(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】検体検査システム、ラック搬送システム、ラック搬送制御装置およびラック搬送方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
G01N35/04 H
(21)【出願番号】P 2022004695
(22)【出願日】2022-01-14
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】巴山 幸賢
(72)【発明者】
【氏名】大前 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利紀
(72)【発明者】
【氏名】辻 宏幸
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-128913(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043261(WO,A1)
【文献】特開2009-186201(JP,A)
【文献】特開2014-029275(JP,A)
【文献】特開平10-132828(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/138700(JP,A1)
【文献】特開2002-357612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のラックに保持された検体容器を第2のラックに移し替える検体並び替え装置と、
前記第2のラックに保持された検体容器の検体を処理する検体処理装置と、
前記検体処理装置による処理が終了した検体容器を、前記第2のラックから保管用の検体容器保管具に移し替える検体保管装置と、
前記検体並び替え装置、前記検体処理装置および前記検体保管装置の間で前記第2のラックを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、を備え、
前記検体並び替え装置は、空の前記第2のラックを貯留するラック貯留部を有し、
前記搬送制御装置は、
前記検体容器を保持した前記第2のラックが前記検体並び替え装置から前記検体保管装置へと搬送され、前記検体容器が前記検体容器保管具に移し替えられて空になった前記第2のラックが前記検体保管装置から前記検体並び替え装置の前記ラック貯留部に搬送されるよう、前記検体並び替え装置と前記検体保管装置との間で双方向に前記第2のラックを搬送制御する、検体検査システム。
【請求項2】
前記搬送制御装置は、前記検体並び替え装置、前記検体処理装置および前記検体保管装置の配置の設定を受け付け、受け付けた配置により配置情報を生成し、前記配置情報に基づいて前記第2のラックを搬送制御する、請求項1に記載の検体検査システム。
【請求項3】
前記搬送制御装置は、前記検体並び替え装置および前記検体保管装置と通信可能に構成され、前記検体並び替え装置および前記検体保管装置から受信した情報に基づいて、前記検体並び替え装置と前記検体保管装置との間で双方向に前記第2のラックを搬送制御する、請求項1または2に記載の検体検査システム。
【請求項4】
前記搬送制御装置は、前記検体並び替え装置における空ラックの保持数に応じて、前記検体保管装置で空になった前記第2のラックを前記検体並び替え装置に搬送する制御を行う、請求項
1ないし3の何れか一項に記載の検体検査システム。
【請求項5】
前記検体並び替え装置は、保持している前記空ラックが所定数を下回ると、前記搬送制御装置に空ラックの搬送要求を送信し、
前記搬送制御装置は、前記検体並び替え装置から受信した前記搬送要求に基づいて、前記検体保管装置で空になった前記第2のラックを前記検体並び替え装置に搬送する制御を行う、請求項
4に記載の検体検査システム。
【請求項6】
前記検体保管装置で空になった前記第2のラックを回収する空ラック回収装置をさらに備え、
前記搬送制御装置は、前記検体保管装置で空になった前記第2のラックを、前記検体保管装置から前記空ラック回収装置に搬送し、前記空ラック回収装置から前記検体並び替え装置に搬送する制御を行う、請求項
1ないし
5の何れか一項に記載の検体検査システム。
【請求項7】
前記搬送制御装置は、前記検体保管装置で空になった前記第2のラックを、前記空ラック回収装置から前記検体保管装置を介して前記検体並び替え装置に搬送する制御を行う、請求項
6に記載の検体検査システム。
【請求項8】
前記搬送制御装置は、前記検体保管装置で空になった前記第2のラックを、前記空ラック回収装置から前記検体保管装置を介さずに前記検体並び替え装置に搬送する制御を行う、請求項
6に記載の検体検査システム。
【請求項9】
前記検体処理装置は、検体の塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置および検体を分析する検体分析装置の少なくとも一方を含む、請求項1ないし
8の何れか一項に記載の検体検査システム。
【請求項10】
第1のラックに保持された検体容器の検体を測定する測定装置をさらに含み、
前記検体並び替え装置は、前記第1のラックに保持された検体容器のうち、前記測定装置による測定の結果、前記検体処理装置による処理が必要となった検体の検体容器を前記第2のラックに移し替える、請求項1ないし
9の何れか一項に記載の検体検査システム。
【請求項11】
前記搬送装置は、前記検体並び替え装置、前記検体処理装置および前記検体保管装置の間でさらに前記第1のラックを搬送し、
前記搬送制御装置は、
前記搬送制御装置は、前記検体並び替え装置と前記検体保管装置との間で双方向に前記第1のラックを搬送制御する、請求項1ないし
10の何れか一項に記載の検体検査システム。
【請求項12】
前記搬送制御装置は、前記第2のラックに並び替えられなかった検体容器を保持した前記第1のラックを前記検体並び替え装置から前記検体保管装置に搬送し、
前記検体保管装置は、前記第1のラックから前記検体容器保管具に前記検体容器を移し替え、
前記搬送制御装置は、前記検体保管装置が前記検体容器を前記検体容器保管具に移し替えることにより空になった前記第1のラックを前記検体並び替え装置に搬送する制御を行う、請求項
11に記載の検体検査システム。
【請求項13】
第1のラックに保持された検体容器を第2のラックに移し替える検体並び替え装置、前記第2のラックに保持された検体容器の検体を処理する検体処理装置、および前記検体処理装置による処理が終了した検体容器を前記第2のラックから保管用の検体容器保管具に移し替える検体保管装置の間で前記第2のラックを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、を備え、
前記検体並び替え装置は、空の前記第2のラックを貯留するラック貯留部を有し、
前記搬送制御装置は、
前記検体容器を保持した前記第2のラックが前記検体並び替え装置から前記検体保管装置へと搬送され、前記検体容器が前記検体容器保管具に移し替えられて空になった前記第2のラックが前記検体保管装置から前記検体並び替え装置の前記ラック貯留部に搬送されるよう、前記検体並び替え装置と前記検体保管装置との間で双方向に前記第2のラックを搬送制御する、ラック搬送システム。
【請求項14】
第1のラックに保持された検体容器を第2のラックに移し替える検体並び替え装置、前記第2のラックに保持された検体容器の検体を処理する検体処理装置、および前記検体処理装置による処理が終了した検体容器を前記第2のラックから保管用の検体容器保管具に移し替える検体保管装置の間で前記第2のラックの搬送を制御するラック搬送制御装置であって、
前記検体並び替え装置は、空の前記第2のラックを貯留するラック貯留部を有し、
前記検体容器を保持した前記第2のラックが前記検体並び替え装置から前記検体保管装置へと搬送され、前記検体容器が前記検体容器保管具に移し替えられて空になった前記第2のラックが前記検体保管装置から前記検体並び替え装置の前記ラック貯留部に搬送されるよう、前記検体並び替え装置と前記検体保管装置との間で双方向に前記第2のラックを搬送制御する、ラック搬送制御装置。
【請求項15】
第1のラックに保持された検体容器を第2のラックに移し替える検体並び替え装置、前記第2のラックに保持された検体容器の検体を処理する検体処理装置、および前記検体処理装置による処理が終了した検体容器を前記第2のラックから保管用の検体容器保管具に移し替える検体保管装置の間で前記第2のラックを搬送するラック搬送方法であって、
前記検体並び替え装置は、空の前記第2のラックを貯留するラック貯留部を有し、
前記検体並び替え装置から前記検体保管装置に
前記検体容器を保持した前記第2のラックを搬送し、
前記検体保管装置から前記検体並び替え装置
の前記ラック貯留部に
前記検体容器が前記検体容器保管具に移し替えられて空になった前記第2のラックを搬送する、ラック搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体検査システム、ラック搬送システム、ラック搬送制御装置およびラック搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体検査システムには、ラックに保持された検体容器を他のラックに移し替える検体並び替え装置と、処理済みの検体容器を保管する検体保管装置とが配置され得る。たとえば、以下の特許文献1には、移載元のラックから移載先のラックに検体容器を仕分ける移載ステーションと、移載先ラックに収容された検体容器を検査する検査ステーションと、検査が終了した検体容器を収容した移載先ラックを保管する保管庫とを備えた検体処理システムが記載されている。この検体処理システムでは、移載ステーション、検査ステーションおよび保管庫が、基幹搬送ラインで接続されている。また、この検体処理システムは、移載ステーションに空ラックを供給するステーションが設けられており、基幹搬送ラインの直下に設けられた地下搬送路を介して空ラックが移載ステーションに搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の検体処理システムでは、オペレータが、移載ステーションに空ラックを供給するステーションに空ラックを補充する必要がある。このような作業は、オペレータにとって煩雑である。
【0005】
本発明は、オペレータの作業を軽減することが可能な検体検査システム、ラック搬送システム、ラック搬送制御装置およびラック搬送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検体検査システム(1)は、第1のラック(100)に保持された検体容器(110)を第2のラック(100)に移し替える検体並び替え装置(40)と、第2のラック(100)に保持された検体容器(110)の検体を処理する検体処理装置(52、62)と、検体処理装置(52、62)による処理が終了した検体容器(110)を、第2のラック(100)から保管用の検体容器保管具(130)に移し替える検体保管装置(70)と、検体並び替え装置(40)、検体処理装置(52、62)および検体保管装置(70)の間で第2のラック(100)を搬送する搬送装置(11、12、13、20、31、51、61)と、搬送装置(11、12、13、20、31、51、61)を制御する搬送制御装置(80)と、を備える。検体並び替え装置(40)は、空の第2のラック(100)を貯留するラック貯留部(361)を有する。搬送制御装置(80)は、検体容器(110)を保持した第2のラック(100)が検体並び替え装置(40)から検体保管装置(70)へと搬送され、検体容器(110)が検体容器保管具(130)に移し替えられて空になった第2のラック(110)が検体保管装置(70)から検体並び替え装置(40)のラック貯留部(361)に搬送されるよう、検体並び替え装置(40)と検体保管装置(70)との間で双方向に第2のラック(100)を搬送制御する。
【0007】
本発明の検体検査システムによれば、検体並び替え装置と検体保管装置との間で第2のラックが双方向に搬送される。これにより、たとえば、検体並び替え装置において第1のラックから移し替えられた検体容器を保持する第2のラックを、検体並び替え装置から検体保管装置に搬送できるとともに、検体保管装置内の検体容器保管具に全ての検体容器が移し替えられて空になった第2のラックを、検体保管装置から検体並び替え装置に搬送できる。よって、検体並び替え装置に空のラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【0008】
本発明のラック搬送システム(1b)は、第1のラック(100)に保持された検体容器(110)を第2のラック(100)に移し替える検体並び替え装置(40)、第2のラック(100)に保持された検体容器(110)の検体を処理する検体処理装置(52、62)、および検体処理装置(52、62)による処理が終了した検体容器(110)を第2のラック(100)から保管用の検体容器保管具(130)に移し替える検体保管装置(70)の間で第2のラック(100)を搬送する搬送装置(11、12、13、20、31、51、61)と、搬送装置(11、12、13、20、31、51、61)を制御する搬送制御装置(80)と、を備える。検体並び替え装置(40)は、空の第2のラック(100)を貯留するラック貯留部(361)を有する。搬送制御装置(80)は、検体容器(110)を保持した第2のラック(100)が検体並び替え装置(40)から検体保管装置(70)へと搬送され、検体容器(110)が検体容器保管具(130)に移し替えられて空になった第2のラック(100)が検体保管装置(70)から検体並び替え装置(40)のラック貯留部(361)に搬送されるよう、検体並び替え装置(40)と検体保管装置(70)との間で双方向に第2のラック(100)を搬送制御する。
【0009】
本発明のラック搬送システムによれば、検体並び替え装置と検体保管装置との間で第2のラックが双方向に搬送される。これにより、たとえば、検体並び替え装置において第1のラックから移し替えられた検体容器を保持する第2のラックを、検体並び替え装置から検体保管装置に搬送できるとともに、検体保管装置内の検体容器保管具に全ての検体容器が移し替えられて空になった第2のラックを、検体保管装置から検体並び替え装置に搬送できる。よって、検体並び替え装置に空のラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【0010】
本発明のラック搬送制御装置(80)は、第1のラック(100)に保持された検体容器(110)を第2のラック(100)に移し替える検体並び替え装置(40)、第2のラック(100)に保持された検体容器(110)の検体を処理する検体処理装置(52、62)、および検体処理装置(52、62)による処理が終了した検体容器(110)を第2のラック(100)から保管用の検体容器保管具(130)に移し替える検体保管装置(70)の間で第2のラック(100)の搬送を制御する。検体並び替え装置(40)は、空の第2のラック(100)を貯留するラック貯留部(361)を有する。ラック搬送制御装置(80)は、検体容器(110)を保持した第2のラック(100)が検体並び替え装置(40)から検体保管装置(70)へと搬送され、検体容器(110)が検体容器保管具(130)に移し替えられて空になった第2のラック(100)が検体保管装置(70)から検体並び替え装置(40)のラック貯留部(361)に搬送されるよう、検体並び替え装置(40)と検体保管装置(70)との間で双方向に第2のラック(100)を搬送制御する。
【0011】
本発明のラック搬送制御装置によれば、検体並び替え装置、検体処理装置および検体保管装置の間で第2のラックが双方向に搬送される。これにより、上記検体検査システムと同様の効果が奏されるとともに、検体処理装置および検体並び替え装置の間で第2のラックを効率的に搬送でき、検体処理装置および検体保管装置の間で第2のラックを効率的に搬送できる。
【0012】
本発明のラック搬送方法は、第1のラック(100)に保持された検体容器(110)を第2のラック(100)に移し替える検体並び替え装置(40)、第2のラック(100)に保持された検体容器(110)の検体を処理する検体処理装置(52、62)、および検体処理装置(52、62)による処理が終了した検体容器(110)を第2のラック(100)から保管用の検体容器保管具(130)に移し替える検体保管装置(70)の間で第2のラック(100)を搬送する。検体並び替え装置(40)は、空の第2のラック(100)を貯留するラック貯留部(361)を有する。ラック搬送方法は、検体並び替え装置(40)から検体保管装置(70)に検体容器(110)を保持した第2のラック(100)を搬送し、検体保管装置(70)から検体並び替え装置(40)のラック貯留部(361)に検体容器(110)が検体容器保管具(130)に移し替えられて空になったに第2のラック(100)を搬送する。
【0013】
本発明のラック搬送方法によれば、検体並び替え装置と検体保管装置との間で第2のラックが双方向に搬送される。これにより、たとえば、検体並び替え装置において第1のラックから移し替えられた検体容器を保持する第2のラックを、検体並び替え装置から検体保管装置に搬送できるとともに、検体保管装置内の検体容器保管具に全ての検体容器が移し替えられて空になった第2のラックを、検体保管装置から検体並び替え装置に搬送できる。よって、検体並び替え装置に空のラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オペレータの作業を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、検体検査システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、ラックおよび容器の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、検体並び替え装置の第1階層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、検体並び替え装置の第2階層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、検体並び替え装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、検体保管装置の第1階層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、検体保管装置の第2階層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る、検体保管装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る、検体並び替え装置に設けられた昇降機構の構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る、検体保管装置に設けられた昇降機構の構成を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る、検体並び替え装置の容器移送機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る、上下移送部および把持部の構成を模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る、検体並び替え装置の構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る、検体保管装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る、搬送制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る、搬送制御装置の表示入力部に表示される、検体検査システムの配置情報を設定するための画面を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る、検体並び替え装置における移し替え動作を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係る、検体保管装置における移し替え動作を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係る、検体並び替え装置および検体保管装置の間のラックの搬送経路を模式的に示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る、検体並び替え装置によるラックからバッファラックへの容器の移し替え処理を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、実施形態に係る、検体並び替え装置によるラックからバッファラックへの容器の移し替え処理を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、実施形態に係る、検体並び替え装置によるバッファラックからラックへの容器の移し替え処理を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、実施形態に係る、検体保管装置によるラックからアーカイブラック130への容器の移し替え処理を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、実施形態に係る、検体保管装置によるラックからアーカイブラック130への容器の移し替え処理を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、実施形態に係る、搬送制御装置によるラックの搬送制御を示すフローチャートである。
【
図26】
図26は、実施形態に係る、搬送制御装置によるラックの搬送制御を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、実施形態に係る、搬送制御装置による検体並び替え装置から検体保管装置へラックを搬送する制御を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は、実施形態に係る、搬送制御装置による空ラックの搬送制御を示すフローチャートである。
【
図29】
図29は、実施形態に係る、ラックの搬送例を示すタイムチャートである。
【
図30】
図30は、実施形態に係る、ラックの搬送例を示すタイムチャートである。
【
図31】
図31は、変更例に係る、検体検査システムの構成を模式的に示す図である。
【
図32】
図32は、変更例に係る、検体並び替え装置および検体保管装置の間のラックの搬送経路を模式的に示す図である。
【
図33】
図33は、変更例に係る、ラックの搬送例を示すタイムチャートである。
【
図34】
図34は、変更例に係る、ラックの搬送例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、検体検査システム1の構成を模式的に示す図である。
【0017】
図1には、検体検査システム1の平面視の構成が示されており、平面視における前後左右の方向が示されている。下流方向および後段方向は左方向であり、上流方向および前段方向は右方向である。オペレータは、検体検査システム1の前方側から検体検査システム1に対してアクセスする。検体検査システム1の前側は、オペレータにとっての手前側に対応する。
【0018】
検体検査システム1は、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、検体に含まれる血球を計数する血球計数装置30、検体並び替え装置40、搬送装置51、塗抹標本作製装置52、搬送装置61、CRP、HbA1c、ESRなどの測定項目を測定する分析装置62、検体保管装置70、および搬送制御装置80を備える。血球計数装置30は、1つの搬送装置31と2つの測定装置32とを含む組を2つ備え、1つの制御装置33を備える。
【0019】
制御装置33は、搬送装置31、測定装置32、およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。塗抹標本作製装置52は、搬送装置51およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。分析装置62は、搬送装置61およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。搬送制御装置80は、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、搬送装置31、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、検体保管装置70、およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。
図1には、装置間で通信を行うための通信ケーブルが、一点鎖線で示されている。
【0020】
検体検査システム1は、検体を自動で測定し、測定データに基づいて分析を行うシステムである。検体は、たとえば、被検者から採取された全血である。検体を含む容器110(
図2参照)は、ラック100に保持された状態で搬送され、測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62において、容器110から検体が吸引され、検体に対する測定等が行われる。搬送制御装置80は、ラック100が対象の装置に搬送されるよう、上記の搬送制御装置80に接続された各装置を制御する。
【0021】
図2は、ラック100および容器110の構成を示す斜視図である。
【0022】
ラック100は、容器110を保持できる10個の穴101と、バーコードラベル102と、を備える。バーコードラベル102は、ラック100の後方側の面に貼り付けられている。バーコードラベル102には、ラック100を個別に識別可能な識別情報として、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0023】
容器110は、胴部111と、バーコードラベル112と、蓋部113と、を備える。胴部111は、上端が開放された管状容器であり、内部に検体を収容する。バーコードラベル112は、胴部111の側面に貼り付けられている。バーコードラベル112には、内部の検体を個別に識別可能な識別情報として、検体IDを示すバーコードが印刷されている。蓋部113は、胴部111の内部を密封するよう胴部111の上端に設置されている。蓋部113は、測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62に設けられたピアサが上下に貫通可能となるよう構成されている。
【0024】
図1に戻り、検体検査システム1において、左方向に、投入装置11、供給装置20、2台の搬送装置31、搬送装置12、検体並び替え装置40、搬送装置51、搬送装置61、検体保管装置70、および回収装置13が、この順で互いに隣接するように一列に並んでいる。隣接した2つの装置において、ラック100が相互に搬送される。
【0025】
投入装置11、供給装置20、搬送装置31、搬送装置12、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、検体保管装置70、および回収装置13には、それぞれ、ラック100を搬送するためのラック搬送路1aが設けられている。ラック搬送路1aは、
図1において矢印で示されており、この矢印の向きは、ラック搬送路1aにおいてラック100を搬送可能な方向を示している。各装置のラック搬送路1aは、前方位置において互いに接続されている。ラック搬送路1aは、左右方向に移動するコンベアベルトや、上面が水平面に平行な板部材などにより構成される。
【0026】
また、搬送装置12、31、51、61は、測定装置32、塗抹標本作製装置52、分析装置62、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間でラック100を搬送する。搬送装置12、31、51、61および搬送制御装置80により、ラック搬送システム1bが構成される。
【0027】
図1に示す構成の場合、オペレータは、検査対象の検体を収容した容器110をラック100にセットし、ラック100を投入装置11にセットする。これにより、ラック100がラック搬送路1aに沿って搬送され、検体に対して設定された検査項目に応じて、対象となる装置で検体が吸引され、検体に対する検査が行われる。必要な検査が全て終わると、ラック100は回収装置13に回収される。
【0028】
図1を参照して、投入装置11から回収装置13までのラック100の搬送について説明する。以下の説明において、オペレータにより投入装置11に投入されたラック100を第1のラックと呼び、検体並び替え装置40において第1のラックから容器110が移し替えられたラック100を第2のラックと呼ぶ。
【0029】
投入装置11は、オペレータにより投入されたラック100(第1のラック)を供給装置20に搬出する。
【0030】
供給装置20は、投入装置11から搬入されたラック100(第1のラック)について、ラックIDおよび検体IDを読み取り、左隣りの搬送装置31に搬出する。
【0031】
搬送装置31は、右隣りの装置から搬入されたラック100(第1のラック)を、測定装置32の前方へ搬送する。測定装置32は、搬送されたラック100(第1のラック)に保持された容器110から検体を吸引し、検体に含まれる血球を計数する。制御装置33は、各測定装置32で得られた測定データに基づいて検体の分析を行う。搬送装置31は、ラック100(第1のラック)を左隣りの装置に搬出する。
【0032】
搬送装置12は、右隣りの搬送装置31から搬入されたラック100(第1のラック)を後方に搬送し、後方の位置で検体並び替え装置40に搬出する。
【0033】
検体並び替え装置40は、後段の検体処理装置、すなわち、塗抹標本作製装置52および/または分析装置62で処理が必要な容器110を、搬送装置12から搬入されたラック100(第1のラック)から、検体並び替え装置40により保持されている空のラック100(第2のラック)に移し替える。検体並び替え装置40は、移し替えられた容器110を保持したラック100(第2のラック)を前方に搬送し、前方の位置で左隣りの搬送装置51に搬出する。また検体並び替え装置40は、後段の検体処理装置での処理が必要なく、第2のラックに移し替えられなかった容器110を保持したラック100(第1のラック)を前方に搬送し、前方の位置で左隣りの搬送装置51に搬出する。全ての容器110が移し替えられて空になったラック100(第1のラック)は、検体並び替え装置40により保持される。
【0034】
搬送装置51は、右隣りの検体並び替え装置40から搬入されたラック100(第1および第2のラック)のうち、塗抹標本作製装置52で処理を行う必要のある容器110を保持したラック100(第2のラック)を、塗抹標本作製装置52の前方へ搬送する。塗抹標本作製装置52は、搬送されたラック100(第2のラック)に保持された容器110から検体を吸引し、塗抹標本を作製する。搬送装置51は、塗抹標本作製装置52で処理が終わったラック100(第2のラック)を左隣りの搬送装置61に搬出する。また、搬送装置51は、塗抹標本作製装置52で塗抹標本を作製する必要のない容器110のみを保持したラック100(第1のラック)を、塗抹標本作製装置52の前方へ搬送せず、左隣りの搬送装置61に搬出する。
【0035】
搬送装置61は、右隣りの搬送装置51から搬入されたラック100(第1および第2のラック)のうち、分析装置62で処理を行う必要のある容器110を保持したラック100(第2のラック)を、分析装置62の前方へ搬送する。分析装置62は、たとえば、CRP、HbA1c、ESRなどの測定項目を測定可能な装置である。分析装置62は、搬送されたラック100(第2のラック)に保持された容器110から検体を吸引し、検体の分析を行う。搬送装置61は、分析装置62で処理が終わったラック100(第2のラック)を左隣りの検体保管装置70に搬出する。また、搬送装置51は、分析装置62で分析する必要のない容器110のみを保持したラック100(第1のラック)を、分析装置62の前方へ搬送せず、左隣りの検体保管装置70に搬出する。
【0036】
検体保管装置70は、右隣りの搬送装置61から搬入されたラック100(第1および第2のラック)を検体保管装置70内の後述する昇降位置P25に搬送し、このラック100(第1および第2のラック)に保持された容器110を、検体保管装置70内の後述するアーカイブラック130に移し替える。検体保管装置70は、空になったラック100(第1および第2のラック)を、右隣りの搬送装置61または左隣りの回収装置13に搬出する。
【0037】
回収装置13は、右隣りの検体保管装置70から搬入された空のラック100(第1および第2のラック)を後方に搬送して貯留する。
【0038】
搬送制御装置80は、ラック100(第1および第2のラック)の搬送先を決定し、決定した搬送先にラック100(第1および第2のラック)が搬送されるよう、ラック100(第1および第2のラック)を搬送する各装置を制御する。
【0039】
図3、4は、検体を並び替えるための検体並び替え装置40の構成を模式的に示す平面図である。
図3、4は、それぞれ、検体並び替え装置40の第1階層および第2階層を示す図である。
図5は、検体並び替え装置40の外観を模式的に示す斜視図である。
図5に示すように、検体並び替え装置40は、2階建ての構造を有している。検体並び替え装置40の内部は、第2階層の底面および第1階層の天井を構成する仕切り版47により上下2つの階層に分けられており、下の階層が第1階層48であり、上の階層が第2階層49である。第1階層48および第2階層49は、平面視において重なっている。仕切り版47には、ラック100を1つ通過させるための開口47aが設けられている。なお、仕切り版47には、開口47a以外にも開口や切り欠き等が設けられてもよい。また、第1階層48および第2階層49は、仕切り版47により構成されるのではなく、第1階層48を構成する筐体の上に第2階層49を構成する筐体が配置されて構成されてもよい。
【0040】
図3を参照して、検体並び替え装置40の第1階層には、読取ユニット41と、昇降機構42と、読取器43と、搬入路301と、センサ302と、搬送機構303と、中間路304と、開口305と、接続部306と、中継部307と、ラック待機領域311と、センサ312~318と、搬送機構319~322と、搬出路331と、センサ332と、搬出路341と、センサ342と、を備える。
【0041】
検体並び替え装置40の右隣りに位置する搬送装置12は、ラック100を後方に搬送して、後方位置でラック100を検体並び替え装置40に搬出する。
【0042】
搬入路301は、左右方向に延び、検体並び替え装置40の後方側に配置されている。搬入路301は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、搬送装置12から搬出されたラック100を左方向に搬送する。ラック100は、ラック100の長手方向(左右方向)に搬入路301に搬入される。センサ302は、透過型の光電センサであり、搬入路301上の搬入位置P11に位置づけられたラック100を検出する。読取ユニット41は、搬入位置P11に位置づけられたラック100から、ラックIDおよび検体IDを読み取る。
【0043】
読取ユニット41は、左右方向に移動する2つの移動部41aを備える。移動部41aは、ラック100に保持された容器110を周方向に回転させる主動ローラ41bと、主動ローラ41bの反対側から容器110を回転可能に押さえる2つの従動ローラ41cと、主動ローラ41bおよび従動ローラ41cにより挟まれた容器110から検体IDを読み取る読取器41dと、を備える。主動ローラ41bにより容器110が穴101内で鉛直方向を回転軸として回転することにより、バーコードが確実に読み取られる。ラックIDは、左側の読取器41dにより読み取られる。読取器41dは、バーコードリーダである。
【0044】
搬送機構303は、ラック100の側面を押すための部材を備え、搬入位置P11のラック100を、ラック100の短手方向(前後方向)に搬送し、中間路304を経由して、昇降機構42の昇降位置P12およびラック待機領域311に搬送する。
【0045】
中間路304、接続部306、中継部307およびラック待機領域311は、それぞれ、上面が水平面に平行な板部材により構成される。中間路304およびラック待機領域311は、接続部306を介して互いに繋がっている。中間路304およびラック待機領域311の間には、接続部306、中継部307、および昇降機構42の昇降位置P12が配置されている。
【0046】
中間路304は、搬入位置P11と、第1階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P12との間に配置されている。中間路304の前後方向の幅は、1つのラック100の前後方向(短手方向)の幅と略同じである。すなわち、昇降位置P12は、搬入路301に対して、ラック100の前後方向の幅を1つ分程度あけて前方に設けられている。
【0047】
ラック待機領域311は、左隣りの搬送装置51または右隣りの搬送装置12にラック100が滞留していてラック100を搬出位置P13または搬出位置P14から搬出できないときに、ラック100を待機させる領域であるとともに、昇降位置P12から搬出位置P13までラック100を移送するための移送路である。ラック待機領域311は、前後方向が長辺の矩形領域であり、昇降位置P12から前方まで前後方向に延びている。ラック待機領域311は、第1階層におけるラック100の昇降位置P12から、左の装置のラック搬送路1aへの搬出位置P13までの間に、ラック100が短手方向に20個並ぶ長さを有する。
【0048】
なお、ラック待機領域311は、ラック100を待機させるための領域を有すればよいが、検体検査システム1の設置面積を削減する観点から、好ましくは、10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上のラック100を待機させるための領域を有するとよい。また、ラック待機領域311は、検体検査システム1の前後方向の長さを抑える観点から、50を超えない数、好ましくは40を超えない数のラック100を待機させるための領域を有するとよい。
【0049】
昇降機構42は、中間路304およびラック待機領域311の間に設置されている。昇降機構42は、昇降位置P12に位置づけられたラック100を第2階層まで上昇させる。搬送機構303は、搬入路301上のラック100を昇降位置P12に位置づける。センサ312は、反射型の光電センサであり、昇降位置P12に位置づけられたラック100を検出する。
【0050】
中間路304およびラック待機領域311の間には、開口305が形成されている。開口305は、中間路304、接続部306およびラック待機領域311を構成する板部材を上下方向に貫通する孔である。接続部306は、開口305の右側に位置する。中継部307は、開口305内の左端に配置されている。接続部306および中継部307により、昇降位置P12に位置づけられたラック100の下面が支持される。昇降機構42の支持部42aは、平面視において開口305内に収まり、接続部306および中継部307と干渉しない形状である。昇降機構42の構成については、追って
図9を参照して説明する。
【0051】
ラック100を第1階層から第2階層まで上昇させる場合、昇降機構42は、あらかじめラック待機領域311よりも低い位置に支持部42aを位置づける。その後、接続部306および中継部307の上面の位置、すなわち昇降位置P12にラック100が搬送されると、昇降機構42は、支持部42aを上方向に移動させることにより、支持部42aの上面にラック100を乗せ、ラック100を第2階層まで上昇させる。第2階層では、後述するように、ラック100に保持された容器110の並び替えが行われる。容器110の並び替えが終了すると、昇降機構42は、支持部42aを下方向に移動させて、ラック待機領域311よりも低い位置に位置づける。これにより、接続部306および中継部307の上面の位置、すなわち昇降位置P12にラック100が位置づけられる。
【0052】
昇降位置P12のラック100は、ラック100の短手方向(前後方向)に、ラック待機領域311に沿って検体並び替え装置40の前方に向かって搬送される。昇降位置P12に戻されたラック100は、搬送機構303により、昇降位置P12の前方に搬送される。なお、並び替えが必要ないラック100の場合は、昇降位置P12に位置づけられた後、第2階層に移動されることなく、昇降位置P12の前方に搬送される。
【0053】
搬入位置P11のラック100に対する読取ユニット41の読み取りが終了したときに、昇降位置P12にラック100がなく、昇降機構42により第2階層に上昇されているラック100がない場合、搬送機構303は、搬入位置P11のラック100を昇降位置P12に位置づける。また、搬入位置P11のラック100に対する読取ユニット41の読み取りが終了したときに、昇降位置P12に第2階層から戻ったラック100または第2階層に上昇させる必要のないラック100が位置づけられている場合、搬送機構303は、搬入位置P11のラック100を前方に押し出すことにより、搬入位置P11のラック100および昇降位置P12のラック100を合わせて前方に搬送する。これにより、搬入位置P11のラック100が昇降位置P12に位置づけられ、昇降位置P12のラック100が昇降位置P12の前方に搬送される。
【0054】
なお、搬入位置P11のラック100に対する読取ユニット41の読み取りが終了したときに、搬入位置P11のラック100を第2階層に上昇させる必要がなく、且つ、昇降機構42により第2階層にラック100が上昇されている場合、搬送機構303は、搬入位置P11のラック100を、昇降位置P12を通過して昇降位置P12の前方に搬送してもよい。
【0055】
センサ313~318は、ラック待機領域311上のラック100を検出する。センサ318~318の検出信号に基づいて、ラック待機領域311上のラック100の滞留状態が検出される。センサ313、314、318は、反射型の光電センサであり、センサ315~317は、透過型の光電センサである。
【0056】
搬送機構319~322は、搬送機構303により昇降位置P12の前方に搬送されたラック100を、ラック待機領域311に沿ってラック100の短手方向(前後方向)に移動させて、搬出位置P13、P14に搬送する。このとき、搬出位置P13上のラック100は、後段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P13で待機する。搬出位置P14上のラック100は、前段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P14で待機する。
【0057】
搬送機構319は、ラック待機領域311の上面から上方に突出してラック100の下部を押すための部材を備え、昇降位置P12の前方に搬送されたラック100をさらに前方に搬送する。搬送機構320は、ラック100の側面を押すための一対の部材を備え、搬送機構319により前方に搬送されたラック100をさらに前方に搬送する。搬送機構321は、搬送機構319と同様の構成を備えており、搬送機構320により前方に搬送されたラック100をさらに前方に搬送する。搬送機構322は、搬送機構320と同様の構成を備えており、搬送機構321により前方に搬送されたラック100を、搬出路331または搬出路341に搬送する。読取器43は、ラック待機領域311の前端付近に位置づけられたラック100のラックIDを読み取る。読取器43は、バーコードリーダである。
【0058】
搬出路331は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、ラック待機領域311から搬出されたラック100を、左隣りの搬送装置51に搬出する。センサ332は、透過型の光電センサであり、搬出路331上の搬出位置P13に位置づけられたラック100を検出する。搬出路341は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、左隣りの搬送装置51から搬出されたラック100と、搬出路331を通過してラック待機領域311から搬出されたラック100とを、右隣りの搬送装置12に搬出する。センサ342は、透過型の光電センサであり、搬出路341上の搬出位置P14に位置づけられたラック100を検出する。
【0059】
図4を参照して、検体並び替え装置40の第2階層には、読取器44と、容器移送機構45と、センサ351と、搬送機構352と、ラック貯留部361と、ラック設置部362と、センサ363~366と、搬送機構367と、センサ368と、ストッパ369と、バッファラック120と、を備える。
【0060】
昇降機構42は、第1階層の昇降位置P12から上昇させたラック100を、第2階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P15に位置づける。センサ351は、透過型の光電センサであり、昇降位置P15に位置づけられたラック100を検出する。読取器44は、昇降位置P15に位置づけられたラック100のラックIDを読み取る。読取器44は、バーコードリーダである。
【0061】
容器移送機構45は、ラック100とバッファラック120との間で容器110を移送可能に構成されている。容器移送機構45は、昇降機構42により第1階層の昇降位置P12から第2階層の昇降位置P15に移送されたラック100から、第2階層に配置されたバッファラック120へと容器110を移送する。容器移送機構45は、ラック100に保持された容器110が、後段の装置(塗抹標本作製装置52および分析装置62)で処理が必要な検体を含む容器110のみとなるよう、または、後段の装置で処理が必要ない検体を含む容器110のみとなるよう、バッファラック120を用いて容器110の並び替えを行う。容器110の並び替えが終了すると、昇降機構42は、昇降位置P15のラック100を第1階層まで下降させ、昇降位置P12に位置づける。
【0062】
搬送機構352は、ラック100の側面を押すための部材を備え、昇降位置P15のラック100をラック貯留部361に搬送する。昇降位置P15に位置づけられたラック100から全ての容器110がバッファラック120に移送された場合、このラック100は容器110を保持しないラック100(以下、「空ラック」と称する)になる。この場合、搬送機構352は、昇降位置P15において空になった空ラックを、ラック貯留部361に搬送する。
【0063】
ラック貯留部361およびラック設置部362は、それぞれ、上面が水平面に平行な板部材の後方側の部分と前方側の部分とにより構成される。ラック貯留部361およびラック設置部362を構成する板部材は後方から前方まで前後方向に延びている。ラック設置部362の上方は、検体並び替え装置40の筐体に設けられた開口を介して外部に開放されている。
【0064】
センサ363、364は、ラック貯留部361上のラック100を検出する。センサ363、364の検出信号に基づいて、ラック貯留部361上の空ラックの貯留状態が検出される。センサ363は、反射型の光電センサであり、センサ364は、透過型の光電センサである。センサ365、366は、ラック設置部362上のラック100を検出する。センサ365、366の検出信号に基づいて、ラック設置部362上の空ラックの設置状態が検出される。センサ365、366は、透過型の光電センサである。
【0065】
搬送機構367は、ラック100の側面を押すための一対の部材を備え、ラック貯留部361およびラック設置部362上のラック100を前後方向に搬送する。センサ368は、透過型の光電センサであり、搬送機構367が原点位置に位置づけられたことを検出する。搬送機構367が、搬送機構367の移送部を最も前方の位置に移動すると、この移送部がセンサ368に位置づけられる。センサ368は、この移送部を検出することで、搬送機構367が原点位置に位置づけられたことを検出する。
【0066】
バッファラック120には、検体を収容した容器110を保持可能な穴121が複数形成されている。
図4のバッファラック120には、前後方向に6行、左右方向に10列で、合計60個の穴121が格子状に形成されている。バッファラック120に所定数Nの容器110が保持された場合、または、バッファラック120に最初の検体が収納されてから所定時間Tが経過した場合に、搬送先が同じ容器110のみがラック100に保持されるように、バッファラック120から昇降位置P15のラック100へ容器110の移し替えが行われる。所定数Nは、たとえば、表示入力部803(
図13参照)を介して、1本~10本の範囲で設定可能である。所定時間Tは、たとえば、表示入力部803を介して、1分~30分の範囲で設定可能である。
【0067】
バッファラック120からラック100への移し替え時に、移し替えるためのラック100が昇降位置P15にない場合、搬送機構367は、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留された空ラックのうち最も前方側にある空ラックの前面を押して、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留された空ラックのうち最も後方にある空ラックを昇降位置P15に押し出す。このとき、ストッパ369がラック貯留部361の上面から上方向に突出することにより、最も後方の空ラックと、最も後方の空ラックの前方に隣接する空ラックとが分離される。その後、容器移送機構45により、昇降位置P15に位置づけられた空ラックに、バッファラック120の容器110が移し替えられる。
【0068】
昇降位置P15のラック100への容器110の移し替えが終了すると、このラック100は、昇降機構42により第1階層の昇降位置P12に移送され、左隣りの搬送装置51または右隣りの搬送装置12へと搬出される。
【0069】
ラック貯留部361に貯留されている空ラックが所定数以下になると、搬送制御装置80は、検体保管装置70で容器110が全て取り出されて空になったラック100が搬送装置12を介して検体並び替え装置40に搬送されるよう、各装置を制御する。検体並び替え装置40は、搬送装置12から搬入された空ラックを第2階層のラック貯留部361に搬送する。
【0070】
また、オペレータは、表示入力部803(
図13参照)に表示される空ラックが不足した通知を参照して、上方が外部に開放されたラック設置部362に対して、空ラックを設置することもできる。搬送機構367は、オペレータによりラック設置部362に設置された空ラックを、適宜、ラック貯留部361および昇降位置P15へと搬送する。
【0071】
ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されている空ラックの数は、搬送機構367が、空ラックを昇降位置P15へ搬送する際に、空ラックを昇降位置P15に位置づけたときの駆動位置から、センサ368により検出される原点位置に復帰するまでのステッピングモータのステップ数で検出される。ステッピングモータのステップ数は、ロータリエンコーダ等によって計数される。
【0072】
図6、7は、検体を保管するための検体保管装置70の構成を模式的に示す平面図である。
図6、7は、それぞれ、検体保管装置70の第1階層および第2階層を示す図である。
図8は、検体保管装置70の外観を模式的に示す斜視図である。
図8に示すように、検体保管装置70は、検体並び替え装置40と同様、2階建ての構造を有している。検体保管装置70の内部は、第2階層の底面および第1階層の天井を構成する仕切り版77により上下2つの階層に分けられており、下の階層が第1階層78であり、上の階層が第2階層79である。第1階層78および第2階層79は、平面視において重なっている。仕切り版77には、ラック100を1つ通過させるための開口77aが設けられている。なお、仕切り版77には、開口77a以外にも開口や切り欠き等が設けられてもよい。また、第1階層78および第2階層79は、仕切り版77により構成されるのではなく、第1階層78を構成する筐体の上に第2階層79を構成する筐体が配置されて構成されてもよい。
【0073】
図6を参照して、検体保管装置70の第1階層には、読取ユニット71と、昇降機構72と、読取器73と、搬入路401と、センサ402と、搬送機構403と、移送路411と、センサ412~416と、搬送機構417、418と、搬入路421と、センサ422と、搬送機構423と、中間路424と、開口425と、接続部426と、中継部427と、ラック待機領域431と、センサ432~438と、搬送機構439~442と、搬出路451と、センサ452と、搬出路461と、センサ462と、を備える。
【0074】
検体並び替え装置40の右隣りに位置する搬送装置61は、前方のラック搬送路1a(
図1参照)に沿って、前方位置でラック100を検体保管装置70に搬出する。
【0075】
搬入路401は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、搬送装置61から搬出されたラック100を左方向に搬送する。センサ402は、透過型の光電センサであり、搬入路401上の搬入位置P21に位置づけられたラック100を検出する。搬送機構403は、ラック100の側面を押すための部材を備え、搬入位置P21のラック100を移送路411に搬送する。
【0076】
移送路411は、上面が水平面に平行な板部材により構成され、検体保管装置70の前方から後方まで前後方向に延びている。センサ412~416は、移送路411上のラック100を検出する。センサ412~416の検出信号に基づいて、移送路411上のラック100の滞留状態が検出される。センサ412~416は、透過型の光電センサである。
【0077】
搬送機構417、418は、ラック100を、移送路411に沿ってラック100の短手方向(前後方向)に移動させて、搬入路421に搬送する。搬送機構417は、ラック100の側面を押すための一対の部材を備え、移送路411上のラック100をセンサ415の位置まで移送する。搬送機構418は、移送路411の上面から上方に突出してラック100の下部を押すための部材を備え、センサ415の位置のラック100を、搬入路421の右端に搬送する。
【0078】
読取ユニット71は、搬入路421の右端に位置づけられたラック100から、ラックIDおよび検体IDを読み取る。読取ユニット71は、
図3の読取ユニット41と同様の構成である。読取ユニット71は、2つの移動部71aを備え、移動部71aは、主動ローラ71bと、2つの従動ローラ71cと、読取器71dと、を備える。読取器71dは、バーコードリーダである。
【0079】
搬入路421は、左右方向に延び、検体保管装置70の後方側に配置されている。搬入路421は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、移送路411から搬送されたラック100を左方向に移送する。センサ422は、透過型の光電センサであり、搬入路421の左端に位置づけられたラック100を検出する。搬送機構423は、ラック100の側面を押すための部材を備え、搬入路421の左端のラック100を、中間路424を経由してラック待機領域431に搬送する。
【0080】
中間路424、開口425、接続部426、中継部427、ラック待機領域431、センサ432~438、搬送機構439~442、昇降機構72、および読取器73は、それぞれ、
図3の中間路304、開口305、接続部306、中継部307、ラック待機領域311、センサ312~318、搬送機構319~322、昇降機構42、および読取器43と同様の構成である。中間路424の前後方向の幅は、1つのラック100の前後方向(短手方向)の幅と略同じである。
【0081】
ラック待機領域431は、左隣りの回収装置13または右隣りの搬送装置61にラック100が滞留していてラック100を搬出位置P23または搬出位置P24から搬出できないときに、ラック100を待機させる領域であるとともに、昇降位置P22から搬出位置P23までラック100を移送するための移送路である。ラック待機領域431は、前後方向が長辺の矩形領域であり、第1階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P22から前方まで前後方向に延びている。ラック待機領域431は、第1階層におけるラック100の昇降位置P22から、左の装置のラック搬送路1aへの搬出位置P23までの間に、ラック100が短手方向に20個並ぶ長さを有する。
【0082】
なお、ラック待機領域431は、ラック100を待機させるための領域を有すればよいが、検体検査システム1の設置面積を削減する観点から、好ましくは、10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上のラック100を待機させるための領域を有するとよい。また、ラック待機領域431は、検体検査システム1の前後方向の長さを抑える観点から、50を超えない数、好ましくは40を超えない数のラック100を待機させるための領域を有するとよい。
【0083】
昇降機構72は、ラック100の下面を支持した支持部72aを上下方向に移動させることにより、ラック100を上下に移動させる。昇降機構72の構成については、追って
図10を参照して説明する。
【0084】
搬入路421から搬出されたラック100は、中間路424を経由して昇降位置P22に位置づけられ、昇降位置P22に位置づけられたラック100は、昇降機構72により第2階層へと移送される。第2階層では、後述するように、ラック100に保持された容器110が、ラック100から取り出され保管される。これにより、第2階層へと移送されたラック100は空ラックとなる。容器110の保管が終了すると、昇降機構72は、第2階層に位置づけていたラック100を第1階層まで下降させ、再び昇降位置P22に位置づける。
【0085】
昇降位置P22のラック100は、ラック100の短手方向(前後方向)に、ラック待機領域431に沿って検体保管装置70の前方に向かって搬送される。昇降位置P22に戻されたラック100は、搬送機構423により、昇降位置P22の前方に搬送される。
【0086】
搬入路421の左端にラック100が到着したときに、昇降位置P22にラック100がなく、昇降機構72により第2階層に上昇されているラック100がない場合、搬送機構423は、搬入路421の左端にあるラック100を昇降位置P22に位置づける。また、搬入路421の左端にラック100が到着したときに、昇降位置P22に第2階層から戻ったラック100または第2階層に上昇させる必要のないラック100が位置づけられている場合、搬送機構423は、搬入路421の左端にあるラック100を前方に押し出すことにより、搬入路421の左端にあるラック100および昇降位置P22のラック100を合わせて前方に搬送する。これにより、搬入路421の左端にあるラック100が昇降位置P22に位置づけられ、昇降位置P22のラック100が昇降位置P22の前方に搬送される。
【0087】
搬送機構439~442は、搬送機構423により昇降位置P22の前方に搬送された空ラックを、ラック待機領域431に沿ってラック100の短手方向(前後方向)に移動させて、搬出位置P23、P24に搬送する。このとき、搬出位置P23上のラック100は、後段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P23で待機する。搬出位置P24上のラック100は、前段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P24で待機する。読取器73は、ラック待機領域431の前端付近に位置づけられたラック100からラックIDを読み取る。読取器73は、バーコードリーダである。
【0088】
搬出路451は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、ラック待機領域431から搬出されたラック100を、左隣りの回収装置13に搬出する。センサ452は、透過型の光電センサであり、搬出路451上の搬出位置P23に位置づけられたラック100を検出する。搬出路461は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、左隣りの回収装置13から搬出されたラック100と、搬出路451を通過してラック待機領域431から搬出されたラック100とを、右隣りの搬送装置61に搬出する。センサ462は、透過型の光電センサであり、搬出路461上の右端の搬出位置P24に位置づけられたラック100を検出する。搬送機構403は、搬出位置P24に位置づけられたラック100を、移送路411に搬送することもできる。
【0089】
図7を参照して、検体保管装置70の第2階層には、容器移送機構74と、トレイ75と、アーカイブラック130と、センサ471と、取り出し部472と、を備える。
【0090】
昇降機構72は、第1階層の昇降位置P22から上昇させたラック100を、第2階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P25に位置づける。センサ471は、透過型の光電センサであり、昇降位置P25に位置づけられたラック100を検出する。
【0091】
容器移送機構74は、ラック100とアーカイブラック130との間で、容器110を移送可能に構成されている。容器移送機構74は、昇降機構72により第1階層から第2階層に移送されたラック100から、第2階層に配置されたアーカイブラック130へと容器110を移送する。容器移送機構74は、昇降位置P25に位置づけられたラック100から容器110を全て取り出し、取り出した容器110をアーカイブラック130に収納する。ラック100から全ての容器110が取り出されると、昇降機構72は、空になったラック100を、第1階層の昇降位置P22に移送する。第1階層に戻された空ラックは、回収装置13または検体並び替え装置40へと搬送される。
【0092】
アーカイブラック130は、検体保管装置70の前方に引き出し可能なトレイ75に、取り外し可能にセットされている。アーカイブラック130には、検体を収容した容器110を保持可能な穴131が複数形成されている。
図7のアーカイブラック130には、前後方向に10行、左右方向に5列で、合計50個の穴131が格子状に形成されている。また、
図7では、5つのトレイ75が左右方向に設けられており、1つのトレイ75は、前後方向に並ぶ3つのアーカイブラック130を保持可能に構成されている。オペレータによりトレイ75の取り出し指示が入力されると、対象のトレイ75のロックが解除される。これにより、オペレータは、対象のトレイ75を前方に引き出し、対象となるアーカイブラック130を取り出すことができる。
【0093】
取り出し部472は、検体保管装置70の前方に引き出し可能に構成されている。取り出し部472には、容器110を保持可能な穴472aが形成されている。容器移送機構74は、アーカイブラック130と取り出し部472との間で、容器110を移送可能に構成されている。オペレータにより表示入力部813(
図14参照)を介して所定の容器110の取り出し指示が入力されると、容器移送機構74により対象の容器110がアーカイブラック130から取り出し部472へと移送され、取り出し部472が前方に押し出される。これにより、オペレータは、取り出し部472から対象となる容器110を取り出すことができる。
【0094】
図9は、検体並び替え装置40に設けられた昇降機構42の構成を示す斜視図である。
【0095】
昇降機構42は、上下移送部510と支持部520を備える。上下移送部510は、支持部520を上下に移動させる。昇降機構42の支持部42a(
図3参照)は、支持部520により構成される。
【0096】
上下移送部510は、モータ511と、プーリ513、514と、ベルト515と、レール516と、を備える。
【0097】
モータ511は、ステッピングモータにより構成される。モータ511の回転軸511aは、前後方向に延びている。プーリ513は、モータ511の回転軸511aと連動して前後方向を回転の中心軸として回転するよう、回転軸511aに対して軸やベルト等を介して接続されている。プーリ514は、プーリ513の上方に配置されている。ベルト515は、プーリ513、514に接続されており、モータ511の駆動に応じて上下に移動する。レール516は、上下方向に延びている。
【0098】
支持部520は、接続部材521と、ベース部材522、523、524と、レール525と、移動部材526と、バネ527と、2つの支持部材531と、を備える。
【0099】
接続部材521は、ベルト515に固定されている。ベルト515が上下方向に移動すると、接続部材521は、レール516に支持されながら上下方向に移動する。ベース部材522、523は、前後方向に隙間528を開けて、接続部材521に設置されている。ベース部材524は、ベース部材522から右方向に延びるようにベース部材522に固定されている。ベース部材522の前方面には、上下に延びるレール525が設置されている。
【0100】
移動部材526は、レール525に沿って上下に移動可能となるよう、レール525に設置されている。バネ527の一方の端部は、ベース部材522に接続されており、バネ527の他方の端部は、移動部材526に接続されている。通常状態において、移動部材526は、バネ527の付勢により、レール525の上端に位置づけられている。移動部材526の左端の上端および右端の上端には、上下左右方向に平行な面526aが形成されている。
【0101】
2つの支持部材531は、ベース部材524の左端の上端および右端の上端に設置されている。支持部材531は、上下左右方向に平行な面531aと、前後左右方向に平行な面531bと、を備える。
【0102】
上下移送部510のモータ511が駆動されると、支持部520が上下に移動する。支持部520が第1階層において上下に移動するとき、
図3の中継部307は、ベース部材522、523の隙間528に通される。これにより、支持部520と中継部307との接触が回避される。
【0103】
昇降機構42によりラック100が上方に移動されるとき、支持部材531の面531aと、移動部材526の面526aとの間にラック100が位置づけられる。このとき、一対の面531aにより、ラック100の後方への移動が規制され、一対の面526aにより、ラック100の前方への移動が規制される。これにより、昇降中にラック100が前後方向に移動することを防止できる。
【0104】
また、
図4を参照して説明したように、検体並び替え装置40の第2階層には、昇降位置P15の前方に、ラック貯留部361が設けられており、昇降位置P15とラック貯留部361の後端との間でラック100の搬送が行われる。この場合、移動部材526が下方向に移動され、面526aが支持部材531の面531bよりも下方に退避される。具体的には、支持部520が上方に移動すると、移動部材526の鍔部526bの上面が、検体並び替え装置40の第2階層に設けられた所定の部材に当接する。これにより、支持部材531が第2階層の昇降位置P15に位置づけられると自動的に面526aが下方に退避するため、昇降位置P15とラック貯留部361の後端との間でラック100の搬送が可能になる。
【0105】
図10は、検体保管装置70に設けられた昇降機構72の構成を示す斜視図である。
【0106】
昇降機構72は、
図9の昇降機構42と略同様の構成を備える。
図10において、
図9の昇降機構42と同様の構成については、便宜上、
図9と同じ番号が付されている。昇降機構72は、
図9の昇降機構42と比較して、レール525、移動部材526、およびバネ527が省略されている。また、支持部材531の前方側には、
図9の昇降機構42と比較して、上下左右方向に平行な面531cが形成されている。昇降機構72の支持部72a(
図6参照)は、支持部520により構成される。
【0107】
昇降機構72により第2階層の昇降位置P25に位置づけられたラック100は、検体並び替え装置40とは異なり、第2階層で搬送されることはない。したがって、昇降機構72には、レール525、移動部材526、およびバネ527が省略されている。また、支持部材531には、後方側の面531aに加えて、前方側にも面531cが形成されている。これにより、支持部材531で支持されたラック100が前後方向に移動することを防止できる。
【0108】
次に、検体並び替え装置40の容器移送機構45の構成について、
図11、12を参照して説明する。
【0109】
なお、検体保管装置70の容器移送機構74は、検体並び替え装置40の容器移送機構45と同様の構成である。すなわち、容器移送機構45、74は、いずれも、
図11、12に示す前後移送部610、左右移送部620、上下移送部630および把持部640を備える。以下、便宜上、容器移送機構45の構成についてのみ説明する。
【0110】
図11は、検体並び替え装置40の容器移送機構45の構成を模式的に示す平面図である。
図11では、ラック100、容器110およびバッファラック120を除く構成の図示は、便宜上、省略されている。
【0111】
容器移送機構45は、前後移送部610と、左右移送部620と、上下移送部630と、把持部640と、を備える。容器移送機構45は、把持部640を用いて、複数の容器110を保持可能なバッファラック120から1つの容器110を移動させる。
【0112】
前後移送部610は、モータおよび前後方向に延びたレールを備え、左右移送部620を前後方向に移送する。左右移送部620は、モータおよび左右方向に延びたレールを備え、上下移送部630を左右方向に移送する。上下移送部630は、モータおよび上下方向に延びたレールを備え、把持部640を上下方向に移送する。把持部640は、開閉動作が可能であり、前後移送部610、左右移送部620および上下移送部630により上下方向移動および水平方向移動が可能である。また、把持部640は、開閉動作が可能に構成されており、容器110を把持する。
【0113】
図12は、上下移送部630および把持部640の構成を模式的に示す側面図である。
【0114】
上下移送部630は、基板631と、モータ632と、プーリ633、634と、ベルト635と、レール636と、を備える。
【0115】
モータ632は、ステッピングモータにより構成され、基板631に設置されている。プーリ633は、モータ632の前後方向に延びた軸に設置されている。プーリ634は、プーリ633の下方において、基板631に設置されている。ベルト635は、プーリ633、634に接続されており、モータ632の駆動に応じて上下に移動する。レール636は、上下方向に延び、基板631に設置されている。
【0116】
把持部640は、接続部材641と、基板642と、モータ643と、変換機構部644と、一対の把持部材710、720と、を備える。
【0117】
接続部材641の右端は、ベルト635に固定されている。ベルト635が上下方向に移動すると、接続部材641は、レール636に支持されながら上下方向に移動する。接続部材641は、基板642に固定されている。
【0118】
モータ643は、ステッピングモータにより構成され、基板642に設置されている。モータ643の回転軸は、上下方向に延びている。変換機構部644は、基板642に設置されており、変換機構部644に把持部材710、720が設置されている。変換機構部644は、モータ643の回転方向を、把持部材710と把持部材720とが接近する方向および離間する方向に変換するよう構成されている。したがって、モータ643が駆動されると、把持部材710および把持部材710が接近および離間する。これにより、
図12に示すように、把持部材710の内側面および把持部材720の内側面により、容器110の胴部111が把持される。
【0119】
図13は、検体並び替え装置40の構成を示すブロック図である。
【0120】
検体並び替え装置40は、制御部801と、記憶部802と、表示入力部803と、通信部804と、搬送機構303、319~322、352、367と、他の機構805と、センサ302、312~318、332、342、351、363~366、368と、読取ユニット41と、昇降機構42と、読取器43、44と、容器移送機構45と、を備える。
【0121】
制御部801は、たとえば、CPUにより構成される。制御部801は、記憶部802に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、検体並び替え装置40のハードウェアの各部を制御する。記憶部802は、たとえば、SSD、HDD、RAMなどにより構成される。表示入力部803は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。表示入力部803は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部と、マウスやキーボードなどの入力部とに分かれていてもよい。通信部804は、たとえば、ネットワークカードにより構成され、搬送制御装置80と通信可能に接続される。他の機構805は、検体並び替え装置40内のコンベアベルトを駆動するための機構や、ストッパ369を駆動するための機構を含む。
【0122】
図14は、検体保管装置70の構成を示すブロック図である。
【0123】
検体保管装置70は、制御部811と、記憶部812と、表示入力部813と、通信部814と、搬送機構403、417、418、423、439~442と、他の機構815と、センサ402、412~416、422、432~438、452、462、471と、読取ユニット71と、昇降機構72と、読取器73と、容器移送機構74と、を備える。
【0124】
制御部811は、たとえば、CPUにより構成される。制御部811は、記憶部812に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、検体保管装置70のハードウェアの各部を制御する。記憶部812は、たとえば、SSD、HDD、RAMなどにより構成される。表示入力部813は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。表示入力部813は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部と、マウスやキーボードなどの入力部とに分かれていてもよい。通信部814は、たとえば、ネットワークカードにより構成され、搬送制御装置80と通信可能に接続される。他の機構815は、検体保管装置70内のコンベアベルトを駆動するための機構を含む。
【0125】
図15は、搬送制御装置80の構成を示すブロック図である。
【0126】
搬送制御装置80は、制御部821と、記憶部822と、表示入力部823と、通信部824と、を備える。
【0127】
制御部821は、たとえば、CPUにより構成される。制御部821は、記憶部822に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、搬送制御装置80のハードウェアの各部を制御する。記憶部822は、たとえば、SSD、HDD、RAMなどにより構成される。表示入力部823は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。表示入力部823は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部と、マウスやキーボードなどの入力部とに分かれていてもよい。通信部824は、たとえば、ネットワークカードにより構成され、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、搬送装置31、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、および検体保管装置70と通信可能に接続される。
【0128】
図16は、搬送制御装置80の表示入力部823(
図15参照)に表示される、検体検査システム1の配置情報を設定するための画面900を模式的に示す図である。
【0129】
画面900は、レイアウト表示領域901と、ブロック選択領域902と、複数のブロック903と、保存ボタン904と、を備える。
【0130】
レイアウト表示領域901には、検体検査システム1のレイアウトに対応したブロック903が配置される。ブロック選択領域902には、検体検査システム1に含めることが可能な全ての装置に対応するブロック903が配置されている。ブロック903には、装置の名称が表示されている。
【0131】
オペレータは、ブロック選択領域902内のブロック903に対して、表示入力部823を介してタップ等の操作を行って、当該ブロック903に関するメニューを表示させる。オペレータは、表示されたメニュー内から配置指示を入力するためのボタンに対して、表示入力部823を介してタップ等の操作を行って、当該ブロック903をレイアウト表示領域901に表示させる。その後、オペレータは、レイアウト表示領域901内に表示されたブロック903に対して、表示入力部823を介してドラッグ等の操作を行って、当該ブロック903を検体検査システム1内の所望の場所に配置する。
【0132】
オペレータは、このような操作を繰り返すことにより、
図1に示したような検体検査システム1の各装置の配置を設定する。オペレータが保存ボタン904を操作すると、搬送制御装置80の制御部821(
図15参照)は、レイアウト表示領域901に作成された配置の設定を受け付け、受け付けた配置により配置情報を生成し、配置情報を記憶部822に記憶する。制御部821は、記憶部822に記憶した配置情報に基づいてラック100の搬送を制御する。
【0133】
図17は、検体並び替え装置40における移し替え動作を示す図である。
図17の左側は、ラック100(第1のラック)からバッファラック120への容器110の移し替え動作を示す図であり、
図17の右側は、バッファラック120からラック100(第2のラック)への容器110の移し替え動作を示す図である。
【0134】
図17の左側に示すように、動作M11において、制御部801が搬入路301のコンベアベルトを駆動するための機構805を制御することにより、右隣りの搬送装置12から搬入路301へとラック100(第1のラック)が搬入される。動作M12において、制御部801が搬送機構303を制御することにより、搬入路301のラック100(第1のラック)は、前方に搬送され、第1階層の昇降位置P12に位置づけられる。動作M13において、制御部801が昇降機構42を制御することにより、昇降位置P12のラック100(第1のラック)が、第2階層の昇降位置P15に移送される。
【0135】
動作M14において、制御部801が容器移送機構45を制御することにより、昇降位置P15のラック100(第1のラック)からバッファラック120へ容器110の移し替えが行われる。なお、動作M14では、後段の検体処理装置で処理が必要な検体の容器110のみが、ラック100(第1のラック)からバッファラック120へ移し替えられる。移し替え後、ラック100(第1のラック)に容器110が保持されている場合、動作M15以降が実行される。一方、全ての容器がバッファラック120に移し替えられてラック100(第1のラック)が空になった場合、当該ラック100は昇降位置P15に待機し、動作M22においてバッファラック120から容器110が移し替えられる。
【0136】
動作M15において、制御部801が昇降機構42を制御することにより、移し替えが終わったラック100(第1のラック)が、第1階層の昇降位置P12に移送される。動作M16において、制御部801が搬送機構303、319~322を制御することにより、ラック100(第1のラック)がラック待機領域311を経由して搬出位置P13またはP14に搬送される。搬出位置P13のラック100(第1のラック)は、制御部801が搬出路331のコンベアベルトを駆動するための機構805を制御することにより、動作M17において左隣りの搬送装置51に搬出される。搬出位置P14のラック100(第1のラック)は、動作M18において、制御部801が搬出路341のコンベアベルトを駆動するための機構805を制御することにより、右隣りの搬送装置12に搬出される。
【0137】
左隣りの搬送装置51または右隣りの搬送装置12にラック100が滞留していて動作M17または動作M18の実行が不可能な場合、動作M16において、制御部801が搬送機構303、319~322を制御することにより、ラック100(第1のラック)がラック待機領域311まで搬送され、ラック待機領域311で待機させられる。その後、ラック100の滞留が解消して動作M17または動作M18が実行されると、制御部801が搬送機構303、319~322を制御することにより、ラック100(第1のラック)がラック待機領域311から搬出位置P13またはP14に搬送される。
【0138】
図17の右側に示すように、バッファラック120から容器110を搬送する必要が生じると、動作M21において、制御部801が搬送機構367を制御することにより、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留された空ラック(第2のラック)が、第2階層の昇降位置P15に搬送される。動作M22において、制御部801が容器移送機構45を制御することにより、バッファラック120から昇降位置P15の空ラック(第2のラック)へ容器110の移し替えが行われる。その後、動作M23~M26において、動作M15~M18と同様にして、ラック100(第2のラック)が左隣りの搬送装置51または右隣りの搬送装置12に搬出される。
【0139】
なお、実施形態では、ラック待機領域311に沿って前方に搬送されるラック100の搬送先は、左方向に位置する塗抹標本作製装置52、分析装置62、および検体保管装置70の何れかであるため、通常、このラック100は、搬出位置P13に位置づけられた後、左隣りの搬送装置51へと搬出される。
【0140】
図18は、検体保管装置70における移し替え動作を示す図である。
【0141】
動作M31において、制御部811が搬入路401のコンベアベルトを駆動するための機構815を制御することにより、右隣りの搬送装置61から搬入位置P21へとラック100(第1および第2のラック)が搬入される。動作M32において、制御部811が搬送機構403、417、418を制御することにより、搬入位置P21のラック100(第1および第2のラック)は、後方に搬送され、搬入路421の右端に位置づけられる。動作M33において、制御部811が搬入路421のコンベアベルトを駆動するための機構815を制御することにより、ラック100(第1および第2のラック)は左方向に搬送される。
【0142】
動作M34において、制御部811が搬送機構423を制御することにより、搬入路421のラック100(第1および第2のラック)は、前方に搬送され、第1階層の昇降位置P22に位置づけられる。動作M35において、制御部811が昇降機構72を制御することにより、昇降位置P22のラック100(第1および第2のラック)が、第2階層の昇降位置P25に移送される。動作M36において、制御部811が容器移送機構74を制御することにより、昇降位置P25のラック100(第1および第2のラック)からアーカイブラック130へ容器110の移し替えが行われる。これにより、昇降位置P25のラック100(第1および第2のラック)が空ラックになる。
【0143】
動作M37において、制御部811が昇降機構72を制御することにより、空ラック(第1および第2のラック)が、第1階層の昇降位置P22に移送される。動作M38において、制御部811が搬送機構423、439~442を制御することにより、空ラック(第1および第2のラック)がラック待機領域431を経由して搬出位置P23またはP24に搬送される。搬出位置P23の空ラック(第1および第2のラック)は、動作M39において、制御部811が搬出路451のコンベアベルトを駆動するための機構815を制御することにより、左隣りの回収装置13に搬出される。搬出位置P24のラック100(第1および第2のラック)は、動作M40において、制御部811が搬出路461のコンベアベルトを駆動するための機構815を制御することにより、右隣りの搬送装置61に搬出される。
【0144】
左隣りの回収装置13または右隣りの搬送装置61にラック100が滞留していて動作M39または動作M40の実行が不可能な場合、動作M38において、制御部811が搬送機構423、439~442を制御することにより、ラック100(第1および第2のラック)がラック待機領域431まで搬送され、ラック待機領域311で待機させられる。その後、ラック100の滞留が解消して動作M39または動作M40が実行されると、制御部811が搬送機構423、439~442を制御することにより、ラック100(第1および第2のラック)がラック待機領域431から搬出位置P23またはP24に搬送される。
【0145】
なお、実施形態では、ラック待機領域431に沿って前方に搬送される空ラックの搬送先は、通常は左隣りの回収装置13であるが、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362のラック100の数が減少すると、検体保管装置70で生じた空ラックは、右隣りの搬送装置61に搬出され、検体保管装置70へと搬送される。
【0146】
上述のとおり、検体検査システム1では、検体並び替え装置40で抜き取られずに残った容器110を保持するラック100(第1のラック)および容器110が移し替えられたラック100(第2のラック)は、検体並び替え装置40から検体保管装置70に搬送される。検体保管装置70でラック100の全ての容器110が保管されると、ラック100(第1および第2のラック)は空ラックとなる。一方、検体並び替え装置40は容器110の移し替えの際に空ラックを必要とするため、オペレータは、適宜、空ラックを、検体並び替え装置40に補充する必要がある。このような作業は、オペレータにとって煩雑である。
【0147】
これに対し、実施形態では、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間でラック100(第1および第2のラック)が双方向に搬送される。これにより、たとえば、検体並び替え装置40から搬出されるラック100(第1および第2のラック)を検体保管装置70に搬送できるとともに、検体保管装置70で生じた空ラック(第1および第2のラック)を検体並び替え装置40に搬送できる。よって、検体並び替え装置40に空ラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【0148】
以下、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間でラック100を双方向に搬送するための搬送制御、および、検体検査システム1内のラック100の搬送処理について説明する。
【0149】
図19は、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間のラック100の搬送経路を模式的に示す図である。
【0150】
上述したように、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、搬送装置31、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、および検体保管装置70には、それぞれ、ラック100を搬送するためのラック搬送路1a(
図1参照)が設けられている。ラック100は、各装置のラック搬送路1aに沿って搬送され、ラック100の搬送は、搬送制御装置80により制御される。
【0151】
太線の実線矢印は、検体並び替え装置40で並び替えが終了したラック100の搬送経路を示している。検体並び替え装置40の第2階層で並び替えが行われたラック100と、検体並び替え装置40で並び替えの必要がなくそのまま搬出されるラック100とは、搬送装置51、61により検体保管装置70まで搬送される。ラック100上の全ての容器110は検体保管装置70で保管され、ラック100は空ラックとなる。検体保管装置70で生じた空ラックは、回収装置13または検体並び替え装置40に搬送される。
【0152】
太線の破線矢印は、検体保管装置70および回収装置13から搬出される空ラックの搬送経路を示している。検体保管装置70から空ラックが搬出される際に、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されるラック100が所定数以下であると、この空ラックは、検体保管装置70から右方向へ搬出され、搬送装置51、61および検体並び替え装置40により搬送装置12まで搬送される。搬送装置12は、空ラックを後方へと搬送し、後方位置において検体並び替え装置40に搬出する。搬送装置12により搬入された空ラックは、ラック貯留部361まで搬送され、ラック貯留部361に貯留される。
【0153】
一方、検体保管装置70から空ラックが搬出される際に、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されるラック100が所定数より多いと、この空ラックは、検体保管装置70から左方向へ搬出され、回収装置13に貯留される。その後、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されるラック100が所定数以下になると、回収装置13の空ラックは、検体保管装置70を介して、搬送装置51、61により搬送装置12まで搬送され、搬送装置12により検体並び替え装置40に搬出され、検体並び替え装置40のラック貯留部361に貯留される。
【0154】
次に、ラック100の搬送処理について、
図20~28のフローチャートを参照して説明する。
【0155】
図20、21は、検体並び替え装置40によるラック100からバッファラック120への容器110の移し替え処理を示すフローチャートである。
図20、21の処理は、検体並び替え装置40の制御部801により、ラック100ごとに繰り返し行われる。
【0156】
図20に示すように、ステップS101において、検体並び替え装置40の制御部801は、搬送制御装置80から搬入要求を受信するまで処理を待機している。搬送制御装置80の制御部821は、搬送装置12の後方位置にラック100が到着すると、検体並び替え装置40にラック100の搬入要求を送信する。検体並び替え装置40の制御部801は、搬送制御装置80から搬入要求を受信すると、ステップS102において、搬入路301の搬入位置P11(
図3参照)にラック100が搬入されるよう、搬入路301のコンベアベルトを駆動するための機構805を制御する。
【0157】
ステップS103において、制御部801は、搬入位置P11のラック100からラックIDおよび検体IDが読み取られるよう読取ユニット41を制御する。また、ステップS103において、制御部801は、読み取ったラックIDおよび検体IDを搬送制御装置80に送信する。搬送制御装置80の制御部821は、受信した検体IDの容器110をバッファラック120のどの位置に移し替えるか、またはバッファラック120へ移し替えないかを示す収納情報を、検体並び替え装置40に送信する。収納情報は、測定装置32で行われた測定の結果、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)による処理が必要であるか否かに基づいて生成される。ステップS104において、検体並び替え装置40の制御部801は、搬送制御装置80から、ステップS103で送信した検体IDに対応する各容器110の収納情報を取得する。
【0158】
ステップS105において、制御部801は、容器110の移し替えが行われているラック100があるか否かを判定する。言い換えれば、制御部801は、昇降機構42の支持部42a(
図3参照)によりラック100が支持された状態であるか否かを判定する。容器110の移し替えが行われているラック100があると、ステップS106において、制御部801は、搬入位置P11のラック100を搬入位置P11で待機させる。
【0159】
容器110の移し替えが行われているラック100がないと、ステップS107において、制御部801は、搬入位置P11のラック100が昇降位置P12に搬送されるよう、搬送機構303(
図3参照)を制御する。ステップS108において、制御部801は、昇降位置P12に位置づけたラック100上の1以上の容器110について、ステップS104で受信した収納情報に基づいて、移し替えが必要であるか否かを判定する。
【0160】
昇降位置P12に位置づけられたラック100について移し替えが必要である場合、ステップS109において、制御部801は、昇降位置P12のラック100が上方に移送され第2階層の昇降位置P15に位置づけられるよう、昇降機構42を制御する。ステップS110において、制御部801は、ステップS104で受信した容器110ごとの収納情報に基づいて、ラック100上の容器110をバッファラック120に移し替える。また、ステップS110において、制御部801は、記憶部802に記憶されている、バッファラック120に保持されている容器110の数を1増加させる。さらに、ステップS110において、制御部801は、移し替えた容器110がバッファラック120における1本目の容器110である場合には、バッファラック120の容器110の滞留時間の計測を開始する。
【0161】
必要な移し替えが終了すると、ステップS111において、制御部801は、昇降位置P15のラック100が下方に移送され第1階層の昇降位置P12に位置づけられるよう、昇降機構42を制御する。
【0162】
他方、昇降位置P12に位置づけられたラック100上の全ての容器110について移し替えが必要でない場合、ステップS109~S111の処理が省略される。その後、
図21のステップS121へと処理が進められる。
【0163】
図21に示すように、ステップS121において、検体並び替え装置40の制御部801は、昇降位置P12のラック100が読取器43(
図3参照)の読取位置に搬送されるよう、搬送機構303、319~322を制御する。ステップS122において、制御部801は、ラック100からラックIDが読み取られるよう読取器43を制御し、読み取ったラックIDを搬送制御装置80に送信する。
【0164】
搬送制御装置80の制御部821は、検体並び替え装置40からラックIDを受信すると、ラックIDに対応するラック100をどの装置に搬送すべきかを決定し、決定した搬送先の装置と、記憶部822に記憶した配置情報と、に基づいて、検体並び替え装置40からの搬出先が前段(右方向)であるか後段(左方向)であるかを決定し、前段または後段の情報を搬出要求として検体並び替え装置40に送信する。
【0165】
ステップS123において、検体並び替え装置40の制御部801は、搬送制御装置80から搬出要求を受信するまで処理を待機している。制御部801は、搬送制御装置80から搬出要求を受信すると、ステップS124において、搬送先が後段(左方向)であるか否かを判定する。
【0166】
搬送先が後段(左方向)であると、ステップS125において、制御部801は、ラック待機領域311上のラック100が搬出位置P13(
図3参照)を経由して後段側の搬送装置51に搬出されるよう、搬送機構322および搬出路331のコンベアベルトを駆動するための機構805を制御する。他方、搬送先が前段(右方向)であると、ステップS126において、制御部801は、ラック待機領域311上のラック100が搬出位置P14(
図3参照)を経由して前段側の搬送装置12に搬出されるよう、搬送機構322および搬出路341のコンベアベルトを駆動するための機構805を制御する。制御部801は、ステップS125またはS126の処理が完了すると、当該ラック100からバッファラック120への容器110の移し替え処理を終了する。
【0167】
図22は、検体並び替え装置40によるバッファラック120からラック100への容器110の移し替え処理を示すフローチャートである。
図22の処理は、検体並び替え装置40の制御部801により、ラック100ごとに繰り返し行われる。
【0168】
ステップS131において、検体並び替え装置40の制御部801は、ステップS131において、記憶部802に記憶されている、バッファラック120に保持されている容器110の数を参照し、バッファラック120に保持されている容器110が所定数N以上であるか否かを判定する。バッファラック120に保持されている容器110の数が所定数N以上ではない場合、ステップS132において、制御部801は、ステップS110(
図20参照)で計測を開始した滞留時間、すなわちバッファラック120に保持されている容器110のうち最も長い滞留時間が所定時間T以上であるか否かを判定する。制御部801は、ステップS131、S132の少なくとも一方の判定結果がYESになると、処理をステップS133に進める。
【0169】
ステップS133において、制御部801は、第2階層の昇降位置P15に、全ての容器110がバッファラック120へと移し替えられ空になったラック100があるか否かを判定する。昇降位置P15において空になったラック100があると、制御部801は、ステップS134において、昇降位置P15の空ラックにバッファラック120から容器110を移し替えるよう、容器移送機構45を制御し、ステップS135において、昇降位置P15のラック100が下方に移送され第1階層の昇降位置P12に位置づけられるよう、昇降機構42を制御する。他方、昇降位置P15に空になったラック100がないと、ステップS136において、制御部801は、ラック貯留部361およびラック設置部362から昇降位置P15に空ラックが搬送されるよう、搬送機構367(
図4参照)を制御する。
【0170】
ステップS137において、制御部801は、空ラックの残数を検出する。上述したように、搬送機構367は、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留された空ラックのうち最も後方にある空ラックを昇降位置P15に押し出す。このとき、搬送機構367が、空ラックを昇降位置P15に位置づけたときの駆動位置から、センサ368(
図4参照)により検出される原点位置に復帰するまでのステッピングモータのステップ数に基づいて、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されている空ラックの数が検出される。原点復帰するまでのステップ数が大きいほど空ラックの残数が少ない。
【0171】
ステップS138において、ステップS137で検出した空ラックの残数が所定数Nth以下であるか否かを判定する。所定数Nthは、たとえば2である。所定数Nthは、表示入力部803(
図13参照)を介して設定可能である。空ラックの残数が所定数Nth以下であると、制御部801は、ステップS139において、空ラックの残数を搬送制御装置80に送信することにより、検体並び替え装置40において空ラックが不足していることを搬送制御装置80に通知する。空ラックの残数が所定数Nthより大きいと、ステップS139の処理が省略される。
【0172】
なお、制御部801は、ステップS137において検出した空ラックの残数を、残数の検出の都度、又は所定のタイミングにおいて、搬送制御装置80に通知してもよい。この場合、ステップS138およびS139の処理は省略される。搬送制御装置80の制御部821は、後述するステップS411(
図28参照)の処理の後、ステップS138の処理を実行し、ステップS138において空ラックの残数が所定数Nth以下であると、後述するステップS412の処理を実行し、空ラックの残数が所定数Nthより大きいと、ステップS412の処理をスキップする。
【0173】
その後、制御部801は、ステップS134において、ステップS136で昇降位置P15に搬送された空ラックに、バッファラック120から容器110が移し替えられるよう、容器移送機構45を制御し、ステップS135において、昇降位置P15のラック100が第1階層の昇降位置P12に位置づけられるよう、昇降機構42を制御する。
【0174】
制御部801は、ステップS135を実行した後、処理を
図21のステップS121に進め、ステップS121~S126の処理を行う。これにより、空ラックに対して容器110が移し替えられたラック100が、ラック待機領域311上を前方に搬送される。搬送先が後段側である場合、ラック100は、搬出位置P13を経由して後段側に搬送される。搬送先が前段側である場合、ラック100は、搬出位置P14を経由して前段側に搬送される。
【0175】
図23、24は、検体保管装置70によるラック100からアーカイブラック130への容器110の移し替え処理を示すフローチャートである。
図23、24の処理は、検体保管装置70の制御部811により、ラック100ごとに繰り返し行われる。
【0176】
図23に示すように、ステップS201において、検体保管装置70の制御部811は、搬送制御装置80から搬入要求を受信するまで処理を待機している。搬送制御装置80の制御部821は、搬送装置61の左端位置にラック100が到着すると、検体保管装置70にラック100の搬入要求を送信する。検体保管装置70の制御部811は、搬送制御装置80から搬入要求を受信すると、ステップS202において、搬入路401および移送路411を介して、搬入路421(
図6参照)にラック100が搬入されるよう、搬入路421のコンベアベルトを駆動する機構815を制御する。
【0177】
ステップS203において、制御部811は、搬入路421のラック100からラックIDおよび検体IDが読み取られるよう読取ユニット71を制御する。また、ステップS203において、制御部811は、ステップS203で読み取ったラックIDおよび検体IDを搬送制御装置80に送信する。搬送制御装置80の制御部821は、受信した検体IDの容器110をアーカイブラック130のどの位置に移し替えるかを示す収納情報を、検体保管装置70に送信する。ステップS204において、検体保管装置70の制御部811は、搬送制御装置80から、ステップS203で送信した検体IDに対応する各容器110の収納情報を取得する。
【0178】
ステップS205において、制御部811は、容器110の移し替えが行われているラック100があるか否かを判定する。言い換えれば、制御部811は、昇降機構72の支持部72a(
図6参照)によりラック100が支持された状態であるか否かを判定する。容器110の移し替えが行われているラック100があると、ステップS206において、制御部811は、搬入路421の左端でラック100を待機させる。
【0179】
容器110の移し替えが行われているラック100がないと、ステップS207において、制御部811は、搬入路421の左端位置のラック100が昇降位置P22に搬送されるよう、搬送機構423(
図6参照)を制御する。
【0180】
ステップS208において、制御部811は、昇降位置P22のラック100が上方に移送され第2階層の昇降位置P25に位置づけられるよう、昇降機構72を制御する。ステップS209において、制御部811は、ステップS204で受信した収納情報に基づいて、ラック100上の容器110がアーカイブラック130に移し替えられるよう容器移送機構74を制御する。これにより、昇降位置P25のラック100は、空ラックとなる。移し替えが終了すると、ステップS210において、制御部811は、昇降位置P25の空ラックが下方に移送され第1階層の昇降位置P22に位置づけられるよう、昇降機構72を制御する。その後、
図24のステップS221へと処理が進められる。
【0181】
図24に示すように、ステップS221において、検体保管装置70の制御部811は、昇降位置P22の空ラックが読取器73(
図6参照)の読取位置に搬送されるよう、搬送機構423、439~442を制御する。ステップS222において、制御部811は、空ラックからラックIDが読み取られるよう読取器43を制御し、読み取ったラックIDを搬送制御装置80に送信する。
【0182】
搬送制御装置80の制御部821は、検体保管装置70からラックIDを受信すると、ラックIDに対応するラック100をどの装置に搬送すべきかを決定し、決定した搬送先の装置と、記憶部822に記憶した配置情報と、に基づいて、検体保管装置70からの搬出先が前段(右方向)であるか後段(左方向)であるかを決定し、前段または後段の情報を搬出要求として検体保管装置70に送信する。
【0183】
ステップS223において、検体保管装置70の制御部811は、搬送制御装置80から搬出要求を受信するまで処理を待機している。制御部801は、搬送制御装置80から搬出要求を受信すると、ステップS224において、搬送先が後段(左方向)であるか否かを判定する。
【0184】
搬送先が後段(左方向)であると、ステップS225において、制御部811は、ラック待機領域431上の空ラックが搬出位置P23(
図6参照)を経由して後段側の回収装置13に搬出されるよう、搬送機構442および搬出路451のコンベアベルトを駆動する機構815を制御する。他方、搬送先が前段(右方向)であると、ステップS226において、制御部811は、ラック待機領域431上の空ラックが搬出位置P24(
図6参照)を経由して前段側に搬出されるよう、搬送機構442および搬出路461のコンベアベルトを駆動する機構815を制御する。その後、空ラックは、搬送先の回収装置13または検体並び替え装置40に搬送される。制御部801は、ステップS225またはS226の処理が完了すると、当該ラック100からアーカイブラック130への容器110の移し替え処理を終了する。
【0185】
図25、26は、搬送制御装置80によるラック100の搬送制御を示すフローチャートである。
図25、26の処理は、搬送制御装置80の制御部821により、繰り返し行われる。
【0186】
図25に示すように、ステップS301において、搬送制御装置80の制御部821は、ホストコンピュータ2(
図1参照)から、検体ごとの測定オーダ、すなわち容器110ごとにどの装置(測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62)でどのような処理を行うかを示す情報を受信する。制御部821は、受信した測定オーダに基づいて、容器110が保持されたラック100の搬送先を決定する。
ステップS302において、制御部821は、投入装置11、供給装置20、2つの搬送装置31、搬送装置12、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、検体保管装置70および回収装置13から、各装置に設置された読取部により読み取られたラックIDと、各装置に設置されたセンサにより読み取られたラック100の位置情報とを受信する。これにより、制御部821は、検体検査システム1におけるラック100の位置を把握する。
【0187】
続いて、制御部821は、各装置の搬出位置にラック100が到着したことを把握すると、このラック100を搬入する装置に対して搬入要求を送信し、このラック100を搬出する装置に対して搬送先を示す搬出要求を送信する。
図25のステップS303~S306および
図26のステップS311~S314には、搬入側および搬出側の装置が、検体並び替え装置40および検体保管装置70である場合の処理が例示されている。
【0188】
ステップS303において、制御部821は、検体並び替え装置40の前、すなわち搬送装置12の後方側の搬出位置にラック100が到着したか否かを判定する。検体並び替え装置40の前にラック100が到着すると、ステップS304において、制御部821は、検体並び替え装置40に搬入要求を送信する。これにより、検体並び替え装置40の制御部801は搬入要求を受信し、
図20のステップS101の判定がYESとなる。
【0189】
ステップS305において、制御部821は、検体並び替え装置40の読取器43の読み取り位置にラック100が到着したか否かを判定する。
図21のステップS122において、検体並び替え装置40の制御部801がラックIDを送信し、搬送制御装置80の制御部821がこのラックIDを受信すると、ステップS305の判定がYESとなる。読取器43の読み取り位置にラック100が到着すると、ステップS306において、制御部801は、検体並び替え装置40に、このラック100の搬送先を示す搬出要求を送信する。これにより、検体並び替え装置40の制御部801は搬出要求を受信し、
図21のステップS123の判定がYESとなる。
【0190】
続いて、処理が
図26のステップS311に進められる。
【0191】
図26に示すように、ステップS311において、制御部821は、検体保管装置70の前、すなわち搬送装置61の左端の搬出位置にラック100が到着したか否かを判定する。検体保管装置70の前にラック100が到着すると、ステップS312において、制御部821は、検体保管装置70に搬入要求を送信する。これにより、検体保管装置70の制御部811は搬入要求を受信し、
図23のステップS201の判定がYESとなる。
【0192】
ステップS313において、制御部821は、検体保管装置70の読取器73の読み取り位置にラック100が到着したか否かを判定する。
図24のステップS222において、検体保管装置70の制御部811がラックIDを送信し、搬送制御装置80の制御部821がこのラックIDを受信すると、ステップS313の判定がYESとなる。読取器73の読み取り位置にラック100が到着すると、ステップS314において、制御部821は、検体保管装置70に、このラック100の搬送先を示す搬出要求を送信する。これにより、検体保管装置70の制御部811は搬出要求を受信し、
図24のステップS223の判定がYESとなる。
【0193】
なお、他の装置(投入装置11、供給装置20、搬送装置31、搬送装置12、搬送装置51、61および回収装置13)についても、
図25のステップS303~S306および
図26のステップS311~S314と同様、制御部821は、ラック100の到着に応じて、対応する装置に搬入要求および搬出要求を送信する。これにより、ラック100が搬送先の装置まで搬送される。
【0194】
図27は、搬送制御装置80による検体並び替え装置40から検体保管装置70へラック100を搬送する制御を示すフローチャートである。
図27の処理は、搬送制御装置80の制御部821により、ラック100ごとに繰り返し行われる。
【0195】
ステップS401において、搬送制御装置80の制御部821は、検体並び替え装置40の左隣りの搬送装置51から受信するラック100の検出結果に基づいて、検体並び替え装置40から搬送装置51へラック100が搬出されたか否かを判定する。
【0196】
搬送装置51にラック100が搬出されると、ステップS402において、制御部821は、ステップS301でホストコンピュータ2から受信した測定オーダに基づいて、ラック100を塗抹標本作製装置52に搬送する必要があるか否かを判定する。ラック100を塗抹標本作製装置52に搬送する必要がある場合、ステップS403において、制御部821は、ラック100が塗抹標本作製装置52の前方に搬送されるよう、搬送装置51を制御する。続いて、ステップS404において、制御部821は、ステップS301でホストコンピュータ2から受信した測定オーダに基づいて、ラック100を分析装置62に搬送する必要があるか否かを判定する。ラック100を分析装置62に搬送する必要がある場合、ステップS405において、制御部821は、ラック100が分析装置62の前方に搬送されるよう、搬送装置61を制御する。
【0197】
ステップS406において、制御部821は、ラック100が検体保管装置70に搬送されるよう、搬送装置51、61を制御する。こうして、検体並び替え装置40から検体保管装置70にラック100が搬送される。
【0198】
図28は、搬送制御装置80による空ラックの搬送制御を示すフローチャートである。
図28の処理は、搬送制御装置80の制御部821により、ラック100ごとに繰り返し行われる。
【0199】
ステップS411において、搬送制御装置80の制御部821は、検体並び替え装置40から、空ラックの残数を受信したか否かを判定する。
図22のステップS137~S139に示したように、検体並び替え装置40の制御部801は、空ラックの残数がNth以下であると、搬送制御装置80に空ラックの残数を送信する。搬送制御装置80の制御部821は、検体並び替え装置40から空ラックの残数を受信すると、ステップS412において、検体並び替え装置40に空ラックが搬送されるよう、回収装置13または検体保管装置70に空ラックの搬出要求を送信する。
【0200】
具体的には、回収装置13に空ラックがある場合、制御部821は、回収装置13に空ラックの搬出要求を送信する。回収装置13は、空ラックの搬出要求を受信すると、貯留した空ラックを右方向に搬出する。一方、回収装置13に空ラックがない場合、制御部821は、検体保管装置70で生じた空ラックの搬送先を検体並び替え装置40に設定し、この空ラックが検体並び替え装置40に向かって前段(右方向)に搬出されるよう、検体保管装置70に空ラックの搬出要求を送信する。検体保管装置70は、空ラックの搬出要求を受信すると、空ラックを右方向に搬出する。
【0201】
ステップS413において、制御部821は、回収装置13または検体保管装置70から空ラックが搬出されたか否かを判定する。具体的には、制御部821は、ステップS412で回収装置13に搬出要求を送信した場合、回収装置13の右隣りの検体保管装置70から受信するラック100の検出結果に基づいて、回収装置13から空ラックが搬出されたか否かを判定する。また、制御部821は、ステップS412で検体保管装置70に搬出要求を送信した場合、検体保管装置70の右隣りの搬送装置61から受信するラック100の検出結果に基づいて、検体保管装置70から空ラックが搬出されたか否かを判定する。
【0202】
回収装置13または検体保管装置70から空ラックが搬出されると、ステップS414において、制御部821は、空ラックを検体並び替え装置40の搬入位置P11に搬送する。具体的には、回収装置13から空ラックが搬出された場合、制御部821は、空ラックが検体並び替え装置40に搬送されるよう、検体保管装置70、搬送装置61、51、検体並び替え装置40および搬送装置12を制御する。一方、検体保管装置70から空ラックが搬出された場合、制御部821は、空ラックが検体並び替え装置40に搬送されるよう、搬送装置61、51、検体並び替え装置40および搬送装置12を制御する。
【0203】
なお、
図22のステップS138、S139では、空ラックの残数が所定数Nth以下である場合に、空ラックの残数が搬送制御装置80に送信されたが、ステップS137において空ラックの残数が検出された場合に、常に空ラックの残数が搬送制御装置80に送信されてもよい。この場合、搬送制御装置80の制御部821は、
図28のステップS411で空ラックの残数を受信すると、受信した空ラックの残数がNth以下であるか否かを判定し、空ラックの残数がNth以下である場合に、処理をステップS412に進めてもよい。
【0204】
図29、30は、ラック100の搬送例を示すタイムチャートである。
図29、30において、破線矢印は、容器110を保持した状態のラック100が搬送されることを示しており、一点鎖線の矢印は、容器110を保持しない空ラックが搬送されることを示している。
【0205】
図29を参照して、ラック100が、搬送装置31により測定装置32の前方に搬送されると、ラック100に保持された容器110内の検体が、測定装置32により測定される。測定装置32の測定が終了すると、ラック100は、搬送装置31、12により検体並び替え装置40に搬送され、検体並び替え装置40で容器110の並び替えが行われる。検体並び替え装置40において抜き取られずに残った容器110を保持するラック100、すなわち、後段の塗抹標本作製装置52および分析装置62に搬送する必要のない容器110のみを保持するラック100は、検体並び替え装置40および搬送装置51、61により検体保管装置70に搬送される。
【0206】
検体保管装置70で容器110の保管が行われ、ラック100は空ラックとなる。このとき、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362において空ラックが所定数Nth以下になると、検体保管装置70で生じた空ラックは、回収装置13を介さずに、検体保管装置70、搬送装置61、51、検体並び替え装置40および搬送装置12により、検体並び替え装置40に搬送される。検体並び替え装置40に搬送された空ラックは、ラック貯留部361に貯留される。
【0207】
図30を参照して、測定装置32の測定が終了すると、ラック100は、搬送装置31、12により検体並び替え装置40に搬送され、検体並び替え装置40で容器110の並び替えが行われる。検体並び替え装置40においてバッファラック120から容器110を移し替えられたラック100、たとえば、後段の塗抹標本作製装置52に搬送する必要のある容器110を保持するラック100は、検体並び替え装置40および搬送装置51により塗抹標本作製装置52の前方に搬送され、ラック100に保持された容器110内の検体から、塗抹標本の作製が行われる。塗抹標本の作製が終了すると、ラック100は、搬送装置51、61により検体保管装置70に搬送される。
【0208】
検体保管装置70で容器110の保管が行われ、ラック100は空ラックとなる。このとき、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362において空ラックが所定数Nthより多いと、検体保管装置70で生じた空ラックは、検体保管装置70により回収装置13に搬送され、回収装置13に貯留される。その後、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362において空ラックが所定数Nth以下になると、回収装置13に貯留された空ラックが、検体保管装置70を介して、回収装置13、検体保管装置70、搬送装置61、51、検体並び替え装置40および搬送装置12により、検体並び替え装置40に搬送される。検体並び替え装置40に搬送された空ラックは、ラック貯留部361に貯留される。
【0209】
<実施形態の効果>
検体並び替え装置40は、ラック100(第1のラック)に保持された容器110(検体容器)を他のラック100(第2のラック)に移し替える。検体保管装置70は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)による処理が終了した容器110(検体容器)を、ラック100(第2のラック)から保管用のアーカイブラック130(検体容器保管具)に移し替える。搬送装置51、61は、検体並び替え装置40と、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と、検体保管装置70との間でラック100を搬送する。搬送制御装置80は、搬送装置51、61を制御し、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向にラック100(第2のラック)を搬送制御する。
【0210】
この構成によれば、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間でラック100が双方向に搬送される。これにより、たとえば、容器110が移し替えられたラック100(第2のラック)を、検体並び替え装置40から検体保管装置70に搬送できる他、検体保管装置70内のアーカイブラック130に全ての容器110が移し替えられて空になったラック100(第2のラック)を、検体保管装置70から検体並び替え装置40に搬送できる。よって、検体並び替え装置40に空ラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【0211】
また、たとえば、検体検査システム1の一時的な不具合または異常により、検体保管装置70に保管されている容器110を再度、測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)や検体並び替え装置40に搬送することが想定され得る。この場合、オペレータは、検体保管装置70から容器110を取り出してラック100にセットし、このラック100をラック搬送路1aに流す必要がある。このような作業も、オペレータにとって煩雑であり、検体検査システム1の処理効率の低下を招く。
【0212】
このような場合でも、上記構成によれば、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に保持されている空ラックや、検体並び替え装置40における容器110の並び替えにより生じた空ラックを、検体並び替え装置40から検体保管装置70に搬送することで、搬送された空ラックに検体保管装置70内のアーカイブラック130から容器110を移し替えることができ、さらにこのラック100を、検体保管装置70から、測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)および検体並び替え装置40に搬送できる。これにより、検体保管装置70から所定の容器110を取り出してラック100にセットし、このラック100をラック搬送路1aに流すといったオペレータの作業を削減できる。よって、検体検査システム1の処理効率を高めることができる。また、検体保管装置70に保管されている検体の再検査を効率的に進めることができる。
【0213】
搬送制御装置80は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と、検体並び替え装置40と、検体保管装置70との配置の設定を、
図16の画面900を介して受け付け、受け付けた配置により配置情報を生成し、配置情報に基づいてラック100(第2のラック)を搬送制御する。この構成によれば、オペレータは、搬送制御装置80は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と、検体並び替え装置40と、検体保管装置70との配置を任意に設定でき、搬送制御装置80は、オペレータにより設定された配置に基づき、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向にラック100を搬送制御できる。
【0214】
搬送制御装置80は、検体並び替え装置40および検体保管装置70と通信可能に構成され、検体並び替え装置40および検体保管装置70から受信した情報に基づいて、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間で双方向にラック100(第2のラック)を搬送制御する。この構成によれば、検体並び替え装置40および検体保管装置70からの情報(たとえば、読取器43、73で読み取られたラックIDや、各装置内のセンサの検出情報)に応じて、適時且つ円滑に、所定のラック100を双方向に搬送制御できる。
【0215】
搬送制御装置80は、
図27に示したように、容器110(検体容器)を保持したラック100(第2のラック)を検体並び替え装置40から検体保管装置70に搬送し、
図28に示したように、検体保管装置70が容器110(検体容器)をアーカイブラック130(検体容器保管具)に移し替えることにより空になったラック100(第2のラック)を検体並び替え装置40に搬送する制御を行う。この構成によれば、検体並び替え装置40において空ラックが不足し、オペレータが空ラックを検体検査システム1(たとえば、ラック設置部362)にセットする回数を減らせる。よって、オペレータの作業を削減できる。
【0216】
搬送制御装置80は、検体並び替え装置40における空ラックの残数(保持数)に応じて、検体保管装置70で空になったラック100(第2のラック)を検体並び替え装置40に搬送する制御を行う。この構成によれば、検体並び替え装置40における空ラックの消尽を抑制でき、検体並び替え装置40の処理効率を高く維持できる。
【0217】
具体的には、検体並び替え装置40は、
図22のステップS138において、保持している空ラックが所定数Nthを下回っていると判定すると、搬送制御装置80に空ラックの残数(空ラックの搬送要求)を送信する。搬送制御装置80は、検体並び替え装置40から受信した空ラックの残数(搬送要求)に基づいて、
図28に示したように、検体保管装置70で空になったラック100(第2のラック)を検体並び替え装置40に搬送する制御を行う。これにより、検体並び替え装置40に空ラックを円滑に搬送できる。
【0218】
回収装置13(空ラック回収装置)は、検体保管装置70で空になったラック100を回収する。
図19の太線の破線矢印に示すように、搬送制御装置80は、検体保管装置70で空になったラック100(第2のラック)を、検体保管装置70から回収装置13(空ラック回収装置)に搬送し、回収装置13(空ラック回収装置)から検体並び替え装置40に搬送する制御を行う。この構成によれば、回収装置13に収容された空ラックを検体並び替え装置40に搬送することが可能になり、オペレータが空ラックを検体検査システム1(たとえば、ラック設置部362)に設置する回数をさらに減らせる。
【0219】
ラック100(第2のラック)に並び替えられなかった容器110(検体容器)を保持するラック100(第1のラック)も、搬送装置51、61により、検体並び替え装置40と、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と、検体保管装置70との間で搬送される。搬送制御装置80は、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向に上記ラック100(第1のラック)を搬送制御する。これにより、ラック100(第1のラック)を、検体並び替え装置40から検体保管装置70に搬送できる他、検体保管装置70内のアーカイブラック130に全ての容器110が移し替えられて空になったラック100(第1のラック)を、検体保管装置70から検体並び替え装置40に搬送できる。よって、検体並び替え装置40に空ラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【0220】
搬送制御装置80は、ラック100(第2のラック)に並び替えられなかった容器110(検体容器)を保持したラック100(第1のラック)を検体並び替え装置40から検体保管装置70に搬送する。搬送制御装置80は、検体保管装置70が容器110(検体容器)をアーカイブラック130(検体容器保管具)に移し替えることにより空になったラック100(第1のラック)を、検体並び替え装置40に搬送する制御を行う。この場合も、検体並び替え装置40における空ラックの消尽を抑制でき、検体並び替え装置40の処理効率を高く維持できる。
【0221】
図29、30に示したように、搬送装置51、61は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と、検体並び替え装置40と、検体保管装置70との間でラック100(第2のラック)を搬送する。ラック搬送システム1b(
図1参照)は、搬送装置51、61および搬送制御装置80を備え、
図19に示したように、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向にラック100(第2のラック)を搬送制御する。ラック搬送システム1bによれば、検体検査システム1と同様、検体並び替え装置40に空ラックを補充するといったオペレータの作業を削減できる。
【0222】
<変更例>
図1の検体検査システム1において、左方向に、検体保管装置70、回収装置13、投入装置11、供給装置20、2台の搬送装置31、搬送装置12、検体並び替え装置40、および搬送装置51、61が、この順で互いに隣接するように一列に並んでもよい。
【0223】
図31は、変更例に係る、検体検査システム1の構成を模式的に示す図である。
【0224】
投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、搬送装置31、51、61は、測定装置32、塗抹標本作製装置52、分析装置62、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間でラック100を搬送する。本変更例のラック搬送システム1bは、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、搬送装置31、51、61および搬送制御装置80により構成される。
【0225】
本変更例においても、
図1と同様、搬送装置12、31は、測定装置32および検体並び替え装置40の間でラック100を搬送し、搬送装置51、61は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と検体並び替え装置40との間でラック100を搬送する。一方、搬送装置31、供給装置20、投入装置11および回収装置13(搬送装置)は、測定装置32および検体保管装置70の間でラック100を搬送する。また、搬送装置51、61、検体並び替え装置40、搬送装置12、搬送装置31、供給装置20、投入装置11および回収装置13(搬送装置)は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と検体保管装置70との間でラック100を搬送する。これらの構成によれば、実施形態と同様、ラック100を円滑に搬送できる。
【0226】
回収装置13、投入装置11、供給装置20、2台の搬送装置31、搬送装置12、および搬送装置51、61(搬送装置)は、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間でラック100搬送する。このときの経路について、
図32を参照して説明する。
【0227】
図32は、変更例に係る、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間のラック100の搬送経路を模式的に示す図である。ラック100は、各装置のラック搬送路1a(
図31参照)に沿って搬送され、ラック100の搬送は、搬送制御装置80により制御される。
【0228】
太線の実線矢印は、検体並び替え装置40で並び替えが終了したラック100の搬送経路を示している。検体並び替え装置40の第2階層で並び替えが行われたラック100と、検体並び替え装置40で並び替えの必要がなくそのまま搬出されるラック100とは、必要に応じて搬送装置51、61により搬送された後、検体並び替え装置40、搬送装置12、2台の搬送装置31、供給装置20、投入装置11および回収装置13により検体保管装置70まで搬送される。ラック100上の全ての容器110は検体保管装置70で保管され、ラック100は空ラックとなる。検体保管装置70で生じた空ラックは、回収装置13または検体並び替え装置40に搬送される。
【0229】
太線の破線矢印は、検体保管装置70および回収装置13から搬出されるラック100の搬送経路を示している。検体保管装置70から空ラックが搬出される際に、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されるラック100が所定数以下であると、この空ラックは、検体保管装置70から左方向へ搬出され、回収装置13、投入装置11、供給装置20、2台の搬送装置31、および搬送装置12により検体並び替え装置40まで搬送される。
【0230】
一方、検体保管装置70から空ラックが搬出される際に、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されるラック100が所定数より多いと、この空ラックは、検体保管装置70から左方向へ搬出され、回収装置13に貯留される。その後、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されるラック100が所定数以下になると、回収装置13の空ラックは、検体保管装置70を介さずに、投入装置11、供給装置20、2台の搬送装置31、および搬送装置12により検体並び替え装置40まで搬送される。
【0231】
図33、34は、変更例に係る、ラック100の搬送例を示すタイムチャートである。
図33、34において、破線矢印は、容器110を保持した状態のラック100が搬送されることを示しており、一点鎖線の矢印は、容器110を保持しない空ラックが搬送されることを示している。
【0232】
図33を参照して、測定装置32の測定が終了すると、ラック100は、搬送装置31、12により検体並び替え装置40に搬送され、検体並び替え装置40で容器110の並び替えが行われる。検体並び替え装置40において抜き取られずに残った容器110を保持するラック100、すなわち、後段の塗抹標本作製装置52および分析装置62に搬送する必要のない容器110のみを保持するラック100は、検体並び替え装置40、搬送装置12、31、供給装置20、投入装置11および回収装置13により検体保管装置70に搬送される。
【0233】
検体保管装置70で容器110の保管が行われ、ラック100は空ラックとなる。このとき、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362において空ラックが所定数Nth以下になると、検体保管装置70で生じた空ラックは、回収装置13で貯留されることなく、回収装置13、投入装置11、供給装置20および搬送装置31、12により、検体並び替え装置40に搬送される。検体並び替え装置40に搬送された空ラックは、ラック貯留部361に貯留される。
【0234】
図34を参照して、測定装置32の測定が終了すると、ラック100は、搬送装置31、12により検体並び替え装置40に搬送され、検体並び替え装置40で容器110の並び替えが行われる。検体並び替え装置40においてバッファラック120から容器110を移し替えられたラック100、たとえば、後段の分析装置62に搬送する必要のある容器110を保持するラック100は、検体並び替え装置40および搬送装置51、61により分析装置62の前方に搬送され、ラック100に保持された容器110内の検体が、分析装置62により分析される。分析装置62の分析が終了すると、ラック100は、搬送装置61、51、検体並び替え装置40、搬送装置12、31、供給装置20、投入装置11、回収装置13により検体保管装置70に搬送される。
【0235】
検体保管装置70で容器110の保管が行われ、ラック100は空ラックとなる。このとき、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362において空ラックが所定数Nthより多いと、検体保管装置70で生じた空ラックは、検体保管装置70により回収装置13に搬送され、回収装置13に貯留される。その後、検体並び替え装置40のラック貯留部361およびラック設置部362において空ラックが所定数Nth以下になると、回収装置13に貯留された空ラックが、検体保管装置70を介さずに、回収装置13、投入装置11、供給装置20および搬送装置31、12により、検体並び替え装置40に搬送される。検体並び替え装置40に搬送された空ラックは、ラック貯留部361に貯留される。
【0236】
このように、本変更例においても、回収装置13、投入装置11、供給装置20および搬送装置31、12、51、61は、塗抹標本作製装置52および分析装置62(検体処理装置)と、検体並び替え装置40と、検体保管装置70との間でラック100を搬送する。この構成によれば、検体処理装置、検体並び替え装置40および検体保管装置70の間で、ラック100を円滑に搬送できる。
【0237】
<その他の変更例>
上記実施形態では、検体検査システム1内に、1つの検体並び替え装置40および1つの検体保管装置70が配置されたが、これに限らず、複数の検体並び替え装置40および複数の検体保管装置70が配置されてもよい。この場合も、搬送制御装置80は、測定装置32、塗抹標本作製装置52、分析装置62、複数の検体並び替え装置40、および、複数の検体保管装置70の間で双方向にラック100を搬送制御する。
【0238】
検体検査システム1内の各装置の配置は、
図1、31に示す配置に限らない。
【0239】
上記実施形態において、検体並び替え装置40の第2階層は、第1階層の上方に設けられたが、第1階層の下方に設けられてもよい。
【0240】
検体並び替え装置40において、ラック100を貯留できるよう中間路304の前後方向の幅が設定される場合、搬入路301においてラックIDおよび検体IDの読み取りが終了したラック100が、中間路304に貯留されてもよい。同様に、検体保管装置70において、ラック100を貯留できるよう中間路424の前後方向の幅が設定される場合、搬入路421においてラックIDおよび検体IDの読み取りが終了したラック100が、中間路424に貯留されてもよい。これらの場合、昇降位置P12、P22においてラック100を昇降させる間に、後続のラック100を中間路304、424で待機させることができる。よって、後続のラック100に対する処理を迅速に行うことができ、処理効率をさらに高めることができる。
【0241】
図3、6に示したように、昇降機構42、72は、ラック100の下面を支持する支持部42a、72aを上下に移動させることにより、ラック100を昇降させた。しかしながら、これに限らず、昇降機構42、72は、ラック100の左右または前後の側面を把持する把持部を上下に移動させることにより、ラック100を昇降させてもよい。
【0242】
図12に示したように、把持部材710、720が左右方向に接近および離間することにより、容器110が把持された。しかしながら、これに限らず、把持部材710、720が前後方向に接近および離間することにより、容器110が把持されてもよい。また、把持部材710、720に代えて、平面視において容器110に対して接近および離間する3本以上の棒状部材により、容器110が把持されてもよい。
【0243】
ラック待機領域311、431、移送路411、ラック貯留部361およびラック設置部362は、上面が水平面に平行な板部材により構成されたが、前後方向に移動するコンベアベルトにより構成されてもよい。この場合、ラック待機領域311、431、移送路411、ラック貯留部361およびラック設置部362上のラック100を搬送する搬送機構は、コンベアベルトを駆動するモータを含む。
【0244】
図4、7に示したように、容器110の移し替えは、検体並び替え装置40では第2階層の昇降位置P15で行われ、検体保管装置70では第2階層の昇降位置P25で行われた。しかしながら、これに限らず、容器110の移し替えは、昇降位置P15、P25とは異なる第2階層の他の位置において行われてもよい。
【0245】
上記実施形態において、搬送制御装置80は、第1および第2のラックを検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向に搬送制御したが、第2のラックのみを、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向に搬送制御してもよい。例えば、検体並び替え装置40において、第1のラックから、後段の検体処理装置で処理が必要な検体の容器110を第2のラックに移し替え、後段の検体処理装置での処理が必要ではない検体の容器110を別の第2のラックに移し替え、搬送制御装置80は、第2のラックのみを、検体並び替え装置40と検体保管装置70との間で双方向に搬送制御してもよい。
【0246】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0247】
1 検体検査システム
1b ラック搬送システム
11 投入装置(搬送装置)
12 搬送装置
13 回収装置(搬送装置、空ラック回収装置)
20 供給装置(搬送装置)
31 搬送装置
32 測定装置
40 検体並び替え装置
51 搬送装置
52 塗抹標本作製装置(検体処理装置)
61 搬送装置
62 分析装置(検体処理装置)
70 検体保管装置
80 搬送制御装置(ラック搬送制御装置)
100 ラック(空ラック)
110 容器(検体容器)
130 アーカイブラック(検体容器保管具)