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特許7407195アレルギー性疾患の治療のためのプロバイオティクスの組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】アレルギー性疾患の治療のためのプロバイオティクスの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/745 20150101AFI20231221BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20231221BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20231221BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61K35/745
A23K10/16
A23L33/135
A61P37/08
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P11/06
A61P11/02
A61P17/00
A61P17/06
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021534600
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019086089
(87)【国際公開番号】W WO2020127579
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】18215094.6
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】CNCM  CNCM I-3446
【微生物の受託番号】CNCM  I-2618
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ベニヤコーブ, ジャリル
(72)【発明者】
【氏名】デュボー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】プリオルト, ゲノレ
(72)【発明者】
【氏名】バーゴンツェッリ デゴンダ, ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】フォーブス-ブロム, エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】チャルネッキ-モールデン, ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】ノティ, マリオ
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/140621(WO,A1)
【文献】特表2013-542947(JP,A)
【文献】国際公開第2011/020748(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/093619(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02127661(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A23L、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防ためのプロバイオティクスの組み合わせを含むペットフードであって、前記プロバイオティクスの組み合わせが、ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含前記ペットフードはキブルを含み、前記プロバイオティクスの組み合わせは、前記キブルの上にコーティングされているか、又は前記キブルの中に充填されている、ペットフード
【請求項2】
ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC(登録商標)BAA-999(商標)を更に含む、請求項1に記載のペットフード
【請求項3】
前記アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性が、抗炎症性サイトカインによって調節される、あるいは、前記アレルギー性疾患又は食物不耐性が、制御性T細胞によって調節される、請求項1又は2に記載のペットフード
【請求項4】
前記アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性が、ビフィズス菌及び乳酸桿菌などの有益な細菌の均衡が崩れて変調されることによるものであり、及び/又は前記アレルギー性疾患が、酸化ストレス又はCRPなどの炎症マーカーによって変調されることによるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項5】
前記アレルギー性疾患が、食物アレルギー、呼吸器アレルギー、又は皮膚科領域のアレルギーである、請求項1~4のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項6】
前記アレルギー性疾患が、鼻炎、喘息、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹、アトピー性湿疹、蕁麻疹、乾癬、好酸球性食道炎、又は好酸球性消化管疾患である、請求項1~5のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項7】
炎症性サイトカインの濃度又は発現を増加させるものである請求項1~6のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項8】
前記ペットフードを摂取する対象の消化管バリア及び消化管バリアの完全性を強化する、請求項1~7のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項9】
前記消化管バリアの強化が、炎症により誘導される腸管バリアの機能不全を予防すること、腸管透過性を低減すること、バリア機能を改善すること、腸管バリアを強化/保護すること、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のペットフード
【請求項10】
対象が、コンパニオンアニマルである、請求項1~9のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項11】
前記プロバイオティクスの組み合わせにおける各プロバイオティクスが、1日当たり10~1012cfuに相当する量で対象に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載のペットフード
【請求項12】
アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防ためのペットフードの生産におけるプロバイオティクスの組み合わせの使用であって、前記プロバイオティクスの組み合わせがビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含む、使用
【請求項13】
前記プロバイオティクスの組み合わせがビフィドバクテリウム・ロンガムATCC(登録商標)BAA-999(商標)を更に含む、請求項1に記載の使用
【請求項14】
対象(ヒトを除く)においてアレルギー性疾患及び/又は食物不耐性を治療又は予防するための方法であって、前記対象に請求項1~11のいずれか一項に記載のペットフードを投与するステップを含、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物アレルギー及び/又は食物不耐性をはじめとするアレルギー性疾患の治療又は予防のための組み合わせ、並びにその組み合わせを用いる組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギーは、全年齢の患者で生活に影響する、最も一般的な健康問題のうちの1つである。アレルギー疾患は、現在、世界保健機関(WHO)により、流行しているものとして認識されている。アレルギーの有病率は、過去数十年で急速に増加した。世界人口の3分の1以上が影響を受けていると推定され、アレルギーは先進国において新たな流行病とみなされている程になっている。アレルギー性疾患が着実に増加している理由は、まだ完全には解明されていない。宿主の遺伝的背景は顕著な因子であり、最近発見された遺伝子は、呼吸器アレルギー/喘息及び皮膚症状に関連することが示されている。生活習慣、公害、世帯規模の縮小、及び衛生状況が改善されたことによるライフステージの初期における免疫系への微生物刺激の減少、などの環境因子は、かかる高い有病率及び発現するアレルギーの重症度の重度化において重要な役割を果たすと考えられる。
【0003】
「アレルギーの表現型」又は「アトピー」の成立は、それ以降の他のアレルゲンに対する感作を促進することが示されていることから、小児期におけるアレルギー感作、特に小児期早期における、及び特に食物アレルゲンに対する感作は、極めて重要な意味を有しており、最も関心を集めている。したがって、小児期におけるアレルギーは、それ以降の人生でアレルギーを複数種類発症してしまうアレルギーカスケードの第一歩となる可能性があり、このプロセスは一般に「アレルギー・マーチ」と呼ばれる。例えば、幼少期に慢性的に食物過敏症を示している子供は、小児期後期にアレルギー性鼻炎(花粉症)又は喘息を発症するリスクが劇的に高まる。重症度のより低い食物過敏症を示す子供でも呼吸器系のアレルギーの発症リスクが高まるが、慢性的に食物過敏症を示している子供よりも程度が低い。したがって、食物過敏症の重症度を減弱させることは、「アレルギー・マーチ」の進行を抑えるために重要であり得る。これに関連して、小児期及び乳児期には、アレルギー症状の発現の管理及びアレルギーの予防が最も重要である。
【0004】
乳児の免疫系は、生後数年の間に活発に発達する。このような若年患者においてアレルギー反応に働きかける、予防する、回避する、管理する、低減する、又は調節することは、短期的に作用することはもちろんのこと、長期的にも、以降のアレルギープロファイルに作用し得る。
【0005】
アレルギーの予防は、異なるレベルで達成することができる。
【0006】
「一次予防」は、アレルゲンに対する患者の感作リスクを予防又は低減する効果であり、アレルゲン特異的なIgE抗体が存在しないこと又はその値が低減されていることを特徴とする。感作を予防又は低減することにより、同じアレルゲンへの曝露時のアレルギー症状が存在しなくなる又は減少することになる。1つのアレルゲン又は1群のアレルゲンに対する患者の感作方法を調整することで(一次予防)、その後のアレルギー反応を調整することができる。
【0007】
「二次予防」は、アレルギーの症状を調節する効果であり、すなわち、1つ又はいくつかのアレルゲンに既に感作されている患者におけるアレルギー反応の発生又は強度を、患者が当該アレルゲンに再曝露されたときに、調節する効果である。アレルギー症状の発生又は強度を調節すること(二次予防)によって、アレルギーに関連する不具合が最小限に抑えられる。
【0008】
アレルギー予防のこれらの明確な概念を考慮すると、いくつかの化合物は、それらに固有の作用機序によって、これらの具体的な予防レベルのうちの一方のみに又は両方に作用することができると仮定することもできる。いくつかの化合物は、例えば、特定のアレルゲンに対する感作を低減すること(一次予防)ができるのみである一方で、他の化合物は、二次予防においてのみ効果を有し、アレルギー反応の重症度を低減することができる。他の化合物は、感作及び症状の両方に作用することが可能であり、したがって、一次予防及び二次予防を促進するのに有効である。
【0009】
食物アレルゲンは、乳児が出生後早期に出会う最初のアレルゲンの1つであり、典型的には、母乳だけで育てられているのではない乳児は牛乳タンパク質に出会う可能性がある。乳タンパク質は、実際に、乳児の食物アレルギーの中で最も高い頻度で観察される原因の1つであり、卵及び大豆のタンパク質がそれに続く。一般に、食物アレルギーは、乳児及び小児において、皮膚症状(発疹、湿疹、その他)及び胃腸症状(腹部痙攣;疼痛、特に腹痛;嘔吐)として現れる可能性がある。食物アレルギーは、生命を脅かすアナフィラキシーにつながり得る重度のアレルギー反応の、最も一般的な誘因である。更にアレルギーの感作及び発現はまた、乳児/小児が、穀物、野菜、果物、ナッツ又は魚などの初めて出会う食品に曝露された場合、また、花粉、イエダニ、及び動物のふけなどの空中アレルゲンに曝露された場合にも出現し得る。成人では、接触アレルギー及び呼吸器系アレルギーによって受ける影響が大きい。WHOの最近のデータ[Clark,M.J.and.Million,R.P(2009)Allergic rhinitis:market evolution,Nature Reviews,Drug Discovery,8,p.271-272]では、世界人口の最大30~40%が何らかの呼吸器系アレルギーに罹患していることが示されている。
【0010】
動物、特にペットなどの小動物、特にイヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルもまた、食物アレルギー及び食物不耐性に罹患するほか、環境アレルゲンに悩まされることもある。これは、典型的には、例えば、下痢、嘔吐及び腹部不快感などの胃腸障害、並びに皮膚炎又は掻痒などの、ヒトと同様の症状となって現れる。小動物、特にイヌでは、慢性下痢の主な原因は、食物応答性腸疾患(食事反応性腸症又は食物応答性下痢)である。
【0011】
これまでに、喘息、アレルギー性鼻炎、及びその他のアレルギー反応の治療には免疫療法が用いられてきた。免疫療法では、臨床症状を低減することができ、並びに免疫応答を調節することによってアレルゲンに対する寛容性を誘導することができる。しかし、脱感作療法などの免疫療法は、食物アレルギーの治療に対し一貫して有効というものではなく、呼吸器アレルギーに対しては有効性がさらに低くなる。更に、免疫療法は、ナッツアレルギーなどの食物アレルギーの治療に使用されるとき、重度の全身反応を誘導することがある。
【0012】
動物では、特定成分を含まない食餌(exclusion diets)、新規タンパク質を含む食餌(例えば、一般的ではない(atypical)動物素材に由来する肉)、加水分解食、及び食事負荷が、食物アレルギーを治療するために使用されてきたが、特別食を伴う治療は、特に長期使用の場合に実用的ではないことがあり、根本的な問題に対処するものではない。また、放し飼いのネコ(out door cats;外猫)の食餌を除去食又は他の特別な食餌により制御することは、不可能ではないにしても困難である。動物における食餌負荷の管理は、かなりの時間、労力、及び獣医による監督を要することがあり、実用的な解決策ではないことがある。
【0013】
したがって、食物アレルギー、空気中の物質に対するアレルギー、又は接触アレルギーにも罹患することがある、乳児、小児、及び成人、並びに動物、特にコンパニオンアニマル(ペット)におけるアレルギー、アレルギー反応及び/又は症状を治療又は予防するための、新しい戦略の開発が尚も必要とされている。
【0014】
腸内細菌叢、腸管バリアの完全性、及び免疫系
腸内に共生している細菌類は、腸に関連するリンパ組織及び関連する免疫系の発達にあたり、最も早期に最も十分な刺激を構成する。
【0015】
西洋式の生活環境、例えば、発酵食品の摂取量の減少、抗生物質及びその他の薬物の多用、並びに衛生の向上が、アレルギー性疾患の惹起に関連していることについて、疫学研究からの確かな証拠が存在する。これは、小児期初期に微生物による刺激への曝露が不足していることが、アレルギー性疾患の有病率に影響を及ぼす主要な因子であることを示唆する、いわゆる「衛生仮説」につながる。実際、疫学研究では、アレルギー性疾患の発症と腸内細菌叢の乱れと関連性が実証されている。疫学データは、アトピーの小児がアトピーでない小児と比較して異なる腸内細菌叢を有することを示している。
【0016】
腸内細菌叢のこのような変化もまた、腸管バリアの完全性に対して悪影響を及ぼすことがある。「リーキーガット(leaky gut)」と呼ばれるバリア機能不全は、胃腸疾患の素因であると考えられてきた(Heyman,M.Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.17:1279-1285;Odenwald M,.Nature Reviews Gastroenterology&Hepatology,(2017),(14),9-21)。したがって、消化管バリアの完全性/機能の変化には複数の帰結があり、その他のヒット及び一連の遺伝的特徴及び後成的事柄に応じて、数多くの疾患の発症が促される。食物アレルギーの患者では、多くの場合、腸管透過性の上昇が示され、この上昇は、患者の臨床症状の重症度と相関している(Ventura,M.T et al.2006.Dig.Dis.Sci.38:732-736)。前臨床の動物モデルでは、腸管バリア機能不全及びリーキーガットが、経口感作及びそれに続く食物アレルギーの発症の素因となることを裏付ける、追加の証拠が更に得られる。加えて、洋食により誘導される腸透過性の変化により、食物抗原に応答したマウスにおける食物アレルゲンに対する感作及び臨床アレルギー症状が亢進される(Hussain M.et al.J.Allergy Clin.Immunol.(2019)。プロバイオティクスは、腸管バリアの完全性及び/又は機能を改善/強化するための栄養面での試みの1つを表すものである(Ewaschuk JB et al.,Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.2008 Nov;295(5):G1025-34)。したがって、プロバイオティクスの補給によって腸管バリアの完全性を強化することにより、リスクのある個体における経口アレルゲンに対する感作を予防することができる。(Tulyeu J,Microorganisms.2019 Oct 16;7(10)。
【0017】
アレルゲン感作における消化管バリア機能の働きが実証されていることに加え、食物抗原又は環境抗原に対する免疫応答が制御下にないことが、2型の免疫介在性アレルギー性疾患の発症を助長する。プロバイオティクス培養物又はプロバイオティクスの混合物は、アレルギー反応を予防又は緩和することができる公知の免疫調節特性を有する。例えば、国際公開第2006697949号では、小麦粉のアルブミン及びグロブリンによるアレルギー(セリアック病)のリスクを減少させることができるプロバイオティクスの混合物を記載している。
【0018】
アレルギー性疾患及び不耐性における抗炎症性サイトカインの役割
制御性T(Treg)細胞は、寛容性の誘導に重要である。乾癬、アレルギー、及び炎症性腸疾患などの多くの慢性炎症性疾患は、寛容性の破綻を経て発症すると考えられる。Treg活性の誘導が不良であると、異常なTh2応答及びアレルギー性疾患の発症につながることが実証されている。IL-10などの多くの抗炎症性サイトカインは、アレルギー反応の予防及び消散に関与している。Treg細胞は、とりわけIL-10などの抗炎症性サイトカインの分泌を通じて、それらの抑制活性を介在する。IL-10は単球/マクロファージ機能の強力な阻害因子であり、抗原提示細胞及びT細胞による、炎症促進性のサイトカインの産生を抑制する。IL-10は、強力な抗炎症効果を有する。アトピー性喘息に関し肺胞マクロファージに由来するIL-10の過少産生が報告されている。更に、IL-10の欠乏は、乾癬、アレルギー性接触皮膚炎、炎症性腸疾患、及び他の炎症性疾患において見出されている。IL-10はまた、喘息の動物モデルにおけるアレルゲン誘導性気道炎症を阻害することが示されており、アトピー性喘息においてはIL-10の過少産生が報告されている。Hadis,U.,et al(Immunity(2011),34(2),237-246)では、ケモカイン(C-X30Cモチーフ)受容体1(CX3CR1)を欠損させたマウスが、腸マクロファージにおけるIL-10の産生の実質的な減少を示しており、このマウスは、アレルギー性下痢モデルにおいて経口寛容を示せなかったことが示された。
【0019】
Tiemessen,M.M,et al.,J.Allergy Clin.Immunol.(2004),113(5),932-939では、アレルギーではない被験者において、牛乳不耐性の被験者と比較してIL-10の産生と牛乳特異的T細胞クローンの活性化とが見られたことにより、牛乳アレルギー/不耐性におけるIL-10の重要な役割が示唆された。
【0020】
マクロファージは、主に組織で働き、自然免疫応答において重要な役割を果たす食細胞であり、単球に由来する。マクロファージは微生物成分によって活性化され、活性化されると、炎症促進性サイトカインと抗炎症サイトカインの両方を自身で分泌し得る。He,F.,et al(「Stimulation of the Secretion of Pro-Inflammatory Cytokines by Bifidobacterium Strains」-Microbiol.Immunol.(2002),46(11),781-785)では、異なるビフィズス菌株が、マクロファージ由来のサイトカインの産生に作用する能力について調査された。ビフィドバクテリウム・アドレセンティス及びビフィドバクテリアム・ロンガムなどの「成体型」ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ及びビフィドバクテリウム・インファンティスなどの「未発達型」ビフィズス菌が誘導するよりも有意に多くの炎症促進性サイトカインの分泌を誘導した。加えて、特にB.アドレセンティスは、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を刺激しなかったことが判明した。これらにより、成体型のビフィズス菌は、より強力に増殖することができるが、炎症応答を下方調節する能力があまりないとして結論付けられた。しかしながら、より最近になって、治療用途に最も有望な抗炎症性プロバイオティクス株を特定しようとする試みにより、プロバイオティクスの分類学的分類は、全般的には、特定のプロバイオティクス株の、例えば抗炎症特性について信頼のおける予測因子ではないことが示されている。
【発明の概要】
【0021】
本発明者らは、驚くべきことに、ビフィドバクテリウム・ロンガム及びビフィドバクテリウム・ラクティス、具体的にはビフィドバクテリウム・ロンガムATCC CNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含む、2つのプロバイオティクス株の組み合わせと、任意選択的にビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999とにより、炎症により誘導される腸管バリア透過性を予防することができること、及びIL-10などの抗炎症性サイトカインの産生又は発現の増加に作用することができること、を見出した。したがって、本発明のプロバイオティクスの組み合わせは、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に有効な療法薬を提供するのに有用である。
【0022】
本発明のプロバイオティクスの組み合わせは、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防のための組成物に用いることができる。
【0023】
本発明は、以下を提供する。
【0024】
アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防のための方法であって、このような疾患又は不耐性に罹患している又は罹患し易い対象に、本明細書に記載のとおりのプロバイオティクスの組み合わせを投与することを含む、方法。
【0025】
アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含む、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0026】
プロバイオティクスの組み合わせは、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を更に含んでもよい。
【0027】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、消化管バリア及び消化管バリアの完全性を強化することによって、より好ましくは、炎症により誘導される腸管バリア透過性を予防することによって、アレルゲン感作を制限する、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0028】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、アレルギー性疾患又は食物不耐性が、抗炎症性サイトカインによって調節され、好ましくは、アレルギー性疾患は、IL-10によって調節される、あるいは、アレルギー性疾患は、制御性T細胞によって調節される、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0029】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、アレルギー性疾患又は食物不耐性が、ビフィズス菌及び乳酸桿菌などの有益な細菌の均衡が崩れて変調されることによるものである、あるいは、アレルギー性疾患又は食物不耐性が、酸化ストレス又はCRPなどの炎症マーカーによって変調されることによるものである、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0030】
アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性におけるIL-4及びIL-5(但しこれらに限定されるものではない)などのTh2サイトカインの産生又は発現を減少させる又は抑制するための、本明細書に記載のとおりのプロバイオティクスの組み合わせであって;好ましくは、抗炎症性サイトカインがIL-10であり、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性における抗炎症サイトカインの産生又は発現を増加させるための、より好ましくは、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性におけるTh1及びTh2サイトカイン2の濃度比を調節するための;ビフィズス菌及び乳酸桿菌などの有益な細菌の集団を、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性下の消化管内で増加させるための;アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性における酸化ストレス又はCRPなどの炎症マーカーを低減させるための;組織の治癒を支援又は促進するための、又は、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性下の消化管バリアを強化するための;アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性における制御性T細胞及び/又は制御性B細胞を調節するための、好ましくは制御性T細胞の活性化を促進するための、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0031】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、アレルギー性疾患が、食物アレルギー、呼吸器アレルギー、皮膚科領域のアレルギーである、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0032】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、アレルギー性疾患が、鼻炎、喘息、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹、アトピー性湿疹、蕁麻疹、乾癬、好酸球性食道炎、又は好酸球性/肥満細胞関連性消化管疾患である、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0033】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、アレルギー性疾患又は食物不耐性の誘因となるアレルゲンが、食物アレルゲン、チリダニ、花粉、カビ又はカビ胞子、雑草の花粉、樹木の花粉、牧草の花粉(grass pollen)、ノミ、ペットの毛、羽毛、又はペットのふけのうちの1つ以上から選択される、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0034】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、アレルギー性疾患又は食物不耐性の誘因となるアレルゲンが、食物アレルゲンであり、好ましくは、食物アレルゲンが、ナッツ(nut)、種実類(tree nut)、ピーナッツ、魚類、貝類、軟体動物、甲殻類、乳、卵、大豆、グルテン、穀物、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、セロリ、トウモロコシ、ルピナス、亜硫酸塩、ゴマ、マスタード、米、家禽肉、及び肉から選択される、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0035】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組成物であって、プロバイオティクスの組成物が、抗炎症性サイトカインの濃度又は発現を増加させるものであり、より好ましくは、抗炎症性サイトカインがIL-10である、プロバイオティクスの組成物。
【0036】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、対象が、哺乳動物、好ましくはヒト又はコンパニオンアニマルであり、好ましくは、対象は、小児期、乳児期、青年期、又は成人期のヒト、イヌ、子イヌ、ネコ、又は子ネコである、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0037】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、プロバイオティクスの組み合わせにおける各プロバイオティクスが、1日当たり10~1012cfuに相当する量で対象に投与される、プロバイオティクスの組み合わせ。
【0038】
本明細書に記載のとおりに使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、プロバイオティクスの組み合わせが、組成物の形態で投与される、プロバイオティクスの組み合わせ。組成物は、医薬製剤、獣医用製剤、栄養剤、経管栄養剤、ダイエタリー・サプリメント、機能性食品、飲料製品、及びペットケア製品からなる群から選択されてもよい。
【0039】
本明細書に記載のとおりのプロバイオティクスの組み合わせを含む組成物であって、プロバイオティクスの組み合わせが、アレルギー性疾患の治療若しくは予防、又は食物不耐性の治療若しくは予防に使用するために、ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含む、組成物。当該プロバイオティクスの組み合わせは、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を更に含んでもよい。組成物は、プロバイオティクスの組み合わせにおける各プロバイオティクスを、1日当たり10~1012cfuに相当する量で含んでもよい。組成物は、医薬製剤、獣医用製剤、栄養剤、経管栄養剤、ダイエタリー・サプリメント、機能性食品、飲料製品、及びペットケア製品からなる群から選択されてもよい。
【0040】
アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための組成物の生産に使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含む、プロバイオティクスの組み合わせ。当該プロバイオティクスの組み合わせは、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を更に含んでもよい。
【0041】
対象においてアレルギー性疾患及び/又は食物不耐性を治療又は予防するための方法であって、当該対象にプロバイオティクスの組み合わせを投与するステップを含み、プロバイオティクスの組み合わせが、ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446である、方法。プロバイオティクスの組み合わせは、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】様々なプロバイオティクス株及び組み合わせで刺激された末梢血単核球におけるサイトカイン(IL-10)の産生を示す。
図2】炎症により誘導されるバリア透過性の、様々なプロバイオティクス株及び組み合わせによる予防を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の用語及び定義を、本明細書で使用する。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」、又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、他を包含し得る、すなわちオープンエンドであり、かつ追加の、列挙されていない構成、要素、又は工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」はまた、用語「からなる(consisting of)」を含む。
【0045】
「乳児」は、12ケ月齢以下の小児を指す。
【0046】
「乳児用フォーミュラ」は、生後4~6ケ月の間であって母乳による栄養補給がない状況下にある乳児の完全栄養を意図する食品、又は12ケ月齢までの間に他の食品を補完するものとして乳児に使用するための食品を指す。典型的には、この用語は、生後4~6ケ月の間であって、母乳による栄養補給がない状況下にある乳児の完全栄養を意図する食品を指す。
【0047】
「プロバイオティクス」は、宿主の健康又はウェルビーイングに有益な効果のある、微生物細胞の調製物又は成分を指す。
【0048】
「小児」は、12ケ月齢超、但し10歳未満のヒトを指す。
【0049】
「青年」は、10~19歳の年齢のヒトを指す(世界保健機構(WHO)の定義に基づく)。
【0050】
「成人」は、20歳以上の年齢のヒトを指す。
【0051】
「子イヌ」は、12ケ月齢未満のイヌを指す。
【0052】
「子ネコ」は、12ケ月齢未満のネコを指す。
【0053】
「cfu」は、コロニー形成単位を指し、特に指示がない限り乾燥重量基準で測定される。
【0054】
用語「ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.ロンガム)CNCM I-2618」は、「「ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.ロンガム)NCC2705」」と互換的に使用される。
【0055】
用語「ビフィドバクテリウム・ラクティス(B.ラクティス)CNCM I-3446」は、「ビフィドバクテリウム・ラクティス(B.ラクティス)NCC2818」と互換的に使用される。
【0056】
用語「ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.ロンガム)ATCC BAA-999」は、「ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.ロンガム)NCC3001」と互換的に使用される。
【0057】
表現「腸管バリアの強化」には、以下のうちの1つ又はいくつかを包含し得る。
【0058】
バリア修復の改善、(限定するものではないが)例えば胃腸管バリアの完全性の回復、例えば破壊されたバリアの修復、胃腸粘膜に炎症による負荷が生じたときの透過性の低減、及び粘膜の修復。
【0059】
バリア機能の構築の改善、(限定するものではないが)例えば乳児、小児、青年、成人、イヌ、子イヌ、ネコ、又は子ネコのバリア機能の構築及び/又は発達。
【0060】
バリア構造の改善、(限定するものではないが)例えば胃腸バリア、胃腸バリアの完全性、密着結合構造、及び腸上皮内層の完全性の、強化。
【0061】
バリア機能の改善、例えば胃腸バリアの抵抗性の改善、胃腸バリアの透過性の低減、例えば、管腔部位から粘膜へのアレルゲンの透過の低減、例えば、管腔部位から粘膜への毒性化合物の透過の低減、及び疾患易罹患性の低減。
【0062】
バリア保護の改善、(限定するものではないが)例えばバリアの機能不全の予防、バリアからの漏出の予防、密着結合構造の保護、腸上皮内層の完全性の保護。
【0063】
用語「B.ロンガムCNCM I-2618」、「B.ロンガムCNCM I-2618」、及び「B.ロンガムATCC BAA-999」は、細菌、細菌の一部、及び/又は細菌による発酵を受けた生育培地を含むことが意図される。
【0064】
B.ロンガムCNCM I-2618、B.ロンガムCNCM I-2618、及びB.ロンガムATCC BAA-999は、それぞれ、生菌、並びに不活性化された非増殖性細菌種として使用することができる。「非増殖性」は、古典的な平板培養法によって検出され得る生細胞及び/又はコロニー形成単位が存在しないことを意味する。このような古典的な平板法は、微生物学の書籍、James Monroe Jay,Martin J.Loessner,David A.Golden.2005.Modern food microbiology.7th edition,Springer Science,New York,N.Y.790pにまとめられている。典型的には、生細胞が存在しないことは、液体生育培地に様々な濃度の細菌調製物(「非増殖性」試料)を接種し、適切な条件下でインキュベート(好気性及び/又は嫌気性雰囲気下で少なくとも24時間)した後、寒天プレート上に視認できるコロニーがない、又は混濁がないことにより示すことができる。
【0065】
B.ロンガムCNCM I-2618、B.ロンガムCNCM I-2618及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999の少なくとも一部が、組み合わせ又は組成物において生存し、好ましくは生きたまま腸内に到達することが好ましい。このようにして、これらの細菌は腸内で生き残り、代謝活性を示し得る。これにより、これら細菌の有効性を向上させることができる。それらはまた、共生細菌及び/又は宿主と相互作用することによって有効なものであってもよい。例えば、特殊な滅菌食品製品又は薬剤に関しては、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ロンガムCNCM I-2618、及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999が、組み合わせ又は組成物において非増殖性の形態で存在することが好ましい場合がある。したがって、本発明の一実施形態では、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ロンガムCNCM I-2618、及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999の少なくとも一部は、組み合わせ又は組成物において非増殖性である。
【0066】
一実施形態では、本発明は、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するためのプロバイオティクスの組み合わせであって、ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-3446を含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。任意選択的に、プロバイオティクスの組み合わせは、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を更に含んでもよい。
【0067】
別の実施形態では、本発明は、抗炎症性サイトカイン(好ましくはIL-10)の産生又は発現を増加させるために、又は、抗炎症性サイトカイン、例えばIL-10の血清濃度を調節するために使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、制御性T細胞を調節する際に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。
【0069】
別の実施形態では、本発明は、ビフィズス菌及び乳酸桿菌などの有益な細菌の集団を消化管内で増加させることにより、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、酸化ストレス又はCRPなどの炎症マーカーを低減することにより、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、組織の治癒を支援又は促進することにより、又は、消化管バリアの完全性及び/又は機能を強化することにより、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.・ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。
【0072】
B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.・ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するためのものであり、好ましくは、アレルギー性疾患又は食物不耐性は、抗炎症性サイトカイン、例えばIL-10によって調節される。アレルギー性疾患又は食物不耐性は、IL-10によって、及び/又は制御性T細胞の分化によって調節することができるものである場合がある。
【0073】
本発明の任意の態様又は実施形態では、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性は、ビフィズス菌及び乳酸桿菌などの有益な細菌の均衡が崩れて変調されることによるものであり得、及び/又は酸化ストレス若しくはCRPなどの炎症マーカーによって変調されることによるものであり得る。
【0074】
本発明は更に、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB・ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。アレルギー性疾患は、食物アレルギーであっても、呼吸器アレルギーであっても、皮膚科領域のアレルギーであってもよい。具体的なアレルギー性疾患の例は、鼻炎、喘息、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹、アトピー性湿疹、蕁麻疹、乾癬、好酸球性食道炎、又は好酸球性/肥満細胞関連性消化管疾患であってもよい。
【0075】
本発明の任意の態様又は実施形態におけるプロバイオティクスの組み合わせは、アレルギー性疾患の治療又は予防に使用するためのものであってもよく、誘因となるアレルゲンは環境アレルゲンであり、好ましくは、チリダニ、花粉、カビ又はカビ胞子、雑草の花粉、樹木の花粉、牧草の花粉、ノミ、ペットの毛、羽毛、又はペットのふけのうちの1つ以上から選択される。
【0076】
好ましくは、本発明のプロバイオティクスの組み合わせを使用する、アレルギー性疾患及び/又は食物不耐性の治療又は予防は、抗炎症性サイトカイン(好ましくはIL-10)の産生又は発現を増加させることを含む。
【0077】
治療する対象は、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒト又はコンパニオンアニマル(ペット)であり、好ましくは、対象は、小児期、乳児期、青年期、又は成人期のヒト、イヌ、子イヌ、ネコ、又は子ネコである。
【0078】
別の実施形態では、プロバイオティクスの組み合わせは、食物アレルギー及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するためのものであり、アレルギー性疾患又は食物不耐性における誘因となるアレルゲンは、好ましくは、ナッツ、種実類、ピーナッツ、魚類、貝類、軟体動物、甲殻類、乳、卵、大豆、グルテン、穀物、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、セロリ、トウモロコシ、ルピナス、亜硫酸塩、ゴマ、マスタード、米、家禽肉、及び肉から選択される。この実施形態では、食物アレルギー又は食物不耐性の治療又は予防は、好ましくはヒトにおけるものである。
【0079】
あるいは、本発明の任意の態様又は実施形態による使用のためのプロバイオティクスの組み合わせは、コンパニオンアニマル(ペット)、好ましくはイヌ又はネコ、より好ましくはイヌにおける食物アレルギー及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するためのものであり、アレルギー性疾患又は食物不耐性における誘因となるアレルゲンは、子羊の肉、牛肉、家禽肉、豚肉などの肉類、魚類、甲殻類、トウモロコシ、米、小麦、ジャガイモ、乳、及び卵から選択される。
【0080】
したがって、本発明は更に、ネコ科又はイヌ科の食物アレルギー及び/又は食物不耐性の治療のための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB・ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。プロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは、組成物、より好ましくはペットフード(特に、ドライペットフード)又はペット用栄養補給剤又は獣医用組成物(特に錠剤、カプセル、又は乾燥粉末)の形態である。
【0081】
別の実施形態では、治療する対象は、イヌ、子イヌ、ネコ、又は子ネコである。したがって、本発明は更に、コンパニオンアニマル、好ましくはイヌ又はネコにおけるアレルギー性疾患、例えば、食物アレルギー及び/又は食物不耐性の治療又は予防のための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.・ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。プロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは、組成物、より好ましくはペットフード、ペット用栄養補給剤又は獣医用組成物の形態である。
【0082】
更に別の実施形態では、治療する対象は、小児期、乳児期、青年期、又は成人期のヒトである。したがって、本発明は更に、これらの対象における食物アレルギー又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせを提供する。プロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは、組成物、より好ましくは食品、栄養補給剤又は医薬組成物(特に錠剤、カプセル、顆粒又は乾燥粉末)の形態である。
【0083】
本発明の任意の実施形態では、プロバイオティクスの組み合わせは、プロバイオティクス細菌としてB.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446のみを含有してもよい。プロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは、組成物、より好ましくは食品、栄養補給剤、又は医薬組成物若しくは獣医用組成物の形態である。
【0084】
本発明の任意の実施形態では、プロバイオティクスの組み合わせは、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及びB.ロンガムATCC BAA-999を含んでもよい。あるいは、本発明の任意の実施形態によるプロバイオティクスの組み合わせは、プロバイオティクス細菌としてB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及びB.ロンガムATCC BAA-999のみを含んでもよい。プロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは、組成物、より好ましくは食品、栄養補給剤、又は医薬組成物若しくは獣医用組成物の形態である。
【0085】
プロバイオティクスの組み合わせは、任意の実施形態に記載の組成物の形態であってもよく、組成物は、プロバイオティクス細菌としてB.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446のみを含有する。プロバイオティクス組成物は、好ましくは、食品、栄養補給剤、又は医薬組成物若しくは獣医用組成物の形態である。
【0086】
プロバイオティクスの組み合わせは、任意の実施形態に記載の組成物の形態であってもよく、組成物は、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446及びB.ロンガムATCC BAA-999を含む。あるいは、プロバイオティクスの組み合わせは、任意の実施形態に記載の組成物の形態であってもよく、組成物は、プロバイオティクス細菌としてB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446及びB.ロンガムATCC BAA-999のみを含有する。プロバイオティクス組成物は、好ましくは、食品、栄養補給剤、又は医薬組成物若しくは獣医用組成物の形態である。
【0087】
任意の好適な用量のプロバイオティクスの組み合わせを使用することができる。好ましくは、本発明の任意の実施形態では、プロバイオティクスの組み合わせは、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含み、各プロバイオティクスは、対象に、1日当たり10~1012cfuに相当する量で投与される。
【0088】
組み合わせのプロバイオティクス成分を、更に加工することなく使用することができるが、本発明の任意の実施形態によるプロバイオティクスの組み合わせは、好ましくは組成物の形態で投与される。好適な組成物は、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含むものであり、好ましくは、1つ以上の薬学的又は獣医学的に許容可能な賦形剤を含む医薬製剤又は獣医用製剤、栄養剤(例えば栄養補給剤など)、経管栄養剤、ダイエタリー・サプリメント、機能性食品、飲料製品、及びペットケア製品(例えば、ペットフード、又はペット用栄養補給剤)の形態であってもよい。
【0089】
医薬製剤又は獣医用製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、又は散剤の形態であってもよい。
【0090】
本発明の任意の実施形態によると、組成物は、1日当たり10~1012cfuに相当する量の各プロバイオティクスを含んでもよい。この量は、単回用量によるもの、又は複数回用量によるものいずれであってもよい。
【0091】
また、アレルギー性疾患、例えば食物アレルギー、及び/又は食物不耐性の治療又は予防に使用するための組成物の生産に使用するための、B.ロンガムCNCM I-2618及びB・ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせが提供される。
【0092】
本発明は更に、対象におけるアレルギー性疾患、例えば、食物アレルギー、及び/又は食物不耐性の治療又は予防のための方法であって、当該対象にプロバイオティクスの組み合わせを投与するステップを含み、プロバイオティクスの組み合わせが、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、方法を提供する。
【0093】
B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、本発明のプロバイオティクスの組み合わせを、それぞれのプロバイオティクスの同時投与又は逐次投与のために提供することができる。あるいは、プロバイオティクスの組み合わせは、単一組成物としての配合物であってもよい。
【0094】
ビフィドバクテリウム・ロンガムCNCM I-2618及びビフィドバクテリウム・ラクティスCNCM I-2446を含み、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む、プロバイオティクスの組み合わせは、例えば10~1012コロニー形成単位(cfu)の各プロバイオティクスを含有する組成物((例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、又は散剤)として投与することができ、又は、完全栄養配合物(例えば、乳児用フォーミュラ又は臨床栄養製品)、乳製品、飲料粉末、乾燥スープ、ダイエタリー・サプリメント、置き換え食品、栄養バー、シリアル、菓子製品、又はドライペットフードなどの栄養組成物に組み込むことができる。
【0095】
一実施形態では、組み合わせは、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-2446の両方を含む単一カプセルの形態であっても、又はB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-2446、及びB.ロンガムATCC BAA-999を含む単一カプセルの形態であってもよい。
【0096】
あるいは、組み合わせを、同時投与又は逐次投与のために、1つのカプセル内にB.ロンガムCNCM I-2618を含み、これとは別のカプセル内にB.ラクティスCNCM I-2446を含む、別個のカプセルとして提供することができ、又は、組み合わせを、同時投与又は逐次投与のために、別個のカプセルとしてB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-2446、及びB.ロンガムATCC BAA-999を含む別個のカプセルとして提供することができる。
【0097】
栄養組成物に組み込まれるとき、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446、並びに任意選択的にB.ロンガムATCC BAA-999は、それぞれ、5×10~1019cfu/g(乾燥重量)に相当する量で組成物中に存在し得る。これらの量についての表現には、細菌が生きている、不活性化されている、若しくは死んでいる可能性、又は更にはDNA若しくは細胞壁材料などの断片として又は代謝産物として存在する可能性が含まれる。換言すれば、細菌の量は、実際に生菌、不活性化菌、若しくは死菌、断片化されたもの、又はこれらの状態のうち任意のものの若しくは全ての混合物のいずれであるかに関わらず、全ての細菌が生菌であった場合にその量の細菌がコロニーを形成する能力をもとに表される。好ましくは、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446及びB.ロンガムATCC BAA-999(存在する場合)のそれぞれは、乾燥組成物の5×10~10cfu/g、より好ましくは10~10cfu/gの量で存在する。
【0098】
プロバイオティクスの組み合わせがB.ロンガムATCC BAA-999を更に含む本発明の実施形態では、B.ロンガムATCC BAA-999は、同時投与又は逐次投与のために、同一組成物中又は別個の組成物中のいずれかに存在し得る。例えば、上記のカプセルでは、B.ロンガムATCC BAA-999は、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446と共にカプセル内に封入することができ、それぞれのカプセルは、10~10cfu(コロニー形成単位)でそれぞれの株を含有する。同様に、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及びB.ロンガムATCC BAA-999を含む組成物は、栄養組成物、例えば完全栄養配合物(例えば、乳児用フォーミュラ又は臨床栄養製品)、乳製品、飲料粉末、乾燥スープ、ダイエタリー・サプリメント、置き換え食品、栄養バー、シリアル、菓子製品、又はドライペットフードに組み込むことができる。
【0099】
B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446は、それぞれ、任意の好適な方法によって培養することができ、カプセル封入のために、若しくは栄養組成物への添加のために、例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製することができる。あるいは、それらは、食品製品に添加するのに好適な形態であらかじめ調製されているものとして購入されてもよい。
【0100】
ATCC BAA-999は市販されており、森永乳業(日本)から商標名BB536で入手することができる。これを、任意の好適な方法によって培養することができ、例えばカプセル化若しくは栄養組成物への添加のために凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製することができる。あるいは、これは、食品製品に添加するのに好適な形態であらかじめ調製されているものとして購入されてもよい。
【0101】
本発明に使用するための完全栄養配合物は、タンパク質源、好ましくは食物タンパク質、例えば動物性タンパク質(例えば、乳タンパク質、肉タンパク質、又は卵タンパク質)、植物性タンパク質(例えば、大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、又はエンドウ豆タンパク質)、遊離アミノ酸の混合物、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。カゼイン及びホエイタンパク質などの乳タンパク質、並びに大豆タンパク質が特に好ましい。組成物はまた、炭水化物源及び脂肪源を含有してもよい。
【0102】
配合物が脂肪源を含む場合、それにより、好ましくは、配合物のエネルギーの5%~55%、例えば、エネルギーの20%~50%が得られる。脂肪源を構成する脂質は、任意の好適な脂肪又は脂肪混合物であってもよい。植物性脂肪、例えば大豆油、パーム油、ココナッツ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、コーン油、キャノーラ油、及びレシチンが特に好適である。乳脂肪などの動物性脂肪もまた、所望に応じて添加することができる。
【0103】
配合物が炭水化物源を含む場合、炭水化物源により好ましくは、配合物のエネルギーの40%~80%が得られる。任意の好適な炭水化物、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、及びこれらの混合物を使用することができる。食物繊維も、所望に応じて添加することができる。食物繊維は、例えば、大豆、エンドウ豆、オート麦、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、シアリルラクトース、及び動物の乳に由来するオリゴ糖をはじめとする、任意の好適な原料に由来するものであってもよい。好適なビタミン及びミネラルを、適切な指針に合致する量で栄養剤に含めることができる。
【0104】
本発明の組成物は、プレバイオティクスを更に含んでもよい。プレバイオティクスは通常、胃又は小腸において分解されず吸収されないという意味で難消化性である。したがって、プレバイオティクスは大腸に入る際にインタクトのままであり、大腸で有益な細菌により選択的に発酵される。プレバイオティクスの例としては、フラクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン、キシロオリゴ糖(XOS)、ポリデキストロース、又はこれらの任意の混合物などの特定のオリゴ糖が挙げられる。特定の実施形態では、プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖及び/又はイヌリンであってもよい。例としては、70%の短鎖フラクトオリゴ糖と30%のイヌリンとの組み合わせがあり、Nestleによって商標名「Prebio 1」として登録されている。
【0105】
所望の場合、1つ以上の食品等級乳化剤、例えば、モノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、レシチン、並びにモノグリセリド及びジグリセリドを、栄養配合物に組み込むことができる。同様に、好適な塩及び安定剤を含めることができる。
【0106】
完全栄養配合物は、任意の好適な要領で調製することができる。例えば、タンパク質源、炭水化物源、及び脂肪源を、適切な割合で一緒にブレンドすることができる。使用する場合、乳化剤をブレンドに含めることができる。この時点でビタミン及びミネラルを添加してもよいが、通常、熱分解を避けるために後で添加する。任意の親油性ビタミン、及び乳化剤などをブレンド前に脂肪源に溶解することができる。次いで、水、好ましくは逆浸透処理した水を混合して、液体混合物を形成することができる。
【0107】
次いで、液体混合物を熱処理して、細菌含有量を低減することができる。例えば、液体混合物を、約80℃~約110℃の範囲の温度まで約3秒間~約5分間かけて急速に加熱することができる。これは、蒸気注入によって、又は熱交換器、例えば、プレート熱交換器若しくは管状熱交換器によって行うことができる。
【0108】
次いで、液体混合物を、約60℃~約85℃の範囲の温度まで、例えば、フラッシュ冷却によって冷却することができる。次いで、液体混合物を、例えば、2段階にて、第1段階では約10MPa~約30MPa、第2段階では約2MPa~約10MPaで、均質化することができる。次いで、均質化された混合物を更に冷却して、熱の影響を受けやすい任意の成分、例えばビタミン及びミネラルを添加することができる。均質化した混合物のpH及び固形分含有量を、この時点で適宜標準化する。
【0109】
次いで、均質化した混合物を、噴霧乾燥機又は凍結乾燥機などの好適な乾燥装置に移し、粉末に変換することができる。粉末が有する水分含有量は約5重量%未満である必要がある。B.ロンガムCNCM I-2618及び/若しくはB.ラクティスCNCM I-3446、並びに/又はB.ロンガムATCC BAA-999を、乾式混合によって所望の量で粉末に添加することができる。
【0110】
本発明に使用するドライペットフードは、炭水化物源、タンパク質源、及び脂質源のうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0111】
任意の好適な炭水化物源を使用することができる。好ましくは、炭水化物源を、穀類、小麦粉、又はデンプンの形態で得る。例えば、炭水化物源は、米、大麦、ソルガム、キビ、オート麦、コーンミール、又は小麦粉であってもよい。スクロース、グルコースなどの単純な糖、及びコーンシロップもまた、使用することができる。炭水化物源によって提供される炭水化物の量は、所望に応じて選択されてもよい。例えば、ペットフードは、最大約60重量%の炭水化物を含有してもよい。
【0112】
好適なタンパク質源は、任意の好適な動物性タンパク質源又は植物性タンパク質源、例えば、筋肉又は骨格の肉(muscular or skeletal meat)、肉骨粉、家禽ミール、魚粉、乳タンパク質、トウモロコシグルテン、小麦グルテン、大豆粉、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質単離物、卵タンパク質、ホエイ、カゼイン、グルテンなどから選択されてもよい。高齢の動物のためには、タンパク質源は高品質の動物性タンパク質を含有することが好ましい。タンパク質源によって提供されるタンパク質の量は、所望に応じて選択されてもよい。例えば、ペットフードは、乾燥基準で約12重量%~約70重量%のタンパク質を含有してもよい。
【0113】
ペットフードは、脂肪源を含有してもよい。任意の好適な脂肪源を使用することができる。好ましくは、脂肪源は、獣脂などの動物性脂肪源である。植物油、例えば、コーン油、ヒマワリ油、ベニバナ油、菜種油、大豆油、オリーブ油、並びに一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸に富む他の油もまた使用することができる。脂肪源は、必須脂肪酸(リノール酸及びα-リノール酸)に加えて長鎖脂肪酸を含んでもよい。好適な長鎖脂肪酸としては、γ-リノール酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。魚油は、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の好適な供給源である。ボリジ油、クロスグリ種子油、及びマツヨイグサ油は、γ-リノール酸の好適な供給源である。菜種油、大豆油、亜麻仁油、及びクルミ油は、α-リノレン酸の好適な供給源である。ベニバナ油、ヒマワリ油、コーン油及び大豆油は、リノール酸の好適な供給源である。オリーブ油、菜種油(キャノーラ)、高オレイン酸ヒマワリ油、ベニバナ油、ピーナッツ油、及び米糠油は、一価不飽和脂肪酸の好適な供給源である。脂肪源によって提供される脂肪の量は、所望に応じて選択されてもよい。例えば、ペットフードは、乾燥基準で約5重量%~約40重量%の脂肪を含有してもよい。好ましくは、ペットフードは、比較的少なくした量の脂肪を有する。
【0114】
炭水化物源、タンパク質源及び脂質源の選択は重要ではなく、動物の栄養必要量、嗜好性の考慮、及び製造する製品の種類に基づいて選択される。更に、様々な他の成分、例えば、砂糖、塩、香辛料、香味料、ビタミン、ミネラル、着香料、ガム、及びプロバイオティクス微生物もまた、所望に応じてペットフードに組み込むことができる。
【0115】
高齢のペットの場合、ペットフードは、好ましくは、より若齢のペット用のペットフードよりも相対的に少ない脂肪を含有する。更に、デンプン源としては、オート麦、米、大麦、小麦及びトウモロコシのうちの1つ以上を挙げることができる。
【0116】
ペットフードを、エクストリュージョンクッキングによって製造してもよいが、焼成及び他の好適なプロセスを使用してもよい。エクストリュージョンクッキングでは、ペットフードは通常、キブルの形態で得られる。プロバイオティクス成分は、好ましくは、ドライペットフード上にコーティングされてもよく、又はその中に充填されてもよい。好適なプロセスは、欧州特許第0862863号に記載されている。
【0117】
本発明のプロバイオティクスの組み合わせ、及びその組成物は、アレルギー性疾患又は食物不耐性を有する個体、又は、アレルギー性疾患又は食物不耐性に罹患し易い個体(例えば、アトピー歴を有する個体)におけるアレルギー性疾患及び/又は食物不耐性を治療、管理、又は予防するために使用することができる。
【0118】
典型的には、組成物は、食品組成物、ペットフード組成物、ダイエタリー・サプリメント、ニュートラシューティカルズ、栄養剤、飲料、及び/又は医療用組成物からなる群から選択されてもよい。
【0119】
本発明に適用可能な食品組成物の例は、ヨーグルト、乳、フレーバードミルク、アイスクリーム、レディ・トゥ・イートデザート、粉末であって例えば乳又は水により再構成するもの、チョコレートミルクドリンク、麦芽飲料、レディ・トゥ・イート料理、ヒト用のインスタント料理若しくは飲料、又はペット若しくは家畜用を意図した完全食若しくは食餌の一部、に代表される食品組成物である。したがって、一実施形態では、本発明による組成物は、ヒト、ペット又は家畜用、好ましくはヒト及びペット用を意図する食品製品である。好ましい実施形態では、組成物は、ヒト(乳児、小児、青年若しくは成人)若しくはコンパニオンアニマル(ペット)(好ましくはイヌ、子イヌ、ネコ、又は子ネコ)用を意図する、食品製品又はダイエタリー・サプリメントである。
【0120】
本発明の組成物は、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、変性デンプンなど)、バインダー、皮膜形成剤、カプセル化剤/材料、壁/殻材料、マトリクス化合物、コーティング、乳化剤、表面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、充填剤、共化合物、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動剤、味覚マスキング剤、重み付け剤、ゼリー化剤、ゲル形成剤、抗酸化剤、及び抗菌剤を更に含有してもよい。組成物はまた、従来の医薬添加剤及び補助剤、賦形剤及び希釈剤を含有してもよく、これには、水、任意の原材料に由来するゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、着香料、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝剤、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。全ての場合において、このような更なる成分は、意図される受容者に対する適性に関して選択される。
【0121】
組成物は、完全栄養配合物であってもよい。本発明による組成物は、タンパク質源を含んでもよい。
【0122】
任意の好適な食物タンパク質、例えば、動物性タンパク質(例えば乳タンパク質、肉タンパク質、及び卵タンパク質)、植物性タンパク質(例えば大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウ豆タンパク質)、遊離アミノ酸の混合物、又はこれらの組み合わせを、使用することができる。
【0123】
タンパク質は、インタクトなタンパク質若しくは加水分解されたタンパク質、又はインタクトなタンパク質と加水分解されたタンパク質との混合物であってもよい。部分的に加水分解されたタンパク質(加水分解度2~20%)を、例えば、牛乳アレルギーを発症するリスクのあるヒト対象及び/又は動物に供給することが望ましいことがある。
【0124】
更にまた、予め加水分解されたタンパク質源は、弱っている胃腸管でも概して容易に消化吸収される。
【0125】
加水分解されたタンパク質が必要である場合、加水分解プロセスを、所望に応じて、当該技術分野において既知のように行うことができる。部分的に加水分解されたタンパク質(加水分解度2~20%)を供給することが望ましいことがある。
【0126】
例えば、ホエイタンパク質画分を一工程以上で酵素加水分解することにより、ホエイタンパク質加水分解物を調製することができる。出発物質として使用されたホエイ画分が実質的にラクトースを含まないものである場合、加水分解プロセス中にタンパク質が受けるリジンブロック(lysine blackage)が大幅に少なくなることが判明している。これにより、リジンブロックの程度を約15重量%の全リジンから、約10重量%未満のリジンにまで低減することができ、例えば、約7重量%のリジンにより、タンパク質源の栄養価は大幅に改善される。
【0127】
組成物はまた、炭水化物源及び脂肪源を含有してもよい。組成物が脂肪源を含む場合、脂肪源により、好ましくは、組成物のエネルギーの5%~40%、例えば、エネルギーの20%~30%が得られる。好適な脂肪プロファイルを、キャノーラ油と、コーン油と、高オレイン酸ヒマワリ油とのブレンドを使用して得ることができる。
【0128】
炭水化物源を組成物に添加することができる。
【0129】
炭水化物源により、好ましくは、組成物のエネルギーの40%~80%が得られる。任意の好適な炭水化物、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、及びこれらの混合物を使用することができる。食物繊維も、所望に応じて添加することができる。食物繊維は、酵素により消化されずに小腸を通過し、天然の増量剤及び下剤として機能する。食物繊維は、可溶性であっても不溶性であってもよく、概してこの2種のブレンドが好ましい。好適な食物繊維源としては、大豆、エンドウ豆、オート麦、ペクチン、グアーガム、部分加水分解グアーガム、アラビアゴム、フラクトオリゴ糖、酸性オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、シアリルラクトース、及び動物乳に由来するオリゴ糖が挙げられる。好ましい繊維ブレンドは、イヌリンとより短鎖のフラクトオリゴ糖との混合物である。好ましくは、繊維が存在する場合、繊維含有量は、摂取される組成物の2~40g/L、より好ましくは4~10g/Lである。
【0130】
組成物はまた、USRDAなどの政府機関の推奨に従って、微量元素及びビタミンなどの、ミネラル及び微量栄養素を含有してもよい。例えば、組成物は、以下に示す微量栄養素のうち1つ以上を所与の範囲で含んでもよい:300~500mgのカルシウム、50~100mgのマグネシウム、150~250mgのリン、5~20mgの鉄、1~7mgの亜鉛、0.1~0.3mgの銅、50~200μgのヨウ素、5~15μgのセレン、1000~3000μgのβカロテン、10~80mgのビタミンC、1~2mgのビタミンB1、0.5~1.5mgのビタミンB6、0.5~2mgのビタミンB2、5~18mgのナイアシン、0.5~2.0μgのビタミンB12、100~800μgの葉酸、30~70μgのビオチン、1~5μgのビタミンD、3~10μgのビタミンE。
【0131】
所望の場合、1つ以上の食品等級の乳化剤、例えば、モノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、レシチン、並びにモノグリセリド及びジグリセリドを、組成物に組み込むことができる。同様に、好適な塩及び安定剤を含めることができる。
【0132】
組成物は、例えば、乳又は水で再構成するための粉末形態で、経口的に及び/又は経腸的に投与可能なものであってもよい。
【0133】
組成物は、アレルギー性疾患又は食物不耐性及びその合併症の症状を少なくとも部分的に治療又は停止するのに十分な量で投与される。これを達成するのに十分な量が、「治療有効用量」として定義される。この目的のための有効量は、当業者に公知の多数の因子、例えば疾患の重症度並びに患者の体重及び全身状態に応じて異なる。
【0134】
予防用途において、本発明による組成物を、特定の疾患に罹患しやすい、又はそのリスクのある患者に、疾患を発症するリスクが少なくとも部分的に低減されるのに十分な量で投与する。このような量は、「予防有効用量」と定義される。ここでもまた、正確な量は、患者の健康状態及び体重などの患者に固有の数多くの因子に応じて変わる。
【0135】
概して、B.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999は、それぞれ、治療有効用量で、及び/又は予防有効用量で投与される。
【0136】
B.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999が生存可能な形態で存在する場合、これらの細菌が消化管にコロニーを形成し増殖することができるということを考慮した任意の濃度において、理論的に有効である。本発明の組成物では、概して、組成物の1日用量が、それぞれのプロバイオティクス細菌を10~1012cfu含むことが好ましい。それぞれのプロバイオティクスの、特に好適な1日用量は、10~1012cfuである。
【0137】
不活性化された及び/又は非増殖性のB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999の場合、本発明の組成物は、概して、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999の非増殖性細胞を、組成物の乾燥重量1g当たり10~1012個含むことが好ましい。それぞれのプロバイオティクスの特に好適な用量は、組成物の乾燥重量1g当たり10~1012個の非増殖性細胞、より好ましくは10~10個の非増殖性細胞である。
【0138】
自明なこととして、非増殖性の微生物はコロニーを形成せず、そのことから、用語「細胞」は、特定の量の増殖性細菌細胞から得られる非増殖性微生物の量として理解されたい。非増殖性微生物としては、不活性化された、生存可能でない若しくは死んでいる、又はDNA若しくは細胞壁を構成する材料などの断片として存在する、微生物が挙げられる。
【0139】
本発明の組成物を、0.2未満、例えば0.19~0.05の範囲、好ましくは0.15未満の水分活性を有する粉末形態で得ることができる。
【0140】
組成物は、常温保存可能な粉末であってもよい。低水分活性により、この保管安定性がもたらされ、プロバイオティクス微生物は、長期間の保存後であっても生菌のままであることが確保される。
【0141】
水分活性、すなわちaは、系における水のエネルギー状態の尺度である。この尺度は、水の蒸気圧を同じ温度での純水の蒸気圧で除したものとして定義される。したがって、純粋な蒸留水の有する水分活性はちょうど1である。
【0142】
追加的に又は代替的に、プロバイオティクス微生物であるB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446及び(存在する場合)B.ロンガムATCC BAA-999を、カプセル封入した形態で得ることができる。
【0143】
細菌のカプセル封入は治療上の及び技術的利点を有することが判明している。カプセル封入により、細菌の生存率が高くなり、ひいては生きたまま腸に届く生菌の数が増加する。更にまた、細菌は徐々に放出され、対象の健康に対する細菌の作用が長く続く。細菌を、例えば仏国特許第2443247号(Societe des Produits Nestle)に記載のようにマイクロカプセルに封入してもよく、当該特許は参照により本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、細菌を凍結乾燥又は噴霧乾燥し、ゲルに組み込むことができる。
【0144】
ここで、以下の実施例を参照することにより、本発明を更に説明する。
【実施例
【0145】
細菌の調製:
アッセイの前日、Nestle Culture Collection NCC3001、2818、及び2705由来の3つの選択された細菌株を、10mLのMRS+システイン中で培養し、嫌気性条件にて37℃で16時間生育した。
【0146】
細菌培養物を、5000rpmで5分間遠心分離した(室温)。細菌ペレットを、冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(10mL)中に懸濁した。それぞれの細菌培養物に関し、吸光度を600nmで測定した。RPMI培養培地で調節した細菌調製物は、OD及びCFUの一致について検証済みの選択寒天培地で細菌のコロニー形成単位を計数する事前試験に従って、5×10CFU/mL及び/1×10CFU/mLのものとした。
【0147】
末梢血単核球(PBMC)の調製:
3名の健康なドナーから単離したPBMCをPBSで1回洗浄した。500gで5分間遠心分離した後、細胞ペレットを、2mLのRPMI+10%のウシ胎児血清(FCS)中に懸濁した。細胞を計数し、調製物を、2×10個/mLとなるよう調整した。
【0148】
細菌によるPBMCの刺激:
PBMCを12ウェルの培養プレート(500μL)に播種し、次いで細菌調製物を添加した(500μL)。共培養物を37℃で24時間、10%のCOでインキュベートした。
【0149】
サイトカイン分析のために、上清を500gで5分間遠心分離し、新しいチューブに移した。試料を、評価まで-20℃で保存した。サイトカインIL-10を、ELISA(IL-10 ELISA、R&D Systems(MN))により測定した。
【0150】
腸管バリア透過性の評価
Caco-2及びHT-29-MTX細胞を、12ウェル培養プレートにおいて、ポリスチレンフィルタインサート上で3:1の比で共培養した。分化(14日間)の際、共培養物を細菌調製物(5×10個)とともに24時間プレインキュベートした後、TNFα(0.6ng/mL)及びIFNγ(2.5ng/mL)により基底外側を刺激し、バリアの完全性を変化させた(対照)。16時間後に経上皮電気抵抗(TEER)を測定することにより、TNF/IFN処理対照に対するTEERの上昇率(%)として、バリア透過性において炎症により誘導される変化を定量した。
【0151】
結果を図1及び図2に示す。図1に明確に示されるように、本発明によるB.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスの組み合わせは、驚くべきことに、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を増加させるのに有効である(図1)。
【0152】
図1は、本発明のB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及びB.ロンガムATCC BAA-999の3種を組み合わせたときの、抗炎症性サイトカインIL-10の産生増加に対する驚くべき相乗効果を更に示している。
【0153】
図2及び本発明によって明確に示されるように、B.ロンガムCNCM I-2618及びB.ラクティスCNCM I-3446は、驚くべきことに、単一の株又は2つの株の組み合わせと比較して、炎症により誘導されるバリア透過性を予防するのに有効である。本発明の一態様によるB.ロンガムCNCM I-2618、B.ラクティスCNCM I-3446、及びB.ロンガムATCC BAA-999の3種の組み合わせはまた、炎症により誘導されるバリア破壊を予防することも示している(図2)。

図1
図2