IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】表示装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231221BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231221BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231221BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
G09F9/30 338
H01L29/78 612Z
G02F1/1368
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022147645
(22)【出願日】2022-09-16
(62)【分割の表示】P 2020125520の分割
【原出願日】2013-12-26
(65)【公開番号】P2022183156
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2012288968
(32)【優先日】2012-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013049065
(32)【優先日】2013-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佑太
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/086513(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/070981(WO,A1)
【文献】特開2013-051421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
G09F 9/30
H01L 21/336
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタと、前記トランジスタに電気的に接続される容量素子と、画素電極と、を有し、
前記トランジスタは、第1の酸化物半導体膜と、第1の導電膜と、第2の導電膜と、を有し、
前記第1の導電膜は、前記トランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方として機能する領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記トランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方として機能する領域を有し、
前記第1の導電膜は、前記第1の酸化物半導体膜の上面と接する領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記第1の酸化物半導体膜の上面と接する領域を有し、
前記第1の酸化物半導体膜の上面と接する領域と、前記第1の導電膜の上面と接する領域と、前記第2の導電膜の上面と接する領域と、を有する第1の絶縁膜が設けられ、
前記画素電極は、前記第1の絶縁膜に設けられた開口を介して、前記第2の導電膜の上面と接する領域を有し、
前記容量素子は、第2の酸化物半導体膜を有し、
前記第2の酸化物半導体膜は、前記容量素子の一方の電極として機能する領域を有し、
前記第1の絶縁膜は、前記容量素子の誘電体として機能する領域を有し、
前記画素電極は、前記容量素子の他方の電極として機能する領域を有し、
前記第1の絶縁膜は、前記第2の酸化物半導体膜の上面および側面と接する領域を有し、
前記第1の酸化物半導体膜および前記第2の酸化物半導体膜の下に第2の絶縁膜が設けられ、
前記第1の酸化物半導体膜は、前記第2の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第2の酸化物半導体膜は、前記第2の絶縁膜と接する領域を有し、
前記第2の絶縁膜の下に第3の導電膜が設けられ、
前記第2の酸化物半導体膜は、前記第2の絶縁膜を介して前記第3の導電膜と重なる領域を有し、
平面視において、前記第3の導電膜は、前記トランジスタのチャネル長方向に延在する領域を有する、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の酸化物半導体膜は、ビーム径1nmφとした電子線回折を用いた電子線回折パターンにおいて、円周状に分布した複数のスポットが観察される、表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に
、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、それらの駆動方法、または、そ
れらの作製方法に関する。特に、本発明は、例えば、酸化物半導体を有する半導体装置、
表示装置、または、発光装置、およびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネルディスプレイが広く普及してき
ている。フラットパネルディスプレイなどの表示装置において、行方向および列方向に配
設された画素内には、スイッチング素子であるトランジスタと、当該トランジスタと電気
的に接続された液晶素子と、当該液晶素子と並列に接続された容量素子とが設けられてい
る。
【0003】
当該トランジスタの半導体膜を構成する半導体材料としては、アモルファス(非晶質)シ
リコンまたはポリ(多結晶)シリコンなどのシリコン半導体が汎用されている。
【0004】
また、半導体特性を示す金属酸化物(以下、酸化物半導体と記す)は、トランジスタの半
導体膜に適用できる半導体材料である。例えば、酸化亜鉛またはIn-Ga-Zn系酸化
物半導体を用いて、トランジスタを作製する技術が開示されている(特許文献1および特
許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容量素子は一対の電極の間に誘電体膜が設けられており、一対の電極のうち、少なくとも
一方の電極は、トランジスタを構成するゲート電極、ソース電極またはドレイン電極など
と同一材料で形成されるため、金属などの遮光性を有する導電膜で形成されていることが
多い。
【0007】
また、容量素子の容量値を大きくするほど、電界を加えた状況において、液晶素子の液晶
分子の配向を一定に保つことができる期間を長くすることができる。静止画を表示させる
ことのできる表示装置において、当該期間を長くできることは、画像データを書き換える
回数を低減することができ、消費電力の低減が望める。
【0008】
容量素子の電荷容量を大きくするためには、画素内における容量素子の占有面積を大きく
する、具体的には一対の電極が重畳している面積を大きくするという手段がある。しかし
ながら、上記表示装置において、一対の電極が重畳している面積を大きくするために遮光
性を有する導電膜の面積を大きくすると、画素の開口率が低減し、画像の表示品位が低下
する。
【0009】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の一態様は、開口率が高い半導体装置などを提供する
ことを目的の一つとする。または、電荷容量を増大させることが可能な容量素子を有する
半導体装置などを提供することを目的の一つとする。または、フォトリソグラフィ工程の
マスク枚数を削減することのできる半導体装置などを提供することを目的の一つとする。
または、オフ電流の低い半導体装置などを提供することを目的の一つとする。または、消
費電力を低減した半導体装置などを提供することを目的の一つとする。または、透明な半
導体層を用いた半導体装置などを提供することを目的の一つとする。または、信頼性の高
い半導体装置などを提供することを目的の一つとする。または、目にやさしい半導体装置
などを提供することを目的の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供すること
を目的の一つとする。または、新規な半導体装置などの作製方法を提供することを目的の
一つとする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、酸化物半導体層を一方の電極とし、透光性導電膜を他方の電極とする
透光性を有する容量素子を含む半導体装置に関する。
【0012】
本発明の一態様は、トランジスタを有する半導体装置であって、第1の絶縁膜上に形成さ
れたゲート電極層、第1の配線、および当該第1の配線と電気的に接続された第1の酸化
物半導体層と、ゲート電極層、および第1の配線上に形成された第2の絶縁膜と、ゲート
電極層と重なり、第2の絶縁膜上に形成された第2の酸化物半導体層と、第2の酸化物半
導体層と電気的に接続されたソース電極層およびドレイン電極層と、第1の酸化物半導体
層、第2の酸化物半導体層、第2の絶縁膜、ソース電極層、およびドレイン電極層上に形
成された第3の絶縁膜と、第3の絶縁膜上に形成された第4の絶縁膜と、第1の酸化物半
導体層上において、第4の絶縁膜上に形成された透光性導電膜と、を有し、第1の酸化物
半導体層を一方の電極とし、第3の絶縁膜、および第4の絶縁膜を誘電体とし、透光性導
電膜を他方の電極とした容量素子と、を有することを特徴とする半導体装置である。
【0013】
第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層は同じ材料で形成されていることが好
ましい。
【0014】
また、第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層は、エネルギーギャップが2.
0eV以上であることが好ましい。
【0015】
また、第1の絶縁膜は、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化
アルミニウムから選ばれた窒化絶縁材料の単層構造または積層構造で形成することが好ま
しい。
【0016】
また、第3の絶縁膜は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフ
ニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金属酸化物から選ばれた酸化絶縁材料の単層構
造または積層構造で形成することが好ましい。
【0017】
また、第4の絶縁膜は、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化
アルミニウムから選ばれた窒化絶縁材料の単層構造または積層構造で形成することが好ま
しい。
【0018】
また、ゲート電極層および第1の配線は同じ材料で形成されていることが好ましい。
【0019】
また、透光性導電膜はソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続されている構
成とすることができる。
【0020】
また、第1の配線と第1の酸化物半導体層とは、直接接することによって電気的に接続さ
れる構成とすることができる。
【0021】
また、第1の配線と第1の酸化物半導体層とは、第2の配線を介して接することによって
電気的に接続される構成とすることができる。
【0022】
また、本発明の他の一態様は、第1の絶縁膜上にゲート電極層および第1の配線を形成し
、第1の絶縁膜、ゲート電極層、および第1の配線上に第2の絶縁膜を形成し、第2の絶
縁膜を選択的にエッチングして、第1の配線の一部および第1の絶縁膜の一部を露出させ
、露出した第1の配線の一部および第1の絶縁膜の一部の上に第1の酸化物半導体層、ゲ
ート電極層と重なるように第2の絶縁膜上に第2の酸化物半導体層を形成し、第2の酸化
物半導体層と電気的に接続されたソース電極層およびドレイン電極層を形成し、第1の酸
化物半導体層、第2の酸化物半導体層、第2の絶縁膜、ソース電極層、およびドレイン電
極層上に第3の絶縁膜を形成し、第3の絶縁膜上に第4の絶縁膜を形成し、第3の絶縁膜
、および第4の絶縁膜にソース電極層またはドレイン電極層に通じる開口部を形成し、第
4の絶縁膜上に開口部でソース電極層またはドレイン電極層と電気的に接続し、かつ第1
の酸化物半導体層と重なる透光性導電膜を形成し、トランジスタと、第1の酸化物半導体
層を一方の電極とし、第3の絶縁膜、および第4の絶縁膜を誘電体とし、透光性導電膜を
他方の電極とした容量素子と、を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である
【0023】
第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層は同じ材料で形成することが好ましい
【0024】
また、第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層は、エネルギーギャップが2.
0eV以上の材料で形成することが好ましい。
【0025】
また、第1の絶縁膜を、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化
アルミニウムから選ばれた窒化絶縁材料の単層構造または積層構造で形成することが好ま
しい。
【0026】
また、第3の絶縁膜を、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフ
ニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金属酸化物から選ばれた酸化絶縁材料の単層構
造または積層構造で形成することが好ましい。
【0027】
また、第4の絶縁膜を、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化
アルミニウムから選ばれた窒化絶縁材料の単層構造または積層構造で形成することが好ま
しい。
【0028】
また、ゲート電極層および第1の配線は同じ材料で形成することが好ましい。
【0029】
また、第1の配線と第1の酸化物半導体層とは、直接接するように形成し、電気的に接続
することができる。
【0030】
また、第1の配線と第1の酸化物半導体層とは、第2の配線を介して接するように形成し
、電気的に接続してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様より、開口率が高い半導体装置などを提供することができる。または、電
荷容量を増大させることが可能な容量素子を有する半導体装置などを提供することができ
る。または、フォトリソグラフィ工程のマスク枚数を削減することのできる半導体装置な
どを提供することができる。または、オフ電流の低い半導体装置などを提供することがで
きる。または、消費電力を低減した半導体装置などを提供することができる。または、透
明な半導体層を用いた半導体装置などを提供することができる。または、信頼性の高い半
導体装置などを提供することができる。または、目にやさしい半導体装置を提供すること
ができる。または、半導体装置の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】半導体装置を説明する上面図。
図2】半導体装置を説明する断面図。
図3】半導体装置を説明する図。
図4】半導体装置の画素を説明する回路図。
図5】半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図6】半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図7】半導体装置の容量素子を説明する断面図。
図8】半導体装置を説明する断面図。
図9】半導体装置を説明する断面図。
図10】酸化物半導体膜の極微電子線回折パターンを示す図。
図11】酸化物半導体膜のCPM測定結果を示す図。
図12】CAAC-OS膜のCPM測定結果を示す図。
図13】酸化物半導体膜の断面TEM像および極微電子線回折パターン。
図14】酸化物半導体膜の平面TEM像および制限視野電子線回折パターン。
図15】電子線回折強度分布の概念図。
図16】石英ガラス基板の極微電子線回折パターン。
図17】酸化物半導体膜の極微電子線回折パターン。
図18】酸化物半導体膜の断面TEM像。
図19】酸化物半導体膜のX線回折分析結果。
図20】CAAC-OS膜の断面TEM像。
図21】CAAC-OS膜の電子線回折パターン。
図22】CAAC-OS膜の断面TEM像。
図23】CAAC-OS膜の断面TEM像およびX線回折スペクトル。
図24】CAAC-OS膜の電子線回折パターン。
図25】CAAC-OS膜の断面TEM像およびX線回折スペクトル。
図26】CAAC-OS膜の電子線回折パターン。
図27】CAAC-OS膜の断面TEM像およびX線回折スペクトル。
図28】CAAC-OS膜の電子線回折パターン。
図29】半導体装置を説明する上面図。
図30】半導体装置を説明する断面図。
図31】半導体装置を説明する断面図および上面図。
図32】表示機能を有する情報処理装置の構成を説明するブロック図。
図33】情報処理装置の表示部の構成を説明するブロック図および回路図。
図34】情報処理装置の構成を説明するブロック図および画像データを説明するための模式図。
図35】情報処理装置の効果を説明する図。
図36】情報処理装置を説明するブロック図。
図37】半導体装置を用いた電子機器を説明する図。
図38】半導体装置を用いた電子機器を説明する図。
図39】半導体装置を用いた電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0034】
以下に説明する本発明の構成において、同一部分または同様の機能を有する部分には同一
の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機
能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合が
ある。
【0035】
本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、または領域は、明瞭化の
ために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0036】
本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、
工程順または積層順を示すものではない。また、本明細書等において発明を特定するため
の事項として固有の名称を示すものではない。
【0037】
また、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の
中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。ただ
し、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差の
ことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い
。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、
電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
【0038】
本明細書において、フォトリソグラフィ処理を行った後にエッチング処理を行う場合は、
フォトリソグラフィ処理で形成したレジストマスクは除去するものとする。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について、図面を用いて説明する。
なお、本実施の形態では、液晶表示装置を例にして本発明の一態様である半導体装置を説
明する。なお、本発明の一態様である半導体装置は、他の表示装置にも適用することがで
きる。
【0040】
図3は、本発明の一態様の半導体装置を説明する図である。図3に示す半導体装置は、画
素部100と、第1の駆動回路104と、第2の駆動回路106と、各々が平行または略
平行に配設され、且つ第1の駆動回路104によって電位が制御されるm本の走査線10
7と、各々が平行または略平行に配設され、且つ第2の駆動回路106によって電位が制
御されるn本の信号線109と、を有する。さらに、画素部100はマトリクス状に配設
された複数の画素101を有する。また、当該半導体装置は容量線115(図3に図示せ
ず)を有する。容量線115は、走査線107に沿って各々が平行または略平行に配設、
または信号線109に沿って各々が平行または略平行に配設されている。
【0041】
各走査線107は、画素部100においてm行n列に配設された画素101のうち、いず
れかの行に配設されたn個の画素101と電気的に接続される。また、各信号線109は
、m行n列に配設された画素101のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素101
に電気的と接続される。m、nは、ともに1以上の整数である。また、各容量線115は
、m行n列に配設された画素101のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素101
と電気的に接続される。なお、容量線115が、信号線109に沿って、各々が平行また
は略平行に配設されている場合は、m行n列に配設された画素101のうち、いずれかの
列に配設されたm個の画素101に電気的と接続される。
【0042】
なお、第1の駆動回路104は、走査線107に接続されたトランジスタをスイッチング
する信号を供給する機能、例えば、走査線駆動回路としての機能を有することができる。
また、第2の駆動回路106は、信号線109に接続されたトランジスタに映像信号を供
給する機能、例えば、信号線駆動回路としての機能を有することができる。なお、これに
限らず、第1の駆動回路104および第2の駆動回路106は、別の信号を供給すること
も可能である。
【0043】
また、本実施の形態では、液晶表示装置を例として説明するため、便宜上、第1の駆動回
路104に接続された配線を走査線107、容量線115と称し、第2の駆動回路106
に接続された配線を信号線109と称するが、その名称によって機能を限定するものでは
ない。
【0044】
図1は、上記半導体装置に含まれる画素101の一例の構成を説明する上面図である。な
お、図1においては、液晶素子および液晶素子が接続される一対の電極のうち、一つを省
略する。
【0045】
図1に示す画素101において、走査線107は、信号線109に略直交する方向(図中
左右方向)に延伸して設けられている。信号線109は、走査線107に略直交する方向
(図中上下方向)に延伸して設けられている。容量線115は、走査線107と平行方向
に延伸して設けられている。なお、走査線107は、第1の駆動回路104(図3参照)
と電気的に接続されており、信号線109は、第2の駆動回路106(図3参照)に電気
的に接続されている。
【0046】
トランジスタ103は、走査線107および信号線109が交差する領域近傍に設けられ
ている。トランジスタ103は、少なくとも、チャネル形成領域を有する半導体膜111
、ゲート電極、ゲート絶縁膜(図1に図示せず)、ソース電極、およびドレイン電極を含
む。なお、走査線107において、半導体膜111と重畳する領域はトランジスタ103
のゲート電極として機能する。信号線109において、半導体膜111と重畳する領域は
トランジスタ103のソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。導電膜11
3において、半導体膜111と重畳する領域はトランジスタ103のソース電極またはド
レイン電極の他方として機能する。このため、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を
それぞれ、走査線107、信号線109、導電膜113と示す場合がある。また、図1
おいて、走査線107は、上面形状において端部が半導体膜111の端部より外側に位置
する。このため、走査線107はバックライトなどの光源からの光を遮る遮光膜として機
能する。この結果、トランジスタに含まれる半導体膜111に光が照射されず、トランジ
スタの電気特性の変動を抑制することができる。
【0047】
また、本発明の一態様では半導体膜111に酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化
物半導体を用いたトランジスタは、適切な条件にて作製することでオフ電流を極めて小さ
くすることができる。したがって、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0048】
本発明の一態様において、酸化物半導体を用いたトランジスタはnチャネル型トランジス
タである。また、酸化物半導体に含まれる酸素欠損はキャリアを生成することがあり、ト
ランジスタの電気特性および信頼性を低下させる恐れがある。例えば、トランジスタのし
きい値電圧がマイナス方向に変動し、ゲート電圧が0Vのときにドレイン電流が流れてし
まうことがある。このように、ゲート電圧が0Vの場合にドレイン電流が流れてしまうこ
とをノーマリーオン特性という。なお、ゲート電圧が0Vの場合にドレイン電流が流れて
いないとみなすことができるトランジスタをノーマリーオフ特性という。
【0049】
そのため、半導体膜111に酸化物半導体を用いる際、半導体膜111である酸化物半導
体膜に含まれる欠陥(代表的には酸素欠損)は、できる限り低減されていることが好まし
い。例えば、磁場の向きを膜面に対して平行に印加した電子スピン共鳴法によるg値=1
.93のスピン密度(酸化物半導体膜に含まれる欠陥密度に相当する)は、測定器の検出
下限以下まで低減されていることが好ましい。酸化物半導体膜に含まれる欠陥をできる限
り低減することで、トランジスタ103がノーマリーオン特性となることを抑制すること
ができ、半導体装置の電気特性および信頼性を向上させることができる。
【0050】
トランジスタのしきい値電圧のマイナス方向への変動は酸素欠損だけではなく、酸化物半
導体に含まれる水素(水などの水素化合物を含む)によっても引き起こされることがある
。酸化物半導体に含まれる水素の一部はドナー準位の形成に寄与し、キャリアである電子
を生成してしまう。したがって、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタ
はノーマリーオン特性となりやすい。
【0051】
そこで、半導体膜111に酸化物半導体を用いる際、半導体膜111である酸化物半導体
膜は水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、二次イオン質量分析
法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)に
より得られる水素濃度を5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018
atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに
好ましくは1×1016atoms/cm以下とする領域を有するように半導体膜11
1を形成する。
【0052】
また、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度
を1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm
下とする領域を有するように半導体膜111を形成することが好ましい。アルカリ金属お
よびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、ト
ランジスタ103のオフ電流を増大させることがある。
【0053】
また、半導体膜111である酸化物半導体膜に窒素が含まれていると、キャリアである電
子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化
物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該酸
化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、窒素
濃度は、5×1018atoms/cm以下とする領域を有するように半導体膜111
を形成することが好ましい。
【0054】
このように、不純物(水素、窒素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属など)をできる
限り低減させ、高純度化させた酸化物半導体膜を半導体膜111とすることで、トランジ
スタ103がノーマリーオン特性となることを抑制でき、トランジスタ103のオフ電流
を極めて低減することができる。したがって、良好な電気特性に有する半導体装置を作製
できる。また、信頼性を向上させた半導体装置を作製することができる。
【0055】
なお、高純度化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、い
ろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長Lが
10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1V
から10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、
すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。この場合、トランジスタ
のチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流は、100zA/μm以下であることが分
かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から
流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。当
該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用
い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定し
た。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十
yA/μmという、極めて低いオフ電流が得られることが分かった。したがって、高純度
化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さいということが
できる。
【0056】
図1において、導電膜113は、開口117を通じて透光性を有する導電膜で形成される
液晶素子の一方の電極である画素電極121と電気的に接続されている。
【0057】
容量素子105は、透光性を有する酸化物半導体で形成される半導体膜119を一方の電
極とし、透光性を有する画素電極121を他方の電極とし、トランジスタ103に含まれ
、透光性を有する絶縁膜(図1に図示せず)を誘電体膜として構成されている。すなわち
、容量素子105は透光性を有する。また、容量素子105の一方の電極である半導体膜
119は、開口123において容量線115と電気的に接続されている。
【0058】
このように、容量素子105は透光性を有するため、液晶素子との重畳領域においても光
を透過させることができる。したがって、画素101内に容量素子105を大きく(大面
積に)形成しても開口率を例えば55%以上、さらには60%以上と高くすることが可能
となる。また、容量素子における電荷容量を増大させた半導体装置を得ることができる。
【0059】
例えば、解像度の高い液晶表示装置においては、画素全体の面積が縮小されるが、容量素
子においては必要な電荷容量を確保しなければならず、面積の縮小には限度がある。この
ため、解像度の高い液晶表示装置においては、開口率が小さくなってしまう。一方、本実
施の形態に示す容量素子105は透光性を有するため、当該容量素子を画素に設けること
で、各画素において十分な電荷容量を得つつ、開口率を高めることができる。代表的には
、画素密度が200ppi以上、さらには300ppi以上である高解像度の液晶表示装
置に用いることが好適である。また、本発明の一態様は、開口率を高めることができるた
め、バックライトなどの光源の光を効率よく利用することができ、表示装置の消費電力を
低減することができる。
【0060】
次いで、図1に示す一点鎖線A1-A2間、一点鎖線B1-B2間、一点鎖線C1-C2
間の断面図、および図3に示す第1の駆動回路104に用いられるトランジスタの断面図
図2に示す。なお、第1の駆動回路104の上面図を省略すると共に、図2においては
、第1の駆動回路104の断面図をD1-D2として示す。また、第1の駆動回路104
に用いられるトランジスタは、第2の駆動回路106に用いることもできる。
【0061】
はじめに、画素101の一点鎖線A1-A2間、一点鎖線B1-B2間、および一点鎖線
C1-C2間の断面構造について説明する。
【0062】
基板102上には窒化絶縁膜110が設けられ、当該窒化絶縁膜上にトランジスタ103
のゲート電極を含む走査線107、および走査線107と同一表面上に設けられている容
量線115が設けられている。走査線107および容量線115上には、ゲート絶縁膜1
27が設けられており、ゲート絶縁膜127の走査線107と重畳する領域上に半導体膜
111が設けられている。半導体膜111およびゲート絶縁膜127上には、トランジス
タ103のソース電極またはドレイン電極の一方を含む信号線109、およびトランジス
タ103のソース電極またはドレイン電極の他方を含む導電膜113が設けられている。
ゲート絶縁膜127には容量線115および窒化絶縁膜に達する開口123(図1参照)
が設けられており、当該開口を覆うように半導体膜119が設けられている。ゲート絶縁
膜127上、信号線109上、半導体膜111上、導電膜113上、半導体膜119上に
は、トランジスタ103の保護絶縁膜として機能する絶縁膜129、絶縁膜131、およ
び絶縁膜132が設けられている。絶縁膜129、絶縁膜131、および絶縁膜132に
は導電膜113に達する開口117(図1参照)が設けられており、当該開口を覆うよう
に画素電極121(図1参照)が設けられている。
【0063】
本実施の形態に示す容量素子105は、一対の電極のうち一方の電極が半導体膜111と
同様に形成された半導体膜119であり、一対の電極のうち他方の電極が画素電極121
であり、一対の電極の間に設けられた誘電体膜が絶縁膜129、絶縁膜131、および絶
縁膜132である。
【0064】
半導体膜119は開口123を覆うように設けられており、その大半の領域が窒化絶縁膜
110と接している。窒化絶縁膜110には窒素および水素が多量に含まれており、それ
らを半導体膜119に拡散させることができる。半導体膜119として酸化物半導体を用
いる場合、酸化物半導体内に取り込まれた窒素および水素の一部はキャリアを生成するド
ナー準位の形成に寄与するため、酸化物半導体層をn型化させ、導電率を高めることがで
きる。したがって、半導体膜119は導電膜ということもでき、容量素子105の一方の
電極として用いることができる。また、製造工程において加熱処理を行うことで、当該窒
化絶縁膜に含まれる窒素、および水素の半導体膜119への拡散をさらに助長させること
ができる。
【0065】
なお、導電膜として作用する半導体膜119は、半導体膜111より水素濃度が高いこと
が好ましい。半導体膜119において、二次イオン質量分析法(SIMS:Second
ary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度は、8
×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上、
より好ましくは5×1020atoms/cm以上である。半導体膜111において、
二次イオン質量分析法により得られる水素濃度は、5×1019atoms/cm以下
、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018ato
ms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好まし
くは1×1016atoms/cm以下である。
【0066】
また、導電膜として作用する半導体膜119は、半導体膜111より抵抗率が低い。半導
体膜119の抵抗率が、半導体膜111の抵抗率の1×10―8倍以上1×10―1倍以
下であることが好ましく、代表的には1×10―3Ωcm以上1×10Ωcm未満、さ
らに好ましくは、抵抗率が1×10―3Ωcm以上1×10―1Ωcm未満であるとよい
【0067】
また、窒化絶縁膜110は上記酸化物半導体層のn型化に寄与するほか、基板102から
ゲート絶縁膜127や半導体膜119への不純物混入を抑制する下地膜としての機能を有
する。
【0068】
なお、半導体膜119の上に、選択的に、窒化絶縁膜などと接する領域を設けても良い。
その窒化絶縁膜は、半導体膜119の上に、選択的に形成してもよい。または、絶縁膜1
31に開口を設けて、絶縁膜131の上に、窒化珪素膜、または、絶縁膜132を設けて
も良い。このとき、半導体膜111のチャネル領域の上には、窒化珪素膜が直接接するこ
とが無いことが望ましい。
【0069】
なお、半導体膜119と同様に半導体膜を形成し、その半導体膜を用いて、抵抗素子を構
成することも可能である。そして、その抵抗素子を用いて、保護回路を構成することも可
能である。保護回路を設けることにより、静電気などからの破壊を低減することが出来る
【0070】
次に、第1の駆動回路104に設けられるトランジスタの構造について説明する。
【0071】
基板102上には窒化絶縁膜110が設けられ、当該窒化絶縁膜上にトランジスタ223
のゲート電極227が設けられている。ゲート電極227上にはゲート絶縁膜127が設
けられ、当該ゲート絶縁膜のゲート電極227と重畳する領域上に半導体膜231が設け
られている。また、半導体膜231上、およびゲート絶縁膜127上にトランジスタ22
3のソース電極またはドレイン電極の一方である配線229およびソース電極またはドレ
イン電極の他方である配線233が設けられている。そして、ゲート絶縁膜127上、配
線229上、半導体膜231上、配線233上には、トランジスタ223の保護絶縁膜と
して機能する絶縁膜129、絶縁膜131、および絶縁膜132、が設けられている。ま
た、絶縁膜132上には、導電膜241が設けられている。なお、第1の駆動回路104
に設けられるトランジスタは、導電膜241を設けない構成とすることもできる。
【0072】
トランジスタ223において、半導体膜231を介して、ゲート電極227と重なる導電
膜241を設けることで、異なるドレイン電圧において、オン電流の立ち上がりゲート電
圧のばらつきを低減することができる。また、導電膜241と対向する半導体膜231の
面において、配線229および配線233の間に流れる電流を制御することが可能であり
、トランジスタ間における電気特性のばらつきを低減することができる。また、導電膜2
41を設けることで、周囲の電界の変化が半導体膜231へ与える影響を軽減し、トラン
ジスタの信頼性を向上させることができる。さらには、導電膜241の電位を、駆動回路
の最低電位(Vss、例えば配線229の電位を基準とする場合、配線229の電位)と
同電位またはそれと同等電位とすることで、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減す
ることが可能であり、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0073】
なお、基板102と窒化絶縁膜110との間には、窒化絶縁膜110とは異なる絶縁膜が
設けられていてもよい。また、半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231
上に設けられる絶縁膜は、上述した3層の構成に限らず、1層、2層、または4層以上で
あってもよい。
【0074】
次に、上記構造の構成要素について詳細を説明する。
【0075】
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、半導体装置の作製工程におい
て行う熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セ
ラミック基板、プラスチック基板などがあり、ガラス基板としては、バリウムホウケイ酸
ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス
基板を用いるとよい。また、ステンレス合金などの透光性を有していない基板を用いるこ
ともできる。その場合は、基板表面に絶縁膜を設けることが好ましい。なお、基板102
として石英基板、サファイア基板、単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、化合物半導体
基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを用いることもで
きる。
【0076】
窒化絶縁膜110は、例えば窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化
酸化アルミニウムなどの窒化絶縁材料を用い、単層構造または積層構造で形成することが
できる。窒化絶縁膜110の一領域の厚さは、30nm以上500nm以下、好ましくは
150nm以上400nm以下とする。
【0077】
走査線107、容量線115、およびゲート電極227は抵抗損失を低減するため、抵抗
の低い金属膜で形成することが好ましい。走査線107、容量線115、およびゲート電
極227は、例えば、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)タンタ
ル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、
スカンジウム(Sc)などの金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用い、単層
構造または積層構造で形成することができる。
【0078】
走査線107、容量線115、およびゲート電極227の一例としては、シリコンを含む
アルミニウムを用いた単層構造、アルミニウム上にチタンを積層する二層構造、窒化チタ
ン上にチタンを積層する二層構造、窒化チタン上にタングステンを積層する二層構造、窒
化タンタル上にタングステンを積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金
上に銅を積層する二層構造、窒化チタン上に銅を積層し、さらにその上にタングステンを
形成する三層構造などがある。
【0079】
例えば、走査線107、容量線115、およびゲート電極227には、低抵抗材料である
アルミニウムや銅を用いることが好ましい。アルミニウムや銅を用いることで、信号遅延
を低減し、表示品位を高めることができる。なお、アルミニウムは耐熱性が低く、ヒロッ
ク、ウィスカー、あるいはマイグレーションによる不良が発生しやすい。アルミニウムの
マイグレーションを防ぐため、アルミニウムに、モリブデン、チタン、タングステンなど
の、アルミニウムよりも融点の高い金属材料を積層することが好ましい。また、銅を用い
る場合も、マイグレーションによる不良や銅元素の拡散を防ぐため、モリブデン、チタン
、タングステンなどの、銅よりも融点の高い金属材料を積層することが好ましい。
【0080】
また、走査線107、容量線115、およびゲート電極227の材料として、画素電極1
21に適用可能な透光性を有する導電材料を用いることができる。なお、本発明の一態様
である半導体装置を反射型の表示装置とする場合、画素電極121または基板102に透
光性を有していない導電性材料を用いることができる。
【0081】
さらに、走査線107、容量線115、およびゲート電極227の一部の材料として、窒
素を含む金属酸化物、具体的には、窒素を含むIn-Ga-Zn系酸化物や、窒素を含む
In-Sn系酸化物や、窒素を含むIn-Ga系酸化物や、窒素を含むIn-Zn系酸化
物や、窒素を含むSn系酸化物や、窒素を含むIn系酸化物や、金属窒化膜(InN、S
nNなど)を用いることができる。これらの材料は5eV(電子ボルト)以上の仕事関数
を有する。トランジスタ103の半導体膜111に酸化物半導体を用いる場合、走査線1
07(トランジスタ103のゲート電極)として窒素を含む金属酸化物を用いることで、
トランジスタ103のしきい値電圧をプラス方向に変動させることができ、所謂ノーマリ
ーオフ特性を有するトランジスタを実現できる。例えば、窒素を含むIn-Ga-Zn系
酸化物を用いる場合、少なくとも半導体膜111の酸化物半導体膜より高い窒素濃度、具
体的には窒素濃度が7原子%以上のIn-Ga-Zn系酸化物を用いることができる。
【0082】
ゲート絶縁膜127は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金
属酸化物などの絶縁材料を用い、単層構造または積層構造で形成することができる。なお
、半導体膜111である酸化物半導体膜との界面特性を向上させるため、ゲート絶縁膜1
27において少なくとも半導体膜111と接する領域は、酸素を含む絶縁膜で形成するこ
とが好ましい。
【0083】
また、ゲート絶縁膜127に、酸素、水素、水などに対するバリア性を有する絶縁膜を用
いることで、半導体膜111である酸化物半導体膜からの酸素の外部への拡散と、外部か
ら当該酸化物半導体膜への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等など
に対するバリア性を有する絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、
酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフ
ニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化シリコンなどがある。
【0084】
また、ゲート絶縁膜127として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素を有す
るハフニウムシリケート(HfSi)、窒素を有するハフニウムアルミネート
(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh-k材料を
用いることでトランジスタ103のゲートリークを低減できる。
【0085】
また、ゲート絶縁膜127は、ゲート電極側から以下の積層構造とすることが好ましい。
第1の窒化シリコン膜として、欠陥量が少ない窒化シリコン膜を設け、第1の窒化シリコ
ン膜上に第2の窒化シリコン膜として、水素脱離量およびアンモニア脱離量の少ない窒化
シリコン膜を設け、第2の窒化シリコン膜上に、上記ゲート絶縁膜127として用いるこ
とのできる酸素を含む絶縁膜のいずれかを設けることが好ましい。
【0086】
第2の窒化シリコン膜としては、昇温脱離ガス分析法において、水素分子の脱離量が5×
1021分子/cm未満、好ましくは3×1021分子/cm以下、さらに好ましく
は1×1021分子/cm以下であり、アンモニア分子の脱離量が1×1022分子/
cm未満、好ましくは5×1021分子/cm以下、さらに好ましくは1×1021
分子/cm以下である窒化シリコン膜を用いることが好ましい。上記第1の窒化シリコ
ン膜および第2の窒化シリコン膜をゲート絶縁膜127の一部として用いることで、ゲー
ト絶縁膜127として、欠陥量が少なく、且つ水素およびアンモニアの脱離量の少ないゲ
ート絶縁膜を形成することができる。したがって、ゲート絶縁膜127に含まれる水素お
よび窒素の半導体膜111への拡散量を低減することが可能となる。
【0087】
酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体膜およびゲート絶縁膜の界面
またはゲート絶縁膜に捕獲準位(界面準位ともいう)が存在すると、トランジスタのしき
い値電圧の変動、代表的にはしきい値電圧のマイナス方向への変動が起こりやすくなる。
また当該捕獲準位は、トランジスタがオン状態となるときにドレイン電流が一桁変化する
のに必要なゲート電圧を示すサブスレッショルド係数(S値)の増大の原因ともなる。ま
た、上記電気特性の変化は一様ではなく、トランジスタごとに電気特性がばらつくという
問題がある。このため、ゲート絶縁膜として、欠陥量の少ない窒化シリコン膜を用いるこ
と、また、半導体膜111と接する領域に酸素を含む絶縁膜を設けることで、しきい値電
圧のマイナスシフトを低減すると共に、S値の増大を抑制することができる。
【0088】
ゲート絶縁膜127の一領域の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10
nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とする。
【0089】
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231には酸化物半導体膜を用いるこ
とが好ましい。当該酸化物半導体膜は、非晶質構造、単結晶構造、または多結晶構造とす
ることができる。また、半導体膜111の一領域の厚さは、1nm以上100nm以下、
好ましくは1nm以上50nm以下、更に好ましくは1nm以上30nm以下、最も好ま
しくは3nm以上20nm以下とする。
【0090】
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231に適用可能な半導体として、エ
ネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上
であって、3.9eV未満、好ましくは3.7eV未満、より好ましくは3.5eV未満
の酸化物半導体が挙げられる。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用
いることで、トランジスタ103のオフ電流を低減することができる。また、当該酸化物
半導体は可視光に対する透過率が高く、容量素子105の一方の電極に用いることで、透
光性を有する容量素子を形成することができ、液晶表示装置等の画素の開口率を向上させ
ることができる。
【0091】
なお、酸化物半導体膜をn型化することで、酸化物半導体膜の光学バンドギャップは、2
.4eV以上3.1eV以下、または2.6eV以上3.0eV以下とすることができる

また、例えば、半導体膜119として用いる酸化物半導体膜を原子数比がIn:Ga:Z
n=1:1:1のIn-Ga-Zn系金属酸化物とした場合、その光学バンドギャップは
3.15eVである。また、画素電極121などに用いられるインジウム錫酸化物の光学
バンドギャップは3.7eV~3.9eVである。したがって、画素電極121では透過
してしまう可視光線の中で最もエネルギーの高い波長を含む光および紫外光を半導体膜1
19では吸収することができる。当該エネルギーの高い波長を含む光および紫外光による
目への害が懸念されており、画素101に透光性を有する容量素子105を用いた半導体
装置は、目にやさしいということができる。なお、容量素子105が、画素101の全て
の領域と重ならなくてもよい。少なくとも、容量素子105が画素101の一部と重なる
ことで、可視光線の中でもエネルギーの高い波長を含む光および紫外光を吸収することが
できる。
【0092】
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231に適用可能な酸化物半導体は、
少なくともインジウム(In)若しくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、I
nとZnの双方を含むことが好ましい。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタの
電気特性のばらつきを減らすため、それらと共にスタビライザーの一つ、または複数を有
することが好ましい。
【0093】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アル
ミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーと
しては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(
Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などがあ
る。
【0094】
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231に適用できる酸化物半導体とし
ては、例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二種類の金
属を含む酸化物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、
Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、
三種類の金属を含む酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、
In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、A
l-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In
-Zr-Zn系酸化物、In-Ti-Zn系酸化物、In-Sc-Zn系酸化物、In-
Y-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr
-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-
Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Z
n系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn
系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、四種類の金属を含む
酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In
-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Z
n系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができる。
【0095】
ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物
という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の
金属元素が入っていてもよい。
【0096】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用い
てもよい。なお、Mは、Ga、Fe、MnおよびCoから選ばれた一の金属元素または複
数の金属元素、若しくは上記のスタビライザーとしての元素を示す。
【0097】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Ga:Z
n=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)、あるいはIn:Ga:Zn=3:1:2
(=1/2:1/6:1/3)の原子数比のIn-Ga-Zn系金属酸化物を用いること
ができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、I
n:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=
2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn-Sn-Zn系金属酸化物を
用いるとよい。なお、金属酸化物の原子数比は、誤差として上記の原子数比のプラスマイ
ナス20%の変動を含む。
【0098】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性および電気特性(電界効果移動度、し
きい値電圧等)に応じて適切な原子数比のものを用いればよい。また、必要とする半導体
特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、
原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。例えば、In-Sn-Zn系酸
化物では比較的容易に高い電界効果移動度が得られる。しかしながら、In-Ga-Zn
系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低くすることにより、電界効果移動度を上げることが
できる。
【0099】
トランジスタ103のソース電極またはドレイン電極の一方を含む信号線109、トラン
ジスタ103のソース電極またはドレイン電極の他方を含む導電膜113、並びに配線2
29および配線233は、走査線107、容量線115、およびゲート電極227に適用
できる材料を用い、単層構造または積層構造で形成することができる。
【0100】
絶縁膜129および絶縁膜131は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ア
ルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金属酸化物などの酸化絶
縁材料を用い、単層構造または積層構造で形成することができる。
【0101】
絶縁膜129の一領域の厚さは、5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50
nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下とする。また、絶縁膜131の一領
域の厚さは、30nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下と
する。
【0102】
絶縁膜129および絶縁膜131の一方または双方は、化学量論的組成を満たす酸素より
も多くの酸素を含む酸化絶縁膜であることが好ましい。このようにすることで、当該酸化
物半導体膜からの酸素の脱離を防止するとともに、酸素過剰領域に含まれる酸素を酸化物
半導体膜に拡散させ、酸素欠損を補填することが可能となる。例えば、昇温脱離ガス分析
(以下、TDS分析とする)によって測定される、100℃以上700℃以下、好ましく
は100℃以上500℃以下の加熱処理における酸素分子の放出量が、1.0×1018
分子/cm以上ある酸化絶縁膜を用いることで、当該酸化物半導体膜に含まれる酸素欠
損を補填することができる。なお、絶縁膜129および絶縁膜131の一方または双方に
おいて、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含む領域(酸素過剰領域)が部分的に存在し
ている酸化絶縁膜であってもよく、少なくとも半導体膜111と重畳する領域に酸素過剰
領域が存在することで、当該酸化物半導体膜からの酸素の脱離を防止するとともに、酸素
過剰領域に含まれる酸素を酸化物半導体膜に拡散させ、酸素欠損を補填することが可能と
なる。
【0103】
絶縁膜131が化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜である場
合、絶縁膜129は、酸素を透過する酸化絶縁膜とすることが好ましい。なお、絶縁膜1
29において、外部から絶縁膜129に入った酸素は、全て絶縁膜129を通過して拡散
せず、絶縁膜129にとどまる酸素もある。また、あらかじめ絶縁膜129に含まれてお
り、絶縁膜129から外部に拡散する酸素もある。そこで、絶縁膜129は酸素の拡散係
数が大きい酸化絶縁膜であることが好ましい。
【0104】
また、絶縁膜129は半導体膜111および半導体膜231である酸化物半導体膜と接す
ることから、酸素を透過させるだけではなく、半導体膜111および半導体膜231との
界面準位が低くなる酸化絶縁膜であることが好ましい。例えば、絶縁膜129は絶縁膜1
31よりも膜中の欠陥密度が低い酸化絶縁膜であることが好ましい。具体的には、電子ス
ピン共鳴測定によるg値=2.001(E´-center)のスピン密度が3.0×1
17spins/cm以下、好ましくは5.0×1016spins/cm以下の
酸化絶縁膜である。なお、電子スピン共鳴測定によるg値=2.001のスピン密度は、
絶縁膜129に含まれるダングリングボンドの存在量に対応する。
【0105】
また、絶縁膜129および絶縁膜131の一方または双方が窒素に対するバリア性を有す
る絶縁膜であることが好ましい。例えば、緻密な酸化絶縁膜とすることで窒素に対するバ
リア性を有することができ、具体的には、25℃において0.5重量%のフッ化水素酸を
用いた場合のエッチング速度が10nm/分以下である酸化絶縁膜とすることが好ましい
【0106】
なお、絶縁膜129および絶縁膜131の一方または双方を、酸化窒化シリコンまたは窒
化酸化シリコンなど、窒素を含む酸化絶縁膜とする場合、SIMSより得られる窒素濃度
は、SIMS検出下限以上3×1020atoms/cm未満、好ましくは1×10
atoms/cm以上1×1020atoms/cm以下とする領域を有するよう
に形成することが好ましい。このようにすることで、トランジスタ103に含まれる半導
体膜111への窒素の移動量を少なくすることができる。また、このようにすることで、
窒素を含む酸化絶縁膜自体の欠陥量を少なくすることができる。
【0107】
また、絶縁膜132は、例えば窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒
化酸化アルミニウムなどの窒化絶縁材料を用い、単層構造または積層構造で形成すること
ができる。
【0108】
絶縁膜132として、水素含有量が少ない窒化絶縁膜を設けてもよい。当該窒化絶縁膜と
しては、例えば、TDS分析によって測定される水素分子の放出量が、5.0×1021
分子/cm未満であり、好ましくは3.0×1021分子/cm未満であり、さらに
好ましくは1.0×1021分子/cm未満である窒化絶縁膜を用いることができる。
【0109】
絶縁膜132の一領域は、外部から水素や水などの不純物の侵入を抑制する機能を発揮で
きる厚さとすることが好ましい。例えば、50nm以上200nm以下、好ましくは50
nm以上150nm以下、さらに好ましくは50nm以上100nm以下とする。絶縁膜
132を設けることで、炭素等の不純物が絶縁膜132でブロッキングされ、トランジス
タ103およびトランジスタ223の半導体膜111および半導体膜231への不純物の
外部からの移動が低減されるため、トランジスタの電気特性のばらつきを低減することが
可能である。
【0110】
なお、半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231上に設けられる絶縁膜が
1層である場合は、絶縁膜131を設けることが好ましい。また、絶縁膜が2層である場
合は、当該半導体膜側から絶縁膜131、絶縁膜132の順で設けることが好ましい。
【0111】
また、半導体膜111、半導体膜119および半導体膜231と、画素電極121、導電
膜241およびそれらと同時に形成することのできる配線等との間に形成される絶縁膜と
しては、有機シランガスを用いたCVD法(化学気相成長法)により形成した酸化絶縁膜
、代表的には酸化シリコン膜が含まれていてもよい。
【0112】
当該酸化シリコン膜は300nm以上600nm以下で設けることができる。有機シラン
ガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシ
ラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TM
CTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザ
ン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミ
ノシラン(SiH(N(CH)などのシリコン含有化合物を用いることができ
る。
【0113】
当該酸化シリコン膜を有機シランガスを用いたCVD法により形成することで、基板10
2上に形成される素子部表面の平坦性を高めることが可能である。この結果、有機樹脂で
形成される平坦化膜を設けなくとも、液晶の配向乱れを低減し、光漏れの低減が可能であ
ると共に、コントラストを高めることができる。もちろん、当該酸化シリコン膜の代わり
に有機樹脂を用いてもよいし、当該酸化シリコン膜と有機樹脂を含む積層を用いてもよい
【0114】
画素電極121および導電膜241は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むイ
ンジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むイン
ジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ
素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電材料で形成することができる
【0115】
次に、本実施の形態に示す画素101に含まれる各構成要素について説明する。
【0116】
図4(A)は、上述した画素101の回路図の一例である。画素101は、トランジスタ
103、容量素子105、および液晶素子108を有する。トランジスタ103のゲート
電極は走査線107に電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極の一方は信号線
109と電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極の他方は容量素子105の一
方の電極および液晶素子108の一方の電極(画素電極)と電気的に接続される。また、
容量素子105の他方の電極は容量線115に電気的に接続され、液晶素子108の他方
の電極(対向電極)は、対向電極に対向電位を供給する配線に電気的に接続される。
【0117】
液晶素子108は、トランジスタ103および画素電極が形成される基板と、対向する基
板(例えば、対向電極が形成される基板)とで挟持される液晶の光学的変調作用によって
、光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶に
かかる電界(縦方向の電界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、画
素電極および対向電極(共通電極ともいう)が一方の基板側に形成される場合は、液晶に
かかる電界は横方向の電界となる。
【0118】
また、図4(B)は、画素101の詳細な回路図の一例である。図4(B)および図2
示すように、トランジスタ103は、ゲート電極を含む走査線107と、ソース電極また
はドレイン電極の一方を含む信号線109と、ソース電極またはドレイン電極の他方を含
む導電膜113とを有する。
【0119】
容量素子105においては、容量線115と接続する半導体膜119が一方の電極として
機能する。また、ソース電極またはドレイン電極の他方を含む導電膜113に接続する画
素電極121が他方の電極として機能する。また、半導体膜119および画素電極121
の間に設けられる、絶縁膜129、絶縁膜131、絶縁膜132が誘電体膜として機能す
る。
【0120】
液晶素子108は、画素電極121、対向電極154、並びに画素電極121および対向
電極154の間に設けられる液晶層で構成される。
【0121】
容量素子105において、半導体膜119は、半導体膜111と同一の構成であっても、
容量素子105の電極として機能する。なぜなら、画素電極121をゲート電極、絶縁膜
129、絶縁膜131、および絶縁膜132をゲート絶縁膜、容量線115をソース電極
またはドレイン電極と機能させることが可能であり、この結果、容量素子105をトラン
ジスタと同様に動作させ、半導体膜119を導通状態にすることができるからである。し
たがって、半導体膜119を容量素子105の一方の電極として機能させることができる
【0122】
次に、図1および図2に示す半導体装置の作製方法について、図5図6を用いて説明す
る。
【0123】
まず、基板102上に窒化絶縁膜110を形成する。次に、当該窒化絶縁膜上に走査線1
07、容量線115、およびゲート電極227を形成する。次に、走査線107、容量線
115、およびゲート電極227を覆うようにゲート絶縁膜127を形成する。そして、
ゲート絶縁膜127に開口123(図1参照)を設け、容量線115の一部、および窒化
絶縁膜110の一部を露出させる。
【0124】
次に、ゲート絶縁膜127上の走査線107と重畳する領域に半導体膜111を形成し、
開口123を覆うように半導体膜119を形成し、ゲート電極227と重畳する領域に半
導体膜231を形成する(図5(A)参照)。
【0125】
窒化絶縁膜110は、前述した材料を用いて形成することができる。当該窒化絶縁膜は、
蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いること
ができる。
【0126】
走査線107、容量線115、およびゲート電極227は、前述した材料を用いて導電膜
を形成し、当該導電膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて加工することにより形成
できる。当該導電膜は、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各
種成膜方法を用いることができる。なお、当該導電膜の厚さは特に限定されず、形成する
時間や所望の抵抗率などを考慮して決めることができる。当該マスクは、例えばフォトリ
ソグラフィ工程によって形成したレジストマスクとすることができる。また、当該導電膜
の加工はドライエッチングおよびウェットエッチングの一方または双方によって行うこと
ができる。
【0127】
ゲート絶縁膜127は、前述した材料を用いて、CVD法またはスパッタリング法などの
各種成膜方法を用いて形成することができる。
【0128】
また、ゲート絶縁膜127に酸化ガリウムを適用する場合は、MOCVD(Metal
Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形
成することができる。
【0129】
開口123は、ゲート絶縁膜127上の所定の領域にマスクを形成し、当該マスクを用い
て加工することで形成できる。なお、当該マスクおよび当該加工は、走査線107、容量
線115、およびゲート電極227と同じようにして行うことができる。
【0130】
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231は、前述した酸化物半導体を用
いて酸化物半導体膜を形成し、当該酸化物半導体膜上にマスクを形成し、当該マスクを用
いて加工することにより形成できる。当該酸化物半導体膜は、スパッタリング法、塗布法
、パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法などを用いて形成することができる
。印刷法を用いることで、素子分離された半導体膜111および半導体膜119をゲート
絶縁膜127上に直接形成することができる。スパッタリング法で当該酸化物半導体膜を
形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置ま
たはDC電源装置などを適宜用いることができる。スパッタリングガスは、希ガス(代表
的にはアルゴン)、酸素、希ガスおよび酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガスおよ
び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、
ターゲットは、形成する酸化物半導体膜の組成にあわせて、適宜選択すればよい。なお、
当該マスクは、例えばフォトリソグラフィ工程によって形成したレジストマスクとするこ
とができる。また、当該酸化物半導体膜の加工はドライエッチングおよびウェットエッチ
ングの一方または双方によって行うことができる。所望の形状にエッチングできるよう、
材料に合わせてエッチング条件(エッチングガスやエッチング液、エッチング時間、温度
など)を適宜設定する。
【0131】
また、上記酸化物半導体膜は、CVD法により形成してもよい。CVD法としてはMOC
VD(Metal Organic Chemical Vapor Depositi
on)法やALD(Atomic Layer Deposition)法などの熱CV
D法を用いても良い。
【0132】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成
されることが無いという利点を有する。
【0133】
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧ま
たは減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行
ってもよい。
【0134】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順
次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。
例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上
の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原
料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第
2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキ
ャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよ
い。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後
、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を
成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層され
て薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返
すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順
序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微
細なトランジスタを作製する場合に適している。
【0135】
例えば、InGaZnO(X>0)膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、ト
リメチルガリウム、およびジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式
は、In(CHである。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH
である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CHである。また、これらの組み
合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C
)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C
)を用いることもできる。
【0136】
In-Ga-Zn-O)膜をALD法で成膜する場合には、In(CHガスとO
ガスを順次繰り返し導入してInO層を形成し、その後、Ga(CHガスとO
ガスを同時に導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CHとOガスを同時
に導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、こ
れらのガスを混ぜてIn-Ga-O層やIn-Zn-O層、Ga-In-O層、Zn-I
n-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、Oガスに変
えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたHOガスを用いても良いが、Hを含
まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CHガスにかえて、In(C
ガスを用いても良い。また、Ga(CHガスにかえて、Ga(C
ガスを用いても良い。また、In(CHガスにかえて、In(C
スを用いても良い。また、Zn(CHガスを用いても良い。
【0137】
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231を形成した後に加熱処理をし、
半導体膜111、半導体膜119、および半導体膜231である酸化物半導体膜の脱水素
化または脱水化をすることが好ましい。当該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以
上基板歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上
450℃以下とする。なお、当該加熱処理は半導体膜111、半導体膜119、および半
導体膜231に加工する前の酸化物半導体膜に行ってもよい。
【0138】
当該加熱処理において、加熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体か
らの熱伝導、または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置であっても良い。例えば、
GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(La
mp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Th
ermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンラン
プ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリ
ウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理
物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置であ
る。
【0139】
当該加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1
ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等
)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、
水などが含まれないことが好ましい。不活性ガス雰囲気で加熱した後、酸素雰囲気で加熱
してもよい。なお、処理時間は3分~24時間とすることが好ましい。
【0140】
また、当該加熱処理によって、窒化絶縁膜110に含まれる窒素、および水素の半導体膜
119への拡散を助長させることができ、半導体膜119の抵抗をより低下させることが
できる。
【0141】
なお、基板102と、窒化絶縁膜110との間に絶縁膜を設ける場合は、当該絶縁膜には
、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、
酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどを用
いることができる。なお、当該絶縁膜として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニ
ウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウムなどを用いることで、基板102から不純物
、代表的にはアルカリ金属、水、水素などが、半導体膜111、半導体膜119、および
半導体膜231に拡散することを抑制できる。当該絶縁膜は、スパッタリング法またはC
VD法を用いて形成することができる。
【0142】
次に、トランジスタ103のソース電極またはドレイン電極の一方を含む信号線109、
トランジスタ103のソース電極またはドレイン電極の他方を含む導電膜113、配線2
29、および配線233を形成する(図5(B)参照)。
【0143】
信号線109、導電膜113、配線229、および配線233は、走査線107、容量線
115、およびゲート電極227に適用できる材料を用いて導電膜を形成し、当該導電膜
上にマスクを形成し、当該マスクを用いて加工することにより形成できる。当該マスクお
よび当該加工は、走査線107、容量線115、およびゲート電極227と同じようにし
て行うことができる。
【0144】
次に、半導体膜111、半導体膜119および半導体膜231、信号線109、導電膜1
13、配線229、および配線233、並びにゲート絶縁膜127上に絶縁膜129、絶
縁膜131、および絶縁膜132を形成する(図6(A)参照)。なお、絶縁膜129、
絶縁膜131および絶縁膜132は、連続して形成することが好ましい。連続して形成す
ることで、絶縁膜129、絶縁膜131および絶縁膜132のそれぞれの界面に不純物が
混入することを抑制できる。
【0145】
絶縁膜129、絶縁膜131、および絶縁膜132は、前述した材料を用いて、CVD法
またはスパッタリング法などの各種成膜方法により形成することができる。
【0146】
絶縁膜129に半導体膜111との界面準位密度が低くなる酸化絶縁膜を適用する場合、
絶縁膜129は以下の形成条件を用いて形成できる。なお、ここでは当該酸化絶縁膜とし
て、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する場合について記載する。当該形
成条件は、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以
上400℃以下、さらに好ましくは200℃以上370℃以下に保持し、処理室に原料ガ
スのシリコンを含む堆積性気体および酸化性気体を導入して処理室内における圧力を20
Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは40Pa以上200Pa以下とし、処理室内
に設けられた電極に高周波電力を供給する条件である。
【0147】
シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シ
ランなどがある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素などが
ある。
【0148】
なお、シリコンを含む堆積性気体に対する酸化性気体量を100倍以上とすることで、絶
縁膜129に含まれる水素含有量を低減することが可能であると共に、絶縁膜129に含
まれるダングリングボンドを低減することができる。絶縁膜131から拡散する酸素は、
絶縁膜129に含まれるダングリングボンドによって捕獲される場合があるため、絶縁膜
129に含まれるダングリングボンドが低減されていると、絶縁膜131に含まれる酸素
を効率よく半導体膜111および半導体膜231へ拡散させ、半導体膜111および半導
体膜231である酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損を補填することが可能である。この
結果、当該酸化物半導体膜に混入する水素量を低減できると共に酸化物半導体膜に含まれ
る酸素欠損を低減させることが可能である。
【0149】
絶縁膜131を上記の酸素過剰領域を含む酸化絶縁膜または化学量論的組成を満たす酸素
よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜とする場合、絶縁膜131は以下の形成条件を用いて
形成することができる。なお、ここでは当該酸化絶縁膜として、酸化シリコン膜または酸
化窒化シリコン膜を形成する場合について記載する。当該形成条件としては、プラズマC
VD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上260℃以下、さら
に好ましくは180℃以上230℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内
における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200
Pa以下とし、処理室内に設けられた電極に0.17W/cm以上0.5W/cm
下、さらに好ましくは0.25W/cm以上0.35W/cm以下の高周波電力を供
給する条件が一例として挙げられる。
【0150】
絶縁膜131の原料ガスは、絶縁膜129に適用できる原料ガスとすることができる。
【0151】
絶縁膜131の形成条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力
を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、
原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜131中における酸素含有量が化学量論的組成よりも
多くなる。しかしながら、基板温度が上記形成条件の温度であると、シリコンと酸素の結
合力が弱いため、加熱により酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす
酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を形成するこ
とができる。また、半導体膜111上に絶縁膜129が設けられている。このため、絶縁
膜131の形成工程において、絶縁膜129が半導体膜111の保護膜となる。この結果
、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜131を形成しても、半導体膜111およ
び半導体膜231へのダメージを抑制できる。
【0152】
また、絶縁膜131は膜厚を厚くすることで加熱によって脱離する酸素の量を多くするこ
とができることから、絶縁膜131は絶縁膜129より厚く設けることが好ましい。絶縁
膜129を設けることで絶縁膜131を厚く設ける場合でも被覆性を良好にすることがで
きる。
【0153】
絶縁膜132を水素含有量が少ない窒化絶縁膜で設ける場合、絶縁膜132は以下の形成
条件を用いて形成できる。なお、ここでは当該窒化絶縁膜として、窒化シリコン膜を形成
する場合について記載する。当該形成条件の一例としては、プラズマCVD装置の真空排
気された処理室内に載置された基板を80℃以上400℃以下、さらに好ましくは200
℃以上370℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を10
0Pa以上250Pa以下とし、好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室
内に設けられた電極に高周波電力を供給する条件が挙げられる。
【0154】
絶縁膜132の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体、窒素、およびアンモニア
を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラ
ン、トリシラン、フッ化シランなどがある。また、窒素の流量は、アンモニアの流量に対
して5倍以上50倍以下、好ましくは10倍以上50倍以下とすることが好ましい。なお
、原料ガスとしてアンモニアを用いることで、シリコンを含む堆積性気体および窒素の分
解を促すことができる。これは、アンモニアがプラズマエネルギーや熱エネルギーによっ
て解離し、解離することで生じるエネルギーが、シリコンを含む堆積性気体分子の結合お
よび窒素分子の結合の分解に寄与するためである。このようにすることで、水素含有量が
少なく、外部から水素や水などの不純物の侵入を抑制することが可能な窒化シリコン膜を
形成することができる。
【0155】
少なくとも絶縁膜131を形成した後に加熱処理を行い、絶縁膜129または絶縁膜13
1に含まれる過剰酸素を半導体膜111および半導体膜231に拡散させ、半導体膜11
1および半導体膜231である酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが好ましい。な
お、当該加熱処理は、半導体膜111および半導体膜231の脱水素化または脱水化を行
う加熱処理の詳細を参照して適宜行うことができる。
【0156】
次に、絶縁膜129、絶縁膜131、および絶縁膜132の導電膜113と重畳する領域
に、導電膜113に達する開口117(図1参照)を形成する。開口117は、開口12
3と同様にして形成することができる。
【0157】
次に、画素電極121および導電膜241を形成することで、図1図2に示す半導体装
置を作製することができる(図6(B)参照)。画素電極121は、前述した材料を用い
、開口117を通じて導電膜113に接する導電膜を形成し、当該導電膜上にマスクを形
成し、当該マスクを用いて加工することにより形成できる。なお、当該マスクおよび当該
加工は、走査線107および容量線115と同じようにして行うことができる。
【0158】
なお、本発明の一態様である半導体装置においては、容量素子を構成する一方の電極であ
る半導体膜119と容量線115との接続を適宜変更することができる。例えば、図7
容量素子105の断面図に示すように、容量線115と半導体膜119との接続を導電膜
125を用いて行ってもよい。このとき、導電膜125は、トランジスタ103のソース
電極またはドレイン電極の一方を含む信号線109、トランジスタ103のソース電極ま
たはドレイン電極の他方を含む導電膜113、配線229、および配線233と同時に形
成することができる。
【0159】
また、本発明の一態様である半導体装置においては、画素内に設けられるトランジスタの
形状は図1および図2に示したトランジスタの形状に限定されず、適宜変更することがで
きる。例えば、トランジスタにおいて、信号線109に含まれるソース電極またはドレイ
ン電極の一方がU字型(C字型、コの字型、または馬蹄型)とし、ソース電極またはドレ
イン電極の他方を含む導電膜を囲む形状のトランジスタであってもよい。このような形状
とすることで、トランジスタの面積が小さくても、十分なチャネル幅を確保することが可
能となり、トランジスタの導通時に流れるドレイン電流(オン電流ともいう)の量を増や
すことが可能となる。
【0160】
また、上記に示す画素101において、トランジスタとして、チャネルエッチ型のトラン
ジスタを示したが、図8に示すようなチャネル保護型のトランジスタを用いることもでき
る。チャネル保護膜150を設けることで、半導体膜111の表面は、信号線および導電
膜の形成工程で用いるエッチャントやエッチングガスに曝されず、半導体膜111および
チャネル保護膜の間の不純物を低減できる。この結果、トランジスタのソース電極および
ドレイン電極の間に流れるリーク電流を低減することが可能である。また、チャネル保護
型のトランジスタは、第1の駆動回路104および第2の駆動回路106に用いることも
できる。
【0161】
また、上記に示す画素101において、トランジスタとして、1つのゲート電極を有する
トランジスタを示したが、半導体膜111を介して対向する2つのゲート電極を有するト
ランジスタを用いることができる。なお、2つのゲート電極を有するトランジスタの構成
としては、例えば、図2に示すゲート電極227、および導電膜241を有する第1の駆
動回路104に用いられるトランジスタを参照することができる。
【0162】
上記2つのゲート電極を有するトランジスタは、本実施の形態で説明したトランジスタ1
03の絶縁膜132上に、導電膜を有する。導電膜は、少なくとも半導体膜111のチャ
ネル形成領域と重なる。導電膜を半導体膜111のチャネル形成領域と重なる位置に設け
ることによって、導電膜の電位は、信号線109に入力されるビデオ信号の最低電位とす
ることが好ましい。この結果、導電膜と対向する半導体膜111の面において、ソース電
極およびドレイン電極の間に流れる電流を制御することが可能であり、トランジスタの電
気特性のばらつきを低減することができる。また、導電膜を設けることで、周囲の電界の
変化が半導体膜111へ与える影響を軽減し、トランジスタの信頼性を向上させることが
できる。
【0163】
なお、上記導電膜は、走査線107、信号線109、画素電極121などと同様の材料お
よび方法により形成することができる。
【0164】
以上より、容量素子の一方の電極として、トランジスタに含まれる半導体膜と同じ形成工
程で形成される半導体膜を用いることで、開口率を高めつつ、電荷容量を増大させた容量
素子を有する半導体装置を作製することができる。この結果、表示品位の優れた半導体装
置を得ることができる。
【0165】
また、上記容量素子の一方の電極として用いる半導体膜は窒化絶縁膜と接するように形成
することで、窒化絶縁膜から半導体膜に不純物を拡散させることができ、半導体膜を効率
よくn型化させることができる。また、半導体膜が窒化絶縁膜と接するために形成される
開口は、ゲート電極と他の配線との接続等に必要なゲート絶縁膜への開口と同じ工程で形
成することができるため、マスク枚数は増加しない。
【0166】
また、トランジスタに含まれる半導体膜である酸化物半導体膜は酸素欠損が低減され、水
素などの不純物が低減されていることから、本発明の一態様である半導体装置は、良好な
電気特性を有する半導体装置となる。
【0167】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0168】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に含まれているトランジスタお
よび容量素子において、半導体膜として用いられる酸化物半導体膜に適用可能な一態様に
ついて説明する。
【0169】
酸化物半導体は、非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axi
s Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。
【0170】
酸化物半導体は、CAACを有してもよい。なお、CAACを有する酸化物半導体を、C
AAC-OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide
Semiconductor)と呼ぶ。
【0171】
CAAC-OSは、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Elect
ron Microscope)による観察像で、結晶部を確認することができる場合が
ある。CAAC-OSに含まれる結晶部は、TEMによる観察像で、一辺100nmの立
方体内に収まる大きさであることが多い。また、CAAC-OSは、TEMによる観察像
で、結晶部と結晶部との境界を明確に確認できない場合がある。また、CAAC-OSは
、TEMによる観察像で、粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認できな
い場合がある。CAAC-OSは、明確な粒界を有さないため、不純物が偏析することが
少ない。また、CAAC-OSは、明確な粒界を有さないため、欠陥準位密度が高くなる
ことが少ない。また、CAAC-OSは、明確な粒界を有さないため、電子移動度の低下
が小さい。
【0172】
CAAC-OSは、複数の結晶部を有し、当該複数の結晶部においてc軸が被形成面の法
線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っている場合がある。そのため、
CAAC-OSは、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)装置を用
い、out-of-plane法による分析を行うと、2θが31°近傍のピークが現れ
る場合がある。2θが31°近傍のピークは、InGaZnOの結晶であれば、(00
9)面に配向していることを示す。また、CAAC-OSは、2θが36°近傍のピーク
が現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、ZnGaの結晶であれば、(
222)面に配向していることを示す。CAAC-OSは、好ましくは、2θが31°近
傍にピークが現れ、2θが36°近傍にピークが現れない。
【0173】
また、CAAC-OSは、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが揃ってい
ない場合がある。InGaZnOの結晶を有するCAAC-OSであれば、XRD装置
を用い、c軸に垂直な方向からX線を入射させるin-plane法による分析を行うと
、2θが56°近傍のピークが現れる場合がある。2θが56°近傍のピークは、InG
aZnOの結晶の(110)面を示す。ここで、2θを56°近傍で固定し、表面の法
線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させて分析(φスキャン)を行うと、a軸およ
びb軸の向きが揃っている単結晶酸化物半導体の場合は6つの対称性のピークが現れるが
、CAAC-OSの場合は明瞭なピークが現れない。
【0174】
このように、CAAC-OSは、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃って
いない場合がある。
【0175】
また、CAAC-OSは、電子線回折パターンで、スポット(輝点)が観測される場合が
ある。なお、特に、ビーム径が10nmφ以下、または5nmφ以下の電子線を用いて得
られる電子線回折パターンを、極微電子線回折パターンと呼ぶ。
【0176】
図10(A)は、CAAC-OSを有する試料の極微電子線回折パターンの一例である。
ここでは、試料を、CAAC-OSの被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが40nm程
度となるように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を、試料の切
断面に垂直な方向から入射させる。図10(A)より、CAAC-OSの極微電子線回折
パターンは、スポットが観測されることがわかる。
【0177】
CAAC-OSに含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OSの被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見
て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層
状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞ
れa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する
場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれること
とする。また、単に平行と記載する場合、-10°以上10°以下、好ましくは-5°以
上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0178】
CAAC-OSに含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OSの被形成面の法線ベクトルま
たは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC-OSの形状(被
形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある
。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったと
きに形成される。したがって、結晶部のc軸は、CAAC-OSが形成されたときの被形
成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
【0179】
CAAC-OSは、不純物濃度を低減することで形成することができる場合がある。ここ
で、不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の
元素である。特に、シリコンなどの元素は、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力が強い。したがって、当該元素が酸化物半導体から酸素を奪う場合、酸化物半
導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させることがある。また、鉄やニッケルなどの重金
属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半
導体の原子配列を乱し、酸化物半導体の結晶性を低下させることがある。したがって、C
AAC-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。また、酸化物半導体に含まれる
不純物は、キャリア発生源となる場合がある。
【0180】
なお、CAAC-OSにおいて、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC
-OSの形成過程において、酸化物半導体の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の
近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC-
OSに不純物が混入することにより、当該不純物混入領域において結晶部の結晶性が低下
することがある。
【0181】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度を低減することで形成することができる。酸化物
半導体において、酸素欠損は欠陥準位である。酸素欠損は、トラップ準位となることや、
水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。CAAC-OSを形成す
るためには、酸化物半導体に酸素欠損を生じさせないことが重要となる。したがって、C
AAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。または、CAAC-OSは、
酸素欠損の少ない酸化物半導体である。
【0182】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実
質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、
キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。したが
って、当該酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、しきい値電圧がマ
イナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない場合がある。ま
た、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いた
め、トラップ準位密度も低くなる場合がある。したがって、当該酸化物半導体をチャネル
形成領域に用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタ
となる場合がある。なお、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するま
でに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラ
ップ準位密度の高い酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、電気特性
が不安定となる場合がある。
【0183】
また、高純度真性または実質的に高純度真性であるCAAC-OSを用いたトランジスタ
は、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0184】
CAAC-OSは、例えば、DC電源を用いたスパッタリング法によって形成することが
できる。
【0185】
酸化物半導体は、多結晶を有してもよい。なお、多結晶を有する酸化物半導体を、多結晶
酸化物半導体と呼ぶ。多結晶酸化物半導体は複数の結晶粒を含む。
【0186】
多結晶酸化物半導体は、TEMによる観察像で、結晶粒を確認することができる場合があ
る。多結晶酸化物半導体に含まれる結晶粒は、TEMによる観察像で、2nm以上300
nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下の粒径であることが
多い。また、多結晶酸化物半導体は、TEMによる観察像で、結晶粒と結晶粒との境界を
確認できる場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、例えば、TEMによる観察像で、
粒界を確認できる場合がある。
【0187】
多結晶酸化物半導体は、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒において方位が異なって
いる場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、XRD装置を用い、out-of-pl
ane法による分析を行うと、配向を示す2θが31°近傍のピーク、または複数種の配
向を示すピークが現れる場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、電子線回折パターン
で、スポットが観測される場合がある。
【0188】
多結晶酸化物半導体は、高い結晶性を有するため、高い電子移動度を有する場合がある。
したがって、多結晶酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、高い電界
効果移動度を有する。ただし、多結晶酸化物半導体は、粒界に不純物が偏析する場合があ
る。また、多結晶酸化物半導体の粒界は欠陥準位となる。多結晶酸化物半導体は、粒界が
キャリア発生源、トラップ準位となる場合があるため、多結晶酸化物半導体をチャネル形
成領域に用いたトランジスタは、CAAC-OSをチャネル形成領域に用いたトランジス
タと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
【0189】
多結晶酸化物半導体は、高温での加熱処理、またはレーザ光処理によって形成することが
できる。
【0190】
酸化物半導体は、微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶
酸化物半導体と呼ぶ。
【0191】
微結晶酸化物半導体は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができな
い場合がある。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、ま
たは1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下
の微結晶をナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶ。ナノ結晶を有する酸化物
半導体を、nc-OS(nanocrystalline Oxide Semicon
ductor)と呼ぶ。また、nc-OSは、TEMによる観察像では、結晶部と結晶部
との境界を明確に確認できない場合がある。また、nc-OSは、TEMによる観察像で
は、明確な粒界を有さないため、不純物が偏析することが少ない。また、nc-OSは、
明確な粒界を有さないため、欠陥準位密度が高くなることが少ない。また、nc-OSは
、明確な粒界を有さないため、電子移動度の低下が小さい。
【0192】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域)において原子配列
に周期性を有する場合がある。また、nc-OSは、結晶部と結晶部との間で規則性がな
いため、巨視的には原子配列に周期性が見られない場合、または長距離秩序が見られない
場合がある。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区
別が付かない場合がある。nc-OSは、例えば、XRD装置を用い、結晶部よりも大き
いビーム径のX線でout-of-plane法による分析を行うと、配向を示すピーク
が検出されない場合がある。また、nc-OSは、結晶部よりも大きいビーム径(例えば
、20nmφ以上、または50nmφ以上)の電子線を用いる電子線回折パターンでは、
ハローパターンが観測される場合がある。また、nc-OSは、結晶部と同じか結晶部よ
り小さいビーム径(例えば、10nmφ以下、または5nmφ以下)の電子線を用いる極
微電子線回折パターンでは、スポットが観測される場合がある。また、nc-OSの極微
電子線回折パターンは、円を描くように輝度の高い領域が観測される場合がある。また、
nc-OSの極微電子線回折パターンは、当該領域内に複数のスポットが観測される場合
がある。
【0193】
図10(B)は、nc-OSを有する試料の極微電子線回折パターンの一例である。ここ
では、試料を、nc-OSの被形成面に垂直な方向に切断し、厚さが40nm程度となる
ように薄片化する。また、ここでは、ビーム径が1nmφの電子線を、試料の切断面に垂
直な方向から入射させる。図10(B)より、nc-OSの極微電子線回折パターンは、
円を描くように輝度の高い領域が観測され、かつ当該領域内に複数のスポットが観測され
ることがわかる。
【0194】
nc-OSは、微小な領域において原子配列に周期性を有する場合があるため、非晶質酸
化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-OSは、結晶部と結晶部との
間で規則性がないため、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0195】
したがって、nc-OSは、CAAC-OSと比べて、キャリア密度が高くなる場合があ
る。キャリア密度が高い酸化物半導体は、電子移動度が高くなる場合がある。したがって
、nc-OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する
場合がある。しかしながら、nc-OSは、CAAC-OSと比べて、欠陥準位密度が高
いため、トラップ準位密度も高くなる場合がある。したがって、nc-OSをチャネル形
成領域に用いたトランジスタは、CAAC-OSをチャネル形成領域に用いたトランジス
タと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。た
だし、nc-OSは、比較的不純物が多く含まれていても形成することができるため、C
AAC-OSよりも形成が容易となり、用途によっては好適に用いることができる場合が
ある。なお、AC電源を用いたスパッタリング法などの成膜方法によってnc-OSを形
成してもよい。AC電源を用いたスパッタリング法は、大型基板へ均一性高く成膜するこ
とが可能であるため、nc-OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタを有する半導
体装置は生産性高く作製することができる。
【0196】
酸化物半導体は、非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非
晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体は、原子配列が無秩序であり、結晶部を有
さない。または、非晶質酸化物半導体は、石英のような無定形状態を有し、原子配列に規
則性が見られない。
【0197】
非晶質酸化物半導体は、TEMによる観察像で、結晶部を確認することができない場合が
ある。
【0198】
非晶質酸化物半導体は、XRD装置を用い、out-of-plane法による分析を行
うと、配向を示すピークが検出されない場合がある。また、非晶質酸化物半導体は、電子
線回折パターンでハローパターンが観測される場合がある。また、非晶質酸化物半導体は
、極微電子線回折パターンでスポットを観測することができず、ハローパターンが観測さ
れる場合がある。
【0199】
非晶質酸化物半導体は、水素などの不純物を高い濃度で含ませることにより形成すること
ができる場合がある。したがって、非晶質酸化物半導体は、不純物を高い濃度で含む酸化
物半導体である。
【0200】
酸化物半導体に不純物が高い濃度で含まれると、酸化物半導体に酸素欠損などの欠陥準位
を形成する場合がある。したがって、不純物濃度の高い非晶質酸化物半導体は、欠陥準位
密度が高い。また、非晶質酸化物半導体は、結晶性が低いためCAAC-OSやnc-O
Sと比べて欠陥準位密度が高い。
【0201】
したがって、非晶質酸化物半導体は、nc-OSと比べて、さらにキャリア密度が高くな
る場合がある。そのため、非晶質酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタ
は、ノーマリーオンの電気特性になる場合がある。したがって、ノーマリーオンの電気特
性が求められるトランジスタに好適に用いることができる場合がある。非晶質酸化物半導
体は、欠陥準位密度が高いため、トラップ準位密度も高くなる場合がある。したがって、
非晶質酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、CAAC-OSやnc
-OSをチャネル形成領域に用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信
頼性の低いトランジスタとなる場合がある。ただし、非晶質酸化物半導体は、比較的不純
物が多く含まれてしまう成膜方法によっても形成することができるため、形成が容易とな
り、用途によっては好適に用いることができる場合がある。例えば、スピンコート法、ゾ
ル-ゲル法、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、コンタクトプリント法、インクジ
ェット印刷法、ロールコート法、ミストCVD法などの成膜方法によって非晶質酸化物半
導体を形成してもよい。したがって、非晶質酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたト
ランジスタを有する半導体装置は生産性高く作製することができる。
【0202】
なお、酸化物半導体が、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非
晶質酸化物半導体の二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質
酸化物半導体の領域、微結晶酸化物半導体の領域、多結晶酸化物半導体の領域、CAAC
-OSの領域、のいずれか二種以上の領域を有する場合がある。また、混合膜は、例えば
、非晶質酸化物半導体の領域、微結晶酸化物半導体の領域、多結晶酸化物半導体の領域、
CAAC-OSの領域、のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
【0203】
酸化物半導体は、例えば、単結晶を有してもよい。なお、単結晶を有する酸化物半導体を
、単結晶酸化物半導体と呼ぶ。
【0204】
単結晶酸化物半導体は、例えば、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少
ない)ため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、単結晶酸化物半導体を
チャネル形成領域に用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になることが少な
い場合がある。また、単結晶酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密
度も低くなる場合がある。したがって、単結晶酸化物半導体をチャネル形成領域に用いた
トランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある
【0205】
酸化物半導体は、欠陥が少ないと密度が高くなることがある。また、酸化物半導体は、結
晶性が高いと密度が高くなることがある。また、酸化物半導体は、例えば、水素などの不
純物濃度が低いと密度が高くなる。また、単結晶酸化物半導体は、CAAC-OSよりも
密度が高い場合がある。また、CAAC-OSは、微結晶酸化物半導体よりも密度が高い
場合がある。また、多結晶酸化物半導体は、微結晶酸化物半導体よりも密度が高い場合が
ある。また、微結晶酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体よりも密度が高い場合がある。
【0206】
また、CAAC-OSを成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0207】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制でき
る。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を
低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が
-80℃以下、好ましくは-100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0208】
また、成膜時の被成膜面の加熱温度(例えば基板加熱温度)を高めることで、被成膜面に
到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、被成膜面の温度
を100℃以上740℃以下、好ましくは150℃以上500℃以下として成膜する。
【0209】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージ
を軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体
積%とする。
【0210】
スパッタリング用ターゲットの一例として、In-Ga-Zn-O化合物ターゲットにつ
いて以下に示す。
【0211】
InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末を所定のmol数で混合し、加圧処理後
、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn-Ga
-Zn系金属酸化物ターゲットとする。なお、当該加圧処理は、冷却(または放冷)しな
がら行ってもよいし、加熱しながら行ってもよい。なお、X、YおよびZは任意の正数で
ある。ここで、所定のmol数比は、例えば、InO粉末、GaO粉末およびZnO
粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3、または3:
1:2などがある。なお、粉末の種類、およびその混合するmol数比は、作製するスパ
ッタリング用ターゲットによって適宜変更すればよい。
【0212】
ここで、結晶状態における酸化物半導体(OSと示す。)およびシリコン(Siと示す。
)の対比を表1に示す。
【0213】
【表1】
【0214】
酸化物半導体の結晶状態には、例えば、表1に示すように、非晶質酸化物半導体(a-O
S、a-OS:H)、微結晶酸化物半導体(nc-OS、μc-OS)、多結晶酸化物半
導体(多結晶OS)、連続結晶酸化物半導体(CAAC-OS)、単結晶酸化物半導体(
単結晶OS)などがある。なお、シリコンの結晶状態には、例えば、表1に示すように、
非晶質シリコン(a-Siやa-Si:H)、微結晶シリコン(nc-Si、μc-Si
)、多結晶シリコン(多結晶Si)、連続結晶シリコン(CG(Continuous
Grain)シリコン)、単結晶シリコン(単結晶Si)などがある。
【0215】
各結晶状態における酸化物半導体に対し、ビーム径を10nmφ以下に収束させた電子線
を用いる電子線回折(極微電子線回折)を行うと、以下のような電子線回折パターン(極
微電子線回折パターン)が観測される。非晶質酸化物半導体では、ハローパターン(ハロ
ーリングまたはハローとも言われる。)が観測される。微結晶酸化物半導体では、スポッ
トまたは/およびリングパターンが観測される。多結晶酸化物半導体では、スポットが観
測される。連続結晶酸化物半導体では、スポットが観測される。単結晶酸化物半導体では
、スポットが観測される。
【0216】
なお、極微電子線回折パターンより、微結晶酸化物半導体は、結晶部がナノメートル(n
m)からマイクロメートル(μm)の径であることがわかる。多結晶酸化物半導体は、結
晶部と結晶部との間に粒界を有し、境界が不連続であることがわかる。連続結晶酸化物半
導体は、結晶部と結晶部との間に境界が観測されず、連続的に繋がることがわかる。
【0217】
各結晶状態における酸化物半導体の密度について説明する。非晶質酸化物半導体の密度は
低い。微結晶酸化物半導体の密度は中程度である。連続結晶酸化物半導体の密度は高い。
即ち、連続結晶酸化物半導体の密度は微結晶酸化物半導体の密度より高く、微結晶酸化物
半導体の密度は非晶質酸化物半導体の密度より高い。
【0218】
各結晶状態における酸化物半導体に存在する状態密度(DOS)の特徴を説明する。非晶
質酸化物半導体はDOSが高い。微結晶酸化物半導体はDOSがやや低い。連続結晶酸化
物半導体はDOSが低い。単結晶酸化物半導体はDOSが極めて低い。即ち、単結晶酸化
物半導体は連続結晶酸化物半導体よりDOSが低く、連続結晶酸化物半導体は微結晶酸化
物半導体よりDOSが低く、微結晶酸化物半導体は非晶質酸化物半導体よりDOSが低い
【0219】
また、酸化物半導体膜は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよい。例えば、図
9(A)に示すトランジスタのように、半導体膜を第1の酸化物半導体膜188aと第2
の酸化物半導体膜188bの積層とすることができる。第1の酸化物半導体膜188aと
第2の酸化物半導体膜188bに、異なる原子数比の金属酸化物を用いてもよい。例えば
、一方の酸化物半導体膜に二種類の金属を含む酸化物、三種類の金属を含む酸化物、四種
類の金属を含む酸化物のうち一つを用い、他方の酸化物半導体膜に一方の酸化物半導体膜
と異なる二種類の金属を含む酸化物、三種類の金属を含む酸化物、四種類の金属を含む酸
化物を用いてもよい。
【0220】
また、第1の酸化物半導体膜188aと第2の酸化物半導体膜188bの構成元素を同一
とし、両者の原子数比を異ならせてもよい。例えば、一方の酸化物半導体膜の原子数比を
In:Ga:Zn=3:1:2とし、他方の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Z
n=1:1:1としてもよい。また、一方の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Z
n=2:1:3とし、他方の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2
としてもよい。また、一方の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1
とし、他方の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2としてもよい。
また、一方の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、他方の酸
化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:6:4としてもよい。また、一方の酸
化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、他方の酸化物半導体膜の
原子数比をIn:Ga:Zn=1:9:6としてもよい。なお、各酸化物半導体膜の原子
数比は、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
【0221】
このとき、一方の酸化物半導体膜と他方の酸化物半導体膜のうち、ゲート電極に近い側(
チャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの原子数比をIn≧Gaとし、ゲート電極か
ら遠い側(バックチャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの原子数比をIn<Gaと
することで、電界効果移動度の高いトランジスタを作製することができる。一方、チャネ
ル側の酸化物半導体膜のInとGaの原子数比をIn<Gaとし、バックチャネル側の酸
化物半導体膜のInとGaの原子数比をIn≧Gaとすることで、トランジスタの経時変
化や信頼性試験によるしきい値電圧の変動量を低減することができる。
【0222】
また、トランジスタの半導体膜を第1の酸化物半導体膜乃至第3の酸化物半導体膜からな
る3層構造としてもよい。このとき、第1の酸化物半導体膜乃至第3の酸化物半導体膜の
構成元素を同一とし、且つそれぞれの原子数比を異ならせてもよい。半導体膜を3層構造
とするトランジスタの構成について、図9(B)を用いて説明する。
【0223】
図9(B)に示すトランジスタは、第1の酸化物半導体膜199a、第2の酸化物半導体
膜199b、および第3の酸化物半導体膜199cがゲート絶縁膜127側から順に積層
されている。第1の酸化物半導体膜199aおよび第3の酸化物半導体膜199cを構成
する材料は、InM1xZn(x≧1、y>1、z>0、M=Ga、Hf等)で
表記できる材料を用いる。ただし、第1の酸化物半導体膜199aおよび第3の酸化物半
導体膜199cを構成する材料にGaを含ませる場合、含ませるGaの割合が多い、具体
的にはInM1XZnで表記できる材料でX=10を超えると成膜時に粉が発生す
る恐れがあり、不適である。
【0224】
また、第2の酸化物半導体膜199bを構成する材料は、InM2xZn(x≧1
、y≧x、z>0、M=Ga、Sn等)で表記できる材料を用いる。
【0225】
第1の酸化物半導体膜199aの伝導帯下端および第3の酸化物半導体膜199cの伝導
帯下端に比べて第2の酸化物半導体膜199bの伝導帯下端が真空準位から最も深くなる
ような井戸型構造を構成するように、第1、第2、および第3の酸化物半導体膜の材料を
適宜選択する。
【0226】
なお、酸化物半導体膜において第14族元素の一つであるシリコンや炭素はドナー準位の
形成に寄与することがある。このため、シリコンや炭素が酸化物半導体膜に含まれると、
酸化物半導体膜はn型化してしまう。したがって、シリコンおよび炭素のそれぞれの濃度
は3×1018/cm以下、好ましくは3×1017/cmとする領域を有するよう
に各酸化物半導体膜を形成することが好ましい。特に、第2の酸化物半導体膜199bに
第14族元素が多く混入しないように、第1の酸化物半導体膜199aおよび第3の酸化
物半導体膜199cで、キャリアパスとなる第2の酸化物半導体膜199bを挟む、また
は囲む構成とすることが好ましい。すなわち、第1の酸化物半導体膜199aおよび第3
の酸化物半導体膜199cは、シリコン、炭素等の第14族元素が第2の酸化物半導体膜
199bに混入することを防ぐバリア膜とも呼べる。
【0227】
例えば、第1の酸化物半導体膜199aおよび第3の酸化物半導体膜199cを原子数比
がIn:Ga:Zn=1:3:2、または1:6:4、または1:9:6である酸化物半
導体膜で形成し、第2の酸化物半導体膜199bの原子数比がIn:Ga:Zn=1:1
:1、または3:1:2である酸化物半導体膜で形成することができる。
【0228】
または、第1の酸化物半導体膜199aを原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2であ
る酸化物半導体膜で形成し、第2の酸化物半導体膜199bを原子数比がIn:Ga:Z
n=1:1:1またはIn:Ga:Zn=3:1:2である酸化物半導体膜で形成し、第
3の酸化物半導体膜199cを原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:4、または1:9
:6である酸化物半導体膜で形成してもよい。
【0229】
第1の酸化物半導体膜199a乃至第3の酸化物半導体膜199cの構成元素は同一であ
るため、第2の酸化物半導体膜199bは、第1の酸化物半導体膜199aとの界面にお
ける欠陥準位(トラップ準位)が少ない。詳細には、当該欠陥準位(トラップ準位)は、
ゲート絶縁膜127と第1の酸化物半導体膜199aとの界面における欠陥準位よりも少
ない。このため、上記のように酸化物半導体膜が積層されていることで、トランジスタの
経時変化や信頼性試験によるしきい値電圧の変動量を低減することができる。
【0230】
また、第1の酸化物半導体膜199aの伝導帯下端および第3の酸化物半導体膜199c
の伝導帯下端に比べて第2の酸化物半導体膜199bの伝導帯下端が真空準位から最も深
くなるような井戸型構造を構成するように、第1、第2、および第3の酸化物半導体膜の
材料を適宜選択することで、トランジスタの電界効果移動度を高めることが可能であると
共に、トランジスタの経時変化や信頼性試験によるしきい値電圧の変動量を低減すること
ができる。
【0231】
また、第1の酸化物半導体膜199a乃至第3の酸化物半導体膜199cに、結晶性の異
なる酸化物半導体を適用してもよい。すなわち、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導
体、微結晶(ナノ結晶)酸化物半導体、非晶質酸化物半導体、およびCAAC-OS膜を
適宜組み合わせた構成としてもよい。また、第1の酸化物半導体膜199a乃至第3の酸
化物半導体膜199cのいずれか一つに非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物半導体
膜の内部応力や外部からの応力を緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また
トランジスタの経時変化や信頼性試験によるしきい値電圧の変動量を低減することができ
る。
【0232】
また、少なくともチャネル形成領域となりうる第2の酸化物半導体膜199bはCAAC
-OS膜であることが好ましい。
【0233】
なお、酸素と結合し易い導電材料(例えば、ソース電極またはドレイン電極に用いられる
金属)と酸化物半導体膜を接触させると、酸化物半導体膜中の酸素が、酸素と結合し易い
導電材料側に拡散する現象が起こる。当該現象は、温度が高いほど顕著に起こる。トラン
ジスタの作製工程には、いくつかの加熱工程があることから、上記現象により、酸化物半
導体層のソース電極またはドレイン電極と接触した近傍の領域に酸素欠損が発生し、当該
領域はn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレ
インとして作用させることができる。
【0234】
上記n型化した領域は、図9(A)、(B)に例示される。半導体膜中に点線で示される
境界135は、真性半導体領域とn型半導体領域の境界であり、酸化物半導体におけるソ
ース電極またはドレイン電極と接触した近傍の領域がn型化した領域となる。なお、境界
135は模式的に示したものであり、実際には明瞭ではない場合がある。また、境界13
5の位置も図示した位置とは異なる場合がある。
【0235】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0236】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできるナノ結晶酸化物半導体膜の電子
線回折パターン、および局在準位に説明する。
【0237】
ナノ結晶酸化物半導体膜は、ビーム径が10nmφ以下とした電子線回折(極微電子線回
折)を用いた電子線回折パターンにおいて、非晶質状態を示すハローパターンとも、特定
の面に配向した結晶状態を示す規則性を有するスポットとも異なり、方向性を持たないス
ポットが観察される酸化物半導体膜である。
【0238】
図13(A)にナノ結晶酸化物半導体膜の断面TEM(Transmission El
ectron Microscopy(透過型電子顕微鏡))像を示す。また、図13
B)に図13(A)のポイント1において極微電子線回折を用いて測定した電子線回折パ
ターンを、図13(C)に図13(A)のポイント2において極微電子線回折を用いて測
定した電子線回折パターンを、図13(D)に図13(A)のポイント3において極微電
子線回折を用いて測定した電子線回折パターンをそれぞれ示す。
【0239】
図13では、ナノ結晶酸化物半導体膜の一例として、In-Ga-Zn系酸化物膜を石英
ガラス基板上に膜厚50nmで成膜した試料を用いる。図13に示すナノ結晶酸化物半導
体膜の成膜条件は、In:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)である酸化物ターゲット
を用いて、酸素雰囲気下(流量45sccm)、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.
5kW、基板温度を室温とした。そして、成膜したナノ結晶酸化物半導体膜を100nm
以下(例えば、40nm±10nm)の幅に薄片化し、断面TEM像および極微電子線回
折による電子線回折パターンを得た。
【0240】
図13(A)は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製「H-9000NAR」
)を用い、加速電圧を300kV、倍率200万倍として撮影したナノ結晶酸化物半導体
膜の断面TEM像である。また、図13(B)乃至図13(D)は、透過型電子顕微鏡(
日立ハイテクノロジーズ製「HF-2000」)を用い、加速電圧を200kV、ビーム
径を約1nmφとして極微電子線回折によって得られた電子線回折パターンである。なお
、ビーム径を約1nmφとした場合の極微電子線回折での測定範囲は、5nmφ以上10
nmφ以下である。
【0241】
図13(B)に示すように、ナノ結晶酸化物半導体膜は、極微電子線回折を用いた電子線
回折パターンにおいて、円周状に配置された複数のスポット(輝点)が観察される。換言
すると、ナノ結晶酸化物半導体膜では、円周状(同心円状)に分布した複数のスポットが
観察されるともいえる。または、円周状に分布した複数のスポットが複数の同心円を形成
するともいえる。
【0242】
また、石英ガラス基板との界面近傍である図13(D)および、ナノ結晶酸化物半導体膜
の膜厚方向中央部の図13(C)においても図13(B)と同様に円周状に分布した複数
のスポットが観察される。図13(C)において、メインスポットから円周状のスポット
までの距離は、3.88/nmから4.93/nmであった。面間隔に換算すると、0.
203nmから0.257nmである。
【0243】
図13の極微電子線回折パターンより、ナノ結晶酸化物半導体膜は、面方位が不規則であ
って且つ大きさの異なる結晶部が複数混在する膜であることがわかる。
【0244】
次いで、図14(A)にナノ結晶酸化物半導体膜の平面TEM像を示す。また、図14
B)に図14(A)において円で囲んだ領域を、制限視野電子線回折を用いて測定した電
子線回折パターンを示す。
【0245】
図14では、ナノ結晶酸化物半導体膜の一例として、In-Ga-Zn系酸化物膜を石英
ガラス基板上に膜厚30nmで成膜した試料を用いる。図14に示すナノ結晶酸化物半導
体膜の成膜条件は、In:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)である酸化物ターゲット
を用いて、酸素雰囲気下(流量45sccm)、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.
5kW、基板温度を室温とした。そして、試料を薄片化し、ナノ結晶酸化物半導体膜のナ
ノ結晶酸化物半導体膜の平面TEM像および電子線回折による電子線回折パターンを得た
【0246】
図14(A)は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製「H-9000NAR」
)を用い、加速電圧を300kV、倍率50万倍として撮影したナノ結晶酸化物半導体膜
の平面TEM写真である。また、図14(B)は、制限視野を300nmφとして電子線
回折によって得られた電子線回折パターンである。なお、電子線の広がりを考慮すると、
測定範囲は、300nmφ以上である。
【0247】
図14(B)に示すように、ナノ結晶酸化物半導体膜は、極微電子線回折よりも測定範囲
の広い制限視野電子線回折を用いた電子線回折パターンでは、極微電子線回折によって観
察された複数のスポットがみられず、ハローパターンが観察される。
【0248】
次に、図15に、図13および図14の電子線回折パターンにおける回折強度の分布を概
念的に示す。図15(A)は、図13(B)乃至図13(D)に示す極微電子線回折パタ
ーンにおける回折強度の分布の概念図である。また、図15(B)は、図14(B)に示
す制限視野電子線回折パターンにおける回折強度の分布の概念図である。また、図15
C)は単結晶構造または多結晶構造の電子線回折パターンにおける回折強度の分布の概念
図である。
【0249】
図15において、縦軸はスポットなどの分布を表す電子線回折強度(任意単位)、横軸は
メインスポットからの距離を示す。
【0250】
図15(C)に示す単結晶構造または多結晶構造においては、結晶部が配向する面の面間
隔(d値)に応じた、メインスポットからの特定の距離にスポットがみられる。
【0251】
一方、図13に示すようにナノ結晶酸化物半導体膜の極微電子線回折パターンで観察され
る複数のスポットによって形成された円周状の領域は、比較的大きい幅を有する。よって
図15(A)は離散的な強度分布を示す。また、極微電子線回折パターンにおいて、同
心円状の領域間に明確なスポットとならないものの輝度の高い領域が存在することがわか
る。
【0252】
また、図15(B)に示すように、ナノ結晶酸化物半導体膜の制限視野電子線回折パター
ンにおける電子線回折強度分布は、連続的な強度分布を示す。図15(B)は、図15
A)に示す電子線回折強度分布を広範囲で観察した結果と近似可能であるため、複数のス
ポットが重なってつながり、連続的な強度分布が得られたものと考察できる。
【0253】
図15(A)乃至図15(C)に示すように、ナノ結晶酸化物半導体膜は、面方位が不規
則であって且つ大きさの異なる結晶部が複数混在する膜であり、且つ、その結晶部は、制
限視野電子線回折パターンにおいてはスポットが観察されない程度に、極微細であること
が示唆される。
【0254】
複数のスポットが観察された図13において、ナノ結晶酸化物半導体膜は50nm以下に
薄片化されている。また電子線のビーム径は1nmφに収束されているため、その測定範
囲は5nm以上10nm以下である。よって、ナノ結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部
は、50nm以下であり、例えば、10nm以下、または5nm以下であることが推測さ
れる。
【0255】
ここで、図16に、石英ガラス基板における極微電子線回折パターンを示す。測定条件は
図13(B)乃至図13(D)に示す電子線回折パターンと同様とした。
【0256】
図16に示すように、非晶質構造を有する石英ガラス基板では、特定のスポットを有さず
、メインスポットから輝度が連続的に変化するハローパターンが観測される。このように
、非晶質構造を有する膜においては、極微小な領域の電子線回折を行ったとしても、ナノ
結晶酸化物半導体膜で観察されるような円周状に分布した複数のスポットが観察されない
。したがって、図13(B)乃至図13(D)で観察される円周状に分布した複数のスポ
ットは、ナノ結晶酸化物半導体膜に特有のものであることが確認される。
【0257】
また、図17に、図13(A)に示すポイント2にビーム径を約1nmφに収束した電子
線を1分間照射した後に、測定を行った電子線回折パターンを示す。
【0258】
図17に示す電子線回折パターンは、図13(C)に示す電子線回折パターンと同様に、
円周状に分布した複数のスポットが観察され、両者の測定結果に特段の相違点は確認され
ない。このことは、図13(C)の電子線回折パターンで確認される結晶部は、酸化物半
導体膜の成膜時から存在していることを意味しており、収束電子線を照射したことで結晶
部が形成されたものではないことを意味する。
【0259】
次に、図18に、図13(A)に示す断面TEM像の部分拡大図を示す。図18(A)は
図13(A)のポイント1近傍(ナノ結晶酸化物半導体膜表面)を、倍率800万倍で
観察した断面TEM像である。また、図18(B)は、図13(A)のポイント2近傍(
ナノ結晶酸化物半導体膜の膜厚方向中央部)を、倍率800万倍で観察した断面TEM像
である。
【0260】
図18に示す断面TEM像からは、ナノ結晶酸化物半導体膜において結晶構造が明確には
確認できない。
【0261】
また、図13および図14の観察に用いた、石英ガラス基板上に本実施の形態のナノ結晶
酸化物半導体膜が成膜された試料をX線回折(XRD:X-Ray Diffracti
on)を用いて分析した。図19にout-of-plane法を用いてXRDスペクト
ルを測定した結果を示す。
【0262】
図19において、縦軸はX線回折強度(任意単位)であり、横軸は回折角2θ(deg.
)である。なお、XRDスペクトルの測定は、Bruker AXS社製X線回折装置D
-8 ADVANCEを用いた。
【0263】
図19に示すように、2θ=20~23°近傍に石英に起因するピークが観察されるもの
の、ナノ結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部に起因するピークは確認できない。
【0264】
図18および図19の結果からも、ナノ結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、極微細
な結晶部であることが示唆される。
【0265】
以上示したように、本実施の形態のナノ結晶酸化物半導体膜では、測定範囲の広いX線回
折(XRD:X-ray diffraction)による分析では配向を示すピークが
検出されず、また、測定範囲の広い制限視野電子線回折によって得られる電子線回折パタ
ーンでは、ハローパターンが観測される。よって、本実施の形態のナノ結晶酸化物半導体
膜は、巨視的には無秩序な原子配列を有する膜と同等であるといえる。しかしながら、電
子線のビーム径が十分に小さい径(例えば、10nmφ以下)の極微電子線回折によって
ナノ結晶酸化物半導体膜を測定することで、得られる極微電子線回折パターンではスポッ
ト(輝点)を観測することができる。よって、本実施の形態のナノ結晶酸化物半導体膜は
、面方位の不規則な極微な結晶部(例えば、粒径が10nm以下、または5nm以下、ま
たは3nm以下の結晶部)が凝集して形成された膜と推測できる。また、極微細な結晶部
を含有するナノ結晶領域は、ナノ結晶酸化物半導体膜の膜厚方向の全領域において含まれ
る。
【0266】
ここで、ナノ結晶酸化物半導体膜の局在準位について説明する。ここでは、ナノ結晶酸化
物半導体膜をCPM(Constant photocurrent method)測
定で評価した結果について説明する。
【0267】
まず、測定試料の構造について説明する。
【0268】
測定試料は、ガラス基板上に設けられた酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜に接する一
対の電極と、酸化物半導体膜および一対の電極を覆う絶縁膜と、を有する。
【0269】
次に、測定試料に含まれる酸化物半導体膜の形成方法について説明する。
【0270】
In-Ga-Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲッ
トを用い、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、
圧力を0.4Paとし、基板温度を室温とし、DC電力を0.5kW印加する条件を用い
たスパッタリング法により、第1の酸化物半導体膜を形成した。なお、第1の酸化物半導
体膜はナノ結晶酸化物半導体膜である。
【0271】
また、第1の酸化物半導体膜を、450℃の窒素雰囲気で1時間加熱した後、450℃の
酸素雰囲気で1時間加熱することで、第1の酸化物半導体膜に含まれる水素を脱離させる
処理および第1の酸化物半導体膜に酸素を供給する処理を行い、第2の酸化物半導体膜を
形成した。なお、第2の酸化物半導体膜はナノ結晶酸化物半導体膜である。
【0272】
次に、第1の酸化物半導体膜を有する測定試料、および第2の酸化物半導体膜を有する測
定試料についてCPM測定を行った。具体的には、酸化物半導体膜に接して設けた一対の
電極間に電圧を印加した状態で光電流値が一定となるように端子間の測定試料面に照射す
る光量を調整し、所望の波長の範囲において照射光量から吸収係数を導出した。
【0273】
各測定試料をCPM測定して得られた吸収係数からバンドテイル起因の吸収係数を除いた
吸収係数、即ち欠陥に起因する吸収係数を図11に示す。図11において、横軸は吸収係
数を表し、縦軸は光エネルギーを表す。なお、図11の縦軸において、酸化物半導体膜の
伝導帯の下端を0eVとし、価電子帯の上端を3.15eVとする。また、図11におい
て、各曲線は吸収係数と光エネルギーの関係を示す曲線であり、欠陥準位に相当する。
【0274】
図11(A)は、第1の酸化物半導体膜を有する測定試料の測定結果であり、欠陥準位に
よる吸収係数は、5.28×10-1cm-1であった。図11(B)は、第2の酸化物
半導体膜を有する測定試料の測定結果であり、欠陥準位による吸収係数は、1.75×1
-2cm-1であった。
【0275】
したがって、加熱処理により、酸化物半導体膜に含まれる欠陥を低減することができる。
【0276】
なお、第1の酸化物半導体膜および第2の酸化物半導体膜に関し、X線反射率法(XRR
(X-ray Reflectometry))を用いた膜密度の測定を行った。第1の
酸化物半導体膜の膜密度は、5.9g/cmであり、第2の酸化物半導体膜の膜密度は
6.1g/cmであった。
【0277】
したがって、加熱処理により、酸化物半導体膜の膜密度を高めることができる。
【0278】
即ち、酸化物半導体膜において、膜密度が高い程、膜中に含まれる欠陥が少ないことがわ
かる。
【0279】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0280】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできるCAAC-OS膜について、電
子線回折パターン、および局在準位について説明する。
【0281】
本実施の形態に用いるCAAC-OS膜は、In-Ga-Zn酸化物(In:Ga:Zn
=1:1:1[原子数比])であるターゲット、および酸素を含む成膜ガスを用いたスパ
ッタリング法で形成したIn-Ga-Zn系酸化物膜である。当該CAAC-OS膜の作
製方法等の詳細な説明は、実施の形態1、2を参照することができる。
【0282】
図20にCAAC-OS膜の断面TEM(Transmission Electron
Microscope(透過型電子顕微鏡))像を示す。また、図21図20のポイ
ント1乃至ポイント4において電子線回折を用いて測定した電子線回折パターンを示す。
【0283】
図20に示す断面TEM画像は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製「H-9
000NAR」)を用い、加速電圧を300kV、倍率200万倍で撮影した画像である
。また、図21に示す電子線回折パターンは、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー
ズ製「HF-2000」)を用い、加速電圧を200kV、ビーム径を約1nmφまたは
約50nmφとした電子線回折パターンである。なお、ビーム径が10nmφ以下とした
電子線回折を、特に極微電子線回折と呼ぶことがある。また、ビーム径を約1nmφとし
た場合の電子線回折での測定範囲は、5nmφ以上10nmφ以下である。
【0284】
図20に示すポイント1(膜表面側)、ポイント2(膜中央)、ポイント3(膜下地側)
における電子線回折パターンが図21(A)、(B)、(C)にそれぞれ対応しており、
電子ビーム径を約1nmφとした電子線回折パターンである。また、図20に示すポイン
ト4(膜全体)における電子線回折パターンが図21(D)であり、電子ビーム径を約5
0nmφとした電子線回折パターンである。
【0285】
ポイント1(膜表面側)およびポイント2(膜中央)の電子線回折パターンは、スポット
(輝点)によるパターンの形成が確認できるが、ポイント3(膜下地側)では、ややパタ
ーンが崩れている。これは、CAAC-OS膜の膜厚方向において、結晶状態が異なるこ
とを示唆している。なお、ポイント4(膜全体)においては、スポット(輝点)によるパ
ターンの形成が確認できることから、膜全体としてはCAAC-OS膜である、または、
CAAC-OS膜を含む膜であるということができる。
【0286】
図22は、図20におけるポイント1(膜表面側)の近傍の拡大写真である。層間絶縁膜
である酸化窒化珪素膜との界面までCAAC-OS膜の配向性を示す明瞭な格子像を確認
することができる。
【0287】
図23(A)、(B)は、図20の断面TEM観察に用いたCAAC-OS膜とは異なる
CAAC-OS膜の断面TEM写真とX線回折スペクトルである。CAAC-OS膜は様
々な形態があり、図23(B)に示すような2θ=31°近傍に結晶成分を示すピークA
が現れる。なお、当該ピークは明瞭に現れない場合もある。
【0288】
図23(A)のCAAC-OS膜に同心円で示す領域において、電子線のビーム径を1n
mφ、20nmφ、50nmφ、70nmφとして、電子線回折を行った結果を図24
A)、(B)、(C)、(D)に示す。電子線のビーム径が1nmφにおいては、図21
(A)、(B)と同様に明瞭なスポット(輝点)によるパターンの形成を確認することが
できる。電子線のビーム径を大きくしていくとスポット(輝点)がやや不明瞭になるが、
回折パターンは確認することができ、膜全体としてはCAAC-OS膜である、またはC
AAC-OS膜を含む膜であるということができる。
【0289】
図25(A)、(B)は、図23(A)の断面TEM観察に用いたCAAC-OS膜を4
50℃でアニールした後の断面TEM写真とX線回折スペクトルである。
【0290】
図25(A)のCAAC-OS膜に同心円で示す領域において、電子線のビーム径を1n
mφ、20nmφ、50nmφ、70nmφとして、電子線回折を行った結果を図26
A)、(B)、(C)、(D)に示す。図24に示した結果と同様に、電子線のビーム径
が1nmφにおいては、明瞭なスポット(輝点)によるパターンの形成を確認することが
できる。また、電子線のビーム径を大きくしていくとスポット(輝点)がやや不明瞭にな
るが、回折パターンは確認することができ、膜全体としてはCAAC-OS膜である、ま
たはCAAC-OS膜を含む膜であるということができる。
【0291】
図27(A)、(B)は、図20の断面TEM写真に用いたCAAC-OS膜、および図
23(A)の断面TEM観察に用いたCAAC-OS膜とは異なるCAAC-OS膜の断
面TEM写真とX線回折スペクトルである。CAAC-OS膜は様々な形態があり、図2
7(B)に示すように2θ=31°近傍に結晶成分を示すピークAが現れるとともに、ス
ピネル結晶構造に由来するピークBが現れる場合もある。
【0292】
図27(A)のCAAC-OS膜に同心円で示す領域において、電子線のビーム径を1n
mφ、20nmφ、50nmφ、90nmφとして、電子線回折を行った結果を図28
A)、(B)、(C)、(D)に示す。電子線のビーム径が1nmφにおいては、明瞭な
スポット(輝点)によるパターンの形成を確認することができる。また、電子線のビーム
径を大きくしていくとスポット(輝点)がやや不明瞭になるが、回折パターンは確認する
ことができる。また、ビーム径90nmφでは、より明瞭なスポット(輝点)を確認する
ことができる。したがって、膜全体としてはCAAC-OS膜である、またはCAAC-
OS膜を含む膜であるということができる。
【0293】
ここで、CAAC-OS膜の局在準位について説明する。ここでは、CAAC-OS膜を
CPM(Constant photocurrent method)測定で評価した
結果について説明する。
【0294】
まず、CPM測定した試料の構造について説明する。
【0295】
測定試料は、ガラス基板上に設けられた酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜に接する一
対の電極と、酸化物半導体膜および一対の電極を覆う絶縁膜と、を有する。
【0296】
次に、測定試料に含まれる酸化物半導体膜の形成方法について説明する。
【0297】
In-Ga-Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])であるターゲッ
トを用い、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、
圧力を0.4Paとし、基板温度を400℃とし、DC電力を0.5kW印加する条件を
用いたスパッタリング法により、酸化物半導体膜を形成した。次に、450℃の窒素雰囲
気で1時間加熱した後、450℃の酸素雰囲気で1時間加熱して、酸化物半導体膜に含ま
れる水素を脱離させる処理および酸化物半導体膜に酸素を供給する処理を行った。なお、
当該酸化物半導体膜はCAAC-OS膜である。
【0298】
次に、酸化物半導体膜を有する測定試料についてCPM測定を行った。具体的には、酸化
物半導体膜に接して設けた一対の電極間に電圧を印加した状態で光電流値が一定となるよ
うに端子間の試料面に照射する光量を調整し、所望の波長の範囲において照射光量から吸
収係数を導出した。
【0299】
各測定試料をCPM測定して得られた吸収係数からバンドテイル起因の吸収係数を除いた
吸収係数、即ち欠陥に起因する吸収係数を図12に示す。図12において、横軸は吸収係
数を表し、縦軸は光エネルギーを表す。なお、図12の縦軸において、酸化物半導体膜の
伝導帯の下端を0eVとし、価電子帯の上端を3.15eVとする。また、図12におい
て、曲線は吸収係数と光エネルギーの関係を示し、欠陥準位に相当する。
【0300】
図12に示す曲線において、欠陥準位による吸収係数は、5.86×10-4cm-1
あった。即ち、CAAC-OS膜は、欠陥準位による吸収係数が1×10-3/cm未満
、好ましくは1×10-4/cm未満であり、欠陥準位密度の低い膜である。
【0301】
なお、酸化物半導体膜に関し、X線反射率法(XRR(X-ray Reflectom
etry))を用いた膜密度の測定を行った。酸化物半導体膜の膜密度は、6.3g/c
であった。即ち、CAAC-OS膜は、膜密度の高い膜である。
【0302】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0303】
(実施の形態5)
上記実施の形態で一例を示したトランジスタおよび容量素子を用いて表示機能を有する半
導体装置(表示装置)を作製することができる。また、トランジスタを含む駆動回路の一
部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成すること
ができる。本実施の形態では、上記実施の形態で一例を示したトランジスタを用いた表示
装置の例について、図29乃至図31を用いて説明する。なお、図30は、図29(B)
中でM-Nの一点鎖線で示した部位の断面構成を示す断面図である。なお、図30におい
て、画素部の構造は一部のみ記載している。
【0304】
図29(A)において、第1の基板901上に設けられた画素部902を囲むようにして
、シール材905が設けられ、第2の基板906によって封止されている。図29(A)
においては、第1の基板901上のシール材905によって囲まれている領域とは異なる
領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体または多結晶半導体で形成された第2の駆
動回路903、および第1の駆動回路904が実装されている。また、第2の駆動回路9
03、第1の駆動回路904、または画素部902に与えられる各種信号および電位は、
FPC(Flexible printed circuit)918a、FPC918
bから供給されている。
【0305】
なお、第1の駆動回路904は、走査線駆動回路としての機能を有する。また、第2の駆
動回路903は、信号線駆動回路としての機能を有する。
【0306】
図29(B)および図29(C)において、第1の基板901上に設けられた画素部90
2と、第1の駆動回路904とを囲むようにして、シール材905が設けられている。ま
た画素部902と、第1の駆動回路904の上に第2の基板906が設けられている。よ
って画素部902と、第1の駆動回路904とは、第1の基板901とシール材905と
第2の基板906とによって、表示素子と共に封止されている。図29(B)および図2
9(C)においては、第1の基板901上のシール材905によって囲まれている領域と
は異なる領域に、別途用意された単結晶半導体または多結晶半導体で形成された第2の駆
動回路903が実装されている。図29(B)および図29(C)においては、第2の駆
動回路903、第1の駆動回路904、または画素部902に与えられる各種信号および
電位は、FPC918から供給されている。
【0307】
また、図29(B)および図29(C)においては、第2の駆動回路903を別途形成し
、第1の基板901に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。第1の
駆動回路を別途形成して実装しても良いし、第2の駆動回路の一部または第1の駆動回路
の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0308】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Ch
ip On Glass)法、ワイヤボンディング法、或いはTCP(Tape car
rier package)などを実装する方法を用いることができる。図29(A)は
、COG方法により第2の駆動回路903、第1の駆動回路904を実装する例であり、
図29(B)は、COG方法により第2の駆動回路903を実装する例であり、図29
C)は、第2の駆動回路903をTCPとして実装する例である。
【0309】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラ
を含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0310】
なお、本明細書における表示装置とは、画像表示デバイスまたは表示デバイスを指す。ま
た、表示装置の代わりに光源(照明装置含む)として機能させることができる。また、コ
ネクター、例えばFPCもしくはTCPが取り付けられたモジュール、TCPの先にプリ
ント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式によりIC(集積回路
)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0311】
また、第1の基板上に設けられた画素部および第1の駆動回路は、トランジスタを複数有
しており、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
【0312】
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子、発光素子などを用いることができる。
液晶素子の一例としては、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御す
る素子がある。その素子は一対の電極と液晶層により構造されることが可能である。なお
、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界または斜め
方向の電界を含む)によって制御される。なお、具体的には、液晶素子の一例としては、
ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、サーモ
トロピック液晶、リオトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(P
DLC)、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖型液晶、側鎖型高分子液晶、バナナ型液晶な
どを挙げることができる。また液晶の駆動方法としては、TN(Twisted Nem
atic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、I
PS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Fie
ld Switching)モード、MVA(Multi-domain Vertic
al Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical
Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モー
ド、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-ce
ll)モード、OCB(Optically Compensated Birefri
ngence)モード、ECB(Electrically Controlled B
irefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liqui
d Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liq
uid Crystal)モード、PDLC(Polymer Dispersed L
iquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network L
iquid Crystal)モード、ゲストホストモード、ブルー相(Blue Ph
ase)モードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子およびその駆動方式と
して様々なものを用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御
される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Lumin
escence)素子、有機EL素子等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用
によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。図30に、表示素子と
して液晶素子を用いた液晶表示装置の例を示す。
【0313】
図30は、縦電界方式の液晶表示装置の断面図である。当該液晶表示装置は、接続端子電
極915および端子電極916を有しており、接続端子電極915および端子電極916
はFPC918が有する端子と異方性導電剤919を介して、電気的に接続されている。
【0314】
接続端子電極915は、第1の電極930と同じ導電膜から形成され、端子電極916は
、トランジスタ910、911のソース電極およびドレイン電極と同じ導電膜で形成され
ている。
【0315】
また、第1の基板901上に設けられた画素部902と、第1の駆動回路904は、トラ
ンジスタを複数有しており画素部902に含まれるトランジスタ910と、第1の駆動回
路904に含まれるトランジスタ911とを例示している。トランジスタ910およびト
ランジスタ911上には実施の形態1に示す絶縁膜129、絶縁膜131、および絶縁膜
132に相当する絶縁膜924が設けられている。また、絶縁膜924上には平坦性を高
めるための絶縁膜934が設けられている。また、絶縁膜923は窒化絶縁膜である。
【0316】
本実施の形態では、トランジスタ910として、上記実施の形態1で示した画素101に
設けられるトランジスタを適用することができる。また、トランジスタ911として、上
記実施の形態1で示した第1の駆動回路104に設けられるトランジスタを適用すること
ができる。なお、トランジスタ911は、導電膜917を設けた構成を例示しているが、
導電膜917を設けない構成であってもよい。
【0317】
また、酸化物半導体膜927、絶縁膜924、絶縁膜934、および第1の電極930を
用いて、容量素子936を構成する。なお、酸化物半導体膜927は、容量線929と電
気的に接続する。容量線929は、トランジスタ910、トランジスタ911のゲート電
極と同じ導電膜から形成される。なお、ここでは、容量素子936として実施の形態1に
示した容量素子を図示したが、適宜他の実施の形態に示した容量素子を用いることができ
る。
【0318】
画素部902に設けられたトランジスタ910は表示素子と電気的に接続し、表示パネル
を構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子を用
いることができる。
【0319】
表示素子である液晶素子913は、第1の電極930、第2の電極931、および液晶層
908を含む。なお、液晶層908を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜932
および絶縁膜933が設けられている。また、第2の電極931は第2の基板906側に
設けられ、第1の電極930と第2の電極931とは液晶層908を介して重なる構成と
なっている。
【0320】
表示素子に電圧を印加するために設けられる第1の電極930および第2の電極931(
画素電極、共通電極、対向電極などともいう)においては、取り出す光の方向、電極が設
けられる場所、および電極のパターン構造によって透光性、反射性を選択することができ
る。
【0321】
第1の電極930および第2の電極931は、実施の形態1に示す画素電極121と同様
の材料を適宜用いることができる。
【0322】
また、スペーサ935は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサ
であり、第1の電極930と第2の電極931との間隔(セルギャップ)を制御するため
に設けられている。なお、球状のスペーサを用いていてもよい。
【0323】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液
晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これら
の液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイ
ラルネマチック相、等方相等を示す。
【0324】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つで
あり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直
前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善
するためにカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。なお、配向膜は
有機樹脂で構成されており、有機樹脂は水素または水などを含むことから、本発明の一態
様である半導体装置のトランジスタの電気特性を低下させるおそれがある。そこで、液晶
層として、ブルー相を用いることで、有機樹脂を用いずに本発明の一態様である半導体装
置を作製することができ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0325】
第1の基板901および第2の基板906はシール材925によって固定されている。シ
ール材925は、熱硬化樹脂、光硬化樹脂などの有機樹脂を用いることができる。また、
シール材925は、絶縁膜924と接している。なお、シール材925は図29に示すシ
ール材905に相当する。
【0326】
シール材925は、絶縁膜924上に設けられている。また、絶縁膜934は、シール材
925の内側に設けられている。絶縁膜924の最上層は窒化絶縁膜であり、外部から水
素や水などの不純物の侵入を抑制することが可能である。一方、絶縁膜934は、透湿性
が高い。このため、絶縁膜934をシール材925の内側に設け、絶縁膜924上にシー
ル材925を設けることで、外部から水素や水などの不純物の侵入を抑制し、トランジス
タ910およびトランジスタ911の電気特性の変動を抑制することができる。
【0327】
また、液晶表示装置において、ブラックマトリクス(遮光膜)、偏光部材、位相差部材、
反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板および位
相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトな
どを用いてもよい。
【0328】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路
を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0329】
図31に、図30に示す液晶表示装置において、基板906に設けられた第2の電極93
1と電気的に接続するための共通接続部(パッド部)を、基板901上に形成する例を示
す。
【0330】
共通接続部は、基板901と基板906とを接着するためのシール材と重なる位置に配置
され、シール材に含まれる導電性粒子を介して第2の電極931と電気的に接続される。
または、シール材と重ならない箇所(但し、画素部を除く)に共通接続部を設け、共通接
続部に重なるように導電性粒子を含むペーストをシール材とは別途設けて第2の電極93
1と電気的に接続してもよい。
【0331】
図31(A)の右側は、画素部に設けられるトランジスタ910の断面図であり、図31
(A)の左側は、当該トランジスタと同じ工程を利用して形成することのできる共通接続
部の断面図である。図31(A)に示す共通接続部は、図31(B)に示す共通接続部の
上面図におけるI-Jの断面に相当する。
【0332】
共通電位線975は、ゲート絶縁膜922上に設けられ、トランジスタ910のソース電
極971またはドレイン電極973と同じ材料および同じ工程を利用して作製される。
【0333】
また、共通電位線975は、絶縁膜924および絶縁膜934で覆われ、絶縁膜924お
よび絶縁膜934は、共通電位線975と重なる位置に複数の開口を有している。この開
口は、トランジスタ910のソース電極971またはドレイン電極973の一方と、第1
の電極930とを接続するコンタクトホールと同じ工程を利用して作製される。
【0334】
また、共通電位線975および共通電極977は、絶縁膜924および絶縁膜934に設
けられる開口において電気的に接続する。共通電極977は、絶縁膜934上に設けられ
、接続端子電極915や、画素部の第1の電極930と同じ材料および同じ工程を利用し
て作製される。
【0335】
このように、画素部902のスイッチング素子の作製工程と共通させて共通接続部を作製
することができる。
【0336】
共通電極977は、シール材に含まれる導電性粒子と接触する電極であり、基板906の
第2の電極931と電気的に接続が行われる。
【0337】
また、図31(C)に示すように、共通電位線985をトランジスタ910のゲート電極
と同じ材料、同じ工程を利用して作製してもよい。
【0338】
図31(C)に示す共通接続部において、共通電位線985は、ゲート絶縁膜922、絶
縁膜924および絶縁膜934の下層に設けられ、ゲート絶縁膜922、絶縁膜924お
よび絶縁膜934は、共通電位線985と重なる位置に複数の開口を有する。該開口は、
トランジスタ910のソース電極971またはドレイン電極973の一方と第1の電極9
30とを接続するコンタクトホールと同じ工程を利用して絶縁膜924および絶縁膜93
4をエッチングした後、さらにゲート絶縁膜922を選択的にエッチングすることで形成
される。
【0339】
また、共通電位線985および共通電極987は、ゲート絶縁膜922、絶縁膜924お
よび絶縁膜934に設けられる開口において電気的に接続する。共通電極987は、絶縁
膜934上に設けられ、接続端子電極915や、画素部の第1の電極930と同じ材料お
よび同じ工程を用いて作製される。
【0340】
以上より、上記実施の形態で示したトランジスタおよび容量素子を適用することで、開口
率を高めつつ、電荷容量を増大させた容量素子を有する半導体装置を提供することができ
る。この結果、表示品位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0341】
また、トランジスタに含まれる半導体膜である酸化物半導体膜は酸素欠損が低減され、水
素などの不純物が低減されていることから、本発明の一態様である半導体装置は、良好な
電気特性を有する半導体装置となる。
【0342】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0343】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用することのできる画像情報の処理
および表示が可能な情報処理装置の構成について、図32および図33を参照しながら説
明する。
【0344】
具体的には、画素を選択するG信号を30Hz(1秒間に30回)以上の頻度、好ましく
は60Hz(1秒間に60回)以上960Hz(1秒間に960回)未満の頻度で出力す
る第1のモードと、11.6μHz(1日に1回)以上0.1Hz(1秒間に0.1回)
未満の頻度、好ましくは0.28mHz(1時間に1回)以上1Hz(1秒間に1回)未
満の頻度で出力する第2のモードを備える情報処理装置について説明する。
【0345】
本発明の一態様の情報処理装置を用いて静止画を表示すると、リフレッシュレートを1H
z未満、好ましくは0.2Hz以下とすることができ、使用者の目にやさしい表示、使用
者の目の疲労を軽減する表示、使用者の目に負担を与えない表示をすることができる。ま
た、表示部に表示する画像の性質に応じて最適な頻度で表示画像をリフレッシュすること
ができる。具体的には、動画をなめらかに表示する場合に比べて、リフレッシュを低い頻
度で行うことにより、フリッカーの少ない静止画を表示することができる。加えて、消費
電力を低減する効果も奏する。
【0346】
図32は、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置の構成を説明するブロック図
である。
【0347】
図33は、本発明の一態様の表示装置が備える表示部の構成を説明するブロック図である
【0348】
本実施の形態で説明する表示機能を有する情報処理装置600は、表示装置640、演算
装置620並びに入力手段500(図32参照)を有する。
【0349】
表示装置640は、表示部630および制御部610を有する(図32参照)。一次画像
信号625_Vおよび一次制御信号625_Cが表示装置640に供給され得る。表示装
置640は、画像情報を表示部630に表示できる。
【0350】
一次画像信号625_Vは、画像の階調情報(輝度情報ともいえる)の他、例えば色度情
報等を含む。
【0351】
一次制御信号625_Cは、例えば表示装置640の走査動作のタイミング等を制御する
ための信号などを含む。
【0352】
なお、電源電位等は表示装置640の制御部610および表示部630に供給される。
【0353】
制御部610は、表示部630を制御する機能を有する。例えば、二次画像信号615_
Vおよび/または二次制御信号615_C等を生成する。
【0354】
制御部610が極性決定回路を備える構成としてもよい。極性決定回路は、信号の極性を
フレーム毎に反転できる。
【0355】
極性決定回路は、二次画像信号615_Vの極性を反転するタイミングを通知し、当該タ
イミングに従って、制御部610が二次画像信号615_Vの極性を反転する機能を備え
る構成としてもよい。なお、二次画像信号615_Vの極性を、制御部610内において
反転してもよいし、制御部610からの命令に従って、表示部630内において反転して
もよい。
【0356】
また、極性決定回路がカウンタと信号生成回路を有し、同期信号を用いて二次画像信号6
15_Vの極性を反転させるタイミングを定める機能を有してもよい。
【0357】
なお、カウンタは、水平同期信号のパルスを用いてフレーム期間の数を数える機能を有す
る。また、信号生成回路は、二次画像信号615_Vの極性を反転させるタイミングを、
制御部610に通知する機能を有する。これにより、カウンタにおいて得られたフレーム
期間の数の情報を用いて、連続する複数フレーム期間ごとに二次画像信号615_Vの極
性を反転することができる。
【0358】
二次画像信号615_Vには、画像情報を含めることができる。
【0359】
例えば、制御部610は、二次画像信号615_Vを一次画像信号625_Vから生成し
、当該二次画像信号615_Vを出力してもよい。
【0360】
また、制御部610は、一次画像信号625_Vと基準電位Vscの差を振れ幅とし、極
性がフレーム毎に反転する信号を二次画像信号615_Vとして生成してもよい。
【0361】
二次制御信号615_Cには、表示部630の第1の駆動回路(G駆動回路632ともい
う)を制御するための信号または第2の駆動回路(S駆動回路633ともいう)を制御す
るための信号を含めることができる。
【0362】
例えば、制御部610が、垂直同期信号、水平同期信号などの同期信号を含む一次制御信
号625_Cから二次制御信号615_Cを生成してもよい。
【0363】
二次制御信号615_Cは、例えばスタートパルス信号SP、ラッチ信号LP、パルス幅
制御信号PWC、クロック信号CKなどを含む。
【0364】
具体的には、二次制御信号615_Cには、S駆動回路633の動作を制御するS駆動回
路用のスタートパルス信号SP、S駆動回路用のクロック信号CK、ラッチ信号LPなど
を含めることができる。また、G駆動回路632の動作を制御するG駆動回路用のスター
トパルス信号SP、G駆動回路用のクロック信号CK、パルス幅制御信号PWCなどを含
めることができる。
【0365】
表示部630は、画素部631、第1の駆動回路(G駆動回路632ともいう)並びに第
2の駆動回路(S駆動回路633ともいう)を有する。
【0366】
画素部631は、表示光に420nmより短い波長の光を含まず、且つ150ppi以上
の精細度で設けられた複数の画素631pおよび当該複数の画素を接続する配線を有する
。それぞれの画素631pは、走査線Gの少なくとも一つと接続され、信号線Sの少なく
とも一つと接続されている。なお、配線の種類およびその数は、画素631pの構成、数
および配置に依存する。
【0367】
例えば、画素631pが、x列×y行のマトリクス状に画素部631に配置されている場
合、信号線S1乃至信号線Sx並びに走査線G1乃至走査線Gyを、画素部631内に配
置する(図33(A-1)参照)。複数の走査線(G1乃至Gy)はG信号を行毎に供給
することができる。複数の信号線(S1乃至Sx)は複数の画素にS信号を供給すること
ができる。
【0368】
G駆動回路632は、G信号632_Gの供給を制御して、走査線Gを選択できる(図3
2参照)。
【0369】
例えば、画素部631を複数の領域(具体的には第1領域631a、第2領域631bお
よび第3領域631c)に分割して駆動してもよい(図33(A-2)参照)。
【0370】
各領域には、複数の画素631p、当該画素631pを行毎に選択するための複数の走査
線G並びに選択された画素631pにS信号633_Sを供給するための複数の信号線S
を設けることができる。
【0371】
また、複数のG駆動回路(具体的には第1G駆動回路632a、第2G駆動回路632b
および第3G駆動回路632c)を設けてもよい。
【0372】
G駆動回路は、G信号632_Gの供給を制御して、各領域に設けられた走査線G(具体
的には第1G駆動回路632aは走査線G1乃至Gj、第2G駆動回路632bは走査線
Gj+1乃至G2jおよび第3G駆動回路632cは走査線G2j+1乃至Gy)を選択
できる。
【0373】
G駆動回路は、画素回路634を選択する第1の駆動信号(G信号ともいう)632_G
を画素回路634に出力する。G駆動回路632は、各走査線を選択するG信号632_
Gを各走査線に30Hz(1秒間に30回)以上の頻度、好ましくは60Hz(1秒間に
60回)以上960Hz(1秒間に960回)未満の頻度で出力する第1のモードと、1
1.6μHz(1日に1回)以上0.1Hz(1秒間に0.1回)未満の頻度、好ましく
は0.28mHz(1時間に1回)以上1Hz(1秒間に1回)未満の頻度で出力する第
2のモードを備える。
【0374】
G駆動回路632は、第1のモードと第2のモードを切り替えて動作することができる。
例えば、モード切り替え信号を含む二次制御信号615_Cまたは二次制御信号615_
Cに含まれるG駆動回路用のスタートパルスを用いて、G駆動回路632の第1のモード
と第2のモードを切り替えることができる。具体的には、制御部610が出力するG駆動
回路用のスタートパルスの出力頻度を制御してもよい。
【0375】
G信号632_Gは、G駆動回路632により生成される。G信号632_Gは、行毎に
画素631pに出力され、画素631pは行毎に選択される。
【0376】
表示部630は、S駆動回路633を有していても良い。S駆動回路は、第2の駆動信号
(S信号633_Sともいう)を二次画像信号615_Vから生成し、当該S信号633
_Sの信号線S(具体的にはS1乃至Sx)への供給を制御する。
【0377】
S信号633_Sは、画像の階調情報等を含む。S信号633_SはG信号632_Gに
選択された画素631pに供給される。
【0378】
画素部631は、複数の画素631pを有する。
【0379】
画素631pは、表示素子635と当該表示素子635を含む画素回路634を備える(
図32参照)。
【0380】
画素回路634は、供給されるS信号633_Sを保持し、表示素子635に画像情報の
一部を表示する。なお、表示素子635の種類または駆動方法に応じた構成を選択して画
素回路634に用いることができる。
【0381】
画素回路634の一例として、液晶素子635LCを表示素子635に適用する構成を図
33(B-1)に示す。
【0382】
画素回路634は、G信号632_Gが入力されるゲート電極と、S信号が入力される第
1の電極とを備えるトランジスタ634tと、トランジスタ634tの第2の電極に電気
的に接続される第1の電極と、共通電位が供給される第2の電極を備える液晶素子635
LCと、を具備する。
【0383】
画素回路634は、S信号633_Sの表示素子635への供給を制御するトランジスタ
634tを有する。
【0384】
トランジスタ634tのゲートは、走査線G1から走査線Gyのいずれか1つに接続され
ている。トランジスタ634tのソースおよびドレインの一方は、信号線S1から信号線
Sxのいずれか1つに接続され、トランジスタ634tのソースおよびドレインの他方は
、表示素子635の第1電極に接続されている。
【0385】
画素631pはトランジスタ634tをS信号633_Sの画素631pへの入力を制御
するスイッチング素子として用いる。また、複数のトランジスタを一つのスイッチング素
子として画素631pに用いてもよい。上記複数のトランジスタを並列に接続して一つの
スイッチング素子として用いてもよいし、直列に接続して用いても、直列と並列が組み合
わされた接続を用いてもよい。
【0386】
画素631pは、必要に応じて液晶素子635LCの第1電極と第2電極間の電圧を保持
するための容量素子634cの他、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、イ
ンダクタなどのその他の回路素子を有していても良い。表示素子635の第2電極には、
所定の共通電位Vcomが与えられている。
【0387】
容量素子634cの容量は適宜調整すればよい。例えば、後述する第2のモードにおいて
、S信号633_Sを比較的長い期間(具体的には、1/60sec以上)保持する場合
には、容量素子634cを設ける。また、容量素子634c以外の構成を用いて、画素回
路634の容量を調節してもよい。また、液晶素子635LCの第1の電極と第2の電極
を重ねて設ける構成により、実質的に容量素子を形成してもよい。
【0388】
画素回路の他の一例として、EL素子635ELを表示素子635に適用する構成を図3
3(B-2)に示す。
【0389】
画素回路634ELは、G信号632_Gが入力されるゲート電極と、S信号が入力され
る第1の電極と、容量素子634cの第1の電極と電気的に接続される第2の電極と、を
有する第1のトランジスタ634t_1を有する。また、第1のトランジスタ634t_
1の第2の電極に電気的に接続されるゲート電極と、容量素子634cの第2の電極と電
気的に接続される第1の電極と、EL素子635ELの第1の電極と電気的に接続される
第2の電極と、を有する第2のトランジスタ634t_2を有する。また、容量素子63
4cの第2の電極と、第2のトランジスタ634t_2の第1の電極には、電源電位が供
給され、EL素子635ELの第2の電極には、共通電位が供給される。なお、電源電位
と共通電位の電位差は、EL素子635ELの発光開始電圧よりも大きい。
【0390】
画素回路634において、トランジスタ634tは、信号線Sの電位を表示素子635の
第1電極に与えるか否かを制御する。
【0391】
なお、本発明の一態様の表示装置に好適なトランジスタとして酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタを適用することができる。酸化物半導体を用いたトランジスタの詳細については
、実施の形態1および2の記載を参酌することができる。
【0392】
酸化物半導体膜が適用されたトランジスタは、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク
電流(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものと
することができる。オフ電流が極めて小さいトランジスタを表示部の画素部に用いること
により、フリッカーの発生を抑制しつつ、フレーム周波数を下げることができる。
【0393】
表示素子635は、液晶素子635LCに限られず、例えば電圧を加えることでルミネッ
センス(Electroluminescence)が発生するOLED素子や、電気泳
動を用いる電子インクなど、さまざまな表示素子を適用できる。
【0394】
例えば、液晶素子635LCの偏光の透過率は、S信号633_Sの電位により制御する
ことができ、これにより階調を表示することができる。
【0395】
例えば、透過型の液晶素子を表示素子635に適用する場合、光供給部650を表示部6
30に設けことができる。光供給部650は光源を有する。制御部610は、光供給部6
50が有する光源の駆動を制御する。液晶素子が設けられた画素部631に光を供給し、
バックライトとして機能する。
【0396】
光供給部650の光源としては、冷陰極蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、OLE
D素子などを用いることができる。
【0397】
特に、光源が発する青色の光の強度を他の色の光の強度より弱めた構成が好ましい。光源
が発する光に含まれる青色を呈する光は、眼の角膜や水晶体で吸収されずに、網膜まで到
達するため、長期的な網膜への影響(例えば、加齢黄斑変性など)や、夜中まで青色の光
に暴露された際の概日リズム(サーカディアン・リズム:Circadian rhyt
hm)への悪影響などを低減できる。具体的には、400nm以下、好ましくは420n
m以下、より好ましくは440nm以下の波長を有する光(UVAともいう)を含まない
光を発する光源が好ましい。
【0398】
なお、本発明の一態様の半導体装置における画素では、上記波長を有する光を吸収し、透
過しにくい特徴を有する。したがって、上記波長を有する光を発する光源を用いても、本
発明の一態様の半導体装置を用いることによって、上記波長を有する光を低減または遮断
することができる。
【0399】
演算装置620は、一次画像信号625_Vおよびモード切り替え信号を含む一次制御信
号625_Cを生成する。
【0400】
モード切り替え信号は、情報処理装置600の使用者の命令により生成してもよい。
【0401】
情報処理装置600の使用者は、入力手段500を用いて表示を切り替える命令をするこ
とができる。画像切り替え信号500_Cが演算装置620に供給され、演算装置620
がモード切り替え信号を含む一次制御信号625_Cを出力するように構成して良い。
【0402】
モード切り替え信号を含む一次制御信号625_Cが、表示装置640の制御部610に
供給され、制御部がモード切り替え信号を含む二次制御信号615_Cを出力する。
【0403】
例えば、第2のモードから第1のモードに切り替えるモード切り替え信号を含む一次制御
信号625_Cが、G駆動回路632に供給されると、G駆動回路632は第2のモード
から第1のモードに切り替わる。そして、G駆動回路632はG信号を1フレーム分以上
出力し、その後第2のモードに切り替わる。
【0404】
具体的には、入力手段500がページめくり動作を検知した場合に、画像切り替え信号5
00_Cを演算装置620に出力するように構成してもよい。
【0405】
演算装置620は、ページめくり動作を含む一次画像信号625_Vを生成し、当該一次
画像信号625_Vと共にモード切り替え信号を含む一次制御信号625_Cを出力する
【0406】
当該一次画像信号625_Vと当該一次制御信号625_Cが供給された制御部610は
、モード切り替え信号を含む二次制御信号615_Cと、ページめくり動作を含む二次画
像信号615_Vを供給する。
【0407】
モード切り替え信号を含む二次制御信号615_Cが供給されたG駆動回路632は、第
2のモードから第1のモードに切り替わり、高い頻度でG信号632_Gを出力する。
【0408】
ページめくり動作を含む二次画像信号615_Vが供給されたS駆動回路633は、当該
二次画像信号615_Vから生成したS信号633_Sを画素回路634に出力する。
【0409】
これにより、画素631pは、ページめくり動作を含む多数のフレーム画像を高い頻度で
書き換えることができる。その結果、ページめくり動作を含む二次画像信号615_Vを
なめらかに表示できる。
【0410】
演算装置620が、表示部630に出力する一次画像信号625_Vが動画像か静止画像
かを判別し、その判別結果に応じてモード切り替え信号を含む一次制御信号625_Cを
出力するように構成して良い。
【0411】
具体的には、一次画像信号625_Vが動画像である場合において、当該演算装置620
が第1のモードを選択する切り替え信号を出力し、静止画像である場合において、当該演
算装置620が第2のモードを選択する切り替え信号を出力する構成としてもよい。
【0412】
なお、動画像か静止画像かを判別する方法としては、一次画像信号625_Vに含まれる
一のフレームとその前後のフレームの信号の差分が、あらかじめ定められた差分より大き
いときに動画像と、それ以下のとき静止画像と、判別すればよい。
【0413】
制御部610が、G駆動回路の動作モードを一のモードから他のモードに切り替えるとき
(例えば、第2のモードから第1のモードに切り替えるとき)G駆動回路は、G信号63
2_Gを1回以上の所定の回数出力した後に、他のモードに切り替わる構成としてもよい
【0414】
入力手段500としては、タッチパネル、タッチパッド、マウス、ジョイスティック、ト
ラックボール、データグローブ、撮像装置などを用いることができる。演算装置620は
、入力手段500から入力される電気信号と表示部の座標を関連づけることができる。こ
れにより、使用する者が表示部に表示される情報を処理するための命令を入力することが
できる。
【0415】
使用する者が入力手段500から入力する情報としては、例えば表示部に表示される画像
の表示位置を変えるためにドラッグする命令、表示されている画像を送り次の画像を表示
するためにスワイプする命令、帯状の画像を順に送るためにスクロールする命令、特定の
画像を選択する命令、画像を表示する大きさを変化するためにピンチ・イン、ピンチ・ア
ウトする命令の他、手書き文字入力する命令などを挙げることができる。
【0416】
なお、照度は、単位面積の被照面に単位時間あたりに入射される、目の分光感度が加味さ
れた光の量である。
【0417】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0418】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を用いた情報処理装置の情報処理方法に
ついて、図34を参照しながら説明する。
【0419】
具体的には、本発明の一態様の半導体装置を用いた情報処理装置の表示部で表示可能な画
像の生成方法について説明する。特に、表示部に表示された画像を他の画像に書き換える
際に使用者の目にやさしい画像の切り替え方法、使用者の目の疲労を軽減する画像の切り
替え方法、使用者の目に負担を与えない画像の切り替え方法について説明する。
【0420】
図34は本発明の一態様の半導体装置を用いた情報処理装置の構成を説明するブロック図
および画像データを説明するための模式図である。
【0421】
本発明の一態様は、情報処理装置の表示部において、緩やかに表示画像を書き換えるもの
である。
【0422】
これにより、表示の切り替え時に使用者の目に加わる負担が軽減される。その結果、演算
部が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規な情報処理方法を提供できる。
【0423】
画像を素早く切り替えて表示すると、使用者の眼精疲労を誘発する場合がある。例えば、
著しく異なる場面が切り換わる動画像や、異なる静止画を切り換える場合などが含まれる
【0424】
異なる画像を切り替えて表示する際には、瞬間的に表示を切り換えるのではなく、緩やか
に(静かに)、自然に画像を切り替えて表示することが好ましい。
【0425】
例えば、第1の静止画像から第2の静止画像に表示を切り替える場合、第1の静止画像と
第2の静止画像の間に第1の静止画像がフェードアウトして表示される動画像または/お
よび第2の静止画像がフェードインする動画像を挿入すると好ましい。また、第1の静止
画像がフェードアウトすると同時に、第2の静止画像がフェードインする(クロスフェー
ドともいう)ように、両者の画像を重ね合わせた動画像を挿入してもよく、第1の静止画
像が第2の静止画像に次第に変化する様子(モーフィングともいう)を表示する動画像を
挿入しても良い。
【0426】
なお、第1の静止画像データを低いリフレッシュレートで表示し、続いて画像の切り替え
のための画像を高いリフレッシュレートで表示した後に、第2の静止画像データを低いリ
フレッシュレートで表示してもよい。
【0427】
以下に、互いに異なる画像Aと画像Bとを切り換える方法の一例について説明する。
【0428】
図34(A)は、画像の切り換え動作を行うことができる表示部の構成を示すブロック図
である。図34(A)に示す表示部は、演算部701、記憶部702、制御部703、お
よび表示部704を備える。
【0429】
第1のステップにおいて、演算部701は外部記憶部等から画像A、および画像Bの各デ
ータを記憶部702に格納する。
【0430】
第2のステップにおいて、演算部701は、予め設定された分割数の値に応じて、画像A
と画像Bの各画像データを元に新たな画像データを順次生成する。
【0431】
第3のステップにおいて、生成した画像データを制御部703に出力する。制御部703
は入力された画像データを表示部704に表示させる。
【0432】
図34(B)は、画像Aから画像Bにかけて段階的に画像を切り換える際の、生成される
画像データを説明するための模式図である。
【0433】
図34(B)では、画像Aから画像BにかけてN(Nは自然数)個の画像データを生成し
、それぞれ1個あたりの画像データをf(fは自然数)フレーム期間表示した場合につい
て示している。したがって、画像Aから画像Bに切り替わるまでの期間は、f×Nフレー
ムとなる。
【0434】
ここで、上述したN、およびfなどのパラメータは、使用者が自由に設定可能であること
が好ましい。演算部701はこれらのパラメータを予め取得し、当該パラメータに応じて
、画像データを生成する。
【0435】
i番目に生成される画像データ(iは1以上N以下の整数)は、画像Aの画像データと画
像Bの画像データに対して、それぞれに重み付けを行って足し合わせることで生成できる
。例えば、ある画素において、画像Aを表示したときの輝度(階調)をa、画像Bを表示
したときの輝度(階調)をbとすると、i番目に生成される画像データを表示したときの
当該画素の輝度(階調)cは式1に示す値となる。なお、階調とは表示部が表示する濃淡
の段階のことである。白と黒の2段階のみを有する画像は2階調の階調を有する画像とい
うことができる。例えば、従来のパーソナルコンピューターの表示部は、赤色、緑色、青
色を表示する副画素を有する。それぞれの副画素には、256段階の濃淡を表示するため
の信号が入力される。
【0436】
【数1】
【0437】
このような方法により生成された画像データを用いて、画像Aから画像Bに切り換えるこ
とで、緩やかに(静かに)、自然に不連続な画像を切り替えることができる。
【0438】
なお、式1において、全ての画素についてa=0の場合が、黒画像から徐々に画像Bに切
り替わるフェードインに相当する。また、全ての画素についてb=0の場合が、画像Aか
ら徐々に黒画像に切り替わるフェードアウトに相当する。
【0439】
上記では、2つの画像を一時的にオーバーラップさせて画像を切り換える方法について述
べたが、オーバーラップさせない方法としてもよい。
【0440】
2つの画像をオーバーラップさせない場合、画像Aから画像Bに切り換える場合に、間に
黒画像を挿入してもよい。このとき、画像Aから黒画像に遷移する際、または黒画像から
画像Bに遷移する際、またはその両方に、上述したような画像の切り換え方法を用いても
よい。また、画像Aと画像Bの間に挿入する画像は黒画像だけでなく、白画像などの単一
色の画像を用いてもよいし、画像Aや画像Bとは異なる、多色の画像を用いてもよい。
【0441】
画像Aと画像Bとの間に他の画像、特に黒画像などの単一色の画像を挿入することで、画
像の切り換えのタイミングをより自然に使用者が感じ取ることができ、使用者にストレス
を感じさせることなく画像を切り換えることができる。
【0442】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0443】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を用いた情報処理装置の構成について、
図35および図36を参照しながら説明する。
【0444】
図35は情報処理装置の効果を説明する図である。
【0445】
図36は情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
【0446】
目の疲労には神経系の疲労と筋肉系の疲労の2種類がある。目の疲労を説明する模式図を
図35(A)に示す。
【0447】
神経系の疲労は、表示部が発する光や点滅画面を長時間見続けることで、その明るさが、
眼の網膜、神経または脳を刺激して疲れさせるものである。蛍光灯や従来の表示装置の表
示部が小刻みに明滅する現象をフリッカーというが、このようなフリッカーは神経系の疲
労を引き起こす。
【0448】
筋肉系の疲労は、ピント調節のときに使用する毛様体の筋肉を酷使することにより疲れさ
せるものである。
【0449】
図35(A-1)に、従来の表示部の表示を表す模式図を示す。従来の表示部は、1秒間
に60回の画像の書き換えが行われている。このような画面を長時間見続けることにより
、使用者の眼の網膜、神経または脳を刺激して目の疲労が引き起こされるおそれがある。
【0450】
また、図35(A-2)に示すように、1画素のサイズが大きい場合(例えば精細度が1
50ppi未満の場合)、表示部に表示された文字等の輪郭がぼやけてしまう。表示部に
表示された輪郭がぼやけた文字等を長時間見続けると、毛様体の筋肉が、絶えずピントを
合わせようと動いて緊張し続けることになり、目に負担をかけてしまうおそれがある。
【0451】
なお、目の疲労を定量的に測定する方法が検討されている。例えば、神経系の疲労の評価
指標としては、臨界融合周波数(CFF:Critical Flicker(Fusi
on) Frequency)などが知られている。また、筋肉系の疲労の評価指標とし
ては、調節時間や調節近点距離などが知られている。
【0452】
そのほか、目の疲労を評価する方法として、脳波測定、サーモグラフィ法、瞬きの回数の
測定、涙液量の評価、瞳孔の収縮反応速度の評価や、自覚症状を調査するためのアンケー
ト等がある。
【0453】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、作業環境の照度と表示装置に表示される
画像情報の背景の階調に着眼した。以下に説明する実施の形態には、環境の照度情報と画
像情報の背景の階調情報に着眼して創作された本発明の一態様が含まれる。
【0454】
本発明の一態様の画像情報の処理および表示方法は、環境の照度情報および表示部に表示
する画像情報の背景の階調情報を取得するステップと、これらの情報を用いて画像情報を
、表示光に420nmより短い波長の光を含まず且つ150ppi以上の精細度で設けら
れた複数の画素を具備する表示部に表示するステップと、を有する。これにより、画像情
報を環境の照度に適した明るさで表示することができる。その結果、画像情報の処理およ
び目にやさしい表示ができる新規な画像情報の処理および表示方法を提供できる。
【0455】
本発明の一態様の画像情報の処理および表示方法を適用することができる情報処理装置の
ブロック図の一例を図36に示す。
【0456】
情報処理装置330は、演算部311、記憶部312および伝送路314を有する。伝送
路314は、演算部311、記憶部312および入出力インターフェース315を互いに
接続し、情報の伝送を行う。なお、これらの構成は明確に分離できず、一つの構成が他の
構成を兼ねる場合や他の構成の一部を含む場合がある。例えば、タッチパネルは表示部で
あるとともに入力手段でもある。
【0457】
入出力装置320は、入出力インターフェース315を介して伝送路314に接続される
。入出力装置320は演算装置310の外部から情報を入力または演算装置310の外部
に情報を出力するための装置である。
【0458】
入出力装置320としては、通信機器、ネットワーク接続機器または、ハードディスク、
リムーバブルメモリなどの書き込み可能な外部記憶部をその一例として挙げることができ
る。
【0459】
入力手段321としては、キーボード、マウスまたはタッチパネルなどのヒューマンイン
ターフェース機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなど等のカメラ、スキャナー
、CDROM、DVDROMなど読み取り専用の外部記憶部をその一例としてあげること
ができる。例えば、情報処理装置330の使用者は、入力手段321からページめくり命
令等を入力できる。
【0460】
出力装置としては、表示部322の他、スピーカ、プリンタなどを接続することができる
【0461】
本発明の一態様の情報処理装置330は表示部322を備える。特に、表示部322は、
表示光に420nmより短い波長の光、好ましくは440nmより短波長の光を含まない
。そして、表示領域に150ppi以上、好ましくは200ppi以上の精細度で設けら
れた複数の画素を具備するとよい。これにより、目にやさしい表示をすることが可能にな
る。なお、本明細書において表示光とは、情報処理装置の表示部が画像を表示するために
使用者に向けて発する、または反射する光をいう。
【0462】
本発明の一態様に係る表示部の表示光は、眼の角膜や水晶体で吸収されずに、網膜まで到
達するため、長期的な網膜への影響や、概日リズムへの悪影響がある光を含まない。具体
的には画像を表示する光に、400nm好ましくは420nmより好ましくは440nm
以下の波長を有する光(UVAともいう)を含まない。
【0463】
本発明の一態様の情報処理装置330には、本発明の一態様の半導体装置を用いることが
できる。当該半導体装置における画素では、上記波長を有する光を吸収し、透過しにくい
特徴を有する。したがって、上記波長を有する光を発する光源を用いても、本発明の一態
様の半導体装置を用いることによって、上記波長を有する光を低減または遮断することが
できる。
【0464】
また、本発明の一態様に係る表示部が備える画素の精細度が150ppi好ましくは20
0ppi以上であり、1画素のサイズが小さい。これにより、使用者の眼の筋肉系の疲労
が軽減される。
【0465】
本発明の一態様の情報処理装置の目の疲労を軽減する効果を説明する模式図を図35(B
)に示す。
【0466】
本発明の一態様の情報処理装置は画素を選択する信号を出力する頻度を変えることができ
る。特に、オフ電流が極めて小さいトランジスタを表示部の画素部に用いることにより、
フリッカーの発生を抑制しつつ、フレーム周波数を下げることができる。例えば、5秒間
に1回の画像の書き換えが可能となるため、同じ画像を見ることが可能となり、使用者に
視認される画面のちらつきが低減される。これにより、使用者の眼の網膜、神経または脳
が受ける刺激が低減され、神経系の疲労が軽減される(図35(B-1)参照)。
【0467】
なお、オフ電流が極めて小さいトランジスタとしては、例えば酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタ、特に、CAAC-OSを用いたトランジスタが好適である。
【0468】
本発明の一態様の情報処理装置は1画素のサイズが小さい。具体的には、精細度が150
ppi好ましくは200ppi以上の高精細な表示が可能である。画像の輪郭を明瞭に、
また緻密で滑らかに表示することができる。これにより、毛様体の筋肉が、ピントを合わ
せやすくなるため、使用者の筋肉系の疲労が軽減される(図35(B-2)参照)。なお
、精細度は画素密度(ppi:pixcel per inch)を用いて表現すること
ができる。画素密度は、1インチあたりの画素の数である。また、画素は画像を構成する
単位である。
【0469】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0470】
(実施の形態9)
本発明の一態様である半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む。)に適用する
ことができる。電子機器としては、テレビジョン装置、コンピュータ用などのモニタ、デ
ジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、ゲーム機
、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、遊技機(パチンコ機、スロットマシン
等)が挙げられる。これらの電子機器の一例を図37図38に示す。
【0471】
図37(A)は、表示部を有するテーブルを示している。テーブル9000は、筐体90
01に表示部9003が組み込まれており、表示部9003により映像を表示することが
可能である。なお、4本の脚部9002により筐体9001を支持した構成を示している
。また、電力供給のための電源コード9005を筐体9001に有している。
【0472】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9003に用いることが可能であ
る。それゆえ、表示部9003の表示品位を高くすることができる。
【0473】
表示部9003は、タッチ入力機能を有しており、テーブル9000の表示部9003に
表示された表示ボタン9004を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力するこ
とができ、また他の家電製品との通信を可能とする、または制御を可能とすることで、画
面操作により他の家電製品をコントロールする制御装置としてもよい。例えば、タッチセ
ンサ機能やイメージセンサ機能を有する半導体装置を用いれば、表示部9003にタッチ
入力機能を持たせることができる。
【0474】
また、筐体9001に設けられたヒンジによって、表示部9003の画面を床に対して垂
直に立てることもでき、テレビジョン装置としても利用できる。狭い部屋においては、大
きな画面のテレビジョン装置は設置すると自由な空間が狭くなってしまうが、テーブルに
表示部が内蔵されていれば、部屋の空間を有効に利用することができる。
【0475】
図37(B)は、テレビジョン装置を示している。テレビジョン装置9100は、筐体9
101に表示部9103が組み込まれており、表示部9103により映像を表示すること
が可能である。なお、ここではスタンド9105により筐体9101を支持した構成を示
している。
【0476】
テレビジョン装置9100の操作は、筐体9101が備える操作スイッチや、別体のリモ
ートコントローラ9110により行うことができる。リモートコントローラ9110が備
える操作キー9109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部910
3に表示される映像を操作することができる。また、リモートコントローラ9110に、
当該リモートコントローラから出力する情報を表示する表示部9107を設ける構成とし
てもよい。
【0477】
図37(B)に示すテレビジョン装置9100は、受信機や通信手段などを備えている。
テレビジョン装置9100は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、
さらに通信手段を介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、
一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士な
ど)の情報通信を行うことも可能である。
【0478】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9103、9107に用いること
が可能である。それゆえ、テレビジョン装置の表示品位を向上させることができる。
【0479】
図37(C)はコンピュータ9200であり、本体9201、筐体9202、表示部92
03、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206
などを含む。
【0480】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9203に用いることが可能であ
る。それゆえ、コンピュータ9200の表示品位を向上させることができる。
【0481】
表示部9203は、タッチ入力機能を有しており、表示部9203に表示された表示ボタ
ン等を指などで触れることで、画面操作や情報を入力することができる。また、キーボー
ドや音声から情報を入力することができる。
【0482】
図38(A)および図38(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図38(A
)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示
部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モ
ード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0483】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9631a、表示部9631bに
用いることが可能である。それゆえ、タブレット端末の表示品位を向上させることができ
る。
【0484】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示され
た操作キー9638に触れることでデータ入力をすることができる。なお、表示部963
1aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域
がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部963
1aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部96
31aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示
画面として用いることができる。
【0485】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部
をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで
表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0486】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタ
ッチ入力することもできる。
【0487】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを
切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えス
イッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光
の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光セン
サだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を
内蔵させてもよい。
【0488】
また、図38(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示し
ているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示
の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネル
としてもよい。
【0489】
図38(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630に太陽電池96
33、充放電制御回路9634を有していてもよい。なお、図38(B)では充放電制御
回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構
成について示している。
【0490】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態に
することができる。したがって、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため
、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0491】
また、この他にも図38(A)および図38(B)に示したタブレット型端末は、様々な
情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻
などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作または編集するタ
ッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有
することができる。
【0492】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、
表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、
筐体9630の片面または両面に設けることができ、バッテリー9635の充電を効率よ
く行うことができる。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると
、小型化を図れる等の利点がある。
【0493】
また、図38(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図39
ブロック図を示し説明する。図39(A)では、太陽電池9633、バッテリー9635
、DCDCコンバータ9636、DCDCコンバータ9637、スイッチSW1乃至SW
3、負荷(表示部9631等)について示しており、バッテリー9635、DCDCコン
バータ9636、DCDCコンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図38
B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0494】
まず、太陽電池9633によって発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電
池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコン
バータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、負荷(表示部9631等)の動作
に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、DCDC
コンバータ9637で負荷(表示部9631等)に必要な電圧に昇圧または降圧をするこ
ととなる。また、負荷(表示部9631等)への電力の供給を行わない際には、SW1を
オフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0495】
また、負荷(表示部9631等)への電力供給を常にバッテリー9635を介して行う場
合は、図39(B)に示すように、スイッチSW1を省いた構成としてもよい。
【0496】
また、負荷に供給する適切な電圧範囲とバッテリー9635の電圧が同等である場合は、
図39(C)に示すように、さらにDCDCコンバータ9637を省いた構成としてもよ
い。
【0497】
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、
圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバ
ッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送
受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構
成としてもよい。
【0498】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用
いることができる。
【符号の説明】
【0499】
100 画素部
101 画素
102 基板
103 トランジスタ
104 第1の駆動回路
105 容量素子
106 第2の駆動回路
107 走査線
108 液晶素子
109 信号線
110 窒化絶縁膜
111 半導体膜
113 導電膜
115 容量線
117 開口
119 半導体膜
121 画素電極
123 開口
125 導電膜
127 ゲート絶縁膜
129 絶縁膜
131 絶縁膜
132 絶縁膜
135 境界
150 チャネル保護膜
154 対向電極
188a 酸化物半導体膜
188b 酸化物半導体膜
199a 酸化物半導体膜
199b 酸化物半導体膜
199c 酸化物半導体膜
223 トランジスタ
227 ゲート電極
229 配線
231 半導体膜
233 配線
241 導電膜
310 演算装置
311 演算部
312 記憶部
314 伝送路
315 入出力インターフェース
320 入出力装置
321 入力手段
322 表示部
330 情報処理装置
500 入力手段
500_C 信号
600 情報処理装置
610 制御部
615_C 二次制御信号
615_V 二次画像信号
620 演算装置
625_C 一次制御信号
625_V 一次画像信号
630 表示部
631 画素部
631a 領域
631b 領域
631c 領域
631p 画素
632 G駆動回路
632_G G信号
632a G駆動回路
632b G駆動回路
632c G駆動回路
633 S駆動回路
633_S S信号
634 画素回路
634c 容量素子
634EL 画素回路
634t トランジスタ
634t_1 トランジスタ
634t_2 トランジスタ
635 表示素子
635EL EL素子
635LC 液晶素子
640 表示装置
650 光供給部
701 演算部
702 記憶部
703 制御部
704 表示部
901 基板
902 画素部
903 第2の駆動回路
904 第1の駆動回路
905 シール材
906 基板
908 液晶層
910 トランジスタ
911 トランジスタ
913 液晶素子
915 接続端子電極
916 端子電極
917 導電膜
918 FPC
918b FPC
919 異方性導電剤
922 ゲート絶縁膜
923 絶縁膜
924 絶縁膜
925 シール材
926 容量素子
927 酸化物半導体膜
929 容量線
930 電極
931 電極
932 絶縁膜
933 絶縁膜
934 絶縁膜
935 スペーサ
936 容量素子
971 ソース電極
973 ドレイン電極
975 共通電位線
977 共通電極
985 共通電位線
987 共通電極
9000 テーブル
9001 筐体
9002 脚部
9003 表示部
9004 表示ボタン
9005 電源コード
9033 具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9038 操作スイッチ
9100 テレビジョン装置
9101 筐体
9103 表示部
9105 スタンド
9107 表示部
9109 操作キー
9110 リモートコントローラ
9200 コンピュータ
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 DCDCコンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39