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  • 特許-再構成可能な巻き付け機構 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】再構成可能な巻き付け機構
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/18 20060101AFI20231221BHJP
   A24C 5/01 20200101ALI20231221BHJP
【FI】
A24C5/18
A24C5/01
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021503093
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070676
(87)【国際公開番号】W WO2020025699
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】18187364.7
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】シラーニ フォルナシーニ マウロ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00574861(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第03320788(EP,A1)
【文献】実開昭50-003000(JP,U)
【文献】特開昭58-081774(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010051894(DE,A1)
【文献】特開平11-069964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 1/00- 5/60
A24D 1/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアをウェブ材料内に巻くことによって実質的に円筒状の巻かれた要素を形成するための巻き付け機構の中のガルニチュールベッドを再構成する方法であって、前記巻き付け機構が、前記ウェブ材料を乗せるための細長い形成チャネル長さに沿って延びる搬送ベルトを支持するための前記細長い形成チャネルを有する再構成可能なガルニチュールベッドを備え、かつ前記細長い形成チャネルが細長い開放側を有し、
前記ガルニチュールベッドが、基部部材と、前記細長い形成チャネルが提供された、かつ前記基部部材に取り外し可能に接続された交換可能な形成チャネルライナーとを備え、
前記方法が、前記形成チャネルライナーを取り外すこと、および交換することを含み、
前記交換可能な形成チャネルライナーが、摩耗した前記搬送ベルトを補うように形作られている別の交換可能な形成チャネルライナーと交換される、方法。
【請求項2】
前記ガルニチュールベッドの再構成が、形成チャネルのサイズの変更を提供することを含む、請求項1に記載のガルニチュールベッドを再構成する方法。
【請求項3】
前記巻き付け機構が、
‐前記ウェブ材料内に巻かれたコア、コア、およびウェブ材料のうちの少なくとも一つに摺動可能に接触するために、前記細長い形成チャネルの前記細長い開放側に隣接して提供された、かつこれに沿って延びる細長いシュー、を備え、
前記方法が、
‐前記細長いシューが、前記細長い形成チャネルの長さに対して横断方向の前記ガルニチュールベッドに向かう移動のために構成されていることと、
‐前記ガルニチュールベッドが、前記細長い形成チャネルの長さに対して横断方向の前記細長いシューに向かう移動のために構成されていることと、のうちの一方または両方を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガルニチュールベッドまたは前記搬送ベルトのうちの一つ以上の完全な取り外しを必要とすることのない前記ガルニチュールベッドの再構成の工程をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のガルニチュールベッドを再構成する方法。
【請求項5】
前記シューの完全な取り外しを必要とすることのない前記ガルニチュールベッド再構成の工程をさらに含む、請求項3に記載のガルニチュールベッドを再構成する方法。
【請求項6】
前記交換可能な形成チャネルライナーが別の交換可能な形成チャネルライナーと交換され、かつ前記搬送ベルトがさらに使用されうる、前記ガルニチュールベッドの再構成の工程をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のガルニチュールベッドを再構成する方法。
【請求項7】
前記交換可能な形成チャネルライナーが、より小さい直径形成チャネルを有する別の交換可能な形成チャネルライナーと交換される、請求項1~6のいずれかに記載のガルニチュールベッドを再構成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再構成可能な巻き付け機構、巻き付け機構の再構成の方法、および再構成可能な巻き付け機構の使用方法に関し、より具体的には、エアロゾル発生物品用のロッドの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、エアロゾル発生装置の発熱体によって加熱された時に吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体を含みうるエアロゾル発生物品の製造のための機器に関する。本明細書はまた、エアロゾル発生物品の製造のための機器の使用方法および再構成の方法にも関する。
【0003】
巻かれたロッドは、例えばエアロゾル形成基体、支持要素、エアロゾル冷却要素、およびマウスピースのうちのいずれかである、エアロゾル発生物品の製造において形成される。
【0004】
巻かれたロッドは、巻き付け材料のウェブおよびコアを「ガルニチュール」として知られる組立品を通過させることによって形成されてもよく、ここでウェブはコアの周りに巻かれ、かつ密封される。ガルニチュール組立品は、その長さに沿って延びる開放側を有する細長い形成チャネルと、また形成チャネルの凹状表面に沿って、開放側の少なくとも一部に近接して位置付けられたシューと、形成チャネルを通して駆動されるベルトとを有する。ウェブは、ベルト上に乗せられ、またコアがベルト上に位置付けられた状態で形成チャネルを通して引き出される。形成チャネルおよびシューは、コアの周りにウェブを巻くために協働し、ガルニチュールの少なくとも一部は、シューとベルトと形成チャネルとの間に概して円筒状のチャネルを形成する。発熱体は、巻かれたウェブの重複部分の間の接着剤を熱硬化させるために、シューの一部に提供されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用時に、ベルトおよび形成チャネルは各々、摩耗した状態になり、これは製造される巻かれたロッドのサイズを不必要に増大する。製造品質を維持するためには、摩耗したベルトおよび摩耗した形成チャネル組立品を交換する必要があり、製造プロセスに追加コストをもたらし、製造効率を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様によると、コアをウェブ材料内に巻くことによって実質的に円筒状の巻かれた要素を形成するための再構成可能な巻き付け機構が提供されていて、ウェブ材料を乗せるための細長い形成チャネルの長さに沿って延びる搬送ベルトを支持するための細長い形成チャネルを有する再構成可能なガルニチュールベッドを備え、また細長い形成チャネルは細長い開放側を有する。
【0007】
第二の態様によると、コアをウェブ材料内に巻くことによって実質的に円筒状の巻かれた要素を形成するための巻き付け機構の中のガルニチュールベッドを再構成する方法が提供されていて、巻き付け機構は、ウェブ材料を乗せるための細長い形成チャネルの長さに沿って延びる搬送ベルトを支持するための細長い形成チャネルを有する再構成可能なガルニチュールベッドを備え、細長い形成チャネルは細長い開放側を有し、
ガルニチュールベッドは、基部部材と、細長い形成チャネルが提供された、かつ基部部材に取り外し可能に接続された交換可能な形成チャネルライナーとを備え、方法は形成チャネルライナーを取り外すこと、および交換することを含む。
【0008】
好ましい実施形態において、交換可能な形成チャネルライナーは、少なくとも部分的に搬送ベルトを支持する。
【0009】
第三の態様によると、実質的に円筒状の巻かれた要素を製造する方法が提供されていて、巻き付け機構は、
‐ウェブ材料を乗せるための細長い形成チャネルの長さに沿って延びる搬送ベルトを支持するための細長い形成チャネルを有する再構成可能なガルニチュールベッドであって、細長い形成チャネルが細長い開放側を有する、再構成可能なガルニチュールベッドと、
‐細長い形成チャネルの長さに沿って延びる搬送ベルトと、
‐細長い形成チャネルの長さに沿って搬送ベルトを駆動するための駆動機構と、を備え、
方法は、
‐駆動機構を用いて、細長い形成チャネルに沿って搬送ベルトおよび乗せられたウェブ材料を駆動することと、
‐乗せられたウェブ材料上にコアを受容することと、
‐コアをウェブ材料内に巻くことと、を含む。
【0010】
ガルニチュールベッドは、
‐基部部材と、
‐細長い形成チャネルが提供された、かつ基部部材に取り外し可能に接続された交換可能な形成チャネルライナーと、を備える。
【0011】
巻き付け機構は、巻かれたコア、コア、およびウェブ材料のうちの少なくとも一つと摺動可能に接触するために、細長い形成チャネルの細長い開放側に隣接して提供された、かつそれに沿って延びる細長いシューを備えてもよい。
【0012】
巻き付け機構は、
‐細長いシューが、細長い形成チャネルの長さに対して横断方向のガルニチュールベッドに向かう移動のために構成されていることと、
‐ガルニチュールベッドが、細長い形成チャネルの長さに対して横断方向の細長いシューに向かう移動のために構成されていることと、のうちの一つまたは両方を含んでもよい。
【0013】
巻き付け機構は、ウェブ材料を乗せるために細長い形成チャネルの長さに沿って延びる搬送ベルトを備えてもよい。
【0014】
巻き付け機構は、細長い形成チャネルの長さに沿って搬送ベルトを駆動するための駆動機構を備えてもよい。
【0015】
巻き付け機構は、
‐巻かれたコア、コア、およびウェブ材料のうちの少なくとも一つに摺動可能に接触するために、細長い形成チャネルの細長い開放側に隣接して提供された、かつそれに沿って延びる細長いシューを備えてもよく、また、
方法は、
‐細長いシューが、細長い形成チャネルの長さに対して横断方向のガルニチュールベッドに向かう移動のために構成されていることと、
‐ガルニチュールベッドが、細長い形成チャネルの長さに対して横断方向の細長いシューに向かう移動のために構成されていることと、のうちの一つまたは両方を含んでもよい。
【0016】
方法は、より狭い形成チャネルを提供するための、ガルニチュールベッドの再構成を含んでもよい。
【0017】
巻き付け機構は、ウェブ材料を乗せるための細長い形成チャネルの長さに沿って延びる搬送ベルトを備えてもよく、また方法は、より幅広の形成チャネルを提供するためのガルニチュールベッドの再構成を含んでもよく、かつ方法は搬送ベルトの交換をさらに含んでもよい。
【0018】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダーであってもよい。
【0019】
エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であることが好ましい。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なニコチン含有エアロゾルを発生する喫煙物品であることがより好ましい。
【0020】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に伴い放出することができる基体を記述するために使用される。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0021】
エアロゾル形成基体は、折り畳まれたウェブ(ひだのあるウェブとも呼ばれる)として形成されてもよい。折り畳まれたウェブは、均質化したたばこ材料、例えばTCL(たばこキャストリーフ)であってもよいがこれに限定されず、またラッピングペーパー内に巻かれている。
【0022】
本明細書で使用される「エアロゾル冷却要素」という用語は、大きい表面積および低い引き出し抵抗を有する要素を記述するために使用される。使用時に、エアロゾル形成基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、ユーザーによって吸入される前にエアロゾル冷却要素を通り過ぎ、かつエアロゾル冷却要素によって冷却される。引き出し抵抗が高いフィルターおよびその他のマウスピースとは対照的に、エアロゾル冷却要素は低い引き出し抵抗を有する。エアロゾル発生物品内のチャンバーおよび空洞はまた、エアロゾル冷却要素であるとは見なされない。
【0023】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダーであってもよい。
【0024】
ラッパーはフィルターペーパーのラッパーであってもよい。外側ラッパーはシガレットペーパーであることが好ましい。しかしながら、これは必須ではなく、またエアロゾル発生物品の要素は、他の外側ラッパーによって囲まれてもよい。
【0025】
本明細書で使用される「形成チャネル」という用語は、ウェブ材料およびコアがチャネルに沿って通るにつれて、コアの周りにウェブ材料を巻くためのチャネルを記述するために使用される。ウェブ材料がコアの周りに徐々に巻かれる形成チャネルの少なくとも入口部分は使用時に、下流端に向かって減少する曲率半径を有する。上流端にて、使用時にチャネルは実質的に平坦であってもよく、または大きい曲率半径を有してもよく、ここで巻かれていない材料が形成チャネルの中に導入される。形成チャネルの少なくとも出口部分は下流端に向かって開き、例えば下流端に向かって増大する曲率半径を有し、また下流端にて平坦になってもよい。
【0026】
本明細書で使用される「再構成可能なガルニチュールベッド」という用語は、形成チャネルまたは形成チャネルの長さの一部分を提供する複合構造を記述するために使用され、これは摩耗、他の部品の交換、またはその両方を補うために修正される場合がある。複合構造の部品のうちの一つは、形成チャネルの長さと直角を成す形成チャネルの全表面を提供しうる。別の方法として、複数の部品は各々、形成チャネルの長さと直角を成す形成チャネルの全表面の一部を提供してもよい。
【0027】
本明細書で使用される「再構成」は、迅速に実施されうる修正を記述するために使用される。ガルニチュールベッドの再構成のための、交換可能な形成チャネルライナーの取り外しは、2本以下の固定ねじまたは固定ボルトの取り外しを必要とする場合がある。
【0028】
ガルニチュールベッドの再構成は、形成チャネルのサイズを変更すること、例えばより狭いまたはより幅広の形成チャネルを提供するためにガルニチュールベッドを変更することを含んでもよい。
【0029】
交換可能な形成チャネルライナーは、完全なガルニチュールベッドよりも実質的により小さい。形成チャネルの長さと直角を成し、かつ形成チャネルの断面積が最も小さい(または形成チャネルの曲率半径が最も小さい)形成チャネルの長さに沿った場所にて、交換可能な形成チャネルライナーの断面積は、少なくとも10:1、少なくとも5:1、または少なくとも2:1の比率だけガルニチュールベッドの断面積より小さくてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「形成チャネルライナー」という用語は、形成チャネルまたは形成チャネルの長さの一部分を提供する、かつ形成チャネルライナーが交換される時に保持されている基部部材に取り外し可能に接続されている交換可能な要素を記述するために使用される。使用時に、「搬送ベルト」は、交換可能な形成チャネルライナー(複数可)上に置かれる可能性が高く、これは交換可能な形成チャネルライナー(複数可)に対して摩擦および摩耗を生じる。
【0031】
本明細書で使用される用語「搬送ベルト」は、形成チャネルの長さに沿って置かれている材料の一片であって、かつ使用時に形成チャネルに沿って駆動されて、ラッピング材料のウェブおよびコアを乗せる。搬送ベルトはまた、ガルニチュールベルトまたはガルニチュールとして知られている。本明細書で使用される用語「駆動機構」は、形成チャネルに沿って搬送ベルトを駆動するための電動機構である。搬送ベルトはエンドレスループであってもよい。
【0032】
本明細書で使用される「シュー」という用語は、使用時にコア材料の周りにラッピング材料を巻くために形成チャネルと協働するために、ガルニチュールベッドの形成チャネルに対する相補的な表面を提供する部材を記述するために使用される。
【0033】
形成チャネルの長さと直角を成す断面において、交換可能な形成チャネルライナーは基部部材より小さく、これはガルニチュールベッドの残りの部分(これは少なくとも基部部材を含む)から搬送ベルトを取り外すことなく、交換可能な形成チャネルライナーを交換することを可能にする場合がある。
【0034】
使用時に、搬送ベルトは、ベルト張力機構、例えばテンションプーリー(これは、付勢されたアーム上に回転可能に据え付けられたプーリーであってもよい)によって張力下に保持されてもよい。ガルニチュールベッドを交換するために、張力機構を解除して搬送ベルトを弛緩させ、搬送ベルトを形成チャネルから持ち上げることを可能にする一方で、ガルニチュールベッドは再構成され、その後、搬送ベルトは形成チャネルの中に再配置され、またベルト張力機構を再係合することによって張力が再びかけられる。
【0035】
有利なことに、ガルニチュールベッドは、ガルニチュールベッド、搬送ベルト、およびシュー(存在する場合)のうちの一つ以上の完全な取り外しを必要とすることなく、再構成されうる。ガルニチュールベッド、搬送ベルト、およびシューのうちの一つ以上の完全な取り外しのない、ガルニチュールベッドの再構成は、そうでない場合よりも、巻き付け機構の定期的な保守点検をはるかに迅速に実施することを可能にし、巻き付け機構のダウンタイムを低減し、かつ製造効率を高める。有利なことに、ガルニチュールベッドまたはシューの完全な取り外しのない、巻き付け機構の再構成は、熟練した再組立および再整列の必要性を回避または低減する場合がある。
【0036】
一般に、搬送ベルトは、周知のガルニチュールベッドよりも頻繁に交換される。周知の形成チャネルの摩耗を低減させるために、耐摩耗性材料、例えばステンレス鋼でガルニチュールベッドを形成することが知られていて、これには硬化被膜(例えば、ダイヤモンド様炭素被覆)が追加的に提供されてもよい。交換可能な形成チャネルライナーの交換によって、ガルニチュールベッドの好都合な再構成を可能にすることは、形成チャネルを、耐摩耗性のより低い材料(例えば、プラスチック材料)で提供し、ガルニチュールベッドへの摩耗の増大をガルニチュールベッドの再構成によって補うことを可能にする場合がある。有利なことに、耐摩耗性がより低い材料の形成チャネルを提供することは、搬送ベルトの摩耗を低減する場合があり、定期的な保守点検の頻度を低減することを可能にし、かつ巻き付け機構の全体的なダウンタイムを低減する。
【0037】
有利なことに、ガルニチュールベッドの再構成は、搬送ベルトおよびガルニチュールベッドのうちの一方または両方が摩耗した時でさえも、一方または両方の継続的な使用を可能にし、これは、搬送ベルトを交換することが必要になる前に、巻き付け機構が稼働しうる時間を増大させる場合がある。部品の稼働時間の延長は、運用効率を高め、運用コストを低減させる場合がある。
【0038】
有利なことに、ガルニチュールベッドの再構成によって、巻かれたコアの実質的に円筒状の形状および断面積の両方は、より狭い公差内に維持されうる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A図1Aは、第一の再構成可能な巻き付け機構の斜視図を示す。
図1B図1Bは、図1Aの再構成可能な巻き付け機構を通した断面図を示す。
図2図2は、摩耗していない状態の第二の再構成可能な巻き付け機構を通した断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施例を、添付図面を参照しながら、さらに説明する。
【0041】
同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。記載した実施例において、同様の特徴は同様の数字で識別されているが、一部の場合において、100の整数倍数の増分のうちの一つ以上を有する。例えば、異なる図において、再構成可能な巻き付け機構を示すために100および200が使用されている。
【0042】
図1Aは、第一の再構成可能な巻き付け機構100の斜視図を示し、また図1Bは、使用時の巻き付け機構の断面図を示す。
【0043】
再構成可能な巻き付け機構100は、その長さに沿って延びる形成チャネル112を有するガルニチュールベッド110を有する。搬送ベルト120は形成チャネル112の表面に沿って延び、両方とも形成チャネルの長さに沿って開放していて、開放側は細長いシュー150の方を向いている。
【0044】
図示したガルニチュールベッド110において、形成チャネル112は、入口セクション112A、中央セクション112B、および出口セクション112Cを有する。中央セクション112Bは、その長さに沿って一定の曲率半径を有する。入口セクション112Aは、形成チャネル112の入口から離れ、かつ中央セクション112Bに向かって狭くなる。出口セクション112Cは、出口に向かって、かつ中央セクション112から離れて広くなる。
【0045】
搬送ベルト120はエンドレスベルトであってもよく、また搬送ベルトの一部のみが図1Aに図示されていて、これは形成チャネル112の中央セクション112B内の部分である。搬送ベルト120を搬送方向Tで形成チャネル112に沿って駆動するベルト駆動機構(図示せず)が提供されている。シュー150は、形成チャネル112の開放側の方を向く形成チャネル112の長さと直角を成す断面において、凹面152を有する。形成チャネル112、搬送ベルト120、およびシュー150の凹面152は、ラッピングペーパー162内に巻かれた実質的に円筒状の部材(例えば、概して円筒状のコア160)を受容するために配設されていて、かつ相補的に形作られている。細長いシュー150は図1Bの巻き付け機構100に存在するが、随意であり、(例えば、図2に示す通り)省略されてもよい。
【0046】
第一のガルニチュールベッド110は、基部110Aと、基部に取り外し可能に接続されている交換可能な形成チャネルライナー110Bとを有する複合構築のガルニチュールベッドである。細長い形成チャネル112は、図1Aに示す通り、交換可能な形成チャネルライナー110Bの状態で全体的に提供されてもよく、交換可能な形成チャネルライナーのみを置き換えることによって、形成チャネルの全長を置き換えることを可能にする。
【0047】
形成チャネル112、搬送ベルト120、およびシュー150の凹面152(存在する場合)は、搬送ベルト上に乗せられた実質的に円筒状の部材(例えば、ラッピングペーパー162内に巻かれた概して円筒状のコア160)を形成および搬送するために配設されていて、かつ相補的に形作られている。使用時に、ベルト駆動機構は、搬送ベルト120を搬送方向T(図1Aに示す)で形成チャネル112に沿って駆動し、ラッピングペーパー162は搬送ベルト120上に受容されていて、かつ搬送ベルト120に沿って延び、コア160はラッピングペーパー上に受容されていて、ラッピングペーパーはコアの周りに巻かれている。搬送ベルト120が、ラッピングペーパー162およびコア160を、形成チャネル112の入口セクション112Aおよび中央セクション112Bに沿って引き出すにつれて、ラッピングペーパーは、巻かれたコアが出口セクション112Cに沿って形成チャネルを出る前に、コアの周りに徐々に巻かれる。(例えば、中央セクション112Bにおいて)形成チャネル112に沿って通る間に、ラッピングペーパー162はコア160の周りで密封されている。
【0048】
図示した再構成可能な巻き付け組立品100において、図示したシュー150は、その長さに沿って一定の断面形状を有し、かつ形成チャネル112の中央セクション112Bに沿って延びる。しかしながら、巻き付け性能を高めるために、シュー150は、形成チャネル112の長さに沿って変化する形状を有してもよい。しかしながら、シュー150は、入口セクション112Aの長さの一部もしくはすべて、または中央セクション112Bの長さの一部もしくはすべて、または出口セクション112Cの長さの一部もしくはすべてに沿って延びてもよく、または形成チャネル112の隣接するセクション112A、112B、112Cの組み合わせの一部もしくはすべてに沿って延びてもよい。形成チャネル112のすべてのセクション112A、112Bおよび112Cは、搬送ベルト120を支持することが好ましい。形成チャネル112は、直接的または間接的に搬送ベルト120を支持してもよい。
【0049】
製造中に、ラッピングペーパー162がコア160の周りに巻かれた時、二重層領域162Dは、シュー150の凹面152に沿って通ってもよい(または同様に、図2に示す通り、二重層領域262Bは形成チャネル112の凹面に沿って通ってもよい)。
【0050】
接触接着剤が二重層領域162Dの層と層の間に提供されてもよく、接着は、二重層領域と搬送ベルト120および形成チャネル112のうちの一方または両方との間の接触によって容易にされてもよい。別の方法として、または追加的に、熱硬化性接着剤が二重層領域162Dの層と層の間に提供されてもよい。シュー150の凹面152(または図2の配設において、形成チャネル212の表面)の少なくとも一部には、二重層領域162Dを加熱して層と層の間の接着剤を乾燥または溶融する加熱領域(図示せず)が提供されてもよく、またシュー150の凹面152(または図2の配設において、形成チャネル212の表面)にはまた、接着剤を冷却するための冷却領域(図示せず)が随意に提供されてもよい。
【0051】
連続使用で、搬送ベルト120は摩耗してより薄くなる場合があり、例えば120Wで示される破線まで摩耗して後退する場合がある。別の方法として、または追加的に、交換可能な形成チャネルライナー110Bは、搬送ベルト120によって摩滅する場合があり、例えば110Wによって示される破線まで摩耗して後退する。これは、使用時に、交換可能な形成チャネルライナー110Bによって支持され、かつこれと接触する、動いている搬送ベルト120によって生じる摩擦に起因する場合がある。一部の実施形態において、搬送ベルトは、交換可能な形成チャネルライナー(複数可)によって支持されている。一部の実施形態において、搬送ベルトは、交換可能な形成チャネルライナー(複数可)によって直接的に支持されている。
【0052】
ユーザーまたは自動監視機構(図示せず)が、交換可能な形成チャネルライナー110Bおよび搬送ベルト120のうちの一方または両方の摩耗を検出する時、形成チャネルライナー110Bは基部110Aから取り外され、そしてさらなる形成チャネルライナーと交換されてもよい。形成チャネルライナー、または交換可能な形成チャネルライナーは、搬送ベルト120を支持してもよい。形成チャネルライナー、または交換可能な形成チャネルライナーは、搬送ベルト120を直接的に支持してもよく、または間接的に支持してもよい。形成チャネルライナー、または交換可能な形成チャネルライナーは、搬送ベルト120を支持するように構成されていることが好ましい。形成チャネルライナー、または交換可能な形成チャネルライナーは、搬送ベルト120を直接的に支持することが好ましい。
【0053】
搬送ベルト120の摩耗が検出され、かつ搬送ベルトがさらに使用されうる場合、交換可能な形成チャネルライナー110Bは、より小さい直径形成チャネルを有する(例えば、中央セクション112Bにおいて、より小さい直径を有する)、摩耗した搬送ベルトを補うように形作られている別の交換可能な形成チャネルライナーと交換されてもよい。
【0054】
交換可能な形成チャネルライナー110Bの摩耗が検出され、かつ搬送ベルト120がさらに使用されうる場合、交換可能な形成チャネルライナーは、摩耗した交換可能な形成チャネルライナーを補正するように形作られている別の交換可能な形成チャネルライナー(例えば、新しい時に、前述の交換可能な形成チャネルライナーの形状を有する、または摩耗しているが交換に値するほど十分に摩耗していない搬送ベルトを補う形状を有する)と交換されてもよい。
【0055】
交換可能な形成チャネルライナー110Bと搬送ベルト120の両方が交換される必要がある場合、これらは、新しい搬送ベルトを相補する形状を有する交換可能な形成チャネルライナーと交換されてもよい。
【0056】
追加的に、(例えば、中央セクション112Bにおける)形成チャネル112の基部の上方にあるシュー150(存在する場合)の高さは、ガルニチュールベッド110の再構成に対応して、および搬送ベルト120の摩耗に対応して、調整されてもよい(H)。
【0057】
図1Aおよび図1Bに図示した再構成可能な巻き付け機構100は、細長いシュー150を備える。しかしながら、別の方法として、細長いシューは、再構成可能な巻き付け機構から省略されてもよい。
【0058】
図2は、摩耗していない状態にある第二の再構成可能な巻き付け機構200を通した断面図を示し、これは図1Bの第一の再構成可能な巻き付け機構100に概して類似している。
【0059】
第二の再構成可能な巻き付け機構200は、細長いシュー150を省略している点で第一の再構成可能な巻き付け機構100と異なる。
【0060】
再構成可能な巻き付け機構200は、その長さに沿って延びる形成チャネル212を有するガルニチュールベッド210を有する。搬送ベルト220は、形成チャネル212の表面に沿って延び、両方とも形成チャネルの長さに沿って開放している。搬送ベルト220はエンドレスベルトであってもよく、また搬送ベルトの一部のみが図2に図示されている。搬送ベルト220を搬送方向(T、図1Aに示す)で形成チャネル212に沿って駆動するためにベルト駆動機構(図示せず)が提供されている。
【0061】
第二のガルニチュールベッド210は、基部210Aと、基部に取り外し可能に接続されている交換可能な形成チャネルライナー210Bとを有する複合構築のガルニチュールベッドであり、細長い形成チャネル212が形成チャネルライナーに提供されている。
【0062】
形成チャネル212および搬送ベルト220は、搬送ベルト上に乗せられた、実質的に円筒状の部材、例えばラッピングペーパー262内に巻かれた概して円筒状のコア260を形成および搬送するために形作られている。使用時に、ベルト駆動機構は、搬送ベルト220を(例えば、図1Aに示す通り、搬送方向Tで)形成チャネル212に沿って駆動し、ラッピングペーパー262は搬送ベルト220上に受容されていて、かつ搬送ベルト220に沿って延び、コア260はラッピングペーパー上に受容されていて、ラッピングペーパーはコアの周りに巻かれている。描写を簡潔にするために、形成チャネル212は、均一な断面形状(形成チャネルと直角を成す)で示されている。しかしながら、巻き付け性能を高めるために、形成チャネル212は、形成チャネルの長さに沿って変化する形状を有してもよい。
【0063】
製造中に、ラッピングペーパー262がコア260の周りに巻かれた時、二重層領域262Dは、形成チャネル212の凹面に沿って通る場合がある。接触接着剤が二重層領域262Dの層と層の間に提供されてもよく、接着は、二重層領域と搬送ベルト220および形成チャネル212のうちの一方または両方との間の接触によって容易にされてもよい。別の方法として、または追加的に、熱硬化性接着剤が二重層領域262Dの層と層の間に提供されてもよい。形成チャネル212の凹面の少なくとも一部には、二重層領域262Dを加熱して接着剤を乾燥または溶融するために加熱領域(図示せず)が提供されてもよく、また形成チャネル212にはまた、二重層領域を冷却するための冷却領域(図示せず)が随意に提供されてもよい。
【0064】
連続使用で、搬送ベルト220は摩耗してより薄くなる場合があり、例えば220Wで示される破線まで摩耗して後退する場合がある。別の方法として、または追加的に、交換可能な形成チャネルライナー210Bは、搬送ベルト220によって摩滅する場合があり、例えば210Wによって示される破線まで摩耗して後退する。
【0065】
ユーザーまたは自動監視機構(図示せず)が、交換可能な形成チャネルライナー210Bおよび搬送ベルト220のうちの一方または両方の摩耗を検出する時、形成チャネルライナーは基部210Aから取り外されてもよく、また摩耗した搬送ベルトを補うように形作られている(例えば、より小さい直径の形成チャネルを有する)、または摩耗した形成チャネルライナーを補正するように形作られている(例えば、前述の形成チャネルライナーの元の形状を有する)、または摩耗の両方の形態を補うおよび補正するように形作られている、さらなる形成チャネルライナーと交換されてもよい。
【0066】
ガルニチュールベッドの再構成は、搬送ベルトおよびガルニチュールベッドのうちの一方または両方を、一方または両方が摩耗した時でさえも、継続して使用することを可能にすることができ、これは、搬送ベルトまたは形成チャネルを交換することが必要になる前に、巻き付け機構が稼働しうる時間を増大させる場合がある。部品の稼働時間の延長は、運用効率を高め、運用コストを低減させる場合がある。
【0067】
再構成によって、実質的に円筒状の形状と巻かれたコアの断面積の両方は、より狭い公差内に維持されうる。
【0068】
本明細書に提供された図は概略的なものであり、正確な縮尺ではない。
【0069】
本明細書の記述および特許請求の範囲全体を通して、「備える」および「含む」ならびにそれらの変形は、「含むが、それに限定されない」を意味し、その他の部分、追加、構成要素、整数、または工程を除外することを意図しない(かつ除外しない)ことを意味する。本明細書の記述および特許請求の範囲全体を通して、単数形は複数形を包含するが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、単数だけでなく複数も企図するとして理解されるべきであるが、そうでないことを文脈が要求する場合はその限りではない。
【0070】
本発明の特定の態様、実施形態または実施例と併せて記述された機能、整数、特徴、化合物、化学的部分、または基は、それらと矛盾しない限り、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であることが理解される。本明細書に開示された特徴のすべて(付随する請求項、要約および図面を含む)、および/または開示された任意の方法またはプロセスのすべての工程は、こうした特徴および/または工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。本発明は、本明細書(あらゆる添付の請求項、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の特徴もしくは任意の組み合わせ、または開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の任意の新規の工程もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0071】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時にまたはそれ以前に提出されている、および本明細書とともに公開されているすべての論文および文書に向けられ、こうした論文および文書すべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図2