(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】非アクセスポイントマルチバンドデバイスおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0457 20230101AFI20231221BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231221BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20231221BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20231221BHJP
【FI】
H04W72/0457 110
H04W84/12
H04W72/0453
H04W52/02 111
(21)【出願番号】P 2021520143
(86)(22)【出願日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 SG2019050403
(87)【国際公開番号】W WO2020085997
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】10201809503R
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0092039(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0044676(US,A1)
【文献】特表2018-505606(JP,A)
【文献】国際公開第2018/194726(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドを含む複数の周波数バンドの各々における、非アクセスポイントマルチバンドデバイスのための一つ以上のバッファユニットの存否を
、各周波数バンドについて1ビットずつで示すバンドビットマップサブフィールドを含むフレームを受信し、前記フレームは前記第1の周波数バンド上で送信されたものである、受信部と、
前記バンドビットマップサブフィールドに基づいて、前記一つ以上のバッファユニットを取り出す回路と、
を備えている非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項2】
前記非アクセスポイントマルチバンドデバイスの電力管理モードがパワーセーブモードである場合には、前記複数の周波数バンドの各々のデフォルトの電力状態はDoze State(休止状態)であり、前記回路は、前記一つ以上のバッファユニットが存在する周波数バンドの電力状態を前記Doze StateからAwake stateに変更する、
請求項1に記載の非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項3】
前記バンドビットマップサブフィールドの少なくとも一部は、前記非アクセスポイントマルチバンドデバイスの第1の機器IDに対応している、
請求項1に記載の非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項4】
前記フレームは、別の非アクセスポイントマルチバンドデバイスの第2の機器IDに対応する別のビットマップサブフィールドを含む、
請求項3に記載の非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項5】
前記フレームは
マルチバンドアナウンスメントフレームである、
請求項1に記載の非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項6】
アクセスポイントマルチバンドデバイスとのアソシエーションにおけるフレーム交換は、前記第1の周波数バンドでのみ行われる、
請求項1に記載の非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項7】
前記複数の周波数バンドにおけるTarget Wake Time(TWT) agreementは、アクセスポイントマルチバンドデバイスとの間で合意される、
請求項1に記載の非アクセスポイントマルチバンドデバイス。
【請求項8】
非アクセスポイントマルチバンドデバイスのための通信方法であって、
第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドを含む複数の周波数バンドの各々における、前記非アクセスポイントマルチバンドデバイスのための一つ以上のバッファユニットの存否を
、各周波数バンドについて1ビットずつで示すバンドビットマップサブフィールドを含むフレームを受信し、前記フレームは前記第1の周波数バンド上で送信されたものであり、
前記バンドビットマップサブフィールドに基づいて、前記一つ以上のバッファユニットを取り出す、
通信方法。
【請求項9】
前記非アクセスポイントマルチバンドデバイスの電力管理モードがパワーセーブモードである場合には、前記複数の周波数バンドの各々のデフォルトの電力状態はDoze State(休止状態)であり、前記一つ以上のバッファユニットが存在する周波数バンドの電力状態は前記Doze StateからAwake stateに変更される、
請求項
8に記載の通信方法。
【請求項10】
前記バンドビットマップサブフィールドの少なくとも一部は、前記非アクセスポイントマルチバンドデバイスの第1の機器IDに対応している、
請求項
8に記載の通信方法。
【請求項11】
前記フレームは、別の非アクセスポイントマルチバンドデバイスの第2の機器IDに対応する別のビットマップサブフィールドを含む、
請求項
10に記載の通信方法。
【請求項12】
前記フレームは
マルチバンドアナウンスメントフレームである、
請求項
8に記載の通信方法。
【請求項13】
アクセスポイントマルチバンドデバイスとのアソシエーションのためのフレーム交換は、前記第1の周波数バンドでのみ行われる、
請求項
8に記載の通信方法。
【請求項14】
前記複数の周波数バンドにおけるTarget Wake Time(TWT) agreementは、アクセスポイントマルチバンドデバイスとの間で合意される、
請求項
8に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、マルチバンド送信のためのマルチバンド通信装置、マルチバンドアクセスポイント、および通信方法に関し、より詳細には、ワイヤレスネットワークにおいて複数の周波数バンドで動作するマルチバンド通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチバンド通信を提供するワイヤレスネットワークは、電子デバイスが複数の異なる周波数バンドを通じて通信することを可能にする。このようなネットワークは、ワイヤレス通信が1つの周波数バンドに限られる他のワイヤレスネットワークに優る利点を有する。
【0003】
各周波数バンドを別個の無線機として実施することができる(すなわち各々が1つ以上のアンテナおよび関連する回路を有する)ため、複数のバンドにおけるチャネルを対象に同時にアイドルリスニング(idle listening)を行うことによって、非アクセスポイント(AP)ステーション(STA)の電力消費量が増大する。したがって、マルチバンド非AP STAのアイドルリスニングの電力消費量を低減することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
非限定的かつ例示的な一実施形態は、マルチバンド非AP STAのアイドルリスニングの電力消費量の低減に資する。概括的な一態様において、本明細書に開示されている技術は、1つ以上の送受信機回路であって、1つ以上の送受信機回路の各々は、動作中、異なる周波数バンドにおいて複数のチャネルでデータを送信および受信する、1つ以上の送受信機回路と、マルチバンドアクセスポイント(AP)から受信された設定情報に基づいて、1つ以上の送受信機回路のうちのいずれか1つの送受信機回路の設定を変更するように動作するバンド設定回路と、を含むマルチバンド通信デバイスを提供する。設定情報は、プライマリバンドとしての周波数バンドのうちの1つの周波数バンドと、1つ以上のセカンダリバンドとしての他の周波数バンドと、を指定する。プライマリバンドで動作する送受信機回路は、APと通信するためのデフォルトの回路として使用される。
【0005】
なお、一般的な実施形態または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして、実施できることに留意されたい。開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって個別に得ることができ、ただしこのような恩恵および/または利点のうちの1つ以上を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図は、さまざまな実施形態を例示する役割と本実施形態によるさまざまな原理および利点を説明する役割とを果たす。図面において、類似する参照符号は、別個の図全体を通じて同一の要素または機能的に類似する要素を表す。添付の図は、以下の詳細な説明と一緒に本明細書に組み込まれており本明細書の一部を形成している。図中の要素は、簡潔かつ明瞭であるように示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことが、当業者には理解されるであろう。
【
図1】ワイヤレス送信機/受信機が、複数の異なる周波数バンドを通じてマルチバンド通信デバイスと動作するマルチバンドワイヤレスネットワークを示す図
【
図2】ワイヤレス送信機/受信機を有するマルチバンド通信デバイスが、複数の異なる周波数バンドを通じてマルチバンド通信デバイスと動作するマルチバンドワイヤレスネットワークを示す図
【
図3】例示的な一実施形態に係る、アクティブモードにあるSTAへの例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図5】バンド設定情報をシグナリングするために使用される要素の図
【
図6】例示的な一実施形態に係るマルチバンドアナウンスメントフレームを示す図
【
図7】例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図8】例示的な一実施形態に係るマルチバンドアナウンスメントフレームを示す図
【
図9】複数のサブフィールドを含み、STAへの次回のマルチバンド送信をシグナリングするために使用することができるマルチバンド制御フィールドの図
【
図10】一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図11】一実施形態に係る例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図12A】例示的な一実施形態に係る、バンドの状態をAPに報告するためにSTAによって使用されるマルチバンド(MB)パワーセーブフレームを示す図
【
図12B】STAによって代替的に使用されてもよいMB動作モード(OM)制御フィールドのフォーマットを示す図
【
図13】例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図14】例示的な一実施形態に係るマルチバンドアナウンスメントフレームを示す図
【
図15】例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図16A】例示的な一実施形態に係るマルチバンドTIM要素の図
【
図16B】例示的な一実施形態に係るマルチバンドPSポールフレームの図
【
図17】例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示す図
【
図18】例示的な一実施形態に係るマルチバンド(MB)ターゲットウェイクタイム(TWT)要素を示す図
【
図19】例示的な一実施形態に係る、STAがセカンダリバンドのPCRをアウェイク状態に移行させた後、WURxアイドルリスニングに戻る状況を示す図
【
図20】複数の異なる周波数バンドで動作するマルチバンド通信デバイスの簡略化されたブロック図
【
図21】複数の異なる周波数バンドで動作するマルチバンド通信デバイスの詳細なブロック図
【発明を実施するための形態】
【0007】
マルチバンド通信デバイスは、ワイヤレスネットワークにおいて複数の異なる周波数バンドを通じてデータを送信および受信することができる。これらの電子デバイスは、1つの周波数バンドで動作することができる従来の電子デバイスに優る多くの利点を有する。しかしながら、ワイヤレスネットワークにおいてマルチバンド通信デバイスを動作させることには、多くの技術的問題がある。誤解のないように記すと、以下の説明において、「マルチバンド送信」は、複数の周波数バンドにおいて複数のチャネルで同時に通信することを意味する。
【0008】
例えば、各周波数バンドを別個の無線機として実施することができる(すなわち各々が1つ以上のアンテナおよび関連する回路を有する)ため、複数のバンドにおけるチャネルを対象に同時にアイドルリスニングを行うことによって、非アクセスポイント(AP)ステーション(STA)の電力消費量が増大する。したがって、例示的な実施形態は、マルチバンド非AP STAのアイドルリスニングの電力消費量を低減することと、マルチバンドワイヤレスネットワークにおいてマルチバンド通信デバイスを動作させるうえで発生する他の技術的問題を軽減することと、を模索する。
【0009】
マルチバンド対応超高スループット(EHT:Extremely High Throughput)STAは、以下のように、STAのマルチバンド動作能力に従って分類することができる。
-非同時(NC)マルチバンド:一度に1つのバンドで通信できるのみであるが、追加の設定なしでバンドを切り替えることができる。
-同時デュアルバンド:任意の2つのバンドで同時に通信することができる。
-同時トライバンド:3つのバンドすべて(例えば、2.4/5/6GHz)で同時に通信することができる。
【0010】
本開示では、APが同時トライバンド対応であるものと想定する。本開示では、基本サービスセット(BSS)動作に関する想定(シングルバンドBSSまたはマルチバンドBSS)はないが、APが各周波数バンドにおいて別個のBSSを維持することも可能であり、その場合、用語「バンド」および「BSS」は、交換可能に使用されてよい(例えば、2.4GHzバンドは、2.4GHzバンドにおけるBSSを意味することもできる)。
【0011】
さらに、マルチバンド送信/受信は、マルチバンド動作の前に、(マルチバンドアソシエーション中において本質的に、または、高速セッション切り替え(FST:Fast Session Transfer)セットアップを通じて、異なる周波数バンドにおいてコロケーテッド(co-located:同一位置の)APによって動作させられる複数のBSSにSTAがアソシエーションした後に)すでに可能になっているものと想定する。APとマルチバンドSTAとは、周波数バンド/BSSの各々に関する能力パラメータおよび他の関連するパラメータをすでに交換しており、互いとのマルチバンド通信に関与するために必要とされるすべての情報を有しているものと想定する。
【0012】
図1は、ワイヤレス送信機/受信機110が、複数の異なる周波数バンドを通じてマルチバンド通信デバイス120A、120B、および120Cと動作するマルチバンドワイヤレスネットワーク100を示している。例として、ワイヤレス送信機/受信機110が、アクセスポイント(AP)として示されており、マルチバンド通信デバイス120A、120B、および120Cが、非APステーション(STA)STA1、STA2、およびSTA3として示されている。複数の異なる周波数バンドは、6GHz、5GHz、および2.4GHzを含むが、これらに限定されるものではない。図示されているように、AP 110は、6GHz(BSS)130A、5GHz BSS 130B、および2.4GHz BSS 130Cとしての3つの基本サービスセット(BSS)を提供することができる。これに代えて、AP 110は、3つのすべての周波数バンドでシームレスに動作する1つの統一BSSを動作させてもよい。
【0013】
AP 110は、シングルバンドデバイスを対象に1つの周波数バンドで動作することができるAPとは異なり、複数の異なる周波数バンドで動作するマルチバンド通信デバイスとして機能するEHT APである。AP 110は、異なる複数の周波数バンドの各周波数バンドにおいて、独立したAPとして機能することができる。これに代えて、AP 110は、3つのすべての周波数バンドでシームレスに動作する統一APとして機能してもよい。
【0014】
例示的な一実施形態によれば、マルチバンド(MB)パワーセーブ(省電力:Power Save)モードが、マルチバンド対応非AP STAに提供される。
【0015】
初期設定段階中に、マルチバンド非AP STA(例えば、
図1に示されているSTA1 120A、STA2 120B、およびSTA3 120C)に対して、APによって(例えば、
図1に示されているAP 110によって)、1つの周波数バンドがプライマリバンド(またはプライマリBSS)として割り当てられる。他の周波数バンドが、セカンダリバンド(またはセカンダリBSS)として割り当てられてよい。各バンド/BSSにおける動作チャネルは、帯域幅が異なってよく、1つのプライマリ20MHzチャネルと1つ以上のセカンダリチャネルとからさらに構成されてよい。プライマリバンドは、アンカーバンドもしくは制御バンドまたは管理バンドなどとしても知られている。プライマリバンドは、明示的に割り当てられずに、アンカーチャネルが定義される周波数バンドとして暗黙的に識別されることも可能である。
【0016】
デフォルトでは、プライマリバンドは、APにアソシエーションするためにSTAによって使用されたバンドであってもよいし、プライマリバンドは、アソシエーション中またはアソシエーション直後にAPによって割り当てられてもよい(異なるSTAに異なるプライマリバンドが割り当てられてよい)。デフォルトでは、STAは、プライマリバンドにおいてAPと通信することが予期される。プライマリバンドにおけるチャネルは、同期するため(すなわちビーコンフレームを受信するため)、あるいは管理フレームを交換するためなどに使用される。プライマリバンドは、重要な制御フレームおよび管理フレームを運ぶために使用されるので、サービス中断の可能性がほとんどない良好な品質のチャネル(干渉が最も少ない、スペクトル共有がないなど)を有するバンドが、プライマリバンドとして選択される。
【0017】
セカンダリバンドは、主としてデータフレームのスループットを高めるために使用されてよい。セカンダリバンドは、アソシエーション中またはアソシエーション後にAPによって割り当てられてよい。セカンダリバンドがAPに関連付けられると、チャネルアクセス遅延を低減するために、STAのセカンダリバンドにおいて拡張分散チャネルアクセス(EDCA:enhanced distributed channel access)送信は許可され得ない。セカンダリバンドでは、(例えばトリガーフレームにおけるリソースユニット(RU:Resource Unit)割当てを通じて、)スケジューリングされた送信のみが、STAに許可されてよい。
【0018】
STAが、MBパワーセーブモードで動作でき(マルチバンド能力(multi-band capability)要素400の中のMBパワーセーブ能力(MB Power Save capability)ビット406がセットされている)、かつ、STAが、アクティブ電力管理(PM:power management)モードで動作している場合、STAは、バンドの設定が完了した直後に、プライマリバンドを有効にし(有効化し)、セカンダリバンドを無効にする(無効化する)ことができる。
【0019】
再び
図1を参照すると、例示的な一実施形態において、STA1 120Aは、2.4GHz、5GHz、および6GHzで動作する同時トライバンドSTAである(プライマリバンドが2.4GHzであり、第1のセカンダリバンドが5GHzであり、第2のセカンダリバンドが6GHzである)。STA2 120Bは、2.4GHzおよび5GHzで動作する同時デュアルバンドSTAである(プライマリバンドが2.4GHzであり、セカンダリバンドが5GHzである)。STA3 120Cは、2.4GHz、5GHz、および6GHzで動作する非同時トライバンドSTAである(一度に1つのバンドのみがアクティブである)(プライマリバンドが2.4GHzであり、第1のセカンダリバンドが6GHzであり、第2のセカンダリバンドが5GHzである)。
【0020】
図2は、ワイヤレス送信機/受信機210を有するマルチバンド通信デバイスが、複数の異なる周波数バンドを通じてマルチバンド通信デバイス220A、220B、および220Cと動作するマルチバンドワイヤレスネットワーク200を示している。例として、マルチバンド通信デバイス210が、3つの無線機230A、230B、および230Cを有するAPとして示されている。マルチバンド通信デバイスが、3つの無線機250A、250B、および250Cを有するSTA1 220A、2つの無線機240Aおよび240Bを有するSTA2 220B、および、1つの無線機260Aを有するSTA3 220Cとして示されている。マルチバンド対応APはかなり一般的であるが、マルチバンド対応STAはさほど一般的ではなく、複数のバンドで動作する数少ないSTAも、一般には一度に1つの周波数バンドで通信するにすぎない。異なる周波数バンドにおける複数のチャネルでの同時通信(送信もしくは受信またはその両方)を、マルチバンド通信と呼ぶことができ、これは、伝送スループットを劇的に高める効果的な手段である。
【0021】
ここで、AP 210が同時トライバンド対応AP(2.4GHz、5GHz、および6GHz)であり、STA1 220Aが同時トライバンド対応STA(2.4GHz、5GHz、および6GHz)であり、STA2 220Bが同時デュアルバンド対応STA(5GHzおよび6GHz)であり、STA3 220Cが非同時トライバンド対応STA(2.4GHz、5GHz、および6GHz)である例を考える。各無線機(例えば、240A、240B、250A、250B、250C)は、特定の周波数バンドで動作することができる。無線機あたり1つのアンテナが示されているが、実際には、無線機の各々が、MIMOやMU-MIMOなどに使用される複数の物理アンテナを備えてよい。
【0022】
図3は、例示的な一実施形態に係る、アクティブモードにあるSTAへの例示的なマルチバンド送信を示している。3つのSTAすべてに対して2.4GHzバンドがプライマリバンドとして割り当てられているのに対し、5GHzがセカンダリバンド1として割り当てられており、6GHzがセカンダリバンド2として割り当てられている。この例では、3つのSTAすべてがアクティブモードで動作しており(すなわちパワーセーブモードではない)、3つのSTAすべてにおいて、無線機はプライマリバンドに対してアクティブにされている(アクティブ化されている)が、セカンダリバンドの無線機は非アクティブにされている(非アクティブ化されている)(「非アクティブにされている」の定義は実装に固有であり、ある実装では、電力を節約するためにセカンダリ無線機を完全にオフにするように選択することもあるし、別の実装では、より速いアクティブ化時間を容易にするためにセカンダリ無線機を浅いスリープモードにすることもある)。
【0023】
具体的には、STA1は、2.4GHz、5GHz、および6GHzで動作する同時トライバンドSTAであり、プライマリバンドが2.4GHzであり、第1のセカンダリバンドが5GHzであり、第2のセカンダリバンドが6GHzである。STA2は、2.4GHzおよび5GHzで動作する同時デュアルバンドSTAであり、プライマリバンドが2.4GHzであり、セカンダリバンドが5GHzである。STA3は、2.4GHz、5GHz、および6GHzで動作する非同時トライバンドSTAであり(一度に1つのバンドのみがアクティブである)、プライマリバンドが2.4GHzであり、第1のセカンダリバンドが6GHzであり、第2のセカンダリバンドが5GHzである。
【0024】
APは、次回のマルチバンド送信(ダウンリンク(DL)またはアップリンク(UL))を示すためにプライマリバンドを使用する。具体的には、送信時刻、バンド情報、ターゲットSTAなどといった情報を運ぶ管理フレーム(以下では「マルチバンドアナウンスメントフレーム」と呼ばれる)が定義される。APが、1つ以上のSTAへのマルチバンド送信を開始しようとするとき、APは、最初に、アドレッシングされるSTAすべてが、マルチバンド送信に関与するすべての周波数バンドにおいて自身の無線機をアクティブにしていることを確実にする必要がある。また、実装によっては、無線機のアクティブ化時間を無視できないことがある。したがって、セカンダリバンドの無線機をアクティブにするのに十分な時間をSTAに与えるために、APは、送信するマルチバンドアナウンスメントフレームをスケジューリングするときにアクティブ化時間を考慮に入れる。プライマリバンドでは、STAに対してEDCAチャネルアクセスに関する制限が存在しないため、APは、チャネルへのアクセスを得るために必要とされる時間も考慮に入れる(CSMA/CAバックオフなど)。マルチバンドアナウンスメントフレームの送信を優先させるために、APは、そのような送信に対して、最も高いアクセスカテゴリ(AC_VO)を使用することができる。
【0025】
APは、マルチバンドアナウンスメントフレームの中で示される送信時刻において、マルチバンド送信をスケジューリングする。APについては、この例ではセカンダリバンドに関するチャネルアクセスルールやリソースユニット(RU)割当てルールなどの変更はない。
【0026】
アドレッシングされたSTAは、マルチバンドアナウンスメントフレームを受信すると、そのマルチバンドアナウンスメントフレームに対して肯定応答(ACK)を返し、示される送信時刻より前に、示される1つ以上のセカンダリバンドを有効にする(例えば、必要であれば、セカンダリバンドの無線機および関連する回路をアクティブにするなど)。STAは、セカンダリバンドを早期にリスンし、必要であれば、ネットワーク割当てベクトル(NAV)を設定してもよい。STAは、バンドにおけるフレーム交換シーケンス(TXOP)の完了の直後に、または、所定のタイムアウト値にわたりDLフレームが受信されない場合、セカンダリバンドを無効にする(すなわちプライマリバンドに切り替える)。所定のタイムアウト値は、実装に固有とすることができるが、平均チャネルアクセス遅延を考慮に入れるうえで十分に大きい値である。
【0027】
図3において、マルチバンドアナウンスメントフレームは、参照符号302A/302B/302C/302Dによって示されている。APは、マルチバンド(MB)アナウンスメントフレーム302A/302B/302C/302Dをプライマリバンドで送信することによって、次回のマルチバンド送信TXOP(送信機会)を示す。受信側STAは、MBアナウンスメントフレーム302A/302B/302C/302Dを受信すると、フレーム内に自身のSTA IDを発見した場合、示される送信時刻より前に、示されるセカンダリバンドの無線機をアクティブにする。セカンダリバンドは、DL TXOPまたはUL TXOPが少なくとも完了するように、または(送信が受信されない場合には)所定のタイムアウト値の持続時間にわたり、アクティブにされていることが予期される。
【0028】
MBアナウンスメントフレーム302Aは、マルチバンド送信316A(3つのすべてのバンドでのSTA1へのDL)をシグナリングする。MBアナウンスメントフレーム302Bは、マルチバンド送信316B(制限なし、すなわちセカンダリバンド2でのSTA3へのDL/UL)をシグナリングする。316Bは、カスケーディングOFDMA送信(cascading OFDMA transmission)とすることができる(すなわちDL PPDUの直後にアップリンクPPDUが続く)。316Bは、送信が1つのセカンダリバンドで行われる、マルチバンド送信の特殊な場合とみなすことができる。MBアナウンスメントフレーム302Cは、マルチバンド送信316C(セカンダリバンド2でのSTA2へのDLおよびセカンダリバンド1でのSTA2からのUL)をシグナリングする。302Cは、周波数分割複信(FDD)を可能にするためにUL/DLバンドの分離をスケジューリングする例である。この場合、302Cは、セカンダリバンド1でのEDCA UL送信を可能にするためにSTA2への明示的な許可を与えている(すなわち、APによってトリガーフレームが送信されないため、EDCA UL送信はAPによってスケジューリングされない)ことに留意されたい。この場合、DLおよびULの両方において、SIFSによって隔てられた送信のバーストが存在しうる。例えば、セカンダリバンド1でのSTA2からのUL送信は、セカンダリバンド2でのDL送信に対する上位レイヤ肯定応答(例えばTCP ACK)とすることができる。MBアナウンスメントフレーム302Dは、マルチバンド送信316D(セカンダリバンド2でのSTA3へのDLおよびセカンダリバンド1でのSTA1、STA2からの(トリガーされた)UL)をシグナリングする。STA3は非同時トライバンドSTAであり、プライマリバンドではSTA3はマルチバンド送信316Dの持続時間にわたり利用可能でない。DL PPDUおよびUL PPDUは、単純なMPDU(MACプロトコルデータユニット)を運ぶことができる、または、集約MPDU(A-MPDU:aggregated MPDU)を運ぶこともできることに留意されたい。PPDUは、シングルユーザPPDU(SU-PPDU)とすることができる(すなわち1つのSTAだけにアドレッシングされたフレームを運ぶ)、または、マルチユーザPPDU(MU-PPDU)とすることもできる(すなわち2つ以上のSTAにアドレッシングされたフレームを運ぶ)。ACKフレームは、1つの肯定応答フレームを指すこともあるし、肯定応答の対象の先行するPPDUタイプに応じたブロックAck(Block Ack)であってもよく、さらには、複数のSTAからのACKフレームを運ぶMU ACKであってもよい。
【0029】
簡潔にするために、
図3では、ビーコンフレームが、プライマリバンドにのみ示されているが、これは、それ以外の他のバンドでビーコンフレームが送信されないことを必ずしも意味しない。しかしながら、MBパワーセーブモードで動作しているマルチバンドSTAは、プライマリバンドでのみビーコンフレームを受信することを選択することができる。したがって、セカンダリバンドにおいて動作パラメータの変更がある場合、APは、そのようなSTAにはプライマリバンドで通知することが予期される。また、異なるSTAに異なるプライマリバンドが割り当てられている場合、STAは、それぞれの割り当てられているプライマリバンドで送信されるビーコンのみをリスンし、マルチバンドアナウンスメントフレームもそれぞれのプライマリバンドで送信されることも可能である。
【0030】
図4は、マルチバンド能力を通知する要素400である。例として、要素400は、マルチバンド能力要素とすることができ、次のフィールド、すなわち、要素ID(Element ID)、長さ(Length)、要素ID拡張(Element ID Extension)、サポートされるバンド(Supported Bands)、同時マルチバンド能力(Concurrent Multi-band Capabilities)、およびマルチバンドパワーセーブ(Multi-band Power Save)オプションサブ要素(例えば、サポートされるチャネル(Supported Channels)、サポートされる動作クラス(Supported Operating Classes)、電力能力要素(Power Capability Element)など)のうちの1つ以上を含む。
【0031】
同時マルチバンド能力要素は、APのマルチバンド能力を通知するために、APによってビーコンフレーム、プローブ応答フレーム、アソシエーション応答フレームなどに含められる。一方で、同時マルチバンド能力要素は、非AP STAのマルチバンド能力を示すために、非AP STAによってプローブ要求フレーム、アソシエーション要求フレームに含められる。
【0032】
「サポートされるバンド」ビットマップ402は、マルチバンドデバイスによってサポートされる周波数バンドを示す。同時マルチバンド能力フィールド404は、デバイスが同時に動作できるバンドを示す。
【0033】
例示的な一実装形態において、非AP STAに、パワーセーブ方式(本開示では「マルチバンドパワーセーブ方式」と呼ばれる)が提供され、この場合、マルチバンド非AP STAは、デフォルトにおいて1つのバンドで動作し、残りのバンドについては送信/受信に関与するときにのみアクティブにすることによって、電力を節約する。マルチバンド非AP STAは、マルチバンド非AP STAがマルチバンドパワーセーブ動作をサポートするかどうかをマルチバンドパワーセーブフィールド406の中で示すのに対し、マルチバンドAP STAは、マルチバンドAP STAがマルチバンドパワーセーブ動作を提供するかどうかをマルチバンドパワーセーブフィールド406の中で示す。
【0034】
図5は、マルチバンド設定情報をマルチバンドSTAにシグナリングするためにAPによって使用される要素500である。例として、要素500は、マルチバンド要素とすることができ、次のフィールド、すなわち、要素ID、長さ、マルチバンド制御(Multi-band Control)、バンドID(Band ID)、およびバンド設定(Band Configuration)のうちの1つ以上を含む。バンド設定フィールド510は、初期設定中にマルチバンド要素500に含められるときには、バンドIDフィールド504によって識別されるバンドに割り当てられるカテゴリを示す。APは、STAのプライマリバンド/セカンダリバンドを設定するために、アソシエーション応答フレームまたは他の管理フレームに1つ以上のマルチバンド要素500を含めることができる。UL/DLフィールドは、バンドに対するデフォルトの制限(例えば、アップリンクのみ、もしくはダウンリンクのみ、または制限なし)を示すために使用されてよい。バンド設定フィールド510は、マルチバンドアナウンスメントフレームに含められるときには、バンド(プライマリ、もしくはセカンダリ1、またはセカンダリ2)を識別するためにのみ使用されるが、UL/DLフィールドが、バンドのデフォルトのUL/DL設定をオーバーライドする(上書きする:override)ために使用されてよい。
【0035】
APが各周波数バンドにおいて別個のBSSを維持するマルチバンドBSSにおいては、用語「バンド」および「BSS」は、交換可能に使用されてよい(例えば、2.4GHzバンドは、2.4GHzバンドにおけるBSSも意味する)。バンド/BSSが設定されると、プライマリ/セカンダリ(Primary/Secondary)フィールドに用いられた符号化を、後続のフレーム交換におけるバンド/BSSを指すために用いることもできる(例えば、プライマリバンド/BSSとして割り当てられた2.4GHzバンド/BSSを指すために0が用いられるなど)。
【0036】
プライマリバンドは、重要な制御フレームおよび管理フレームを運ぶために使用されるので、サービス中断の可能性がほとんどない良好な品質のチャネル(干渉が最も少ない、スペクトル共有がないなど)を有するバンドが、プライマリバンドとして選択されるべきである。APは、(例えば負荷バランシングを目的として)異なるSTAに異なるプライマリバンドを割り当てることが可能であるが、ほとんどの配備では、動作を容易にするために、すべてのSTAが同じプライマリバンドに割り当てられることが予期される。また、通常動作中には、プライマリ/セカンダリ設定は、BSSの存続期間にわたり持続することが予期されるが、特殊な状況下(プライマリバンドにおけるチャネル状態が予期せず悪化するなど)では、APは、要素500を運ぶフレームをSTAに送信することによって、STAのバンド設定を変更することができる。アソシエーションされているすべてのSTAの設定が変更される必要があるときには、要素500は、ビーコンフレームなどのブロードキャストフレームにおいて通知されてもよい。
【0037】
図6は、例示的な一実施形態に係る、アクションフレームとしてのマルチバンド(MB)アナウンスメントフレーム600を示している。フレーム600は、次のフィールド、すなわち、フレーム制御(Frame Control)、持続時間(Duration)、アドレス1(Address 1)、アドレス2(Address 2)、アドレス3(Address 3)、シーケンス制御(Sequence Control)、およびHT制御(HT Control)のうちの1つ以上を有するMACヘッダ610を含む。フレーム600は、次のフィールド、すなわち、カテゴリ(Category)、EHTアクション(EHT Action)、共通情報(Common Info)、STA情報(STA Info)(1つ以上のこのようなフィールドが存在しうる:STA情報1(STA Info 1),STA情報2(STA Info 2),...,STA情報N(STA Info N))、およびFCSのうちの1つ以上を有するフレーム本体620をさらに含む。
【0038】
カテゴリフィールド630は、EHTアクションフレームを示す値に設定されてよい。EHTアクションフィールド640は、マルチバンドアナウンスメントアクションフレームを示す値に設定されてよい。共通情報フィールド650は、1つ以上の示されるバンドにおいて送信の開始が予期される時刻を示す送信時刻(TT:Transmission time)フィールド652を含むことができる。STA情報フィールド(例えば、STA情報1フィールド660)は、次のサブフィールド、すなわち、(i)STA ID 662(送信に関与するSTAを識別する(例えば、STAのAID12))、(ii)バンドビットマップ(Band Bitmap)664(送信用の周波数バンドを識別する(例えば、周波数バンドあたり1ビットである、3ビットのビットマップ))、(iii)UL/DL(送信が、ULであるか(トリガーなし、許可される場合)、もしくはDLであるか、または制限なしであるかを示す)、(iv)RU割当て(RU Allocation)668(複数のSTAをアドレッシングするマルチバンドアナウンスメントフレームに応じてUL MU ACKフレームを送信するために使用されるOFDMA RU、そうでない場合には予約(Reserved))を含むことができる。
【0039】
MBアナウンスメントフレームは、単独で送信されることもあるし、データまたは管理フレームと集約されることもある。単独で送信されるときには、そのチャネルアクセスに対して、最も高いAC(例えばAC_VO)を使用することができる。
【0040】
マルチバンドアナウンスメントフレーム600を使用する有利な効果としては、必要なときにのみマルチバンドを使用することによってSTAの電力が節約されること、および、各バンドにおける基本挙動の変更が最小限であることが挙げられる。
【0041】
[「アクティブ持続時間」を有するマルチバンドアナウンスメントフレーム]
一代替実装形態において、マルチバンドアナウンスメントフレームは、「アクティブ持続時間(Active Duration)」も示し、これは、STAがセカンダリバンドをアクティブにするべき持続時間である。「アクティブ持続時間」は、予測可能なバーストを含むバースト性トラフィックの場合に有利でありうる。STAは、「アクティブ持続時間」の間、セカンダリバンドをアクティブに維持する。シングルバンドSTAは、「アクティブ持続時間」の間のみ、セカンダリバンドをリスンすることができる。1つのSTAへのマルチバンドDL送信を同期させることもできる(同時に開始および終了する)。いずれか1つのバンドにおいてバックオフカウンタが0に達した場合、それ以外の他のバンドにおいてその時刻の前にアービトレーションフレーム間間隔(AIFS:Arbitration Inter-frame Space)にわたりチャネルがアイドルである限り、そのバンドにおいてDL送信が許可される。すべての送信が同時に終了するように、データがバンドにわたって分散される。
【0042】
「アクティブ持続時間」の間に、複数のマルチバンド送信機会(TXOP)が生じることがある。APは、必要な場合に「アクティブ持続時間」を早期に終了させることもできる。
図7は、例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示している。
図7を参照すると、「アクティブ持続時間」は、参照符号701で表されている。APは、プライマリバンドでMBアナウンスメントフレームを送信することによって、次回のマルチバンド送信TXOPすべてを示さない。そうではなく、APは、MBアナウンスメントフレーム702を使用して、開始時刻710から始まるアクティブ持続時間をSTAに示し、アクティブ持続時間の間、STAは、セカンダリバンドの自身の無線機をアクティブ状態に維持することが予期される。MBアナウンスメントフレーム702は、この期間の間、バンドのデフォルトのUL/DL設定をオーバーライドする(上書きする)こともできる(例えば、セカンダリバンド2をDLのみに制限し、一方で、セカンダリバンド1ではDLおよびULの両方を許可する)。主たる恩恵として、この期間の間、すべてのアクティブなバンドを通じて複数の送信をスケジューリングすることができ、APがトラフィックパターンに関して良好に認識しているとき(例えばストリーミングビデオの場合)に有用でありうる。
【0043】
時刻710において、APは、DL PPDU 714、716、および718から構成される、STA1へのマルチバンドDL送信712をスケジューリングし、この送信は、時間同期されている、すなわち、このマルチバンド送信は、3つのバンドすべてにおいて同時に開始および終了する。これを達成するためには、802.11 EDCAチャネルアクセスルールが変更される必要がある。APは、各バンドのプライマリ20MHzチャネルにおけるCSMA/CAチャネルアクセスを実行することによって、3つのバンドすべてにおけるチャネルの競合(contending)を開始し、このことは、[アクセスカテゴリ(AC)に固有のAIFS]+[バックオフスロットの乱数(バックオフカウンタによって決まる)]という持続時間にわたり、各バンドのプライマリ20MHzチャネルがアイドルであることを確実にすることを伴う。プライマリバンドのプライマリ20MHzチャネルのバックオフカウンタが最初に時刻720において0に達すると仮定すると、それ以外の他のバンドでマルチバンド送信を開始するためには、APは、その時刻の前に、そのバンドで送信されるフレームのプライマリACに対応するAIFSの持続時間にわたり、それ以外の他のバンドのプライマリ20MHzチャネルがアイドルであったことを保証することが必要であるのみである。任意のバンドにおけるセカンダリチャネルを含めるルールは変更されないままである、すなわち、セカンダリチャネルは、ワイドバンド送信に含めるのに適格であるとみなされるPIFSにわたりアイドルである必要があるのみである。このため、PPDU 716におけるフレームのACがAC_VOである場合、セカンダリバンド1におけるプライマリ20MHzチャネルは、時刻720の前に、AIFS[AC_VO]724=AIFSN[AC_VO]×aSlotTime+aSIFSTimeにわたりアイドルである必要がある。同様に、PPDU 714におけるフレームのACがAC_VIである場合、セカンダリバンド2におけるプライマリ20MHzチャネルは、時刻720の前に、AIFS[AC_VI]722=AIFSN[AC_VI]×aSlotTime+aSIFSTimeにわたりアイドルである必要がある。いずれかのバンドにおけるプライマリ20MHzチャネルが、必要な持続時間にわたりアイドルではない場合には、そのバンドは、マルチバンド送信の対象として考慮されない。複数の周波数バンドを通じた同期送信は、物理レイヤ(PHY)アグリゲーションとみなされてよく、マルチバンド送信は、マルチバンドPHYプロトコルデータユニット(PPDU)において運ばれてよい。マルチバンドPPDUは、PHYヘッダ内の明示的なフィールドによって、別個のPPDUタイプとして識別されることもあるし、例えば複数の周波数バンドにまたがる帯域幅フィールドによって、暗黙的に識別されることもある。また、マルチバンドPPDUの送信がいずれか1つのバンドにおいて失敗した場合、それ以外の他のバンドにおいて送信が成功したとしても、そのマルチバンドPPDUの送信は失敗したとみなされ、関与するすべてのバンドにおいてアクセスカテゴリ(AC)についてのコンテンションウィンドウ(CW:Contention Window)が2倍になる(CWmaxに達するまで)。すべてのバンドにおける送信が成功した場合にのみ、ACについてのコンテンションウィンドウ(CW)はCWminにリセットされる。
【0044】
次いで、時刻730において、APは、マルチバンド送信732をスケジューリングする。マルチバンド送信732は、セカンダリバンド2でのSTA3へのDL PPDUと、セカンダリバンド1でのSTA2からのスケジューリングされたUL PPDUと、プライマリバンドでのSTA1からのスケジューリングされたUL PPDUと、を含む。スケジューリングされたUL PPDUは、それぞれのバンドにおいてトリガーフレームを送信することによって、APによってシグナリングされる。
【0045】
APは、このシグナリング方法を用いて、セカンダリバンド2でのDL送信740とセカンダリバンド1での対応するUL送信742とから構成される、STA2へのFDD送信をサポートすることもできる。この場合、UL送信742は、DL送信740に対する上位レイヤ肯定応答(例えばTCP ACK)とすることができる。FDD送信316C(
図3を参照)との主たる違いは、DL送信およびUL送信の両方が1つのTXOPに限定されず、複数のTXOPにまたがってよいことである。
【0046】
APは、すべてのDLフレームの送信を完了すると、STAが時刻752においてバンドを非アクティブにすることができるように、セカンダリバンド2に対応するアクティブ持続時間フィールド820(
図8を参照)が0に設定されたMBアナウンスメントフレーム750を送信することができる。
【0047】
最後に、スケジューリングされたUL送信754を完了した後、すべてのSTAが、アクティブ持続時間の終了時である時刻760において、セカンダリバンド1を非アクティブにする。この例は、すべてのセカンダリバンドに対して同じアクティブ持続時間値を示しているが、APは、個々のセカンダリバンドのアクティブ持続時間値をカスタマイズすることもできる。MBアナウンスメントフレーム702に含まれていないSTAは、プライマリバンドでのみ動作を継続することができ、セカンダリバンドの自身の無線機を非アクティブ状態に維持したままとすることができる。
【0048】
図8は、例示的な一実施形態に係るマルチバンドアナウンスメントフレーム800を示している。マルチバンドアナウンスメントフレーム800を使用する1つの有利な効果として、情報が周波数バンドに応じて配置されることが挙げられる。フレーム800は、開始時刻(Start Time)フィールド852を含む共通情報フィールド850を含み、開始時刻フィールド852は、セカンダリバンドがアクティブであると予期される時刻を示す。フレーム800は、1つ以上のバンド情報(Band Info)フィールド(例えば、バンド情報1(Band Info 1)、バンド情報2(Band Info 2)、バンド情報3(Band Info 3))をさらに含む。各バンド情報フィールドは、特定のバンドに関連する次のサブフィールド、すなわち、(i)バンド設定(Band Config)、(ii)アクティブ持続時間、(iii)STAカウント(STA Count)、および(iv)STA情報のうちの1つ以上を含む。バンド設定サブフィールド810は、バンド設定フィールド510(
図5を参照)と同じとすることができ、送信用の周波数バンド(プライマリまたはセカンダリ)、および、バンドのUL/DL制限(存在する場合)を識別する。
【0049】
アクティブ持続時間サブフィールド820は、そのバンド情報フィールドに含まれるSTAが、バンド設定フィールド810によって識別されるバンドをアクティブにするべき持続時間を示す。バンドに対する現在有効なアクティブ持続時間の早期終了を示すために、このサブフィールド820を0に設定することができる。この情報は、バンドにおけるトラフィックの協調的スケジューリングを実行するために、マルチバンドアナウンスメントフレームを受信する近傍APによって使用されてもよい。
【0050】
STAカウントサブフィールドは、このバンドでの送信に割り当てられるSTAの数を示す。
【0051】
1つ以上のSTA情報サブフィールドが存在しうる。各サブフィールドは、さらなるサブフィールドである、(a)STA IDおよび(b)RU割当てを含むことができる。STA IDは、送信に関与するSTAを識別する(例えばAID12)。
【0052】
RU割当てについては、複数のSTAをアドレッシングするマルチバンドアナウンスメントフレームに応じてUL MU ACKフレームを送信するために使用されるOFDMA RUであり、そうでない場合には予約である。
【0053】
マルチバンドアナウンスメントフレーム800では、主たる違いは、情報がバンドごとに配置されること、および、STAがセカンダリバンドをアクティブにするべき持続時間が、アクティブ持続時間フィールド820においてAPによって明示的にシグナリングされることであり、これにより、各アクティブ持続時間中に複数のマルチバンド送信TXOPが可能になる。
【0054】
[非専用フレーム内で示されるSTAへのマルチバンド送信]
別の代替実装形態において、専用フレームを使用する代わりに、STAへの次回のマルチバンド送信が、(いずれかのバンドで)STAに送信される別のフレーム内で示される。例えば、マルチバンドA制御(A-Control)フィールド(MB制御)が定義される(例えば、高効率(HE)A制御(High Efficiency (HE) A-Control)フィールドの、予約されている制御ID値を使用する)。任意のアクティブなバンドを使用して、次回のマルチバンド送信を示すことができる。マルチユーザ(MU)PPDUは、2つ以上のMB制御(MB-Control)フィールド(ユーザあたり最大1つ)を運ぶことができる。この代替実装形態の1つの有利な効果として、マルチバンドに関連する制御信号オーバーヘッドがさらに低減されることが挙げられる。
図9は、次のフィールド、すなわち、制御ID(Control ID)および制御情報(Control Information)のうちの1つ以上を含むマルチバンドA制御(multi-band A-Control)フィールドである。制御情報フィールドは、次のサブフィールド、すなわち、(i)送信時刻オフセット(TTO:Transmission Time Offset)、(ii)バンド設定のうちの1つ以上を含む。TTOフィールドは、1つ以上の示されるバンドにおいて送信の開始が予期される時刻オフセットを示す。0に設定された場合、送信時刻は、[SIFS]+[A制御フィールドを運ぶフレームに対するACKの終了時]として、暗黙的に設定される。1つ以上のバンド設定フィールドが存在しうる。各フィールドは、送信用の周波数バンド、および、バンドのUL/DL制限(存在する場合)を識別する。MB制御フィールドは、データフレームおよび管理フレーム(ユニキャスト)内で運ばれてよく、ホストフレーム内でアドレッシングされたSTAへの次回のマルチバンド送信に関する情報をシグナリングする。
【0055】
これに代えて、制御情報は、この目的のために定義される新しいMB制御要素の中で運ばれてもよい。しかしながら、この場合、MB制御情報は、管理フレーム内でのみ運ばれてよいだけである。
図10は、この代替実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示している。STA1にアドレッシングされてプライマリバンドで送信されるDL PPDU 1010は、時刻1012においてセカンダリバンド2でのDL送信をスケジューリングするMB制御フレームを運ぶ。STA1は、DL PPDU 1014の受信に間に合うように、時刻1012の前にセカンダリバンド2をアクティブにする。この時点で、APからの他のフレームが予期されない場合、STA1は、さらに電力を節約するために、プライマリバンドの無線機を非アクティブにすることもできる。DL PPDU 1014は、別のDL送信についてセカンダリバンド2をスケジューリングし、かつ、UL送信についてセカンダリバンド1をスケジューリングするMB制御フィールドを運ぶ。したがって、STA1は、DL PPDU 1020を受信するためにセカンダリバンド2をアクティブにしたままとし、また、UL PPDU 1022を送信するためにセカンダリバンド1もアクティブにする。DL PPDU 1020は、別のUL送信についてセカンダリバンド1をスケジューリングするMB制御フィールドを運び、したがって、STA1は、セカンダリバンド1をアクティブにしたままにし、その一方で、セカンダリバンド2ではさらなる送信がスケジューリングされていないためセカンダリバンド2を非アクティブにする。STA1は、UL PPDU 1030のUL送信を完了すると、セカンダリバンド1を非アクティブにし、プライマリバンドをアクティブにする。次いで、STA1およびSTA2へのDLフレームを運ぶMU DL PPDU 1040がAPによって送信される。PPDU 1040は、時刻1042においてSTA1およびSTA2からのトリガーされたマルチユーザ(MU)アップリンク送信についてセカンダリバンド1をスケジューリングする2つのMB制御フィールドを運ぶ。時刻1042において、STA1およびSTA2は、APからのトリガーフレームを待つためにセカンダリバンド1の無線機をアクティブにし、プライマリバンドの無線機を非アクティブにすることもできる。STA1およびSTA2は、それぞれのUL PPDU 1044を送信すると、時刻1046において、セカンダリバンド1の無線機を非アクティブにし、プライマリバンドの無線機を再びアクティブにする。
【0056】
[マルチバンドパワーセーブ(Multi-band Power Save)フレーム]
さらに別の代替実装形態において、セカンダリバンドの有効化/無効化が、非AP STAによって開始される。STAのバッファにおいて、APに送信するアップリンクデータをSTAが有しているとき、STAは、マルチバンド送信のタイミングを決定するうえで良好な立場にありうる。このような場合、セカンダリバンドの有効化/無効化が非AP STAによって開始されることがより実用的でありうる。STAは、セカンダリバンドの有効化/無効化を開始し、MBパワーセーブ(MB Power Save)フレームを使用してAPに報告する。セカンダリバンドは、別のMBパワーセーブフレームが送信されるまで有効化/無効化されたままである。プライマリバンドは常にアクティブである。
図11は、この代替実施形態に係る例示的なマルチバンド送信を示している。
図11では、5GHzのバンドが、STAのプライマリバンドとして設定されているのに対し、2.4GHzおよび6GHzのバンドがセカンダリバンドである。STAのバッファにおいて、大きなULトラフィックをSTAが有しているとき、STAは、マルチバンド送信の利用を望むことがある。STAは、マルチバンド送信を行うために、セカンダリバンドをアクティブにし、MBパワーセーブフレーム1102を送信することによって新しい状態をAPに報告することができ、MBパワーセーブフレーム1102は、STAのULバッファ状態を報告することもできる。STAは、最初のMBパワーセーブフレームに対するACKフレームを受信した後、遅くとも時刻1110までにセカンダリバンドの無線機をアクティブにすることが予期される。続いて、STAは、マルチバンド送信1120および1130を行い、その後、別のMBパワーセーブフレーム1140を送信して、セカンダリバンドを非アクティブにする意図を示す。2番目のMBパワーセーブフレーム1140に対するACKフレームを受信すると、STAは、時刻1150においてセカンダリバンドを非アクティブにすることに進むことができる。
【0057】
図12Aは、例示的な一実施形態に係る、STAのバンドの状態をAPに報告するためにSTAによって使用されるマルチバンド(MB)パワーセーブフレーム1200を示している。この実施形態の1つの有利な効果として、STAがより制御されることが挙げられる。フレーム1200は、次のフィールド、すなわち、フレーム制御、持続時間、アドレス1、アドレス2、アドレス3、シーケンス制御、およびHT制御のうちの1つ以上を有するMACヘッダ1210を含む。フレーム1200は、次のフィールド、すなわち、カテゴリ、EHTアクション、MBパワーセーブ(MB Power Save)、およびFCSのうちの1つ以上を有するフレーム本体1220をさらに含む。カテゴリフィールド1222は、EHTアクションフレームを示す値に設定される。EHTアクションフィールド1224は、MBパワーセーブを示す値に設定される。MBパワーセーブフィールド1226は、2つのサブフィールドである、(a)バンド情報および(b)バッファ状態(Buffer Status)を含む。バンド情報サブフィールド1212は、周波数バンドの状態を識別する(例えば、周波数バンドあたり1ビットであり、1=有効、0=無効である、3ビットのビットマップ)。バッファ状態サブフィールド1214において、STAは、APがアップリンクリソース割当てをスケジューリングするのを支援するために、STAのバッファの状態をAPに報告することもできる。
【0058】
これに代えて、STAは、バンドの状態の変化をAPに示すために、マルチバンド動作モード(OM)制御(Multi-band Operating Mode (OM) Control)フィールドを有効なULフレームに含めてもよい。
図12Bは、STAが上記に代えて使用して(任意の有効なULフレームに含めることによって)同じ結果を達成することができるMB動作モード(OM)制御フィールドのフォーマットを示している。この実施形態の1つの有利な効果として、STAがより制御されることが挙げられる。
【0059】
[パワーセーブ(PS)電力管理(Power Save (PS) Power Management)モード]
ここまでの説明では、マルチバンドSTAがアクティブ電力管理(Active Power Management)モードで動作しているものと想定しており、このモードでは、ほとんどの場合に、プライマリバンドの無線機が常にアクティブにされている。しかしながら、代替実装形態において、STAがパワーセーブ(PS)電力管理(Power Save (PS) Power Management)モードで動作してもよいことが可能であり、このモードでは、プライマリバンドの無線機でさえも、ほとんどの時間にわたりドーズ状態にすることができ、フレームを受信および送信するためにのみアウェイク状態に移行する。PSモードで動作しているマルチバンドSTAのすべてのバンドの無線機のアウェイク状態およびドーズ状態が同期して動作する(すなわち、すべてのバンドが同時にアウェイク状態またはドーズ状態に遷移する)ならばより単純であるが、省電力の観点から、各バンドが独立してアウェイク状態およびドーズ状態に変化できるならばより良好である。
【0060】
[オプション1:レガシーパワーセーブ(PS)モードの使用]
このオプションは、マルチバンドパワーセーブ動作がレガシーPSモードと一緒に用いられる例である。
図13は、例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示している。STAは、STAがPSモードに切り替わることをAPに通知するために、フレーム制御フィールド内の電力管理(PM:Power Management)ビットが1に設定された有効なULフレーム1302を送信する。マルチバンドSTAの場合、STAのPSモードは、すべてのバンドに適用されてよい、すなわち、ULフレーム1302に対するACKフレームを受信すると、すべてのバンドがドーズモードに遷移してよい。これにより、APがSTAの電力管理モードを追跡するのがより容易になる。これに代えて、STAのPSモードをバンドに固有にすることも可能であり、STAは、各バンドについて、当該バンドをドーズ状態に移行させる意図をAPに通知するために、1に設定されたPMビットを独立して送信する必要がある。この場合、APは、マルチバンドSTAの各バンドの電力管理モードを追跡する必要がある。
【0061】
STAは、TBTT(ターゲットビーコン送信時刻:Target Beacon Transmission Time)において、ビーコンフレーム1304を受信するためにプライマリバンドの無線機をアウェイク状態に変更する。STAがドーズ状態にあった間にSTA宛のバッファされているDLトラフィックをAPが有している場合、APは、ビーコン内のTIM(トラフィック指示情報マップ:Traffic Indication Map)要素の中で、STAに対応するビットをセットする。STAは、バッファされているトラフィックをAPに要求するために、PSポールフレーム1306を送信する。STA宛のバッファされているトラフィック(BU)の量が大きい場合、APは、STAへのマルチバンド送信をスケジューリングすることを選択することができ、この場合、APは、MBアナウンスメントフレーム1310を送信する。フレーム1310は、
図14におけるフレーム1400とすることができ、マルチバンド送信1320がDL PPDU 1322、1324、および1326から構成されていることを示す。ドーズ状態にある無線機は、(無線機が完全に非アクティブにされている場合と比較して)ずっと短時間でアウェイク状態に遷移することができるため、PSモードで動作しているSTAの場合、送信時刻フィールドは、0に設定されてもよいし、MBアナウンスメントフレームに含められなくてもよく、この場合、アドレッシングされるSTAは、UL ACKフレームの送信が終了してから一定の持続時間(例えば、1つのSIFS/PIFS)の後に、示されるバンドすべてにおいて受信できる状態にあることが予期される。この恩恵として、APは、チャネルにおける競合にすでに勝っておりチャネルアクセス遅延をスキップするので、APは、時刻1312(ACKフレームが終了してからSIFS/PIFSの後)においてプライマリバンドでDL PPDU 1326の送信をただちに開始することができることが挙げられる。セカンダリバンドにおいても、時刻1312の前にAIFS[AC]にわたりチャネルがアイドルであった場合、時刻1312において送信を開始することができる(ここで、[AC]は、それぞれのバンドにおいてPPDUにおいて運ばれるフレームのアクセスカテゴリを意味する)。APは、プライマリバンドでSTAに送信するさらなるデータをAPが有することをSTAに示すために、DL PPDU 1326によって運ばれるフレームの中で、フレーム制御フィールド内のさらなるデータ(MD:More Data)ビットを1に設定する。したがって、STAは、引き続きアウェイク状態にとどまって、APがプライマリバンドでSTAにさらなるDL PPUDを送信しないことを示す、MDビットが0に設定されているDL PPDU 1328を受信し、その後、STAは、プライマリバンドの無線機をドーズ状態に変更する。同様に、STAは、DL PPDU 1322および1324(いずれのPPDUも、0に設定されているMDビットを運ぶ)を受信した後、それぞれのバンドの無線機をドーズ状態に変更することができる。これに代えて、単純にするために、セカンダリバンドにおけるアウェイク状態とドーズ状態との間の遷移を、プライマリバンドと同期させることも可能である。
【0062】
同様に、ビーコン1330およびマルチバンド送信1340についても、上の説明があてはまる。
【0063】
ビーコンフレーム1350において、STAのTIMビットはセットされておらず、したがって、STAはセカンダリバンドの無線機をアウェイク状態に変更する必要がなく、プライマリバンドにおいてただちにドーズ状態に変更することができる。
【0064】
図14は、例示的な一実施形態に係るマルチバンドアナウンスメントフレーム1400を示している。ほとんどの関連するフィールドは、バッファ状態(Buffer Status)フィールド1420を除いてマルチバンドアナウンスメントフレーム600(
図6を参照)と同じであるが、主たる違いは、マルチバンドアナウンスメントフレーム1400が制御(Control)フレームであることである。制御フレームは、サイズが小さく、通常では、よりロバストな変調方式で送信され、これにより、効率および信頼性が向上する。
【0065】
受信機アドレス(RA:Receiver Address)フィールド1410は、フレームに2つ以上のSTA情報フィールドが含まれている場合には、ブロードキャストアドレスとして設定され、そうでない場合には、1つのSTA情報フィールドにおいてシグナリングされるSTAのMACアドレスとして設定される。バッファ状態フィールド1420は、APによって記憶されているSTA宛のDLトラフィックの量を示すために、APによって使用されてよい。この情報は、STAがセカンダリバンドのアクティブ化/非アクティブ化をより良好に計画することを支援することができる。例えば高DLバッファの場合、STAは、APがマルチバンド送信をより頻繁に利用するものと予期することができ、より長い期間にわたりセカンダリバンドをアクティブにしたままにすることを予め選択することができる。マルチバンドアナウンスメントフレーム600とのもう1つの違いは、送信時刻(TT)フィールド1430が、0に設定されている、または、MBアナウンスメントフレームに含まれない場合、アドレッシングされるSTAは、UL ACKフレームの送信が終了してから一定の持続時間(例えば、1つのSIFS/DIFS)の後に、示されるバンドすべてにおいて受信する準備ができていると予期されることである。
【0066】
[オプション2:MB TIM要素およびMB PSポールフレームの使用]
図15は、例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示している。
図15は、
図13に示されている、STAへのマルチバンド送信に似ているが、MB TIM要素およびMB PSポールフレームが使用されており、APが異なるバンドにおいて別個のBSSを動作させる場合、APは、STA宛のデータを、各BSS(バンド)において、それ以外の他のBSS(バンド)とは独立してバッファすることができる。APは、STA宛のバッファされているユニット(BU:Buffered Unit)を、それぞれのバンドで送信されるビーコンフレーム内で運ばれるTIM要素を通じて示すことが可能であるが、前述したように、電力を節約するために、非AP STAが、プライマリBSS(バンド)で送信されるビーコンフレームのみをリスンすることが有利である。
【0067】
STAは、ULフレーム1502を使用して電力管理モードの変更を示すときに、このフレームにMB OM制御(MB OM Control)フィールド1510を含め、バンド情報フィールド1212(
図12を参照)を使用して、STAが3つのバンド/BSSすべてにおいてPSモードへの変更を望むことを示す。STAは、ACKフレームを受信すると、3つのバンド/BSSすべてにおいてドーズ状態に移行することに進む。
【0068】
STAは、プライマリBSSのTBTT(ターゲットビーコン送信時刻)において、プライマリBSSのビーコンフレームを受信するためにプライマリバンドの無線機をアウェイク状態に変更する。APは、(プライマリBSSにおけるBUを示すための)通常のTIM要素とは別に、APが2つのセカンダリBSSにおいてSTA宛のBUを有することを示すために、ビーコンフレームに2つのMB TIM要素1512をさらに含め、これは、APがSTAへのマルチバンド送信1520を開始しうることを暗黙的に示す。STAは、MB PSポール(MB PS-Poll)フレーム1506を送信することによって応答する。このフレーム1506の中のバンド情報フィールド1660(
図16を参照)は、STAが3つのバンドすべてでBUを受信できる状態であるように3つのバンドすべての無線機がアウェイク状態にあることを示す。STAは、セカンダリBSSにおける自身の無線機が、遅くともMB PSポールフレーム1506が終了してからSIFSの後までに実際にアウェイク状態にあることを確実にする必要がある。次いで、APは、マルチバンド送信1520を行う。
【0069】
同様に、MB TIM要素1530は、APがプライマリBSSおよびセカンダリBSS 1においてSTA宛のバッファされているBUを有することを示す。STAは、セカンダリBSSにおける自身の無線機もアウェイク状態にあることを示すMB PSポールフレーム1532をもって応答する。次いで、APは、マルチバンド送信1540を行う。
【0070】
図16Aは、例示的な一実施形態に係るマルチバンドTIM要素1600である。マルチバンドTIM要素1600は、APがバンドIDフィールド1610によって示される別のバンドにおいてSTA宛のバッファされているユニット(BU)を有することを示すためにAPが使用する目的で定義されている。この要素1600は、APが異なるバンドにおいて別個のBSSを維持しており、異なるバンドにおいて独立してトラフィックをバッファしうるときに有用である。部分仮想ビットマップ(Partial Virtual Bitmap)1620は、STA宛のバッファされているユニット(BU)の存在を示すためにSTA AIDのビットマップを運ぶ。しかしながら、STAに、異なるBSSにおける(異なるバンドにおける)異なるAIDを割り当てることが可能であり、したがって、ビットマップにおけるSTAのビットの位置は、異なるバンドにおいて異なりうる。
【0071】
図16Bを参照すると、マルチバンドPSポール(multi-band PS-Poll)フレーム1650は、PSポールフレームのマルチバンドのバリエーションであり、異なるバンドの無線機の状態を示すためにSTAによって使用される追加のバンド情報フィールド1660を含む(例えば、周波数バンドあたり1ビットであり、1=アウェイク、0=ドーズである、3ビットのビットマップ)。PSポールフレームの主たる目的は、PSモードにあるSTAが、自身がアウェイク状態に遷移したことをAPに示すことである。マルチバンドPSポールフレームが、プライマリバンドでのみ送信されるとしても、STAは、バンド情報フィールド1660を使用して、異なるバンドの無線機の状態を示すことができる。
【0072】
[ターゲットウェイクタイム(TWT)を使用してのマルチバンド送信]
図17は、例示的な一実施形態に係る、STAへの例示的なマルチバンド送信を示している。
図17は、
図13に示されている、STAへのマルチバンド送信に似ているが、ターゲットウェイクタイム(TWT:Target Wake Time)機能がSTAによって使用されることを想定する。
【0073】
TWTセットアップネゴシエーション段階1710において、STAおよびAPは、TWTセットアップフレームにMB TWT要素1800(
図18を参照)を含め、バンドIDフィールド1810を使用して3つのバンドすべてにおいてTWT SPをセットアップする。これは、1つのバンドにおいてのみTWT SPをセットアップすることができるレガシーTWTセットアップとは異なる。
【0074】
STAは、TBTT(ターゲットビーコン送信時刻)において、ビーコンフレームを受信するためにプライマリバンドの無線機をアウェイク状態に変更する。APは、時刻1722から開始する、3つのバンドすべてにおけるブロードキャストTWT SPをSTAに対して割り当てたことを示すために、ビーコンフレームにMB TWT要素1720を含める。図示されていないが、APは、3つのバンド/BSSすべてにおいてSTA宛のBUを有することを示すために、ビーコンフレームにMB TIM要素1512を含めることもでき、これは、TWT SPの間にSTAへのマルチバンド送信1720を開始しうることを暗黙的に示す。時刻1722までの間隔が大きい場合、STAは、プライマリバンドの無線機をドーズ状態に再度移行させることを選択することもできる。示されるTWT SP開始時刻1722において、STAは、3つのバンドすべての無線機をアウェイク状態に遷移させ、3つのバンドすべてにおいてSTAの無線機がアウェイク状態にあり、3つのバンドすべてでBUを受信できる状態であることを示すために、各バンドにおいてPSポールフレームを送信する。次いで、APは、マルチバンド送信1720を行う。STAは、各バンドにおいてTWT SPの終了時にドーズ状態に再度移行することもあるし、バンドにおいてSTA宛のさらなるデータをAPが有していないことをAPが示す場合には、STAは、各バンドでの送信1720の終了時にドーズ状態に再度遷移することもある。
【0075】
同様に、MB TWT要素1730は、APがプライマリBSSおよびセカンダリBSS 1においてブロードキャストTWT SPをSTAに対して割り当てたことを示す。示されるTWT SP開始時刻1732において、STAは、2つのバンドの無線機をアウェイク状態に遷移させ、2つのバンドにおけるSTAの無線機がアウェイク状態にあることを示すために、各バンドにおいてPSポールフレームを送信する。次いで、APは、マルチバンド送信1740を行う。
【0076】
図18は、例示的な一実施形態に係るマルチバンド(MB)ターゲットウェイクタイム(TWT)要素1800を示している。MB TWT要素1800は、この要素が送信されるバンドとは異なる(バンドIDフィールド1810において示される)バンドにおけるTWTサービス期間(SP)をネゴシエートする/示すために定義されている。
【0077】
[ウェイクアップ無線(WUR)動作]
上記において、マルチバンドSTAによって使用されるパワーセーブ方式の特定の例が提供されているが、これらは網羅的であることを意図していない。マルチバンドパワーセーブ方式は、シングルバンド動作用に現在定義されているさまざまなタイプのパワーセーブ方式に対応することが想定されている。上記において、TIMベースのPSモードおよびTWT動作の場合のみが提供されているが、MBパワーセーブ方式は、マルチバンドSTAが、自動パワーセーブ機能(APSD:Automatic Power Save Delivery)、パワーセーブマルチポール(PSMP:Power Save Multi Poll)、空間多重(SM)パワーセーブ(Spatial Multiplexing (SM) Power Save)などの他のパワーセーブ方式を使用する場合にも、等しく良好に機能することができる。
【0078】
特に、マルチバンドSTAは、ウェイクアップ無線(WUR)動作をサポートすることもでき、コンパニオン低電力ウェイクアップ受信機(WURx:Wake-up Receiver)を実装している。このようなSTAは、WURモード動作をAPとネゴシエートした後であって、かつ、APからWURモード応答フレームを受信した後に、プライマリ接続無線機(PCR:Primary Connectivity Radio)すべてを、すべてのPCRバンドにおいてドーズ状態にし、WURxをオンにすることができる。次いで、STAは、APからWURウェイクアップフレームを受信すると、プライマリバンドのPCRをアウェイク状態に移行させる一方で、セカンダリバンドのPCRをドーズ状態のままにする。STAは、MBアナウンスメントフレームを受信した後、セカンダリバンドのPCRもアウェイク状態に移行させてマルチバンド送信に関与し、その後、マルチバンド送信の終了時にWURxアイドルリスニングに戻るようにWURxアイドルリスニングに切り替える。これが
図19に示されている。
【0079】
図20は、複数の異なる周波数バンド(n個のバンドとして示されており、nは2以上の整数)で動作するマルチバンド通信デバイス2000の簡略化されたブロック図である。アンテナ2010は、RF/アナログフロントエンド2012、PHY処理部2014、および下位MAC処理部2016を含む、バンド1におけるハードウェア/ソフトウェアに結合されている、かつ/または、このようなハードウェア/ソフトウェアと通信する。アンテナ2020は、RF/アナログフロントエンド2022、PHY処理部2024、および下位MAC処理部2026を含む、バンド2におけるハードウェア/ソフトウェアに結合されている、かつ/または、このようなハードウェア/ソフトウェアと通信する。アンテナ2030は、RF/アナログフロントエンド2032、PHY処理部2034、および下位MAC処理部2036を含む、バンドnにおけるハードウェア/ソフトウェアに結合されている、かつ/または、このようなハードウェア/ソフトウェアと通信する。
図20には、各周波数バンドにおいて1つのアンテナおよびバンドに固有の関連するブロックが示されているが、各周波数バンドにおいて複数のアンテナおよびバンドに固有の関連するブロック(例えば、空間ダイバーシチやマルチユーザMIMO(MU-MIMO)などに使用される)が存在することも可能である。下位MAC処理部2016/2026/2036は、互いに結合されており、かつ/または、互いと通信し、マルチバンドアダプテーション部2040を介して上位MAC処理部2050に結合されている、かつ/または、上位MAC処理部2050と通信する。マルチバンドアダプテーション部2040は、バンド設定回路2042を含む。
【0080】
非アクセスポイント(AP)ステーション(STA)を、マルチバンド通信デバイス2000によって表すことができる。したがって、マルチバンド通信デバイス2000は、1つ以上の送受信機回路を含むことができ、各送受信機回路は、動作中、異なる周波数バンドにおいて複数のチャネルでデータを送信および受信するハードウェアを含むことができる。このハードウェアは、アンテナ、RF/アナログフロントエンド、PHY処理部、および下位MAC処理部(例えば、バンド1におけるアンテナ2010、RF/アナログフロントエンド2012、PHY処理部2014、および下位MAC処理部2016)を含むことができる。バンド設定回路2042は、マルチバンドアクセスポイント(AP)から受信された設定情報に基づいて、1つ以上の送受信機回路のうちのいずれか1つの送受信機回路の設定を変更するように動作する。設定情報は、プライマリバンドとしての周波数バンドのうちの1つの周波数バンドと、1つ以上のセカンダリバンドとしての他の周波数バンドと、を指定することができる。プライマリバンドで動作する送受信機回路は、APと通信するためのデフォルトの回路として使用される。デフォルトの回路は、例えば、バンド1におけるアンテナ2010、RF/アナログフロントエンド2012、PHY処理部2014、および下位MAC処理部2016とすることができる。
【0081】
さらに、マルチバンドアクセスポイント(AP)ステーションを、マルチバンド通信デバイス2000によって表すこともできる。したがって、マルチバンド通信デバイス2000は、動作中、設定情報を含むデータを非アクセスポイントステーション(STA)に送信する送信機を含むことができる。送信機は、アンテナ、RF/アナログフロントエンド、PHY処理部、および下位MAC処理部(例えば、バンド1におけるアンテナ2010、RF/アナログフロントエンド2012、PHY処理部2014、および下位MAC処理部2016)などのハードウェアを含むことができる。さらに、マルチバンド通信デバイス2000は、動作中、STAから、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドのアウェイク状態またはドーズ状態を示すためのマルチバンドPSポールフレームを含むフレームを受信する受信機を含むことができる。同様に、受信機は、アンテナ、RF/アナログフロントエンド、PHY処理部、および下位MAC処理部(例えば、バンド1におけるアンテナ2010、RF/アナログフロントエンド2012、PHY処理部2014、および下位MAC処理部2016)などのハードウェアを含むことができる。バンド設定回路2042は、APにアソシエーションされているマルチバンド非AP STAの周波数バンドのプライマリ/セカンダリの指定を決定するように動作し、さらに、STAのバンドのアクティブ化/非アクティブ化の状態を追跡する。
【0082】
図21は、複数の異なる周波数バンド(n個のバンドとして示されており、nは2以上の整数)で動作するマルチバンド通信デバイス2100の詳細なブロック図である。バンド1ワイヤレスI/F 2150は、送信機/受信機2152に結合されており、かつ/または、送信機/受信機2152と通信し、MAC機能2154およびPHY機能2156を含む。バンド2ワイヤレスI/F 2160は、送信機/受信機2162に結合されており、かつ/または、送信機/受信機2162と通信し、MAC機能2164およびPHY機能2166を含む。バンドnワイヤレスI/F 2170は、送信機/受信機2172に結合されており、かつ/または、送信機/受信機2172と通信し、MAC機能2174およびPHY機能2176を含む。バンドワイヤレスI/F 2150/2160/2170は、互いに結合されており、中央処理装置(CPU)2130、メモリ2120、二次記憶装置2140、および有線通信I/F 2180に結合されている、かつ/または、互いと通信し、CPU 2130、メモリ2120、二次記憶装置2140、および有線通信I/F 2180と通信する。回路は、電源2110によって給電され、電源2110は、非APデバイスの場合には、バッテリとすることができ、APデバイスの場合には、ほとんどのケースでコンセント電源とすることができる。ブロック
図2100は、APデバイスおよび非APデバイスの両方に適用可能であるが、APデバイスにおいて使用される構成要素の各々は、非APデバイスにおいて使用される構成要素よりもずっと複雑であり強力でありうる。ブロック
図2100がAPデバイスに適用されるときには、CPU 2130は、APデバイスが送信を行う第1の周波数バンド(例えばバンド1)および少なくとも1つの他の周波数バンド(例えばバンド2)に関連するアクションを含むフレームを生成する。ブロック
図2100が非APデバイスに適用されるときには、CPU 2130は、APデバイスから受信されたフレームに応じてフレームを生成する。
【0083】
非アクセスポイント(AP)ステーション(STA)を、マルチバンド通信デバイス2100によって表すことができる。したがって、マルチバンド通信デバイス2100は、1つ以上の送受信機回路を含むことができ、各送受信機回路は、動作中、異なる周波数バンドにおいて複数のチャネルでデータを送信および受信するハードウェアを含むことができる。このハードウェアは、送信機/受信機、MAC機能、およびPHY機能(例えば、バンド1ワイヤレスI/F 2150における送信機/受信機2152、MAC機能2154、およびPHY機能2156)を含むことができる。マルチバンド通信デバイス2100は、マルチバンドアクセスポイント(AP)から受信された設定情報に基づいて、1つ以上の送受信機回路のうちのいずれか1つの送受信機回路の設定を変更するように動作するバンド設定回路をさらに含むことができる。バンド設定回路は、CPU 2130上で実行されるソフトウェアモジュールとして実装されてもよく、メモリ2120および二次記憶装置2140とインタラクトすることができる。設定情報は、プライマリバンドとしての周波数バンドのうちの1つの周波数バンドと、1つ以上のセカンダリバンドとしての他の周波数バンドと、を指定する。プライマリバンドで動作する送受信機回路は、APと通信するためのデフォルトの回路として使用される。デフォルトの回路は、例えば、バンド1ワイヤレスI/F 2150における送信機/受信機2152、MAC機能2154、およびPHY機能2156とすることができる。
【0084】
さらに、マルチバンドアクセスポイント(AP)ステーションを、マルチバンド通信デバイス2100によって表すこともできる。したがって、マルチバンド通信デバイス2100は、動作中、設定情報を含むデータを非アクセスポイントステーション(STA)に送信する送信機(例えば2152)を含むことができる。さらに、マルチバンド通信デバイス2100は、動作中、STAから、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドのアウェイク状態またはドーズ状態を示すためのマルチバンドPSポールフレームを含むフレームを受信する受信機(例えば2152)を含むことができる。バンド設定回路は、CPU 2130上で実行されるソフトウェアモジュールとして実装されてもよく、メモリ2120および二次記憶装置2140とインタラクトすることができる。
【0085】
図21において、下位MAC機能は、(ハードウェア/ファームウェアにおいて)ワイヤレスI/F内で実装されてもよいのに対し、マルチバンドアダプテーションレイヤおよび上位MAC機能は、ソフトウェアとしてCPU内に実装されてもよい。
【0086】
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることができるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブル・プロセッサを使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、LSIが将来の集積回路技術に置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0087】
他の例示的な実施形態は、以下の例を含むが、これらに限定されるものではない。
【0088】
1つ以上の送受信機回路であって、1つ以上の送受信機回路の各々は、動作中、異なる周波数バンドにおいて複数のチャネルでデータを送信および受信する、1つ以上の送受信機回路と、動作中、マルチバンドアクセスポイント(AP)から受信された設定情報に基づいて、1つ以上の送受信機回路のうちのいずれか1つの送受信機回路の設定を変更するバンド設定回路と、を含む。設定情報は、プライマリバンドとしての周波数バンドのうちの1つの周波数バンドと、1つ以上のセカンダリバンドとしての他の周波数バンドと、を指定する。プライマリバンドで動作する送受信機回路は、APと通信するためのデフォルトの回路として使用される。
【0089】
設定情報は、異なる周波数バンドの各々における複数のチャネルが、アップリンク通信に使用されるか、ダウンリンク通信に使用されるか、または双方向通信に使用されるかをさらに指定してもよい。
【0090】
マルチバンド通信デバイスがアクティブモードで動作しているとき、プライマリバンドで動作する送受信機回路はアクティブにされており、1つ以上のセカンダリバンドで動作する送受信機回路は非アクティブにされている。
【0091】
マルチバンドフレーム交換シーケンスの指示情報が、APから、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドにおいて受信されてもよく、バンド設定回路は、(i)マルチバンドフレーム交換シーケンスの開始に間に合うように、他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドで動作する送受信機回路をアクティブにし、(ii)マルチバンドフレーム交換シーケンスの完了時に他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドを非アクティブにするように動作してもよい。
【0092】
マルチバンドフレーム交換シーケンスの指示情報は、プライマリバンドおよび/またはアクティブであるいずれかの周波数バンドにおいて受信されてもよい。
【0093】
マルチバンドフレーム交換シーケンスの指示情報は、アクティブ持続時間をさらに指定してもよく、バンド設定回路は、指定されたアクティブ持続時間にわたり、他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドで動作する送受信機回路をアクティブ状態に維持するように動作してもよい。
【0094】
バンド設定回路は、(i)1つ以上のセカンダリバンドで動作する送受信機回路をアクティブにし、(ii)アクティブにされた周波数バンドをAPに報告するようにさらに動作してもよい。
【0095】
マルチバンド通信デバイスがパワーセーブ(PS)モードで動作しているとき、プライマリバンドで動作する送受信機回路は、1つ以上のセカンダリバンドのアウェイク状態またはドーズ状態とは無関係に、アウェイク状態またはドーズ状態に遷移してもよい。
【0096】
マルチバンド通信デバイスは、APから、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドにおいて、他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドにおけるバッファされているユニット(BU)の指示情報を受信するようにさらに動作してもよい。
【0097】
マルチバンド通信デバイスは、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドにおいて、他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドのアウェイク状態またはドーズ状態を示すためのフレームをAPに送信するようにさらに動作してもよい。
【0098】
マルチバンド通信デバイスは、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドにおいて、他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドにおけるターゲットウェイクタイム(TWT)サービス期間(SP)をネゴシエートするためのデータを含むフレームをAPと交換するようにさらに動作してもよい。
【0099】
マルチバンド通信デバイスは、APから、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドにおいて、他の周波数バンドのうちの少なくとも1つの周波数バンドにおいてマルチバンド通信デバイスに割り当てられたターゲットウェイクタイム(TWT)サービス期間(SP)の指示情報を含むビーコンフレームを受信するようにさらに動作してもよい。
【0100】
バンド設定回路は、APにアソシエーションするためにマルチバンド通信デバイスによって使用された周波数バンドをプライマリバンドとして指定するようにさらに動作してもよい。
【0101】
マルチバンドアクセスポイント(AP)であって、動作中、設定情報を含むデータをマルチバンド非アクセスポイントステーション(STA)に送信する送信機であって、STAは、異なる周波数バンドにおいて複数のチャネルでデータを送信および受信するように動作し、設定情報は、プライマリバンドとしての周波数バンドのうちの1つの周波数バンドと、1つ以上のセカンダリバンドとしての他の周波数バンドと、を指定し、プライマリバンドは、APと通信するためのデフォルトのバンドとしてSTAによって使用される、送信機を含むマルチバンドアクセスポイント(AP)。
【0102】
マルチバンドアクセスポイント(AP)は、周波数バンドのうちのどの周波数バンドがプライマリバンドまたはセカンダリバンドとして指定されるかを決定し、決定に基づいて設定情報を生成し、周波数バンドの各々のアクティブ化/非アクティブ化の状態を追跡するように動作するバンド設定回路をさらに含んでもよい。
【0103】
マルチバンドアクセスポイント(AP)は、動作中、STAから、周波数バンドのうちの1つの周波数バンドのアウェイク状態またはドーズ状態を示すためのマルチバンドPSポールフレームを含むフレームを受信する受信機をさらに含んでもよい。
【0104】
送信機は、動作中、プライマリバンドにおいて、1つ以上のセカンダリバンドのうちの少なくとも1つのセカンダリバンドにおいてSTAに割り当てられたターゲットウェイクタイム(TWT)サービス期間(SP)の指示情報を含むビーコンフレームをさらに送信してもよい。
【0105】
設定情報は、プライマリ基本サービスセット(BSS)としてのプライマリバンドにおけるBSSと、セカンダリBSSとしての1つ以上のセカンダリバンドにおけるBSSと、をさらに指定してもよい。
【0106】
非アクセスポイントステーション(STA)によって、アクセスポイント(AP)から設定情報を受信するステップであって、STAは、STAの1つ以上の送受信機回路を使用して、異なる周波数バンドにおいて複数のチャネルでデータを送信および受信するように動作する、ステップと、STAのバンド設定回路によって、受信された設定情報に基づいて、1つ以上の送受信機回路のうちのいずれか1つの送受信機回路の設定を変更するステップであって、設定情報は、プライマリバンドとしての周波数バンドのうちの1つの周波数バンドと、1つ以上のセカンダリバンドとしての他の周波数バンドと、を指定し、プライマリバンドは、APと通信するためのデフォルトのバンドとしてSTAによって使用される、ステップと、を含む通信方法。
【0107】
本開示は、通信機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステム(通信装置と称する)によって実施することができる。このような通信装置の非限定的ないくつかの例としては、電話(例えば、携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック)、カメラ(例えば、デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例えば、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(遠隔医療・医薬)デバイス、通信機能を提供する乗り物(例えば、自動車、飛行機、船舶)、およびこれらのさまざまな組合せが挙げられる。
【0108】
通信装置は、携帯型または可搬型に限定されるものではなく、非携帯型または据え置き型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例えば、電化製品、照明、スマートメーター、コントロールパネル)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワークにおける任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0109】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、その他、およびこれらのさまざまな組合せを通じて、データを交換することを含むことができる。
【0110】
通信装置は、本開示において説明した通信機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラやセンサなどのデバイスを備えることができる。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号やデータ信号を生成するコントローラやセンサを備えることができる。
【0111】
通信装置はまた、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、および、上記の非限定的な例における装置などの装置と通信する、または、このような装置を制御する任意の他の装置、デバイス、またはシステムを含むことができる。
【0112】
本実施形態の上記の詳細な説明では例示的な実施形態が提示されているが、膨大な数のバリエーションが存在することを理解されたい。さらには、これらの例示的な実施形態は単なる例であり、本開示の範囲、適用可能性、動作、または構成をいかようにも限定するようには意図していないことを理解されたい。そうではなく、上記の詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供するものであり、例示的な実施形態に記載されている機能ならびに動作ステップおよび動作方法において、特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができることを理解されたい。