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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231221BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20231221BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 349C
G09F9/30 348A
G09F9/30 349Z
H10K59/12
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022136376
(22)【出願日】2022-08-29
(65)【公開番号】P2023035999
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0114584
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ギョンス
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ギョンモ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ウンソン
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0036029(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064421(US,A1)
【文献】特開2020-181194(JP,A)
【文献】特開2020-201486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0111855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0338252(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0259020(US,A1)
【文献】国際公開第2020/184533(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112838098(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートラインおよび前記ゲートラインと交差するデータラインに接続される発光素子をそれぞれが含む画素と、
各画素に配置され、前記データラインから印加されるデータ電圧に応じ、前記発光素子に駆動電流を供給し、第1酸化物半導体パターンを含む駆動トランジスタと、
各画素に配置され、前記ゲートラインから印加されるゲート信号に応じ、前記データ電圧を供給する第1スイッチングトランジスタおよび第2スイッチングトランジスタを含む複数のスイッチングトランジスタとを含み、
前記第2スイッチングトランジスタは、第2酸化物半導体パターンを含み、
前記駆動トランジスタは、前記第1酸化物半導体パターンの下部で前記第1酸化物半導体パターンと重なる第1遮光層を含み、前記第2スイッチングトランジスタは、前記第2酸化物半導体パターンの下部で前記第2酸化物半導体パターンと重なる第2遮光層を含み、
前記第1酸化物半導体パターンと前記第1遮光層との間の第1距離は、前記第2酸化物半導体パターンと前記第2遮光層との間の第2距離より小さい、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第1スイッチングトランジスタは、第1ゲート電極、第1ソース電極、および第1ドレイン電極を含み、
前記第2スイッチングトランジスタは、上部バッファー層上に配置される前記第2酸化物半導体パターンと、第2ゲート電極であって、前記第2ゲート電極と前記第2酸化物半導体パターンとの間の第2ゲート絶縁層を介して前記第2酸化物半導体パターンと重なる第2ゲート電極と、前記第2ゲート電極上に配置される第2層間絶縁層と、前記第2層間絶縁層上に配置される第2ソース電極および第2ドレイン電極とを含み、
前記駆動トランジスタは、前記上部バッファー層上に配置される第1酸化物半導体パターンと、第3ゲート電極であって、前記第3ゲート電極と前記第2ゲート絶縁層との間の前記第2ゲート絶縁層を介して前記第1酸化物半導体パターンと重なる第3ゲート電極と、前記第2層間絶縁層上に配置され、前記第1酸化物半導体パターンと接続される第3ソース電極および第3ドレイン電極とを含み、
前記第3ソース電極が前記第1遮光層に接続された、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1スイッチングトランジスタは、多結晶半導体パターンを含む、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1スイッチングトランジスタは、基板上に配置される前記多結晶半導体パターンと、前記第1ゲート電極と前記多結晶半導体パターンとの間の第1ゲート絶縁層を介し、前記多結晶半導体パターンと重なる第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極上に配置される第1層間絶縁層と、前記第1層間絶縁層上に配置される前記上部バッファー層と、前記上部バッファー層上に配置され、前記多結晶半導体パターンに接続される第1ソース電極および第1ドレイン電極とを含む、請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1遮光層は前記上部バッファー層内に配置され、前記第2遮光層は前記上部バッファー層の下に配置される、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第1遮光層は前記上部バッファー層内に配置され、前記第2遮光層は前記第1ゲート絶縁層の上部表面に配置される、請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第1ゲート電極と同一層上に配置される第1ストレージ電極と、
前記第1遮光層と同一層上に配置される第2ストレージ電極とを含むストレージキャパシタをさらに含む、請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第1酸化物半導体パターンと第1遮光層との間に生じる寄生キャパシタンスCbufは、前記第3ゲート電極と前記第1酸化物半導体パターンとの間に生じる寄生キャパシタンスCgiより大きい、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第2ゲート電極は、前記第2遮光層と電気的に接続される、請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記上部バッファー層は、前記第1遮光層の下に配置される上部第1サブバッファー層と、前記第1遮光層上に配置される上部第2サブバッファー層および上部第3サブバッファー層とを含む、請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記上部第2サブバッファー層は、前記第1遮光層の上面および側面のみを覆う、請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記上部第2サブバッファー層は窒化シリコン膜を含み、前記上部第1サブバッファー層および前記上部第3サブバッファー層は酸化シリコン膜を含む、請求項11に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第1遮光層はチタニウム(Ti)を含む、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記第1酸化物半導体パターンの内部に生じる寄生キャパシタンスCactは、前記第1酸化物半導体パターンと前記第1遮光層との間に生じる寄生キャパシタンスCbufとは互いに並列接続され、前記第3ゲート電極と前記第1酸化半導体パターンとの間に生じる寄生キャパシタンスCgiとは互いに直列接続される、請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記第2ストレージ電極は前記第3ソース電極と電気的に接続される、請求項7に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記第3ゲート電極は複数の導電層を含み、前記導電層のうち少なくとも1つがチタニウムを含む、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
基板と、
前記基板上の複数の画素であって、前記複数の画素のそれぞれが、ゲートラインと交差するデータラインに接続される発光素子を含む、複数の画素と、
各画素に配置され、前記データラインから印加されるデータ電圧に応じ、前記発光素子に駆動電流を供給し、第1酸化物半導体パターンを含む駆動トランジスタと、
前記第1酸化物半導体パターンの下部で前記第1酸化物半導体パターンと重なり、チタニウム(Ti)を含む第1遮光層と
前記第1遮光層の上面及び側面を所定の厚さで覆う窒化シリコン層と、
前記基板の全領域を覆う、前記窒化シリコン層上のバッファー層と、
を含み、
前記バッファー層は、前記窒化シリコン層の上面及び側面に接する、
有機発光表示装置。
【請求項18】
前記駆動トランジスタは、
前記基板上に配置される前記第1酸化物半導体パターンと、
間にゲート絶縁層を介し、前記第1酸化物半導体パターンと重なるゲート電極と、
前記ゲート電極上に配置される少なくとも1つの層間絶縁層と、
前記第1酸化物半導体パターンと接続されるソース電極およびドレイン電極とを含み、
前記ソース電極は、前記第1遮光層に電気的に接続される、請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記ゲート電極は、チタニウムを含む少なくとも1つの導電層を含む、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記ゲートラインに印加されるゲート信号に応じ、データ電圧を印加する複数のスイッチングトランジスタを含み、
前記複数のスイッチングトランジスタは、第2酸化物半導体パターンを含む1つのスイッチングトランジスタを含む、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
第1方向に光を出射する複数の画素を含み、
前記画素の少なくとも1つの画素は、
多結晶半導体パターンを含む第1スイッチングトランジスタと、
第1酸化物半導体パターン、及び第2方向に前記第1酸化物半導体パターンの下部に配置された第1反射導電層を含む第2スイッチングトランジスタと、
第2酸化物半導体パターン、前記第1方向に前記第2酸化物半導体パターンの上部に配置されたゲート電極、および前記第1方向とは反対方向である第2方向に前記第2酸化物半導体パターンの下部に配置された第反射導電層を含む駆動トランジスタとを備え、
前記第反射導電層は、前記第2酸化物半導体パターンに電気的に接続され
前記駆動トランジスタの前記第2酸化物半導体パターンと前記第2反射導電層の間の第1距離は、前記第1酸化物半導体パターンと前記第1反射導電層の間の第2距離よりも小さい、
有機発光表示装置。
【請求項22】
前記駆動トランジスタは、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を含み、
前記第反射導電層は、前記駆動トランジスタのソース電極を介し、前記第2酸化物半導体パターンに電気的に接続される、請求項21に記載の有機発光表示装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの画素は、水素粒子を含有した層間絶縁層をさらに備え、
前記層間絶縁層は、前記第1方向に前記第1スイッチングトランジスタの多結晶半導体パターンの上部に配置され、前記第2方向に前記第2スイッチングトランジスタの第1酸化物半導体パターンの下部に配置され、前記第2方向に前記駆動トランジスタの第2酸化物半導体パターンおよび第1反射導電層の下部に配置される、請求項21に記載の有機発光表示装置。
【請求項24】
前記層間絶縁層は、窒化シリコン(SiN)を含み、前記第1反射導電層は、チタニウム(Ti)を含む、請求項23に記載の有機発光表示装置。
【請求項25】
前記第1反射導電層及び前記第2反射導電層はそれぞれ異なる層に配置されている、請求項21に記載の有機発光表示装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの画素は、第1キャパシタ電極および第2キャパシタ電極を含むストレージキャパシタをさらに含み、
間絶縁層は、前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に配置され、
前記第1キャパシタ電極は、前記第2スイッチングトランジスタの第反射導電層と同じ物質で構成され、
前記第2キャパシタ電極は、前記駆動トランジスタの第反射導電層と同じ物質で構成される、請求項25に記載の有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関するものであって、特に単位画素の駆動素子部を構成する複数の薄膜トランジスタを構成するに当たり、互いに種類の異なる半導体物質を用いたハイブリッド型薄膜トランジスタを含む有機発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置はバックライトを使用せず、自己発光素子を用いることから、液晶表示装置に比べて薄膜性と画質に優れており、ディスプレイ分野で主流となっている。
【0003】
特に、フレキシブル基板上に発光素子を設けることができるため、曲げる、または折り畳むなど様々な形にディスプレイを構成することができる上に、薄膜性に優れていることからスマートウォッチなど小型電子製品の表示装置に適する。
【0004】
ところが、停止画面状態の多いスマートウォッチなどのディスプレイに採用するため、停止画面時に漏洩電流を防止することができる新しいタイプの駆動素子部を備える発光表示装置が求められている。
【0005】
かかる漏洩電流遮断に優れる薄膜トランジスタは、活性層として酸化物半導体を用いるものが提案された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハイブリッド型薄膜トランジスタを用いた表示装置は、互いに種類の異なる半導体層、例えば、多結晶半導体層と酸化物半導体層を用いるため、多結晶半導体層を形成する工程と、酸化物半導体層を形成する工程とが別々に行われ、工程が複雑である。また、多結晶半導体層と酸化物半導体層は、化学ガスに対する特性が互いに異なるため、工程はさらに複雑化する。
【0007】
特に、多結晶半導体層は、酸化物半導体層に比べ、電子や正孔のようなキャリアの移動速度がさらに速いことから、高速駆動を必要とする駆動薄膜トランジスタに適する。したがって、通常、駆動薄膜トランジスタは、多結晶半導体層を用いて構成される。
【0008】
ところが、多結晶半導体層を用いた駆動薄膜トランジスタは、駆動速度は速いものの、電流ストレスによる電流変動率が大きく、低階調を表現するに不利であるという問題があった。そこで、本発明は、酸化物半導体を利用する駆動薄膜トランジスタを構成しながら、電流ストレスによる電流変動率が小さく、Sファクタが大きい駆動素子部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の有機発光表示装置は、ゲートラインおよびゲートラインと交差するデータラインに接続される発光素子を含む画素と、データラインから印加されるデータ電圧に応じ、発光素子に駆動電流を供給し、第1酸化物半導体パターンを含む駆動トランジスタと、ゲートラインに印加されるゲート信号に応じ、データ電圧を印加する第1スイッチングトランジスタおよび第2スイッチングトランジスタを含むスイッチングトランジスタとで構成され、第2スイッチングトランジスタは、第2酸化物半導体パターンを含み、駆動トランジスタは、第1酸化物半導体パターンの下部で第1酸化物半導体パターンと重なる第1遮光層を含み、第2スイッチングトランジスタは、第2酸化物半導体パターンの下部で第2酸化物半導体パターンと重なる第2遮光層を含むが、第1酸化物半導体パターンと第1遮光層との間の第1距離は、第2酸化物半導体パターンと第2遮光層との間の第2距離より小さいことを特徴とする。
【0010】
本発明の有機発光表示装置において、第1スイッチングトランジスタは、第1ゲート電極と、第1ソース電極と、第1ドレイン電極とを含み、第2スイッチングトランジスタは、上部バッファー層上に配置される第2酸化物半導体パターンと、第2ゲート絶縁層を介して第2酸化物半導体パターンと重なる第2ゲート電極と、第2ゲート電極上に配置される第2層間絶縁層と、第2層間絶縁層上に配置される第2ソース電極および第2ドレイン電極とを含み、駆動トランジスタは、上部バッファー層上に配置される第1酸化物半導体パターンと、第2ゲート絶縁層を介して第1酸化物半導体パターンと重なる第3ゲート電極と、第3ゲート電極上および第2層間絶縁層上に配置され、第1酸化物半導体パターンと接続される第3ソース電極および第3ドレイン電極とを含み、第3ソース電極は第1遮光層と接続される。
【0011】
本発明の有機発光表示装置において、第1スイッチングトランジスタは、多結晶半導体パターンを含むことができる。
【0012】
本発明の有機発光表示装置において、第1スイッチングトランジスタは、基板上に配置される前記多結晶半導体パターンと、第1ゲート絶縁層を介し、前記多結晶半導体パターンと重なる第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極上に配置される第1層間絶縁層と、前記第1層間絶縁層上に配置される前記上部バッファー層と、前記上部バッファー層上に配置され、前記多結晶半導体パターンと接続される第1ソース電極および第1ドレイン電極とを含む。
【0013】
本発明の有機発光表示装置において、第1遮光層は上部バッファー層内に配置され、第2遮光層は上部バッファー層の下に配置される。
【0014】
本発明の有機発光表示装置において、第1遮光層は前記上部バッファー層内に配置され、第2遮光層は前記第1ゲート絶縁層の上部表面に配置される。
【0015】
本発明の有機発光表示装置は、第1ゲート電極と同一層上に配置される第1ストレージ電極と、第1遮光層と同一層上に配置される第2ストレージ電極とを含むストレージキャパシタをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の有機発光表示装置において、第3ソース電極は、第1遮光層と電気的に接続することができる。
【0017】
本発明の有機発光表示装置において、第2ゲート電極は、第2遮光層と電気的に接続することができる。
【0018】
本発明の有機発光表示装置において、上部バッファー層は、第1遮光層の下の上部第1サブバッファー層と、第1遮光層上に配置される上部第2サブバッファー層および上部第3サブバッファー層とを含むことができる。
【0019】
本発明の有機発光表示装置において、上部第2サブバッファー層は、第1遮光層のみを、その上面および側面から取り囲むことができる。
【0020】
本発明の有機発光表示装置において、上部第2サブバッファー層は窒化シリコン膜を含み、上部第1サブバッファー層および上部第3サブバッファー層は酸化シリコン膜を含む。
【0021】
本発明の有機発光表示装置において、第1遮光層はチタニウム(Ti)を含む。
【0022】
本発明の有機発光表示装置において、第1酸化物半導体パターンの内部に生じる寄生キャパシタンスCactは、前記第1酸化物半導体パターンと前記第1遮光層との間に生じる寄生キャパシタンスCbufとは互いに並列接続され、前記第3ゲート電極と前記第1遮光層との間に生じる寄生キャパシタンスCgiとは互いに直列接続されることを特徴とする。
【0023】
本発明の有機発光表示装置において、第2ストレージ電極は、第3ソース電極と電気的に接続することができる。
【0024】
本発明の有機発光表示装置は、ゲートラインおよびゲートラインと交差するデータラインに接続される発光素子を含む画素と、データラインから印加されるデータ電圧に応じ、発光素子に駆動電流を供給し、第1酸化物半導体パターンを含む駆動トランジスタとを含み、第1酸化物半導体パターンの下部で第1酸化物半導体パターンと重なり、チタニウム(Ti)を含む第1遮光層を含むが、第1遮光層は、窒化シリコン層によって取り囲まれることを特徴とする。
【0025】
本発明の有機発光表示装置において、駆動トランジスタは、基板上に配置される第1酸化物半導体パターンと、ゲート絶縁層を介し、第1酸化物半導体パターンと重なるゲート電極と、ゲート電極上に配置される少なくとも1つの層間絶縁層と、層間絶縁層上に配置され、第1酸化物半導体パターンと接続されるソース電極およびドレイン電極とを含み、ソース電極は、第1遮光層と電気的に接続される。
【0026】
また、ゲート電極は、チタニウムを含む少なくとも1つの導電層であり得る。
【0027】
また、本発明の有機発光表示装置は、ゲートラインに印加されるゲート信号に応じ、データ電圧を印加する複数のスイッチングトランジスタを含み、複数のスイッチングトランジスタは、第2酸化物半導体パターンを含むスイッチングトランジスタを含む。
【0028】
本発明の他の実施例において、有機発光表示装置は、第1方向に光を出射する複数の画素を含み、少なくとも1つの画素が多結晶半導体パターンを含む第1スイッチングトランジスタと、第1酸化物半導体パターンを含む第2スイッチングトランジスタと、第2酸化物半導体パターン、前記第1方向において前記第2酸化物半導体パターンの上部に配置されたゲート電極、および前記第1方向とは反対方向である第2方向において前記第2酸化物半導体パターンの下部に配置された第1反射導電層を含む駆動トランジスタとで構成され、前記第1反射導電層は、前記第2酸化物半導体パターンに電気的に接続される。前記駆動トランジスタは、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を含み、前記第1反射導電層は、前記駆動トランジスタのソース電極を介し、前記第2酸化物半導体パターンに電気的に接続される。
【0029】
一実施例において、前記少なくとも1つの画素は、水素粒子を含有した層間絶縁膜をさらに備え、前記層間絶縁膜は、前記第1方向において前記第1スイッチングトランジスタの多結晶半導体パターンの上部に配置され、前記第2方向において前記第2スイッチングトランジスタの第1酸化物半導体パターンの下部に配置され、前記第2方向において前記駆動薄膜トランジスタの第2酸化物半導体パターンおよび第1反射導電層の下部に配置される。層間絶縁層は窒化シリコン(SiN)を含み、前記第1反射導電層はチタニウム(Ti)を含む。
【0030】
一実施例において、前記第2スイッチングトランジスタは、前記第2方向において前記第1酸化物半導体パターンの下部に配置された第2反射導電層をさらに含み、前記駆動トランジスタにおける第2酸化物半導体パターンと第1反射導電層との間の第1距離は、前記第1酸化物半導体層と前記第2反射導電層との間の第2距離より小さい。
【0031】
一実施例において、前記少なくとも1つの画素は、第1キャパシタ電極および第2キャパシタ電極を含むストレージキャパシタをさらに含み、前記層間絶縁層は、前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に配置され、前記第1キャパシタ電極は、前記第2スイッチングトランジスタの第2反射導電層と同じ物質で構成され、前記第2キャパシタ電極は、前記駆動トランジスタの第1反射導電層と同じ物質で構成される。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有機発光表示装置は、酸化物半導体パターンを含む駆動薄膜トランジスタおよびスイッチング薄膜トランジスタを採用することで、オフ状態の漏洩電流を減少させ、電力消費を減らすことができる。また、駆動薄膜トランジスタとして酸化物半導体パターンを含み、寄生キャパシタンスを調節して酸化物半導体パターンにかかる実効電圧を減らし、低階調で高精度な階調を表現することで、ムラ発生など不良を抑えることができる。
【0033】
また、駆動薄膜トランジスタの下部に配置される遮光層を窒化シリコンで取り囲むことで、工程中に発生した水素粒子が駆動薄膜トランジスタの酸化物半導体物質で構成されたチャネルに影響を与え、チャネルの電子移動度が変わり、駆動薄膜トランジスタの信頼性が損なわれることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施例に係る表示装置の概略図である。
図2】本発明の一実施例に係る表示装置において、1つの画素を駆動する画素駆動回路を示す回路図である。
図3】本発明の一実施例に係る表示装置の断面図である。
図4a】本発明の一実施例に係る駆動薄膜トランジスタを示す断面図である。
図4b】本発明の駆動薄膜トランジスタに生じる寄生キャパシタンス間の接続関係を示す回路図である。
図5】本発明の他の実施例に係る駆動薄膜トランジスタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面とともに詳述する実施例を参照すると明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示する実施例に限定されるものではなく、相違する様々な形に具現化することができる。但し、本実施例は、本発明の開示が完全となるようにして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義される。
【0036】
本発明の実施例を説明するための図面に開示した形状や大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであって、本発明がそれに限定されるものではない。明細書全体に亘り、同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。また、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断された場合は、その詳細な説明を省略する。
【0037】
本明細書で「備える」、「含む」、「有する」、「なる」などが記載された場合、「のみ/だけ」がともに記載されていない限り、他の部分を追加することができる。また、構成要素を単数形で記載した場合は、特に明示的な記載がない限り、複数形に解釈することができる。
【0038】
また、構成要素を解釈するに当たり、明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものとする。
【0039】
例えば「上に」、「上部に」、「下部に」、「横に」などで2つの構成要素同士の位置関係を説明する場合、「直」または「直接」と記載されていなければ、1つ以上の他の構成要素が該2つの構成要素間に位置することもできる。
【0040】
相対的な空間関係を表す用語の「下(below、beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示した1つの素子または構成要素と、別の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために用いることができる。これらの用語は、図面に示す方向に加え、装置の使用時、または動作時における素子の互いに異なる方向を含むものとして理解すべきである。例えば、図面に示した素子をひっくり返した場合、別の素子の「下(below、beneath)」と記述された素子は、該別の素子の「上(above)」にあり得る。したがって、例示的な用語の「下」は、下方と上方、両方を含むことができる。同様に、例示的な用語の「上」は、上方と下方、両方を含むことができる。
【0041】
また、時間関係の説明において、例えば「後に」、「に続き」、「次に」、「前に」などで時間的な前後関係を説明する場合、「直」または「すぐ」と記載されていなければ、非連続的な場合を含むことができる。
【0042】
また、構成要素を区別するため、「第1」や「第2」などの用語が用いられるが、構成要素は、かかる用語に制限されるものではない。したがって、以下に言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0043】
また、「少なくとも1つ」の記述は、1つ以上の関連項目から提示可能なあらゆる組み合わせを含むものとして理解すべきである。例えば、「第1項目、第2項目、および第3項目のうち、少なくとも1つ」は、第1項目、第2項目、または第3項目の各々を意味するだけでなく、第1項目と第2項目、および第3項目のうち、2つ以上から考えられるあらゆる項目の組み合わせを意味することができる。
【0044】
本発明の様々な実施例における各々の特徴が部分的、または全体的に互いに結合、または組み合わせ可能であり、技術的に多様に連動、または駆動することが可能であり、各実施例を互いに対して独立に、または連関して共に実施することもできる。
【0045】
本発明の実施例を説明する各図面の構成要素に参照符号を付する際、同じ構成要素に対しては、例え別の図面に示されても可能な限り、同じ符号を付与することができる。
【0046】
本発明の実施例において、ソース電極とドレイン電極は、説明の便宜上、区別しただけであって、互いに変えることができる。ソース電極はドレイン電極となり、ドレイン電極はソース電極となり得る。また、一実施例のソース電極が他の実施例ではドレイン電極であり、一実施例のドレイン電極が他の実施例ではソース電極であり得る。
【0047】
また、説明の便宜上、本発明の実施例によっては、ソース領域とソース電極を区別し、ドレイン領域とドレイン電極を区別しているが、本発明の実施例がこれに限定されるものではない。ソース領域はソース電極となり、ドレイン領域はドレイン電極となり得る。そして、ソース領域がドレイン電極となり、ドレイン領域がソース電極となり得る。
【0048】
本発明の様々な実施例における各々の特徴は、部分的、または全体的に互いに結合、または組み合わせ可能である。また、当業者により、技術的に多様に連動、または駆動されることが可能であり、各実施例が互いに対して独立に、または連関して共に実施されることもできる。
【0049】
以下、図面を参照しながら、本発明の様々な実施例について詳細に説明する。
【0050】
図1は、本発明に係る表示装置100を示す平面図である。
【0051】
表示パネル102は、基板101上に設けられるアクティブ領域AAと、アクティブ領域AAの周辺に配置される非アクティブ領域NAを含む。基板101は、折り曲げが可能となるよう可撓性(flexibility)を有するプラスチック材質で形成される。例えば、基板101はPI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PAR(ポリアリレート)、PSF(ポリスルホン)、COC(シクロオレフィンコポリマー)などの材質で形成される。しかしながら、基板の材質としてガラスが排除されるものではない。
【0052】
アクティブ領域AAのサブ画素は、アクティブ層に酸化物半導体物質を用いる薄膜トランジスタを含む。
【0053】
非アクティブ領域NAには、データ駆動部104とゲート駆動部103のうち、少なくともいずれか1つを配置することができる。また、基板101が折り曲げられるベンディング領域BAをさらに含むことができる。
【0054】
ゲート駆動部103は、アクティブ層に多結晶半導体物質を用いる薄膜トランジスタを利用し、基板101に直接形成してもよく、アクティブ層に多結晶半導体物質を用いる薄膜トランジスタと、アクティブ層に酸化物半導体物質を用いる薄膜トランジスタとをC‐MOSで構成して形成してもよい。
【0055】
酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタ、および多結晶半導体層を有する薄膜トランジスタは、チャネルの電子移動度が高く、高解像度および低電力化を実現することができる。
【0056】
アクティブ領域AAには、複数のデータラインおよび複数のゲートラインを配置することができる。例えば、複数のデータラインは行(Row)、または列(Column)に配置することができ、複数のゲートラインは列、または行に配置することができる。そして、データラインとゲートラインにより画定される領域には、サブ画素PXを配置することができる。
【0057】
非アクティブ領域NAには、ゲート駆動回路を含むゲート駆動部103を配置することができる。ゲート駆動部103のゲート駆動回路は、複数のゲートラインGLにスキャン信号を順次供給することで、アクティブ領域の各画素行を順次駆動する。ここで、ゲート駆動回路は、スキャン駆動回路とも言う。また、画素行は、1本のゲートラインに接続された画素からなる行を意味する。
【0058】
ゲート駆動回路は、多結晶半導体層を有する薄膜トランジスタで構成してもよく、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタで構成してもよく、多結晶半導体層を有する薄膜トランジスタと酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタの1対で構成してもよい。非アクティブ領域NAおよびアクティブ領域AAに配置された薄膜トランジスタに同じ半導体物質を用いる場合は、同じ工程で同時に形成することができる。
【0059】
ゲート駆動回路は、シフトレジスタやレベルシフタなどを含むことができる。
【0060】
ゲート駆動回路は、本明細書の実施例に係る表示装置のようにGIP(ゲートインパネル)で基板101に直接配置することができる。
【0061】
ゲート駆動回路を含むゲート駆動部103は、オン電圧またはオフ電圧のスキャン信号を複数のゲートラインに順次供給する。
【0062】
本明細書の一実施例に係る表示装置100は、データ駆動回路をさらに含むことができる。また、データ駆動回路は、ゲート駆動回路を含むゲート駆動部103により特定のゲートラインがオープンになると、映像データをアナログのデータ電圧に変換し、複数のデータラインに供給する。
【0063】
基板101に配置された複数のゲートラインGLは、複数のスキャンラインおよび複数の発光制御ラインなどを含むことができる。複数のスキャンラインおよび複数の発光制御ラインは、互いに種類の異なるトランジスタ(スキャントランジスタ、発光制御トランジスタ)のゲートノードに互いに種類の異なるゲート信号(スキャン信号、発光制御信号)を伝達する配線である。
【0064】
ゲート駆動回路を含むゲート駆動部103は、ゲートラインGLの一種類である複数のスキャンラインにスキャン信号を出力するスキャン駆動回路と、ゲートラインの別の種類である複数の発光制御ラインに発光制御信号を出力する発光駆動回路を含むことができる。
【0065】
データラインDLは、ベンディング領域BAを通過するよう配置することができ、様々なデータラインDLを配置してデータパッドと接続することができる。
【0066】
ベンディング領域BAは、基板101が折り曲げられる領域であり得る。基板101は、ベンディング領域BAを除いた領域では、平らな状態を保つことができる。
【0067】
図2は、本発明の一実施例で提案するサブ画素の駆動回路図である。一実施例として、7つの薄膜トランジスタと1つのストレージキャパシタで構成される駆動回路図を開示する。7つの薄膜トランジスタのうち、1つは駆動薄膜トランジスタであり、残りは内部補償のためのスイッチング薄膜トランジスタである。
【0068】
一例として、本発明は、駆動薄膜トランジスタD‐TFTの活性層に酸化物半導体パターンを用いて、駆動薄膜トランジスタD‐TFTに隣接したTスイッチング薄膜トランジスタを酸化物半導体に用いることについて説明する。さらに、内部補償のための残りのスイッチング薄膜トランジスタのうち、少なくとも1つは、多結晶半導体パターンを活性層に用いることができる。
【0069】
しかしながら、本発明は、図2に示す一例に制限されるものではなく、様々な構成の内部補償回路にも適用可能である。
【0070】
図3は、1つの駆動薄膜トランジスタ360と2つのスイッチング薄膜トランジスタ330、340、および1つのストレージキャパシタ350を含む断面図である。
【0071】
簡略に説明すると、1つのサブ画素PXは、基板101上に、駆動素子部370と、駆動素子部370に電気的に接続される発光素子部380で構成される。駆動素子部370と発光素子部380は、平坦化層320、322により、互いに絶縁されている。
【0072】
ここで、駆動素子部370は、駆動薄膜トランジスタとスイッチング薄膜トランジスタ、およびストレージキャパシタを含み、1つのサブ画素を駆動するアレイ部を称する。また、発光素子部380は、アノード電極とカソード電極、およびそれらの間に配置される発光層を含み、発光のためのアレイ部を称する。
【0073】
図3には、駆動素子部370の一例として、1つの駆動薄膜トランジスタ360と2つのスイッチング薄膜トランジスタ330、340、および1つのストレージキャパシタ350を示したが、これに限定されるものではない。
【0074】
特に、本発明の一実施例において、駆動薄膜トランジスタ360と少なくとも1つのスイッチング薄膜トランジスタは、酸化物半導体パターンを活性層に用いる。酸化物半導体物質を活性層に用いる薄膜トランジスタは漏洩電流の遮断効果に優れ、多結晶半導体物質を活性層に用いる薄膜トランジスタに比べ、製造コストが相対的に安価である。したがって、消費電力を減少させ、製造コストを節減するため、本発明の一実施例では、酸化物半導体物質を用いて駆動薄膜トランジスタを製造し、また少なくとも1つのスイッチング薄膜トランジスタも酸化物半導体物質を用いて製造する。
【0075】
1つのサブ画素を構成する駆動素子部において、酸化物半導体物質を用いて全体の薄膜トランジスタを構成してもよく、酸化物半導体物質を用いて一部のスイッチング薄膜トランジスタを構成してもよい。
【0076】
ところが、酸化物半導体物質を用いた薄膜トランジスタは、信頼性の確報が困難である。一方、多結晶半導体物質を用いた薄膜トランジスタは、動作速度が速く、信頼性に優れているので、図3に示す本発明の一実施例では、スイッチング薄膜トランジスタのうち、一方は酸化物半導体物質を用いて製造され、他方は多結晶半導体物質を用いて製造されたものを例に挙げて説明する。しかしながら、本発明が、図3に示す実施例に限定されるものではない。
【0077】
基板101は、有機膜と無機膜が交互に積層された多層(multi layer)で構成することができる。例えば、基板101は、ポリイミドのような有機膜と、酸化シリコン(SiO)のような無機膜を交互に積層し、形成することができる。
【0078】
基板101上には下部バッファー層301が形成される。下部バッファー層301は、外部から浸透し得る水分などを遮断するためのものであり、酸化シリコン(SiO)膜などを多層積層し、形成することができる。
【0079】
下部バッファー層301上には、水分などの浸透から素子をより一層保護するため、第2バッファー層(不図示)をさらに形成することもできる。
【0080】
基板101上には第1スイッチング薄膜トランジスタ330が形成される。第1スイッチング薄膜トランジスタ330は、多結晶半導体パターンを活性層に用いることができる。第1スイッチング薄膜トランジスタ330は、電子または正孔が移動するチャネルを含む第1活性層303と、第1ゲート電極306と、第1ソース電極317Sおよび第1ドレイン電極317Dを含む。
【0081】
第1活性層303は多結晶半導体物質で構成されるものであって、その中央に第1チャネル領域303Cを備え、第1ソース領域303Sおよび第1ドレイン領域303Dが第1チャネル領域303Cを介在して配置される。
【0082】
第1ソース領域303Sおよび第1ドレイン領域303Dは、真性多結晶半導体パターンにIII族またはV族の不純物イオン、例えばホウ素(B)やリン(P)を所定濃度にドープし、導体化した領域である。
【0083】
第1チャネル領域303Cは、多結晶半導体物質が真性の状態を保つものであって、電子や正孔の移動経路を提供する。
【0084】
一方、第1スイッチング薄膜トランジスタ330は、第1活性層303のうち、第1チャネル領域303Cと重なる第1ゲート電極306を含む。第1ゲート電極306と第1活性層303の間に第1ゲート絶縁層302が介在される。
【0085】
本発明の一実施例において、第1スイッチング薄膜トランジスタ330は、第1ゲート電極306が第1活性層303の上部に位置するトップゲート方式である。そのため、第1ゲート電極物質で構成される第1ストレージ電極305と第2遮光層(反射導電層)304を、1つのマスク工程により形成し、マスク工程数を減らす効果を奏することができる。
【0086】
第1ゲート電極306は金属物質で構成される。例えば、第1ゲート電極306は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のうち、いずれか1つ、若しくはこれらの合金からなる単層または多層であり得るが、これに限定されるものではない。
【0087】
第1ゲート電極306上には第1層間絶縁層307が蒸着される。第1層間絶縁層307は、窒化シリコン(SiNx)で構成することができる。特に、窒化シリコン(SiNx)で構成される第1層間絶縁層307は、水素粒子を含むことができる。第1活性層303を形成し、その上に第1層間絶縁層307を蒸着した後、熱処理工程を行うとき、第1層間絶縁層307に含まれた水素粒子が第1ソース領域303Sおよび第1ドレイン領域303Dに浸透し、多結晶半導体物質の伝導度を向上させ、安定化するのに寄与する。これは水素化工程とも呼ばれる。
【0088】
第1スイッチング薄膜トランジスタ330は、第1層間絶縁層307上に順次形成される上部バッファー層310、第2ゲート絶縁層313、および第2層間絶縁層316をさらに含むことができ、前記第2層間絶縁層316上に形成され、第1ソース領域303Sと第1ドレイン領域303Dにそれぞれ接続される第1ソース電極317Sおよび第1ドレイン電極317Dを含む。
【0089】
上部バッファー層310は、多結晶半導体物質で構成される第1活性層303と、酸化物半導体物質で構成される第2スイッチング薄膜トランジスタ340の第2活性層312および駆動薄膜トランジスタ360の第3活性層311とを離隔させる。また、第2活性層312および第3活性層311の形成基台を提供する。
【0090】
第2層間絶縁層316は、第2スイッチング薄膜トランジスタ340の第2ゲート電極315および駆動薄膜トランジスタ360の第3ゲート電極314を覆う層間絶縁層である。第2層間絶縁層316は、酸化物半導体物質で構成される第2活性層312および第3活性層311上に形成されるため、水素粒子を含まない無機膜で構成される。
【0091】
第1ソース電極317Sおよび第1ドレイン電極317Dは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のうち、いずれか1つ、若しくはこれらの合金からなる単層または多層であり得るが、これに限定されるものではない。
【0092】
一方、第2スイッチング薄膜トランジスタ340は、上部バッファー層310上に形成され、第2酸化物半導体パターンで構成される第2活性層312、第2活性層312を覆う第2ゲート絶縁層313、第2ゲート絶縁層313上に形成される第2ゲート電極315、第2ゲート電極315を覆う第2層間絶縁層316、第2層間絶縁層316上に形成される第2ソース電極318Sおよび第2ドレイン電極318Dを含む。
【0093】
第2スイッチング薄膜トランジスタ340は、上部バッファー層310の下部に位置し、第2活性層312と重なる第2遮光層304をさらに含む。特に、第2遮光層304は、第1ゲート電極306と同じ物質で構成し、第1ゲート絶縁層302の上部表面に形成することができる。
【0094】
図3において、第2遮光層304は、第2ゲート電極315と電気的に接続されていないものとして示されているが、第2ゲート電極315と電気的に接続してデュアルゲートを構成することができる。第2スイッチング薄膜トランジスタ340をデュアルゲート構造にすることで、第2チャネル層312Cに流れる電流の流れをより精密に制御することができ、さらに小さく製作することができ、高解像度の表示装置を実現することができる。
【0095】
第2活性層312は、酸化物半導体物質で構成され、不純物がドープされていない真性の第2チャネル領域312Cと、不純物がドープされて導体化した第2ソース領域312Sおよび第2ドレイン領域312Dを含む。
【0096】
第2ソース電極318Sおよび第2ドレイン電極318Dは、第1ソース電極317Sおよび第1ドレイン電極317Dと同様、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のうち、いずれか1つ、若しくはこれらの合金からなる単層または多層であり得る。
【0097】
第2ソース電極318Sおよび第2ドレイン電極318Dと、第1ソース電極317Sおよび第1ドレイン電極317Dは、第2層間絶縁層316上に同じ物質で同時に形成することで、マスク工程数を減らすことができる。
【0098】
一方、駆動薄膜トランジスタ360は、上部バッファー層310上に形成される。
【0099】
本発明の一実施例において、駆動薄膜トランジスタは、第1酸化物半導体パターンで構成される第3活性層311を含む。ここで、第1酸化物半導体パターンと第3活性層は、実質同じものであり、同じ符号を付して説明する。
【0100】
従来、駆動薄膜トランジスタは、高速動作に有利な多結晶半導体パターンを活性層に用いた。しかしながら、多結晶半導体パターンを含む駆動薄膜トランジスタは、オフ状態で漏洩電流が生じ、消費電力が大きいという問題があった。そこで、本発明の一実施例では、漏洩電流の発生防止に有利な酸化物半導体パターンを活性層に用いる駆動薄膜トランジスタを提案する。
【0101】
ところが、酸化物半導体パターンを活性層に用いる薄膜トランジスタの場合、酸化物半導体物質の特性上、単位電圧の変動値に対する電流変動値が大きく、精密な電流制御を必要とする低階調領域において不具合が生じることが多い。そのため、本発明の一実施例では、ゲート電極に印加される電圧の変動に対し、活性層における電流の変動が相対的に鈍い駆動薄膜トランジスタを提供する。
【0102】
図3を参照すると、駆動薄膜トランジスタ360は、上部バッファー層310上に第1酸化物半導体パターンで構成される第3活性層311と、第3活性層311を覆う第2ゲート絶縁層313と、第2ゲート絶縁層313上に形成され、第3活性層311と重なる第3ゲート電極314と、第3ゲート電極314を覆う第2層間絶縁層316と、第2層間絶縁層316上に配置される第3ソース電極319Sおよび第3ドレイン電極319Dを含む。
【0103】
特に、駆動薄膜トランジスタ360は、上部バッファー層310の内部に配置され、第3活性層311と重なる第1遮光層(反射導電層)308をさらに含む。
【0104】
第1遮光層308は、実質上部バッファー層310の内部に挿入された形態である。工程上の特徴を反映し、第1遮光層308が上部バッファー層310の内部に配置される形態をさらに詳細に説明すると、第1遮光層308は、第1層間絶縁層307上に配置される上部第1サブバッファー層310a上に形成される。そして、上部第2サブバッファー層310bが第1遮光層308をその上部から完全に覆い、上部第3サブバッファー層310cが上部第2サブバッファー層310b上に形成される。
【0105】
すなわち、上部バッファー層310は、上部第1サブバッファー層310a、上部第2サブバッファー層310b、および上部第3サブバッファー層310cが順次積層された構造である。
【0106】
第1サブバッファー層310aおよび第3サブバッファー層310cは、酸化シリコン(SiO)で構成される。
【0107】
第1サブバッファー層310aおよび第3サブバッファー層310cは、水素粒子を含まない酸化シリコン(SiO)で構成されることで、水素粒子により信頼性が損なわれ得る酸化物半導体パターンを活性層に用いる第2スイッチング薄膜トランジスタ340および駆動薄膜トランジスタ360の基台として寄与することができる。
【0108】
一方、上部第2サブバッファー層310bは、水素粒子に対する捕集性能に優れた窒化シリコン(SiNx)で構成される。第2サブバッファー層310bは、第1遮光層308を完全に密封するよう、第1遮光層308の上面および側面を全て取り囲む。窒化シリコン(SiNx)は、酸化シリコン(SiO)に比べ、水素粒子に対する捕集性能が高い。
【0109】
すなわち、上部バッファー層310の下部には、水素粒子を含む第1層間絶縁層307が位置するが、多結晶半導体パターンを活性層に用いる第1スイッチング薄膜トランジスタ330の水素化工程で発生した水素粒子が上部バッファー層310を通過し、上部バッファー層310上に位置する酸化物半導体パターンの信頼性を損ねることがある。言い換えると、水素粒子が酸化物半導体パターンに浸透すると、酸化物半導体パターンを活性層に用いる薄膜トランジスタはその形成位置により、互いに異なる閾値電圧を有する、またはチャネルの伝導度が異なるという問題が引き起こされる。特に、駆動薄膜トランジスタの場合、発光素子の動作に直接関与するものであるため、信頼性の確報が重要となる。
【0110】
したがって、本発明の実施例では、第1遮光層308を完全に覆う上部第2サブバッファー層310bを、上部第1サブバッファー層310a上に部分的に形成することで、水素粒子により駆動薄膜トランジスタ360の信頼性が損なわれることを防止する。
【0111】
また、本発明の実施例では、水素粒子に対する捕集性能の高いチタニウム(Ti)を含む金属層で第1遮光層308を構成する。例えば、第1遮光層308は、チタニウムの単層で構成してもよく、モリブデン(Mo)とチタニウム(Ti)の二層で構成してもよく、モリブデン(Mo)とチタニウム(Ti)の合金で構成してもよい。しかしながら、これに限定されるものではなく、チタニウム(Ti)を含む別の金属層で構成することも可能である。
【0112】
チタニウム(Ti)は、上部バッファー層310内で拡散する水素粒子を捕集し、水素粒子が第1酸化物半導体パターン311に到達することを防止する。したがって、本発明の実施例による駆動薄膜トランジスタ360は、水素粒子を捕集する能力のあるチタニウムのような金属層で第1遮光層308を形成し、また、水素粒子を捕集する能力のある窒化シリコン(SiNx)層で第1遮光層308を取り囲むようにすることで、水素粒子により酸化物半導体パターンの信頼性が損なわれる問題を改善する。
【0113】
窒化シリコン(SiNx)を含む上部第2サブバッファー層310bは、上部第1サブバッファー層310aのように表示領域の全体に蒸着されるものではない。第1遮光層308のみを選択的に覆うよう、第1サブバッファー層310aの上面の一部にのみ蒸着することができる。第2サブバッファー層310bは、第1サブバッファー層310aとは別の物質、すなわち、窒化シリコン(SiNx)膜で形成されるため、表示領域の全体に蒸着した場合、膜が浮き上がることがあり得る。そのため、第2サブバッファー層310bは、その機能が必要とされる第1遮光層308が形成される位置にのみ選択的に形成する。
【0114】
第1遮光層308および第2サブバッファー層310bは、その機能上、第1酸化物半導体パターン311と重なるよう、第1酸化物半導体パターン311の垂直下方に形成することが好ましい。また、第1遮光層308および第2サブバッファー層310bは、第1酸化物半導体パターン310と完全に重なるよう、第1酸化物半導体パターン310よりさらに大きく形成することができる。
【0115】
一方、駆動薄膜トランジスタ360の第3ソース電極319Sは、第1遮光層308と電気的に接続することができる。
【0116】
上述したように、第1遮光層308を上部バッファー層310の内部に位置するように配置し、第3ソース電極319Sを第1遮光層308と電気的に接続すると、次のような更なる効果を奏することができる。
【0117】
これについて図4aおよび図4bを参照し、説明する。
【0118】
図4aは、図3における駆動薄膜トランジスタのみを分離して示す断面図である。図4bは、駆動薄膜トランジスタに生じた寄生キャパシタンスと、印加される電圧との間の関係を示す回路図である。
【0119】
図4aを参照すると、第1酸化物半導体パターン311は、第3ソース領域311Sおよび第3ドレイン領域311Dに不純物がドープされることにより、第1酸化物半導体パターン311の内部に寄生キャパシタンスCactが発生し、第3ゲート電極314と第1酸化物半導体パターン311との間に寄生キャパシタンスCgiが発生し、第3ソース電極319Sに電気的に接続される第1遮光層308と第1酸化物半導体パターン311との間に寄生キャパシタンスCbufが発生する。第1酸化物半導体パターン311と第1遮光層308との間に生じる寄生キャパシタンスC buf は、第3ゲート電極314と第1酸化物半導体パターン311との間に生じる寄生キャパシタンスC gi より大きい。
【0120】
第1酸化物半導体パターン311と第1遮光層308は、第3ソース電極319Sにより電気的に接続されているので、寄生キャパシタンスCactと寄生キャパシタンスCbufは互いに並列接続され、寄生キャパシタンスCactと寄生キャパシタンスCgiは直列接続される。また、第3ゲート電極314にVgatのゲート電圧を印加すると、実際に第1酸化物半導体パターン311に印加される実効電圧Veffは、次のような式が成立する。
【0121】
ΔV=Cgi/(Cgi+Cact+Cbuf)×ΔVgat
【0122】
第3活性層311のチャネルに印加される実効電圧は、寄生キャパシタンスCbufと反比例関係にあるので、寄生キャパシタンスCbufを調節することで、第1酸化物半導体パターン311に印加される実効電圧を調節することができる。
【0123】
すなわち、第1遮光層308を第1酸化物半導体パターン311に近接して配置し、寄生キャパシタンスCbufを増加させると、第1酸化物半導体パターン311に流れる実際の電流値を低減させることができる。
【0124】
第1酸化物半導体パターン311に流れる実効電流値が低減するということは、実際に第3ゲート電極314に印加される電圧Vgatを通じて制御することができる駆動薄膜トランジスタ360の制御範囲が拡大することを意味する。
【0125】
したがって、本発明の一実施例では、第2スイッチング薄膜トランジスタ340に配置される第2遮光層304に比べ、第1遮光層308が第1酸化物半導体パターン311に近接して配置され、駆動薄膜トランジスタ360の階調の制御範囲が拡大する。その結果、低階調においても発光素子を精密に制御することができ、低階調で頻繁に発生する画面のムラ問題を解決する。
【0126】
一方、図3を参照すると、本発明の一実施例による駆動素子部370は、ストレージキャパシタ350をさらに含む。
【0127】
ストレージキャパシタ350は、データラインを通じて印加されるデータ電圧を所定期間保存した後、発光素子に供給する。
【0128】
ストレージキャパシタ350は、互いに対応する2つの電極と、それらの間に配置される誘電体とを含む。ストレージキャパシタ350は、第1ゲート電極306と同じ物質からなり、同じ層に配置される第1ストレージ電極305と、第1遮光層308と同じ物質からなり、同じ層に配置される第2ストレージ電極309とを含む。
【0129】
第1ストレージ電極305と第2ストレージ電極309との間には、第1層間絶縁層307および上部第1サブバッファー層310aが位置する。
【0130】
ストレージキャパシタ350のうち、第2ストレージ電極309は、第3ソース電極319Sに電気的に接続することができる。
【0131】
一方、図5を参照すると、本発明の他の実施例として、第3ゲート電極314は、チタニウム(Ti)含有層を含む多層で構成することができる。
【0132】
すなわち、図5を参照すると、第3ゲート電極314は、チタニウム(Ti)を含む下部第3ゲート電極314aと、モリブデン(Mo)といったチタニウムとは別の金属からなる上部第3ゲート電極314bとを含む二層で構成することができる。
【0133】
第3ゲート電極314を、チタニウムを含む複数の金属層で構成すると、チタニウムを含む金属層が、駆動薄膜トランジスタ360の上部から浸透し得る水素粒子を遮断し、第1酸化物半導体パターンを保護することができる。
【0134】
以上、本発明の単位画素を構成する駆動素子部370の構成について説明した。本発明の一実施例による駆動素子部370は、互いに種類の異なる半導体物質を含む複数の薄膜トランジスタで構成されるため、多層構造を有し、多くのマスクを使用しなければならない。そこで、本発明の一実施例では、使用されるマスクの数を可能な限り減らすことができるよう、複数の層を同時に形成する構成となっている。
【0135】
すなわち、第1スイッチング薄膜トランジスタ330を構成する第1ゲート電極306と、第2スイッチング薄膜トランジスタ340を構成する第2遮光層304と、ストレージキャパシタ350を構成する第1ストレージ電極305とは、同じ物質で同じ層に形成される。また、ストレージキャパシタ350を構成する第2ストレージ電極309と、駆動薄膜トランジスタ360を構成する第1遮光層308とは、同じ物質で同じ層に形成される。また、第2スイッチング薄膜トランジスタ340を構成する第2ゲート電極315と、駆動薄膜トランジスタ360を構成する第3ゲート電極314とは、同じ物質で同じ層に形成される。
【0136】
また、第1スイッチング薄膜トランジスタ330を構成する第1ソース電極317Sおよび第1ドレイン電極317Dと、第2スイッチング薄膜トランジスタ340を構成する第2ソース電極318Sおよび第2ドレイン電極318Dと、駆動薄膜トランジスタ360を構成する第3ソース電極319Sおよび第3ドレイン電極319Dとは、同じ物質で同じ層に形成される。
【0137】
一方、図3を参照すると、駆動素子部370上には、駆動素子部370の上部を平坦にするため、第1平坦化層320と第2平坦化層322が順次形成される。第1平坦化層320および第2平坦化層322は、ポリイミドやアクリル樹脂のような有機膜で構成することができる。
【0138】
図3を参照すると、第2平坦化層322上には発光素子部380が形成される。
【0139】
発光素子部380は、アノード電極としての第1電極323、第1電極323と対応するカソード電極である第2電極327、および第1電極323と第2電極327との間に介在される発光層325を含む。第1電極323は、サブ画素毎に形成される。
【0140】
一方、発光素子部380は、第1平坦化層320上に形成される接続電極321を介し、駆動素子部370と接続される。特に、発光素子部380の第1電極323と、駆動素子部370を構成する駆動薄膜トランジスタ360の第3ドレイン電極319Dとが、接続電極321により互いに接続される。
【0141】
第1電極323は、第2平坦化層322を貫通するコンタクトホールCH1を通じ、露出された接続電極321に接続される。また、接続電極321は、第1平坦化層320を貫通するコンタクトホールCH2を通じ、露出された第3ドレイン電極319Dに接続される。
【0142】
第1電極323は、透明導電膜と反射効率の高い不透明導電膜を含む多層構造で形成することができる。透明導電膜は、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)のように仕事関数が比較的に大きい材質からなり、不透明導電膜は、Al、Ag、Cu、Pb、Mo、Ti、若しくはこれらの合金を含む単層、または多層構造であり得る。例えば、第1電極323は、透明導電膜と不透明導電膜、透明導電膜が順次積層された構造で形成してもよく、透明導電膜と不透明導電膜とが順次積層された構造で形成してもよい。
【0143】
発光層325は、第1電極323上に正孔関連層、有機発光層、電子関連層が順に、または逆順に積層され、形成される。
【0144】
バンク層324は、各サブ画素の第1電極323を露出する画素定義膜である。バンク層324は、隣接したサブ画素間における光の干渉を防ぐよう、不透明材質(例えば、ブラック)で形成することもできる。この場合、バンク層324は、カラー顔料、有機ブラック、およびカーボンのうち、少なくともいずれか1つからなる遮光物質を含む。バンク層324上にはスペーサー326をさらに配置することができる。
【0145】
カソード電極である第2電極327は発光層325を介在して第1電極323と対向し、発光層325の上部面および側面上に形成される。第2電極327は、アクティブ領域の全体に一体形成することができる。第2電極327は、前面発光型有機発光表示装置に採用される場合、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)のような透明導電膜からなり得る。
【0146】
第2電極327上には、水分浸透を抑制する封止部328をさらに配置することができる。
【0147】
封止部328は、順次積層される第1無機封止層328a、第2有機封止層328b、および第3無機封止層328cを含むことができる。
【0148】
封止部328の第1無機封止層328aおよび第3無機封止層328cは、酸化シリコン(SiOx)などの無機物質から形成することができる。封止部328の第2有機封止層328bは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリイミド樹脂などの有機物質から形成することができる。
【0149】
以上における説明および図面は、本発明の技術思想を例示したものに過ぎない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本質的な特性から逸脱しない範囲内で構成を組み合わせ、分離、置換、変更するなど様々に修正、または変形することが可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、かかる実施例により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、請求の範囲に基づいて解釈すべきであり、それと同等な範囲内のあらゆる技術思想が本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0150】
100…表示装置、101…基板、102…表示パネル、103…ゲート駆動部、104…データ駆動部、370…駆動素子部、380…発光素子部、328…封止部、330…第1スイッチング薄膜トランジスタ、340…第2スイッチング薄膜トランジスタ、350…ストレージキャパシタ、360…駆動薄膜トランジスタ、301…下部バッファー層、302…第1ゲート絶縁層、303…第1活性層、303S…第1ソース領域、303C…第1チャネル領域、303D…第1ドレイン領域、304…第2遮光層、308…第1遮光層、305…第1ストレージ電極、309…第2ストレージ電極、312…第2活性層、312S…第2ソース領域、312C…第2チャネル領域、312D…第2ドレイン領域、315…第2ゲート電極、318S…第2ソース電極、318D…第2ドレイン電極、310…上部バッファー層、310a…上部第1サブバッファー層、310b…上部第2サブバッファー層、310c…上部第3サブバッファー層、311…第3活性層、311S…第3ソース領域、311C…第3チャネル領域、311D…第3ドレイン領域、314…第3ゲート電極、319S…第3ソース電極、319D…第3ドレイン電極、320…第1平坦化層、322…第2平坦化層、321…接続電極、323…アノード電極(第1電極)、327…カソード電極(第2電極)、324…バンク層、325…発光層、326…スペーサー
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5