端面のいずれかに接している、付記2Bないし4Bのいずれかに記載の抵抗器。
【0127】
付記6B.前記一対の電極の前記側部の各々は、前記絶縁板に接している、付記5Bに記載の抵抗器。
【0128】
付記7B.前記抵抗体は、前記第1面および前記第2面の双方につながり、かつ前記第2方向において互いに離間した一対の側面を有し、
前記絶縁板は、合成樹脂を含む材料からなり、
前記一対の側面は、前記絶縁板に覆われている、付記5Bまたは6Bに記載の抵抗器。
【0129】
付記8B.前記絶縁板の一部が、前記厚さ方向において前記複数のスリットに入り込んでいる、付記7Bに記載の抵抗器。
【0130】
付記9B.前記複数のスリットの各々は、前記第1方向において互いに離間した一対の側壁を有し、
前記一対の側壁の各々は、前記第1方向に向けて凹む部分を含む、付記8Bに記載の抵抗器。
【0131】
付記10B.前記一対の接続部の各々は、前記一対の側面のいずれかから前記第2方向に向けて突出する突起を有し、
前記突起は、前記一対の端面のいずれかにつながっている、付記7Bないし9Bのいずれかに記載の抵抗器。
【0132】
付記11B.前記第2面に配置された保護膜をさらに備え、
前記保護膜は、合成樹脂を含む材料からなり、
前記一対の電極の前記底部の各々は、前記厚さ方向に沿って視て前記保護膜の一部に重なる部分を含む、付記5Bないし10Bのいずれかに記載の抵抗器。
【0133】
付記12B.前記保護膜には、セラミックスを含む材料からなるフィラーが含有されている、付記11Bに記載の抵抗器。
【0134】
付記13B.前記抵抗体は、前記第2面から凹み、かつ所定の方向に延びる複数の溝を有し、
前記保護膜は、前記複数の溝と噛み合っている、付記11Bまたは12Bに記載の抵抗器。
【0135】
付記14B.前記保護膜の一部を覆う被覆部を有し、かつ前記第1方向において互いに離間した一対の中間層をさらに備え、
前記一対の中間層は、前記抵抗体に導通し、
前記一対の中間層の前記被覆部の各々は、前記保護膜と、前記一対の電極の前記底部のいずれかと、の間に位置する、付記11Bないし13Bのいずれかに記載の抵抗器。
【0136】
付記15B.前記保護膜は、前記厚さ方向に沿って視て前記一対の端面よりも前記第1方向の内方に位置し、
前記第2面は、前記厚さ方向に沿って視て前記一対の端面のいずれかと、前記保護膜と、の間に位置し、かつ前記一対の中間層に覆われていない露出領域を含み、
前記一対の電極の前記底部の各々は、前記露出領域に接している、付記14Bに記載の抵抗器。
【0137】
付記16B.前記一対の中間層は、金属薄膜からなる、付記15Bに記載の抵抗器。
【0138】
付記17B.前記一対の中間層は、金属粒子が含有された合成樹脂を含む材料からなり、
前記一対の中間層の電気抵抗率は、前記抵抗体の電気抵抗率よりも大である、付記15Bに記載の抵抗器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
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図32
図33
図34
図35
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図39
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図42
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図44
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