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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021133134
(22)【出願日】2021-08-18
(62)【分割の表示】P 2019542833の分割
【原出願日】2017-09-19
(65)【公開番号】P2021180339
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 英俊
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】吉田 昌弘
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-103418(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085782(WO,A1)
【文献】特開2015-32725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダを着脱可能に保持する複数のフィーダ保持部をそれぞれ有し該複数のフィーダ保持部の何れかに装着されたフィーダから部品を取り出して基板に実装する複数の部品実装装置と、前記複数の部品実装装置が並ぶラインに沿って移動し各部品実装装置に対してフィーダの交換が可能なフィーダ交換装置と、を備える部品実装システムであって、
部品実装装置からフィーダが取り外された場合および部品実装装置にフィーダが装着された場合に、前記部品実装装置が保有するフィーダに関する情報を含むフィーダ保有情報を更新し、
作業者によって部品実装装置にフィーダが装着されて前記フィーダ保有情報が更新されたときに、前記フィーダ保有情報から取得される前記フィーダが装着されている位置とジョブ情報に従う正しい位置とが一致しているか否かに基づいて前記装着されたフィーダが正しい位置に装着されているか否かを判定し、正しい位置に装着されていないフィーダが存在すると判定した場合、前記フィーダ交換装置により、前記正しい位置に装着されていないフィーダが装着されているフィーダ保持部で部品を取り出して実装する実装動作中でないときに該フィーダを回収した後、回収したフィーダを前記正しい位置のフィーダ保持部で前記実装動作中でないときに前記正しい位置に装着することで、前記正しい位置に装着されていないフィーダを前記正しい位置に装着し直し、
前記フィーダが前記正しい位置に装着されると、前記フィーダ保有情報を更新する、
部品実装システム。
【請求項2】
フィーダを着脱可能に保持する複数のフィーダ保持部をそれぞれ有し該複数のフィーダ保持部の何れかに装着されたフィーダから部品を取り出して基板に実装する複数の部品実装装置と、前記複数の部品実装装置が並ぶラインに沿って移動し各部品実装装置に対してフィーダの交換が可能なフィーダ交換装置と、を備える部品実装システムであって、
部品実装装置からフィーダが取り外された場合および部品実装装置にフィーダが装着された場合に、前記部品実装装置が保有するフィーダに関する情報を含むフィーダ保有情報を更新し、
エラーが発生して動作を停止した部品実装装置の動作を再開させるための復旧作業のため作業者によって前記複数の部品実装装置に対して何れかのフィーダが一旦取り外され、前記復旧作業の終了後に、前記一旦取り外されたフィーダが再装着されて前記フィーダ保有情報が更新されたときに、前記フィーダ保有情報から取得される前記フィーダが装着されている位置とジョブ情報に従う正しい位置とが一致しているか否かに基づいて前記再装着されたフィーダが正しい位置に装着されたか否かを判定し、正しい位置に装着されていないフィーダが存在すると判定した場合、前記フィーダ交換装置により、前記正しい位置に装着されていないフィーダが装着されているフィーダ保持部で部品を取り出して実装する実装動作中でないときに該フィーダを回収した後、回収したフィーダを前記正しい位置のフィーダ保持部で前記実装動作中でないときに前記正しい位置に装着することで、前記正しい位置に装着されていないフィーダを前記正しい位置に装着し直し、
前記フィーダが前記正しい位置に装着されると、前記フィーダ保有情報を更新する、
部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装装置とフィーダ交換装置とを備える部品実装システムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィーダの並び替えを案内する部品実装装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この部品実装装置は、現状のフィーダの並び順と並べ替え後のフィーダの並び順とにおいて、部品採取ヘッドの移動の時間差または距離差を大きい順に表示装置に案内表示することで、作業者に対してフィーダの並び替えを促す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-51240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した部品実装装置は、フィーダの並び替えを表示装置に案内表示するものに過ぎず、作業者が手動により指定された位置にフィーダをセットしなければならない。このため、作業者は、誤った位置にフィーダをセットする場合も考えられる。
【0005】
本開示は、適正位置に装着されていないフィーダが存在する場合でも、自動的にフィーダを適正位置に装着し直すことができる部品実装システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示は、フィーダを着脱可能に保持する複数のフィーダ保持部をそれぞれ有し該複数のフィーダ保持部の何れかに装着されたフィーダから部品を取り出して基板に実装する複数の部品実装装置と、前記複数の部品実装装置が並ぶラインに沿って移動し各部品実装装置に対してフィーダの交換が可能なフィーダ交換装置と、を備える部品実装システムであって、前記複数の部品実装装置にそれぞれ装着されているフィーダの種類と配置とを取得して各フィーダが予め計画された適正位置に装着されているか否かを判定し、適正位置に装着されていないフィーダが存在すると判定した場合、前記フィーダ交換装置により適正位置に装着されていないフィーダを適正位置に装着し直すことを要旨とする。
【0008】
この本開示の部品実装システムは、複数の部品実装装置にそれぞれ装着されているフィーダの種類と配置とを取得して各フィーダが予め計画された適正位置に装着されているか否かを判定し、適正位置に装着されていないフィーダが存在すると判定した場合、フィーダ交換装置により適正位置に装着されていないフィーダを適正位置に装着し直す。これにより、部品実装システムは、作業者が誤った位置にフィーダを装着しても、あるいは意図的に適当な任意の位置にフィーダを装着しても、当該フィーダを自動的に正しい位置に装着し直すことができる。この結果、部品実装システムは、実装動作を続行できなかったり、実装効率が低下したりするのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の部品実装システム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】部品実装装置20の構成の概略を示す構成図である。
図3】フィーダ30の構成の概略を示す構成図である。
図4】フィーダ交換ロボット50の構成の概略を示す構成図である。
図5】部品実装装置10とフィーダ交換ロボット50と管理装置80の電気的な接続関係を示す説明図である。
図6】フィーダ保有情報88bの一例を示す説明図である。
図7】ジョブ情報88cの一例を示す説明図である。
図8】管理制御装置82により実行されるフィーダ装着適否判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9】ロボット制御装置58により実行されるフィーダ交換処理の一例を示すフローチャートである。
図10】変形例のフィーダ交換処理を示すフローチャートである。
図11】変形例のフィーダ交換処理を示すフローチャートである。
図12】管理制御装置82により実行される実装順序調整処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の部品実装システム10の構成の概略を示す構成図である。図2は、部品実装装置20の構成の概略を示す構成図である。図3は、フィーダ30の構成の概略を示す構成図である。図4は、フィーダ交換ロボット50の構成の概略を示す構成図である。図5は、部品実装装置10とフィーダ交換ロボット50と管理装置80の電気的な接続関係を示す説明図である。なお、図1,2中、左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
部品実装システム10は、図1に示すように、印刷装置12と、印刷検査装置14と、複数の部品実装装置20と、実装検査装置(図示せず)と、フィーダ交換ロボット50と、フィーダ保管庫60と、システム全体を管理する管理装置80と、を備える。印刷装置12は、基板S上にはんだを印刷する。印刷検査装置14は、印刷装置12で印刷されたはんだの状態を検査する。部品実装装置20は、基板Sの搬送方向(X軸方向)に沿って整列され、フィーダ30から供給された部品を基板Sに実装する。実装検査装置は、部品実装装置20で実装された部品の実装状態を検査する。印刷装置12と印刷検査装置14と部品実装装置20と実装検査装置は、この順番で基板Sの搬送方向に並べて設置されて生産ラインを構成する。フィーダ交換ロボット50は、生産ラインに沿って移動可能であり、複数の部品実装装置20に対して必要なフィーダ30を補給したり部品実装装置20から使用済みのフィーダ30を回収したりする。フィーダ保管庫60は、生産ライン内に組み込まれ、部品実装装置20において使用予定のフィーダ30や使用済みのフィーダ30を保管する。
【0013】
部品実装装置20は、図2に示すように、基板Sを左から右へと搬送する基板搬送装置23と、フィーダ30が供給した部品を吸着する吸着ノズルを有するヘッド24と、ヘッド24を前後方向および左右方向(XY方向)に移動させるヘッド移動機構25と、装置全体を制御する実装制御装置28(図5参照)と、を備える。また、部品実装装置20は、この他に、マークカメラ26やパーツカメラ27などを備える。マークカメラ26は、ヘッド24に取り付けられ、基板Sに付された基準マークを上方から撮像する。パーツカメラ27は、フィーダ30と基板搬送装置23との間に設置され、部品を吸着した吸着ノズルがパーツカメラ27の上方を通過する際に部品を下方から撮像する。実装制御装置28は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成される。実装制御装置28には、マークカメラ26やパーツカメラ27からの画像信号が入力される。実装制御装置28は、例えば、マークカメラ26で撮像された基板Sの画像を処理して基板Sに付された図示しない基板マークの位置を認識することにより基板Sの位置を認識する。また、実装制御装置28は、パーツカメラ27で撮像された画像に基づいて吸着ノズルに部品が吸着されているか否か(吸着ミスの有無)を判定したり、その部品の吸着位置や吸着姿勢を判定したりする。また、実装制御装置28からは、基板搬送装置23やヘッド24、ヘッド移動機構25などに駆動信号を出力する。
【0014】
フィーダ30は、テープフィーダであり、図3に示すように、テープリール32と、テープ送り機構33と、コネクタ35と、レール部材37と、供給制御装置38(図5参照)と、を備える。テープリール32は、テープが巻回されている。テープは、その長手方向に沿って所定間隔置きに凹部が形成されており、各凹部には、部品が収容されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。テープ送り機構33は、テープをテープリール32から送り出すものである。フィーダ30は、テープ送り機構33を駆動してテープを後方へ所定量ずつ送ることにより、テープに収容された部品を順次、部品供給位置へと供給する。テープに収容された部品は、部品供給位置の手前でフィルムが剥がされることで部品供給位置にて露出した状態となり、吸着ノズルにより吸着される。コネクタ35は、取付方向に突出する2本の位置決めピン34を有する。レール部材37は、フィーダ30の下端に設けられ、取付方向に延びている。供給制御装置38は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、テープ送り機構33に駆動信号を出力する。また、供給制御装置38は、コネクタ35を介してフィーダ30の取付先の制御部(実装制御装置28や管理制御装置82など)と通信可能となっている。
【0015】
フィーダ30は、図2に示すように、部品実装装置20の前面に設けられたフィーダ台40に着脱可能に保持される。フィーダ台40は、X軸方向に複数配列され、フィーダ30がX軸方向に並ぶように取り付けられる。フィーダ台40は、側面視がL字状の台であり、スロット42と、2つの位置決め穴44と、コネクタ45と、を備える。スロット42には、フィーダ30のレール部材37が挿入される。2つの位置決め穴44には、フィーダ30の2本の位置決めピン34が挿入され、フィーダ30がフィーダ台40に位置決めされる。コネクタ45は、2つの位置決め穴44の間に設けられ、フィーダ30のコネクタ35が接続される。
【0016】
フィーダ交換ロボット50は、複数の部品実装装置20の前面およびフィーダ保管庫60の前面に基板の搬送方向(X軸方向)に対して平行に設けられたX軸レール16に沿って移動可能となっている。なお、図2では、X軸レール16の図示を省略した。
【0017】
フィーダ交換ロボット50は、図4に示すように、ロボット移動機構51と、フィーダ移載機構53と、エンコーダ57(図5参照)と、左右の監視センサ58L,58R(図5参照)と、ロボット制御装置58(図5参照)と、を備える。ロボット移動機構51は、X軸レール16に沿ってフィーダ交換ロボット50を移動させるものであり、駆動用ベルトを駆動するX軸モータ52a(サーボモータ)と、X軸レール16に沿ったフィーダ交換ロボット50の移動をガイドするガイドローラ52bと、を備える。フィーダ移載機構53は、フィーダ30を部品実装装置20やフィーダ保管庫60との間で移載するものであり、フィーダ30をクランプするクランプ部54と、クランプ部54をY軸ガイドレール55bに沿って移動させるY軸スライダ55と、を備える。Y軸スライダ55は、Y軸モータ55aの駆動によりクランプ部54を前後方向(Y軸方向)に移動させる。エンコーダ57は、フィーダ交換ロボット50の左右方向(X軸方向)の移動位置を検出する。監視センサ58L,58Rは、干渉物(作業者)の有無を監視するものであり、例えば赤外線センサにより構成される。左の監視センサ58Lは、フィーダ交換ロボット50の左側(基板Sの搬送方向とは逆側)に取り付けられている。また、右の管理センサ58Rは、フィーダ交換ロボット50の右側(基板Sの搬送方向と同側)に取り付けられている。ロボット制御装置58は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、エンコーダ57や監視センサ58L,58Rから検知信号を入力し、ロボット移動機構51(X軸モータ52a)やフィーダ移載機構53(クランプ部54およびY軸モータ55a)に駆動信号を出力する。
【0018】
ロボット制御装置58は、フィーダ交換ロボット50内のフィーダ30を部品実装装置20に取り付ける場合、まず、X軸モータ52aを制御してフィーダ30を取り付けるべき部品実装装置20のフィーダ台40と向かい合う位置までフィーダ交換ロボット50を移動させる。次に、ロボット制御装置58は、クランプ部54にフィーダ30をクランプさせる。そして、ロボット制御装置58は、Y軸モータ55aを制御してY軸スライダ55を後方(部品実装装置20側)へ移動させて、フィーダ30のレール部材37をフィーダ交換ロボット50が向かい合うフィーダ台40のスロット42に挿入し、クランプ部54にフィーダ30のクランプを解除させる。これにより、フィーダ30は、部品実装装置20のフィーダ台40に取り付けられる。
【0019】
ロボット制御装置58は、フィーダ30を部品実装装置20から取り外してフィーダ交換ロボット50内に回収する場合、まず、X軸モータ52aを制御して回収すべきフィーダ30が取り付けられた部品実装装置20のフィーダ台40と向かい合う位置までフィーダ交換ロボット50を移動させる。次に、ロボット制御装置58は、フィーダ交換ロボット50と向かい合うフィーダ台40に取り付けられているフィーダ30をクランプ部54にクランプさせる。そして、ロボット制御装置58は、Y軸モータ55aを制御してY軸スライダ55を前方(フィーダ交換ロボット50側)へ移動させる。これにより、フィーダ30は、フィーダ台40から取り外されて、フィーダ交換ロボット50内に回収される。
【0020】
フィーダ保管庫60は、複数のフィーダ30を収容するために、部品実装装置20に設けられるフィーダ台40と同じ構成のフィーダ台40が左右方向(X軸方向)に複数配列されている。また、フィーダ保管庫60のフィーダ台40は、部品実装装置20のフィーダ台40と同じ高さ(Z軸方向位置)に設けられている。このため、フィーダ交換ロボット50は、フィーダ保管庫60と向かい合う位置において、部品実装装置20のフィーダ台40に対してフィーダ30を着脱するのと同じ動作で、フィーダ保管庫60のフィーダ台40に対してフィーダ30を着脱することができる。
【0021】
管理装置80は、汎用のコンピュータであり、図5に示すように、管理制御装置82と、キーボードやマウスなどの入力デバイス84と、ディスプレイ86と、記憶装置88と、を備える。管理制御装置82は、CPUやROM,RAMなどで構成され、入力デバイス84とディスプレイ86と記憶装置88とが電気的に接続されている。記憶装置88は、HDDやSSDであり、生産プログラム88aやフィーダ保有情報88b、ジョブ情報88c、ステータス情報88dなどが記憶されている。ここで、生産プログラム88aは、各部品実装機10において、どの基板Sにどの部品をどの順番で実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかなどを定めたプログラムである。また、フィーダ保有情報88bは、各部品実装装置20やフィーダ保管庫60が保有するフィーダ30に関する情報である。図6は、フィーダ保有情報88bの一例を示す説明図である。フィーダ保有情報88bには、図示するように、各フィーダ30が装着されているフィーダ台40の番号(スロット番号)や各フィーダ30の識別情報(フィーダID)、各フィーダ30が保有する部品の種類(部品種)、部品の残量(部品残量)などが含まれる。また、ジョブ情報88cは、各部品実装装置20に対する実装指示に関する情報である。図7は、ジョブ情報88cの一例を示す説明図である。ジョブ情報88cには、図示するように、実装すべき部品の実装順序や部品種、部品の実装位置、部品を保有するフィーダ30の識別情報(フィーダID)、フィーダ30が装着されるべきフィーダ台40の番号(適正スロット番号)などが含まれる。適性スロット番号は、各部品実装装置20が効率良く部品を取り出して実装するための各フィーダ30の適性装着位置である。ステータス情報88dは、各部品実装装置20ごとの動作状況を示す情報であり、基板搬入中や基板搬出中、実装動作中(吸着動作中を含む)、エラー停止中などのステータスが含まれる。
【0022】
管理装置80は、実装制御装置28と有線により通信可能に接続され、各部品実装装置20と各種情報のやり取りを行なう。管理装置80は、各部品実装装置20から動作状況を受信してステータス情報88dを最新の情報に更新する。また、管理装置80は、各部品実装装置20のフィーダ台40に取り付けられたフィーダ30の供給制御装置38と実装制御装置28を介して通信可能に接続される。管理装置80は、フィーダ30が部品実装装置20から取り外されたり、新たなフィーダ30が部品実装装置20に取り付けられたりしたときに、対応する部品実装装置20から着脱状況を受信してフィーダ保有情報88bを最新の情報に更新する。さらに、管理装置80は、ロボット制御装置58と無線により通信可能に接続され、フィーダ交換ロボット50と各種情報のやり取りを行なう。また、管理装置80は、この他、印刷装置12や印刷検査装置14、実装検査装置の各制御装置とも通信可能に接続され、対応する機器からの各種情報のやり取りも行なう。管理装置80は、記憶装置88に記憶しているジョブ情報88cや各部品実装装置20の実装制御装置28から受信される実装状況などに基づいて段取り替え発生の有無を判定し、段取り替えが発生したと判定すると、段取り替えの指示をロボット制御装置58に送信する。また、管理装置80は、実装制御装置28からエラー情報を受信すると、エラーが発生した旨をディスプレイ84に出力して作業者に報知したり、その旨をロボット制御装置58に送信したりする。
【0023】
また、管理装置80は、フィーダ保管庫60の管理も行なう。管理装置80は、フィーダ保管庫60のフィーダ台40に取り付けられたフィーダ30の供給制御装置38と通信可能に接続される。管理装置80は、フィーダ30がフィーダ保管庫60から取り外されたり、新たなフィーダ30がフィーダ保管庫60に取り付けられたりしたときに、フィーダ保有情報88bを最新の情報に更新する。
【0024】
こうして構成された部品実装システム10の動作について説明する。まず、フィーダ交換ロボット50を用いたフィーダ30の自動交換動作について説明する。ロボット制御装置58は、段取り替えの指示(ジョブ情報88c)を管理装置80から受信し、次の実装動作に不要な部品を収容したフィーダ30を各部品実装装置20から取り外してフィーダ保管庫60に取り付け、次の実装動作に必要な部品を収容したフィーダ30をフィーダ保管庫60から取り外して各部品実装装置20に取り付ける。また、ロボット制御装置58は、各部品実装装置20に取り付けられているフィーダ30の部品切れ情報(部品残量が値0)を各部品実装装置20から管理装置80を介して受信し、そのフィーダ30を部品実装装置20から取り外してフィーダ保管庫60に取り付けると共に、同じ種類の部品を収容したフィーダ30をフィーダ保管庫60から取り外して部品供給装置20に取り付ける。
【0025】
このように、各部品実装装置20へのフィーダ30の装着は、基本的には、フィーダ交換ロボット50によって行なわれる。このため、全てのフィーダ30は、ジョブ情報88cに従って正しい位置(適正スロット番号)に装着されているはずである。しかしながら、例えば、エラーが発生して部品実装装置20が動作を停止すると、作業者は、エラーの原因を除去して部品実装装置20の動作を再開させるための復旧作業が必要となる。この際、作業者は、復旧作業の間、部品実装装置20に装着されているフィーダ30を一旦取り外し、復旧作業の終了後に、フィーダ30を再装着する場合がある。この場合、部品実装装置20は、フィーダ30が正しい位置に装着されないと、動作を再開できなかったり、動作の効率が低下したりする。
【0026】
図8は、管理制御装置82により実行されるフィーダ装着適否判定処理の一例を示すフローチャートである。フィーダ装着適否判定処理は、作業者によって部品実装装置20に対してフィーダ30が装着されたときに、そのフィーダ30が正しい位置(適正スロット番号)に装着されたか否かを判定するものである。このフィーダ装着適否判定処理は、フィーダ保有情報88bが更新されたときに実行される。
【0027】
フィーダ装着適否判定処理が実行されると、管理制御装置82は、まず、各部品実装装置20に装着されている全てのフィーダ30の中から今回の判定対象となる判定対象フィーダ(フィーダID)を決定し(S100)、判定対象フィーダが装着されているスロット番号(現スロット番号)をフィーダ保有情報88bから取得する(S110)。次に、管理制御装置82は、判定対象フィーダの正しいスロット番号(適正スロット番号)をジョブ情報88cから取得する(S120)。続いて、管理制御装置82は、判定対象フィーダの現スロット番号と適正スロット番号とが一致するか否かを判定する(S130)。管理制御装置82は、判定対象フィーダの現スロット番号と適正スロット番号とが一致すると判定すると、S160に進む。一方、管理制御装置82は、判定対象フィーダの現スロット番号と適正スロット番号とが一致しないと判定すると、現スロット番号を交換元スロット番号に設定すると共に適正スロット番号を交換先スロット番号に設定し(S140)、設定した交換元スロット番号と交換先スロット番号とを指定してフィーダ交換ロボット50のロボット制御装置58にフィーダ30の交換を指示する指示信号を送信する(S150)。そして、管理制御装置82は、全てのフィーダ30の装着適否の判定が完了したか否かを判定し(S160)、判定が完了していないと判定すると、S100に戻ってS100~S150の処理を繰り返し、判定が完了したと判定すると、これでフィーダ装着適否判定処理を終了する。
【0028】
図9は、ロボット制御装置58により実行されるフィーダ交換処理の一例を示すフローチャートである。フィーダ交換処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。フィーダ交換処理が実行されると、ロボット制御装置58は、まず、フィーダ交換の指示信号を管理制御装置82から受信したか否かを判定する(S200)。ロボット制御装置58は、フィーダ交換の指示信号を受信していないと判定すると、そのままフィーダ交換処理を終了する。一方、ロボット制御装置58は、フィーダ交換の指示信号を受信したと判定すると、フィーダ交換ロボット50が交換元スロット番号のフィーダ台40に向かい合う位置まで移動するようロボット移動機構51(X軸モータ52a)を制御する(S210)。続いて、ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20(交換元スロット番号のフィーダ台40がある部品実装装置20)のステータス情報を取得し(S220)、該当する部品実装装置20が基板搬入中であるか基板搬出中であるかを判定する(S230)。ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20が基板搬入中でも基板搬出中でもないと判定すると、S220に戻る。一方、ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20が基板搬入中であると判定するか、基板搬出中であると判定すると、交換元スロット番号のフィーダ台40に装着されているフィーダ30を回収するようフィーダ移載機構53を制御する(S240)。
【0029】
次に、ロボット制御装置58は、フィーダ交換ロボット50が交換先スロット番号のフィーダ台40に向かい合う位置まで移動するようロボット移動機構51(X軸モータ52a)を制御する(S250)。続いて、ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20(交換先スロット番号のフィーダ台40がある部品実装装置20)のステータス情報を取得し(S260)、該当する部品実装装置20が基板搬入中であるか基板搬出中であるかを判定する(S270)。ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20が基板搬入中でも基板搬出中でもないと判定すると、S260に戻る。一方、ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20が基板搬入中であると判定するか、基板搬出中であると判定すると、交換先スロット番号のフィーダ台40にフィーダ30を装着するようフィーダ移載機構53を制御して(S280)、フィーダ交換処理を終了する。ここで、ロボット制御装置58は、交換先スロット番号のフィーダ台40に別のフィーダ30が装着されている場合、別のフィーダ30をフィーダ交換ロボット50の空き領域に回収した後、本来装着させるべきフィーダ30を交換先スロット番号のフィーダ台40に装着する。交換先スロット番号のフィーダ台40に別のフィーダ30が装着されている場合、上述したフィーダ装着適否判定処理において、別のフィーダ30は、正しいフィーダ台40に装着されていないと判定される。このため、ロボット制御装置58は、別のフィーダ30の正しいフィーダ台40に向かい合う位置にフィーダ交換ロボット50を移動し、回収した別のフィーダ30を正しいフィーダ台40に装着する動作も行なう。
【0030】
ここで、実施形態の主要な要素と請求の範囲の欄に記載した主要な要素との対応関係について説明する。即ち、フィーダ30がフィーダに相当し、フィーダ台40がフィーダ保持部に相当し、部品実装装置20が部品実装装置に相当し、フィーダ交換ロボット50がフィーダ交換装置に相当する。
【0031】
以上説明した実施形態の部品実装システム10は、複数の部品実装装置20にそれぞれ装着されているフィーダ30の種類(フィーダID)と配置(スロット番号)とを取得して各フィーダ30が予め計画された位置(適正スロット番号)に装着されているか否かを判定し、適正位置に装着されていないフィーダ30が存在すると判定した場合、フィーダ交換ロボット50により適正位置に装着されていないフィーダ30を適正位置に装着し直す。これにより、部品実装システム10は、作業者が誤った位置にフィーダ30を装着しても、あるいは意図的に適当な任意の位置にフィーダ30を装着しても、当該フィーダ30を自動的に正しい位置に装着し直すことができる。この結果、部品実装システム10は、実装動作を続行できなかったり、実装効率が低下したりするのを回避することができる。
【0032】
また、実施形態の部品実装システム10は、適正位置に装着されていないフィーダ30が存在すると判定した場合、該当する部品実装装置20の基板搬入中または基板搬出中に、フィーダ交換ロボット50により適正位置に装着されていないフィーダ30を適正位置に装着し直す。部品実装装置20は、基板搬入中と基板搬出中には、ヘッド24(ヘッド移動機構25)の動作を停止している。したがって、部品実装システム10は、該当する部品実装装置20のヘッド24(ヘッド移動機構25)の動作中にフィーダ30が交換されないようにして、実装動作(吸着動作)とフィーダ30の交換動作とが重なることに基づく部品吸着ミス等のエラーの発生を回避することができる。
【0033】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20の基板搬入中または基板搬出中に、交換元スロット番号のフィーダ台40からフィーダ30を回収し或いは交換先スロット番号のフィーダ台40にフィーダ40を装着するものとした。しかし、ロボット制御装置58は、該当する部品実装装置20がエラー停止している最中に、交換元スロット番号のフィーダ台40からフィーダ30を回収し或いは交換先スロット番号のフィーダ台40にフィーダ40を装着するものとしてもよい。図10は、変形例のフィーダ交換処理を示すフローチャートである。図10の変形例のフィーダ交換処理は、S230,S270に代えてエラー停止中か否かを判定する処理(S230B,S270B)を実行する点が図9のフィーダ交換処理と異なる。これにより、部品実装システム10は、該当する部品実装装置20のヘッド24(ヘッド移動機構25)の動作中にフィーダ30が交換されないようにして、実装動作(吸着動作)とフィーダ30の交換動作とが重なることに基づく部品吸着ミス等のエラーの発生を回避することができる。なお、この変形例では、ロボット制御装置58は、S230,S230Bの何れか一方が成立しているときに交換元スロット番号のフィーダ台40からフィーダ30を回収してもよいし、S270,S270Bの何れか一方が成立しているときに交換先スロット番号のフィーダ台40にフィーダ40を装着するものとしてもよい。
【0035】
また、ロボット制御装置58は、交換元スロット番号のフィーダ台40と交換先スロット番号のフィーダ台40とが同じ部品実装機20にあり且つこれら以外のフィーダ台40に装着されているフィーダ30で実装動作(吸着動作)が実行中でも、交換元スロット番号のフィーダ台40からフィーダ30を回収し或いは交換先スロット番号のフィーダ台40にフィーダ40を装着するものとしてもよい。図11は、変形例のフィーダ交換処理を示すフローチャートである。図11のフィーダ交換処理は、S230に代えて交換元スロット番号のフィーダ台40以外のフィーダ台40で実装動作(吸着動作を含む)中であるか否かを判定し(S230C)、S270に代えて交換先スロット番号のフィーダ台40以外のフィーダ台40で実装動作(吸着動作を含む)中であるか否かを判定する(S270C)点が図9のフィーダ交換処理と異なる。これにより、部品実装システム10は、実装動作(吸着動作)中のフィーダ30が交換されないようにして、吸着動作とフィーダ30の交換動作とが重なることに基づく部品吸着ミス等のエラーの発生を回避することができる。なお、この変形例では、ロボット制御装置58は、S230,S230B,S230Cの何れか一つが成立しているときに交換元スロット番号のフィーダ台40からフィーダ30を回収してもよいし、S270,S270B,S270Cの何れか一つが成立しているときに交換先スロット番号のフィーダ台40にフィーダ40を装着するものとしてもよい。また、この場合、管理制御装置82は、該当する部品実装装置20の実装順序を変更してもよい。図12は、管理制御装置82により実行される実装順序調整処理の一例を示すフローチャートである。実装順序調整処理では、管理制御装置82は、各部品実装装置20において適正スロット番号のフィーダ台40に装着されているフィーダ30と適正スロット番号のフィーダ台40に装着されていないフィーダ30とが存在するか否かを判定する(S300)。管理制御装置82は、何れの部品実装装置20においても、全てのフィーダ30が適正スロット番号のフィーダ台40に装着されていると判定したり、全てのフィーダ30が適正スロット番号のフィーダ台40に装着されていないと判定すると、そのまま実装順序調整処理を終了する。一方、管理制御装置82は、何れかの部品実装装置20において適正スロット番号のフィーダ台40に装着されているフィーダ30と適正スロット番号のフィーダ台40に装着されていないフィーダ30とが存在すると判定すると、該当する部品実装装置20の実装順序をジョブ情報88cから取得する(S310)。そして、管理制御装置82は、適正スロット番号のフィーダ台40に装着されていないフィーダ30の実装順序を最後尾に変更して(S320)、実装順序調整処理を終了する。これにより、部品実装装置20は、適正スロット番号のフィーダ台40に装着されているフィーダ30から優先して部品を取り出して基板Sに実装することができる。そして、フィーダ交換ロボット50は、部品実装装置20が適正スロット番号のフィーダ台40に装着されているフィーダ30を優先して実装動作(吸着動作)を行なっている間に、フィーダ30をその適正スロット番号のフィーダ台40に装着し直すことができる。
【0036】
上述した実施形態では、フィーダ装着適否判定処理を、管理制御装置82が実行するものとした。しかし、フィーダ装着適否判定処理を、各部品実装装置20が実行してもよいし、フィーダ交換ロボット50が実行してもよい。なお、フィーダ装着適否判定処理を各部品実装装置20が実行する場合、ロボット制御装置58は、管理装置80を介さずに、各部品実装装置20の実装制御装置28と直接に通信可能に構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本開示は、部品実装システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 部品実装システム、12 印刷装置、14 印刷検査装置、16 X軸レール、20 部品実装装置、23 基板搬送装置、24 ヘッド、25 ヘッド移動機構、26 マークカメラ、27 パーツカメラ、29 実装制御装置、30 フィーダ、32 テープリール、33 テープ送り機構、34 位置決めピン、35 コネクタ、37 レール部材、39 フィーダ制御装置、40 フィーダ台、42 スロット、44 位置決め穴、45 コネクタ、50 フィーダ交換ロボット、51 ロボット移動機構、52a X軸モータ、52b ガイドローラ、53 フィーダ移載機構、54 クランプ部、55a Y軸モータ、55b Y軸ガイドレール、57 エンコーダ、58L,58R 監視センサ、59 ロボット制御装置、60 フィーダ保管庫、80 管理装置、82 管理制御部、84 入力デバイス、86 ディスプレイ、88 記憶部、88a 生産プログラム、88b フィーダ保有情報、88c ジョブ情報、88d ステータス情報、S 基板。
図1
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図5
図6
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図12