(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料
(51)【国際特許分類】
H01L 23/373 20060101AFI20231221BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20231221BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L23/36 M
H01L23/36 D
H05K7/20 B
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2022041419
(22)【出願日】2022-03-16
【審査請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517259450
【氏名又は名称】宸寰科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呂 杰▲キ▼
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-017923(JP,A)
【文献】特開平06-291226(JP,A)
【文献】特開2001-168246(JP,A)
【文献】特開2020-098909(JP,A)
【文献】特開2013-211556(JP,A)
【文献】特開2019-057731(JP,A)
【文献】特開2001-144237(JP,A)
【文献】特開2009-280433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/373
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料(TIM)であって、前記電子部材の前記内部がチップ(Chip)と集積型ヒートスプレッダ(IHS)の間の第1の接触インターフェイスであり、前記電子部材の前記中間部が前記チップとヒートシンク(Heatsink)の間の第2の接触インターフェイスであり、前記電子部材の前記外部が前記集積型ヒートスプレッダと前記ヒートシンクの間の第3の接触インターフェイスであり、前記第1の接触インターフェイス、前記第2の接触インターフェイス、前記第3の接触インターフェイスに設置された前記サーマルインターフェイス薄膜材料が、その前記内部、前記中間部、前記外部の応用位置に基づき、それぞれTIM1、TIM1.5、TIM2と略称され、前記サーマルインターフェイス薄膜材料が、第1熱伝導ゲル層と、第2熱伝導ゲル層と、導電機能薄膜層と、を含み、
前記第1熱伝導ゲル層の厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100
V~20KVであり、
前記第2熱伝導ゲル層の厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100
V~20KVであり、
前記第1熱伝導ゲル層と前記第2熱伝導ゲル層の熱伝導平均K値が30~150W/m・Kであり、熱拡散率が10~130mm
2
/sであり、
前記導電機能薄膜層が
、片面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層を備えた導電箔、両面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層を備えた導電箔の少なくとも1つであり、かつ前記第1熱伝導ゲル層と前記第2熱伝導ゲル層の間に重ね合わせて設置され、その耐電圧性が500
V~20KVであり、
前記導電機能薄膜層の導電箔が、銅箔、アルミ箔、銀ペースト、カーボンチューブ、導電ポリマー、ソルダーペースト、導電インク、銅ペーストの少なくとも1つであり、かつ前記導電箔の厚みが100ナノメートル~50ミリメートルであり、前記セラミック及び/またはグラフェン放熱材料層の厚みが20ナノメートル~150マイクロメートルである、ことを特徴とする、電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料。
【請求項2】
前記第1熱伝導ゲル層と前記第2熱伝導ゲル層が、前記導電機能薄膜層の表面上に貼付された貼付シートである、ことを特徴とする、請求項1に記載の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料。
【請求項3】
前記TIM1が、0.3~3Kg/cm2の低圧力貼合、100~3Kg/cm
2
の高圧力貼合、0.1mbar未満の負圧かつ0.1~1Kg/cm
2
の圧力下における真空貼合またはローラー貼合/プレス貼合のいずれかで前記チップと前記集積型ヒートスプレッダの間の第1の接触インターフェイスに貼付され、前記TIM1の使用温度が-60℃~360℃である、ことを特徴とする、請求項1に記載の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料。
【請求項4】
前記TIM1.5が、低圧力貼合またはローラー貼合/プレス貼合により前記チップと前記ヒートシンクの間の第2の接触インターフェイスに貼付され、前記TIM1.5の使用温度が-60℃~360℃である、ことを特徴とする、請求項1に記載の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料。
【請求項5】
前記TIM2が、0.3~3 Kg/cm
2
の低圧力貼合またはローラー貼合/プレス貼合により前記集積型ヒートスプレッダと前記ヒートシンクの間の第3の接触インターフェイスに貼付され、前記TIM2の使用温度が-60℃~360℃である、ことを特徴とする、請求項1に記載の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子分野における電子部材の内部と中間部と外部に用いるサーマルインターフェイス薄膜材料(TIM)に関し、当該電子部材の内部がチップ(Chip)と集積型ヒートスプレッダ(IHS)の間の第1の接触インターフェイスであり、当該電子部材の中間部がチップとヒートシンクの間の第2の接触インターフェイスであり、当該電子部材の外部が集積型ヒートスプレッダとヒートシンク(Heatsink)の間の第3の接触インターフェイスであり、当該第1の接触インターフェイス、第2の接触インターフェイス、第3の接触インターフェイスに設置された当該サーマルインターフェイス薄膜材料は、その内部、中間部、外部の応用位置に基づき、それぞれTIM1、TIM1.5、TIM2と略称される。
【背景技術】
【0002】
電子部品の実装における放熱の要求はますます高まっており、廃熱を伝導して放熱させることが電子製品の開発・設計の重要なカギを握っている。熱伝導を目的とする構造では、電子部品パッケージの表面が効率よく放熱できるように、熱伝導インターフェイスの接触面積の最大化を考慮する必要がある。
電子部品パッケージの放熱分野では、電子部品パッケージの表面とヒートシンクの表面との隙間を埋める従来技術として、サーマルインターフェイスマテリアル(Thermal interface materials,TIM)が利用されている。
【0003】
一般に、TIMは柔軟な材料で成り、電子部品パッケージ表面とヒートシンク表面の隙間を埋め、熱伝導のための有効接触面積を増やす。TIMは、界面に存在する空隙を埋める熱伝導性材料であり、2つの接触面の間に空隙があり、空隙には熱伝導性の悪い空気が存在するため、熱伝導係数の高いTIMを利用して接触インターフェイスの熱伝導効率を高める。
通常、熱伝導平均K値が4~13W/m・Kの絶縁ペーストまたは軟質パッドには、シリコンオイルが出る、寿命が短い、リワークに破壊が必要といった懸念があり、熱伝導平均K値が13~21W/m・Kまたは60~80W/m・Kの導電性合金ペーストまたは軟質パッドには、貼付に加熱が必要、高ワット数でオーバーフローし、ショートする等の懸念があるためダム処理が必要である。
【0004】
また、サーマルインターフェイスマテリアルとしては、熱伝導性グラファイトシートが市販されており、これは非常に薄く、合成製造された、高配向性のグラファイトポリマー薄膜であり、サーマル管理及び放熱器の用途に使用される。
市販のグラファイトシートは限られたスペースや現有の区域に放熱を追加する場合に特に適している。優れた熱伝導性(銅の2~4倍)により、熱伝導性グラファイトシートは柔軟性を備え(繰り返し湾曲可能)、カスタムの形状にカットすることが可能であり、携帯電話やコンピューター、その他電子機器、半導体製造設備、光通信設備等に応用できる。
【0005】
従来、単層カーボンナノチューブ(CNT)複合材料放熱材料についての研究では、例えば特許文献1において、単層CNT複合体と、垂直に並んだCNTアレイを積層することにより単層CNT複合体から形成された多層化または重層化構造と、それを作製し使用する方法が開示されている。このような多層化または重層化構造は、バーンイン試験などの様々な適用例でサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)として使用することができる。
【0006】
サーマルインターフェイス組成物についての研究としては、例えば特許文献2において、a)少なくとも2つのシロキサン系化合物;b)少なくとも1つの無機マイクロフィラー材料;及び、c)少なくとも1つの熱伝導性フィラー材料を含むことが開示されている。さらに、上記特許文献2には、サーマルインターフェイスマテリアルを形成する方法についても開示されており、当該方法が、a)少なくとも2つのシロキサン系化合物を提供する工程と、b)少なくとも1つの無機マイクロフィラー材料を提供する工程と、c)少なくとも1つの熱伝導性フィラー材料を提供する工程と、d)少なくとも2つのシロキサン系化合物、少なくとも1つの無機マイクロフィラー材料、少なくとも1つの熱伝導性フィラー材料を組み合わせる工程を含むことが開示されている。
【0007】
可逆接着性サーマルインターフェイスマテリアルについての研究では、例えば特許文献3に、電子部品用の製造方法と使用方法が開示されている。これは、加水分解的に安定な熱可逆性接着剤と、熱伝導性および非導電性のフィラーとを含むサーマルインターフェイスマテリアルを含み、そのうち、サーマルインターフェイスマテリアルの熱伝導係数が0.2W/m・Kまたはそれ以上であり、電気抵抗率が9×1011Ω・cmまたはそれ以上である。当該熱可逆性接着剤は、機能化アミノプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体を含む。
【0008】
また、磁界で破裂するマイクロカプセルを含むサーマルインターフェイスマテリアルについての研究では、例えば特許文献4において、2枚の基板間の間隙を埋めるためのサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)が開示されており、これはマイクロカプセルがTIMフィラー中に分散され、各マイクロカプセルが溶媒を内包するシェルを有する。1つまたは複数の有機シランコーティングされた磁性ナノ粒子が、各マイクロカプセルのシェルに共有結合されている。一実施例において、(3-アミノプロピル)トリメチルシランでコーティングされたマグネタイトナノ粒子が、その場重合で尿素-ホルムアルデヒド(UF)マイクロカプセルのシェルに組み込まれる。当該TIMによって別の基板に固定された基板を容易に除去できるようにするために、マイクロカプセルのシェルを破裂させるに足る磁場内に基板を配置し、有機シランでコーティングした磁性ナノ粒子の磁気で刺激する。破裂したマイクロカプセルのシェルから溶媒が放出され、TIMギャップフィラーを溶解および/または膨張させて、基板間の接着強度を低下させる。
【0009】
システムインパッケージアセンブリ内にパッケージングされた小型ポータブル電子デバイス及びそのサーマルソリューションについての研究では、例えば特許文献5において、小型のポータブル電子デバイスは、単一のパッケージに組み立てることによって、サイズを低減し、フォームファクタを向上させることができることが開示されている。複数のダイ、受動的な構成要素、機械的な構成要素又は光学的な構成要素を含む数十または数百もの構成要素を、プリント回路基板上の単一のシステムにパッケージングすることができる。構成要素のうちの1つ以上は、大量の電力を放散して、過剰の熱の発生をもたらす可能性がある。過剰な熱を除去するために、デバイスは、熱プラグ、ヒートスプレッダ、内蔵型ヒートシンク、及び/又は外部ヒートシンクなどの1つ以上のサーマルソリューションを含むことができる。いくつかの実施例では、サーマルソリューションは、基板の底部への伝導を介して又はシステムの頂部への対流を介して、又は双方の組み合わせを介して、熱を放散することができる。
【0010】
電磁干渉(EMI)遮蔽特性のコンプライアンスを有する多層熱伝導性インターフェイスアセンブリについての研究では、例えば特許文献6において、さまざまな例示的な実施形態で、EMIを遮蔽する熱伝導性インターフェイスアセンブリは、サーマルインターフェイスマテリアルおよび、導電性織物、メッシュ、箔などの、遮蔽材料のシートを備え、遮蔽材料のシートは、サーマルインターフェイスマテリアル内に埋め込まれ、および/またはサーマルインターフェイスマテリアルの第1の層と第2の層との間に挟まれることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】台湾特許第TW201834960号明細書
【文献】台湾特許第TW200401805A号明細書
【文献】米国特許第US09085719B2号明細書
【文献】米国特許第US09694337B2号明細書
【文献】中華人民共和国特許第CN106462204B号明細書
【文献】中華人民共和国特許第CN103098575A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)は、リワーク性が低い、シリコンオイルが出る、寿命が短い、といった不足点があり、解決の必要性がある。また、高温または高ワット数下でオーバーフローの問題があり、導電、ショート等を引き起こす懸念があり、ダム処理によりサーマルインターフェイスマテリアルの周囲を隔離してオーバーフローを防止する必要がある。
本発明の目的は、リワーク性に優れ、シリコンオイルが出ず、耐久性が高く、オーバーフローし難い電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料(TIM)に関し、前記電子部材の前記内部がチップ(Chip)と集積型ヒートスプレッダ(IHS)の間の第1の接触インターフェイスであり、前記電子部材の前記中間部が前記チップとヒートシンク(Heatsink)の間の第2の接触インターフェイスであり、前記電子部材の前記外部が前記集積型ヒートスプレッダと前記ヒートシンクの間の第3の接触インターフェイスであり、前記第1の接触インターフェイス、前記第2の接触インターフェイス、前記第3の接触インターフェイスに設置された前記サーマルインターフェイス薄膜材料が、その前記内部、前記中間部、前記外部の応用位置に基づき、それぞれTIM1、TIM1.5、TIM2と略称され、前記サーマルインターフェイス薄膜材料が、第1熱伝導ゲル層と、第2熱伝導ゲル層と、導電機能薄膜層と、を含み、前記第1熱伝導ゲル層の厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100V~20KVであり、前記第2熱伝導ゲル層の厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100V~20KVであり、前記第1熱伝導ゲル層と前記第2熱伝導ゲル層の熱伝導平均K値が30~150W/m・Kであり、熱拡散率が10~130mm
2
/sであり、前記導電機能薄膜層が、片面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層を備えた導電箔、両面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層を備えた導電箔の少なくとも1つであり、かつ前記第1熱伝導ゲル層と前記第2熱伝導ゲル層の間に重ね合わせて設置され、その耐電圧性が500V~20KVであり、前記導電機能薄膜層の導電箔が、銅箔、アルミ箔、銀ペースト、カーボンチューブ、導電ポリマー、ソルダーペースト、導電インク、銅ペーストの少なくとも1つであり、かつ前記導電箔の厚みが100ナノメートル~50ミリメートルである。
【0014】
一実施例において、前記第1熱伝導ゲル層と前記第2熱伝導ゲル層が、前記導電機能薄膜層の表面上に貼付された貼付シートである。
【0015】
【0016】
【0017】
一実施例において、前記TIM1が、0.3~3 Kg/cm2の低圧力貼合、100~3Kg/cm2の高圧力貼合、0.1mbar未満の負圧かつ0.1~1Kg/cm2の圧力下における真空貼合またはローラー貼合/プレス貼合のいずれかで前記チップと前記集積型ヒートスプレッダの間の第1の接触インターフェイスに貼付され、前記TIM1の使用温度が-60℃~360℃である。
【0018】
【0019】
一実施例において、前記TIM1.5が、低圧力貼合またはローラー貼合/プレス貼合により前記チップと前記ヒートシンクの間の第2の接触インターフェイスに貼付され、前記TIM1.5の使用温度が-60℃~360℃である。
【0020】
【0021】
一実施例において、前記TIM2が、0.3~3Kg/cm2の低圧力貼合またはローラー貼合/プレス貼合により前記集積型ヒートスプレッダと前記ヒートシンクの間の第3の接触インターフェイスに貼付され、前記TIM2の使用温度が-60℃~360℃である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は、リワーク性に優れ、シリコンオイルが出ず、寿命が長く、高温耐性を備え、高ワット数の環境下でもオーバーフローしてショートすることがなく、ダム処理の必要がなく、各種使用環境に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例に係る電子部材の内部と外部のサーマルインターフェイス薄膜材料の応用状況を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る電子部材の中間部のサーマルインターフェイス薄膜材料の応用状況を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施例を示す電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料の断面図である。
【
図4】導電機能薄膜層の
参考例を示す断面図である。
【
図5】導電機能薄膜層の実施態様
1を示す断面図である。
【
図6】導電機能薄膜層の実施態様
2を示す断面図である。
【
図7】多層重ね合わせた導電機能薄膜層の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0025】
図1は、実施例に係る電子部材の内部と外部のサーマルインターフェイス薄膜材料の応用状況における概略図である。
図1に示すように、回路基板201上にチップ301(Chip)が設置され、アレイソルダーボール401を介してチップ301が回路基板201に固定される。
チップ301は通電動作後発熱するが、チップ301を正常に動作させ、かつチップ301の使用寿命を延長するには、その熱を放熱させる必要がある。
【0026】
このため、集積型ヒートスプレッダ501(IHS)を利用してチップ301表面を被覆し、かつ、はんだ合金601で集積型ヒートスプレッダ501を回路基板201上に固定し、さらにサーマルインターフェイス薄膜材料TIM1 101により電子部材内部の集積型ヒートスプレッダ501とチップ301表面の間の空隙を埋めることで、熱伝導効率を高め、電磁波干渉を防止する効果を達成する。
チップ301が発生する熱を当該集積型ヒートスプレッダ501に伝達して放出させることがその目的である。
さらに放熱効果を高めるために、集積型ヒートスプレッダ501の表面にさらにヒートシンク701(Heatsink)を設置し、かつサーマルインターフェイス薄膜材料TIM2 102で電子部材の外部の集積型ヒートスプレッダ501とヒートシンク701の間的空隙を埋めることで、最良の電子部材の放熱効果を達成することができる。
【0027】
本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は、電子部材の内部のチップ301と集積型ヒートスプレッダ501の間の第1の接触インターフェイス、及び、当該電子部材の外部の集積型ヒートスプレッダ501とヒートシンク701の間の第3の接触インターフェイスに応用することができる。
当該第1の接触インターフェイスと第3の接触インターフェイスに設置されたサーマルインターフェイス薄膜材料は、その内部と外部の設置位置に基づいてそれぞれTIM1 101及びTIM2 102と略称される。
【0028】
図2は、実施例に係る電子部材の中間部のサーマルインターフェイス薄膜材料の応用状況における概略図である。
図2に示すように、回路基板201上にチップ301が設置され、かつアレイソルダーボール401を介してチップ301が回路基板201上に固定される。
チップ301は通電動作後発熱するが、実際の電子部材ではチップ301の大きさと空間設計を考慮し、集積型ヒートスプレッダ501を省略して、別途チップ301表面上に直接ヒートシンク701を設置し、かつサーマルインターフェイス薄膜材料TIM1.5 103を用いて電子部材の中間部のチップ301とヒートシンク701の間の空隙を埋めることで、その空間の使用において最良の電子部材の放熱効果を達成することができる。
【0029】
本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は、電子部材の中間部のチップ301とヒートシンク701の間の第2の接触インターフェイスに応用でき、当該電子部材の中間部に設置されたサーマルインターフェイス薄膜材料は、その中間部の応用位置に基づいてTIM1.5 103と略称される。
即ち、電子部材の内部、中間部、外部とは、以上のサーマルインターフェイス薄膜材料の応用位置を以て定義される。
【0030】
図3は、電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料の断面図である。
図3に示すように、電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は、第1熱伝導ゲル層1011と、第2熱伝導ゲル層1012と、導電機能薄膜層1013と、を含む。
第1熱伝導ゲル層1011は厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100
V~20KVであり、第2熱伝導ゲル層1012は厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100
V~20KVである。導電機能薄膜層1013は、第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012の間に重ね合わされ、その耐電圧性が500
V~20KVである。
【0031】
第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012が、塗布、印刷、スプレーコーティング、蒸着またはスパッタリング方式のいずれかで当該導電機能薄膜層1013の表面上を被覆して設けられる。
或いは、第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012は、導電機能薄膜層1013の表面上に貼付された貼付シートである。
第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012の熱伝導平均K値が30~150W/m・Kの間であり、熱拡散率が10~130mm
2/sの間であり、ISO22007-2過渡的平面熱源法Transient plane heat source method(TPS)の試験標準を使用する。
本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は、
図1、
図2に示すように、その内部、中間部、外部の応用位置に基づきそれぞれTIM1 101、TIM1.5 103、TIM2 102と略称される。
【0032】
TIM1 101は、0.3~3Kg/cm2の低圧力貼合、100~3Kg/cm2の高圧力貼合、0.1mbar未満の負圧且つ0.1~1Kg/cm2圧力下における真空貼合またはローラー貼合/プレス貼合の混合工法を使用してチップ301と集積型ヒートスプレッダ501の間の第1の接触インターフェイスに貼付される。TIM1 101の使用温度は-60℃~360℃の間である。
【0033】
TIM1.5 103の第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012は、潤滑油とホットメルト接着剤を含有する摺動性材料である。
TIM1.5 103は、低圧力貼合またはローラー貼合/プレス貼合の混合工法でチップ301とヒートシンク701の間の第2の接触インターフェイスに貼付できる。TIM1.5 103の使用温度は-60℃~360℃の間である。
【0034】
TIM2 102の第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012は、潤滑油とホットメルト接着剤を含有する摺動性材料である。
TIM2 102は、0.3~3Kg/cm2の低圧力貼合またはローラー貼合/プレス貼合の混合工法を使用して集積型ヒートスプレッダ501とヒートシンク701の間の第3の接触インターフェイスに貼付される。TIM2 102の使用温度は-60℃~360℃の間である。
【0035】
本発明の詳細な構造について理解を促進するために、電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料における導電機能薄膜層の
参考例を示す断面図である
図4を参照する。
導電機能薄膜層1013は導電箔10131である。導電機能薄膜層1013の導電箔10131は、少なくとも1つの銅箔、アルミ箔、銀ペースト、カーボンチューブ、導電ポリマー、ソルダーペースト、導電インク、銅ペーストであり、かつ導電箔10131は厚みが100ナノメートル~50ミリメートルである。
【0036】
図5は、本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料における導電機能薄膜層の実施態様
1を示す断面図である。
導電機能薄膜層1013は片面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132を備えた導電箔10131であり、当該セラミック及び/またはグラフェン放熱材料は、単一のセラミック放熱材料、単一のグラフェン放熱材料またはセラミックとグラフェンで混成された放熱材料のいずれも導電箔10131の表面に重ね合わせることができる。
セラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132は厚みが20ナノメートル~150マイクロメートルである。
第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012は、塗布、印刷、スプレーコーティング、蒸着またはスパッタリング方式のいずれかで導電機能薄膜層1013の表面上を被覆して設けられる。
【0037】
図6は、本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料における導電機能薄膜層の実施態様
2を示す断面図である。
導電機能薄膜層1013は両面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132を備えた導電箔10131である。セラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132は、塗布、印刷、スプレーコーティング、蒸着またはスパッタリング方式のいずれかで当該導電箔10131の表面上を被覆して設けられる。
【0038】
図7は、多層重ね合わせた導電機能薄膜層の分解断面図である。
さらに説明すると、導電機能薄膜層1013は
、片面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132を備えた導電箔10131、両面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132を備えた導電箔10131の少なくとも1つである。
図7に示すように、これらを重ね合わせて使用することで熱伝導と導電の効果を高めることができ、さらには電磁波保護効果も高められ、チップ301の使用時の安定性を向上することができる。
【0039】
導電機能薄膜層1013は第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012の間に最後に重ね合わされ、チップ301、集積型ヒートスプレッダ501、ヒートシンク701の表面に貼付され、機能面で熱伝導率を高め、オーバーフローによる導電ショート等の懸念を排除することができる。
【0040】
本発明の電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は、当該電子部材の内部がチップ301と集積型ヒートスプレッダ501の間の第1の接触インターフェイスであり、当該電子部材の中間部がチップ301とヒートシンク701の間の第2の接触インターフェイスであり、当電子部材の外部が集積型ヒートスプレッダ501とヒートシンク701の間の第3の接触インターフェイスであり、当該第1の接触インターフェイス、第2の接触インターフェイス、第3の接触インターフェイスに設置された当該サーマルインターフェイス薄膜材料は、その内部、中間部、外部の応用位置に基づき、それぞれTIM1 101、TIM1.5 103、TIM2 102と略称される。
【0041】
当該サーマルインターフェイス薄膜材料が、第1熱伝導ゲル層1011と、第2熱伝導ゲル層1012と、導電機能薄膜層1013を含む。
第1熱伝導ゲル層1011は厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100V~20KVである。
第2熱伝導ゲル層1012は厚みが0.1マイクロメートル~300マイクロメートルの間であり、その耐電圧性が100V~20KVである。
導電機能薄膜層1013は、導電箔10131、片面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132を備えた導電箔10131と、両面にセラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132を備えた導電箔10131の少なくとも1つであり、かつ当該第1熱伝導ゲル層1011と当該第2熱伝導ゲル層1012の間に重ね合わされ、その耐電圧性が500V~20KVである。
導電機能薄膜層1013の導電箔10131は、銅箔、アルミ箔、銀ペースト、カーボンチューブ、導電ポリマー、ソルダーペースト、導電インク、銅ペーストの少なくとも1つであり、かつ当該導電箔10131の厚みが100ナノメートル~50ミリメートルであり、当該セラミック及び/またはグラフェン放熱材料層10132の厚みが20ナノメートル~150マイクロメートルである。
【0042】
この電子部材の内部、中間部、外部のサーマルインターフェイス薄膜材料は流動性のない固体貼付シート材料の施工が容易でリワークがしやすいという利点を備えており、ローラー貼合、低圧力貼合、高圧力貼合、低圧力吸気貼合の加工に適している。
第1熱伝導ゲル層1011と第2熱伝導ゲル層1012は排気性に優れ、インターフェイス間の空気という不良導体の存在を減少し、その耐電圧性、高導電性、高熱伝導性はいずれも過去の従来技術と差別化されており、新規性、進歩性、及び実用的効果を備えている。
【0043】
上述をまとめると、本発明の実施例の具体的な構造により、リワーク性に優れ、シリコンオイルが出ず、寿命が長く、高温耐性を備え、高ワット数の環境下でもオーバーフローしてショートすることがなく、ダム処理の必要がない、各種使用環境における応用への適合性を確実に提供することができる。
【0044】
以上は、本発明の良好な実施例の説明であり、本発明の権利範囲を制限するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない変化と修飾は、すべて本発明の権利範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0045】
101 TIM1
1011 第1熱伝導ゲル層
1012 第2熱伝導ゲル層
1013 導電機能薄膜層
10131 導電箔
10132 セラミック及び/またはグラフェン放熱材料層
102 TIM2
103 TIM1.5
201 回路基板
301 チップ
401 アレイソルダーボール
501 集積型ヒートスプレッダ
601 はんだ合金
701 ヒートシンク