IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニコベンチャーズ トレーディング リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-吸引可能な媒体の発生 図1
  • 特許-吸引可能な媒体の発生 図2
  • 特許-吸引可能な媒体の発生 図3
  • 特許-吸引可能な媒体の発生 図4
  • 特許-吸引可能な媒体の発生 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】吸引可能な媒体の発生
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20231221BHJP
   A24B 15/14 20060101ALI20231221BHJP
   A24F 40/30 20200101ALI20231221BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/14
A24F40/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021525232
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019080126
(87)【国際公開番号】W WO2020099170
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】1818458.0
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ、デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ストーチャ、アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、マシュー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-504830(JP,A)
【文献】特許第6371927(JP,B1)
【文献】特開平03-114473(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138749(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/087164(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1552254(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0169355(US,A1)
【文献】国際公開第2018/127417(WO,A1)
【文献】特表2017-515493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0265517(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0052119(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24B 15/14
A24F 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引可能な媒体を発生させるために使用する押し出しされた材料を含む組成物であって、該押し出しされた材料はタバコ由来成分を含まず、且つ、前記押し出しされた材料の全量基準で算出して40~90wt%の風味剤を含み、前記風味剤は液体抽出物の形体ではなく、さらに前記押し出しされた材料は粒状であり、組成物はこれら粒を複数含む、組成物。
【請求項2】
風味剤は植物性風味料を含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
風味剤はカルダモンポッド、シナモンスティック、ラベンダー、セージ、レモンギンバイカ、チョウジ、ユーカリおよびショウガから選択されることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
湿潤剤、バインダーおよび増量剤の内の1つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
粒の平均粒径は約0.4mm~約3.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
押し出しされた材料は約0.4gcm-3~約1.5gcm-3の範囲内の密度を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
組成物は、前記押し出しされた材料に加えて、追加でタバコ由来成分を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
タバコ由来成分は第2の押し出しされた材料に設けられ、2つの押し出しされた材料は混合された粒の形体であることを特徴とする請求項記載の組成物。
【請求項9】
請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物を含むエアロゾル発生品であって、該発生品は組成物が燃焼せずに加熱される際に吸引可能な媒体を発生するように構成されているエアロゾル発生品。
【請求項10】
発生品は吸引可能な媒体の発生装置に使用するカートリッジであり、カートリッジは容器内に蒸発させることが可能な液体を含み、別個のチェンバーに請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物を含むことを特徴とする請求項記載のエアロゾル発生品。
【請求項11】
請求項記載の発生品と、請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物を熱するが燃やさないように構成されている熱源とを含む吸引可能な媒体を発生させるためのエアロゾル発生集合体。
【請求項12】
液体を保持するための容器と、
容器に保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物を含むチェンバーと、
出口とを含む吸引可能な媒体を発生させるためのエアロゾル発生装置であって、
該装置は使用時に吸引可能な媒体が出口を通過して出るように構成され、該媒体は(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体で気化される液体と、(ii)チェンバーに保持された組成物の1つ以上の成分とを含む装置。
【請求項13】
使用時にヒーターによって気化された液体が蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方の形体でチェンバーを通過し、これによりチェンバーに保持された組成物から1つ以上の成分を同伴し、出口を通過して出る吸引可能な媒体を製するように構成されていることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
風味剤を含む混合物を形成することと、混合物を押し出すことと、混合物を乾燥して押し出しされた材料を形成することとを含む請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物の調製方法。
【請求項15】
(i)揮発性の液体を含む液体ポッドと、
(ii)請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物を含む固体組成物ポッドとを含むキットであって、
液体およびタバコ組成物ポッドは吸引可能な媒体を発生させるために使用する装置に使用するように構成され、装置は使用時に吸引可能な媒体が発生されるようになっており、該媒体は(i)液体ポッドから蒸気および/またはエアロゾルの形体で気化される液体と、(ii)請求項1乃至3いずれか1項記載の組成物の1つ以上の成分とを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸引可能な媒体を発生させるために使用する組成物、該組成物の調製方法、エアロゾル発生品、エアロゾル発生集合体、エアロゾル発生装置およびキットに関するが、これらに限定されず、これらのすべてに該組成物が組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これらの種類の喫煙品の代替え品に吸引可能な媒体を形成するために燃焼せずに化合物を放出するものがある。
【0003】
そのような製品の一例として固体のエアロゾル化可能な材料を燃やさずに加熱によって化合物を放出する加熱装置、即ち非燃焼加熱製品が挙げられる。この固体のエアロゾル化可能な材料はタバコ材を含んでもよい場合がある。加熱によって典型的には吸引可能なエアロゾルを形成する材料の少なくとも1つの成分を揮発させる。これらの製品は非燃焼加熱装置、タバコ加熱装置またはタバコ加熱製品と言われる場合もある。固体のエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させる種々の異なる構成が知られている。
【0004】
別の例として電子タバコ/また単にハイブリッド装置としても知られているタバコ加熱製品ハイブリッド装置がある。ハイブリッド装置は加熱によって気化され、吸引可能な蒸気またはエアロゾルを製する液体含む。この液体はグリセリンおよび場合によってはニコチンなどの香味料および/またはエアロゾル発生物質を含んでもよい。蒸気またはエアロゾルは装置内の材料を通過し、基材の1つ以上の成分を同伴し、吸引可能な媒体を製する。基材は、例えばタバコ、非タバコ製品またはニコチンを含むまたは含まないブレンドミックスなどの混合物であってもよい。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明する一部の実施態様では本発明は吸引可能な媒体を発生させるために使用され、押し出しされた材料を含む組成物を提供し、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来の成分を含まない。
【0006】
本発明の組成物は吸引可能な媒体を発生させるために使用してもよく、あるいは吸引可能な媒体の成分を既存のエアロゾルまたは蒸気に付与するために使用してもよい(即ち、エアロゾルまたは蒸気は組成物の風味剤および/または他の成分を同伴してもよい)。即ち、本発明の組成物は単独で使用して吸引可能な媒体を発生させてもよく、あるいはエアロゾル発生剤の補助源と共に使用してもよい。
【0007】
また本発明はエアロゾル発生品を提供し、この発生品は組成物を含み、該組成物は押し出しされた材料を含み、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来の成分を含まず、
発生品は組成物が燃焼せずに加熱される際に吸引可能な媒体を発生するように構成されている。また本発明は、上記発生品と、組成物を熱するが燃やさないように構成されたヒーターとを含むエアロゾル発生集合体を提供する。
【0008】
本明細書を通して組成物を加熱するということは組成物を直接加熱するまたは間接的に加熱することを含む。間接的な加熱の一例としては組成物内または組成物の近くを加熱された蒸気/エアロゾルが通る結果としての加熱が挙げられる。
【0009】
また本発明は吸引可能な媒体を発生させるエアロゾル発生装置を提供し、この装置は、
液体を保持するための容器と、
容器に保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
固体組成物を含むチェンバーと、
出口とを含み、
固体組成物は押し出しされた材料を含み、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来成分を含まず、装置は使用時に吸引可能な媒体が出口を通過して出るように構成され、媒体は(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体で気化される液体と、(ii)チェンバーに保持された組成物の1つ以上の成分とを含む。
【0010】
また本発明は組成物の調製方法を提供し、
該組成物は押し出しされた材料を含み、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来の組成物を含まず、
この方法は風味剤を含む混合物を形成すること、混合物を押し出しすること、混合物を乾燥して押し出しされた材料を形成することを含む。
【0011】
また本発明は、
(i)揮発性の液体を含む液体ポッドと、
(ii)風味剤を含み、タバコ由来の成分を含まない押し出しされた材料を含む組成物を含有する固体組成物ポッドとを含むキットを提供し、
液体および固体組成物ポッドは吸引可能な媒体を発生させるために使用する装置に使用するように構成され、装置は使用時に吸引可能な媒体が発生されるようになっており、媒体は(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体で気化される液体と、(ii)チェンバーに保持された組成物の1つ以上の成分とを含む。
【0012】
それらが矛盾しない範囲内で本発明の一態様に関して説明した特徴はありとあらゆる他の態様と組み合わせて明確に開示されている。例えば、組成物、発生品、集合体装置、方法またはキットに関して説明された特徴は組成物、物品、集合体装置、方法およびキットのそれ以外の他方のそれぞれと組み合わせて明確に開示されている。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して単に一例として挙げられる本発明の好ましい実施態様の以下の説明から明らかになる。
【0014】
本発明による実施態様の実施例を添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】吸引可能な媒体を発生させる装置の一例の略式長手方向断面図である。
図2】吸引可能な媒体の発生装置の別の例の略式長手方向断面図である。
図3】吸引可能な媒体の発生装置の別の例の略式長手方向断面図である。
図4】液体容器および固体材料用の一体容器を有するカートリッジの一例の略式長手方向断面図である。
図5】液体容器および固形材料用の取り外し可能な容器を有するカートリッジの一例の略式長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書中では「風味料」、「風味剤」および「香味料」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物、息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。
【0017】
場合によっては風味剤は植物性風味剤であってもよい。即ち、風味剤は植物由来風味料であってもよい。場合によっては植物性風味剤は固体形状の押し出しされた材料に含まれてもよい。即ち、これらの場合植物性風味剤は液体抽出物の形体ではない。場合によっては風味剤はカルダモンポッド、シナモンスティック、ラベンダー、セージ、レモンギンバイカ、チョウジ、ユーカリおよびショウガから選択されてもよい。
【0018】
場合によっては押し出しされた材料は、押し出しされた材料の全量基準で算出して40wt%~約90wt%の風味剤を含む。
【0019】
押し出しされた材料は、場合によっては湿潤剤、バインダーおよび増量剤の内の1つ以上を含む。
【0020】
場合によっては押し出しされた材料は押し出しされた材料の全量基準で算出して約5wt%~約35wt%の湿潤剤を含む。場合によっては湿潤剤は水を含んでもよい。場合によっては湿潤剤はエアロゾル発生剤を含んでもよい。本明細書中では「エアロゾル発生剤」はエアロゾルの発生を促進させる化合物または混合物である。エアロゾル発生剤は、気体の初期の気化および/または吸引可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。一般にあらゆる好適な1つ以上のエアロゾル発生剤を本発明のエアロゾル発生材に含有させてもよい。好適なエアロゾル発生剤としては、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては湿潤剤はグリセリン、水およびプロピレングリコールから選択されてもよい。場合によっては湿潤剤は別の風味料を含んでもよい。例えば、湿潤剤はローズ水を含んでもよい。
【0021】
場合によっては押し出しされた材料は押し出しされた材料の全量基準で計算して10wt%以下のバインダーを含む。場合によってはバインダーはアルギン酸塩、セルロース類または変性セルロース類、スターチ類または変性スターチ類および天然ゴムの内の1つ以上を含む。好適なバインダーとしてはカラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムおよびアルギン酸カリウムなどのあらゆる好適なカチオンを含むアルギン酸塩、セルロース類またはヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース類、スターチまたは加工スターチ、ペクチン酸ナトリウムなどのあらゆる好適なカチオンを含むペクチン塩、キサンタンガム、グァーガム、イナゴマメゴムおよび任意の他の好適な天然ゴムなどが挙げられるが、これらに限定されない。場合によってはバインダーは、カルボキシメチルセルロース、スターチ、イナゴマメゴム、グァーガムまたはカラギーナンゴムを含んでもよい。
【0022】
場合によっては押し出しされた材料は1つ以上の増量剤を含んでもよい。含まれる場合、増量剤は不活性であり(即ち、エアロゾルのあらゆる成分に寄与しない)、吸引可能な媒体に搬送される風味を低下させる役割を果たす。好適な増量剤としては、炭酸カルシウム(即ち、チョーク)、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤が挙げられる。場合によっては押し出しされた材料は増量剤を含まない。
【0023】
場合によっては押し出しされた材料は1つ以上の活性化剤を含んでもよい。含まれる場合、活性化剤は風味剤の揮発性を上げる役割を果たす。好適な活性化剤は、例えば重炭酸ナトリウムなどの塩基と酸を含んでもよい。
【0024】
場合によっては押し出しされた材料は粒状であり、組成物はこれら粒を複数含む。場合によっては粒の平均粒径は約0.4mm~約3.5mmの範囲内である。好適には粒の平均粒径は約0.7mm~約2.0mmの範囲内である。(本明細書中では「平均粒径」は最小粒子寸法の大きさを意味する。)
【0025】
場合によっては粒子は約1.3mmの寸法を有するほぼ円筒形状である。粒子は円形のダイホール(直径1.3mm)およびフェイスカッター(ダイから出た際に特定の長さに押し出し物切断するスピニングブレード)を使用して形成してもよい。フェイスカッターの速度で粒の大きさを調整する。場合によってはフェイスカッターの速度を円筒が約1.3mmの長さになるように設定してもよい。時間が経つにつれて粒子が膨張する場合があり、円筒形状は処理/取り扱い時の破砕によって失われる場合がある。
【0026】
場合によっては押し出しされた材料は約0.4gcm-3~約1.5gcm-3の範囲内の密度を有する。
【0027】
押し出しされた材料はタバコ由来成分を含まない。場合によっては本発明の組成物はタバコ由来成分を含まない。一部のそれ以外の場合、本発明の組成物は追加でタバコ由来成分を含む。例えば、本発明の組成物はタバコを含む第2の押し出しされた材料を含んでもよい。2つの押し出しされた材料がある一部の場合ではこれら2つの材料は混合されて組成物を形成する粒状である。場合によっては2つの押し出しされた材料は混ぜられた粒子の分離を最小限にするために同じような密度を有する(例えば、±0.2gcm-3、好適には±0.1gcm-3)。2つの押し出しされた材料がある別の場合にはこれら2つの材料は、2つの母体の分離を行うために異なる密度を有してもよい。これは結果として層状の構造になり、これは例えば1つの成分が他の成分の上流に配されるのが望ましい場合に有用である。場合によっては2つの押し出しされた材料の一方が2つの押し出しされた材料の他方より前に容器に堆積された状態で粒は積層されてもよい。さらに別の場合には2つの押し出しされた材料は別個のチェンバーに供され、これらのチェンバーは流路に直列に配置されている。
【0028】
タバコ由来成分は、場合によってはあらゆる好適なタバコ材によって供されてもよい。タバコ由来成分はニコチンを含んでもよい。本明細書中では「タバコ材」は、タバコまたはその派生物を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は、粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しタバコ、タバコ葉柄、再生タバコ、凝集タバコ、球形化タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。そのようなタバコ材は第2の押し出しされた組成物を形成するために押し出しされてもよい。
【0029】
タバコ材を製するために使用されるタバコは、ヴァージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルを含む単独グレードまたはブレンド、刻まれたクズまたは葉全体などのあらゆる好適なタバコであってもよい。またタバコ粒子「微粉末」またはダスト、膨張タバコ、葉柄、膨張葉柄および裁断圧延葉柄などの他の処理された葉柄材であってもよい。タバコ材は粉タバコまたは再生タバコ材であってもよい。再生タバコ材はタバコ繊維を含んでもよく、キャスティング、タバコ抽出物を後で追加するフォードリニア系製紙法によって形成してもよい。
【0030】
場合によっては押し出しされた材料はタバコ由来の成分を含まない。即ち、材料はタバコから派生する合成材を含まない。場合によっては押し出しされた材料はニコチンを含まない。
【0031】
場合によっては押し出しされた材料は、エアロゾルまたは蒸気が材料を通過できるように多孔性であってもよい。従って、組成物の成分は使用時にエアロゾル/蒸気に効率よく同伴される。
【0032】
また本発明はエアロゾル発生品を提供し、この発生品は組成物を含み、組成物は押し出しされた材料を含み、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来成分を含まない。本発明のエアロゾル発生品は、場合によっては組成物が燃やされずに加熱される際に吸引可能な媒体を発生させるように構成してもよい。本発明のエアロゾル発生品は、場合によっては加熱された蒸気および/またはエアロゾルが組成物を通過するようにし、これにより蒸気および/またはエアロゾルを少なくとも風味剤と同伴させるように構成してもよい。
【0033】
場合によっては発生品はエアロゾル供給装置に使用するために構成されてもよい。発生品は、場合によっては非燃焼加熱装置と使用するために構成されてもよい。このような装置では組成物は燃やされず加熱される。加熱は電気抵抗性ヒーター、誘導ヒーターなどであってもよく、あるいは燃焼性熱源または使用の際に熱を発生させるために発熱反応する化学的加熱源であってもよい。
【0034】
発生品は、場合によってはハイブリッド装置などと使用するために構成されてもよい。場合によっては発生品は吸引可能な媒体の発生装置に使用するカートリッジであり、カートリッジは容器内に蒸発させることが可能な液体を含み、別個のチェンバーに組成物を含み、組成物は押し出しされた材料を含み、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来成分を含まない。
【0035】
発生品は、場合によっては電子タバコまたは吸入具などの他の種類のエアロゾル供給装置に使用するために構成されてもよい。
【0036】
また本発明は上記発生品と、組成物を燃やさずに加熱するように構成されたヒーターとを含むエアロゾル発生集合体を提供する。集合体は非燃焼加熱装置であってもよい。集合体はハイブリッド装置であってもよい。
【0037】
また本発明は吸引可能な媒体を発生させるエアロゾル発生装置を提供し、この装置は、
液体を保持するための容器と、
容器に保持された液体を揮発させるためのヒーターと、
固体組成物を含むチェンバーと、
出口とを含み、
固体組成物は押し出しされた材料を含み、押し出しされた材料は風味剤を含み、タバコ由来成分を含まず、
装置は使用時に吸引可能な媒体が出口を通過して出るように構成され、媒体は(i)蒸気および/またはエアロゾルの形体で気化される液体と、(ii)チェンバーに保持された組成物の1つ以上の成分とを含む。
【0038】
本発明の装置は揮発性の液体を保持するための容器を含む。場合によっては本発明の装置は揮発性の液体を保持する容器を含む。好適な液体は電子タバコに従来から使用されているものが挙げられる。場合によっては揮発性の液体は、ニコチンおよび/またはタバコ抽出物および/または香味料および/またはプロピレングリコールおよび/またはグリセリンなどのエアロゾル発生剤を含んでもよい。液体は通常約150~250℃で蒸発する。
【0039】
本発明の一部の例による装置は使用時にヒーターによって気化された液体が蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方の形体でチェンバーを通過し、これにより組成物から1つ以上の成分を同伴し、出口を通過して出る吸引可能な媒体を製するように構成してもよい。
【0040】
他の例では、液体容器からの流路は、吸引可能な媒体を形成するために組成物から延びた別個の流路と組み合わせてもよい。言い換えれば、一部の装置では揮発させた液体は組成物を保持するチェンバーを通過しない。
【0041】
場合によっては本発明の装置は組成物の成分を揮発させ、第1のエアロゾルおよび/または蒸気を形成するために組成物を加熱するための手段を含む。液体は第2の蒸気および/またはエアロゾルを形成するために揮発させてもよく、これは第1のエアロゾルおよび/または蒸気と組み合わされて吸引可能な媒体を形成する。場合によっては1つのヒーターで液体と組成物を熱してもよい。場合によっては本発明の装置はヒーターが液体組成物を直接加熱するだけで、組成物は揮発させた液体から形成された蒸気/エアロゾル中に搬送される暖かみによって加熱される(これにより次に蒸気/エアロゾル流に同伴される組成物の成分を揮発させる)ように構成されてもよい。
【0042】
ある実施態様では本発明の装置はヒーターの下流でチェンバーの上流にクーラーまたは冷却領域を含み、このクーラーまたは冷却領域は気化された液体を冷まし、液滴のエアロゾルを形成し、これは使用の際チェンバー内の組成物を通過する。クーラーは実際に熱交換器として作用するように構成され、蒸気からの熱を回収することができる。回収された熱は、例えば組成物を予備加熱するおよび/または液体の加熱を補助するために使用することができる。
【0043】
ある実施態様では本発明の装置はチェンバー内の組成物を加熱するための第2ヒーターを含む。これにより組成物がヒーターによって加熱できるようにし、これは組成物から化合物を放出しやすくし、任意に加熱された液体に低い温度を利用できるようにする。
【0044】
ある実施態様では本発明の装置はバッテリーで作動する。
【0045】
ある実施態様では該または各ヒーターは電気抵抗性ヒーターである。
【0046】
ある実施態様では液体容器は取り外し可能である。液体容器はポット(一部の実施態様では例えば環状であってもよい)などおよび/または脱脂綿の形状であってもよい。液体を含む容器全体を実際には使用後に全体的に交換される使い捨て物品としてもよい。別例として、ユーザーが装置から液体容器を取り外し、使用済みの液体を交換するまたは容器に液体をつぎ足す、そして容器を装置に戻すような構成であってもよい。
【0047】
場合によっては液体容器は装置から取り外しできなくてもよい。このような実施態様ではユーザーは使用後必要に応じて単に使用済みの液体を交換するまたは容器に液体をつぎ足すだけでもよい。
【0048】
場合によっては液体容器とチェンバーは一体ユニットである。場合によってはこの一体ユニットは装置から取り外せるカートリッジである。
【0049】
場合によってはチェンバーは装置から取り外せる。チェンバーは、例えば使用前にタバコ組成物を含むカートリッジなどの形体であってもよい。組成物を含む容器全体を実際には使用後に全体的に交換される使い捨て物品としてもよい。別例として、ユーザーがチェンバーを装置から取り外し、そのチェンバーの使用済み材料を交換し、次にチェンバーを装置に戻すように構成してもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施態様による吸引可能な媒体の発生装置の例を添付図面を参照して説明する。図1を参照すると吸引可能な媒体の発生装置1の一例が示されている。大筋において、装置1は液体を揮発させ、蒸気またはエアロゾルを形成し、これは材料を通過してその材料から派生する1つ以上の成分を含有する吸引可能な媒体を製する。
【0051】
この点に関し、第1に注目すべきことは一般に蒸気はその臨界温度より低い温度で気相の物質であり、これは例えば蒸気はその温度を下げずに圧力を上げることによって凝縮されて液体になり得ることを意味する。一方、一般にエアロゾルは、空気または別の気体中で微細固体粒子または液滴のコロイドである。「コロイド」は微視的に分散した不溶粒子が別の物質の全体に懸濁されている物質である。
【0052】
再度図1を参照するとこの例の装置1はほぼ中空の円筒状の外方ハウジング2を有する。ハウジング2は開口端部3を有する。この例では管状のマウスピース4が開口端部3に設けられている。この例のマウスピース4はユーザーがハウジング2から取り外すことができる。O-リングまたは他のシール部材5がハウジング2内でのマウスピース4の封止の補助をしている。ハウジング2の他端6または他端の方にあるのは以下にさらに述べるように装置1の種々の部材に給電するためのバッテリー7である。バッテリー7は充電可能なバッテリーまたは使い捨てバッテリーであってもよい。またコントローラー8がハウジング2に以下にさらに述べるように装置1の種々の部材の稼働を制御するために設けられている。
【0053】
ハウジング2は液体10を保持するまたは含むための容器9を有する。種々の異なる形体を容器9に使用してもよい。図1の例では容器9は開口端部3と他端6の間でハウジング2に設けられた環状のチェンバー9の形体である。この特定の例ではハウジング2は2つの部分、即ち開口端部の方にある第1部分2aと他端6の方にある第2端部2bからなる。ハウジング2の第1および第2部分2a、2bは、ねじ山、バイオネット嵌めなどによって互いに接続してもよい。使用の際、ユーザーはハウジング2の第1および第2部分2a、2bを離して、必要に応じて液体10を補充または交換できる。これとは別にマウスピース4を外して容器に触れられるようにすることも可能である。しかしながら、当然のことながら他の構成も可能である。例えば、液体10をハウジング2から全体的に取り外すことができる個別の環状のポット状容器に設けてもよい。このような個別の容器はユーザーが液体10を含む新しい容器をハウジング2に嵌めることで液体10を交換できるように使い捨てであってもよい。あるいはこのような容器を再使用可能にしてもよい。このような場合、ユーザーは、容器がハウジング2から取り外されている間に容器内の液体10を補充または交換して、この補充された容器をハウジングに戻してもよい。当然のことながらハウジング2は2つの部分から構成される必要はなく、ユーザーが触れることができるようにする他の構成、例えばその場で補充できるようにしてもよい。
【0054】
ヒーター11はハウジング2のほぼ中央、即ちこの例ではハウジングの長さと幅に沿って中央に設けられている。この例ではヒーター11はバッテリー7によって給電され、従ってバッテリー7に電気的に接続されている。ヒーター11は、例えばニクロム抵抗性ヒーター、セラミックヒーターなどを含む電気抵抗性ヒーターであってもよい。ヒーター11は、例えばコイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造である)メッシュ、フィルムヒーターなどであってもよい。非電気的加熱装置などの他の加熱装置を使用してもよい。
【0055】
ヒーター11は液体10を揮発させるために設けられている。図示の例では環状の芯12がヒーター11を囲み、ヒーター11と(熱的に)接触している。環状の芯12の最外面は、液体容器9に含まれる液体10と接触する。芯12は一般的に吸収材であり、毛管作用により液体容器9から液体10を吸い込むように作用する。芯12は好ましくは不織であり、例えばコットンまたはウールなどまたは例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどを含む合成材であってもよい。これについては後でより詳しく説明するが、ここで注目すべきは使用の際、芯によって吸い込まれる液体10はヒーター11によって加熱されるということである。液体10は、揮発させて液滴のエアロゾルを製してもよく、充分に加熱して蒸気を製してもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯12を出て、ユーザーのマウスピース4での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース4の方に移動する。ヒーター11と芯12は、単独の効果的に一体化された場合によっては「アトマイザー」と称されるアイテム、として供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果か的に行われるようにしてもよい。
【0056】
ハウジング2はさらに装置1内で組成物14を保持するまたは含むチェンバー13を含む。組成物14はそれ自体が風味剤を含み、タバコ由来成分を含まない押し出しされた材料を含む。場合によっては風味剤は固体植物風味料である。組成物は、場合によってはタバコ材を含む第2の押し出しされた材料を含んでもよい。場合によっては組成物はそれぞれが粒状である2つの押し出しされた材料の混合物であってもよい複数の粒を含んでもよい。
【0057】
使用の際、ユーザーは、マウスピース4を取り外すおよび/またはハウジング2の2つの部分2a、2bを離すことによってハウジング2の開口端部3を介して組成物14を交換または補充するためにチェンバー13に触れることができる。種々の異なる形状をチェンバー13に使用してもよい。例えば、チェンバー13は両端が完全に開口し、組成物14を含む管であってもよい。別の例として、チェンバー13は1つ以上の端部壁を有する管であってもよく、これら端部壁は蒸気またはエアロゾルが通過できる貫通孔を有してもよい。チェンバー13はハウジング2内に留まったままでユーザーは組成物14を取り除き、交換する。これとは別に組成物14を含むチェンバー13は、使用の際に全体的にハウジング2に挿入され、取り除かれる個別のアイテムであってもよい。この種の取り外し可能なチェンバーは、ユーザーが新鮮な組成物14を含む新しいチェンバー13をハウジング2に嵌めることによって組成物14を交換するために使い捨てであってもよい。これとは別にチェンバー13は繰り返し使用可能であってもよい。このような場合、チェンバー13がハウジング2から取り外されてチェンバー13内の組成物14を交換して、ハウジング2に補充されたチェンバー13に変えてもよい。さらに別の例ではチェンバー13は、ハウジング2の内部に設けられ、組成物14を所定の位置に保持するクリップを含んでもよい。一部の例では組成物14は、チェンバー13内に単に滑り嵌めすることも可能である。さらに別の例として液体10を含むための容器9はそれ自体を組成物14を支持または担持するように構成してもよい。例えば、容器9は、組成物14を受けて、所定の位置に保持するための1つ以上のクリップまたは管などを有してもよい。液体10を含みかつ組成物14を受ける両方のためのこのような2つの機能を持った容器9/チェンバーまたは受け部13は、カートリッジなどの形状であってもよく、使い捨てのアイテムであってもよく、または液体10と組成物14が必要に応じてユーザーによって交換されるまたは注ぎ足される繰り返し使用可能なアイテムであってもよい。場合によっては、ユーザーは充分な液体10が数回の使用に供される分の組成物14を時々注ぎ足すまたは交換するだけでよい。液体10が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器9/受け部を廃棄し、新しいものを使用する。同様に充分な組成物14が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体10を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。組成物14が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器9/受け部13を廃棄し、新しいものを使用する。2つの機能を持った容器9/受け部の具体例については以下に述べる。
【0058】
組成物14は、エアロゾルまたは蒸気が液体10から製せられる場所の下流でハウジング2の開口端3およびマウスピース4の上流のハウジング2内に位置する。この特定の例では組成物14は、芯12としてハウジング2の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体10から製せられるエアロゾルまたは蒸気は、芯12を出て、矢印Aで示すようにユーザーのマウスピース4の吸い込み作用によって組成物14の方へと移動する。特定の実施態様では組成物14は、多孔性であり、これによりエアロゾルまたは蒸気が組成物14を通り、その後ハウジング2の開口端3およびマウスピース4を通過する。
【0059】
一部の実施態様では組成物14および/またはそのチェンバー13は、組成物14/チェンバー13とハウジング2の内部との間に空隙がなく、エアロゾルまたは蒸気が組成物14全体を介して流れるように構成されている。
【0060】
好適には液体10は、装置1の電力消費を抑えるのに役立つように妥当な温度、好ましくは100~300℃の範囲、より好ましくは約150~250℃で揮発可能な液体である。好適な材料は電子タバコ装置に従来から使用されている、例えばプロピレングリコールおよびグリセロール(グリセリンとして知られている)などがある。
【0061】
組成物14は、液体10から製せられるエアロゾルまたは蒸気にエアロゾルまたは蒸気が組成物14を通過する際に風味を付与する。エアロゾルまたは蒸気が組成物14内または組成物上を通過する際、熱くなったエアロゾルまたは蒸気は組成物14からの感覚刺激特性を有する有機物および他の化合物または成分を同伴し、よってエアロゾルまたは蒸気がマウスピース4へと移動する際にそれらに風味を付与する。
【0062】
装置1はユーザーのためにニコチンを提供してもよい。ニコチンは液体10に提供されてもよく、タバコ組成物14から得られたものであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。同様に香味料を液体10に添加してもよい。
【0063】
図1に示した例では組成物14から有機物および他の化合物または成分を発生させるのに必要とされる装置1で組成物14を加熱するための唯一の熱源は、液体10の加熱から製せられる熱いエアロゾルまたは蒸気である。
【0064】
図2を参照すると吸引可能な媒体の発生装置の別の例が示されている。次の説明および図2において、図1を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが200が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。当然のことながら図1の例に関し上述した構成および代替えなどは図2の例にも適用可能である。再び、大筋において、図2の装置201は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、これはタバコ組成物214を通過してタバコ組成物214から派生する1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0065】
この例の装置201は、開口端部203と管状のマウスピース204を有するほぼ中空の円筒状の外方ハウジング202を有する。この例のマウスピース204はユーザーがハウジング202から取り外すことができ、O-リングまたは他のシール部材205がハウジング202内でのマウスピース204の封止の補助をしている。装置201の種々の部材に給電するためのバッテリー207とコントローラー208がハウジング202の他端206または他端の方に設けられている。この例のハウジング202は2つの部分からなり、第1部分202aは開口端部203の方であり、第2部分202bは他端206の方である。
【0066】
ハウジング202は液体210を保持するまたは含むための容器209を有する。容器209は図1の例に関連して説明した種類のいずれであってもよい。ヒーター211が液体210を揮発させるためにハウジング202のほぼ中央(長手方向および幅方向において)に設けられている。この例ではヒーター211はバッテリー207によって給電され、従ってバッテリー207に電気的に接続されている。ヒーター211は電気抵抗性ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。ヒーター211は、例えばコイル状のワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造を有する)メッシュ、フィルムヒーターなどであってもよい。誘導加熱装置または非電気加熱装置などの他の加熱装置も使用してもよい。環状の芯212がヒーター211を囲み、ヒーター211と(熱)接触している。環状の芯212の最外面は液体容器209内の液体210と接触している。液体210は加熱され、液滴のエアロゾルを製するか、蒸気を製するために充分に加熱されてもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯212を出て、ユーザーのマウスピース204での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース204の方に移動する。ヒーター211と芯212は、単独の効果的に一体化されたアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0067】
ハウジング202は装置201の組成物214を保持するまたは含むチェンバー213をさらに含む。組成物214は図1に関連して説明した種類のいずれであってもよい。チェンバー213は図1に関連して説明した種類のいずれであってもよい。組成物214はエアロゾルまたは蒸気が液体210から製せられる位置の下流でかつハウジング202の開口端203とマウスピース204の下流でハウジング202内に配置される。この特定の例では組成物214は、芯212としてハウジング202の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体210から製せられるエアロゾルまたは蒸気は、芯212を出て、矢印Aで示すようにユーザーのマウスピース204の吸い込み作用によって組成物214の方へと移動する。特定の実施態様では組成物214は、多孔性であり、これによりエアロゾルまたは蒸気が組成物214を通り、その後ハウジング202の開口端203およびマウスピース204を通過する。
【0068】
一部の実施態様では組成物214および/またはそのチェンバー213は、組成物214/チェンバー213とハウジング202の内部との間に空隙がなく、エアロゾルまたは蒸気が組成物214全体を介して流れるように構成されている。エアロゾルまたは蒸気が組成物214内または組成物上を通過する際、熱くなったエアロゾルまたは蒸気は組成物214からの感覚刺激特性を有する有機物および他の化合物または成分を同伴し、よってエアロゾルまたは蒸気がマウスピース204へと移動する際にそれらに風味を付与する。
【0069】
液体210を含むための容器209はそれ自体を組成物214を支持または担持するように構成してもよい。例えば、容器209は、組成物214を受けて、所定の位置に保持するための1つ以上のクリップまたは管などを有してもよい。液体210を含みかつ組成物214を受ける両方のためのこのような2つの機能を持った容器209/チェンバーまたは受け部213は、カートリッジなどの形状であってもよく、使い捨てのアイテムであってもよく、または液体210と組成物214が必要に応じてユーザーによって交換されるまたは注ぎ足される繰り返し使用可能であってもよい。場合によってはユーザーは充分な液体210が数回の使用に供される分の組成物214を時々注ぎ足すまたは交換するだけでよい。液体210が消費されると、ユーザーはその2つの機能を有する容器209/受け部213を廃棄し、新しい物を使用する。同様に充分な組成物214が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体210を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。組成物214が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器209/受け部213を廃棄し、新しいものを使用する。
【0070】
図2の装置201の例ではオーブンヒーターなどの第2ヒーター215が組成物214に熱接触した状態で設けられ、組成物を予備加熱するおよび/または装置201を使用している間組成物214を付加的に加熱する。これは使用の際蒸気またはエアロゾルが組成物214を通過する際に組成物214からの成分の放出を促進させる。組成物214の望ましい加熱を達成するために加熱される液体210の量は少なくなる。第2ヒーター215は、例えばバッテリー207によって給電される電気抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。第2ヒーター215は、例えばコイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造を有する)、フィルムヒーターなどであってもよい。第2ヒーター215は、例えばバッテリー207によって給電される誘導ヒーターであってもよい。組成物214は、誘導加熱されやすい材料を含んでもよい。非電気的加熱装置などの他の加熱装置を第2ヒーター215に使用してもよい。
【0071】
図2の装置201の例では組成物214を加熱するためのヒーター215は、組成物214の外部に設けられ、組成物214を組成物214の外部からの熱伝導によって加熱する。この例のヒーター215は、ほぼ円筒状である。ヒーター215は、実際には装置201の一体部品であり、ハウジング202の一部として設けてもよい。別例として、ヒーター215は組成物214を保持するまたは含むチェンバー213と一体に設けてもよい。この別例ではチェンバー213が使い捨ての場合、ヒーター215は、新鮮な材料を有する新しいチェンバー213がユーザーによって装置201に装填される際に交換される。
【0072】
ここで図3を参照すると吸引可能な媒体の発生装置の別の例が示されている。次の説明および図3において、図1を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが300が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。当然のことながら図1および図2の例に関し上述した構成および代替えなどは図3の例にも適用可能である。ここでも大筋において図3の装置301は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、これは組成物314を通過して組成物314から派生する1つ以上の成分を含む吸引可能な媒体を製する。
【0073】
この例の装置301も開口端部303と管状のマウスピース304を有するほぼ中空の円筒状の外方ハウジング302を有する。O-リングまたは他のシール部材305がハウジング302内でのマウスピース304の封止の補助をしている。装置301の種々の部材に給電するためのバッテリー307とコントローラー308がハウジング302の他端306または他端の方に設けられている。この例のハウジング302は2つの部分からなり、第1部分302aは開口端部303の方であり、第2部分302bは他端306の方である。
【0074】
ハウジング302は液体310を保持するまたは含むための容器309を有する。容器309は図1および2の例に関して上述した種類のいずれであってもよい。ヒーター311が液体310を揮発させるためにハウジング302のほぼ中央に設けられている。ヒーター311は上述の種類のいずれのものであってもよい。この例ではヒーター311はバッテリー307によって給電され、従ってバッテリー307に電気的に接続されている。環状の芯312がヒーター311を囲み、ヒーター311と(熱)接触している。環状の芯312の最外面は液体容器309内の液体310と接触している。液体310は加熱され、液滴のエアロゾルを製するか、蒸気を製するために充分に加熱されてもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、芯312を出て、ユーザーのマウスピース304での吸引作用によって矢印Aに示すようにマウスピース304の方に移動する。ヒーター311と芯312は、単独の効果的に一体化されたアイテムとして供して加熱と吸い上げが単独のユニットで効果的に行われるようにしてもよい。
【0075】
ハウジング302はさらに装置301内で組成物314を保持するまたは含むチェンバー313を含む。組成物314は図1および2に関して上述した種類のいずれであってもよい。チェンバー313は図1および2に関して上述した種類のいずれであってもよい。(図3の例ではチェンバー313は端壁316を有する管の形状であり、この端壁は貫通孔317を有し、そこを蒸気またはエアロゾルが通過することができ、これは上記で一選択肢として言及している。)組成物314はエアロゾルまたは蒸気が液体310から製せられる位置の下流でかつハウジング302の開口端303とマウスピース304の下流でハウジング202内に配置される。この特定の例では再び、組成物314は、芯312としてハウジング302の同じ部分またはチェンバーに効果的に設けられる。液体310から製せられるエアロゾルまたは蒸気は芯312を出て矢印Aで示すようにマウスピース304でのユーザーの吸い込みの作用によって組成物314の方へと移動する。特定の実施態様では組成物314は、多孔性であり、これによりエアロゾルまたは蒸気が組成物314を通り、その後ハウジング302の開口端部303およびマウスピース304を通過する。
【0076】
一部の実施態様では組成物314および/またはそのチェンバー313は、組成物314/チェンバー313とハウジング302の内部との間に空隙がなく、エアロゾルまたは蒸気が組成物314全体を介して流れるように構成されている。エアロゾルまたは蒸気が組成物314内または組成物上を通過する際、熱くなったエアロゾルまたは蒸気は組成物314からの感覚刺激特性を有する有機物および他の化合物または成分を同伴し、よってエアロゾルまたは蒸気がマウスピース304へと移動する際にそれらに風味を付与する。液体310を含むための容器309はそれ自体を組成物314を支持または担持するように構成してもよい。例えば、容器309は、組成物314を受けて、所定の位置に保持するための1つ以上のクリップまたは管などを有してもよい。液体310を含みかつ組成物314を受ける両方のためのこのような2つの機能を持った容器309/チェンバーまたは受け部313は、カートリッジなどの形状であってもよく、使い捨てのアイテムであってもよく、または液体310と組成物314が必要に応じてユーザーによって交換されるまたは注ぎ足される繰り返し使用可能であってもよい。場合によってはユーザーは充分な液体310が数回の使用に供される分の組成物314を時々注ぎ足すまたは交換するだけでよい。液体310が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器309/受け部313を廃棄し、新しいものを使用する。同様に充分な組成物314が数回の使用のために供されていて、ユーザーが時々液体310を継ぎ足すまたは交換する必要があるということであってもよい。組成物314が消費されると、ユーザーはこの2つの機能を持った容器309/受け部313を廃棄し、新しいものを使用する。
【0077】
図3の装置301の例では第2ヒーター318がここでも組成物314に熱接触した状態で設けられ、組成物314を加熱し使用時に蒸気またはエアロゾルが組成物314を通過する際に、組成物314からの成分の放出を促進させる。第2ヒーター318は、例えばバッテリー307によって給電される電気抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどであってもよい。非電気加熱装置などの他の加熱装置を第2ヒーター318に使用してもよい。
【0078】
図3の装置301の例では組成物314を加熱するためのヒーター318が組成物314の内部に設けられており、組成物314の内部からの熱伝導によって組成物314を加熱する。この例のヒーター318は、一般に組成物314の中央長手方向軸に沿って位置する円筒状ロッドの形体である。他の構成ではヒーター318は、コイル形状であってもよいワイヤ、プレート(2つ以上の異なる材料からなり、それの1つ以上が導電性であり、1つ以上が非導電性であってもよい多層プレートであってもよい)、メッシュ(織りまたは不織であってもよく、類似する多層構造である)、フィルムヒーターなどであってもよい。この場合の組成物314は、ほぼ管状であるか、ヒーター318を受けるための内部開口部を有する。ヒーター318は、実際には装置301の一体部品であり、ハウジング302の一部として設けてもよい。この例では組成物314が装置301に装填されると(例えば組成物314を含むチェンバー313が装置301内に装填される)、組成物314が第2ヒーター318を囲む。別例としてヒーター318は組成物314を保持するまたは含むチェンバー313と一体に設けてもよい。この別例ではチェンバー313が使い捨ての場合、ヒーター318は、新鮮な材料を有する新しいチェンバー313がユーザーによって装置301に装填される際に交換される。
【0079】
別の例では複数の内部ヒーター318を設けて組成物314をより効率的に加熱するようにしてもよい。別の例では組成物314は1つ以上の外部ヒーター(図2の例の第2ヒーター215のような)と1つ以上の内部ヒーター(図3の例の第2ヒーター318のような)によって加熱してもよい。
【0080】
ここで図4を参照すると液体602を含むための液体容器601と組成物604用の受け部または容器603を有するカートリッジ600の例の略式長手方向断面が示されている。この例では液体容器601と組成物容器603は、最初から一体に形成されるか、あるいは最初は2つの部品で形成し、その後実質的に永久的に組み立てられるかのいずかによって1つの一体部材として提供される。カートリッジ600は、液体602が液滴のエアロゾルを製するために揮発されるまたは蒸気を製するために充分に加熱されると、エアロゾルまたは蒸気の少なくとも一部、好ましくは全てまたはほぼ全てが組成物604を通過してこれら組成物604から風味を捕捉するように構成されている。
【0081】
図4の例では液体容器601はカートリッジ600のほぼ中央に設けられている。図示の例の液体容器601は円錐台形状であるが、円錐状、円筒状などの異なる形状であってもよい。液体容器601は外方シェル605に囲まれており、このシェルは液体容器601の長さ方向外側で環状の流路606を画定し、液体容器601の一端から他端へと延びている。外方シェル605は、液体容器601の第1端部壁607を越えて延び、液体容器601の第1端部壁607を越えてチェンバー608を画定する。図示の例ではチェンバー608と環状の流路606は両方とも組成物604を含み、よって共に組成物604の容器603を供するものとみなすことができる。他の例では組成物604は、チェンバー608のみに設けてもよく、従ってこれが組成物604用の容器603を画定し、環状の流路606は空になる。チェンバー608は液体容器601の端部壁607から離れて位置する端部壁609によって閉じられている。端部壁609は外方シェル605の一部であってもよく、あるいは別個のプラスチックまたはゴム製キャップなどであってもよい。さらに別の例では環状の流路606は組成物604を含み、チェンバー608には材料が存在しないが、当然のことながらチェンバー608を省略してもよく、流路606は効果的に端部壁609で終結する。流路606および/またはチェンバー608は完全に組成物604で満たされてもよく、あるいは組成物604の一部または一塊だけを含んでもよい。端部壁609は、多孔性であるおよび/またはユーザーによって吸引されるようにカートリッジ600からエアロゾルまたは蒸気が出られるようにする1つ以上の貫通孔610を有する。液体容器601と固体チェンバー603は、それぞれ硬質、水密かつ気密の材料、例えば金属、好適なプラスチックなどで形成してもよい。
【0082】
図4に示すカートリッジ600の例はヒーター611およびヒーター611と(熱)接触している芯612が設けられている。この例ではヒーター611と芯612は場合によっては「アトマイザー」と称される単独のユニットとして供される。この場合カートリッジ600がアトマイザーを含むと、そのようなカートリッジは「カトマイザー」と称される場合もある。ヒーター611の向きが略式に示されており、例えば、ヒーター611は、図4に示すようにカートリッジ600の長手方向軸に平行ではなく、直行する長手方向軸を有するコイルを有してもよい。
【0083】
芯612は液体602と接触している。これは例えば芯612が液体容器601の第2端部壁613の貫通穴(図示せず)に挿入されることによって行ってもよい。これとは別にまたはこれに加えて第2端部壁613は、液体が液体容器を通過できるようにする多孔質部材(図4に破線で略式に示すように)であってもよく、芯612は多孔性第2端部壁613と接触してもよい。第2端部壁613は、例えば多孔性セラミックディスクの形体であってもよい。この種の多孔性第2端部壁613は芯612への液体の流れを制御する役割を果たす。芯612は一般に吸収剤であり、毛管作用によって液体容器601から液体602を引き込む作用をする。芯612は好ましくは不織であり、例えばコットンまたはウールなどまたは例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどを含む合成材であってもよい。
【0084】
使用時、カートリッジ600はユーザーによって装置(図示せず)のバッテリーセクションに連結され、ヒーター611が給電できるようになっている。アトマイザーのヒーター611が給電されると(例えば、装置全体のボタンを操作することによってまたはそれ自体は知られている装置全体のパフ検知器によって引き起こされてもよい)、芯612によって液体容器601から引き込まれる液体602はヒーター611によって加熱されて液体を揮発させるまたは気化させる。ユーザー全体装置のマウスピースで吸い込みを行うと、蒸気またはエアロゾルが矢印Aで示すように液体容器601の長さの外側周囲の環状流路606とチェンバー608内に移動する。蒸気またはエアロゾルは組成物604から風味を捕捉する。蒸気またはエアロゾルは、次に矢印Bで示すように端部壁609を介してカートリッジ600から出ることができる。任意に一方向バルブ614を設けて、蒸気またはエアロゾルがカートリッジから出るだけしかできず、ヒーター611または装置全体としての電子部品にバックフローできないようにしてもよい。
【0085】
ここで図5を参照するとカートリッジ700の別の例の略式長手方向断面図が示されており、これは液体702を含む液体容器701および組成物704を含むためのチェンバー708を画定する容器703を有する。次の説明および図5において、図4を参照して説明した例の対応する部品および特徴と同じまたは類似する部品および特徴は、同じ符号を有するが100が足されている。簡潔にするためにこれら部品および特徴の説明は全体としてここでは繰り返さない。
【0086】
この例ではカートリッジ700の液体容器701と組成物容器703a、703bは別個の部品として提供され、これらは使用時に取り外し自在に互いに接続される。液体容器701と組成物容器703は、例えばクリップ留めまたは互いに取り外し自在に固定されてもよく、または例えば組成物容器703は液体容器701に単に載せるまたは密な摩擦嵌めしてもよい。カートリッジ700は、液体702が液滴のエアロゾルを製するために揮発されるまたは蒸気を製するために充分に加熱されると、エアロゾルまたは蒸気の少なくとも一部、好ましくは全てまたはほぼ全てが組成物704を通過して組成物から風味を捕捉するように構成されている。
【0087】
この例では液体容器701は外方シェル705に囲まれており、このシェルは液体容器701の長さ方向外側で環状の流路706を画定し、液体容器701の一端から他端へと延びている。外方シェル705は、液体容器701の第1端部壁707を越えて延び、端部壁709で終結する。端部壁709は別個のプラスチックまたはゴム製キャップなどであってもよい。端部壁709は多孔性でありおよび/または1つ以上の貫通孔710を有し、エアロゾルまたは蒸気が環状の流路706から出られるようになっている。一方向バルブ714を端部壁709の内側に設けて、蒸気またはエアロゾルがヒーター711および芯712から離れた端部で環状流路706から出るだけしかできず、ヒーター711または装置全体としての電子部品にバックフローできないようにしてもよい。組成物容器703は使用の際端部壁709に亘って配置され、端部壁709から出た蒸気またはエアロゾルが材料容器内に移動するようになっている。組成物容器703は出口開口部および/または多孔性端部壁715を有し、エアロゾルまたは蒸気がユーザーによって吸引されるようにカートリッジから出る。
【0088】
使用時、カートリッジ700はユーザーによって装置(図示せず)のバッテリーセクションに連結され、ヒーター711が給電できるようになっている。アトマイザーのヒーター711が給電されると(例えば、装置全体のボタンを操作することによってまたはそれ自体は知られている装置全体のパフ検知器によって引き起こされてもよい)、芯712によって液体容器701から端部壁713を介して引き込まれる液体702がヒーター711によって加熱され、液体を揮発させるまたは蒸発させる。ユーザー全体装置のマウスピースで吸い込みを行うと、蒸気またはエアロゾルが矢印Aで示すように液体容器701の長さの外側周囲の環状流路706内へ外方シェル705の端部壁709の方へと移動する。蒸気またはエアロゾルは、それから端部壁709を介して(一方向バルブがある場合それを介して)組成物容器703に移動し、そこで組成物704から風味を捕捉する。蒸気またはエアロゾルは、次に矢印Bで示すように組成物容器の端部壁715を介してカートリッジ700から出ることができる。
【0089】
図4および5に示す例は、特にカトマイザーがバッテリーセクション(図示せず)に典型的にはねじ山、バイオネット嵌めなどによって嵌装されるいわゆるモジュラーまたは「電子作動(e‐go)」製品に使用するのに適している。カトマイザーは全体的に通常は使用後に廃棄され、新しい交換用のカトマイザーが使用される。別例として、必要に応じて時々ユーザーが液体を補充し、および/または固形材料を交換することも可能である。
【0090】
図4および5に示した例は、それ自体は知られている他の種類のハイブリッド装置との使用に簡単に適合される。例えば、一般に小型で、従来の紙巻きタバコに類似する形状および外観を有するいわゆる「類似電子タバコ」または「紙巻きタバコ似」なる装置がある。このような装置では液体容器は、通常液体を保持するための例えばコットンから成るなんらかの詰め物剤を含む。このような従来の装置のカートリッジまたはカトマイザーは、通常全体的に使い捨てであるが、本発明の実施態様を使用する例において液体を補充するおよび/または固体材料を交換することが可能になる。別例として、一般に比較的多量の液体を保持するための大きな液体容器を有し、装置の多くの点でユーザーが調整できる進んだ機能を供するいわゆるタンク装置またはパーソナル気化器なるものがある。
【0091】
上述のカトマイザー装置のいずれかの別例として液体用のアトマイザー(即ち、ヒーターと芯)を液体および材料容器と別個に設けてもよい。アトマイザーは、例えばカートリッジが使用時ユーザーによって取り外し自在に嵌められる装置全体のバッテリーセクションの一部として供されてもよい。
【0092】
図4および5に関連して説明した例のいずれかにおいて、組成物を「予備加熱」するための組成物用ヒーターを設けてもよい。このヒーターはカートリッジの一部またはカートリッジが使用の際に嵌められる装置のバッテリーセクションの一部として設けてもよい。
【0093】
誤解を避けるために、本明細書で「含む(comprises)」が本発明または本発明の特徴の定義に使用される場合、本発明または特徴が「含む(comprises)」の代わりに「から実質的になる(consists essentially of)」または「からなる(consists of)」を使用して定義することができる実施態様も開示される。
【0094】
上記の実施態様は本発明の説明に役立つ実例として理解されたい。さらに本発明の実施態様は想定される。当然のことながら任意の1つの実施態様について説明したあらゆる特徴は単独または説明された他の特徴と組み合わせて使用してもよく、他の実施態様のいずれかの1つ以上の特徴または他の実施態様のいずれかのあらゆる組み合わせと組み合わせて使用してもよい。さらに上記で説明されていない同等物および修飾物も添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲を逸脱することなく採用することも可能である。
【0095】
本明細書で説明した種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5