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特許7407138シート体のジョイント方法、及びシート体の搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】シート体のジョイント方法、及びシート体の搬送方法
(51)【国際特許分類】
   F16G 3/10 20060101AFI20231221BHJP
   B65H 5/08 20060101ALI20231221BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F16G3/10 B
B65H5/08 B
B65H7/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021022669
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022007979
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2020027809
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021006387
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】小谷 紳二
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-151426(JP,A)
【文献】特開2013-107285(JP,A)
【文献】特開2008-094547(JP,A)
【文献】特公昭44-016535(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 3/10
B65H 5/08
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路において第1のシート体の上流側端部と前記第1のシート体に後続して搬送される第2のシート体の下流側端部とを互いに重ね合わせて接合するシート体のジョイント方法であって、
前記搬送路において前記第1のシート体の上流側端部を撮影した第1の撮影画像に基づいて、前記第1のシート体の上流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第1の角度を導出するとともに、前記搬送路において前記第2のシート体の下流側端部を撮影した第2の撮影画像に基づいて、前記第2のシート体の下流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第2の角度を導出する角度導出ステップと、
前記搬送路上の前記第2のシート体を保持して移動自在に構成された保持部によって、前記第2のシート体の下流側端部を保持して前記搬送路から離間させる保持ステップと、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部との重ね代が所定の上下限値の範囲内となるように、前記第2のシート体の下流側端部を保持した状態の前記保持部の前記搬送路の幅方向に対する角度を調整するとともに前記保持部を移動させる移動制御を実行する移動制御ステップと、
前記第2のシート体の下流側端部を前記第1のシート体の上流側端部に重ね合わせて前記保持部による前記第2のシート体の下流側端部の保持状態を解除し、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部とを接合する接合ステップと、
を有し、
前記保持部は、前記搬送路上の前記第2のシート体を吸着して保持することが可能であり、
前記接合ステップにおいては、前記保持部による前記第2のシート体の下流側端部の吸着保持状態が解除される際に、前記搬送路側に向けて押圧力を付与可能に構成された押圧部による押圧動作が前記第2のシート体に対して実行されることを特徴とする、シート体のジョイント方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシート体のジョイント方法において、
前記角度導出ステップにおいては、
前記搬送路において前記第1のシート体の上流側端部における幅方向の両角部である第1の両角部を撮影した前記第1の撮影画像に基づいて、所定の基準位置に対する前記第1の両角部の座標位置である第1の座標位置が導出されるとともに、前記搬送路において前記第2のシート体の下流側端部における幅方向の両角部である第2の両角部を撮影した前記第2の撮影画像に基づいて、前記所定の基準位置に対する前記第2の両角部の座標位置である第2の座標位置が導出され、
前記第1の座標位置に基づいて前記第1の角度が導出されるとともに、前記第2の座標位置に基づいて前記第2の角度が導出されることを特徴とする、シート体のジョイント方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシート体のジョイント方法において、
前記移動制御ステップにおいては、前記第1の角度と前記第2の角度との差分が、前記第2のシート体の下流側端部を保持した状態の前記保持部の調整角度として決定されることを特徴とする、シート体のジョイント方法。
【請求項4】
搬送路において第1のシート体の上流側端部と前記第1のシート体に後続して搬送される第2のシート体の下流側端部とを互いに重ね合わせて接合するシート体のジョイント方法であって、
前記搬送路において前記第1のシート体の上流側端部を撮影した第1の撮影画像に基づいて、前記第1のシート体の上流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第1の角度を導出するとともに、前記搬送路において前記第2のシート体の下流側端部を撮影した第2の撮影画像に基づいて、前記第2のシート体の下流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第2の角度を導出する角度導出ステップと、
前記搬送路上の前記第2のシート体を保持して移動自在に構成された保持部によって、前記第2のシート体の下流側端部を保持して前記搬送路から離間させる保持ステップと、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部との重ね代が所定の上下限値の範囲内となるように、前記第2のシート体の下流側端部を保持した状態の前記保持部の前記搬送路の幅方向に対する角度を調整するとともに前記保持部を移動させる移動制御を実行する移動制御ステップと、
前記第2のシート体の下流側端部を前記第1のシート体の上流側端部に重ね合わせて前記保持部による前記第2のシート体の下流側端部の保持状態を解除し、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部とを接合する接合ステップと、
を有し、
前記接合ステップにおいては、
重ね合わされた前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部とのジョイント部分を熱圧着可能に構成された一対のプレス盤が互いに接近することによって、当該ジョイント部分が熱圧着されて接合されるとともに、前記第1のシート体において前記ジョイント部分よりも下流側部分と、前記第2のシート体において前記ジョイント部分よりも上流側部分とが、前記搬送路側への押圧力を付与可能に構成された押さえ部によって前記搬送路側に押圧され、
前記一対のプレス盤による熱圧着の後においては、前記一対のプレス盤が互いに離間する一方で、前記第1のシート体において前記ジョイント部分よりも下流側部分と、前記第2のシート体において前記ジョイント部分よりも上流側部分とが、前記押さえ部による前記下流側部分と前記上流側部分とに対する前記搬送路側への押圧状態が維持されることを特徴とする、シート体のジョイント方法。
【請求項5】
搬送路において第1のシート体の上流側端部と前記第1のシート体に後続して搬送される第2のシート体の下流側端部とを互いに重ね合わせて接合するシート体のジョイント方法により2つのシート体の端部が互いに接合されて生成された帯状シート体を搬送するシート体の搬送方法であって、
前記シート体のジョイント方法は、
前記搬送路において前記第1のシート体の上流側端部を撮影した第1の撮影画像に基づいて、前記第1のシート体の上流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第1の角度を導出するとともに、前記搬送路において前記第2のシート体の下流側端部を撮影した第2の撮影画像に基づいて、前記第2のシート体の下流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第2の角度を導出する角度導出ステップと、
前記搬送路上の前記第2のシート体を保持して移動自在に構成された保持部によって、前記第2のシート体の下流側端部を保持して前記搬送路から離間させる保持ステップと、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部との重ね代が所定の上下限値の範囲内となるように、前記第2のシート体の下流側端部を保持した状態の前記保持部の前記搬送路の幅方向に対する角度を調整するとともに前記保持部を移動させる移動制御を実行する移動制御ステップと、
前記第2のシート体の下流側端部を前記第1のシート体の上流側端部に重ね合わせて前記保持部による前記第2のシート体の下流側端部の保持状態を解除し、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部とを接合する接合ステップと、
を有し、
当該シート体の搬送方法は、
前記搬送路において前記帯状シート体の上流側端部における幅方向の両側の各角部である第1の角部と第2の角部とをそれぞれ撮影した第3の撮影画像に基づいて、前記搬送路の幅方向の中心位置から前記第1の角部までの幅方向距離である第1の幅方向距離と、前記中心位置から前記第2の角部までの幅方向距離である第2の幅方向距離とを導出する距離導出ステップと、
前記保持部によって前記帯状シート体の上流側端部を保持して前記搬送路から離間させる第2の保持ステップと、
前記第1の幅方向距離と前記第2の幅方向距離とが等しくなるように、前記帯状シート体の上流側端部を保持した状態の前記保持部の前記搬送路の幅方向に対する角度を調整する移動制御を実行する第2の移動制御ステップと、
を有することを特徴とする、シート体の搬送方法。
【請求項6】
請求項に記載のシート体の搬送方法において、
前記第2の移動制御ステップにおいては、前記帯状シート体を搬送する搬送動作に追従しながら前記移動制御が実行されることを特徴とする、シート体の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのシート体の端部を互いに重ね合わせて接合(換言すれば、ジョイント)する際におけるシート体のジョイント方法、及びこれに関連するシート体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦伝動ベルト等のベルトの製造工程においては、2つのシート体(例えば、ゴムシート体)の端部を互いに重ね合わせて接合するジョイント工程が存在する。
【0003】
このジョイント工程においては、2つのシート体の端部を所定の上下限値の範囲(所定の上下限範囲、とも称する)内の重ね代で重ね合わせて接合する必要がある。具体的には、例えば所定の上限値を上回る重ね代で2つのシート体の端部が接合された場合、本来であれば平坦なベルト背面に、ベルトの長手方向において通常の接合部分よりも長い隆起部分が出現する。その結果、例えば、ベルトの走行中においてアイドラープーリとの接触によって異音が発生する虞がある。また、所定の下限値を下回る重ね代で2つのシート体の端部が接合された場合、例えば、ベルトの走行中において、その背面部分にクラック(ひび割れ)が生じる虞がある。このような事情から、ジョイント工程においては、2つのシート体の端部を所定の上下限範囲内の重ね代で重ね合わせて接合する必要がある。
【0004】
しかしながら、従来、ジョイント工程において、2つのシート体の端部を互いに重ね合わせる作業は作業員による手操作で行われており、この場合には、作業員の作業ミスが発生し、2つのシート体の端部が適切に接合されない虞がある。また、仮にシート体の端部同士が所定の上下限範囲外の重ね代で重ね合わされて接合された場合、その不具合を接合後のシート体の外観から検出することは困難であり、不良品がそのまま製品化されてしまう虞がある。それ故、作業員は、ベルトの品質を確保すべく、2つのシート体の端部を互いに重ね合わせる作業を慎重に行わなければならず、作業工数が掛かってしまう。
【0005】
この点に関して、例えば特許文献1には、手操作に依らずに2つのシート体の端部を互いに重ね合わせて接合させるシート体のジョイント方法が示されている。具体的には、特許文献1に記載されたシート体のジョイント方法では、まず、調整アームを揺動させて、当該調整アームと一方のシート体の前端部とを平行状態にする。そして、調整アームが一方のシート体の前端部を保持し、その状態で当該調整アームを他方のシート体の後端部側へと移動させる。その後、調整アームを再び揺動させて、調整アームと他方のシート体の後端部とを所定の重合代(重ね代)で重ね合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特公平6-37092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、手操作に依らずに2つのシート体の端部を互いに接合することは可能であるものの、調整アームの角度調整を各シート体の端部の位置で、すなわち2段階に亘って行う構成となっており、効率的とは言えない。
【0008】
また、特許文献1に記載された方法では、一方のシート体の傾斜角度θ及び調整アームの調整角度(θ+α)が予め定められている。具体的には、特許文献1に記載されたシート体のジョイント方法では、一方のシート体に関して予め定められた傾斜角度θより一定角度αだけ大きくなるように調整アームを揺動させる動作が、常に実行されている。ただし、2つのシート体の端部の角度は必ずしも一定ではない。そのため、特許文献1に記載されたシート体のジョイント方法では、2つのシート体の端部が適切に接合されているとは言えない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、手操作に依らず且つより効率的に2つのシート体の端部を適切に接合することが可能な技術を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係るシート体のジョイント方法は、搬送路において第1のシート体の上流側端部と前記第1のシート体に後続して搬送される第2のシート体の下流側端部とを互いに重ね合わせて接合するシート体のジョイント方法であって、前記搬送路において前記第1のシート体の上流側端部を撮影した第1の撮影画像に基づいて、前記第1のシート体の上流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第1の角度を導出するとともに、前記搬送路において前記第2のシート体の下流側端部を撮影した第2の撮影画像に基づいて、前記第2のシート体の下流側端部における直線状の縁部の前記搬送路の幅方向に対する角度である第2の角度を導出する角度導出ステップと、前記搬送路上の前記第2のシート体を保持して移動自在に構成された保持部によって、前記第2のシート体の下流側端部を保持して前記搬送路から離間させる保持ステップと、前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて、前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部との重ね代が所定の上下限値の範囲内となるように、前記第2のシート体の下流側端部を保持した状態の前記保持部の前記搬送路の幅方向に対する角度を調整するとともに前記保持部を移動させる移動制御を実行する移動制御ステップと、前記保持部による前記第2のシート体の下流側端部の保持を解除し、前記第2のシート体の下流側端部を前記第1のシート体の上流側端部に重ね合わせて前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部とを接合する接合ステップと、を有する。
【0011】
この構成によると、第1のシート体の上流側端部と第2のシート体の下流側端部との重ね代が所定の上下限値の範囲内となるように、第2のシート体の下流側端部を保持した状態の保持部の角度を調整するとともに当該保持部を移動させる移動制御が実行される。そのため、手操作に依らずに2つのシート体を接合することができる。
【0012】
また、第1のシート体の上流側端部の第1の角度と第2のシート体の下流側端部の第2の角度とに基づいて、第2のシート体の下流側端部を保持した状態の保持部の移動制御が実行される。すなわち、第2のシート体の下流側端部を第1のシート体の上流側端部の位置へと移動させるまでの間に保持部の角度調整が行われる。そのため、第1のシート体の上流側端部と第2のシート体の下流側端部とを所定の上下限値の範囲内の重ね代で重ね合わせるにあたって、例えば、調整アームの角度調整を各シート体の端部の位置で(すなわち2段階に亘って)行う構成とすることを要しない。従って、より効率的に2つのシート体を接合することができる。
【0013】
さらに、搬送路において第1のシート体の上流側端部を撮影した撮影画像に基づいて第1の角度が導出され、搬送路において第2のシート体の下流側端部を撮影した撮影画像に基づいて第2の角度が導出される。そして、当該第1の角度と第2の角度とに基づいて、保持部の移動制御が実行される。そのため、常に一定の角度で保持部の移動制御が実行されるのではなく、搬送路に搬送されるシート体の端部に応じた角度で保持部の移動制御が実行される。従って、2つのシート体を適切に接合することができる。
【0014】
以上より、上記の構成によると、手操作に依らず且つより効率的に2つのシート体を適切に接合することができる。
【0015】
(2)好ましくは、前記角度導出ステップにおいては、前記搬送路において前記第1のシート体の上流側端部における幅方向の両角部である第1の両角部を撮影した前記第1の撮影画像に基づいて、所定の基準位置に対する前記第1の両角部の座標位置である第1の座標位置が導出されるとともに、前記搬送路において前記第2のシート体の下流側端部における幅方向の両角部である第2の両角部を撮影した前記第2の撮影画像に基づいて、前記所定の基準位置に対する前記第2の両角部の座標位置である第2の座標位置が導出され、前記第1の座標位置に基づいて前記第1の角度が導出されるとともに、前記第2の座標位置に基づいて前記第2の角度が導出される。
【0016】
この構成によると、各シート体における端部の搬送路に対する角度をより正確に導出することができる。その結果、第2のシート体の下流側端部を保持した状態の保持部の角度調整がより正確に行われ、2つのシート体をより適切に重ね合わせることができる。
【0017】
(3)好ましくは、前記移動制御ステップにおいては、前記第1の角度と前記第2の角度との差分が、前記第2のシート体の下流側端部を保持した状態の前記保持部の調整角度として決定される。
【0018】
この構成によると、保持部によって搬送路から離間して保持された状態の第2のシート体の下流側端部を、第1のシート体の上流側端部と平行状態とすることができる。その結果、第2のシート体の下流側端部を第1のシート体の上流側端部に対して平行に重ね合わせることができる。
【0019】
(4)好ましくは、前記保持部は、前記搬送路上の前記第2のシート体を吸着して保持することが可能であり、前記接合ステップにおいては、前記保持部による前記第2のシート体の下流側端部の吸着保持状態が解除される際に、前記搬送路側に向けて押圧力を付与可能に構成された押圧部による押圧動作が前記第2のシート体に対して実行される。
【0020】
この構成によると、保持部による第2のシート体の下流側端部の吸着保持状態が解除される際に、当該保持部から第2のシート体の下流側端部を容易に分離させることができる。従って、保持部による第2のシート体の下流側端部の吸着保持状態が解除される際に当該第2のシート体の下流側端部がズレること、を防止できる。
【0021】
(5)好ましくは、前記接合ステップにおいては、重ね合わされた前記第1のシート体の上流側端部と前記第2のシート体の下流側端部とのジョイント部分を熱圧着可能に構成された一対のプレス盤が互いに接近することによって、当該ジョイント部分が熱圧着されて接合されるとともに、前記第1のシート体において前記ジョイント部分よりも下流側部分と、前記第2のシート体において前記ジョイント部分よりも上流側部分とが、前記搬送路側への押圧力を付与可能に構成された押さえ部によって前記搬送路側に押圧され、前記一対のプレス盤による熱圧着の後においては、前記一対のプレス盤が互いに離間する一方で、前記第1のシート体において前記ジョイント部分よりも下流側部分と、前記第2のシート体において前記ジョイント部分よりも上流側部分とが、前記押さえ部による前記下流側部分と前記上流側部分とに対する前記搬送路側への押圧状態が維持される。
【0022】
この構成によると、一対のプレス盤によるジョイント部の熱圧着後に当該一対のプレス盤が互いに離間する際に当該ジョイント部分がプレス盤に付着して2つのシート体の接合界面が剥離すること、を抑制することができる。
【0023】
(6)本発明のある局面に係るシート体の搬送方法は、本発明のある局面に係るシート体のジョイント方法により2つのシート体の端部が互いに接合されて生成された帯状シート体を搬送するシート体の搬送方法であって、前記搬送路において前記帯状シート体の上流側端部における幅方向の両側の各角部である第1の角部と第2の角部とをそれぞれ撮影した第3の撮影画像に基づいて、前記搬送路の幅方向の中心位置から前記第1の角部までの幅方向距離である第1の幅方向距離と、前記中心位置から前記第2の角部までの幅方向距離である第2の幅方向距離とを導出する距離導出ステップと、前記保持部によって前記帯状シート体の上流側端部を保持して前記搬送路から離間させる第2の保持ステップと、前記第1の幅方向距離と前記第2の幅方向距離とが等しくなるように、前記帯状シート体の上流側端部を保持した状態の前記保持部の前記搬送路の幅方向に対する角度を調整する移動制御を実行する第2の移動制御ステップと、を有する。
【0024】
この構成によると、帯状シート体の上流側端部が搬送路の幅方向に対してズレている場合であっても、そのズレが保持部によって修正され、作業員が手操作で修正することを要しない。従って、手操作に依らず且つより効率的に2つのシート体を適切に接合しつつ、当該2つのシート体の接合により生成された帯状シート体の蛇行の発生を効率的に抑制することができる。
【0025】
(7)好ましくは、前記第2の移動制御ステップにおいては、前記帯状シート体を搬送する搬送動作に追従しながら前記移動制御が実行される。
【0026】
この構成によると、帯状シート体を搬送する搬送動作を停止させた状態で帯状シート体の上流側端部のズレ調整が行われる場合と比較して、帯状シート体の蛇行をより効率的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、手操作に依らず且つより効率的に2つのシート体の端部を適切に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】帯状シート体の生成方法の概略を説明するための図である。
図2】帯状シート体の生成システムの概略構成を示す模式図である。
図3】(A)操作盤のブロック図、(B)制御盤のブロック図である。
図4】シート体のジョイント方法を示すフローチャートである。
図5】2つのシート体の端部を撮影する動作を説明するための図である。
図6】切断シート体の下流側端部を搬送路から離間させる動作を説明するための図である。
図7】切断シート体の下流側端部を移動させて帯状シート体の上流側端部に重ね合わせる動作を説明するための図である。
図8】一対のプレス盤による圧着動作を説明するための図である。
図9】2つのシート体の端部の搬送路に対する角度の導出を模式的に説明するための図である。
図10】切断シート体の移動制御を説明するための図であり、(A)移動制御前を示す図、(B)移動制御後を示す図である。
図11】シート体のジョイント方法により生成された帯状シート体の搬送方法を示すフローチャートである。
図12】帯状シート体の端部を撮影する動作を説明するための図である。
図13】帯状シート体の上流側端部を搬送路から離間させる動作を説明するための図である。
図14】帯状シート体の搬送動作に追従しながら帯状シート体の上流側端部のズレを調整する動作を説明するための図である。
図15】帯状シート体の上流側端部における幅方向の両角部のそれぞれから搬送路の幅方向の中心位置までの幅方向距離の導出を模式的に説明するための図である。
図16】帯状シート体の上流側端部における角度調整を説明するための図であり、(A)角度調整前を示す図、(B)角度調整後を示す図である。
図17】評価結果を示す図である。
図18】変形例に係る生成システムの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態の一例に係るシート体のジョイント方法、及びシート体の搬送方法について図面を参照しつつ説明する。
【0030】
まず、本発明の実施形態の一例に係るシート体のジョイント方法についての説明に先立って、本発明の実施形態の一例に係るシート体のジョイント方法によって生成される帯状シート体(帯状のゴムシート体)について図1を参照しつつ説明する。図1は、帯状シート体100の生成方法の概略を説明するための図である。
【0031】
ここで、Vリブドベルト等の摩擦伝動ベルトの走行中において、摩擦伝動ベルトがアイドラープーリに接触する際、ベルト背面の粘着摩耗や異音が発生する虞がある。このような問題の発生を回避するため、例えば、ベルト背面層は、短繊維が配合されたゴム組成物で形成されている。このようなベルト背面層を形成するにあたって、ベルト成形工程(円筒状の成形ドラムを用いて成形毎に無端状の未架橋ベルトスリーブを得るための工程)においては、比較的長尺且つ薄い厚みで形成された帯状シート体100が供給される。
【0032】
当該帯状シート体100は、例えば、短繊維400が配合された圧延シート500を切断して得られた複数の切断シート体200を短繊維400の配向方向を所定の方向に転換した上で接合していくことによって生成される(図1参照)。
【0033】
具体的には、まず、短繊維400(例えば、カット長約3ミリメートル(mm)のナイロンカット糸)を含む未架橋ゴムが一対のカレンダーロール600に投入されて圧延される。これにより、搬送方向(圧延方向)に略平行に配向する短繊維400を含み、且つ、比較的薄い厚み(例えば、約1mm)で形成された圧延シート500が生成される。なお、圧延シート500の幅は、例えば約700mmである。
【0034】
次に、この圧延シート500を、ベルト成形工程にて用いられる成形ドラム(不図示)の幅(面長)に応じた長さ(例えば約540mm)で切断することによって、切断シート体200が得られる。本実施形態では、圧延シート500の圧延方向に対して垂直に当該圧延シート500を切断して矩形形状の切断シート体200が得られることを想定する。当該切断シート体200の厚みは例えば約1mm、切断シート体200の幅(切断されていない側の縁部(非切断縁部)の長さ)は例えば約540mm、切断シート体200の長さ(切断されている側の縁部(切断縁部)の長さ)は例えば700mmである。また、切断シート体200のゴム主成分は、例えば、エチレン-α-オレフィンエラストマー(EPDMポリマー)である。また、切断シート体200は、所定量(例えば、約10質量部)の短繊維400と他の配合剤(例えば、カーボンブラック等の補強剤、架橋剤、充填剤、老化防止剤等)とが混練機で混練りされたものである。
【0035】
切断シート体200が得られると、次に、作業員による手操作、或いは機械動作によって、切断シート体200の向きが90度転換されて、当該切断シート体200が搬送路の始端側に配置(載置)される。すなわち、搬送路に配置された状態の切断シート体200における短繊維400の配向方向は、シート体の幅方向(搬送路の長手方向に垂直な方向)となる。このようにして、圧延シート500から切断シート体200が順次生成されて搬送路に配置される。
【0036】
そして、搬送路2において、切断シート体200の下流側端部210が、搬送路の終端側で待機している帯状シート体100の上流側端部110に接合される。言い換えれば、搬送路2において、帯状シート体100の上流側端部110と、当該帯状シート体100に後続して搬送される切断シート体200の下流側端部210とが互いに接合される。なお、帯状シート体100は、本発明における「第1のシート体」を構成し、切断シート体200は、本発明における「第2のシート体」を構成している。
【0037】
ここで、切断シート体200は比較的薄い厚み(例えば、約1ミリメートル)で形成されていることから、2つのシート体100,200の端部同士を突き合わせて接合することは難しい。そのため、2つのシート体のジョイント工程(接合工程、とも称される)では、2つのシート体100,200が、その端部同士を重ね合わせて接合される。具体的には、切断シート体200の下流側端部210が帯状シート体100の上流側端部110に所定の上下限値の範囲(以下、所定の上下限範囲、とも称する)内の重ね代(オーバーラップ代、とも称される)で重ね合わされる。そして、その状態で圧着装置(後述)によって圧着されて接合される。
【0038】
なお、所定の上下限範囲は、2つのシート体100,200の重ね代の基準として予め定められた基準値N10から所定値V10を差し引いた下限値(=N10-V10)と、当該基準値N10に当該所定値を足した上限値(=N10+V10)との間の範囲である。基準値N10は、例えば0.8mmに設定され、所定値V10は、例えば0.5mmに設定される。
【0039】
その後、切断シート体200が接合された状態の帯状シート体100が、巻取り位置まで搬送され、ライナー62とともに巻取部5(ボビン等)に巻き取られる。
【0040】
次の切断シート体200に対しても、同様に、次の切断シート体200の下流側端部210が帯状シート体100の上流側端部110に接合される。そして、このような動作が繰り返し行われることにより、比較的長尺且つ薄い厚みの帯状シート体が生成される。
【0041】
[生成システムの構成]
次に、このような帯状シート体を生成するための生成システム1(帯状シート体の生成装置、とも称される)について、図2を参照しつつ説明する。本発明の実施形態の一例に係るシート体のジョイント方法、及びシート体の搬送方法は、当該生成システム1によって実現される。図2は、生成システム1の概略構成を示す模式図であって、生成システム1を側方から見た図である。
【0042】
なお、以下において、生成システム1において搬送路2上を搬送されるシート体の搬送方向をX方向とし、搬送方向の上流側から下流側へと向かう向きを+X方向とする。また、搬送路2の幅方向をY方向とし、例えば図2の紙面において手前側から奥側へと向かう向きを+Y方向とする。また、生成システム1の高さ方向をZ方向とし、生成システム1の側方から見て下側から上側へと向かう方向を+Z方向とする。
【0043】
図2に示されるように、生成システム1は、搬送路2と、移動装置3と、圧着装置4と、巻取部5とを備えている。
【0044】
[搬送路の構成]
搬送路2は、土台部21の上面側に設けられた平坦部分において、X方向に延びて形成されているとともに、その搬送面が平坦に形成されている。圧延シート500の切断によって生成された切断シート体200は、この搬送路2上の始端側(上流側)に配置され、当該搬送路2上を搬送される。詳細には、切断シート体200は、搬送路2の幅方向の中央位置に配置される。また、当該搬送路2上において、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210とが互いに重ね合わされて接合される。
【0045】
搬送路2の搬送面には、シート体が搬送路2の面上を滑るように移送できるように、シート体との摩擦抵抗を低下させる加工処理が施されている。
【0046】
[移動装置の構成]
移動装置3は、搬送路2上の切断シート体200を保持して移動自在に構成されている。なお、当該移動装置3は、本発明における「保持部」を構成している。
【0047】
移動装置3は、6軸の自由度を有する多関節型ロボット31(以下、単に「ロボット31」とも称する)を有する。ロボット31は、支持台30上において、ロボット31のロボット軸が水平面(XY平面)における支持台30の中心軸に一致するように設けられている。ロボット31は、ロボットアーム32を有しており、当該ロボットアーム32の先端には、搬送路2上の切断シート体200を保持可能に構成されたハンド33が設けられている。ロボット31は、当該ハンド33の位置及び姿勢を自在に(例えば、0.05mmの移動精度で)変更可能に構成されている。
【0048】
移動装置3は、ロボットアーム32を介して、ハンド33によって搬送路2上の切断シート体200を保持し、その状態のハンド33を前後方向(X方向)、左右方向(Y方向)及び上下方向(Z方向)へと移動させることができる。言い換えれば、移動装置3は、搬送路2上の切断シート体200を保持して移動自在に構成されている。
【0049】
ハンド33の下流側部分には、取付部材を介して吸着装置35が設けられている。吸着装置35は、シート体(例えば、切断シート体200)に吸着可能に構成されている。具体的には、吸着装置35は、搬送路2の幅方向(Y方向)に沿って所定の間隔で一列に配置された複数(例えば、5個)の吸着部を備えている(例えば、後述する図5を参照)。当該吸着部は、椀状に形成されており、その吸着面が搬送路2の面に対向して配置されている。各吸着部は、図示が省略されたフレキシブル接続配管により負圧装置(バキュームポンプ等)71に接続されており、各吸着部の吸着面が、シート体(例えば、切断シート体200)に接触した状態で負圧装置71による吸引動作が実行されると、当該シートが吸着装置35に吸着される。
【0050】
図2に示されるように、ハンド33の下流側部分には、取付部材を介して撮影部(カメラ、とも称する)34が設けられている。当該カメラ34は、ハンド33の移動動作により、搬送路2の上方側から搬送路2の搬送面を撮影可能に構成されている。例えば、当該カメラ34は、搬送路2上の切断シート体200の下流側端部210を撮影可能に構成されている。
【0051】
カメラ34は、画像入力用カメラ(ビジョンカメラ、とも称される)である。カメラ34によって撮影される撮影領域は、矩形状の領域であり、後述の画像処理の対象領域(画像処理領域)として設定される。
【0052】
なお、カメラ34の近傍位置には、照明部(例えば、LED光源)が設けられており、カメラ34の撮影領域が照明部によって照らされた状態でカメラ34による撮影動作が行われる。
【0053】
また、ハンド33における幅方向(Y方向)の両端部分には、それぞれ、エジェクト部36が設けられている。換言すれば、ハンド33は、幅方向において一対のエジェクト部36を有している。
【0054】
エジェクト部36は、搬送路2側に向けて押圧力を付与可能に構成されている。なお、当該エジェクト部36は、本発明における「押圧部」を構成している。
【0055】
具体的には、エジェクト部36は、直線状に延びるように形成されているとともに、シリンダ構造を備えている。さらに、エジェクト部36には、その筒状の胴体の内部において、エジェクト部36の伸延方向に沿って往復移動可能に支持されたピン状のロッド(棒材)が設けられている。エジェクト部36は、例えば搬送路2側と反対側の端部を介して加圧装置72(例えば、エアコンプレッサー)に接続されている。そして、エジェクト部36の内部に加圧装置72からの圧縮エアが吹き込まれることによって、エジェクト部36に内包されたロッドがエジェクト部36の搬送路2側の先端部分から突出する。これにより、エジェクト部36は、搬送路2側に向けて押圧力を付与することができる。
【0056】
後述するように、エジェクト部36による搬送路2側への押圧動作は、吸着装置35による切断シート体200の下流側端部210の吸着保持を解除する際に実行される。詳細には、エジェクト部36による搬送路2側への押圧動作は、吸着装置35(詳細には、吸着装置35の各吸着部の吸着面)から切断シート体200の下流側端部210を容易に分離させるために実行される。
【0057】
[圧着装置の構成]
圧着装置4は、2つのシート体100,200の端部110,210を圧着して互いに接合可能に構成されている。当該圧着装置4は、ジョイントプレス装置、などとも称される。
【0058】
圧着装置4は、電熱ヒータがそれぞれ内蔵された一対のプレス盤41,42と、加圧装置72に接続されたエアシリンダ部(不図示)と、一対の押さえ部44と、を備えている。
【0059】
一対のプレス盤41,42は、2つシート体100,200のジョイント部分(接合部分、とも称される)を熱圧着可能に構成されている。例えば、2つのシート体100,200のジョイント部分は、当該一対のプレス盤41,42によって、ゲージ圧0.3MPa(メガパスカル)、熱盤温度70℃、加圧時間8秒で熱圧着される。
【0060】
具体的には、一対のプレス盤41,42は、上下方向(Z方向)に配置されている。そして、上方側(+Z側)に設けられたプレス上盤41と下方側(-Z側)に設けられたプレス下盤42との間で、2つシート体100,200のジョイント部分が挟み込まれて熱圧着される。
【0061】
当該プレス上盤41は、幅方向(Y方向)の両側において高さ方向(Z方向)に延びて形成された一対の支持フレーム48によって支持されており、当該一対の支持フレーム48において高さ方向に移動自在に構成されている。一方で、プレス下盤42は、シート体の搬送途中の位置に設けられているとともに、その上面(プレス面)が搬送路2の搬送面と同一平面となるように設けられている。具体的には、搬送路2は、その一部が開口して形成されており、搬送路2における開口部からプレス下盤42が露出して設けられている。
【0062】
そして、圧着動作時においては、プレス上盤41が一対の支持フレーム48に沿って下降して、一対のプレス盤41,42が互いに接近する。逆に、圧着動作後においては、プレス上盤41が一対の支持フレーム48に沿って上昇して、一対のプレス盤41,42が互いに離間する。
【0063】
なお、本実施形態では、幅方向に一対の支持フレーム48が設けられているが、これに限定されない。例えば、幅方向の一方側にのみ支持フレーム48が設けられており、プレス上盤41が当該支持フレーム48に対して片持ち状に支持されていてもよい。
【0064】
一対の押さえ部44は、一対のプレス盤41,42が熱圧着後に互いに離間する際において、搬送路2側に向けて押圧力を付与可能に構成されている。
【0065】
ここで、2つのシート体100,200の熱圧着後においてプレス上盤41が上昇する際、2つのシート体100,200のジョイント部分が、例えばプレス上盤41に付着してプレス上盤41とともに上昇し、ジョイント部分の接合界面が剥離してしまう虞がある。一対の押さえ部44は、このような問題の発生を回避するために設けられている。
【0066】
具体的には、押さえ部44は、帯状シート体100においてジョイント部分よりも下流側部分と、切断シート体200においてジョイント部分よりも上流側部分とを搬送路2側(すなわち、下方側)に押圧可能に構成されている。本実施形態では、押さえ部44は、搬送方向(X方向)においてプレス上盤41の両側において、搬送路2の幅方向に延びる角柱状に形成されている。当該一対の押さえ部44の幅方向(Y方向)の長さは、シート体100,200の幅方向の長さよりも大きく、一対の押さえ部44は、シート体100,200の幅方向の全幅に亘って搬送路2側に押圧可能に構成されている。一対の押さえ部44による押圧動作の詳細については、後述する。
【0067】
また、プレス上盤41を支持する支持フレーム48には、取付部材を介して撮影部(カメラ、とも称する)43が設けられている。本実施形態では、幅方向(Y方向)の両側にカメラ43が設けられている。換言すれば、幅方向に一対のカメラ43が設けられている。
【0068】
当該カメラ43は、搬送路2の下流側(終端側)において、搬送路2の上方側から搬送路2の搬送面を撮影可能に構成されている。例えば、カメラ43は、搬送路2上の帯状シート体100の上流側端部110を撮影可能に構成されている。なお、カメラ43が幅方向の両側に設けられていることは必須の構成ではなく、搬送路2上の帯状シート体100の上流側端部110の全幅を撮影可能であれば、幅方向の略中央位置のみに1つのカメラ43が設けられていてもよい。
【0069】
カメラ43も、カメラ34と同様に、画像入力用カメラ(ビジョンカメラ、とも称される)である。また、カメラ43によって撮影される撮影領域は、矩形状の領域であり、後述の画像処理の対象領域(画像処理領域)として設定される。
【0070】
なお、カメラ43の近傍位置においても、カメラ34と同様に、照明部(例えば、LED光源)が設けられており、カメラ43の撮影領域が照明部によって照らされた状態でカメラ34による撮影動作が行われる。
【0071】
[巻取部の構成]
巻取部5は、搬送路2の下流側(終端側)に設けられているとともに、帯状シート体100を巻取り可能に構成されている。具体的には、巻取部5は、搬送路2の幅方向(Y方向)に平行な方向に延びて形成された円筒状の部材であり、搬送路2の幅方向に平行な方向に延びる回転軸を中心に回転可能に構成されている。
【0072】
具体的には、巻取部5は、タイミングベルト等の減速機を介して搬送駆動部61に接続されており、搬送駆動部61による駆動力により、その回転軸を中心に回転する。そして、帯状シート体100の下流側端部が巻き掛けられた状態で巻取部5が回転することにより、搬送路2上の帯状シート体100が下流側へと搬送(移送)され、巻取部5に巻き取られる。
【0073】
なお、帯状シート体100は、未架橋状態であるため、その表面部分が粘着性を有している。この生成システム1では、巻取部5に巻き取られて層状に形成された帯状シート体100において重なり合う部分が付着することを防ぐため、帯状シート体100は、ライナー62とともに巻取部5に巻き取られる。詳細には、帯状シート体100とライナー62とが、交互に重なり合うように巻き取られる。
【0074】
また、搬送駆動部61は、帯状シート体100が一定の搬送速度で搬送されるように構成されている。具体的には、搬送駆動部61は、スピードコントロールモータ(速度検出用センサが内蔵されたACモータ)を有している。そして、搬送駆動部61は、帯状シート体100の巻取りに伴って巻取部5の外径が時系列で変化したとしても、巻取部5の外周部分の周速が一定に維持されるように自動的に速度制御することが可能である。例えば、巻取部5の外径が大きくなる程、巻取部5の回転速度が小さくなるように速度制御される。
【0075】
[制御系について]
図2に示されるように、生成システム1は、ロボットコントローラ39と、操作盤80と、制御盤90とを有している。
【0076】
ロボットコントローラ39は、移動装置3の動作を制御可能な制御部である。
【0077】
図3(A)は、操作盤80のブロック図である。図3(A)に示されるように、当該操作盤80は、演算制御部81を有している。演算制御部81は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含むコンピュータ、またはPLC(Programmable Logic Controller)などを用いて構成されている。演算制御部81は、画像処理部82を有しており、後述するように、シート体における端部の所定の基準位置に対する座標位置等を導出可能に構成されている。
【0078】
図3(B)は、制御盤90のブロック図である。図3(B)に示されるように、制御盤90は、駆動制御部91を有している。駆動制御部91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含むコンピュータ、またはPLC(Programmable Logic Controller)などを用いて構成されている。駆動制御部91は、例えばロボットコントローラ39を介して、移動装置3の動作を制御可能に構成されている。
【0079】
そして、演算制御部81と駆動制御部91とロボットコントローラ39とは、制御信号を送受信可能に構成されている。
【0080】
例えば、演算制御部81での処理に応じて、演算制御部81から駆動制御部91へと制御信号が発信され、駆動制御部91において、演算制御部81からの制御信号に基づく処理が実行される。そして、その処理結果に応じた制御信号が駆動制御部91からロボットコントローラ39へと発信され、ロボットコントローラ39において、駆動制御部91からの制御信号に基づいて、移動装置3の動作が制御される。なお、これらの動作の詳細については、後述する。
【0081】
[シート体のジョイント方法について]
以上のような構成を備える生成システム1によって実現されるシート体のジョイント方法について、図4図9を参照しつつ以下に説明する。図4は、シート体のジョイント方法を示すフローチャートである。また、図5図8は、シート体のジョイント方法における各工程を説明するための図である。また、図9は、2つのシート体の端部の搬送路2の幅方向に対する角度の導出を説明するための図である。
【0082】
ステップS11(図4)では、搬送路2において帯状シート体100の上流側端部110を撮影した第1の撮影画像と、搬送路2において切断シート体200の下流側端部210を撮影した第2の撮影画像と、が取得される。
【0083】
具体的には、まず、カメラ43が、搬送路2において帯状シート体100の上流側端部110を撮影する(図5参照)。本実施形態では、搬送路2の幅方向(Y方向)に設けられた一対のカメラ43が、帯状シート体100の上流側端部110における幅方向の両角部111,112(図9参照)を撮影する。なお、当該両角部111,112は、本発明における「第1の両角部」を構成している。
【0084】
カメラ43によって撮影された上流側端部110(詳細には、両角部111,112)を含む第1の撮影画像(撮影画像データ)は、カメラ43から演算制御部81へと送信されて、当該演算制御部81内の画像処理部82に入力される。このようにして、演算制御部81は、搬送路2において帯状シート体100の上流側端部110を撮影した第1の撮影画像を取得する。
【0085】
また、カメラ34が、搬送路2において切断シート体200の下流側端部210を撮影する(図4参照)。本実施形態では、カメラ34は、切断シート体200の下流側端部210における幅方向の両角部211,212(図9参照)を撮影する。なお、当該両角部211,212は、本発明における「第2の両角部」を構成している。
【0086】
具体的には、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、ハンド33を搬送路2の上流側(始端側)に移動させる移動制御を実行し、これに応じて、ハンド33が、例えば初期位置から搬送路2の上流側へと移動する。なお、この移動制御は、例えば、切断シート体200が搬送路2の始端側における所定の位置に配置されたことに応じて開始される。
【0087】
そして、カメラ34が、まず、例えば切断シート体200の下流側端部210における一方の角部211を撮影し、その後、ハンド33の移動動作によって幅方向に移動して、切断シート体200の下流側端部210における他方の角部212を撮影する。カメラ34によって撮影された下流側端部210(詳細には、両角部211,212)を含む第2の撮影画像(撮影画像データ)は、カメラ34から演算制御部81へと送信されて、当該演算制御部81内の画像処理部82に入力される。このようにして、演算制御部81は、搬送路2において切断シート体200の下流側端部210を撮影した第2の撮影画像を取得する。
【0088】
このように、生成システム1では、帯状シート体100の上流側端部110を撮影するカメラ43と、切断シート体200の下流側端部210を撮影するカメラ34との2種類のカメラが設けられている。そのため、帯状シート体100の上流側端部110の撮影動作と切断シート体200の下流側端部210の撮影動作とを同時並行で行うことができるので、シート体のジョイント工程において効率化を図ることができる。
【0089】
ここで、後述するステップS13では、2つのシート体100,200の端部110,210の搬送路2の幅方向に対する角度θ10、θ20(図9参照)が導出される。図9は、2つのシート体100,200の端部の搬送路2の幅方向に対する角度の導出を模式的に説明するための図である。この角度θ10、θ20の導出にあたって、本実施形態では、2つのシート体100,200の端部110,210における各角部の所定の基準位置P0に対する座標位置が用いられる。そして、本実施形態では、次述するように、この座標位置がステップS11において導出される。
【0090】
具体的には、ステップS11では、帯状シート体100における両角部111,112(詳細には、両角部111,112の各頂点)の所定の基準位置P0に対する座標位置P11,P12(図9参照)が導出される。また、切断シート体200における両角部211,212(詳細には、両角部211,212の各頂点)の所定の基準位置P0に対する座標位置P21,P22が導出される。なお、当該座標位置P11,P12は、本発明における「第1の座標位置」を構成し、座標位置P21,P22は、本発明における「第2の座標位置」を構成している。
【0091】
所定の基準位置(座標原点)P0としては、例えば、図9に示されるように、搬送路2の搬送面に水平な面(XY平面)と移動装置3の支持台30の中心軸(言い換えれば、ロボット31のロボット軸)との交差位置が用いられる。本実施形態では、ロボット31のロボット軸が搬送路2の幅方向(Y方向)の二等分線L10上に当該ロボット31が配置されており、所定の基準位置P0(X,Y)におけるY座標は、搬送路2の幅方向における中点と同一の値となる。
【0092】
そして、演算制御部81の画像処理部82は、カメラ43からの第1の撮影画像に基づいて、当該所定の基準位置P0に対する両角部111,112のXY座標位置(座標データとも称される)P11,P12をそれぞれ導出する(図9参照)。具体的には、当該第1の撮影画像に基づいてカメラ43の撮影領域A11内における角部111が特定される。そして、画像処理部82は、所定の基準位置P0とハンド33との位置関係、及びハンド33とカメラ43の撮影領域A11との位置関係に基づいて、当該撮影領域A11内にて特定された角部111の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P11を導出する。同様に、当該第1の撮影画像に基づいてカメラ43の撮影領域A12内における角部112が特定され、特定された角部112の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P12が導出される。
【0093】
同様にして、演算制御部81の画像処理部82は、カメラ34からの第2の撮影画像に基づいて、所定の基準位置P0に対する両角部211,212のXY座標位置P21,P22をそれぞれ導出する(図9参照)。具体的には、当該第2の撮影画像に基づいてカメラ34の撮影領域A21内における角部211が特定され、特定された角部211の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P21が導出される。同様に、当該第2の撮影画像に基づいてカメラ34の撮影領域A22内における角部212が特定され、特定された角部212の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P22が導出される。
【0094】
このようにして、ステップS11では、帯状シート体100における両角部111,112の座標位置P11,P12と、切断シート体200における両角部211,212の座標位置P21,P22とが導出される。
【0095】
次のステップS12では、切断シート体200の下流側端部210が移動装置3(詳細には、移動装置3のハンド33に設けられた吸着装置35)によって保持される(図6参照)。なお、このステップS12は、本発明における「保持ステップ」を構成している。
【0096】
具体的には、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、吸着装置35の各吸着部が切断シート体200の下流側端部210に当接するように、当該吸着装置35をXY平面において水平移動させるとともに下降させる(図6における下向きの黒塗り矢印参照)。そして、吸着装置35の各吸着部が切断シート体200の下流側端部210に当接した状態で、吸着装置35に接続された負圧装置71(図2参照)による吸引動作が実行される。これにより、切断シート体200の下流側端部210が吸着装置35(ひいては、移動装置3)に吸着保持される。
【0097】
その後、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、吸着装置35が切断シート体200の下流側端部210を吸着保持した状態でハンド33を上昇させる(図6における上向きの黒塗り矢印参照)。これにより、切断シート体200の下流側端部210が、吸着装置35によって保持された状態で搬送路2から離間する。
【0098】
そして、ステップS13では、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33の搬送路2の幅方向に対する角度を調整するとともに当該ハンド33を移動させる移動制御が実行される(図7参照)。当該移動制御は、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210との重ね代K10が所定の上下限範囲(例えば、0.8±0.5(mm))内となるように実行される。なお、本実施形態では、このステップS13において、本発明における「角度導出ステップ」と「移動制御ステップ」とが実行される。
【0099】
まず、ステップS13における「角度導出ステップ」について説明する。
【0100】
具体的には、演算制御部81は、搬送路2において帯状シート体100の上流側端部110を撮影した第1の撮影画像に基づいて、帯状シート体100の上流側端部110における直線状の縁部の搬送路2の幅方向(Y方向)に対する角度θ10(図9参照)を導出する。なお、当該角度θ10は、本発明における「第1の角度」を構成している。より具体的には、演算制御部81は、当該第1の撮影画像に基づきステップS11にて導出された座標位置P11,P12に基づいて、帯状シート体100の上流側端部110における直線状の縁部の角度θ10を導出する。例えば、2つの座標位置P11,P12を結ぶ直線と搬送路2の幅方向に延びる直線との間の角度が、当該角度θ10として導出される。
【0101】
同様にして、演算制御部81は、搬送路2において切断シート体200の下流側端部210を撮影した第2の撮影画像に基づいて、切断シート体200の下流側端部210における直線状の縁部の搬送路2の幅方向に対する角度θ20(図9参照)を導出する。なお、当該角度θ20は、本発明における「第2の角度」を構成している。具体的には、演算制御部81は、当該第2の撮影画像に基づきステップS11にて導出された座標位置P21,P22に基づいて、切断シート体200の下流側端部210における直線状の縁部の角度θ20を導出する。例えば、2つの座標位置P21,P22を結ぶ直線と搬送路2の幅方向に延びる直線との間の角度が、当該角度θ20として導出される。
【0102】
以上のような動作が、「角度導出ステップ」として実行される。
【0103】
なお、本実施形態では、座標位置P11,P12,P21,P22がステップS11において導出されているが、これに限定されず、座標位置P11,P12,P21,P22は、例えば、本ステップS13において導出されてもよい。
【0104】
次に、ステップS13における「移動制御ステップ」について説明する。
【0105】
まず、演算制御部81は、角度θ10と角度θ20との差分を、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態の移動装置3(詳細には、ハンド33)の調整角度として決定する。
【0106】
次に、演算制御部81は、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33の移動量を決定する。
【0107】
具体的には、演算制御部81は、帯状シート体100の上流側端部110における両角部111,112の座標位置P11,P12に基づいて、両角部111,112の二等分点C10(図9参照)の座標位置を導出する。同様に、演算制御部81は、切断シート体200の下流側端部210における両角部211,212の座標位置P21,P22に基づいて、両角部211,212の二等分点C20の座標位置を導出する。
【0108】
そして、切断シート体200の下流側端部210における二等分点C20のX座標位置から次述の位置P50(図9参照)のX座標位置までのX方向距離が、ハンド33のX方向への移動量として決定される。位置P50は、帯状シート体100の上流側端部110における二等分点C10に対して、重ね代の基準値N10の長さを座標位置P11,P12を結ぶ直線方向(すなわち、帯状シート体100の上流側端部110における直線状の縁部)に直交する方向(つまり、Y方向に対する角度が「θ10+90°」となる直線方向)に沿って下流側に加えた位置である。また、切断シート体200の下流側端部210における二等分点C20のY座標位置から当該位置P50のY座標位置までのY方向距離が、ハンド33のY方向への移動量として決定される。
【0109】
以上のようにして、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33の調整角度と、当該ハンド33の移動量とが決定される。
【0110】
決定された調整角度及び移動量を示す制御信号は、演算制御部81から駆動制御部91へと伝達され、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、ハンド33の移動動作を制御する。
【0111】
具体的には、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33が、所定の基準位置P0(すなわち、ロボット31のロボット軸)を中心として、決定された角度回転する。これに応じて、ハンド33によって保持された状態の切断シート体200の下流側端部210が、当該所定の基準位置P0を中心として、決定された角度回転する。言い換えれば、切断シート体200の下流側端部210の角度θ20が帯状シート体100の上流側端部110の角度θ10に一致するように、切断シート体200の下流側端部210の角度が調整される。
【0112】
そして、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33が、決定された移動量の距離を下流側(帯状シート体100側)へと移動する(図7における右向きの黒塗り矢印参照)。
【0113】
図10は、切断シート体200の移動制御を説明するための図であり、図10(A)では、切断シート体200の移動制御前の状態が示されており、図10(B)では、切断シート体200の移動制御後の状態が示されている。
【0114】
図10(A)に示されるように、本実施形態では、切断シート体200の移動制御前において、切断シート体200の下流側端部210は、帯状シート体100の上流側端部110の角度θ10とは異なる角度θ20で、搬送路2の幅方向に対して傾斜している。このような状態から、図10(B)に示されるように、切断シート体200の下流側端部210が帯状シート体100の上流側端部110の角度θ10と同じ角度となるように、切断シート体200を保持した状態のハンド33の移動制御が実行される。
【0115】
以上のようにして、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210との重ね代が所定の上下限範囲内となるように、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33に対する移動制御を実行する「移動制御ステップ」が行われる。
【0116】
なお、上記では、ハンド33の角度が調整された後に当該ハンド33が搬送方向へと移動するように制御されているが、これに限定されない。逆に、ハンド33が搬送方向へと移動した後に当該ハンド33の角度が調整されるように制御されてもよい。或いは、ハンドの角度が調整されながら当該ハンド33が搬送方向へと移動するように制御されてもよい。
【0117】
次に、ステップS14(図4)では、帯状シート体100の上流側端部110に切断シート体200の下流側端部210が重ね合わされて、ハンド33による切断シート体200の下流側端部210の保持状態が解除される。
【0118】
具体的には、駆動制御部91は、帯状シート体100の上流側端部110に切断シート体200の下流側端部210が重ね合わされるように、ロボットコントローラ39を介してハンド33の移動動作を制御する。
【0119】
当該移動制御に応じて、ハンド33は、搬送路2から離間させて吸着保持していた切断シート体200の下流側端部210を、搬送路2に接近させて帯状シート体100の上流側端部110に当接させる(図7における下向きの黒塗り矢印参照)。そして、負圧装置71による吸引動作が停止し、ハンド33の吸着装置35による切断シート体200の下流側端部210の吸着保持が解除される。
【0120】
その後、ハンド33が上昇し(すなわち、搬送路2から離間し)、これに応じて、吸着装置35も上昇する。この際、次述するように、エジェクト部36による搬送路2側への押圧動作が実行される。
【0121】
具体的には、エジェクト部36の内部に加圧装置72からの圧縮エアが吹き込まれて、エジェクト部36に内包されたロッドがエジェクト部36の搬送路2側の先端部分から突出する。これにより、エジェクト部36が、搬送路2側に向けて押圧力を付与し、この状態で、切断シート体200の下流側端部210の吸着保持を解除した吸着装置35が上昇する。
【0122】
そして、ステップS15では、圧着装置4(詳細には、一対のプレス盤41,42)によって、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210とのジョイント部分が圧着されて接合される(図8参照)。なお、ステップS14及びステップS15が、本発明における「接合ステップ」を構成している。
【0123】
具体的には、駆動制御部91は、圧着装置4のプレス上盤41を、初期位置から当該プレス上盤41がジョイント部分に当接する位置(高さ)に至るまで支持フレーム48に沿って下降させ(図8における下向きの黒塗り矢印参照)、一対のプレス盤41,42を互いに接近させる。これにより、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210との一対のプレス盤41,42の間でジョイント部分が挟み込まれる。このとき、一対のプレス盤41,42は、それぞれ、所定の温度(例えば、70℃)に加熱された状態となっている。そして、一対のプレス盤41,42が所定のゲージ圧(例えば、0.3MPa)で所定の加圧時間(例えば、8秒)に亘ってジョイント部を熱圧着する。これにより、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210とのジョイント部分が接合(言い換えれば、ジョイント)される。なお、この際、一対の押さえ部44は、プレス盤41とともに下降して、帯状シート体100においてジョイント部分よりも下流側部分と、切断シート体200においてジョイント部分よりも上流側部分とに対して搬送路2側への押圧力を付与する。
【0124】
その後、一対のプレス盤41,42は、互いに離間する。具体的には、プレス上盤41が、支持フレーム48に沿って上昇して初期位置へと戻る。この際、一対の押さえ部44は、プレス上盤41とともに上昇することなく、搬送路2側への押圧動作を継続する。具体的には、帯状シート体100においてジョイント部分よりも下流側部分と、切断シート体200においてジョイント部分よりも上流側部分とが、一対の押さえ部44によって搬送路2側(下方側)に押圧された状態が維持される。そして、プレス上盤41が上昇してから所定時間が経過した後に、一対の押さえ部44が上昇する。
【0125】
なお、一対の押さえ部44は、例えば、プレス上盤41と支持フレーム48とに対して切り替えられて支持されるように構成されている。そして、一対の押さえ部44がプレス上盤41とともに下降する際には、一対の押さえ部44は、プレス上盤41に支持される。その後、プレス上盤41のみが上昇する際には、プレス上盤41から支持フレーム48へと一対の押さえ部44の支持が切り替えられ、一対の押さえ部44が支持フレーム48に支持された状態で搬送路2側への押圧動作が行われる。そして、所定時間が経過した後には、支持フレーム48からプレス上盤41へと一対の押さえ部44の支持が再び切り替えられて、一対の押さえ部44がプレス上盤41とともに上昇する。
【0126】
以上のようにして、シート体のジョイント方法が実現される。
【0127】
[シート体の搬送方法について]
次に、上記のシート体のジョイント方法により2つのシート体100,200の端部が互いに接合されて生成された帯状シート体(新たな帯状シート体)の搬送方法について、図11図15を参照しつつ説明する。図11は、帯状シート体の搬送方法を示すフローチャートである。また、図12図14は、帯状シート体の搬送方法における各工程を説明するための図である。また、図15は、帯状シート体の上流側端部における幅方向の両角部のそれぞれから搬送路の幅方向の中心位置までの幅方向距離の導出を説明するための図である。
【0128】
なお、本実施形態では、切断シート体200が接合される前の帯状シート体を「帯状シート体100」とし、切断シート体200が接合された後の新たな帯状シート体を「帯状シート体300」とする。
【0129】
ここで、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210とが重ね合わされる場合、その重ね代が所定の上下限範囲内であったとしても、2つのシート体100,200の端部の角度が互いに若干ズレて重ね合わされることもある。この場合、新たな帯状シート体300の全部が巻取部5に巻き取られるまでに当該帯状シート体300が蛇行し得る。帯状シート体300が蛇行した場合には、帯状シート体300が幅方向においてライナー62から外れ、次工程へと進めることができない虞がある。
【0130】
以下に説明するシート体の搬送方法は、このような帯状シート体300の蛇行の発生を抑制するためのものである。
【0131】
まず、ステップS21(図11)では、搬送路2において帯状シート体300の上流側端部310を撮影した第3の撮影画像が取得される。具体的には、カメラ34が、搬送路2において帯状シート体300の上流側端部310を撮影する(図12参照)。本実施形態では、カメラ34は、帯状シート体300の上流側端部310における幅方向の両側の各角部311,312を撮影する。なお、角部311は、本発明における「第1の角部」を構成し、角部312は、本発明における「第2の角部」を構成している。
【0132】
より具体的には、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、ハンド33が搬送路2における上流側(始端側)に移動するようにハンド33の移動動作を制御し、ハンド33が、初期位置等から搬送路2における上流側へと移動する。そして、カメラ34が、帯状シート体300の上流側端部310における両角部311,312を撮影する。カメラ34によって撮影された両角部311,312を含む第3の撮影画像は、カメラ34から演算制御部81へと送信されて、当該演算制御部81内の画像処理部82に入力される。
【0133】
また、このステップS21では、当該第3の撮影画像に基づいて、帯状シート体300の上流側端部310における幅方向の両角部311,312(詳細には、両角部311,312の各頂点)の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P31,P32(図15参照)がそれぞれ導出される。なお、当該座標位置P31,P32の導出は、上記の座標位置P11,P12(図9参照)の導出と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0134】
次に、ステップS22では、帯状シート体300の上流側端部310が移動装置3(詳細には、移動装置3のハンド33に設けられた吸着装置35)によって保持される(図13参照)。なお、このステップS22は、本発明における「第2の保持ステップ」を構成している。
【0135】
具体的には、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、吸着装置35の各吸着部が帯状シート体300の上流側端部310に当接するように、当該吸着装置35をXY平面において水平移動させるとともに下降させる(図13における右向きの黒塗り矢印及び下向きの黒塗り矢印参照)。そして、吸着装置35の各吸着部が帯状シート体300の上流側端部310に当接した状態で、吸着装置35に接続された負圧装置71による吸引動作が実行される。これにより、帯状シート体300の上流側端部310が吸着装置35に吸着保持される。
【0136】
その後、駆動制御部91は、ロボットコントローラ39を介して、吸着装置35が帯状シート体300の上流側端部310を吸着保持した状態でハンド33を上昇させる。これにより、帯状シート体300の上流側端部310が、吸着装置35によって保持された状態で搬送路2から離間する。
【0137】
そして、ステップS23では、帯状シート体300の上流側端部310を保持した状態のハンド33に対する移動制御が実行される(図13参照)。具体的には、演算制御部81は、帯状シート体300の上流側端部310を保持した状態のハンド33の搬送路2の幅方向に対する角度を調整する。なお、本実施形態では、このステップS23において、本発明における「距離導出ステップ」と「第2の移動制御ステップ」とが実行される。
【0138】
より具体的には、演算制御部81は、まず、上記の第3の撮影画像に基づき導出された角部311の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P31に基づいて、搬送路2の幅方向の中心位置から角部311までの幅方向距離L1を導出する(図15参照)。同様に、演算制御部81は、上記の第3の撮影画像に基づき導出された角部312の所定の基準位置P0に対するXY座標位置P32に基づいて、搬送路2の幅方向の中心位置から角部312までの幅方向距離L2を導出する。なお、当該幅方向距離L1は、本発明における「第1の幅方向距離」を構成し、幅方向距離L2は、本発明における「第2の幅方向距離」を構成している。このような動作が、「距離導出ステップ」として実行される。
【0139】
そして、演算制御部81は、当該幅方向距離L1と幅方向距離L2とが等しくなるように、帯状シート体300の上流側端部310を保持した状態のハンド33の角度調整を実行する。すなわち、帯状シート体300の上流側端部310における直線状の縁部が搬送路2の幅方向に対して平行となり、且つ当該上流側端部310における二等分点C30が搬送路2における幅方向の中央位置と一致するように、当該ハンド33の角度が調整される。
【0140】
図16は、帯状シート体300の上流側端部310における角度調整を説明するための図であり、図16(A)では、帯状シート体300の角度調整前の状態が示されており、図16(B)では、帯状シート体300の角度調整後の状態が示されている。
【0141】
図16(A)に示されるように、本実施形態では、帯状シート体300の角度調整前において、帯状シート体300の上流側端部310が搬送路2の幅方向に対して若干ズレており、帯状シート体300の幅方向距離L1と幅方向距離L2とが互いに異なっている。このような状態から、図16(B)に示されるように、帯状シート体300の幅方向距離L1と幅方向距離L2とが等しくなるように、帯状シート体300を保持した状態のハンド33の角度が調整される。
【0142】
以上のような動作が、「第2の移動制御ステップ」として実行される。
【0143】
また、ステップS23では、このような角度調整(ハンド33の移動制御)が、帯状シート体300を搬送する搬送動作に追従しながら実行される(図14における右向きの黒塗り矢印参照)。
【0144】
具体的には、生成システム1は、接触式のロータリーエンコーダ63(図2参照)を備えている。ロータリーエンコーダ63は、接触回転する回転体の回転数を検知して周速に換算可能であり、搬送路2の終端側において搬送される帯状シート体300に接触することによって当該帯状シート体300の移動速度を検出可能に構成されている。そして、演算制御部81は、当該ロータリーエンコーダ63からの信号(パルス信号等)に基づいて、ハンド33の下流側への移動速度が帯状シート体300の搬送速度と一致するように当該ハンド33の移動動作を制御する。
【0145】
そして、ステップS24では、帯状シート体300の上流側端部310が所定の位置(具体的には、カメラ43の撮影領域)に到達したことに応じて、帯状シート体300の搬送動作が一旦停止される。この動作は、帯状シート体300の上流側端部310に次の切断シート体200の下流側端部210を接合するジョイント作業のために実行される。
【0146】
具体的には、カメラ43は、その撮影領域内に到達した帯状シート体300の上流側端部310を撮影した撮影画像を演算制御部81に発信する。演算制御部81は、当該撮影画像に基づいて、帯状シート体300の上流側端部310が所定の位置に到達したことを示す検知信号を駆動制御部91に向けて発信する。そして、駆動制御部91は、当該検知信号に基づいて、搬送駆動部61を停止させることによって帯状シート体300の搬送動作を停止させるとともに、ロボットコントローラ39を介してハンド33の移動動作を停止させる。
【0147】
これにより、帯状シート体300の上流側端部310が、次の切断シート体200の下流側端部210との接合を待機した待機状態となる。
【0148】
[効果]
以上説明したように、本実施形態に係るシート体のジョイント方法では、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210との重ね代が所定の上下限範囲内となるように、当該下流側端部210を保持した状態のハンド33に対する移動制御が実行される。そのため、手操作に依らずに2つのシート体を接合することができる。
【0149】
また、帯状シート体100の上流側端部110の角度θ10と切断シート体200の下流側端部210の角度θ20とに基づいて、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33の移動制御が実行される。すなわち、切断シート体200の下流側端部210を帯状シート体100の上流側端部110の位置へと移動させるまでの間にハンド33の角度調整が行われる。そのため、帯状シート体100の上流側端部110と切断シート体200の下流側端部210とを所定の上下限範囲内の重ね代で重ね合わせるにあたって、例えば、調整アームの角度調整を各シート体の各端部の位置で(すなわち2段階に亘って)行う構成とすることを要しない。従って、より効率的に2つのシート体を接合することができる。
【0150】
さらに、搬送路2において帯状シート体100の上流側端部110を撮影した撮影画像に基づいて角度θ10が導出され、搬送路2において切断シート体200の下流側端部210を撮影した撮影画像に基づいて角度θ20が導出される。そして、当該角度θ10、θ20に基づいて、ハンド33の移動制御が実行される。そのため、常に一定の角度でハンドの移動制御が実行されるのではなく、搬送路2に搬送されるシート体の端部に応じた角度でハンド33の移動制御が実行される。従って、2つのシート体を適切に接合することができる。
【0151】
以上より、本実施形態に係るシート体のジョイント方法によると、手操作に依らず且つより効率的に2つのシート体を適切に接合することができる。
【0152】
また、本実施形態に係るシート体のジョイント方法では、各シート体100,200の端部110,210における幅方向の両角部の座標位置に基づいて、搬送路2の幅方向に対する各シート体100,200の角度θ10、θ20が求められる。そのため、2つのシート体100,200の端部110,210の搬送路2に対する角度θ10、θ20をより正確に導出することができる。その結果、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33の角度調整がより正確に行われ、2つのシート体100,200をより適切に重ね合わせることができる。
【0153】
また、本実施形態に係るシート体のジョイント方法では、角度θ10と角度θ20との差分が、切断シート体200の下流側端部210を保持した状態のハンド33の調整角度として決定される。そのため、ハンド33によって搬送路2から離間して保持された状態の切断シート体200の下流側端部210を、帯状シート体100の上流側端部110と平行状態とすることができる。その結果、切断シート体200の下流側端部210を帯状シート体100の上流側端部110に対して平行に重ね合わせることができる。
【0154】
また、本実施形態に係るシート体のジョイント方法では、ハンド33による切断シート体200の下流側端部210の吸着保持状態が解除される際に、エジェクト部36による押圧動作(搬送路2側に向けた押圧力の付与動作)が切断シート体200に対して実行される。そのため、ハンド33による切断シート体200の下流側端部210の吸着保持状態が解除される際に、当該ハンド33から切断シート体200の下流側端部210を容易に分離させることができる。従って、ハンド33による切断シート体200の下流側端部210の吸着保持状態が解除される際に当該切断シート体200の下流側端部210がズレること、を防止できる。
【0155】
また、熱圧着後に一対のプレス盤41,42が互いに離間する際、帯状シート体100においてジョイント部分よりも下流側分と切断シート体200においてジョイント部分よりも上流側部分とが押さえ部44によって搬送路2側に押圧された状態が維持される。そのため、一対のプレス盤41,42によるジョイント部の熱圧着後に当該一対のプレス盤41,42が互いに離間する際に当該ジョイント部分がプレス盤に付着して2つのシート体100,200の接合界面が剥離すること、を抑制することができる。
【0156】
また、本実施形態に係るシート体の搬送方法では、幅方向距離L1,L2(図15参照)が等しくなるように、帯状シート体300の上流側端部310を保持した状態の搬送路2の幅方向に対する角度を調整する移動制御が実行される。そのため、帯状シート体300の上流側端部310が幅方向に対してズレている場合であっても、そのズレがハンド33によって修正され、作業員が手操作で修正することを要しない。従って、手操作に依らず且つより効率的に2つのシート体100,200を適切に接合しつつ、当該2つのシート体100,200の接合により生成された帯状シート体300の蛇行の発生を効率的に抑制することができる。
【0157】
また、本実施形態に係るシート体の搬送方法では、ハンド33の角度を調整する移動制御が、帯状シート体300を搬送する搬送動作に追従しながら実行される。従って、帯状シート体300を搬送する搬送動作を停止させた状態で帯状シート体300の上流側端部310のズレ調整が行われる場合と比較して、帯状シート体300の蛇行の発生をより効率的に抑制することができる。
【0158】
[評価]
図17は、上記の実施形態に係るジョイント方法及び搬送方法を採用した場合と、比較例に係るジョイント方法および搬送方法を採用した場合とのそれぞれにおける評価を示す図である。
【0159】
図17に示す評価で用いた切断シート体200は、厚みが約1mm、幅(切断されていない側の縁部(非切断縁部)の長さ)が約540mm、長さ(切断されている側の縁部(切断縁部)の長さ)が700mmのシート体である。また、図17に示す評価で用いた切断シート体200を構成するシート体のゴム組成物は、主成分がエチレン-α-オレフィンエラストマー(EPDMポリマー)であり、短繊維400(カット長約3ミリメートル(mm)のナイロンカット糸)が配合されている。当該シート体のゴム組成物の配合表を表1に示す。表1の配合表は、当該シート体のゴム組成物の組成を示しており、当該シート体のゴム組成物における各材料の配合量について、EPDMポリマーについては100質量部で示し、EPDMポリマー以外の材料についてはEPDMポリマー100質量部に対する質量部で示している。
【0160】
【表1】
※1 ダウ・ケミカル日本(株)製「NORDEL(登録商標)IP3640」
※2 東海カーボン(株)製「シースト(登録商標)3」
※3 出光興産(株)製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイル」
※4 精工化学(株)製「ノンフレックス(登録商標)OD3」
※5 化薬アクゾ(株)製「パーカドックス(登録商標)14RP」
※6 旭化成(株)製「ナイロン66」、繊維長約3mm
【0161】
ここでは、比較例として、
・切断シート体200の下流側端部210を帯状シート体100の上流側端部110に所定の上下限範囲内の重ね代で重ね合わせる作業、及び
・帯状シート体300の上流側端部310のズレを調整する作業
の双方を作業員が手操作で行う態様を例示する。
【0162】
まず、ジョイント方法に関する評価について説明する。
【0163】
ここでは、上記実施形態と比較例に係る態様とのそれぞれに関して、ジョイント回数を100回とした。また、重ね代に関する所定の上下限範囲は、設定値0.8±0.5(mm)とした。1つのジョイント部(長さ540mmのジョイント部)には、5つの検査箇所を設けた。詳細には、幅方向の一方端と他方端との2箇所と、その間を4等分する3箇所との合計5箇所において検査を行った。すなわち、総検査箇所数は、500箇所(100回×5箇所)である。また、検査方法としては、一連の作業終了後に、巻取部5をライナーごと巻き戻し、作業員が、ジョイント部ごとにその重ね代をノギス(測定単位0.05mm)等を用いて測定する作業を行った。
【0164】
シート体のジョイント方法に関する評価基準は、以下のとおりである。具体的には、
A1:ジョイント部の重ね代が、総検査箇所数に対して全て所定の上下限範囲(0.8±0.5(mm))内であることと、
A2:重ね代の平均値が、0.8±0.2(mm)の範囲内であることと、
A3:変動幅R値(最大値-最小値)が、0.5mm(許容幅1.0mmの半分)以下であることと、
の3つ基準A1~A3の全てを満たす場合は、ベルトの製造品質を良好に確保できるとした。逆に、当該3つの基準A1~A3の少なくとも1つが満たされなかった場合は、ベルトの製造品質を確保できないとした。
【0165】
このような評価基準の下においてシート体のジョイント方法に関する評価結果は、以下のとおりである。
【0166】
まず、本実施形態に係るジョイント方法では、重ね代が所定の上下限範囲(0.8±0.5(mm))外となった箇所数は、総検査箇所数500箇所に対して0箇所であり、重ね代の平均値は、0.82mmであり、重ね代の変動幅R値は、0.30mmであった。すなわち、本実施形態に係るジョイント方法では、上記の3つの基準A1~A3の全てが満たされた。その結果、本実施形態に係るジョイント方法に関しては、「ベルトの製造品質を良好に確保できる」(図17においては「〇」)と評価された。
【0167】
これに対して、比較例に係るジョイント方法では、重ね代が所定の上下限範囲外となった箇所数は、総検査箇所数500箇所に対して12箇所であり、重ね代の平均値は、0.97mmであり、重ね代の変動幅R値は、1.20mmであった。なお、重ね代が所定の上下限範囲外となった12箇所では、いずれも所定の上下限範囲における上限値を上回る重ね代が検出された。このように、比較例に係るジョイント方法では、上記の3つの基準A1~A3の全てが満たされておらず、「ベルトの製造品質を確保できない」(図17においては「×」)と評価された。
【0168】
以上のように、上記実施形態に係るシート体のジョイント方法によると、作業員による手操作で2つのシート体の端部が重ね合わされる場合と比較して、2つのシート体の端部をより適切に接合することができ、ベルトの製造品質を良好に確保できることがわかる。
【0169】
次に、シート体の搬送方法に関する評価について説明する。
【0170】
ここでは、上記実施形態と比較例に係る態様とのそれぞれに関して、蛇行量の許容値(設定値)は、0±25(mm)とした。なお、蛇行量「0」は、帯状シート体300の上流側端部310における両角部311,312の二等分点C30(図15参照)のY座標が値「0」であることを意味する。また、「±25」は、蛇行量「0」の場合のライナー(幅590mm)の左右縁幅25mmを意味する。また、検査箇所数は、接合動作後、搬送停止状態の帯状シート体の上流側端部における1箇所(検査箇所は、角部311,312の二等分点C30のY座標)とし、総検査箇所数は100箇所とした。また、検査方法としては、搬送停止の度に、逐次、検査員が上記の検査箇所をマーキングして金尺(測定単位1mm)等を用いて測定した。
【0171】
シート体の搬送方法に関する評価基準は、以下のとおりである。具体的には、
B1:蛇行量が、総検査箇所数に対して全て設定範囲内であることと、
B2:蛇行量の平均値が、0±10(mm)の範囲内であることと、
B3:変動幅R値が、25mm(許容幅50mmの半分)以下であることと、
の3つの基準B1~B3の全てを満たす場合は、ベルトの製造品質を良好に確保できるとした。逆に、当該3つの基準B1~B3の少なくとも1つが満たされなかった場合は、ベルトの製造品質を確保できないとした。
【0172】
このような評価基準の下においてシート体の搬送方法に関する評価結果は、以下のとおりである。
【0173】
まず、本実施形態に係るシート体の搬送方法では、蛇行量が所定範囲外となった箇所数は、総検査箇所数100箇所に対して0箇所であり、蛇行量の平均値は、0.1mmであり、変動幅R値は、2mmであった。すなわち、本実施形態に係るシート体の搬送方法では、上記の3つの基準B1~B3の全てが満たされた。その結果、本実施形態に係る搬送方法に関しては、「ベルトの製造品質を良好に確保できる」(図17においては「〇」)と評価された。
【0174】
これに対して、比較例に係るシート体の搬送方法では、蛇行量が所定範囲外となった箇所数は、総検査箇所数100箇所に対して0箇所であり、蛇行量の平均値は、4.8mmであり、蛇行量の変動幅R値は、13mmであった。すなわち、比較例に係るシート体の搬送方法では、作業員による手操作で帯状シート体の上流側端部のズレ(搬送路の幅方向のズレ)が修正された結果、上記の3つの基準B1~B3の全てが満たされた。その結果、比較例に係る搬送方法に関しても、「ベルトの製造品質を良好に確保できる」(図17においては「〇」)と評価された。しかしながら、本実施形態との比較において、比較例(作業員が手操作で行う態様)に係るシート体の搬送方法では、本実施形態の場合よりも、帯状シート体の蛇行の発生を抑制するという観点(上記基準B2,B3に関連)における安全率(確実性)が劣る傾向があることが伺えた。
【0175】
次に、生産性に関する評価について説明する。ここでは、シート体のジョイント動作、及びシート体の搬送動作に係る所要時間と、その実作業に関与した作業員の要員数とを考慮して、生産性を評価した。
【0176】
まず、所要時間に関する評価基準としては、作業員が手操作で行う態様(比較例)の場合の所要時間を100とした所要時間(指数)が85以下であれば、作業員が手操作で行う態様の場合よりも短時間で済む(所要時間の評価が「良(〇)」)とした。逆に、85を上回る場合は、「不良(×)」)とした。生産性の評価基準としては、上記の所要時間の評価が「良(〇)」であり、且つ、その要員数が0名の場合、ベルトの生産性を良好に確保できる、と評価した。逆に、上記の所要時間の評価が「不良(×)」である場合、あるいは、要員数が1名以上の場合、ベルトの生産性を確保できない、と評価した。
【0177】
生産性の評価結果について、図17を参照しつつ説明する。なお、ここでは、所要時間に関しては、手操作による作業に対する指数を用いて評価した。
【0178】
まず、本実施形態に係るジョイント方法及び搬送方法では、所要時間に関する指数が「65」となり、要員数は「0名」であった。その結果、本実施形態に係るジョイント方法及び搬送方法では、ベルトの生産性を良好に確保できる(図17においては「〇」)、と評価された。
【0179】
これに対して、比較例に係るジョイント方法及び搬送方法では、所要時間に係る指数が「100」となり、要員数は「1名」であった。その結果、比較例に係るジョイント方法及び搬送方法では、ベルトの生産性を確保できない(図17においては「×」)、と評価された。
【0180】
そして、総合的な評価では、本実施形態に係るジョイント方法及び搬送方法について、製造品質及び生産性の双方に関して「良好(「〇」)」と評価された。その一方で、比較例に係るジョイント方法及び搬送方法では、製造品質及び生産性の双方に関して「不良(「×」)」と評価された。
【0181】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例を実施してもよい。
【0182】
(1)上述した実施形態では、切断シート体200が矩形形状に形成されているが、これに限定されず、例えば、切断シート体200が平行四辺形状に形成されていてもよい。
【0183】
(2)また、矩形形状の切断シート体200と平行四辺形状の切断シート体200とが所定のタイミング等(例えば、日替わり)で変更されてもよい。上述した実施形態では、搬送路2に搬送されるシート体の端部に応じた角度でハンド33の移動制御が実行されるので、切断シート体200の形状が所定のタイミングで変更する場合であっても、適切にハンド33の移動制御を実行することができる。言い換えれば、切断シート体200の形状が固定されていることを要さず、ハンド33の移動制御を柔軟に実行することができる。
【0184】
なお、この場合、生成システム1が、圧着装置4(詳細には、一対のプレス盤41,42)の搬送路2の幅方向(Y方向)に対する角度を変更自在に構成されているとよい。例えば、図18に示されるように、鉛直方向に延びる回転軸まわりに回動可能に構成された円盤状の回転テーブル65が設けられており、圧着装置4が、当該回転テーブル65とともに回転するように構成されているとよい。
【0185】
(3)また、上述した実施形態では、演算制御部81で画像処理が実行されて各角部の座標位置が導出されているが、これに限定されず、各カメラにメモリが内蔵されており、上記において演算制御部81で実行された画像処理が、カメラに内蔵されたメモリによって実行されて、各角部の座標位置が導出されてもよい。
【0186】
(4)また、上述した実施形態では、2つのシート体の搬送方法におけるステップS23(図11参照)において、帯状シート体300の搬送動作に追従しながらハンド33の移動制御が実行されているが、これに限定されない。例えば、ステップS23におけるハンド33の移動制御が、帯状シート体300の搬送動作を停止させた状態で実行されてもよい。
【0187】
(5)また、上述した実施形態では、演算制御部81と駆動制御部91とロボットコントローラ39とが別個に設けられているが、これに限定されない。例えば、演算制御部81と駆動制御部91とロボットコントローラ39とのそれぞれの動作が1つの制御部によって実現されてもよい。
【0188】
(6)また、上述した実施形態では、第1のシート体及び第2のシート体として構成される2つのシート体が、ゴムシート体である形態を例にとって説明したが、この形態に限られなくてもよい。即ち、2つのシート体がゴムシート体以外のシート体として構成される形態が実施されてもよい。例えば、2つのゴムシート体は、ゴム付帆布等の織布シート体、塩化ビニールシート等の樹脂シート体、銅板等の金属シート体、あるいは、これら材質の異なる複数のシート体が重ね合わされて一体化されることで構成された積層シート体であってもよい。
【0189】
(7)また、上述した実施形態では、搬送路上の第2のシート体を保持して移動自在に構成された保持部の構成として、搬送路上の第2のシート体を吸着して保持することが可能な吸着装置35を備えた移動装置3の構成を例にとって説明したが、この構成に限られなくてもよい。即ち、保持部は、吸着による保持以外の保持手段によって第2のシート体を保持するように構成されていてもよい。例えば、保持部は、先端が尖っていて第2のシート体に対して突き刺すことが可能な針状に形成された針状部を有し、搬送路上の第2のシート体を針状部で突き刺して保持することが可能に構成されていてもよい。
【0190】
(8)また、上述した実施形態では、2つのシート体の端部が重ね合わされて接合される態様として、電熱ヒータが内蔵された一対のプレス盤41,42を有する圧着装置4によって2つのシート体の端部が熱圧着されて接合される態様を例にとって説明したが、この態様に限られなくてもよい。即ち、熱圧着による接合以外の接合手段によって2つのシート体の端部が接合される態様が実施されてもよい。例えば、2つのシート体の端部が重ね合わされて接合される態様は、超音波融着がなされて接合される態様、あるいは、ミシン縫いによるミシンジョイントがなされて接合される態様であってもよい。尚、端部同士が接合される2つのシート体が織布シート体の場合、ミシンジョイントによって接合される態様が好適となる。
【0191】
(9)また、上述した実施形態では、搬送路上の第2のシート体を保持して移動自在に構成された保持部の構成として、6軸の自由度を有する多関節型ロボット31を備えた移動装置3の構成を例にとって説明したが、この構成に限られなくてもよい。保持部は、搬送路上の第2のシート体を保持して移動自在に構成されていればよく、ロボットを利用した構成でなくてもよい。即ち、保持部は、保持した第2のシート体の位置及び姿勢を自在に変更可能に構成されていればよく、ロボットを利用した構成に限らず、広く、複数軸(例えば、X軸、Y軸、Z軸、θ軸)において第2のシート体の位置及び姿勢を制御するサーボシステムを利用した構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、2つのシート体の端部を互いに重ね合わせて接合する際におけるシート体のジョイント方法、及びこれに関連するシート体の搬送方法に関して広く適用できる。
【符号の説明】
【0193】
1 生成システム
2 搬送路
3 移動装置(保持部)
4 圧着装置
5 巻取部
33 ハンド
34 カメラ
35 吸着装置
36 エジェクト部
41,42 一対のプレス盤
43 カメラ
44 押さえ部
80 操作盤
81 演算制御部
90 制御盤
91 駆動制御部
100 帯状シート体(第1のシート体)
110 帯状シート体の上流側端部
200 切断シート体(第2のシート体)
210 切断シート体の下流側端部
300 帯状シート体(新たな帯状シート体)
310 帯状シート体(新たな帯状シート体)の上流側端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18